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JP2019192343A - 層間絶縁層用樹脂フィルム、積層体、プリント配線板、半導体装置及び積層体の製造方法 - Google Patents

層間絶縁層用樹脂フィルム、積層体、プリント配線板、半導体装置及び積層体の製造方法

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JP2019192343A
JP2019192343A JP2018080066A JP2018080066A JP2019192343A JP 2019192343 A JP2019192343 A JP 2019192343A JP 2018080066 A JP2018080066 A JP 2018080066A JP 2018080066 A JP2018080066 A JP 2018080066A JP 2019192343 A JP2019192343 A JP 2019192343A
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Katsuhiko Nawate
克彦 縄手
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Toshiyuki Iijima
利行 飯島
島山 裕一
Yuichi Shimayama
裕一 島山
雄麻 吉田
Yuma Yoshida
雄麻 吉田
廉 佐々木
Tadashi Sasaki
廉 佐々木
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Abstract

【課題】取り扱い性及び耐デスミア性に優れ、コア層に積層した場合に、コア層との界面におけるボイドの発生を抑制することができる層間絶縁層用樹脂フィルム、該層間絶縁層用樹脂フィルムを用いた積層体、プリント配線板、半導体装置及び積層体の製造方法を提供する。【解決手段】(A)固形エポキシ樹脂と、(B)1分子中に2個以上のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物と、(C)1分子中に2個以上の1級アミノ基を有するアミン化合物と、(D)エラストマーと、を含有する熱硬化性樹脂組成物を含有する、層間絶縁層用樹脂フィルム、該層間絶縁層用樹脂フィルムを用いた積層体、プリント配線板、半導体装置及び積層体の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、層間絶縁層用樹脂フィルム、積層体、プリント配線板、半導体装置及び積層体の製造方法に関する。
近年、地球環境保護の観点から、はんだの鉛フリー化が進行しており、プリント配線板への部品実装時及び半導体パッケージ組み立て時におけるリフロー工程の温度が非常に高くなっている。これに伴って、プリント配線板用の積層板には、耐熱性の向上等による信頼性向上の要求が強まっている。
プリント配線板用の積層板としては、エポキシ樹脂を主剤とした樹脂組成物とガラスクロスとを含むプリプレグを硬化及び一体成形化したものが一般的である。
エポキシ樹脂は、絶縁性、耐熱性、成形性、コスト等のバランスに優れるが、近年のプリント配線板の高密度実装及び高多層化構成に伴う耐熱性向上への要請に対応するには、さらなる改良が必要となっており、耐熱性に優れる材料として、ポリビスマレイミド樹脂がプリント配線板用の積層板材料に広く使用されている。
また、近年の電子機器の小型化及び高性能化の流れに伴い、プリント配線板では配線密度の高度化及び高集積化が進展している。そのため、電子部品の実装密度を向上するために、多層プリント配線板の微細配線化の開発が進められている。これらの要求に合致する多層プリント配線板としては、ガラスクロスと樹脂とを含有する積層板又は配線板からなる層(以下、「コア層」ともいう)に、ガラスクロスを含まない層間絶縁層用樹脂フィルムを、プリプレグの代わりに絶縁層(以下、「ビルドアップ層」ともいう)として用いるビルドアップ構造の多層プリント配線板が、軽量化、小型化及び微細化に適したプリント配線板として主流になりつつある。
しかしながら、パッケージ基板は反りが発生し易く、実装工程等で問題が発生しやすいため、ビルドアップ層には高弾性率、低熱膨張係数といった反りを低減する特性が求められている。そのため、多量の無機充填材を含有する樹脂組成物が検討されている。(例えば、特許文献1参照)
特開2012−36349号公報
一方、多量の無機充填材を含有する樹脂組成物は、層間絶縁層用樹脂フィルムを取り扱う際に端部から樹脂欠けが発生する、折れ目が発生するなど、樹脂フィルムの取り扱い性が悪化するという新たな問題が発生した。樹脂フィルムの取り扱い性を向上させることを目的として、液状エポキシ樹脂を配合する方法が検討されているが、液状エポキシ樹脂は耐デスミア性が低い傾向にある。したがって、低熱膨張係数を実現しつつ、取り扱い性と耐デスミア性とを両立させることが望まれている。
さらには、多量の無機充填材を含有する樹脂組成物を使用するビルドアップ層は、コア層との間にボイドが発生し易くなる問題が確認されており、改善が望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、取り扱い性及び耐デスミア性に優れ、コア層に積層した場合に、コア層との界面におけるボイドの発生を抑制することができる層間絶縁層用樹脂フィルム、該層間絶縁層用樹脂フィルムを用いた積層体、プリント配線板、半導体装置及び積層体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の組成を有する樹脂組成物を含有する層間絶縁層用樹脂フィルムが上記目的に沿うものであることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[17]に関する。
[1](A)固形エポキシ樹脂と、
(B)1分子中に2個以上のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物と、
(C)1分子中に2個以上の1級アミノ基を有するアミン化合物と、
(D)エラストマーと、
を含有する熱硬化性樹脂組成物を含有する、層間絶縁層用樹脂フィルム。
[2](D)エラストマーが、エポキシ基、アミノ基、水酸基、メタクリル基、メルカプト基、カルボキシ基及びアルコキシ基からなる群から選択される1種以上の反応性官能基を有する、上記[1]に記載の層間絶縁層用樹脂フィルム。
[3](D)エラストマーが、アクリル系エラストマーである、上記[1]又は[2]に記載の層間絶縁層用樹脂フィルム。
[4]前記熱硬化性樹脂組成物中における(D)エラストマーの含有量が、前記熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の総和100質量部に対して、5〜60質量部である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の層間絶縁層用樹脂フィルム。
[5]前記熱硬化性樹脂組成物が、さらに、(E)無機充填材を含有する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の層間絶縁層用樹脂フィルム。
[6]前記熱硬化性樹脂組成物中における(E)無機充填材の含有量が、前記熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の総和100質量部に対して、20〜300質量部である、上記[5]に記載の層間絶縁層用樹脂フィルム。
[7]前記熱硬化性樹脂組成物が、さらに、(F)硬化促進剤を含有する、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の層間絶縁層用樹脂フィルム。
[8](C)1分子中に2個以上の1級アミノ基を有するアミン化合物が、シロキサン骨格を含有する化合物である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の層間絶縁層用樹脂フィルム。
[9]プリプレグ又はプリプレグを硬化してなる絶縁層に積層して用いられる、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の層間絶縁層用樹脂フィルム。
[10]前記プリプレグが、
(a)エポキシ樹脂と、
(b)1分子中に2個以上のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物と、
(c)1分子中に2個以上の1級アミノ基を有するアミン化合物と、
