JP2020046626A - 画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】露光量と現像バイアスの少なくとも一方の校正において使用されるトナー消費量を削減する。【解決手段】画像形成装置は、現像部と、中間転写ベルトと、濃度センサと、露光量と現像バイアス電位とを調整する校正処理部とを備える。校正処理部は、ハイライト側パッチの濃度と、シャドー側パッチの濃度と、中間転写ベルトのパッチ非形成領域の濃度とを計測し、ハイライト側パッチの濃度が第1の所定濃度よりも低い場合には、ハイライト側パッチの濃度とパッチ非形成領域の濃度とを使用してハイライト側パッチの濃度が第1の所定濃度に近づくように調整を実行し、シャドー側パッチの濃度が第2の所定濃度よりも高い場合には、シャドー側パッチよりも濃度が高い高濃度パッチを中間転写ベルトに形成し、シャドー側パッチの濃度と高濃度パッチの濃度とを使用してシャドー側パッチの濃度が第2の所定濃度に近づくように調整を実行する。【選択図】図1
Description
本発明は、画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムに関し、特に校正処理に関する。
電子写真プロセスを用いた画像形成装置においては、中間転写ベルトにパッチを形成して、そのパッチの濃度を実測することによって露光量や現像バイアスが校正される。このような校正処理において、特許文献1は、高濃度及び低濃度の濃度補正パターンの濃度検知結果を用いて現像バイアスの印加条件及び露光量を最適値に設定して、高濃度及びハーフトーン画像の濃度補正精度を高いレベルに維持するとともに、現像バイアスレベルの調整だけでは不十分な場合のみ露光量を調整するので、濃度補正時間を極力短縮して画像形成効率を向上させることができるとしている。特許文献2は、出力画像の反射濃度が所定の現像コントラスト以上の領域で有する飽和特性を利用して制御することによって、ユーザーの画質要求を満足させた上で、感光ドラム上の潜像に付着する必要以上のトナーを節約することができるとしている。
しかしながら、本願発明者は、露光量や現像バイアスの誤差の発生状態に応じて、校正に必要とされるパッチの濃度が相違することを新たに見出し、その新たな知見に基づいて校正に必要とされるトナー消費量を削減する方法を創作した。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、露光量と現像バイアスの少なくとも一方の校正において使用されるトナー消費量を削減するための技術を提供することを目的とする。
本発明の画像形成装置は、感光体と、入力階調値に基づいて前記感光体に露光して静電潜像を形成する露光部と、磁気ローラと、現像ローラとを有し、前記磁気ローラと前記現像ローラとの間のトナー層形成電位差に応じた厚さのトナー層を前記現像ローラに形成し、前記現像ローラの電位である現像バイアス電位と前記静電潜像とに基づいて前記トナー層から前記感光体にトナーを付着させる現像部と、前記感光体から前記トナーが転写され、前記転写されたトナーを画像形成媒体上に転写する中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトに転写されたトナーの濃度を計測する濃度センサと、前記露光部の露光量と前記現像部の現像バイアス電位とを調整する校正処理部とを備え、前記現像部は、比較的に濃度が低い階調領域側であるハイライト領域と、比較的に濃度が高い階調領域側であるシャドー領域と、前記ハイライト領域と前記シャドー領域との間の中間領域とにおいて階調表現が可能であり、前記校正処理部は、前記現像部を使用して、前記ハイライト領域と前記中間領域の境界の階調であるハイライト側境界階調値を有するハイライト側パッチと、前記シャドー領域と前記中間領域の境界の階調であるシャドー側境界階調値を有するシャドー側パッチとを前記中間転写ベルトに形成し、前記濃度センサを使用して、前記ハイライト側パッチの濃度と、前記シャドー側パッチの濃度と、前記中間転写ベルトのパッチ非形成領域の濃度とを計測し、前記ハイライト側パッチの濃度が第1の所定濃度よりも低い場合には、前記計測されたハイライト側パッチの濃度と前記計測されたパッチ非形成領域の濃度とを使用して前記ハイライト側パッチの濃度が前記第1の所定濃度に近づくように行われる調整である第1の調整を実行し、前記シャドー側パッチの濃度が第2の所定濃度よりも高い場合には、さらに、前記現像部を使用して、前記シャドー側パッチよりも濃度が高い高濃度パッチを前記中間転写ベルトに形成し、前記計測されたシャドー側パッチの濃度と前記計測された高濃度パッチの濃度とを使用して前記シャドー側パッチの濃度が前記第2の所定濃度に近づくように行われる調整である第2の調整を実行する。
本発明の画像形成方法は、感光体と、入力階調値に基づいて前記感光体に露光して静電潜像を形成する露光部と、磁気ローラと、現像ローラとを用い、前記磁気ローラと前記現像ローラとの間のトナー層形成電位差に応じた厚さのトナー層を前記現像ローラに形成し、前記現像ローラの電位である現像バイアス電位と前記静電潜像とに基づいて前記トナー層から前記感光体にトナーを付着させる現像工程と、中間転写ベルトを用い、前記トナーを前記感光体から前記中間転写ベルトに転写し、前記転写されたトナーを画像形成媒体上に転写する中間転写工程と、濃度センサを用い、前記中間転写ベルトに転写されたトナーの濃度を前記濃度センサで計測する濃度計測工程と、前記露光部の露光量と前記現像工程の現像バイアス電位とを調整する校正処理工程とを備え、前記現像工程は、比較的に濃度が低い階調領域側であるハイライト領域と、比較的に濃度が高い階調領域側であるシャドー領域と、前記ハイライト領域と前記シャドー領域との間の中間領域とにおいて階調表現が可能であり、前記校正処理工程は、前記現像工程を使用して、前記ハイライト領域と前記中間領域の境界の階調であるハイライト側境界階調値を有するハイライト側パッチと、前記シャドー領域と前記中間領域の境界の階調であるシャドー側境界階調値を有するシャドー側パッチとを前記中間転写ベルトに形成する工程と、前記濃度センサを使用して、前記ハイライト側パッチの濃度と、前記シャドー側パッチの濃度と、前記中間転写ベルトのパッチ非形成領域の濃度とを計測する工程と、前記ハイライト側パッチの濃度が第1の所定濃度よりも低い場合には、前記計測されたハイライト側パッチの濃度と前記計測されたパッチ非形成領域の濃度とを使用して前記ハイライト側パッチの濃度が前記第1の所定濃度に近づくように行われる調整である第1の調整を実行する工程と、前記シャドー側パッチの濃度が第2の所定濃度よりも高い場合には、さらに、前記現像工程を使用して、前記シャドー側パッチよりも濃度が高い高濃度パッチを前記中間転写ベルトに形成し、前記計測されたシャドー側パッチの濃度と前記計測された高濃度パッチの濃度とを使用して前記シャドー側パッチの濃度が前記第2の所定濃度に近づくように行われる調整である第2の調整を実行する工程とを含む。
