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JP2020045804A - 可変容量形ポンプ - Google Patents

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JP2020045804A
JP2020045804A JP2018174417A JP2018174417A JP2020045804A JP 2020045804 A JP2020045804 A JP 2020045804A JP 2018174417 A JP2018174417 A JP 2018174417A JP 2018174417 A JP2018174417 A JP 2018174417A JP 2020045804 A JP2020045804 A JP 2020045804A
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大輔 加藤
Daisuke Kato
大輔 加藤
浩二 佐賀
Koji Saga
浩二 佐賀
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Hitachi Astemo Ltd
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Hitachi Automotive Systems Ltd
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Abstract

【課題】可変容量形ポンプを効率的に作動させる。【解決手段】可変容量形ポンプは、有底筒状のハウジング本体1内にカムリング6およびポンプ機構を配置することで構成される。カムリング6の外周側には、カムリング基準線Mを挟んで両側に第1、第2制御油室15,16が設けられている。また、第2制御油室16は、第1給排孔41を介してパイロット弁12に接続されている。パイロット弁12は、電磁弁13を介して供給される作動油の圧力により作動可能となるように構成される。パイロット弁12は、スプール36に設けられた中継室42を介して第1給排孔41と連通可能であり、かつ低圧部44に接続される他端部側排出孔43と、を備える。可変容量形ポンプの低圧制御時には、第2制御油室16内の作動油が、電磁弁13を介さずに第1給排孔41、中継室42および他端部側排出孔43を通して低圧部44へ排出される。【選択図】図4

Description

本発明は、可変容量形ポンプに関する。
可変容量形ポンプとして、例えば以下の特許文献1に記載された可変容量形ポンプが知られている。
特許文献1に記載の可変容量形ポンプは、有底筒状のハウジング本体内に制御リングおよびポンプ機構を配置し、これらの間に複数のポンプ室を画定することで構成されている。制御リングの外周面とハウジング本体の内周面との間には、第1制御油室および第2制御油室が設けられている。第2制御油室は、各ポンプ室の高圧領域となる吐出領域側に設けられており、第2制御油室内の作動油は、2つの弁を介して可変容量形ポンプの外部の低圧部へ排出される。
特開2014−105622号公報
特許文献1の可変容量形ポンプでは、例えば高温時に作動油の粘性が低くなった場合に、第2制御油室側に位置する各ポンプ室内の高圧の作動油が、ハウジング本体の底面と制御リングの側面との間の隙間を通って第2制御油室に漏出する虞がある。第2制御油室に漏出した作動油は、2つの弁が設けられた比較的長い通路を介して排出される。このため、第2制御油室内の作動油は速やかに排出されず、第2制御油室内に留まる。そして、この第2制御油室内の高圧の作動油によって制御リングが移動して、可変容量形ポンプの吐出圧が変動してしまい、可変容量形ポンプを効率的に作動させることができない虞があった。
本発明は、従来の実情に鑑みて案出されたもので、効率的に作動可能な可変容量形ポンプを提供することを目的としている。
本発明では、その一態様として、導入通路の第2制御油室側の通路部と低圧部とを接続する第2状態に第1弁があるときに、第2弁が、第1弁を介さずに第2制御油室と低圧部とを接続する。
本発明によれば、可変容量形ポンプを効率的に作動させることができる。
第1の実施形態の可変容量形ポンプの分解斜視図を示している。 図1の可変容量形ポンプの正面図である。 図2の線A−Aに沿って切断した可変容量形ポンプの断面図である。 図3の線B−Bに沿って切断した可変容量形ポンプの断面図である。 図4のパイロット弁の拡大断面図である。 第1の実施形態に係る可変容量形ポンプの油圧特性を示すグラフである。 第1の実施形態に係る可変容量形ポンプの油圧回路図であって、(a)は、図6中の区間a、(b)は、図6中の区間bにおける可変容量形ポンプの状態を示した図である。 第1の実施形態に係る可変容量形ポンプの油圧回路図であって、(a)は、図6中の区間c、(b)は、図6中の区間dにおける可変容量形ポンプの状態を示した図である。 第2の実施形態の可変容量形ポンプの断面図である。
以下、本発明の可変容量形ポンプの一実施形態を図面に基づき説明する。
[第1の実施形態]
(可変容量形ポンプの構成)
図1は、図示せぬ内燃機関のシリンダブロック等に設けられる第1の実施形態の可変容量形ポンプの分解斜視図を示している。
可変容量形ポンプは、ハウジング本体1と、カバー部材2と、駆動軸3と、ロータ4と、7つのベーン5と、カムリング6と、コイルばね7と、一対のリング部材8,8と、第1、第2シール部材9,10と、4つの固定手段、例えばねじ部材11と、パイロット弁12と、電磁弁13(図4参照)と、を備えている。
ハウジング本体1は、金属材料、例えばアルミニウム合金材料によって一体に形成されており、一端側が開口し、かつ内部に概ね円柱状に窪んだポンプ収容部14を有するように有底筒状に形成されている。ハウジング本体1は、ポンプ収容部14の底面14aの中央位置に、駆動軸3の一端を回転可能に支持する第1軸受孔1a(図3参照)を有している。ハウジング本体1には、ポンプ収容部14の開口の外周側に、環状に連続した平坦な取付面1bが形成されている。ハウジング本体1の取付面1bには、各ねじ部材11がねじ留めされる4つのねじ穴1cがそれぞれ形成されている。
カバー部材2は、ハウジング本体1と同様に金属材料、例えばアルミニウム合金材料によって形成されており、ハウジング本体1の開口を閉塞するように用いられる。カバー部材2は、平板状をなしており、ハウジング本体1の外形に対応した外形を有している。カバー部材2には、ハウジング本体1の第1軸受孔1aに対応した位置に、駆動軸3の他端を回転可能に支持する第2軸受穴2aが形成されている。さらに、カバー部材2の外周部には、ハウジング本体1の4つのねじ穴1cに対応した位置に、各ねじ部材11が挿入される4つの固定手段貫通孔2bがそれぞれ形成されている。
上記ハウジング本体1およびカバー部材2によって、ポンプ収容部14を仕切るハウジングが構成されている。
駆動軸3は、ポンプ収容部14の中心部を貫通して上記ハウジングに回転可能に支持されており、図示せぬクランクシャフトにより回転駆動される。
ロータ4は、円筒状をなしており、ポンプ収容部14内に回転可能に収容される。ロータ4の中心部は、駆動軸3に結合される。ロータ4には、該ロータ4の内部中心側から径方向外側へ放射状に延びる7つのスリット4aが開口形成されている。さらに、ロータ4の両側面(図1には1つの側面のみが示されている)には、駆動軸3を中心に円形に窪んだ円形凹部4bが開口形成されている。この円形凹部4bには、リング部材8が摺動可能に配置される。
ベーン5は、金属により薄い板状に形成されており、ロータ4のスリット4aに出没可能に収容される。ベーン5がスリット4a内に収容された状態では、ベーン5とスリット4aとの間に多少の隙間が形成される。ベーン5は、先端面がカムリング6の内周面に摺動可能に接触するとともに、基端部の内端面がリング部材8の外周面に摺動可能に接触する。
なお、駆動軸3、ロータ4および各ベーン5がポンプ機構を構成している。
カムリング6は、焼結金属によって円筒状に一体に形成されている。カムリング6は、特許請求の範囲に記載の「制御リング」に該当する。
コイルばね7は、ハウジング本体1内に収容されており、ロータ4の回転中心に対するカムリング6の偏心量が増大する方向へカムリング6を常時付勢する。
リング部材8は、ロータ4の外径よりも小さな外径を有しており、ロータ4に設けられた円形凹部4b内に摺動可能に配置される。
