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JP2020084376A - 繊維用集束剤、繊維束及び繊維製品 - Google Patents

繊維用集束剤、繊維束及び繊維製品 Download PDF

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JP2020084376A
JP2020084376A JP2018221072A JP2018221072A JP2020084376A JP 2020084376 A JP2020084376 A JP 2020084376A JP 2018221072 A JP2018221072 A JP 2018221072A JP 2018221072 A JP2018221072 A JP 2018221072A JP 2020084376 A JP2020084376 A JP 2020084376A
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幸矢佳 阪口
Sayaka Sakaguchi
幸矢佳 阪口
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Abstract

【課題】 本発明は、繊維とマトリックス樹脂との優れた接着性を付与でき、かつ優れた集束性及び開繊性を両立出来る繊維用集束剤を提供することを目的とする。【解決手段】 芳香環及び一般式(1)で示される官能基(a)を有するポリエステル(A)を含有する繊維用集束剤であって、前記ポリエステル(A)1分子が有する官能基(a)の個数(m)が1〜6であり、前記ポリエステル(A)1分子が有するエステル基の個数が、m+1以上である繊維用集束剤。【選択図】 なし

Description

本発明は、繊維用集束剤、繊維束及び繊維製品に関する。
不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びポリプロピレン樹脂等のマトリックス樹脂と各種繊維との複合材料が、スポーツ用具、レジャー用品及び航空機等の分野で広く利用されている。
これらの複合材料に使用される繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維及びスラッグ繊維等の繊維が用いられている。これらの繊維は、前記の複合材料とする加工工程において、毛羽立ちや糸切れを防止するため、通常、集束剤が付与されている。
しかしながら、従来の集束剤では、ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等のマトリックス樹脂において、繊維とマトリックス樹脂との接着性が不十分であるという問題があった。
この問題を解決するため、エポキシ樹脂がアルコキシポリオキシエチレン構造とエポキシ基とを有するウレタン樹脂によって水性媒体に分散された繊維集束剤(例えば特許文献1)や分子中にエポキシ基と不飽和基を有する化合物、ウレタンアクリレート及びポリウレタン樹脂を含有する繊維集束剤(例えば特許文献2)が知られている。
複合材料の物性向上には、繊維の特性を有効に生かすという点から繊維とマトリックス樹脂との接着性が高いこと、マトリックス樹脂の含浸性を向上するために繊維束の開繊性が高いこと、及び繊維束の取扱い性の観点から集束性が良好であることが重要である。従って、繊維とマトリックス樹脂との接着性に優れ、繊維束の開繊性が高く、繊維の取扱い性が良好である繊維束を形成できる集束剤が望まれている。
しかし、特許文献1で提案された集束剤は、繊維とマトリックス樹脂との接着性を十分に満たすものではなく、その結果、複合材料の強度も十分でないという課題があり、特許文献2は繊維とマトリックス樹脂との接着性は良好であるが、開繊性が不十分という課題があった。
特開2013−249562号公報 特許第5497908号公報
本発明は、繊維とマトリックス樹脂との優れた接着性を付与でき、かつ優れた集束性及び開繊性を両立出来る繊維用集束剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、芳香環及び一般式(1)で示される官能基(a)を有するポリエステル(A)を含有する繊維用集束剤であって、
前記ポリエステル(A)1分子が有する官能基(a)の個数(m)が1〜6であり、
前記ポリエステル(A)1分子が有するエステル基の個数が、m+1以上である繊維用集束剤;炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維及びスラッグ繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維を、前記繊維用集束剤で処理してなる繊維束;前記繊維束を含有する繊維製品である。
Figure 2020084376
[一般式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、ポリエステル(A)が複数のRを有する場合は、同一でも異なっていても良い。]
本発明の繊維用集束剤は、繊維とマトリックス樹脂との優れた接着性を付与でき、かつ優れた集束性及び開繊性を両立できるという効果を奏する。
開繊性の評価における炭素繊維束の配置を示した図である。
本発明の繊維用集束剤は、芳香環及び上記の一般式(1)で示される官能基(a)を有するポリエステル(A)を含有する繊維用集束剤である。
前記のポリエステル(A)としては、ヒドロキシ基を有するエステルと、官能基(a)を有するカルボン酸とをエステル化反応させてなるポリエステル(A1)、及び、ヒドロキシ基を有するエステルと、ポリイソシアネート(γ)とをウレタン化反応させてなるイソシアネートと、官能基(a)及び水酸基を有する化合物とをウレタン化反応させてなるポリエステル(A2)等が挙げられる。
ヒドロキシ基を有するエステルは、カルボン酸(α)とポリオール(β)とのエステル化物であり、カルボン酸(α)及びポリオール(β)を必須構成単量体とするポリエステルであってもよい[ポリエステルの場合、カルボン酸(α)としてポリカルボン酸を用いる]。
「ヒドロキシ基を有するエステル」が有するヒドロキシ基は、エステルの末端に位置するポリオール(β)由来のヒドロキシ基であっても良く、ポリエステルの場合は各構成単量体に由来する構成単位の側鎖由来のヒドロキシ基であっても良いが、マトリックス樹脂との接着性の観点から、ポリエステルの末端に位置するポリオール(β)由来のヒドロキシ基であることが好ましい。
なお、ポリエステル(A)が有する芳香環は、カルボン酸(α)由来の物であっても、ポリオール(β)由来の物であっても、官能基(a)を有するカルボン酸由来の物であっても、ポリイソシアネート(γ)由来の物であっても、官能基(a)及び水酸基を有する化合物由来の物であっても良い。
また、ポリエステル(A)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
前記のカルボン酸(α)としては、脂肪族カルボン酸(α1)及び芳香族カルボン酸(α2)等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸(α1)としては、鎖状飽和脂肪族カルボン酸(α11)、鎖状不飽和脂肪族カルボン酸(α12)、脂環式カルボン酸(α13)及びダイマー酸(α14)等が挙げられる。
