JP2019167290A - 水硬性組成物用分散剤 - Google Patents
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Abstract
Description
ポリカルボン酸系共重合体又はその塩は、優れたセメント分散性、スランプ保持性を有し、セメント組成物の粘性を低く抑え施工性(ワーカビリティ)を向上させることができ、かつ、環境負荷を低減し得るというセメント混和剤の効果に資する。
即ち、本発明者らは、下記の〔1〕〜〔6〕を提供する。
〔1〕下記成分(A)及び下記成分(B)を、少なくとも含む水硬性組成物用分散剤。
成分(A):下記一般式(1)で表される単量体(I)1〜97重量%、下記一般式(2)で表される単量体(II)1〜97重量%、不飽和モノカルボン酸系単量体(III)0.1〜50重量%、及び単量体(I)〜(III)と共重合可能なその他の単量体(IV)0〜50重量%の共重合体であるポリカルボン酸系共重合体又はその塩。
成分(B):チオール基を有する化合物。
〔2〕前記成分(B)の含有量が、500〜10,000ppmである上記〔1〕に記載の水硬性組成物用分散剤。
〔3〕前記成分(A)の重量平均分子量が、5,000〜40,000である上記〔1〕又は〔2〕に記載の水硬性組成物用分散剤。
〔4〕前記成分(B)が、アルカンチオール化合物、アミノアルカンチオール化合物、チオグリコール化合物、及びチオカルボン酸化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の水硬性組成物用分散剤。
〔5〕前記成分(B)が、チオカルボン酸化合物及びアミノアルカンチオール化合物の少なくともいずれかを含む上記〔4〕に記載の水硬性組成物用分散剤。
〔6〕前記成分(B)が、3−メルカプトプロピオン酸、2−アミノエタンチオール、及びステアリル−3−メルカプトプロピオネートからなる群から選択される少なくとも1種を含む上記〔5〕に記載の水硬性組成物用分散剤。
なお、本明細書中に使用される用語の定義を下記に記載する。
「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタアクリレートを意味する。
「オキシアルキレン基の平均付加モル数」とは、単量体1モルに付加しているアルキレングリコール単位のモル数の平均値を意味する。
「(ポリ)」とは、その直後に記載される構成要素又は原料が、1個又は2個以上結合していることを意味する。
本発明の水硬性組成物用分散剤は、成分(A)であるポリカルボン酸系共重合体又はその塩、及び成分(B)であるチオール基を有する化合物、を少なくとも含む。
成分(A)を含むことで、所望の分散性能を奏する水硬性組成物用分散剤を提供し得る。また、成分(B)を含むことで、構成単位に加水分解型の単量体を含むポリカルボン酸系共重合体を含む分散剤であっても、分散性能を阻害することなく、光・温度に対する安定性を向上し得る水硬性組成物用分散剤を提供し得る。
重合禁止剤や重合抑制剤は、系中にラジカルが生じた際、重合禁止剤や重合抑制剤がラジカルと反応して安定なラジカル化合物となる。この安定なラジカル化合物は、系中に生じる別のラジカルと反応して安定な化合物となる。そのため、重合禁止剤や重合抑制剤は、日光照射下や高温条件下で高分子量化を抑制し得るものである。
これに対して、連鎖移動剤は、系中にラジカルが生じた際、連鎖移動剤がラジカルと反応してラジカル化合物となる。該ラジカル化合物は、重合禁止剤や重合抑制剤から生じる安定なラジカル化合物とは異なり、新たな重合開始ラジカルとなる。従って、光や熱に対して不安定な成分(A)に成分(B)を添加すると、光照射下や熱により高分子量化をもたらすことが懸念される。
しかしながら、本発明の水硬性組成物用分散剤は、上記の懸念とは異なり、成分(A)が光や熱に対して安定となるという、予想に反する顕著な効果を奏する。
成分(A)は、上記一般式(1)で表される単量体(I)1〜97重量%、上記一般式(2)で表される単量体(II)1〜97重量%、不飽和モノカルボン酸系単量体(III)0.1〜50重量%、及び単量体(I)〜(III)と共重合可能なその他の単量体(IV)0〜50重量%の共重合体である。
即ち、成分(A)は、単量体(I)に由来する構成単位、単量体(II)に由来する構成単位、及び単量体(III)に由来する構成単位を必須の構成単位として有し、単量体(IV)に由来する構成単位をさらに有することが好ましい。
単量体(I)の配合率は、1〜97重量%であり、好ましくは5〜97重量%であり、より好ましくは5〜90重量%である。
単量体(II)の配合率は、1〜97重量%であり、好ましくは5〜97重量%であり、より好ましくは5〜90重量%である。
単量体(III)の配合率は、0.1〜50重量%であり、好ましくは1〜40重量%であり、より好ましくは1〜30重量%である。
単量体(IV)の配合率は、0〜50重量%であり、好ましくは0〜40重量%である。
単量体(I)の配合量に対する単量体(II)の配合量の比率は、好ましくは1〜97重量%である。
単量体(I)の配合量に対する単量体(III)の配合量の比率は、好ましくは0.001〜50重量%である。
単量体(I)の配合量に対する単量体(IV)の配合量の比率は、好ましくは0重量%〜30重量%であり、より好ましくは0重量%〜20重量%である。
以下、各単量体の詳細を説明する。
単量体(I)は、一般式(1)で表されるポリアルキレングリコールモノアルケニルエーテルである。
