<第1実施形態>
以下、本発明に係る駆動回路を具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、制御システムは、回転電機10と、電力変換器としてのインバータ20と、昇圧コンバータ30と、蓄電池40と、制御装置50とを備えている。本実施形態において、回転電機10は、星形結線された3相の巻線11を備えている。制御システムは、例えば車両に搭載されている。この場合、回転電機10のロータは、例えば、車両の駆動輪と動力伝達が可能なように接続されている。回転電機10は、例えば同期機である。
回転電機10は、インバータ20及び昇圧コンバータ30を介して蓄電池40に接続されている。なお、昇圧コンバータ30及びインバータ20の間には、平滑コンデンサ21が設けられている。
昇圧コンバータ30は、蓄電池40の出力電圧を目標電圧VH*まで昇圧してインバータ20に出力する機能を有している。
インバータ20は、U,V,W相それぞれについて、上,下アームスイッチ素子の直列接続体を備えている。本実施形態では、上,下アームそれぞれが、第1,第2スイッチ素子SWA,SWBの並列接続体で構成されている。上アームにおいて、各スイッチ素子SWA,SWBの高電位側端子には、平滑コンデンサ21の第1端が接続され、下アームにおいて、各スイッチ素子SWA,SWBの低電位側端子には、平滑コンデンサ21の第2端が接続されている。上アームの各スイッチ素子SWA,SWBの低電位側端子には、下アームの各スイッチ素子SWA,SWBの高電位側端子が接続されている。上アームの各スイッチ素子SWA,SWBの低電位側端子と下アームの各スイッチ素子SWA,SWBの高電位側端子との接続点には、回転電機10の巻線11の第1端が接続されている。各相の巻線11の第2端は、中性点で接続されている。本実施形態では、各スイッチ素子SWA,SWBとしてIGBTが用いられている。このため、各スイッチ素子SWA,SWBの高電位側端子はコレクタであり、低電位側端子はエミッタである。第1,第2スイッチ素子SWA,SWBには、第1,第2フリーホイールダイオードDA,DBが逆並列に接続されている。なお、本実施形態において、第1,第2スイッチ素子SWA,SWBのそれぞれが第1,第2スイッチ部を構成する。
制御システムは、電圧検出部22と、相電流検出部23と、角度検出部24とを備えている。電圧検出部22は、平滑コンデンサ21の端子電圧を電源電圧VHrとして検出する。相電流検出部23は、回転電機10に流れる各相電流のうち、少なくとも2相分の電流を検出する。角度検出部24は、例えばレゾルバであり、回転電機10のロータの電気角に応じた信号である角度信号を出力する。各検出部22〜24の出力信号は、制御装置50に入力される。
制御装置50は、電圧検出部22により検出された電源電圧VHrを目標電圧VH*に制御すべく昇圧コンバータ30を制御する。制御装置50は、各検出部22〜24の検出値に基づいて、回転電機10の制御量をその指令値に制御すべく、インバータ20を制御する。制御量は、例えばトルクである。制御装置50は、デッドタイムを挟みつつインバータ20の上,下アームのスイッチ素子を交互にオン状態とすべく、上,下アームそれぞれのスイッチ素子に対応する駆動信号を駆動回路60に出力する。駆動信号は、スイッチ素子のオン状態への切り替えを指示するオン指令と、オフ状態への切り替えを指示するオフ指令とのいずれかをとる。駆動回路60は、各相各アームに対応して個別に設けられている。
続いて、図2を用いて、駆動回路60の構成について説明する。
駆動回路60は、第1ドライブIC70及び第2ドライブIC80を備えている。第1ドライブIC70は、第1スイッチ素子SWAを駆動対象とし、第2ドライブIC80は第2スイッチ素子SWBを駆動対象とする。
第1ドライブIC70は、第1充電スイッチ71及び第1放電スイッチ72を備えている。本実施形態において、第1充電スイッチ71はPチャネルMOSFETであり、第1放電スイッチ72はNチャネルMOSFETである。第1充電スイッチ71のソースには、第1定電圧電源73が接続されている。
駆動回路60は、第1充電抵抗体74、第1共通抵抗体75及び第1放電抵抗体76を備えている。第1充電スイッチ71のドレインには、第1充電抵抗体74の第1端が接続され、第1充電抵抗体74の第2端には、第1共通抵抗体75の第1端が接続されている。第1共通抵抗体75の第2端には、第1スイッチ素子SWAのゲートが接続されている。
第1共通抵抗体75の第1端には、第1放電抵抗体76の第1端が接続され、第1放電抵抗体76の第2端には、第1放電スイッチ72のドレインが接続されている。第1放電スイッチ72のソースには、第1スイッチ素子SWAのエミッタが接続されている。
第2ドライブIC80は、第2充電スイッチ81及び第2放電スイッチ82を備えている。本実施形態において、第2充電スイッチ81はPチャネルMOSFETであり、第2放電スイッチ82はNチャネルMOSFETである。第2充電スイッチ81のソースには、第2定電圧電源83が接続されている。
駆動回路60は、第2充電抵抗体84、第2共通抵抗体85及び第2放電抵抗体86を備えている。第2充電スイッチ81のドレインには、第2充電抵抗体84の第1端が接続され、第2充電抵抗体84の第2端には、第2共通抵抗体85の第1端が接続されている。第2共通抵抗体85の第2端には、第2スイッチ素子SWBのゲートが接続されている。
第2共通抵抗体85の第1端には、第2放電抵抗体86の第1端が接続され、第2放電抵抗体86の第2端には、第2放電スイッチ82のドレインが接続されている。第2放電スイッチ82のソースには、第2スイッチ素子SWBのエミッタが接続されている。
インバータ20は、第1スイッチ素子SWAの温度を検出する第1温度検出部100と、第2スイッチ素子SWBの温度を検出する第2温度検出部110とを備えている。各温度検出部100,110は、例えば感温ダイオードで構成されている。第1,第2温度検出部100,110は、例えば、第1,第2スイッチ素子SWA,SWBを含む半導体モジュールに内蔵されている。第1温度検出部100の検出値は、第1駆動制御部77に入力され、第2温度検出部110の検出値は、第2駆動制御部87に入力される。