鎖状飽和脂肪族カルボン酸(α11)としては、炭素数2〜22の直鎖又は分岐の鎖状飽和脂肪族カルボン酸[炭素数2〜22の直鎖又は分岐の鎖状飽和脂肪族モノカルボン酸(酢酸、1−プロピオン酸、1−ブタン酸、1−ペンタン酸、1−ヘキサン酸、1−ヘプタン酸及び1−オクタン酸)及び炭素数2〜22の直鎖又は分岐の鎖状飽和脂肪族ポリカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、メチルコハク酸、エチルコハク酸、ジメチルマロン酸、α−メチルグルタル酸、β−メチルグルタル酸、2,4−ジエチルグルタル酸、イソプロピルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、トリデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、イコサンジカルボン酸、デシルコハク酸、ドデシルコハク酸及びオクタデシルコハク酸等)等]等が挙げられる。
鎖状不飽和脂肪族カルボン酸(α12)としては、炭素数4〜22の直鎖又は分岐の鎖状不飽和脂肪族カルボン酸[炭素数4〜22の直鎖又は分岐の鎖状不飽和脂肪族モノカルボン酸(リノール酸、オレイン酸及びエルカ酸等)及び炭素数4〜22の直鎖又は分岐の鎖状不飽和脂肪族ポリカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸及びオクタデセニルコハク酸等)等]等が挙げられる。
脂環式カルボン酸(α13)としては、炭素数4〜14の脂環式カルボン酸[炭素数4〜14の脂環式モノカルボン酸(シクロプロパンカルボン酸及びシクロヘキサンカルボン酸)及び炭素数7〜14の脂環式ポリカルボン酸(1,3−又は1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジ酢酸及びジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸等)等]等が挙げられる。
ダイマー酸(α14)としては、炭素数8〜24の鎖状不飽和脂肪族カルボン酸(オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸等)の二量体であるポリカルボン酸が挙げられる。
芳香族カルボン酸(α2)としては、炭素数7〜14の芳香族カルボン酸[炭素数7〜14の芳香族モノカルボン酸(安息香酸等)及び炭素数8〜14の芳香族ポリカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フェニルマロン酸、フェニルコハク酸、β−フェニルグルタル酸、α−フェニルアジピン酸、β−フェニルアジピン酸、ビフェニル−2,2’−又は4,4’−ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム及び5−スルホイソフタル酸カリウム等)等]等が挙げられる。
前記のカルボン酸(α)は、1種を単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、集束性の観点から、鎖状飽和脂肪族カルボン酸(α11)、鎖状不飽和脂肪族カルボン酸(α12)及び芳香族カルボン酸(α2)が好ましく、更に好ましいのは芳香族カルボン酸(α2)であり、特に好ましいのはテレフタル酸、イソフタル酸及びフタル酸であり、最も好ましいのはテレフタル酸及びイソフタル酸である。
前記のポリオール(β)としては、脂肪族ポリオール(β1)及び芳香族ポリオール(β2)等が挙げられる。
脂肪族ポリオール(β1)としては、鎖状脂肪族ポリオール(β11)、脂環式ポリオール(β12)及びこれらのポリオールへのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
鎖状脂肪族ポリオール(β11)としては、炭素数2〜10の鎖状脂肪族ポリオール(エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール及び2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン及びトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)等が挙げられる。
脂環式ポリオール(β12)としては、炭素数5〜12の脂環式ポリオール[1,3−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘプタンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン及び1,3,5−シクロヘキサントリオール等]等が挙げられる。
芳香族ポリオール(β2)としては、炭素数6〜15の芳香族ポリオール[ビスフェノール骨格を有するポリオール(ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等)及びヒドロキノン等]及びこのポリオールへのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
ポリオールに付加するアルキレンオキサイドとしては、前記の炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド及び1,2−、1,3−、1,4−又は2,3−ブチレンオキサイド)等が挙げられる。
ポリオール1モルに対するアルキレンオキサイドの付加モル数としては、後述の水性溶液とした場合の水溶性、後述の水性エマルジョンとした場合の乳化性及びマトリックス樹脂との密着性の観点から、2〜50モルであること[即ち、ポリオール(β)がポリオキシアルキレン鎖を有すること]が好ましい。
ポリオール(β)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ポリオール(β)のうちで、集束性の観点から好ましいのは、芳香族ポリオール(β2)であり、ビスフェノール骨格を有していることが更に好ましい。また、芳香族ポリオール(β2)は、更に集束性を高める観点から、ビスフェノール骨格を有する芳香族ポリオールのアルキレンオキサイド付加物(好ましくは2〜50モル付加物)であり、特に好ましいのは、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物及びビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物である。
前記のヒドロキシ基を有するポリエステルの100℃での粘度は、0.1〜50Pa・sであることが好ましく、更に好ましくは0.2〜30Pa・s、特に好ましくは0.3〜20Pa・sである。
粘度が0.1〜50Pa・sの範囲であれば更に良い集束性が得られる。なお、ここでいうポリエステルの100℃での粘度は、JIS K7117−1:1999(ISO2555:1990に対応)に準拠して、ブルックフィールド型粘度計(BL型)により測定される。
前記のヒドロキシ基を有するエステルがポリエステルである場合、ポリエステルを構成するカルボン酸(α)が有するカルボキシ基と、ポリエステルを構成するジオール(β)が有するヒドロキシ基との当量比[(α)が有するカルボキシ基/(β)が有する水酸基]は、集束性向上の観点から、好ましくは0.50〜0.95、更に好ましくは0.50〜0.85である。
前記のヒドロキシ基を有するエステルがポリエステルである場合、ポリエステルは、500〜30,000の数平均分子量(以下、Mnと略記)を有することが好ましい。Mnが500以上であると十分な集束性を有し、50,000以下であるとマトリックス樹脂との接着性に優れる。
なお、Mnは、ゲルパーミエイションクロマトクラフィー(以下、GPCと略記する)により測定される。Mnは600〜20,000が更に好ましく、700〜10,000が特に好ましい。この範囲であれば集束性及びマトリックス樹脂との接着性が更に優れる。
なお、ポリエステルのMnの測定に使用されるGPCの条件は、例えば以下の条件である。
機種:Alliance(日本ウォーターズ(株)製液体クロマトグラフ)
カラム:Guardcolumn Super H−L
+TSK gel Super H4000
