以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る駐車及び出庫支援装置100の構成を示すブロック図である。本実施形態の駐車及び出庫支援装置100は、車両に搭載され、当該車両を駐車スペースに移動させる(駐車させる)動作及び当該車両を駐車スペースから移動させる(出庫させる)動作を支援する。なお、駐車及び出庫支援装置100は、当該車両の駐車動作又は出庫動作を遠隔操作により実現してもよい。例えば、当該車両の乗員が、車外においてリモートコントローラや携帯端末等の遠隔操作装置に駐車又は出庫支援を開始する指示を入力することにより、当該車両の駐車又は出庫動作を実現させるようにしてもよい。
本実施形態の駐車及び出庫支援装置100は、カメラ群10と、測距装置15と、移動距離センサ20と、操舵角センサ30と、メインスイッチ40と、駐車及び出庫支援ECU(Electronic control unit)50と、車両制御ECU60と、ナビゲーションシステム70とを備える。なお、駐車及び出庫支援装置100は、不図示のエンジン制御ECUやステアリングのパワーアシストECU等の通常車両に搭載されているハードウェア群も備える。これらの各構成は、相互に情報の授受を行うためにCAN(Controller Area Network)やその他の車載LANによって接続されている。
カメラ群10は、例えば、図示するように、前方カメラ11と、右側方カメラ12と、左側方カメラ13と、後方カメラ14とを備える。前方カメラ11は、車両のフロントバンパー又はその近傍に設置され、自車両の前方を撮像して画像情報を駐車及び出庫支援ECU50に出力する。右側方カメラ12は、車両の右側方(例えば、車両の前端右側部)に設置され、自車両の右側方を撮像して画像情報を駐車及び出庫支援ECU50に出力する。左側方カメラ13は、車両の左側方(例えば、車両の前端左側部)に設置され、自車両の左側方を撮像して画像情報を駐車及び出庫支援ECU50に出力する。後方カメラ14は、車両のリアバンパー又はその近傍に設置され、自車両の後方を撮像して画像情報を駐車及び出庫支援ECU50に出力する。
測距装置15は、ミリ波レーダー、レーザーレーダー、超音波レーダーなどのレーダー装置又はソナーであり、カメラ11〜14と同様の位置に設置され、車両の周囲の障害物、歩行者、他車両等の存否、これらの位置、これらまでの距離を検出する。
移動距離センサ20は、自車両の移動量を算出して駐車及び出庫支援ECU50に出力する。移動距離センサ20は、例えば、自車両の車輪の回転数を検出する回転数センサ等を用いて構成することができる。
操舵角センサ30は、例えば、ステアリングコラムの内部に設置され、ステアリングホイールの回転角を検出して駐車及び出庫支援ECU50に出力する。
メインスイッチ40は、駐車支援及び出庫支援の開始を指示するためにユーザに操作されるスイッチであり、操作されていない状態ではオフ信号を駐車及び出庫支援ECU50に出力し、操作されるとオン信号を駐車及び出庫支援ECU50に出力する。このメインスイッチ40は、例えば、車外で遠隔操作をする乗員が保持するリモートコントローラや携帯端末等の遠隔操作装置や、自車両のインストルメントパネルの周辺やステアリングホイールの周辺等の運転手が車内で操作可能な位置等に設置される。なお、メインスイッチ40は、ネットワークを介して車両と通信可能なスマートフォン等の携帯端末の画面に設けられるソフトウェアスイッチや、ナビゲーション装置の画面に設けられるソフトウェアスイッチ等にしてもよい。
駐車及び出庫支援ECU50は、駐車及び出庫支援装置100を統括的に制御するコントローラである。駐車及び出庫支援ECU50は、駐車及び出庫支援プログラムが格納されたROM52と、このROM52に格納されたプログラムを実行することで、本実施形態の駐車及び出庫支援装置100として機能する動作回路としてのCPU51と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM53とを備える。この駐車及び出庫支援ECU50は、カメラ群10、測距装置15、移動距離センサ20、操舵角センサ30、メインスイッチ40から検出情報又は指令が入力され、自車両の目標操舵角と目標車速とを算出して車両制御ECU60に出力する。