第1駆動制御部77は、制御装置50から取得した第1駆動信号G1に基づいて、第1充電スイッチ71及び第1放電スイッチ72をオンオフする。第1駆動制御部77は、取得した第1駆動信号G1がオン指令であると判定した場合、第1充電スイッチ71をオン状態にし、第1放電スイッチ72をオフ状態とする充電処理を行う。これにより、第1スイッチ素子SWAのゲートに充電電流が供給され、第1スイッチ素子SWAのゲート電圧が第1スイッチ素子SWAの閾値電圧Vth以上とされる。その結果、第1スイッチ素子SWAがオン状態に切り替えられ、第1スイッチ素子SWAのコレクタからエミッタへの電流の流通が許容される。
第1駆動制御部77は、取得した第1駆動信号G1がオフ指令であると判定した場合、第1充電スイッチ71をオフ状態にし、第1放電スイッチ72をオン状態にする放電処理を行う。これにより、第1スイッチ素子SWAのゲート電圧が閾値電圧Vth未満となり、第1スイッチ素子SWAがオフ状態に切り替えられる。
第2駆動制御部87は、制御装置50から取得した第2駆動信号G2に基づいて、第2充電スイッチ81及び第2放電スイッチ82をオンオフする。第2駆動制御部87は、取得した第2駆動信号G2がオン指令であると判定した場合、第2充電スイッチ81をオン状態にし、第2放電スイッチ82をオフ状態とする充電処理を行う。これにより、第2スイッチ素子SWBのゲート電圧が第2スイッチ素子SWBの閾値電圧Vth以上とされ、第2スイッチ素子SWBがオン状態に切り替えられる。
第2駆動制御部87は、取得した第2駆動信号G2がオフ指令であると判定した場合、第2充電スイッチ81をオフ状態にし、第2放電スイッチ82をオン状態にする放電処理を行う。これにより、第2スイッチ素子SWBのゲート電圧が閾値電圧Vth未満となり、第2スイッチ素子SWBがオフ状態に切り替えられる。
なお、第1,第2駆動制御部77,87が提供する機能は、例えば、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ハードウェア、又はそれらの組み合わせによって提供することができる。
本実施形態において、第1スイッチ素子SWAの電流容量である第1電流容量CpAは、第2スイッチ素子SWBの電流容量である第2電流容量CpBよりも小さい。本実施形態において、電流容量は、1つのスイッチ素子に流れる電流(コレクタ電流)の許容上限値である。電流容量は、例えば、スイッチ素子の故障が発生しないように設定される。なお、本実施形態において、電流容量を決める要素には、スイッチ素子のチップサイズのみならず、半導体元素(例えばSi,SiC,GaNなど)や、スイッチ素子の冷却性能も含まれる。本実施形態において、第1電流容量CpAと第2電流容量CpBとの大小関係は、これら要因が総合的に調整されて定まったものである。このため、複数のスイッチ素子の並列接続体において、例えば、各スイッチ素子の元素が互いに異なっていたとしても、必ずしも、各スイッチ素子の電流容量が互いに異なるものになるとは限らない。
また本実施形態において、オン状態とされている第1スイッチ素子SWAのオン抵抗は、オン状態とされている第2スイッチ素子SWBのオン抵抗よりも大きい。このため、第1,第2スイッチ素子SWA,SWBの双方がオン状態とされている場合、第1スイッチ素子SWAに流れるコレクタ電流よりも、第2スイッチ素子SWBに流れるコレクタ電流の方が大きい。
制御装置50は、相電流検出部23により検出された相電流の振幅に基づいて、第1,第2スイッチ素子SWA,SWBの中からオン状態への切り替え対象とするスイッチ素子を選択する。
図3に、制御装置50により実行される処理の手順を示す。この処理は、例えば所定の制御周期で繰り返し実行される。
ステップS10では、相電流検出部23により検出された相電流を取得する。ステップS10の処理が電流取得部に相当する。
ステップS11では、取得した相電流の振幅が小電流領域に含まれるか否かを判定する。小電流領域は、0よりも大きくてかつ第1判定電流IH1以下の領域である。本実施形態において、第1判定電流は、第1電流容量CpAに設定されている。
ステップS11において肯定判定した場合には、ステップS12に進み、第1,第2スイッチ素子SWA,SWBのうち、第1スイッチ素子SWAのみをオン状態への切り替え対象として選択する。このため、第1駆動制御部77に対して出力する第1駆動信号G1が、オン指令及びオフ指令が交互に出現する信号とされる。これにより、第1スイッチ素子SWAがオンオフされる。一方、第2駆動制御部87に対して出力する第2駆動信号G2がオフ指令とされる。これにより、第2スイッチ素子SWBがオフ状態に維持される。
ステップS11において否定判定した場合には、ステップS13に進み、相電流の振幅が、小電流領域よりも大きい中電流領域に含まれるか否かを判定する。中電流領域は、第1判定電流IH1よりも大きくてかつ第2判定電流IH2(>IH1)以下の領域である。本実施形態において、第2判定電流IH2は、第2電流容量CpBに設定されている。
ステップS13において肯定判定した場合には、ステップS14に進み、第1,第2スイッチ素子SWA,SWBのうち、第2スイッチ素子SWAのみをオン状態への切り替え対象として選択する。このため、第1駆動制御部77に対して出力する第1駆動信号G1がオフ指令とされる。一方、第2駆動制御部87に対して出力する第2駆動信号G2が、オン指令及びオフ指令が交互に出現する信号とされる。
ステップS13において否定判定した場合には、ステップS15に進み、相電流の振幅が、中電流領域よりも大きい大電流領域に含まれるか否かを判定する。大電流領域は、第2判定電流IH2よりも大きい電流領域である。具体的には、大電流領域は、第2判定電流IH2よりも大きくてかつ第3判定電流IH3(>IH2)以下の領域である。本実施形態において、第3判定電流IH3は、第1電流容量CpA及び第2電流容量CpBの和に設定されている。