本発明は、画像形成装置を制御するための画像形成プログラムを提供する。前記画像形成装置は、感光体と、入力階調値に基づいて前記感光体に露光して静電潜像を形成する露光部と、磁気ローラと、現像ローラとを有し、前記磁気ローラと前記現像ローラとの間のトナー層形成電位差に応じた厚さのトナー層を前記現像ローラに形成し、前記現像ローラの電位である現像バイアス電位と前記静電潜像とに基づいて前記トナー層から前記感光体にトナーを付着させる現像部と、前記感光体から前記トナーが転写され、前記転写されたトナーを画像形成媒体上に転写する中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトに転写されたトナーの濃度を計測する濃度センサとを備え、前記画像形成プログラムは、前記露光部の露光量と前記現像部の現像バイアス電位とを調整する校正処理部として前記画像形成装置を機能させ、前記現像部は、比較的に濃度が低い階調領域側であるハイライト領域と、比較的に濃度が高い階調領域側であるシャドー領域と、前記ハイライト領域と前記シャドー領域との間の中間領域とにおいて階調表現が可能であり、前記校正処理部は、前記現像部を使用して、前記ハイライト領域と前記中間領域の境界の階調であるハイライト側境界階調値を有するハイライト側パッチと、前記シャドー領域と前記中間領域の境界の階調であるシャドー側境界階調値を有するシャドー側パッチとを前記中間転写ベルトに形成し、前記濃度センサを使用して、前記ハイライト側パッチの濃度と、前記シャドー側パッチの濃度と、前記中間転写ベルトのパッチ非形成領域の濃度とを計測し、前記ハイライト側パッチの濃度が第1の所定濃度よりも低い場合には、前記計測されたハイライト側パッチの濃度と前記計測されたパッチ非形成領域の濃度とを使用して前記ハイライト側パッチの濃度が前記第1の所定濃度に近づくように行われる調整である第1の調整を実行し、前記シャドー側パッチの濃度が第2の所定濃度よりも高い場合には、さらに、前記現像部を使用して、前記シャドー側パッチよりも濃度が高い高濃度パッチを前記中間転写ベルトに形成し、前記計測されたシャドー側パッチの濃度と前記計測された高濃度パッチの濃度とを使用して前記シャドー側パッチの濃度が前記第2の所定濃度に近づくように行われる調整である第2の調整を実行する。
本発明によれば、露光量と現像バイアスの少なくとも一方の校正において使用されるトナー消費量を削減するための技術を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロックダイアグラムである。画像形成装置1は、制御部10と、画像形成部20と、記憶部40と、画像読取部50と、定着部80とを備えている。画像読取部50は、原稿から画像を読み取ってRGBのデジタルデータである画像データIDを生成する。
画像形成部20は、色変換処理部21と、ハーフトーン処理部22と、校正用濃度センサ28と、露光部29と、アモルファスシリコン感光体である感光体ドラム(像担持体)30c〜30kと、現像部100c〜100k、帯電部25c〜25kとを有している。色変換処理部21は、RGBデータである画像データIDをCMYKデータに色変換する。色変換処理部21は、ガンマ補正部としても機能し、入出力ガンマ補正値を使用してガンマ補正を実行する。ハーフトーン処理部22は、CMYKデータにハーフトーン処理を実行してCMYKのハーフトーンデータを含む印刷データPDを生成する。ハーフトーンデータは、CMYKの各トナーによって形成されるドットの形成状態を表し、ドットデータとも呼ばれる。校正用濃度センサ28は、単に濃度センサとも呼ばれる。
制御部10は、RAMやROM等の主記憶手段、及びMPU(Micro Processing Unit)やCPU(Central Processing Unit)等の制御手段を備えている。また、制御部10は、各種I/O、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)、バス、その他ハードウェア等のインターフェイスに関連するコントローラ機能を備え、画像形成装置1全体を制御する。制御部10は、校正処理部11を備えている。校正処理部11の機能については後述する。
記憶部40は、非一時的な記録媒体であるハードディスクドライブやフラッシュメモリー等からなる記憶装置で、制御部10が実行する処理の制御プログラムやデータを記憶する。記憶部40は、本実施形態では、さらに校正用データ記憶領域41を有している。
図2は、一実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を示す断面図である。本実施形態の画像形成装置1は、タンデム型のカラープリンターである。画像形成装置1は、その筐体70内に、マゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックの各色に対応させて感光体ドラム(像担持体)30m、30c、30y及び30kが一列に配置されている。感光体ドラム30m、30c、30y及び30kのそれぞれに隣接して、現像部100m、100c、100y及び100kが配置されている。
感光体ドラム30m、30c、30y及び30kには、露光部29から各色用のレーザー光Lm、Lc、Ly及びLkが照射(露光)される。この照射によって、感光体ドラム30m、30c、30y及び30kに静電潜像が形成される。現像部100m、100c、100y及び100kは、トナーを攪拌しながら、感光体ドラム30m、30c、30y及び30kの表面に形成された静電潜像にトナーを付着させる。これにより、現像工程が完了し、感光体ドラム30c〜30kの表面に各色のトナー像が形成される。
画像形成装置1は、無端状の中間転写ベルト27を有している。中間転写ベルト27は、テンションローラ24、駆動ローラ26a及び従動ローラ26bに張架されている。中間転写ベルト27は、駆動ローラ26aの回転によって循環駆動させられる。
