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JP2020084012A - コーティング剤用表面改質剤、コーティング剤、及び硬化塗膜 - Google Patents

コーティング剤用表面改質剤、コーティング剤、及び硬化塗膜 Download PDF

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JP2020084012A
JP2020084012A JP2018219579A JP2018219579A JP2020084012A JP 2020084012 A JP2020084012 A JP 2020084012A JP 2018219579 A JP2018219579 A JP 2018219579A JP 2018219579 A JP2018219579 A JP 2018219579A JP 2020084012 A JP2020084012 A JP 2020084012A
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Abstract

【課題】形成した均質で平滑な塗膜面に優れた撥水性・撥油性を付加できるコーティン剤用表面改質剤を提供する。【解決手段】塗膜形成成分を含有するコーティング剤に含有され、形成される塗膜表面に撥水性・撥油性を付与するコーティング剤用表面改質剤が、下記化学式(1)〜(3)で表されるフッ素含有(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも何れか20〜60質量部と、反応性官能基含有モノマー1〜50質量部とN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドから選ばれる少なくとも一種のN,N−ジ置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は不飽和基含有モルホリンアミドから選ばれる少なくとも一種の不飽和基含有モルホリンアミドモノマーから成るアミドモノマー0.1〜40質量部未満とが共重合された、重量平均分子量が2,000〜100,000の共重合物である。【化1】【選択図】なし

Description

本発明は、塗膜形成成分を含有するコーティング剤に配合され、形成された平坦な塗膜に撥水性・撥油性を付与するコーティング剤用表面改質剤、前記表面改質剤を含有するコーティング剤、前記コーティング剤で形成された硬化塗膜に関するものである。
近年、塗装面の高付加価値化に伴い、水性・油性塗料、焼き付け塗料、インキ等の様々なコーティング剤で形成された塗膜に均質性・平坦性に加えて撥水性・撥油性を付加することが要望されている。
均質性・平坦性に優れた塗膜を形成可能なコーティング剤として、例えば下記特許文献1に、フッ素化アルキル基と芳香環と酸性基とを有するフッ素化アルキル基含有ビニル系重合体からなるフッ素系界面活性剤と、芳香環と酸性基とを有するバインダー樹脂とを含有するコーティング用樹脂組成物が提案されている。このコーティング用樹脂組成物は、バインダー樹脂を構成する官能基を考慮して、フッ素系界面活性剤の親媒性基を選択し、フッ素系界面活性剤とバインダー樹脂との相溶性を高めることにより、塗膜の均質性・平坦性を高めている。このようにフッ素系界面活性剤には、親媒性基が導入されており、得られた塗膜は十分な撥水性・撥油性を有することができない。
また、フッ素系成分を含有し、形成した塗膜に撥水性・撥油性を付加可能なコーティング用組成物として、例えば、下記特許文献2に、フッ素化アルキル基含有ビニル系単量体とアミド基含有ビニル系単量体及び/又はポリオキシエチレン鎖含有ビニル系単量体を含む単量体類を重合して得られるフッ素系共重合体と、ポリイミド系樹脂を含有するポリイミド系コーティング用組成物が提案されている。このコーティング用組成物は、ポリイミド系樹脂に該当しない他の樹脂に適用させようとすると、他の樹脂との相溶性が問題となる懸念がある。しかも、ポリオキシエチレン鎖含有ビニル系単量体はそのポリオキシエチレン鎖部分の結合力が弱く、高温焼き付け時の耐熱性に劣る懸念がある。
更に、特許文献3には、撥液性と基材に対する密着性を有するポジ型感光性樹脂として、ノボラック樹脂及び感光剤を含有するポジ型感光性樹脂組成物に、エポキシ基及びオキセタニル基よりなる群から選択される少なくとも1つを有するフッ素樹脂と架橋剤とを含有するものが提案されている。この場合も、ノボラック樹脂に該当しない他の樹脂に適用させようとすると、他の樹脂との相溶性が問題となる懸念が存在する。
特開2005−272829号公報 特開2007−138027号公報 特開2016−40577号公報
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、塗膜形成成分が含有されているコーティング剤に配合することにより、前記塗膜形成成分の種類が変更された場合であっても、コーティング剤の表面自由エネルギーを低下して、コーティング剤にレベリング性を付与し、且つ得られる塗膜に平坦性と撥水性・撥油性とを付与できるコーティング剤用表面改質剤、前記表面改質剤を含有するコーティング剤、前記コーティング剤で形成された硬化塗膜を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するためになされた、本発明のコーティング剤用表面改質剤は、塗膜形成成分を含有するコーティング剤に含有され、前記コーティング剤で形成される塗膜表面に撥水性・撥油性を付与する表面改質剤が、下記化学式(1)〜(3)で表されるフッ素含有(メタ)アクリレートモノマー(A)の少なくとも何れか20〜60質量部と、反応性官能基含有モノマー(B)1〜50質量部と、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドから選ばれる少なくとも一種のN,N−ジ置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は不飽和基含有モルホリンアミドから選ばれる少なくとも一種の不飽和基含有モルホリンアミドモノマーから成るアミドモノマー(C)0.1〜40質量部未満とが共重合された、重量平均分子量が2,000〜100,000の共重合物であることを特徴とするものである。
Figure 2020084012
(式(1)中、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数0〜12のアルキレン基、Rは炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基を示す。)
Figure 2020084012
(式(2)中、Rは水素原子又はメチル基、n、m、pは0〜8の数、RF2は炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。)
Figure 2020084012
(式(3)中、Rは水素原子又はメチル基、q、r、sは0〜8の数、RF3は炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。)