車両制御ECU60は、車両の駆動制御を行うコントローラである。車両制御ECU60は、車両駆動制御プログラムが格納されたROM62と、このROM62に格納されたプログラムを実行することで、車両制御装置として機能する動作回路としてのCPU61と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM63とを備える。この車両制御ECU60は、駐車及び出庫支援ECU50から車両の目標操舵角と目標車速とが入力され、エンジン制御ECUやステアリングのパワーアシストECU等と連携して、車両の駆動制御を行う。
図2は、駐車及び支援ECU50の出庫支援機能を説明するためのブロック図である。この図に示すように、駐車及び出庫支援ECU50は、出庫位置設定部501と、出庫開始位置設定部502と、通路幅推定部503と、周囲物体検出部504と、出庫経路生成部505と、出庫経路追従制御部506と、目標速度生成部507とを備える。また、車両制御ECU60は、操舵角制御部601と、速度制御部602とを備えている。さらに、ナビゲーションシステム70は、現在位置推定部701を備える。この現在位置推定部701は、自車両の現在位置を推定して出庫開始位置設定部502及び出庫経路追従制御部506に出力する。この現在位置の推定処理では、GPS(Global Positioning System)を利用して自車両の現在位置を測定したり、路車間通信により現在位置を取得したり、ステアリングの操舵量及びアクセルの操作量に基づいて現在位置を算出したり、車両の移動量、位置を累積して、現在位置を算出することを例示できる。
出庫位置設定部501は、自動運転により自車両を駐車位置から出庫させる位置(以下、目標出庫位置という)を設定する。ここで、自車両に隣接した駐車車両の有無や当該駐車車両と自車両との位置関係等により、自車両の出庫方向が制約される場合と制約されない場合とがある。隣接の駐車車両により自車両の出庫方向が制約される場合には、出庫位置設定部501は、当該駐車車両と自車両との位置関係や出庫する通路の右側通行と左側通行との別に応じて、出庫位置を設定する。一方、隣接の駐車車両が存在しない場合や隣接の駐車車両により自車両の出庫方向が制約されない場合には、出庫位置設定部501は、後述の種々の方法により出庫位置を設定する。
ここで、隣接の駐車車両により自車両の出庫方向が制約される場合に出庫位置設定部501が設定する出庫位置は、乗員の選択によっては変更できないもの、即ち、出庫位置を制限するものであってもよく、乗員の選択によって変更できるもの、即ち、初期設定するものや推奨するもの等であってもよい。
図3及び図4は、自車両1の出庫位置の設定方法を説明するための図及び表である。図3には、自車両1が前向きで出庫する場合の出庫位置の設定方法を説明するための表及び図を示し、図4には、自車両1が後向きで出庫する場合の出庫位置の設定方法を説明するための表及び図を示している。
図3の左側の図に示すように、前向きで出庫する自車両1の右側に隣接の駐車車両2が存在し、出庫する通路が右側通行である場合には、自車両1から見て左側が右側よりも出庫し易いことから、自車両1から見て左側の右側通行帯に出庫位置を設定する。それに対して、前向きで出庫する自車両1の右側に隣接の駐車車両2が存在し、出庫する通路が左側通行である場合には、自車両1の出庫のし易さは自車両1から見て左側と右側とで大きな差は無いことから、自車両1の出庫位置は制約されない。なお、自車両1の出庫のし易さは、後述する直線移動区間の距離の長短や旋回半径の大小や切り返し回数の多少によって判断している。
一方、図3の右側の図に示すように、前向きで出庫する自車両1の左側に隣接の駐車車両2が存在し、出庫する通路が左側通行である場合には、自車両1から見て右側が左側よりも出庫し易いことから、自車両1から見て右側の左側通行帯に出庫位置を設定する。それに対して、前向きで出庫する自車両1の左側に隣接の駐車車両2が存在し、出庫する通路が右側通行である場合には、自車両1の出庫のし易さは自車両1から見て左側と右側とで大きな差は無いことから、自車両1の出庫位置は制約されない。
図4の左側の図に示すように、後向きで出庫する自車両1の右側(運転手から見て左側)に隣接の駐車車両2が存在し、出庫する通路が右側通行である場合には、自車両1から見て右側(運転手から見て後方左側)が左側(運転手から見て後方右側)よりも出庫し易いことから、自車両1から見て右側(運転手から見て後方左側)の右側通行帯に出庫位置を設定する。それに対して、後向きで出庫する自車両1の右側に隣接の駐車車両2が存在し、出庫する通路が左側通行である場合には、自車両1の出庫のし易さは自車両から見て左側と右側とで大きな差は無いことから、自車両1の出庫位置は制約されない。なお、後向きで出庫する場合には、前輪車軸を基準に旋回するところ、図4の左側の図に実線矢印で示すように、自車両から見て右側に出庫する場合には、旋回時の左前輪と隣接の駐車車両2とのクリアランスが大きいのに対して、図4の左側の図に破線矢印で示すように、自車両から見て左側に出庫する場合には、旋回時の左前輪と隣接の駐車車両2とのクリアランスが比較的小さくなる。従って、図4の左側の図に示す状況では、自車両1から見て右側が左側よりも出庫し易いということになる。
