本開示の蓄電デバイスは、蓄電デバイス素子と、収容体と、弁装置とを備えている。収容体は、少なくとも、基材層、バリア層及び熱融着性樹脂層をこの順に有する積層体によって構成されている。収容体は、蓄電デバイス素子を内部に収容する。弁装置は、収容体の内部と連通する。本開示の蓄電デバイスは、収容体の周縁においては、熱融着性樹脂層が対向している。また、収容体の周縁には、対向する熱融着性樹脂層が互いに融着した周縁接合部が形成されている。弁装置の少なくとも一部が、周縁接合部において互いに対向している熱融着性樹脂層の間に挟まれていることにより、弁装置は収容体に取り付けられている。さらに、弁装置は、弁装置の一次側と二次側の差圧が0.05MPa以上0.3MPa以下の範囲内で、弁装置が開放されるように設定されている。
本開示の蓄電デバイスは、このような特徴を備えていることにより、蓄電デバイスの高い密封性を保持しつつ、内部でガスが発生した場合には、当該ガスを好適に外部に放出することができる。
以下、本開示の蓄電デバイス用弁装置について詳述する。なお、本明細書において、「〜」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2〜15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。また、後述する蓄電デバイス用弁装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
本開示の蓄電デバイスにおいては、収容体が、基材層、バリア層及び熱融着性樹脂層をこの順に有する積層体によって構成されている。当該収容体に取り付けられている弁装置の一次側と二次側の差圧(すなわち、弁装置の開放圧力)は、0.05MPa以上0.3MPa以下の範囲内である。収容体に取り付けられている弁装置の前記差圧が当該範囲内であることによって、蓄電デバイスの高い密封性を保持しつつ、内部でガスが発生した場合には、当該ガスを好適に外部に放出することができる。また、前記差圧が当該範囲内に設定されていることによって、蓄電デバイスの繰り返しの化学反応で発生する電解液のガスなどを安定的に外部に放出することができ、蓄電デバイスの内圧が過度に上昇する前にガスを放出することができる。一方、当該差圧が0.3MPaを超えると、ガスの発生に伴い収容体が大きく膨らみ、蓄電デバイスが変形して、電極から活物質が欠落する、収容体に亀裂等が生じる、タブ同士の接触やタブと収容体端部との接触などによって短絡するといった不具合が生じる可能性が高くなる。また、当該差圧が0.05MPaを下回ると、蓄電デバイスの通常使用時の振動や衝撃などによって弁装置が開放し、電解液の漏れ(電解液量の低下など)、密封性の低下(水分が蓄電デバイス内部に侵入するなど)などによって、蓄電デバイスが劣化する可能性が高くなる。なお、弁装置の一次側は、蓄電デバイスの収容体の内部に位置する側であり、弁装置の二次側は、蓄電デバイスの収容体の外部側(すなわち、外部環境)に位置する側である。弁装置は、蓄電デバイスの収容体の外部側(すなわち、外部環境)に位置する二次側と、蓄電デバイスの収容体の内部に位置する一次側とを備えており、収容体の内部において発生したガスに起因して収容体の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させる(すなわち、一次側から二次側に向かって、収容体の内部で発生したガスが放出される)ように構成されている。
弁装置の一次側と二次側の差圧(弁装置の開放圧力)としては、前記の範囲内で蓄電デバイスの種類等に応じて設定すればよいが、下限については、0.05MPa以上、好ましくは約0.1MPa以上が挙げられ、上限については、0.3MPa以下、好ましくは約0.2MPaが挙げられ、好ましい範囲としては、0.05〜0.2MPa程度、0.1〜0.3MPa程度、0.1〜0.2MPa程度が挙げられる。弁装置の前記差圧がこれらの範囲内であることによって、蓄電デバイスの高い密封性を保持しつつ、内部でガスが発生した場合には、当該ガスをより好適に外部に放出することができる。
弁装置の一次側と二次側の開放時の差圧は、以下の方法により測定される。
<弁装置の一次側と二次側の差圧の測定方法>
弁装置を、金属で作製した測定用治具に設置し、治具の一次側には小型圧力計を介して圧縮空気ボンベ、二次側にはゴムチューブを設置し、ゴムチューブの先は水槽に設置する。このとき、治具や接点からの漏れがないことを予め確認する。一次側の空気ボンベから徐々に空気を弁装置に送り込み、水槽のゴムチューブから気泡が発生し始める圧力を圧力計で読み取って、弁装置の一次側と二次側の差圧を測定する。
本開示の蓄電デバイスにおいて、収容体の内部の設定圧力としては、一定圧力以下に設定されていることが好ましい。内圧の設定値は、蓄電デバイスの種類に応じて適宜設定されるが、好ましくは約0.1MPa以下、より好ましくは約1.0×10−2MPa以下であり、下限については例えば約1.0×10−10MPa以上が挙げられ、当該内部圧力の好ましい範囲としては、1.0×10−10〜0.1MPa程度、1.0×10−10〜1.0×10−2MPa程度が挙げられる。
弁装置の一次側と二次側の差圧(弁装置の開放圧力)は、公知の方法により設定することができる。例えば、弁装置の弁機構を構成している部材(例えば、後述のボール、弁座(例えばOリング)、バネ、通気口)の材料、形状、大きさ、さらにはバネによるボールを押しつける力などを設計することによって、前記差圧を調整することができる。
本開示の蓄電デバイスの収容体において、収容体中心部分に位置し、互いに融着していない熱融着性樹脂層の厚みを100%とした場合に、周縁接合部に位置し、対向する熱融着性樹脂層が互いに融着している部分の一方の熱融着性樹脂層の厚みの比率Xが、50〜80%の範囲にあることが好ましい。熱融着性樹脂層の厚みの比率Xがこのような範囲にあることにより、熱融着性樹脂層を融着させる際の熱と圧力が、熱融着性樹脂層に適切に加えられており、周縁接合部における収容体の密封性を高めることができる。また、熱融着性樹脂層の厚みの比率Xをこのような範囲に設定することにより、例えば車載用や定置用の蓄電デバイスに求められる密封性を高度に担保し得る。熱融着性樹脂層の厚みの比率Xが50%以上であることにより、シール時に熱融着性樹脂層が潰れすぎや、熱融着性樹脂層にクラックが発生するなどによって絶縁性が低下する可能性が低く、より高度に密封性を高めることができる。一方、熱融着性樹脂層の厚みの比率Xが80%以下であることにより、熱融着性樹脂層同士のシールが不十分(すなわち、シールによる熱融着性樹脂層の潰れが小さ過ぎる)になることが抑制され、急激な内圧の上昇に伴い、弁装置ではなく融着している熱融着性樹脂層の間からガスが放出されることが、より一層好適に抑制される。
熱融着性樹脂層の厚みの比率Xは、下限については、例えば約45%以上、好ましくは約50%以上、より好ましくは約60%以上であり、上限については、例えば約95%以下、好ましくは約80%以下、より好ましくは約70%以下であり、好ましい範囲としては、50〜80%程度、50〜70%程度、60〜80%程度、60〜70%程度が挙げられる。なお、熱融着性樹脂層の厚みの比率Xは、熱融着性樹脂層の断面の厚みを計測して算出される値である。
また、本開示の蓄電デバイスの収容体において、収容体中心部分に位置し、互いに融着していない熱融着性樹脂層の厚みを100%とした場合に、弁装置を挟んでいる位置における熱融着性樹脂層の厚みの比率Yは、下限については、例えば約45%以上、より好ましくは約60%以上であり、上限については、例えば約95%以下、好ましくは約90%以下であり、好ましい範囲としては、60〜90%程度、70〜90%程度、80〜90%程度が挙げられる。熱融着性樹脂層の厚みの比率Yがこのような値を有することにより、弁装置を収容体に取り付ける際に熱融着性樹脂層を融着させる熱と圧力が、熱融着性樹脂層に適切に加えられており、弁装置の取付け部と熱融着性樹脂層との間における収容体の密封性を適切なものとすることができる。また、熱融着性樹脂層の厚みの比率Yをこのような範囲に設定することにより、例えば熱暴走などの異常時に、収容体の内部で一気に大量のガスが発生した場合や、弁装置の弁機構の異常により弁装置が閉塞した場合などに、弁装置の代わりに、弁装置の取付け部と熱融着性樹脂層との間を優先的に開放させて、ガスを好適に放出させることができる。熱融着性樹脂層の厚みの比率Yが60%を下回ると、弁装置の取付け部と熱融着性樹脂層との間の密封性が高められすぎており(すなわち、シールによる熱融着性樹脂層の潰れが大き過ぎる)、熱暴走などの際に、弁装置の取付け部と熱融着性樹脂層との間からガスを放出することが難しくなる。一方、熱融着性樹脂層の厚みの比率Yが90%を超えると、弁装置の取付け部と熱融着性樹脂層との密封性が不十分(すなわち、シールによる熱融着性樹脂層の潰れが小さ過ぎる)となり、電解液などの漏れが発生する可能性が高くなる。なお、弁装置を挟んでいる位置における熱融着性樹脂層の厚みの最大厚みを用いて、比率Yを算出する。
本開示の蓄電デバイスの収容体において、熱融着性樹脂層の厚みの比率Yが、熱融着性樹脂層の厚みの比率Xよりも大きいことが好ましい。これにより、例えば熱暴走などの異常時に、収容体の内部で一気に大量のガスが発生した場合や、弁装置の弁機構の異常により弁装置が閉塞した場合などに、弁装置の代わりに、弁装置の取付け部と熱融着性樹脂層との間を優先的に開放させて、ガスを好適に放出させることができる。
また、本開示の蓄電デバイスの収容体において、周縁接合部に位置し、対向する熱融着性樹脂層が互いに融着している部分の熱融着性樹脂層同士の剥離強度Xが、弁装置を挟んでいる位置における熱融着性樹脂層と弁装置との間の剥離強度Yよりも大きいことが好ましい。これにより、例えば熱暴走などの異常時に、収容体の内部で一気に大量のガスが発生した場合や、弁装置の弁機構の異常により弁装置が閉塞した場合などに、弁装置の代わりに、弁装置の取付け部と熱融着性樹脂層との間を優先的に開放させて、ガスを好適に放出させることができる。剥離強度Xと剥離強度Yとの差(X−Y)は、下限については、好ましくは約5N/15mm以上、より好ましくは約10N/15mm以上、上限については約40N/15mm以下、好ましい範囲としては5〜40N/15mm程度、より好ましくは10〜40N/15mm程度が挙げられる。
剥離強度X,Yは、それぞれ、弁装置の一次側と二次側の差圧が0.05MPa以上0.3MPa以下の範囲内に設定されている収容体において、適切に密封される程度であればよい。剥離強度Xは、下限については、好ましくは約75N/15mm以上、より好ましくは約100N/15mm以上が挙げられ、上限については、好ましくは約150N/15mm以下、より好ましくは約130N/15mm以下が挙げられ、好ましい範囲としては75〜150N/15mm程度、75〜130N/15mm程度、100〜150N/15mm程度、100〜130N/15mm程度が挙げられる。また、剥離強度Yは、下限については、好ましくは約70N/15mm以上、より好ましくは約90N/15mm以上が挙げられ、上限については、好ましくは約130N/15mm以下、より好ましくは約115N/15mm以下が挙げられ、好ましい範囲としては70〜130N/15mm程度、70〜115N/15mm程度、90〜130N/15mm程度、90〜115N/15mm程度が挙げられる。
<剥離強度X,Yの測定>
剥離強度X,Yは、それぞれ、25℃環境において、JIS K7127:1999の規定に準拠して行う。まず、剥離強度Xの測定については、各試験サンプルの熱融着性樹脂層同士の熱融着部から、幅が15mmとなるようにして、裁断して試験片を得る。また、剥離強度Yの測定については、各試験サンプルの弁装置と熱融着性樹脂層とが融着した状態で、熱融着性樹脂層が幅5mmとなるようにして裁断して試験片を得る。次に、各試験片を引張り試験機(例えば、島津製作所製、AG−Xplus)で熱融着性樹脂層を300mm/分の速度で4mm剥離させる。剥離時の最大強度を剥離強度(N/15mm)とした。なお、剥離強度Yについては、幅5mmで測定するため、実測値を3倍した数値を剥離強度Y(N/15mm)とする。チャック間距離は、50mm、剥離角度は180度である。それぞれ、3回測定した平均値とする。
また、収容体を構成している包装材料の引張破断強度は、100〜200N/15mm程度であることが好ましい。このような引張破断強度を備えていることにより、収容体は、例えば車載用や定置用の中型、大型の蓄電デバイスの大きな重量に耐えることができる。包装材料の引張破断強度は、次のようにして測定される値である。
<包装材料の引張破断強度の測定方法>
