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JP2020053456A - Fcc磁石接合部品の製造方法 - Google Patents

Fcc磁石接合部品の製造方法 Download PDF

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JP2020053456A
JP2020053456A JP2018178505A JP2018178505A JP2020053456A JP 2020053456 A JP2020053456 A JP 2020053456A JP 2018178505 A JP2018178505 A JP 2018178505A JP 2018178505 A JP2018178505 A JP 2018178505A JP 2020053456 A JP2020053456 A JP 2020053456A
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信之 岡村
Nobuyuki Okamura
信之 岡村
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Abstract

【課題】FCC磁石と金属部品とが接着剤を介することなく強固に接合した高温でも使用可能なFCC磁石接合部品を提供する。【解決手段】本開示によるFCC磁石接合部品の製造方法は、金属部品を用意する工程と、金属部品を収容し得る空洞部を有する鋳型を用意する工程と、金属部品を鋳型の空洞部内に配置する工程と、Co、Cr、およびFeを含有するFCC合金の溶湯を鋳型に流し込み、溶湯を空洞部内で金属部品に接触させる工程と、鋳型に流し込まれた溶湯を冷却し、FCC合金と金属部品とが接合したFCC合金接合体を作製する工程とを含む。この方法は、更にFCC合金接合体を鋳型から取り出す工程と、FCC合金接合体のFCC合金に対する溶体化処理、磁場中熱処理、時効処理を行う工程を含む。【選択図】図1

Description

本開示は、FCC磁石接合部品の製造方法に関する。
「FCC磁石」と呼ばれるFe−Cr−Co系合金鋳造磁石は、Fe、Cr、およびCoを主成分とする金属合金の磁石である。FCC磁石は、Fe、Cr、およびCoを含む金属材料を溶解して鋳造した後、溶体化処理、磁場中熱処理、および時効処理を行うことによって製造され得る。これらの熱処理により、Fe−Cr−Co系合金中でスピノーダル分解が生じ、強磁性相の単磁区微粒子が非磁性マトリックス中に析出する。スピノーダル分解が生じるとき、特定方向の磁場を印加することにより、Fe−Cr−Co系合金に磁気異方性を与えることができる。
FCC磁石は、希少元素であるNd、Dy、Tbなどのレアアースを使用することなく製造される。FCC磁石の金属材料は、高価で価格変動の大きいCoを含有するが、その含有量は、金属合金磁石の代表例であるアルニコ磁石におけるCoの含有量の半分以下である。さらに、FCC磁石の固有保磁力HcJは、フェライト磁石に比べて小さいが、FCC磁石の残留磁束密度Bは、希土類磁石に匹敵する。また、FCC磁石における残留磁束密度Bおよび固有保磁力HcJの温度係数は非常に低く、500℃程度の高温環境にも使用可能である。これらの特性を利用して、FCC磁石は様々な製品に採用されている。
FCC磁石を各種部品に組み込むには、多くの場合、エポキシ樹脂などの汎用の接着剤が使われる。FCC磁石の耐熱温度が高いにもかかわらず、樹脂などから形成された接着剤の耐熱温度は低い。このため、FCC磁石と部品とを接着して使用する場合は、接着剤の耐熱温度を超えない温度でしか使用できない。例えば自動車用の部品は200℃以上の高温で使用されることが多いが、汎用接着剤では、そのような使用温度には耐えられない。