前記共重合物に、屈折率1.56以上の芳香族含有モノマー(D)が共重合されており、前記芳香族含有モノマー(D)の配合量が前記フッ素含有(メタ)アクリレートモノマー(A)、前記反応性官能基含有モノマー(B)及び前記アミドモノマー(C)100質量部に対して0.1〜20質量部であると、コーティング剤用表面改質剤自体の屈折率が向上され、電子材料用途で使用される高屈折率の塗膜形成成分が含有されたコーティング剤に添加した際の濁りを抑制でき好ましい。
この芳香族含有モノマー(D)としては、m−フェノキシベンジルアクリレート、ビフェニルメチル(メタ)アクリレート、O−フェニルフェノールエチル(メタ)アクリレートを好適に用いることができる。
前記フッ素含有アクリレートモノマー(A)としては、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート及びパーフルオロポリエーテル含有(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
前記反応性官能基含有モノマー(B)としては、水酸基含有(メタ)アクリレート、水酸基含有アクリルアミド、エポキシ基含有(メタ)アクリレート、カルボキシル基含有(メタ)アクリレート、及びブロックイソシアネート基含有(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種を用いることにより、形成された塗膜にコーティング剤用表面改質剤を固定し、撥水性・撥油性の耐久性を向上でき好ましい。
前記アミドモノマー(C)として、ホモポリマーのガラス転移温度が110℃以上のモノマーを用いることにより、塗膜表面の撥水性・撥油性と耐熱性とを向上でき好ましい。
前記アミドモノマー(C)としては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド又はN,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドを好適に用いることができる。
また、前記の目的を達成するためになされた、本発明のコーティング剤は、前述したコーティング剤用表面改質剤と、塗膜形成成分とを含有するものである。
更に、前記の目的を達成するためになされた、本発明の硬化塗膜は、前記コーティング剤を用いて形成された硬化塗膜であって、前記硬化塗膜表面に撥水性・撥油性が付与されているものである。
本発明に係るコーティング剤用表面改質剤によれば、塗膜表面に配向し、塗膜の表面張力を均一化してレベリング性を向上すると共に、コーティング剤の表面張力を低下させることにより、湿潤性の悪い低表面張力基材に対しての濡れ性を向上させ、且つ塗膜表面の表面張力を低下して、塗膜に撥水性及び/又は撥油性を付与できる。しかも、表面配向基として、フッ素を用いていることにより、アルキル系、シリコーン系表面改質剤よりも表面配向力が強く、より早く表面配向することができ、高速塗装にも適応できる。また、本発明のコーティング剤用表面改質剤には、反応性基が含有されており、コーティング剤用表面改質剤が塗膜に対して固定化でき、塗膜の撥水性・撥油性の耐久性を向上できる。更に、本発明のコーティング剤用表面改質剤には、高極性成分として、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド類から選ばれる少なくとも一種のN,N−ジ置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は不飽和基含有モルホリンアミド類から選ばれる少なくとも一種の不飽和基含有モルホリンアミドモノマーからなるアミドモノマーを含有し、塗膜の撥水性・撥油性と耐熱性とを向上できる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
本発明のコーティング剤用表面改質剤は、フッ素含有(メタ)アクリレートモノマー(A)と、反応性官能基含有モノマー(B)とN、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドから選ばれる少なくとも一種のN,N−ジ置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は不飽和基含有モルホリンアミドから選ばれる少なくとも一種の不飽和基含有モルホリンアミドモノマーから成るアミドモノマー(C)とが共重合されたものである。
尚、ここで言う(メタ)アクリルは、アクリル及びメタクリルを意味する。
本発明で用いるフッ素含有(メタ)アクリレートモノマー(A)としては、下記化学式(1)〜(3)で表される片末端(メタ)アクリル変性のフッ素含有(メタ)アクリレートモノマーが単独で又は複数で用いられる。このフッ素含有(メタ)アクリレートモノマーによって、コーティング剤に添加する塗膜形成成分との相溶性と形成される塗膜のレベリング性とを向上でき、塗膜に撥水性・撥油性とを付与できる。
Figure 2020084012
(式(1)中、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数0〜12のアルキレン基、Rは炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基を示す。)
Figure 2020084012
(式(2)中、Rは水素原子又はメチル基、n、m、pは0〜8の数、RF2は炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。)
Figure 2020084012
(式(3)中、Rは水素原子又はメチル基、q、r、sは0〜8の数、RF3は炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。)
式(1)中のRは、パーフルオロアルキル基、パーフルオロポリエーテル基のいずれでもよいが、パーフルオロポリエーテル基含有パーフルオロアルキル基であっても、パーフルオロアルキル基含有パーフルオロポリエーテル基であってもよい。
具体的に化学式(1)で表されるフッ素含有(メタ)アクリレートモノマーについて例示すると、パーフルオロアルキル基含有のものとしては、例えば、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチル(メタ)アクリレート、パーフルオロノニル(メタ)アクリレート、パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロドデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロtert−ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロsec−ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−ペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−ヘキシル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−ヘプチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−オクチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−ノニル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−デシル