蓄電デバイス用外装材のMD(Machine Direction)、TD(Transverse Direction)における引張破断強度は、JIS K7127の規定に準拠した方法で引張り試験機(例えば、島津製作所製、AG−Xplus)を用いて測定する。なお、測定条件は、サンプル幅を15mmの矩形状、標線間距離を30mm、引張速度を100mm/分、試験環境は23℃とし、3回測定した平均値とする。なお、蓄電デバイス用外装材のMDは、アルミニウム合金箔の圧延方向(RD:Rolling Direction)に対応し、蓄電デバイス用外装材のTDが、アルミニウム合金箔のTDに対応しており、アルミニウム合金箔の圧延方向(RD)は圧延目により判別できる。アルミニウム合金箔の圧延目により蓄電デバイス用外装材のMDが特定できない場合は、次の方法により特定することができる。蓄電デバイス用外装材のMDの確認方法として、蓄電デバイス用外装材の熱融着性樹脂層の断面を電子顕微鏡で観察し海島構造を確認し、熱融着性樹脂層の厚み方向と垂直な方向の島の形状の径の平均が最大であった断面と平行な方向をMDと判断することができる。具体的には、熱融着性樹脂層の長さ方向の断面と、当該長さ方向の断面と平行な方向から10度ずつ角度を変更し、長さ方向の断面と垂直な方向までの各断面(合計10の断面)について、それぞれ、電子顕微鏡写真で観察して海島構造を確認する。次に、各断面において、それぞれ、個々の島の形状を観察する。個々の島の形状について、熱融着性樹脂層の厚み方向とは垂直方向の最左端と、当該垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を径yとする。各断面において、島の形状の当該径yが大きい順に上位20個の径yの平均を算出する。島の形状の当該径yの平均が最も大きかった断面と平行な方向をMDと判断する。
以下、本開示の蓄電デバイスに取り付けられる弁装置、及び蓄電デバイスの構造等の好ましい形態について、例示する。
弁装置は、第1部分と、第2部分とを含むことが好ましい。第1部分は、収容体の内部において発生したガスに起因して収容体の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させる弁機構が内部に形成された部分である。第2部分は、収容体の内部において発生したガスを弁機構へ誘導する通気路が内部に形成された部分である。
本開示の蓄電デバイスの収容体は、少なくとも、基材層、バリア層及び熱融着性樹脂層をこの順に有する積層体によって構成されており、収容体の周縁においては、熱融着性樹脂層が対向している。収容体の周縁には、対向する熱融着性樹脂層が互いに融着した周縁接合部が形成されている。弁装置において、第1部分は、周縁接合部の端縁よりも外側に位置していることが好ましい。また、第2部分の少なくとも一部は、周縁接合部において熱融着性樹脂層に挟まれている。
この蓄電デバイスにおいて、周縁接合部で熱融着性樹脂層に挟まれているのは弁装置の第2部分であり、弁装置の第1部分は熱融着性樹脂層に挟まれていないことが好ましい。この蓄電デバイスにおいては、対向する熱融着性樹脂層の融着時に第2部分と比較して第1部分に大きい圧力及び熱が加えられない。その結果、この蓄電デバイス用弁装置によれば、対向する熱融着性樹脂層の融着時に加えられる圧力及び熱に起因した、第1部分内の弁機構の故障を抑制することができる。
好ましくは、蓄電デバイスの厚み方向において、第1部分の長さは前記第2部分の長さよりも長く、第1部分と第2部分との境界には段差が形成されていてもよい。
この蓄電デバイスにおいては、少なくとも蓄電デバイスの厚み方向において第1部分が第2部分よりも長く、第1部分と第2部分との境界には段差が形成されていることが好ましい。したがって、この蓄電デバイスにおいては、蓄電デバイスの製造過程において第2部分を熱融着性樹脂層で挟む時に、仮に弁装置を収容体側に押し込み過ぎたとしても段差部分が積層体の端部に引っ掛かる。したがって、この蓄電デバイスによれば、蓄電デバイスの製造過程において、第1部分が誤って熱融着性樹脂層に挟まれる事態を抑制することができる。また、この蓄電デバイスにおいては、第1部分と第2部分との境界に段差が設けられていない場合と比較して、周縁接合部のうち第2部分が挟まれている部分における蓄電デバイスの厚み方向の長さと、周縁接合部のうち第2部分が挟まれていない部分における蓄電デバイスの厚み方向の長さとの差が小さい。したがって、周縁接合部のうち第2部分が挟まれている部分においては、熱融着性樹脂層に過度な熱量や圧力を加えることなく、熱融着性樹脂層同士が融着されている。その結果、この蓄電デバイスによれば、熱融着性樹脂層の薄肉化によるシール強度の低下や、絶縁性低下を抑制することができる。ここで、絶縁性低下は、熱融着性樹脂の部分的な薄肉化やクラック等によって、バリア(金属)層と電解液との間で通電が生じる現象である。
また、好ましくは、蓄電デバイスの幅方向における第2部分の長さは、蓄電デバイスの厚み方向における第2部分の長さよりも長くてもよい。
この蓄電デバイスにおいては、第2部分の断面形状が正円(面積は同一)である場合と比較して、蓄電デバイスの厚み方向における第2部分の長さが短い。すなわち、この蓄電デバイスにおいては、周縁接合部のうち第2部分が挟まれている部分における蓄電デバイスの厚み方向の長さと、周縁接合部のうち第2部分が挟まれていない部分における蓄電デバイスの厚み方向の長さとの差が小さい。したがって、周縁接合部のうち第2部分が挟まれている部分においては、熱融着性樹脂層に過度な熱量や圧力を加えることなく、熱融着性樹脂層同士が融着されている。その結果、この蓄電デバイスによれば、熱融着性樹脂層の薄肉化によるシール強度の低下や、絶縁性の低下を抑制することができる。
また、特に好ましくは、第2部分は、蓄電デバイスの幅方向の端部に近づくほど薄く形成された翼状延端部を有している。
この蓄電デバイスにおいては、第2部分に翼状延端部が設けられていない場合と比較して、周縁接合部のうち第2部分が挟まれていない部分から周縁接合部のうち第2部分が挟まれている部分へ移行する位置における蓄電デバイスの厚み方向の変化が滑らかである。したがって、第2部分が熱融着性樹脂層によって挟まれている位置と第2部分が熱融着性樹脂層に挟まれていない位置との境界において積層体に無理な力が加わっていない。その結果、この蓄電デバイスによれば、熱融着性樹脂層に過度な熱量や圧力を加えることなく適切に融着させることができるため、熱融着性樹脂の薄肉化によるシール強度の低下や、絶縁性の低下を抑制することができる。
また、好ましくは、上記通気路の断面形状は円形であってもよい。
また、好ましくは、蓄電デバイスの幅方向における上記通気路の断面の長さは、蓄電デバイスの厚み方向における上記通気路の断面の長さよりも長くてもよい。
また、第2部分は、上記通気路内に形成されたピラーを有してもよい。
第2部分の通気路内にピラーが形成されている場合、対向する熱融着性樹脂層に挟まれた第2部分に圧力及び熱が加えられたとしても、通気路が維持される。したがって、この蓄電デバイスによれば、対向する熱融着性樹脂層の融着時における第2部分内の通気路の破損を抑制することができる。
また、好ましくは、第2部分の外表面はナシ地であってもよい。
この蓄電デバイスにおいては、第2部分の外表面がナシ地であるため、第2部分に当接した位置において熱融着性樹脂が溶けやすい。したがって、この蓄電デバイスによれば、第2部分の外表面が滑らかな場合と比較して、弁装置の第2部分を収容体に強固に固定することができる。
また、好ましくは、第2部分の外表面には、周方向に延びる凸条部が少なくとも1つ形成されていてもよい。
凸条部は、熱融着性樹脂層に確実に接するため、積層体に融着しやすい。この蓄電デバイスにおいては、凸条部が第2部分の外表面の周方向に延びている。したがって、この蓄電デバイスによれば、第2部分の周方向において、熱融着性樹脂層と第2部分とを融着させることができる。また、この蓄電デバイスにおいては、第2部分に凸条部が形成されていない場合と比較して、第2部分の外表面と熱融着性樹脂との接触面積が大きくなっている。したがって、この蓄電デバイスによれば、弁装置の第2部分を収容体に比較的強固に固定することができる。また、凸条部を複数設けることによって、第2部分の収容体への固定をさらに強固にすることも可能である。
また、好ましくは、第2部分において、第1部分側とは反対側の端部の平面視における角が丸みを帯びていてもよい。
この蓄電デバイスによれば、たとえば、第1部分側とは反対側の端部が収容体の内部に位置する場合には、該端部が収容体内の蓄電デバイス素子を傷つける可能性を低減することができる。また、この蓄電デバイスによれば、収容体の内部において、該端部が熱融着性樹脂層を傷つけ、熱融着性樹脂層の絶縁性を低下させる可能性を低減することができる。
また、好ましくは、通気路の中心線を法線とする第2部分の断面の外形が多角形であり、該多角形の角が丸みを帯びていてもよい。
この蓄電デバイスによれば、たとえば、第2部分において第1部分側とは反対側の端部が収容体の内部に位置する場合には、第2部分のうち収容体内に位置する部分が収容体内の蓄電デバイス素子を傷つける可能性を低減することができ、かつ、第2部分のうち熱融着性樹脂層に挟まれている部分が熱融着性樹脂層を傷つけ、熱融着性樹脂層の絶縁性を低下させる可能性を低減することができる。また、この蓄電デバイスによれば、たとえば、第2部分において第1部分側とは反対側の端部が熱融着性樹脂層によって挟まれている場合には、第2部分が熱融着性樹脂層を傷つけ、熱融着性樹脂層の絶縁性を低下させる可能性を低減することができる。
また、好ましくは、第1部分及び第2部分の各々は異なる材料で構成されており、第1部分の材料の融点は、第2部分の材料の融点よりも高くてもよい。第1部分及び第2部分の材料としては、特に制限されず、たとえば、ポリプロピレン(PP)、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル樹脂などの樹脂や、ステンレス鋼やアルミニウムなどの金属が挙げられる。
この蓄電デバイスにおいては、対向する熱融着性樹脂層の融着時に第2部分に圧力及び熱が加えられたとしても、第1部分の材質の融点が第2部分の材質の融点よりも高いため、第1部分が熱によって変形する可能性が低い。したがって、この蓄電デバイスによれば、対向する熱融着性樹脂層の融着時における第1部分内の弁機構の故障を抑制することができる。
また、好ましくは、第1部分及び第2部分の少なくとも一方の外表面の少なくとも一部に平面が形成されていてもよい。
この蓄電デバイスにおいては、弁装置の外表面に平面が形成されているため、弁装置の転がりが防止される。したがって、この蓄電デバイスによれば、弁装置の収容体への取り付け時に、弁装置が転がらないため、弁装置の位置決めを容易に行なうことができる。
以下に、本開示の蓄電デバイス及び弁装置の具体的な実施の形態を例示する。ただし、本開示の蓄電デバイス及び弁装置は、以下のものに限定されない。
[1.実施の形態1]
<1−1.蓄電デバイスの概要>
図1は、本実施の形態1に従う蓄電デバイス10の平面図である。図2は、図1のII−II断面図である。蓄電デバイス10は、タブ300の正極と負極が反対側に配置されており、たとえば蓄電デバイスを多数直列接続して高電圧で使用する電気自動車やハイブリッド自動車等の電動車両用に配慮した形態である。
図1及び図2に示されるように、蓄電デバイス10は、収容体100と、蓄電デバイス素子400と、タブ300と、タブフィルム310と、弁装置200とを含んでいる。収容体100は、平面視矩形状を有しており、弁装置200は、収容体100のタブ300が存在している辺とは異なる位置に存在している。例えば車載用や定置用の中型、大型の蓄電デバイスにおいては、セルをスタックしてモジュール化するため、弁装置200は収容体100の周縁に設けることが好ましい。さらに、平面視矩形状の収容体100において、タブ300が位置する辺と同一の辺に弁装置200を取り付けると、タブ300と弁装置200とを同時に取り付けることができるため、生産効率に優れている。一方、図1のように、タブ300が位置する辺と異なる辺に弁装置200を取り付けると、弁装置200からガスを外部に放出する際に、タブ300にガスが付着してタブ300の接続等に悪影響を与えることが抑制される。
収容体100は、包装材料110,120を含んでいる。収容体100の周縁においては、包装材料110,120がヒートシールされ、周縁接合部130が形成されている。すなわち、周縁接合部130においては、包装材料110,120が互いに融着している。包装材料110,120については後程詳しく説明する。
蓄電デバイス素子400は、たとえば、リチウムイオン蓄電デバイスやキャパシタ等の蓄電部材である。蓄電デバイス素子400は、収容体100の内部に収容されている。蓄電デバイス素子400に異常が生じると、収容体100内においてガスが発生し得る。また、たとえば、蓄電デバイス素子400がキャパシタである場合には、キャパシタにおける化学反応に起因して収容体100内においてガスが発生し得る。