を含有する熱硬化性樹脂組成物を含有するものである、上記[9]に記載の層間絶縁層用樹脂フィルム。
[11](c)1分子中に2個以上の1級アミノ基を有するアミン化合物が、シロキサン骨格を含有する化合物である、上記[10]に記載の層間絶縁層用樹脂フィルム。
[12]上記[1]〜[11]のいずれかに記載の層間絶縁層用樹脂フィルムと、プリプレグ又はプリプレグを硬化してなる絶縁層と、を積層してなる、積層体。
[13]前記プリプレグが、
(a)エポキシ樹脂と、
(b)1分子中に2個以上のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物と、
(c)1分子中に2個以上の1級アミノ基を有するアミン化合物と、
を含有する熱硬化性樹脂組成物を含有するものである、上記[12]に記載の積層体。
[14](c)1分子中に2個以上の1級アミノ基を有するアミン化合物が、シロキサン骨格を含有する化合物である、上記[13]に記載の積層体。
[15]上記[1]〜[11]のいずれかに記載の層間絶縁層用樹脂フィルムを用いて形成される層間絶縁層、又は上記[12]〜[14]のいずれかに記載の積層体を用いて形成される層間絶縁層を含有する、プリント配線板。
[16]上記[15]に記載のプリント配線板を含有する、半導体装置。
[17]上記[12]〜[14]のいずれかに記載の積層体を製造する方法であって、前記プリプレグを硬化してなる絶縁層の片面又は両面に、上記[1]〜[11]のいずれかに記載の層間絶縁層用樹脂フィルムをラミネートする、積層体の製造方法。
本発明によると、取り扱い性及び耐デスミア性に優れ、コア層に積層した場合に、コア層との界面におけるボイドの発生を抑制することができる層間絶縁層用樹脂フィルム、該層間絶縁層用樹脂フィルムを用いた積層体、プリント配線板、半導体装置及び積層体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について詳述するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
[層間絶縁層用樹脂フィルム]
本実施形態の層間絶縁層用樹脂フィルム(以下、単に「樹脂フィルム」ともいう)は、(A)固形エポキシ樹脂と、(B)1分子中に2個以上のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物と、(C)1分子中に2個以上の1級アミノ基を有するアミン化合物と、(D)エラストマーと、を含有する熱硬化性樹脂組成物を含有するものである。
なお、本実施形態の樹脂フィルムは、該樹脂フィルムの一方の表面に支持体が付いている「支持体付き樹脂フィルム」の状態であることが好ましく、更に樹脂フィルムの他方の面に保護フィルムが付いている「支持体及び保護フィルム付き樹脂フィルム」の状態であってもよい。
以下、本実施形態の樹脂フィルムに含有される熱硬化性樹脂組成物を「樹脂組成物(I)」とも称する。
<(A)固形エポキシ樹脂>
本実施形態の樹脂フィルムは、(A)固形エポキシ樹脂(以下、「(A)成分」ともいう)を含有することにより耐デスミア性に優れたものとなる。
なお、本実施形態における「固形」とは常温(25℃)において流動性を示さない固体状態を呈することを意味し、「液状」とは常温(25℃)において流動性を示す液体状態を呈することを意味する。
(A)固形エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、α−ナフトール/クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能フェノール類及びアントラセン等の多環芳香族類のジグリシジルエーテル化合物、これらにリン化合物を導入したリン含有エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも、耐デスミア性、耐熱性及び難燃性の観点から、ナフタレン骨格含有型エポキシ樹脂が好ましく、α−ナフトール/クレゾールノボラック型エポキシ樹脂がより好ましい。
(A)固形エポキシ樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(A)固形エポキシ樹脂のエポキシ当量は、150〜500g/eqが好ましく、150〜400g/eqがより好ましく、200〜300g/eqがさらに好ましい。
ここで、エポキシ当量は、エポキシ基あたりの樹脂の質量(g/eq)であり、JIS K 7236:2009に準拠して測定することができる。
(A)固形エポキシ樹脂の含有量に特に制限はないが、耐デスミア性、成形性、電気絶縁性及び金属回路との接着強度の観点から、樹脂組成物(I)中の樹脂成分の総和100質量部に対して、1〜40質量部が好ましく、3〜35質量部がより好ましく、5〜20質量部がさらに好ましい。
なお、本実施形態において、樹脂成分とは、(A)〜(D)成分、後述する(X)成分及び任意で用いられる樹脂を意味し、後述する硬化促進剤は樹脂成分には含まないものとする。
<(B)1分子中に2個以上のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物>
本実施形態の樹脂フィルムは、(B)1分子中に2個以上のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(以下、単に「(B)マレイミド化合物」又は「(B)成分」ともいう)を含有することにより、コア層との界面におけるボイドの発生を抑制することができる。
(B)マレイミド化合物は、1分子中に2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物であることが好ましい。
(B)マレイミド化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(B)マレイミド化合物としては、複数のマレイミド基のうちの任意の2個のマレイミド基の間に芳香族炭化水素基を有さずに脂肪族炭化水素基を有するマレイミド化合物、複数のマレイミド基のうちの任意の2個のマレイミド基の間に芳香族炭化水素基を含有するマレイミド化合物(以下、「芳香族マレイミド化合物」ともいう)等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性、誘電特性、ガラス転移温度、熱膨張係数、成形性及びコア層との界面におけるボイドの発生を抑制する観点から、芳香族マレイミド化合物が好ましく、1分子中に2個のN−置換マレイミド基を有する芳香族マレイミド化合物がより好ましい。芳香族マレイミド化合物は、任意に選択した2つのマレイミド基の組み合わせのいずれかの間に芳香族炭化水素基を含有していればよい。
1分子中に2個のN−置換マレイミド基を有する芳香族マレイミド化合物としては、下記一般式(B−1)で表される化合物が好ましい。

(式中、RB1及びRB2は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。XB1は、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−、−C(=O)−、−S−、−S−S−、スルホニル基、カルボニルオキシ基、単結合又は下記一般式(B1−1−1)で表される基を示す。m及びnは、各々独立に、0〜4の整数である。)

(式中、RB3及びRB4は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。XB2は、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−、−C(=O)−、−S−、−S−S−、スルホニル基、カルボニルオキシ基又は単結合を示す。m1及びn1は、各々独立に、0〜4の整数である。)
上記一般式(B−1)中、RB1及びRB2が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
B1及びRB2が示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
B1が示す炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、1,2−ジメチレン基、1,3−トリメチレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基が好ましい。
B1が示す炭素数2〜5のアルキリデン基としては、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。
