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JP2019176146A - 部品内蔵基板の製造方法、部品内蔵基板、接着シート、および樹脂組成物 - Google Patents

部品内蔵基板の製造方法、部品内蔵基板、接着シート、および樹脂組成物 Download PDF

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JP2019176146A JP2019056435A JP2019056435A JP2019176146A JP 2019176146 A JP2019176146 A JP 2019176146A JP 2019056435 A JP2019056435 A JP 2019056435A JP 2019056435 A JP2019056435 A JP 2019056435A JP 2019176146 A JP2019176146 A JP 2019176146A
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慎吾 生田目
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健太郎 星
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昌克 神谷
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Abstract

【解決手段】層間絶縁層と、層間絶縁層の一方の面に配置された電子部品13a、13bとを少なくとも有する部品内蔵基板を製造する部品内蔵基板の製造方法であって、少なくとも接着層3aを有する接着シート1を準備する接着シート準備工程と、接着シートの接着層に電子部品を仮固定する仮固定工程と、接着層を硬化させて層間絶縁層3bとする硬化工程と、を少なくとも有する。接着層は、樹脂組成物を含有する。樹脂組成物は、樹脂フロー率が80%以上であり、硬化後の硬化物のガラス転移温度が175℃以上である。【効果】接着シート上に電子部品を搭載する際のボイド発生を低減できる。【選択図】図3

Description

本開示の実施形態は、部品内蔵基板の製造方法、部品内蔵基板、例えば部品内蔵基板の電子部品の固定および層間絶縁層に用いられる接着シート、および樹脂組成物に関する。
近年の電子機器の小型化、多機能化の流れの中、電子部品の高密度化が一層求められている。かかる観点より、配線基板においても、高密度化への対応が要求されている。このような要求に答えるべく、現在では配線基板中に電子部品を内蔵させた部品内蔵基板が盛んに開発されている。
部品内蔵基板の製造方法としては、種々の方法が知られており、例えば、接着シートを用いて電子部品を仮固定する方法が開示されている(例えば、特許文献1、2)。この方法では、接着シートは、電子部品の仮固定に使用されるとともに、硬化後は絶縁層として用いられる。
例えば、特許文献2には、部品内蔵基板の部品固定および絶縁層形成に用いられる熱硬化性樹脂組成物が開示されており、具体的には、25℃で液状のエポキシ樹脂と、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基から選択される1種以上の基を含むアクリル樹脂と、フェノール系硬化剤と、無機フィラーとを含有し、無機フィラーの含有量が、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分を100重量%とした場合に、20〜70重量%である熱硬化性樹脂組成物が開示されている。
また、部品内蔵基板において、内蔵された電子部品や電子部品周辺の回路には、熱負荷がかかる。また、部品内蔵基板においては、高周波伝送特性に優れていることも要求されており、回路に高周波信号を伝送した場合、導体や誘電体に起因する伝送損失が増加し、熱負荷がかかる。そのため、接着シートには、硬化後に高い耐熱性を有することが求められる。
例えば、特許文献3には、半導体封止材や回路基板の絶縁層に用いられる樹脂組成物が開示されており、具体的には、耐熱性を高めることを目的として、エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機フィラーとを含有する樹脂組成物であって、エポキシ樹脂がビフェニル構造あるいはアントラセン構造あるいはナフタレン構造を含む多環芳香族エポキシ樹脂であり、硬化剤が芳香族アミンであり、無機フィラーの含有量が30〜85体積%である樹脂組成物が開示されている。
特許第4551468号公報 特許第5771988号公報 特許第5558885号公報
上記のような接着シートを用いて電子部品を仮固定する方法においては、接着シートに電子部品を押し付けることにより、接着シートの粘着性を利用して電子部品を仮固定する。しかしながら、特許文献2、3に記載されているように、樹脂組成物に無機フィラーが含有されている場合、粘着性が低下し、電子部品の固定が困難になる場合がある。
また、上記の接着シートを用いて電子部品を仮固定する方法では、接着シート内や、接着シートと基板との間、または接着シートと電子部品との間に、ボイド(空隙)が発生するという問題がある。特に、電子部品の接着シートと接する面に凹凸が存在している場合には、接着シートと電子部品との間のボイドの発生が顕著となる。ボイドは、その後の工程で膨張することもあり、剥離や短絡の原因となり、層間接続の信頼性、硬化後の接着シートの接着性、硬化後の接着シート(絶縁層)の絶縁性を低下させる。そのため、ボイドの低減が望まれている。
しかしながら、特許文献2、3に記載されているように、樹脂組成物に無機フィラーが含有されている場合、粘着性が低下するため、接着シートと基板または電子部品との密着性が低下し、ボイドが発生する場合がある。また、樹脂組成物に多量に無機フィラーを添加すると、溶融粘度が高くなり、加熱時の流動性が低下するため、接着シートが基板または電子部品の被着面に追従しにくくなり、ボイドが発生しやすくなる。
また、特許文献2には、フェノール系硬化剤として、フェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂が例示されているが、フェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂では、繰り返し単位の数が増えるにつれて、溶融粘度が高くなり、加熱時の流動性が低下するため、接着シートが基板または電子部品の被着面に追従しにくくなり、ボイドが発生しやすくなる。また、フェノール系硬化剤は、常温でも徐々に反応が進んでしまうため、保存安定性に欠ける。
したがって、部品内蔵基板の製造時に接着シート上に電子部品を仮固定するに際し、ボイドの発生を低減することが可能な製造方法が求められいた。
本開示は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ボイドの発生を低減することが可能であり、信頼性の高い部品内蔵基板を得ることが可能な部品内蔵基板の製造方法、部品内蔵基板、ならびに耐熱性が高く、このような部品内蔵基板に用いることが可能な接着シートおよび樹脂組成物を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本開示は、層間絶縁層と、上記層間絶縁層の一方の面に配置された電子部品とを少なくとも有する部品内蔵基板を製造する部品内蔵基板の製造方法であって、少なくとも接着層を有する接着シートを準備する接着シート準備工程と、上記接着シートの上記接着層に電子部品を仮固定する仮固定工程と、上記接着層を硬化させて層間絶縁層とする硬化工程と、を少なくとも有し、上記接着層は、樹脂組成物を含有し、上記樹脂組成物は、樹脂フロー率が80%以上であり、硬化後の硬化物のガラス転移温度が175℃以上である、部品内蔵基板の製造方法を提供する。
また、本開示は、層間絶縁層と、上記層間絶縁層の一方の面に配置された電子部品とを少なくとも有する部品内蔵基板を製造する部品内蔵基板の製造方法であって、少なくとも接着層を有する接着シートを準備する接着シート準備工程と、上記接着シートの上記接着層に電子部品を仮固定する仮固定工程と、上記接着層を硬化させて層間絶縁層とする硬化工程と、を少なくとも有し、上記接着層は、樹脂組成物を含有し、上記樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、エポキシ変性シリコーン樹脂と、アクリル樹脂と、潜在性硬化剤と、硬化促進剤と、を含み、上記エポキシ樹脂は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格およびノボラック骨格からなる群から選択される少なくとも1つを有するエポキシ樹脂(A)を含み、上記硬化促進剤は、23℃で固体のイミダゾール化合物である、部品内蔵基板の製造方法を提供する。
さらに、本開示は、層間絶縁層と、上記層間絶縁層の一方の面に配置された電子部品とを少なくとも有する部品内蔵基板であって、上記層間絶縁層が、樹脂組成物の硬化物を含有し、上記樹脂組成物は、樹脂フロー率が80%以上であり、上記硬化物のガラス転移温度が175℃以上である、部品内蔵基板を提供する。
また、本開示は、層間絶縁層と、上記層間絶縁層の一方の面に配置された電子部品とを少なくとも有する部品内蔵基板であって、上記層間絶縁層が、エポキシ樹脂と、エポキシ変性シリコーン樹脂と、アクリル樹脂と、潜在性硬化剤と、硬化促進剤と、を含む樹脂組成物の硬化物を含有し、上記エポキシ樹脂は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格およびノボラック骨格からなる群から選択される少なくとも1つを有するエポキシ樹脂(A)を含み、上記硬化促進剤は、23℃で固体のイミダゾール化合物である、部品内蔵基板を提供する。
さらにまた、本開示は、部品内蔵基板の電子部品の固定および層間絶縁層に用いられる接着シートであって、少なくとも接着層を有し、上記接着層が、樹脂組成物を含有し、上記樹脂組成物は、樹脂フロー率が80%以上であり、上記樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度が175℃以上である、接着シートを提供する。
さらに、本開示は、少なくとも接着層を有する接着シートであって、上記接着層が、エポキシ樹脂と、エポキシ変性シリコーン樹脂と、アクリル樹脂と、潜在性硬化剤と、硬化促進剤と、を含み、上記エポキシ樹脂は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格およびノボラック骨格からなる群から選択される少なくとも1つを有するエポキシ樹脂(A)を含み、上記硬化促進剤は、23℃で固体のイミダゾール化合物である、接着シートを提供する。
また、本開示は、部品内蔵基板の電子部品の固定および層間絶縁層に用いられる樹脂組成物であって、樹脂フロー率が80%以上であり、硬化物のガラス転移温度が175℃以上である、樹脂組成物を提供する。
さらにまた、本開示は、エポキシ樹脂と、エポキシ変性シリコーン樹脂と、アクリル樹脂と、潜在性硬化剤と、硬化促進剤と、を含む樹脂組成物であって、上記エポキシ樹脂は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格およびノボラック骨格からなる群から選択される少なくとも1つを有するエポキシ樹脂(A)を含み、上記硬化促進剤は、23℃で固体のイミダゾール化合物である、樹脂組成物を提供する。
本開示によれば、硬化前の接着層として用いる場合は、粘着性および流動性が高く、硬化後に層間絶縁層として機能する場合には、耐熱性が高い樹脂組成物を接着シートとして用いることにより、ボイドの発生を低減することが可能であり、信頼性の高い部品内蔵基板を製造することができるという効果を奏する。
本開示の接着シートの一例を示す概略断面図である。 本開示の部品内蔵基板の一例を示す概略断面図である。 本開示の部品内蔵基板の製造方法の一例を示す工程図である。 本開示の部品内蔵基板の製造方法の一例を示す工程図である。 本開示の部品内蔵基板の他の一例を示す概略断面図である。 本開示の部品内蔵基板の製造方法の他の例を示す工程図である。 本開示の部品内蔵基板の製造方法の他の例を示す工程図である。 樹脂フロー率の測定方法を説明するための説明図である。
以下、本開示の樹脂組成物、接着シート、部品内蔵基板、および部品内蔵基板の製造方法について詳細に説明する。
A.樹脂組成物
本開示の樹脂組成物は、二つに実施態様がある。以下、それぞれについて説明する。
A−1.第1実施態様
本態様の樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、エポキシ変性シリコーン樹脂と、アクリル樹脂と、潜在性硬化剤と、硬化促進剤と、を含む樹脂組成物であって、上記エポキシ樹脂は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格およびノボラック骨格からなる群から選択される少なくとも1つを有するエポキシ樹脂(A)を含み、上記硬化促進剤は、23℃で固体のイミダゾール化合物である。
本態様においては、エポキシ樹脂が、ナフタレン骨格、アントラセン骨格およびノボラック骨格からなる群から選択される少なくとも1つを有するエポキシ樹脂(A)を含んでおり、エポキシ樹脂(A)が剛直な骨格を有することから、樹脂組成物の硬化後の耐熱性を向上させることができる。また、本態様においては、潜在性硬化剤および硬化促進剤を併用するため、エポキシ樹脂の硬化反応を促進させることができ、樹脂組成物の硬化後の耐熱性をさらに向上させることができる。本態様の樹脂組成物を用いて部品内蔵基板を製造する場合、本態様の樹脂組成物は、硬化後は、部品内蔵基板の層間絶縁層として用いられるものである。したがって、本態様の樹脂組成物は、硬化後の耐熱性を向上させることができるため、耐熱性に優れる層間絶縁層を得ることができる。
また、本態様においては、硬化促進剤として、23℃で固体のイミダゾール化合物が含まれている。ここで、イミダゾール化合物は、エポキシ樹脂の硬化反応において、触媒として作用する。本態様に用いられるイミダゾール化合物は、23℃で固体であるため、23℃で液体のイミダゾール化合物と比較して、常温ではエポキシ樹脂や潜在性硬化剤と接触しにくく、また、加熱時に液状に変化することで、活発に硬化反応が起こるようになるため、反応開始を遅くすることができる。そのため、反応開始までの時間を長くすることができ、加熱時の柔軟性や流動性を良くすることができる。
よって、エポキシ樹脂が剛直な構造を有する場合には、樹脂組成物の軟化点が高くなり、溶融粘度が高くなる傾向にあるため、加熱時の柔軟性や流動性が低下するおそれがあるが、本態様においては、剛直な構造を有するエポキシ樹脂(A)が含まれているにもかかわらず、加熱時の柔軟性や流動性を確保することができる。したがって、本態様の樹脂組成物を含む接着層を有する接着シートを用いて部品内蔵基板を製造する場合には、接着層と電子部品との間にボイドが発生するのを抑制することが可能である。また、例えば、電子部品の接着層と接する面に凹凸が存在している場合であっても、接着層と電子部品との間でのボイドの発生を抑制することが可能である。さらに、本態様の樹脂組成物を含む接着層を有する接着シートを用いて部品内蔵基板を製造する場合において、基板の一方の面に接着層を配置する際には、接着層が基板の被着面に密着しやすくなるため、接着層と基板との間にボイドが発生するのを抑制することができる。したがって、ボイドによる剥離や短絡を抑制することができ、層間接続の信頼性、硬化後の接着層の接着性、硬化後の接着層(層間絶縁層)の絶縁性を高めることができる。
このように本態様においては、硬化促進剤が、23℃で固体のイミダゾール化合物であることにより、常温では潜在性が高く、硬化反応を促進しないものの、高温では硬化反応を促進するため、耐熱性を高めつつ、ボイドの発生を抑制することが可能である。
