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JP2019189977A - 塗工板紙の製造方法 - Google Patents

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JP2019189977A JP2018085596A JP2018085596A JP2019189977A JP 2019189977 A JP2019189977 A JP 2019189977A JP 2018085596 A JP2018085596 A JP 2018085596A JP 2018085596 A JP2018085596 A JP 2018085596A JP 2019189977 A JP2019189977 A JP 2019189977A
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Abstract

【課題】白色度の低いパルプの使用割合が高くても、裏側の白色度のムラが目立たず、印刷適性にも優れた塗工板紙を得る。【解決手段】少なくとも表層、中層、裏層を有する基紙を形成し、前記基紙の裏層表面に顔料とバインダーを含む裏面顔料塗工層を形成した後、第一のカレンダー処理を行い、次いで、前記基紙の表層表面に顔料とバインダーを含む表面顔料塗工層を形成した後、第二のカレンダー処理を行う。【選択図】なし

Description

本発明は塗工板紙の製造方法に関する。さらに詳しくは、白色度の低いパルプの使用割合が高くても、裏側の白色度のムラが目立たず、印刷適性にも優れた塗工板紙に関する。
表層、中層、裏層を有する多層抄紙で構成される板紙は、一般に、紙器用(箱、ブリスターパック等)、紙製品用(見本帳台紙、アルバム等)、出版用(雑誌、本等)、商業印刷用(カタログ、パンフレット等)等に使用されている。
板紙の製造には、近年、地球環境保護の観点から木材資源の節約や紙のリサイクルが奨励され、使用ずみ古紙をパルプ原料として用いることが広く行われるようになってきている。
古紙を用いた場合、バ−ジンパルプより剛性が出にくいことが知られており、古紙の大量の使用は剛性を必要とする用途の紙にとってはマイナスに働らくという問題がある。
特に、板紙の表面強度が不充分とると、脱落した繊維により印刷の一部が抜けてしまう、いわゆる白抜けの問題が生じやすい。
塗工板紙は、印刷適性等の付与等を目的として、表面に顔料を含む塗工層を設けた板紙である。塗工板紙への印刷は、主として表層側に施されるが、裏面にも印刷が施される場合もあり、表層側と裏層側の両面に、顔料を含む塗工層を設けた塗工板紙も提案されている(特許文献1)。
特許文献1によれば、裏層側にも顔料を含む塗工層を設けることにより、裏層側の印刷適性が向上すると共に、白抜けの問題も解消できるとされている。
特開2000−192395号公報
しかし、近年、古紙配合率の高まりに伴い、紙として再利用するには不向きな古紙の使用量が増え、特許文献1のように両面に塗工層を設けても、白抜けの問題の解消が充分にできない傾向にある。特に、裏層が、オフィス用紙のシュレッダー処理物由来のパルプを含む場合、微細繊維を含むため、その傾向が強い。
また、中層や裏層には、雑誌古紙パルプのように、白色度の低いパルプの使用割合が高まる傾向にあり、特許文献1のように裏層側に塗工層を設けても、裏層側の白色度にムラが生じ、充分な印刷適性を得にくい。
上記事情に鑑みて、本発明は、白色度の低いパルプの使用割合が高くても、裏側の白色度のムラが目立たず、印刷適性にも優れた塗工板紙を得ることを課題とする。
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]少なくとも表層、中層、裏層を有する基紙を形成し、前記基紙の裏層表面に顔料とバインダーを含む裏面顔料塗工層を形成した後、第一のカレンダー処理を行い、
次いで、前記基紙の表層表面に顔料とバインダーを含む表面顔料塗工層を形成した後、第二のカレンダー処理を行うことを特徴とする塗工板紙の製造方法。
[2]前記第二のカレンダー処理が、ソフトニップカレンダーおよびグロスカレンダーから選ばれる一種である、[1]に記載の塗工板紙の製造方法。
[3]前記第二のカレンダー処理を、裏面顔料塗工層表面に水分を供給しながら行う、[1]または[2]に記載の塗工板紙の製造方法。
[4]前記裏面顔料塗工液の塗工量が、前記表面顔料塗工液の塗工量より少ない、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の塗工板紙の製造方法。
[5]前記裏面顔料塗工液の塗工量が0.1〜7.5g/mである、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の塗工板紙の製造方法。
[6]前記表面顔料塗工液の塗工量が5〜30g/mである、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の塗工板紙の製造方法。