ステップS15において肯定判定した場合には、ステップS16に進み、第1,第2スイッチ素子SWA,SWBの双方をオン状態への切り替え対象として選択する。このため、第1,第2駆動制御部77,87に対して出力する第1,第2駆動信号G1,G2が、オン指令及びオフ指令が交互に出現する信号とされる。ここでは、オン指令への切り替えタイミング及びオフ指令への切り替えタイミングのそれぞれは、第1,第2駆動信号G1,G2において同期させられている。
なお、ステップS15において否定判定した場合には、過電流が流れていると判定し、第1,第2スイッチ素子SWA,SWBを強制的にオフ状態に切り替えてもよい。また、ステップS11〜S16の処理が選択部に相当する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
第2スイッチ素子SWBの第2電流容量CpBが、第1スイッチ素子SWAの第1電流容量CpAよりも大きくされている。このため、相電流の振幅が大きい場合であったとしても、第1,第2スイッチ素子SWA,SWBの電流容量が互いに等しい構成と比較して、並列接続されるスイッチ素子の数を減らすことができる。これにより、スイッチ素子を駆動する駆動制御部を減らすことができ、ひいては駆動回路60の回路規模を小さくすることができる。
また、本実施形態によれば、各スイッチ素子SWA,SWBの並列接続体に流れようとする電流量に応じて、オン状態への切り替え対象として選択するスイッチ素子の数を細かく切り替えることができる。例えば、各スイッチ素子SWA,SWBの双方の電流容量が第1電流容量CpAである構成を比較例とする。比較例では、各スイッチ素子SWA,SWBの並列接続体に流れようとする電流量が第2電流容量CpB(>CpA)と同じ値である場合、第1,第2スイッチ素子SWA,SWBの双方をオン状態に切り替えなければならない。これに対し、本実施形態では、第1,第2スイッチ素子SWA,SWBの電流容量CpA,CpBが異なる。このため、各スイッチ素子SWA,SWBの並列接続体に流れようとする電流量が第2電流容量CpBと同じ値である場合、第2スイッチ素子SWBのみをオン状態に切り替えればよい。これにより、スイッチ素子の駆動状態を切り替える場合に駆動回路60で発生する損失を低減することができる。
<第1実施形態の変形例1>
第2電流容量CpBを第1電流容量CpAよりも大きくするために、第2スイッチ素子SWBのチップサイズが、第1スイッチ素子SWAのチップサイズよりも大きくされていてもよい。
<第1実施形態の変形例2>
第1,第2スイッチ素子SWA,SWBのそれぞれがIGBTである構成に限らない。例えば、第1スイッチ素子SWAがNチャネルMOSFETであり、第2スイッチ素子SWBがIGBTである構成であってもよい。この場合、電流が所定電流よりも小さい領域においては、第1スイッチ素子SWAのドレイン電流に対するドレイン及びソース間電圧が、第2スイッチ素子SWBのコレクタ電流に対するコレクタ及びエミッタ間電圧よりも低い。一方、電流が所定電流よりも大きい領域においては、第2スイッチ素子SWBのコレクタ電流に対するコレクタ及びエミッタ間電圧が、第1スイッチ素子SWAのドレイン電流に対するドレイン及びソース間電圧よりも低い。
<第1実施形態の変形例3>
図4に示すように、制御装置50からの共通の駆動信号Gが、第1駆動制御部77及び第2駆動制御部87のそれぞれに入力されてもよい。図4において、先の図2に示した構成と同一の構成については、便宜上、同一の符号を付している。
制御装置50は、第1スイッチ素子SWAをオン状態に切り替える指令を第1駆動制御部77に対して出力し、第2スイッチ素子SWBをオン状態に切り替える指令を第2駆動制御部87に対して出力する。第1駆動制御部77は、第1スイッチ素子SWAのオン状態への切り替え指令が入力されていると判定していることを条件として、入力される駆動信号Gに基づいて、第1実施形態と同様に充電処理又は放電処理を行う。また、第2駆動制御部87は、第2スイッチ素子SWBのオン状態への切り替え指令が入力されていると判定していることを条件として、入力される駆動信号Gに基づいて、第1実施形態と同様に充電処理又は放電処理を行う。
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、第1温度検出部100により検出された温度である第1温度TDAが第1判定温度TthAを超えて、かつ、第2温度検出部110により検出された温度である第2温度TDBが第2判定温度TthB以下である場合、第1駆動信号G1がオン指令とされているときであっても、第1スイッチ素子SWAがオフ状態に維持される。また、第1温度TDAが第1判定温度TthA以下であって、かつ、第2温度TDBが第2判定温度TthBを超えている場合、第2駆動信号G2がオン指令とされているときであっても、第2スイッチ素子SWBがオフ状態に維持される。また、第1温度TDAが第1判定温度TthAを超えてかつ第2温度TDBが第2判定温度TthBを超えている場合、第1,第2スイッチ素子SWA,SWBの双方がオン状態となることを許可する。本実施形態において、第1温度TDA及び第2温度TDAの情報は、制御装置50に入力される。
図5に、制御装置50により実行される処理の手順を示す。この処理は、例えば所定の制御周期で繰り返し実行される。
ステップS20では、第1温度TDA及び第2温度TDBを取得する。ステップS20の処理が温度取得部に相当する。
ステップS21では、第1温度TDAが第1判定温度TthAを超えているか否かを判定する。第1判定温度TthAは、例えば、第1スイッチ素子SWAの許容上限温度に設定されている。
ステップS21において第1温度TDAが第1判定温度TthA以下であると判定した場合には、ステップS22に進み、第2温度TDBが第2判定温度TthBを超えているか否かを判定する。第2判定温度TthBは、例えば、第2スイッチ素子SWBの許容上限温度に設定されている。
ステップS22において第2温度TDBが第2判定温度TthB以下であると判定した場合には、ステップS23に進み、第1,第2スイッチ素子SWA,SWBの双方をオン状態への切り替え対象として選択する。
ステップS22において第2温度TDBが第2判定温度TthBを超えていると判定した場合には、ステップS24に進み、第1,第2スイッチ素子SWA,SWBのうち、第1スイッチ素子SWAのみをオン状態への切り替え対象として選択する。
