以下、本開示の電力システムの実施の形態について、電力系統に連系された系統連系型の太陽光発電システムを例に説明する。図1は、第1実施形態に係る太陽光発電システムPVS1の全体構成を示している。太陽光発電システムPVS1は、図1に示すように、電力線90、電力負荷L、複数の太陽電池SPi(i=1,2,・・・,n;nは正の整数)、複数のパワーコンディショナPCSPVi、複数の蓄電池Bk(k=1,2,・・・,m;mは正の整数)、複数のパワーコンディショナPCSBk、および、集中管理装置MC1を備えている。なお、以下の説明において、太陽光発電システムPVS1から電力系統Aに電力が出力されている場合に、すなわち、逆潮流している場合に、太陽光発電システムPVS1と電力系統Aとの連系点における電力は正の値になるものとする。一方、電力系統Aから太陽光発電システムPVS1に電力が出力されている場合に、連系点における電力は負の値になるものとする。
電力線90は、太陽光発電システムPVS1内の電力網を構築するためのものである。電力線90は、連系点を介して電力系統Aに接続されている。また、電力線90には、電力負荷L、複数のパワーコンディショナPCSPVi、および、複数のパワーコンディショナPCSBkが接続されている。
電力負荷Lは、供給される電力を消費するものである。電力負荷Lは、電力線90を介して、電力系統A、各パワーコンディショナPCSPVi,PCSBkから電力が供給される。電力負荷Lの一例としては、工場や一般家庭などがある。なお、太陽光発電システムPVS1は、電力負荷Lを有していなくてもよい。
複数の太陽電池SPiはそれぞれ、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する。各太陽電池SPiは、直列・並列に接続された複数の太陽電池パネルを含んで構成されている。太陽電池パネルは、例えば、シリコンなどの半導体で生成された太陽電池セルを複数接続したものを、屋外で利用できるように樹脂や強化ガラスなどで保護したものである。各太陽電池SPiは、発電した電力(直流電力)を各パワーコンディショナPCSPViに出力する。なお、各太陽電池SPiにおいて、発電可能な電力の最大量を太陽電池SPiの発電量Pi SPとする。太陽電池SPiが、本発明の「発電装置」に相当する。
複数のパワーコンディショナPCSPViはそれぞれ、各太陽電池SPiが発電した電力(直流電力)を交流電力に変換して、出力する。なお、各パワーコンディショナPSCPViは、各太陽電池SPiが発電した電力を最大限出力可能なように最大電力点追従制御(MPPT制御)を行う。本実施形態においては、パワーコンディショナPCSPViは、MPPT制御において、例えば1sec周期で出力が変化する程度の応答性で動作する。なお、この周期は1secに限定されない。各パワーコンディショナPCSPViは、インバータ回路、変圧器、および、制御回路などをそれぞれ含んでいる。各パワーコンディショナPCSPViにおいて、インバータ回路は、太陽電池SPiから入力される直流電力を電力系統Aと同期がとれた交流電力に変換する。変圧器は、インバータ回路から出力される交流電圧を昇圧(または降圧)する。制御回路は、インバータ回路などを制御する。なお、各パワーコンディショナPCSPViは、上記のように構成されたものに限定されない。パワーコンディショナPCSPViが、本発明の「電力制御装置」に相当する。
複数の蓄電池Bkはそれぞれ、繰り返し充放電を行うことができる電池である。蓄電池Bkは、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、鉛蓄電池などの二次電池である。また、電気二重層コンデンサなどのコンデンサを用いてもよい。蓄電池Bkは、蓄積された電力を放電して、直流電力をパワーコンディショナPCSBkに供給する。
複数のパワーコンディショナPCSBkはそれぞれ、蓄電池Bkから入力される直流電力を交流電力に変換して出力するものである。さらに、各パワーコンディショナPCSBkは、電力線90を介して、電力系統Aや各パワーコンディショナPCSPViから入力される交流電力を直流電力へ変換し、蓄電池Bkに供給することで、蓄電池Bkを充電する。各パワーコンディショナPCSBkは、各蓄電池Bkの充電および放電を制御している。したがって、各パワーコンディショナPCSBkは、蓄電池Bkの充電を行う充電回路および蓄電池Bkの放電を行う放電回路として機能する。本実施形態においては、各パワーコンディショナPCSBkには、蓄電池Bkの充放電時における入出力電力を制限するための特性値として、Cレートが設定されている。本実施形態におけるCレートには、充電側のCレートと放電側のCレートとがある。充電側のCレートは、各蓄電池Bkの充電するときの電流に対するCレートであり、以下の説明において「充電レート」という。放電側のCレートは、各蓄電池Bkの放電するときの電流に対するCレートであり、以下の説明において「放電レート」という。すなわち、各パワーコンディショナPCSBkには、放電レートと充電レートとが設定されている。パワーコンディショナPCSBkが、本発明の「蓄電池パワーコンディショナ」に相当する。
各パワーコンディショナPCSPViから出力される有効電力をPPVi out、無効電力をQPVi outとすると、各パワーコンディショナPCSPViからPPVi out+j・QPVi outの複素電力が出力されている。また、各パワーコンディショナPCSBkから出力される有効電力をPBk out、無効電力をQBk outとすると、各パワーコンディショナPCSBkからPBk out+j・QBk outの複素電力が出力されている。したがって、複数のパワーコンディショナPCSPVi,PCSBkからは、合計(ΣiPPVi out+ΣkPBk out)+j(ΣiQPVi out+ΣkQBk out)の複素電力が出力されている。なお、本実施形態においては、連系点における電圧変動抑制などに主に活用される無効電力QPVi out,QBk outの出力制御については、特に考慮しない。すなわち、各パワーコンディショナPCSPVi,PCSBkが制御する個別出力電力は、それぞれ有効電力PPVi out,PBk outとなる。したがって、各パワーコンディショナPCSPViの個別出力電力をPPVi outとし、各パワーコンディショナPCSBkの個別出力電力をPBk outとし、電力負荷Lの消費電力PLとすると、連系点における電力(以下、「連系点電力」という)P(t)は、各パワーコンディショナPCSPVi,PCSBkの個別出力電力PPVi out,PBk outと電力負荷Lの消費電力PLとの総和(ΣiPPVi out+ΣkPBk out−PL)である。
集中管理装置MC1は、複数のパワーコンディショナPCSPVi,PCSBkを集中管理する。集中管理装置MC1は、例えば無線通信により、各パワーコンディショナPCSPVi,PCSBkとの間で、各種情報の送受信を行う。なお、無線通信ではなく、有線通信であってもよい。
このように構成された太陽光発電システムPVS1において、集中管理装置MC1は、所定の調整対象電力を監視し、当該調整対象電力と調整対象電力の目標値である目標電力とに基づいて、調整対象電力を目標電力にするための指標を算出する。そして、各パワーコンディショナPCSPVi,PCSBkは、当該指標を用いて、分散的に制御して、調整対象電力を目標電力にする。調整対象電力は、太陽光発電システムPVS1全体の出力電力である。本実施形態においては、太陽光発電システムPVS1全体の出力電力は、各パワーコンディショナPCSPViの個別出力電力PPVi outと各パワーコンディショナPCSBkの個別出力電力PBk outと電力負荷Lの消費電力PLとの総和である。また、上記するように、連系点電力P(t)は、各パワーコンディショナPCSPViの個別出力電力PPVi outと各パワーコンディショナPCSBkの個別出力電力PBk outと電力負荷Lの消費電力PLとの総和である。したがって、本実施形態においては、調整対象電力として、連系点電力P(t)を用いる場合を説明する。すなわち、太陽光発電システムPVS1は、連系点電力P(t)を目標電力PCにするための制御を行っている。
具体的には、太陽光発電システムPVS1において、集中管理装置MC1は、連系点電力P(t)を監視し、連系点電力P(t)と目標電力PCとを一致させるための指標を算出する。本実施形態においては、指標として、制御指標prPVと制御指標prBとが算出される。制御指標prPVは、連系点電力P(t)を目標電力PCにするための情報であり、各パワーコンディショナPCSPViに個別目標電力PPVi refを算出させるための情報である。なお、個別目標電力PPVi refは、パワーコンディショナPCSPViの個別出力電力PPVi outの目標値である。制御指標prBは、連系点電力P(t)を目標電力PCにするための情報であり、各パワーコンディショナPCSBkに個別目標電力PBk refを算出させるための情報である。また、制御指標prBは、蓄電池Bkをどれくらい充電するか放電するかを決定するための情報でもある。なお、個別目標電力PBk refは、パワーコンディショナPCSBkの個別出力電力PBk outの目標値である。そして、集中管理装置MC1は、制御指標prPVを各パワーコンディショナPCSPViに送信し、制御指標prBを各パワーコンディショナPCSBkに送信する。各パワーコンディショナPCSPViは、集中管理装置MC1から受信する制御指標prPVに基づき、個別目標電力PPVi refを算出し、算出した個別目標電力PPVi refに基づいて、個別出力電力PPVi outを制御する。また、各パワーコンディショナPCSBkは、集中管理装置MC1から受信する制御指標prBに基づき、個別目標電力PBk refを算出し、算出した個別目標電力PBk refに基づいて、個別出力電力PBk outを制御する。これにより、連系点電力P(t)を目標電力PCに一致させている。
本実施形態においては、上記目標電力PCとして、抑制目標値、ピークカット目標値、逆潮流回避目標値、スケジュール目標値などが設定される。これらは、太陽光発電システムPVS1が行う各種電力制御に応じて、適宜設定される。
抑制目標値は、電力会社から指示される出力抑制指令に従い、出力電力を抑制する出力抑制制御を行うための目標値である。太陽光発電システムPVS1が出力抑制制御を行う場合には、目標電力PCとして抑制目標値が設定される。近年、電力系統Aに連系する太陽光発電システムが増えてきており、電力系統Aへの電力の供給が需要に比べて過多となる可能性がある。この供給過多の状態を解消するために、電力会社などから各太陽光発電システムに個々の出力電力を抑制するように指示される。そこで、電力会社などからの出力抑制指令に従い、電力系統Aに供給する電力を抑制するために、目標電力PCとして抑制目標値を設定する。これにより、連系点電力P(t)が抑制目標値になるように制御される。すなわち、連系点電力P(t)が抑制目標値を超えないため、出力抑制指令に従い、電力系統Aに供給する電力を抑制できる。