[7]前記裏面顔料塗工液の塗工をサイズプレスで行う、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の塗工板紙の製造方法。
本発明の塗工板紙の製造方法によれば、白色度の低いパルプの使用割合が高くても表面の白色度ムラが抑制され、裏面の印刷適性にも優れた塗工板紙を得ることができる。
[製造方法]
本発明は、少なくとも表層、中層、裏層を有する基紙を形成し、前記基紙の裏層表面に顔料とバインダーを含む裏面顔料塗工層を形成した後、第一のカレンダー処理を行い、次いで、前記基紙の表層表面に顔料とバインダーを含む表面顔料塗工層を形成した後、第二のカレンダー処理行う塗工板紙の製造方法である。
「基紙」
本発明における基紙は、少なくとも表層、中層、裏層が積層された多層抄紙である。表層とは、多層抄きの基紙において、最も表側に配置される層であり、裏層は最も裏側(表層と反対側)に配置される層であり、中層とは、表層と裏層との間に配置される層である。表層と中層の間には、表下層を設けてもよい。裏層と中層の間には、裏下層を設けてもよい。各層は一層で形成しても複数の層で形成しても構わないが、低質の古紙パルプの使用量を増やすためには、中層を複数層で形成することが好ましい。これらの各紙層は、多層抄きにより積層される。
多層抄きには、公知の多層抄き抄紙機が使用できる。例えば、円網式、長網式、短網式、傾斜式、ツインワイヤー式等のワイヤーパートを組み合わせたもので、長網抄合わせ、短網抄合わせ、短網円網コンビネーション、長網円網コンビネーション等がある。中でも、短網抄き合わせを使用することが微細繊維を多く含む古紙パルプの歩留りが向上する点で好ましい。
本発明における基紙は、パルプを主成分とし、基紙を構成する全パルプ成分中70%以上が古紙パルプであることが好ましい。全パルプ成分に占める古紙パルプの割合は、75〜100質量%であることがより好ましく、80〜95質量%であることがさらに好ましい。
本発明において古紙パルプとは、古紙を再生して得られるパルプである。
古紙としては、例えば、上白・罫白など、一度使用されているが印刷部分の少ない紙、カード・模造・色上・ケント・白アートなどの印刷物や色づけされ一度は使用された紙類、印刷用塗工紙、飲料用パック、オフィス用紙等使用済みの上質系古紙、さらに切符類・中質反古・ケントマニラ等の事業系中質古紙、新聞・雑誌・雑紙等の一般中質古紙、切茶・無地茶・雑袋・段ボール等の茶系古紙等が挙げられる。機密性を有するオフィス用紙や切符等の古紙はシュレッダー処理物であってもよい。
古紙パルプは、古紙を離解処理した離解パルプ、離解処理及び脱墨処理を行った未晒脱墨パルプ、脱墨処理後、漂白処理を行った晒脱墨パルプ等を、適宜使用できる。
古紙パルプではない、いわゆるバージンパルプとしては、例えば、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプ、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、グランドパルプ(GP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、ストーングランドパルプ(SGP)等の機械パルプが挙げられる。
基紙を構成するパルプは、全体として70%以上が古紙パルプであることが好ましいが、古紙パルプの配合割合は、各層ごとに各層の役割に応じて適宜調整することができる。また、各層に用いる古紙パルプの種類も、各層ごとに、各層の役割に応じて適宜選択することができる。
いずれの層においても、2種以上の古紙パルプを混合して使用してもよい。また、バージンパルプを使用する場合は、2種以上のバージンパルプを混合して使用してもよい。
以下、各層における通常のパルプ組成等について説明するが、本発明は、下記の通常のパルプ組成等に限定されるものではない。
表層には、通常白色度の高いパルプが使用される。例えば、上記のバージンパルプや古紙の脱墨パルプを主として使用することができる。古紙としては、上白・カード、特白・中白・白マニラ、模造・色上等の白色度の高い古紙が好ましく使用できる。
表層の坪量は、15〜90g/mとすることが好ましく、25〜70g/mとすることがより好ましい。基紙を構成する各層の坪量は、JIS P8124に準拠して測定することができる。
表層の坪量が好ましい下限値以上であれば、中層の有色異物を充分に隠蔽することができる。また、表層の坪量が好ましい上限値以下であれば、充分な紙層強度を得ることができる。
表下層を設ける場合は、表下層を構成するパルプは、中層のパルプよりも、白色度が高く、表層のパルプよりも白色度が低いパルプを使用する。表下層には、上記表層に使用されるパルプを使用してもよいが、通常は、表層と比較して低級な古紙、即ち中質繊維を多く含んだ古紙が使用される。例えば、新聞、雑誌、色上、ボール等の脱墨古紙パルプが使用されるのが一般的である。
表下層の坪量は、15〜90g/mとすることが好ましく、25〜75g/mとすることがより好ましい。
表下層の坪量が好ましい下限値以上であれば、表層と共に、中層の有色異物を充分に隠蔽することができる。また、表下層の坪量が好ましい上限値以下であれば、充分な紙層強度を得ることができる。
