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JP2019125771A - Mis型半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

Mis型半導体装置およびその製造方法 Download PDF

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JP2019125771A JP2018138093A JP2018138093A JP2019125771A JP 2019125771 A JP2019125771 A JP 2019125771A JP 2018138093 A JP2018138093 A JP 2018138093A JP 2018138093 A JP2018138093 A JP 2018138093A JP 2019125771 A JP2019125771 A JP 2019125771A
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Abstract

【課題】キャリア散乱を抑制して、高い移動度をもつダイヤモンド半導体によるMIS型半導体装置およびその製造方法を提供する。【解決手段】MIS型半導体装置101は、半導体層22がダイヤモンドからなる半導体を含み、絶縁体層23が窒化ホウ素を含む材料からなり、かつ絶縁体層が半導体層と導電体層24で挟まれる。【選択図】図1

Description

本発明はダイヤモンド半導体を用いたMIS型半導体装置、およびその製造方法に関する。
半導体ダイヤモンドは、広いバンドギャップエネルギー(5.47eV)、低い比誘電率(5.7)、高い絶縁破壊電界強度(10MV/cm)、高いキャリア飽和速度(電子および正孔についてそれぞれ1.5〜2.7×10cm/sおよび0.85〜1.2×10cm/s)、高い熱伝導率(22W/cm・K)および高いキャリア移動度(電子および正孔についてそれぞれ4500cm/V・sおよび3800cm/V・s)(非特許文献1〜3参照)といったいくつかの際立った物理的特性を有している。ここで、上記の特性値は室温での値である。
このため、半導体としてダイヤモンドを用いた電子デバイスは、大電力動作、高速・高周波動作、高い熱限界を示すとして期待されている。
特に、ダイヤモンドを半導体として用いたMIS(Metal Insulator Semiconductor)型半導体装置は、高性能インバーターを構成する上でのコア素子として注目されている。
ダイヤモンド半導体は、現在のパワーデバイス用材料の主流として用いられているシリコン(Si)やシリコンカーバイド(SiC)に比べてキャリアの移動度が高い。この高移動度のため、ダイヤモンドを半導体として用いたMIS型半導体装置は、オン抵抗が低くなって損失が抑えられ、またスイッチング時間が短くなって素子を高速に動作させるポテンシャルをもつ。ここで、高性能インバーターに求められる2大性能要素は、低損失と高速動作である。
Mater.Today,vol.11,number 1−2,pp.22−28(2008) Science,vol.297,pp.1670−1672(2002) Appl.Phys.Lett.,vol.110,p.203502(2017) IEEE Electron Device Letters,vol.38,pp.786−789(2017) Jpn.J.Appl. Phys.,vol.51,p.090112(2012) Jpn.J. Appl. Phys.,vol.38,p.2640(1999) ACS Nano,vol.9,pp.916−921(2015) Nat.Mater.,vol.3,pp.404−409(2004) Phys.Rev.B,vol.13,p.4607(1976) Nat. Commun.,vol.4,p.2541(2013) Phys.Rev.,vol.146,p.543(1966) Solid State Electronics,vol.43、pp.1465−1471(1999) Diamond and Related Materials,vol.10、pp.1743−1748(2001) Diamond and Related Materials,vol.11、pp.382−386(2002) Appl.Phys.Express,vol.3,p.044001(2010) Appl.Phys.Lett.,vol.103,p.092905(2013) IEEE Electron Device Lett.,vol.35,pp.1320−1322(2014) Sci.Rep.,vol.4,p.6395(2014) Appl.Phys.Lett.,vol.108,p.012105(2016) Sci.Rep.,vol.6,p.34757(2016) J.of Appl.Phys.,vol.120,p.124504(2016) Jpn.J.Appl.Phys.,vol.39, pp.L908−L910(2000) Jpn.J.Appl.Phys.,vol.56,p.100301(2017) Jpn.J.Appl.Phys.,vol.51,p.090111(2012) IEDM Tech.Dig.,pp.873−876(2007) Journal of Communications Technology and Electronics,vol.59,pp.282−287(2014) Jpn.J.Appl.Phys.,vol.56,p.01AA01(2017) Phys.Rev.B,vol.89,p.235423(2014)