第1、第2シール部材9,10は、カムリング6に装着され、該カムリング6とハウジング本体1との間を仕切る。これにより、カムリング6の外周面とハウジング本体1の内周面との間に、後述する第1、第2制御油室15,16が液密に画定される。第1シール部材9は、第1シール部材17と、該第1シール部材17をハウジング本体1の内周面に向けて付勢する第1弾性部材18と、を備えている。また、第2シール部材10は、第2シール部材19と、該第2シール部材19をハウジング本体1の内周面に向けて付勢する第2弾性部材20と、を備えている。
図2は、図1の可変容量形ポンプの正面図である。図3は、図2の線A−Aに沿って切断した可変容量形ポンプの断面図である。
カバー部材2は、4つのねじ部材11が各固定手段貫通孔2b(図1参照)を介して各ねじ穴1c(図1参照)にねじ留めされることで、ハウジング本体1の取付面1bに取付固定されている。
図3に示すように、駆動軸3は、ハウジング本体1の第1軸受孔1aと、カバー部材2の第2軸受穴2aとによる両持ち構造で回転可能に支持されている。なお、本実施形態では、駆動軸3が両持ち構造で支持されているが、ハウジング本体1に形成された第1軸受孔1aのみによって片持ち構造で支持されても良い。この場合には、カバー部材2の第2軸受穴2aを形成する必要はない。
カムリング6は、ポンプ収容部14の底面14aと対向する第1側面6aと、カバー部材2の内側面2cと対向する第2側面6bと、を有している。第1側面6aと底面14aとの間および第2側面6bと内側面2cとの間は、作動油が通過可能な微小隙間(サイドクリアランス)21,22が有している。
図4は、図3の線B−Bに沿って切断した可変容量形ポンプの断面図である。図5は、図4のパイロット弁12の拡大断面図である。
ポンプ収容部14の内周壁の所定位置には、円柱状のピボットピン23を介してカムリング6を揺動可能に支持する円弧状の支持溝14bが形成されている。ここで、以下の説明の便宜上、第1軸受孔1a(図3参照)の中心と、支持溝14bの中心(ピボットピン23の中心23a)とを通る直線を「カムリング基準線M」と定義する。
ポンプ収容部14の内周壁には、カムリング基準線Mよりも上側の領域において、第1シール接触面14cが形成されている。この第1シール接触面14cに、カムリング6の外周部に設けられた第1シール部材17が摺動可能に接触する。第1シール接触面14cは、図4に示すように、ピボットピン23の中心23aから所定の半径R1によって構成された円弧面となっている。半径R1は、カムリング6の偏心揺動範囲において第1シール部材17が常時摺動可能に接触することができる周方向長さに設定されている。
同様に、ポンプ収容部14の内周壁には、カムリング基準線Mよりも下側の領域において、第2シール接触面14dが形成されている。この第2シール接触面14dに、カムリング6の外周部に設けられた第2シール部材19が摺動可能に接触する。第2シール接触面14dは、図4に示すように、ピボットピン23の中心23aから半径R1よりも大きい所定の半径R2によって構成された円弧面となっている。半径R2は、カムリング6の偏心揺動範囲において第2シール部材19が常時摺動可能に接触することができる周方向長さに設定されている。
また、ポンプ収容部14の底面14aには、図4に示すように、駆動軸3の外周域に、円弧凹状の吸入部である吸入ポート24と、同じく円弧凹状の吐出部である吐出ポート25とが、駆動軸3を挟んで対向するように切り欠かれている。吸入ポート24は、底面14aにおいて、ピボットピン23と反対側に位置しており、上記ポンプ機構のポンプ作用に伴って後述するポンプ室26の内部容積が増大する領域(吸入領域)に開口している。吸入ポート24には、その周方向の中間位置に、後述するばね収容室27側へ膨出するように、図示せぬ導入部が吸入ポート24と一体に形成されている。吸入ポート24の所定位置には、ハウジング本体1の底壁を貫通して外部に開口する断面円形の吸入孔28が設けられている。これにより、図示せぬ内燃機関のオイルパンに貯留された潤滑油が、ポンプ機構のポンプ作用に伴って発生する負圧に基づき吸入孔28および吸入ポート24を介して吸入領域の後述する各ポンプ室26に吸入される。
一方、吐出ポート25は、ピボットピン23側に位置しており、上記ポンプ機構のポンプ作用に伴ってポンプ室26の内部容積が減少する領域(吐出領域)に開口している。吐出ポート25の始端部付近には、ハウジング本体1の底壁を貫通して外部に開口する断面円形の吐出孔29が設けられている。これにより、上記ポンプ作用に基づいて加圧され吐出ポート25へと吐出されたオイルが、吐出孔29から吐出通路30および図示せぬメインギャラリを通って図示せぬ内燃機関の各摺動部やバルブタイミング装置等へと供給される。なお、吐出ポート25は、特許請求の範囲に記載の「吐出部」に該当する。
また、ハウジング本体1のポンプ収容部14内に、カムリング6がピボットピン23を中心に揺動可能となるように支持されている。さらに、このカムリング6内に、駆動軸3に結合されたロータ4が配置されている。
駆動軸3は、ハウジング本体1の底壁を貫通することで外部に臨む軸方向一端部が図示せぬクランクシャフトに連係されている。駆動軸3は、クランクシャフトから伝達される回転力によって、ロータ4を図4中の時計回りの方向へ回転させる。
ロータ4には、該ロータ4の回転中心側から径方向外側へ放射状に延びる7つのスリット4aが開口形成されている。また、各スリット4aの内側基端部には、吐出ポート25に吐出された吐出油を導入する断面円形の背圧室4cがそれぞれ形成されている。背圧室4cは、円形凹部4bに開口している。後述する第2制御油室16からの作動油が、吐出ポート25と、ポンプ収容部14の底面14aに形成された図示せぬ油導入溝と、円形凹部4bとを介して背圧室4cに流入する。これにより、ロータ4のスリット4a内に出没可能に収容された各ベーン5が、ロータ4の回転に伴う遠心力と背圧室4cの油圧とによって外方へ押し出される。
ベーン5は、ロータ4の回転時において、ベーン5の先端面がカムリング6の内周面に摺動可能に接触しており、ベーン5の基端部の内端面がリング部材8の外周面に摺動可能に接触するように構成されている。これにより、機関回転数が低く、上記遠心力や背圧室4cの油圧が小さいときでも、ベーン5がカムリング6の内周面に摺動可能に接触して各ポンプ室26が液密に画定されるようになっている。
カムリング6の外周部の所定位置には、支持溝14bと協働してピボットピン23を支持する概ね円弧溝形状のピボット部6cが、駆動軸3の軸方向に沿って切り欠かれている。また、このピボット部6cに対しカムリング6の中心を挟んで反対側の位置では、所定のセット荷重W1に設定された付勢部材であるコイルばね7に連係するアーム部6dが、カムリング6の外周面からカムリング6の径方向に突出してばね収容室27内に延びている。アーム部6dのコイルばね7と対向する一側部がコイルばね7の先端部に常時当接することによって、アーム部6dとコイルばね7とが連係する。
また、ハウジング本体1内には、ピボットピン23と対向する位置に、コイルばね7を収容するばね収容室27が設けられている。このばね収容室27内では、所定のセット荷重W1により圧縮されたコイルばね7が、ばね収容室27の一端壁とアーム部6dの一側部とに弾性的に当接している。なお、ばね収容室27の他端壁は、カムリング6の偏心方向の移動範囲を規制するストッパ面27aを有しており、このストッパ面27aに、アーム部6dの他側部に形成された突出部6fが当接することにより、カムリング6の偏心方向における最大移動が規制されるようになっている。
このように、コイルばね7は、セット荷重W1に基づく弾性力をもって、アーム部6dを介してカムリング6を、その偏心量が増大する方向(図4中の時計回りの方向)へ常時付勢する。これにより、カムリング6は、非作動時にはコイルばね7のばね力によってアーム部6dの突出部6fがばね収容室27のストッパ面27aに押し付けられた状態となり、ロータ4の回転中心に対するカムリング6の偏心量が最大となる位置に保持される。
さらに、カムリング6の外周部には、図4に示すように、第1、第2シール接触面14c,14dと対向する位置に、第1、第2シール面を有する横断面概ね矩形状をなす第1、第2シール保持部6g,6hがそれぞれ突出している。ここで、第1、第2シール面は、それぞれピボットピン23の中心23aからこれに対応する各シール接触面14c,14dを構成する半径R1,R2よりも僅かに小さい所定の半径によって構成されている。各シール面と各シール接触面14c,14dとの間には、それぞれ微小なクリアランスが形成されている。また、各シール保持部6g,6hの各シール面に、断面U字状の第1、第2シール保持溝6i,6jが、カムリング6の軸方向に沿ってそれぞれ形成されている。第1、第2シール保持溝6i,6j内に、カムリング6の偏心揺動時に第1、第2シール接触面14c,14dに接触する第1、第2シール部材9,10がそれぞれ保持されている。
