以下、実施形態を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
<実施形態>
まず、図1および図2を参照して、実施形態にかかる自動バレー駐車システムの概略について説明する。ここで、自動バレー駐車システムとは、白線などといった区画線Lで区画された1以上の駐車領域Rを有する駐車場Pにおいて、以下に説明するような自動駐車および自動出庫を含む自動バレー駐車を実現するためのシステムである。
図1は、実施形態にかかる自動バレー駐車システムにおける自動駐車の一例を示した例示的かつ模式的な図であり、図2は、実施形態にかかる自動バレー駐車システムにおける自動出庫の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図1および図2に示されるように、自動バレー駐車においては、駐車場P内の所定の降車領域P1で車両Vから乗員Xが降車した後、所定の指示に応じて車両Vが降車領域P1から空きの駐車領域Rへ自動で移動して駐車する自動駐車(図1の矢印C1参照)と、当該自動駐車が完了した後、所定の呼び出しに応じて車両Vが駐車領域Rから出庫して所定の乗車領域P2へ自動で移動して停車する自動出庫(図2の矢印C2参照)と、が実行される。なお、所定の指示および所定の呼び出しは、乗員Xによる端末装置Tの操作によって実現される。
また、図1および図2に示されるように、自動バレー駐車システムは、駐車場Pに設けられた管制装置101と、車両Vに搭載された車両制御システム102と、を有している。管制装置101と車両制御システム102とは、無線通信によって互いに通信可能に構成されている。
管制装置101は、駐車場Pの地図データを管理するように構成されている。地図データは、上述した区画線Lや後述するマーカM(図6〜図8参照)などといった、駐車場Pの路面に固定的に設置された路面標示の(正規の)絶対位置を特定するための情報を含んでいる。なお、ここで言及している絶対位置は、路面標示が有する方向性(絶対方位)も含みうる概念である。つまり、路面標示が所定の向き(方向性)を持った線状の標示を含んでいる場合、地図データからは、路面標示が設けられた絶対位置のみならず、路面標示に含まれる線状の標示によって表される絶対方位も特定可能である。
また、管制装置101は、駐車場P内の状況を撮像する1以上の監視カメラ103から得られる画像データや、駐車場P内に設けられる各種のセンサ(不図示)などから出力されるデータを受け取ることで駐車場P内の状況を監視し、監視結果に基づいて、駐車領域Rを管理するように構成されている。以下では、駐車場P内の状況を監視するために管制装置101が受け取る情報を総称してセンサデータと記載することがある。
なお、実施形態において、駐車場Pにおける降車領域P1、乗車領域P2、および駐車領域Rの数や配置などは、図1および図2に示された例に制限されるものではない。実施形態の技術は、図1および図2に示された駐車場Pとは異なる様々な構成の駐車場に適用可能である。
次に、図3および図4を参照して、実施形態にかかる管制装置101および車両制御システム102の構成について説明する。なお、図3および図4に示される構成は、あくまで一例であり、実施形態にかかる管制装置101および車両制御システム102の構成は、種々に設定(変更)可能である。
まず、図3を参照して、実施形態にかかる管制装置101のハードウェア構成について説明する。
図3は、実施形態にかかる管制装置101のハードウェア構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。図3に示されるように、実施形態にかかる管制装置101は、PC(Personal Computer)などといった一般的な情報処理装置と同様のコンピュータ資源を有している。
図3に示される例において、管制装置101は、CPU(Central Processing Unit)301と、ROM(Read Only Memory)302と、RAM(Random Access Memory)303と、通信インターフェース(I/F)304と、入出力インターフェース(I/F)305と、SSD(Solid State Drive)306と、を有している。これらのハードウェアは、バス350を介して互いに接続されている。
CPU301は、管制装置101を統括的に制御するハードウェアプロセッサである。CPU301は、ROM302などに記憶された各種の制御プログラム(コンピュータプログラム)を読み出し、当該各種の制御プログラムに規定されたインストラクションにしたがって各種の機能を実現する。
ROM302は、上述した各種の制御プログラムの実行に必要なパラメータなどを記憶する不揮発性の主記憶装置である。
RAM303は、CPU301の作業領域を提供する揮発性の主記憶装置である。
通信インターフェース304は、管制装置101と外部装置との間の通信を実現するインターフェースである。たとえば、通信インターフェース304は、管制装置101と車両V(車両制御システム102)との間の無線通信による信号の送受信を実現する。
入出力インターフェース305は、管制装置101と外部装置との接続を実現するインターフェースである。外部装置としては、たとえば、管制装置101のオペレータが使用する入出力デバイスなどが考えられる。
SSD306は、書き換え可能な不揮発性の補助記憶装置である。なお、実施形態にかかる管制装置101においては、補助記憶装置として、SSD306に替えて(またはSSD306に加えて)、HDD(Hard Disk Drive)が設けられてもよい。
次に、図4を参照して、実施形態にかかる車両制御システム102のシステム構成について説明する。
図4は、実施形態にかかる車両制御システム102のシステム構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。図4に示されるように、車両制御システム102は、制動システム401と、加速システム402と、操舵システム403と、変速システム404と、障害物センサ405と、走行状態センサ406と、通信インターフェース(I/F)407と、車載カメラ408と、モニタ装置409と、車両制御装置410と、車載ネットワーク450と、を有している。
制動システム401は、車両Vの減速を制御する。制動システム401は、制動部401aと、制動制御部401bと、制動部センサ401cと、を有している。
制動部401aは、たとえば、ブレーキペダルなどを含んだ、車両Vを減速させるための装置である。