また、鋳型によって製造されたFCC磁石は、その表面(鋳肌)が粗いため、接着剤で他の部品に固定するには、接着面を機械的に加工して平滑化する工程が必要になる。FCC磁石が異方性磁石の場合、磁化方向が決まっているため、接着面の加工の平行度が非常に重要である。加工された接着面の平行度が狂うと、接着後におけるFCC磁石の磁化方向が設計方向からずれてしまう。
磁石を各種部品に固定する方法として、接着のほかには、圧入、かしめ、ねじ加工などの方法が提案されている。特許文献1には圧入による方法が、特許文献2にはかしめによる方法が開示されている。特許文献3には、FCC磁石と部品の一方にねじ溝を、他方にねじ山を形成し、これらを互いにかみ合わせることによって磁石と部品を接合する方法が開示されている。
実用新案登録第3191531号公報 実公平1−43573号公報 特開2017−130489号公報
特許文献1や2をFCC磁石に適用した場合や、特許文献3によれば、FCC磁石と各種部品を別々に製作し、両者に物理的な力を加えたり、一部変形させたり、加工したりすることによって一方を他方に固定する必要がある。これらの固定方法では、接着剤が有する低い耐熱温度の問題は回避され得るが、組み立ておよび加工を精密に行わないと、磁化方向が狂ってしまうという問題がある。また、上記の従来技術によると、磁石のユーザである部品メーカがFCC磁石を各種部品に接合するための余分の工程を行うことが必要になるため、部品全体としての製造コストが上昇する要因となる。
二色成形やインサート成形などの方法も提案されているが、これらはFCC磁石をボンド磁石にする必要がある。ボンド磁石の成形に樹脂を使用しているため、接着固定の場合と同様に耐熱温度が低いという問題がある。
本発明の実施形態は、上記課題を解決するFCC磁石接合部品の製造方法を提供する。
本開示のFCC磁石接合部品の製造方法は、例示的な実施形態において、FCC磁石と金属部品とが接合したFCC磁石接合部品の製造方法であって、前記金属部品を用意する工程と、前記金属部品を収容し得る空洞部を有する鋳型を用意する工程と、前記金属部品を前記鋳型の前記空洞部内に配置する工程と、Co、Cr、およびFeを含有するFe−Cr−Co系合金の溶湯を前記鋳型に流し込み、前記溶湯を前記空洞部内で前記金属部品に接触させる工程と、前記鋳型に流し込まれた前記溶湯を冷却し、前記FCC合金と前記金属部品とが接合したFCC合金接合体を作製する工程と、前記FCC合金接合体を前記鋳型から取り出す工程と、前記FCC合金接合体の前記FCC合金に対する溶体化処理を行う工程と、前記FCC合金接合体の前記FCC合金に対する磁場中熱処理を行う工程と、前記FCC合金接合体の前記FCC合金に対する時効処理を行う工程とを含む。
ある実施形態において、前記FCC合金は、5質量%以上14質量%以下のCo、20質量%以上40質量%以下のCr、5質量%以下の添加元素、および、残部のFeを含有しており、前記FCC合金接合体を前記鋳型から取り出す工程の後、前記溶体化処理を行う工程の前において、前記FCC合金接合体に機械加工を行う工程を含む。
ある実施形態において、機械加工は、仕上げ研磨を行うことを含む。
ある実施形態において、前記溶体化処理は、酸化性雰囲気中において、600℃以上900℃以下の温度で行われる。
ある実施形態において、前記溶体化処理は、大気雰囲気中で行われる。
ある実施形態において、前記磁場中熱処理は、600℃以上700℃以下の温度で行われ、前記時効処理は、400℃以上650℃以下の温度で行われる。
ある実施形態において、前記FCC合金のCo含有量は8質量%以上12質量%以下である。
ある実施形態において、前記時効処理の後、加工工程を行うことなく、FCC磁石接合部品を出荷する工程を含む。
ある実施形態において、前記時効処理の後、脱磁工程を行うことなく、FCC磁石接合部品を出荷する工程を含む。