中層は通常複数の層から構成されるが、一層であってもよい。中層が複数の層から構成される場合、各層を構成するパルプは、総て同じであってもよいし、異なっていてもよい。
中層は、少なくとも表層と裏層の間に挟まれる層であるため、通常は、基紙を構成する層の内、最も低級なパルプが使用されるのが一般的である。例えば、新聞、雑誌、切符、中質反古、茶模造、段ボール、台紙、地券、ボール、等の離解パルプが挙げられる。
中層の合計坪量は、塗工板紙の用途により必要とされる厚みに応じて、適宜調整されるが、一層当たりの坪量は、15〜90g/mとすることが好ましく、25〜75g/mとすることがより好ましい。
裏下層を設ける場合は、裏下層を構成するパルプは、中層のパルプよりも、白色度が高く、裏層のパルプよりも白色度が低いパルプを使用する。裏下層には、上記表層や表下層に使用されるパルプを使用してもよいが、通常は、表層と比較して低級な古紙、即ち中質繊維を多く含んだ古紙が使用される。例えば、新聞、雑誌、色上、ボール等の未晒脱墨古紙パルプが使用されるのが一般的である。
裏下層の坪量は、15〜90g/mとすることが好ましく、25〜75g/mとすることがより好ましい。
裏下層の坪量が好ましい下限値以上であれば、裏層と共に、中層の有色異物を充分に隠蔽することができる。また、裏下層の坪量が好ましい上限値以下であれば、充分な紙層強度を得ることができる。
裏層には、表層程の白色度は求められないが、人の目に触れるため、通常、中層よりも白色度の高いパルプが使用される。オフィス用紙等のシュレッダー処理物由来のパルプや石膏ボードに使用されている紙から石膏を剥ぎ取った状態で回収された廃石膏ボード由来のパルプを含ませてもよい。
基紙を構成する古紙パルプとして、シュレッダー処理物由来のパルプおよび廃石膏ボード由来のパルプからなる群から選ばれる少なくとも一種のパルプを用いる場合、この裏層に配合することが好ましい。これらのパルプは、脱墨、漂白処理を行わなくても白色度が比較的高いからである。
ただし、オフィス用紙等のシュレッダー処理物を離解処理したパルプは、細かく裁断された状態で回収されるため、得られるパルプは微細繊維が多いパルプとなる。また、その形状上、離解処理の際に水に馴染み難いため、多量に配合しにくい。廃石膏ボード由来のパルプも微細繊維が多いパルプとなる。
したがって、シュレッダー処理物由来のパルプおよび廃石膏ボード由来のパルプからなる群から選ばれる少なくとも一種のパルプを裏層に用いる場合、これらのパルプは、裏層を構成するパルプの2〜40質量%であることが好ましく、3〜30質量%であることがより好ましい。
裏層の坪量は、15〜90g/mとすることが好ましく、25〜70g/mとすることがより好ましい。中層の坪量は、塗工板紙の用途により必要とされる厚みに応じて、適宜調整される。
裏層の坪量が好ましい下限値以上であれば、中層の有色異物を充分に隠蔽することができる。また、裏層の坪量が好ましい上限値以下であれば、充分な紙層強度を得ることができる。
本発明の製造方法においては、表層の坪量を表下層の坪量よりも小さく、且つ、表下層の坪量を中層の坪量よりも小さくすることが好ましい。より好ましくは、表下層の坪量が、多層抄きされた中層の一層当たりの坪量と同等か、それ以下である。表層、及び表下層の坪量を減らし、中層の坪量を増やすことで、離解古紙の基紙全体としての配合量を高めることができる。
上記、表層から裏層に至る各層に使用されるパルプスラリー組成物には、必要に応じて、適宜、紙力増強剤、耐水化剤、撥水剤、発泡性マイクロカプセル、サイズ剤、染料、歩留向上剤、填料、pH調整剤、スライムコントロール剤、増粘剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、防腐剤、殺鼠剤、防虫剤、保湿剤、鮮度保持剤、脱酸素剤、マイクロカプセル、発泡剤、界面活性剤、電磁シールド材、帯電防止剤、防錆剤、芳香剤、消臭剤等を選択し配合することができる。これらは複数種併用することもできる。
「裏面顔料塗工層」
本発明の製造方法では、まず、基紙の裏層側に顔料とバインダーを含む裏面塗工液を塗工、乾燥し、裏面顔料塗工層を形成する。
裏面顔料塗工層は、顔料がバインダーにより基紙裏層表面に固定されているとともに、バインダーの一部が基紙の内部まで浸透しているので、裏層側からの微細繊維の脱落を防止するものと考えられる。
なお、先に、表面顔料塗工層を形成した後、裏面顔料塗工層を形成すると、裏面顔料塗工層用の塗工液に用いた水が、基紙の内部に浸透し、中層等に用いた古紙パルプ中に含まれる有色成分が基紙の表面側に移ってしまい、表面側の白色度が低下してしまうため、不適である。
顔料としては、一般に、紙・板紙への塗工又は紙への内添に使用される顔料及び填料が挙げられる。具体的に例を挙げるならば、炭酸マグネシウム類;ドロマイト等のカルシウム・マグネシウム炭酸塩類;カオリン、天然クレー、焼成クレー、ろう石、ベントナイト、長石、タルク(滑石)、雲母、ワラストナイト、合成珪酸アルミニウム、合成珪酸カルシウム等の珪酸塩類;天然ゼオライト、合成ゼオライト等の含水アルミノ珪酸塩類;珪藻土、珪石粉、含水微粉珪酸(ホワイトカーボン)、無水微粉珪酸等の珪酸類;合成水酸化アルミ等のアルミニウム水和物;バライト、ブランクフィンクス等の硫酸バリウム類;石膏、合成亜硫酸カルシウム等の硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム類;アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン等の二酸化チタン類;リチウムアルミニウムカーボネート;等が挙げられる。中でも、カオリン、タルク、炭酸カルシウムが好ましい。