感光体ドラム30kの上流位置において、中間転写ベルト27を挟んで従動ローラ26bに対抗する位置にクリーニング装置200が配置されている。クリーニング装置200は、微細な繊維が植えられ、高速回転するファーブラシ210を有している。ファーブラシ210は、ブラシ先端の掻き取り力で中間転写ベルト27上のトナーを機械的に除去することができる。このように、画像形成装置1は、中間転写ベルト27に当接するファーブラシ210を使用するブラシクリーニング方式を採用し、使用済みのトナーを掻き取って廃棄している。
たとえば感光体ドラム30k上のブラックのトナー像は、感光体ドラム30kと1次転写ローラ23kとで中間転写ベルト27を挟み、中間転写ベルト27が循環駆動させられることによって中間転写ベルト27に1次転写される。この点は、シアン、イエロー、マゼンタの3色についても同様である。
中間転写ベルト27の表面には、所定のタイミングで相互に重ね合わせられるように1次転写が行われることによってフルカラートナー像が形成される。校正用濃度センサ28は、1次転写が完了し、2次転写の前のトナー像の濃度が計測できる位置に配置されている。
フルカラートナー像は、その後、給紙カセット60から供給された印刷用紙Pに2次転写され、定着部80の定着ローラ対81によって印刷用紙Pに定着される。クリーニング装置200は、校正パッチについても中間転写ベルト27に残留する残留トナーを中間転写ベルト27から除去することができる。印刷媒体は、画像形成媒体とも呼ばれる。
図3は、一実施形態に係る現像部100kの構造を示した側面断面図である。現像部100m、100c及び100yは、現像部100kと同一の構成を有し、これらは単に現像部100とも呼ばれる。現像部100は、2本の攪拌搬送部材141,142と、磁気ローラ143と、現像ローラ(現像剤担持体)144と、現像容器145と、規制ブレード146とを備えている。
現像容器145は、現像部100の外郭を構成している。現像容器145の下部には、仕切り部145bが設けられている。仕切り部145bは、現像容器145の内部を第1搬送室145aと第2搬送室145cとに仕切っている。第1搬送室145a及び第2搬送室145cは、図3に垂直な方向に柱状に延びており、磁性キャリアとブラックトナーからなる2成分現像剤(単に現像剤とも呼ばれる。)を収容する。
現像容器145は、さらに磁気ローラ143及び現像ローラ144を保持している。現像容器145には、現像ローラ144を感光体ドラム30(30k)に向けて露出させる開口147が形成されている。
2本の攪拌搬送部材141,142は、それぞれ第1搬送室145a及び第2搬送室145cの内部で現像剤を攪拌しつつ循環的に移動させている。攪拌搬送部材142は、磁気ブラシとして、正に帯電した現像剤を磁気ローラ143に供給する。磁気ローラ143は、非磁性の回転スリーブ143aと、回転スリーブ143aの内部に固定されている固定マグネット体143bとを有している。磁気ローラ143と現像ローラ144とは、所定のクリアランスで対向している。規制ブレード146は、磁気ブラシを予め設定されている所定の高さに調整する。
現像ローラ144は、回転可能な非磁性の現像スリーブ144aと、現像スリーブ144aの内部で固定されている現像ローラ側磁極144bとを有している。磁気ローラ143には、磁気ローラ電位Vmagが印加されている。現像ローラ144には、現像バイアス電位Vslvが印加されている。
本実施形態において、感光体ドラム30では、表面電位が20Vに設定され、現像ローラ144との間に現像電界を形成している。一方、現像ローラ144には、現像バイアス電位Vslvとしての直流電位20〜80Vと、周波数2kHzのピークツーピーク値2000Vの正弦波電位とが重畳された交番バイアスが印加されている。磁気ローラ143には、現像時において、磁気ローラ電位Vmagとして直流電位200Vが印加され、非現像時において、直流電位−200Vが印加される。
これにより、現像時においては、現像バイアス電位Vslv<磁気ローラ電位Vmag(トナーが現像ローラ144に供給される電位状態)の時間が長くなってトナーが現像ローラ144に供給される時間が長くなり、非現像時においては、現像バイアス電位Vslv>磁気ローラ電位Vmag(トナーが現像ローラ144から回収される電位状態)の時間が長くなってトナーが現像ローラ144から回収される時間が長くなる。
さらに、磁気ローラ143に現像時と非現像時に印加される磁気ローラ電位Vmagを調整することによって、現像バイアス電位Vslvと磁気ローラ電位Vmagとの間の現像時のトナー層形成電位差ΔVを変化させることができる。これにより、現像ローラ144には、現像バイアス電位Vslvと磁気ローラ電位Vmagとの間のトナー層形成電位差ΔVに応じた厚さD(後述の図4(a)参照)のトナー薄層(単にトナー層とも呼ばれる。)が形成される。
現像ローラ144は、感光体ドラム30との間に所定のクリアランスを有する対向部分(現像ニップ)を介して感光体ドラム30にトナーを付着させて、トナー像を感光体ドラム30の表面に形成する。トナー像は、感光体ドラム30の表面における静電潜像の電位と現像ローラ144に印加される現像バイアス電位Vslvの電位差に基づいて形成される。
アモルファスシリコン感光体は、有機感光体(OPC)に比べ比誘電率が3倍程度高く、現像コントラスト電位に対して、感光体が保持できるトナー量が多いという特徴を有している。このため、アモルファスシリコン感光体は、通常使用するベタ濃度よりも多くのトナーを保持することが可能である。したがって、アモルファスシリコン感光体は、飽和状態で使用すると、ベタ濃度に必要な量を超えて保持してしまうことになる。よって、本実施形態では、アモルファスシリコン感光体は、ベタ濃度においても非飽和状態において使用され、現像ローラ144上に形成されたトナーがほぼすべて感光体に現像されて現像が終了することでベタ濃度が決定されるように使用される。
図4は、一実施形態に係る現像工程において後端溜まりが発生する様子を示す概念図である。図4(a)は、画像の先端部と中央部において画像を形成している様子を示している。図4(b)は、画像の後端部において画像を形成している様子を示している。本明細書では、先端部、中央部及び後端部は、感光体ドラム30の進行方向を基準にして、進行方向から順に先端部、中央部及び後端部と定義されている。