制動制御部401bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECU(Electronic Control Unit)である。制動制御部401bは、車両制御装置410からの指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、制動部401aを作動させることで、車両Vの減速度合を制御する。
制動部センサ401cは、制動部401aの状態を検出するための装置である。たとえば、制動部401aがブレーキペダルを含む場合、制動部センサ401cは、制動部401aの状態として、ブレーキペダルの位置または当該ブレーキペダルに作用している圧力を検出する。制動部センサ401cは、検出した制動部401aの状態を車載ネットワーク450に出力する。
加速システム402は、車両Vの加速を制御する。加速システム402は、加速部402aと、加速制御部402bと、加速部センサ402cと、を有している。
加速部402aは、たとえば、アクセルペダルなどを含んだ、車両Vを加速させるための装置である。
加速制御部402bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECUである。加速制御部402bは、車両制御装置410からの指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、加速部402aを作動させることで、車両Vの加速度合を制御する。
加速部センサ402cは、加速部402aの状態を検出するための装置である。たとえば、加速部402aがアクセルペダルを含む場合、加速部センサ402cは、アクセルペダルの位置または当該アクセルペダルに作用している圧力を検出する。加速部センサ402cは、検出した加速部402aの状態を車載ネットワーク450に出力する。
操舵システム403は、車両Vの進行方向を制御する。操舵システム403は、操舵部403aと、操舵制御部403bと、操舵部センサ403cと、を有している。
操舵部403aは、たとえば、ステアリングホイールやハンドルなどを含んだ、車両Vの転舵輪を転舵させる装置である。
操舵制御部403bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECUである。操舵制御部403bは、車両制御装置410からの指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、操舵部403aを作動させることで、車両Vの進行方向を制御する。
操舵部センサ403cは、操舵部403aの状態を検出するための装置である。たとえば、操舵部403aがステアリングホイールを含む場合、操舵部センサ403cは、ステアリングホイールの位置または当該ステアリングホイールの回転角度を検出する。なお、操舵部403aがハンドルを含む場合、操舵部センサ403cは、ハンドルの位置または当該ハンドルに作用している圧力を検出してもよい。操舵部センサ403cは、検出した操舵部403aの状態を車載ネットワーク450に出力する。
変速システム404は、車両Vの変速比を制御する。変速システム404は、変速部404aと、変速制御部404bと、変速部センサ404cと、を有している。
変速部404aは、たとえば、シフトレバーなどを含んだ、車両Vの変速比を変更するための装置である。
変速制御部404bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECUである。変速制御部404bは、車両制御装置410からの指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、変速部404aを作動させることで、車両Vの変速比を制御する。
変速部センサ404cは、変速部404aの状態を検出するための装置である。たとえば、変速部404aがシフトレバーを含む場合、変速部センサ404cは、シフトレバーの位置または当該シフトレバーに作用している圧力を検出する。変速部センサ404cは、検出した変速部404aの状態を車載ネットワーク450に出力する。
障害物センサ405は、車両Vの周囲に存在しうる障害物に関する情報を検出するための装置である。障害物センサ405は、たとえば、障害物までの距離を検出するソナーなどといった測距センサを含んでいる。障害物センサ405は、検出した情報を車載ネットワーク450に出力する。
走行状態センサ406は、車両Vの走行状態を検出するための装置である。走行状態センサ406は、たとえば、車両Vの車輪速を検出する車輪速センサや、車両Vの前後方向または左右方向の加速度を検出する加速度センサや、車両Vの旋回速度(角速度)を検出するジャイロセンサなどを含んでいる。走行状態センサ406は、検出した走行状態を車載ネットワーク450に出力する。
通信インターフェース407は、車両制御システム102と外部装置との間の通信を実現するインターフェースである。たとえば、通信インターフェース407は、車両制御システム102と管制装置101との間の無線通信による信号の送受信や、車両制御システム102と端末装置Tとの間の無線通信による信号の送受信などを実現する。
車載カメラ408は、車両Vの周辺の状況を撮像するための装置である。たとえば、車載カメラ408は、車両Vの前方、後方、および側方(左右両方)の路面を含む領域を撮像するように複数設けられる。車載カメラ408によって得られた画像データは、車両Vの周辺の状況の監視(障害物の検出も含む)に使用される。車載カメラ408は、得られた画像データを車両制御装置410に出力する。なお、以下では、車載カメラ408から得られる画像データと、車両制御システム102に設けられる上述した各種のセンサから得られるデータと、を総称してセンサデータと記載することがある。
モニタ装置409は、車両Vの車室内のダッシュボードなどに設けられる。モニタ装置409は、表示部409aと、音声出力部409bと、操作入力部409cと、を有している。
表示部409aは、車両制御装置410の指示に応じて画像を表示するための装置である。表示部409aは、たとえば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electroluminescent Display)などによって構成される。
音声出力部409bは、車両制御装置410の指示に応じて音声を出力するための装置である。音声出力部409bは、たとえば、スピーカによって構成される。