ピークカット目標値は、電力系統Aから供給される電力(買電電力)のピーク値を抑えるピークカット制御を行うための目標値である。太陽光発電システムPVS1がピークカット制御を行う場合、目標電力PCとしてピークカット目標値が設定される。たとえば、太陽光発電システムPVS1に電力負荷Lが含まれている場合、電力系統Aから太陽光発電システムPVS1に電力が供給されることがある。このとき、電力会社から電力を買っており、この買電によって電気料金を支払う必要がある。買電電力のピーク値が高いと電気料金も高くなる。そこで、買電電力のピーク値を抑えるために、目標電力PCとしてピークカット目標値を設定する。これにより、連系点電力P(t)がピークカット目標値になるように制御される。すなわち、連系点電力P(t)がピークカット目標値を超えないために、買電電力のピーク値を抑えることができる。
逆潮流回避目標値は、逆潮流の発生を抑制する逆潮流回避制御を行うための目標値である。太陽光発電システムPVS1が逆潮流回避制御を行う場合、目標電力PCとして逆潮流回避目標値が設定される。例えば、太陽光発電システムPVS1が自家消費型のシステムである場合、逆潮流が禁止されている。そこで、逆潮流の発生を抑制するために、目標電力PCとして、逆潮流回避目標値を設定する。これにより、連系点電力P(t)が逆潮流回避目標値になるように制御される。すなわち、連系点電力P(t)が逆潮流回避目標値を超えないため、逆潮流が回避できる。また、逆潮流が禁止されている太陽光発電システムPVS1においては、電力系統Aとの連系点に逆電力継電器の設置が必要となる。逆電力継電器は、リレーの一種であり、逆潮流の発生を検出すると、太陽光発電システムPVS1を電力系統Aから解列させる。したがって、逆潮流回避制御によって、逆電力継電器を動作させないようにできる。
スケジュール目標値は、連系点電力P(t)を所定の時間帯毎に自由に設定された値に制御するスケジュール制御を行うための目標値である。所定の時間帯とは1日を複数個に分けた所定の期間であり、例えば30分毎に分けた場合48個の時間帯毎に設定可能である。なお、所定の時間帯は上記した例に限定されず、朝、昼、夕、晩、深夜などの時間帯に分けてもよいし、1日単位ではなく、1週間単位で所定の時間帯に分けてもよい。太陽光発電システムPVS1がスケジュール制御を行う場合、目標電力PCとしてスケジュール目標値が設定される。目標電力PCとして、スケジュール目標値を設定することで、連系点電力P(t)が所定の時間帯毎に設定されたスケジュール目標値になるように制御される。すなわち、所定の時間帯毎に、連系点電力P(t)を自由な値に制御できる。
図2は、図1に示す太陽光発電システムPVS1の電力制御に関する制御系の機能構成を示している。なお、図2においては、太陽電池SPiおよび蓄電池Bkの図示を省略している。また、複数のパワーコンディショナPCSPVi,PCSBkについては、それぞれ1つ目(パワーコンディショナPCSPV1,PCSB1)のみを記載している。
集中管理装置MC1は、図2に示すように、電力制御における制御系として、目標電力設定部11、連系点電力検出部12、指標算出部13、送信部14、および、Cレート指定部15を含んでいる。
目標電力設定部11は、連系点電力P(t)の目標値を設定する。すなわち、上記目標電力PCを設定する。上記するように、目標電力PCとしては、抑制目標値、ピークカット目標値、逆潮流回避目標値、および、スケジュール目標値などがあり、これらのうちのいずれかが目標電力PCとして設定される。
太陽光発電システムPVS1が電力制御として出力抑制制御を行う場合、目標電力設定部11は、電力会社から指令される出力指令値を取得し、取得した出力指令値に基づく抑制目標値を目標電力PCとして設定する。例えば、取得する出力指令値が出力電力の上限値を指定する値である場合、出力指令値を抑制目標値として設定する。あるいは、取得する出力指令値が出力抑制率[%]である場合、当該出力抑制率[%]と太陽光発電システムPVS1全体の定格出力(すなわち、各パワーコンディショナPCSPViの定格出力の合計)ΣiPPVi lmtとに基づき、出力電力の上限値算出し、これを抑制目標値として設定する。例えば、目標電力設定部11は、出力抑制率として20%である指令を取得したとき、太陽光発電システムPVS1の定格出力ΣiPPVi lmtの80%(=100−20)を出力電力の上限値として算出し、これを抑制目標値として設定する。なお、電力会社から出力指令値を直接取得するものに限定されない。例えば、ユーザが所定のコンピュータに電力会社から指令される出力指令値を手入力で入力し、目標電力設定部11が前記コンピュータから出力指令値を取得する構成であってもよい。あるいは、他の通信装置を中継して、電力会社から指令される出力指令値を取得する構成であってもよい。
太陽光発電システムPVS1が電力制御としてピークカット制御を行う場合、目標電力設定部11は、ユーザによって指定されたピークカット目標値を目標電力PCとして設定する。連系点電力P(t)が負の値かつ小さいほど、電力系統Aから供給される電力が大きくなるので、買電電力が大きくなる。ピークカット制御は、ピークカットは買電電力のピーク値を抑えるための制御であるため、買電電力がユーザによって指定された上限値を超えないように制御する。したがって、ピークカット制御時には、連系点電力P(t)が上記上限値を負の値としたピークカット目標値を下回らないように、連系点電力P(t)をピークカット目標値に一致させている。よって、ピークカット目標値は負の値である。
太陽光発電システムPVS1が電力制御として逆潮流回避制御を行う場合、目標電力設定部11は、ユーザによって指定された逆潮流回避目標値を目標電力PCとして設定する。連系点電力P(t)が正の値である場合に逆潮流が発生しているので、逆潮流の発生を抑制するためには、連系点電力P(t)が正の値にならないように、負の値を維持すればよい。したがって、逆潮流回避制御時には、連系点電力P(t)が負の値になるように、連系点電力P(t)を逆潮流回避目標値に一致させている。よって、逆潮流回避目標値は負の値である。
太陽光発電システムPVS1が電力制御としてスケジュール制御を行う場合、目標電力設定部11は、ユーザによって指定されたスケジュール目標値を目標電力PCとして設定する。スケジュール制御においては、連系点電力P(t)がユーザの好みの値に制御されるため、スケジュール目標値は自由に設定可能である。
目標電力設定部11は、設定した目標電力PCを指標算出部13に出力する。なお、目標電力設定部11は、目標電力PCの設定がないとき、指標算出部13にその旨を伝達する。たとえば、電力会社の出力抑制の指令がないときや太陽電池SPiが発電した電力を最大限に出力するときなどにおいて、目標電力PCの設定がない。本実施形態においては、目標電力設定部11は、目標電力PCの設定がないとき、目標電力PCとして数値−1を指標算出部13に出力する。なお、目標電力PCの設定がないことを指標算出部13に伝達できれば、その手法は限定されない。例えば、目標電力設定部11は、目標電力PCの設定の有無を示すフラグ情報を指標算出部13に伝達するように構成してもよい。当該フラグ情報は、例えば、目標電力PCの設定がない場合「0」であり、目標電力PCの設定がある場合「1」である。なお、目標電力PCの設定がある場合(フラグ情報が「1」の場合)には、当該フラグ情報とともに目標電力PCの設定を指標算出部13に伝達するように構成してもよい。
連系点電力検出部12は、連系点電力P(t)を検出する。そして、検出した連系点電力P(t)を指標算出部13に出力する。なお、連系点電力検出部12を、集中管理装置MC1とは別の検出装置として構成してもよい。この場合、当該検出装置(連系点電力検出部12)が、無線通信または有線通信により、連系点電力P(t)の検出値を集中管理装置MC1に送信する。
指標算出部13は、連系点電力P(t)を目標電力P
Cにするための指標を算出する。本実施形態においては、指標算出部13は、目標電力設定部11から目標電力P
Cが入力され、連系点電力P(t)を目標電力P
Cにするための制御指標pr
PV,pr
Bを算出する。指標算出部13は、ラグランジュ乗数をλ、勾配係数をε(>0)、時間をtとして、下記(1)式および下記(2)式に基づき、制御指標pr
PV,pr
Bを算出する。ただし、指標算出部13は、目標電力設定部11からの目標電力P
Cとして、目標電力P
Cの設定がないことを表わす数値−1を入力された場合、ラグランジュ乗数λを「0」とする。すなわち、制御指標pr
PV,pr
Bをともに「0」と算出する。なお、下記(1)式において、目標電力P
Cが、時間tに対して変化する値であるとして、目標電力をP
C(t)と記載している。指標算出部13は、制御指標pr
PV,pr
Bの算出を所定時間毎に行う。本実施形態においては、所定時間が1[sec]であるものとするが、これに限定されない。なお、制御指標pr
PV,pr
Bを算出するための演算式は、下記(1)式および下記(2)式に限定されず、これらとは異なる演算式であってもよい。
送信部14は、指標算出部13が算出した制御指標prPV,prBを各パワーコンディショナPCSPVi,PCSBkにそれぞれ送信する。送信部14は、指標算出部13によって制御指標prPV,prBが算出される度に、算出された制御指標prPV,prBを送信する。したがって、本実施形態においては、制御指標prPV,prBが、1[sec]ごとに各パワーコンディショナPCSPVi,PCSBkに送信される。
Cレート指定部15は、複数のパワーコンディショナPCSBkに設定するCレートの値(以下「Cレート指定値」という)を各パワーコンディショナPCSBkに送信する。たとえば、ユーザが、集中管理装置MC1に設けられた図示しない操作装置を用いて、複数のパワーコンディショナPCSBkに設定したいCレートの値(以下「リクエスト値」という)を指定する操作を行うと、Cレート指定部15は、この操作によって指定されたリクエスト値に基づいてCレート指定値を作成し、各パワーコンディショナPCSBkに送信する。本実施形態においては、作成されるCレート指定値は、ユーザによって指定された値(リクエスト値)と同じである。ユーザは、リクエスト値として新たな値を指定することで、太陽光発電システムPVS1にCレートの設定値の変更を指示する。リクエスト値は、充電レートおよび放電レートにおいてそれぞれ別々の値が指定されるように構成されていても、同じ値が指定されるように構成されていてもよい。本実施形態においては、Cレート指定部15は、Cレート指定値を所定周期で定期的に送信する場合を示す。なお、これに限定されず、たとえばCレート指定値が変更されたときのみ送信してもよい。また、所定周期としては、たとえば制御指標prPV,prBの算出間隔と同じとするが、これに限定されない。なお、本実施形態においては、Cレート指定部15が各パワーコンディショナPCSBkに直接Cレート指定値を送信する場合を示すが、これに限定されず、たとえば、送信部14を介して送信してもよいし、送信部14とは別に集中管理装置MC1に設けられた送信部を介して送信してもよい。
各パワーコンディショナPCSPViは、図2に示すように、電力制御に関する制御系として、受信部21、目標電力算出部22、および、出力制御部23を含んでいる。