+TSK gel Super H3000
+TSK gel Super H2000
(いずれも東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
検出器:RI(Refractive Index)
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液流量:0.6ml/分
試料濃度:0.25重量%
注入量:10μl
標準物質:ポリスチレン(東ソー(株)製;TSK STANDARD POLYSTYRENE)
ヒドロキシ基を有するエステルを製造する方法としては、例えば、カルボン酸(α)及び/又はカルボン酸(α)の無水物(α’)とポリオール(β)とを所定モル比で仕込み、反応温度100〜250℃、圧力−0.1〜1.2MPaで撹拌下、水を溜去させる方法が挙げられる。
前記の無水物(α’)としては、前記の(α1)又は(α2)の無水物、具体的には、無水コハク酸、無水マレイン酸及び無水フタル酸等が挙げられる。
ヒドロキシ基を有するエステルを製造するときには、触媒をエステルの重量に基づいて0.05〜0.5重量%加えることが好ましい。触媒としては、パラトルエンスルホン酸、ジブチルチンオキサイド、テトライソプロポキシチタネート及びシュウ酸チタン酸カリウム等が挙げられ、反応性及び環境への影響の観点からテトライソプロポキシチタネート及びシュウ酸チタン酸カリウムが好ましく、更に好ましいのはシュウ酸チタン酸カリウムである。
前記のポリエステル(A)は、前述の通り、ヒドロキシ基を有するエステルと、一般式(1)で表される官能基(a)を有するカルボン酸とをエステル化させてなるポリエステル(A1)、及び、ヒドロキシ基を有するエステルと、ポリイソシアネート(γ)とをウレタン化反応させてなるイソシアネートと、一般式(1)で表される官能基(a)及び水酸基を有する化合物とをウレタン化反応させてなるポリエステル(A2)等が挙げられる。
Figure 2020084376
一般式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、ポリエステル(A)が複数のRを有する場合は、同一でも異なっていても良い。
また、Rはマトリックス樹脂との接着性の観点から、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
前記のポリエステル(A1)を構成する官能基(a)を有するカルボン酸としては、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
なお、本願において「(メタ)アクリル」の表記は、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」の表記は、「アクリレート」及び/又は「メタクリレート」を意味する。
前記のポリエステル(A1)を製造する方法としては、前記のヒドロキシ基を有するエステルと、官能基(a)を有するカルボン酸とを所定のモル比で仕込み、反応温度100〜250℃、圧力−0.1〜1.2MPaで撹拌下、水を溜去させる方法等が挙げられる。
ポリエステル(A1)を製造するときには、触媒をポリエステル(A1)の重量に基づいて0.05〜0.5重量%加えることが好ましい。触媒としては、ヒドロキシ基を有するエステルの説明で例示した触媒を用いることができ、好ましいものも同様である。
前記のポリエステル(A2)を構成するポリイソシアネート(γ)としては、脂肪族ポリイソシアネート(γ1)及び芳香族ポリイソシアネート(γ2)等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネート(γ1)としては、炭素数4〜20の鎖状脂肪族ポリイソシアネート(エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート及び2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)及び炭素数8〜20の脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等)等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネート(γ2)としては、炭素数8〜20の芳香族ポリイソシアネート(フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート及びトリレンジイソシアネート等)等が挙げられる。
前記のポリエステル(A2)を構成する官能基(a)及び水酸基を有する化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記のポリエステル(A2)を製造する方法としては、前記のヒドロキシ基を有するエステルと、ポリイソシアネート(γ)とを所定のモル比で仕込み、反応温度0〜150℃で、ウレタン化反応させてイソシアネートを得た後に、更に、官能基(a)及び水酸基を有する化合物とをウレタン化反応させる方法等が挙げられる。
上記の各ウレタン化反応の際には、触媒をポリエステル(A2)の重量に基づいて0〜1重量%加えることが好ましい。触媒としては、金属化合物(有機ビスマス化合物、有機スズ化合物及び有機チタン化合物等)及び4級アンモニウム塩等が挙げられる。
前記のポリエステル(A)1分子が有する官能基(a)の個数(m)は1〜6である。mが6を超える場合、開繊性が悪化する。また、マトリックス樹脂との接着性及び開繊性の観点から、mは、2〜4であることが好ましい。
また、更に開繊性を向上させる観点からは、本発明の繊維用集束剤が含有する全てのポリエステル(A)におけるmの1分子あたりの数平均値(m)は、1.0〜5.8であることが好ましい。
前記のポリエステル(A)1分子が有するエステル基の個数は、m+1以上である。
ポリエステル(A)1分子が有するエステル基の個数がm+1未満の場合、マトリックス樹脂との接着性が悪化する。また、集束性及び開繊性の観点から、ポリエステル(A)1分子が有するエステル基の個数は、m+2〜m+12であることが好ましい。
また、更にマトリックス樹脂との接着性を向上させる観点からは、本発明の繊維用集束剤が含有する全てのポリエステル(A)が有するエステル基の個数の1分子あたりの数平均値は、m+1.0以上であることが好ましい。
また、前記のポリエステル(A)1分子が有するエステル基の個数と、mの比率[エステル基の個数/m]は、マトリックス樹脂との接着性を向上させる観点から、1.3〜12であることが好ましく、1.5〜6.0であることが更に好ましい。
前記のポリエステル(A)のガラス転移温度は、集束性の観点から0℃以下であることが好ましい。なお、ポリエステル(A)を、2種以上併用する場合は、各種のポリエステルのガラス転移温度が0℃以下であることが好ましい。
本発明においてガラス転移温度は、セイコーインスツルメンツ社製「示差走査熱量計ModelRDC220」を用いて、JIS K7121(1987)記載のDSC法に従って測定することができる。
本発明の繊維用集束剤は、エポキシ基を有する化合物、ポリウレタン樹脂及びポリビニル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)を含有することが好ましい。
前記のエポキシ基を有する化合物としては、1分子中に1個又は2個以上のエポキシ基を有する化合物等が挙げられ、具体的には、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、ジグリシジルアミン及び脂環式ジエポキシド等が挙げられる。
グリシジルエーテルとしては、2価フェノールのジグリシジルエーテル、1価アルコールのグリシジルエーテル及び2価アルコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。