本開示の実施形態によれば、FCC磁石と金属部品とが接着剤を介することなく強固に接合した、200℃以上の高温でも使用可能なFCC磁石接合部品が提供される。このFCC磁石接合部品は、FCC磁石と金属部品との間で位置合わせが容易であるため磁化方向に狂いがなく、しかも低コストで製造可能である。
本開示によるFCC磁石接合部品の製造方法の実施形態を説明するためのフローチャートである。 本開示の実施形態におけるFCC磁石接合部品100の構成例を示す斜視図である。 本開示の実施形態に使用され得る鋳型30の一部を模式的に示す斜視図である。 本開示の実施形態における下側鋳型30Aの一部を模式的に示す断面図である。 本開示の実施形態における下側鋳型30Aに金属部品20が配置された状態を模式的に示す断面図である。 本開示の実施形態にける上側鋳型30Bを下側鋳型30Aに重ねた鋳型30を模式的に示す断面図である。 本開示の実施形態における鋳型30にFCC合金溶湯40が流し込まれつつある状態を模式的に示す断面図である。 本開示の実施形態における鋳型30にFCC合金溶湯40が流し込まれた状態を模式的に示す断面図である。 本開示の実施形態に使用され得る段積み鋳型300を模式的に示す断面図である。 (a)から(f)は、本開示の実施形態で製造され得るFCC磁石接合部品における金属部品20の形状の例を示す断面図である。 本開示によるFCC磁石接合部品の製造方法の実施形態を説明するためのフローチャートである。
本開示において、FCC磁石と金属部品とが接合した状態にある部品を「FCC磁石接合部品」と称する。また、磁石としての組織が発現する前のFCC合金と金属部品とが接合した構造物を「FCC合金接合体」と称することにする。
本開示の実施形態におけるFCC磁石接合部品の製造方法は、
(1)金属部品を用意する工程と、
(2)金属部品を収容し得る空洞部を有する鋳型を用意する工程と、
(3)金属部品を鋳型の空洞部内に配置する工程と、
(4)Co、Cr、およびFeを含有するFCC合金の溶湯を鋳型に流し込み、溶湯を空洞部内で金属部品に接触させる工程と、
(5)鋳型に流し込まれた前記溶湯を冷却し、FCC合金と金属部品とが接合したFCC合金接合体を作製する工程と、
(6)FCC合金接合体を鋳型から取り出す工程と、
(7)FCC合金接合体のFCC合金に対する溶体化処理を行う工程と、
(8)FCC合金接合体のFCC合金に対する磁場中熱処理を行う工程と、
(9)FCC合金接合体のFCC合金に対する時効処理を行う工程と、
を含む。
本開示のFCC磁石接合部品の製造方法によれば、鋳型に流し込まれたFCC合金の溶湯が、鋳型の空洞部内に配置されている金属部品に接触する。FCC合金の溶湯と金属部品とが接触した状態で冷却されることにより、鋳型の中でFCC合金と金属部品とが強固に接合した一体部品が作製される。溶融した高温のFCC合金が金属部品に接触したとき、金属部品の表面も溶融して合金の層を形成してもよい。そのような合金の層が形成されることにより、FCC合金と金属部品との接合がより強固になる。金属部品を構成する金属材料の融点は、1000℃以上であることが望ましい。金属部品が有する熱容量により、金属部品に接触したFCC合金の溶湯温度は低下する。このため、金属部品の表面の温度が一時的に融点を超えることがあっても、金属部品の全体が溶融することは充分に避けることが可能である。
本開示の製造方法によれば、FCC合金と金属部品との接合部分に耐熱性に劣る接着剤が存在しておらず、例えば500℃程度の温度でも、FCC合金と金属部品とは強固に接合しており、分離することがない。従って、FCC磁石が本来的に有している優れた耐熱性を一体化部品として発揮することが可能になる。このことは、FCC磁石接合部品を例えば自動車部品(モータ、プラグ、センサ等)に好適に利用することを可能にする。また、FCC磁石と金属部品とを別々に製造してから両者を正確に接合する工程が不要になるため、トータルの製造コストを大きく低減できる。