m及びnは、各々独立に、0〜4の整数であり、0〜2の整数が好ましく、0又は1の整数がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記一般式(B1−1−1)中、RB3及びRB4が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子としては、上記RB1及びRB2の場合と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
B2が示す炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基としては、上記XB1が示す炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
B2としては、上記選択肢の中でも、炭素数2〜5のアルキリデン基が好ましく、イソプロピリデン基がより好ましい。
m1及びn1は0〜4の整数であり、入手容易性の観点から、いずれも、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。
また、前記一般式(B1−1−1)は、下記一般式(B1−1−1’)で表されることが好ましい。

(式中、XB2、RB3、RB4、m1及びn1は、一般式(B1−1−1)中のものと同じであり、好ましいものも同じである。)
(B)マレイミド化合物としては、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。これらの中でも、反応率が高く、より高耐熱性化できるという観点及びコア層との界面におけるボイドの発生を抑制する観点から、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンが好ましく、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンがより好ましい。
(B)マレイミド化合物の含有量に特に制限はないが、耐熱性、誘電特性、ガラス転移温度、熱膨張係数、成形性及びコア層との界面におけるボイドの発生を抑制する観点から、樹脂組成物(I)中の樹脂成分の総和100質量部に対して、30〜95質量部が好ましく、35〜90質量部がより好ましく、40〜85質量部がさらに好ましく、45〜80質量部が特に好ましい。
<(C)1分子中に2個以上の1級アミノ基を有するアミン化合物>
本実施形態の樹脂フィルムは、(C)1分子中に2個以上の1級アミノ基を有するアミン化合物(以下、単に「(C)アミン化合物」又は「(C)成分」ともいう)を含有することにより、コア層との界面におけるボイドの発生を抑制することができる。
(C)アミン化合物は、1分子中に2個の1級アミノ基を有するアミン化合物であることが好ましい。
(C)アミン化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(C)アミン化合物としては、脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物等が挙げられる。芳香族アミン化合物としては、下記一般式(C−1)で表される芳香族ジアミン化合物が好ましい。

(式中、RC1及びRC2は、各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基又はスルホン酸基を示す。XC1は、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−、スルホニル基、−C(=O)−、フルオレニレン基、フェニレンジオキシ基又は単結合を示す。v及びwは、各々独立に、0〜4の整数である。)
C1及びRC2が示す炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子としては、上記一般式(B−1)中のRB1及びRB2と同じものが挙げられ、炭素数1〜5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。
C1が示す炭素数1〜5のアルキレン基及び炭素数2〜5のアルキリデン基としては、上記一般式(B−1)中のXB1と同じものが挙げられる。
(C)アミン化合物は、シロキサン骨格を含有する化合物であることが好ましく、1分子中に2個の1級アミノ基を有するシロキサン化合物がより好ましく、両末端に1級アミノ基を有するシロキサン化合物がさらに好ましい。
両末端に1級アミノ基を有するシロキサン化合物としては、下記一般式(C−2)で表される化合物が好ましい。

(式中、RC3、RC4、RC5及びRC6は、各々独立に、アルキル基、フェニル基又は置換フェニル基を示し、XC2及びXC3は、各々独立に、2価の有機基を示す。sは1〜100の整数を示す。)
上記一般式(C−2)中、RC3、RC4、RC5及びRC6が示すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
置換フェニル基におけるフェニル基が有する置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基等が挙げられる。炭素数1〜5のアルキル基としては、上記したものと同じものが挙げられる。炭素数2〜5のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基等が挙げられる。炭素数2〜5のアルキニル基としては、エチニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
C3、RC4、RC5及びRC6としては、いずれも炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
sは、低熱膨張性の観点から、1〜100の整数であり、相溶性及び高弾性化の観点から、5〜50の整数が好ましく、10〜40の整数がより好ましい。
上記一般式(C−2)中、XC2及びXC3が示す2価の有機基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、−O−又はこれらが組み合わされた2価の連結基等が挙げられる。アルキレン基としては、メチレン基、1,2−ジメチレン基、1,3−トリメチレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基等の炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられる。アルケニレン基としては、炭素数2〜10のアルケニレン基が挙げられる。アルキニレン基としては、炭素数2〜10のアルキニレン基が挙げられる。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等の炭素数6〜20のアリーレン基が挙げられる。これらの中でも、アルキレン基が好ましく、1,3−トリメチレン基がより好ましい。
両末端に1級アミノ基を有するシロキサン化合物のアミノ基当量は、100〜6,000g/eqが好ましく、400〜2,000g/eqがより好ましく、600〜1,500g/eqがさらに好ましい。
(C)アミン化合物は、市販品を用いることができる。(C)アミン化合物の市販品としては、例えば、両末端に1級アミノ基を有するシロキサン化合物である「PAM−E」(アミノ基当量130)、「KF−8010」(アミノ基当量430)、「X−22−161A」(アミノ基当量800)、「X−22−161B」(アミノ基当量1,500)、「KF−8012」(アミノ基当量2,200)、「KF−8008」(アミノ基当量5,700)〔以上、信越化学工業株式会社製〕、「BY16−871」(アミノ基当量130)、「BY16−853U」(アミノ基当量460)〔以上、東レダウコーニング株式会社製〕等が挙げられる。なお、アミノ基当量の単位はg/eqである。
(C)アミン化合物の具体例としては、ジアミノベンジジン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル−6,6’−ジスルホン酸、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ビフェニルジオール、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、o−トリジンスルホン、上記した1分子中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するシロキサン化合物等が挙げられる。
(C)アミン化合物の含有量に特に制限はないが、低反り性、寸法安定性、低熱膨張性、低弾性、耐熱性、金属回路との接着性及びコア層との界面におけるボイドの発生を抑制する観点から、樹脂組成物(I)中の樹脂成分の総和100質量部に対して、1〜40質量部が好ましく、2〜30質量部がより好ましく、3〜25質量部がさらに好ましい。