本実施形態では、図4(a)に示されるように、感光体ドラム30は、潜像画像の電位を中和しつつ、現像ローラ144の現像スリーブ144aからトナーの供給を受けている。この際、現像工程は、電位の飽和ではなく、非飽和状態において現像スリーブ144a上に形成されたトナー薄層が消費尽くされることによって完了するように構成されている。トナー薄層の厚さDは、画像形成におけるベタ現像時の最高濃度を達成するための厚さT1を有するように設定されている。
図4(b)に示されるように、現像スリーブ144aは、周速Vsを有し、周速Vdの感光体ドラム30を追い越しながら画像を形成するように構成されている。このため、ベタ現像時にベタの後端部の近傍には、トナーが未消費の現像スリーブ144aの表面が存在することになる。このトナーが未消費の表面は、アモルファスシリコン感光体30におけるベタの潜像画像の後端部を追い越していくことになる。
この際、アモルファスシリコン感光体としての感光体ドラム30が非飽和状態なので、トナーが未消費の現像スリーブ144aの表面から、さらにトナーが現像されてしまうことになる。この現像によって、予め想定されている濃度よりも高いベタ濃度としての後端溜まり(厚さT2)が顕在化することになる。
図4(c)は、一例としてベタ画像TPの画像形成時におけるトナーの付着状態(積層状態)を示している。ベタ画像TPでは、画像形成時において後端部においてトナー層が盛り上がっている。このトナー層の盛り上がりは、後端溜まりと呼ばれる。
このような後端溜まりの問題は、ドット面積率を低下させたパッチ画像であるハーフパッチでベタを表現することによって抑制することができる。この例では、画像形成装置1は、70%乃至90%のドット面積率のハーフパッチでベタ濃度を表現するものとする。本実施形態では、ハーフパッチによるベタ濃度は、現像部100m、100c、100y及び100kの印加電位である現像バイアス電位Vslvやドット面積率の調整によって校正される。
このように、後端溜まりの問題は、ドット面積率の低下に起因するジャギーの発生と後端溜まりの発生との間のトレードオフの結果として予め設定されているドット面積率でベタ濃度を表現することよって実現されている。
図5は、一実施形態に係る印刷校正処理の内容を示すフローチャートである。図6は、一実施形態に係る光量校正処理(ステップS100)の内容を示すフローチャートである。印刷校正処理は、たとえば予め設定されている印刷枚数毎やトナーの補給毎に自動的に実行される。
ステップS100では、校正処理部11は、光量校正処理を実行する。光量校正処理では、校正処理部11は、露光部29を使用し、前回の校正結果として予め設定されている光量のレーザー光で感光体ドラム30m、30c、30y及び30kを露光して光量調整用パッチPL25,PL50,PL75及びPL100の少なくとも1つを含むチャートを中間転写ベルト27に形成する。光量調整用パッチPL(PL25,PL50,PL75及びPL100)を表す画像データは、記憶部40の校正用データ記憶領域41に記憶されている。
図7は、一実施形態に係る光量校正処理で使用される光量調整用パッチを示す説明図である。光量調整用パッチには、画像パターン濃度が25%の光量調整用パッチPL25と、画像パターン濃度が50%の光量調整用パッチPL50と、画像パターン濃度が75%の光量調整用パッチPL75と、画像パターン濃度が100%の光量調整用パッチPL100とがある。
光量調整用パッチPL100は、ベタが形成される最高濃度のパッチである。光量調整用パッチPL25は、画像パターン濃度が25%、すなわち光量調整用パッチPL100の25%(すなわち四分の一)の濃度センサ計測値(後述の名目値)となるように構成されているパッチである。光量調整用パッチPL50及びPL75は、それぞれ画像パターン濃度が50%及び75%、すなわち光量調整用パッチPL100の50%(すなわち二分の一)及び75%(すなわち四分の三)の濃度センサ計測値となるように構成されているパッチである。このように、光量調整用パッチPL25,PL50,PL75及びPL100は、画像形成部20が予め設定されている所定状態(理想状態)において濃度センサ計測値が線形性を有するように構成されている。
ステップS110(図6参照)では、校正処理部11は、現像部100c〜100kを使用し、光量調整用パッチPL25及び光量調整用パッチPL50を含むチャートを中間転写ベルト27に形成する。校正処理部11は、記憶部40の校正用データ記憶領域41から光量調整用パッチPL25及び光量調整用パッチPL50を表す画像データを取得して、その画像データに基づいて露光部29を使用して感光体ドラム30c〜30kを露光する。
本実施形態では、現像部100c〜100kが再現する階調領域(階調表現)は、比較的に濃度が低い階調領域側であるハイライト領域と、比較的に濃度が高い階調領域側であるシャドー領域と、ハイライト領域とシャドー領域との間の中間領域とに分類されている。この例では、ハイライト領域は、光量調整用パッチの非形成領域の濃度センサ計測値から光量調整用パッチPL100の25%の濃度センサ計測値となるまでの階調領域である。中間領域は、光量調整用パッチPL100の25%の濃度センサ計測値から光量調整用パッチPL100の75%の濃度センサ計測値となるまでの階調領域である。シャドー領域は、光量調整用パッチPL100の75%の濃度センサ計測値から光量調整用パッチPL100の濃度センサ計測値となるまでの階調領域である。
なお、光量調整用パッチPL25は、ハイライト側パッチとも呼ばれる。ハイライト側パッチは、ハイライト領域と中間領域の境界の階調であるハイライト側境界階調値を有していることになる。光量調整用パッチPL75は、シャドー側パッチとも呼ばれる。シャドー側パッチは、シャドー領域と中間領域の境界の階調であるシャドー側境界階調値を有していることになる。光量調整用パッチPL100は、シャドー側パッチよりも濃度が高いパッチであり、高濃度パッチとも呼ばれる。光量調整用パッチPL50は、中間領域の階調値を有するパッチであり、中間パッチとも呼ばれる。
校正処理部11は、校正用濃度センサ28を使用して各画像パターン濃度の光量調整用パッチPL25,PL75の濃度を計測する。本実施形態では、校正用濃度センサ28は、たとえばLED(図示せず)から赤外光を出射し、P波のみを透過させる偏光フィルタを透過させて赤外光のP波をパッチ画像に照射し、受光素子で検出した反射光のP波とS波の比率に基づいて濃度を計測する。なお、校正用濃度センサ28には、パッチ画像からの正反射光を検出する正反射方式やパッチ画像からの拡散反射光を検出する拡散反射方式もある。