また、カムリング6の外周域には、ピボットピン23と第1、第2シール部材17,19とによって一対の第1、第2制御油室15,16が画定されている。第1、第2制御油室15,16のうちピボットピン23寄りの部分は、カムリング6を挟んで吐出ポート25と隣接している。第1、第2制御油室15,16には、吐出通路30と連通した制御圧導入通路31を介してポンプ吐出圧が導入される。より詳細には、第1制御油室15には、制御圧導入通路31から分岐された第1導入通路32を介してポンプ吐出圧が導入され、一方、第2制御油室16には、同じく制御圧導入通路31から分岐された第2導入通路33を介して電磁弁13やパイロット弁12を経てポンプ吐出圧が供給される。第1制御油室15は、作動油の吐出量が減少する方向へカムリング6が移動したときに容積が増大するように構成されている。また、第2制御油室16は、作動油の吐出量が増加する方向へカムリング6が移動したときに容積が増大するように構成されている。
カムリング6の外周面のうち第1制御油室15と隣接する面は、該第1制御油室15に導入されたポンプ吐出圧を受ける第1受圧面6kとなっている。また、カムリング6の外周面のうち第2制御油室16と隣接する面は、該第2制御油室16に導入されたポンプ吐出圧を受ける第2受圧面6mとなっている。
そして、各ポンプ吐出圧がカムリング6の対応する第1、第2受圧面6k,6mに作用することで、該第1、第2受圧面6k,6mに作用する油圧に基づく付勢力とコイルばね7による付勢力とのバランスによってカムリング6の偏心量が制御される。ここで、第2受圧面6mの受圧面積は、第1受圧面6kの受圧面積よりも大きく設定されており、両受圧面6k,6mに油圧が作用した場合は、全体として偏心量が増大する方向へとカムリング6を付勢することとなる。
従って、可変容量形ポンプは、コイルばね7のセット荷重W1に対し第1、第2制御油室15,16の油圧に基づく付勢力が小さいときは、カムリング6は、図4に示すように、最も偏心した状態となる。一方、ポンプ吐出圧の上昇に伴い第1、第2制御油室15,16の油圧に基づく付勢力がコイルばね7のセット荷重W1を上回ったときは、そのポンプ吐出圧に応じてカムリング6が同心方向に移動するようになっている。
ここで、以下の説明の便宜上、第2導入通路33のうち電磁弁13よりも上流側、つまり吐出ポート25側の通路部を、「吐出部側通路部33a」と定義し、電磁弁13よりも下流側、つまり第2制御油室16側の通路部を、「第2制御油室側通路部33b」と定義する。なお、第2制御油室側通路部33bは、パイロット弁12の後述するスプール収容部38や作動圧導入孔40等の作動油が通流可能な構成要素を含んでいる。
パイロット弁12は、有底円筒状のバルブボディ34と、該バルブボディ34の開口端を閉塞するプラグ35と、バルブボディ34内に摺動可能に設けられたスプール36と、プラグ35とスプール36との間に所定のセット荷重W2をもって配置された付勢部材、例えばバルブスプリング37と、から主に構成されている。ここで、スプール36の移動方向に沿った方向をバルブボディ34の「軸方向」と定義し、この軸方向と直交する方向をバルブボディ34の「径方向」と定義する。パイロット弁12は、スプール36の軸方向位置に応じて、第2制御油室16に対して油圧の給排を行うものである。
バルブボディ34は、その軸方向一端側がハウジング本体1と連続し、さらに、軸方向他端側がハウジング本体1から離間するように設けられている。バルブボディ34は、その軸方向一端側から細長く延びて、バルブボディ34の軸方向他端で開口する横断面円形のスプール収容部38を有している。スプール収容部38は、バルブボディ34の軸方向一端側に位置する一端部38aと、バルブボディ34の軸方向他端側に位置する他端部38bと、を有している。スプール収容部38の一端部38a側には、概ね円柱状のスプール36が、バルブボディ34の軸方向に沿って摺動可能となるように配置されている。スプール収容部38の一端部38aとスプール36との間には、圧力室39が形成されている。この圧力室39は、スプール収容部38の一端部38aに開口形成された作動圧導入孔40に接続されている。作動圧導入孔40には、制御圧導入通路31から電磁弁13を介して供給されたポンプ吐出圧が導入されるようになっている。
スプール収容部38の他端部38bに形成された開口部には、浅皿状をなすプラグ35が圧入されている。プラグ35とスプール36との間には、背圧室66が形成されており、この背圧室66には、所定のセット荷重W2が付与されたバルブスプリング37が配置されている。バルブスプリング37は、スプール収容部38の一端部38a側にスプール36を常時付勢する。つまり、バルブスプリング37は、圧力室39側に向かってスプール36を常時付勢する。
バルブボディ34とハウジング本体1の内部には、バルブボディ34の軸方向の概ね中間位置に、第2制御油室16に対する油圧の給排に供する制御油室開口部である第1給排孔41が開口形成されている。第1給排孔41の一端は、第2制御油室16に接続されており、一方、第1給排孔41の他端は、スプール収容部38に開口し、後述する中継室42と常時接続されている。
また、バルブボディ34の周壁には、該バルブボディ34の軸方向において第1給排孔41よりも他端部38b側の位置に、後述する中継室42の切り替えによって第2制御油室16内の油圧の排出に供する他端部側排出孔43が形成されている。他端部側排出孔43は、第2制御油室16内の圧力よりも低い圧力を有する低圧部44に接続されている。つまり、他端部側排出孔43は、バルブボディ34の外部に直接開口するか、または可変容量形ポンプの吸入側に接続されている。他端部側排出孔43がバルブボディ34の外部に直接開口している場合は、低圧部44は大気圧を有する。さらに、バルブボディ34の周壁には、バルブボディ34の径方向において背圧室66とオーバーラップする位置に、背圧室66に開口し、かつ大気に開放される空気孔45が径方向に沿って開口形成されている。なお、他端部側排出孔43は、特許請求の範囲に記載の「第2排出孔」に該当する。
また、バルブボディ34の周壁は、ハウジング本体1と協働することで、スプール36が図4に示すようにバルブスプリング37によってスプール収容部38の一端部38a側に付勢された状態で第2制御油室側通路部33bを介して電磁弁13と後述する中継室42とを連通する第2給排孔46を構成している。第2給排孔46は、横断面円形をなしており、バルブボディ34の軸方向において第1給排孔41よりも一端部38a側に設けられている。
さらに、バルブボディ34の周壁には、バルブボディ34の径方向において第2給排孔46とオーバーラップする位置に、後述する中継室42を介して第2制御油室16内の油圧の排出に供する一端部側排出孔47が開口形成されている。一端部側排出孔47の一端は、スプール36が図4に示すようにバルブスプリング37によってスプール収容部38の一端部38a側に付勢された状態で中継室42と連通するようになっている。また、一端部側排出孔47の他端は、第2制御油室16内の作動油の圧力よりも低い圧力を有する上述の低圧部44に接続されている。一端部側排出孔47は、横断面円形をなしている。一端部側排出孔47の孔径は、同じく横断面円形の第2給排孔46の孔径よりも小さく形成されている。一端部側排出孔47の孔径は、例えば第2給排孔46の孔径の半分程度の大きさに形成されている。一端部側排出孔47は、作動油が作動圧導入孔40に供給され、スプール36がバルブスプリング37の付勢力に抗して他端部38b側に移動したときに、スプール36の後述する第1ランド部36aの外周面が一端部側排出孔47を直ちに閉塞することができる軸方向位置に設けられている。なお、一端部側排出孔47は、特許請求の範囲に記載の「第1排出孔」に該当する。
スプール36は、その軸方向位置に応じて、第2制御油室16に対しての油圧の給排制御に供するものである。スプール36は、円柱状の第1ランド部36aと、同じく円柱状の第2ランド部36bと、第1、第2ランド部36a,36bに対して段差縮径状に形成され、第1、第2ランド部36a,36bを連結する円柱状の連結部36cと、を備えている。スプール36は、第1ランド部36aがスプール収容部38の一端部38a側に位置するようにスプール収容部38内に配置されている。第1、第2ランド部36a,36bは、バルブボディ34の内径とほぼ同じ外径を有している。第1、第2ランド部36a,36bの外周面は、バルブボディ34の内周面と摺動可能に接する。
第1、第2ランド部36a,36bおよび連結部36cの間には、スプール36の軸方向位置によって、第1給排孔41と第2給排孔46および一端部側排出孔47とを、もしくは第1給排孔41と他端部側排出孔43とを中継する円環状の中継室42が画定される。さらに、バルブボディ34の軸方向他端に設けられたプラグ35と第2ランド部36bとの間に、バルブスプリング37を収容する上述の背圧室66が画定される。