<(X)変性ポリイミド>
本実施形態に用いられる樹脂組成物(I)は、(B)マレイミド化合物及び(C)アミン化合物を反応させてなる(X)変性ポリイミド(以下、「(X)成分」ともいう)を含有していてもよい。
本実施形態においては、(X)変性ポリイミドを含有することは、すなわち(B)マレイミド化合物及び(C)アミン化合物を含有することと同義である。したがって、樹脂組成物(I)が(X)変性ポリイミドを含有するとき、樹脂組成物(I)は、(B)マレイミド化合物及び/又は(C)アミン化合物を含有していなくてもよいし、(B)マレイミド化合物及び(C)アミン化合物からなる群から選択される1つ以上を含有していてもよい。
(X)変性ポリイミドは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(X)変性ポリイミドは、(B)成分と(C)成分とを反応させて得られるものであり、(B)成分由来の構造単位(B’)と、(C)成分由来の構造単位(C’)と、を含有するものである。
(B)成分と(C)成分との反応方法に特に制限はなく、反応温度は、生産性及び十分に反応を進行させる観点から、例えば、70〜200℃であり、反応時間は、例えば、0.5〜10時間である。
(B)成分と(C)成分との反応は、有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;ケトン系溶媒;エステル系溶媒;エーテル系溶媒;芳香族系溶媒;窒素原子含有溶媒;硫黄原子含有溶媒などが挙げられる。これらの中でも、溶解性、低毒性及び揮発性が高く残溶媒として残り難いという観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
(X)変性ポリイミドの含有量は、構造単位(B’)及び構造単位(C’)の含有量を、各々の原料である(B)マレイミド化合物及び(C)アミン化合物の含有量に換算して決定すればよい。
例えば、樹脂組成物(I)が、(B)成分及び(C)成分を含有せずに、(X)変性ポリイミドを含有する場合、樹脂組成物(I)中の構造単位(B’)の量から換算される原料(B)成分の含有量、並びに、樹脂組成物(I)中の構造単位(C’)の量から換算される原料(C)成分の含有量が、上記した(B)成分及び(C)成分の好適な含有量の範囲となることが好ましい。
また、例えば、樹脂組成物(I)が、(B)成分及び(C)成分と、(X)変性ポリイミドと、を含有する場合、樹脂組成物(I)中の構造単位(B’)の量から換算される原料(B)成分の含有量と、別に配合した(B)成分との合計含有量が、上記した(B)成分の好適な含有量の範囲となることが好ましく、樹脂組成物(I)中の構造単位(C’)の量から換算される原料(C)成分の含有量と、別に配合した(C)成分との合計含有量が、上記した(C)成分の好適な含有量の範囲となることが好ましい。
樹脂組成物(I)が(X)変性ポリイミドを含有する場合、その含有量は、耐熱性、誘電特性、ガラス転移温度、熱膨張係数、成形性及びコア層との界面におけるボイドの発生を抑制する観点から、樹脂組成物(I)中の樹脂成分の総和100質量部に対して、30〜80質量部が好ましく、40〜70質量部がより好ましく、50〜60質量部がさらに好ましい。
<(D)エラストマー>
本実施形態の樹脂フィルムは、(D)エラストマー(以下、「(D)成分」ともいう)を含有することにより、取り扱い性に優れたものとなる。
(D)エラストマーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(D)エラストマーとしては、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、これらの誘導体等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性及び絶縁信頼性の観点から、スチレン系エラストマーが好ましく、銅箔との接着性を良好に保ちながら樹脂組成物の弾性率を低減する観点からは、アクリル系エラストマーがより好ましい。
(D)エラストマーは、分子末端及び分子鎖中のうち少なくとも一方に反応性官能基を有することが好ましい。反応性官能基を有することにより、他の樹脂成分との相溶性が向上し、樹脂フィルムの取り扱い性を向上させる効果がより顕著に発現すると共に、樹脂組成物の硬化時に発生する内部応力を効果的に低減することができ、結果として、基板の反りを低減することも可能となる。
反応性官能基としては、エポキシ基、アミノ基、水酸基、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基、カルボキシ基、アルコキシ基、アミド基、イソシアナト基、ビニル基等が挙げられる。これらの中でも、低熱膨張性、金属回路との接着強度及び樹脂フィルムの取り扱い性を向上させる観点から、エポキシ基、アミノ基、水酸基、メタクリル基、メルカプト基、カルボキシ基及びアルコキシ基からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、エポキシ基がより好ましい。
(D)エラストマーが、反応性官能基を有する場合、その官能基の含有量は、0.05〜0.40eq/kgが好ましく、0.10〜0.30eq/kgがより好ましく、0.15〜0.25eq/kgがさらに好ましい。
(スチレン系エラストマー)
スチレン系エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー等のスチレン−ブタジエン共重合体;スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー等のスチレン−イソプレン共重合体;スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマーなどが挙げられる。スチレン系エラストマーの原料モノマーとしては、スチレンの他に、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン等のスチレン誘導体を用いることができる。これらの中でも、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体が好ましく、これらの共重合体の二重結合部分を水素添加した水添スチレン−ブタジエン共重合樹脂、水添スチレン−イソプレン共重合樹脂等がより好ましく、水添スチレン−ブタジエン共重合樹脂がさらに好ましい。
(アクリル系エラストマー)
アクリル系エラストマーとしては、少なくともアクリル酸エステルに由来する構造単位を含む分子で形成される重合体である。アクリル系エラストマーは、分子中に異なる複数種のアクリル酸エステルに由来する構造単位を含んでいてもよく、さらに、アクリル酸エステル以外の単量体に由来する構造単位を含んでもよい。また、アクリル系エラストマーは、複数種のアクリル酸エステルに由来する構造単位からなるものであってもよい。
アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
上記アクリル酸エステル以外の単量体としては、アクリロニトリル、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、エチレン、プロピレン、ブタジエン等のビニル系単量体が挙げられる。アクリル酸エステル以外の単量体は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アクリル系エラストマーの重量平均分子量(Mw)に特に制限はないが、10,000〜2,000,000が好ましく、50,000〜1,200,000がより好ましく、100,000〜900,000がさらに好ましく、500,000〜900,000が特に好ましい。重量平均分子量(Mw)が10,000以上であれば、低弾性率を維持し易い傾向にあり、2,000,000以下であれば、相溶性及び流動性が良好となる傾向にある。
なお、本明細書中、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものである。
(D)エラストマーの含有量に特に制限はないが、耐デスミア性及び樹脂フィルムの取り扱い性を向上させる観点から、樹脂組成物(I)中の樹脂成分の総和100質量部に対して、5〜60質量部が好ましく、7〜50質量部がより好ましく、8〜30質量部がさらに好ましく、10〜20質量部が特に好ましい。
<(E)無機充填材>
樹脂組成物(I)は、さらに、(E)無機充填材(以下、「(E)成分」ともいう)を含有することが好ましい。