また、本態様においては、エポキシ変性シリコーン樹脂が含まれることにより、耐水性を向上させることができる。
さらに、本態様においては、アクリル樹脂が含まれることにより、本態様の樹脂組成物を接着シートに用いる場合に塗布性および製膜性を向上させることができる。
また、一般に、エポキシ変性シリコーン樹脂は常温で液状であることから、本態様においては、エポキシ変性シリコーン樹脂が含まれていることにより、樹脂組成物の柔軟性を高めることができる。そのため、エポキシ樹脂が剛直な骨格を有する場合には、ガラス転移温度が高くなり、タック性が低下する傾向にあるが、常温で液状のエポキシ変性シリコーン樹脂が含まれていることにより、樹脂組成物のタック性を高めることができる。したがって、本態様の樹脂組成物を含む接着層を有する接着シートを用いて部品内蔵基板を製造する場合には、常温で接着層の面に電子部品を貼り付けることができる。
ここで、部品内蔵基板においては、電子部品の高密度化に伴い、高い位置精度が求められる。部品内蔵基板の製造方法としては、例えば、粘着シートや接着シートを用いて電子部品を仮固定する方法が知られているが、粘着シートを用いて電子部品を仮固定する方法では、電子部品を仮固定した後に樹脂で封止する際に、樹脂の流動によって電子部品の位置がずれたり、傾いたりするおそれがある。また、接着シートを用いて電子部品を仮固定する方法では、接着シートを加熱しながら電子部品を仮固定する際の接着シートの溶融や、電子部品を仮固定した後に接着シートを硬化させる際の接着シートの硬化収縮によって、電子部品の位置がずれたり、傾いたりするおそれがある。
これに対し、本態様においては、エポキシ樹脂(A)が剛直な構造を有することにより、分子運動が抑制されるため、硬化収縮を抑えることができるので、本態様の樹脂組成物を含む接着層を有する接着シートを用いて部品内蔵基板を製造する場合には、接着層の硬化収縮による電子部品の位置ずれを抑制することができる。また、上述したように、常温で接着層の面に電子部品を貼り付けることができることから、接着層の面に電子部品を配置する際に、接着層を加熱しなくてもよく、接着層の溶融による電子部品の位置ずれを回避することができる。また、本態様の樹脂組成物は熱硬化可能であるため、電子部品を樹脂で封止する前に、接着層を熱硬化させて硬化後の接着層と電子部品との接着性を高めることができるので、粘着シートとは異なり、電子部品を樹脂で封止する際に、樹脂の流動による電子部品の位置ずれを抑制することができる。そのため、電子部品の位置ずれを抑制することが可能である。よって、本態様の樹脂組成物を用いることにより、信頼性の高い部品内蔵基板を得ることが可能である。
したがって、本態様の樹脂組成物を用いることにより、耐熱性に優れ、さらには電子部品の位置精度に優れ、信頼性の高い部品内蔵基板を得ることが可能である。
以下、本態様の樹脂組成物の各成分について説明する。
1.エポキシ樹脂
本態様の樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格およびノボラック骨格からなる群から選択される少なくとも1つを有するエポキシ樹脂(A)を含む。
エポキシ樹脂(A)は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格およびノボラック骨格からなる群から選択される少なくとも1つを有していればよく、例えば、ナフタレン骨格のみを有していてもよく、アントラセン骨格のみを有していてもよく、ノボラック骨格のみを有していてもよく、また、ナフタレン骨格およびノボラック骨格を有していてもよく、アントラセン骨格およびノボラック骨格を有していてもよい。
ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(A)としては、1分子中に、1つ以上のナフタレン骨格と、1つ以上のエポキシ基またはグリシジル基とを有するものであり、潜在性硬化剤および硬化促進剤との併用により架橋重合反応を起こして硬化するものであればよい。ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(A)には、プレポリマーだけでなく、単量体型のエポキシ化合物も含まれる。ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(A)としては、例えば、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、ビスナフトール型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
中でも、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(A)は、二量体であり、1分子中に4つのエポキシ基またはグリシジル基を有する、つまり4官能であることが好ましい。このようなナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(A)は、架橋密度を高くすることができ、硬化後の耐熱性を向上させることができると考えられる。
アントラセン骨格を有するエポキシ樹脂(A)としては、1分子中に、1つ以上のアントラセン骨格と、1つ以上のエポキシ基またはグリシジル基とを有するものであり、潜在性硬化剤および硬化促進剤との併用により架橋重合反応を起こして硬化するものであればよい。アントラセン骨格を有するエポキシ樹脂(A)としては、例えば、単量体型のエポキシ化合物が挙げられる。
ノボラック骨格を有するエポキシ樹脂(A)としては、1分子中に、1つ以上のノボラック骨格と、1つ以上のエポキシ基またはグリシジル基とを有するものであり、潜在性硬化剤および硬化促進剤との併用により架橋重合反応を起こして硬化するものであればよい。ノボラック骨格を有するエポキシ樹脂(A)としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン含有ノボラック型エポキシ樹脂、アントラセン含有ノボラック型樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
中でも、ノボラック骨格を有するエポキシ樹脂(A)は、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂であることが好ましい。トリフェニルメタン型エポキシ樹脂は、上記のノボラック骨格を有するエポキシ樹脂(A)の中でも、剛直性が高いことに加えて、1分子あたりの官能基数が多いことから、架橋密度を高くすることができ、樹脂組成物の硬化後の耐熱性を向上させることができる。これにより、本態様の樹脂組成物を部品内蔵基板の層間絶縁層に用いた場合には、耐熱性に優れる部品内蔵基板を得ることができる。
上記のノボラック骨格を有するエポキシ樹脂(A)の例のうち、ナフタレン含有ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂等は、ナフタレン骨格およびノボラック骨格を有するエポキシ樹脂である。
また、上記のノボラック骨格を有するエポキシ樹脂(A)の例のうち、アントラセン含有ノボラック型エポキシ樹脂は、アントラセン骨格およびノボラック骨格を有するエポキシ樹脂である。
エポキシ樹脂(A)は、単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
エポキシ樹脂(A)は、1分子中に1つ以上のエポキシ基またはグリシジル基を有していればよいが、通常、1分子中に2つ以上のエポキシ基またはグリシジル基を有しており、すなわち2官能以上のエポキシ樹脂である。
中でも、エポキシ樹脂(A)が、ナフタレン骨格およびノボラック骨格の少なくともいずれかを有する場合、3官能以上のエポキシ樹脂であることが好ましい。3官能以上のエポキシ樹脂(A)は、架橋密度を高くすることができ、硬化後の耐熱性をさらに向上させることができる。また、3官能以上のエポキシ樹脂(A)は、タッキファイヤとして機能すると考えられ、樹脂組成物の硬化前の粘着性を高めることができる。すなわち、3官能以上のエポキシ樹脂(A)が含まれることにより、粘着性と耐熱性との両方を高めることができる。
エポキシ樹脂(A)は、常温で液状のエポキシ樹脂であってもよく、常温で固体のエポキシ樹脂であってもよい。なお、常温とは23℃をいう。
樹脂組成物中のエポキシ樹脂(A)の含有量は、樹脂組成物の不揮発分を100質量%とした場合に、例えば、5質量%以上とすることができ、中でも7質量%以上であることが好ましい。また、上記含有量は、例えば、17質量%以下とすることができ、中でも10質量%以下であることが好ましい。エポキシ樹脂(A)の含有量が少なすぎると、樹脂組成物の硬化後の耐熱性が低下するおそれがある。また、エポキシ樹脂(A)の含有量が多すぎると、樹脂組成物の粘着性が低下するおそれがある。
また、エポキシ樹脂は、上記エポキシ樹脂(A)以外のエポキシ樹脂を含んでいてもよい。
上記エポキシ樹脂(A)以外のエポキシ樹脂としては、1分子中に1つ以上のエポキシ基またはグリシジル基を有し、ナフタレン骨格、アントラセン骨格およびノボラック骨格を有さず、潜在性硬化剤および硬化促進剤との併用により架橋重合反応を起こして硬化するものであれば特に限定されるものではなく、一般にエポキシ樹脂系接着剤に使用されるエポキシ樹脂を用いることができる。例えば、芳香族系エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環系エポキシ樹脂等が挙げられる。具体的には、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、グリコール型エポキシ樹脂、ペンタエリスリトール型エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂やゴム変性エポキシ樹脂等の変性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
中でも、エポキシ樹脂は、上記エポキシ樹脂(A)の他に、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)を含むことができる。ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)は、安価であり、また、寸法安定性、耐水性、耐薬品性、電気絶縁性等を高めることができる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)は、単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)は、常温で液状のエポキシ樹脂であってもよく、常温で固体のエポキシ樹脂であってもよい。なお、常温とは23℃をいう。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、1分子中のビスフェノール骨格の繰り返し単位の数によって、常温で液体の状態、または常温で固体の状態で存在することができる。主鎖のビスフェノール骨格が1以上、3以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂は、常温で液体である。また、主鎖のビスフェノール骨格が2以上、10以下であるビスフェノールA型エポキシ樹脂は、常温で固体である。このような比較的低分子量のビスフェノールA型エポキシ樹脂は結晶性があり、常温で結晶化して固体のものも、融点以上の温度になると、急速に融解して低粘度の液状に変化する。したがって、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた場合には、硬化後の接着層の接着強度を高めることができる。また、このような比較的低分子量のビスフェノールA型エポキシ樹脂は、架橋密度が高くなるため、機械的強度が高く、耐薬品性が良く、硬化性が高く、自由体積が小さくなるため吸湿性が小さくなるという特徴がある。
樹脂組成物は、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)として、常温で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂および常温で固体のビスフェノール型エポキシ樹脂の少なくとも一方を含んでいればよく、例えば、常温で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、常温で固体のビスフェノール型エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、常温で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂および常温で固体のビスフェノール型エポキシ樹脂の両方を含んでいてもよい。
樹脂組成物が、常温で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂を含む場合には、樹脂組成物の硬化前の粘着性を高めることができる。そのため、エポキシ樹脂が剛直な骨格を有する場合には、ガラス転移温度が高くなり、タック性が低下する傾向にあるが、常温で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂を含有させることにより、樹脂組成物のタック性を高めることができる。
一方、常温で固体のビスフェノール型エポキシ樹脂は、融点以上の温度になると急速に融解して低粘度の液状に変化するため、本態様の樹脂組成物を含む接着層を有する接着シートを用いて部品内蔵基板を製造する場合には、加熱によって接着層が電子部品に密着し、加熱硬化することによって接着層と電子部品とが強固に接着するので、接着強度を高めることができる。そのため、樹脂組成物が、常温で固体のビスフェノール型エポキシ樹脂を含む場合には、樹脂組成物の硬化後の接着性を高めることができる。
また、樹脂組成物が、常温で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂および常温で固体のビスフェノール型エポキシ樹脂の両方を含む場合には、機械的強度を保ちつつ、柔軟性を得ることができる。その結果、タック性を高めつつ、樹脂組成物の硬化後の接着強度を向上させることができる。
常温で固体のビスフェノールA型エポキシ樹脂は、軟化点が、例えば、50℃以上、130℃以下であることが好ましい。上記軟化点が上記範囲内であり、比較的高いことにより、反応開始を遅くすることができ、加熱時の柔軟性を高めることができる。よって、本態様の樹脂組成物を含む接着層を有する接着シートを用いて部品内蔵基板を製造する場合には、ボイドの発生をさらに低減することができると考えられる。
具体的には、常温で液状であり、主鎖のビスフェノール骨格が1以上、3以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、三菱ケミカル社製 jER828等が挙げられる。また、常温で固体であり、主鎖のビスフェノール骨格が2以上、10以下であるビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、三菱ケミカル社製 jER1001、jER1009等が挙げられる。
樹脂組成物中のビスフェノール型エポキシ樹脂(B)の含有量は、樹脂組成物の不揮発分を100質量%とした場合に、例えば、45質量%以下とすることができる。ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)の含有量が多すぎると、相対的に上記エポキシ樹脂(A)の含有量が少なくなり、樹脂組成物の硬化後の耐熱性が低下するおそれがある。また、上記含有量は、例えば、25質量%以上とすることができる。
また、エポキシ樹脂は、上記エポキシ樹脂(A)およびエポキシ樹脂(B)の他に、3官能以上のエポキシ樹脂(C)を含むことができる。3官能以上のエポキシ樹脂(C)が架橋構造を形成することにより、樹脂組成物の硬化後の耐熱性を向上させることができる。また、3官能以上のエポキシ樹脂(C)は、タッキファイヤとして機能すると考えられ、樹脂組成物の硬化前の粘着性を高めることができる。すなわち、樹脂組成物が、3官能以上のエポキシ樹脂(C)を含むことにより、粘着性と耐熱性との両方を高めることができる。
