以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
なお、以下においては、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、Z方向と示す。また、X方向とY方向とによって規定される平面をXY平面、X方向とZ方向とによって規定される平面をXZ平面、Y方向とZ方向とによって規定される平面をYZ平面と示す。
(第1実施形態)
図1〜図12を用いて、本実施形態の電力変換装置に関して説明する。本実施形態では、一例として、インバータを含む電力変換装置を採用している。
電力変換装置100は、複数のスイッチング素子3と複数のスイッチング素子3を冷却するための水路が形成された冷却器30とを有するパワーモジュール1、及び平滑コンデンサ5を備えている。複数のスイッチング素子3は、インバータを構成するための素子である。よって、パワーモジュール1は、インバータと、冷却器30とを含んでいると言える。平滑コンデンサ5は、特許請求の範囲におけるコンデンサに相当する。なお、図1、図3、図6では、平滑コンデンサ5の外形を破線で図示している。また、図3では、パワーモジュール1の外形を破線で図示している。
電力変換装置100は、モータジェネレータ210と電気的に接続されており、モータジェネレータ210を駆動する。本実施形態では、バッテリ300から供給される直流電圧を交流電圧(三相交流)に変換し、この三相交流でモータジェネレータ210を駆動する電力変換装置100を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、コンバータで昇圧された直流電圧を交流電圧に変換する電力変換装置100であっても採用できる。
図1に示すように、電力変換装置100は、モータジェネレータ210とともにハウジング10、20、211に収容されている。つまり、電力変換装置100は、回転体としてのモータジェネレータ210を含むモータ部200と一体的に構成されている。また、電力変換装置100は、モータ部200に対して積層配置されている。本実施形態では、モータ部200に対して、Y方向に配置された電力変換装置100を採用している。モータジェネレータ210は、特許請求の範囲における構造体に相当する。
例えば、電力変換装置100は、モータジェネレータ210をともに車両に搭載することができる。この場合、モータジェネレータ210は、車両の走行時に駆動輪を駆動させる駆動源として用いられるとともに、ブレーキを踏んだりアクセルを緩めたりする減速時に駆動輪の回転力で回転して回生エネルギーを発生させる発電機として用いられる。
ハウジングは、電力変換装置100が取り付けられたメインケース10と、メインケース10の開口を塞ぐカバー20と、モータジェネレータ210を収容するモータハウジング211とを含んでいる。
図1、図2に示すように、メインケース10は、電力変換装置100の周囲を囲う側壁を有し、両端が開口した筒形状をなしている。本実施形態では、Y方向の両端が開口したメインケース10を採用している。
メインケース10は、一方の開口端に第1フランジ部11が設けられており、他方の開口端に第2フランジ部12が設けられている。メインケース10は、第1フランジ部11とモータハウジング211のモータフランジ部212とが対向した状態で配置され、第1ボルトb1にてモータハウジング211に取り付けられている。詳述すると、メインケース10は、第1フランジ部11の対向面11aが、モータフランジ部212と対向した状態で配置されている。
本実施形態では、一例として、第1フランジ部11に第1ボルトb1を挿入可能な貫通穴h1が設けられており、モータフランジ部212における貫通穴h1に対向する位置に雌ねじが設けられている例を採用している。そして、メインケース10は、第1ボルトb1の一部が第1フランジ部11の貫通穴h1に配置され、且つ、第1ボルトb1の先端がモータフランジ部212の雌ねじにねじ止めされることで、モータハウジング211に取り付けられている。なお、ここで説明した、メインケース10とモータハウジング211との取り付け構造は、一例に過ぎない。
メインケース10は、第2フランジ部12とカバー20のカバーフランジ部21とが対向した状態で配置され、第2ボルトb2にてカバー20が取り付けられている。本実施形態では、一例として、カバーフランジ部21に第2ボルトb2を挿入可能な貫通穴が設けられており、第2フランジ部12における貫通穴に対向する位置に雌ねじが設けられている例を採用している。そして、メインケース10は、第2ボルトb2の一部がカバーフランジ部21の貫通穴に配置され、且つ、第2ボルトb2の先端が第2フランジ部12の雌ねじにねじ止めされることで、カバー20が取り付けられている。なお、ここで説明した、メインケース10とカバー20との取り付け構造は、一例に過ぎない。
図2、図3に示すように、カバー20には、低圧信号コネクタ60が取り付けられている。低圧信号コネクタ60は、電力変換装置100の各スイッチング素子3(スイッチング部4a)のゲートに接続された各信号用端子2aと、電力変換装置100の外部に設けられた制御装置とを電気的に接続するためのコネクタである。低圧信号コネクタ60は、例えば、各信号用端子2aと個別に電気的に接続された外部端子と、これら外部端子を囲うコネクタケースとを含んでいる。なお、本実施形態では、図6に示すように、信号用端子2aが回路基板6と電気的に接続されている例を採用している。よって、各信号用端子2aは、回路基板6などを介して制御装置と電気的に接続されている。