ステップS120では、校正処理部11は、濃度センサ計測値を名目値と比較する。名目値は、露光部29が出力するレーザー光の光量(露光量)が所定値(理想値)であった場合に計測されるべき濃度センサ計測値である。名目値は、記憶部40の校正用データ記憶領域41に記憶されている。光量調整用パッチPL25及び光量調整用パッチPL50の名目値は、それぞれ25%及び50%である。
校正処理部11は、光量調整用パッチPL25及び光量調整用パッチPL50の濃度センサ計測値の双方が名目値25%乃至75%の範囲内である場合には、処理をステップS160に進め、少なくとも一方が名目値25%乃至75%の範囲外である場合には、処理をステップS130に進める。名目値25%は、第1の所定濃度とも呼ばれ、名目値75%は、第2の所定濃度とも呼ばれる。
図8は、一実施形態に係る光量調整用パッチの濃度センサ計測値の各例を示す説明図である。図8(a)は、レーザー光の光量が過少な場合の一例を示している。図8(a)には、光量調整用パッチPL25の濃度センサ計測値のプロットS25aと、光量調整用パッチPL75の濃度センサ計測値のプロットS75aとが示されている。プロットS25aは、レーザー光の光量が過少なので、光量調整用パッチPL25の名目値25%よりも低い濃度(多い反射光量)を示している。プロットS75aは、レーザー光の光量が過少なので、光量調整用パッチPL75の名目値75%よりも低い濃度を示している。この例では、校正処理部11は、光量調整用パッチPL25の濃度センサ計測値が名目値25%よりも低い濃度を示しているので、処理をステップS130に進める。
図8(b)は、レーザー光の光量が過多な場合の一例を示している。図8(b)には、光量調整用パッチPL25の濃度センサ計測値のプロットS25bと、光量調整用パッチPL75の濃度センサ計測値のプロットS75bとが示されている。プロットS25bは、レーザー光の光量が過多なので、光量調整用パッチPL25の名目値25%よりも高い濃度(少ない反射光量)を示している。プロットS75bは、レーザー光の光量が過多なので、光量調整用パッチPL75の名目値75%よりも高い濃度を示している。この例では、校正処理部11は、光量調整用パッチPL75の濃度センサ計測値が名目値75%よりも高い濃度を示しているので、処理をステップS130に進める。
ステップS130では、校正処理部11は、濃度センサ計測値を名目値と比較し、光量調整用パッチPL25の濃度センサ計測値が25%未満の場合(図8(a)のケース)には、処理をステップS150に進め、光量調整用パッチPL75の濃度センサ計測値が75%を超過する場合(図8(b)のケース)には、処理をステップS140に進める。
ステップS140では、校正処理部11は、光量調整用パッチPL100を含むチャートを中間転写ベルト27に形成する。校正処理部11は、校正用濃度センサ28を使用して光量調整用パッチPL100の濃度を計測する。図8(b)には、光量調整用パッチPL100の濃度センサ計測値のプロットS100bが示されている。校正処理部11は、プロットS75bとプロットS100bとを使用して直線補間によって調整量Cbを算出する。調整量Cbは、第2の調整量とも呼ばれ、濃度センサ計測値が名目値75%(第2の所定濃度)に近づくように行われる調整(第2の調整:この例では光量低下)で使用される。
第2の調整では、校正処理部11は、光量調整用パッチPL25,PL50,PL75及びPL100の4種類の光量調整用パッチのうち光量調整用パッチPL50の形成を省略している。これにより、画像形成装置1は、校正において使用されるトナー消費量を削減することができる。
第2の調整は、光量過多に起因するシャドー領域の階調の潰れを抑制することができる。すなわち、第2の調整は、光量調整用パッチPL75の濃度センサ計測値を名目値の75%に近づけて、濃度センサ計測値75%〜100%の25%の光量変化を確保し、シャドー領域の階調変化の再現に利用可能な光量変化量を確保することができる。調整量Cbは、シャドー領域のプロットS75bとプロットS100bとを使用して直線補間によって算出されているので、画像形成部20の濃度再現が環境変化等に起因して非線形の特性となっていてもシャドー領域の現実の特性に基づいて高精度の調整量として算出することができる。
ステップS150(図8(a)参照)では、校正処理部11は、校正用濃度センサ28を使用して光量調整用パッチ非形成領域の濃度を計測し、その濃度センサ計測値を原点とする。校正処理部11は、原点とプロットS25bとを使用して直線補間によって調整量Caを算出する。調整量Caは、第1の調整量とも呼ばれ、濃度センサ計測値が名目値25%(第1の所定濃度)に近づくように行われる調整(第1の調整:この例では光量増加)で使用される。
第1の調整は、光量過少に起因するハイライト領域の階調の潰れを抑制することができる。すなわち、第1の調整は、光量調整用パッチPL25の濃度センサ計測値を名目値の25%に近づけて、濃度センサ計測値0%〜25%の25%の光量変化を確保して、ハイライト領域の階調変化の再現に利用可能な光量変化量を確保することができる。調整量Caは、ハイライト領域の原点とプロットS25bとを使用して直線補間によって算出されているので、画像形成部20の濃度再現が環境変化等に起因して非線形の特性となってもハイライト領域の現実の特性に基づいて高精度の調整量として算出することができる。
第1の調整では、校正処理部11は、光量調整用パッチPL25,PL50,PL75及びPL100の4種類の光量調整用パッチのうち光量調整用パッチPL50及び光量調整用パッチPL100の形成を省略している。これにより、画像形成装置1は、校正において使用されるトナー消費量を削減することができる。光量調整用パッチPL100はトナーの消費量が多いので、その省略は、顕著にトナー消費量を削減することができる。
図9は、一実施形態に係る光量調整用パッチの濃度センサ計測値の各例を示す説明図である。図9(a)は、レーザー光の光量が略適正な場合の一例を示している。図9(a)には、光量調整用パッチPL25の濃度センサ計測値のプロットS25cと、光量調整用パッチPL75の濃度センサ計測値のプロットS75cとが示されている。プロットS25c及びプロットS75cは、画像形成部20が環境変化等に起因して非線形の特性となって、濃度センサ計測値の双方が名目値25%乃至75%の範囲内となっている。この例では、校正処理部11は、濃度センサ計測値の双方が名目値25%乃至75%の範囲内となっているので、処理をステップS160に進める(ステップS120)。