受信部21は、集中管理装置MC1から送信される制御指標prPVを受信する。受信部21は、例えば無線通信により、集中管理装置MC1から制御指標prPVを受信する。なお、無線通信ではなく、有線通信であってもよい。
目標電力算出部22は、受信部21が受信した制御指標pr
PVに基づき、自装置(パワーコンディショナPCS
PVi)の個別目標電力P
PVi refを算出する。具体的には、目標電力算出部22は、下記(3)式に示す制約付き最適化問題を解くことで、個別目標電力P
PVi refを算出する。下記(3)式における下記(3a)式は、最適化問題における評価関数を示している。また、下記(3)式における下記(3b)式および下記(3c)式はそれぞれ、最適化問題における制約条件を示している。当該制約条件において、下記(3b)式は各パワーコンディショナPCS
PViの定格出力による制約であり、下記(3c)式は各パワーコンディショナPCS
PViの出力電流制約である。なお、下記(3c)式に示す各パワーコンディショナPCS
PViの出力電流制約の代わりに、下記(3d)式に示すパワーコンディショナPCS
PViの定格容量制約を用いてもよい。また、指標算出部13が、上記(1)式および上記(2)式とは異なる演算式によって、制御指標pr
PV,pr
Bを算出する場合には、目標電力算出部22に設定される制約付き最適化問題を当該異なる演算式に基づいて変更すればよい。
上記(3a)式において、wPViは、パワーコンディショナPCSPViの有効電力抑制に関する重みを表わしており、設計値である。また、Pφiは、パワーコンディショナPCSPViの個別出力電力PPVi outの抑制を優先するか否かを示す設計パラメータ(以下、「優先度パラメータ」という)を示しており、設計値である。当該優先度パラメータPφiを小さくすると、蓄電池Bkの充電量を少なくし、個別出力電力PPVi outが抑制され易くなる。一方、当該優先度パラメータPφiを大きくすると、蓄電池Bkの充電量を多くし、個別出力電力PPVi outが抑制され難くなる。よって、優先度パラメータPφiは、蓄電池Bkの充電を優先するか否かを示す設計パラメータであるとも言える。さらに、この優先度パラメータPφiによって、パワーコンディショナPCSPViの定格出力による出力限界とは別に、パワーコンディショナPCSPViの個別出力電力PPVi outの疑似的な出力限界が設定されていると考えられる。そのため、優先度パラメータPφiは、疑似有効出力限界とも言える。上記重みwPViおよび上記優先度パラメータPφiはユーザによって設定変更可能である。
上記(3b)式において、PPVi lmtは、各パワーコンディショナPCSPViの定格出力(出力限界)を表わしている。よって、上記(3b)式は、算出される個別目標電力PPVi refが定格出力PPVi lmtを超えないように制限している。
上記(3c)式において、QPViは各パワーコンディショナPCSPViの無効電力、SPVi dは各パワーコンディショナPCSPViの出力可能な最大の皮相電力、V0は設計時における連系点の基準電圧、VPViは各パワーコンディショナPCSPViにおける連系点の電圧をそれぞれ表している。
本実施形態においては、各パワーコンディショナPCSPViの有効電力抑制に関する重みwPVi(上記(3a)式参照)は、下記(4)式で算出される値を用いている。下記(4)式において、prPV lmtは、制御指標限界を示している。当該制御指標限界prPV lmtは、個別出力電力PPVi outを0にするときの制御指標、すなわち、個別出力電力PPVi outを100%抑制するときの制御指標である。また、PPVi lmtは、上記各パワーコンディショナPCSPViの定格出力である。なお、各パワーコンディショナPCSPViの定格出力PPVi lmtの代わりに、疑似有効出力限界Pφiを用いてもよい。すなわち、下記(4’)式で算出される値を用いてもよい。または、複数のパワーコンディショナPCSPViにおいて、すべて同じ有効電力抑制に関する重みwPViを用いてもよい。
wPVi=prPV lmt/(2×PPVi lmt)・・・(4)
wPVi=prPV lmt/(2×Pφi)・・・(4’)
図3は、上記のように各パワーコンディショナPCSPViの有効電力抑制に関する重みwPViを用いた場合の、制御指標prPVと個別出力電力PPVi outとの関係を示している。なお、図3には、定格出力PPVi lmtが互いに異なる3つのパワーコンディショナPCSPViそれぞれについて示している。本実施形態においては、個別出力電力PPVi outは、上記目標電力算出部22が算出する個別目標電力PPVi refとなるように制御されるので、同図は、制御指標prPVと個別目標電力PPVi refとの関係を示しているともいえる。図3においては、上記制御指標限界prPV lmtを100とした。また図3において、定格出力PPVi lmtが500kWのものを実線、定格出力PPVi lmtが250kWのものを破線、定格出力PPVi lmtが100kWのものを一点鎖線で示している。
図3が示すように、制御指標prPVが0から100(制御指標限界prPV lmt)の間で20上昇する毎に、定格出力PPVi lmtが500kWの場合100kW、定格出力PPVi lmtが250kWの場合50kW、定格出力PPVi lmtが100kWの場合20kWずつ低下している。これは、各パワーコンディショナPCSPViの定格出力PPVi lmtの20%ずつ低下していることになる。すなわち、各パワーコンディショナPCSPViの定格出力PPVi lmtに対する割合で個別出力電力PPVi outを抑制している。また、各パワーコンディショナPCSPViはともに、制御指標prPVが上記制御指標限界prPV lmtのときに、個別出力電力PPVi outが0となっている。すなわち、100%抑制している。さらに、制御指標prPVが0のときに、個別出力電力PPVi outが定格出力PPVi lmtとなっている。すなわち、最大限出力可能な電力が出力されている。そして、図3に示すように、制御指標prPVが0から制御指標限界prPV lmt(100)の間では、各パワーコンディショナPCSPViの個別出力電力PPVi outが線形的に変化している。なお、各パワーコンディショナPCSPViは、その定格出力PPVi lmt以上の電力を出力できないため、制御指標prPVが負の値であるときは、図3が示すように、一定値(定格出力PPVi lmt)となっている。以上のことから、有効電力抑制に関する重みwPViの設定において、上記(4)式を用いることで、制御指標prPVの変化に伴い、各パワーコンディショナPCSPViの定格出力PPVi lmtに対する割合で、個別出力電力PPVi outを抑制することができる。よって、複数のパワーコンディショナPCSPViにおいて、それらの定格出力PPVi lmtが異なっていても、制御指標prPVが制御指標限界prPV lmtのときに、個別出力電力PPVi outの出力を100%抑制することができる。なお、有効電力抑制に関する重みwPViとして同じ値を用いた場合は、各パワーコンディショナPCSPViの定格出力PPVi lmtが異なっていても、一律に同じ量ずつ個別出力電力PPVi outが低下するように構成できる。
出力制御部23は、上記インバータ回路を制御して、個別出力電力PPVi outを制御する。出力制御部23は、個別出力電力PPVi outを、目標電力算出部22が算出した個別目標電力PPVi refにする。
各パワーコンディショナPCSBkは、図2に示すように、電力制御に関する制御系として、受信部31、Cレート設定部32、目標電力算出部33、および、出力制御部34を含んでいる。
受信部31は、上記受信部21と同様に構成され、集中管理装置MC1から送信される制御指標prBを受信する。
Cレート設定部32は、集中管理装置MC1から送信されるCレート指定値を受信し、当該受信したCレート指定値に基づいてCレートの設定を行う。具体的には、Cレート設定部32は、自装置(パワーコンディショナPCSBk)のCレートの設定値を、Cレート指定値にすることで、Cレートの設定を行う。なお、本実施形態においては、Cレート設定部32が集中管理装置MC1から直接Cレート指定値を受信する場合を示すが、これに限定されず、たとえば、受信部31を介して受信してもよいし、受信部31とは別に各パワーコンディショナPCSBkに設けられた受信部を介して受信してもよい。
本実施形態においては、各パワーコンディショナPCSBkにおいて、集中管理装置MC1から受信したCレート指定値と、Cレート指定値を受信した時点のCレートの設定値(以下、「受信時設定値」という)とが異なる場合、Cレート設定部32によってCレートの設定値が変更される(なお、受信時設定値とCレート指定値とが同じ場合、Cレートの設定値は変更されない。)。このとき、Cレートの設定値は、Cレート設定部32によって、受信時設定値からCレート指定値まで一度に変更されるのではなく段階的に変更される。具体的には、Cレート設定部32は、受信時設定値とCレート指定値とが異なる場合、Cレートの設定値を、受信時設定値からCレート指定値まで、所定の更新周期で予め設定された単位更新量ずつ変更する。上記更新周期とは、Cレートの設定値を変更させる周期であり、本実施形態における更新周期は、集中管理装置MC1による制御指標prPV,prBの算出周期(1sec)と同じとする。なお、異なっていてもよい。上記単位更新量とは、更新周期毎に変更させる量であり、1度に変更させる量である。本実施形態においては、単位更新量を0.05Cとしている。したがって、本実施形態においては、Cレート設定部32は、たとえば受信時設定値が0CでありCレート指定値が1Cである場合、受信時設定値からCレート指定値まで、20secかけて変更する。なお、更新周期および単位更新量は、上記した値に限定されず、Cレートの設定値を0Cから最大値まで変更するのに要する時間が2sec〜30min(好ましくは、10sec〜60sec)の範囲内となるように、適宜設定すればよい。ただし、更新周期は1sec〜10secの範囲内とし、単位更新量は0.01C〜0.1Cの範囲内とするのが望ましい。
目標電力算出部33は、受信部31が受信した制御指標pr
Bに基づき、自装置(パワーコンディショナPCS
Bk)の個別目標電力P
Bk refを算出する。具体的には、目標電力算出部33は、下記(5)式に示す最適化問題を解くことで、個別目標電力P
Bk refを算出する。下記(5)式における下記(5a)式は、最適化問題における評価関数を示している。また、下記(5)式における下記(5b)〜(5e)式はそれぞれ、最適化問題における制約条件を示している。当該制約条件において、下記(5b)式は各パワーコンディショナPCS
Bkの定格出力による制約であり、下記(5c)式は蓄電池B
kのCレート制約であり、下記(5d)式は各蓄電池B
kの残量制約であり、下記(5e)式は各パワーコンディショナPCS
Bkの出力電流制約である。なお、下記(5e)式に示す各パワーコンディショナPCS
Bkの出力電流制約の代わりに、下記(5f)式に示すパワーコンディショナPCS
Bkの定格容量制約を用いてもよい。また、指標算出部13が、上記(1)式および上記(2)式とは異なる演算式によって、制御指標pr