なお、後述するように、FCC合金の溶体化処理に必要な温度は、従来、1300℃程度、または、それ以上であったが、FCC合金の組成を調整することにより、溶体化処理の温度を1000℃よりも低い温度にすることが可能である。このことによって、FCC合金と接合される金属部品に必要な耐熱性(耐熱温度)を低くできるため、多様な金属材料から形成した金属部品をFCC合金に接合することを可能にする。
本開示の方法によれば、FCC合金と金属部品とを接合して「FCC合金接合体」を作製した後、FCC合金の磁石組織を形成するための熱処理を行う。具体的には、FCC合金接合体を鋳型から取り出してから、溶体化処理、磁場中熱処理、および時効処理を行う。
ある好ましい実施形態において、FCC合金は、5質量%以上14質量%以下のCo、20質量%以上40質量%以下のCr、5質量%以下の添加元素、および、残部のFeを含有している。そして、FCC合金接合体を鋳型から取り出した後、溶体化処理を行う前において、FCC合金接合体に機械加工を行う工程を行ってもよい。この機械加工は、仕上げ研磨を行うことを含む。また、溶体化処理は、酸化性雰囲気(好ましくは大気雰囲気)中において、600℃以上900℃以下の温度で行われ得る。さらに磁場中熱処理は、600℃以上700℃以下の温度で行われ、時効処理は、400℃以上650℃以下の温度で行われ得る。
この実施形態におけるFCC磁石接合部品の製造方法によれば、溶体化処理、磁場中熱処理、および時効処理を含む熱処理を実行する前に、FCC合金接合体に機械加工を行うため、熱処理を実行した後にはFCC合金接合体の表面を研磨する必要がなくなる。こうして製造されたFCC磁石接合部品におけるFCC磁石の表面には、溶体化処理などの熱処理中に形成された酸化物層(酸化被膜)が存在している。この酸化物層が最終的に除去されることなく、FCC磁石の表面保護膜として機能するため、FCC磁石の耐食性が向上する。また、上記の方法によれば、熱処理後に加工を行わないので脱磁工程が不要となり、洗浄工程も簡易洗浄で済ますことができる。
以下、図面を参照しながら、本開示におけるFCC磁石接合部品の製造方法の実施形態を説明する。
まず、図1および図2を参照する。図1は、本実施形態におけるFCC磁石接合部品の製造方法のフローチャートである。図2は、本実施形態で製造されるFCC磁石接合部品100の構成例を示す斜視図である。
<金属部品>
図2に示される例において、本実施形態で製造されるFCC磁石接合部品100は、FCC磁石10と金属部品20とが、金属部品20の接合面20Sを介して接合した一体部品である。図1の工程S10において、このような金属部品20を用意する。後述するように、金属部品20の形状は、図示される例に限定されない。
金属部品20は、鋳型内でFCC磁石10のもととなるFCC合金の溶湯に接触する。鋳型内における溶湯の温度は、例えば1400℃程度である。しかし、金属部品20に接触した溶湯の接触部における温度は、すぐに低下するため、金属部品20は、融点が1000℃以上の金属から形成されていればよい。例えばSS400などの鉄鋼材料、および/またはSUS304などのステンレス鋼から形成され得る。金属部品20の接合面20Sは、FCC合金の溶湯と接触したとき、部分的に溶融してもよい。このときに形成される合金は、FCC合金の構成元素と金属部品20の接合面20Sに含まれる元素とを含む層である。このような合金層の存在は、FCC合金と金属部品20との接合強度を高めることに寄与する。
金属部品20は、鍛造品であってもよい。鍛造によれば、金属材料を比較的に低いコストで様々な形状に容易に加工できる。金属部品20の形状は、全体として凸型であっても凹型であってもよいし、凹凸を表面に有していてもよい。図2の例において、金属部品20は軸対称形であるが、その例に限定されず、非対称な形状を有していてもよい。
<鋳型>
再び図1を参照する。図1の工程S12で鋳型を用意し、工程S14で鋳型内に上記の金属部品20を配置する。