操作入力部409cは、車両V内の乗員の入力を受け付けるための装置である。操作入力部409cは、たとえば、表示部409aの表示画面に設けられるタッチパネルや、物理的な操作スイッチなどによって構成される。操作入力部409cは、受け付けた入力を車載ネットワーク450に出力する。
車両制御装置410は、車両制御システム102を統括的に制御するための装置である。車両制御装置410は、CPU410aや、ROM410b、RAM410cなどといったハードウェア(コンピュータ資源)を有したECUである。
より具体的に、車両制御装置410は、CPU410aと、ROM410bと、RAM410cと、SSD410dと、表示制御部410eと、音声制御部410fと、を有している。
CPU410aは、車両制御装置410を統括的に制御するハードウェアプロセッサである。CPU410aは、ROM410bなどに記憶された各種の制御プログラム(コンピュータプログラム)を読み出し、当該各種の制御プログラムに規定されたインストラクションにしたがって各種の機能を実現する。
ROM410bは、上述した各種の制御プログラムの実行に必要なパラメータなどを記憶する不揮発性の主記憶装置である。
RAM410cは、CPU410aの作業領域を提供する揮発性の主記憶装置である。
SSD410dは、書き換え可能な不揮発性の補助記憶装置である。なお、実施形態にかかる車両制御装置410においては、補助記憶装置として、SSD410dに替えて(またはSSD410dに加えて)、HDDが設けられてもよい。
表示制御部410eは、車両制御装置410で実行される各種の処理のうち、主として、車載カメラ408から得られた画像データに対する画像処理や、モニタ装置409の表示部409aに出力する画像データの生成などを司る。
音声制御部410fは、車両制御装置410で実行される各種の処理のうち、主として、モニタ装置409の音声出力部409bに出力する音声データの生成などを司る。
車載ネットワーク450は、制動システム401と、加速システム402と、操舵システム403と、変速システム404と、障害物センサ405と、走行状態センサ406と、通信インターフェース407と、モニタ装置409の操作入力部409cと、車両制御装置410と、を通信可能に接続する。
ところで、上述した自動バレー駐車システムのような、自動走行が前提となる技術においては、自動走行中における車両Vの現在位置(実位置)を正確に把握することが重要となる。この点に関して、従来から、車輪速センサなどの検出値を用いて車両Vの実位置を推定する手法(いわゆるオドメトリ)が知られている。しかしながら、この手法においては、車両Vの移動距離が大きくなる程、推定結果の誤差が累積されて大きくなっていくため、車両Vの実位置を正確に把握することができない場合がある。
これに対して、車載カメラ408によって得られた画像データから車両Vの実位置の推定のもととなるデータ(たとえば駐車場Pの路面標示の位置に関する路面標示データ)を取得する画像認識機能と、当該画像認識機能によって取得されたデータを所定のデータ(たとえば駐車場Pの地図データ)と照合することで車両Vの実位置を推定する位置推定機能と、当該位置推定機能によって推定された実位置を考慮して車両Vの走行制御を行う走行制御機能と、を車両制御装置410に持たせることで、自動走行中における車両Vの実位置の正確な把握を実現することが考えられる。この場合においては、路面標示データを簡単に取得することできれば望ましい。
そこで、実施形態は、以下に説明するような構成に基づき、路面標示データを簡単に取得し、自動走行中における車両Vの実位置の正確な把握を簡単に実現することを可能にする。
図5は、実施形態にかかる管制装置101および車両制御装置410の機能的構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。図5に示される機能モジュール群は、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現される。つまり、図5に示される例において、管制装置101の機能モジュール群は、CPU301がROM302などに記憶された所定の制御プログラムを読み出して実行した結果として実現され、車両制御装置410の機能モジュール群は、CPU410aがROM410bなどに記憶された所定の制御プログラムを読み出して実行した結果として実現される。なお、実施形態では、図5に示される機能モジュール群の一部または全部が専用のハードウェア(回路)のみによって実現されてもよい。
図5に示されるように、実施形態にかかる管制装置101は、機能的構成として、通信制御部511と、センサデータ取得部512と、駐車場データ管理部513と、誘導経路生成部514と、を有している。
通信制御部511は、車両制御装置410との間で実行される無線通信を制御する。たとえば、通信制御部511は、車両制御装置410との間で所定のデータを送受信することで車両制御装置410の認証を行ったり、自動駐車および自動出庫が完了した際に車両制御装置410から出力される所定の完了通知を受信したり、後述する駐車場Pの地図データや誘導経路などを必要に応じて車両制御装置410に送信したりする。
センサデータ取得部512は、駐車場P内に設けられる監視カメラ103や各種のセンサ(不図示)などから上述したセンサデータを取得する。センサデータ取得部512により取得されるセンサデータ(特に監視カメラ103から得られる画像データ)は、たとえば、駐車領域Rの空き状況の把握などに使用することが可能である。
駐車場データ管理部513は、駐車場Pに関するデータ(情報)を管理する。たとえば、駐車場データ管理部513は、駐車場Pの地図データや、駐車領域Rの空き状況などを管理する。たとえば、駐車場データ管理部513は、自動駐車が行われる際、空いている駐車領域Rの中から1つの駐車領域Rを選択し、選択した1つの駐車領域Rを、自動駐車における車両Vの到達目標である目標駐車領域として指定する。また、駐車場データ管理部513は、自動駐車が完了した後に車両Vが再び移動して駐車領域Rが変更された場合、センサデータ取得部512から取得されるセンサデータに基づいて、変更後の駐車領域Rを特定する。
誘導経路生成部514は、自動駐車および自動出庫が行われる際に車両制御装置410に指示する誘導経路を生成する。より具体的に、誘導経路生成部514は、自動駐車が行われる際においては、降車領域P1から目標駐車領域へ至る概略的な経路を誘導経路として生成し、自動出庫が行われる際においては、目標駐車領域(自動駐車後に車両Vが移動している場合には車両Vが現在駐車している駐車領域R)から乗車領域P2へ至る概略的な経路を誘導経路として生成する。