3官能以上のエポキシ樹脂(C)としては、例えば、アミノフェノール構造を有するエポキシ樹脂、ビス(アミノフェニル)メタン構造を有するエポキシ樹脂、オキシラニルシクロヘキサン構造を有するエポキシ樹脂等を挙げることができる。中でも、ビス(アミノフェニル)メタン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。具体的には、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等を挙げることができる。3官能以上のエポキシ樹脂(C)は、単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
3官能以上のエポキシ樹脂(C)に含まれるエポキシ基またはグリシジル基としては、例えば、グリシジルアミン基やグリシジルエーテル基等が挙げられるが、中でも、樹脂組成物の保存安定性の観点からは、1分子中に3つ以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂が好ましい。
3官能以上のエポキシ樹脂(C)としては、市販のものを使用してもよい。例えば、三菱ケミカル株式会社製jER630(アミノフェノール構造を有するエポキシ樹脂)、三菱ケミカル株式会社製jER604(ジアミノジフェニルメタン構造を有するエポキシ樹脂)、株式会社ダイセル製EHPE3150(オキシラニルシクロヘキサン構造を有するエポキシ樹脂)等を挙げることができる。
樹脂組成物中の3官能以上のエポキシ樹脂(C)の含有量は、樹脂組成物の不揮発分を100質量%とした場合に、例えば、15質量%以上、35質量%以下とすることができる。3官能以上のエポキシ樹脂(C)の含有量が上記範囲内であれば、樹脂組成物の硬化前の粘着性と、樹脂組成物の硬化後の耐熱性との両方を高めることができる。
樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物の不揮発分を100質量%とした場合に、例えば、50質量%以上、90質量%以下とすることができる。
2.硬化促進剤
本態様に用いられる硬化促進剤は、23℃で固体のイミダゾール化合物である。
イミダゾール化合物の反応開始温度は、例えば、110℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましい。イミダゾール化合物の反応開始温度が上記範囲であることにより、反応開始を遅くすることができる。そのため、反応開始までの時間を長くすることができ、加熱時の柔軟性や流動性を良くすることができる。よって、本態様の樹脂組成物を含む接着層を有する接着シートを用いて部品内蔵基板を製造する場合には、ボイドの発生を抑制することができる。
一方、イミダゾール化合物の反応開始温度は、例えば、200℃以下であることが好ましい。上記反応開始温度が高すぎると、本態様の樹脂組成物の硬化時に高温にする必要があり、樹脂組成物が劣化するおそれがある。
ここで、イミダゾール化合物の反応開始温度は、示差走査熱量測定(DSC)により求めることができる。具体的には、以下の手順により求めることができる。まず、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(分子量380、エポキシ当量190g/eq)100重量部に対し、イミダゾール化合物を5重量部配合した樹脂組成物を準備する。次に、樹脂組成物20mgを、昇温速度10℃/分、測定範囲30℃〜250℃の条件で、DSC装置(示差走査熱量計、ネッチ社製)を用いて測定を行う。DSCにより得られる縦軸熱量(W/g)−横軸温度(℃)の関係において、最低温度の発熱ピークの立ち上がり曲線で最もピークの勾配が急になった部分の接線と温度軸との交点における温度を反応開始温度とする。
イミダゾール化合物としては、23℃で固体であればよく、一般に一液加熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤に使用されるイミダゾール系硬化促進剤の中から適宜選択して用いることができる。例えば、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダソリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−ウンデシルイミダソリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダソリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダソリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン イソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
また、イミダゾール化合物としては、市販のものを使用してもよい。具体的には、四国化成工業株式会社製 キュアゾール C11Z−CN(1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール)、2E4MZ−CN(1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール)、2PZ−CN(1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール)、2PZCNS−PW(1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト)、2MZ−Aおよび2MZA−PW(2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダソリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン)、C11Z−A(2,4−ジアミノ−6−〔2’−ウンデシルイミダソリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン)、2E4MZ−A(2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダソリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン)、2MA−OKおよび2MAOK−PW(2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダソリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン イソシアヌル酸付加物)、2PHZ−PW(2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール)、2P4MHZ−PW(2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール)等を挙げることができる。
中でも、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダソリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールを好ましく用いることができる。特に、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールが好ましい。これらのイミダゾール化合物は、反応開始温度が130℃以上と高く、ボイドの発生をより低減することができる。
また、イミダゾール化合物は、ヒドロキシ基を有することが好ましい。ヒドロキシ基を有するイミダゾール化合物は、ヒドロキシ基同士の水素結合で結晶化するため、反応開始温度が高くなる傾向にあると考えられる。
イミダゾール化合物は、単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
イミダゾール化合物の含有量は、汎用の一液エポキシ樹脂系接着剤における一般的な配分から大きく外れることがなければ特に限定されない。例えば、イミダゾール化合物の含有量は、エポキシ樹脂と潜在性硬化剤とを十分に反応させることが可能な量とすることができ、エポキシ樹脂と硬化促進剤であるイミダゾール化合物と潜在性硬化剤との組合せや種類に応じて適宜設定される。具体的には、イミダゾール化合物の含有量は、エポキシ樹脂およびエポキシ変性シリコーン樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上、1.5質量部以下とすることができる。イミダゾール化合物の含有量が少なすぎると、硬化不良の要因となるおそれがある。また、イミダゾール化合物の含有量が多すぎると、樹脂組成物の粘着性が低下したり、樹脂組成物の硬化後の接着性が低下したりして、本態様の樹脂組成物を用いて部品内蔵基板を製造した場合に、本態様の樹脂組成物の硬化物を含有する層間絶縁層と電子部品との密着性が弱くなるおそれがある。
3.潜在性硬化剤
本態様に用いられる潜在性硬化剤としては、イミダゾール化合物を硬化促進剤として用いることができるものであればよく、一般に一液加熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤に使用される潜在性硬化剤の中から適宜選択して用いることができる。
中でも、潜在性硬化剤は、熱潜在性を有することが好ましい。すなわち、熱潜在性硬化剤が好ましい。また、熱潜在性硬化剤は、マイクロカプセル化されたものであってもよい。
また、潜在性硬化剤は、23℃で固体であることが好ましい。23℃で固体の潜在性硬化剤は、常温では潜在性が高く、硬化反応を起こさないものの、高温では硬化反応を起こすため、ボイドの発生を抑制することが可能である。
また、潜在性硬化剤の融点は、例えば、150℃以上、220℃以下であることが好ましい。潜在性硬化剤の融点が上記範囲であることにより、反応開始までの時間を長くすることができ、加熱時の柔軟性や流動性を良くすることができる。よって、本態様の樹脂組成物を含む接着層を有する接着シートを用いて部品内蔵基板を製造する場合には、ボイドの発生を抑制することができる。一方、上記融点が高すぎると、本態様の樹脂組成物の硬化時に高温にする必要があり、樹脂組成物が劣化するおそれがある。
ここで、潜在性硬化剤の融点は、示差走査熱量測定(DSC)により求めることができる。
また、潜在性硬化剤の反応開始温度は、例えば、110℃以上、200℃以下であることが好ましい。潜在性硬化剤の反応開始温度が上記範囲であることにより、反応開始までの時間を長くすることができ、加熱時の柔軟性や流動性を良くすることができる。よって、本態様の樹脂組成物を含む接着層を有する接着シートを用いて部品内蔵基板を製造する場合には、ボイドの発生を抑制することができる。一方、上記反応開始温度が高すぎると、本態様の樹脂組成物の硬化時に高温にする必要があり、樹脂組成物が劣化するおそれがある。
ここで、潜在性硬化剤の反応開始温度は、示差走査熱量測定(DSC)により求めることができる。具体的には、以下の手順により求めることができる。まず、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(分子量380、エポキシ当量190g/eq)100重量部に対し、潜在性硬化剤を5重量部配合した樹脂組成物を準備する。次に、樹脂組成物20mgを、昇温速度10℃/分、測定範囲30℃〜250℃の条件で、DSC装置(示差走査熱量計、ネッチ社製)を用いて測定を行う。DSC測定により得られる縦軸熱量(W/g)−横軸温度(℃)の関係において、最低温度の発熱ピークの立ち上がり曲線で最もピークの勾配が急になった部分の接線と温度軸との交点における温度を反応開始温度とする。
熱潜在性硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド(DICY)等のジシアンジアミド系硬化剤、有機酸ジヒドラジド系硬化剤、アミンアダクト系硬化剤、有機リン系硬化剤等が挙げられる。
特に、潜在性硬化剤は、ジシアンジアミド系硬化剤であることが好ましく、ジシアンジアミドであることがより好ましい。ジシアンジアミド系硬化剤は、融点が高く、硬化温度が高い傾向にあるため、反応開始までの時間を長くすることができる。これにより、加熱時の急速な粘度上昇を抑えることができ、加熱時の流動性や柔軟性を確保することができると推測される。そのため、ジシアンジアミド系硬化剤とイミダゾール化合物とを用いることにより、本態様の樹脂組成物を用いて部品内蔵基板を製造した場合には、本態様の樹脂組成物の硬化物を含有する層間絶縁層と電子部品との間のボイド、すなわち電子部品下のボイドを低減することができる。また、ジシアンジアミドは、すべてのアミノ基およびイミノ基の水素がエポキシ樹脂と反応するため、架橋密度を高めることができ、耐熱性をより向上させることができる。
潜在性硬化剤の含有量は、潜在性硬化剤のアミン価等によって適宜決定することができる。例えば、潜在性硬化剤としてジシアンジアミドを使用した場合、ジシアンジアミドの含有量は、エポキシ樹脂およびエポキシ変性シリコーン樹脂100質量部に対して、5質量部以上、20質量部以下とすることができる。ジシアンジアミドの含有量が上記範囲であれば、樹脂組成物の硬化後の耐熱性を高くでき、接着強度が温度変化によって劣化することを抑制できるとともに、保存安定性を維持することができる。なお、保存安定性が低いと、樹脂組成物や樹脂組成物を用いた接着シートの保管中に硬化反応が進行してしまう場合がある。また、ジシアンジアミドの含有量が多すぎると、樹脂組成物が硬化した後も未反応の潜在性硬化剤が残留し、接着力が低下する場合がある。
なお、上記潜在性硬化剤がジシアンジアミド以外である場合、上記潜在性硬化剤の含有量は、汎用の一液エポキシ樹脂系接着剤における一般的な配分から大きく外れることがなければ特段の問題はない。
4.エポキシ変性シリコーン樹脂
本態様の樹脂組成物に含まれるエポキシ変性シリコーン樹脂は、シリコーン樹脂の一部にエポキシ基又はエポキシ化合物を導入したものをいう。シリコーン樹脂は、ポリオルガノシロキサン骨格を有する化合物であり、通常、主骨格(主鎖)部分が主としてオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、その主骨格が少なくとも1つのシラノール基を備える化合物であり、このシラノール基とエポキシ化合物との付加反応によりエポキシ変性シリコーン樹脂を得ることができる。シリコーン樹脂の主骨格は、少なくとも1つのシラノール基を有していれば、分枝状の構造を有するものであってもよい。また、エポキシ変性シリコーン樹脂は、エポキシ樹脂とシリコーン樹脂との反応物であってもよく、例えばエポキシ樹脂骨格中のOH基とシラノールとが反応したものであってもよい。なお、上記反応物において、エポキシ樹脂の方が多くなり、見かけ上エポキシ樹脂にシリコーンがぶら下がっているようなものであっても、エポキシ変性シリコーン樹脂とする。エポキシ変性シリコーン樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
エポキシ変性シリコーン樹脂としては、市販のものを使用してもよい。例えば、ES1001N、ES1002T、ES1023(以上、信越シリコーン株式会社製);メチルシリケートMSEP2(三菱ケミカル株式会社製)等を挙げることができる。
樹脂組成物中のエポキシ変性シリコーン樹脂の含有量は、樹脂組成物の不揮発分を100質量%とした場合に、例えば、5質量%以上、20質量%以下とすることができる。
5.アクリル樹脂