一方、後向きで出庫する自車両1の左側(運転手から見て右側)に隣接の駐車車両2が存在し、出庫する通路が左側通行である場合には、自車両1から見て左側(運転手から見て後方右側)が右側(運転手から見て後方左側)よりも出庫し易いことから、自車両1から見て左側(運転手から見て後方右側)の左側通行帯に出庫位置を設定する。それに対して、後向きで出庫する自車両1の左側に隣接の駐車車両2が存在し、出庫する通路が右側通行である場合には、自車両1の出庫のし易さは自車両1から見て左側と右側とで大きな差は無いことから、自車両1の出庫位置は制約されない。
ここで、隣接の駐車車両2の存在により自車両1の出庫位置が制約されない場合には、自車両1の出庫位置は、自動又は手動で設定される。図5〜図16は、自車両1の出庫方向を自動又は手動で設定する方法を説明するための図である。
まず、図5に示すように、自車両1の出庫位置を自動で設定する方法として、出庫する通路の通行方向に出庫方向を設定する方法を例示できる。ここで、出庫する通路の通行方向の設定方法としては、下記(1)〜(4)の方法を例示できる。
(1)カメラ11〜14の画像情報から、進行方向を指示する標識や路面のマークを検出し、検出した標識や路面のマークが指示する方向に設定する。
(2)カメラ11〜14の画像情報、又は測距装置15の測距情報から、他車両の走行方向を検出し、検出した他車両の走行方向に設定する。
(3)自車両が駐車位置に入庫するまでの走行方向を含む走行履歴を記録し、走行履歴に含まれる走行方向に設定する。
(4)駐車場の基地局から通行方向を受信し、受信した通行方向に設定する。
自車両1の出庫位置を自動で設定する方法として、自車両1の過去の出庫履歴に基づいて設定する方法を例示できる。この設定方法では、下記(1)式で表される判定値Jが正の値である場合には、出庫方向を右に設定し、判定値Dが負の値である場合には、出庫方向を左に設定する。
但し、T
iは経過時間であり、D
iは出庫方向であって、右方向の場合にはD
i=+1、左方向の場合にはD
i=−1である。
表1には、出庫履歴の一例を示している。この表に示す駐車場Aについては、J=(((1/1)×(+1))+((1/2)×(+1))+((1/2)×(+1)))=+2となり、右方向となる。また、駐車場Bについては、J=(((1/2)×(−1)+((1/2)×(−1))+((1/4)×(−1)))=−1.25となり、左方向となる。さらに、駐車場Cについては、J=(((1/2)×(+1)+((1/1)×(+1))+((1/1)×(−1)))=+0.5となり、右方向となる。このように、上記(1)式の中に経過時間を含めることにより、直近の出庫履歴を優先して、判定することができるようになる。つまりは、過去に左方向に優先的に出庫していた場合であっても、直近が右方向に優先的に出庫していた場合は、右方向に出庫する。これにより、現在の出庫する環境に適した出庫ができるようになる。また下記表1の経過時間は、1時間など、時間を単位にしているが必ずしもそれに限らず、秒、分、及び、日などでもよい。
図6に示すように、自車両1の出庫位置を自動で設定する方法としては、ナビゲーションシステム70において探索された目標地点への経路Rの方向に出庫方向を設定する方法を例示できる。
図7及び図8は、一実施例に係る自車両1の出庫位置を自動で設定する手順を示すフローチャートである。図7は、目的地までの距離に応じて自車両1の出庫位置を設定する手順を示すフローチャートである。この図のフローチャートに示すように、まず、ステップS1において、出庫位置設定部501は、右方向に出庫する場合の目的地までの距離を算出する。次に、ステップS2において、出庫位置設定部501は、左方向に出庫する場合の目的地までの距離を算出する。次に、ステップS3において、出庫位置設定部501は、右方向に出庫する場合の目的地までの距離が、左方向に出庫する場合の目的地までの距離よりも短いか否かを判定する。肯定判定の場合はステップS4に進み、否定判定の場合はステップS5に進む。ステップS4では、出庫位置設定部501は、出庫方向を右方向に設定する。一方、ステップS5では、出庫位置設定部501は、出庫方向を左方向に設定する。以上で処理を終了する。