(E)無機充填材としては、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、マイカ、カオリン、ベーマイト、ベリリア、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、炭酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、焼成クレー等のクレー、ガラス短繊維、ガラス粉、中空ガラスビーズなどが挙げられる。ガラスとしては、Eガラス、Tガラス、Dガラス等が挙げられる。
(E)無機充填材は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(E)無機充填材としては、誘電特性、耐熱性及び低熱膨張性の観点から、シリカが好ましい。シリカとしては、例えば、湿式法で製造され含水率の高い沈降シリカ、乾式法で製造され結合水等をほとんど含まない乾式法シリカ等が挙げられる。乾式法シリカとしては、さらに、製造法の違いにより破砕シリカ、フュームドシリカ、溶融シリカ(溶融球状シリカ)等が挙げられる。(E)無機充填材に用いられるシリカは、低熱膨張性及び樹脂に充填した際の高流動性の観点から、溶融シリカが好ましい。
(E)無機充填材の平均粒子径は、0.1〜10μmが好ましく、0.2〜5μmがより好ましく、0.3〜1μmがさらに好ましい。平均粒子径が0.1μm以上であると、樹脂に高充填した際の流動性を良好に保つことができ、10μm以下であると、粗大粒子の混入確率を低減し、粗大粒子起因の不良の発生を抑えることができる。
なお、本明細書中、平均粒子径とは、粒子の全体積を100%として粒子径による累積度数分布曲線を求めたとき、体積50%に相当する点の粒子径のことであり、レーザー回折散乱法を用いた粒度分布測定装置等で測定することができる。
(E)無機充填材は、シランカップリング剤、シリコーンオリゴマー等の表面処理剤で表面処理されたものであってもよい。表面処理された(E)無機充填材を用いると、(E)無機充填材と樹脂成分との接着力が向上し、(E)無機充填材の脱落が抑制され、表面粗さが低下する傾向にある。
シランカップリング剤としては、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、フェニルシラン系カップリング剤、アルキルシラン系カップリング剤、アルケニルシラン系カップリング剤、シロキサン系カップリング剤等が挙げられる。
シランカップリング剤等の表面処理剤を用いる場合、その添加方式は、樹脂組成物(I)中に(E)無機充填材を配合した後、表面処理剤を添加する、いわゆるインテグラルブレンド処理方式であってもよい。
樹脂組成物(I)が(E)無機充填材を含有する場合、その含有量に特に制限はないが、低熱膨張性及び樹脂フィルムの取り扱い性の観点から、樹脂組成物(I)中の樹脂成分の総和100質量部に対して、20〜300質量部が好ましく、50〜250質量部がより好ましく、80〜200質量部がさらに好ましく、100〜170質量部が特に好ましい。
<(F)硬化促進剤>
樹脂組成物(I)は、さらに、(F)硬化促進剤(以下、「(F)成分」ともいう)を含有することが好ましい。
(F)硬化促進剤としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩;有機リン系化合物;イミダゾール化合物及びその誘導体;第2級アミン化合物、第3級アミン化合物、第4級アンモニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、低熱膨張性の観点から、有機リン系化合物が好ましい。
(F)硬化促進剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物(I)が(F)硬化促進剤を含有する場合、その含有量に特に制限はないが、樹脂組成物(I)中の樹脂成分の総和100質量部に対して、耐熱性、難燃性、経日安定性及び硬化性の観点から、0.1〜10質量部が好ましく、0.3〜5質量部がより好ましく、0.5〜3質量部がさらに好ましい。
<その他の成分>
樹脂組成物(I)は、本発明の目的を阻害しない範囲で、上記各成分以外の熱硬化性樹脂(以下、「その他の熱硬化性樹脂」ともいう)、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、接着性向上剤等を含有していてもよい。
その他の熱硬化性樹脂としては、上記各成分以外の、フェノール樹脂、不飽和イミド樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
難燃剤としては、臭素及び/又は塩素を含有するハロゲン系難燃剤;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、リン酸エステル系化合物、赤リン等のリン系難燃剤;スルファミン酸グアニジン、硫酸メラミン、ポリリン酸メラミン、メラミンシアヌレート等の窒素系難燃剤;シクロホスファゼン、ポリホスファゼン等のホスファゼン系難燃剤などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤等が挙げられる。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、チオキサントン系の光重合開始剤等が挙げられる。
蛍光増白剤としては、スチルベン誘導体の蛍光増白剤等が挙げられる。
接着性向上剤としては、尿素シラン等の尿素化合物;シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤等のカップリング剤などが挙げられる。
樹脂組成物(I)は、樹脂フィルムの製造を容易にするため、各成分が有機溶媒中に溶解及び/又は分散されたワニスの状態としてもよい。
有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;メチルセロソルブ等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒などが挙げられる。有機溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ワニスの固形分濃度は、40〜90質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましい。ワニスの固形分濃度が上記範囲内であると、塗工性を良好に保ち、樹脂フィルムの厚さ等を適切な範囲に調整し易くなる。
樹脂組成物(I)は、上記各成分を混合することにより製造することができる。混合方法としては、公知の方法を適用することができ、ニーダー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール、ナノマイザー等の公知の混練及び分散方法を適用することができる。
<支持体>
本実施形態の樹脂フィルムは、そのいずれか一方の面に支持体が設けられたものであってもよい。
支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィンのフィルム;ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」ともいう)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルのフィルム;ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム等の各種プラスチックフィルムなどが挙げられる。また、銅箔、アルミニウム箔等の金属箔、離型紙などを使用してもよい。支持体及び後述する保護フィルムには、マット処理、コロナ処理等の表面処理が施してあってもよい。また、支持体及び後述する保護フィルムにはシリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等による離型処理が施してあってもよい。
支持体の厚さは、例えば、10〜150μmであり、25〜50μmであってもよい。
<保護フィルム>
支持体上に形成された樹脂フィルムの、支持体とは反対側の面には、保護フィルムを設けてもよい。保護フィルムの厚さは、例えば、1〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂フィルムの表面へのゴミ等の付着及び傷付きを防止することができる。保護フィルムの材質は、支持体と同様のものが挙げられる。
<樹脂フィルムの製造方法>
本実施形態の樹脂フィルムの製造方法に特に制限はなく、公知の方法を利用できる。