タブ300は、蓄電デバイス素子400における電力の入出力に用いられる金属端子である。タブ300の一方の端部は蓄電デバイス素子400の電極(正極又は負極)に電気的に接続されており、他方の端部は収容体100の端縁から外側に突出している。
タブ300を構成する金属材料は、たとえば、アルミニウム、ニッケル、銅等である。たとえば、蓄電デバイス素子400がリチウムイオン蓄電デバイスである場合、正極に接続されるタブ300は、通常、アルミニウム等によって構成され、負極に接続されるタブ300は、通常、銅、ニッケル等によって構成される。
蓄電デバイス10においては、2つのタブ300が含まれている。一方のタブ300は、収容体100における矢印L方向の端部において、タブフィルム310を介して包装材料110,120に挟まれている。他方のタブ300は、収容体100における矢印R方向の端部において、タブフィルム310を介して包装材料110,120に挟まれている。
タブフィルム310は、接着性保護フィルムであり、包装材料110,120及びタブ300(金属)の両方と接着するように構成されている。タブフィルム310を介することによって、金属製のタブ300を包装材料110,120で固定することができる。また、タブフィルム310は、特に高電圧で用いる場合、耐熱層あるいは耐熱成分を含み、短絡防止機能を有することが好ましい。
弁装置200は、収容体100の内部と連通しており、収容体100内で発生したガスに起因して収容体100内の圧力が所定値以上となった場合に、収容体100内のガスを外部に放出するように構成されている。弁装置200の筐体は、包装材料110,120の最内層と直に接着する材料が好ましく、包装材料110,120の最内層と同じ熱融着性を備えた樹脂、たとえば、ポリプロピレン(PP)等の樹脂によって構成されているのが好ましい。仮に耐熱性等の理由でPP以外の異材質を使用する場合、タブに使用するタブフィルムと同様に、その異材質とPPの両方に接着可能なフィルムを介在してシールする方法が有効である。弁装置200の矢印B方向の端部側は、収容体100の矢印F方向の端部側において、包装材料110,120に挟まれている。弁装置200については、後程詳しく説明する。
本実施の形態1に従う蓄電デバイス10においては、弁装置200を収容体100に取り付けるに当たって、様々な構造上の工夫が採用されている。以下、収容体100の構成、弁装置200の構成、収容体100への弁装置200の取付け状態、及び、蓄電デバイス10の製造方法について順に説明する。
なお、矢印LRUDFBの各々が示す方向は、各図面において共通である。以下では、矢印LR方向を「蓄電デバイス10の幅方向」とも称し、矢印UD方向を「蓄電デバイス10の厚み方向」とも称する。
<1−2.収容体の構成>
図3は、収容体100を示す図である。図3に示されるように、収容体100は、包装材料110,120を含んでいる。包装材料110,120の各々は、いわゆるラミネートフィルムで構成されており、平面視における形状は略同一の矩形形状である。
包装材料110は、空間S1が形成されるように成形された成形部112と、成形部112から矢印FB方向及び矢印LR方向に延びるフランジ部114とを含んでいる。成形部112においては、矢印U方向の面が開放されている。該開放されている面を通じて、蓄電デバイス素子400(図1)が空間S1内に配置される。
図4は、包装材料110,120の断面構造の一例を示す図である。図4に示されるように、包装材料110,120の各々は、基材層31、接着剤層32、バリア層33、接着層34及び熱融着性樹脂層35がこの順に積層された積層体である。なお、包装材料110,120の各々は、必ずしも図4に示される各層を含む必要はなく、少なくとも、基材層31、バリア層33及び熱融着性樹脂層35をこの順に有していればよい。
収容体100においては、基材層31が最外層側となり、熱融着性樹脂層35が最内層となる。蓄電デバイス10の組立て時に、空間S1(図3)内に蓄電デバイス素子400(図2)が配置された状態で、包装材料110,120の各々の周縁に位置する熱融着性樹脂層35同士を熱融着することによって、周縁接合部130が形成され、蓄電デバイス素子400が収容体100内に密封され、弁装置200が周縁接合部130に融着して固定され、さらに、タブ300もタブフィルム310を介して周縁接合部130に融着して固定される。以下、包装材料110,120に含まれる各層について説明する。なお、包装材料110,120の厚さとしては、たとえば、50〜250μm程度、好ましくは90〜200μm程度が挙げられる。
(1−2−1.基材層)
基材層31は、包装材料110,120の基材として機能する層であり、収容体100の最外層側を形成する層である。
基材層31を形成する素材は、絶縁性を備えることを限度として特に制限されない。基材層31を形成する素材としては、たとえば、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ、アクリル、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリカーボネート及びこれらの混合物や共重合物等が挙げられる。基材層31は、たとえば、上記の樹脂により形成された樹脂フィルムであってもよいし、上記の樹脂を塗布して形成したものであってもよい。樹脂フィルムは、未延伸フィルムであってもよいし、延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムとしては、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムが挙げられ、二軸延伸フィルムが好ましい。二軸延伸フィルムを形成する延伸方法としては、例えば、逐次二軸延伸法、インフレーション法、同時二軸延伸法等が挙げられる。さらに、基材層31は、単層であってもよいし、2層以上により構成されていてもよい。基材層31が2層以上により構成されている場合、基材層31は、樹脂フィルムを接着剤などで積層させた積層体であってもよいし、樹脂を共押出しして2層以上とした樹脂フィルムの積層体であってもよい。また、樹脂を共押出しして2層以上とした樹脂フィルムの積層体を、未延伸のまま基材層31としてもよいし、一軸延伸または二軸延伸して基材層31としてもよい。基材層31が、2層以上の樹脂フィルムの積層体の具体例としては、ポリエステルフィルムとナイロンフィルムとの積層体、2層以上のナイロンフィルムの積層体、2層以上のポリエステルフィルムの積層体などが挙げられ、好ましくは、延伸ナイロンフィルムと延伸ポリエステルフィルムとの積層体、2層以上の延伸ナイロンフィルムの積層体、2層以上の延伸ポリエステルフィルムの積層体が好ましい。例えば、基材層31が2層の樹脂フィルムの積層体である場合、ポリエステル樹脂フィルムとポリエステル樹脂フィルムの積層体、ポリアミド樹脂フィルムとポリアミド樹脂フィルムの積層体、またはポリエステル樹脂フィルムとポリアミド樹脂フィルムの積層体が好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムの積層体、ナイロンフィルムとナイロンフィルムの積層体、またはポリエチレンテレフタレートフィルムとナイロンフィルムの積層体がより好ましい。また、ポリエステル樹脂は、基材層31の最外層に位置することが好ましい。
基材層31の厚さとしては、たとえば、3〜50μm程度、好ましくは10〜35μm程度が挙げられる。
(1−2−2.接着剤層)
接着剤層32は、基材層31を強固に接着するために、基材層31上に必要に応じて配置される層である。すなわち、接着剤層32は、基材層31とバリア層33との間に必要に応じて設けられる。
接着剤層32は、基材層31とバリア層33とを接着可能な接着剤によって形成される。接着剤層32の形成に使用される接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよいし、1液硬化型接着剤であってもよい。また、接着剤層32の形成に使用される接着剤の接着機構は、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型及び熱圧着型等のいずれであってもよい。
接着剤層32の厚さとしては、たとえば、1〜10μm程度、好ましくは2〜5μm程度が挙げられる。
(1−2−3.バリア層)
バリア層33は、包装材料110,120の強度向上の他、蓄電デバイス10内に水蒸気、酸素、光等が侵入することを防止する機能を有する層である。バリア層33を構成する金属としては、たとえば、アルミニウム、ステンレス、チタン等が挙げられ、好ましくはアルミニウムが挙げられる。バリア層33は、たとえば、金属箔や金属蒸着膜、無機酸化物蒸着膜、炭素含有無機酸化物蒸着膜、及び、これらの蒸着膜を設けたフィルム等により形成することができ、金属箔により形成することが好ましく、アルミニウム箔により形成することがさらに好ましい。各包装材料の製造時に、バリア層33にしわやピンホールが発生することを防止する観点からは、バリア層は、たとえば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS H4160:1994 A8021H−O、JIS H4160:1994 A8079H−O、JIS H4000:2014 A8021P−O、JIS H4000:2014 A8079P−O)等軟質アルミニウム箔により形成することがより好ましい。
バリア層33は、平均結晶粒径が20μm以下のアルミニウム箔により構成されていることが特に好ましい。このようなアルミニウム箔は、成形性に優れている。アルミニウム箔の平均結晶粒径は、アルミニウム箔の厚み方向の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、視野内に位置する100個のアルミニウム合金の結晶粒33aについて、図31の模式図に示されるように、個々の結晶粒の厚み方向とは垂直方向の最左端と、厚み方向とは垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を最大径xとした際、100個の結晶粒の当該最大径xの平均値を意味する。なお、図31は模式図であるため、描画を省略し、結晶粒33aを100個描いてない。
バリア層33の厚みは、水蒸気等のバリア層として機能すれば特に制限されないが、たとえば、10〜100μm程度、好ましくは30〜100μm程度、より好ましくは20〜80μm程度とすることができる。なお、蓄電デバイスが車載用、定置用などの中型、大型の蓄電デバイスである場合には、収容体に十分な大きさの成形部を形成しつつ、高い強度を担保する観点から、バリア層33の厚みは、30〜100μm程度であることが好ましい。
(1−2−4.接着層)
接着層34は、熱融着性樹脂層35を強固に接着するために、バリア層33と熱融着性樹脂層35との間に、必要に応じて設けられる層である。
接着層34は、バリア層33と熱融着性樹脂層35とを接着可能な接着剤によって形成される。接着層34の形成に使用される接着剤の組成は、特に制限されないが、たとえば、酸変性ポリオレフィンを含む樹脂組成物である。酸変性ポリオレフィンとしては、酸変性されたポリオレフィンであれば特に制限されないが、好ましくは不飽和カルボン酸又はその無水物でグラフト変性されたポリオレフィンが挙げられる。
接着層34の厚さとしては、たとえば、1〜50μm程度、好ましくは2〜40μm程度が挙げられる。
(1−2−5.熱融着性樹脂層)
熱融着性樹脂層35は、収容体100の最内層を形成する。熱融着性樹脂層35は、収容体100の周縁において、対向する熱融着性樹脂層と熱融着することによって、蓄電デバイス素子400を収容体100内に密封する。また、熱融着性樹脂が一定の膜厚以上でバリア層を覆う事で、電解液とバリア層としての金属との絶縁性を保つことができる。
熱融着性樹脂層35に使用される樹脂成分は、熱融着可能であることを限度として特に制限されないが、たとえば、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン等である。
ポリオレフィンとしては、たとえば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(たとえば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(たとえば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等の結晶性又は非晶性のポリプロピレン;エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマー等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。また、酸変性ポリオレフィンとしては、酸変性されたポリオレフィンであれば特に制限されないが、好ましくは不飽和カルボン酸又はその無水物でグラフト変性されたポリオレフィンが挙げられる。