ステップS160では、校正処理部11は、光量調整用パッチPL50を含むチャートを中間転写ベルト27に形成する。校正処理部11は、校正用濃度センサ28を使用して光量調整用パッチPL50の濃度を計測する。図9(a)には、光量調整用パッチPL50の濃度センサ計測値のプロットS50cが示されている。
校正処理部11は、プロットS25cとプロットS50cとを使用して直線補間によって調整量Cc1を算出する(ステップS170及びステップS180)。調整量Cc1は、ハイライト領域側の中間領域の特性に基づいて算出された調整量である。校正処理部11は、プロットS50cとプロットS75cとを使用して直線補間によって調整量Cc2を算出する(ステップS170及びステップS190)。調整量Cc2は、シャドー領域側の中間領域の特性に基づいて算出された調整量である。校正処理部11は、調整量Cc1(負の値)と調整量Cc2(正の値)の和(相殺)として調整量を算出することができる。
なお、校正処理部11は、光量調整用パッチPL75(シャドー側パッチ)の濃度(プロットS75c)と光量調整用パッチPL50(中間パッチ)の濃度(プロットS50c)とを使用して光量調整用パッチPL75(シャドー側パッチ)の濃度が名目値75%(第2の所定濃度)に近づくように調整するようにしてもよい。こうすれば、校正処理部11は、ハーフパッチの校正が現像バイアス電位Vslvの調整範囲外となる確率(後述)又はドット面積率の低下(後述)を低減させることができる。この例では、ハイライト領域及びシャドー領域は、いずれも階調変化の再現に利用可能な光量変化量を確保しているので、現像バイアス電位Vslvの調整のために光量調整を利用することも可能である。
図9(b)は、レーザー光の光量が略適正な場合の他の例を示している。図9(b)には、光量調整用パッチPL25の濃度センサ計測値のプロットS25dと、光量調整用パッチPL75の濃度センサ計測値のプロットS75dとが示されている。プロットS25d及びプロットS75dは、画像形成部20が環境変化等に起因して非線形の特性となって、濃度センサ計測値の双方が名目値25%乃至75%の範囲外となっている。
このような場合には、校正処理部11は、光量調整用パッチPL100を含むチャートを中間転写ベルト27に形成し、調整量Cd1(正の値)と調整量Cd2(負の値)の和(相殺)として調整量を算出することができる。これにより、ハイライト領域及びシャドー領域は、いずれも階調変化の再現に利用可能な光量変化量をバランス良く確保することができる。
ステップS200(図5)では、校正処理部11は、現像バイアス校正処理を実行する。現像バイアス校正処理では、校正処理部11は、ハーフパッチP80を使用し、現像バイアス電位Vslvを予め設定されている複数の段階で段階的に変更した複数のパッチ画像を有するチャートを中間転写ベルト27に形成する。ハーフパッチP80は、ドット面積率の低下に起因するジャギーの発生と後端溜まりの発生との間のトレードオフの結果として予め設定されている80%(後述、図11参照)のドット面積率を有するパッチである。
現像バイアス電位Vslvを段階的に変更した複数のパッチ画像を使用するのは、トナー像は、感光体ドラム30の表面の静電潜像の電位と現像ローラ144に印加される現像バイアス電位Vslvの電位差に基づいて形成されるからである。複数のハーフパッチは、CMYKのそれぞれについて形成される。以下では、シアン(C)のハーフパッチを例として説明する。
具体的には、校正処理部11は、現像バイアス電位Vslvが段階的に変更されている複数のシアン(C)のハーフパッチの中から予め設定されているベタ画像目標濃度に達しているパッチが存在する場合には、そのパッチに対応する現像バイアス電位Vslvを選択することによって実行される。すなわち、校正処理部11は、P波とS波の比率が予め設定されている閾値以下のハーフパッチが存在する場合には、そのハーフパッチの中で最も低い現像バイアス電位Vslvを校正後の現像バイアスの電位に調整する。この調整は、第3の調整とも呼ばれる。
ステップS300では、校正処理部11は、ハーフパッチの校正が現像バイアスの調整範囲内で可能である場合には、処理をステップS500に進め、ハーフパッチの校正が現像バイアス電位Vslvの調整範囲内で可能でない場合には、処理をステップS400に進める。
なお、本実施形態では、校正処理部11は、露光量の光量が過少である場合には、調整量Ca(第1の調整量)を使用して濃度センサ計測値が名目値25%(第1の所定濃度)に近づくように行われる調整(第1の調整:光量増加)を実行する。よって、校正処理部11は、露光量の光量が過少である場合には、第1の調整の実行によって、ハーフパッチの校正が現像バイアス電位Vslvの調整範囲内で可能となる確率を高めていることになる。
また、校正処理部11は、校正用濃度センサ28による光量調整用パッチPL25(ハイライト側パッチ)の濃度の計測が光量調整用パッチPL75(シャドー側パッチ)の濃度の計測よりも先に実行される中間転写ベルト27上に形成するようにしてもよい。こうすれば、校正処理部11は、光量調整用パッチPL25の計測濃度を取得して、直ちに露光量に対して第1の調整を実行した後に、第1の調整で調整された露光量で露光されたシャドー側パッチの濃度を計測することができる。この計測濃度は、閾値としての所定濃度(第3の所定濃度)と比較して、ハーフパッチの校正が現像バイアス電位Vslvの調整範囲内で可能となるか否かを予備的に判定することができる。
具体的には、校正処理部11は、この計測濃度が所定濃度(第3の所定濃度)よりも低濃度である場合には、さらに、光量調整用パッチPL50を形成して、濃度センサ計測値が名目値75%(第2の所定濃度)に近づくように調整することができる。これにより、校正処理部11は、ハーフパッチの校正が現像バイアス電位Vslvの調整範囲内で可能となる確率をさらに高めることができる。なお、閾値としての所定濃度は、たとえば予め実験やシミュレーションで決定することができる。
ハーフパッチの校正が現像バイアスの調整範囲内で可能でない場合とは、複数のシアン(C)のパッチ画像の中から予め設定されているベタ画像目標濃度に達しているパッチ画像が存在しないことを意味している。通例では、複数のハーフパッチのいずれかがベタ画像目標濃度に達するが、たとえば環境変動などによってトナー帯電量が増加している状態においてベタ画像目標濃度に到達しないこともある。