さらに、メインケース10には、側壁における複数箇所に開口が設けられている。ここでは、三箇所に開口が設けられている例を採用している。
一つ目の開口は、平滑コンデンサ5とモータジェネレータ210とを電気的に接続している第8端子t8に対向する位置に設けられている。図1に示すように、メインケース10は、この開口を塞ぐサービスカバー13が取り付けられている。なお、第8端子t8は、モータ端子と言い換えることもできる。また、第8端子t8は、後程説明するモータ配線L1の一部である。
二つ目の開口は、高圧入力コネクタ40が取り付けられている。よって、メインケース10は、開口を塞ぐように高圧入力コネクタ40が取り付けられている。高圧入力コネクタ40は、電力変換装置100の第1端子t1及び第2端子t2と、電力変換装置100の外部に設けられたバッテリ300とを電気的に接続するためのコネクタである。高圧入力コネクタ40は、例えば、第1端子t1と電気的及び機械的に接続された外部端子と、第2端子t2と電気的及び機械的に接続された外部端子と、これら外部端子を囲うコネクタケースとを含んでいる。
三つ目の開口は、冷却器30が取り付けられている。よって、メインケース10は、開口を塞ぐように冷却器30が取り付けられている。図2に示すように、本実施形態では、一例として、第3ボルトb3にてメインケース10に冷却器30が取り付けられている例を採用している。
図6に示すように、冷却器30は、メインケース10の開口よりも広い冷却器フランジ部33を有している。この冷却器フランジ部33には、第3ボルトb3を挿入可能な貫通穴が設けられている。冷却器30は、冷却器フランジ部33がメインケース10の側壁に対向配置され、第3ボルトb3によってメインケース10に取り付けられている。なお、冷却器30に関しては、後程詳しく説明する。
図1に示すように、モータ部200は、モータジェネレータ210と、モータハウジング211とを含んでいる。モータハウジング211は、モータジェネレータ210を収容する収容空間が形成されており、一端が開口している。モータハウジング211は、開口端に上記モータフランジ部212が設けられている。モータジェネレータ210は、外形が曲面形状をなしている。よって、モータジェネレータ210は、XY平面において球状をなしている。
なお、本実施形態では、構造体の一例として、外形が曲面形状のモータジェネレータ210を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されない。構造体は、部分的に凸状を有したものや、部分的に曲面形状を有したものであっても採用できる。また、構造体は、ギアや車軸などであっても採用できる。
ここで、図4を用いて、電力変換装置100の回路構成の一例に関して説明する。図4に示すように、電力変換装置100は、モータジェネレータ210に加えてバッテリ300と電気的に接続されている。電力変換装置100は、バッテリ300のプラス端子に第1端子t1が接続され、バッテリ300のマイナス端子に第2端子t2が接続されている。また、電力変換装置100は、第1端子t1が高電位ラインに接続され、第2端子t2が低電位ラインに接続されていると言える。
電力変換装置100は、モータジェネレータ210の各相に対応して、三つの半導体装置2を備えている。各半導体装置2は、並列に接続されている。また、各半導体装置2は、二つのスイッチング素子3が直列接続されている。そして、各スイッチング素子3は、スイッチング部4aと、スイッチング部4aに逆並列に接続された還流ダイオード4bを含んでいる。なお、スイッチング素子3は、スイッチング部4aとしてIGBTやMOSFETなどを採用できる。また、スイッチング素子3は、RC−IGBTを採用することもできる。
二つのスイッチング素子3は、上アーム素子と下アーム素子と言うことができる。各半導体装置2は、上アーム素子におけるスイッチング部4aのコレクタが高電位ラインに接続されており、下アーム素子におけるスイッチング部4aのエミッタが低電位ラインに接続されている。各半導体装置2は、高電位ラインに接続された第5端子t5と、低電位ラインに接続された第6端子t6とを含んでいる。
また、各半導体装置2は、上アーム素子におけるスイッチング部4aのエミッタと下アーム素子におけるスイッチング部4aのコレクタとが接続されている。各半導体装置2は、上アーム素子におけるスイッチング部4aのエミッタと下アーム素子におけるスイッチング部4aのコレクタとが接続された第7端子t7が、第8端子t8と接続されている。各第8端子t8は、モータ配線L1を介してモータジェネレータ210と接続されている。
平滑コンデンサ5は、一方の端子である第3端子t3が高電位ラインに接続され、他方の端子である第4端子t4が低電位ラインに接続されており、各半導体装置2と並列に接続されている。なお、電力変換装置100の回路構成は、上記に限定されない。
ここで、図5、図6、図7を用いて、パワーモジュール1の構造に関して説明する。図5、図6などに示すように、パワーモジュール1は、冷却器30に対して、各半導体装置2が取り付けられている。各スイッチング素子3は、動作することで発熱するが、冷却器30で冷却することができる。なお、図5は、モータ部200側からの見た平面図である。
冷却器30は、冷却用パイプ31や連結管32などを備えており、例えば、特開2018−101666号公報に記載されたものなどを採用することができる。冷却用パイプ31及び連結管32は、冷媒が流れる水路が形成されている。冷却用パイプ31は、冷媒の出入り口であり、冷却器フランジ部33の一部に設けられている。連結管32は、各半導体装置2を冷却する部位を連結する部位である。