上記のように、ダイヤモンド半導体は、MIS型半導体装置用として優れた材料特性を有する。
しかし、ダイヤモンド半導体を用いてMIS型半導体装置(電界効果トランジスタ)を作製してみると、キャリアが半導体の表面およびゲート絶縁膜近傍を伝導するときに付加的な散乱が生じ、ダイヤモンドの材料自体がもつ優れた特性が十分に発揮できないという問題が生じる。
実際、ダイヤモンド半導体を用いて電界効果トランジスタを作製して移動度を測定してみると、その室温移動度は、多くの場合200cm/V・s以下、最高でも400cm/V・s程度であり(非特許文献3〜6、12〜23参照)、ダイヤモンド材料自体がもつ移動度に比べて一桁以上小さいものとなっている。
本発明が解決しようとする課題は、キャリア散乱を抑制して、高い移動度をもつダイヤモンド半導体によるMIS型半導体装置、およびその製造方法を提供することである。
本発明の構成を下記に示す。
(構成1)
半導体層と絶縁体層と導電体層を有し、前記絶縁体層が前記半導体層と前記導電体層で挟まれたMIS型半導体装置であって、
前記半導体層はダイヤモンドからなる半導体を含み、
前記絶縁体層は窒化ホウ素を含む、MIS型半導体装置。
(構成2)
前記絶縁体層は窒化ホウ素である、構成1記載のMIS型半導体装置。
(構成3)
前記絶縁体層は窒化ホウ素の単結晶である、構成1または2記載のMIS型半導体装置。
(構成4)
前記絶縁体層は六方晶窒化ホウ素(h−BN)である、構成1から3の何れかに記載のMIS型半導体装置。
(構成5)
前記半導体層の前記絶縁体層側の表面は炭素以外の元素で終端されているダイヤモンドである、構成1から4の何れかに記載のMIS型半導体装置。
(構成6)
前記半導体層の前記絶縁体層側の表面は水素で終端されているダイヤモンドである、構成1から4の何れかに記載のMIS型半導体装置。
(構成7)
前記半導体層の前記絶縁体層側の表面粗さRaは、10μm四方内において0nm以上1nm以下である、構成1から6の何れかに記載のMIS型半導体装置。
(構成8)
構成1から7の何れかに記載のMIS型半導体装置の構成を有し、
前記絶縁体層をゲート絶縁体とし、
前記導電体層をゲート電極とし、
さらにソース電極とドレイン電極を具備した、電界効果トランジスタ。
(構成9)
半導体層上に絶縁体層を形成する絶縁体層形成工程と、前記絶縁体層上に導電体層を形成する導電体層形成工程を含むMIS型半導体装置の製造方法において、
前記半導体層はダイヤモンドからなる半導体を含み、
前記絶縁体層は窒化ホウ素を含む、MIS型半導体装置の製造方法。
(構成10)
前記絶縁体層は窒化ホウ素である、構成9記載のMIS型半導体装置の製造方法。
(構成11)
前記絶縁体層は窒化ホウ素の単結晶である、構成9または10記載のMIS型半導体装置の製造方法。
(構成12)
前記絶縁体層は六方晶窒化ホウ素である、構成9から11の何れかに記載のMIS型半導体装置の製造方法。
(構成13)
ダイヤモンドを形成する工程と前記ダイヤモンド表面を終端処理する工程を含んで前記半導体層が形成される、構成9から12の何れかに記載のMIS型半導体装置の製造方法。
(構成14)
前記終端処理は水素により行われる、構成13に記載のMIS型半導体装置の製造方法。
(構成15)
前記絶縁体層は、六方晶窒化ホウ素単結晶を劈開して作製された膜を前記半導体層面上に貼り付けることにより形成される、構成9から14の何れかに記載のMIS型半導体装置の製造方法。
(構成16)
前記絶縁体層は、前記半導体層面上に堆積あるいは成長によって形成される、構成9から14の何れかに記載のMIS型半導体装置の製造方法。
本発明によれば、ゲート絶縁体層内、およびゲート絶縁体層とダイヤモンド半導体層の界面のトラップに捕獲された電荷によるキャリア散乱が抑制され、高い移動度をもつダイヤモンド半導体によるMIS型半導体装置およびその製造方法を提供することが可能になる。
本発明のMIS型半導体装置の構造を示す断面図。 本発明の半導体層とゲート絶縁体層の結晶構造を示す鳥瞰図。 本発明のMIS型半導体装置の構造とその特徴を説明する説明図。 本発明のMIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程図。 本発明のMIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程図。 実施例1のMIS型半導体装置の構造を示す断面図。 実施例1のMIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程図。 実施例1のMIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程図。 実施例1のMIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程図。 実施例1のMIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程図。 実施例1のMIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程図。 実施例1のMIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程図。 実施例1で作製したMIS型半導体装置の上面写真。 実施例1で作製したMIS型半導体装置の電気特性を示す特性図。 実施例1で作製したMIS型半導体装置の電気特性を示す特性図。 実施例1で作製したMIS型半導体装置の電気特性を示す特性図。 移動度とキャリア密度を示すマッピング図。 シート抵抗の温度依存性を示す特性図。
以下本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