図10は、一実施形態に係るドット面積率調整処理(ステップS400)の内容を示すフローチャートである。ステップS410では、校正処理部11は、現像バイアス電位Vslvを最大値に設定し、ドット面積率を調整して校正する処理を開始する。現像バイアス電位Vslvの最大値は、電位制限値とも呼ばれ、たとえば現像バイアスの出力限界や画像への悪影響(かぶりなど)の観点から設定される。
ステップS420では、校正処理部11は、ドット面積率を段階的に変更した複数のハーフパッチ画像を有するチャートを中間転写ベルト27に形成する。
ステップS430では、校正処理部11は、濃度計測処理を実行する。濃度計測処理では、校正処理部11は、調整データを使用して校正用濃度センサ28でシアン(C)のパッチ画像の濃度を計測する。校正用濃度センサ28は、P波とS波の比率を検出する。MYKについても同様に処理が行われる。
ステップS440では、校正処理部11は、ドット面積率設定処理を実行する。具体的には、校正処理部11は、P波とS波の比率が予め設定されている閾値以下のハーフパッチが存在する場合には、そのハーフパッチの中で最も低いドット面積率のハーフパッチのドット面積率を校正用データとして取得する。
ステップS500(図5参照)では、校正処理部11は、ガンマ調整用パッチを使用してガンマ設定処理を実行する。これにより、校正処理部11は、0乃至255(濃度0%〜100%)の入力階調値に対してリニアに0乃至255(濃度0%〜100%)の画像濃度としての出力階調値を実現するための入出力ガンマを設定することができる。
図11は、一実施形態に係るガンマ校正処理で使用されるガンマ調整用パッチを示す説明図である。図12は、一実施形態に係るパッチ濃度名目値と再現階調値の関係を示すグラフである。ガンマ調整用パッチは、ドット面積20%のハーフパッチP20、ドット面積40%のハーフパッチP40、ドット面積60%のハーフパッチP60、ドット面積80%のハーフパッチP80及びドット面積100%のソリッドパッチP100を有している。本実施形態は、濃度計測値がハーフパッチP80のプロットP8において255階調のベタ(ベタ画像目標濃度)に飽和するように構成されているので、ハーフパッチP20乃至ハーフパッチP80を使用してガンマ校正処理が実行されることになる。
ステップS600では、校正処理部11は、調整後のドット面積率及び現像バイアス電位Vslvの最大値として校正用データを取得し、記憶部40の校正用データ記憶領域41に記憶する。
このように、一実施形態に係る画像形成装置1では、最初にハイライト側パッチとシャドー側パッチとを形成し、その濃度センサ計測値に基づいて露光量の調整に必要な光量調整用パッチを形成するので、露光量の調整に不要な光量調整用パッチの形成を省略することができる。これにより、画像形成装置1は、露光量の校正において使用されるトナー消費量を削減することができる。
本発明は、上記実施形態だけでなく、以下のような変形例でも実施することができる。
変形例1:上記実施形態では、本発明は、非飽和状態の感光体でベタ濃度を再現する感光体を使用する画像形成装置に適用され、露光量の校正において使用されるトナー消費量を削減する。しかしながら、本発明は、飽和状態の感光体でベタ濃度を再現する感光体を使用する画像形成装置にも適用することができる。この場合には、現像バイアスの調整に対しても、第1の調整又は第2の調整を実行することができる。本発明は、広く露光量と現像バイアスの少なくとも一方の校正(調整)において使用可能である。
変形例2:上記実施形態では、アモルファスシリコン感光体が使用されているが、本発明は、アモルファスシリコン感光体の使用に限定されない。本発明は、一般に非飽和状態の感光体でベタ濃度を再現する感光体を使用する画像形成装置に適用することができる。
1 画像形成装置
10 制御部
11 校正処理部
20 画像形成部
21 色変換処理部
28 校正用濃度センサ
29 露光部
40 記憶部
50 画像読取部
60 給紙カセット
70 筐体
10 制御部
11 校正処理部
20 画像形成部
21 色変換処理部
28 校正用濃度センサ
29 露光部
40 記憶部
50 画像読取部
60 給紙カセット
70 筐体
Claims (7)
- 感光体と、入力階調値に基づいて前記感光体に露光して静電潜像を形成する露光部と、磁気ローラと、現像ローラとを有し、前記磁気ローラと前記現像ローラとの間のトナー層形成電位差に応じた厚さのトナー層を前記現像ローラに形成し、前記現像ローラの電位である現像バイアス電位と前記静電潜像とに基づいて前記トナー層から前記感光体にトナーを付着させる現像部と、
前記感光体から前記トナーが転写され、前記転写されたトナーを画像形成媒体上に転写する中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトに転写されたトナーの濃度を計測する濃度センサと、
前記露光部の露光量と前記現像部の現像バイアス電位とを調整する校正処理部と、
を備え、
前記現像部は、比較的に濃度が低い階調領域側であるハイライト領域と、比較的に濃度が高い階調領域側であるシャドー領域と、前記ハイライト領域と前記シャドー領域との間の中間領域とにおいて階調表現が可能であり、
前記校正処理部は、
前記現像部を使用して、前記ハイライト領域と前記中間領域の境界の階調であるハイライト側境界階調値を有するハイライト側パッチと、前記シャドー領域と前記中間領域の境界の階調であるシャドー側境界階調値を有するシャドー側パッチとを前記中間転写ベルトに形成し、
前記濃度センサを使用して、前記ハイライト側パッチの濃度と、前記シャドー側パッチの濃度と、前記中間転写ベルトのパッチ非形成領域の濃度とを計測し、
前記ハイライト側パッチの濃度が第1の所定濃度よりも低い場合には、前記計測されたハイライト側パッチの濃度と前記計測されたパッチ非形成領域の濃度とを使用して前記ハイライト側パッチの濃度が前記第1の所定濃度に近づくように行われる調整である第1の調整を実行し、
前記シャドー側パッチの濃度が第2の所定濃度よりも高い場合には、さらに、前記現像部を使用して、前記シャドー側パッチよりも濃度が高い高濃度パッチを前記中間転写ベルトに形成し、前記計測されたシャドー側パッチの濃度と前記計測された高濃度パッチの濃度とを使用して前記シャドー側パッチの濃度が前記第2の所定濃度に近づくように行われる調整である第2の調整を実行する画像形成装置。 - 請求項1記載の画像形成装置であって、