パワーモジュール1は、バネ部70からX方向に押圧された状態で保持されている。このバネ部70は、パワーモジュール1に対して圧縮荷重を与える加圧部材と言い換えることもできる。本実施形態では、各半導体装置2を両面から冷却する冷却器30を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されない。
図6、図7に示すように、各半導体装置2は、例えば、二つのスイッチング素子3とヒートシンクを兼ねた端子とが樹脂部材で封止されて一体化されたものを採用できるが、これに限定されない。各半導体装置2は、第6端子t6が第3バスバ7cを介して平滑コンデンサ5と接続され、且つ、第5端子t5が第2バスバ7bを介して平滑コンデンサ5と接続されている。
信号用端子2aは、各スイッチング部4aのゲートに接続されている。各スイッチング部4aは、信号用端子2aを介して回路基板6に接続されている。詳述すると、信号用端子2aは、はんだなどの導電性の接続部材などを介して、回路基板6の配線と電気的に接続されている。
なお、図5、図7に示すように、本実施形態では、メインケース10に対して、パワーモジュール1と平滑コンデンサ5に加えて、電流センサ8が取り付けられている例を採用する。各半導体装置2は、第7端子t7が第1バスバ7aを介して電流センサ8と接続されている。
ここで、図8〜図12を用いて、平滑コンデンサ5の構造に関して説明する。図8などに示すように、平滑コンデンサ5は、複数のコンデンサ素子5a〜5dを含んでいる。各コンデンサ素子5a〜5dは、例えば、フィルムコンデンサを採用することができる。
本実施形態では、第1コンデンサ素子5a、第2コンデンサ素子5b、第3コンデンサ素子5c、第4コンデンサ素子5dの四つのコンデンサ素子を備えた平滑コンデンサ5を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、複数のコンデンサ素子を備えていればよい。また、平滑コンデンサ5は、後程説明する基部51と突出部52とを構成するために、三つ以上のコンデンサ素子を備えていると好ましい。図8では、平滑コンデンサ5を簡略化して図示している。
なお、符号CLは、平滑コンデンサ5の中心線であり、平滑コンデンサ5の中心を通るY方向に沿う仮想直線である。また、Y方向は、モータジェネレータ210と平滑コンデンサ5の対向方向と一致している。対向方向は、並び方向と言い換えることもできる。また、平滑コンデンサ5の中心とは、基部51のX方向における中心である。平滑コンデンサ5の中心は、コンデンサケース53のX方向における中心や、平滑コンデンサ5の長手方向における中心とも言える。また、中心からずれた位置とは、中心線CLに対してX方向にずれた位置と同意である。
平滑コンデンサ5は、複数のコンデンサ素子5a〜5dがコンデンサケース53に収容されて一体化されている。コンデンサケース53は、図9などに示すように、複数のコンデンサ素子5a〜5dを収容する収容空間、及びメインケース10への固定部54を備えている。
複数のコンデンサ素子5a〜5dは、コンデンサケース53の収容空間に配置された状態で、エポキシなどの樹脂で封止されている。よって、平滑コンデンサ5は、コンデンサケース53と各コンデンサ素子5a〜5dとの隙間、及び各コンデンサ素子5a〜5dの隙間に樹脂が設けられている。このため、各コンデンサ素子5a〜5dは、樹脂によって保護されており、且つ、コンデンサケース53内で移動したりすることを抑制されている。
なお、図9は、コンデンサケース53の開口側からの正面図である。よって、図9では、樹脂で覆われている各コンデンサ素子5a〜5dを破線で示した透視図としている。
また、コンデンサケース53は、例えば、樹脂を主成分として構成されている。このため、固定部54は、強度を向上させるために金属製のカラー55が設けられている。
図8、図9、図10、図12などに示すように、複数のコンデンサ素子5a〜5dは、一部が突出するように配置されている。詳述すると、平滑コンデンサ5は、第1〜第3コンデンサ素子5a〜5cがX方向に沿って直線状に配置され、この直線状に配置された部位に対して突出するように、第4コンデンサ素子5dがY方向に沿って配置されている。つまり、平滑コンデンサ5は、複数のコンデンサ素子の一部である第1〜第3コンデンサ素子5a〜5cが配置された基部51と、複数のコンデンサ素子の一部である第4コンデンサ素子5dが配置された突出部52とを有していると言える。
また、本実施形態では、第4コンデンサ素子5dが第3コンデンサ素子5cに対向する位置に配置されることで、平滑コンデンサ5の中心からずれた位置に基部51からモータジェネレータ210側に突出した突出部52が形成されている。このため、平滑コンデンサ5は、XY平面において、L字形状をなしているとも言える。しかしながら、本開示は、これに限定されず、例えば、第2コンデンサ素子5bと第3コンデンサ素子5cとの間から突出するように突出部52が形成されていてもよい。
本実施形態では、一つの突出部52を備えた平滑コンデンサ5を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず複数の突出部52を備えた平滑コンデンサ5であっても採用できる。
また、図9〜図12に示すように、平滑コンデンサ5は、バッテリ300やパワーモジュール1などを電気的に接続するための負極バスバ56、正極バスバ57、及び、負極バスバ56と正極バスバ57とを絶縁するための絶縁プレート58などを備えている。絶縁プレート58は、負極バスバ56と正極バスバ57との間に配置されている。