かかるパイロット弁12において、作動圧導入孔40から圧力室39に導入される吐出圧が所定圧(後述するスプール作動油圧Ps)以下の状態では、図4に示すようにバルブスプリング37によって付勢されることで、スプール36が最も一端部38a側に位置する。つまり、スプール36が最も一端部38a側に位置することで、第2給排孔46が中継室42に連通し、一方、第2ランド部36bによって他端部側排出孔43と中継室42との連通が遮断され、さらに、第2制御油室16が第1給排孔41を介して中継室42と連通する。これにより、電磁弁13から第2給排孔46を通して導かれる油圧が中継室42および第1給排孔41を介して第2制御油室16へと供給される。
そして、上記圧力室39に導かれる吐出圧が上記所定圧を超えると、スプール36が、バルブスプリング37の付勢力に抗して一端部38a側から他端部38b側へと移動して、最も他端部38b側に位置するようになる。つまり、スプール36が最も他端部38b側に位置することで、第1給排孔41を介した第2制御油室16と中継室42との連通が維持されたまま、第1ランド部36aによって第2給排孔46と中継室42との連通が遮断され、中継室42が他端部側排出孔43を介して低圧部44と連通する。これにより、第2制御油室16内の作動油が、第1給排孔41および中継室42を通して他端部側排出孔43から低圧部44に排出される。
電磁弁13は、図4に示すように、第2導入通路33の途中に介在する図示せぬバルブ収容孔内に収容されており、バルブボディ48と、シート部材49と、ボール弁体50と、ソレノイド51と、から主に構成されている。
バルブボディ48は、概ね円筒状をなしており、バルブボディ48の軸方向に沿って延びる油通路52を有している。また、この油通路52を拡径することにより、ボール弁体50を収容する弁体収容部53が形成されている。この弁体収容部53の外端部には、概ね環状のシート部材49が圧入固定されている。このシート部材49の内周側は、吐出部側通路部33aに接続される開口部である導入ポート54となっている。シート部材49の内端部の円形に連続した開口縁には、バルブシート49aが形成されている。このバルブシート49aには、ボール弁体50が離着座可能に設けられており、バルブシート49aに対するボール弁体50の離着座により、導入ポート54が開閉されるようになっている。また、弁体収容部53に臨む油通路52の開口縁にも、バルブシート49aと同様のバルブシート52aが形成されている。
バルブボディ48の周壁には、バルブボディ48の軸方向一端側の位置に、弁体収容部53と第2制御油室側通路部33bとを連通させる給排ポート55が、バルブボディ48の径方向に沿って貫通形成されている。給排ポート55は、バルブシート49aに対するボール弁体50の離着座により、パイロット弁12に対する油圧の給排に供する。また、バルブボディ48の周壁には、バルブボディ48の軸方向他端側の位置に、油通路52と低圧部44とを接続する開口部である排出ポート56が、バルブボディ48の径方向に沿って貫通形成されている。
ソレノイド51は、ケーシング51a内部に収容されるコイルへの通電により生じる電磁力によって、コイルの内周側に配置された可動プランジャが移動することで、可動プランジャに固定されたロッド51bが進出するように構成されている。ロッド51bは、その先端部がボール弁体50と対向するように油通路52内に配置されている。上記コイルには、内燃機関の油温や水温、機関回転数などの所定のパラメータによって検出ないし算出された機関運転状態に基づいて、車載の図示せぬ電子コントローラ(ECU)から励磁電流が通電される。
かかる電磁弁13は、ソレノイド51のコイルへの通電状態に応じたボール弁体50の移動によって、油通路52および排出ポート56を介して第2制御油室側通路部33bと低圧部44とを接続する状態(第2状態)と、弁体収容部53および導入ポート54を介して、吐出部側通路部33aと第2制御油室側通路部33bとを接続する状態(第1状態)とを切り換える。
具体的には、ソレノイド51のコイルへの通電時には、ロッド51bがバルブボディ48の軸方向一端側へ進出移動することでボール弁体50を押圧し、該ボール弁体50は、シート部材49側のバルブシート49aに押し付けられる。これにより、導入ポート54と給排ポート55との連通が遮断され、油通路52を介して給排ポート55と排出ポート56とが連通する。従って、電磁弁13は、油通路52および排出ポート56を介して第2制御油室側通路部33bと低圧部44とを接続する第2状態にある。
一方、ソレノイド51のコイルへの非通電時には、導入ポート54により導かれる吐出圧によって、ボール弁体50がバルブボディ48の軸方向他端側へ後退移動することで、ボール弁体50は、ソレノイド51側のバルブシート52aに押し付けられる。これにより、導入ポート54と給排ポート55とが連通し、給排ポート55と排出ポート56との連通が遮断される。従って、電磁弁13は、弁体収容部53および導入ポート54を介して吐出部側通路部33aと第2制御油室側通路部33bとを接続する第1状態にある。
図6は、第1の実施形態に係る可変容量形ポンプの油圧特性を示すグラフである。図7は、第1の実施形態に係る可変容量形ポンプの油圧回路図であって、(a)は、図6中の区間aにおける可変容量形ポンプの状態を示した図、(b)は、図6中の区間bにおける可変容量形ポンプの状態を示した図である。図8は、同じく第1の実施形態に係る可変容量形ポンプの油圧回路図であって、(a)は、図6中の区間cにおける可変容量形ポンプの状態を示した図、(b)は、図6中の区間dにおける可変容量形ポンプの状態を示した図である。
まず、図6を参照することにより、可変容量形ポンプの必要油圧について説明する。図6に示すP1は、例えば燃費向上等に供するバルブタイミング制御装置の要求油圧に相当する機関要求油圧を示している。一方、図6に示すP2は、ピストンの冷却に供するオイルジェットの要求油圧に相当する機関要求油圧および機関高回転時のクランクシャフトの軸受部の潤滑に要する機関要求油圧を示している。これらP1〜P2を実線により繋いだものが、内燃機関の機関回転数に応じた理想的な吐出圧(必要油圧)Pを表している。
また、図6に示すPcは、セット荷重W1に基づくコイルばね7の付勢力に抗してカムリング6が同心方向へ移動を開始するカムリング作動油圧を示している。一方、図6に示すPsは、セット荷重W2に基づくバルブスプリング37の付勢力に抗してスプール36がスプール収容部38の一端部38a側の位置から他端部38b側の位置へと移動を開始し、他端部側排出孔43の開口が始まるスプール作動油圧を示している。
このような設定から、機関始動から低回転域に相当する図6中の区間aでは、電磁弁13のソレノイド51に励磁電流が通電され、導入ポート54と給排ポート55との連通が遮断される一方、給排ポート55と排出ポート56とが連通する。このため、電磁弁13は、油通路52および排出ポート56を介して第2制御油室側通路部33bと低圧部44とを接続する第2状態となっている。これにより、パイロット弁12のスプール36は、図7(a)に示す最大上側位置(図4に示すスプール36の位置と同じ)に保持され、第2制御油室16側には、吐出圧Pが導入されない。この結果、第2制御油室16内の作動油は、電磁弁13を介さずに中継室42および一端部側排出孔47を通して低圧部44に排出されるとともに、中継室42、第2給排孔46、第2制御油室側通路部33bおよび油通路52を通して排出ポート56から低圧部44に排出される。そして、第1制御油室15のみに吐出圧Pが供給される。この機関回転域では吐出圧(機関内油圧)Pがカムリング作動油圧Pcよりも低い状態となっているため、カムリング6が最大偏心状態に保持されて、吐出圧Pは機関回転数にほぼ比例するかたちで増大する特性となる。
その後、機関回転数が上昇して吐出圧Pがカムリング作動油圧Pc(第1所定圧)に到達すると(図6参照)、ソレノイド51への通電状態が維持され、引き続き第1制御油室15のみに吐出圧Pが供給される。これにより、第1制御油室15の内圧に基づく付勢力がコイルばね7の付勢力に打ち勝ち、カムリング6が同心方向へと移動を始める。この結果、前述したカムリング6が最大偏心状態にあるときと比べて、この吐出圧Pの増加量が小さくなる(図5中の区間b)。
その後吐出圧Pがカムリング作動油圧Pcを下回るとカムリング6が偏心方向へ移動して吐出圧Pが増大し、吐出圧Pがカムリング作動油圧Pcを上回るとカムリング6が同心方向へ移動して吐出圧Pが減少するというように、吐出圧Pの増減が連続的に交互に切り替わることにより、吐出圧Pがカムリング作動油圧Pcに維持される。