例えば、まず、樹脂フィルムに含有させる各成分を有機溶媒の存在下で混合することで、ワニス状の樹脂組成物(I)として、該ワニスを支持体へ塗布した後、有機溶媒を除去し、樹脂組成物(I)を半硬化(B−ステージ化)することによって、支持体付き樹脂フィルムを形成することができる。
ワニスを塗布する方法としては、コンマコーター、バーコーター、キスコーター、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター等の公知の塗工装置を用いることができる。これらの塗工装置は、膜厚によって、適宜選択することが好ましい。
塗布後の乾燥条件は、樹脂フィルム中の揮発成分(主に有機溶媒)の含有量が、例えば、10質量%以下となる条件であり、6質量%以下となる条件が好ましい。
乾燥温度及び乾燥時間は、有機溶媒の使用量、有機溶媒の沸点等によって異なるが、例えば、30〜60質量%の有機溶媒を含むワニスの場合、50〜150℃で3〜10分間乾燥させることにより、樹脂フィルムを好適に形成することができる。
得られる樹脂フィルムの最低溶融粘度は、800〜5,000MPa・sとなるように乾燥することが好ましい。
本実施形態の樹脂フィルムの厚さは、求める性能に応じて適宜決定すればよいが、導体層上に配置して用いる場合、回路基板の導体層を埋め込む観点から、回路基板の導体層の厚さ以上であってもよい。具体的には、樹脂フィルムの厚さは、1〜100μmが好ましく、3〜50μmがより好ましく、4〜40μmがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂フィルムは、回路基板、ソルダーレジスト、アンダーフィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等の層間絶縁層を形成するために用いられる樹脂フィルムとして好適である。これらの中でも、プリント配線板の製造において層間絶縁層を形成するために用いられることが好ましく、後述する本実施形態の積層体の製造において層間絶縁層を形成するため用いられることがより好ましい。
[積層体]
本実施形態の積層体は、本実施形態の層間絶縁層用樹脂フィルムと、プリプレグ又はプリプレグを硬化してなる絶縁層と、を積層してなる積層体である。
<プリプレグ>
本実施形態の積層体に用いられるプリプレグは、(a)エポキシ樹脂(以下、「(a)成分」ともいう)、(b)1分子中に2個以上のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(以下、「(b)成分」ともいう)と、(c)1分子中に2個以上の1級アミノ基を有するアミン化合物(以下、「(c)成分」ともいう)と、を含有する熱硬化性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物(II)」ともいう)を含有するプリプレグであることが好ましい。なお、本実施形態に用いられる樹脂組成物(II)は、樹脂組成物(I)と同様、(b)成分及び(c)成分を、(b)成分及び(c)成分を反応させてなる(x)変性ポリイミドとして含有する態様も好ましい。
また、樹脂組成物(II)は、上記各成分に加え、(d)エラストマー(以下、「(d)成分」ともいう)、(e)無機充填材(以下、「(e)成分」ともいう)及び(f)硬化促進剤(以下、「(f)成分」ともいう)からなる群から選択される少なくとも1種を含有していてもよい。
なお、(a)成分は上記(A)成分、(b)成分は上記(B)成分、(c)成分は上記(C)成分、(d)成分は上記(D)成分、(e)成分は上記(E)成分、(f)成分は上記(F)成分、(x)成分は上記(X)成分と、各々同じものが挙げられ、好ましい種類も同じである。また、これらは、各々について、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の積層体は、コア層及びビルドアップ層の両方に、1分子中に2個以上のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物と1分子中に2個以上の1級アミノ基を有するアミン化合物又は変性ポリイミドを使用することで、コア層とビルドアップ層との界面におけるボイドの発生を顕著に抑制することができる。その機構は定かではないが、コア層及びビルドアップ層の両方に同一又は類似する樹脂を使用することで、コア層とビルドアップ層との親和性が向上することで濡れ性が向上し、これによってボイドの発生が抑制されたものと考えられる。
したがって、コア層とビルドアップ層との界面におけるボイドの発生を抑制する観点から、本実施形態の積層体に使用する樹脂フィルム及びプリプレグは、各々を構成する樹脂組成物の組成が近いことが好ましい。具体的には、樹脂組成物(II)が、(a)〜(f)成分及び(x)成分からなる群から選択される1種以上を含有する場合、当該成分の構造は、樹脂組成物(I)が含有する(A)〜(F)成分及び(X)成分のうち、対応する成分の構造と同一であるか、類似していることが好ましい。
樹脂組成物(II)が(a)成分を含有する場合、樹脂組成物(II)中における(a)成分の含有量は、耐デスミア性、成形性、電気絶縁性及び金属回路との接着強度の観点から、樹脂組成物(II)中の樹脂成分の総和100質量部に対して、1〜85質量部が好ましく、5〜70質量部がより好ましく、10〜50質量部がさらに好ましく、15〜30質量部が特に好ましい。
樹脂組成物(II)が(b)成分を含有する場合、樹脂組成物(II)中における(b)成分の含有量は、耐熱性、誘電特性、ガラス転移温度、熱膨張係数、成形性及びビルドアップ層との界面におけるボイドの発生を抑制する観点から、樹脂組成物(II)中の樹脂成分の総和100質量部に対して、5〜80質量部が好ましく、10〜70質量部がより好ましく、15〜60質量部がさらに好ましく、20〜50質量部がよりさらに好ましく、25〜40質量部が特に好ましい。
樹脂組成物(II)が(c)成分を含有する場合、樹脂組成物(II)中における(c)成分の含有量は、低反り性、寸法安定性、低熱膨張性、低弾性、耐熱性、金属回路との接着性及びコア層との界面におけるボイドの発生を抑制する観点から、樹脂組成物(II)中の樹脂成分の総和100質量部に対して、1〜40質量部が好ましく、2〜25質量部がより好ましく、5〜15質量部がさらに好ましい。
樹脂組成物(II)が(x)成分を含有する場合、樹脂組成物(II)中における(x)成分の含有量は、耐熱性、誘電特性、ガラス転移温度、熱膨張係数、成形性及びコア層との界面におけるボイドの発生を抑制する観点から、樹脂組成物(II)中の樹脂成分の総和100質量部に対して、10〜80質量部が好ましく、20〜60質量部がより好ましく、30〜50質量部がさらに好ましい。
樹脂組成物(II)が(d)成分を含有する場合、樹脂組成物(II)中における(d)成分の含有量は、耐デスミア性及び樹脂フィルムの取り扱い性を向上させる観点から、樹脂組成物(II)中の樹脂成分の総和100質量部に対して、5〜55質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましく、20〜45質量部がさらに好ましく、30〜40質量部が特に好ましい。
樹脂組成物(II)が(e)成分を含有する場合、樹脂組成物(II)中における(e)成分の含有量は、耐熱性、難燃性、経日安定性及び硬化性の観点から、樹脂組成物(II)中の樹脂成分の総和100質量部に対して、20〜300質量部が好ましく、50〜250質量部がより好ましく、80〜200質量部がさらに好ましく、100〜170質量部が特に好ましい。
樹脂組成物(II)が(f)成分を含有する場合、樹脂組成物(II)中における(f)成分の含有量は、低熱膨張性、回路埋め込み性及び樹脂フィルムの取り扱い性の観点から、樹脂組成物(II)中の樹脂成分の総和100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.3〜5質量部がより好ましく、0.5〜3質量部がさらに好ましい。
樹脂組成物(II)は、本発明の目的を阻害しない範囲で、上記各成分以外のその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、樹脂組成物(I)が含有していてもよいその他の成分と同じものが挙げられる。
樹脂組成物(II)は、上記各成分を混合することにより製造することができる。混合方法は、樹脂組成物(I)と同じ方法を適用することができる。
(プリプレグの製造方法)
プリプレグは、例えば、樹脂組成物(II)を、基材に含浸する方法により製造することができる。具体的には、本実施形態の樹脂組成物(II)を、基材に含浸した後、例えば、加熱等により半硬化することにより、基材と半硬化した樹脂組成物(II)とを含有するプリプレグを製造することができる。