また、熱融着性樹脂層35の厚さとしては、特に制限されないが、車載用や定置用などの中型、大型の蓄電デバイスの密封性を高める観点から、下限については、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上が挙げられ、上限については、好ましくは100μm以下、より好ましくは90μm以下、さらに好ましくは80μm以下が挙げられ、好ましい範囲としては、30〜100μm程度、30〜90μm程度、30〜80μm程度、50〜100μm程度、50〜90μm程度、50〜80μm程度が挙げられる。なお、熱融着性樹脂層35が複数の層によって構成されている場合には、合計の厚みがこれらの厚みになることが好ましい。熱融着性樹脂層の厚みが30μmを下回ると、中型、大型の蓄電デバイスの密封性が低下する場合があり、100μmを超えると、シール時に熱融着性樹脂層が潰れる量が多くなり、潰れた熱融着性樹脂層が収容体の内部に大きく押し出された部分が形成され、この部分がクラックの起点となって絶縁性が低下する可能性が高まる。
熱融着性樹脂層は、示差走査熱量計で測定した場合に、150〜165℃の範囲に融解ピークが観察されることが好ましい。車載用、定置用などの中型、大型の蓄電デバイスは、容量が大きい。また、キャパシタは、大電流で高出力の入出力が可能である。よって、これらの蓄電デバイスは、例えばモバイルバッテリーなどと比較すると、発熱しやすく、設置環境も高温になる場合がある。熱融着性樹脂層の融解ピークが前記の範囲に観察されることにより、これらの蓄電デバイスにおいても、熱融着性樹脂層による十分な密着性を担保し得る。
<1−3.弁装置の構成>
図5は、弁装置200の平面図である。図5に示されるように、弁装置200は、弁機能部210と、シール取付け部220とを含んでいる。詳細については後述するが、シール取付け部220は、少なくともその一部が、包装材料110,120(図2)に挟まれて固定されている部分であり、ヒートシールされることで、シール取付け部220の外側の周面と包装材料110,120の最内層である熱融着性樹脂層35とが融着して接合された状態となっている。
シール取付け部220において、矢印B方向の端部の角にはRが形成されている。すなわち、シール取付け部220において、弁機能部210側とは反対側の端部の平面視における角にはR(たとえば、R=0.2mm〜2.0mm)が形成されている。なお、本開示においては、角が丸みを帯びていることを「Rが形成されている」として表現する。ここで「Rが形成されている」とは、構造的には、面取り加工がされたのと同様で、角が丸みを帯びた状態を意味しており、さらには「R」単独で、この角の丸みの半径を意味するものとして使用する。なお、弁装置200の製造工程において発生する尖った角に対して面取り加工を施して角に丸みをつける(Rを形成する)ことも可能であるが、弁装置200の筐体が樹脂成形品である場合には、最初から丸みを帯びた角を備えるように成形することで切削等の面取り加工なしでRを形成することも可能である。
図6は、図5のVI−VI断面図である。図6に示されるように、弁装置200において、弁機能部210及びシール取付け部220の各々の断面は正円形状であり、シール取付け部220の内部には通気路A1が形成されている。通気路A1の断面は、正円形状である。
弁装置200において、蓄電デバイス10の厚み方向(矢印UD方向)における弁機能部210の長さL2は、蓄電デバイス10の厚み方向におけるシール取付け部220の長さL1よりも長い。蓄電デバイス10の幅方向(矢印LR方向)における弁機能部210の長さL2は、蓄電デバイス10の幅方向におけるシール取付け部220の長さL1よりも長い。すなわち、弁機能部210の断面の直径は、シール取付け部220の断面の直径よりも長い。その結果、弁機能部210とシール取付け部220との境界には段差が形成されている(図5)。
図7は、図5のVII−VII断面図である。図7に示されるように、シール取付け部220の矢印B方向の端部には、R(たとえば、R=0.2mm〜2.0mm)が形成されている。また、シール取付け部220の内部には、通気路A1が形成されている。通気路A1は、たとえば、収容体100内において発生したガスを弁機能部210へ誘導する。
弁機能部210の内部には、収容体100(図1)内において発生したガスを排出するように構成された弁機構が設けられている。具体的には、弁機能部210は、弁座212と、ボール214と、バネ216と、メンブレン218とを含んでいる。すなわち、弁機能部210には、ボールスプリング型の弁機構が設けられている。なお、弁機能部210内に設けられる弁機構は、ガスに起因して上昇した収容体100内の圧力を低減可能であれば特に制限されず、たとえば、ポペット型、ダックビル型、アンブレラ型、ダイヤフラム型等の弁機構であってもよい。また、弁座212は、例えばOリングであってもよいし、弁機能部210のうちボール214と接触する部分を弁座212としてもよい。弁機能部210の一部を弁座212とする場合には、弁機能部210と弁座212とは一体となる。
弁座は、フッ素ゴムなどの弾性体、ステンレスなどの金属、樹脂等により構成されている。弁座の表面は、PTFEなどによってコートされていてもよい。また、ボール214は、例えばフッ素ゴムなどの弾性体によって構成されていてもよい。ボール214は、ステンレスなどの金属や、樹脂で構成されてもよい。バネ216は、たとえば、ステンレスによって構成されている。メンブレン218は、たとえば、10-2〜100μm程度のポアー直径(pore diameter)を有し、電解液を漏らさず、ガスのみを透過(選択透過)するようなPTFEメンブレンによって構成されている。なお、PTFEとは、ポリテトラフルオロエチレン (polytetrafluoroethylene)の意である。また、PTFEメンブレンは柔らかい材質の為、強度が不足する場合はポリプロピレンやポリエステルなどのメッシュや不織布と一体成型して補強したものを用いることもできる。なお、例えば図7などには、メンブレン218が弁機能部210に設けられている図を示しているが、弁機能部210への液体(例えば電解液)の侵入を抑制する観点からは、メンブレン218は、シール取付け部220(例えば通気路A1)に設けられていることが好ましい。弁機能部210に電解液などが付着すると、電解液の塩成分が結晶化することなどによって、弁機能が阻害される場合がある。
弁装置200が収容体100に取り付けられた状態で、収容体100内の圧力が所定圧力に達すると、通気路A1から誘導されたガスがボール214を矢印F方向に押圧する。ボール214が押圧されバネ216が縮むと、収容体100内のガスは、ボール214と弁座212との間に形成された隙間を通り、メンブレン218を透過して、排気口O1から収容体100の外部に排出される。
<1−4.弁装置の取付け状態>
図8は、図1のVIII−VIII断面図であり、弁装置200の取付け状態を説明するための図である。図8に示されるように、弁装置200の弁機能部210は、周縁接合部130の端縁よりも外側に位置している。一方、弁装置200のシール取付け部220の一部分は、周縁接合部130において、包装材料110の熱融着性樹脂層35と包装材料120の熱融着性樹脂層35との間に挟まれて、シール取付け部220の外側の周面と包装材料110,120の最内層である熱融着性樹脂層35とが融着して接合された状態となっている。なお、図8では、弁装置200が包装材料110、120の最内層である熱融着性樹脂層35と融着して接合された状態であることを説明するため、便宜的に、熱融着性樹脂層35を周縁接合部130付近のみ部分的に図示しているが、熱融着性樹脂層35は包装材料110,120の全面に備えられている。
本実施の形態1に従う蓄電デバイス10において、シール取付け部220が周縁接合部130において熱融着性樹脂層35に挟まれ、弁機能部210が周縁接合部130において熱融着性樹脂層35に挟まれていない理由について次に説明する。
仮に、弁機能部210が周縁接合部130において熱融着性樹脂層35に挟まれるとする。この場合には、包装材料110,120の周縁において熱融着性樹脂層35を互いに融着する時(ヒートシールする時)に、加えられる熱及び圧力によって弁機能部210内の弁機構が故障する可能性がある。
本実施の形態1に従う蓄電デバイス10において、周縁接合部130で熱融着性樹脂層35に挟まれているのはシール取付け部220であり、弁機能部210は熱融着性樹脂層35に挟まれていない。したがって、蓄電デバイス10においては、ヒートシール時に弁機能部210に大きい圧力及び熱が加えられない。すなわち、蓄電デバイス10においては、弁機能部210を熱融着性樹脂層35によって挟まないことによって、ヒートシール時に加えられる圧力及び熱に起因した弁機構の故障が抑制されている。
また、本実施の形態1に従う蓄電デバイス10においては、上述のように、シール取付け部220の断面の直径が弁機能部210の断面の直径よりも短い。したがって、シール取付け部220の断面の直径が弁機能部210の断面の直径以上である場合と比較して、周縁接合部130のうちシール取付け部220が挟まれている部分における蓄電デバイスの厚み方向の長さL4と、周縁接合部130のうちシール取付け部220が挟まれていない部分における蓄電デバイスの厚み方向の長さL3との差が小さい。この差が大きいほど、シール取付け部220の外側の周面が包装材料110,120の最内層である熱融着性樹脂層35と融着して隙間なく接合された状態とするために、ヒートシールの圧力を大きくする必要が生じる。その結果、ヒートシールのために収容体100の周縁に加えられる圧力が大きくなる。該圧力が大きくなると、特にシール取付け部220が挟まれている位置において、さらにはタブフィルム310とタブ300が挟まれている位置において、熱融着性樹脂層35が薄くなる可能性がある。熱融着性樹脂層35が薄くなると、蓄電デバイス10において絶縁破壊が生じる可能性がある。
本実施の形態1に従う蓄電デバイス10においては、上述のように、長さL4と長さL3との差が小さい。したがって、ヒートシール機によって収容体100の周縁を挟んだ時に、収容体100の周縁全体において熱融着性樹脂層35に適切に圧力及び熱が加えられる。その結果、蓄電デバイス10によれば、蓄電デバイス10において絶縁破壊が生じる可能性を低減しつつ、対向する熱融着性樹脂層35を適切に融着させ、シール取付け部220を収容体100に強固に固定することができる。
また、本実施の形態1に従う蓄電デバイス10においては、シール取付け部220の矢印B方向の端部が、フランジ部114よりも空間S1内に突出している。したがって、蓄電デバイス10の使用状況によっては、シール取付け部220の矢印B方向の端部が蓄電デバイス素子400に接触する可能性がある。本実施の形態1に従う蓄電デバイス10においては、上述のように、シール取付け部220の矢印B方向の端部にRが形成されている(図5)。したがって、仮にシール取付け部220の端部が蓄電デバイス素子400に接触したとしても、該端部が蓄電デバイス素子400を傷つける可能性は低い。また、蓄電デバイス10の使用状況によっては、シール取付け部220の矢印B方向の端部が包装材料120の熱融着性樹脂層35に接触する可能性がある。本実施の形態1に従う蓄電デバイス10においては、上述のように、シール取付け部220の矢印B方向の端部にRが形成されているため、仮にシール取付け部220の端部が包装材料120の熱融着性樹脂層35に接触したとしても、該端部が熱融着性樹脂層35を傷つける可能性は低い。
<1−5.製造方法>
図9は、蓄電デバイス10の製造手順を示すフローチャートである。たとえば、蓄電デバイス10は、製造装置によって製造される。
図9を参照して、製造装置は、収容体100内に各部品を載置する(ステップS100)。たとえば、製造装置は、タブフィルム310付きタブ300が溶接によって電気的に接続された蓄電デバイス素子400を包装材料110内の空間S1に載置することによって、包装材料110のフランジ部114の上にタブフィルム310付きタブ300が載置された状態とし、次に、包装材料110のフランジ部114の上に弁装置200を載置する。なお、包装材料110内の空間S1に蓄電デバイス素子400を載置し、その次に、タブフィルム310付きタブ300を蓄電デバイス素子400に溶接して電気的に接続すると共に包装材料110のフランジ部114の上にタブフィルム310付きタブ300が載置された状態とし、次に、包装材料110のフランジ部114の上に弁装置200を載置することも可能である。そして、製造装置は、包装材料110上に包装材料120を載置する。