機関回転数がさらに上昇し、機関運転状態において機関要求油圧P2が必要になると(図6参照)、ソレノイド51への通電が遮断され、導入ポート54と給排ポート55とが連通する一方、給排ポート55と排出ポート56との連通が遮断される(図6に示す時点X)。このため、電磁弁13は、弁体収容部53を介して吐出部側通路部33aと第2制御油室側通路部33bとを接続する第1状態にある。この結果、制御圧導入通路31から吐出部側通路部33aへ供給される吐出圧Pが第2制御油室側通路部33bを介してパイロット弁12側へと導かれる。このとき、吐出圧Pは未だスプール作動油圧Ps(第2所定圧)に達していなければ、パイロット弁12のスプール36は、スプール収容部38の一端部38a側に位置することになり、第2給排孔46を通して中継室42と第1給排孔41とが連通するので、吐出圧Pが第2制御油室16へと供給される。これにより、コイルばね7の付勢力と第2制御油室16の内圧に基づく付勢力との合力からなる偏心方向の付勢力が第1制御油室15の内圧に基づく同心方向の付勢力を上回って、カムリング6が偏心方向へと押し戻され、吐出圧Pの増加量が再び大きくなり、高圧特性となる(図6中の区間c)。
その後、かかる増大特性に基づき吐出圧Pが上昇してスプール作動油圧Psに到達すると、パイロット弁12によって作動圧導入孔40より圧力室39に導入される吐出圧Pに基づいてスプール36がバルブスプリング37の付勢力に抗してプラグ35側へと移動し、スプール36の位置がスプール収容部38の一端部38a側から他端部38b側へと切り替わる。
これにより、第2給排孔46および一端部側排出孔47のスプール収容部38側の開口が第1ランド部36aによって遮断されるとともに、中継室42を介して第1給排孔41と他端部側排出孔43とが連通する。そして、第2制御油室16内の作動油は排出されることにより減圧され、吐出圧Pよりも低くなる。この結果、第1制御油室15の内圧に基づく同心方向の付勢力がコイルばね7の付勢力と第2制御油室16の内圧に基づく付勢力との合力からなる偏心方向の付勢力を上回って、カムリング6が図8(b)に示すように同心方向へ移動することにより吐出圧Pが減少する(図6中の区間d)。
その後吐出圧Pがスプール作動油圧Psを下回るとカムリング6が偏心方向へ移動して吐出圧Pが増大し、吐出圧Pがスプール作動油圧Psを上回るとカムリング6が同心方向へ移動して吐出圧Pが減少するというように、第1給排孔41と第2給排孔46および一端部側排出孔47との接続、もしくは第1給排孔41と他端部側排出孔43との接続が連続的に交互に切り替わることにより、吐出圧Pがスプール作動油圧Psに維持されるように調整されることとなる。
[第1の実施形態の効果]
従来技術の可変容量形ポンプでは、例えば高温時に作動油の粘性が低くなった場合に、各ポンプ室内の高圧の作動油が、ハウジング本体の底面と制御リングの一側面との間の隙間やカバー部材と制御リングの他側面との間の隙間であるサイドクリアランスを通して第2制御油室へ流れ込んで溜まる虞がある。第2制御油室内に溜まった作動油は、可変容量形ポンプの低圧制御時に、2つの弁、つまりパイロット弁および電磁弁が設けられた比較的長い通路を介して排出される。このとき、第2制御油室内の作動油は、上記通路との間に生じる抵抗、例えば通路の内周面と作動油との間の摩擦等による抵抗により速やかに排出されない。このため、第2制御油室内の油圧が増大し、この増大した油圧に基づく付勢力により、制御リングが第1制御油室内の油圧に基づく付勢力に抗して移動してしまう。その結果、可変容量形ポンプの吐出圧が増大してしまい、可変容量形ポンプの低圧制御時において可変容量形ポンプを効率的に作動させることができない虞があった。
これに対し、第1の実施形態では、図7(a)に示すように、可変容量形ポンプの低圧制御時において、第2制御油室16内の作動油が、電磁弁13を介さずにパイロット弁12の中継室42および一端部側排出孔47を通して低圧部44に排出される。つまり、第2制御油室16内の作動油は、パイロット弁12を介した比較的短い通路を通して低圧部44に排出される。このため、パイロット弁12および電磁弁13を含む比較的長い通路を通して作動油を排出する場合に比べて、上記比較的短い通路からは抵抗を受け難く、第2制御油室16内の作動油が低圧部44に速やかに排出される。従って、第2制御油室16内の油圧が過度に高くなることが抑制され、カムリング6が第1制御油室15内の油圧に基づく付勢力に抗して移動することが抑制される。よって、可変容量形ポンプの吐出圧Pの変動が抑制され、可変容量形ポンプの低圧制御時に可変容量形ポンプを効率的に作動させることができる。
また、第1の実施形態では、電磁弁13を介して導入される作動油の圧力により作動可能なパイロット弁12が設けられている。
仮に、パイロット弁12の代わりに電磁弁を用いる場合には、電源の故障等により電気の供給が停止したときには第2制御油室16の作動油の給排を行うことができなくなってしまう。
そこで、第1の実施形態のように作動油の圧力のみで作動するパイロット弁12を用いることで、上記電磁弁を用いる場合と比べて、環境変化に影響されず、第2制御油室16の作動油の給排を容易に行うことができる。
さらに、第1の実施形態では、パイロット弁12は、作動油の圧力がカムリング作動油圧Pcよりも低いときに電磁弁13と第2制御油室16とを接続するとともに電磁弁13を介さずに第2制御油室16と低圧部44とを接続し、作動油の圧力がカムリング作動油圧Pcよりも高い圧力であるスプール作動油圧Psに達したときに、第2制御油室16と低圧部44との接続を遮断する。
より詳細には、作動油の圧力がカムリング作動油圧Pcよりも低いときに、第2制御油室16内の作動油が、第1給排孔41、中継室42、第2給排孔46、給排ポート55、油通路52および排出ポート56を介して低圧部44に排出されるとともに、電磁弁13を介さずにパイロット弁12の中継室42および一端部側排出孔47を通して低圧部44に排出される。そして、作動油の圧力がスプール作動油圧Psに達したときに、第2制御油室16と電磁弁13との接続を遮断した状態で、第2制御油室16内の作動油が、中継室42および一端部側排出孔47を通して低圧部44に排出されなくなる。従って、作動油が第2制御油室16内に留まり、カムリング6に適度な圧力が掛かる。よって、可変容量形ポンプの高圧制御時に、可変容量形ポンプの吐出圧Pを効率良く制御することができる。
また、第1の実施形態では、パイロット弁12は、スプール収容部38と、スプール収容部38内に移動可能に配置されたスプール36と、スプール収容部38の一端部38aとスプール36との間に形成される圧力室39と、スプール収容部38の他端部38bとスプール36との間に形成される背圧室66と、背圧室66内に配置され、圧力室39に向かってスプール36を付勢するバルブスプリング37と、背圧室66に開口して大気に開放される空気孔45と、一端部38aに開口して圧力室39と接続される作動圧導入孔40と、スプール36の移動方向に沿った方向を軸方向としたときに、該軸方向に対する径方向においてスプール収容部38に開口し、第2制御油室16に接続される第1給排孔41と、軸方向において第1給排孔41よりも一端部38a側に設けられ、径方向においてスプール収容部38に開口し、電磁弁13に接続される第2給排孔46と、径方向において第2給排孔46と少なくとも一部がオーバーラップするように設けられ、径方向においてスプール収容部38に開口し、低圧部44に接続される一端部側排出孔47と、軸方向において第1給排孔41よりも他端部38b側に設けられ、径方向においてスプール収容部38に開口し、低圧部44に接続される他端部側排出孔43と、を備える。
このように、バルブボディ34の径方向において一端部側排出孔47が第2給排孔46とオーバーラップした位置に設けられることで、可変容量形ポンプの高圧制御時に作動圧導入孔40を介して作動油が導入され、スプール36が他端部38b側に移動したときに、一端部側排出孔47がスプール36の第1ランド部36aの外周面によって即座に塞がれる。これにより、第2制御油室16内に油圧が掛かり、可変容量形ポンプの高圧制御時において、レスポンスを損なうことなく、可変容量形ポンプの吐出圧Pを制御することができる。
さらに、第1の実施形態では、電磁弁13が設けられている。
このため、電磁弁13への通電および非通電により、可変容量形ポンプの低圧制御と高圧制御とを切り換える2段階制御を構成することができ、回転数領域に応じた制御を行うことができる。
また、第1の実施形態では、電磁弁13は、該電磁弁13の非通電時には第1状態となり、電磁弁13の通電時には第2状態となる。
より詳細には、電磁弁13の非通電時には、電磁弁13は、吐出部側通路部33aと第2制御油室側通路部33bとを接続する第1状態となり、吐出圧がスプール36の一端に作用する。一方、電磁弁13の通電時には、電磁弁13は、油通路52および排出ポート56を介して第2制御油室側通路部33bと低圧部44とを接続する第2状態となり、吐出圧がスプール36の一端に作用しない。