<構造と特徴>
本発明のMIS型半導体装置101は、図1に示すように、ダイヤモンド基板21、薄膜ダイヤモンド半導体層22、ゲート絶縁体層(ゲート絶縁膜)23および導電体層(ゲート電極)24を基本構成要素とし、他に、ソース電極およびその配線28、ドレイン電極およびその配線29、ゲート配線27、絶縁膜25、低抵抗化層26を有する構造をもつ。ここで、薄膜ダイヤモンド半導体層22は後述のように終端処理されているものが好ましい。
ここで、基板がダイヤモンド以外であっても基板上にダイヤモンドからなる薄膜を形成し、それを薄膜ダイヤモンド半導体層22としてもよい。また、ダイヤモンド基板21を半導体層として利用し、ダイヤモンド基板21の表層部を薄膜ダイヤモンド半導体層22としてもよい。肝要なことは、ダイヤモンドからなる半導体層がゲート絶縁膜23と接していることである。ここで、ダイヤモンドからなる半導体層(薄膜ダイヤモンド半導体層)22には、ドーパントが含まれていてもよい。
本発明は材料的に優れた電気的特性を有するダイヤモンドからなる半導体層を有するMIS型半導体装置に関するものであるが、本発明のMIS型半導体装置の構造で特徴的なことは、ゲート絶縁体層23が、窒化ホウ素(BN)を含むことで、好ましくはBNからなることである。
窒化ホウ素の構造体としては、アモルファス構造のアモルファス窒化ホウ素(a−BN)、c軸方向の積層構造の乱れた乱層窒化ホウ素(t−BN)、立方晶系閃亜鉛鉱型の立方晶窒化ホウ素(c−BN)、六方晶系グラファイト構造の六方晶窒化ホウ素(h−BN)および六方晶系ウルツ鉱型構造のウルツ鉱窒化ホウ素(w−BN)が知られている。
これらのBNの中で、ゲート絶縁体層23としては、ゲート絶縁体層23中の電荷トラップを減らす観点から、単結晶がより好ましく、六方晶窒化ホウ素(h−BN)がさらにより好ましい。
これまでに報告されたダイヤモンド半導体を用いたMIS型半導体装置(ダイヤモンド電界効果トランジスタ)では、ゲート絶縁体層(ゲート絶縁膜)は、多くは非晶質の膜で、主に蒸着法や原子層堆積法(ALD法)によって形成されていた。これらの方法によって形成されたゲート絶縁体層は、原子欠損等に起因する電荷トラップ密度が比較的高く、ダイヤモンド半導体層との界面にも比較的高い界面準位が形成される。このようなトラップ(準位)に捕獲された電荷は、キャリアの移動度を低下する要因となる。
発明者は、上記の課題を解決するために、h−BNと水素終端ダイヤモンドの接合界面を用いることを着想し、本発明を考案した。
ダイヤモンドは各炭素原子が周りの4つの原子と共有結合で結び付いた結晶からなる。ダイヤモンドの表面では、結合手が余る。この未結合手は不安定で、表面準位として振る舞う。未結合手は水素と結合させ安定化することができる。この状態を水素終端と呼ぶ。例えば、化学気相合成したダイヤモンドの表面は、合成中に水素プラズマに晒されるため水素終端となる。このような水素終端ダイヤモンド表面を使えば、ダイヤモンド側の表面準位密度は低減できる。一方、h−BNの表面は構造上、未結合手をもたない。そのため、h−BNと水素終端ダイヤモンドの接合界面の界面準位密度は低い。さらに、とくに単結晶h−BNからなる絶縁体層(絶縁膜)中のトラップ密度は小さい。これらのことから、絶縁体層中のトラップや界面準位に捕獲された電荷によるキャリア散乱を低減できる。
また、h−BNの絶縁破壊電界(c軸平行)は約12MV/cm(非特許文献7参照)と大きいため、高密度キャリアの誘起によって低オン抵抗も得られる。さらに、h−BNと水素終端ダイヤモンド(111)表面との格子不整合は約0.7%であり、格子欠陥や歪みの少ない界面形成に向いている。これも、MIS型半導体装置の特性向上に利する。ここで、参考までに、h−BNと水素終端ダイヤモンド結晶(111)の結晶構造鳥瞰模式図を図2に示す。ここで、図2中の11は炭素、12は水素、13はホウ素そして14は窒素の各原子である。
また、シリコンなどとは異なりダイヤモンドの水素終端表面が、たとえ大気中であっても酸化されずに非常に安定であることは、本発明の製造工程において重要な特性である。
ゲート絶縁体層23は、ホウ素と窒素からなる1原子ペア層以上300nm以下の厚さが好ましく、1nm以上100nm以下がより好ましい。
1原子ペア層未満の稠密でない膜になるとリーク電流が多くなり、ゲート絶縁体層として十分機能しなくなる。トンネル電流を含めたリーク電流を抑制するためには1nm以上の厚さが好ましい。
一方、厚さが300nmを超えると、MIS型半導体装置として十分な静電容量を得ることが困難になる。
薄膜ダイヤモンド半導体層22は、結晶面が(100)または(111)の単結晶であることが好ましい。
本発明のMIS型半導体装置101では、薄膜ダイヤモンド半導体層22とゲート絶縁体層23との界面が平坦で、原子レベルの平滑性をもっていることが好ましい。
これは、薄膜ダイヤモンド半導体層22のゲート絶縁体層23との界面が原子レベルで平滑な界面をもつとその界面でのキャリアの散乱が抑制され、キャリア移動度が向上するためである。
ゲート絶縁体層23がBNの単結晶、特にh−BNの単結晶の場合は、原子レベルで平滑な表面を得やすいので、界面の平滑性の観点からも、BNの単結晶、特にh−BNは好ましい。
薄膜ダイヤモンド半導体層22のゲート絶縁膜23側の表面粗さRaは小さいほど好ましく、具体的には、0nm以上1nm以下が好ましく、0nm以上0.5nm以下がより好ましく、0nm以上0.1nm以下(原子レベルで平滑な表面)がさらに一層好ましい。