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−ウンデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−ドデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘプチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロオクチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロノニル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロウンデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロドデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロペンチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘプチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロノニルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロウンデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロドデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−プロピルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−ブチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロtert−ブチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロsec−ブチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−ペンチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−ヘキシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−ヘプチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−オクチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−ノニルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−デシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−ウンデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−ドデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロペンチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘプチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロオクチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロノニルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロウンデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロドデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロペンチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘプチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロノニルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロウンデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロドデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−プロピルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−ブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロtert−ブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロsec−ブチル(メタ)エチルアクリレート、パーフルオロiso−ペンチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−ヘキシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−ヘプチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−オクチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−ノニルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−デシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−ウンデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso−ドデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロペンチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘプチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロオクチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロノニルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロウンデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロドデシルエチル(メタ)アクリレート、
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フッ素含有(メタ)アクリレートモノマーにおいて、パーフルオロポリエーテル基含有のものとしては、上記化学式(2)(3)で表わされるものも挙げられる。このようなフッ素含有(メタ)アクリレートモノマー(A)としては、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート及びパーフルオロポリエーテル含有(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種を好適に用いることができる。