従って、本実施形態では、電源の故障等により電磁弁13に電気が供給されなくなっても、高圧制御を継続することができる。
さらに、第1の実施形態では、低圧部44は、第2制御油室16内の作動油の圧力よりも低い圧力を有する。
これにより、可変容量形ポンプの低圧制御時に、第2制御油室16内の作動油が中継室42および一端部側排出孔47を通して低圧部44に排出され易くなる。このため、第2制御油室16内の作動油の圧力が高くなることが抑制され、カムリング6が第1制御油室15内の油圧に基づく付勢力に抗して移動することが抑制される。よって、各ポンプ室26の体積の変化並びに可変容量形ポンプの吐出圧Pの変動が抑制され、可変容量形ポンプを効率的に作動させることができる。
また、第1の実施形態では、低圧部44は、大気圧を有する。
このように低圧部44が大気圧を有することで、第2制御油室16内の作動油の圧力と低圧部44との差圧が最も大きくなる。従って、可変容量形ポンプの低圧制御時に、第2制御油室16内の作動油が中継室42および一端部側排出孔47を通して低圧部44にさらに排出され易くなる。このため、第2制御油室16内の油圧が増大することがさらに抑制され、カムリング6が第1制御油室15内の油圧に基づく付勢力に抗して移動することがさらに抑制される。よって、可変容量形ポンプの吐出圧Pの増大がさらに抑制され、可変容量形ポンプをより効率的に作動させることができる。
さらに、第1の実施形態では、低圧部44は、吸入孔28と接続されても良い。
低圧部44と吸入孔28とを接続することで、第2制御油室16内の作動油が、中継室42および一端部側排出孔47を通して吸入孔28へ排出される。従って、一端部側排出孔47からの作動油の排出が吸入の負圧分だけ向上する。これにより、第2制御油室16内の油圧が適度な油圧に迅速に調整され、カムリング6の移動が抑制される。よって、可変容量形ポンプを効率的に作動させることができる。
また、第1の実施形態では、ポンプ機構は、回転駆動されるロータ4と、該ロータ4の外周側に出没可能に設けられた複数のベーン5と、を備える。
このようなポンプ機構においてカムリング6の内周面やリング部材8の外周面に対してベーン5の先端面や内端面を摺動させることで、例えばトロコイドポンプやギアポンプを用いる場合と比べて摺動面積が小さくなる。これにより、機械的なフリクションが少なくなり、内燃機関の燃費を向上させることができる。
[第2の実施形態]
図9は、第2の実施形態の可変容量形ポンプの断面図である。
第2の実施形態の可変容量形ポンプは、カムリング6が揺動可能に設けられてなる第1の実施形態の可変容量形ポンプと異なり、カムリング57が直線的に移動可能となるように構成されている。また、第2の実施形態のカムリング57では、第1の実施形態のカムリング6の第1、第2シール部材9,10、アーム部6dおよびピボットピン23が廃止されている。
第2の実施形態では、ハウジング本体1は、駆動軸3の軸方向に見たときのポンプ収容部14の外形が概ね菱形をなすように形成されている。ポンプ収容部14の1つの頂部には、ハウジング本体1の外側に膨出した矩形状の第1凹部58が形成されている。この第1凹部58の対向する2つの側壁58a,58bは、互いに平行になっている。また、ポンプ収容部14の上記頂部とロータ4を挟んで対向する頂部には、ハウジング本体1の外側に段差状に膨出した概ね矩形状の第2凹部59が形成されている。この第2凹部59の対向する2つの側壁59a,59bは、互いに平行になっており、さらに、第1凹部58の2つの側壁58a,58bとも平行になっている。
カムリング57の外周部のうち第1凹部58と対応した部位には、該第1凹部58の2つの側壁58a,58bと摺動可能に配置される概ね矩形の第1突出部57aが突出形成されている。
また、カムリング57の外周部のうち第2凹部59と対応した部位には、該第2凹部59の2つの側壁59a,59bと摺動可能に配置される概ね矩形の第2突出部57bが突出形成されている。この第2突出部57bのうち側壁59aと対向する面57cには、該面57cから側壁59b側に窪んだ溝部57dが設けられている。この溝部57dには、シール部材60と、該シール部材60を側壁59aに向けて付勢する弾性部材61とからなるシール部材62が装着されている。また、第2突出部57bのうち面57cと直交する面57eには、該面57eからロータ4側に矩形に窪んだ凹溝57fが形成されている。凹溝57fの底部57gと第2凹部59の端壁59cとの間には、所定のセット荷重W3により圧縮されたコイルばね63が設けられている。
第1凹部58の内周面と第1突出部57aとの間の空間は、作動油の吐出量が減少する方向へカムリング57が移動したときに容積が増大する第1制御油室71となっている。この第1制御油室71は、吐出通路30から分岐した導入分岐通路64に接続されている。
また、第2凹部59の内周面と第2突出部57bとの間の空間は、作動油の吐出量が増加する方向へカムリング57が移動したときに容積が増大する第2制御油室72となっている。この第2制御油室72は、第1給排孔41を介してパイロット弁12のバルブボディ34内の中継室42に常時接続されている。
ポンプ収容部14の第1,第2凹部58,59を含まない2つの頂部のうち一方の頂部(図9の右側の頂部)側では、ポンプ収容部14の底面14aに、吸入領域側の各ポンプ室26に開口した溝部である吸入ポート67が形成されている。また、ポンプ収容部14の底面14aのうち吸入ポート67と隣接した位置には、図示せぬオイルパンに接続される吸入孔68が開口形成されている。
一方、ポンプ収容部14の他方の頂部(図9の左側の頂部)側では、ポンプ収容部14の底面14aに、吐出領域側の各ポンプ室26に開口した溝部である吐出ポート69が形成されている。また、ポンプ収容部14の底面14aのうち吐出ポート69と隣接した位置には、吐出通路30に接続される吐出孔70が開口形成されている。吐出通路30には、可変容量形ポンプから吐出された作動油中のスラッジ等の不純物を除去するオイルフィルタ65が設けられている。
かかる可変容量形ポンプにおいて、第1制御油室71内の油圧に基づく付勢力F1が、第2制御油室72内の油圧に基づく付勢力F2とコイルばね63による付勢力(セット荷重W3)との合力F2+W3よりも小さい場合には、カムリング57は、図9に示すように最大偏心位置に付勢されている。つまり、付勢力F1が合力F2+W3よりも小さい場合には、カムリング57は、ロータ4の中心O1に対するカムリング57の中心O2の偏心量が最大となる位置(最大位置)で第1凹部58側に付勢されている。このとき、図9に示すように、パイロット弁12のスプール36がスプール収容部38の一端部38a側に付勢されることで、一端部側排出孔47が中継室42と連通している。これにより、第2制御油室72内の作動油は、図9に示すように、第1給排孔41、中継室42および一端部側排出孔47を介して低圧部44に排出される。
また、付勢力F1が合力F2+W3よりも大きい場合には、カムリング57は、ロータ4の中心O1に対するカムリング57の中心O2の偏心量が小さくなるように、側壁58a等に沿って直線的に移動する。このとき、パイロット弁12のスプール36がスプール収容部38の他端部38b側に付勢されることで、一端部側排出孔47は、スプール36の第1ランド部36aの外周面によって閉塞され、他端部側排出孔43と中継室42とが連通する。これにより、第2制御油室72内の作動油は、第1給排孔41、中継室42および他端部側排出孔43を介して低圧部44に排出される。
[第2の実施形態の効果]
第2の実施形態の可変容量形ポンプでは、第1、第2制御油室71,72がカムリング57を挟んで互いに対向するように配置されており、カムリング57が第1、第2制御油室71,72の間で直線的に移動可能となっている。このような可変容量形ポンプにおいても、例えば高温時に作動油の粘性が低くなった場合に、吐出ポート69と連通した各ポンプ室26内の高圧の作動油が、ポンプ収容部14の底面14aや図示せぬカバー部材とカムリング6の2つの側面57h(図9には1つのみの側面57hが示されている)との間のサイドクリアランスを通して第2制御油室72へ流入する虞がある。そして、第2制御油室72内の油圧が高くなり、これにより、カムリング57が、第1制御油室71内の油圧に基づく付勢力に抗して第1凹部58側に移動し、可変容量形ポンプの吐出圧が変動する虞がある。