図10は、包装材料110のフランジ部114と包装材料120との間に弁装置200を載置する動作を示す図である。図10に示されるように、弁機能部210とシール取付け部220との間には段差が形成されている。したがって、シール取付け部220を包装材料110,120で挟む時に、仮に弁装置200を収容体100側に押し込み過ぎたとしても段差部分が包装材料110,120の端部に引っ掛かる。したがって、蓄電デバイス10によれば、蓄電デバイス10の製造過程において、弁機能部210が誤って包装材料110,120(熱融着性樹脂層35)に挟まれる事態を抑制することができる。
各部品の載置が完了すると、製造装置は、収容体100の周縁をヒートシールする(ステップS110)。すなわち、製造装置は、収容体100の周縁を挟み、収容体100の周縁に圧力及び熱を加える。これにより、収容体100の周縁において、対向する熱融着性樹脂層35が互いに融着し、周縁接合部130が形成される。そして、蓄電デバイス素子400が収容体100内に密封され、弁装置200が周縁接合部130に融着して固定され、さらに、タブ300もタブフィルム310を介して周縁接合部130に融着して固定され、蓄電デバイス10が完成する。なお、ヒートシール工程においては、収容体100の内部の脱気を行うことで、収容体100の内部に不要なガスが含まれない状態としている。具体的には、全周を接合せずに、一部に未接合状態の周縁を残しておき、この未接合状態の周縁から脱気して、最後に未接合状態の周縁に圧力及び熱を加えて全周の周縁接合部130を完成させるものであり、さらには、電解液を必要とする蓄電デバイスの場合には、全周を接合せずに、一部に未接合状態の周縁を残しておき、この未接合状態の周縁から電解液を注入して、脱気して、最後に未接合状態の周縁に圧力及び熱を加えて全周の周縁接合部130を完成することもある。
また、製造装置のシールバーのうち収容体100の周縁を挟む面の形状を、シール取付け部220の外形に沿う形状とすることも有効である。この場合には、シール取付け部220が挟まれた位置における熱融着性樹脂層35同士の接着がより強固になる。この場合であっても、包装材料110,120の変形や負荷を低減するために、後述の実施の形態2のように、シール取付け部220の形状を扁平形状とすることが有効である。
<1−6.特徴>
以上のように、本実施の形態1に従う蓄電デバイス10においては、弁装置200のシール取付け部220の少なくとも一部が周縁接合部130において熱融着性樹脂層35に挟まれており、弁装置200の弁機能部210が周縁接合部130において熱融着性樹脂層35に挟まれていない。したがって、蓄電デバイス10においては、対向する熱融着性樹脂層35の融着時にシール取付け部220と比較して弁機能部210に大きい圧力及び熱が加えられない。その結果、蓄電デバイス10によれば、対向する熱融着性樹脂層35の融着時に加えられる圧力及び熱に起因した弁機能部210内の弁機構の故障を抑制することができる。
なお、蓄電デバイス素子400は、本開示の「蓄電デバイス素子」の一例であり、収容体100は、本開示の「収容体」の一例であり、弁装置200は、本開示の「弁装置」の一例である。基材層31は、本開示の「基材層」の一例であり、バリア層33は、本開示の「バリア層」の一例であり、熱融着性樹脂層35は、本開示の「熱融着性樹脂層」の一例である。周縁接合部130は、本開示の「周縁接合部」の一例である。弁機能部210は、本開示の「第1部分」の一例であり、シール取付け部220は、本開示の「第2部分」の一例である。通気路A1は、本開示の「通気路」の一例である。
また、収容体100内の空間S1に蓄電デバイス素子400が収容されていることを理解し易く説明するため、便宜的に、収容体100の空間S1に対して蓄電デバイス素子400を小さいサイズで図示しているが、製造工程において空間S1に蓄電デバイス素子400を載置するため、空間S1は蓄電デバイス素子400よりも若干大きいが、製造工程において前述したように脱気するので、最終的な蓄電デバイス10の状態では、空間S1は脱気に伴い若干縮小して蓄電デバイス素子400と略同じサイズとなり、ほとんど隙間なく空間S1に蓄電デバイス素子400が収容された状態となっている。
[2.実施の形態2]
本実施の形態2においては、上記実施の形態1と比較して、弁装置の構成が異なる。他の構成は、基本的に実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と異なる部分について説明する。
図11は、本実施の形態2に従う蓄電デバイスに搭載されている弁装置200Aの平面図である。図11に示されるように、弁装置200Aは、弁機能部210Aと、シール取付け部220Aとを含んでいる。シール取付け部220Aは、少なくともその一部が、包装材料110,120に挟まれて、ヒートシールされる部分である。シール取付け部220Aは、実施の形態1と比較して、断面形状が異なる。弁機能部210Aは、基本的には実施の形態1と同様であるが、シール取付け部220A内に形成されている通気路A6(図12)の形状の違いに応じて、筐体及び弁機構の形状が一部変更されている。
図12は、図11のXII−XII断面図である。図12に示されるように、シール取付け部220Aの断面において、蓄電デバイスの幅方向(矢印LR方向)の長さL5は、蓄電デバイスの厚み方向(矢印UD方向)の長さL6よりも長い。より具体的には、シール取付け部220Aの断面形状は、楕円形状である。
シール取付け部220Aの内部には通気路A6が形成されている。通気路A6においても、蓄電デバイスの幅方向の長さは、蓄電デバイスの厚み方向の長さよりも長い。より具体的には、通気路A6の断面形状は、楕円形状である。
このように、本実施の形態2においては、シール取付け部220Aの断面において、蓄電デバイスの幅方向の長さL5が、蓄電デバイスの厚み方向の長さL6よりも長い。すなわち、シール取付け部の断面形状が正円(面積は同一)である場合と比較して、蓄電デバイスの厚み方向におけるシール取付け部220Aの長さが短い。この蓄電デバイスにおいては、周縁接合部130のうちシール取付け部220Aが挟まれている部分における蓄電デバイスの厚み方向の長さと、周縁接合部130のうちシール取付け部220Aが挟まれていない部分における蓄電デバイスの厚み方向の長さとの差がより小さくなっている。したがって、この蓄電デバイスによれば、収容体100の周縁全体において熱融着性樹脂層35に適切に圧力及び熱を加えることができ、対向する熱融着性樹脂層35を適切に融着させることができるため、弁装置200Aのシール取付け部220Aを収容体100に強固に固定することができる。
なお、弁装置200Aは、本開示の「弁装置」の一例であり、弁機能部210Aは、本開示の「第1部分」の一例であり、シール取付け部220Aは、本開示の「第2部分」の一例である。通気路A6は、本開示の「通気路」の一例である。
[3.実施の形態3]
実施の形態3においては、上記実施の形態1と比較して、弁装置の構成が異なる。他の構成は、基本的に実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と異なる部分について説明する。
図13は、本実施の形態3に従う蓄電デバイスに搭載されている弁装置200Bの平面図である。図13に示されるように、弁装置200Bは、弁機能部210Bと、シール取付け部220Bとを含んでいる。シール取付け部220Bは、少なくともその一部が、包装材料110,120に挟まれて、ヒートシールされる部分である。シール取付け部220Bは、実施の形態1と比較して、断面形状が異なる。弁機能部210Bは、基本的には実施の形態1と同様であるが、シール取付け部220B内に形成されている通気路A7(図14)の形状の違いに応じて、筐体及び弁機構の形状が一部変更されている。
図14は、図13のXIV−XIV断面図である。図14に示されるように、シール取付け部220Bにおいては、蓄電デバイスの幅方向(矢印LR方向)の両端部に翼状延端部40,41が形成されている。翼状延端部40,41の各々は、蓄電デバイスの幅方向の端部に近づくほど薄くなる形状を有している。また、別の観点からは、翼状延端部40,41の各々は、シール取付け部220Bの他の部分(円形部分)と比較して、矢印LR方向において、蓄電デバイスの厚み方向の長さの変化が緩やかな部分ともいえる。
本実施の形態3に従う蓄電デバイスにおいては、実施の形態1(シール取付け部220Bに翼状延端部40,41が設けられていない場合)と比較して、周縁接合部130のうちシール取付け部220Bが挟まれていない部分から周縁接合部130のうちシール取付け部220Bが挟まれている部分へ移行する位置における蓄電デバイスの厚み方向の変化が滑らかである。したがって、この蓄電デバイスによれば、シール取付け部220Bが熱融着性樹脂層35によって挟まれている位置とシール取付け部220Bが熱融着性樹脂層35に挟まれていない位置との境界において包装材料110,120に無理な力が加わらないため、弁装置200Bのシール取付け部220Bを収容体100に強固に固定することができる。
なお、弁装置200Bは、本開示の「弁装置」の一例であり、弁機能部210Bは、本開示の「第1部分」の一例であり、シール取付け部220Bは、本開示の「第2部分」の一例である。翼状延端部40,41は、本開示の「翼状延端部」の一例である。通気路A7は、本開示の「通気路」の一例である。
[4.実施の形態4]
本実施の形態4においては、上記実施の形態1と比較して、弁装置の構成が異なる。他の構成は、基本的に実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と異なる部分について説明する。
図15は、本実施の形態4に従う蓄電デバイスに搭載されている弁装置200Cの平面図である。図15に示されるように、弁装置200Cは、弁機能部210Cと、シール取付け部220Cとを含んでいる。シール取付け部220Cは、少なくともその一部が、包装材料110,120に挟まれて、ヒートシールされる部分である。シール取付け部220Cは、実施の形態1と比較して、断面形状が異なる。弁機能部210Cは、基本的には実施の形態1と同様であるが、シール取付け部220C内に形成されている通気路A2(図16)の形状の違いに応じて、筐体及び弁機構の形状が一部変更されている。
図16は、図15のXVI−XVI断面図である。図16に示されるように、シール取付け部220C内(通気路A2内)には、ピラー50,51が形成されている。ピラー50,51の各々は、蓄電デバイスの厚み方向(矢印UD方向)に延び、蓄電デバイスの厚み方向の両端がシール取付け部220Cの内周に接続されている。また、ピラー50,51の各々は、通気路A2内において矢印FB方向に延びている(図15)。なお、ピラーの数は、必ずしも2本である必要はなく、少なくとも1本あればよい。
本実施の形態4に従う蓄電デバイスにおいては、通気路A2内にピラー50,51が形成されているため、対向する熱融着性樹脂層35に挟まれたシール取付け部220Cに圧力及び熱が加えられたとしても、通気路A2が維持される。したがって、この蓄電デバイスによれば、対向する熱融着性樹脂層35の融着時におけるシール取付け部220C内の通気路A2の破損を抑制することができる。
なお、弁装置200Cは、本開示の「弁装置」の一例であり、弁機能部210Cは、本開示の「第1部分」の一例であり、シール取付け部220Cは、本開示の「第2部分」の一例である。ピラー50,51は、本開示の「ピラー」の一例である。通気路A2は、本開示の「通気路」の一例である。
[5.実施の形態5]
本実施の形態5においては、上記実施の形態1と比較して、弁装置の構成が異なる。他の構成は、基本的に実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と異なる部分について説明する。
図17は、本実施の形態5に従う蓄電デバイスに搭載されている弁装置200Dの平面図である。図17に示されるように、弁装置200Dは、弁機能部210と、シール取付け部220Dとを含んでいる。弁機能部210の構成は、実施の形態1と同様である。
シール取付け部220Dは、少なくともその一部が、包装材料110,120に挟まれて、ヒートシールされる部分である。シール取付け部220Dは、実施の形態1と比較して、外表面が異なる。具体的には、シール取付け部220Dの外表面はナシ地となっている。該ナシ地の表面粗さRaは、たとえば、1μm〜20μmである。
本実施の形態5に従う蓄電デバイスにおいては、シール取付け部220Dの外表面がナシ地であるため、シール取付け部220Dに当接した位置において熱融着性樹脂が溶けやすい。したがって、この蓄電デバイスによれば、実施の形態1(シール取付け部220Dの外表面が滑らかな場合)と比較して、弁装置200Dのシール取付け部220Dを収容体100に強固に固定することができる。
なお、弁装置200Dは、本開示の「弁装置」の一例であり、シール取付け部220Dは、本開示の「第2部分」の一例である。