上述したフッ素含有(メタ)アクリレートモノマー(A)は、一種類だけを用いてもよく、二種類以上を同時に用いてもよい。このフッ素含有(メタ)アクリレートモノマー(A)の配合量は20質量部以上60質量部以下、好ましくは30〜55質量部である。フッ素含有(メタ)アクリレートモノマー(A)の配合量が20質量部未満の場合、得られる塗膜に十分な撥水性・撥油性とレベリング性とを付与できない。一方、フッ素含有(メタ)アクリレートモノマー(A)の配合量が60質量部を超えると、コーティング剤の塗膜形成成分に対する相溶性が低下し、ヘイズが発生し易くなる。
上述したフッ素含有(メタ)アクリレートモノマー(A)と併用する反応性官能基含有モノマー(B)は、形成される塗膜に表面改質剤を固定化して、塗膜に耐久性に優れた撥水性・撥油性を付与できる。
この反応性官能基含有モノマー(B)としては、水酸基含有(メタ)アクリレート、水酸基含有アクリルアミド、エポキシ基含有(メタ)アクリレート、カルボキシル基含有(メタ)アクリレート及びブロックイソシアネート基含有(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
この水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートにε-カプロラクトンをnモル(nは1〜5)付加したモノマー(例えば株式会社ダイセル製のプラクセルFMシリーズ、FAシリーズ(商品名))等が挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリルアミドとしては、例えばN−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド等が挙げられる。
エポキシ基含有(メタ)アクリレートの範疇で非脂環式のものとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル、α−エチルアクリ酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル等のα−アルキルアクリル酸エポキシアルキルエステル、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。
また、エポキシ基含有(メタ)アクリレートの範疇で脂環式のものとしては、例えば1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カルボキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えばカルボキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−アクリロイロキシエチル−フタル酸が挙げられる。
ブロックイソシアネート基含有(メタ)アクリレートとしては、ブロック剤でブロック化されたイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートモノマーであって、例えば2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートにブロック剤として、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、カプロラクタム、MEK−オキシム、ジメチルピラゾール、マロン酸ジエチル、等を反応させたものが挙げられる。より具体的には、メタクリル酸2−(0−[1’−メチルロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(昭和電工株式会社製のカレンズMOI−BM(登録商標))、メタクリル酸2−([3,5−ジメチルピラゾリル]カルボニルアミノ)エチル(昭和電工株式会社製のカレンズMOI−BP(登録商標))等が例示される。
反応性官能基含有モノマー(B)の配合量は、1質量部以上50質量部以下、好ましくは10〜40質量部である。反応性官能基含有モノマー(B)の配合量が1質量部未満の場合、得られる塗膜の撥水性・撥油性の耐久性が低下する。一方、反応性官能基含有モノマー(B)の配合量が50質量部を超える場合、コーティング剤の塗膜形成成分に対する相溶性が低下し、得られる塗膜の撥水性・撥油性が低下する。
N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドから選ばれる少なくとも一種のN,N−ジ置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は不飽和基含有モルホリンアミドから選ばれる少なくとも一種の不飽和基含有モルホリンアミドモノマーから成るアミドモノマー(C)は、モノマー(A)、(B)、(C)共重合体、及びモノマー(A)、(B)、(C)、(D)共重合体のコーティング剤の塗膜形成成分に対する相溶性を向上し、塗膜の撥水性・撥油性を向上させる。
N,N−ジ置換アクリルアミドモノマーとしては、ジメチル(メタ)アクリルアミド(例えばKJケミカルズ株式会社製のDMAA(商品名))、ジエチル(メタ)アクリルアミド(例えばKJケミカルズ株式会社製のDEAA(商品名))、イソプロピルアクリルアミド(例えばKJケミカルズ株式会社製のNIPAM(商品名)、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(例えばKJケミカルズ株式会社製のDMAPAA(商品名))を挙げることができる。
不飽和基含有モルホリンアミドモノマーとしては、(メタ)アクリロイルモルホリン、例えばアクリロイルモルホリン(具体的には、KJケミカルズ株式会社製のACMO(商品名))が挙げられる。
このアミドモノマー(C)としては、ホモポリマーのガラス転移温度が110℃以上であることが、形成される塗膜に耐久性を有する撥水性・撥油性を付与でき好ましい。このようなアミドモノマー(C)としては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド又はN,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド,アクリロイルモルホリンを好適に用いることができる。
アミドモノマー(C)の配合量は、0.1質量部以上40質量部未満、好ましくは10〜30質量部である。アミドモノマー(C)の配合量が0.1質量部未満の場合、コーティング剤の塗膜形成成分への相溶性が低下する。一方、アミドモノマー(C)の配合量が40質量部以上の場合、形成される塗膜の撥水性・撥油性やその耐久性が低下する。
上述したフッ素含有(メタ)アクリレートモノマー(A)、反応性官能基含有モノマー(B)及びアミドモノマー(C)の共重合物から成るコーティング剤用表面改質剤を塗膜形成成分として高屈折率の樹脂が含有されているコーティング剤に添加したとき、濁りが発生することがある。この濁りを抑制するには、コーティング剤用表面改質剤自体の屈折率を高めることを要する。このようにコーティング剤用表面改質剤自体の屈折率を高めるには、屈折率1.56以上の芳香族含有モノマー(D)を、フッ素含有(メタ)アクリレートモノマー(A)、反応性官能基含有モノマー(B)及びアミドモノマー(C)と共重合することが好ましい。