しかし、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、図9に示すように、可変容量形ポンプの低圧制御時において、第2制御油室72内の作動油が、電磁弁13を介さずに第1給排孔41、中継室42および一端部側排出孔47を介して低圧部44に排出される。つまり、第2制御油室72内の作動油は、パイロット弁12を介した比較的短い通路を通して低圧部44に排出される。このため、パイロット弁12および電磁弁13を含む比較的長い通路を通して作動油を排出する場合に比べて、上記比較的短い通路からは抵抗を受け難く、第2制御油室72内の作動油が低圧部44に速やかに排出される。従って、第2制御油室72内の油圧が過度に高くなることが抑制され、カムリング57が第1制御油室71内の油圧に基づく付勢力F1に抗して移動することが抑制される。よって、可変容量形ポンプの吐出圧の増大が抑制され、可変容量形ポンプを効率的に作動させることができる。
[他の実施形態]
他の実施形態では、例えば第1の実施形態の有底筒状のハウジング本体1のポンプ収容部14において、第2シール部材10がカムリング基準線Mよりも下側の領域ではなく、カムリング基準線Mよりも上側の領域に設けられている。つまり、第2シール部材10は、カムリング基準線Mよりも上側の領域で、カムリング6の周方向において第1シール部材9よりもコイルばね7側に設けられている。このため、本実施形態では、第1シール部材9、第2シール部材10、カムリング6の外周面およびハウジング本体1の内周面によって囲まれる空間が、第2制御油室となる。この第2制御油室は、作動油の吐出量が増加する方向へカムリング6が移動したときに容積が減少するように構成されている。
そして、本実施形態の可変容量形ポンプでは、第1制御油室15内の油圧に基づく付勢力と上記第2制御油室内の油圧に基づく付勢力との合力と、コイルばね7の付勢力とのバランスでもって、カムリング6が制御される。
このように構成される本実施形態の可変容量形ポンプについて、本発明を適用しても良い。
また、別の実施形態では、例えば第1の実施形態の有底筒状のハウジング本体1のポンプ収容部14において、カムリングがピボットピンを中心に揺動可能に配置されている。また、カムリングの内部には、回転駆動されることによって吸入部から導かれた作動油を吐出部から吐出するポンプ機構が設けられている。このポンプ機構は、外周部に複数の外歯が形成され、入力軸によって回転駆動されるインナロータと、該インナロータの上記複数の外歯と噛み合う複数の内歯が形成され、カムリングにより回転可能に保持され、インナロータの回転中心に対して偏心しているアウタロータと、を備えている。
また、カムリングの外周に設けられた一対のシール部材と、カムリングの外周面と、ポンプ収容部14の内周面とによって囲まれた空間は、吐出部から吐出された作動油が導かれ、作動油の吐出量が減少する方向へカムリングが移動したときに容積が増加する制御油室となっている。
カムリングの外周に突出形成されたアーム部を挟んで制御油室と反対側には、アーム部に弾性的に当接することにより、制御油室の容積が減少する方向にカムリングを付勢可能な付勢部材、例えばコイルばねが対向して設けられている。
[その他の実施形態]
第1,2の実施形態では、ソレノイド51が、導入分岐通路64とパイロット弁12の間の第2導入通路33に設けられていたが、パイロット弁12の他端部側排出孔43に電磁弁13の導入ポート54が接続されるように設けられていても良い。
また、第1,2の実施形態では、第2制御油室16,72に、第2導入通路33上に設けられたソレノイド51とパイロット弁12を介したオイルが導入されていたが、第2制御油室16,72と第2導入通路33を直結することによってオイルを供給してもよい。このときは、第2制御油室16,72に、新たにオイルパンなどの低圧部44につながる新たな排出通路を設け、前記排出通路上にソレノイド51とパイロット弁12を配置して、第2制御油室16,72内のオイルの量を制御しても良い。また、第2制御油室16,72と低圧部44との間の排出通路上におけるソレノイド51とパイロット弁12の接続関係は、第2制御油室16,72、ソレノイド51、パイロット弁12、低圧部44の順番でも良いし、第2制御油室16,72、パイロット弁12、ソレノイド51、低圧部44の順番でも良い。
このように構成される本実施形態の可変容量形ポンプについて、本発明を適用しても良い。
以上説明した実施形態に基づく可変容量形ポンプとしては、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
可変容量形ポンプは、その一態様として、内部にポンプ収容部を有するハウジングと、前記ポンプ収容部に収容され、回転駆動されることによって吸入部から導かれた作動油を吐出部から吐出するポンプ機構と、前記ポンプ機構を収容し、該ポンプ機構から吐出される作動油の吐出量を可変にする制御リングと、前記制御リングの外周側に設けられ、前記吐出部から吐出された作動油が導かれ、前記作動油の吐出量が減少する方向へ前記制御リングが移動したときに容積が増大する第1制御油室と、前記制御リングの外周側において前記吐出部と隣接して設けられ、前記吐出部から吐出された作動油が導入通路を介して導かれ、前記作動油の吐出量が変化する方向へ前記制御リングが移動したときに容積が変化する第2制御油室と、前記導入通路を介して前記吐出部から吐出された作動油を前記第2制御油室に導く第1状態と、前記第2制御油室内の作動油を前記吐出部から吐出された作動油よりも低圧である低圧部に導く第2状態と、を切り換える第1弁と、前記第1弁が前記第2状態にあるときに、前記第1弁を介さずに前記第2制御油室と前記低圧部とを接続する第2弁と、を備える。
前記可変容量形ポンプの好ましい態様において、前記第1弁は、前記導入通路の途中に設けられ、前記第2弁は、前記第1弁と前記第2制御油室を接続する前記導入通路の途中に設けられている。
別の好ましい態様では、前記可変容量形ポンプの態様のいずれかにおいて、前記第2弁は、前記第1弁を介して導入される作動油の圧力により作動可能なパイロット弁である。
別の好ましい態様では、前記可変容量形ポンプの態様のいずれかにおいて、前記パイロット弁は、前記第1弁が前記第1状態にあり、前記作動油の圧力が第1所定圧よりも低いときに、前記第1弁と前記第2制御油室とを接続するとともに前記第1弁を介さずに前記第2制御油室と前記低圧部とを接続し、前記作動油の圧力が前記第1所定圧よりも高い圧力である第2所定圧に達したときに、前記第2制御油室と前記低圧部との接続を遮断する。
別の好ましい態様では、前記可変容量形ポンプの態様のいずれかにおいて、前記パイロット弁は、スプール収容部と、前記スプール収容部内に移動可能に配置されたスプールと、前記スプール収容部の一端部と前記スプールとの間に形成される圧力室と、前記スプール収容部の他端部と前記スプールとの間に形成される背圧室と、前記背圧室内に配置され、前記圧力室に向かって前記スプールを付勢する付勢部材と、前記背圧室に開口して大気に開放される空気孔と、前記一端部に開口して前記圧力室と接続される作動圧導入孔と、前記スプールの移動方向に沿った方向を軸方向としたときに、該軸方向に対する径方向において前記スプール収容部に開口し、前記第2制御油室に接続される第1給排孔と、前記軸方向において前記第1給排孔よりも前記一端部側に設けられ、前記径方向において前記スプール収容部に開口し、前記第1弁に接続される第2給排孔と、前記径方向において前記第2給排孔と少なくとも一部がオーバーラップするように設けられ、前記径方向において前記スプール収容部に開口し、前記低圧部に接続される第1排出孔と、前記軸方向において前記第1給排孔よりも前記他端部側に設けられ、前記径方向において前記スプール収容部に開口し、前記低圧部に接続される第2排出孔と、を備える。
別の好ましい態様では、前記可変容量形ポンプの態様のいずれかにおいて、前記第1弁は、電磁弁である。
別の好ましい態様では、前記可変容量形ポンプの態様のいずれかにおいて、前記電磁弁は、該電磁弁の非通電時には前記第1状態となり、前記電磁弁の通電時には前記第2状態となる。
別の好ましい態様では、前記可変容量形ポンプの態様のいずれかにおいて、前記低圧部は、前記第2制御油室内の作動油の圧力よりも低い圧力を有する。
別の好ましい態様では、前記可変容量形ポンプの態様のいずれかにおいて、前記低圧部は、大気圧を有する。
別の好ましい態様では、前記可変容量形ポンプの態様のいずれかにおいて、前記低圧部は、前記吸入部と接続される。
別の好ましい態様では、前記可変容量形ポンプの態様のいずれかにおいて、前記第2制御油室は、前記作動油の吐出量が増加する方向へ前記制御リングが移動したときに容積が増大する。
別の好ましい態様では、前記可変容量形ポンプの態様のいずれかにおいて、前記ポンプ機構は、回転駆動されるロータと、該ロータの外周側に出没可能に設けられた複数のベーンと、を備える。
別の好ましい態様では、前記可変容量形ポンプの態様のいずれかにおいて、前記制御リングは、前記ポンプ機構を収容する前記ポンプ収容部内を揺動する。