図8は、目的地までの所要時間に応じて自車両1の出庫位置を設定する手順を示すフローチャートである。この図のフローチャートに示すように、まず、ステップS11において、出庫位置設定部501は、右方向に出庫する場合の目的地までの所要時間を算出する。次に、ステップS12において、出庫位置設定部501は、左方向に出庫する場合の目的地までの所要時間を算出する。次に、ステップS13において、出庫位置設定部501は、右方向に出庫する場合の目的地までの所要時間が、左方向に出庫する場合の目的地までの所要時間よりも短いか否かを判定する。肯定判定の場合はステップS14に進み、否定判定の場合はステップS15に進む。ステップS14では、出庫位置設定部501は、出庫方向を右方向に設定する。一方、ステップS15では、出庫位置設定部501は、出庫方向を左方向に設定する。以上で処理を終了する。
図9に示すように、自車両1の出庫位置を自動で設定する方法としては、切り返し回数の少ない方向に出庫方向を設定する方法を例示できる。図9の左側に示すように、左方向に出庫する場合には切り返し回数が2回になるのに対して、図9の右側に示すように、右方向に出庫する場合には切り返し回数が0回になるような場合には、出庫方向を右方向に設定する。
次に、遠隔操作により自車両1を出庫させる場合における自車両1の出庫位置の設定方法について説明する。遠隔操作により出庫させる自車両1の出庫位置を手動で設定する方法としては、ナビゲーションシステム70のタッチパネルディスプレイ又は操作キーの操作に応じて設定する方法、スマートフォン等の携帯端末のタッチパネルディスプレイ又は操作キーの操作に応じて設定する方法、ウインカーレバーの操作に応じて設定する方法、ステアリングの操作時に検出される操舵角、操舵トルクに応じて設定する方法、リモコンキーのボタンの操作に応じて設定する方法等を例示できる。なお、図10に示すように、リモコンキー3には、左方向への出庫を指示するためのボタン3Lと、右方向への出庫を指示するためのボタン3Rとを設ければよい。
また、図11に示すように、遠隔操作により出庫させる自車両1の出庫位置を手動で設定する方法としては、操作者4の動作に応じて設定する方法を例示できる。例えば、操作者4が出庫方向を腕で指示し、その操作者4の動作を、自車両1のカメラ11〜14や測距装置15等の車載のセンサや、操作者4が保持する携帯端末又はリモコンや、駐車場に設置されたセンサ等により検出し、操作者4が指示する方向を出庫方向に設定する方法を挙げることができる。
遠隔操作により出庫させる自車両1の出庫位置を自動で設定する方法としては、図12に示すように、操作者4の近傍に出庫位置を設定する方法を例示できる。なお、操作者4の位置の検出方法としては、自車両1のカメラ11〜14や測距装置15等の車載のセンサや、操作者4が保持する携帯端末又はリモコンや、駐車場に設置されたセンサ等により検出する方法を例示できる。また、出庫方向の選択方法としては、右方向の出庫位置と操作者4との距離と、左方向の出庫位置と操作者4との距離とを比較し、距離が短い方向の出庫位置を選択する方法を例示できる。
また、遠隔操作により出庫させる自車両1の出庫位置を自動で設定する方法としては、図13及び図14に示すように、操作者4が自車両1に乗り込み易い位置に出庫位置を設定する方法を例示できる。操作者4が自車両1に乗り込み易い位置としては、図13に示すように、自車両1の運転席側のドアと壁5との間に操作者4が運転席に乗り込めるだけのスペースSを確保できる位置や、図14に示すように、自車両1の助手席側のドアと壁5との間に操作者4が助手席に乗り込めるだけのスペースSを確保できる位置を例示できる。
また、遠隔操作により出庫させる自車両1の出庫位置を自動で設定する方法としては、図15に示すように、駐車位置と出庫位置との間に他車両6が通行できるだけのスペースSを確保できる位置を例示できる。
また、図16に示すように、無人の駐車場において遠隔操作により出庫させる自車両1の出庫位置を自動で設定する方法としては、駐車場の基地局7からの指令に応じて出庫方向を設定する方法を例示できる。基地局7から指示される出庫方向としては、駐車場の出口8までの距離が短くなる方向や、他車両6の進行方向に従った方向等を例示できる。