図3の上段は、本実施形態に使用され得る鋳型30の一部(下側部分)を模式的に示す斜視図である。図示される例において、鋳型30は、空洞部32と、FCC合金の溶湯を空洞部32に案内する開孔部(湯口)34とを有している。空洞部32は、金属部品20が配置される空間と不図示のFCC磁石を規定する空間を含んでいる。図3の下段には、空洞部32に金属部品20が配置された状態が記載されている。金属部品20は、開孔部34を通って空洞部32に流れ込んできたFCC合金の溶湯と接触することになる。金属部品20の接合面20Sは、平坦である必要はなく、凹部および/または凸部、段差、曲面、多孔質であってもよい。金属部品20の接合面20Sは、金属部品20の周りを取り囲んでいてもよい。鋳型30の空洞部32の形状は、鋳造が可能な形状であるかぎり、任意である。
鋳型30は、例えばシェルモールド法による砂型であり得る。砂型の素材は、例えばレジンコーテッドサンド(RCS)等である。
図4は、本実施形態における下側鋳型30Aの一部を模式的に示す断面図である。図5は、下側鋳型30Aに金属部品20が配置された状態を模式的に示す断面図である。図6は、下側鋳型30Aと上側鋳型30Bと重ねた鋳型30を模式的に示す断面図である。
図6に示される例において、それぞれに金属部品20が配置された2個の空洞部32は、左右対称に並んでいる。鋳型30内における空洞部32の配置は、この例に限定されない。中央の溶湯が流れる流路の周りに3個以上の空洞部32が放射状に配置されていてもよい。鋳型30の構成は、任意である。
それぞれが下側鋳型30Aおよび上側鋳型30Bから構成される複数段の鋳型30が鉛直方向に重ねられて使用されても良い。図9は、複数段の鋳型30が重ねられた段積み鋳型300の構成例を模式的に示す断面図である。
図1を参照する。図1の工程S16において、以下に示す組成を有する合金を溶解してFCC合金の溶湯を用意する。
<FCC合金>
合金は、5質量%以上14質量%以下のCo、20質量%以上40質量%以下のCr、5質量%以下の添加元素(Ti、Mo、V、Si、Al)を含有し、残部はFeである。この合金組成の特徴点のひとつは、Co含有量が少ないことにある。Co含有量の好ましい範囲は、8質量%以上12質量%以下である。
従来、溶体化処理は1200℃以上の高温が必要であるとされていた。しかし、本発明者の検討の結果、Co含有量を5質量%以上14質量%以下に制限することにより、溶体化処理の温度を低い範囲(600℃以上900℃以下、典型的には700℃以上850℃以下)にすることが可能であることがわかった。また、この温度範囲で溶体化処理を行うと、合金表面に耐食性(耐酸化性)に優れた緻密な被膜が形成されることもわかった。この被膜は、Crから形成された酸化物層であると考えられる。溶体化処理の温度が前述の範囲内に調整されていると、形成された被膜は緻密で耐食性に優れている。しかし、溶体化処理の温度が900℃を超えると、合金表面には緻密な酸化被膜は形成されにくく、耐食性、特に酸に対する耐性が低下することも確認した。例えば溶体化処理の温度が1300℃であると、酸化被膜は厚くなるが、粗雑であり、良好な耐食性は得られない。
酸化被膜の緻密性および耐食性を高め、膜厚を均一化するという観点から、Cr含有量は20質量%以上(例えば25質量%程度)であることが好ましい。
Tiの添加は製造中の種々の要因による磁気特性の劣化を抑制する。Moの添加は保磁力HcJの向上効果がある。V、Si、Alの添加は、鋳造時における合金溶湯の流れを良くする。
残部は、実質的にFeであるが、不可避的不純物を含んでいてもよい。
上記の組成を有する合金を、大気溶解炉等の溶解炉で溶融して溶湯を形成する。溶解温度は、例えば1600℃程度である。
<鋳造>
工程S18において、上記FCC合金の溶湯を鋳型に流し込む。