なお、各バスバ56、57と、各コンデンサ素子5a〜5dとの接続部は、各コンデンサ素子5a〜5dとともに樹脂で封止されている。このため、各バスバ56、57と、各コンデンサ素子5a〜5dとの接続部は、樹脂によって保護されており、且つ、接続強度が向上されている。
負極バスバ56と正極バスバ57は、例えば銅やアルミニウムなどを主成分として構成されたものを採用できる。このため、負極バスバ56と正極バスバ57は、コンデンサケース53やコンデンサケース53に設けられている樹脂よりも、熱伝導が高い部位と言える。
図11に示すように、第2コンデンサ素子5bは、第2正極電極5b1と第2負極電極5b2とを備えており、第2正極電極5b1と第2負極電極5b2とがZ方向において対向し、平行に設けられている。また、図12に示すように、第3コンデンサ素子5cは、第3正極電極5c1と第3負極電極5c2とを備えており、第3正極電極5c1と第3負極電極5c2とがZ方向において対向し、平行に設けられている。第4コンデンサ素子5dは、第4正極電極5d1と第4負極電極5d2とを備えており、第4正極電極5d1と第4負極電極5d2とがZ方向において対向し、平行に設けられている。このように、各正極電極5b1〜5d1と各負極電極5b2〜5d2は、平滑コンデンサ5のモータジェネレータ210との対向方向に沿って設けられている。なお、第1コンデンサ素子5aに関しても同様に、正極電極と負極電極を備えている。
図11、図12などに示すように、負極バスバ56は、複数のコンデンサ素子5a〜5dに共通に設けられており、第2負極電極5b2、第3負極電極5c2、第4負極電極5d2、及び第1コンデンサ素子5aの負極電極に共通に接続されている。同様に、正極バスバ57は、複数のコンデンサ素子5a〜5dに共通に設けられており、第2正極電極5b1、第3正極電極5c1、第4正極電極5d1、及び第1コンデンサ素子5aの正極電極に共通に接続されている。
さらに、図11、図12に示すように、負極バスバ56は、各コンデンサ素子5a〜5dとモータジェネレータ210との間、及び、パワーモジュール1とモータジェネレータ210との間に配置されている。詳述すると、負極バスバ56は、各負極電極5b2〜5d2と接続される接続部と、各コンデンサ素子5a〜5dとモータジェネレータ210との対向領域に配置される対向領域部と、コンデンサケース53の外部に配置される外部接続部とを含んでいる。そして、負極バスバ56は、接続部と、接続部の一端に設けられた対向領域部と、対向領域部における接続部と反対側の端部に設けられた外部接続部と、が一体的に構成されている。なお、本実施形態では、一例として、対向領域と外部接続部との間に、正極電極に対向する部位を含んだ負極バスバ56を採用している。
例えば、負極バスバ56は、対向領域部が各コンデンサ素子5a〜5dの底面の全域と対向する大きさであると好ましい。また、負極バスバ56は、対向領域部がXZ平面に沿う平板形状をなしたものを採用することができる。なお、各コンデンサ素子5a〜5dの底面は、モータジェネレータ210と対向側の面である。しかしながら、本開示は、これに限定されない。
このため、電力変換装置100は、モータジェネレータ210から発せられた熱が負極バスバ56に伝達される。この負極バスバ56は、冷却器30を備えたパワーモジュール1に機械的に接続されている。よって、電力変換装置100は、モータジェネレータ210から発せられた熱を負極バスバ56から冷却器30を備えたパワーモジュール1に移動させることができる。
これによって、電力変換装置100は、モータジェネレータ210からの熱によって各コンデンサ素子5a〜5dの温度が上昇することを抑制することができる。言い換えると、電力変換装置100は、モータジェネレータ210からの熱を各コンデンサ素子5a〜5dが受熱することを抑制できる。
なお、本開示は、負極バスバ56ではなく正極バスバ57が、各コンデンサ素子5a〜5dとモータジェネレータ210との間、及び、パワーモジュール1とモータジェネレータ210との間に配置されていてもよい。
本開示は、各コンデンサ素子5a〜5dの配置方向は上記に限定されない。例えば、各コンデンサ素子5a〜5dは、Y方向において、各正極電極5b1〜5d1と各負極電極5b2〜5d2とが対向するように配置されていてもよい(比較構成)。しかしながら、図11、図12に示すように、通常、各バスバ56、57は、各コンデンサ素子5a〜5dの電極の全面ではなく一部に、はんだなどの導電性部材によって機械的に接続される。よって、この場合、各コンデンサ素子5a〜5dは、モータジェネレータ210との間に、正極バスバ57の負極バスバ56のいずれも配置されない領域が生じてしまう。
これに対して、本実施形態の各コンデンサ素子5a〜5dは、Z方向において、各正極電極5b1〜5d1と各負極電極5b2〜5d2とが対向するように配置されていると言える。また、電力変換装置100は、各正極電極5b1〜5d1がパワーモジュール1と対向するように各コンデンサ素子5a〜5dが配置されている。
このようにすることで、電力変換装置100は、各負極電極5b2〜5d2の一部のみに負極バスバ56が接続されたとしても、各コンデンサ素子5a〜5dにおけるモータジェネレータ210との対向面の全域に、負極バスバ56を配置しやすくなる。よって、電力変換装置100は、上記比較構成よりも、モータジェネレータ210からの熱を各コンデンサ素子5a〜5dが受熱することを抑制できる。
なお、本実施形態では、各正極電極5b1〜5d1と各負極電極5b2〜5d2との位置関係が逆であってもよい。この場合、複数の負極電極5b2〜5d2の一部がパワーモジュール1と対向配置され、各コンデンサ素子5a〜5dとモータジェネレータ210との間に正極バスバ57が配置される。