一般式(1)中にA1Oが複数含まれる場合の態様としては、オキシエチレン基(エチレングリコール単位)、オキシプロピレン基(プロピレングリコール単位)及びオキシブチレン基(ブチレングリコール単位)からなる群から選ばれる2以上のオキシアルキレン基が混在する態様が挙げられる。これらの中でも、好ましくはオキシエチレン基(エチレングリコール単位)とオキシプロピレン基(プロピレングリコール単位)が混在する態様又はオキシエチレン基(エチレングリコール単位)とオキシブチレン基(ブチレングリコール単位)とが混在する態様であり、より好ましくはオキシエチレン基(エチレングリコール単位)とオキシプロピレン基(プロピレングリコール単位)とが混在する態様である。
オキシエチレン基とオキシプロピレン基が混在する態様である場合、オキシエチレン基とオキシプロピレン基の平均付加モル数の比率((オキシエチレン基の平均付加モル数)/(オキシプロピレン基の平均付加モル数))は、(50〜99.9)%/(0.1〜50)%が好ましい。
なお、異なるオキシアルキレン基が混在する態様において、2種類以上のオキシアルキレン基の付加は、ブロック状の付加であってもよく、ランダム状の付加であってもよい。
上記した通り、単量体(I)のオキシアルキレン基(ポリアルキレングリコール単位)の平均付加モル数は、1〜70が好ましく、5〜70がより好ましく、8〜70がさらに好ましい。
単量体(II)は、下記一般式(2)で表される加水分解型の単量体である。
一般式(2)中にA2Oが複数含まれる場合の態様としては、オキシエチレン基(エチレングリコール単位)、オキシプロピレン基(プロピレングリコール単位)及びオキシブチレン基(ブチレングリコール単位)からなる群から選ばれる2以上のオキシアルキレン基が混在する態様が挙げられる。これらの中でも、好ましくはオキシエチレン基(エチレングリコール単位)とオキシプロピレン基(プロピレングリコール単位)とが混在する態様又はオキシエチレン基(エチレングリコール単位)とオキシブチレン基(ブチレングリコール単位)とが混在する態様であり、より好ましくはオキシエチレン基(エチレングリコール単位)とオキシプロピレン基(プロピレングリコール単位)とが混在する態様である。
なお、異なるオキシアルキレン基が混在する態様において、2種類以上のオキシアルキレン基の付加は、ブロック状の付加であってもよく、ランダム状の付加であってもよい。
単量体(IIa)と単量体(IIb)とは、互いに、オキシアルキレン基の平均付加モル数n2のみが異なり、R3、R4、R5、m、及びXが同一の単量体であってもよいし、n2に加えて、R3、R4、R5、m、及びXの少なくとも一つが異なる単量体であってもよい。
単量体(IIa)の平均付加モル数n2a(一般式(2)中のn2)は、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
単量体(IIb)の平均付加モル数n2b(一般式(2)中のn2)は、6〜200が好ましく、6〜100がより好ましく、6〜70がさらに好ましい。
重量比率((IIa)/(IIb))は、好ましくは(0.1〜99.9)%/(99.9〜0.1)%であり、より好ましくは(1〜99)%/(99〜1)%であり、さらに好ましくは(10〜90)%/(90〜10)%であり、さらにより好ましくは(25〜75)%/(75〜25)%である。
(ポリ)アルキレングリコールの平均付加モル数は1〜50が好ましい。
単量体(IIa)が(ポリ)アルキレングリコールである場合、単量体(IIa)としての(ポリ)アルキレングリコールの付加モル数は、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
単量体(IIb)が(ポリ)アルキレングリコールである場合、単量体(IIb)としての(ポリ)アルキレングリコールの付加モル数は、6〜200が好ましく、6〜100がより好ましく、6〜70がさらに好ましい。
単量体(III)は、不飽和カルボン酸系単量体である。単量体(III)は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸類、及びこれらの塩(例えば、一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩);マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸類、及びこれらの塩(例えば、一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩)が挙げられる。
単量体(III)は、これらの1種又は2種以上であればよく、これらの2種以上が好ましく、これらの2種がより好ましい。より詳細には、単量体(III)は、好ましくはアクリル酸又はその塩、メタクリル酸又はその塩、マレイン酸又はその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは2種であり、さらに好ましくはアクリル酸又はその塩、及びメタクリル酸又はその塩からなる群から選ばれる2種である。
重量比率((III−1)/(III−2))は、好ましくは(0.1〜99.9)%/(99.9〜0.1)%であり、より好ましくは(1〜99)%/(99〜1)%である。
単量体(III)を3種(以下、便宜上、「(III−1)」、「(III−2)」、「(III−3)」と記載する)併用する場合、単量体(III−1)と単量体(III−2)と単量体(III−3)を用いる際の重量比率((III−1)/(III−2)/(III−3))は、下記の通りである。但し、(III−1)〜(III−3)の合計を100重量%とする。