図7は、本実施形態における鋳型30にFCC合金の溶湯40が流し込まれつつある状態を模式的に示す断面図である。図8は、鋳型30に溶湯40が流し込まれた状態を模式的に示す断面図である。溶湯40は、鋳型の空洞部32に配置された金属部品20に接触し、かつ空洞部32内を満たす。溶湯40が金属部品20に接触するときの温度は、1300〜1500℃程度である。図7の例において、中央の湯道を通る溶湯が開孔部34を通って空洞部32の内部に供給される。
図9の段積み鋳型300を用いる場合、中央の湯道を上部から流れてきた溶湯40は、最下段に位置する鋳型30から個々の空洞部32に供給され、徐々に上段に位置する鋳型30の空洞部32を満たしていく。空洞部32の形状によらず、溶湯40は鋳型の内部を隙間なく充填する。
その後、図1の工程S20で溶湯40の自然冷却を行うことにより、鋳型30内において凝固したFCC合金と金属部品とが接合したFCC合金接合体が形成される。なお、FCC磁石の代わりにアルニコ磁石を金属部品と接合するために、本開示の実施形態と同様の方法を実行しようとすると、アルニコ合金の溶湯は凝固が遅く、金属部品と接触しても速やかに抜熱されず、金属部品が溶融・変形してしまう可能性がある。
次に、図11の工程S22において、鋳型30からFCC合金接合体を取り出す。鋳型30が砂型である場合、鋳型30をばらして簡単にFCC合金接合体を取り出すことができる。なお、砂型は冷却の過程で自然に崩壊する。鋳型30内で複数のFCC合金接合体は湯道または湯口に残った細い合金でつながった状態にある。この細い合金に衝撃を与えることにより、個々のFCC合金接合体に分離することができる。
<粗加工>
工程S24において、FCC合金接合体に対して機械的な粗加工を行い、最終的な形状に近い形状を有する粗加工体を形成する。このような粗加工は、例えば、湯口加工および端面加工を含む。湯口加工は、例えばセンタレス研削盤によって行われ、端面加工は、例えば平面研磨機によって行われ得る。なお、本明細書において、単に「加工体」と言うときは、仕上げ加工などの最終加工工程を終えた、以降の工程で更なる加工を行わないものを指し、例えば、粗加工後仕上げ加工前のものについては「粗加工体」などと称することとする。
<仕上げ加工>
次に、工程S26において、上記の粗加工体に対して仕上げ加工を行う。最終的な寸法加工、例えば仕上げ研磨工程まで行う。本開示の実施形態では、後述する溶体化処理によって形成された耐食性に優れる酸化被膜を除去してしまわないように、溶体化処理などの熱処理を行った後は、機械加工を行わない。
溶体化処理などの熱処理の前に仕上げ研磨を含む全ての機械加工を完了させることには、以下の利点がある。
前述したように、FCC磁石は機械的ショックによって磁気を帯びるという特性があるため、熱処理後に仕上げ研磨などの機械加工を行うと、磁気を帯びた研磨粉(切粉)が強固に付着する。このため、従来、仕上げ研磨の後、脱磁工程が必要であった。これに対して、本実施形態では、熱処理前に全ての加工工程を終えるので、熱処理後にFCC磁石が磁気を帯びることがなく、脱磁の必要もない。また、脱磁後の洗浄工程も簡易洗浄工程ですむ。
<熱処理>
次に、工程S30において、上記の加工体に対して各種の熱処理を行う。具体的には、工程S32において溶体化処理、工程S34において磁場中熱処理、工程S36において時効処理を行う。
溶体化処理(工程S32)は、酸化性雰囲気(典型的には大気中)で加工体の温度を600℃以上900℃以下、好ましくは700℃以上850℃以下の範囲で、例えば10分以上20分以下の間、維持する。この溶体化処理によってFCC合金は、強磁性元素と非磁性元素との固溶体(α相)から構成された状態になる。また、酸化性雰囲気中における600℃以上900℃以下の熱処理により、Cr酸化物の層である酸化被膜が加工体の表面に形成される。この酸化被膜がFCC磁石の耐食性を向上させる。酸化被膜の厚さは、数十nm以上数μm以下程度である。前述したように、溶体化処理の温度が900℃を超えて高くなると、形成される酸化被膜の緻密性が失われ、耐食性向上の効果が得られなくなる。また、溶体化処理の温度が高すぎると、金属部品20に悪影響が及んだり、FCC合金と金属部品20との間の接合強度が低下したりする可能性もある。本開示の実施形態では、溶体化処理中に形成された酸化被膜を最終的に除去することなく、FCC合金の表面保護膜として活用する。