この芳香族含有モノマー(D)としては、m−フェノキシベンジル(メタ)アクリレート(具体的には、共栄社化学株式会社製のライトアクリレートPOB−A(商品名))、ビフェニルメチル(メタ)アクリレート、O−フェニルフェノールエチル(メタ)アクリレート、O−フェニル(EO)2(メタ)アクリレート等が挙げられ、m−フェノキシベンジルアクリレート、ビフェニルメチル(メタ)アクリレート、O−フェニルフェノールエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
芳香族含有モノマー(D)の配合量は、フッ素含有(メタ)アクリレートモノマー(A)、反応性官能基含有モノマー(B)及びアミドモノマー(C)100質量部に対して0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
本発明のコーティング剤用表面改質剤を構成する共重合物には、上述したモノマーの他に、アルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド及びビニル基含有化合物から選ばれる少なくとも一種の不飽和コモノマーが共重合されていてもよい。但し、その不飽和コモノマーの共重合量は、得られた共重合物が撥水・撥油性付与性能を害しない程度とすべきであり、上述したフッ素含有(メタ)アクリレートモノマー(A)、反応性官能基含有モノマー(B)、アミドモノマー(C)及び芳香族含有モノマー(D)の総質量100質量部に対し質量比で30質量部以下であることが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、無置換又はアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、炭化水素芳香環、複素環の少なくとも何れかで置換され若しくはヒドロキシ基に酸無水物が開裂付加していてもよい直鎖状、分岐鎖状、及び/又は環状で炭素数1〜12のアルキル基を有する無置換又は置換アルキル(メタ)アクリレートである希釈モノマー、例えば、アルキルアクリレート、又はアルキルメタクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミドとしては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドやN,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドのようなN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドや(メタ)アクリロイルモルホリン以外のもので、(メタ)アクリルアミド、無置換又はケトン基やアミノ基やスルホン酸基やその塩で置換していてもよい炭素数1〜12のアルキル基によるN−アルキル(メタ)アクリルアミドや環状(メタ)アクリルアミド、例えばジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリルアミド−tert−ブチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミド−tert−ブチルスルホン酸有機塩、(メタ)アクリルアミド−tert−ブチルスルホン酸無機塩等が挙げられる。
ビニル基含有化合物としては、例えばn−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテルのような炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキルビニルエーテルモノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルのような脂肪酸ビニルエステルモノマーが挙げられる。
上述したフッ素含有(メタ)アクリレートモノマー(A)、反応性官能基含有モノマー(B)、アミドモノマー(C)及び必要に応じて芳香族含有モノマー(D)を含むモノマーの共重合物は、ラジカル重合方法で得ることができる。ラジカル重合方法では、所定量の所定のモノマーを、適宜溶媒中、ラジカル重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤の存在下でランダム共重合させて得ることができる。ラジカル重合開始剤としては、例えばtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを用いることができ、連鎖移動剤としては、例えばドデシルメルカプタンを用いることができる。また、溶媒としては、例えばシクロヘキサノン等の不活性溶媒を用いることができる。尚、共重合物は、ラジカル重合で得られてもよく、アニオン重合のようなイオン重合で得られてもよい。共重合物は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよく、グラフト共重合体であってもよく、交互共重合体であってもよい。
但し、得られた共重合物の重量平均分子量(ポリスチレン換算)が2,000〜100,000となるように調整すべきである。好ましくは、3,000〜50,000である。共重合物の重量平均分子量が2,000未満の場合、塗膜表面に付加された撥水性・撥油性の耐久性が低下する。一方、共重合物の重量平均分子量が100,000を超える場合、塗膜形成成分との相溶性が低下する。
得られた共重合物を含有する本発明のコーティング剤用表面調整剤は、共重合物のみからなっていてもよく、共重合物を不活性溶媒で溶解又は懸濁させて用いてもよい。不活性溶媒としては、この共重合物を溶解又は懸濁させることができるものである。具体的にはキシレン、トルエン、シクロヘキサンのような炭化水素溶媒;シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンのようなケトン溶媒;メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなエーテル溶媒;酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートのようなエステル溶媒;n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、シクロヘキサノール、2−エチルヘキサノール、3−メチル−3−メトキシブタノールのようなアルコール溶媒;γ-ラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトンのようなラクトン系溶媒が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、複数種混合して用いてもよい。
上述したコーティング剤用表面調整剤を含有する本発明のコーティング剤は、塗膜形成成分を含有する。このコーティング剤用表面調整剤を配合してコーティング剤を調製するとき、コーティング剤用表面調整剤未含有で塗膜形成成分含有の公知のコーティング剤を予め調製した後、コーティング剤用表面調整剤を配合し、混練することにより、所望のコーティング剤が得られる。それらを同時に又は任意の順で混合してもよい。コーティング剤は、コーティング剤全量に対する固形分換算値で0.1質量%以上10質量%以下、好ましくは0.5〜5.0質量%の共重合物となるようにコーティング剤用表面調整剤を配合することが好ましい。