重量比率((III−1)/(III−2)/(III−3))は、好ましくは(0.1〜99.8)%/(0.1〜99.8)%/(0.1〜99.8)%であり、より好ましくは(1〜98)%/(1〜98)%/(1〜98)%である。
重量比率(アクリル酸モノマー/アクリル酸ダイマー)は、(90〜100)重量%/(0〜10)重量%が好ましい。
単量体(IV)は、単量体(I)〜(III)と共重合可能な単量体であれば特に限定されない。但し、単量体(IV)は、単量体(I)〜(III)に該当するものを除く。
上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのハーフアミド、ジアミド類;
上記アルコール又はアミンに、炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと、上記不飽和ジカルボン酸類との、ハーフエステル、ジエステル類;
上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数2〜18のグリコール又はこれらのグリコールの付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフエステル、ジエステル類;
マレアミド酸と炭素原子数2〜18のグリコール又はこれらのグリコールの付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフアミド類;
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;
トリエチレングリコールジマレート、ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類;
ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2−(メタ)アクリロキシエチルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホフェニルエーテル、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシスルホベンゾエート、4−(メタ)アクリロキシブチルスルホネート、(メタ)アクリルアミドメチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、並びに、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩;
メチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのアミド類;
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン等のビニル芳香族類;
1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート類;
ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン等のジエン類;
(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等の不飽和シアン類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エステル類;
(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、ビニルピリジン等の不飽和アミン類;
ジビニルベンゼン等のジビニル芳香族類;
トリアリルシアヌレート等のシアヌレート類;
(メタ)アリルアルコール、グリシジル(メタ)アリルエーテル等のアリル類;
メトキシポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等のビニルエーテル或いはアリルエーテル類;
ポリジメチルシロキサンプロピルアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサンアミノプロピレンアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサン−ビス−(プロピルアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(ジプロピレンアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−メタクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−メタクリレート)等のシロキサン誘導体。
成分(A)は、上記それぞれの単量体を、公知の方法によって共重合させて調製し得る。該方法としては、例えば、溶媒中での重合、塊状重合等の重合方法が挙げられる。
原料単量体及び得られる共重合体の溶解性の面から、水及び低級アルコールの少なくともいずれかが好ましく、水がより好ましい。
また、反応容器に溶媒を仕込み、単量体と溶媒の混合物と、重合開始剤溶液を各々反応容器に連続滴下してもよいし、単量体の一部又は全部を反応容器に仕込み、重合開始剤を連続滴下してもよい。