ステップS21において第1温度TDAが第1判定温度TthAを超えていると判定した場合には、ステップS25に進み、第2温度TDBが第2判定温度TthBを超えているか否かを判定する。ステップS25において第2温度TDBが第2判定温度TthB以下であると判定した場合には、ステップS26に進み、第1,第2スイッチ素子SWA,SWBのうち、第2スイッチ素子SWBのみをオン状態への切り替え対象として選択する。一方、ステップS25において第2温度TDBが第2判定温度TthBを超えていると判定した場合には、ステップS23に進む。ステップS23の処理によれば、第1,第2スイッチ素子SWA,SWBのうち、いずれか一方が発熱し続けることを防止できる。
なお、ステップS21〜S24の処理が選択部に相当する。
以上説明した本実施形態によれば、第1,第2スイッチ素子SWA,SWBの温度に応じて、第1,第2スイッチ素子SWA,SWBの中からオン状態への切り替え対象を適正に選択することができる。
<第2実施形態の変形例>
各温度検出部100,110は、スイッチ素子の温度に代えて、スイッチ素子の温度と相関を有する温度を検出してもよい。スイッチ素子の温度と相関を有する温度としては、例えば、スイッチの雰囲気温度又はスイッチを内蔵する半導体モジュールを冷却する冷却流体の温度が挙げられる。
<第3実施形態>
以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、相電流に代えて、センス電圧に基づいてオン状態への切り替え対象とするスイッチ素子を選択する。
図6に、本実施形態に係る駆動回路60を示す。図6において、先の図2に示した構成と同一の構成については、便宜上、同一の符号を付している。
第1スイッチ素子SWAは、自身に流れるコレクタ電流と相関を有する微小電流が流れる第1センス端子StAを有している。第1センス端子StAには、第1センス抵抗体78の第1端が接続され、第1センス抵抗体78の第2端には、第1スイッチ素子SWAのエミッタが接続されている。第1センス端子StAに流れる微少電流によって第1センス抵抗体78に電圧降下量が生じる。このため、第1センス抵抗体78のうち第1センス端子StA側の電位である第1センス電圧VseAは、コレクタ電流と相関を有する電気的な状態量となる。本実施形態では、第1スイッチ素子SWAのエミッタ電位を0とし、このエミッタ電位よりも高い第1センス電圧VseAの符号を正と定義する。
第1センス抵抗体78の第1端には、第1ドライブIC70の第1コンパレータ101の非反転入力端子が接続されている。第1コンパレータ101の反転入力端子には、第1電流閾値VTAが入力される。第1電流閾値VTAは、第1スイッチ素子SWAに過電流が流れていることを判定できる値に設定されている。第1センス電圧VseAが第1電流閾値VTAよりも低い場合、第1コンパレータ101の出力信号の論理はLとなる。一方、第1センス電圧VseAが第1電流閾値VTAよりも大きい場合、第1コンパレータ101の出力信号の論理はHとなる。
第1駆動制御部77には、第1コンパレータ101の出力信号が入力される。第1駆動制御部77は、第1コンパレータ101の出力信号の論理がLであると判定している場合、入力される第1駆動信号G1に従って、充電処理又は放電処理を行う。一方、第1駆動制御部77は、第1コンパレータ101の出力信号の論理がHであると判定している場合、入力される第1駆動信号G1の論理にかかわらず、充電処理の実行を禁止し、放電処理を行う。これにより、第1スイッチ素子SWAがオフ状態に維持される。
第2スイッチ素子SWBは、自身に流れるコレクタ電流と相関を有する微小電流が流れる第2センス端子StBを有している。第2センス端子StBには、第2センス抵抗体88の第1端が接続され、第2センス抵抗体88の第2端には、第2スイッチ素子SWBのエミッタが接続されている。この構成により、第2センス抵抗体88のうち第2センス端子StB側の電位である第2センス電圧VseBは、コレクタ電流と相関を有する電気的な状態量となる。本実施形態では、第2スイッチ素子SWBのエミッタ電位を0とし、このエミッタ電位よりも高い第2センス電圧VseBの符号を正と定義する。
第2センス抵抗体88の第1端には、第2ドライブIC80の第2コンパレータ111の非反転入力端子が接続されている。第2コンパレータ111の反転入力端子には、第2電流閾値VTBが入力される。第2電流閾値VTBは、第2スイッチ素子SWBに過電流が流れていることを判定できる値に設定されている。本実施形態では、第2電流閾値VTBが第1電流閾値VTAよりも大きい値に設定されている。
第2センス電圧VseBが第2電流閾値VTBよりも低い場合、第2コンパレータ111の出力信号の論理はLとなる。一方、第2センス電圧VseBが第2電流閾値VTBよりも大きい場合、第2コンパレータ111の出力信号の論理はHとなる。
第2駆動制御部87には、第2コンパレータ111の出力信号が入力される。第2駆動制御部87は、第2コンパレータ111の出力信号の論理がLであると判定している場合、入力される第2駆動信号G2に従って、充電処理又は放電処理を行う。一方、第2駆動制御部87は、第2コンパレータ111の出力信号の論理がHであると判定している場合、入力される第2駆動信号G2の論理にかかわらず、充電処理の実行を禁止し、放電処理を行う。これにより、第2スイッチ素子SWBがオフ状態に維持される。
以上説明した本実施形態によれば、過電流が流れていると判定されたスイッチ素子がオフ状態にすることができる。
<第4実施形態>
以下、第4実施形態について、第3実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図7に示すように、インバータ20の各相各アームは、3つのスイッチ素子の並列接続体で構成されている。3つ目のスイッチ素子を第3スイッチSWCと称すこととする。第3スイッチSWCには、第3フリーホイールダイオードDCが逆並列に接続されている。図7において、先の図1に示した構成と同一の構成については、便宜上、同一の符号を付している。