PV,pr
Bを算出する場合には、目標電力算出部33に設定される制約付き最適化問題を当該異なる演算式に基づいて変更すればよい。
上記(5a)式において、w
Bkは、パワーコンディショナPCS
Bkの有効電力に関する重みを表わしている。重みw
Bkは、ユーザが設定可能である。w
SOCkは、蓄電池B
kのSOC(States Of Charge:充電率)に応じた重みを表している。この重みw
SOCkは、下記(6)式で算出される。下記(6)式において、A
SOCは重みw
SOCkのオフセット、K
SOCは重みw
SOCkのゲイン、sは重みw
SOCkのオン/オフスイッチ(例えば、オンのとき1,オフのとき0)、SOC
kは現在の蓄電池B
kのSOC、SOC
dは基準となるSOCをそれぞれ示している。
上記(5b)式において、PBk lmtは、各パワーコンディショナPCSBkの定格出力(出力限界)を表わしている。よって、上記(5b)式は、算出される個別目標電力PBk refが定格出力PBk lmtを超えないように制限している。
上記(5c)式において、P
SMk lmtは、蓄電池B
kの充電定格出力を表しており、充電レートをC
rate Mとし、蓄電池B
kの定格容量をWH
S lmtとしたときに、−C
rate M×WH
S lmtで求められる。なお、蓄電池B
kの充電定格出力P
SMk lmtは、補正開始SOCをSOC
C、SOCの充電制限閾値をcMAXとして、下記(7)式に示すSOCに応じた蓄電池充電量補正が考慮されている。当該蓄電池充電量補正は、補正開始SOCまでは、通常通りの運転を行い、補正開始SOCからSOC上限までは、SOC上限で出力が0となるように一次関数的に出力を補正するように構成している。P
SPk lmtは、蓄電池B
kの放電定格出力を表しており、放電レートをC
rate Pとし、蓄電池B
kの定格容量をWH
S lmtとしたときに、C
rate P×WH
S lmtで求められる。よって、上記(5c)式は、算出される個別目標電力P
Bk refが、設定されているCレート(充電レートおよび放電レート)に基づいて規定される充電定格出力と放電定格出力との範囲内に収まるように制限している。すなわち、上記(5c)式による制約によって、各パワーコンディショナPCS
Bkの出力電流(個別出力電力P
Bk out)を蓄電池B
kの定格容量で除算した値が設定されているCレートを超えないように制御されている。よって、Cレートは、各パワーコンディショナPCS
Bkにおける出力電流(個別出力電力P
Bk out)を制限するための特性値といえる。
上記(5d)式において、αk,βkは、蓄電池Bkの残量によって調整できる調整パラメータを表わしている。たとえば、蓄電池Bkの充電率SOCkが90%以上のとき、αkを0、βkをPBk lmtと設定することで、上記(5d)式により放電のみを行うように制限できる。また、蓄電池Bkの充電率SOCkが10%以下のとき、αkを−PBk lmt、βkを0と設定することで、上記(5d)式により充電のみを行うように制限できる。さらに、蓄電池Bkの充電率SOCkがこれらの間(10%より大きく90%未満)であるとき、αkを−PBk lmt、βkをPBk lmtと設定することで、充電も放電も行うように制限できる。
上記(5e)式において、QBkは各パワーコンディショナPCSBkの無効電力、SBk dは各パワーコンディショナPCSBkの出力可能な最大の皮相電力、V0は設計時における連系点の基準電圧、VBkは各パワーコンディショナPCSBkにおける連系点の電圧をそれぞれ表している。
本実施形態においては、各パワーコンディショナPCSBkの有効電力に関する重みwBk(上記(5a)式参照)は、下記(8)式で算出される値を用いている。下記(8)式において、prB lmtは、制御指標prBの制御指標限界を示している。当該制御指標限界prB lmtは、最大限出力可能な電力で蓄電池Bkを充放電するときの制御指標、すなわち、個別出力電力PBk outが定格出力PBk lmtの100%で充放電するときの制御指標である。また、wSOCkは、上記蓄電池BkのSOCに応じた重みを示しており、PBk maxは、蓄電池Bkにおける各種制約を考慮したときに最大限出力可能な電力(以下、「制約最大出力」という。)を示している。当該制約最大出力PBk maxは、上記蓄電池Bkの充電定格出力PSMk lmt、上記蓄電池Bkの放電定格出力PSPk lmtおよびパワーコンディショナPCSBkの定格出力PBk lmtに基づいて設定される。具体的には、充電定格出力PSMk lmtの正負の符号を反転させた値と放電定格出力PSPk lmtの値とを比較し、いずれか大きい方の値を求める。そして、この大きい方の値と、定格出力PBk lmtの値とを比較し、いずれか小さい方の値を制約最大出力PBk maxとして設定する。なお、複数のパワーコンディショナPCSBkにおいて、すべて同じ有効電力に関する重みwBkを用いてもよい。
wBk=prB lmt/(2×wSOCk×PBk max)・・・(8)
図4は、上記のように各パワーコンディショナPCSBkの有効電力に関する重みwBkを用いた場合の、制御指標prBと個別出力電力PBk outとの関係を示している。なお、図4には、定格出力PBk lmtが互いに異なる3つのパワーコンディショナPCSBkそれぞれについて示している。本実施形態においては、各パワーコンディショナPCSBkは、個別出力電力PBk outが負の値のとき蓄電池Bkを充電し、個別出力電力PBk outが正の値のとき蓄電池Bkを放電する。また、個別出力電力PBk outは、上記目標電力算出部33が算出する個別目標電力PBk refとなるように制御されるので、同図は、制御指標prBと個別目標電力PBk refとの関係を示しているともいえる。図4においては、上記制御指標限界prB lmtを100とした。また、図4において、定格出力PBk lmtが500kWのものを実線、定格出力PBk lmtが250kWのものを破線、定格出力PBk lmtが100kWのものを一点鎖線で示している。
図4に示すように、制御指標prBが−100(制御指標限界prB lmtを負の値にしたもの)から100(制御指標限界prB lmt)の間で20上昇する毎に、定格出力PBk lmtが500kWの場合100kW、定格出力PBk lmtが250kWの場合50kW、定格出力PBk lmtが100kWの場合20kWずつ低下している。これは、各パワーコンディショナPCSBkの定格出力PBk lmtの20%ずつ低下していることになる。すなわち、各パワーコンディショナPCSBkの定格出力PBk lmtに対する割合で個別出力電力PBk outを制御している。したがって、同じ制御指標prBの変化量であっても、パワーコンディショナPCSBkの定格出力PBk lmtに応じて、蓄電池Bkの充放電量が変化している。また、各パワーコンディショナPCSBkはともに、制御指標prBが制御指標限界prB lmtを負の値にしたもの(−prB lmt)であるときに、定格出力PBk lmtと同じ値の個別出力電力PBk outで蓄電池Bkを放電する。一方、制御指標prBが制御指標限界prB lmtであるときに、定格出力PBk lmtと同じ値の個別出力電力PBk outで蓄電池Bkを充電する。すなわち、最大限出力可能な電力で蓄電池Bkを充放電する。さらに、制御指標prBが0のときに、個別出力電力PBk outが0になっている。そして、図4に示すように、個別出力電力PBk outが線形的に変化している。以上のことから、有効電力に関する重みwBkの設定において、上記(8)式を用いることで、制御指標prBの変化に伴い、各パワーコンディショナPCSBkの定格出力PBk lmtに対する割合で、蓄電池Bkを充放電することができる。よって、複数のパワーコンディショナPCSBkにおいて、それらの定格出力PBk lmtが異なっていても、制御指標prBの絶対値が制御指標限界prB lmtのときに、定格出力PBk lmtの100%で蓄電池Bkを充放電することができる。具体的には、制御指標prBが制御指標限界prB lmtの負の値であるときに、定格出力PBk lmtの100%で蓄電池Bkを放電し、制御指標prBが制御指標限界prB lmtの値であるときに、定格出力PBk lmtの100%で蓄電池Bkを充電することができる。なお、有効電力に関する重みwBkとして同じ値を用いた場合、各パワーコンディショナPCSBkの定格出力PBk lmtが異なっていても、一律に同じ量ずつ個別出力電力PBk outが低下するように構成できる。
出力制御部34は、上記出力制御部23と同様に構成される。出力制御部34は、蓄電池Bkの放電および充電を制御することで、個別出力電力PBk outを、目標電力算出部33が算出した個別目標電力PBk refにする。具体的には、目標電力算出部33によって算出された個別目標電力PBk refが正の値の場合、蓄電池Bkに蓄積された電力(直流電力)を交流電力に変換し、電力線90を介して出力する。すなわち、パワーコンディショナPCSBkを放電回路として機能させる。一方、個別目標電力PBk refが負の値の場合、電力線90を介して入力される交流電力を直流電力に変換し、蓄電池Bkに供給する。すなわち、パワーコンディショナPCSBkを充電回路として機能させる。
次に、第1実施形態に係る太陽光発電システムPVS1において、各パワーコンディショナPCSBkのCレートの設定値を変更するときの動作について説明する。
たとえば、ユーザが、各パワーコンディショナPCSBkのCレートの設定値を変更するために、現在の設定値と異なる新たな設定値(リクエスト値)を指定する操作を、集中管理装置MC1の操作装置(図示略)を用いて行うと、Cレート指定部15は、この操作によって指定されたリクエスト値に基づいてCレート指定値を作成し、これを各パワーコンディショナPCSBkに送信する。たとえば、各パワーコンディショナPCSBkにおける現在のCレートの設定値が0Cであり、新たな設定値(リクエスト値)として1Cが指定されたとする。このとき、Cレート指定部15は、リクエスト値である1CをCレート指定値として各パワーコンディショナPCSBkに送信する。
次に、各パワーコンディショナPCSBkにおいて、Cレート設定部32は、集中管理装置MC1のCレート指定部15から送信されたCレート指定値を受信する。そして、Cレート設定部32は、Cレート指定値を受信した時点でのCレートの設定値(上記受信時設定値)と受信したCレート指定値とが異なる場合、Cレートの設定値を、受信時設定値からCレート指定値まで段階的に変更する。具体的には、Cレート設定部32は、Cレートの設定値を、受信時設定値からCレート指定値まで、所定の更新周期毎に予め設定された単位更新量ずつ変更する。たとえば、受信時設定値が0Cであり、受信したCレート指定値が1Cである場合、受信時設定値とCレート指定値とが異なるので、Cレート設定部32は、Cレートの設定値を、受信時設定値である0CからCレート指定値である1Cまで、Cレート指定値を受信してから1sec経過する毎(更新周期毎)に0.05C(単位更新量)ずつ増加させる。よって、この場合、Cレート設定部32は、各パワーコンディショナPCSBkにおけるCレートの設定値を、20secかけて、段階的に変更する。