前記校正処理部は、前記計測されたハイライト側パッチの濃度と前記計測されたパッチ非形成領域の濃度とを使用して直線補間で第1の調整量を算出し、前記第1の調整量を使用して前記第1の調整を実行し、前記計測されたシャドー側パッチの濃度と前記計測された高濃度パッチの濃度とを使用して直線補間で第2の調整量を算出し、前記第2の調整量を使用して前記第2の調整を実行する画像形成装置。 - 請求項1又は2に記載の画像形成装置であって
前記校正処理部は、前記露光部による露光量に対して前記第1の調整と前記第2の調整のいずれかを実行し、
前記感光体は、非飽和状態でベタ画像を形成し、
前記校正処理部は、前記第1の調整と前記第2の調整のいずれかの調整が実行された露光量を使用し、所定のドット面積率でベタ画像を形成するための前記現像部の現像バイアス電位の調整である第3の調整を実行する画像形成装置。 - 請求項3に記載の画像形成装置であって、
前記校正処理部は、前記ハイライト側パッチの濃度が前記第1の所定濃度よりも高い場合であって、前記シャドー側パッチの濃度が前記第2の所定濃度よりも低い場合には、さらに、前記現像部を使用して、前記中間領域の階調値を有する中間パッチを前記中間転写ベルトに形成し、前記計測されたシャドー側パッチの濃度と前記計測された中間パッチの濃度とを使用して前記シャドー側パッチの濃度が前記第2の所定濃度に近づくように調整を実行する画像形成装置。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記感光体は、アモルファスシリコン感光体であり、
前記アモルファスシリコン感光体は、非飽和状態でベタ画像を形成する画像形成装置。 - 感光体と、入力階調値に基づいて前記感光体に露光して静電潜像を形成する露光部と、磁気ローラと、現像ローラとを用い、前記磁気ローラと前記現像ローラとの間のトナー層形成電位差に応じた厚さのトナー層を前記現像ローラに形成し、前記現像ローラの電位である現像バイアス電位と前記静電潜像とに基づいて前記トナー層から前記感光体にトナーを付着させる現像工程と、
中間転写ベルトを用い、前記トナーを前記感光体から前記中間転写ベルトに転写し、前記転写されたトナーを画像形成媒体上に転写する中間転写工程と、
濃度センサを用い、前記中間転写ベルトに転写されたトナーの濃度を前記濃度センサで計測する濃度計測工程と、
前記露光部の露光量と前記現像工程の現像バイアス電位とを調整する校正処理工程と、
を備え、
前記現像工程は、比較的に濃度が低い階調領域側であるハイライト領域と、比較的に濃度が高い階調領域側であるシャドー領域と、前記ハイライト領域と前記シャドー領域との間の中間領域とにおいて階調表現が可能であり、
前記校正処理工程は、
前記現像工程を使用して、前記ハイライト領域と前記中間領域の境界の階調であるハイライト側境界階調値を有するハイライト側パッチと、前記シャドー領域と前記中間領域の境界の階調であるシャドー側境界階調値を有するシャドー側パッチとを前記中間転写ベルトに形成する工程と、
前記濃度センサを使用して、前記ハイライト側パッチの濃度と、前記シャドー側パッチの濃度と、前記中間転写ベルトのパッチ非形成領域の濃度とを計測する工程と、
前記ハイライト側パッチの濃度が第1の所定濃度よりも低い場合には、前記計測されたハイライト側パッチの濃度と前記計測されたパッチ非形成領域の濃度とを使用して前記ハイライト側パッチの濃度が前記第1の所定濃度に近づくように行われる調整である第1の調整を実行する工程と、
前記シャドー側パッチの濃度が第2の所定濃度よりも高い場合には、さらに、前記現像工程を使用して、前記シャドー側パッチよりも濃度が高い高濃度パッチを前記中間転写ベルトに形成し、前記計測されたシャドー側パッチの濃度と前記計測された高濃度パッチの濃度とを使用して前記シャドー側パッチの濃度が前記第2の所定濃度に近づくように行われる調整である第2の調整を実行する工程と、
を含む画像形成方法。 - 画像形成装置を制御するための画像形成プログラムであって、
前記画像形成装置は、感光体と、入力階調値に基づいて前記感光体に露光して静電潜像を形成する露光部と、磁気ローラと、現像ローラとを有し、前記磁気ローラと前記現像ローラとの間のトナー層形成電位差に応じた厚さのトナー層を前記現像ローラに形成し、前記現像ローラの電位である現像バイアス電位と前記静電潜像とに基づいて前記トナー層から前記感光体にトナーを付着させる現像部と、前記感光体から前記トナーが転写され、前記転写されたトナーを画像形成媒体上に転写する中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトに転写されたトナーの濃度を計測する濃度センサとを有し、
前記画像形成プログラムは、前記露光部の露光量と前記現像部の現像バイアス電位とを調整する校正処理部として前記画像形成装置を機能させ、
前記現像部は、比較的に濃度が低い階調領域側であるハイライト領域と、比較的に濃度が高い階調領域側であるシャドー領域と、前記ハイライト領域と前記シャドー領域との間の中間領域とにおいて階調表現が可能であり、
前記校正処理部は、
前記現像部を使用して、前記ハイライト領域と前記中間領域の境界の階調であるハイライト側境界階調値を有するハイライト側パッチと、前記シャドー領域と前記中間領域の境界の階調であるシャドー側境界階調値を有するシャドー側パッチとを前記中間転写ベルトに形成し、
前記濃度センサを使用して、前記ハイライト側パッチの濃度と、前記シャドー側パッチの濃度と、前記中間転写ベルトのパッチ非形成領域の濃度とを計測し、
前記ハイライト側パッチの濃度が第1の所定濃度よりも低い場合には、前記計測されたハイライト側パッチの濃度と前記計測されたパッチ非形成領域の濃度とを使用して前記ハイライト側パッチの濃度が前記第1の所定濃度に近づくように行われる調整である第1の調整を実行し、
前記シャドー側パッチの濃度が第2の所定濃度よりも高い場合には、さらに、前記現像部を使用して、前記シャドー側パッチよりも濃度が高い高濃度パッチを前記中間転写ベルトに形成し、前記計測されたシャドー側パッチの濃度と前記計測された高濃度パッチの濃度とを使用して前記シャドー側パッチの濃度が前記第2の所定濃度に近づくように行われる調整である第2の調整を実行する画像形成プログラム。
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