図8に、本実施形態に係る駆動回路60を示す。図8において、先の図6に示した構成と同一の構成については、便宜上、同一の符号を付している。また、本実施形態において、図6に示した第2共通抵抗体85を第2A共通抵抗体85aと称すこととする。
第1ドライブIC70は、第1スイッチSWAを駆動対象とし、第2ドライブIC80は第2,第3スイッチSWB,SWCを駆動対象とする。本実施形態において、第1スイッチ素子SWAが第1スイッチ部に相当し、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCの並列接続体が第2スイッチ部に相当する。また、第3スイッチ素子SWCの電流容量を第3電流容量CpCとする。本実施形態では、第2電流容量CpB及び第2電流容量CpBの加算値が第1電流容量CpAよりも大きくなるように、各電流容量CpA,CpB,CpCが設定されている。各電流容量は、互いに異なる値とされている。一例として、本実施形態では、「CpC>CpB>CpA」とされている。なお、この他にも、例えば、「CpA<CpB=CpC」又は「CpA=CpB<CpC」とすることもできる。
駆動回路60は、第2B共通抵抗体85bを備えている。第2B共通抵抗体85bの第1端には、第2充電抵抗体84の第2端が接続されている。第2B共通抵抗体85bの第2端には、第3スイッチSWCのゲートが接続されている。第2A共通抵抗体85a及び第2B共通抵抗体85bそれぞれの第1端には、第2放電抵抗体86の第1端が接続され、第2放電抵抗体86の第2端には、第2放電スイッチ82のドレインが接続されている。第2放電スイッチ82のソースには、第2,第3スイッチSWB,SWCのエミッタが接続されている。本実施形態において、第2A共通抵抗体85aの抵抗値と、第2B共通抵抗体85bの抵抗値とは同じ値にされている。
第2駆動制御部87は、制御装置50から取得した第2駆動信号G2に基づいて、第2充電スイッチ81及び第2放電スイッチ82をオンオフする。これにより、本実施形態では、第2スイッチ素子SWB及び第3スイッチ素子SWAが同期してオンオフ操作される。
第3スイッチ素子SWCは、自身に流れるコレクタ電流と相関を有する微小電流が流れる第3センス端子StCを有している。第3センス端子StCには、第3センス抵抗体89の第1端が接続され、第3センス抵抗体89の第2端には、第3スイッチ素子SWCのエミッタが接続されている。この構成により、第3センス抵抗体89のうち第3センス端子StC側の電位である第3センス電圧VseCは、コレクタ電流と相関を有する電気的な状態量となる。本実施形態では、第3スイッチ素子SWCのエミッタ電位を0とし、このエミッタ電位よりも高い第3センス電圧VseCの符号を正と定義する。
第1センス電圧VseAは、第1駆動制御部77に入力される。第2センス電圧VseB及び第3センス電圧VseCは、第2駆動制御部87に入力される。第1駆動制御部77及び第2駆動制御部87のそれぞれは、自身が取得したセンス電圧を互いにやりとり可能に構成されている。
本実施形態では、図9に示すように、正弦波状の相電流の振幅の大きさに応じて、相電流の半周期においてオン状態への切り替え対象とするスイッチ素子を都度変更する。なお図9には、相電流が正の半周期の場合を示したが、相電流が負の半周期となる場合においても同様に実施される。
図10に、第1駆動制御部77により実行される処理の手順を示す。この処理は、例えば所定の制御周期で繰り返し実行される。
ステップS30では、第1〜第3センス電圧VseA〜VseCを取得する。第2,第3センス電圧VseB,VseCは、例えば、第2駆動制御部87から直接取得してもよいし、第2,第3センス電圧VseB,VseCが制御装置50に入力される場合、第2駆動制御部87及び制御装置50を介して取得してもよい。ステップS30の処理が電流取得部に相当する。
ステップS31では、取得した第1〜第3センス電圧VseA〜VseCの和に基づいて、第1〜第3スイッチ素子SWA〜SWCの並列接続体に流れる電流の合計値である合計電流が小電流領域に含まれるか否かを判定する。小電流領域は、第1電流領域に相当し、0よりも大きくてかつ第1判定電流IK1以下の領域である。本実施形態において、第1判定電流IK1は、第1電流容量CpAに設定されている。
ステップS31において否定判定した場合には、ステップS32に進み、合計電流が大電流領域に含まれるか否かを判定する。大電流領域は、第2電流領域に相当し、第2判定電流IK2(>IK1)よりも大きくてかつ第3判定電流IK3(>IK2)以下の領域である。本実施形態において、第2判定電流IK2は、第2電流容量CpB及び第3電流容量CpCの加算値に設定され、第3判定電流IK3は、第1電流容量CpA、第2電流容量CpB及び第3電流容量CpCの加算値に設定されている。
ステップS32において否定判定した場合には、合計電流が中電流領域に含まれると判定し、第1スイッチ素子SWAのオフ状態を維持する。中電流領域は、第1判定電流IK1よりも大きくてかつ第2判定電流IK2以下の領域である。
ステップS31又はS32において肯定判定した場合には、ステップS33に進み、第1スイッチ素子SWAをオン状態への切り替え対象として選択する。
図11に、第2駆動制御部87により実行される処理の手順を示す。この処理は、例えば所定の制御周期で繰り返し実行される。
ステップS40では、第1〜第3センス電圧VseA〜VseCを取得する。第1センス電圧VseAは、例えば、第1駆動制御部77から直接取得してもよいし、第1センス電圧VseAが制御装置50に入力される場合、第1駆動制御部77及び制御装置50を介して取得してもよい。ステップS40の処理が電流取得部に相当する。
ステップS41では、取得した第1〜第3センス電圧VseA〜VseCの和に基づいて、上記合計電流が中電流領域に含まれるか否かを判定する。
ステップS41において否定判定した場合には、ステップS42に進み、合計電流が大電流領域に含まれるか否かを判定する。ステップS42において否定判定した場合には、合計電流が小電流領域に含まれると判定し、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCのオフ状態を維持する。