ダイヤモンドおよびh−BNはどちらもワイドバンドギャップ(5.47eVおよび5.97eV)(非特許文献1、8参照)をもつことから、高温動作に向いている。h−BNが室温で4W/cm・Kという銅に匹敵する高い熱伝導率をもつ(非特許文献9)ことも、ダイヤモンドの高い熱伝導率(室温で22W/cm・K)と合わせて、チャネル部分からの優れた放熱に寄与する。さらに、h−BNは1000℃の高温において酸化を防ぐコーティング材として働くことが知られている(非特許文献10)。そのため、ダイヤモンド表面の水素終端を高温で保護する機能も果たす。一方、ダイヤモンドおよびh−BNの低い比誘電率(5.7および5.1(c軸平行))(非特許文献3、11参照)は、高速・高周波動作に望ましい特性である。
なお、ゲート絶縁体層23は、終端処理された薄膜ダイヤモンド半導体層22の表面に直接接して、水、炭化水素やレジスト残渣などの層を挟まないことが好ましい。このような層を挟むと、界面準位が発生しやすく、またその界面も原子レベルで平滑なものとはなりにくいためである。
以上の本発明の薄膜ダイヤモンド半導体層22とゲート絶縁体層23をもつMIS型半導体装置の特徴を図3に示す。
ゲート絶縁体層としてAlなどの非晶質膜を用いた従来構造(図3(a))では、ゲート絶縁膜2a中およびゲート絶縁膜2aとダイヤモンド半導体1との界面にトラップ(電荷トラップ)5が多く含まれる傾向がある。このため、キャリア伝導4aは散乱を受け、キャリア移動度は低いものとなる。
一方、ゲート絶縁体層(ゲート絶縁膜)としてBN、好ましくは単結晶BN、さらにより好ましくは(単結晶の)h−BNを用いた本発明の構造(図3(b))では、ゲート絶縁膜2b中の電荷トラップは少ない傾向がある。このため、キャリア伝導4bは散乱が少なく、高いキャリア移動度が得られる。なお、図3中の3はゲート電極を示す。
ダイヤモンド基板21は、その上に形成する薄膜ダイヤモンド半導体層22が欠陥の少ない高品質な結晶になるように、結晶欠陥が少なく、清浄度が高く、平坦、平滑な表面をもつことが好ましい。
ゲート電極24は、金属あるいはドーパントが添加されたポリシリコンなどの導電膜からなる。金属としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タングステン(W)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)などを挙げることができる。また、AlCu、CuNiFe、NiCrなどの合金、WSi、TiSiなどのシリサイドおよびポリサイド、WN、TiN、CrN、TaNなどの金属化合物も用いることができる。ゲート電極24は、このような材料の中から導電率、仕事関数、加工性などを適宜勘案して適当な材料を選択すればよい。なお、集積回路として本発明のMIS半導体装置を用いる場合は、インテグレーションとしての各種熱処理が加わることから、それらの熱処理も勘案した材料の拡散を考慮の上、材料を選択する。
ソース電極とその配線28、ドレイン電極とその配線29およびゲート配線27は、金属あるいはドーパントが添加されたポリシリコンなどの導電膜からなる。金属としては、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、W、Ti、Al、Cr、Taなどを挙げることができる。また、AlCu、CuNiFe、NiCrなどの合金、WやTiなどを用いたポリサイド、WN、TiN、CrN、TaNなどの金属化合物も用いることができる。
これらの導電膜は、薄膜ダイヤモンド半導体層22と接する部分でオーミックコンタクトが取れることが好ましい。このため、薄膜ダイヤモンド半導体層22と接触する部分はTiなどを用いるのが好ましい。一方で、Tiは酸化されやすいので、薄膜ダイヤモンド半導体層22と電気的接触をとる場合は、薄膜ダイヤモンド半導体層22側からTi、その上にPtやAuやWといった材料が積層された導電膜構造とすることが好ましい。
また、ソース電極28およびドレイン電極29とのオーミックコンタクトを確実にとり、薄膜ダイヤモンド半導体層22のチャネル部以外の抵抗を下げるために、低抵抗化層26を薄膜ダイヤモンド半導体層22とソース電極28やドレイン電極29との界面に形成しておくことが好ましい。
絶縁膜25は、電気的に絶縁するとともに水分や不純物の拡散を防止して、MIS半導体装置101の安定動作に一役を担うものである。その材料としては、酸化シリコン(SiO)膜、窒化シリコン(SiN)膜、酸化窒化シリコン(SiNO)膜、炭化シリコン(SiC)膜、炭化窒化シリコン(SiCN)膜、炭化窒化酸化シリコン(SiCNO)膜、アルミナ(Al)膜、およびポリイミドなどの有機膜などを挙げることができる。
<製造方法>
次に、このMIS型半導体装置101の製造方法を図4および図5を用いて説明する。
まず、図4(a)に示すように、ダイヤモンド基板21を準備する。ダイヤモンド基板としては、例えば、IbタイプあるいはIIaタイプで、結晶面が100あるいは111のものを好んで用いることができる。
ここで、ダイヤモンド基板21の表面は、平坦で原子レベルの平滑な面であることが好ましい。電界効果トランジスタの電気特性としては、薄膜ダイヤモンド半導体層22とゲート絶縁体層23との界面の平坦性、平滑性が重要であるが、その界面の平坦性、平滑性を十分高いものにするためには、ダイヤモンド基板21表面の平坦度、平滑度および清浄度を十分に高めておく必要がある。
その後、図4(b)に示すように、ダイヤモンド基板21上に終端が水素などとなっている薄膜ダイヤモンド半導体層22をエピタキシャル成長させる。
水素終端とした薄膜ダイヤモンド半導体層22は、例えば、CHガスとHガスを用いたマイクロ波プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)により成膜することができる。