本態様の樹脂組成物に含まれるアクリル樹脂は、エポキシ樹脂に対して相溶性を有することが好ましい。本態様の樹脂組成物が、エポキシ樹脂に対して相溶性を有するアクリル樹脂を含むことにより、製膜性を向上させることができ、本態様の樹脂組成物を接着シートに用いる場合には、長期間、シート形状を保持することができる。また、樹脂組成物においては、エポキシ樹脂は可塑剤として機能するため、エポキシ樹脂に対して相溶性を有するアクリル樹脂を加えることで、樹脂組成物全体が可塑化され、アクリル樹脂による粘着性や柔軟性が発揮される。これにより、樹脂組成物の硬化前の粘着性や電子部品との密着性の向上を図ることが可能となり、また、樹脂組成物の硬化後の靭性が向上し、かつ、接着力をより高めることができる。
ここで、アクリル樹脂がエポキシ樹脂に対して相溶性を有するとは、エポキシ樹脂との親和性がよく、エポキシ樹脂と任意の割合で混合した場合に、相分離しないことをいう。樹脂組成物において、アクリル樹脂がエポキシ樹脂に対して相溶していることは、例えば、樹脂組成物を接着シートに用いた場合に、樹脂組成物を含む接着層の透明性が高いこと、接着層のヘイズ値が低いこと、走査型電子顕微鏡(SEM)もしくは透過型電子顕微鏡(TEM)により接着層の表面もしくは断面を観察したときに、層内にミクロンサイズの島が発生していないこと、等から確認することができる。
アクリル樹脂は、エポキシ樹脂との相溶性が良好なものであれば特に限定されない。アクリル樹脂は、極性基を有していてもよい。極性基としては、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、ニトリル基、アミド基等が挙げられる。
アクリル樹脂は、アクリル酸エステル単量体の単独重合体であり、上記単独重合体を2種以上含む混合成分であってもよく、2種以上のアクリル酸エステル単量体の共重合体であり、共重合体を1以上含む成分であってもよい。また、アクリル樹脂は、上記単独重合体と上記共重合体との混合成分であってもよい。アクリル酸エステル単量体の「アクリル酸」には、メタクリル酸の概念も含まれる。具体的には、アクリル樹脂は、メタクリレートの重合体とアクリレートの重合体との混合物であってもよく、アクリレート−アクリレート、メタクリレート−メタクリレート、メタクリレート−アクリレート等のアクリル酸エステル重合体であってもよい。中でも、アクリル樹脂は、2種以上のアクリル酸エステル単量体の共重合体((メタ)アクリル酸エステル共重合体)を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体を構成する単量体成分としては、例えば、特開2014−065889号公報に記載の単量体成分が挙げられる。上記単量体成分は、上述した極性基を有していてもよい。硬化前の樹脂組成物において、エポキシ樹脂との相溶性が向上し、硬化前の粘着力および硬化後の接着力を高めることができるからである。上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、例えば、エチルアクリレート−ブチルアクリレート−アクリロニトリル共重合体、エチルアクリレート−アクリロニトリル共重合体、ブチルアクリレート−アクリロニトリル共重合体等を挙げることができる。なお、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等の「アクリル酸」には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の「メタクリル酸」を含む。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、ブロック共重合体が好ましく、さらにメタクリレート−アクリレート共重合体等のアクリル系ブロック共重合体が好ましい。アクリル系ブロック共重合体を構成するアクリレートやメタクリレートは、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジジル等が挙げられる。これらの「アクリル酸」には、メタクリル酸も含まれる。
メタクリレート−アクリレート共重合体の具体例としては、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート(MMA−BA−MMA)共重合体等のアクリル系共重合体が挙げられる。MMA−BA−MMA共重合体には、ポリメチルメタクリレート−ポリブチルアクリレート−ポリメチルメタクリレート(PMMA−BA−MMA)のブロック共重合体も含まれる。このようなアクリル系共重合体は、製膜性が向上し、被着面に対して十分な接着性を示すことができる。
アクリル系共重合体は、極性基を有していなくてもよく、また一部に上述した極性基を導入した変性物であってもよい。上記変性物は、硬化前の樹脂組成物においてエポキシ樹脂との相溶性がさらに向上するため、接着強度がより向上する。
中でも、アクリル樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である第1重合体部分と、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上である第2重合体部分とを有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体であることが好ましい。このような(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、柔らかいセグメントとなる第1重合体部分と、硬いセグメントとなる第2重合体部分とを有する。このような共重合体を添加することにより、樹脂組成物を接着シートに用いた場合には、被着面に対する浮きや剥がれを有効に抑制することができ、また、硬化後の靭性が向上して接着力をより高めることができるからである。
上記の効果の発現は、以下のように推定できる。従来のエポキシ樹脂系接着剤では、靱性や柔軟性を付与するために、エポキシ樹脂の他に、アクリル樹脂を添加することが行われていたが、アクリル樹脂の添加により接着剤自体の耐熱性が低下する場合があった。これに対し、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体のような、柔らかいセグメントと、硬いセグメントとを併せ持つアクリル樹脂を用いることで、硬いセグメントが耐熱性に寄与し、柔らかいセグメントが靱性ないし柔軟性に寄与するため、硬化後の樹脂組成物は、靱性を有しかつ優れた接着性を保持することができると考えられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第1重合体部分および第2重合体部分の少なくとも一方は、エポキシ樹脂に対して相溶性を有する。第1重合体部分がエポキシ樹脂に対して相溶性を有する場合には、柔軟性を高めることができる。また、第2重合体部分がエポキシ樹脂に対して相溶性を有する場合には、凝集性や靱性を高めることができる。
第1重合体部分または第2重合体部分の一方がエポキシ樹脂に対して相溶性を有さない場合、(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、エポキシ樹脂に対して相溶性を有する重合体部分である相溶部位と、エポキシ樹脂に対して相溶性を有さない重合体部分である非相溶部位とを有することになる。この場合、樹脂組成物に上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体を添加すると、相溶部位がエポキシ樹脂と相溶し、非相溶部位がエポキシ樹脂と相溶しないため、相分離が起こる。その結果、硬化後の樹脂組成物では、海島構造が発現する。海島構造としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の種類、(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第1重合体部分および第2重合体部分の相溶性、極性基導入による変性の有無によって異なり、例えば、エポキシ樹脂の硬化物および(メタ)アクリル酸エステル共重合体の相溶部位が海、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の非相溶部位が島であるような海島構造や、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の非相溶部位が海、エポキシ樹脂の硬化物および(メタ)アクリル酸エステル共重合体の相溶部位が島であるような海島構造、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が海、エポキシ樹脂の硬化物が島であるような海島構造が挙げられる。硬化後の樹脂組成物は、このような海島構造を有することで、応力を分散させやすくすることができるので、界面破壊を避けることができ、優れた接着強度を維持することができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、中でもブロック共重合体であることが好ましく、特に、相溶部位を重合体ブロックA、非相溶部位を重合体ブロックBとするA−B−Aブロック共重合体であることが好ましい。さらには、第1重合体部分が非相溶部位、第2重合体部分が相溶部位であり、第1重合体部分を重合体ブロックB、第2重合体部分を重合体ブロックAとするA−B−Aブロック共重合体であることが好ましい。アクリル樹脂としてこのようなA−B−Aブロック共重合体を用いることにより、硬化後の樹脂組成物では、エポキシ樹脂の硬化物および(メタ)アクリル酸エステル共重合体の相溶部位が海、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の非相溶部位が島であるような海島構造の場合には、島部分を小さくすることができる。また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の非相溶部位が海、エポキシ樹脂の硬化物および(メタ)アクリル酸エステル共重合体の相溶部位が島であるような海島構造の場合や、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が海、エポキシ樹脂の硬化物が島であるような海島構造の場合には、海部分を小さくすることができる。そのため、硬化後の樹脂組成物では、見かけ上、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂が相溶した状態となる。このような見かけ上の相溶状態が発現されることにより、硬化後の樹脂組成物は、さらに応力を分散させやすくすることができるので、界面破壊を避けることができ、優れた接着強度を維持することができる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、第1重合体部分または第2重合体部分の一部に上述の極性基を導入した変性物であってもよい。樹脂組成物の硬化後の耐熱性がより向上するとともに、エポキシ樹脂との相溶性も向上するため、接着性が向上する。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第1重合体部分のTgは、10℃以下であり、−150℃以上、10℃以下の範囲内、中でも−130℃以上、0℃以下の範囲内、特に−110℃以上、−10℃以下の範囲内とすることができる。
なお、第1重合体部分のTgは、「POLYMERHANDBOOK第3版」(John Wiley & Sons,Ink.発行)に記載された各単独重合体のTg(K)を基にして、下記式で計算により求めることができる。
1/Tg(K)=W/Tg+W/Tg+・・・・+W/Tg
;各単量体の質量分率
Tg;各単量体の単独重合体のTg(K)であり、ポリマーハンドブック(3rd Ed.,J.Brandrup and E.H.Immergut,WILEY INTERSCIENCE)中の値など、一般に公開されている掲載値を用いればよい。後述の第2重合体部分のTgも同様である。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第1重合体部分は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよいが、中でも単独重合体であることが好ましい。第1重合体部分を構成する単量体成分および重合体成分は、Tgが所定の範囲である第1重合体部分を得ることができる単量体成分および重合体成分であればよく、例えばアクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸メチル等のアクリル酸エステル単量体や、酢酸ビニル、アセタール、ウレタン等の他の単量体、上述の極性基を含む極性基含有単量体、EVA等の共重合体が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第2重合体部分のTgは、20℃以上であり、20℃以上、150℃以下の範囲内、中でも30℃以上、150℃以下の範囲内、特に40℃以上、150℃以下の範囲内とすることができる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第2重合体部分は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよいが、中でも単独重合体であることが好ましい。第2重合体部分を構成する単量体成分は、Tgが所定の範囲である第2重合体部分を得ることができる単量体成分であればよく、例えばメタクリル酸メチル等のアクリル酸エステル単量体や、アクリルアミド、スチレン、塩化ビニル、アミド、アクリロニトリル、酢酸セルロース、フェノール、ウレタン、塩化ビニリデン、塩化メチレン、メタクリロニトリル等の他の単量体、上述の極性基を含む極性基含有単量体が挙げられる。
上記の第1重合体部分および第2重合体部分を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体の具体例としては、上記のMMA−BA−MMA共重合体等が挙げられる。
アクリル樹脂の重量平均分子量は、樹脂組成物に要求される粘着性や凝集力に応じて適宜設定することができ、中でもエポキシ樹脂およびエポキシ変性シリコーン樹脂の重量平均分子量よりも大きいことが好ましい。アクリル樹脂に製膜性を任せ、エポキシ樹脂は可塑成分として働く必要があるからである。具体的には、アクリル樹脂の重量平均分子量は、1万以上、90万以下の範囲内、中でも3万以上、50万以下とすることができる。アクリル樹脂の重量平均分子量が小さすぎると、3次元架橋が支配的となり、靱性が低下する場合があり、一方、大きすぎると、相溶性が悪くなるため強度が低下する。アクリル樹脂の重量平均分子量は、GPC(溶離液:THF、標準物質:PS、試料:20μL、流量:1mL/min、カラム温度:40℃)により測定することができる。
樹脂組成物中のアクリル樹脂の含有量は、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂の種類、樹脂組成物に要求される粘着性、凝集性、粘性等に応じて適宜調整することが可能である。例えば、樹脂組成物がアクリル樹脂として上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む場合、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の含有量としては、エポキシ樹脂100質量部に対して、4質量部以上、100質量部以下とすることができる。この割合で両者を配合すると、樹脂組成物は、硬化前の段階で、エポキシ樹脂中に、ナノオーダーレベルの微粒子状にアクリル樹脂が分散した構造が発現し、見かけ上の相溶状態が発現される。そして、樹脂組成物は、見かけ上の相溶状態を維持しながら硬化することで、優れた接着強度を発揮することができる。また、硬化後の樹脂組成物が上記の構造を有することで、被着体との界面からの水の侵入を抑制でき、さらに優れた接着保持特性を有することができる。
6.粒子