ステップS41又はS42において肯定判定した場合には、ステップS43に進み、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCをオン状態への切り替え対象として選択する。
なお、図10のステップS31〜S33及び図11のステップS41〜S43が選択部に相当する。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
・第2,第3スイッチ素子SWB,SWCを共通の第2駆動制御部87で駆動した。このため、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCそれぞれに対応して個別に駆動制御部が備えられる構成と比較して、駆動制御部を減らすことができる。
・合計電流が中電流領域に含まれていると判定された場合、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCを共通の第2駆動制御部87でオフ状態に切り替える構成とした。以下、この構成と対比する構成を比較例とする。比較例は、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCそれぞれに対応して個別の駆動制御部が備えられる構成のことである。
比較例において、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCを同期させてオン状態又はオフ状態に切り替えようとしても、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCが各別の駆動制御部で駆動されるため、オフ状態への切り替えタイミングがずれてしまうことがある。この場合、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCのうち、先にオフ状態に切り替えられたスイッチ素子のコレクタ電流は減少するものの、まだオフ状態に切り替えられていないスイッチ素子のコレクタ電流は一時的に増加した後に減少し始める。その結果、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCそれぞれに流れるコレクタ電流が大きくずれる現象である電流アンバランスが発生し、スイッチング損失が増加してしまう。
これに対し、本実施形態では、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCが共通の第2駆動制御部87によりオフ状態に切り替えられる。このため、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCそれぞれのオフ状態への切り替えタイミングのずれ量を低減でき、電流アンバランスの発生を抑制することができる。なお、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCがオン状態に切り替えられる場合においても、オフ状態への切り替えと同様に、電流アンバランスの発生を抑制することができる。
・合計電流が小電流領域に含まれていると判定された場合、第1〜第3スイッチ素子SWA〜SWCのうち、第1スイッチ素子SWAのみをオン状態への切り替え対象として選択した。これにより、オフ状態への切り替え時においてテール電流が流れるスイッチ素子の数を減らすことができ、スイッチング損失を低減できる。
<第4実施形態の変形例>
センス電圧に代えて、相電流検出部23により検出された相電流の振幅に基づいて、オン状態への切り替え対象とするスイッチ素子を選択してもよい。
<第5実施形態>
以下、第5実施形態について、第4実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、制御装置50に各センス電圧VseA〜VseCが入力される。制御装置50は、各センス電圧VseA〜VseCの和に基づいて上記合計電流が大電流領域に含まれていると判定した場合、図12に示すように、第1駆動信号G1をオフ指令に切り替えるタイミングを、第2駆動信号G2をオフ指令に切り替えるタイミングよりも早める。これにより、第1スイッチ素子SWAのオフ状態への切り替えタイミングが、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCのオフ状態への切り替えタイミングよりも早められている。図12(a)は、制御装置50から出力される第1駆動信号G1の推移を示し、図12(b)は、制御装置50から出力される第2駆動信号G2の推移を示す。
第1〜第3スイッチ素子SWA〜SWCを同期させてオフ状態に切り替えようとしても、それらスイッチ素子SWA〜SWCのオフ状態への切り替えタイミングがずれることがある。ここで、第1〜第3スイッチ素子SWA〜SWCのうち、電流容量の大きい第2,第3スイッチ素子SWB,SWCの並列接続体が先にオフ状態に切り替えられると、この並列接続体に流れていたコレクタ電流が、まだオフ状態に切り替えられていない第1スイッチ素子SWAに流れる。その結果、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCの並列接続体よりも電流容量の小さい第1スイッチ素子SWAに流れるコレクタ電流がその電流容量Cptを超えてしまうおそれがある。
そこで、制御装置50は、第1駆動信号G1をオフ指令に切り替えるタイミングを、第2駆動信号G2をオフ指令に切り替えるタイミングよりも早める。これにより、第1スイッチ素子SWAに流れていたコレクタ電流が、まだオフ状態に切り替えられていない第2,第3スイッチ素子SWB,SWCの並列接続体に流れるものの、この並列接続体の電流容量は、第1スイッチ素子SWAの電流容量よりも大きい。このため、第1スイッチ素子SWAに流れるコレクタ電流が電流容量を超えることを抑制できる。