裏面塗工液が顔料を含有することにより、塗工板紙を箱等に加工する際に、裏面塗工液から形成された塗工層が割れることを抑制できる。特に、カオリンやタルクは板状顔料であり、用いると裏面のミクロな突起が比較的少なくなり、オフセット印刷後に表面と裏面が擦れても、表面印刷層を荒らしにくくなるため好ましい。また、炭酸カルシウムや二酸化チタンは白色顔料であり、裏層の白色度を高め、印刷適性が改善できるため好ましい。特に、板状顔料としてカオリン、白色顔料として炭酸カルシウムは好ましい顔料である。
顔料の平均粒子径は、0.1〜2.5μmであることが好ましく、0.1〜1.5μmであることがより好ましい。顔料の平均粒子径が好ましい下限値以上であると微細繊維の脱落を抑制するので好ましい。他の顔料の平均粒子径が好ましい上限値以下であると塗工面表面にミクロな突起を少なくすることができるので好ましい。なお、本明細書における顔料の平均粒子径は、沈降法(セディグラフ)により測定し、累積質量が50%となる粒子径を意味する。
バインダーとしては、水系接着剤が好ましい。水系接着剤としては、酸化澱粉、リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、デキストリン、酵素変性澱粉、水溶性澱粉等の澱粉類;スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン−メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの共重合体ラテックス等のアクリル系共重合体ラテックス等のラテックス類;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白等の蛋白類、各種ポリビニルアルコール、各種ポリアクリルアミド、メラミン樹脂等の合成樹脂系接着剤;カルボキシメチルセルロース等の各種セルロース誘導体、等が挙げられ、これら接着剤から1種あるいは2種以上を選択して使用できる。
中でも、バイブロン粘弾性により測定したガラス転移温度が−50〜30℃のラテックスを配合すると、塗工面の柔軟性が増し、耐折れ割れ性が向上するため好ましい。
また、後で述べる第二のカレンダー処理を考慮すると、ラテックスのガラス転移温度は、−50〜−5℃であることがより好ましい。
また、上記ラテックスと共に澱粉を配合することが好ましい。ラテックスと澱粉を併用すると、裏層内部の微細繊維の固定と、裏層の表面の表面強度のバランスがとれるので好ましい。
ラテックスと澱粉の質量比は、100:0〜5:50であることが好ましい。
裏面顔料塗工液は、顔料100質量部に対して、バインダーを4〜1000質量部含有することが好ましく、10〜800質量部含有することがより好ましい。
バインダーの割合が好ましい下限値以上であれば、充分な層間強度を得やすく、製箱時の打ち抜き適性にも優れる。また、バインダーの割合が好ましい上限値以下であれば、製箱時の折り適性に優れる。
裏面顔料塗工液には、必要に応じて、適宜、分散剤、水酸化ナトリウム・アンモニア水等のpH調整剤、消泡剤、蛍光染料、離型剤、耐水化剤、流動性改良剤、スライムコントロール剤、防腐剤、染料、着色顔料等の一種以上を含有させてもよい。
裏面顔料塗工液の塗工量は、0.1〜7.5g/mであることが好ましく、1〜6g/mであることが好ましく、1.5〜4g/mであることがさらに好ましい。なお、本明細書において塗工量は、乾燥塗工量を意味する。
裏面顔料塗工液の塗工量が好ましい下限値以上であれば、裏層側の充分な強度を得やすい。裏面顔料塗工液の塗工量が好ましい上限値以下であれば、箱成形時の折り曲げ適性、及び糊の浸透性を確保しやすい。
裏面塗工液の塗工装置は特に限定するものではなく、公知の塗工装置を用いることができ、例えばブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、スロットダイコーター、グラビアコーター、チャンプレックスコーター、ブラシコーター、スライドビードコーター、ツーロールあるいはメータリングブレード方式のサイズプレスコーター、ビルブレードコーター、ショートドウェルコーター、ゲートロールコーター、キャレンダーによるニップコーター等が適宜用いられる。
これらは、オンマシンコーターであっても、オフマシンコーターであっても構わない。中でもサイズプレスによる塗工が、微細繊維を早い段階で固定できるため好ましい。特に、ロッドメタリングサイズプレスやゲートロールサイズプレスは、一旦塗工液の膜を形成した後、基紙に転写するので、塗工の際に強い圧力がかからず、古紙パルプ由来の着色成分の移動を抑制することができ、好ましい。
「第一のカレンダー処理」