図2に戻り、出庫開始位置設定部502は、出庫支援処理の開始時の位置(以下、出庫開始位置という)を設定して出庫経路生成部505に出力する。出庫開始位置設定部502は、例えば、メインスイッチ40が操作されると、その時点での自車両1の現在位置を現在位置推定部701から取得し、取得した現在位置を出庫開始位置に設定する。
通路幅推定部503は、出庫する通路の幅(以下、通路幅という)Xを推定して出庫経路生成部505に出力する。例えば、図17に示すように、駐車スペース9と壁5との間の通路に出庫する場合には、駐車スペース9の枠の位置をカメラ11〜14の画像情報から検出し、自車両1から壁5までの距離を測距装置15の測距情報やカメラ11〜14の画像情報から検出し、これらの検出情報に基づいて、駐車スペース9の枠と壁5との間の通路幅Xを推定すればよい。なお、駐車スペース9の位置に代えて駐車車両2の位置を検出し、駐車車両2と壁5との距離を通路幅Xとして推定してもよく、あるいは、自車両1と壁5との距離を通路幅Xとして推定してもよい。また、通路幅Xは、入庫時に測距装置15の測距情報やカメラ11〜14の画像情報に基づいて推定して記録してもよい。また、自車両1から壁5までの距離を測定するセンサとしては、ソナーセンサ、赤外線センサ、レーザーセンサ、レーダーセンサ、ステレオカメラ等を例示できる。さらに、通路幅Xを、カメラ11〜14や測距装置15の検出情報に基づいて推定することは必須ではなく、例えば、車外との通信、いわゆる路車間通信、車車間通信により、通路幅Xの情報を取得してもよい。ここで、路車間通信としては、駐車場の基地局と自車両1との間での通信を例示できる。
図2に戻り、周囲物体検出部504は、自車両1に隣接する駐車車両2を検出して出庫経路生成部505に出力する。図18に示すように、隣接の駐車車両2の検出方法としては、カメラ11〜14や測距装置15等の車載のセンサにより検出する方法を例示できる。車載のセンサとしては、ソナーセンサ、赤外線センサ、レーザーセンサ、レーダーセンサ、ステレオカメラ等を例示できる。ここで、隣接の駐車車両2の有無の判定条件としては、車載のセンサの検出範囲RDに入った物体と自車両1との距離が、閾値以下の場合に隣接の駐車車両2が有ると判定する判定条件を例示できる。この場合の閾値は、一般的な駐車場における駐車車両2の相互間の距離に基づいて設定すればよい。
図19に示すように、隣接の駐車車両2の検出方法としては、隣接の駐車枠の奥側の白線WLの検出状態から隣接の駐車車両2の有無を検出する方法を例示できる。ここで、隣接の駐車車両2の有無の判定条件としては、検出された白線WLの長さが閾値以下の場合に隣接の駐車車両2が有ると判定する判定条件を例示できる。この場合の閾値は、一般的な白線WLの長さと比較して若干短い長さに設定すればよい。
なお、隣接の駐車車両2の有無を車載のセンサを用いて検出することは必須ではなく、例えば、車外との通信、いわゆる路車間通信、車車間通信により、隣接の駐車車両2の有無の情報を取得してもよい。ここで、路車間通信としては、駐車場の基地局と自車両1との間での通信を例示できる。
図2に戻り、出庫経路生成部505は、出庫開始位置設定部502により設定された出庫開始位置から、出庫位置設定部501により設定された出庫位置までの経路(以下、出庫経路という)を生成して出庫経路追従制御部506と目標速度生成部507とに出力する。この出庫経路の生成処理では、隣接の駐車車両2の有無及び隣接の駐車車両2と自車両1との位置関係に応じて、出庫経路を算出する。
図20は、前向きで出庫する自車両1の出庫経路の生成処理を説明するための図であり、図21は、後向きで出庫する自車両1の出庫経路の生成処理を説明するための図である。図20に示すように、自車両1の隣に駐車車両等の隣接物体が存在し、隣接物体が存在する側に前向きで出庫する場合には、まず、直線的に前進(以下、直線移動という)し、その後、隣接物体と干渉しないように旋回して出庫する出庫経路を生成する。
図20に示す状況では、出庫経路生成部505は、下記(2)、(3)式を満たす出庫経路を生成する。
但し、Lは、出庫開始位置からの直線移動区間の距離(以下、直線移動距離という)であり、l
0は、出庫開始位置に位置する自車両1の後輪車軸から隣接物体の前端までの距離であり、l
1は、Lだけ前進した自車両1の後輪車軸から隣接物体の前端までの距離であり、wは、自車両1と隣接物体とのクリアランスであり、Rは、Lだけ前進した自車両1の後輪且つ内輪を基準とした旋回半径である。