別の好ましい態様では、前記可変容量形ポンプの態様のいずれかにおいて、前記制御リングは、前記ポンプ収容部内を直線的に移動する。
また、以上説明した実施形態に基づく他の可変容量形ポンプとしては、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
内燃機関に設けられた電磁弁への通電状態によって吐出される作動油の油圧が変更される可変容量形ポンプは、その一態様として、内部にポンプ収容部を有するハウジングと、前記ポンプ収容部に収容され、回転駆動されることによって吸入部から導かれた作動油を吐出部から吐出するポンプ機構と、前記ポンプ機構を収容し、該ポンプ機構から吐出される作動油の吐出量を可変にする制御リングと、前記制御リングの外周側に設けられ、前記吐出部から吐出された作動油が導かれ、前記作動油の吐出量が減少する方向へ前記制御リングが移動したときに容積が増大する第1制御油室と、前記制御リングの外周側において前記吐出部と隣接して設けられ、前記吐出部から吐出された作動油の圧力が前記電磁弁によって制御され、前記電磁弁で制御された作動油の圧力が導かれる第2制御油室であって、前記作動油の吐出量が増加する方向へ前記制御リングが移動したときに容積が増大する前記第2制御油室と、前記電磁弁が、前記第2制御油室へ導く油圧を低下させている状態にあるときに、前記電磁弁を介さずに前記第2制御油室と前記低圧部とを接続する弁と、を備える。
6・・・カムリング、6m・・・第2受圧面、7・・・コイルばね、12・・・パイロット弁、13・・・電磁弁、14・・・ポンプ収容部、15・・・第1制御油室、16・・・第2制御油室、24・・・吸入ポート、25・・・吐出ポート、31・・・制御圧導入通路、32・・・第1導入通路、33a・・・吐出部側通路部、33b・・・第2制御油室側通路部、34・・・バルブボディ、35・・・プラグ、36・・・スプール、37・・・バルブスプリング、39・・・圧力室、40・・・作動圧導入孔、41・・・第1給排孔、42・・・中継室、43・・・他端部側排出孔、46・・・第2給排孔、47・・・一端部側排出孔、57・・・カムリング、63・・・コイルばね、71・・・第1制御油室、72・・・第2制御油室

Claims (15)

  1. 内部にポンプ収容部を有するハウジングと、
    前記ポンプ収容部に収容され、回転駆動されることによって吸入部から導かれた作動油を吐出部から吐出するポンプ機構と、
    前記ポンプ機構を収容し、該ポンプ機構から吐出される作動油の吐出量を可変にする制御リングと、
    前記制御リングの外周側に設けられ、前記吐出部から吐出された作動油が導かれ、前記作動油の吐出量が減少する方向へ前記制御リングが移動したときに容積が増大する第1制御油室と、
    前記制御リングの外周側において前記吐出部と隣接して設けられ、前記吐出部から吐出された作動油が導入通路を介して導かれ、前記作動油の吐出量が変化する方向へ前記制御リングが移動したときに容積が変化する第2制御油室と、
    前記導入通路を介して前記吐出部から吐出された作動油を前記第2制御油室に導く第1状態と、前記第2制御油室内の作動油を前記吐出部から吐出された作動油よりも低圧である低圧部に導く第2状態と、を切り換える第1弁と、
    前記第1弁が前記第2状態にあるときに、前記第1弁を介さずに前記第2制御油室と前記低圧部とを接続する第2弁と、
    を備えた可変容量形ポンプ。
  2. 請求項1に記載の可変容量形ポンプにおいて、
    前記第1弁は、前記導入通路の途中に設けられ、
    前記第2弁は、前記第1弁と前記第2制御油室を接続する前記導入通路の途中に設けられたことを特徴とする可変容量形ポンプ。
  3. 請求項2に記載の可変容量形ポンプにおいて、
    前記第2弁は、前記第1弁を介して導入される作動油の圧力により作動可能なパイロット弁であることを特徴とする可変容量形ポンプ。
  4. 請求項3に記載の可変容量形ポンプにおいて、
    前記パイロット弁は、
    前記第1弁が前記第1状態にあり、前記作動油の圧力が第1所定圧よりも低いときに、前記第1弁と前記第2制御油室とを接続するとともに前記第1弁を介さずに前記第2制御油室と前記低圧部とを接続し、
    前記作動油の圧力が前記第1所定圧よりも高い圧力である第2所定圧に達したときに、前記第2制御油室と前記低圧部との接続を遮断することを特徴とする可変容量形ポンプ。
  5. 請求項3に記載の可変容量形ポンプにおいて、
    前記パイロット弁は、スプール収容部と、前記スプール収容部内に移動可能に配置されたスプールと、前記スプール収容部の一端部と前記スプールとの間に形成される圧力室と、前記スプール収容部の他端部と前記スプールとの間に形成される背圧室と、前記背圧室内に配置され、前記圧力室に向かって前記スプールを付勢する付勢部材と、前記背圧室に開口して大気に開放される空気孔と、前記一端部に開口して前記圧力室と接続される作動圧導入孔と、前記スプールの移動方向に沿った方向を軸方向としたときに、該軸方向に対する径方向において前記スプール収容部に開口し、前記第2制御油室に接続される第1給排孔と、前記軸方向において前記第1給排孔よりも前記一端部側に設けられ、前記径方向において前記スプール収容部に開口し、前記第1弁に接続される第2給排孔と、前記径方向において前記第2給排孔と少なくとも一部がオーバーラップするように設けられ、前記径方向において前記スプール収容部に開口し、前記低圧部に接続される第1排出孔と、前記軸方向において前記第1給排孔よりも前記他端部側に設けられ、前記径方向において前記スプール収容部に開口し、前記低圧部に接続される第2排出孔と、を備えることを特徴とする可変容量形ポンプ。
  6. 請求項2に記載の可変容量形ポンプにおいて、
    前記第1弁は、電磁弁であることを特徴とする可変容量形ポンプ。
  7. 請求項6に記載の可変容量形ポンプにおいて、
    前記電磁弁は、該電磁弁の非通電時には前記第1状態となり、前記電磁弁の通電時には前記第2状態となることを特徴とする可変容量形ポンプ。
  8. 請求項2に記載の可変容量形ポンプにおいて、
    前記低圧部は、前記第2制御油室内の作動油の圧力よりも低い圧力を有することを特徴とする可変容量形ポンプ。
  9. 請求項2に記載の可変容量形ポンプにおいて、
    前記低圧部は、大気圧を有することを特徴とする可変容量形ポンプ。
  10. 請求項2に記載の可変容量形ポンプにおいて、
    前記低圧部は、前記吸入部と接続されることを特徴とする可変容量形ポンプ。
  11. 請求項2に記載の可変容量形ポンプにおいて、
    前記第2制御油室は、前記作動油の吐出量が増加する方向へ前記制御リングが移動したときに容積が増大することを特徴とする可変容量形ポンプ。
  12. 請求項11に記載の可変容量形ポンプにおいて、
    前記ポンプ機構は、回転駆動されるロータと、該ロータの外周側に出没可能に設けられた複数のベーンと、を備えることを特徴とする可変容量形ポンプ。
  13. 請求項11に記載の可変容量形ポンプにおいて、
    前記制御リングは、前記ポンプ機構を収容する前記ポンプ収容部内を揺動することを特徴とする可変容量形ポンプ。
  14. 請求項11に記載の可変容量形ポンプにおいて、
    前記制御リングは、前記ポンプ収容部内を直線的に移動することを特徴とする可変容量形ポンプ。
  15. 内燃機関に設けられた電磁弁への通電状態によって吐出される作動油の油圧が変更される可変容量形ポンプであって、
    内部にポンプ収容部を有するハウジングと、
    前記ポンプ収容部に収容され、回転駆動されることによって吸入部から導かれた作動油を吐出部から吐出するポンプ機構と、
    前記ポンプ機構を収容し、該ポンプ機構から吐出される作動油の吐出量を可変にする制御リングと、
    前記制御リングの外周側に設けられ、前記吐出部から吐出された作動油が導かれ、前記作動油の吐出量が減少する方向へ前記制御リングが移動したときに容積が増大する第1制御油室と、
    前記制御リングの外周側において前記吐出部と隣接して設けられ、前記吐出部から吐出された作動油の圧力が前記電磁弁によって制御され、前記電磁弁で制御された作動油の圧力が導かれる第2制御油室であって、前記作動油の吐出量が増加する方向へ前記制御リングが移動したときに容積が増大する前記第2制御油室と、
    前記電磁弁が、前記第2制御油室へ導く油圧を低下させている状態にあるときに、前記電磁弁を介さずに前記第2制御油室と前記低圧部とを接続する弁と、
    を備えた可変容量形ポンプ。
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