裏面顔料塗工層を形成後、第一のカレンダー処理を行う。この第一のカレンダー処理を行うことで、裏面顔料塗工層が平滑化され、印刷適性に優れた層となると同時に、基紙の表面の表層を緻密化することにより、後から塗工される表面顔料塗工層の表層への浸み込みを防ぐことができる。
使用するカレンダー装置としては、公知のカレンダー装置が使用でき、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトニップカレンダー、ハードニップカレンダー、シューカレンダー等を例示することができる。例えば、6ロール5ニップ、3ロール2ニップなど抄紙機に組み込まれているマシンカレンダーを用いことができる。
第一のカレンダー処理では、裏面顔料塗工層が形成された基紙を、金属ロールと金属ロールの間でニップしてもよいし、金属ロールと樹脂ロールの間でニップしてもよい。
また、第一のカレンダー処理は2ロールの1ニップであってもよく、多段の処理であってもよい。多段の場合は、金属ロールと金属ロールの間のニップだけであってもよいし、金属ロールと樹脂ロールの間のニップだけであってもよいし、金属ロールと金属ロールの間のニップと金属ロールと樹脂ロールの間のニップの双方があってもよい。
第一のカレンダー処理に用いるカレンダーロールは加熱されていてもよい。加熱する場合の温度は、80〜300℃であることが好ましく、120〜200℃であることがより好ましい。
第一のカレンダー処理は、ドライヤーパートの後に設置されているマシンカレンダーで行うことが、紙面温度が高い状態でカレンダー処理ができるので好ましい。
第一のカレンダー処理における線圧は300kN/m以下とすることが好ましく、150kN/m以下とすることがより好ましい。下限値については特に限定しないが。ロール自身の自重で行うこともできる。なお、過剰な線圧は、塗工板紙の密度を高くしてしまい、十分な嵩、強度が得られがたくなる。
「表面顔料塗工層」
第一のカレンダー処理を行った後、表層側に表面顔料塗工層を形成する。表面顔料塗工層は、顔料及びバンダーを含む表面顔料塗工液を塗工、乾燥することで形成できる。表面顔料塗工層は、一層でも多層でもよい。多層の場合、各層ごとに異なる目的で構成することができる。例えば下塗り層を、基紙の低い白色度隠蔽の目的で、上塗り層を、印刷適性付与の目的で、各々構成することができる。
顔料としては、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、サチンホワイト、タルク等の一般塗被紙製造分野で使用されている公知公用の顔料の1種以上が本発明の効果を損なわない上記規定範囲内で、適宜使用できる。特に、炭酸カルシウムは優れた印刷適性をもたらすので好ましい。
バインダーとしては、一般塗被紙製造分野で使用されている公知公用のバインダーが使用できる。好ましいバインダーとしては、前記裏層顔料塗工層で例示したものが使用できる。特に好ましいのはスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスである。
表面顔料塗工液は、顔料100質量部に対して、バインダーを2〜50質量部含有することが好ましく、5〜20質量部含有することがより好ましい。
バインダーの割合が好ましい下限値以上であれば、表面顔料塗工層の塗工層の強度が得ることができる。また、バインダーの割合が好ましい上限値以下であれば、インキ乾燥性が優れるとともに製函適性も優れることになる。
また、必要に応じて、適宜、分散剤、水酸化ナトリウム、アンモニア水等のpH調整剤、消泡剤、蛍光染料、離型剤、耐水化剤、流動性改良剤、スライムコントロール剤、防腐剤、染料、着色顔料等の1種以上を含有させてもよい。
表層側には、裏層側以上に高い印刷適性と白色度が求められる。そのため、表面顔料塗工層の塗工量は裏面顔料塗工層の塗工量よりも多いことが好ましい。換言すれば裏面顔料塗工層の塗工量は表面顔料塗工層の塗工量よりも少ないことが好ましい。
表面顔料塗工層の塗工量は、5〜50g/mであることが好ましく、8〜45g/mであることが好ましく、10〜35g/mであることがさらに好ましい。
表面顔料塗工層を複数回、例えば二回に分けて塗工する場合、一回目(下塗り層)と二回目(上塗り層)の塗工液は同じでもよく、異なっていても良い。特に下塗り層用の表面顔料塗工液と上塗り層用の表面顔料塗工液を塗工し、下塗り層と上塗り層を順次形成することが好ましい。
表面顔料塗工液の塗工装置は特に限定するものではなく、公知の塗工装置を用いることができ、例えばブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、スロットダイコーター、グラビアコーター、チャンプレックスコーター、ブラシコーター、スライドビードコーター、ツーロールあるいはメータリングブレード方式のサイズプレスコーター、ビルブレードコーター、ショートドウェルコーター、ゲートロールコーター、キャレンダーによるニップコーター等が適宜用いられる。
これらは、オンマシンコーターであっても、オフマシンコーターであっても構わないが、前処理の第一のカレンダー処理の後直ぐに表面顔料塗工層を形成すると、表層表面が緻密な状態が維持された状態で塗工できるので好ましい。