樹脂組成物(II)を基材に含浸する方法は、例えば、基材を上記ワニスに浸漬する方法、各種コーターにより塗布する方法、スプレーによる吹き付ける方法等が挙げられる。これらの中でも、含浸性の観点から、基材をワニスに浸漬する方法が好ましい。
樹脂組成物(II)を基材に含浸した後、例えば、100〜200℃で1〜30分間、加熱乾燥し、樹脂組成物(II)を半硬化させて、プリプレグを製造することができる。
プリプレグに用いられる基材としては、例えば、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。その材質としては、例えば、Eガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラス等の無機物繊維;ポリイミド、ポリエステル、テトラフルオロエチレン等の有機繊維;炭素繊維及びこれらの混合物などが挙げられる。
これらの基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット、サーフェシングマット等の形状を有する。基材の材質及び形状は、目的とする成形物の用途及び性能により選択すればよく、必要により、単独又は2種類以上の材質及び形状を組み合わせることができる。
基材は、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性、耐湿性及び加工性の面から好適である。
基材の厚さは、例えば、約0.03〜0.5mmである。
プリプレグ中における樹脂組成物(II)の含有量は、20〜90質量%が好ましい。
(積層体の製造方法)
本実施形態の積層体は、上記プリプレグ又は上記プリプレグを硬化してなる絶縁層に、本実施形態の樹脂フィルムをラミネートして製造することができる。
以下、プリプレグを硬化してなる絶縁層に本実施形態の樹脂フィルムをラミネートする積層体の製造方法について説明する。
プリプレグを硬化してなる絶縁層は、例えば、上記プリプレグを単独又は2〜20枚重ねて、その片面又は両面に、銅、アルミニウム等の金属箔を配置した構成で積層成形して製造することができる。積層成形の条件としては、例えば、加熱温度が100〜250℃、加熱時間が0.1〜5時間、圧着圧力が0.2〜10MPaである。
続いて、得られた成形物を銅エッチング液に浸漬することにより両面の金属箔をエッチングして、上記プリプレグを硬化してなる絶縁層が得られる。
次に、上記で得られた絶縁層の片面又は両面に本実施形態の樹脂フィルムをラミネートする。上記ラミネートにおいて、樹脂フィルムが保護フィルムを有している場合には該保護フィルムを除去した後、樹脂フィルムを加圧及び加熱しながら絶縁層に圧着する。
本実施形態の樹脂フィルムにおいては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好ましい。ラミネートにおける圧着温度(ラミネート温度)は、例えば、70〜140℃であり、圧着圧力は、例えば、0.1〜1.1MPaであり、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートすることが好ましい。また、ラミネートの方法は、バッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。
[プリント配線板]
本実施形態のプリント配線板は、本実施形態の樹脂フィルムを用いて形成される層間絶縁層、又は本実施形態の積層体を用いて形成される層間絶縁層を含有するものである。
換言すると、本実施形態のプリント配線板は、層間絶縁層を有し、該層間絶縁層のうち少なくとも一層が本実施形態の樹脂フィルムの硬化物を含むものである。
本実施形態のプリント配線板を製造するに当たっては、例えば、まず、コア層の導体層を公知のエッチング法によって配線加工を行い、コア層の片面又は両面に本実施形態の樹脂フィルムをラミネートする。次に、樹脂フィルムを熱硬化してビルドアップ層を形成し、ドリル加工、レーザー加工等によるスルーホール又はブラインドビアホールの形成と、メッキ又は導電性ペーストによる層間配線の形成を経て、プリント配線板を製造することができる。
[半導体装置]
本実施形態の半導体装置は、本実施形態のプリント配線板を含有するものである。
本実施形態の半導体装置は、本実施形態のプリント配線板の所定の位置に、公知の方法により、半導体チップ、メモリ等を搭載して製造することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各例で得られた樹脂フィルムは以下の方法で評価した。
[樹脂フィルムの取り扱い性]
樹脂フィルムの取り扱い性は、以下に示す方法で評価した。
(1)カッターでの切断による評価
各例で得られた支持体及び保護フィルムを有する樹脂フィルムをカッターで切断した際の粉落ちの有無を目視で確認し、粉落ちが無いものを取り扱い性良好とした。
(2)折り曲げによる評価
各例で得られた支持体及び保護フィルムを有する樹脂フィルムの保護フィルムを剥離し、支持体から樹脂塗工面に向かって180°折り曲げ、フィルムの割れの有無を目視で確認し、割れが発生しないものを取り扱い性良好とした。
上記(1)及び(2)の評価において、どちらも良好となったものを「A」、少なくともいずれかが良好でないものを「B」とした。
[デスミア重量減少量(耐デスミア性の評価)]
ラミネーター内において、各例で得られた支持体及び保護フィルムを有する樹脂フィルムの保護フィルムを剥離し、銅箔(電解銅箔、厚さ12μm)の光沢面上に樹脂フィルムをラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して圧力を0.5MPaとした後、140℃で30秒間、圧着圧力0.5MPaの条件で行った。ラミネート後、支持体を剥離して、片面銅箔付き樹脂フィルムを得た。同様の操作により、別の片面銅箔付き樹脂フィルムを作製し、2つの片面銅箔付き樹脂フィルムの樹脂面同士を合わせ、真空プレスを用いて、175℃で60分間、圧着圧力1.0MPaの条件でプレス成型を行い、両面銅箔付き樹脂板を得た。得られた両面銅箔付き樹脂板を、190℃で2時間防爆乾燥機を用いて硬化させた。続いて、塩化第二鉄で両面の銅箔をエッチングすることで、厚さ約0.2mmの樹脂板を得た。この樹脂板を4cm角に切断して、耐デスミア性の試験片とした。次いで、該試験片に表1に示す処理を順次施してデスミア処理を行った。なお、薬液はアトテック社製のものを用いた。デスミア重量減少量は、デスミア処理前乾燥重量と、デスミア処理後重量との差(処理前重量−処理後重量)を算出し、これを耐デスミア性の指標とした。
[ボイド数の測定]
各製造例で作製したプリプレグ(25cm角)を4枚重ね、最外層(両面)に厚さ12μmの電解銅箔を配置し、圧着圧力3.0MPa、温度240℃で60分間プレスを行った。その後、銅エッチング液に浸漬することにより両面の銅箔を除去して、銅無し積層板を得た。続いて、ラミネーター内において、各例で作製した支持体及び保護フィルムを有する樹脂フィルムの保護フィルムを剥離し、銅無し積層板の両面に樹脂フィルムをラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して圧力を0.5MPaとした後、140℃で30秒間、圧着圧力0.5MPaの条件で行った。その後、防爆乾燥機を用いて、190℃で2時間加熱して樹脂フィルムを硬化させ、観察基板を得た。得られた観察基板の両面を目視で観察し、ボイド数を計測した。
[(X)変性ポリイミドの製造]
製造例1
(変性ポリイミド(X−1))
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、X−22−161A(両末端ジアミン変性シロキサン、信越化学工業株式会社製、アミノ基当量800g/eq)72gと、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン252gと、プロピレングリコールモノメチルエーテル270.0gを入れ、110℃で3時間反応させて、変性ポリイミド(X−1)含有溶液を得た。
[層間絶縁層用樹脂フィルム及びプリプレグの製造]
実施例1〜2、比較例1〜3
(樹脂フィルムA〜E)
表2に示す配合組成(単位:質量部。但し、溶液又は分散液の場合は固形分換算量を示す。)で各成分を混合し、希釈溶媒にメチルエチルケトンを用いて、固形分濃度65質量%のワニスA〜Eを得た。