2価フェノールのジグリシジルエーテルとしては、炭素数6〜30の2価フェノールとエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)で両末端がジグリシジルエーテルであるもの等が挙げられる。炭素数6〜30の2価フェノールとしては、ビスフェノール(ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールS及びハロゲン化ビスフェノールA等)、カテキン、レゾルシノール、ヒドロキノン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシビフェニル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、テトラメチルビフェニル及び9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フロオレン等が挙げられる。
1価アルコールのグリシジルエーテルとしては、炭素数1〜30の1価アルコールとエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)で末端がグリシジルエーテルであるもの等が挙げられる。炭素数1〜30の1価アルコールとしては、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、ドデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ステアリルアルコール、イコシルアルコール、ベヘニルアルコール、テトラコシルアルコール及びトリアコンチルアルコール等が挙げられる。
2価アルコールのジグリシジルエーテルとしては、炭素数2〜100の2価アルコールとエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)で末端がジグリシジルエーテルであるもの等が挙げられる。炭素数2〜100の2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、数平均分子量(以下、Mnと略記する。)が106〜1932のポリエチレングリコール、Mn=134〜5818のポリプロピレングリコール、Mn=162〜1818のポリテトラメチレンエーテルグリコール及びビスフェノールAの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(1〜21モル)付加物等が挙げられる。
ジグリシジルエステルとしては、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸のジグリシジルエステル及び炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸のジグリシジルエステル等が挙げられる。
炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸のジグリシジルエステルとしては、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸とエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)であって、グリシジル基を2個有するもの等が挙げられる。炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フェニルマロン酸、ホモフタル酸、フェニルコハク酸、フェニルグルタル酸、フェニルアジピン酸、ビフェニルジカルボン酸及びナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸のジグリシジルエステルとしては、炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸とエピクロルヒドリンとの縮合物(重縮合物を含む)であって、グリシジル基を2個有するもの等が挙げられる。炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンニ酸、テトラデカンニ酸、ヘキサデカンニ酸、オクタデカンニ酸及びイコサンニ酸等が挙げられる。
ジグリシジルアミンとしては、炭素数6〜20で、2〜4個の活性水素原子をもつ芳香族アミンとエピクロルヒドリンとの反応で得られるN−グリシジル化物(N,N−ジグリシジルアニリン及びN,N−ジグリシジルトルイジン等)等が挙げられる。炭素数6〜20で、2〜4個の活性水素原子をもつ芳香族アミンとしては、アニリン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン及びトルイジン等が挙げられる。
脂環式ジエポキシドとしては、炭素数6〜50で、エポキシ基を2つ有する脂環式エポキシド[ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエーテル、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート及びビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン等]等が挙げられる。
前記のポリウレタン樹脂としては、ポリオールと、有機ジイソシアネートと、必要により鎖伸長剤及び/又は架橋剤とから誘導されてなるものが挙げられる。
上記ポリオールとしては、ポリエステルポリオール(ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリネオペンチルテレフタレートジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール及びポリヘキサメチレンカーボネートジオール等);ポリエーテルポリオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びビスフェノール類の炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物等)等が挙げられる。
ポリオールの数平均分子量としては、40〜4000であることが好ましい
上記有機ジイソシアネートの具体例としては、炭素数8〜30の芳香族ジイソシアネート[2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等];炭素数4〜30の脂肪族ジイソシアネート[エチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネート等];炭素数6〜30の脂環式ジイソシアネート[イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等];及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
前記のポリビニル樹脂としては、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−エチルアクリレート共重合体等)、ポリ(メタ)アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸及びその中和物等)、ポリスチレン樹脂(ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/アクリル酸アルキル共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体及びスチレン/メタクリル酸メチル共重合体等)等が挙げられる。
前記の化合物(B)のガラス転移温度は、集束性の観点から10℃以下であることが好ましい。なお、化合物(B)を、2種以上併用する場合は、各種の化合物(B)のガラス転移温度が0℃以下であることが好ましい。