本実施形態において、制御装置50は、合計電流が大電流領域に含まれていると判定した場合、図12に示すように、第2駆動信号G2をオン指令に切り替えるタイミングを、第1駆動信号G1をオン指令に切り替えるタイミングよりも早める。これにより、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCのオン状態への切り替えタイミングが、第1スイッチ素子SWAのオン状態への切り替えタイミングよりも早められている。
第1〜第3スイッチ素子SWA〜SWCを同期させてオン状態に切り替えようとしても、それらスイッチ素子SWA〜SWCのオン状態への切り替えタイミングがずれることがある。ここで、第1〜第3スイッチ素子SWA〜SWCのうち、電流容量の小さい第1スイッチ素子SWAが先にオフ状態に切り替えられると、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCがその後オン状態に切り替えられるまでは、大電流領域におけるコレクタ電流が第1スイッチ素子SWAに流れる。その結果、第1スイッチ素子SWAに流れるコレクタ電流が第1スイッチ素子SWAの電流容量Cptを超えてしまうおそれがある。
そこで、制御装置50は、第2駆動信号G2をオン指令に切り替えるタイミングを、第1駆動信号G1をオン指令に切り替えるタイミングよりも早める。これにより、大電流領域におけるコレクタ電流を第1スイッチ素子SWAのみで受け持つことを防止することができる。このため、第1スイッチ素子SWAに流れるコレクタ電流が電流容量Cptを超えることを抑制できる。
また本実施形態では、合計電流が中電流領域又は大電流領域に含まれていると判定されている場合において、同期してオン状態又はオフ状態に切り替えようとする第2,第3スイッチ素子SWB,SWCを、共通の第2駆動制御部87により駆動した。2つのスイッチ素子を、各別の駆動制御部により同期してオン状態又はオフ状態に切り替えようとすることが難しいことがある。これは、例えば、各別の駆動制御部の個体差等に起因する。各別の駆動制御部により駆動されると、2つのスイッチ素子のオン状態又はオフ状態への切り替えタイミングのずれが大きくなる懸念がある。これに対し、本実施形態では、共通の第2駆動制御部87により駆動するため、2つのスイッチ素子のオン状態又はオフ状態への切り替えタイミングのずれを小さくできる。
<第5実施形態の変形例1>
第1スイッチ素子SWAのオフ状態への切り替えタイミングを、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCのオフ状態への切り替えタイミングよりも早める構成は、第5実施形態で説明した構成に限らない。第1,第2駆動信号G1,G2がオフ指令に切り替えるタイミングが同期させられている構成も考えられる。この場合であっても、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCのオフ状態への切り替えタイミングを、第1スイッチ素子SWAのオフ状態への切り替えタイミングよりも遅延させるように駆動回路60が構成されていることにより、第1スイッチ素子SWAのオフ状態への切り替えタイミングを、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCのオフ状態への切り替えタイミングよりも早めてもよい。
また、第1,第2駆動信号G1,G2がオン指令に切り替えるタイミングが同期させられている構成も考えられる。この場合であっても、第1スイッチ素子SWAのオン状態への切り替えタイミングを、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCのオン状態への切り替えタイミングよりも遅延させるように駆動回路60が構成されていることにより、第3スイッチ素子SWB,SWCのオン状態への切り替えタイミングを、第1スイッチ素子SWAのオン状態への切り替えタイミングよりも早めてもよい。
<第5実施形態の変形例2>
第5実施形態の構成を、第1、第2スイッチ部それぞれが1つのスイッチ素子を有する第1実施形態に適用することもできる。
<第6実施形態>
以下、第6実施形態について、第4実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図13に示すように、第2スイッチ素子SWB、第3スイッチ素子SWCの順でこれらスイッチ素子がオン状態に切り替えられる。本実施形態では、先の図8に示した第2A共通抵抗体85aの抵抗値が、第2B共通抵抗体85bの抵抗値よりも小さくされている。このため、第2スイッチ素子SWBのゲート電荷の充電速度は、第3スイッチ素子SWCのゲート電荷の充電速度よりも高い。これにより、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCは、共通の第2駆動信号G2で第2駆動制御部87によりオン状態に切り替えられるものの、第2スイッチ素子SWBが第3スイッチ素子SWCよりも先にオン状態に切り替えられる。ここで、図13(a)は制御装置50から出力される第1駆動信号G1の推移を示し、図13(b)は第1スイッチ素子SWAの駆動状態の推移を示す。図12(c)は制御装置50から出力される第2駆動信号G2の推移を示し、図13(d),(e)は第2,第3スイッチ素子SWB,SWCの駆動状態の推移を示す。なお、第1駆動信号G1がオン指令に切り替えられてから、第1スイッチ素子SWAがオン状態に切り替えられるまでのタイムラグは、例えば、制御装置50から駆動回路60までの信号伝達の遅延と、駆動回路60内の構成とに起因するものである。第2駆動信号G2に関するタイムラグも同様である。
第1駆動制御部77は、第2駆動制御部87により第3スイッチ素子SWCがオン状態に切り替えられた後に、第1スイッチ素子SWAをオン状態に切り替える。これにより、第2スイッチ素子SWB、第3スイッチ素子SWC及び第1スイッチ素子SWAの順でこれらスイッチ素子がオン状態に切り替えられる。第3スイッチ素子SWCがオン状態に切り替えられた後に第1スイッチ素子SWAがオン状態に切り替えられるのは、以下に説明する理由のためである。