コーティング剤に配合する塗膜形成成分としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、例えば、加熱硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型、酸化硬化型、光カチオン硬化型、過酸化物硬化型、及び酸/エポキシ硬化型のように、触媒存在下又は触媒非存在下で化学反応を伴って硬化するものであってもよく、ガラス転移点が高い樹脂で、化学反応が伴わず、溶媒が揮発するだけで被膜となるものであってもよい。
上記の塗膜形成成分及びコーティング剤用表面調整剤の濃度等の調整に希釈溶媒を用いることができる。この希釈溶媒としては、一般的に用いられる水又は有機溶媒であれば、特に限定されない。有機溶媒としては、例えば、キシレン、トルエン、シクロヘキサンのような炭化水素溶媒;シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンのようなケトン溶媒;メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなエーテル溶媒;酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートのようなエステル溶媒;n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、シクロヘキサノール、2−エチルヘキサノール、3−メチル−3−メトキシブタノールのようなアルコール溶媒;γ-ラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトンのようなラクトン系溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。
本発明のコーティング剤には、上述した塗膜形成成分、コーティング剤用表面調整剤、不活性溶媒、希釈溶媒等の他に第三成分が配合されていてもよい。第三成分としては、特に限定されないが、例えば顔料・染料のような着色剤、樹脂、触媒、界面活性剤が挙げられる。また、必要に応じて、増感剤、帯電防止剤、消泡剤、分散剤、粘度調整剤が配合されてもよい。
このような本発明のコーティング剤は、基材の表面に塗布して形成した塗装膜を乾燥又は硬化して、表面が優れた撥水性・撥油性を呈する均質で平坦な塗膜を形成できる。
本発明のコーティング剤を塗布する基材は、特に限定されないが、プラスチック、ゴム、紙、木材、ガラス、金属、石材、セメント材、モルタル材、セラミックスの素材で形成されたもので、家電製品や自動車の外装材、日用品、建材が挙げられる。
また、コーティング剤の塗布方法は、例えば、スピンコート、スリットコート、スプレーコート、ディップコート、バーコート、ドクターブレード、ロールコート、フローコート、ベルコートが挙げられる。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
<重合例1>
撹拌装置、還流冷却管、滴下ロート、温度計及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mLの反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテル500質量部を加えて、窒素ガス雰囲気下で110℃に昇温した。プロピレングリコールモノメチルエーテルの温度を110℃に維持し、下記表1に示す滴下溶液(a−1)を滴下ロートにより2時間で等速滴下して、モノマー溶液を調製した。滴下終了後、モノマー溶液を、115℃まで昇温させ、2時間反応させて共重合物を合成して表面調整剤を得た。異なる分子量の分子を分離できるゲル浸透クロマトグラフィー(カラムは東ソー株式会社製で製品名TSKGELSUPERMULTIPOREHZ−M、溶出溶媒はTHF(テトラヒドロフラン))を用いて、得られた表面調整剤を分子量ごとに溶出し、分子量分布を求めた。予め分子量既知のポリスチレン標準物質から校正曲線を得ておき、表面調整剤の分子量分布と比較して、表面調整剤の重量平均分子量を求めた。その結果、この表面調整剤の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で8000であった。尚、表1の単位は質量部である。
<重合例2>
重合例1中の滴下溶液を下記表1の(а−2)に変更したこと以外は、重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で9500であった。
<重合例3>
重合例1中の滴下溶液を下記表1の(а−3)に変更したこと以外は、重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で9700であった。
<重合例4>
重合例1中の滴下溶液を下記表1の(а−4)に変更したこと以外は、重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で8700であった。
<重合例5>
重合例1中の滴下溶液を下記表1の(а−5)に変更したこと以外は、重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で9500であった。
<重合例6>
重合例1中の滴下溶液を下記表1の(а−6)に変更したこと以外は、重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で8000であった。
<重合例7>
重合例1中の滴下溶液を下記表1の(а−7)に変更したこと以外は、重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で8500であった。
<重合例8>
重合例1中の滴下溶液を下記表1の(а−8)に変更したこと以外は、重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で8900であった。
<重合例9>
重合例1中の滴下溶液を下記表1の(а−9)に変更したこと以外は、重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で9500であった。
<重合例10>
重合例1中の滴下溶液を下記表1の(а−10)に変更したこと以外は、重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で12000であった。
<重合例11>
重合例1中の滴下溶液を下記表2の(а−11)に変更したこと以外は、重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で11000であった。尚、表2の単位は質量部である。
<重合例12>
重合例1中の滴下溶液を下記表2の(а−12)に変更したこと以外は、重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で10000であった。
<重合例13>
重合例1中の滴下溶液を下記表22の(а−13)に変更したこと以外は、重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で8500であった。
<重合例14>
重合例1中の滴下溶液を下記表2の(а−14)に変更したこと以外は、重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で9000であった。
<重合例15>