磁場中熱処理(工程S34)は、磁場中で加工体の温度を600℃以上700℃以下、好ましくは620℃以上660℃以下の範囲で、例えば60分以上90分以下の間、維持する。この磁場中熱処理によってFCC合金では、スピノーダル分解が進行し、α1相(FeCo強磁性相)およびα2相(Cr非磁性相)の2相に分離した状態に変化する。スピノーダル分解が進行するときに磁場が印加されているため、強磁性のα1相が磁場の向きに整合して磁化方向に長く成長する。その結果、形状磁気異方性を発現させることができる。磁場中熱処理の雰囲気も大気中でよい。
時効処理(工程S36)は400℃以上670℃以下の温度範囲で行う。時効処理では、磁場中熱処理の温度よりも5〜30℃程度低い時効処理開始温度(例えば570〜670℃)から時効処理終了温度(例えば400〜600℃)まで、毎時1〜7℃、好ましくは毎時2〜6℃の降温速度で行う制御冷却の過程が含まれていることが好ましい。磁場中熱処理の温度から、いったん時効処理開始温度未満まで降温させてもよい。その場合は、時効処理開始温度まで昇温してから冷却を開始する。これによって、α1相とα2相の組成差を拡大させ、よりFeCoに富む相とCrに富む相に分離することができるため、α1相をより磁化方向に成長させて保磁力を高くすることが可能になる。時効処理の雰囲気も大気中でよい。
なお、溶体化処理によって加工体の表面に形成された緻密な酸化被膜は、その後に大気中で行う磁場中熱処理および時効処理によってさらに成長してもよい。
<検査・出荷>
次に、工程S40において、検査・出荷が行われる。この前に簡易洗浄工程が行われてもよい。熱処理工程(工程S30)の後に仕上げ研磨加工を行わないので、磁性を帯びた研磨粉が磁石表面にこびりついたりすることがない。このため、従来の製造方法で必要とされてきた洗浄工程に比べて簡単な洗浄工程(例えば超音波清浄)を行えばよい。
なお、従来方法では、スピノーダル分解によりα1相(FeCo強磁性相)およびα2相(Cr非磁性相)を形成された後に機械加工が行われていた。このため、機械加工によって形成された研磨粉などが磁化を帯び、FCC磁石の表面に強力に付着することが多く、脱磁・洗浄の工程が不可欠であった。
従来、FCC磁石は、金属部品とは別に鋳造されて作製されていた。その場合、FCC磁石の表面(鋳肌)は、合金溶湯の凝固時に鋳型(典型的には砂型)に接触していたため、非常に粗い。FCC磁石が金属部品と接触する表面部分も非常に粗いため、精度良く接合するためには、その部分に平面出し加工を行うことが必要であり、加工の平行度が少しでもずれると、FCC磁石接合部品の磁化方向がずれてしまうという問題があった。本開示の実施形態によれば、このような問題を解決することができる。
なお、FCC磁石には、着磁後に金属と接触すると減磁するという特徴があるため、着磁後に金属部品に組み込むなどの取り扱いは難しい。このため、FCC磁石のユーザは、着磁前のFCC磁石を金属部品に組み込んでから着磁を行うことが多かった。本開示の実施形態によれば、既に着磁された状態にあるFCC磁石接合部品をユーザが購入して種々の装置に組み込むことが可能になる。