本態様の樹脂組成物は、粒子を含んでいてもよい。粒子が含まれることにより、本態様の樹脂組成物を用いて部品内蔵基板を製造する場合には、樹脂組成物を含む接着層の硬化収縮を低減することができるとともに、接着層が硬化する際に電子部品を動きにくくすることができる。そのため、本態様の樹脂組成物を用いて電子部品を固定する際の位置ずれを抑制することができる。さらに、粒子が含まれることにより、樹脂組成物の硬化後の耐熱性や強度を高めることができる。
本態様の樹脂組成物に含まれる粒子としては、絶縁性を有するものであればよく、例えば、無機粒子および有機粒子のいずれも用いることができる。中でも有機粒子が好ましく、特に樹脂粒子が好ましい。樹脂粒子であれば、エポキシ樹脂中への分散性を良くすることができるからである。これにより、粒子による粘着性の低下を抑制することができる。また、本態様の樹脂組成物を用いて部品内蔵基板を製造する場合には、樹脂組成物を含む接着層の硬化収縮を抑制することができるとともに、接着層が硬化する際に電子部品を動きにくくすることができ、電子部品の位置ずれを抑制することができる。
無機粒子としては、一般に接着剤に使用される無機フィラーを用いることができる。例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ガラス、タルク、クレー、マイカ等の粒子が挙げられる。
樹脂粒子としては、一般に接着剤に使用される有機フィラーを用いることができる。例えば、アクリル粒子、ポリスチレン粒子、ウレタン粒子、ポリアミド粒子、ポリイミド粒子、ポリエステル粒子、ポリエチレン粒子等が挙げられる。
中でも、アクリル粒子が好ましい。アクリル粒子は、エポキシ樹脂に添加しても凝集しにくく、エポキシ樹脂中への分散性を高めることができる。これにより、粒子による粘着性の低下を抑制することができる。また、本態様の樹脂組成物を用いて部品内蔵基板を製造する場合には、樹脂組成物を含む接着層の硬化収縮を抑制することができるとともに、接着層が硬化する際に電子部品を動きにくくすることができ、電子部品の位置ずれを抑制することができる。
また、粒子はコアシェル構造を有していてもよい。
コアシェル構造のシェル部としては、特に限定されないが、樹脂であることが好ましい。樹脂で覆われた粒子であれば、エポキシ樹脂との親和性を高め、エポキシ樹脂中への分散性を良くすることができるからである。
また、シェル部を構成する樹脂としては、特に限定されないが、アクリル樹脂であることが好ましい。アクリル樹脂で覆われた粒子は、エポキシ樹脂に添加しても凝集しにくく、エポキシ樹脂中への分散性を高めることができる。すなわち、アクリル粒子は、単一構造を有していてもよく、コアシェル構造を有していてもよい。
また、コアシェル構造のコア部としては、特に限定されるものではなく、例えば、無機材料であってもよく、有機材料であってもよい。また、有機材料の場合、例えば、ゴムであってもよく、樹脂であってもよい。コア部がゴムである場合には、接着層に靱性を付与することができる。ゴムとしては、例えば、ブタジエン系ゴム等が挙げられる。
また、粒子は、表面に反応性官能基を有していてもよい。エポキシ樹脂との親和性を高めることができるからである。
反応性官能基としては、例えば、エポキシ基、アミノ基、アクリル基等が挙げられる。中でも、エポキシ基が好ましい。エポキシ樹脂との親和性を向上させることができるからである。
無機粒子の場合、シランカップリング剤で表面修飾することにより、表面に反応性官能基を有する無機粒子を得ることができる。シランカップリング剤としては、例えば、アルコキシ基、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、クロロ基等を有する一般的なシランカップリング剤を用いることができる。
無機粒子をシランカップリング剤で表面装飾する方法は、特に限定されるものではなく、一般的な方法を適用することができる。
また、樹脂粒子の場合、予め反応性官能基を有する樹脂を用いてもよく、樹脂粒子を反応させて反応性官能基を導入してもよい。
粒子は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
粒子の形状は、特に限定されるものではなく、球、楕円体、多面体、鱗片形等、任意の形状とすることができる。
粒子の平均粒径は、例えば、0.01μm以上、20μm以下とすることができる。平均粒径が小さすぎる粒子は、製造が困難であり、また再凝集が生じるおそれがある。また、平均粒径が大きすぎると、本態様の樹脂組成物を用いて部品内蔵基板を製造する場合に、樹脂組成物を含む接着層の厚みよりも大きくなり、接着層と電子部品や基板との密着性が低下するおそれがある。
ここで、粒子の平均粒径は、本態様の樹脂組成物を用いた接着シートにおいて、樹脂組成物を含む接着層の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真により観察される粒子20個の平均値とすることができる。また、粒子の平均粒径は、動的光散乱法(DLS)で測定することもできる。
樹脂組成物中の粒子の含有量は、樹脂組成物の不揮発分を100質量%とした場合に、例えば、5質量%以上、20質量%以下とすることができる。粒子の含有量が少なすぎると、本態様の樹脂組成物を用いて部品内蔵基板を製造する場合に、電子部品の位置ずれを抑制する効果が十分に得られない場合がある。また、粒子の含有量が多すぎると、樹脂組成物の粘着性が低下し、十分なタック力が得られないだけでなく、ボイドが発生しやすくなるおそれがある。
また、本態様の樹脂組成物を調製する際に、粒子としては、樹脂中に粒子に分散させた組成物を用いてもよい。すなわち、エポキシ樹脂と、樹脂中に粒子を分散させた組成物とを混合してもよい。樹脂中に粒子に分散させた組成物において、樹脂としては、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。予め樹脂中に粒子を分散させた組成物を用いることにより、エポキシ樹脂中への粒子の分散性を向上させることができる。
7.他の成分
本態様の樹脂組成物は、必要に応じて、例えば、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、染料、顔料等の着色剤等を含んでいてもよい。
また、本態様の樹脂組成物は、必要に応じて、シラン系、チタン系、アルミニウム系等のカップリング剤を含むことができる。これにより、本態様の樹脂組成物を用いて部品内蔵基板を製造する場合に、樹脂組成物を含む接着層と電子部品との密着性を向上させることができる。また、本態様の樹脂組成物を接着シートに用いる場合、後述するように、接着層が芯材を含む場合には、芯材との密着性を高めることができる。
また、シランカップリング剤としては、中でも、エポキシ系シランカップリング剤が好ましく用いられる。エポキシ変性シリコーン樹脂とエポキシ系シランカップリング剤とを併用することにより、より一層耐水性および接着強度を向上させることができる。
エポキシ系シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジエチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エトキシ)ジエチルシラン、又はその部分縮合物を挙げることができる。エポキシ系シランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
本態様の樹脂組成物は、溶剤を含んでいてもよい。本態様の樹脂組成物を接着シートに用いる場合、樹脂組成物に含まれる溶剤は、樹脂組成物を塗布し乾燥して接着層を形成する際に揮発して除去される。
8.樹脂組成物
本態様の樹脂組成物の硬化後のガラス転移温度は、例えば、150℃以上とすることができ、中でも175℃以上であることが好ましい。樹脂組成物の硬化後のガラス転移温度が上記範囲であることにより、本態様の樹脂組成物を用いて部品内蔵基板を製造する場合には、優れた耐熱性を有する層間絶縁層を得ることができる。なお、樹脂組成物の硬化後のガラス転移温度の上限は、特に限定されないが、350℃程度とすることができる。
ここで、樹脂組成物の硬化後のガラス転移温度を測定するに際しては、まず、樹脂組成物を加熱して硬化させる。硬化時の加熱温度は、150℃以上、180℃以下である。また、加熱時間は、30分以上、60分以下である。
また、ガラス転移温度(Tg)は、損失正接(tanδ)のピークトップの値に基づく方法(DMA法)により測定された値を意味する。また、損失正接は、損失弾性率/貯蔵弾性率の値により決定される。これら弾性率は、硬化後の樹脂組成物に対して一定の周波数で力を付与した時の応力を、動的粘弾性測定装置を用いて測定される。具体的には、TA Instruments社製の動的粘弾性計測定装置RSA−IIIを用い、JIS K7244−1(プラスチック−動的機械特性の試験方法−第1部:通則)に準拠した動的粘弾性測定法により下記条件で測定することができる。
・アタッチメントモード:圧縮モード
・周波数:1.0Hz
・温度範囲:−50℃以上250℃以下
・昇温速度:5℃/分
本態様の樹脂組成物は、上述の各成分を混合し、必要に応じて混練、分散して、調製することができる。混合および分散方法は、特に限定されるものではなく、一般的な混練分散機、例えば、二本ロールミル、三本ロールミル、ペブルミル、トロンミル、ツェグバリ(Szegvari)アトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、デスパー、高速ミキサー、リボンブレンダー、コニーダー、インテンシブミキサー、タンブラー、ブレンダー、デスパーザー、ホモジナイザー、及び超音波分散機等が適用できる。エポキシ樹脂として複数種を用いる場合は、先に硬いエポキシ樹脂を混合撹拌し、次に潜在性硬化剤を混合撹拌し、溶剤で希釈した後に、軟らかいエポキシ樹脂を混合撹拌し、次いで、アクリル樹脂を混合撹拌することが好ましい。
9.用途
本態様の樹脂組成物は、一液加熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤として用いることができる。一般に、エポキシ樹脂系接着剤は、接着性、耐久性および絶縁性に優れており、また無溶剤とすることができる。そのため、本態様の樹脂組成物は、部品内蔵基板の製造方法における電子部品の固定に用いられ、かつ、部品内蔵基板の層間絶縁層に用いられる、接着シートの接着層に好適である。
なお、本態様の樹脂組成物を用いた接着シートならびに部品内蔵基板およびその製造方法については、後述する。
A−2.第2実施態様
本開示の樹脂組成物の第2実施態様は、部品内蔵基板の電子部品の固定および層間絶縁層に用いられる樹脂組成物であって、樹脂フロー率が80%以上であり、硬化物のガラス転移温度が175℃以上であるものである。
本態様の樹脂組成物は、上述したような樹脂フロー率の値を有するものであるので、部品内蔵基板の製造に際して、電子部品の仮固定を行うための接着層として用いた場合、流動性に優れることから、仮固定の際に電子部品と接着層との間でのボイドの発生を低減することが可能となる。また、上記接着層を硬化させた硬化物のガラス転移温度が、上述したような値を有するものであるので、硬化後に層間絶縁層として機能する際に耐熱性に優れたものとすることを可能とする。
1.樹脂フロー率
本態様における樹脂フロー率は、電子部品を仮固定する際の流動性の指標とされるものであり、樹脂フロー率が高いものであれば、上記樹脂組成物を含有する接着層に電子部品を仮固定した際に、上記電子部品に沿って樹脂組成物が流動することができる。これによりボイドの発生を抑制することが可能となる。
本態様において、上記樹脂組成物の樹脂フロー率は、80%以上であるが、85%以上、特に90%以上であることが好ましい。よりボイドの発生を抑制することが可能となるからである。
本態様における樹脂フロー率の測定方法は、以下の通りである。
1.樹脂組成物を35μm厚のシートとし(図8A中のa)、上記シートの一方の面に、ポリイミドフィルム(「カプトン500H」東レ・デュポン株式会社製、厚み125μm、図8A中のb)を温度25℃で貼り合わせる。
得られた積層体を5cm×5cmのサイズに切断した後、中心に直径が6mmになるように平面視上円形の穴を開ける。
次いで、穴の開いた積層体を銅箔(「RCF−T5B−35μ」福田金属箔粉工業株式会社、厚み35μm、図8A中のc)に温度25℃で貼り合わせ、銅箔を上記積層体と同じサイズである5cm×5cmに切断し、銅箔付き積層体を得る(図8A)。
2.得られた銅箔付き積層体を、上下面に150℃に加温した加温ステージ(図8B中のd)を有する加熱プレス機(テスター産業株式会社製SA−901)の下面上に、銅箔側が接触するように上記銅箔付き積層体を配置する。配置直後に、加圧条件60.3kgf/cm×150℃×100秒の条件にて、加熱プレスを行う(図8B)。
3.上記加熱プレスした銅箔付き積層体を取り出し、銅箔とは反対側から、上記円形の穴を光学顕微鏡にて観察し、樹脂組成物が銅箔上に流れた面積、すなわち銅箔が見えなくなった面積を測定する(図8C)。
樹脂フロー率は以下の式にて計算される。
樹脂フロー率(%)=樹脂のフローした面積/穴の面積×100
2.硬化物のガラス転移温度
本態様においては、硬化物のガラス転移温度が175℃以上であるが、中でも180℃以上、特に185℃以上であることが好ましい。
本態様における硬化物のガラス転移温度とは、上記樹脂組成物を硬化させた後のガラス転移温度であり、上記樹脂組成物が接着層として用いられた後、硬化されて層間絶縁層とされた際の耐熱性を示すものである。本態様においては、上記ガラス転移温度が上述した値以上であるので、耐熱性の高い層間絶縁層として用いることができる。なお、樹脂組成物の硬化後のガラス転移温度の上限は、特に限定されないが、350℃程度とすることができる。
本態様における硬化物のガラス転移温度の測定方法については、「A−1.第1実施形態」の「8.樹脂組成物」で記載した方法と同一の方法を用いることができる。
3.用途
本態様の樹脂組成物は、部品内蔵基板の電子部品の固定および層間絶縁層に用いられるものである。また、部品内蔵基板の製造方法においては、電子部品の仮固定に用いられるものであり、さらにその後硬化されて部品内蔵基板の層間絶縁層として用いられるものである。
これらの部品内蔵基板、および部品内蔵基板の製造方法の詳細については、後述する通りであるので、ここでの説明は、省略する。
4.組成
本態様の樹脂組成物に用いられる材料の組成としては、上記樹脂フロー率を有し、硬化後のガラス転移温度が上記範囲内となるものであれば、特に限定されるものではないが、上記「第1実施態様」で説明した材料を好適に用いることができる。
B.接着シート
本開示の接着シートは、二つの実施態様を有する。以下、それぞれについて説明する。
B−1.第1実施態様
本態様の接着シートは、少なくとも接着層を有する接着シートであって、上記接着層が、エポキシ樹脂と、エポキシ変性シリコーン樹脂と、アクリル樹脂と、潜在性硬化剤と、硬化促進剤と、を含み、上記エポキシ樹脂は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格およびノボラック骨格からなる群から選択される少なくとも1つを有するエポキシ樹脂(A)を含み、上記硬化促進剤は、23℃で固体のイミダゾール化合物である。
なお、本明細書において、「シート」には、「フィルム」等と呼ばれる部材も含まれる。また、「フィルム」には、「シート」等と呼ばれる部材も含まれる。
図1は、本態様の接着シートの一例を示す概略断面図である。接着シート1は、少なくとも接着層3を有する。接着シートは、接着層の少なくとも一方の面に剥離層を有していてもよい。図1に示す例においては、接着層3の両面にそれぞれ剥離層2a、2bが配置されている。
本態様における接着層は、上述の樹脂組成物を含むものである。したがって、上述の「A−1.第1実施態様」の項に記載したように、本態様の接着シートを用いることにより、耐熱性に優れ、さらには電子部品の位置精度に優れ、信頼性の高い部品内蔵基板を得ることが可能である。
以下、本態様の接着シートの各構成について説明する。
1.接着層
本態様の接着シートは、少なくとも接着層を有する。