第2,第3スイッチ素子SWB,SWCは、共通の第2駆動制御部87で駆動される。また、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCは、第2A,B共通抵抗体85a,85bの抵抗値が異なった値とされていることにより、オン状態への切り替えタイミングが相違している。この場合、第2スイッチ素子SWBがオン状態に切り替えられてから第3スイッチ素子SWCがオン状態に切り替えられるまでの期間は短く、この期間内に、第2駆動制御部87とは異なる第1駆動制御部77により、第1スイッチ素子SWAをオン状態に切り替えることは難しい。
そこで本実施形態では、共通の第2駆動制御部87により駆動される第2,第3スイッチ素子SWB,SWCそれぞれのオン状態への切り替えタイミングの間に、第1スイッチ素子SWAのオン状態への切り替えタイミングが設定されることを回避した。
また本実施形態では、図13に示すように、第2スイッチ素子SWB、第3スイッチ素子SWCの順でこれらスイッチ素子がオフ状態に切り替えられる。上述したように、第2A共通抵抗体85aの抵抗値が、第2B共通抵抗体85bの抵抗値よりも小さくされているため、第2スイッチ素子SWBのゲート電荷の放電速度は、第3スイッチ素子SWCのゲート電荷の放電速度よりも高い。これにより、第2,第3スイッチ素子SWB,SWCは、共通の第2駆動信号G2で第2駆動制御部87によりオフ状態に切り替えられるものの、第2スイッチ素子SWBが第3スイッチ素子SWCよりも先にオフ状態に切り替えられる。
第1駆動制御部77は、第2駆動制御部87により第2スイッチ素子SWBがオフ状態に切り替えられる前に、第1スイッチ素子SWAをオフ状態に切り替える。これにより、第1スイッチ素子SWA、第2スイッチ素子SWB及び第3スイッチ素子SWCの順でこれらスイッチ素子がオフ状態に切り替えられる。第2スイッチ素子SWBがオフ状態に切り替えられる前に第1スイッチ素子SWAがオフ状態に切り替えられるのは、第2スイッチ素子SWBがオフ状態に切り替えられてから第3スイッチ素子SWCがオフ状態に切り替えられるまでの短い期間内に、第2駆動制御部87とは異なる第1駆動制御部77により、第1スイッチ素子SWAをオフ状態に切り替えることが難しいためである。
<第6実施形態の変形例1>
第2スイッチ素子SWBがオン状態に切り替えられる前に第1スイッチ素子SWAがオン状態に切り替えられてもよい。この場合、第1スイッチ素子SWA、第2スイッチ素子SWB及び第3スイッチ素子SWCの順で、これらスイッチ素子がオン状態に切り替えられる。
<第6実施形態の変形例2>
第3スイッチ素子SWCがオフ状態に切り替えられた後に第1スイッチ素子SWAがオフ状態に切り替えられてもよい。この場合、第2スイッチ素子SWB、第3スイッチ素子SWC及び第1スイッチ素子SWAの順で、これらスイッチ素子がオフ状態に切り替えられる。
<第7実施形態>
以下、第7実施形態について、第4実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図14に示すように、第2スイッチ部を構成する第2,第3スイッチSWB,SWCの駆動状態の切り替えが第2駆動制御部87により個別に駆動可能とされている。このため、制御装置50から第2駆動制御部87へと第2,第3駆動信号G2,G3が伝達される。第2駆動信号G2は、第2スイッチ素子SWBの駆動信号であり、第3駆動信号G3は、第3スイッチ素子SWCの駆動信号である。
本実施形態において、第2電流容量CpBの第2スイッチSWBが小容量スイッチに相当し、第3電流容量CpCの第3スイッチSWCが大容量スイッチに相当する。本実施形態では、「CpC>CpB>CpA」とされている。図14において、先の図8に示した構成と同一の構成については、便宜上、同一の符号を付している。また、図14では、各駆動制御部77,87と各スイッチ素子SWA,SWB,SWCのゲートとを接続する電気経路上の抵抗体,スイッチ等の構成の図示を省略している。
本実施形態によれば、各スイッチSWA〜SWCの並列接続体に流したい電流量を細かく切り替える際に、駆動させるドライブICの切り替えが発生することを抑制できる。例えば、上記中電流領域を第1中電流領域と第2中電流領域とに分ける。第1中電流領域は、上記合計電流が第1電流容量CpAよりも大きくてかつ第2電流容量CpB以下の領域である。第2中電流領域は、上記合計電流が第2電流容量CpBよりも大きくてかつ第3電流容量CpC以下の領域である。合計電流が第1中電流領域に含まれる場合、各スイッチ素子SWA〜SWCのうち、第2スイッチ素子SWBのみがオン状態への切り替え対象として選択される。一方、合計電流が第2中電流領域に含まれる場合、各スイッチ素子SWA〜SWCのうち、第3スイッチ素子SWCのみがオン状態への切り替え対象として選択される。
ここで、本実施形態によれば、合計電流が含まれる領域が第1中電流領域から第2中電流領域に切り替わる場合であっても、オン状態への切り替え対象として選択されるスイッチ素子は、共通の第2駆動制御部87により駆動される。このため、流したい電流量を細かく切り替える際に、スイッチ素子を駆動するドライブICは第2ドライブIC80のままである。このため、駆動回路60で発生する損失を低減できる。なお、第1,第2ドライブIC70,80は、自身の駆動対象とするスイッチ素子がオン状態への切り替え対象として選択されない場合、自身の動作を停止させる休止状態とされてもよい。この場合、駆動回路60で発生する損失の低減効果を高めることができる。
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・第1実施形態において、制御装置50は、相電流の振幅に代えて、電圧検出部22により検出された電源電圧VHrに基づいて、第1,第2スイッチ素子SWA,SWBの中からオン状態への切り替え対象とするスイッチ素子を選択してもよい。
・各相各アームを構成するスイッチ素子の並列接続数は、4つ以上であってもよい。この場合、駆動回路60に3つ以上の駆動制御部が備えられていてもよい。
・駆動回路60において、第1ドライブIC70及び第2ドライブIC80が共通のICとされていてもよい。
・制御システムに昇圧コンバータ30が備えられていなくてもよい。この場合、蓄電池40にインバータ20が接続されることとなる。