薄膜ダイヤモンド半導体層22の厚さは10nm以上が好ましい。これよりも薄いと、特にIb基板の場合に、基板からの不純物の混入の恐れがある。
薄膜ダイヤモンド半導体層22には、ドーパントが添加されていてもよい。ホール系のドーパントとしてはホウ素(B)を、また電子系のドーパントとしてはリン(P)を挙げることができる。ドーパントの添加量としては、1016/cm以上1019/cm以下が好ましい。1016/cm未満ではドーパント添加の効果が小さく、1019/cmを超えるとキャリア散乱要因となって移動度などの性能が低下する。
その後、図4(c)に示すように、水素などで終端処理された薄膜ダイヤモンド半導体層22上に、h−BN(六方晶窒化ホウ素)などのBNを含んだ絶縁膜23aを形成する。ここで、絶縁膜23aとしては、BNが好ましく、BNの単結晶がさらに好ましく、h−BN(の単結晶)がより一層好ましい。
絶縁膜23aは、劈開して得られたh−BN結晶薄膜の貼合わせ法、熱CVDやプラズマCVDなどの化学的気相成長法、スパッタリングなどの物理的気相成長法、および物理化学的気相成長法などにより形成することができる。具体例としては、トリエチルボラン(TEB)とアンモニア(NH)を原料ガスとし、キャリアガスに水素(H)を用いた有機金属気相成長法(MOCVD:Metal−Organic Chemical Vapor Deposition)、RFプラズマにより作製した活性窒素と電子銃により加熱供給されたホウ素を用いた分子線エピタキシー法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)などを挙げることができる。
なお、薄膜ダイヤモンド半導体層22と絶縁膜23aとの界面の吸着物の除去と絶縁膜23a表面の清浄化のため、絶縁膜23aを形成した後に、不活性ガスと水素(H)ガスとの混合ガスを用いたアニールを行うことが好ましい。ここで、不活性ガスとしては、例えば、アルゴン(Ar)を挙げることができる。
その後、ゲート電極24を形成する(図4(d))。
このゲート電極24の形成方法としては、ゲート電極24を構成する導電材料をスパッタリング法、蒸着法、CVD法などで絶縁膜23a上に被着させた後、リソグラフィによってレジストパターンを形成し、引き続きエッチングを行って形成する方法が挙げられる。このエッチングとしては、微細加工性の観点からドライエッチングが好んで用いることができるが、ウェットエッチングを用いることもできる。ウェットエッチングの場合は、作製されるMIS型半導体装置101へのダメージを抑制しやすいという特徴がある。
また、リフトオフ用のレジストパターンを絶縁膜23a上に形成した後、ゲート電極24を構成する導電材料をスパッタリング法、蒸着法、CVD法などで堆積させ、リフトオフする方法も挙げることができる。
ここで、スパッタリング法としては、DCスパッタリング法、RFスパッタリング法などを挙げることができるが、スループットの観点からはRFスパッタリング法がより好ましい。蒸着法としては、加熱蒸着法や電子線蒸着法などを挙げることができる。ゲート電極24の材料としてポリシリコンを用いるときは、ポリシリコンの成膜法としてCVD法を好んで用いることができる。この際、リン(P)などのドーパントを添加して、低抵抗化しておくことが好ましい。
その後、絶縁膜25aをスパッタリング法、ALD法、CVD法、あるいはSOG(Spin on Glass)などの塗布法によって形成する(図5(a))。
ここで、成膜した絶縁膜25aには、電気特性の安定化に妨げとなる空孔や所望ではない水が含まれることが多いので、アニールを施しておくことが好ましい。
引き続き、リソグラフィとエッチングによって絶縁膜25aおよびゲート絶縁膜23aに所望の開口を形成して、それぞれ絶縁膜25およびゲート絶縁体層(ゲート絶縁膜)23とする(図5(b))。
その後、電極と半導体層とのオーミック接触をとり、かつ低抵抗とする低抵抗化層26を開口部の薄膜ダイヤモンド半導体層22露出面に形成する(図5(c))。低抵抗化層26は、TiやMoなどダイヤモンドと炭化物を形成する金属を堆積させたのちに、アニールによって金属炭化物を形成することで得ることができる。また、水素終端半導体層に対しては、堆積させたAu,Pd,Ptなどの高仕事関数金属を低抵抗化層とすることができる。
しかる後、導電膜の堆積、リソグラフィおよびエッチングを行ってゲート配線27、ソース電極およびその配線28、ドレイン電極およびその配線29を形成する(図5(d))。
なお、前述の低抵抗化層26は、これらの電極または/および配線を形成した後にアニールを施すなどして形成してもよい。
以上の工程により、薄膜ダイヤモンド半導体層22とh―BNからなるゲート絶縁体層23を有するMIS型半導体装置101が作製される。
上記では、単体のMIS型半導体装置101の作製方法を説明したが、MIS型半導体装置101が複数載置されて集積化されたMIS型半導体装置も同様にして作製することができる。この場合、各MIS型半導体装置101間に絶縁層を設け、必要に応じて素子分離を行う。
本発明の半導体装置は、トラップ電荷が少なく、それにともない散乱も少なくなるので高い移動度が得られる。その上で、破壊電圧が高く漏れ電流が少ないので、高い電圧を印加することが可能で、キャリア密度を高くすることができる。
したがって、本発明の半導体装置は、移動度が高く、その上でキャリア密度も高い、移動度とキャリア密度の両特性を高いレベルで兼ね備えた高性能半導体装置である。
さらに、本発明の半導体装置は、後で述べる実施例3に示されるように、低い温度領域でも使用可能なポテンシャルを有している。