また、本発明の繊維用集束剤は、(A)以外のポリエステル樹脂を含有していても良い。(A)以外のポリエステル樹脂としては、前記のカルボン酸(α)の内、ポリカルボン酸と、前記のジオール(β)とのエステル化物等が挙げられる。
本発明の繊維用集束剤は、前記のポリエステル(A)、化合物(B)及び(A)以外のポリエステル樹脂以外にも、界面活性剤(E)及びその他の添加剤等を含有していても良い。
界面活性剤(E)としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤等の公知の界面活性剤(特開2006−124877号公報、及び、国際公開第2003/37964号記載のもの等)等が挙げられる。
界面活性剤(E)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、界面活性剤(E)としては、具体的には下記の化合物が挙げられる。
アルキルフェノールのアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」を「AO」と略記することがある)付加物(Mn500〜5,000)、アリールアルキルフェノール{スチレン化フェノール(炭素数14〜62)、スチレン化クミルフェノール及びスチレン化クレゾール(炭素数15〜61)等}のAO付加物(Mn500〜5,000)、アルキルフェノール(炭素数10〜20)のAO付加物(Mn500〜5,000)の硫酸エステル塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩及びアルカノールアミン塩等)、アリールアルキルフェノール{スチレン化フェノール(炭素数14〜62)、スチレン化クミルフェノール及びスチレン化クレゾール(炭素数15〜61)等}のAO付加物(Mn500〜5,000)の硫酸エステル塩等が挙げられる。
なお、界面活性剤(E)において、AO付加とは、エチレンオキサイド(以下、「エチレンオキサイド」を「EO」と略記することがある)単独付加、並びに、プロピレンオキサイド(以下、「プロピレンオキサイド」を「PO」と略記することがある)及びブチレンオキサイド(以下、「ブチレンオキサイド」を「BO」と略記することがある)の少なくとも一方とEOを付加した物等が挙げられる。PO及びBOの少なくとも一方を含む場合、ランダム付加物、ブロック付加物及びこれらの混合付加物が含まれる。
界面活性剤(E)のMnの測定方法は、ポリエステル(A)で説明したポリエステルのMnの測定方法と同様である。
界面活性剤(E)のうち、アニオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤が好ましく、更に好ましくはMn3,000以下であり融点25℃未満のアルキルフェノールのAO付加物、Mn3,000以下であり融点25℃未満のアリールアルキルフェノールのAO付加物、Mn3,000以下であり融点25℃未満のアルキルフェノールのAO付加物の硫酸エステル塩、Mn3,000以下であり融点25℃未満のアリールアルキルフェノールのAO付加物の硫酸エステル塩及びこれらの混合物、特に好ましくはMn3,000以下であり融点25℃未満のアリールアルキルフェノールのAO(EO及びPO)付加物及びMn3,000以下であり融点25℃未満のアリールアルキルフェノールのAO(EO及びPO)付加物の硫酸エステル塩及びこれらの混合物である。
その他の添加剤としては、平滑剤、防腐剤及び酸化防止剤等が挙げられる。
平滑剤としては、ワックス(ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、変性ポリエチレン及び変性ポリプロピレン等)、高級脂肪酸(脂肪酸の炭素数6〜30)アルキル(アルキルの炭素数1〜24)エステル(メチルステアレート、エチルステアレート、プロピルステアレート、ブチルステアレート、オクチルステアレート及びステアリルステアレート等)、高級脂肪酸(脂肪酸の炭素数6〜30)(ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸等)、天然油脂(ヤシ油、牛脂、オリーブ油及びナタネ油等)及び流動パラフィン等が挙げられる。
防腐剤としては、安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、第4級アンモニウム塩及びイミダゾール等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等)、チオジプロピオネート(ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート等)及びホスファイト(トリフェニルホスファイト等)等が挙げられる。
本発明の繊維用集束剤における前記のポリエステル(A)、化合物(B)、(A)以外のポリエステル樹脂、界面活性剤(E)及びその他の添加剤の含有量は、それぞれ下記の通りある。
(A)の重量割合は、マトリックス樹脂との接着性及び開繊性の観点から、繊維用集束剤が含有する固形分の重量に基づき、好ましくは1〜90重量%、更に好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは10〜75重量%である。
(B)の重量割合は、マトリックス樹脂との接着性の観点から、繊維用集束剤が含有する固形分の重量に基づき、好ましくは1〜90重量%、更に好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは10〜75重量%である。
(A)以外のポリエステル樹脂の重量割合は、乳化安定性の観点から、繊維用集束剤が含有する固形分の重量に基づき、好ましくは0〜90重量%、更に好ましくは10〜70重量%である。
界面活性剤(E)の重量割合は、乳化安定性の観点から、繊維用集束剤が含有する固形分の重量に基づき、好ましくは0.1〜40重量%、更に好ましくは0.5〜35重量%、特に好ましくは1〜30重量%である。
その他の添加剤としての平滑剤、防腐剤及び酸化防止剤の重量割合は、流動性及び経時安定性の観点から、繊維用集束剤が含有する固形分の重量に基づき、好ましくは0.01〜20重量%、更に好ましくは0.05〜15重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%である。
ここで、固形分とは、試料1gを130℃45分間循風乾燥機で加熱乾燥した後の残渣である。
前記のポリエステル(A)と化合物(B)との重量比[(A)/(B)]は、接着性の観点から10/90〜90/10であることが好ましく、更に好ましくは20/80〜80/20である。
本発明の繊維用集束剤は、集束性の観点から、含有する固形分の内、ガラス転移温度が0℃以下である固形分の重量割合が、全ての固形分の重量を基準として、50重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることが更に好ましい。
本発明の繊維用集束剤は、水性溶液状又は水性エマルジョン状となるように水性媒体を含有することが好ましい。
水性媒体を含有すると、繊維用集束剤が含有する固形分の繊維への付着量を適量にすることが容易であるため、成形体としたときの強度が更に優れる繊維束を得ることができる。
水性媒体としては、公知の水性媒体等を用いることができ、具体的には、水及び親水性有機溶媒[炭素数1〜4の1価のアルコール(メタノール、エタノール及びイソプロパノール等)、炭素数3〜6のケトン(アセトン、エチルメチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、炭素数2〜6のグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール等)及びそのモノアルキル(炭素数1〜2)エーテル、ジメチルホルムアミド並びに炭素数3〜5の酢酸アルキルエステル(酢酸メチル及び酢酸エチル等)等]が挙げられる。