「第二のカレンダー処理」
表面顔料塗工層を形成後、第二のカレンダー処理を行う。この第二のカレンダー処理を行うことで、表面顔料塗工層が平滑化され、印刷適性に優れた層となると同時に、裏面の顔料塗工層を更に平滑化処理される。裏面顔料塗工層は、少ない塗工量であっても、二度のカレンダー処理が行われるため、従来技術に比べ印刷適性が改善される。
使用するカレンダーとしえては、公知のカレンダー装置が使用できる。例えば、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトニップカレンダー、ハードニップカレンダー、シューカレンダー等を用いることができる。これらの装置を組み合わせてもよい。
中でも、加熱ロールを用いるグロスカレンダーやソフトニップカレンダーが、表面顔料塗工層の平滑性を高める効果から好ましい。特にソフトニップカレンダーが得られる塗工板紙の密度と平滑性のバランスから好ましい。
ソフトニップカレンダーは、加熱された金属ロールと弾性ロールを備えたカレンダーである。金属ロールは80〜300℃に加熱されていることが好ましく、120〜200℃に加熱されていることがより好ましい。
第二のカレンダー処理におけるソフトニップカレンダーの線圧は3〜180kN/mとすることが好ましく、5〜50kN/mとすることがより好ましい。
第二のカレンダー処理は2ロールの1ニップであってもよく、多段の処理であってもよい。ソフトニップカレンダーで1ニップの処理をする場合は、表面顔料塗工層を金属ロールに接するように処理する。
本発明では、裏面顔料塗工層は、第一のカレンダー処理で既に平滑化が行われているため、平滑化が行われていない表面顔料塗工層の平滑化を行う。加熱された金属ロールに接した表面顔料塗工層は、優れた平滑性と光沢性を得ることができる。
ソフトニップカレンダーで1ニップの処理をする場合でも、裏面顔料塗工層の平滑性も、ある程度向上する。裏面にもソフトニップカレンダーの弾性ロールより圧力がかかるからである。
また、裏面側の紙面温度が表面側ほどではないが上昇するそのため、例えば、裏面顔料塗工層のバインダーとして、ガラス転移温度が−50〜−5℃のラテックスを用いると、塗工層が僅かに可塑化して、平滑化されるものと考えられる。
なお、第二のカレンダー処理を複数台のソフトニップカレンダーで行う場合は、裏面顔料塗工層を金属ロールに接するように処理した後に、表面顔料塗工層を金属ロールに接するように処理することが好ましい。
また、第二のカレンダー処理を、裏面顔料塗工層表面に水分を供給しながら行うことも好ましい。裏面顔料塗工層表面に水分を供給しながら、カレンダー処理する方法としては、例えば、カレンダーのロールに水膜を形成し、裏面顔料塗工層表面に押し付けることにより、水分を付与する方法が挙げられる。また、スプレーなどを用い、裏面顔料塗工層表面に直接付与しても構わない。裏面顔料塗工層表面に水分を供給しながらカレンダー処理を行うと、塗工層表面が湿潤状態でプレスされるため、より平滑な塗工面が得られる。この場合、カレンダー処理の後、シリンダードライヤー等で両面を乾燥することもできる。
水分を供給しながらのカレンダー処理は、金属ロールと金属ロールとの間のニップによる処理でも、金属ロールと樹脂ロールとの間のニップによる処理でも、金属ロールと弾性ロールとの間のニップによる処理(ソフトニップカレンダー)でも差し支えない。
水分を供給しながら、金属ロールと金属ロールとの間、または金属ロールと樹脂ロールとの間のニップによるカレンダー処理を行った後に、さらにソフトニップカレンダーを行ってもよい。
水分の供給量は、水分を供給しながらのカレンダー処理の後、さらにソフトニップカレンダーを行うか否か、第二のカレンダー処理の後における乾燥設備の有無やその能力にもよるが、ウェットの状態で2〜12g/m程度とすることが好ましい。過剰に水を供給すると、乾燥設備が必要となるばかりか、基紙内部に水が浸透し、中層等に用いている古紙パルプの有色成分が表層側に移動してしまい、表面の白色度を下げてしまうことになる。
水分を供給する際は、水だけでなく、ポリアクリルアミドやポリビニルアルコールなどの紙力剤を含有する水を供給してもよい。紙力剤を含有する水を供給すれば、微細繊維の脱落防止効果をさらに高めることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、%は特に断りのない限り質量%である。また、媒体以外の原料の「部」は特に断りのない限り分散媒体を含まない質量部である。
[実施例1]
「表面顔料塗工液(下塗り層用)の調製」
顔料として、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT−OP、ファイマテック社製、平均粒子径0.6μm)の100部、バインダーとして、酸化澱粉(商品名:王子エースY、王子コーンスターチ社製)の3部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:T2548A、JSR社製、ガラス転移温度−34℃、平均粒子径140nm)の14部、分散剤として、ポリアクリル酸ソーダの微量と水を用い、固形分濃度が62%の、表面顔料塗工液(下塗り層用)を調製した。