接着層は、エポキシ樹脂と、エポキシ変性シリコーン樹脂と、アクリル樹脂と、潜在性硬化剤と、硬化促進剤と、を含み、上記エポキシ樹脂は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格およびノボラック骨格からなる群から選択される少なくとも1つを有するエポキシ樹脂(A)を含み、上記硬化促進剤は、23℃で固体のイミダゾール化合物である。すなわち、接着層は、上述の樹脂組成物を含むものである。
なお、樹脂組成物については、上述の「A−1.第1実施態様」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
接着層の硬化後のガラス転移温度は、例えば、150℃以上とすることができ、中でも175℃以上であることが好ましい。なお、接着層の硬化後のガラス転移温度については、上述の樹脂組成物の硬化後のガラス転移温度と同様とすることができる。
また、接着層の23℃、周波数1GHzでの比誘電率は、3.2以下であることが好ましく、中でも3.1以下であることが好ましい。また、接着層の23℃、周波数10GHzでの比誘電率は、3.2以下であることが好ましく、中でも3.1以下であることが好ましい。接着層の上記比誘電率が上記範囲であることにより、本態様における接着層を部品内蔵基板の層間絶縁層として用いる場合には、伝送損失を少なくすることができる。なお、接着層の上記比誘電率の下限は、特に限定されない。
また、接着層の23℃、周波数1GHzでの誘電正接は、0.035以下であることが好ましく、中でも0.030以下であることが好ましい。また、接着層の23℃、周波数10GHzでの誘電正接は、0.035以下であることが好ましく、中でも0.030以下であることが好ましい。接着層の上記誘電正接が上記範囲であることにより、本態様における接着層を部品内蔵基板の層間絶縁層として用いる場合には、伝送損失を少なくすることができる。なお、接着層の上記誘電正接の下限は、特に限定されない。
ここで、周波数1GHzでの比誘電率および誘電正接は、IEC 62810に準拠して測定された値である。具体的には、以下の方法で測定することができる。まず、接着シートが剥離層を有する場合には、剥離層を剥離し、接着層単層の状態にして、試験片を準備する。試験片の寸法は、16mm×92mmとする。次に、IEC 62810に準拠し、下記の装置および条件で比誘電率および誘電正接を測定する。比誘電率、誘電正接の値は、1サンプルの測定値である。
・測定方法:空洞共振器法
・装置:Vector network analyzer HP8510(アジレント・テクノロジー社製)
Synthesizer sweeper HP83651A(同上)
Test set HP8517B(同上)
・共振器の寸法:直径229mm、高さ40mm
・試験環境:22℃、60%RH
また、周波数10GHzでの比誘電率および誘電正接は、JIS R1641に準拠して測定された値である。具体的には、以下の方法で測定することができる。まず、接着シートが剥離層を有する場合には、剥離層を剥離し、接着層単層の状態にして、試験片を準備する。試験片の寸法は、60mm×100mmとする。次に、JIS R1641に準拠し、下記の装置および条件で比誘電率および誘電正接を測定する。比誘電率、誘電正接の値は、1サンプルの測定値である。
・測定方法:空洞共振器法
・装置:Vector network analyzer HP8510(アジレント・テクノロジー社製)
Synthesizer sweeper HP83651A(同上)
Test set HP8517B(同上)
・共振器の寸法:直径42mm、高さ30mm
・試験環境:22℃、60%RH
接着層の絶縁破壊電圧は、例えば、130kV/mm以上であることが好ましい。接着層の絶縁破壊電圧が上記範囲であれば、本態様における接着層を部品内蔵基板の層間絶縁層として好適に用いることができる。なお、接着層の絶縁破壊電圧の上限は、特に限定されない。
ここで、絶縁破壊電圧は、ASTM D149に準拠して測定された値である。具体的には、以下の方法で測定することができる。まず、接着シートが剥離層を有する場合には、剥離層を剥離し、接着層単層の状態にして、試験片を準備する。次に、ASTM D149に準拠し、下記の装置および条件で絶縁破壊電圧を測定する。
・試験装置:絶縁破壊試験機HAT−300−100RHO形(山崎産業社製)
・試験片寸法:50mm×50mm
・電極サイズ:上下25mmφ円柱状
・周囲媒体:絶縁油
・試験換気用:室温(23±2℃)
・昇圧速度:0.2kV/sec
接着層の厚みは、接着層を部品内蔵基板の電子部品の固定および層間絶縁層に用いることができる厚みであればよく、例えば、5μm以上、100μm以下とすることができる。
接着層は、例えば、後述の剥離層の一方の面に樹脂組成物を塗布し、溶剤を除去することで形成することができる。具体的な塗布方法としては、樹脂組成物を塗布することができる方法であればよく、特に限定されないが、例えば、ロールコート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、コンマコート、ロッドコ−ト、ブレードコート、バーコート、ワイヤーバーコート、ダイコート、リップコート、ディップコート等が挙げられる。
また、樹脂組成物の塗膜上に他の剥離層を配置することで、接着層の両面に剥離層を有する接着シートを得ることができる。
また、接着層は、芯材をさらに含み、樹脂組成物が芯材に含浸されたものであってもよい。芯材としては、一般に接着シートに使用される芯材を用いることができる。例えば、織布又は不織布が好ましく用いられる。織布又は不織布としては、例えば、液晶ポリマー等の耐熱性のあるプラスチック繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ポリエステル不織布、ビニロン繊維、発泡ウレタン等を挙げることができ、これらで構成した織布、不織布を使用することができる。
芯材を含む接着層は、以下の方法により形成することができる。
まず、コーティング機を用いて剥離層と芯材とを重ねて走行させ、上記芯材を有する面に樹脂組成物を塗布して芯材に含浸させ、次に、上記芯材に含浸された樹脂組成物を乾燥させて溶剤を除去することで、芯材を含む接着層を得ることができる。また、樹脂組成物の塗布面に他の剥離層を配置することで、接着層の両面に剥離層を有する接着シートを得ることができる。
また、まず、第1剥離層に樹脂組成物を塗布して乾燥させ、樹脂組成物を介して第1剥離層を芯材シートでラミネートし、また、第2剥離層に樹脂組成物を塗布して乾燥させ、次に、上記芯材シートを介して上記第1剥離層と対向するように第2剥離層をラミネートすることで、樹脂組成物を芯材に含浸させた接着層を得ることもできる。上記ラミネート時のドラムの温度は、例えば70℃以上、90℃以下とすることができる。
2.剥離層
本態様の接着シートは、剥離層と、接着層と、を有することができる。剥離層は、接着層の片面に配置されていてもよく、接着層の両面に配置されていてもよい。
剥離層としては、一般に接着シートに使用される剥離層を用いることができる。例えば、剥離フィルム、剥離紙等が挙げられる。また、上質紙、コート紙、含浸紙、プラスチックフィルム等の基材の片面又は両面に離型層を有するものを用いてもよい。離型層としては、離型性を有する材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコーン樹脂、有機樹脂変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等がある。これらの樹脂は、エマルジョン型、溶剤型又は無溶剤型のいずれも使用できる。
剥離層は、接着層に対して所定の剥離力を有することが好ましい。具体的には、剥離力は1mN/cm以上、2000mN/cm以下とすることができ、中でも100mN/cm以上、1000mN/cm以下であることが好ましい。剥離層の剥離力が上記範囲内であることにより、剥離層と接着層とを十分に接着させることができるとともに、剥離も良好に行うことが可能となる。
なお、剥離力の測定方法としては、接着層の両面に剥離層を有する接着シートをカットして幅25mmの試験体とし、JIS Z0237:2009(粘着テープ・粘着シート試験方法)に準拠して、剥離速度0.3m/分、剥離角180°にて剥離強度を測定する方法を採用することができる。
接着層の両面に剥離層が配置されている場合、2つの剥離層は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、接着層の両面に剥離層が配置されている場合、一方が軽剥離性を有し、他方が重剥離性を有することが好ましい。
3.用途
本態様の接着シートは、部品内蔵基板の製造方法における電子部品の固定に用いられ、かつ、部品内蔵基板の層間絶縁層に用いられることが好ましい。
なお、本態様の接着シートを用いた部品内蔵基板およびその製造方法については、後述する。
B−2.第2実施態様
本開示の接着シートの第2実施態様は、部品内蔵基板の電子部品の固定および層間絶縁層に用いられる接着シートであって、少なくとも接着層を有し、上記接着層が、樹脂組成物を含有し、上記樹脂組成物は、樹脂フロー率が80%以上であり、上記樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度が175℃以上である、接着シートである。
本態様の接着シートに用いられる樹脂組成物は、上記「A−2.第2実施態様」で説明した樹脂組成物と同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、「部品内蔵基板の電子部品の固定および層間絶縁層に用いられる」点についても、上記「A−2.第2実施態様」の「3.用途」で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
さらに、接着層の比誘電率、誘電正接、絶縁破壊電圧、および厚み等の他の特性や、剥離層の説明等は、上記「B−1.第1実施態様」の説明と同様であるので、ここでの説明は省略する。
C.部品内蔵基板
本開示の部品内蔵基板は、二つの実施態様を有する。以下、それぞれについて説明する。
C−1.第1実施態様
本態様の部品内蔵基板は、層間絶縁層と、上記層間絶縁層の一方の面に配置された電子部品とを少なくとも有する部品内蔵基板であって、上記層間絶縁層が、エポキシ樹脂と、エポキシ変性シリコーン樹脂と、アクリル樹脂と、潜在性硬化剤と、硬化促進剤と、を含む樹脂組成物の硬化物を含有し、上記エポキシ樹脂は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格およびノボラック骨格からなる群から選択される少なくとも1つを有するエポキシ樹脂(A)を含み、上記硬化促進剤は、23℃で固体のイミダゾール化合物である。
なお、上記樹脂組成物の硬化物を含む層間絶縁層を、第1層間絶縁層と称する場合がある。
本態様の部品内蔵基板は、層間絶縁層と、上記層間絶縁層の一方の面に配置された電子部品とを少なくとも有していればよく、その構成は特に限定されない。以下、本態様の部品内蔵基板について、具体例を挙げて説明する。
図2は、本態様の部品内蔵基板の一例を示す概略断面図である。図2に示すように、部品内蔵基板10は、開口部12を有する基板11と、基板11の一方の面に配置された第1層間絶縁層3bと、基板11の開口部12内の第1層間絶縁層3bの面に配置された電子部品13a、13bと、基板11の開口部12および電子部品13a、13bを覆うように配置された第2層間絶縁層14と、第2層間絶縁層14の開口部15に配置された導電部16と、第1層間絶縁層3bの基板11側の面とは反対側の面に配置され、導電部16に接続された配線17と、第1層間絶縁層3bの配線17側の面に配置された第3層間絶縁層19と、第3層間絶縁層19の開口部に配置された導電部21と、第3層間絶縁層19の第1層間絶縁層3b側の面とは反対側の面に配置され、導電部21に接続された配線23と、第2層間絶縁層14の基板11側の面とは反対側の面に配置され、導電部16に接続された配線18と、第2層間絶縁層14の配線18側の面に配置された第4層間絶縁層20と、第4層間絶縁層20の開口部に配置された導電部22と、第4層間絶縁層20の第2層間絶縁層14側の面とは反対側の面に配置され、導電部22に接続された配線24と、を有している。また、第1層間絶縁層3bは、エポキシ樹脂と、エポキシ変性シリコーン樹脂と、アクリル樹脂と、潜在性硬化剤と、硬化促進剤と、を含む樹脂組成物の硬化物を含有し、上記エポキシ樹脂は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格およびノボラック骨格からなる群から選択される少なくとも1つを有するエポキシ樹脂(A)を含み、上記硬化促進剤は、23℃で固体のイミダゾール化合物である。すなわち、第1層間絶縁層3bは、上述の樹脂組成物の硬化物を含有する。
図5は、本態様の部品内蔵基板の他の例を示す概略断面図である。図5に示すように、部品内蔵基板30は、第1層間絶縁層3bと、第1層間絶縁層3bの一方の面に配置された電子部品13a、13bと、第1層間絶縁層3bの電子部品13a、13b側の面に、電子部品13a、13bを覆うように配置された第2層間絶縁層32と、第2層間絶縁層32の開口部に配置された導電部34と、第1層間絶縁層3bの第2層間絶縁層32側の面とは反対側の面に配置され、導電部34に接続された金属箔配線31と、第1層間絶縁層3bの金属箔配線31側の面に配置された第3層間絶縁層36と、第3層間絶縁層36の開口部に配置された導電部38と、第3層間絶縁層36の第1層間絶縁層3b側の面とは反対側の面に配置され、導電部38に接続された配線40と、第2層間絶縁層32の第1層間絶縁層3b側の面とは反対側の面に配置され、導電部34に接続された配線35と、第2層間絶縁層32の配線35側の面に配置された第4層間絶縁層37と、第4層間絶縁層37の開口部に配置された導電部39と、第4層間絶縁層37の第2層間絶縁層32側の面とは反対側の面に配置され、導電部39に接続された配線41と、を有している。また、第1層間絶縁層3bは、エポキシ樹脂と、エポキシ変性シリコーン樹脂と、アクリル樹脂と、潜在性硬化剤と、硬化促進剤と、を含む樹脂組成物の硬化物を含有し、上記エポキシ樹脂は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格およびノボラック骨格からなる群から選択される少なくとも1つを有するエポキシ樹脂(A)を含み、上記硬化促進剤は、23℃で固体のイミダゾール化合物である。すなわち、第1層間絶縁層3bは、上述の樹脂組成物の硬化物を含有する。
本態様における第1層間絶縁層は、「A−1.第1実施態様」の項で説明した樹脂組成物を含有するものである。したがって、上述の「A−1.第1実施態様」の項に記載したように、本態様においては、耐熱性に優れ、さらには電子部品の位置精度に優れ、信頼性の高い部品内蔵基板とすることが可能である。
以下、本態様の部品内蔵基板の各構成について説明する。
1.第1層間絶縁層
本態様における第1層間絶縁層は、エポキシ樹脂と、エポキシ変性シリコーン樹脂と、アクリル樹脂と、潜在性硬化剤と、硬化促進剤と、を含む樹脂組成物の硬化物を含有し、上記エポキシ樹脂は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格およびノボラック骨格からなる群から選択される少なくとも1つを有するエポキシ樹脂(A)を含み、上記硬化促進剤は、23℃で固体のイミダゾール化合物である。すなわち、第1層間絶縁層は、上述の樹脂組成物の硬化物を含有するものである。
なお、樹脂組成物については、上述の「A−1.第1実施態様」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
第1層間絶縁層のガラス転移温度は、例えば、150℃以上とすることができ、中でも175℃以上であることが好ましい。なお、接着層の硬化後のガラス転移温度については、上述の樹脂組成物の硬化後のガラス転移温度と同様とすることができる。