一方、図5に示されるように、実施形態にかかる車両制御装置410は、機能的構成として、通信制御部521と、画像データ取得部522と、路面標示データ取得部523と、位置推定部524と、走行制御部525と、を有している。
通信制御部521は、管制装置101との間で実行される無線通信を制御する。たとえば、通信制御部521は、管制装置101との間で所定のデータを送受信することで車両制御装置410の認証を行ったり、自動駐車および自動出庫が完了した際に所定の完了通知を管制装置101に送信したり、駐車場Pの地図データや誘導経路などを必要に応じて管制装置101から受信したりする。したがって、通信制御部521は、駐車場Pの地図データを取得する地図データ取得部として機能する。
画像データ取得部522は、車載カメラ408によって得られる画像データを取得する。この画像データは、駐車場Pの路面の状況を表す情報を含んでいるものとする。
路面標示データ取得部523は、画像データ取得部522により取得される画像データに基づく画像認識処理を実施することで、上述した区画線L(図1参照)や後述するマーカM(図6〜図8参照)などといった、駐車場Pの路面に設置された路面標示の位置(方位を含みうる)に関する路面標示データを取得する。
位置推定部524は、路面標示データ取得部523により取得された路面標示データと、通信制御部521により取得された地図データと、を照合することで、車両Vの実位置を推定する。より具体的に、位置推定部524は、路面標示データに基づいて、車両Vに対する路面標示の相対位置(相対方位を含みうる)を算出し、当該相対位置と、オドメトリに基づいて推定される車両Vの計算上の実位置と、に基づいて、路面標示の計算上の絶対位置(絶対方位を含みうる)を算出する。そして、位置推定部524は、路面標示データに基づいて算出された路面標示の計算上の絶対位置と、地図データに基づいて特定された路面標示の(正規の)絶対位置と、を照合することで、車両Vの(正規の)実位置を推定する。
走行制御部525は、制動システム401や加速システム402、操舵システム403、変速システム404などを制御することで、降車領域P1からの発進制御や、降車領域P1から駐車領域Rへの走行制御(駐車制御を含む)、駐車領域Rから乗車領域P2への走行制御(出庫制御を含む)、乗車領域P2への停車制御などといった、自動走行(自動駐車および自動出庫)を実現するための各種の走行制御を実行するように、車両Vの走行状態を制御する。
より具体的に、走行制御部525は、自動走行で辿るべき走行経路としての誘導経路を管制装置101から通信制御部521を介して取得し、取得した誘導経路と、位置推定部524により推定された車両Vの実位置と、に基づいて車両Vの走行状態を制御することで、誘導経路に基づいた自動走行を実施する。なお、走行制御部525は、車載カメラ408によって得られる画像データや、車両制御システム102に設けられる各種のセンサから出力されるデータなども、制御に使用することができる。これにより、状況に応じた誘導経路の調整なども実施することが可能になる。
以上のような構成により、実施形態にかかる車両制御装置410は、車両Vの自動走行中に、オドメトリによって車両Vの現在位置を推定する。そして、車両制御装置410は、車載カメラ408によって得られる画像データと、管制装置101から取得される地図データとに基づいて、オドメトリによる推定結果をその累積誤差をキャンセルするように補正し、自動走行中における車両Vの正確な現在位置(実位置)を推定する。
すなわち、実施形態にかかる車両制御装置410は、自動走行の実施中に、まず、車載カメラ408によって得られる画像データから、車両Vの周辺に位置する路面標示に関する路面標示データを検出することで、車両Vに対する路面標示の画像データ上での相対位置を算出する。そして、車両制御装置410は、路面標示の相対位置に基づいて算出される路面標示の計算上の絶対位置と、管制装置101から取得される地図データから特定される路面標示の正規の絶対位置との差分に基づいて、オドメトリに基づく推定結果を補正し、補正後の値を、車両Vの現在位置(実位置)の正規の推定値として設定する。
たとえば、実施形態にかかる車両制御装置410は、以下に説明する例のように、路面標示として区画線LおよびマーカMが設置された路面を車両Vが自動走行によって走行している場合に、車両Vの側方の状況を表す画像データであるサイド画像データに基づいて、車載カメラ408の撮像範囲内に存在するマーカM(および区画線Lのうち車両Vに近い側の端部E)の位置に関する路面標示データを検出する。そして、車両制御装置410は、検出した路面標示データに基づいて、車両Vを基準としたマーカM(および区画線Lの端部E)の位置を表す相対位置を算出する。そして、車両制御装置410は、算出した相対位置に基づいて算出されるマーカM(および区画線L)の計算上の絶対位置と、駐車場Pの地図データから特定される区画線Lの正規の絶対位置とを照合し、照合結果に基づいて、自動走行中における車両Vの実位置を推定する。
図6は、実施形態にかかる車両制御装置410が車両Vの実位置を推定する状況の具体例を示した例示的かつ模式的な図である。図6に示される例では、車両Vが、当該車両Vの左側方に位置する3本の区画線L61〜L63および右側方に位置する3本の区画線L64〜L66と交差する方向に自動走行によって走行している。また、図6に示される例では、区画線L61の端部と区画線L62の端部E62との間(中間の位置)にマーカM61が設置され、区画線L62の端部E62と区画線L63の端部との間にもマーカM62が設置されている。さらに、図6に示される例では、区画線L64の端部と区画線L65の端部との間(中間の位置)にマーカM63が設置され、区画線L65の端部と区画線L66の端部E66との間にもマーカM64が設置されている。
図6に示される例では、車両Vの左側部(たとえばサイドミラー)に設けられる車載カメラ408の撮像範囲が、マーカM61およびM62を含む領域A61に対応しており、車両の右側部(たとえばサイドミラー)に設けられる車載カメラ408の撮像範囲が、マーカM64を含む領域A62に対応している。したがって、車両制御装置410は、車両Vの左側部に設けられる車載カメラ408によって得られるサイド画像データと、車両Vの右側部に設けられる車載カメラ408によって得られるサイド画像データと、に対してエッジ検出処理などの画像認識処理を実施することで、マーカM61、M62およびM64のそれぞれの位置(たとえば中央の位置)に関する路面標示データを取得する。