このように構成された平滑コンデンサ5は、図1、図10、図11に示すように、モータジェネレータ210に対向配置される。電力変換装置100は、モータジェネレータ210上に配置した場合、モータジェネレータ210が曲面形状を有しているため、モータジェネレータ210との間に三角隙間s1が形成されてしまう。この三角隙間s1は、何も配置されていない場合、デッドスペースとも言える。
例えば、三角隙間s1は、対向面11aに沿う仮想平面(XZ平面)とモータジェネレータ210との間などに形成される空間である。または、三角隙間s1は、モータジェネレータ210における電力変換装置100と最も近い部位(Y方向の頂部)を通るXZ平面とモータジェネレータ210の曲面との間などに形成される空間である。
平滑コンデンサ5は、突出部52が三角隙間s1に配置されるように、モータジェネレータ210上に配置される。言い換えると、平滑コンデンサ5は、基部51と突出部52とがモータジェネレータ210と対向配置され、且つ、突出部52から基部51にかけて凹んだ空間にモータジェネレータ210の一部が位置するように配置されている。よって、平滑コンデンサ5は、対向面11aに沿う仮想平面や、モータジェネレータ210におけるY方向の頂部を通るXZ平面よりもモータジェネレータ210側に一部が配置される。なお、平滑コンデンサ5は、モータジェネレータ210の外形に対応して、突出部52が設けられているとも言える。
特に、本実施形態では、突出部52が冷却用パイプ31(冷却器フランジ部33)の近傍に配置された例を採用している。平滑コンデンサ5は、突出部52が設けられた端部の方が、突出部52が設けられていない端部よりも冷却用パイプ31に近くに設けられている。
また、図3、図5、図6に示すように、パワーモジュール1と平滑コンデンサ5とは、対向配置されている。本実施形態では、パワーモジュール1と平滑コンデンサ5とがZ方向に並んで配置されている例を採用している。言い換えると、パワーモジュール1と平滑コンデンサ5とは、XZ平面においてZ方向に隣り合って配置されている。また、パワーモジュール1と平滑コンデンサ5とは、モータジェネレータ210と平滑コンデンサ5の対向方向に対して交差する方向において対向しているとも言える。
そして、パワーモジュール1は、平滑コンデンサ5の中心よりも突出部52側に偏って配置されている。つまり、パワーモジュール1は、中心線CLを基準として、突出部52が設けられている方に偏って配置されている。よって、パワーモジュール1は、基部51の一部と対向することなく、平滑コンデンサ5に対向配置されている。
さらに、図6に示すように、パワーモジュール1は、突出部52に対向配置されている。パワーモジュール1は、突出部52の少なくとも一部と対向していればよい。よって、パワーモジュール1は、突出部52のパワーモジュール1が配置されている側の面の全域と対向していてもよい。
なお、本実施形態では、第3ボルトb3でパワーモジュール1(冷却器30)をメインケース10に取り付けているため、ボルトで取り付けない場合よりも、パワーモジュール1のメインケース10に対する取付部を大型化することができる。よって、パワーモジュール1は、ボルトで取り付けない場合よりも、取付部のY方向及びZ方向における長さを長くすることでき、YZ平面における断面積を広くすることができる。また、上記のように、本実施形態では、突出部52を冷却器フランジ部33の近傍に配置している。従って、本実施形態では、パワーモジュール1を突出部52に対向配置しやすい。言い換えると、本実施形態は、パワーモジュール1と突出部52との対向面積を広くしやすい。
このため、パワーモジュール1は、中心線CLを基準として、突出部52が設けられていない側よりも、突出部52が設けられている側の方が、平滑コンデンサ5との対向面積が広くなっている。また、これによって、電力変換装置100は、パワーモジュール1の近傍に、コンデンサ素子を多く配置することができるとも言える。言い換えると、電力変換装置100は、パワーモジュール1の近傍における静電容量を大きくすることができる。
以上のように、電力変換装置100は、パワーモジュール1が平滑コンデンサ5の中心よりも突出部52側に偏って配置されているため、パワーモジュール1が基部51の一部と対向することなく配置されている。このため、電力変換装置100は、平滑コンデンサ5におけるパワーモジュール1が対向配置されていない部位の発熱を抑制することができる。
また、電力変換装置100は、基部51と突出部52とが設けられた部位の方が、基部51だけの部位よりも、コンデンサ素子が配置されている領域が広い。このため、電力変換装置100は、基部51と突出部52とが設けられた部位の方が、基部51だけの部位よりも静電容量が大きい。よって、電力変換装置100は、突出部52から遠い位置の第1コンデンサ素子5aよりも、突出部52の第4コンデンサ素子5dにリプル電流が流れやすくなるが、突出部52は静電容量が大きいため発熱を低減できる。加えて、電力変換装置100は、冷却器30を有したパワーモジュール1が突出部52側に偏って配置され、突出部52と対向配置されているため、突出部52を冷却しやすく、平滑コンデンサ5の発熱を低減することができる。
また、電力変換装置100は、平滑コンデンサ5がモータジェネレータ210と対向配置され、且つ、突出部52から基部51にかけて凹んだ空間にモータジェネレータ210の一部が位置するように配置されている。このため、電力変換装置100は、平滑コンデンサ5とモータジェネレータ210との間に三角隙間s1が生じることを抑制できる。言い換えると、電力変換装置100は、三角隙間s1を有効活用することができる。