また、第1層間絶縁層の比誘電率、誘電正接、絶縁破壊電圧等の絶縁特性については、上述の接着シートの接着層の絶縁特性と同様とすることができる。
第1層間絶縁層の厚みは、一般的な部品内蔵基板の層間絶縁層の厚みであればよく、上述の接着シートの接着層の厚みと同様とすることができる。
本態様の部品内蔵基板の製造方法においては、接着層の一方の面に電子部品を配置した後、接着層を硬化させて第1層間絶縁層とする。
2.電子部品
本態様に用いられる電子部品としては、例えば、半導体等の能動部品であってもよく、抵抗、インダクタンス、コンデンサ等の受動部品であってもよい。
3.基板
本態様の部品内蔵基板においては、例えば、開口部を有する基板の一方の面に第1層間絶縁層が配置され、基板の開口部内の第1層間絶縁層の面に電子部品が配置されていてもよい。
基板としては、特に限定されるものではなく、例えば、メタルベース基板、メタルコア基板、銅張積層板、金属箔や金属板等の金属基材等が挙げられる。上記の基板を構成する金属としては、例えば、銅、アルミニウム、鉄等が挙げられる。
基板に貫通孔を形成する方法としては、一般に部品内蔵基板の製造に適用される貫通孔の形成方法を採用することができる。
4.第2層間絶縁層
本態様の部品内蔵基板においては、例えば、開口部を有する基板の一方の面に第1層間絶縁層が配置され、基板の開口部内の第1層間絶縁層の面に電子部品が配置されている場合、基板の開口部および電子部品を覆うように第2層間絶縁層が配置されていてもよい。また、例えば、後述するように、第1層間絶縁層の電子部品側の面とは反対側の面に配線が配置されている場合、第1層間絶縁層の電子部品側の面に、電子部品を覆うように第2層間絶縁層が配置されていてもよい。第2層間絶縁層により、電子部品は固定され、封止される。
第2層間絶縁層の材料としては、例えば、封止用樹脂組成物、層間絶縁フィルム、プリプレグ等を用いることができる。
封止用樹脂組成物、層間絶縁フィルム、およびプリプレグとしては、一般に部品内蔵基板の製造に使用されるものを用いることができる。
基板の貫通孔内に樹脂を充填し、熱硬化させる方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、封止用樹脂組成物を注入して、加熱する方法、層間絶縁フィルムを積層して、加熱する方法、プリプレグを積層して、加熱する方法、封止用樹脂組成物を注入した後、層間絶縁フィルムを積層して、加熱する方法、封止用樹脂組成物を注入した後、プリプレグを積層して、加熱する方法等が挙げられる。
また、上述の方法としては、公知の方法を適宜採用することができる。層間絶縁フィルムを用いる場合、例えば、層間絶縁フィルムを真空ラミネート等により積層し、加熱する方法等を用いることができる。また、プリプレグを用いる方法の場合、例えば、真空下で加熱プレスする方法等を用いることができる。
封止用樹脂組成物を注入した後、層間絶縁フィルムまたはプリプレグを積層する場合、貫通孔内に注入された封止用樹脂組成物は、層間絶縁フィルムまたはプリプレグの積層前に、熱硬化させてもよく、層間絶縁フィルムまたはプリプレグの積層後に、一括して熱硬化させてもよい。
加熱温度、加熱時間等の硬化条件は、部品内蔵基板の製造における一般的な条件とすることができる。
5.金属箔配線
本態様の部品内蔵基板においては、例えば、第1層間絶縁層の電子部品側の面とは反対側の面に、金属箔配線が配置されていてもよい。
金属箔配線の材料としては、金属箔を用いることができる。
金属箔としては、一般に部品内蔵基板の製造に使用されるものを用いることができる。
金属箔のパターニング方法としては、例えば、フォトリソグラフィ法を用いることができる。
6.他の部材
本態様の部品内蔵基板は、上述の部材の他に、必要に応じて、他の部材を有していてもよい。他の部材としては、一般に部品内蔵基板を構成する任意の部材とすることができ、例えば、上記の第1層間絶縁層および第2層間絶縁層以外の層間絶縁層や、上記金属箔配線以外の配線や、各層間絶縁層の開口部に配置され、配線に接続される導電部等を挙げることができる。
C−2.第2実施態様
本態様の部品内蔵基板は、層間絶縁層と、上記層間絶縁層の一方の面に配置された電子部品とを少なくとも有する部品内蔵基板であって、上記層間絶縁層が、樹脂組成物の硬化物を含有し、上記樹脂組成物は、樹脂フロー率が80%以上であり、上記硬化物のガラス転移温度が175℃以上である。
本態様の部品内蔵基板によれば、層間絶縁層として上述した樹脂組成物の硬化物が用いられているので、電子部品周囲にボイドが少なく、かつ層間絶縁層の耐熱性が良好である部品内蔵基板とすることができる。
本態様の部品内蔵基板は、上記層間絶縁層が、上述した「A−2.第2実施態様」で説明した樹脂組成物の硬化物である点を除き、上記「C−1.第1実施態様」と同様であるので、ここでの説明は、省略する。
D.部品内蔵基板の製造方法
本開示の部品内蔵基板の製造方法は、二つの実施態様に分けることができる。以下、それぞれについて説明する。
D−1.第1実施態様
本態様の部品内蔵基板の製造方法の第1態様は、層間絶縁層と、上記層間絶縁層の一方の面に配置された電子部品とを少なくとも有する部品内蔵基板を製造する部品内蔵基板の製造方法であって、少なくとも接着層を有する接着シートを準備する接着シート準備工程と、上記接着シートの上記接着層に電子部品を仮固定する仮固定工程と、上記接着層を硬化させて層間絶縁層とする硬化工程と、を少なくとも有し、上記接着層は、樹脂組成物を含有し、上記樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、エポキシ変性シリコーン樹脂と、アクリル樹脂と、潜在性硬化剤と、硬化促進剤と、を含み、上記エポキシ樹脂は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格およびノボラック骨格からなる群から選択される少なくとも1つを有するエポキシ樹脂(A)を含み、上記硬化促進剤は、23℃で固体のイミダゾール化合物である。
本態様の部品内蔵基板の製造方法によれば、接着層が上述したような樹脂組成物であるので、上記仮固定工程において、接着層の流動性を確保することが可能となり、接着層に対し電子部品を仮固定する際にボイドが生じることを防止することができる。また、上記硬化工程において、上記樹脂組成物を硬化させ層間絶縁層とすることにより、耐熱性の高い層間絶縁層とすることができるといった効果を奏する。
本態様においては、上述した通り、少なくとも接着シート準備工程、仮固定工程、および硬化工程を有する。以下、それぞれの工程について説明する。
1.接着シート準備工程
本態様における接着シート準備工程において準備される接着シートは、上記「B−1.第1実施態様」で説明した接着シートと同様であるので、ここでの説明は、省略する。
2.仮固定工程
本態様における仮固定工程は、上記接着シートに含まれる接着層に電子部品を仮固定する工程である。
本工程において、接着層の一方の面に電子部品を配置する際には、加熱してもよいが、常温で電子部品の貼り付けが可能であることから、加熱しなくともよい。
本工程において、仮固定される電子部品は、「C−1.第1実施態様」の「2.電子部品」で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
3.硬化工程
本態様における硬化工程は、上記電子部品が仮固定された接着層を硬化させて、層間絶縁層とする工程である。
接着層を硬化させる際の加熱温度は、例えば、60℃以上、250℃以下とすることができ、中でも100℃以上、180℃以下とすることができ、特に150℃以上、180℃以下が好ましい。
加熱時間は、例えば、1分以上、240分以下とすることができ、中でも10分以上、120分以下とすることができ、特に30分以上、60分以下が好ましい。
4.その他
本態様の部品内蔵基板の製造方法は、上述した接着シート準備工程、仮固定工程、および硬化工程を有するものであればよく、他の工程については、特に限定されるものではない。
このような他の工程を含む部品内蔵基板の製造方法の具体的態様について、図面を用いて説明する。なお、下記の具体的態様における、基板、第2層間絶縁層、金属箔配線等の部材については、上記「C−1.第1実施態様」の「3.基板」、「4.第2層間絶縁層」、「5.金属箔配線」、および「6.他の部材」で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
図3(a)〜(h)および図4(a)〜(c)は、本態様の部品内蔵基板の製造方法の一例を示す工程図であり、図2に示す部品内蔵基板を製造する方法の例である。まず、図3(a)に示すように基板11を準備し、図3(b)に示すように基板11に複数の貫通孔12aを形成する。また、図3(c)に示すように、少なくとも接着層3aを有する接着シート1を準備する。図3(c)に示す接着シート1は、接着層3aの両面にそれぞれ剥離層2a、2bを有している。次に、図3(d)に示すように、貫通孔12aを有する基板11の一方の面に、接着シート1の接着層3a側の面を貼合する。この際、接着層3aの両面に剥離層2a、2bが配置されている場合には、貼合前に、一方の剥離層2bを剥離して、接着層3aの面を露出させる。次に、図3(e)に示すように、基板11の貫通孔12a内の、接着シート1の接着層3a側の面に、電子部品13a、13bを配置する。この際、電子部品13a、13bは、接着層3aの粘着性によって仮固定される。次に、図3(f)に示すように、接着層3aを熱硬化させる。これにより、第1層間絶縁層3bが形成される。
次に、図3(g)〜(h)に示すように、基板11の第1層間絶縁層3b(硬化後の接着層)の面とは反対側の面に、層間絶縁フィルム14aを配置した後、例えば真空ラミネートし、加熱する。この際、層間絶縁フィルム14aを構成する樹脂が溶融するため、貫通孔12a内が樹脂で充填され、その後、樹脂は熱硬化される。これにより、第2層間絶縁層14bが形成される。
次に、図4(a)に示すように、第1層間絶縁層3bおよび第2層間絶縁層14bに、穴15aを形成する。この際、第1層間絶縁層3bの基板11側の面とは反対側の面に剥離層2aが配置されている場合には、穴の形成前に、剥離層2aを剥離する。次に、図4(b)に示すように、例えば無電解めっきおよび電解めっきを行い、穴15a内に導電部16を形成するとともに、第1層間絶縁層3bおよび第2層間絶縁層14bの面に導電層17a、18aを形成する。次いで、図3(c)に示すように、例えばフォトリソグラフィにより、導電層17a、18aをパターニングして、配線17b、18bを形成する。
その後、図示しないが、一般的な多層化工程を行う。これにより、図2に示すような部品内蔵基板10を得ることができる。
図6(a)〜(h)および図7(a)は、本態様の部品内蔵基板の製造方法の他の例を示す工程図であり、図5に示す部品内蔵基板を製造する方法の例である。まず、図6(a)に示すように金属箔31aを準備し、また、少なくとも接着層3aを有する接着シート1を準備する。図6(a)に示す接着シート1は、接着層3aの両面にそれぞれ剥離層2a、2bを有している。次に、図6(b)に示すように、金属箔31aの一方の面に、接着シート1の接着層3a側の面を貼合する。この際、接着層3aの両面に剥離層2a、2bが配置されている場合には、貼合前に、一方の剥離層を剥離して、接着層3aの面を露出させる。次に、図6(c)に示すように、接着層3aの金属箔31a側の面とは反対側の面に、電子部品13a、13bを配置する。この際、電子部品13a、13bは、接着層3aの粘着性によって仮固定される。また、この際、第1層間絶縁層3bの金属箔31a側の面とは反対側の面に剥離層が配置されている場合には、電子部品の配置前に、剥離層を剥離する。次に、図6(d)に示すように、接着層3aを熱硬化させる。これにより、第1層間絶縁層3bが形成される。
次に、図6(e)〜(f)に示すように、第1層間絶縁層3b(硬化後の接着層)の金属箔31a側の面とは反対側の面に、層間絶縁フィルム32aを配置した後、例えば真空ラミネートし、加熱する。この際、層間絶縁フィルム32aを構成する樹脂が溶融するため、電子部品13a、13bが樹脂で覆われ、その後、樹脂は熱硬化される。これにより、第2層間絶縁層32bが形成される。
次に、図6(g)に示すように、第1層間絶縁層3bおよび第2層間絶縁層32bに、穴33aを形成する。次に、図6(h)に示すように、例えば無電解めっきおよび電解めっきを行い、穴33a内に導電部34を形成するとともに、第2層間絶縁層32bの面に導電層35aを形成する。次いで、図7(a)に示すように、例えばフォトリソグラフィにより、金属箔31aおよび導電層35aをパターニングして、金属箔配線31bおよび配線35bを形成する。
その後、図示しないが、一般的な多層化工程を行う。これにより、図5に示すような部品内蔵基板10を得ることができる。
D−2.第2実施態様
本態様の部品内蔵基板の製造方法の第2の実施態様は、層間絶縁層と、上記層間絶縁層の一方の面に配置された電子部品とを少なくとも有する部品内蔵基板を製造する部品内蔵基板の製造方法であって、少なくとも接着層を有する接着シートを準備する接着シート準備工程と、上記接着シートの上記接着層に電子部品を仮固定する仮固定工程と、上記接着層を硬化させて層間絶縁層とする硬化工程と、を少なくとも有し、上記接着層は、樹脂組成物を含有し、上記樹脂組成物は、樹脂フロー率が80%以上であり、硬化後の硬化物のガラス転移温度が175℃以上である。
本態様の部品内蔵基板の製造方法によれば、接着層が上述したような樹脂組成物であるので、上記仮固定工程において、流動性を確保することが可能となり、接着層と電子部品との間にボイドが生じることを防止することができる。また、上記硬化工程において、上記樹脂組成物を硬化させ層間絶縁層とすることにより、耐熱性の高い層間絶縁層とすることができるといった効果を奏する。
本態様の部品内蔵基板の製造方法は、上記樹脂組成物が、上述した「A−2.第2実施態様」で説明した樹脂組成物である点を除き、上記「D−1.第1実施態様」と同様であるので、ここでの説明は、省略する。
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本開示をさらに詳細に説明する。なお、各組成物は溶媒を除いた固形分の質量部である。
本実施例で用いたイミダゾール化合物1〜6について、下記表1に示す。
これらのイミダゾール化合物の反応開始温度は、示差走査熱量測定(DSC)により求めた。すなわち、まず、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(分子量380、エポキシ当量190g/eq)100重量部に対し、イミダゾール化合物を5重量部配合した樹脂組成物を準備した。次に、樹脂組成物20mgを、昇温速度10℃/分、測定範囲30℃〜250℃の条件で、DSC装置(示差走査熱量計、ネッチ社製)を用いて測定を行った。DSCにより得られる縦軸熱量(W/g)−横軸温度(℃)の関係において、最低温度の発熱ピークの立ち上がり曲線で最もピークの勾配が急になった部分の接線と温度軸との交点における温度を反応開始温度とした。
[実施例1]
(樹脂組成物の調製)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(「jER1001」三菱ケミカル株式会社)50質量部と、4官能のエポキシ樹脂(テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、「jER604」三菱ケミカル株式会社)65質量部と、ナフタレン型エポキシ樹脂(「HP−4710」DIC株式会社)15質量部と、アクリル樹脂(PMMA−PBA−PMMA共重合体、「M22N」アルケマ株式会社)30質量部と、エポキシ変性シリコーン樹脂(「ES1023」信越化学工業株式会社 固形分45%)44.4質量部(固形分換算で20質量部)と、エポキシ系シランカップリング剤(「KBM403」信越化学工業株式会社)2質量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂にコアシェル型ゴム粒子が分散したマスターバッチ(シェル部がポリメタクリレート、コア部がブタジエン系ゴムであるコアシェル粒子の配合量:33質量%、「カネエースMX153」株式会社カネカ)65質量部と、ジシアンジアミド(「Dyhard100SH」エボニック株式会社)15.1質量部と、イミダゾール化合物1(「2PHZ−PW」四国化成工業株式会社)1.51質量部と、を撹拌機にて混合し、酢酸エチルで希釈し、樹脂組成物を調製した。