[6.実施の形態6]
本実施の形態6においては、上記実施の形態1と比較して、弁装置の構成が異なる。他の構成は、基本的に実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と異なる部分について説明する。
図18は、本実施の形態6に従う蓄電デバイスに搭載されている弁装置200Eの平面図である。図18に示されるように、弁装置200Eは、弁機能部210と、シール取付け部220Eとを含んでいる。弁機能部210の構成は、実施の形態1と同様である。
シール取付け部220Eは、少なくともその一部が、包装材料110,120に挟まれて、ヒートシールされる部分である。シール取付け部220Eは、実施の形態1と比較して、外表面が異なる。具体的には、シール取付け部220Eの外表面には、周方向に一周連続して延びる凸条部60が形成されている。凸条部60は、シール取付け部220Eにおいて、矢印FB方向に3本形成されている。なお、凸条部60は、必ずしも3本である必要はなく、少なくとも1本形成されていればよい。
図19は、図18のXIX−XIX断面図である。図19に示されるように、凸条部60の断面は、半円形状である。該半円形状のRは、たとえば、0.05mm〜1.0mmである。シール取付け部220Eのうち、凸条部60が形成されている部分における直径L12(蓄電デバイスの厚み方向の長さ、蓄電デバイスの幅方向の長さ)は、凸条部60が形成されていない部分における直径L11よりも長い。
ヒートシール時に、凸条部60は、熱融着性樹脂層35に確実に接するため、包装材料110,120に融着しやすい。本実施の形態6に従う蓄電デバイスにおいては、凸条部60がシール取付け部220Eの外表面の周方向に一周連続して延びている。したがって、この蓄電デバイスによれば、シール取付け部220Eの周方向一周において、熱融着性樹脂層35とシール取付け部220Eとを融着させることができる。また、この蓄電デバイスにおいては、実施の形態1(シール取付け部220Eに凸条部60が形成されていない場合)と比較して、シール取付け部220Eの外表面と熱融着性樹脂との接触面積が大きくなっているため、弁装置200Eのシール取付け部220Eを包装材料110に強固に固定することができる。
なお、弁装置200Eは、本開示の「弁装置」の一例であり、シール取付け部220Eは、本開示の「第2部分」の一例である。凸条部60は、本開示の「凸条部」の一例である。通気路A3は、本開示の「通気路」の一例である。
また、本実施の形態6では周方向に一周連続して伸びる凸条部60としたが、凸条部60の形成位置は、周方向に伸びていれば、一周全体に存在せずとも良く、連続せずとも良い。たとえば、上述の実施の形態3のような翼状延端部40,41を備える場合には、この翼状延端部40,41を含めて一周させる凸条部60を備える必要はなく、この翼状延端部40,41の先端部分には凸条部60を備えない、或いは、この翼状延端部40,41には凸条部60を備えないことも可能であり、凸条部60を周方向に間欠的に形成することも可能である。
[7.実施の形態7]
本実施の形態7においては、上記実施の形態1と比較して、弁装置の構成が異なる。他の構成は、基本的に実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と異なる部分について説明する。
図20は、本実施の形態7に従う蓄電デバイスに搭載されている弁装置200Fの平面図である。図20に示されるように、弁装置200Fは、弁機能部210Fと、シール取付け部220Fとを含んでいる。シール取付け部220Fは、少なくともその一部が、包装材料110,120に挟まれて、ヒートシールされる部分である。弁機能部210F及びシール取付け部220Fは、実施の形態1と比較して、断面形状が異なる。
図21は、図20のXXI−XXI断面図である。図21に示されるように、弁機能部210Fの断面は、半円形状である。すなわち、弁機能部210Fの矢印U方向の面は、平面になっている。また、シール取付け部220Fの断面は、矢印LR方向の両端部に翼状延端部40F,41Fを有する。シール取付け部220Fの矢印U方向の面は、平面になっている。弁機能部210Fの矢印U方向の面と、シール取付け部220Fの矢印U方向の面とは、面一になっている。
したがって、矢印U方向の面を下にして弁装置200Fを配置すると、弁装置200Fは転がらない。したがって、本実施の形態7に従う蓄電デバイスによれば、弁装置200Fの収容体100への取り付け時に、弁装置200Fが転がらないため、弁装置200Fの位置決めを容易に行なうことができる。
図22は、弁装置200Fの収容体100への取り付け時の様子を示す図である。図22に示されるように、弁装置200Fの収容体100への取り付け時に、弁装置200Fの平面は、包装材料120の最内層の面上に載置される。この状態において、弁装置200Fは転がらない。したがって、本実施の形態7に従う蓄電デバイスによれば、収容体100への弁装置200Fの取り付け時に、弁装置200Fの位置決めを容易に行なうことができる。また、蓄電デバイスにした状態で、弁装置200Fによる周縁接合部130の膨らみを、収容体100が膨れた方向、すなわち図22では成形部112が突出する上方向に向けることができる。
なお、弁装置200Fは、本開示の「弁装置」の一例であり、弁機能部210Fは、本開示の「第1部分」の一例であり、シール取付け部220Fは、本開示の「第2部分」の一例である。通気路A4は、本開示の「通気路」の一例である。
[8.変形例]
以上、実施の形態1〜7について説明したが、本開示は、上記実施の形態1〜7に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。以下、変形例について説明する。但し、以下の変形例は適宜組合せ可能である。
<8−1>
上記実施の形態1〜7において、シール取付け部(シール取付け部220等)の断面は、円形をベースにした形状を有していた。しかしながら、シール取付け部の断面形状は、これに限定されない。たとえば、シール取付け部の断面形状は、多角形をベースにした形状を有してもよい。
図23は、変形例1における弁装置200Gの断面を示す図である。図23に示されるように、弁装置200Gにおいて、シール取付け部220Gの断面は、ひし形形状を有している。シール取付け部220Gにおいて、蓄電デバイスの幅方向の長さL7は、蓄電デバイスの厚み方向の長さL8よりも長い。この蓄電デバイスにおいては、周縁接合部130のうちシール取付け部220Gが挟まれている部分における蓄電デバイスの厚み方向の長さと、周縁接合部130のうちシール取付け部220Gが挟まれていない部分における蓄電デバイスの厚み方向の長さとの差がより小さくなっている。したがって、この蓄電デバイスによれば、収容体100の周縁全体において熱融着性樹脂層35に適切に圧力及び熱を加えることができ、対向する熱融着性樹脂層35を適切に融着させることができるため、弁装置200Gのシール取付け部220Gを収容体100に強固に固定することができる。
図24は、変形例2における弁装置200Hの断面を示す図である。図24に示されるように、弁装置200Hにおいて、シール取付け部220Hの断面は、蓄電デバイスの厚み方向の両端部において面取りされたひし形形状、或いは6角形形状を有している。シール取付け部220Hにおいて、蓄電デバイスの幅方向の長さL9は、蓄電デバイスの厚み方向の長さL10よりも長い。この蓄電デバイスにおいては、周縁接合部130のうちシール取付け部220Hが挟まれている部分における蓄電デバイスの厚み方向の長さと、周縁接合部130のうちシール取付け部220Hが挟まれていない部分における蓄電デバイスの厚み方向の長さとの差がより小さくなっている。したがって、この蓄電デバイスによれば、収容体100の周縁全体において熱融着性樹脂層35に適切に圧力及び熱を加えることができ、対向する熱融着性樹脂層35を適切に融着させることができるため、弁装置200Hのシール取付け部220Hを収容体100に強固に固定することができる。
図25は、変形例3における弁装置200Iの断面を示す図である。図25に示されるように、弁装置200Iにおいて、シール取付け部220Iの断面は、ひし形の(蓄電デバイスの幅方向の)両端部に翼状延端部40I,41Iが設けられた形状を有している。この蓄電デバイスにおいては、たとえば実施の形態1(シール取付け部220Iに翼状延端部40I,41Iが設けられていない場合)と比較して、周縁接合部130のうちシール取付け部220Iが挟まれていない部分から周縁接合部130のうちシール取付け部220Iが挟まれている部分へ移行する位置における蓄電デバイスの厚み方向の変化が滑らかである。したがって、この蓄電デバイスによれば、シール取付け部220Iが熱融着性樹脂層35によって挟まれている位置とシール取付け部220Iが熱融着性樹脂層35に挟まれていない位置との境界において包装材料110,120に無理な力が加わらないため、弁装置200Iのシール取付け部220Iを収容体100に強固に固定することができる。
図26は、変形例4における弁装置200Jの平面図である。図26に示されるように、弁装置200Jは、弁機能部210Jと、シール取付け部220Jとを含んでいる。シール取付け部220J内には、通気路A5が形成されている。
図27は、図26のXXVII−XXVII断面図である。この断面は、通気路A5の中心線C1を法線とする面ともいえる。図27に示されるように、弁装置200Jにおいて、シール取付け部220Jの断面は、六角形(多角形)形状を有している。六角形の各角には、R(たとえば、R=0.2mm〜2.0mm)が形成されている。この蓄電デバイスによれば、たとえば、シール取付け部220Jのうち収容体100内に位置する部分が収容体100内の蓄電デバイス素子400を傷つける可能性を低減することができ、かつ、シール取付け部220Jのうち熱融着性樹脂層35に挟まれている部分が熱融着性樹脂層35を傷つけ、熱融着性樹脂層35の絶縁性を低下させる可能性を低減することができる。
<8−2>
上記実施の形態1〜7において、包装材料110のフランジ部114は、フラットな状態であった。しかしながら、フランジ部114の形状は、これに限定されない。たとえば、フランジ部114には、弁装置200のシール取付け部220を配置するための弁装置配置部が予め成形されていてもよい。
図28は、変形例5における包装材料110Kの平面図である。図28に示されるように、フランジ部114Kには、弁装置配置部116Kが形成されている。
図29は、図28のXXIX−XXIX断面図である。図29に示されるように、フランジ部114Kに形成された弁装置配置部116Kは、半円形状を有している。この半円の直径は、たとえば、シール取付け部220の直径よりも僅かに長い。弁装置配置部116Kに、たとえば、シール取付け部220が配置された状態で、収容体の周縁におけるヒートシールが行なわれる。これにより、ヒートシール時における包装材料の変形が抑制され、シール取付け部220付近でピンホールや破れが生じる可能性を低減することができる。なお、弁装置配置部116Kは、必ずしも包装材料110Kに設けられる必要はなく、包装材料120に設けられてもよい。この場合であっても、弁装置配置部116Kが包装材料110Kに設けられた場合と同様の効果を得ることができる。
<8−3>
上記実施の形態1〜7においては、シール取付け部(たとえば、シール取付け部220)の一部だけが周縁接合部130において熱融着性樹脂層35に挟まれていた。しかしながら、シール取付け部の取付け状態は、これに限定されない。たとえば、シール取付け部の全体が周縁接合部130において熱融着性樹脂層35に挟まれてもよい。このような場合であっても、シール取付け部(たとえば、シール取付け部220)の弁機能部(たとえば、弁機能部210)とは反対側の端部の平面視における角にはRが形成されているため、該端部が熱融着性樹脂層35を傷つけ、熱融着性樹脂層35の絶縁性を低下させる可能性は低い。
<8−4>
上記実施の形態1〜7においては、弁装置(たとえば、弁装置200)において、弁機能部(たとえば、弁機能部210)とシール取付け部(たとえば、シール取付け部220)との境界に段差が形成されていた。しかしながら、弁機能部とシール取付け部との境界には、必ずしも段差が形成されていなくてもよい。たとえば、弁機能部の断面の直径とシール取付け部の断面の直径とが同一であり、弁機能部とシール取付け部とがフラットに繋がっていてもよい。
<8−5>
上記実施の形態1〜7において、シール取付け部(シール取付け部220等)内に形成された通気路(たとえば、通気路A1)の断面は、円形をベースにした形状を有していた。しかしながら、通気路の断面形状は、これに限定されない。たとえば、通気路の断面形状は、多角形をベースにした形状であってもよい。
<8−6>