「表面顔料塗工液(上塗り層用)の調製」
顔料として、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT−OP、前出)の5部、カオリン(商品名:ウルトラホワイト90、BASF社製、平均粒子径0.32μm)の90部、及び二酸化チタン(商品名:KA−100、韓国コスモケミカル社製)の5部を使用し、バインダーとして、酸化澱粉(商品名:エースY、前出)2部、及びスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:B1840、旭化成ケミカルズ社製、平均粒子径95nm)の16部、分散剤として、ポリアクリル酸ソーダの微量と水を用い、固形分濃度が62%の表面顔料塗工液(上塗り層用)を調製した。
「裏面顔料塗工液の調製」
顔料として、カオリン(商品名:ウルトラホワイト90、前出)の70部と、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT−OP、前出)の30部を使用し、バインダーとして酸化澱粉(商品名:王子エースY、前出)の3部、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:T2548A、前出)の14部をそれぞれ添加し、最終的に固形分濃度が26%の裏面顔料塗工液を得た。
「塗工板紙の製造」
抄紙機のワイヤーパートで、表層用パルプを米坪30g/m、表下層用パルプを米坪40g/m、中層用パルプを米坪150g/m、裏層用パルプを米坪50g/mでそれぞれ抄造し、抄合せし、プレスパートで搾水処理をし、米坪270g/mの湿潤状態の基紙を得た。
表層用パルプとしては、上物古紙(印刷、製本業者から回収されたもの)を脱墨したパルプ80%、広葉樹晒クラフトパルプ20%の割合で混合し、白色度85%であるパルプを用いた。
表下層用パルプとしては、色度65%の脱墨雑誌古紙パルプを用いた。
中層用パルプとしては、白色度40%の雑誌古紙パルプを用いた。
裏層用パルプとしては、新聞古紙パルプ45%、雑誌古紙パルプ35%、オフィス古紙のシュレッダー処理物由来のパルプ20%の割合で配合した、白色度53%のパルプを用いた。
その後、ドライヤーパートのプレドライヤーパートである程度乾燥させた後、ロッドメタリング方式のサイズプレスを用い、裏層表面に、上記裏面顔料塗工液を塗工量が4g/mになるように塗工した。
その後、アフタードライヤーパートで乾燥処理をし、次いでマシンカレンダーで第一のカレンダー処理を行った(線圧35kN/m)。第一のカレンダー処理を行ったマシンカレンダーとしては、ソフトニップカレンダーを用いた。
次いで、上記表面顔料塗工液(下塗り層用)をロッドブレードコーターで塗工量が10g/mとなるように塗工し、ドライヤーで乾燥し、さらに、上記表面顔料塗工液(上塗り層用)をロッドブレードコーターで塗工量が10g/mとなるように塗工し、ドライヤーで乾燥した。
その後、第二のカレンダー処理を行い、実施例1の塗工板紙を得た。第二のカレンダー処理としては、ソフトニップカレンダーを用い、表面顔料塗工層側が、ロールの表面温度が200℃に加熱された金属ロールに接するように通紙した(線圧35kN/m)。
[比較例1]
裏面顔料塗工液をサイズプレスでは塗工を行わず、マシンカレンダー処理後にロッドブレードコーターを用いて基紙の裏層表面に塗工し、その後、表面顔料塗工液(下塗り層用)、表面顔料塗工液(上塗り層用)を塗工した以外は実施例1と同様にして比較例1の塗工板紙を得た。
[比較例2]
裏面顔料塗工液をサイズプレスで塗工せず、マシンカレンダー処理後にロッドブレードコーターを用いて基紙の表層表面に表面顔料塗工層(下塗り層用および上塗り層用)を塗工して表面顔料塗工層を形成したのち、ロッドブレードコーターを用いて基紙の裏層表面に、裏面顔料塗工液を塗工した以外は実施例1と同様にして比較例2の塗工板紙を得た。
[実施例2]
裏層用パルプとして、新聞古紙パルプ50%、雑誌古紙パルプ50%、の割合で配合した、白色度48%のパルプを用いた以外は実施例1と同様にして実施例2の塗工板紙を得た。
[実施例3]
第二のカレンダー処理を下記条件に変更し、第二のカレンダー処理を行った後に、二本のシリンダードライヤーで両面を乾燥した以外は実施例2と同様にして、実施例3の塗工板紙を得た。
「カレンダー処理条件」
金属ロール3本のカレンダーを用い、一番下のロールに水を供給した。一番上のロールと上から二番目のロールのニップに、上から二番目のロールに表面顔料塗工層が接するように通紙し、次いで上から二番目のロールと一番下のロールのニップに、一番下のロールに裏面顔料塗工層が接するように通紙した。各ニップの線圧は20kN/mであった。裏側顔料塗工層表面に供給した水の量は8g/mであった。
[実施例4]
第二のカレンダー処理において、水に代えて、ポリビニルアルコールの0.1%水溶液を用いた以外は実施例3と同様にして、実施例4の塗工板紙を得た。
[ブランク1]