図21に示すように、自車両1の両側に隣接車両等の隣接物体が存在し、一方の隣接物体の側に後向きで出庫する場合には、まず、直線的に後進(以下、直線移動という)し、その後、両側の隣接物体と干渉しないように旋回して出庫する出庫経路を生成する。かかる状況では、出庫経路生成部505は、上記(2)、(3)式を満たす後輪且つ内輪の経路と、上記(2)、下記(4)式を満たす前輪且つ外輪の経路とを算出し、出庫開始位置からの直線移動距離Lが長い方の経路を出庫経路として生成する。
但し、Tは、自車両1の車幅である。
ここで、直線移動距離Lを含む出庫経路を生成することは必須ではない。例えば、出庫開始位置から旋回を始めても隣接物体と干渉しない場合や、隣接物体が存在しない場合には、直線移動距離をL=0としてもよい。本実施形態では、出庫経路生成部505が、出庫開始位置に位置する自車両1の後輪車軸と隣接物体の前端との距離がl1未満である場合、及び隣接物体が検出されていない場合に、直線移動距離がL=0である出庫経路を生成する。但し、自車両1の隣のスペースが走行禁止エリアである場合や路面状態の悪いエリアである場合には、出庫経路生成部505は、隣接物体が存在する場合と同様に、直線移動距離Lを含む出庫経路を生成する。なお、路面状態の悪いエリアとしては、水溜り、泥、雪、氷、油等が存在するエリアを例示することができ、このようなエリアを通過しない出庫経路を生成することにより、車体の汚れやスリップによる出庫支援の精度低下を防止できる。
図22は、出庫経路の生成処理の手順を示すフローチャートであり、図23及び図24は、出庫経路の生成処理を説明するための図である。図22のフローチャートで示す出庫経路の生成処理は、メインスイッチ40が操作されて出庫支援の開始が指示されると開始されてステップS101に進む。
ステップS101において、出庫経路生成部505は、出庫開始位置に位置する自車両1の後輪車軸から、出庫する通路の奥側端部(壁や駐車枠等)までの距離(以下、奥行設定値という)を、カメラ11〜14の画像情報や測距装置15の測距情報に基づいて算出する。次に、ステップS102において、出庫経路生成部505は、出庫する通路に目標出庫ラインTLを設定する。ここで、目標出庫ラインTLとしては、出庫する通路の中心線(図23参照)や、出庫する通路を幅方向に2分した手前側又は奥側通路の中心線等を例示できる。なお、ステップS101をステップS102に先行して実行するのは必須ではなく、ステップS102をステップS101に先行して実行してもよい。
次に、ステップS103において、出庫経路生成部505は、周囲物体検出部504により隣接の駐車車両2が検出されたか否かを判定する。本ステップにおいて肯定判定がされた場合にはステップS104に進み、否定判定がされた場合にはステップS105に進む。ステップS104において、出庫経路生成部505は、前向き出庫の場合には上記(2)、(3)式に基づいて、後向き出庫の場合には、上記(2)〜(4)式に基づいて、直線移動距離Lを算出する。なお、自車両1の後輪車軸と隣接の駐車車両2の前端との位置関係によっては、直線移動距離がL=0になる場合もある。一方、ステップS105では、出庫経路生成部505は、直線移動距離をL=0に設定する。
ステップS104、S105の次に、ステップS106において、出庫経路生成部505は、前向き出庫の場合には上記(2)、(3)式に基づいて、後向き出庫の場合には、上記(2)〜(4)式に基づいて、旋回半径Rを算出し、ステップS104、S105で設定した直線移動距離Lと本ステップで算出した旋回半径Rとに応じた出庫経路を生成する。
ここで、図23に示すように、隣接する駐車車両2が存在する場合には、旋回する自車両1と隣接の駐車車両2との間に乗員が違和感を感じない程度のクリアランスができるように、直線移動距離Lと旋回半径Rとが設定される。そのため、隣接の駐車車両2が存在する場合には、自車両1が隣接の駐車スペース9の外を通過するような出庫経路が生成される。それに対して、図24に示すように、隣接の駐車車両2が存在しない場合には、自車両1が隣接の駐車スペース9の中を通過するような出庫経路が生成される。
図22に戻り、ステップS107において、出庫経路生成部505は、ステップS106において生成された出庫経路に沿って自車両1を出庫させた場合に目標出庫ラインTLに到達できるか否かを判定する。本ステップにおいて肯定判定がされた場合にはステップS108に進み、否定判定がされた場合にはステップS109に進む。
ステップS108では、出庫経路生成部505が、ステップS106において生成された出庫経路に沿って自車両1を出庫させた場合に、ステップS101において設定した奥行設定値に対応する通路幅内で自車両1が進行できるか否かを判定する。本ステップにおいて肯定判定がされた場合には処理を終了し、否定判定がされた場合にはステップS109に進む。