上記実施の形態1〜7において、シール取付け部(たとえば、シール取付け部220)の弁機能部(たとえば、弁機能部210)と反対側の端部の角にはRが形成されていた。しかしながら、該角には必ずしもRが形成されていなくてもよい。
<8−7>
上記実施の形態1〜7において、弁装置(たとえば、弁装置200)は、いわゆる復帰弁であった。しかしながら、弁装置は、必ずしも復帰弁である必要はない。弁装置は、たとえば、いわゆる破壊弁や、選択透過弁であってもよい。
<8−8>
再び図1を参照して、上記実施の形態1〜7においては、タブ300が収容体100の矢印LR方向の両端部に設けられ、弁装置(たとえば、弁装置200)が収容体100の矢印F方向の端部に設けられていた。しかしながら、弁装置200及びタブ300の位置関係は、これに限定されない。たとえば、両方のタブ300が収容体100の周縁の同一の辺に配置され、弁装置が2つのタブ300の間に配置されてもよいし、両方のタブ300が収容体100の周縁の同一の辺に配置され、タブ300が配置された辺以外の三辺のいずれかの一辺に弁装置が配置されてもよい。
<8−9>
上記実施の形態1〜7において、収容体100は、エンボス成形等によって成形された包装材料110と、包装材料110とは別体の包装材料120とを含んでいた。しかしながら、収容体100は、必ずしもこのような構成でなくてもよい。
たとえば、包装材料110と包装材料120とが予め一辺において一体化されて(繋がって)いてもよい。この場合には、包装材料110のフランジ部114の端部において、包装材料110と包装材料120とが一体化しており(繋がっており)、包装材料110と包装材料120とが重ねられた状態で四方シールすることによって、収容体100内に蓄電デバイス素子400が密封されてもよい。また、包装材料110と包装材料120とが一体化している辺においてはフランジ部114が省略されており、包装材料110と包装材料120とが重ねられた状態で三方シールすることによって、収容体100内に蓄電デバイス素子400が密封されてもよい。
また、たとえば、包装材料120は、包装材料110と同様の形状に成形されていてもよい。また、収容体100は、たとえば、パウチタイプの収容体であってもよい。パウチタイプの収容体は、三方シールタイプ、四方シールタイプ、ピロータイプ、ガセットタイプ等のいずれのタイプであってもよい。
<8−10>
上記実施の形態1〜7において、弁機能部(たとえば、弁機能部210)の筐体とシール取付け部(たとえば、シール取付け部220)の筐体とは同一の材料(樹脂)で形成されていた。しかしながら、弁機能部の筐体とシール取付け部の筐体とは、必ずしも同一の材料で形成されている必要はない。たとえば、弁機能部の筐体とシール取付け部の筐体とが異なる材料で構成され、弁機能部の材質の融点がシール取付け部の材質の融点よりも高くてもよい。たとえば、シール取付け部がポリプロピレン(PP)で構成され、弁機能部がPPより融点が高い樹脂(たとえば、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル樹脂)や金属で構成されてもよい。シール取付け部に用いる樹脂としては、バリアが高いフッ素樹脂が好ましい。
この蓄電デバイスにおいては、対向する熱融着性樹脂層35の融着時にシール取付け部に圧力及び熱が加えられたとしても、弁機能部の材質の融点がシール取付け部の材質の融点よりも高いため、弁機能部が熱によって変形する可能性が低い。したがって、この蓄電デバイスによれば、対向する熱融着性樹脂層35の融着時における弁機能部内の弁機構の故障を抑制することができる。
<8−11>
上記実施の形態1〜7においては、弁装置200の筐体が樹脂製であるとし、シール取付け部220が熱融着性樹脂層35に直接挟まれていた。しかしながら、弁装置200の筐体は必ずしも樹脂製である必要はなく、たとえば、金属(たとえば、アルミニウム、ステンレス)製であってもよい。この場合には、シール取付け部220と熱融着性樹脂層35との間に接着性保護フィルムが配置されてもよい。接着性保護フィルムは、一方の面が少なくとも樹脂に接着するように構成されており、他方の面が少なくとも金属に接着するように構成されている。接着性保護フィルムとしては、公知の種々の接着性保護フィルムを採用することができ、たとえば、タブフィルム310と同じ接着性保護フィルムを使用することも可能である。
<8−12>
上記実施の形態1〜7において、シール取付け部(たとえば、シール取付け部220)の外周側(シール取付け部の弁機能部(たとえば、弁機能部210)側とは反対側の端部の角)にはRが形成されていたが、シール取付け部の内周側(通気路(たとえば、通気路A1)の縁部)にはRが形成されていなかった。しかしながら、シール取付け部の内周側にRが形成されてもよい。シール取付け部の内周側にRが形成されることによって、シール取付け部の内周側の角が削れてゴミ(たとえば、樹脂、金属等)が収容体100内に落下する可能性を低減することができる。
<8−13>
再び図21を参照して、上記実施の形態7においては、弁機能部210F及びシール取付け部220Fの両方の外表面において平面が形成された。しかしながら、必ずしも弁機能部210F及びシール取付け部220Fの両方の外表面において平面が形成される必要はない。弁機能部210F及びシール取付け部220Fの少なくとも一方の外表面に平面が形成されていればよい。
<8−14>
また、上記実施の形態1〜7の蓄電デバイス10は、二次電池ではあるが、電気を出力するものとの概念で定義するものであるから、たとえば、キャパシタ、電気二重層コンデンサ(EDLC)、リチウムイオンキャパシタ等の蓄電デバイスも包含するものであり、さらに、二次電池の種類についても特に限定されず、たとえば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛蓄電池、ニッケル・水素電池、ニッケル・カドミウム電池、ニッケル・鉄蓄電デバイス、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、金属空気電池、多価カチオン電池、全固体電池等が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を示して本開示を詳細に説明する。但し本開示は実施例に限定されるものではない。
[実施例1−11]
<包装材料の作製>
基材層としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(25μm)の上に、両面に耐酸性皮膜を形成したアルミニウム箔(JIS H4160:1994 A8021H−O、厚さ40μm、結晶粒径4.2μm)からなるバリア層をドライラミネート法により積層させた。具体的には、両面に耐酸性皮膜(クロメート処理によって形成された皮膜であり、クロム量が10mg/m2)を形成したアルミニウム箔の一方面に、2液硬化型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と脂肪族イソシアネート化合物)を塗布し、アルミニウム箔上に接着剤層(硬化後の厚み3μm)を形成した。次いで、アルミニウム箔上の接着剤層とポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した後、エージング処理を実施することにより、基材層/接着剤層/バリア層の積層体を作製した。次に、得られた積層体のバリア層の上に、接着層としての無水マレイン酸変性ポリプロピレン(厚さ30μm)と、熱融着性樹脂層としてのポリプロピレン(厚さ30μm)とを共押出しすることにより、バリア層上に接着層/熱融着性樹脂層を積層させた。次に、得られた積層体を一旦冷却した後、熱処理を施して基材層(25μm)/接着剤層(3μm)/バリア層(30μm)/熱融着性樹脂層(60μm)がこの順に積層された包装材料を得た。なお、各包装材料の引張破断強度は、MDが123N/15mm、TDが169N/15mmであった。各包装材料のMD、TDにおける引張破断強度は、JIS K7127の規定に準拠した方法で引張り試験機(島津製作所製、AG−Xplus)を用いて測定した。測定条件は、サンプル幅を15mmの矩形状、標線間距離を30mm、引張速度を100mm/分、試験環境は23℃とし、3回測定した平均値とした。
<試験サンプルの作製>
得られた包装材料を長さ130mm×幅120mmの短冊片に裁断した。1枚の短冊片について、熱融着性樹脂層側が凹部となるようにして冷間成形を行い、長さ110mm×幅100mm×深さ5mmの成形部を形成した。次に、成形部の上から、もう1枚の短冊片の熱融着性樹脂層側を重ね合わせ、周縁で対向する熱融着性樹脂層同士を熱融着させて成形部を封止した。このとき、周縁で互いに対向する熱融着性樹脂層の間には、図1に示されるようにして、タブ300及びタブフィルム310を2組と、弁装置200を介在させて、熱融着させることで周縁接合部を形成した。なお、正極のタブはアルミニウム箔、負極のタブはCuNiメッキタブであり、それぞれ、厚み0.1mm、長さ30mm、幅30mmで、バリア層と同じクロメート処理がなされている。また、タブフィルムは、無水マレイン酸変性ポリプロピレンフィルム(厚さ100μm)である。
熱融着の条件は、各実施例で面圧を0.1MPaから1.0MPaの間で調整し、温度190℃、シール時間30秒間とし、シール幅は7mmとした。熱融着の条件を変化させることで、熱融着性樹脂層が熱融着されていない箇所の厚みを基準(100%)とした、熱融着性樹脂層の厚みの比率X、Y(%)が変化する。なお、前述の通り、熱融着性樹脂層の厚みの比率Xは、包装材料の周縁接合部に位置し、対向する熱融着性樹脂層が互いに融着している部分の一方の熱融着性樹脂層の厚みの比率(%)である。また、熱融着性樹脂層の厚みの比率Y(%)は、弁装置を挟んでいる位置における前記熱融着性樹脂層の厚みの比率(%)である。熱融着性樹脂層の厚みの比率X、Y(%)の基準は、それぞれ、収容体中心部分に位置し、互いに融着していない熱融着性樹脂層の厚み(100%、すなわち、60μm)である。実施例1−11における熱融着性樹脂層の厚みの比率X、Yを表1に示す。なお、熱融着性樹脂層の厚みの比率X、Yは、それぞれ、熱融着性樹脂層の断面の厚みを計測して算出される値である。
また、タブ300が位置する周縁の熱融着に使用するシールバーとしては、タブ300が位置する箇所に切り欠き(200μm)が設けられることで、タブ300の上に位置する熱融着性樹脂層が大きく押し潰されることが抑制されている。同様に、弁装置200が位置する周縁の熱融着に使用するシールバーとしては、弁装置200のシール取付け部220が位置する箇所の形状が、シール取付け部220の形状に沿うように加工されており、シール取付け部220の上に位置する熱融着性樹脂層が大きく押し潰されることが抑制され、熱融着後の熱融着性樹脂層の厚み(特に熱融着性樹脂層の厚みの比率Y(%))が調整されている。
弁装置200は、図30に示されるようなサイズ及び外観を有しており、弁機構はボールスプリング型であって、作動圧がスプリング(バネ)によって調整されている。シール取付け部220(長さ5.0mm、曲面部220aの外径φ5.0mm、通気口の内径φ3.0mm)および、弁機能部210(長さ13.0mm、外径φ6.0mm)はポリプロピレン樹脂により構成した。
得られた試験サンプルは、弁装置の一次側と二次側の差圧(開放圧力)が0.05MPa以上0.3MPa以下の範囲内で弁装置が開放されるように設定されている。具体的には、弁装置の一次側と二次側の差圧(開放圧力)は0.1MPaに設定した。この試験サンプルのように、蓄電デバイスが、少なくとも、基材層、バリア層及び熱融着性樹脂層をこの順に有する積層体によって構成された収容体を備える場合に、収容体とは別に弁装置が設けられており、かつ、弁装置の一次側と二次側の差圧が0.05MPa以上0.3MPa以下の範囲内で弁装置が開放されるように設定されている蓄電デバイスは、通常の使用状態において、蓄電デバイスの高い密封性を保持しつつ、内部でガスが発生した場合には、当該ガスを好適に外部に放出することができた。
次に、ガスの外部への放出について、開放試験1,2の厳しい条件で評価を行った。
<開放試験1:弁装置からの開放>
実施例1−11の試験サンプルの製造の際に、弁装置を取り付けた辺に対向する辺(図1のB側)に、もう1つの弁装置(ただし、弁機能を除去して通気路としたもの)を取り付けたこと以外は、それぞれの実施例と同様にして、開放試験1用の試験サンプルを作製した。得られた試験サンプルを、ステンレス板(厚み5mm)が7mmの間隔を空けて固定された枠内に挿入した。次に、通気路とした弁装置から空気を送り込んで内圧を増加させ、開放した際の状態と圧力を確認した。この試験を、それぞれ、5つの試験サンプルについて行い(n=5)、以下の基準により評価した。結果を表1に示す。