重合例1中の滴下溶液を下記表2の(а−15)に変更したこと以外は、重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で12000であった。
<重合例16>
重合例1中の滴下溶液を下記表2の(а−16)に変更したこと以外は、重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で13000であった。
<重合例17>
重合例1中の滴下溶液を下記表2の(а−17)に変更したこと以外は、重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で8800であった。
<重合例18>
重合例1中の滴下溶液を下記表2の(а−18)に変更したこと以外は、重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で9800であった。
<重合例19>
<パーフルオロポリエーテル含有モノマーaの合成>
撹拌装置、還流冷却管、滴下ロート、温度計を備えた200mLの反応容器に、下記式で表されるパーフルオロポリエーテル含有アルコール50質量部、反応溶媒ジイソプロピルエーテル30質量部、重合禁止剤ヒドロキノン0.01質量部、中和剤トリエチルアミン10.3質量部を加え、10℃で撹拌した。10℃撹拌下にて、アクリル酸クロライド10質量部を2時間掛けて滴下を行った。滴下終了後、10℃1時間、30℃1時間、50℃1時間で加熱撹拌を行った。反応後、ガスクロマトグラフィーにてパーフルオロポリエーテル含有アルコールが消失していることを確認した。フラスコ内容物を分液ロートに移し、追加でジイソプロピルエーテル150質量部、イオン交換水150質量部を加えて、水洗を行った。水洗工程は計4回行った。水洗後、有機層に硫酸マグネシウム5質量部入れ、乾燥後、硫酸マグネシウムを濾過で除去し、溶媒を留去して、下記式のパーフルオロポリエーテル含有モノマーa40質量部を得た。
<パーフルオロポリエーテル含有アルコール>
CFCFCFCF(O−CF−CFOCFCHOH
<パーフルオロポリエーテル含有アクリレートa>
CFCFCFCF(O−CF−CFOCFCHOCOCHCH
<重合>
重合例1中の滴下溶液を下記表2の(а−19)に変更したこと以外は、重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で9800であった。
<比較重合例1>
撹拌装置、還流冷却管、滴下ロート、温度計及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mLの反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテルを300質量部加えて、窒素ガス雰囲気下で110℃に昇温した。プロピレングリコールモノメチルエーテルの温度を110℃に維持し、下記表3に示す滴下溶液(b−1)を滴下ロートにより2時間で等速滴下して、モノマー溶液を調製した。滴下終了後、モノマー溶液を、115℃まで昇温させ、2時間反応させて共重合物を合成して表面調整剤を得た。異なる分子量の分子を分離できるゲル浸透クロマトグラフィー(カラムは東ソー株式会社製で製品名TSKGELSUPERMULTIPOREHZ−M、溶出溶媒はTHF(テトラヒドロフラン)を用いて、得られた表面調整剤を分子量ごとに溶出し、分子量分布を求めた。予め分子量既知のポリスチレン標準物質から校正曲線を得ておき、表面調整剤の分子量分布と比較して、表面調整剤の重量平均分子量を求めた。その結果、この表面調整剤の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で8700であった。尚、表3の単位は質量部である。
<比較重合例2>
比較重合例1中の滴下溶液を下記表3の(b−2)に変更したこと以外は、比較重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。滴下溶液にメトキシポリエチレングリコールメタクリレート NKエステルM−90G(新中村化学株式会社製)を使用した。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、比較重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で9500であった。
<比較重合例3>
比較重合例1中の滴下溶液を下記表3の(b−3)に変更したこと以外は、比較重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、比較重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で12000であった。
<比較重合例4>
比較重合例1中の滴下溶液を下記表3の(b−4)に変更したこと以外は、比較重合例1 と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、比較重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で10500であった。
<比較重合例5>
比較重合例1中の滴下溶液を下記表3の(b−5)に変更したこと以外は、比較重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、比較重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で9000であった。
<比較重合例6>
比較重合例1中の滴下溶液を下記表3の(b−6)に変更したこと以外は、比較重合例1と同様の方法で共重合物を合成して表面改質剤を得た。得られた表面改質剤の重量平均分子量を、比較重合例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で9500であった。

Figure 2020084012
Figure 2020084012
Figure 2020084012
<評価塗膜作製>
予め調製した樹脂溶液に、重合例1〜13及び比較重合例1〜6で得られた表面改質剤を配合して、試験コーティング剤を得た。この試験コーティング剤を基材に塗布して得られた硬化被膜の特性評価を行った。
<樹脂溶液1の作製>
フェノール樹脂(YP−50:新日化エポキシ製造株式会社製(商品名))100質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YD−8125:新日化エポキシ製造株式会社製(商品名))10質量部、イソホロンジイソシアネート(IPDI:日立化成株式会社製)2質量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.3質量部をメチルイソブチルケトン(MIBK)400質量部に30℃にて撹拌、溶解して樹脂溶液1を得た。
<樹脂溶液2の作製>
ポリエステルポリオール樹脂ポリライト(RX−4800:DIC株式会社(商品名))100質量部、イソホロンジイソシアネート(IPDI:日立化成株式会社製) 20質量部をメチルイソブチルケトン(MIBK)480質量部に30℃にて撹拌、溶解して樹脂溶液2を得た。
<評価溶液1の調整と硬化被膜作製>