ステップS109では、出庫経路生成部505が、切り返しを含む出庫経路を生成する。その後、ステップS107に戻り、ステップS107〜S109が繰り返し実行される。ここで、ステップS107又はステップS108において再度否定判定がされた場合には、切り返し回数が複数回の出庫経路が生成されることになる。
以上説明したように、本実施形態に係る出庫支援方法では、隣接の駐車車両2が存在する場合には、隣接の駐車車両2の位置と、出庫する通路における車両の通行方向とに応じて、目標出庫位置を設定する(図3及び図4参照)。例えば、上述したように、右側に隣接の駐車車両2が存在し、出庫する通路が右側通行であり、前向きで出庫する場合には、左側に出庫位置を設定する。これにより、出庫開始位置から目標出庫位置まで緩やかに旋回する出庫経路を生成することが可能になり、出庫時に乗員に与える違和感を低減できる。
また、本実施形態に係る出庫支援方法では、自車両1の出庫開始位置に隣接した駐車スペース9に隣接の駐車車両2が存在するか否かを判定し、隣接の駐車車両2が存在しない場合には、隣接した駐車スペース9を含む出庫経路を生成する(図24参照)。これにより、例えば、駐車位置への駐車過程において経路を記録し、その記録した経路を出庫経路とする場合や、予め出庫経路を設定する場合等の隣接の駐車車両2の有無にかかわらず出庫経路を生成する場合と比較して、出庫経路の選択肢を広げることができる。
ここで、隣接の駐車スペース9を含む出庫経路を生成する場合には、隣接の駐車スペース9を含まない出庫経路を生成する場合と比較して、出庫開始位置からの直線移動距離Lを小さくしたり、旋回半径を小さくしたりすることが可能になる。これにより、目標出庫ラインTLに到達することが容易になり、切り返し回数を低減したり、出庫時間を短縮したりすることが可能になる。
ところで、空いたスペースをカメラの画像情報等から検出し、その空いたスペースを通る出庫経路を生成する方法が考えられる。この方法において空いたスペースをカメラの画像情報から検出する場合には、昼間の強い日差しや暗い影、夜間の照明不足、逆行やライトの反射等が障害となることから、屋外では検出精度を確保することが難しく、地下や屋内に限られる。従って、周囲環境によっては、空いたスペースの詳細(例えば、幅、長さ、白線検知有無など)を見積もること、空いたスペースを精度良く見積ることが難しく、出庫経路を精度良く生成することができない場合がある。
それに対して、本実施形態に係る出庫支援方法では、隣接の駐車車両2の有無をカメラの画像情報や測距装置15の測距情報に基づいて検出するところ、隣接の駐車車両2の有無の検出精度を確保することは、周囲の明るさ等にかかわらず、即ち、屋内であるか屋外であるかにかかわらず容易である。つまり、隣接の駐車車両2の有無の検出は、空いたスペースの詳細を見積もることや、空いたスペースを精度良く見積ることに比べると、容易である。従って、周囲環境にかかわらず、出庫経路を生成するスペースを精度良く見積もることができ、出庫経路を精度良く生成することができる。
また、本実施形態に係る出庫支援方法では、隣接の駐車車両2が存在する場合、出庫開始位置から直線的に移動する直線移動区間と、直線移動区間の終点から隣接の駐車車両2と干渉しないように旋回する旋回区間とを含む出庫経路を生成する(図23参照)。ここで、直線移動区間の距離Lを、隣接の駐車車両2と自車両1との間隔Wに応じて設定する(図20及び図21参照)。これにより、隣接の駐車車両2が存在する場合に、隣接の駐車車両2と干渉しない出庫経路を生成する一方、隣接の駐車車両2が存在しない場合には、隣接の駐車スペース9を含む出庫経路を生成することが可能になる。
また、本実施形態に係る出庫支援方法では、隣接の駐車車両2が存在しない場合には、直線移動区間の距離Lを0に設定する。これにより、隣接の駐車車両2が存在しない場合に隣接の駐車スペース9を含む出庫経路を生成することができる。
また、本実施形態に係る出庫支援方法では、目標駐車位置を指定する操作者の指令を受け付け、受け付けた指令に応じて、目標駐車位置を設定する(図10及び図11参照)。例えば、上述したように、リモコンキー3のボタン3L、3Rによる操作者の指令を受け付けたり、操作者4の動作を検出することで操作者4の指令を受け付けたりする。これにより、操作者4の要望に応じた位置への出庫が可能になり、出庫時に操作者4に与える違和感を低減できる。