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本開示のその他の形態として、第2〜第9実施形態に関して説明する。上記実施形態及び第2〜第9実施形態は、それぞれ単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。本開示は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
(第2実施形態)
図13、図14、図15を用いて、第2実施形態の電力変換装置101に関して説明する。電力変換装置101は、電力変換装置100と同様の箇所が多い。ここでは、電力変換装置101における電力変換装置100と異なる点を中心に説明する。電力変換装置101は、第8端子t8の位置、及び放電抵抗9を備えている点が電力変換装置100と異なる。その他の点は、電力変換装置100と同様である。
図13に示すように、電力変換装置101は、平滑コンデンサ5に並列接続された放電抵抗9を備えている。放電抵抗9は、一方の端子が高電位ラインに接続され、他方の端子が低電位ラインに接続されている。図14に示すように、放電抵抗9は、例えば、高圧入力コネクタ40の近傍に配置され、第1端子t1及び第2端子t2とワイヤなどで接続されている。
また、図15に示すように、放電抵抗9は、少なくとも一部が基部51よりもモータジェネレータ210側に設けられており、突出部52との間に、モータジェネレータ210の一部が位置するように配置されている。つまり、放電抵抗9は、突出部52が配置された三角隙間s1とは異なる三角隙間s1に一部が配置されている。また、電力変換装置101は、モータジェネレータ210を基準として一方側の三角隙間s1と、他方側の三角隙間s1のそれぞれに、突出部52と放電抵抗9が配置されているとも言える。
これによって、電力変換装置101は、三角隙間s1を有効に活用することができる。さらに、電力変換装置101は、平滑コンデンサ5の突出部52側における放電抵抗9からの受熱を抑制することができる。
さらに、図15に示すように、第8端子t8は、少なくとも一部が基部51よりもモータジェネレータ210側に設けられており、突出部52との間に、モータジェネレータ210の一部が位置するように配置されている。つまり、第8端子t8は、突出部52が配置された三角隙間s1とは異なる三角隙間s1に一部が配置されている。また、電力変換装置101は、モータジェネレータ210を基準として一方側の三角隙間s1と、他方側の三角隙間s1のそれぞれに、突出部52と第8端子t8が配置されているとも言える。
これによって、電力変換装置101は、三角隙間s1を有効に活用することができる。さらに、電力変換装置101は、平滑コンデンサ5の突出部52側における第8端子t8からの受熱を抑制することができる。当然ながら、電力変換装置101は、電力変換装置100と同様の効果を奏することができる。
なお、本実施形態では、上記のように構成された電力変換装置101を採用している。しかしながら、電力変換装置101は、第8端子t8が上記の位置に配置されていればよく、放電抵抗9が設けられていなくてもよい。さらに、電力変換装置101は、放電抵抗9が上記のように配置されていればよく、第8端子t8の位置が上記と異なる位置であってもよい。
(第3実施形態)
図16、図17、図18を用いて、第3実施形態の電力変換装置102に関して説明する。電力変換装置102は、電力変換装置100と同様の箇所が多い。ここでは、電力変換装置102における電力変換装置100と異なる点を中心に説明する。電力変換装置102は、モータジェネレータ210のケースに収容されている点が電力変換装置100と異なる。その他の点は、電力変換装置100と同様である。
図16に示すように、モータジェネレータ210は、モータハウジング211とモータカバー213とで形成される収容空間に配置されている。よって、モータカバー213は、ハウジングの一部に相当する。モータカバー213は、モータカバーフランジ部214などが設けられている。モータハウジング211とモータカバー213とは、モータフランジ部212とモータカバーフランジ部214とが対向配置されボルトなどで固定されている。
そして、図16に示すように、電力変換装置102は、モータハウジング211とモータカバー213とで形成される収容空間に、モータジェネレータ210とともに配置されている。電力変換装置102は、図17、図18に示すように、フレームF10内に、パワーモジュール1、平滑コンデンサ5、電流センサ8、バネ部70などが一体的に設けられた構造体をなしている。つまり、本実施形態では、この構造体をなしている電力変換装置102が、モータジェネレータ210とともに収容空間に配置されている。なお、フレームF10は、パワーモジュール1、平滑コンデンサ5、電流センサ8、バネ部70など収容する筐体と言える。
フレームF10は、パワーモジュール1などを有する構造体をモータハウジング211に固定するための第1固定部F1、第2固定部F2、第3固定部F3、第4固定部F4、第5固定部F5、第6固定部F6などを備えている。電力変換装置102は、ボルトなどによって、第1固定部F1〜第6固定部F6がモータハウジング211に固定されている。
なお、本実施形態では、一例として、パワーモジュール1などを一体的に収容するフレームF10を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されない。本開示は、例えば、パワーモジュール1、平滑コンデンサ5、電流センサ8、バネ部70などを互いに固定して一体的な構造体としてもよい。この場合、フレームF10を備えていなくてもよい。また、フレームF10に設けられた固定部の個数は、6個に限定されない。