そして、車両制御装置410は、取得した路面標示データを利用して、車両Vを基準とした、マーカM61、M62およびM64のそれぞれの(中央の)相対位置を算出し、算出した相対位置と、オドメトリに基づく推定結果と、を利用して、マーカM61、M62およびM64のそれぞれの(中央の)計算上の絶対位置を特定する。
そして、車両制御装置410は、管制装置101から地図データを取得し、当該地図データから、区画線L61(の端部E61)とマーカM61と区画線L62(の端部E62)とのそれぞれの正規の絶対位置を特定する。そして、車両制御装置410は、計算上の絶対位置と正規の絶対位置との差分をとり、当該差分に基づいて、オドメトリによる推定結果のずれを補正し、補正後の値を、車両Vの実位置として推定する。このようにして、自動走行中における車両Vの実位置の正確な推定が実現される。
なお、図6に示される例では、3つのマーカM61、M62、およびM64が、車両Vの実位置の推定に利用されている。しかしながら、実施形態では、車両Vの実位置の推定に用いられるマーカMの個数は、2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。
また、実施形態では、マーカM以外の路面標示に基づいて車両Vの実位置の推定が行われてもよい。たとえば、図6に示される例では、左サイド画像データに対応した領域A61が、区画線L62の端部E62を含んでおり、右サイド画像データに対応した領域A62が、区画線L66の端部E66を含んでいる。したがって、車両制御装置410は、これら領域A61およびA62に対応した2つのサイド画像データに対して白線検出処理などの画像認識処理を実施することで、区画線L62およびL66のそれぞれの(端部E62およびE66の)位置に関する路面標示データを取得し、取得した路面標示データと地図データとを用いて車両Vの実位置を推定してもよい。
ところで、前述したように、実施形態は、路面標示データをより簡単に取得し、自動走行中における車両Vの実位置の正確な把握をより簡単に実現することを可能にする。そのために、実施形態においては、マーカMが以下に説明するような比較的簡単な構成を有している。
図7は、実施形態にかかる路面標示としてのマーカMの一例を示した例示的かつ模式的な図である。図7に示されるマーカMは、全体として矩形形状(より具体的には一辺の長さがXの正方形形状)を有している。
図7に示されるマーカMは、第1方向(y方向)に延びる第1色の第1領域A1と、当該第1領域A1に対して第1方向と交差する第2方向(x方向)に隣接するように設けられた、第1色とは異なる第2色の第2領域A2と、を含む縞パターンにより構成されている。第1色は、たとえば黒などの暗色であり、第2色は、たとえば白などの明色である。第1領域A1は、マーカMのx方向の中央部に1つ設けられており、第2領域A2は、第1領域A1をx方向の両側から挟み込むように2つ設けられている。これにより、マーカMのx方向の両端には、同じ第2色の第2領域A2が配置される。
図7に示される例では、1つの第1領域A1および2つの第2領域A2が共にy方向に延びており、当該1つの第1領域A1のx方向の幅W1と、2つの第2領域A2の各々のx方向の幅W2とが等しくなっている。すなわち、図7に示される例では、1つの第1領域A1および2つの第2領域A2のそれぞれの大きさが、マーカMをy方向に延びる線に沿って3等分した領域の大きさに対応している。
ここで、路面標示に照射される光(駐車場Pが屋外にある場合は太陽光、駐車場Pが屋内にある場合は照明光)が比較的強い状況下では、テカリなどによってマーカM(およびその周辺の路面)が画像データ上で全体的に明るく(白っぽく)写ってしまい、画像データ上のマーカMを正確に認識できない場合がある。この場合、地図データの照合対象となる路面標示データが正確に取得できないので、自動走行中における車両Vの実位置の正確な把握を実現することが困難になる。
そこで、実施形態では、第1領域A1に所定の表面加工が施されるか、または第1領域A1が所定の材料により構成されることで、マーカMが以下に説明するような特性を有している。
図8は、実施形態にかかる路面標示としてのマーカMの特性を説明するための例示的かつ模式的な図である。図8において、矢印A81は、路面RS上に設置されたマーカMに入射する光の方向の一例を表し、矢印A82は、マーカMで反射して車載カメラ408へ向かう光の方向の一例を表す。
図8に示されるように、実施形態では、暗色(第1色)の第1領域A1で反射して車載カメラ408に向かう光の量Q1が、明色(第2色)の第2領域で反射して車載カメラ408に向かう光の量Q2よりも小さくなるような工夫が、マーカMの第1領域A1に施されている。
すなわち、実施形態にかかるマーカMは、第1領域A1に所定の表面加工が施されるか、または第1領域A1が所定の材料により構成されることで、第1領域A1で反射して車載カメラ408に向かう光の量Q1が、第2領域で反射して車載カメラ408に向かう光の量Q2よりも小さくように構成されている。なお、所定の表面加工の例としては、たとえば表面に凹凸を付けて光の拡散反射を起こしやすくする加工(ツヤ消し加工)や、光の拡散反射または吸収を起こしやすくするテープなどを表面に貼付する加工などが挙げられ、所定の材料としては、光の拡散反射または吸収を起こしやすくする材料などが挙げられる。
上記のような工夫を施せば、第1領域A1に入射する光の少なくとも一部が反射時に拡散または吸収され、結果として、第1領域A1で反射して車載カメラ408に向かう光が低減される。これにより、マーカMに照射される光が比較的強い状況下においても、車載カメラ408の撮像によって得られた画像データ上でマーカM(およびその周辺の路面RS)が全体的に明るく(白っぽく)写ることが抑制され、第1領域A1と第2領域A2との区別がつきやすくなるので、マーカMの位置に関する路面標示データを正確に取得することができる。その結果、マーカMに照射される光が比較的強い状況下においても、自動走行中における車両Vの実位置の正確な把握を実現することができる。