また、本実施形態に係る出庫支援方法では、所定の自動設定条件に応じて、目標出庫位置を設定する(図5〜図9、図12〜図16参照)。例えば、出庫する通路の通行方向と出庫方向とが一致するように目標出庫位置を設定したり(図5参照)、ナビゲーションシステム70において探索された目標地点への経路Rの方向と出庫方向とが一致するように目標出庫位置を設定したり(図6参照)、切り返し回数が少なくなる方向に目標出庫位置を設定したり(図9参照)する。これにより、出庫時に乗員に与える違和感を低減できる。
また、本実施形態に係る出庫支援方法では、自車両1を遠隔操作する操作者4の位置に応じて、目標出庫位置を設定する(図12〜図14参照)。例えば、操作者4の近傍に目標駐車位置を設定したり(図12参照)、自車両1の運転席側のドアと壁5との間に操作者4が運転席に乗り込めるだけのスペースSを確保できる位置に目標駐車位置を設定したり(図13参照)、自車両1の助手席側のドアと壁5との間に操作者4が助手席に乗り込めるだけのスペースSを確保できる位置に目標駐車位置を設定したり(図14参照)する。これにより、遠隔操作する操作者4に与える違和感を低減できる。
図25は、他の実施例に係る出庫経路の生成処理の手順を示すフローチャートである。図25のフローチャートで示す出庫経路の生成処理は、メインスイッチ40が操作されて出庫支援の開始が指示されると開始されて図22に示すフローチャートのステップS101〜S105が実行される。
ステップS104及びステップS105の次に、ステップS110において、出庫経路生成部505は、直線移動距離Lを変更する。本ステップでは、ステップS104又はステップS105において設定した直線移動距離Lを延長する。次に、ステップS106において、出庫経路生成部505は、前向き出庫の場合には上記(2)、(3)式に基づいて、後向き出庫の場合には、上記(2)〜(4)式に基づいて、旋回半径Rを算出し、ステップS110で設定した直線移動距離Lと本ステップで算出した旋回半径Rとに応じた出庫経路を生成する。
次に、図22に示すフローチャートのステップS107〜S109が実行される。ステップS107において目標出庫ラインに到達可能であると判定され、さらに、ステップS108において奥行設定値の範囲内で進行可能であると判定された場合には、ステップS111において、出庫経路生成部505は、生成した出庫経路が所定の判定条件を満たすか否かを判定する。本ステップにおいて否定判定がされた場合にはステップS110に戻り、再度、直線移動距離Lが変更され、ステップS106〜S109、S111が実行される。それに対して、本ステップにおいて肯定判定がされた場合には処理を終了する。
ここで、ステップS110における直線移動距離Lの変更処理は、通路幅や目標出庫位置に応じて実行される。例えば、通路幅が広くなるほど、出庫開始位置から目標出庫位置までの距離が長くなるほど、直線移動距離Lを長くする。
ステップS111の所定の判定条件としては、出庫経路の総距離が所定距離以下であるか否か、出庫時間が所定時間以下であるか否か等の判定条件を例示できる。この判定条件における所定距離又は所定時間は、乗員又は遠隔操作する操作者が違和感を感じない程度の長さに設定することを例示できる。また、ステップS110、S106〜S109、S111のループを必ず複数回繰り返し、その間に生成される複数の出庫経路の中から、距離や時間等の条件に基づいて最適な出庫経路を選択することを例示できる。この場合におけるステップS111の所定の判定条件としては、生成された複数の出庫経路の中から、距離や時間等の評価点の合算値が最も高くなる出庫経路を選択するという判定条件を例示できる。
以上説明したように、本実施形態に係る出庫支援方法では、直線移動距離Lを、通路幅や目標出庫位置等の条件に応じて設定し、設定した直線移動距離Lを含み、所定の判定条件を満たす出庫経路を生成する。これにより、乗員や操作者の感覚に対して適合的な出庫経路を生成することが可能になる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態において開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、上述の実施形態では、隣接の駐車車両2が存在する場合には、隣接の駐車スペース9を含まない出庫経路を生成したが、これは必須ではなく、隣接の駐車車両2に干渉することなく旋回できるのであれば、隣接の駐車スペース9を含む出庫経路を生成してもよい。