以上のようにして、集中管理装置MC1においてCレートの設定値を変更する旨の操作がユーザによって行われると、各パワーコンディショナPCSBkにおいて、Cレートの設定値が受信時設定値からCレート指定値まで段階的に変更される。
次に、太陽光発電システムPVS1において、Cレートの設定値を変更したときの太陽光発電システムPVS1の出力電力の変化をシミュレーションにより検証した。また、従来の太陽光発電システムPVS0においても、同様にシミュレーションを行った。なお、従来の太陽光発電システムPVS0は、本実施形態の太陽光発電システムPVS1に係るパワーコンディショナPCSBkの代わりに、パワーコンディショナPCSBk’を用いたものである。パワーコンディショナPCSBk’は、パワーコンディショナPCSBkのCレート設定部32の代わりに従来のCレート設定部を備えたものであり、それ以外の構成はパワーコンディショナPCSBkと同じである。従来のCレート設定部は、Cレートの設定値を変更する際、Cレート設定部32のように段階的に変更するのではなく、一度に変更する(Cレート指定値通りに変更する)ものである。
本シミュレーションにおいては、放電レートCrate Pの設定値を0Cから1Cに変更した。また、本シミュレーションにおいては、上記制御指標限界prB lmtが100である(図4参照)パワーコンディショナPCSBk’,PCSBkを想定して、制御指標prBを−100に固定した。
図5(a)は従来の太陽光発電システムPVS0におけるシミュレーション結果を、図5(b)は本実施形態の太陽光発電システムPVS1におけるシミュレーション結果をそれぞれ示している。図5(a),(b)において、上段のタイムチャート(上段図)はパワーコンディショナPCSBk’,PCSBkに対する制御指標prBの時間変化を、中段のタイムチャート(中段図)はパワーコンディショナPCSBk’,PCSBkにおけるCレート(放電レートCrate P)の設定値の時間変化を、下段のタイムチャート(下段図)はパワーコンディショナPCSBk’,PCSBkにおける個別出力電力PBk outの時間変化をそれぞれ示している。なお、図5(a),(b)の中段図に示す破線は、集中管理装置MC1から送信されるCレート指定値の時間変化を示している。また、図5(a),(b)の下段図は、太陽光発電システムPVS0,PVS1が備える複数のパワーコンディショナPCSBk’,PCSBkのうちのいずれか1つのパワーコンディショナPCSBk’,PCSBkであって、定格出力が250kWであるパワーコンディショナPCSBk’,PCSBkにおけるシミュレーション結果である。
太陽光発電システムPVS0においては、図5(a)に示すように、シミュレーションの開始時から放電レートCrate PのCレート指定値が変更されるまでの期間(時刻t=0〜10[sec])では、放電レートCrate Pの設定値に0Cが設定されている。そのため、上記(5c)式に示すCレート制約によって、目標電力算出部33によって算出される個別目標電力PBk refは0kWとなる。パワーコンディショナPCSBk’において個別出力電力PBk outが個別目標電力PBk refとなるように出力制御部34によって制御されるため、図5(a)下段図に示すように、個別出力電力PBk outは0kWである。そして、時刻t=10[sec]で放電レートCrate PのCレート指定値が変更されると、図5(a)中段図に示すように、放電レートCrate Pの設定値が0Cから1Cに変更されている。この結果、図5(a)下段図に示すように、個別出力電力PBk outが時刻t=10[sec]で瞬時的に250kWになっている。太陽光発電システムPVS0が、1つのパワーコンディショナPCSBk’を備えている場合は250kWの変化に過ぎないが、たとえば定格出力が250kWである100個のパワーコンディショナPCSBk’を備えている場合、25MWもの電力が瞬時的に変化することになる。これにより、上記したように、電力系統Aに悪影響を及ぼすことがある。また、太陽光発電システムPVS0の電力制御が適切に行えなくなることもある。
一方、太陽光発電システムPVS1において、図5(b)に示すように、時刻t=0〜10[sec]の期間では、従来の太陽光発電システムPVS0と同じである。しかし、時刻t=10[sec]で、放電レートCrate PのCレート指定値が変更されると、図5(b)の中段図に示すように、放電レートCrate Pの設定値が1sec経過する毎に0.05Cずつ増加している。これは、Cレート設定部32が、放電レートCrate Pの設定値を1sec経過する度に0.05Cずつ増加させるためである。このとき、放電レートCrate Pの設定値が0.05Cずつ増加するにつれて、図5(b)の下段図に示すように、個別出力電力PBk outはおよそ12.5kWずつ増加している。これは、最適化問題(上記(5)式)のCレート制約(上記(5c)式)において、Cレート制約の上限値が12.5kW(=0.05[C]×250[kW])ずつ増加するからである。そのため、算出される個別目標電力PBk refが12.5kWずつ増加し、個別出力電力PBk outが12.5kWずつ増加する。そして、放電レートCrate PのCレート指定値が変更されてから20sec経過した時点(時刻t=30[sec])において、放電レートCrate Pの設定値が1Cとなり、また、個別出力電力PBk outは、パワーコンディショナPCSBkの定格出力である250kWとなる。
上記シミュレーションにおいては、放電レートCrate Pの設定値を増加させる場合を示したが、放電レートCrate Pの設定値を減少させた場合も同様に、放電レートCrate Pの設定値が段階的に減少するので、出力電力(個別出力電力PBk out)が段階的に減少する。
以上のことから、太陽光発電システムPVS1は、Cレート(放電レートCrate P)の設定値を変更する旨の操作が行われた場合であっても、連系点電力P(t)が急激に変化することを抑制できる。すなわち、太陽光発電システムPVS1の出力電力の急激な変化を抑制できる。なお、上記シミュレーションにおいては、放電レートCrate Pの設定値を変更した場合を示したが、充電レートCrate Mの設定値を変更する場合においても段階的に変更することで、各パワーコンディショナPCSBkから蓄電池Bkへの出力電力を段階的に変化させることができる。すなわち、太陽光発電システムPVS1は、蓄電池Bkを充電させる場合においても同様に、太陽光発電システムPVS1の出力電力の急激な変化を抑制できる。
次に、第1実施形態に係る太陽光発電システムPVS1の作用効果について説明する。
第1実施形態によれば、Cレート設定部32は、Cレート指定部15から受信するCレート指定値に基づいて、Cレートの設定値を、Cレート指定値を受信したときのCレートの設定値(受信時設定値)からCレート指定値まで段階的に変更する。これにより、算出される個別目標電力PBk refが、Cレートの設定値の変化と同様に段階的に変化するので、個別出力電力PBk outも、Cレートの設定値の変化と同様に、段階的に変化する。以上のことから、Cレート指定値が変更された場合であっても、Cレートの設定値が一度に変更されないため、太陽光発電システムPVS1の出力電力が急激に変化することを抑制できる。したがって、太陽光発電システムPVS1の出力電力が急激に変化することに起因する、電力系統Aへの悪影響を抑制できる。また、太陽光発電システムPVS1の出力電力の急激な変化を抑制することで、制御指標prPV,prBを用いた電力制御を適切に行えなくなることも抑制できる。
第1実施形態においては、ユーザが集中管理装置MC1の図示しない操作装置を用いてリクエスト値を指定する操作を行う場合を示したが、これに限定されない。例えば、複数の太陽光発電システムPVS1をまとめて管理するための管理装置であって、集中管理装置MC1の上位の中央管理装置において、リクエスト値を指定できるように構成してもよい。この場合、ユーザが中央管理装置においてリクエスト値を指定する操作を行うと、この操作によって指定されたリクエスト値が集中管理装置MC1に送信される。そして、集中管理装置MC1が受信したリクエスト値をCレート指定値として、各パワーコンディショナPCSBkに送信する。
第1実施形態においては、Cレート指定値が集中管理装置MC1から送信され、これを受信した各パワーコンディショナPCSBkが、Cレートの設定値を受信時設定値からCレート指定値まで段階的に変更させる場合を示したが、これに限定されない。例えば、次のように変形することも可能である。それは、ユーザによって集中管理装置MC1にリクエスト値を変更する旨の操作が行われると、集中管理装置MC1のCレート指定部15が、変更操作前のリクエスト値から変更操作後のリクエスト値までCレート指定値を段階的に変更させつつ、変更させる度に各パワーコンディショナPCSBkに送信する。そして、各パワーコンディショナPCSBkは、Cレートの設定値を、受信したCレート指定値にする。このように構成しても、各パワーコンディショナPCSBkのCレートの設定値が段階的に変更されるため、太陽光発電システムPVS1の出力電力の急激な変化を抑制することができる。なお、上記のように中央管理装置において、ユーザがリクエスト値を指定できる場合には、指定されたリクエスト値が中央管理装置から集中管理装置MC1に送信され、そして、集中管理装置MC1が中央管理装置から受信したリクエスト値に基づいて、段階的に変更するCレート指定値を各パワーコンディショナPCSBkに送信するように構成してもよい。
第1実施形態においては、Cレートの設定値がユーザ操作によって変更される場合を示したが、Cレートの設定値の変更はこれに限定されない。以下に示す状況においても、Cレートの設定値が変更される可能性があるので、そのような状況においても、Cレートの設定値が段階的に変更されるように構成してもよい。
例えば、ピークカット制御時においては、蓄電池Bkの放電が優先され、蓄電池Bkに蓄積された電力は減少する。よって、ピークカット制御により蓄電池Bkの放電を行いたいにも関わらず、蓄電池Bkに必要な電力が蓄積されていない状況が生じる可能性がある。そこで、充電レートCrate Mの設定値を変更して、蓄電池Bkの充電を制御し、次のピークカット制御による放電に備えて蓄電池Bkを充電しておくことがある。たとえば、充電レートCrate Mの設定値が0Cである場合、充電しないようにでき、充電レートCrate Mの設定値を大きくするほど充電速度を速くできる。このような制御において充電レートCrate Mの設定値を変更する場合であっても、Cレート(充電レートCrate M)の設定値を段階的に変更することで、太陽光発電システムPVS1の出力電力が急激に変化することを抑制できる。