前述したように金属部品20の形状は任意である。金属部品20は、図10(a)に示すように凹部を有していてもよいし、図10(b)に示すように、凹部の側壁が逆テーパ形状を有していてもよい。また、金属部品20を構成する材料の熱膨張係数がFCC合金の熱膨張係数から大きく異なる場合、冷却時の収縮率の違いによって接合強度が弱まることを防止するため、金属部品20の一部に突起または開口部を形成してもよい。図10(c)の例において、金属部品20は屈曲部を有している。図10(d)の例において、金属部品20は溶湯が回り込む孔を有している。図10の(e)例では、金属部品20の表面にFCC合金と係合して位置ずれを規制する凹凸が形成されている。このような凹凸は、規則的に配列された溝または条、あるいは不規則な表面荒れであってもよい。金属部品20は、例えば図10(f)に示すように、外径が変化する段差を有していたり、底に凹部を有していたりしてもよい。
金属部品20のうちFCC磁石10で覆われて外部から見えない部分の形状は、部品設計に影響を与えにくいので、接合強度を高めるために自在に設計可能である。FCC磁石10の外形も、それに合わせた鋳型(例えば砂型)を用意することにより、図示されている例に限定されず多様であり得る。すなわち、FCC磁石10は概略的に円柱の形状を有している必要はなく、直方体、ロッド、薄板、リングなどの様々な概略形状を有し得る。
本発明の実施形態は、金属磁石が使用されている様々な分野、例えばステッピングモータ、マグネトロン、その他の機器に広く利用可能である。特に、FCC磁石は、割れにくく、欠けにくいため、形状自由度が高く、ねじ切りなどの加工が必要な磁石部品として有用である。

Claims (9)

  1. FCC磁石と金属部品とが接合したFCC磁石接合部品の製造方法であって、
    前記金属部品を用意する工程と、
    前記金属部品を収容し得る空洞部を有する鋳型を用意する工程と、
    前記金属部品を前記鋳型の前記空洞部内に配置する工程と、
    Co、Cr、およびFeを含有するFe−Cr−Co系合金の溶湯を前記鋳型に流し込み、前記溶湯を前記空洞部内で前記金属部品に接触させる工程と、
    前記鋳型に流し込まれた前記溶湯を冷却し、前記FCC合金と前記金属部品とが接合したFCC合金接合体を作製する工程と、
    前記FCC合金接合体を前記鋳型から取り出す工程と、
    前記FCC合金接合体の前記FCC合金に対する溶体化処理を行う工程と、
    前記FCC合金接合体の前記FCC合金に対する磁場中熱処理を行う工程と、
    前記FCC合金接合体の前記FCC合金に対する時効処理を行う工程と、
    を含む、FCC磁石接合部品の製造方法。
  2. 前記FCC合金は、5質量%以上14質量%以下のCo、20質量%以上40質量%以下のCr、5質量%以下の添加元素、および、残部のFeを含有しており、
    前記FCC合金接合体を前記鋳型から取り出す工程の後、前記溶体化処理を行う工程の前において、前記FCC合金接合体に機械加工を行う工程を含む、請求項1に記載のFCC磁石接合部品の製造方法。
  3. 機械加工は、仕上げ研磨を行うことを含む、請求項2に記載のFCC磁石接合部品の製造方法。
  4. 前記溶体化処理は、酸化性雰囲気中において、600℃以上900℃以下の温度で行われる、請求項2または3に記載のFCC磁石接合部品の製造方法。
  5. 前記溶体化処理は、大気雰囲気中で行われる、請求項4に記載のFCC磁石接合部品の製造方法。
  6. 前記磁場中熱処理は、600℃以上700℃以下の温度で行われ、
    前記時効処理は、400℃以上650℃以下の温度で行われる、請求項2から5のいずれかに記載のFCC磁石接合部品の製造方法。
  7. 前記FCC合金のCo含有量は8質量%以上12質量%以下である、請求項2から6のいずれかに記載のFCC磁石接合部品の製造方法。
  8. 前記時効処理の後、加工工程を行うことなく、FCC磁石接合部品を出荷する工程を含む、請求項2から7のいずれかに記載のFCC磁石接合部品の製造方法。
  9. 前記時効処理の後、脱磁工程を行うことなく、FCC磁石接合部品を出荷する工程を含む、請求項2から8のいずれかに記載のFCC磁石接合部品の製造方法。
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