以下では実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、この実施例はあくまで本発明の理解を助けるためここに挙げたものであり、本発明をこれに限定するものではない。
(実施例1)
<素子構造>
実施例1のMIS型半導体装置201の素子構造を要部断面構造図である図6を参照しながら説明する。
このMIS型半導体装置201は、ダイヤモンド基板31、水素終端層32、ゲート絶縁膜33、ゲート電極34、ソースおよびドレインを構成する導電膜35および36、層間絶縁膜37、ゲート電極配線38、ソース電極配線39、ドレイン電極配線40および低抵抗化層42からなる。そして、ゲート絶縁膜33に六方晶窒化ホウ素を用いたことを特徴としている。ここで、ゲート絶縁膜33の膜厚は15nmである。
ダイヤモンド基板31には、ゲート絶縁膜33の直下に位置するチャネル部に水素終端層32、導電膜35の直下に位置する炭化チタン(TiC)からなる低抵抗化層42、および残りの表層部に酸素終端層43の各領域が形成されている。
ゲート電極34は、ダイヤモンド基板31側からチタン(Ti)、金(Au)およびチタンからなる3層構造膜からなり、それぞれの膜厚は10nm、100nm、10nmである。そして、そのゲート電極34に厚さ10nmのTiおよび厚さ200nmのAuが順次積層されたゲート電極配線(ボンディングパッド配線)38が形成されている。
ソースは、厚さ5nmのTiおよび厚さ5nmの白金(Pt)からなるオーミック接触用の導電膜(それぞれ図6中の35、36)とソース配線(ボンディングパッド配線)39からなる。ここで、ソース配線39は厚さ10nmのTiおよび厚さ200nmのAuが順次積層された構造となっている。また、導電膜35とダイヤモンド基板31の境界領域には、炭化チタン(TiC)からなる低抵抗化層42が形成されている。
同様にドレインは、厚さ5nmのTiおよび厚さ5nmのPtからなるオーミック接触用の導電膜(それぞれ図6中の35、36)とドレイン配線(ボンディングパッド配線)40からなる。ここで、ドレイン配線40は厚さ10nmのTiおよび厚さ200nmのAuが順次積層された構造となっており、導電膜35とダイヤモンド基板31の境界領域には、炭化チタン(TiC)からなる低抵抗化層42が形成されている。
<作製方法>
以下、素子作製工程を断面図である図7から図12を参照しながら説明する。
1.基板の準備
ダイヤモンド基板31としてロシアTISNCM研究所製の高温高圧合成IIa(111)ダイヤモンド単結晶基板を準備し、通常の方法で熱混酸および有機洗浄により基板の清浄化を行った。ここで、用いたダイヤモンド基板31の大きさは2.5mm×2.5mm×0.3mmである。
2.オーミック電極の作製
ダイヤモンド基板31の表面に下層レジストとしてPMGI−SF6S(Microchem製)をスピンコートし、180℃で5分ベークした。その後、フォトレジストAZ−5214E(メルクパフォーマンスマテリアルズ製)をスピンコートし、110℃で2分ベークして、この2層からなるレジスト膜を塗布形成した。
引き続いて、レーザー露光装置(ナノシステムソリューションズ製、DL−1000)を用いて、オーミック電極のパターンを描画した。TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)2.38%で60秒現像した後、純水で30秒洗浄し、その後窒素ブロー乾燥を行ってレジストパターン51を形成した(図7(a))。
その後、電子銃型蒸着装置(アールデック製、RDEB−1206K)によって、TiおよびPtを順次蒸着し、導電膜35aおよび36aを堆積させた(図7(b))。その膜厚は両者とも5nmである。
その後、80℃設定のウォーターバスにて加熱したNMP(N―メチル−2−ピロリドン)中に試料を浸し、リフトオフを行った。さらに、アセトンとIPA(2−プロパノール)で洗浄した後、窒素ブロー乾燥を行ってオーミック電極用の導電膜35および36を形成した。
しかる後、MP−CVD装置(セキテクノトロン製、AX5200−S)内にてH雰囲気(H流量500sccm、圧力11KPa)で35分間アニールを行って、ダイヤモンド基板31とTiからなる導電膜35の界面にTiCからなる低抵抗化層42を形成した(図7(c))。ここで、このアニールは、まず650℃までおよそ31分で上昇させ、その後650℃で35分間保持する設定にした。
3.ダイヤモンド表面の水素終端化とレジスト残渣の除去
その後、MP−CVD装置内で試料を10分間水素プラズマで処理し、ダイヤモンド基板31の表面露出部分を水素終端化して、水素終端層32を形成するとともに、レジスト残渣の除去を行った(図7(d))。ここで、水素プラズマの条件はH流量500sccm、圧力4KPa、ヒーター設定温度600℃、マイクロ波出力300Wとした。
4.h−BN(六方晶窒化ホウ素)の貼り付け
まず、準備段階として、シリコン基板上にPAA(ポリアクリル酸、平均分子量5000)水溶液(質量比3%)をスピンコートし、155℃で2分ベークした.その後、その上にPMMA−A6(ポリメチルメタアクリレート)をスピンコートし、155℃で2分ベークし、さらにPMMA−A6をスピンコートし、155℃で5分ベークした。
次に、スコッチテープTM法により、h−BNの劈開を行った。そして、劈開したh−BNは110℃のホットプレート上で上記作製のSi/PAA/PMMA上に転写した。
その後、上記シリコン基板を水に浮かべることでPAAを溶かし、h−BNが乗ったPMMA膜をシリコン基板から剥離した。
しかる後、水素終端化処理を終えた試料をステージに乗せ、そのステージの温度を80℃に設定してh−BNとダイヤモンドを貼り合わせた。その貼り合わせの際は、光学顕微鏡を用いてPMMA膜上のh−BNとダイヤモンドのチャネル領域との位置合わせを行った。