さらに、実施形態では、自動走行中における車両Vの実位置の正確な把握を実現するための他の工夫として、マーカMの配置に関する工夫も施される。具体的に、図6に戻り、実施形態では、複数のマーカMが、隣接するマーカM同士で第1領域A1の延びる方向(第1方向)の向きが異なるように配置される。これにより、画像認識処理において隣接するマーカM同士の混同が生じるのを回避することができるので、路面標示データを正確に取得することができ、自動走行中における車両Vの実位置の正確な把握を実現することができる。
次に、図9〜図12を参照して、実施形態にかかる自動バレー駐車システムで実行される処理について説明する。
図9は、実施形態にかかる管制装置101および車両制御装置410が自動駐車の際に実行する処理の流れを示した例示的かつ模式的なシーケンス図である。この図9に示される処理シーケンスは、乗員Xが降車領域P1で端末装置Tを操作することで、自動駐車のトリガとなる所定の指示を行った場合に開始する。
図9に示される処理シーケンスでは、まず、S901において、管制装置101と車両制御装置410とが通信を確立する。このS901においては、識別情報(ID)の送受信による認証や、管制装置101の監視下での自動走行を実現するための運行権限の譲受などが実行される。
S901で通信が確立すると、管制装置101(通信制御部511)は、S902において、駐車場Pの地図データを車両制御装置410に送信する。
そして、管制装置101(駐車場データ管理部513)は、S903において、センサデータ取得部512により取得される情報などに基づいて、駐車領域Rの空きを確認し、空いている1つの駐車領域Rを、車両Vに与える目標駐車領域として指定する。
そして、管制装置101(誘導経路生成部514)は、S904において、自動駐車の際に車両Vが辿るべき、降車領域P1からS903で指定した目標駐車領域への誘導経路を生成する。
そして、管制装置101(通信制御部511)は、S905において、S904で生成された誘導経路を車両制御装置410に送信する。
一方、車両制御装置410(位置推定部524)は、S902で管制装置101から送信された地図データが通信制御部521により受信された後のS906において、降車領域P1内における初期位置を推定する。初期位置とは、降車領域P1からの発進の起点となる、降車領域P1内における車両Vの現在位置(実位置)である。初期位置の推定には、上述した自動走行中における実位置の推定と同様に、車載カメラ408によって得られる画像データに基づく画像認識処理の結果が利用されうる。なお、図7に示される例では、S906の処理がS905の処理の前に実行されているが、S906の処理は、S905の処理の後に実行されてもよい。
S906で初期位置が推定され、かつ、S905で管制装置101から送信された誘導経路が通信制御部521により受信されると、車両制御装置410(走行制御部525)は、S907において、S906で推定された初期位置などに基づいて、実際の自動駐車の際に辿るべき、誘導経路に基づいた走行経路を生成する。
そして、車両制御装置410(走行制御部525)は、S908において、降車領域P1からの発進制御を実行する。
そして、車両制御装置410(走行制御部525)は、S909において、S907で生成された走行経路に沿った走行制御を実行する。この走行制御は、上述したような路面標示データ取得部523による画像認識処理の結果を利用した位置推定部524実位置の推定を伴って実行される。なお、実位置の推定時に実行される処理の流れについては、後で別の図面を参照しながらより詳細に説明するため、ここではこれ以上の説明を省略する。
そして、車両制御装置410(走行制御部525)は、S910において、目標駐車領域への駐車制御を実行する。
そして、S910における駐車制御が完了すると、車両制御装置410(走行制御部525)は、S911において、通信制御部521により駐車完了の通知を管制装置101に送信する。
以上のようにして、自動バレー駐車における自動駐車が実現される。
図10は、実施形態にかかる管制装置101および車両制御装置410が自動出庫の際に実行する処理の流れを示した例示的かつ模式的なシーケンス図である。この図10に示される処理シーケンスは、乗員Xが乗車領域P2で端末装置Tを操作することで、自動出庫のトリガとなる所定の呼び出しを行った場合に開始する。
図10に示される処理シーケンスでは、まず、S1001において、管制装置101と車両制御装置410とが通信を確立する。このS1001においては、上述した図9のS901と同様に、識別情報(ID)の送受信による認証や、管制装置101の監視下での自動走行を実現するための運行権限の譲受などが実行される。
S1001で通信が確立すると、管制装置101(通信制御部511)は、S1002において、駐車場Pの地図データを車両制御装置410に送信する。
そして、管制装置101(駐車場データ管理部513)は、S1003において、センサデータ取得部512により取得される情報などに基づいて、通信相手の車両制御装置410を搭載した車両Vが現在位置している駐車領域Rを確認する。
そして、管制装置101(誘導経路生成部514)は、S1004において、自動出庫の際に車両Vが辿るべき、S1003で確認された駐車領域Rから乗車領域P2への誘導経路を生成する。
そして、管制装置101(通信制御部511)は、S1005において、S1004で生成された誘導経路を車両制御装置410に送信する。
一方、車両制御装置410(位置推定部524)は、S1002で管制装置101から送信された地図データが通信制御部521により受信された後のS1006において、車両Vが現在止まっている駐車領域R内における出庫位置を推定する。出庫位置とは、駐車領域Rからの出庫の起点となる、駐車領域R内における車両Vの現在位置(実位置)である。出庫位置の推定には、上述した自動走行中における実位置の推定と同様に、車載カメラ408によって得られる画像データに基づく画像認識処理の結果が利用されうる。なお、図10に示される例では、S1006の処理がS1005の処理の前に実行されているが、S1006の処理は、S1005の処理の後に実行されてもよい。
S1006で出庫位置が推定され、かつ、S1005で管制装置101から送信された誘導経路が通信制御部521により受信されると、車両制御装置410(走行制御部525)は、S1007において、S1006で推定された出庫位置などに基づいて、実際の自動出庫の際に辿るべき、誘導経路に基づいて走行経路を生成する。
そして、車両制御装置410(走行制御部525)は、S1008において、駐車領域Rからの出庫制御を実行する。