これらは2種以上を併用してもよい。これらのうち、安全性等の観点から、水並びに親水性有機溶媒及び水の混合溶媒が好ましく、更に好ましいのは水である。
本発明の繊維用集束剤は、コスト等の観点から、流通時は高濃度であって、繊維束の製造時は低濃度であることが好ましい。すなわち、高濃度で流通することで輸送コスト及び保管コスト等を低下させ、低濃度で繊維を処理することで、優れた成形体強度を与える繊維束を製造できる。
高濃度の水性溶液又は水性エマルジョンの濃度(繊維用集束剤に対する固形分の重量割合)は、保存安定性等の観点から、好ましくは20〜80重量%、更に好ましくは30〜70重量%である。
一方、低濃度の水性溶液又は水性エマルジョンの濃度(繊維用集束剤に対する固形分の重量割合)は、繊維束の製造時に集束剤の付着量を適量にする観点等から、好ましくは0.5〜15重量%、更に好ましくは1〜10重量%である。
本発明の繊維用集束剤は、前記のポリエステル(A)並びに必要に応じて、化合物(B)、(A)以外のポリエステル樹脂、界面活性剤(E)、その他の添加剤及び水性媒体、等を混合して製造することができる。
上記の成分をいかなる順序で混合しても製造することができるが、好ましくは、水性媒体以外の成分を予め混合し、得られた混合物中に、水性媒体を投入して溶解又は乳化分散させる方法である。
水性媒体以外の成分を予め混合する場合の温度は、混合し易さの観点から、好ましくは20〜90℃、更に好ましくは40〜90℃であり、その後の溶解若しくは乳化分散の温度も同様である。
前記溶解若しくは乳化分散する時間は、好ましくは1〜20時間、更に好ましくは2〜10時間である。
混合装置、溶解装置及び乳化分散装置に制限はなく、撹拌羽根(羽根形状:カイ型及び三段パドル等)、ナウターミキサー、リボンミキサー、コニカルブレンダー、モルタルミキサー、万能混合機(万能混合攪拌機5DM−L、(株)三英製作所製等)及びヘンシェルミキサー等が使用できる。
本発明の繊維用集束剤を適用できる繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維及びスラッグ繊維等の公知の繊維(国際公開第2003/47830号に記載のもの等)等が挙げられ、成形体強度の観点から、好ましいのは炭素繊維である。これらの繊維は2種以上を併用してもよい。
本発明の繊維束は、これらの繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維を、上記の繊維用集束剤で処理して得られる。
本発明の繊維束は、3,000〜3万本程度の繊維が束ねられていることが好ましい。
繊維の処理方法としては、スプレー法又は浸漬法等が挙げられる。繊維用集束剤が含有する固形分の繊維への付着量(重量%)は、繊維の重量に基づいて、0.05〜5重量%が好ましく、更に好ましくは0.2〜2.5重量%である。この範囲であると、成形体強度が更に優れる。
本発明の繊維製品は、前記繊維束を加工して繊維製品としたものであり、発明の繊維束及びマトリックス樹脂を含有する。本発明の繊維製品は、必要により、触媒を含有してもよい。
前記の繊維製品としては、織物、編み物、不織布(フェルト、マット及びペーパー等)、チョップドファイバー及びミルドファイバー等が含まれる。
マトリックス樹脂としては、熱可塑性樹脂(ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド等)及び熱硬化性樹脂[前記のエポキシ基を有する化合物、不飽和ポリエステル樹脂(特許第3723462号に記載のもの等)、前記のビニルエステル樹脂及びフェノール樹脂(特許第3723462号に記載のもの等)等]等が挙げられる。
エポキシ基を有する化合物用の触媒としては、公知(特開2005−213337号公報に記載のもの等)のエポキシ樹脂用硬化剤及び硬化促進剤等が挙げられる。また、不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂用の触媒としては、過酸化物(ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエイト、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等)及びアゾ系化合物(アゾビスイソバレロニトリル等)等が挙げられる。
本発明の繊維製品において、マトリックス樹脂と繊維束との重量比(マトリックス樹脂/繊維束)は、成形体強度等の観点から、好ましくは10/90〜90/10であり、更に好ましくは20/80〜70/30であり、特に好ましくは30/70〜60/40である。繊維製品が触媒を含有する場合、触媒の含有率は、成形体強度等の観点から、マトリックス樹脂に対して好ましくは0.01〜10重量%であり、更に好ましくは0.1〜5重量%であり、特に好ましくは1〜3重量%である。
繊維製品は、熱溶融(好ましい溶融温度:60〜350℃)したマトリックス樹脂、又は溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン及び酢酸エチル等)で希釈したマトリックス樹脂を、繊維束に含浸させることで製造できる。溶剤を使用した場合、プリプレグを乾燥させて溶剤を除去することが好ましい。
本発明の繊維製品を成形することによって、繊維強化複合材料が得られる。マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂である場合、プリプレグを加熱成形し、常温で固化することで成形体とすることができる。マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂である場合、プリプレグを加熱成形し、硬化することで成形体とすることができる。硬化は完結している必要はないが、成形体が形状を維持できる程度に硬化していることが好ましい。成形後、更に加熱して完全に硬化させてもよい。
加熱成形の方法は特に限定されず、フィラメントワインディング成形法(回転するマンドレルに張力をかけながら巻き付け、加熱成形する方法)、プレス成形法(プリプレグシートを積層して加熱成形する方法)、オートクレーブ法(プリプレグシートを型に圧力をかけ押しつけて加熱成形する方法)及びチョップドファイバー又はミルドファイバーをマトリックス樹脂と混合して射出成形する方法等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
ポリエステル(A−1)〜(A−7)及び比較用のポリエステル(A’−1)〜(A’−4)並びに(B−1)〜(B−3)のガラス転移温度は、セイコーインスツルメンツ社製「示差走査熱量計ModelRDC220」を用いて、JIS K7121(1987)記載のDSC法に従って測定した。
製造例1 <ポリエステル(A−1)の製造>
ビスフェノールAのEO2モル付加物「ニューポールBPE−20」[三洋化成工業(株)製]316部(1モル部)、フマル酸77.7部(0.67モル部)及びシュウ酸チタン酸カリウム4部を、ガラス製反応容器中、230℃で0.001MPaまで減圧し水を留去しながら15時間反応させたのち、パラトルエンスルホン酸10部、トルエン200部、ハイドロキノン2部及びアクリル酸48.7部(0.677モル部)を加え、空気を通気しながら90℃で0.04MPaまで減圧し水を留去しながら水酸基価が1.0以下になるまで反応した後、25℃まで冷却した。さらにトルエン200部及び10%水酸化ナトリウム水溶液200部を加えて分液し、下層の水層を留去後、90℃で0.01MPaまで減圧しトルエンを留去し、m=2、エステル基数6のポリエステル(A−1)を得た。なお、ポリエステル(A−1)のガラス転移温度は、0℃以下であった。