また、例えば、逆潮流回避制御時においては、蓄電池Bkの充電が優先され、蓄電池Bkに電力が蓄積されていく。よって、逆潮流回避制御により蓄電池Bkの充電を行いたいにも関わらず、蓄電池Bkが満充電であり、蓄電池Bkの充電が行えない状況が生じる可能性がある。そこで、放電レートCrate Pの設定値を変更して、蓄電池Bkの放電を制御し、次の逆潮流回避制御による充電に備えて蓄電池Bkを放電しておくことがある。たとえば、放電レートCrate Pの設定値が0Cである場合、放電しないようにでき、放電レートCrate Pの設定値を大きくするほど放電速度を速くできる。このような制御において放電レートCrate Pの設定値を変更する場合であっても、Cレート(放電レートCrate P)の設定値を段階的に変更することで、太陽光発電システムPVS1の出力電力が急激に変化することを抑制できる。
なお、Cレートの設定値が変更される場合は、上記した2つの例に限定されず、その他の場合においても、太陽光発電システムPVS1は、各パワーコンディショナPCSBkのCレートの設定値を段階的に変更すればよい。
次に、第2実施形態に係る太陽光発電システムPVS2について説明する。なお、第1実施形態と同一あるいは類似の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。太陽光発電システムPVS2の全体構成は、図1に示す第1実施形態に係る太陽光発電システムPVS1と同様である。
図6は、太陽光発電システムPVS2の電力制御に関する制御系の機構構成を示している。同図に示すように、太陽光発電システムPVS2は、上記太陽光発電システムPVS1と比較して、各パワーコンディショナPCSBkが接続判断部35をさらに備えている点で異なる。
接続判断部35は、自装置(パワーコンディショナPCSBk)が電力線90に接続されている状態であるか否かを判断する。以下の説明において、電力線90に接続されている状態を「接続状態」といい、電力線90に接続されていない状態を「非接続状態」という。各パワーコンディショナPCSBkは、接続状態であるとき蓄電池Bkの充放電を行うことができ、非接続状態であるときには蓄電池Bkの充放電を行うことができない。接続状態か非接続状態かは、例えば、各パワーコンディショナPCSBkを電力線90に接続するための開閉器(図示略)の状態に基づいて判断される。接続判断部35は、この開閉器が導通状態である場合、パワーコンディショナPCSBkが接続状態であると判断し、開閉器が遮断状態である場合、パワーコンディショナPCSBkが非接続状態であると判断する。
第2実施形態におけるCレート設定部32は、集中管理装置MC1(Cレート指定部15)から送信されるCレート指定値を受信しても、接続判断部35によって非接続状態であると判断されている場合には、Cレートの設定値を、受信したCレート指定値にせず、予め決められた所定値にする。本実施形態においては、所定値として0Cを用いているが、これに限定されない。一方、接続判断部35によって接続状態であると判断されている場合には、Cレートの設定値を、受信したCレート指定値にする。したがって、Cレート指定部15から受信するCレート指定値が上記所定値と異なる場合、非接続状態から接続状態に切り換わったときにCレートの設定値を変更する必要がある。例えば、各パワーコンディショナPCSBkを新たに電力線90に接続するときに、各パワーコンディショナPCSBkが非接続状態から接続状態に切り換わる。そこで、Cレート設定部32は、非接続状態から接続状態に切り換わったときにCレートの設定値を上記所定値からCレート指定値まで段階的に変化させる。なお、Cレート設定部32がCレートの設定値を段階的に変化させる方法は、第1実施形態に係るCレート設定部32と同じである。
次に、太陽光発電システムPVS2において、定格出力が250kWのパワーコンディショナPCSBkが非接続状態から接続状態になったときの、当該パワーコンディショナPCSBkの出力電力(個別出力電力PBk out)の変化をシミュレーションにより検証した。なお、第1実施形態と同様に、従来の太陽光発電システムPVS0においても、同様にシミュレーションを行った。
本シミュレーションにおいては、集中管理装置MC1から各パワーコンディショナ,PCSBk’,PCSBkに放電レートCrate PのCレート指定値として1Cが送信されているものとした。また、第1実施形態におけるシミュレーションと同様に、制御指標prBを−100に固定した。
図7(a)は従来の太陽光発電システムPVS0におけるシミュレーション結果を、図7(b)は本実施形態の太陽光発電システムPVS2におけるシミュレーション結果をそれぞれ示している。図7(a),(b)において、上段のタイムチャート(上段図)はパワーコンディショナPCSBk’,PCSBkに対する制御指標prBの時間変化を、中段のタイムチャート(中段図)はパワーコンディショナPCSBk’,PCSBkにおけるCレート(放電レートCrate P)の設定値の時間変化を、下段のタイムチャート(下段図)はパワーコンディショナPCSBk’,PCSBkにおける個別出力電力PBk outの時間変化をそれぞれ示している。なお、図7(a),(b)の下段図は、図5と同様に、太陽光発電システムPVS0,PVS1が備える複数のパワーコンディショナPCSBk’,PCSBkのうちのいずれか1つのパワーコンディショナPCSBk’,PCSBkであって、定格出力が250kWであるパワーコンディショナPCSBk’,PCSBkにおけるシミュレーション結果である。本シミュレーションにおいては、時刻t=5[sec]において、パワーコンディショナPCSBk’,PCSBkを非接続状態から接続状態に切り換えたものとする。すなわち、時刻t=0〜5[sec]においては、パワーコンディショナPCSBk’,PCSBkは非接続状態であり、時刻t=5〜35[sec]においては、パワーコンディショナPCSBk’,PCSBkは接続状態であるものとする。
太陽光発電システムPVS0においては、パワーコンディショナPCSBk’が、非接続状態であっても、集中管理装置MC1からCレート指定値を受信している場合には、Cレートの設定値がCレート指定値となるように構成されていた。そのため、図7(a)の中段図に示すように、パワーコンディショナPCSBk’が、非接続状態である期間(時刻t=0〜5[sec])および接続状態である期間(時刻t=5〜35[sec])の両方において、放電レートCrate Pの設定値に1Cが設定されている。また、太陽光発電システムPVS0においては、図7(a)の下段図に示すように、パワーコンディショナPCSBk’は、非接続状態である期間(時刻t=0〜5[sec])では電力を出力できないため、放電レートCrate Pの設定値に1Cが設定されていても、個別出力電力PBk outは0kWである。一方、接続状態である期間(時刻t=5〜35[sec])では電力を出力できるため、放電レートCrate Pの設定値(1C)に応じて、個別出力電力PBk outは250kWである。したがって、パワーコンディショナPCSBk’が、非接続状態から接続状態になると同時に、個別出力電力PBk outが瞬時的に定格出力の250kWまで上昇する。太陽光発電システムPVS0において、1つのパワーコンディショナPCSBk’が非接続状態から接続状態になった場合には250kWの変化であるが、多数のパワーコンディショナPCSBk’が一斉に非接続状態から接続状態になった場合には、太陽光発電システムPVS0の出力電力が急激に変化する。これにより、電力系統Aに悪影響を及ぼすことがある。また、太陽光発電システムPVS0の電力制御が適切に行えなくなることもある。
一方、太陽光発電システムPVS2においては、図7(b)の中段図に示すように、パワーコンディショナPCSBkが非接続状態である期間(時刻t=0〜5[sec])では、パワーコンディショナPCSBkは集中管理装置MC1からCレート指定値を受信しても、放電レートCrate Pの設定値は所定値(0C)である。そして、時刻t=5[sec]でパワーコンディショナPCSBkが非接続状態から接続状態になると、放電レートCrate Pの設定値は、所定値(0C)からCレート指定値(1C)に一度に変化するのではなく、所定値(0C)から1sec経過するごとに0.05Cずつ上昇している。そして、時刻t=25[sec]において、放電レートCrate Pの設定値がCレート指定値(1C)となる。したがって、図7(b)の中段図が示すように、放電レートCrate Pの設定値は、パワーコンディショナPCSBkが非接続状態であるときには所定値(0C)であり、非接続状態から接続状態になると、集中管理装置MC1から受信するCレート指定値(1C)まで、段階的に変更されている(上昇している)ことが分かる。また、図7(b)の下段図に示すように、個別出力電力PBk outは、パワーコンディショナPCSBkが非接続状態である期間(時刻t=0〜5[sec])では上記太陽光発電システムPVS0と同様に0kWであるが、接続状態になった後は、放電レートCrate Pの設定値の変化に応じて、段階的に上昇していることが分かる。また、本シミュレーションにおいても、1sec経過するごとに0.05Cずつ放電レートCrate Pの設定値が変化しているため、個別出力電力PBk outは、1sec経過するごとに、12.5kWずつ上昇している。そして、時刻t=25[sec]で、個別出力電力PBk outがパワーコンディショナPCSBkの定格出力である250kWとなる。以上のことから、太陽光発電システムPVS2は、パワーコンディショナPCSBkが非接続状態から接続状態になるときであっても、太陽光発電システムPVS2の出力電力が急激に変化することを抑制できている。
さらに、太陽光発電システムPVS2が自家消費型である場合をシミュレーションにより検証した。本シミュレーションにおいては、太陽光発電システムPVS2は、逆電力継電器が設置されており、かつ、逆潮流回避制御が行われているものとした。また、本シミュレーションにおいては、太陽光発電システムPVS2,PVS0は、電力負荷Lによって200kWの電力を消費しているものとし、定格出力が250kWであるパワーコンディショナPCSBkを1つ有している場合を想定した。また、本シミュレーションにおいては、パワーコンディショナPCSBkが非接続状態であるときの所定値を0Cとし、Cレート指定値を1Cとした。なお、本シミュレーションにおいては、上記した他のシミュレーションとは異なり、連系点電力P(t)と目標電力PC(逆潮流回避目標値)とによって制御指標prBを変化させるものとした。
図8(a)は太陽光発電システムPVS0におけるシミュレーション結果を、図8(b)は太陽光発電システムPVS2におけるシミュレーション結果をそれぞれ示している。図8(a),(b)において、上段のタイムチャート(上段図)はパワーコンディショナPCSBk’,PCSBkに対する制御指標prBの時間変化を、中段のタイムチャート(中段図)は太陽光発電システムPVS0,PVS2における連系点電力P(t)の時間変化を、下段のタイムチャート(下段図)はパワーコンディショナPCSBk’,PCSBkにおける個別出力電力PBk outの時間変化をそれぞれ示している。なお、図8(a),(b)の中段図において、一点鎖線は逆電力継電器の動作レベルを、二点鎖線は逆潮流回避目標値をそれぞれ示している。なお、本シミュレーションにおいても、図7に示すシミュレーションと同様に、時刻t=5[sec]において、パワーコンディショナPCSBk’,PCSBkを非接続状態から接続状態に切り換えたものとする。