A:全ての試験サンプルについて、弁装置が開放してガスが外部に放出され、熱融着性樹脂層同士が熱融着した部分についても変化がなかった。
B:全ての試験サンプルについて、弁装置が開放してガスが外部に放出されたが、熱融着性樹脂層同士が熱融着した部分が後退(剥離)しているものが存在した。
C:弁装置とは異なる箇所が開裂してガスが放出された試験サンプルが存在した。
<開放試験2:弁装置に不具合が生じた場合の開放>
実施例1−11の試験サンプルの製造の際に、弁装置(ただし、弁機能を除去して密閉したもの)を取り付けた辺に対向する辺(図1のB側)に、もう1つの弁装置(ただし、弁機能を除去して、弁装置を通気路としたもの)を取り付けたこと以外は、それぞれの実施例と同様にして、開放試験2用の試験サンプルを作製した。得られた試験サンプルを、ステンレス板(厚み5mm)が7mmの間隔を空けて固定された枠内に挿入した。次に、通気路とした弁装置から空気を送り込んで内圧を増加させ、開放した際の状態と圧力を確認した。この試験を、それぞれ、5つの試験サンプルについて行い(n=5)、以下の基準により評価した。結果を表1に示す。
A:全ての試験サンプルについて、弁装置の取付け部と熱融着性樹脂層との間が開裂してガスが外部に放出され、熱融着性樹脂層同士が融着した部分についても変化がなかった。
B:全ての試験サンプルについて、弁装置の取付け部と熱融着性樹脂層との間が開放してガスが外部に放出されたが、熱融着性樹脂層同士が融着した部分が後退(剥離)しているものが存在した。
C:弁装置の取付け部と熱融着性樹脂層との間とは異なる箇所から開裂してガスが放出された試験サンプルが存在した。
<漏れ試験>
実施例1−11の試験サンプルの製造の際、浸透液5%(NEWミクロチェック 型番000143 イチネンケミカルズ)を電解液に混ぜた試験液を成形部に50g封入したこと以外は、実施例1−11と同様にして各試験サンプルを作製した。電解液は、1×103mol/m3のLiPF6溶液(エチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)/ジエチルカーボネート(DEC)=1/1/1 体積比)である。次に、得られた各試験サンプルを高さ1.5mから20回落下させた後、各試験サンプルからの試験液の漏洩を目視で確認した。漏れがなかったものを評価Aとし、漏れがあったものを評価Cとした。結果を表1に示す。
<絶縁性試験>
前記の包装材料を長さ60mm×幅60mmの短冊片に裁断した。次に、短冊片を長さ方向に2つ折りし、対向する2辺を、1辺から端子が外部に延出するようにして、7mm幅でヒートシールして1辺が開口を有するパウチタイプの収容体を作製した。次に、得られた収容体に、アクリル樹脂板からなるダミーセルを封入し、電解液を入れ、開口部を3mm幅で密封シールして、試験サンプルを作製した。このとき、ヒートシールは、それぞれ、実施例1−11のシール条件と同じとした(このため、ヒートシールした部分における熱融着性樹脂層の厚みは、前記の厚みXと同様となる。)次に、得られた試験サンプルの電解液封入後にヒートシールした部分を内側に屈曲し、元に戻した。次に、インパルス印加方式(株式会社日本テクナート製、リチウムイオン電池絶縁試験器)を用いて、クラックに対する絶縁性評価試験を実施した。まず、上記試験サンプルを、それぞれ10個用意して、各試験サンプルの端子と、包装材料のアルミニウム箔との間に印加電圧100Vのインパルス電圧を印加し、99msec後の電圧降下が40V以内のものを合格とした。3段階評価の基準は、NG個数(不合格、電圧降下が40V以上)に基づいて、以下のように設定した。評価結果を表1に示す。
サンプル10個中のNG個数
A:NG個数 0個
B:NG個数 1〜4個
C:NG個数 5個以上
<剥離強度X,Yの測定>
実施例1−11で作製した各試験サンプルについて、それぞれ、周縁接合部に位置し、対向する熱融着性樹脂層が互いに融着している部分の熱融着性樹脂層同士の剥離強度Xと、弁装置を挟んでいる位置における熱融着性樹脂層と弁装置との間の剥離強度Yを以下の手順で測定した。剥離強度X,Yは、それぞれ、25℃環境において、JIS K7127:1999の規定に準拠して行った。まず、剥離強度Xの測定については、各試験サンプルの熱融着性樹脂層同士の熱融着部から、幅が15mmとなるようにして、裁断して試験片を得た。また、剥離強度Yの測定については、各試験サンプルの弁装置と熱融着性樹脂層とが融着した状態で、熱融着性樹脂層が幅5mmとなるようにして裁断して試験片を得た。次に、各試験片を引張り試験機(島津製作所製、AG−Xplus)で熱融着性樹脂層を300mm/分の速度で4mm剥離させた。剥離時の最大強度を剥離強度(N/15mm)とした。なお、剥離強度Yについては、幅5mmで測定したため、実測値を3倍した数値を剥離強度Y(N/15mm)とした。チャック間距離は、50mm、剥離角度は180度である。それぞれ、3回測定した平均値とした。結果を表1に示す。
表1に示されるように、特に実施例1〜6では、熱融着性樹脂層の厚みの比率Xが50〜80%の範囲にあり、熱融着性樹脂層の厚みの比率Yについては60〜90%の範囲にあり、熱融着性樹脂層を熱融着させる際のシール条件の調整によって、シール時の熱と圧力によって熱融着性樹脂層が潰れる程度が適切に調整されている。また、剥離強度X,Yについても、同様にして調整されており、剥離強度Xが剥離強度Yよりも大きいため、開放試験2において、弁装置の取付け部と熱融着性樹脂層との間からガスが適切に外部に放出されていることが分かる。実施例1〜6には、開放試験1,2、漏れ試験、及び絶縁性試験の厳しい評価において、評価Cが1つもなく、特に優れた蓄電デバイスとなることが分かる。
以上の通り、本開示は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 蓄電デバイス素子と、
少なくとも、基材層、バリア層及び熱融着性樹脂層をこの順に有する積層体によって構成されており、前記蓄電デバイス素子を内部に収容する収容体と、
前記収容体の内部と連通する弁装置とを備え、
前記収容体の周縁においては、前記熱融着性樹脂層が対向しており、
前記収容体の前記周縁には、対向する前記熱融着性樹脂層が互いに融着した周縁接合部が形成されており、
前記弁装置の少なくとも一部が、前記周縁接合部において互いに対向している前記熱融着性樹脂層の間に挟まれていることにより、前記弁装置は前記収容体に取り付けられており、
前記弁装置は、前記弁装置の一次側と二次側の差圧が0.05MPa以上0.3MPa以下の範囲内で、前記弁装置が開放されるように設定されている、蓄電デバイス。
項2. 前記熱融着性樹脂層の厚みが、50μm以上100μm以下である、項1に記載の蓄電デバイス。
項3. 前記収容体において、前記収容体中心部分に位置し、互いに融着していない前記熱融着性樹脂層の厚みを100%とした場合に、前記周縁接合部に位置し、対向する前記熱融着性樹脂層が互いに融着している部分の一方の前記熱融着性樹脂層の厚みの比率Xが、50%以上80%以下の範囲である、項1又は項2に記載の蓄電デバイス。
項4. 前記収容体において、前記収容体中心部分に位置し、互いに融着していない前記熱融着性樹脂層の厚みを100%とした場合に、前記弁装置を挟んでいる位置における前記熱融着性樹脂層の厚みの比率Yが、60%以上90%以下の範囲である、項1から項3のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
項5. 前記収容体において、前記弁装置を挟んでいる位置における前記熱融着性樹脂層の厚みの比率Yが、前記周縁接合部に位置し、対向する前記熱融着性樹脂層が互いに融着している部分の一方の前記熱融着性樹脂層の厚みの比率Xよりも大きい、項1から項4のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
項6. 前記収容体が、平面視矩形状を有しており、
前記弁装置は、前記収容体のタブが存在している辺とは異なる位置に存在している、項1から項5のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
項7. 前記弁装置は、
前記収容体の内部において発生したガスに起因して前記収容体の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させる弁機構と、
前記収容体の内部において発生したガスを前記弁機構へ誘導する通気路とを含み、
前記通気路は、ガスを透過し、液体の透過を抑制するメンブレンを備えている、項1から項6のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
項8. 前記メンブレンが、ポリテトラフルオロエチレンメンブレンである、項1から項7のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
項9. 前記収容体において、前記周縁接合部に位置し、対向する前記熱融着性樹脂層が互いに融着している部分の前記熱融着性樹脂層同士の剥離強度Xが、前記弁装置を挟んでいる位置における前記熱融着性樹脂層と前記弁装置との間の剥離強度Yよりも大きい、項1から項7のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
項10. 前記弁装置は、
前記収容体の内部において発生したガスに起因して前記収容体の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させる弁機構が内部に形成された第1部分と、
前記収容体の内部において発生したガスを前記弁機構へ誘導する通気路が内部に形成された第2部分とを含み、
前記第1部分は、前記周縁接合部の端縁よりも外側に位置しており、
前記第2部分の少なくとも一部は、前記周縁接合部において前記熱融着性樹脂層に挟まれている、項1から項9のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
項11. 前記蓄電デバイスの厚み方向において、前記第1部分の長さは前記第2部分の長さよりも長く、
前記第1部分と前記第2部分との境界には段差が形成されている、項10に記載の蓄電デバイス。
項12. 前記蓄電デバイスの幅方向における前記第2部分の長さは、前記蓄電デバイスの厚み方向における前記第2部分の長さよりも長い、項10又は項11に記載の蓄電デバイス。
項13. 前記第2部分は、前記蓄電デバイスの幅方向の端部に近づくほど薄く形成された翼状延端部を有する、項10から項12のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
項14. 前記通気路の断面形状は円形である、項10から項13のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
項15. 前記蓄電デバイスの幅方向における前記通気路の断面の長さは、前記蓄電デバイスの厚み方向における前記通気路の断面の長さよりも長い、項10から項14のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
項16. 前記第2部分は、前記通気路内に形成されたピラーを有する、項10から項15のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
項17. 前記第2部分の外表面はナシ地である、項10から項16のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
項18. 前記第2部分の外表面には、周方向に延びる凸条部が少なくとも1つ形成されている、項10から項17のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
項19. 前記第2部分において、前記第1部分側とは反対側の端部の平面視における角が丸みを帯びている、項10から項18のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
項20. 前記通気路の中心線を法線とする前記第2部分の断面の外形が多角形であり、
前記多角形の角が丸みを帯びている、項10から項19のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
項21. 前記第1部分及び第2部分の各々は異なる材料で構成されており、
前記第1部分の材料の融点は、前記第2部分の材料の融点よりも高い、項10から項20のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
項22. 前記第1部分及び第2部分の少なくとも一方の外表面の少なくとも一部に平面が形成されている、項10から項21のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。