(接着層の形成)
離型フィルム1(「E7304」東洋紡株式会社、厚み38μm)上に、上記樹脂組成物をコンマコーターにて有機溶剤乾燥後の厚みが35μmとなるように塗工し、塗工面に離型フィルム2(「E7006」東洋紡株式会社、厚み38μm)を貼り合わせ、接着シートを作製した。
[実施例2〜4]
表2に示すように、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシアンジアミド、およびイミダゾール化合物1の配合量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を調製し、接着シートを作製した。
[実施例5〜6]
表2に示すように、ナフタレン型エポキシ樹脂に代えて、アントラセン型エポキシ樹脂(「YX−8800」三菱ケミカル株式会社)を配合し、またジシアンジアミドおよびイミダゾール化合物1の配合量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を調製し、接着シートを作製した。
[実施例7〜9]
表2に示すように、ナフタレン型エポキシ樹脂に代えて、ノボラック型エポキシ樹脂(「EPPN−502H」日本化薬株式会社)を配合し、またジシアンジアミドおよびイミダゾール化合物1の配合量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を調製し、接着シートを作製した。
[実施例10]
表2に示すように、ナフタレン型エポキシ樹脂に代えて、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(「N−775」DIC株式会社)を配合し、またジシアンジアミドおよびイミダゾール化合物1の配合量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を調製し、接着シートを作製した。
[実施例11]
表2に示すように、ナフタレン型エポキシ樹脂に代えて、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(「N−673」DIC株式会社)を配合し、またジシアンジアミドおよびイミダゾール化合物1の配合量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を調製し、接着シートを作製した。
[実施例12]
表2に示すように、イミダゾール化合物1に代えて、イミダゾール化合物2(「2P4MZ」四国化成工業株式会社)を配合したこと以外は、実施例2と同様にして、樹脂組成物を調製し、接着シートを作製した。
[実施例13]
表2に示すように、イミダゾール化合物1に代えて、イミダゾール化合物3(「1B2PZ」四国化成工業株式会社)を配合したこと以外は、実施例2と同様にして、樹脂組成物を調製し、接着シートを作製した。
[実施例14]
表2に示すように、イミダゾール化合物1に代えて、イミダゾール化合物4(「2MAOK−PW」四国化成工業株式会社)を配合したこと以外は、実施例2と同様にして、樹脂組成物を調製し、接着シートを作製した。
[実施例15]
表2に示すように、イミダゾール化合物1に代えて、イミダゾール化合物5(「2P4MHZ−PW」四国化成工業株式会社)を配合したこと以外は、実施例2と同様にして、樹脂組成物を調製し、接着シートを作製した。
[実施例16]
表2に示すように、4官能のエポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシアンジアミド、およびイミダゾール化合物1の配合量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を調製し、接着シートを作製した。
[比較例1]
表2に示すように、ナフタレン型エポキシ樹脂を配合せず、ジシアンジアミドの配合量を変更し、イミダゾール化合物1に代えて、3級アミン化合物(「アミキュアMY−HK」味の素ファインテクノ株式会社)を配合したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を調製し、接着シートを作製した。
[比較例2]
表2に示すように、ジシアンジアミドおよびイミダゾール化合物1に代えて、ノボラック型フェノール樹脂(「LA−7054」DIC株式会社)25質量部を配合し、またシリカ粒子(「SO−C4」株式会社アドマテックス)40質量部を配合したこと以外は、実施例2と同様にして、樹脂組成物を調製し、接着シートを作製した。
[比較例3]
表2に示すように、ジシアンジアミドを配合せず、イミダゾール化合物1の配合量を変更したこと以外は、実施例2と同様にして、樹脂組成物を調製し、接着シートを作製した。
[比較例4]
表2に示すように、ジシアンジアミドの配合量を変更し、イミダゾール化合物1に代えて、3級アミン化合物(「アミキュアMY−HK」味の素ファインテクノ株式会社)を配合したこと以外は、実施例8と同様にして、樹脂組成物を調製し、接着シートを作製した。
[比較例5]
実施例1のイミダゾール化合物1(「2PHZ−PW」四国化成工業株式会社)に替えて、23℃で液体のイミダゾール化合物6(「2E4MZ」四国化成工業株式会社)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を調整し、接着層シートを作成した。
しかしながら、接着層シートとした段階で、既に硬化しており、タック性が無い状態であった。
[評価]
(ガラス転移温度(Tg))
まず、接着シートを150℃、30分加熱して接着層を硬化させた後、両面の離型フィルムを剥離した。その後、硬化後の接着層のTgを、動的粘弾性計測定装置「RSA−III」(TA Instruments社製)を用い、JIS K7244−1に準拠した動的粘弾性測定法により下記条件で測定した。
・アタッチメントモード:圧縮モード
・周波数:1.0Hz
・温度範囲:−50℃〜250℃
・昇温速度:5℃/分
(タック性)
まず、接着シートの一方の離型フィルムを剥離して接着層を露出させ、試験機専用の冶具に取り付けた。接着シートの接着層面に、直径5.05mmのステンレス製のプローブを、温度25℃、荷重1kgf/cm、接触速度5mm/minで押し付け、10秒間保持した後、剥離速度1mm/minにて引き剥がした。引き剥がすときの荷重を測定した。この測定を3回行い、平均値をタック力とした。そして、下記基準にて評価した。
○:1N/φ5.0mm以上
△:0.5N/φ5.0mm以上、1N/φ5.0mm未満
×:0.5N/φ5.0mm未満
(ボイド)
接着シートの一方の離型フィルムを剥離した後、ラミネーター(「GL835PRO」アコ・ブランズ・ジャパン社製)を用いて、銅箔(「RCF−T5B−35μ」福田金属箔粉工業株式会社、厚み35μm)の一方の面に、接着シートの接着層の面を貼り合せた。次に、接着層上に、10個の電子部品(「GRM153」村田製作所社)をそれぞれ載せ、150℃、30分加熱して接着層を硬化させた。その後、得られた積層体を切断して、電子部品の断面を観察し、電子部品10個について、電子部品直下のボイドの有無を確認した。そして、下記基準にて評価した。
◎:10個中、すべての電子部品について、電子部品直下のボイドが無い
○:10個中、1個以上5個以下の電子部品について、電子部品直下のボイドが有る
△:10個中、6個以上9個以下の電子部品について、電子部品直下のボイドが有る
×:10個中、すべての電子部品について、電子部品直下のボイドが有る
(比誘電率および誘電正接)
周波数1GHzでの比誘電率および誘電正接は、IEC 62810に準拠し、10GHzでの比誘電率および誘電正接は、JIS R1641に準拠して、測定した。まず、接着シートから両面の離型フィルムを剥離し、試験片を作製した。試験片の寸法は、周波数1GHzでの比誘電率および誘電正接の測定については、16mm×92mmとして、周波数10GHzでの比誘電率および誘電正接の測定については、60mm×100mmとした。次に、下記の装置及び条件にて比誘電率及び誘電正接を測定した。比誘電率および誘電正接の値は、1サンプルの測定値とした。
・測定方法:空洞共振器法
・装置:Vector network analyzer HP8510(アジレント・テクノロジー社製)
Synthesizer sweeper HP83651A(同上)
Test set HP8517B(同上)
・共振器の寸法:1GHzの場合、直径229mm、高さ40mm
10GHzの場合、直径42mm、高さ30mm
・試験環境:22℃、60%RH
(絶縁破壊電圧)
絶縁破壊電圧は、ASTM D149に準拠して測定した。まず、接着シートから両面の離型フィルムを剥離し、試験片を作製した。次に、下記の装置及び条件にて絶縁破壊電圧を測定した。絶縁破壊電圧の値は、3サンプルの測定値の平均値とした。
・試験装置:絶縁破壊試験機HAT−300−100RHO形(山崎産業社製)
・試験片寸法:50mm×50mm
・電極サイズ:上下25mmφ円柱状
・周囲媒体:絶縁油
・試験換気用:室温(23±2℃)
・昇圧速度:0.2kV/sec
(樹脂フロー率)
「A−2.第2実施態様」の「1.樹脂フロー率」で説明した方法により、樹脂フロー率を測定した。
1 … 接着シート
2a、2b … 剥離層
3、3a … 接着層

Claims (16)

  1. 層間絶縁層と、前記層間絶縁層の一方の面に配置された電子部品とを少なくとも有する部品内蔵基板を製造する部品内蔵基板の製造方法であって、
    少なくとも接着層を有する接着シートを準備する接着シート準備工程と、
    前記接着シートの前記接着層に電子部品を仮固定する仮固定工程と、
    前記接着層を硬化させて層間絶縁層とする硬化工程と、を少なくとも有し、
    前記接着層は、樹脂組成物を含有し、
    前記樹脂組成物は、樹脂フロー率が80%以上であり、硬化後の硬化物のガラス転移温度が175℃以上である、部品内蔵基板の製造方法。
  2. 層間絶縁層と、前記層間絶縁層の一方の面に配置された電子部品とを少なくとも有する部品内蔵基板を製造する部品内蔵基板の製造方法であって、
    少なくとも接着層を有する接着シートを準備する接着シート準備工程と、
    前記接着シートの前記接着層に電子部品を仮固定する仮固定工程と、
    前記接着層を硬化させて層間絶縁層とする硬化工程と、を少なくとも有し、
    前記接着層は、樹脂組成物を含有し、
    前記樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、エポキシ変性シリコーン樹脂と、アクリル樹脂と、潜在性硬化剤と、硬化促進剤と、を含み、
    前記エポキシ樹脂は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格およびノボラック骨格からなる群から選択される少なくとも1つを有するエポキシ樹脂(A)を含み、
    前記硬化促進剤は、23℃で固体のイミダゾール化合物である、部品内蔵基板の製造方法。
  3. 層間絶縁層と、前記層間絶縁層の一方の面に配置された電子部品とを少なくとも有する部品内蔵基板であって、
    前記層間絶縁層が、樹脂組成物の硬化物を含有し、
    前記樹脂組成物は、樹脂フロー率が80%以上であり、
    前記硬化物のガラス転移温度が175℃以上である、部品内蔵基板。
  4. 層間絶縁層と、前記層間絶縁層の一方の面に配置された電子部品とを少なくとも有する部品内蔵基板であって、
    前記層間絶縁層が、エポキシ樹脂と、エポキシ変性シリコーン樹脂と、アクリル樹脂と、潜在性硬化剤と、硬化促進剤と、を含む樹脂組成物の硬化物を含有し、
    前記エポキシ樹脂は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格およびノボラック骨格からなる群から選択される少なくとも1つを有するエポキシ樹脂(A)を含み、
    前記硬化促進剤は、23℃で固体のイミダゾール化合物である、部品内蔵基板。
  5. 前記硬化物のガラス転移温度が175℃以上である、請求項4に記載の部品内蔵基板。
  6. 部品内蔵基板の電子部品の固定および層間絶縁層に用いられる接着シートであって、
    少なくとも接着層を有し、
    前記接着層が、樹脂組成物を含有し、
    前記樹脂組成物は、樹脂フロー率が80%以上であり、
    前記樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度が175℃以上である、接着シート。
  7. 少なくとも接着層を有する接着シートであって、
    前記接着層が、エポキシ樹脂と、エポキシ変性シリコーン樹脂と、アクリル樹脂と、潜在性硬化剤と、硬化促進剤と、を含み、
    前記エポキシ樹脂は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格およびノボラック骨格からなる群から選択される少なくとも1つを有するエポキシ樹脂(A)を含み、
    前記硬化促進剤は、23℃で固体のイミダゾール化合物である、接着シート。
  8. 部品内蔵基板の電子部品の固定および層間絶縁層に用いられる樹脂組成物であって、
    樹脂フロー率が80%以上であり、硬化物のガラス転移温度が175℃以上である、樹脂組成物。
  9. 前記樹脂組成物が、エポキシ樹脂と、エポキシ変性シリコーン樹脂と、アクリル樹脂と、潜在性硬化剤と、硬化促進剤と、を含み、
    前記エポキシ樹脂は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格およびノボラック骨格からなる群から選択される少なくとも1つを有するエポキシ樹脂(A)を含み、
    前記硬化促進剤は、23℃で固体のイミダゾール化合物である、請求項8に記載の樹脂組成物。
  10. エポキシ樹脂と、エポキシ変性シリコーン樹脂と、アクリル樹脂と、潜在性硬化剤と、硬化促進剤と、を含む樹脂組成物であって、
    前記エポキシ樹脂は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格およびノボラック骨格からなる群から選択される少なくとも1つを有するエポキシ樹脂(A)を含み、
    前記硬化促進剤は、23℃で固体のイミダゾール化合物である、樹脂組成物。
  11. 前記イミダゾール化合物の反応開始温度が110℃以上である、請求項9または請求項10に記載の樹脂組成物。
  12. 前記潜在性硬化剤が、ジシアンジアミドである、請求項9から請求項11までのいずれかの請求項に記載の樹脂組成物。
  13. 前記エポキシ樹脂が、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)を含む、請求項9から請求項12までのいずれかの請求項に記載の樹脂組成物。
  14. 前記エポキシ樹脂が、3官能以上のエポキシ樹脂(C)を含む、請求項9から請求項13までのいずれかの請求項に記載の樹脂組成物。
  15. 前記樹脂組成物の不揮発分を100質量%とした場合に、前記エポキシ樹脂(A)の含有量が、5質量%以上、17質量%以下である、請求項9から請求項14までのいずれかの請求項に記載の樹脂組成物。
  16. 部品内蔵基板の電子部品の固定および層間絶縁層に用いられる、請求項10から請求項15までのいずれかの請求項に記載の樹脂組成物。
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