図17、図18に示すように、電力変換装置102は、パワーモジュール1と平滑コンデンサ5との位置関係などは電力変換装置100と同様である。また、突出部52は、カバーフランジ部214におけるモータフランジ部212との対向面214aよりもモータジェネレータ210側に突出して設けられている。よって、突出部52は、三角隙間s1に一部が配置されている。このように構成された電力変換装置102は、電力変換装置100と同様の効果を奏することができる。
(第4実施形態)
図19を用いて、第4実施形態の電力変換装置103に関して説明する。電力変換装置103は、電力変換装置100と同様の箇所が多い。ここでは、電力変換装置103における電力変換装置100と異なる点を中心に説明する。電力変換装置103は、冷却器30aの構成が電力変換装置100と異なる。その他の点は、電力変換装置100と同様である。
電力変換装置103は、複数のスイッチング素子3と複数のスイッチング素子3を冷却するための水路が形成された冷却器30aとを有するパワーモジュール1aを備えている。冷却器30aは、冷却用パイプ31aと水路31a1が形成されている。また、冷却器30aは、冷却器30と異なり、半導体装置2の片面のみと対向している。このように構成された電力変換装置103は、電力変換装置100と同様の効果を奏することができる。
(第5実施形態)
図20を用いて、第5実施形態の電力変換装置104に関して説明する。電力変換装置104は、電力変換装置100と同様の箇所が多い。ここでは、電力変換装置104における電力変換装置100と異なる点を中心に説明する。電力変換装置104は、パワーモジュール1と平滑コンデンサ5との位置関係が電力変換装置100と異なる。その他の点は、電力変換装置100と同様である。
電力変換装置104は、パワーモジュール1と平滑コンデンサ5がY方向において対向配置されている。よって、電力変換装置104は、モータジェネレータ210上に、平滑コンデンサ5とパワーモジュール1とがこの順番で積層配置されている。平滑コンデンサ5とパワーモジュール1とは、対向する部位が接していても接していなくてもよい。このように構成された電力変換装置104は、電力変換装置100と同様の効果を奏することができる。
(第6実施形態)
図21を用いて、第6実施形態の電力変換装置105に関して説明する。電力変換装置105は、電力変換装置100と同様の箇所が多い。ここでは、電力変換装置105における電力変換装置100と異なる点を中心に説明する。電力変換装置105は、パワーモジュール1bの構成が電力変換装置100と異なる。その他の点は、電力変換装置100と同様である。なお、本実施形態の冷却器に関しては、図面を簡略化するために、図21に示すように、冷却器30と異なる箇所のみを図示している。図21では、図面を簡略化して、パワーモジュール1cと平滑コンデンサ5の位置関係を明確にするために、メインケース10などは省略している。
電力変換装置105は、複数のスイッチング素子3と複数のスイッチング素子3を冷却するための水路が形成された冷却器とを有するパワーモジュール1bを備えている。パワーモジュール1bの冷却器は、拡張部30b1と、拡張部30b1に設けられた冷却用パイプ31bとを含んでいる。拡張部30b1には、水路が形成されている。
拡張部30b1は、突出部52に隣り合う位置に設けられている。よって、突出部52は、拡張部30b1に設けられた水路が隣り合っている。このように、パワーモジュール1bは、冷却器の一部が突出部52と対向するように拡張部30b1が設けられている。この拡張部30b1は、突出部52とともに三角隙間s1に設けられる。
このように構成された電力変換装置105は、電力変換装置100と同様の効果を奏することができる。さらに、電力変換装置105は、拡張部30b1を有しているため、電力変換装置100よりも突出部52、すなわち、突出部52に配置されている第4コンデンサ素子5dを効率的に冷却することができる。つまり、電力変換装置105は、突出部52をより一層冷却することができる。また、電力変換装置105は、拡張部30b1を三角隙間s1に配置することで、三角隙間s1を有効に利用して突出部52を冷却することができる。
(第7実施形態)
図22を用いて、第7実施形態の電力変換装置106に関して説明する。電力変換装置106は、電力変換装置105と同様の箇所が多い。ここでは、電力変換装置106における電力変換装置105と異なる点を中心に説明する。電力変換装置106は、冷却用パイプ31cの構成が電力変換装置105と異なる。その他の点は、電力変換装置105と同様である。なお、本実施形態の冷却器に関しては、図面を簡略化するために、図22に示すように、電力変換装置105の冷却器と異なる箇所のみを図示している。図22では、図面を簡略化して、パワーモジュール1cと平滑コンデンサ5の位置関係を明確にするために、メインケース10などは省略している。
電力変換装置106は、複数のスイッチング素子3と複数のスイッチング素子3を冷却するための水路が形成された冷却器とを有するパワーモジュール1cを備えている。パワーモジュール1cの冷却器は、水路が形成された冷却用パイプ31cを含んでいる。この冷却用パイプ31cは、突出部52に隣り合う位置に配置され、且つ、周辺よりもモータジェネレータ210の方に突出して設けられている。つまり、冷却用パイプ31cは、平滑コンデンサ5とモータジェネレータ210との対向方向に沿って設けられている。冷却用パイプ31cは、拡張部30b1と同様、三角隙間s1に設けられている。このように、電力変換装置106は、電力変換装置105と同様に、突出部52に隣り合う位置に冷却器(水路)の一部が配置されている。