次に、該ワニスA〜Eを、270mm幅のPETフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:G−2)に、塗布幅250mm、乾燥後の樹脂フィルム(樹脂組成物層)の厚さが15μmになるように塗布した後、100℃で3分間乾燥した。次いで、樹脂フィルムの支持体が設けられていない面に、保護フィルムとしてポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取り、支持体及び保護フィルムを有する樹脂フィルムA〜Eを得た。
製造例2〜4
(プリプレグI〜III)
表3に示す配合組成(単位:質量部。但し、溶液又は分散液の場合は固形分換算量を示す。)で各成分を混合し、溶媒にメチルエチルケトンを用いて固形分濃度65質量%のワニスI〜IIIを得た。
上記で得られたワニスI〜IIIを、ガラスクロス(種類:1037クロス、厚さ:25μm)に塗工機を用いて塗布した後、130℃で3分間乾燥して、溶媒を除去させると共に、熱硬化性樹脂組成物を半硬化させて、プリプレグI〜IIIを得た。なお、塗布重量の調整はスクイズロール法で行い、得られたプリプレグ中における熱硬化性樹脂組成物の含有量は、72質量%であった。
なお、表2及び表3に示す各成分の詳細は以下の通りである。
[(A)固形エポキシ樹脂、(a)エポキシ樹脂]
・NC−7000−L:α−ナフトール/クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(ナフタレン骨格含有型エポキシ樹脂)(日本化薬株式会社製、エポキシ当量:234g/eq)
・NC−3000−H:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、エポキシ当量:288g/eq)
[液状エポキシ樹脂]
・jER828US:液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、エポキシ当量:184〜194g/eq)
[エポキシ硬化剤]
・LA3018−50P:トリアジン骨格含有クレゾールノボラック型硬化剤(DIC株式会社製)
[(B)マレイミド化合物、(b)マレイミド化合物]
・BMI−4000:2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(大和化成工業株式会社製)
[(C)アミン化合物、(c)アミン化合物]
・X−22−161A:両末端ジアミン変性シロキサン(両末端に1級アミノ基を有するシロキサン化合物)(信越化学工業株式会社製、アミノ基当量:800g/eq)
[(D)エラストマー、(d)エラストマー]
・SG−P3:エポキシ基含有アクリル系熱可撓性エラストマー(ナガセケムテックス株式会社製、重量平均分子量:850,000、エポキシ価:0.21eq/kg)
[(E)無機充填材、(e)無機充填材]
・SC−2050KC:溶融シリカ(株式会社アドマテックス製、平均粒子径:0.5μm)
・SO−C2:球状シリカ(株式会社アドマテックス製、平均粒子径:0.5μm)
[(F)硬化促進剤、(f)硬化促進剤]
・TPP−S:トリフェニルホスフィントリフェニルボラン(北興化学株式会社製)
・DMAP:4−ジメチルアミノピリジン
表2から、本実施形態の実施例1及び2の樹脂フィルムは、取り扱い性に優れ、耐デスミア性に優れることが分かる。一方、(A)〜(D)成分の少なくとも1成分を使用しなかった比較例1〜3の樹脂フィルムは、取り扱い性又は耐デスミア性に劣っていた。
実施例3〜6、比較例4〜6
次に、上記で製造した樹脂フィルムA、B及びE並びにプリプレグI〜IIIを使用して、上記[ボイド数の測定]に記載の方法に従って積層体を製造し、ボイド数の評価を行った。評価結果を表4に示す。
表4から、本実施形態の層間絶縁層用樹脂フィルムを使用した実施例3〜6の積層体は、ボイド数が少なく、コア層との濡れ性に優れていることが分かる。一方、本実施形態の層間絶縁層用樹脂フィルムとは異なる層間絶縁層用樹脂フィルムを使用した比較例4〜6の積層体は、ボイド数が多く、コア層との濡れ性に劣っていることが分かる。

Claims (17)

  1. (A)固形エポキシ樹脂と、
    (B)1分子中に2個以上のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物と、
    (C)1分子中に2個以上の1級アミノ基を有するアミン化合物と、
    (D)エラストマーと、
    を含有する熱硬化性樹脂組成物を含有する、層間絶縁層用樹脂フィルム。
  2. (D)エラストマーが、エポキシ基、アミノ基、水酸基、メタクリル基、メルカプト基、カルボキシ基及びアルコキシ基からなる群から選択される1種以上の反応性官能基を有する、請求項1に記載の層間絶縁層用樹脂フィルム。
  3. (D)エラストマーが、アクリル系エラストマーである、請求項1又は2に記載の層間絶縁層用樹脂フィルム。
  4. 前記熱硬化性樹脂組成物中における(D)エラストマーの含有量が、前記熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の総和100質量部に対して、5〜60質量部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の層間絶縁層用樹脂フィルム。
  5. 前記熱硬化性樹脂組成物が、さらに、(E)無機充填材を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の層間絶縁層用樹脂フィルム。
  6. 前記熱硬化性樹脂組成物中における(E)無機充填材の含有量が、前記熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の総和100質量部に対して、20〜300質量部である、請求項5に記載の層間絶縁層用樹脂フィルム。
  7. 前記熱硬化性樹脂組成物が、さらに、(F)硬化促進剤を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の層間絶縁層用樹脂フィルム。
  8. (C)1分子中に2個以上の1級アミノ基を有するアミン化合物が、シロキサン骨格を含有する化合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の層間絶縁層用樹脂フィルム。
  9. プリプレグ又はプリプレグを硬化してなる絶縁層に積層して用いられる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の層間絶縁層用樹脂フィルム。
  10. 前記プリプレグが、
    (a)エポキシ樹脂と、
    (b)1分子中に2個以上のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物と、
    (c)1分子中に2個以上の1級アミノ基を有するアミン化合物と、
    を含有する熱硬化性樹脂組成物を含有するものである、請求項9に記載の層間絶縁層用樹脂フィルム。
  11. (c)1分子中に2個以上の1級アミノ基を有するアミン化合物が、シロキサン骨格を含有する化合物である、請求項10に記載の層間絶縁層用樹脂フィルム。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の層間絶縁層用樹脂フィルムと、プリプレグ又はプリプレグを硬化してなる絶縁層と、を積層してなる、積層体。
  13. 前記プリプレグが、
    (a)エポキシ樹脂と、
    (b)1分子中に2個以上のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物と、
    (c)1分子中に2個以上の1級アミノ基を有するアミン化合物と、
    を含有する熱硬化性樹脂組成物を含有するものである、請求項12に記載の積層体。
  14. (c)1分子中に2個以上の1級アミノ基を有するアミン化合物が、シロキサン骨格を含有する化合物である、請求項13に記載の積層体。
  15. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の層間絶縁層用樹脂フィルムを用いて形成される層間絶縁層、又は請求項12〜14のいずれか1項に記載の積層体を用いて形成される層間絶縁層を含有する、プリント配線板。
  16. 請求項15に記載のプリント配線板を含有する、半導体装置。
  17. 請求項12〜14のいずれか1項に記載の積層体を製造する方法であって、前記プリプレグを硬化してなる絶縁層の片面又は両面に、請求項1〜11のいずれか1項に記載の層間絶縁層用樹脂フィルムをラミネートする、積層体の製造方法。
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