そして、車両制御装置410(走行制御部525)は、S1009において、S1007で生成された走行経路に沿った走行制御を実行する。この走行制御も、図9のS909における走行制御と同様に、上述したような路面標示データ取得部523による画像認識処理の結果を利用した位置推定部524による実位置の推定を伴って実行される。
そして、車両制御装置410(走行制御部525)は、S1010において、乗車領域P2への停車制御を実行する。
そして、S1010における停車制御が完了すると、車両制御装置410(走行制御部525)は、S1011において、通信制御部521により出庫完了の通知を管制装置101に送信する。
以上のようにして、自動バレー駐車における自動出庫が実現される。
図11は、実施形態にかかる車両制御装置410が自動走行中に実行する実位置の推定処理の概略的な流れを示した例示的かつ模式的なフローチャートである。この図11に示される処理フローは、図9に示されるS909や、図10に示されるS1009などにおける車両Vの自動走行中に繰り返し実行される。
図11に示される処理フローでは、まず、S1101において、車両制御装置410(画像データ取得部522)は、車載カメラ408から画像データを取得する。
そして、S1102において、車両制御装置410(路面標示データ取得部523)は、エッジ検出処理などを含む画像認識処理を実行することで、S1101で取得された画像データから、路面標示の位置に関する路面標示データを取得する。
そして、S1103において、車両制御装置410(位置推定部524)は、路面標示データと地図データとを照合し、車両Vの実位置を推定する。そして、処理が終了する。
以下、図11のS1103で実行される実位置の推定処理の内容についてより詳細に説明する。
図12は、実施形態にかかる車両制御装置410が自動走行中に実行する実位置の推定処理の詳細な流れを示した例示的かつ模式的なフローチャートである。
図12に示される処理フローでは、まず、S1201において、車両制御装置410(位置推定部524)は、車両Vの実位置に関する前回の推定値に、センサデータに基づく変化量、つまりオドメトリによって推定された車両Vの位置の変化量を加算することで、オドメトリに基づく車両Vの計算上の実位置を算出する。
そして、S1202において、車両制御装置410(位置推定部524)は、路面標示データ取得部523による画像認識処理の結果として得られる路面標示データに基づく、S1201で算出した実位置を基準とした路面標示の相対位置を算出する。このS1202で算出された路面標示の相対位置と、S1201で算出された車両Vの計算上の実位置と、を利用すれば、路面標示の計算上の絶対位置を特定することができる。
そして、S1203において、車両制御装置410(位置推定部524)は、通信制御部521により取得された地図データに基づく、路面標示の正規の絶対位置を特定する。たとえば、車両制御装置410(位置推定部524)は、地図データに含まれる全ての路面標示の絶対位置から、S1202の算出結果を利用して特定される路面標示の計算上の絶対位置に近いものを抽出することで、次のS1204の処理において計算上の絶対位置との差分をとる対象となる路面標示の正規の絶対位置を特定する。
そして、S1204において、車両制御装置410(位置推定部524)は、S1202の算出結果に基づいて特定された路面標示の計算上の絶対位置と、S1203で特定された路面標示の正規の絶対位置と、の差分をとり、当該差分に基づき、S1201の算出値、つまりオドメトリに基づく車両Vの実位置の算出値を補正する。
そして、S1205において、車両制御装置410(位置推定部524)は、S1204の補正後の値を、車両Vの正規の実位置として推定する。実施形態では、このS1205の推定結果に基づいて、走行制御部525による車両Vの自動走行時に必要となる各種のパラメータ(車速や舵角、進行方向など)の設定が行われる。
以上説明したように、実施形態にかかる車両制御装置410は、車両Vの周辺の状況を撮像する車載カメラ408によって得られる画像データを取得する画像データ取得部522と、画像データに基づく画像認識処理を実施することで、駐車場P内における車両Vの走行経路の近傍の路面に設置された路面標示の位置に関する路面標示データを取得する路面標示データ取得部523と、路面標示データ取得部523により取得された路面標示データと、路面標示の絶対位置を含む地図データと、を照合することで、車両Vの実位置を推定する位置推定部524と、位置推定部524により推定された実位置に基づいて車両Vの走行状態を制御することで、駐車場P内での車両Vの自動走行を実施する走行制御部525と、を有している。
ここで、実施形態にかかる路面標示データ取得部523は、第1方向に延びる第1色の第1領域A1と、当該第1領域A1に対して第1方向と交差する第2方向に隣接するように設けられ、第1色とは異なる第2色の第2領域A2と、を含む縞パターンにより構成された路面標示としてのマーカMの位置に関する路面標示データを取得する。このような構成によれば、縞パターンという比較的簡単な構成のマーカMに基づいて、路面標示データを簡単に取得することができるので、自動走行中における車両Vの実位置の正確な把握を簡単に実現することができる。
また、実施形態にかかる路面標示データ取得部523は、第2方向の両端に同じ色の領域(上述した例では第2色の第2領域A2)が設けられたマーカMの位置に関する路面標示データを取得する。このような構成によれば、画像認識処理においてマーカMの第2方向の両端が同程度に認識されるので、マーカMのエッジが認識されやすくなり、路面標示データを簡単に取得することができる。
また、実施形態にかかる路面標示データ取得部523は、第2方向の中央部に第1領域A1が1つ設けられ、かつ、当該第1領域A1を第2方向の両側から挟み込むように第2領域A2が2つ設けられた矩形形状のマーカMの位置に関する路面標示を取得する。このような構成によれば、第2方向の両端が同じ色の領域となる最も簡単な縞パターンのマーカMに基づいて、路面標示データを簡単に取得することができる。
このような最も簡単な縞パターンのマーカMが用いられる構成において、実施形態にかかる路面標示データ取得部523は、第1領域A1および第2領域A2のそれぞれが同じ方向(第1方向)に延び、かつ、第1領域A1および第2領域A2のそれぞれの第2方向の幅が等しくなるように構成された路面標示の位置に関する路面標示データを取得する。このような構成によれば、第1領域A1と第2領域A2とのバランスがとれた縞パターンのマーカMに基づいて、路面標示データを簡単に取得することができる。