実施例1と同様にして米坪270g/mの湿潤状態の基紙を得た。その後、サイズプレスを行わなかった他は実施例1と同様にして、第一のカレンダー処理、表面顔料塗工層、第二のカレンダー処理を施したブランク1を用意した。
[ブランク2]
裏層用パルプとして、新聞古紙パルプ50%、雑誌古紙パルプ50%、の割合で配合した、白色度48%のパルプを用いた以外はブランク1と同様にしてブランク2を得た。
[評価方法]
各実施例、比較例の塗工板紙について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
「裏面の着肉性」
得られた塗工板紙をカッターで断裁し、15cm×20cmの平版サンプルを得た。JIS−K5701(平版インキ及び凸版インキの試験方法)に規定されている展色装置(一般に紙パルプの分野でRI印刷機として利用されている装置)を用い、インクとしてTKハイエコー(墨)(東洋インキ社製)を0.5cc取り、2分間練った後、サンプルの裏面に転写させて1時間放置後、インク着肉状態を以下の通り官能評価した。なお、実施例1、比核例1,2についてはブランク1と、実施例2〜4については、ブランク2と比較した。
◎:ブランクと比較し非常に良好。
○:ブランクと比較し良好。
△:ブランクと比較し若干良好。
×:ブランクと同等レベル。
「耐白抜け性」
得られた塗工板紙をカッターで断裁し、平版サンプルを得た。枚葉オフセット印刷機を使用して、上記の平判サンプルの裏面へのベタ印刷を連続で1050枚行い、1000枚目から1050枚目までのベタ印刷部における白抜け部分の発生量を以下の基準で評価した。
◎:白抜けがない。
○:僅かに白抜けが認められるが、実用上問題ない。
△:白抜けがあり、用途によっては問題が生じる。
×:白抜けが、非常に目立ち、実用上問題ある。
「表面の白色度ムラ」
得られた塗工板紙裏面の白色度ムラの程度を目視にて評価した。
◎:均一で白色度ムラがない。
○:一部白色度ムラが認められるが、実用上問題ない。
△:白色度ムラが目立ち、実用上問題ある。
×:白色度ムラが、非常に目立つ。
「裏面の面質」
得られた塗工板紙の裏面側の紙面の面質を目視にて確認し、以下の基準で評価した。
◎:平滑性、光沢感、白色度のいずれも優れる。
○:平滑性、光沢感、白色度のうち一つがやや劣るが実用上問題はない。
△:平滑性、光沢感、白色度のうち二つがやや劣るが実用上問題はない。
×:平滑性、光沢感、白色度のうち一つ以上が劣り、実用上問題ある。
Figure 2019189977
表1に示すように、実施例の塗工板紙は、いずれも、裏面のインク着肉性に優れ、白抜けが抑制されており、表面の白色ムラも目立たなかった。
これに対して、裏層側のカレンダー処理を第ニのカレンダー処理であるソフトニップカレンダーだけでカレンダー処理した比較例1では白抜けが生じた。これは、裏層側の塗工層のカレンダー処理が充分でなかったためであると考えられる。
また、裏面顔料塗工層よりも先に表面顔料塗工層を設けた比較例2では、裏面のインク着肉性と耐白抜け性については良好であったものの、表面の白色ムラが目立った。これは、裏面顔料塗工層を塗工した際の水分により、中層等に多く含まれる有色成分が表面側に移動したためと考えられる。
裏面顔料塗工の塗工量は、0.1〜7.5g/mであることが好ましく、1〜6g/mであることが好ましく、1.5〜4g/mであることがさらに好ましい。なお、本明細書において塗工量は、乾燥塗工量を意味する。
裏面顔料塗工の塗工量が好ましい下限値以上であれば、裏層側の充分な強度を得やすい。裏面顔料塗工の塗工量が好ましい上限値以下であれば、箱成形時の折り曲げ適性、及び糊の浸透性を確保しやすい。

Claims (7)

  1. 少なくとも表層、中層、裏層を有する基紙を形成し、前記基紙の裏層表面に顔料とバインダーを含む裏面顔料塗工層を形成した後、第一のカレンダー処理を行い、
    次いで、前記基紙の表層表面に顔料とバインダーを含む表面顔料塗工層を形成した後、第二のカレンダー処理を行うことを特徴とする塗工板紙の製造方法。
  2. 前記第二のカレンダー処理が、ソフトニップカレンダーおよびグロスカレンダーから選ばれる一種である、請求項1に記載の塗工板紙の製造方法。
  3. 前記第二のカレンダー処理を、裏面顔料塗工層表面に水分を供給しながら行う、請求項1または2に記載の塗工板紙の製造方法。
  4. 前記裏面顔料塗工液の塗工量が、前記表面顔料塗工液の塗工量より少ない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗工板紙の製造方法。
  5. 前記裏面顔料塗工液の塗工量が0.1〜7.5g/mである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗工板紙の製造方法。
  6. 前記表面顔料塗工液の塗工量が5〜30g/mである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の塗工板紙の製造方法。
  7. 前記裏面顔料塗工液の塗工をサイズプレスで行う、請求項1〜6のいずれか一項に記載の塗工板紙の製造方法。
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