また、冷却用パイプ31cは、モータジェネレータ210側に開口している。そして、冷却用パイプ31cは、モータ部を冷却するための水路と繋がっている。このようにすることで、電力変換装置106は、モータ部を冷却するための冷却器と冷媒を共有することができる。なお、電力変換装置106は、電力変換装置105と同様の効果を奏することができる。
(第8実施形態)
図23、図24、図25を用いて、第8実施形態の電力変換装置107に関して説明する。電力変換装置107は、電力変換装置100と同様の箇所が多い。ここでは、電力変換装置107における電力変換装置100と異なる点を中心に説明する。電力変換装置107は、主に、昇圧コンバータを備えている点が電力変換装置100と異なる。その他の点は、電力変換装置100と同様である。
図24では、取り付け対象の内部に設けられた構成要素210a、210b、220などを破線で示している。図25では、図面を簡略化して、パワーモジュール1cと平滑コンデンサ5とリアクトル71の位置関係を明確にするために、メインケース10などは省略している。
図23に示すように、電力変換装置107は、昇圧コンバータ付の2モータジェネレータ用インバータを含んでいる。電力変換装置107は、二つのパワーモジュール1と、平滑コンデンサ5に加えて、昇圧コンバータを備えている。そして、電力変換装置107は、第1モータジェネレータ210aと第2モータジェネレータ210bと電気的に接続されている。よって、電力変換装置107は、バッテリ300の電圧を昇圧コンバータで昇圧するとともに、第1モータジェネレータ210aと第2モータジェネレータ210bを駆動する。
電力変換装置107は、バッテリ300と平滑コンデンサ5との間に、昇圧コンバータが設けられている。昇圧コンバータは、リアクトル71、コンデンサ72、第1スイッチング素子81、第2スイッチング素子82などを備えている。第1スイッチング素子81は、第1スイッチング部81aと、第1スイッチング部81aに逆並列に接続された第1還流ダイオード81bとを含んでいる。第2スイッチング素子82は、第2スイッチング部82aと、第2スイッチング部82aに逆並列に接続された第2還流ダイオード82bとを含んでいる。第1スイッチング部81aと第2スイッチング部82aとは、直列に接続されている。
なお、第1スイッチング素子81と第2スイッチング素子82とは、例えば、上記の半導体装置2と同様の構成をなしている。そして、第1スイッチング素子81と第2スイッチング素子82を含む半導体装置は、半導体装置2とともに冷却器30に搭載されている。しかしながら、本開示は、これに限定されない。
図24に示すように、第1モータジェネレータ210a、第2モータジェネレータ210bは、ギア220とともにモータハウジング211に収容されている。モータハウジング211には、少なくとも、第1モータジェネレータ210aと電力変換装置107との間に二つの三角隙間s1、s2が形成される。
図25に示すように、パワーモジュール1cと平滑コンデンサ5との位置関係、平滑コンデンサ5と第1モータジェネレータ210aとの位置関係は、上記実施形態と同様である。また、リアクトル71は、少なくとも一部が基部51よりもモータジェネレータ210側に設けられており、突出部52との間に、第1モータジェネレータ210aの一部が位置するように配置されている。つまり、リアクトル71は、突出部52が配置された三角隙間s1とは異なる三角隙間s2に一部が配置されている。また、電力変換装置107は、モータジェネレータ210を基準として一方側の三角隙間s1と、他方側の三角隙間s2のそれぞれに、突出部52とリアクトル71が配置されているとも言える。
これによって、電力変換装置107は、三角隙間s1、s2を有効に活用することができる。当然ながら、電力変換装置107は、電力変換装置100と同様の効果を奏することができる。
(第9実施形態)
図26を用いて、第9実施形態の電力変換装置108に関して説明する。電力変換装置108は、電力変換装置100と同様の箇所が多い。ここでは、電力変換装置108における電力変換装置100と異なる点を中心に説明する。電力変換装置108は、平滑コンデンサ5の構成が電力変換装置100と異なる。その他の点は、電力変換装置100と同様である。しかしながら、本実施形態では、便宜的に、上記実施形態の平滑コンデンサ5と同じ符号を用いている。なお、本実施形態では、一例としてパワーモジュール1cを採用している。しかしながら、本実施形態は、これに限定されない。図26では、図面を簡略化して、パワーモジュール1cと平滑コンデンサ5の位置関係を明確にするために、メインケース10などは省略している。
本実施形態の平滑コンデンサ5は、複数の突出部52a、52bが設けられている点が上記実施形態と異なる。平滑コンデンサ5は、中心線CLを基準として一方側に第1突出部52aが設けられており、他方側に第2突出部52bが設けられている。各突出部52a、52bは、突出部52と同様に構成されている。よって、各突出部52a、52bは、三角隙間s1に配置されている。また、パワーモジュール1cは、平滑コンデンサ5に対して対向配置されており、平滑コンデンサ5の中心よりも一つの突出部(第1突出部52a)側に偏って配置されている。
このように構成された電力変換装置108は、電力変換装置100と同様の効果を奏することができる。