製造例2 <ポリエステル(A−2)の製造>
製造例1において、フマル酸77.7部(0.67モル部)を87.0部(0.75モル部)に、アクリル酸48.7部(0.677モル部)を36.4部(0.505モル部)に変更した以外は製造例1と同様にし、m=2、エステル基数8のポリエステル(A−2)を得た。なお、ポリエステル(A−2)のガラス転移温度は、0℃以下であった。
製造例3 <ポリエステル(A−3)の製造>
製造例1において、ビスフェノールAのEO2モル付加物316部(1モル部)をジエチレングリコール212(2モル部)に、フマル酸77.7部(0.67モル部)をテレフタル酸222.4(1.34モル部)に、アクリル酸48.7部(0.677モル部)を97.2部(1.35モル部)に変更した以外は製造例1と同様にし、m=2、エステル基数6のポリエステル(A−3)を得た。なお、ポリエステル(A−3)のガラス転移温度は、0℃以下であった。
製造例4 <ポリエステル(A−4)の製造>
製造例1において、ビスフェノールAのEO2モル付加物316部(1モル部)をビスフェノールAのEO10モル付加物「ニューポールBPE−100」[三洋化成工業(株)製]334(0.5モル部)に、フマル酸77.7部(0.67モル部)をテレフタル酸41.5(0.25モル部)に、アクリル酸48.7部(0.677モル部)を36.4部(0.505モル部)に変更した以外は製造例1と同様にし、m=2、エステル基数4のポリエステル(A−4)を得た。なお、ポリエステル(A−4)のガラス転移温度は、0℃以下であった。
製造例5 <ポリエステル(A−5)の製造>
ビスフェノールAのEO2モル付加物「ニューポールBPE−20」[三洋化成工業(株)製]316部(1モル部)、フマル酸77.7部(0.67モル部)及びシュウ酸チタン酸カリウム4部を、ガラス反応容器中、230℃で0.001MPaまで減圧し水を留去しながら15時間反応して得られたエステル化物(エステル基数4)を得た。このエステル化物122部(0.1モル部)、3官能イソシアネート「デュラネート24A−100」[ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット変性体、旭化成(株)製]108部(0.202モル部)、触媒としてビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)の2−エチルヘキサン酸50%溶液を1部仕込み、撹拌均一化後、80℃で6時間反応させた。さらにハイドロキノン2部及び2−ヒドロキシエチルアクリレート46.4部(0.4モル部)を加え、空気を通気しながら75℃でイソシアネート含量が0.01%以下になるまで反応し、m=4、エステル基数8のポリエステル(A−5)を得た。なお、ポリエステル(A−5)のガラス転移温度は、0℃以下であった。
製造例6 <ポリエステル(A−6)の製造>
製造例1において、アクリル酸48.7部(0.677モル部)を24.4部(0.338モル部)に変更した以外は製造例1と同様にし、m=1、エステル基数5のポリエステル(A−6)を得た。なお、ポリエステル(A−6)のガラス転移温度は、0℃以下であった。
製造例7 <ポリエステル(A−7)の製造>
製造例1において、アクリル酸48.7部(0.677モル部)をメタクリル酸58.2部(0.677モル部)に変更した以外は製造例1と同様にし、m=2、エステル基数6のポリエステル(A−7)を得た。なお、ポリエステル(A−7)のガラス転移温度は、0℃以下であった。
比較製造例1 <ポリエステル(A’−1)の製造>
ビスフェノールAのEO2モル付加物「ニューポールBPE−20」[三洋化成工業(株)製]316部(1モル部)、パラトルエンスルホン酸10部、トルエン200部、ハイドロキノン2部及びアクリル酸145部(2.02モル部)を加え、空気を通気しながら90℃で0.04MPaまで減圧し水を留去しながら水酸基価が1.0以下になるまで反応した後、25℃まで冷却した。さらにトルエン200部及び10%水酸化ナトリウム水溶液200部を加えて分液し、下層の水層を留去後、90℃で0.01MPaまで減圧しトルエンを留去し、m=2、エステル基数2のポリエステル(A’−1)を得た。なお、ポリエステル(A’−1)のガラス転移温度は、0℃以下であった。
比較製造例2 <ポリエステル(A’−2)の製造>
比較製造例1において、アクリル酸145部(2.02モル部)を72.7部(1.01モル部)に変更した以外は比較製造例1と同様にし、m=1、エステル基数1のポリエステル(A’−2)を得た。なお、ポリエステル(A’−2)のガラス転移温度は、0℃以下であった。
比較製造例3 <ポリエステル(A’−3)の製造>
トリメチロールプロパン134部(1モル部)、パラトルエンスルホン酸7部、トルエン200部、ハイドロキノン2部及びアクリル酸145部(2.02モル部)を加え、空気を通気しながら90℃で0.04MPaまで減圧し水を留去しながら水酸基価が420になるまで反応した後、25℃まで冷却した。さらにトルエン200部及び10%水酸化ナトリウム水溶液200部を加えて分液し、下層の水層を留去後、90℃で0.01MPaまで減圧しトルエンを留去し、さらにカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/アセトン=97/3)で精製し、トリメチロールプロパンジアクリレートを分取した。
その後、別のガラス製反応容器に、ビスフェノールAのEO2モル付加物「ニューポールBPE−20」[三洋化成工業(株)製]316部(1モル部)、フマル酸77.7部(0.67モル部)及びシュウ酸チタン酸カリウム4部を投入し、230℃で0.001MPaまで減圧し水を留去しながら15時間反応して得られたエステル化物(エステル基数4)を得た。
このエステル化物122部(0.1モル部)、3官能イソシアネート「デュラネート24A−100」[旭化成(株)製]108部(0.202モル部)、触媒としてビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)の2−エチルヘキサン酸50%溶液を1部仕込み、撹拌均一化後、80℃で6時間反応させた後、ハイドロキノン2部及び前記トリメチロールプロパンジアクリレート96.8部(0.4モル部)を加え、空気を通気しながら75℃でイソシアネート含量が0.01%以下になるまで反応し、m=8、エステル基数12のポリエステル(A’−3)を得た。なお、ポリエステル(A’−3)のガラス転移温度は、0℃以下であった。
比較製造例4 <ポリエステル(A’−4)の製造>
製造例1において、ビスフェノールAのEO2モル付加物316部(1モル部)をジエチレングリコール212(2モル部)に、フマル酸77.7部(0.67モル部)を155.4(1.34モル部)に、アクリル酸48.7部(0.677モル部)を97.2部(1.35モル部)に変更した以外は製造例1と同様にし、m=2、エステル基数6の芳香環を有しないポリエステル(A’−4)を得た。なお、ポリエステル(A’−4)のガラス転移温度は、0℃以下であった。
<実施例1〜10及び比較例1〜5>
水以外の表1に記載の部数の原料を、万能混合機[万能混合攪拌機、(株)三英製作所製]中で60℃に温調しながら30分均一溶解させた後、そこに水を6時間かけて滴下し、水分散濃度が40重量%の本発明の繊維用集束剤(C−1)〜(C−10)及び比較用の繊維用集束剤(C’−1)〜(C’−5)をそれぞれ2500部得た。
Figure 2020084376
なお、表1に記載した記号の原料の化学組成は以下の通りである。
(B−1):エポキシ基を有する化合物[ビスフェノールAのジグリシジルエーテルとエピクロルヒドリンとの縮合物、商品名「JER1001」、三菱ケミカル(株)製、(B−1)のガラス転移温度:10℃以下]