続いて、アセトンによりPMMA膜を除去し、IPAにより洗浄を行った。以上の方法により、h−BNからなる絶縁膜33aを試料上の所望の場所に形成した(図8(a))。
5.h−BNの整形とアニール
次に、前述のレーザーリソグラフィの手法を用いて、ホールバー形状のレジストパターン52を形成した(図8(b))。但し、ここでは、レジストはフォトレジストAZ5214Eの一層のみとした。
その後、CCP−RIE(容量結合型反応性イオンエッチング)装置(サムコ製、RIE−200NL)により、ゲート絶縁膜33となる領域以外のh−BNのドライエッチングを3分間行って除去した(図8(c))。ここで、プラズマの条件は、N流量96sccm、CHF流量2sccm、O流量2sccm、圧力10Pa、RF出力35Wとした。
しかる後、プラズマアッシング装置(ヤマト科学製、PB−600)により、レジストの変質層の除去を行った、また、そのプラズマアッシングにより、チャネル領域以外のダイヤモンド表面の酸素終端化を行って酸素終端層43を形成した。この酸素終端層43の形成により、チャネル領域以外の導通を防ぐことができる。このときのプラズマアッシングの条件は、O流量400sccm、圧力200Pa、パワー300W、時間は計3分とした。
その後、80℃設定のウォーターバスで加熱したNMP中に試料を入れ、エッチングマスクとして用いたレジストパターン52を除去した。引き続き、アセトンとIPAで洗浄した後、窒素ブロー乾燥を行った。さらに、ダイヤモンドとh−BNの界面の吸着物の除去とh−BN表面の清浄化のため、ウェハRTA(急速加熱アニール)装置(ハイソル製、AccuThermo AW610)によりArとHの混合雰囲気の下で300℃アニールを30分行った(図8(d))。
6.ゲート電極の作製
前述のレーザーリソグラフィを用いてゲート電極形成用の開口34aをもったレジストパターン53を形成し(図9(a))、引き続いて、電子銃型蒸着装置によって、厚さ10nmのTi、厚さ100nmのAuおよび厚さ10nmのTiを順次蒸着して、導電膜34bを堆積させた(図9(b))。
その後、NMP中に試料を浸してリフトオフを行い、アセトンとIPAで洗浄した後、窒素ブロー乾燥を行って所望のゲート電極34を形成した(図9(c))。
7.Al絶縁膜の形成
ALD(原子層堆積)装置(Picosun、SUNALE R−100B)により、Al絶縁膜37aを成膜温度120℃の下で100nm成膜した(図10(a))。
その後、前述のレーザーリソグラフィを用いてコンタクトホール形成用のレジストパターン54を形成した(図10(b))。ここで、レジストはフォトレジストAZ−5214Eの一層のみとした。
しかる後、レジストパターン54をマスクとし、TMAH2.38%に30分間浸してAlのウェットエッチングを行った(図10(c))。ここで、レジストの膨潤化を防ぐため、5分ごとにTMAH2.38%から試料を取り出し、1分間の純水洗浄と5分間の110℃ベークを行った。
引き続いて、80℃設定のウォーターバスで加熱したNMP中に試料を入れ、レジストパターン54を除去し、アセトンとIPAで洗浄した後、窒素ブロー乾燥を行ってコンタクトホールが形成された絶縁膜37を形成した(図11(a))。
8.配線の作製
前述のレーザーリソグラフィを用いて、ゲート配線、ソース配線、ドレイン配線およびそれぞれのボンディングパッドを形成するためのレジストパターン55を形成した(図11(b))。但し、下層レジストとしてはLOR−5A(Microchem製)を用いた。
その後、電子銃型蒸着装置によって、厚さ10nmのTiと厚さ200nmのAuを順次蒸着し、TiとAuからなる導電膜38aを堆積させた(図11(c))。
しかる後、NMP中に試料を浸してリフトオフを行い、アセトンとIPAでリンスした後、窒素ブロー乾燥を行って、ボンディングパッドを有するゲート電極配線38、ソース電極配線39およびドレイン電極配線40が形成されたMIS型半導体装置201を作製した(図12)。
作製されたMIS型半導体装置201を上面から撮った光学顕微鏡写真を参考までに図13に示す。
<電気特性>
前述の方法によって作製したMIS型半導体装置201のFET(電界効果トランジスタ)の電流電圧特性を調べた結果を図14に示す。p型のFET動作が認められる。ここで、測定器としては、ソースメジャーユニットB2901A(Keysight Technologies製)、ファンクションジェネレータ33220A(Agilent Technologies製)、アンプ1201および1211(DL Instruments製)、デジタルボルトメーター34401A(Agilent Technologies製)を用いた。なお、このFETのゲート長は26μm、ゲート幅は2μm、ホールバー間の距離は8μm、h―BNからなるゲート絶縁膜の膜厚は15nmである。測定温度は300Kとした。
また、超伝導マグネットを備えた無冷媒冷却装置(仁木工芸製)と上記測定器を用いてホール効果測定を行った。その結果得られたキャリア面密度および移動度のゲート電圧依存特性をそれぞれ図15および図16に示す。環境温度300Kで1012/cmオーダーという比較的高いキャリア面密度と、400cm/V・s以上の高い移動度が得られた。
(実施例2)
実施例1で示した方法と同じ方法で作製した別の試料を用いて、キャリア密度と移動度を測定した。その結果をマッピングし、図17に示す。ここで、図17には、各種文献から抽出してきた、ダイヤモンドFET(非特許文献3〜6、12〜23参照)、空気暴露の水素終端ダイヤモンド(非特許文献15、24〜26参照)およびNOガス暴露の水素終端ダイヤモンド(非特許文献27参照)のマッピング結果も合わせて載せている。