樹脂溶液1に対して、重合物а−1〜6、10〜13、16〜18及びb−1〜5の何れかを3%添加し、ラボディスパーにて2000rpmにて1分間撹拌を行い、評価溶液を調整した。ガラス基板に対して評価溶液を2g滴下し、10μmバーコーターで塗布した。塗布後、100℃×30分、250℃×1時間焼き付け、評価用硬化被膜を作製し,下記評価を行った。表2に記載のとおり、これらを実施例1〜6、10〜13、16〜19、比較例1〜5とする。
<評価溶液2の調整と硬化被膜作製>
樹脂溶液2に対して、重合物а−7〜9、14,15及びb−6の何れかを3%添加し、ラボディスパーにて2000rpmにて1分間撹拌を行い、評価溶液を調整した。ガラス基板に対して評価溶液を2g滴下し、10μmバーコーターで塗布した。塗布後、100℃×30分、250℃×1時間焼き付け、評価用硬化被膜を作製し、下記評価を行った。表2に記載のとおり、これらを実施例7〜9、14、15、比較例6とする。
上記方法で作製した塗板について、硬化被膜のハジキ防止性・レベリング性、硬化被膜のヘイズ、硬化被膜の水・PGMAC接触角の評価を行った。
<硬化被膜のハジキ防止性・レベリング性>
硬化被膜表面を目視にて確認し、下記3段階で評価し、下記の表4、表5に記載した。
塗膜ハジキ防止性、レベリング性
〇:凹みやハジキが無く、平滑。
△:やや凹みがあり、塗膜ムラが生じ、平滑性が乏しい。
×:ハジキがあり、著しく塗膜ムラが生じていた。
<硬化被膜のヘイズ>
硬化被膜表面を目視にて確認し、下記3段階で評価し、下記の表4、表5に記載した。
塗膜ヘイズ 〇:塗膜に透明性がありクリア。
△:塗膜に僅かなヘイズがあった。
×:塗膜にヘイズがあった。
<硬化被膜の水・PGMAC接触角>
硬化した直後の硬化被膜面に2μLの水及びPGMACを滴下し、接触角測定計(協和界面科学株式会社製)を用いて初期の水接触角を測定した。その結果を下記4段階で評価し、下記の表4、表5に記載した。
(1)水接触角
◎:90度以上、○:80度以上〜90度未満、△:70度以上〜80度未満、×:70度未満
(2)PGMAC(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)接触角
◎:60度以上、○:50度以上〜60度未満、△:40度以上〜50度未満、×:40度未満
Figure 2020084012
Figure 2020084012
表4、表5に示す結果より、反応性基含有モノマーが入ることにより、PGMAC接触角の向上が見られる。これは、被膜に表面改質剤を固定化することにより、PGMACへの染み出しを防いでいると考えられる。高屈折率モノマーを含有することで、樹脂へのヘイズを抑制することができる。
本発明のコーティング剤用表面改質剤は、プラスチック、ゴム、紙、木材、ガラス、金属、石材、セメント材、モルタル材、セラミックスの素材で形成され家電製品や自動車の外装材、日用品、建材に塗布されるコーティング剤に配合し、均質で平滑な塗膜を形成でき、且つ塗膜表面に優れた撥水性・撥油性を付加できる。

Claims (9)

  1. 塗膜形成成分を含有するコーティング剤に含有され、前記コーティング剤で形成される塗膜表面に撥水性・撥油性を付与する表面改質剤が、下記化学式(1)〜(3)で表されるフッ素含有(メタ)アクリレートモノマー(A)の少なくとも何れか20〜60質量部と、反応性官能基含有モノマー(B)1〜50質量部と、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドから選ばれる少なくとも一種のN,N−ジ置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は不飽和基含有モルホリンアミドから選ばれる少なくとも一種の不飽和基含有モルホリンアミドモノマーから成るアミドモノマー(C)0.1〜40質量部未満とが共重合された、重量平均分子量が2,000〜100,000の共重合物であることを特徴とするコーティング剤用表面改質剤。
    Figure 2020084012
    (式(1)中、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数0〜12のアルキレン基、Rは炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基を示す。)
    Figure 2020084012
    (式(2)中、Rは水素原子又はメチル基、n、m、pは0〜8の数、RF2は炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。)
    Figure 2020084012
    (式(3)中、Rは水素原子又はメチル基、q、r、sは0〜8の数、RF3は炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。)
  2. 前記共重合物に、屈折率1.56以上の芳香族含有モノマー(D)が共重合されており、前記芳香族含有モノマー(D)の配合量が前記フッ素含有(メタ)アクリレートモノマー(A)、前記反応性官能基含有モノマー(B)及び前記アミドモノマー(C)100質量部に対して0.1〜20質量部であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング剤用表面改質剤。
  3. 前記芳香族含有モノマー(D)が、m−フェノキシベンジルアクリレート及び又はビフェニルメチル(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項2に記載のコーティング剤用表面改質剤。
  4. 前記フッ素含有アクリレートモノマー(A)が、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート及びパーフルオロポリエーテル含有(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のコーティング剤用表面改質剤。
  5. 前記反応性官能基含有モノマー(B)が、水酸基含有(メタ)アクリレート、水酸基含有アクリルアミド、エポキシ基含有(メタ)アクリレート、カルボキシル基含有(メタ)アクリレート、及びブロックイソシアネート基含有(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のコーティング剤用表面改質剤。
  6. 前記アミドモノマー(C)が、ガラス転移温度が110℃以上のホモポリマーであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のコーティング剤用表面改質剤。
  7. 前記アミドモノマー(C)が、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド又はN,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドであることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のコーティング剤用表面改質剤。
  8. 請求項1〜7の何れかに記載のコーティング剤用表面改質剤と、塗膜形成成分とを含有することを特徴とするコーティング剤。
  9. 請求項8に記載のコーティング剤を用いて形成された硬化塗膜であって、前記硬化塗膜表面に撥水性・撥油性が付与されていることを特徴とする硬化塗膜。
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