(B−2):ポリウレタン樹脂を含有する溶液[ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルションを含有する溶液(固形分濃度:50質量%)、商品名「パーマリンUA−368」、三洋化成工業(株)製、(B−2)のガラス転移温度:10℃以下]
(B−3):ポリアクリル樹脂を含有する溶液[ポリアクリル酸ナトリウムを含有する溶液(固形分濃度:43質量%)、商品名「アロンT−50」、東亜合成(株)製、(B−3)のガラス転移温度:10℃以下]
(E−1):スチレン化フェノールのプロピレンオキサイドエチレンオキサイド付加物[商品名「Soprophor 796/P」、ソルベイ日華(株)製]
実施例及び比較例の繊維用集束剤を用いて、以下の評価方法で、炭素繊維束の集束性、開繊性及び接着性を評価した。
<集束性の評価>
(1)固形分濃度が1.5重量%となるように繊維用集束剤組成物をさらに水で希釈した水溶液に、未処理炭素繊維(繊度800tex、フィラメント数12,000本)を浸漬して集束剤を含浸させ、180℃で3分間熱風乾燥させて炭素繊維束を作製した。
(2)得られた炭素繊維束の集束性を、JIS L1096−2010 8.21.1 A法(45°カンチレバー法)に準じて評価した。
数値(cm)が大きいほど集束性に優れることを意味する。
この処理条件で得られた炭素繊維束をカンチレバーで評価した集束性の値は、一般に13cm以上が好ましい。
<開繊性の評価>
70℃に温めた表面が平滑な直径10mmのステンレス棒5本を、ステンレス棒同士の水平方向の間隔が50mmとなるようにそれぞれ平行に、かつ、炭素繊維束がステンレス棒と接触しながらジグザグに通過するように配置した(図1)。なお、炭素繊維束が1番目と3番目と5番目に通過するステンレス棒の中心を結ぶ直線、及び、炭素繊維束が2番目と4番目に通過するステンレス棒の中心を結ぶ直線は、水平面と平行になるように配置した。また、前記の2〜4番目のステンレス棒の通過前後で、通過前の炭素繊維束の進行方向となる直線と、通過後の炭素繊維束の進行方向となる直線とが、120度の角度をなすように(例えば、前記の1番目と2番目のステンレス棒の間を通過する炭素繊維束の進行方向となる直線と、前記の2番目と3番目のステンレス棒の間を通過する炭素繊維束の進行方向となる直線とが、120度の角度をなすように)配置した。
このステンレス棒間に各集束剤で処理をした炭素繊維束をジグザグにかけ、巻取ロールと巻出ロールとの間の張力1000g、速度3m/分で炭素繊維束を巻出ロールから巻取ロールへ巻き取り、5本のステンレス棒を通過した後の、炭素繊維束の拡がり幅(mm)を測定した{(株)浅野機械製作所製 糸走行試験装置を使用した}。
この条件で測定した炭素繊維束の拡がり幅は、一般に8mm以上が好ましい。
<接着性の評価>
マイクロドロップレット法により接着性を評価した。
(1)上記の方法にて得られた炭素繊維束から、炭素繊維フィラメントを取り出し、試料ホルダーにセットした。
(2)ビニルエステル樹脂「リポキシR−804」[昭和電工(株)製]100重量部、硬化剤「パーメックN」[日本油脂(株)製]25重量部からなるマトリックス樹脂のマイクロドロップレットを炭素繊維フィラメント上に形成し、25℃×24時間、120℃×5時間加熱し硬化させ接着性の測定用の試料を得た。
(3)測定試料を複合材料界面特性評価装置HM410[東栄産業株式会社製]にセットし、炭素繊維フィラメントからマイクロドロップレットを引き抜く際の最大引き抜き荷重Fを測定した。
(4)界面剪断強度τを次式により算出した。
界面剪断強度τ(単位:MPa)=F/πdL
[但し、Fは最大引き抜き荷重(N)、dは炭素繊維フィラメント直径(μm)、Lはマイクロドロップレットの引き抜き方向の粒子径(μm)を表す。]
この界面剪断強度τが大きいほど接着性が高いことを意味し、一般に45MPa以上が好ましい。
本発明の実施例1〜10の繊維用集束剤は、高い集束性を保持しながら、開繊性に優れた繊維束を作ることができ、かつ繊維とマトリックス樹脂との接着性に優れている。
一方、エステル基数が少ない比較例1及び2は密着性が低く、官能基(a)の個数が多すぎる比較例3は開繊性が低い。
また、芳香環を有するポリエステルを含有しない比較例4は集束性及び密着性が低く、官能基(a)を有するポリエステルを含有しない比較例5は開繊性及び密着性が低い。
本発明の繊維用集束剤は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維又はスラッグ繊維用の集束剤として利用できる。
また、本発明の繊維用集束剤組成物で処理して得られた繊維束又は繊維製品を強化繊維とし、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂をマトリックスとしてプリプレグを得ることができる。
1.ステンレス棒
2.巻出ロール
3.巻取ロール
4.炭素繊維束
5.開繊性の測定位置

Claims (12)

  1. 芳香環及び一般式(1)で示される官能基(a)を有するポリエステル(A)を含有する繊維用集束剤であって、
    前記ポリエステル(A)1分子が有する官能基(a)の個数(m)が1〜6であり、
    前記ポリエステル(A)1分子が有するエステル基の個数が、m+1以上である繊維用集束剤。
    Figure 2020084376
    [一般式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、ポリエステル(A)が複数のRを有する場合は、同一でも異なっていても良い。]
  2. 前記繊維用集束剤が含有する全てのポリエステル(A)におけるmの1分子あたりの数平均値(m)が1.0〜5.8であり、前記繊維用集束剤が含有する全てのポリエステル(A)が有するエステル基の個数の1分子あたりの数平均値が、m+1.0以上である請求項1に記載の繊維用集束剤。
  3. 前記ポリエステル(A)が、芳香族ポリカルボン酸及び芳香族ポリオールを必須構成単量体とするポリエステルである請求項1又は2に記載の繊維用集束剤。
  4. 一般式(1)におけるRが、水素原子又はメチル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維用集束剤。
  5. 前記芳香族ポリオールがビスフェノール骨格を有する請求項3又は4に記載の繊維用集束剤。
  6. 前記芳香族ポリオールがポリオキシアルキレン鎖を有する請求項3〜5のいずれか1項に記載の繊維用集束剤。
  7. 前記ポリエステル(A)のガラス転移温度が0℃以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維用集束剤。
  8. 更に、エポキシ基を有する化合物、ポリウレタン樹脂及びポリビニル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の繊維用集束剤。
  9. 前記化合物(B)のガラス転移温度が10℃以下である請求項8に記載の繊維用集束剤。
  10. 前記ポリエステル(A)と化合物(B)との重量比[(A)/(B)]が、10/90〜90/10である請求項8又は9に記載の繊維用集束剤。
  11. 炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維及びスラッグ繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維を、請求項1〜10のいずれか1項に記載の繊維用集束剤で処理してなる繊維束。
  12. 請求項11に記載の繊維束を含有する繊維製品。
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