また、実施形態にかかる路面標示データ取得部523は、第1領域A1の色(第1色)が第2領域A2の色(第2色)よりも暗く、かつ、第1領域A1で反射して車載カメラ408に向かう光の量Q1が第2領域A2で反射して車載カメラ408に向かう光の量Q2よりも小さくなるように構成されたマーカMの位置に関する路面標示データを取得する。このような構成によれば、第1領域A1で反射して車載カメラ408に向かう光が相対的に低減されるので、マーカMに照射される光が比較的強い状況下においても、車載カメラ408の撮像によって得られた画像データ上でマーカM(およびその周辺の路面RS)が全体的に明るく(白っぽく)写ることが抑制される。その結果、画像認識処理において第1領域A1と第2領域A2との区別がつきやすくなるので、路面標示データを正確に取得することができる。
この場合において、実施形態にかかる路面標示データ取得部523は、第1領域A1に所定の表面加工が施されるか、または第1領域A1が所定の材料により構成されることで、第1領域A1で反射して車載カメラ408に向かう光の量Q1が第2領域A2で反射して車載カメラ408に向かう光の量よりも小さくなるように構成されたマーカMの位置に関する路面標示データを取得する。このような構成によれば、第1領域A1で反射して車載カメラ408に向かう光の低減が構造的な手法で低減されたマーカMに基づいて、マーカMに照射される光が比較的強い状況下においても、路面標示データを正確に取得することができる。
さらに、実施形態にかかる路面標示データ取得部523は、互いに隣接するように複数設けられたマーカMであって、隣接するマーカM同士で第1領域A1が延びる方向(第1方向)の向きが異なるように複数設けられたマーカMの複数の位置に関する路面標示データを取得する。このような構成によれば、画像認識処理において隣接するマーカM同士の混同が生じるのを回避することができるので、路面標示データを正確に取得することができる。
<変形例>
なお、上述した実施形態では、本発明の技術が自動バレー駐車システムに適用される場合が例示されている。しかしながら、本発明の技術は、駐車場内に適切な路面標示が設置され、当該路面標示の絶対位置に関するデータを取得可能な駐車システムであれば、自動バレー駐車システム以外の駐車システムにも適用可能である。
また、上述した実施形態では、地図データを通信によって管制装置101から取得する構成が例示されている。しかしながら、変形例として、地図データを予め車両制御装置410に記憶しておく構成も考えられる。
同様に、上述した実施形態では、走行経路(誘導経路)を通信によって管制装置101から取得する構成が例示されている。しかしながら、変形例として、車載カメラ408や車両Vに設けられる各種センサから取得される情報などに基づいて、走行経路を車両制御装置410側のみで適宜生成する構成も考えられる。
また、上述した実施形態では、矩形形状のマーカMが例示されている。しかしながら、マーカMの形状は、他の形状(多角形や円形など)であってもよい。
また、上述した実施形態では、暗色(第1色)の1つの第1領域A1が明色(第2色)の2つの第2領域A2によって挟み込まれたマーカMが例示されている。しかしながら、変形例として、1つの第2領域A2が2つの第2領域によって挟み込まれた構成も考えられる。
また、上述した実施形態では、1つの第1領域A1と、2つの第2領域A2と、の3つの領域からなる縞パターンによって構成されたマーカMが例示されている。しかしながら、以下に説明するように、縞パターンを構成する領域の数は、4つ以上であってもよいし、2つであってもよい。
図13は、変形例にかかる路面標示の一例としてのマーカM1300を示した例示的かつ模式的な図である。図13に示されるマーカM1300は、全体として矩形形状を有している。また、マーカM1300は、第1方向(y方向)に延びる第1色(暗色)の3つの第1領域A1301と、当該第1領域A1301に対して第1方向と交差する第2方向(x方向)に隣接するように設けられた第2色(明色)の4つの第2領域A1302と、の合計7つの領域からなる縞パターンによって構成されている。第1領域A1301および第2領域A1302は、交互に1つずつ入れ替わるようにx方向に並んでいる。なお、マーカM1300のx方向の両端には、同じ第2色の第2領域A2が配置される。
また、図14は、変形例にかかる路面標示の他の一例としてのマーカM1400を示した例示的かつ模式的な図である。図14に示されるマーカM1400は、全体として矩形形状を有している。また、マーカM1400は、第1方向(y方向)に延びる第1色(暗色)の1つの第1領域A1401と、当該第1領域A1401に対して第1方向と交差する第2方向(x方向)に隣接するように設けられた第2色(明色)の1つの第2領域A1402と、の合計2つの領域からなる縞パターンによって構成されている。
さらに、上述した実施形態では、第1領域A1および第2領域A2が共に矩形形状のマーカMの一辺に沿った方向に延びる構成が例示されている。しかしながら、変形例として、以下に説明するような、第1領域A1501および第2領域A1502が共に矩形形状のマーカM1500の辺と交差する方向に延びる構成も考えられる。
図15は、変形例にかかる路面標示のさらに他の一例としてのマーカM1500を示した例示的かつ模式的な図である。図15に示されるマーカM1500は、全体として矩形形状を有している。また、マーカM1500は、第1方向(x方向とy方向との間の斜め方向)に延びる第1色(暗色)の1つの第1領域A1501と、当該第1領域A1501を挟み込むように設けられた第2色(明色)の2つの第2領域A1502と、からなる縞パターンによって構成されている。
図13に示されるマーカM1300も、図14に示されるマーカM1400も、図15に示されるマーカM1500も、縞パターンという比較的簡単な構成を有するという点で上述した実施形態にかかるマーカMと共通するので、上述した実施形態と同様に、路面標示データを簡単に取得することができる。
以上、本発明の実施形態および変形例を説明したが、上述した実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態および変形例は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態および変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。