実施例2の試料は、図17に示したほかの試料とは異なり、高いキャリア密度と高い移動度を両立して得られる高い性能を有していることが示されている。
(実施例3)
実施例1で示した方法と同じ方法で作製した別の試料を用いて、シート抵抗の温度依存性を測定した。その結果を図18に示す。
ゲートソース間電圧が−2Vと−3Vを境にして、絶縁体―金属転移が見られる。この境界のキャリア密度は約4×1012/cmであった。これまで、ダイヤモンドのFETの絶縁体―金属転移は、一桁高いキャリア密度でしか観測されていない。本発明のFETで一桁低いキャリア密度で絶縁体―金属転移が見られたことも、系に乱れが少ないことを示している(非特許文献28参照)。
ゲートソース間電圧VGSが−2Vでは、173K(約−100℃)でも室温と同じようなシート抵抗を示し、VGSが−3V以下では、4K付近でも室温と同じようなシート抵抗を示している。VGSが−4Vでは、およそ50K以下の極低温域でdR/dT(Rはシート抵抗で、Tは温度)は正となっている。
図18に示すように、本発明の半導体装置は、極低温域でも利用可能なポテンシャルを有している。
本発明により、高いキャリア移動度を含めたダイヤモンド半導体材料が本来もつ優れた特性を有するMIS型半導体装置を提供することが可能になる。
このため、本発明は、高温環境で利用可能なロジック回路、高温環境で利用可能なインバーターなどのパワーデバイスを例とした大電力、高周波、高温対応の半導体装置の道を切り開くものとなっており、産業上大いに利用されることが期待される。
1:ダイヤモンド半導体
2a:ゲート絶縁膜(Al
2b:ゲート絶縁膜(h−BN)
3:ゲート電極
4a:キャリア伝導
4b:キャリア伝導
5: トラップ(電荷トラップ)
11:炭素
12:水素
13:ホウ素
14:窒素
21:ダイヤモンド基板
22:薄膜ダイヤモンド半導体層
23:ゲート絶縁体層(ゲート絶縁膜)
23a:絶縁膜
24:導電体層(ゲート電極)
25:絶縁膜
25a:絶縁膜
26:低抵抗化層
27:ゲート配線
28:ソース電極及びその配線
29:ドレイン電極及びその配線
31:ダイヤモンド基板
32:水素終端層
33:ゲート絶縁膜
33a:絶縁膜
34:ゲート電極
34a:ゲート電極用開口
34b:導電膜
35:導電膜
35a:導電膜
36:導電膜
36a:導電膜
37:層間絶縁膜(Al
37a:絶縁膜(Al
38:ゲート電極配線(ボンディングパッド配線)
38a:導電膜
39:ソース電極配線(ボンディングパッド配線)
40:ドレイン電極配線(ボンディングパッド配線)
42:低抵抗化層
43:酸素終端層
51,52,53,54,55:レジストパターン
101:MIS型半導体装置
201:MIS型半導体装置

Claims (16)

  1. 半導体層と絶縁体層と導電体層を有し、前記絶縁体層が前記半導体層と前記導電体層で挟まれたMIS型半導体装置であって、
    前記半導体層はダイヤモンドからなる半導体を含み、
    前記絶縁体層は窒化ホウ素を含む、MIS型半導体装置。
  2. 前記絶縁体層は窒化ホウ素である、請求項1記載のMIS型半導体装置。
  3. 前記絶縁体層は窒化ホウ素の単結晶である、請求項1または2記載のMIS型半導体装置。
  4. 前記絶縁体層は六方晶窒化ホウ素(h−BN)である、請求項1から3の何れかに記載のMIS型半導体装置。
  5. 前記半導体層の前記絶縁体層側の表面は炭素以外の元素で終端されているダイヤモンドである、請求項1から4の何れかに記載のMIS型半導体装置。
  6. 前記半導体層の前記絶縁体側の表面は水素で終端されているダイヤモンドである、請求項1から4の何れかに記載のMIS型半導体装置。
  7. 前記半導体層の前記絶縁体側の表面粗さRaは、10μm四方内において0nm以上1nm以下である、請求項1から6の何れかに記載のMIS型半導体装置。
  8. 請求項1から7の何れかに記載のMIS型半導体装置の構成を有し、
    前記絶縁体層をゲート絶縁膜とし、
    前記導電体層をゲート電極とし、
    さらにソース電極とドレイン電極を具備した、電界効果トランジスタ。
  9. 半導体層上に絶縁体層を形成する絶縁体層形成工程と、前記絶縁体層上に導電体層を形成する導電体層形成工程を含むMIS型半導体装置の製造方法において、
    前記半導体層はダイヤモンドからなる半導体を含み、
    前記絶縁体層は窒化ホウ素を含む、MIS型半導体装置の製造方法。
  10. 前記絶縁体層は窒化ホウ素である、請求項9記載のMIS型半導体装置の製造方法。
  11. 前記絶縁体層は窒化ホウ素の単結晶である、請求項9または10記載のMIS型半導体装置の製造方法。
  12. 前記絶縁体層は六方晶窒化ホウ素である、請求項9から11の何れかに記載のMIS型半導体装置の製造方法。
  13. ダイヤモンドを形成する工程と前記ダイヤモンド表面を終端処理する工程を含んで前記半導体層が形成される、請求項9から12の何れかに記載のMIS型半導体装置の製造方法。
  14. 前記終端処理は水素により行われる、請求項13に記載のMIS型半導体装置の製造方法。
  15. 前記絶縁体層は、六方晶窒化ホウ素単結晶を劈開して作製された膜を前記半導体層面上に貼り付けることにより形成される、請求項9から14の何れかに記載のMIS型半導体装置の製造方法。
  16. 前記絶縁体層は、前記半導体層面上に堆積あるいは成長によって形成される、請求項9から14の何れかに記載のMIS型半導体装置の製造方法。
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