太陽光発電システムPVS0においては、時刻t=5[sec]でパワーコンディショナPCSBk’が非接続状態から接続状態に変わると、図8(a)の下段図に示すように、個別出力電力PBk outが瞬時的に250kWまで上昇している。その結果、図8(a)の中段図に示すように、連系点電力P(t)が正の値となり、逆電力継電器の動作レベル(0kW)を上回る。よって、逆潮流の状態になり、逆電力継電器が動作する。これにより、逆電力継電器によって太陽光発電システムPVS0が電力系統Aから解列されてしまう。
一方、太陽光発電システムPVS2においては、時刻t=5[sec]でパワーコンディショナPCSBkが非接続状態から接続状態に変わると、放電レートCrate Pの設定値が段階的に変更されるため、図8(b)の下段図に示すように、個別出力電力PBk outが段階的に上昇する。したがって、図8(b)の中段図に示すように、連系点電力P(t)も段階的に上昇している。そして、連系点電力P(t)が逆潮流回避目標値を上回ったときに、連系点電力P(t)が逆潮流回避目標値に一致するように、逆潮流回避制御が行われる。これにより、図8(b)の上段図に示すように、時刻t=15[sec]において、制御指標prBが−100から上昇し始める(制御指標prBの絶対値としては減少、すなわち、0に近づくように変化し始める)。その結果、時刻t=20[sec]において、図8(b)の下段図に示すように、個別出力電力PBk outが抑制され、増加から減少に転じている。したがって、図8(b)の中段図に示すように、連系点電力P(t)も減少から増加に転じ、連系点電力P(t)が逆潮流回避目標値となるように制御されている。なお、時刻t=15〜20[sec]においては、制御指標prBが上昇しているため(制御指標prBの絶対値としては減少しているため)、個別出力電力PBk outが抑制されるように制御されるはずであるが、個別出力電力PBk outは抑制されずそのまま上昇している(図8(b)の下段図参照)。これは、制御指標prBによって算出される個別目標電力PBk ref(上記(5a)式参照)よりも、放電レートCrate Pの設定値の上昇(Cレート制約(上記(5c)式)の上限値の上昇)に応じて決まる個別目標電力PBk refの方が小さいためであり、目標電力算出部33によって最終的に算出される個別目標電力PBk refが放電レートCrate Pに応じて決まるので、個別出力電力PBk outが抑制されず、上昇している。なお、時刻t=20[sec]以降においては、制御指標prBによって算出される個別目標電力PBk refがよりも、放電レートCrate Pの設定値の上昇に応じて決まる個別目標電力PBk refが大きくなるため、制御指標prBの上昇(制御指標prBの絶対値の減少)に伴って、目標電力算出部33によって最終的に算出される個別目標電力PBk refが減少し、個別出力電力PBk outが抑制される。
以上に示したシミュレーション結果から、太陽光発電システムPVS2は、連系点電力P(t)が急激に上昇することを抑制できる。また、太陽光発電システムPVS2は、Cレートの設定値の変更と制御指標prBの変更とによって、連系点電力P(t)が逆電力継電器の動作レベル(0kW)を上回ることを抑制できる。すなわち、太陽光発電システムPVS2は、制御指標prPV,prBを用いた電力制御を適切に行い、逆電力継電器が動作することを抑制できる。
上記に示した本実施形態に係る2つのシミュレーションにおいては、放電レートCrate Pの設定値が増加する場合を示したが、放電レートCrate Pの設定値を減少させる場合も同様に、パワーコンディショナPCSBkが非接続状態から接続状態になったときに、放電レートCrate Pの設定値が段階的に減少するので、出力電力(個別出力電力PBk out)が段階的に減少する。また、これらのシミュレーションにおいては、放電レートCrate Pの設定値が変更される場合を示したが、充電レートCrate Mの設定値が変更される場合も同様に、充電レートCrate Mの設定値を段階的に変更することで、各パワーコンディショナPCSBkから蓄電池Bkへの出力電力を段階的に変化させることができる。すなわち、太陽光発電システムPVS2は、蓄電池Bkを充電させる場合においても同様に、太陽光発電システムPVS2の出力電力の急激な変化を抑制できる。
次に、第2実施形態に係る太陽光発電システムPVS2の作用効果について説明する。
第2実施形態によれば、Cレート設定部32は、各パワーコンディショナPCSBkが非接続状態のときには、Cレートの設定値が所定値となり、各パワーコンディショナPCSBkが接続状態のときには、Cレートの設定値がCレート指定値となるようにした。そして、Cレート設定部32は、各パワーコンディショナPCSBkが非接続状態から接続状態になり、Cレートの設定値の変更が必要な場合に、Cレートの設定値を所定値からCレート指定値まで段階的に変更した。これにより、各パワーコンディショナPCSBkが非接続状態から接続状態になるときに、各パワーコンディショナPCSBkの個別出力電力PBk outが急激に変化することを抑制できる。したがって、太陽光発電システムPVS2の出力電力が急激に変化することを抑制できるので、電力系統への悪影響や制御指標prPV,prBを用いた電力制御が適切に行えなくなることを抑制できる。特に、図8に示すシミュレーション結果から分かるように、太陽光発電システムPVS2が自家消費型である場合、各パワーコンディショナPCSBkのCレートの設定値を段階的に変更させて、太陽光発電システムPVS2の出力電力が急激に変化することを抑制することで、太陽光発電システムPVS2が電力系統Aから解列される可能性を低減させることができる。
第2実施形態によれば、非接続状態における所定値として0Cを用いるようにした。これにより、各パワーコンディショナPCSBkは、上記(5)式に示す最適化問題のCレート制約(上記(5c)式)によって、算出される個別目標電力PBk refを0に制限することができる。すなわち、各パワーコンディショナPCSBkの各個別出力電力PBk outを0に制限することができる。したがって、各パワーコンディショナPCSBkが非接続状態から接続状態になったときに、各個別出力電力PBk outを0kWから変化させることができる。
第2実施形態においては、非接続状態であるパワーコンディショナPCSBkであっても集中管理装置MC1からCレート指定値を受信する場合を説明したが、これに限定されない。たとえば、パワーコンディショナPCSBkは、非接続状態であるときには、集中管理装置MC1から送信されるCレート指定値を受信せず、接続状態であるときに、集中管理装置MC1から送信されるCレート指定値を受信するように構成してもよい。
第2実施形態においては、各パワーコンディショナPCSBkは、非接続状態であるか接続状態であるかを判断し、非接続状態である場合は、Cレートの設定値を所定値にしたが、これに限定されない。例えば、集中管理装置MC1が、各パワーコンディショナPCSBkが接続状態であるか非接続状態であるかを判断可能であれば、次のように構成してもよい。それは、集中管理装置MC1が、非接続状態であるパワーコンディショナPCSBkに対して、Cレート指定値として上記所定値を送信し、接続状態であるパワーコンディショナPCSBkに対して、Cレート指定値としてリクエスト値を送信する。そして、非接続状態であるパワーコンディショナPCSBkが接続状態になると、集中管理装置MC1のCレート指定部15が、Cレート指定値を所定値からリクエスト値まで段階的に変更しつつ、変更させる度にそのときのCレート指定値を非接続状態から接続状態になったパワーコンディショナPCSBkに送信する。当該パワーコンディショナPCSBkは、Cレートの設定値を受信したCレート指定値にする。このように構成した場合であっても、各パワーコンディショナPCSBkのCレートの設定値が段階的に変更されるため、太陽光発電システムPVS2の出力電力の急激な変化を抑制することができる。
第2実施形態においては、パワーコンディショナPCSBkを非接続状態から接続状態にした場合について説明したが、パワーコンディショナPCSPViのすべてあるいは一部を非接続状態から接続状態にする場合も考えられる。すなわち、パワーコンディショナPCSPViを新たに電力線90に接続する場合も考えられる。このとき、パワーコンディショナPCSPViが接続状態になった直後に、日射条件などにより、連系点電力P(t)が急激に変化する場合がある。しかし、パワーコンディショナPCSPViは、上記したように最大電力点追従制御(MPPT制御)を行っており、当該MPPT制御によって、パワーコンディショナPCSPViの個別出力電力PPVi outは所定周期(本実施形態においては1sec)で段階的に変化する。また、パワーコンディショナPCSPViは、制御指標prPVを用いた制御を行っており、当該制御指標prPVの算出周期(本実施形態においては1sec)で個別目標電力PPVi refが算出される。これらの制御によって、各個別出力電力PPVi outが急激に変化しないように制御することができる。
次に、第3実施形態に係る太陽光発電システムPVS3について説明する。第1および第2実施形態においては、調整対象電力として、連系点電力検出部12が検出する連系点電力P(t)を用いた場合を示した。本実施形態においては、各パワーコンディショナPCSPVi,PCSBkの個別出力電力PPVi out,PBk outおよび電力負荷Lの消費電力PLの総和を算出し、これを調整対象電力として用いる場合を示す。以下の説明において、各パワーコンディショナPCSPVi,PCSBkの個別出力電力PPVi out,PBk outおよび電力負荷Lの消費電力PLの総和を「システム総出力」という。したがって、太陽光発電システムPVS3は、システム総出力を目標電力PCにするように制御する。
図9は、太陽光発電システムPVS3の全体構成を示している。同図に示すように、太陽光発電システムPVS3は、複数の太陽電池SPi,複数のパワーコンディショナPCSPVi,複数の蓄電池Bk,複数のパワーコンディショナPCSBk、および、集中管理装置MC3を有して構成される。
本実施形態に係る太陽光発電システムPVS3は、連系点電力P(t)を検出せず、各パワーコンディショナPCSPVi,PCSBkの個別出力電力PPVi out,PBk outおよび電力負荷Lの消費電力PLの総和(システム総出力Ptotal(t))を算出する。システム総出力Ptotal(t)は、演算式「ΣiPPVi out+ΣkPBk out−PL」によって求められる。そして、算出したシステム総出力Ptotal(t)を太陽光発電システムPVS3全体の出力(調整対象電力)として、目標電力PCに一致させるように制御している。すなわち、太陽光発電システムPVS3は、連系点電力P(t)の代わりにシステム総出力Ptotal(t)を用いて各種電力制御を行う。
図10は、図9に示す太陽光発電システムPVS3の電力制御に関する制御系の機能構成を示している。なお、図10においては、太陽電池SPiおよび蓄電池Bkの図示を省略している。また、それぞれ1つ目のパワーコンディショナPCSPVi,PCSBkのみ記載している。太陽光発電システムPVS3は、第1実施形態に係る集中管理装置MC1の代わりに、集中管理装置MC3を備えている点で異なる。また、各パワーコンディショナPCSPVi,PCSBkの構成も異なる。
第3実施形態においては、各パワーコンディショナPCSPViはそれぞれ、図10に示すように、電力制御における制御系として、出力電力検出部24および送信部25をさらに備えている。また、各パワーコンディショナPCSBkはそれぞれ、図10に示すように、電力制御における制御系として、出力電力検出部36および送信部37をさらに備えている。
出力電力検出部24は、各パワーコンディショナPCSPViに備えられており、自装置の個別出力電力PPVi outを検出する。出力電力検出部36は、各パワーコンディショナPCSBkに備えられており、自装置の個別出力電力PBk outを検出する。
送信部25は、出力電力検出部24が検出した個別出力電力PPVi outを集中管理装置MC3に送信する。送信部37は、出力電力検出部36が検出した個別出力電力PBk outを集中管理装置MC3に送信する。
集中管理装置MC3は、図10に示すように、電力制御における制御系として、目標電力設定部11、受信部16、総出力算出部17、指標算出部18、送信部14、および、Cレート指定部15を含んでいる。すなわち、第1実施形態に係る集中管理装置MC1と比較して、連系点電力検出部12および指標算出部13の代わりに、受信部16、総出力算出部17、および、指標算出部18を備えている点で異なる。
受信部16は、各パワーコンディショナPCSPVi,PCSBkから送信される個別出力電力PPVi out,PBk outを受信する。また、受信部16は、電力負荷Lから送信される消費電力PLを受信する。
総出力算出部17は、受信部16が受信した、個別出力電力PPVi out,PBk outと電力負荷Lの消費電力PLとの総和であるシステム総出力Ptotal(t)を算出する。本実施形態においては、総出力算出部17は、入力されるすべての個別出力電力PPVi out,PBk outおよび電力負荷Lの消費電力PLを加算したシステム総出力Ptotal(t)を算出する。
指標算出部18は、総出力算出部17が算出したシステム総出力Ptotal(t)を、目標電力PCにするための指標(制御指標prPV,prB)を算出する。このとき、指標算出部18は、上記(1)式における連系点電力P(t)の代わりにシステム総出力Ptotal(t)を用いて、ラグランジュ乗数λを算出する。そして、上記(2)式により、算出したラグランジュ乗数λを制御指標prPV,prBとして算出する。算出された制御指標prPVは、送信部14を介して、各パワーコンディショナPCSPViに送信される。また、算出された制御指標prBは、送信部14を介して、各パワーコンディショナPCSBkに送信される。
以上のように構成された太陽光発電システムPVS3においても、上記第1実施形態と同様に、各パワーコンディショナPCSBkのCレートの設定値が段階的に変更されるように構成することができる。これにより、第1実施形態と同様に、Cレート指定値が変更された場合であっても、太陽光発電システムPVS3の出力電力が急激に変化することを抑制できる。
なお、第3実施形態に係る太陽光発電システムPVS3は、第1実施形態に係る太陽光発電システムPVS1において調整対象電力として連系点電力P(t)の代わりにシステム総出力Ptotal(t)を用いるように構成したものであるが、第2実施形態に係る太陽光発電システムPVS2において調整対象電力として連系点電力P(t)の代わりにシステム総出力Ptotal(t)を用いるように構成してもよい。この場合、第2実施形態と同様に、各パワーコンディショナPCSBkを非接続状態から接続状態にする場合であっても、太陽光発電システムPVS3の出力電力が急激に変化することを抑制できる。
また、第3実施形態におけるスケジュール制御においては、調整対象電力として、太陽光発電システムPVS3全体の出力電力(システム総出力Ptotal(t))を用いるのでなく、複数のパワーコンディショナPCSPVi,PCSBkを複数のグループに分けたときの当該グループ毎の出力電力を用いてもよい。この場合、グループ毎に目標電力を設定して、各グループにおける出力電力が当該グループの目標電力となるようにスケジュール制御を行う。
第1ないし第3実施形態においては、各パワーコンディショナPCSBkにおけるCレートの設定値が、予め設定された単位更新量(例えば0.05C)ずつ変更される場合を示したが、これに限定されない。たとえば、Cレート設定部32が、Cレート指定値が変更される度に、受信時設定値とCレート指定値との差分に基づいて、適宜単位更新量を変更してもよい。具体的には、各パワーコンディショナPCSBkに、受信時設定値からCレート指定値まで変更するのに要する時間(以下「必要時間」という)と上記更新周期とを予め設定しておく。そして、Cレート指定値が変更されると、受信時設定値とCレート指定値との差分(目標更新量)を算出し、算出した目標更新量と上記必要時間と上記更新周期とを用いて、「目標更新量÷(必要時間÷更新周期)」を演算する。この演算結果を単位更新量として用いる。たとえば、必要時間として20sec、更新周期として1secがそれぞれ設定されており、そして、Cレート指定値が0Cから0.5Cに変更されたとする。すなわち、1secの更新周期で20secの必要時間かけて、受信時設定値である0CからCレート指定値である0.5Cに変更するものとする。このとき、Cレート設定部32は、まず受信時設定値とCレート指定値との差(0.5C−0C)を演算して、目標更新量を0.5Cと算出する。次に、Cレート設定部32は、算出した目標更新量を用いて、上記演算式により、単位更新量を0.025C(=0.5[C]÷(20[sec]÷1[sec]))と算出する。よって、この場合の単位更新量は0.025Cとなる。また、1secの更新周期で20secの必要時間かけて、受信時設定値である0CからCレート指定値である2Cに変更する場合、Cレート設定部32が同様に演算することで、単位更新量は0.1C(=2[C]÷(20[sec]÷1[sec]))となる。以上のようにして、Cレート指定値が変更される度に、単位更新量が変更されるように構成してもよい。上記した数値は一例であってこれに限定されない。
なお、上記のように単位更新量を変更する場合、単位更新量の上限値を設けておき、算出した単位更新量が設定された上限値を超える場合には、この上限値で制限されるように構成しておくとよい。このようにすることで、単位更新量が大きくなりすぎて、各パワーコンディショナPCSBkの個別出力電力PBk outが急激に変化することを抑制することができる。また、算出した目標更新量に応じて、互いに異なる第1の単位更新量および第2の単位更新量のいずれかを用いるようにしてもよい。具体的には、Cレート設定部32は、算出した目標更新量が所定の閾値未満の場合、予め設定された第1の単位更新量を用いて、算出した目標更新量が閾値以上の場合、予め設定された第2の単位更新量を用いるように構成してもよい。なお、第2の単位更新量は第1の単位更新量より大きい。また、第1の単位更新量および第2の単位更新量のいずれかは、上記演算式(「目標更新量÷(必要時間÷更新周期)」)により求めた単位更新量を用いるようにしてもよい。
第1ないし第3実施形態においては、本発明の「特性値」がCレートである場合を例に説明したが、これに限定されない。たとえば、上記(5)式に示す最適化問題における制約条件と異なる制約条件が用いられ、そして、当該制約条件に蓄電池Bkの充放電時の入出力電力を制限する特性値が用いられている場合には、Cレートの設定値の代わりにこの特性値の設定値が段階的に変更されるように構成してもよい。
第1ないし第3実施形態においては、集中管理装置MC1(MC3)が制御指標prPV,prBを算出する場合を示したが、これに限定されない。例えば、集中管理装置MC1(MC3)が、制御指標prPV,prBの代わりに、複数のパワーコンディショナPCSPVi,PCSBk毎の個別目標電力PPVi ref,PBk refを算出するようにしてもよい。この場合、集中管理装置MC1(MC3)は、調整対象電力(連系点電力P(t)あるいはシステム総出力Ptotal(t))と目標電力とに基づいて、複数のパワーコンディショナPCSPVi,PCSBk毎の個別目標電力PPVi ref,PBk refを算出する。そして、各パワーコンディショナPCSPVi,PCSBkは、自装置に対する個別目標電力PPVi ref,PBk refを集中管理装置MC1(MC3)から取得し、個別出力電力PPVi out,PBk outが個別目標電力PPVi ref,PBk refとなるように制御する。このとき、各パワーコンディショナPCSBkは、設定されるCレートの設定値に基づいて、蓄電池Bkの充放電時の入出力電力、すなわち、個別出力電力PBk outを制限される。このような場合であっても、Cレート設定部32がCレートの設定値を段階的に変更することで、太陽光発電システムの出力電力が急激に変化することを抑制できる。
第1ないし第3実施形態においては、本開示の電力システムが太陽光発電システムである場合を例に説明したが、これに限られない。当該電力システムは、他の発電システムであってもよい。他の発電システムとしては、例えば、風力発電システムや燃料電池による発電システム、回転機形の発電機による発電システム、ネガワット取引を行うアグリゲータによる、需要家の負荷を管理する仮想的な発電システムなどが考えられる。なお、アグリゲータは、ネガワット取引により、節約できた電力を発電した電力とみなしているので、実際に発電を行っているのではない。これらの発電システムの場合でも、集中管理装置は、連系点電力を検出するか個別出力電力の総和を算出して調整対象電力とし、指標を算出して各電力制御装置に送信する。そして、各発電システムの電力制御装置は、受信した指標を用いた最適化問題に基づいて、自装置の個別目標電力を算出し、当該個別目標電力となるように個別出力電力を制御する。太陽光発電システム、風力発電システムや燃料電池による発電システムの場合、電力制御装置は、パワーコンディショナである。また、回転機形の発電機による発電システムの場合、電力制御装置は、発電機およびこれを制御する制御装置である。また、アグリゲータによる発電システムの場合、電力制御装置は、需要家の負荷およびこれを制御する制御装置である。なお、アグリゲータによる発電システムにおいては、節約できた電力を発電した電力とみなしているので、需要家の負荷の通常の消費電力から削減した電力が個別出力電力になる。また、上記電力システムは、上記した発電システムを併用したものとしてもよい。例えば、太陽光発電システムに回転機形の発電機を追加して、集中管理装置が太陽光発電システムの各パワーコンディショナおよび発電機の制御装置に指標を送信して全体の出力を制御する構成としてもよい。
本開示に係る電力システムおよび蓄電池パワーコンディショナは、上記実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載の内容を逸脱しなければ、各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。