また、低級アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エステル類或いはケトン類等の有機溶媒中で共重合を行う場合、共重合に使用し得る重合開始剤は、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等のパーオキサイド;クメンパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;アゾビスイソブチロニトリル等の芳香族アゾ化合物が挙げられる。この際、アミン化合物等の促進剤を併用し得る。
さらに、水−低級アルコール混合溶剤中で共重合を行う場合、共重合に使用し得る重合開始剤は、前述の重合開始剤或いは重合開始剤と促進剤との組合せの中から適宜選択して使用し得る。
なお、連鎖移動剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
pH値としては、エステル系の単量体が有するエステル結合の不安定さを解消する点から、2〜7が好ましい。また、pHの調整に用い得るアルカリ性物質に特に限定はないが、NaOH、Ca(OH)2等のアルカリ性物質が一般的である。pH調整は、重合前の単量体に対して行ってもよいし、重合後の共重合体溶液に対して行ってもよい。また、これらは重合前に一部のアルカリ性物質を添加して重合を行った後、さらに共重合体に対してpH調整を行ってもよい。
成分(A)の重量平均分子量の下限は、5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、14,000以上がさらに好ましい。これにより、水硬性組成物用分散剤の分散性が十分発揮され、リグニンスルホン酸系またはオキシカルボン酸系等のAE減水剤を上回る減水率を得ることができ、流動性又は作業性が改善され、水硬性組成物用分散剤としての目的の効果を十分に発現し得る。一方、その上限は、40,000以下が好ましく、35,000以下がより好ましく、32,000以下がさらに好ましい。これにより、セメント粒子の凝集作用が抑制され、作業性を良好にし得る。
成分(A)の重量平均分子量は、5,000〜40,000が好ましく、10,000〜35,000がより好ましく、14,000〜32,000がさらに好ましい。
成分(A)の分子量分布は、1.20〜3.00が好ましく、1.25〜2.90がより好ましい。
測定装置;東ソー製
使用カラム;Shodex Column OH−pak SB−806HQ、SB−804HQ、SB−802.5HQ
溶離液;0.05mM硝酸ナトリウム/アセトニトリル 8/2(v/v)
標準物質;ポリエチレングリコール(東ソー製、GLサイエンス製)
検出器;示差屈折計(東ソー製)
検量線;ポリエチレングリコール基準
成分(B)は、チオール基を有する化合物である。成分(B)は、好ましくはアルカンチオール化合物、アミノアルカンチオール化合物、チオグリコール化合物、及びチオカルボン酸化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であり、より好ましくはチオカルボン酸化合物を少なくとも含み、さらに好ましくは3−メルカプトプロピオン酸を少なくとも含む。
以下、チオール基を有する化合物を例示して説明する。
アミノメタンチオール、2−アミノエタンチオール等のアミノアルカンチオール化合物;
2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸モノエタノールアミン等のチオグリコール化合物;
β−メルカプトプロピオン酸、メチル−3−メルカプトプロピオネート、2−エチルヘキシル−3−メルカプトプロピオネート、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート、メトキシブチル−3−メルカプトプロピオネート、ステアリル−3−メルカプトプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)等のチオカルボン酸化合物。
成分(B)の含有量は、500〜10,000ppmが好ましく、1,000〜7,000ppmがより好ましく、1,500〜5,000ppmがさらに好ましい。
本発明の水硬性組成物用分散剤は、成分(A)及び成分(B)以外の他の成分を含んでもよい。他の成分としては、例えば、(ポリ)アルキレングリコールアルケニルエーテル系単量体(以下、「成分(C)」ともいう)、両末端基が水素原子である水溶性ポリアルキレングリコール(以下、「成分(D)」ともいう)、ポリカルボン酸系共重合体又はその塩(以下、「成分(E)」ともいう)及びポリカルボン酸系共重合体又はその塩(以下、「成分(F)」ともいう)が挙げられる。
本発明の水硬性組成物用分散剤が成分(C)を含有する場合、得られる水硬性組成物用分散剤は、水硬性組成物の粘性を低下させ、ワーカビリティを向上し得るので好ましい。
成分(A)を調製する際に、原料として用いる単量体(I)が、成分(A)に対して残留している時点で重合反応を停止することによって、成分(C)と成分(A)とを含有する組成物を得ることができる。重合反応を停止する時点は、成分(C)の、成分(A)に対する配合量の比率に応じて定めることができる。すなわち、成分(C)の、成分(A)に対する配合量の比率が、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは60重量%以下の時点で、重合反応を停止する。但し、配合量の比率の下限が、通常、1重量%以上の時点で、重合反応を停止する。
本発明の水硬性組成物用分散剤は、成分(D)をさらに含んでもよい。
「両末端基が水素原子である」とは、主鎖の末端が水素原子であること、すなわち主鎖の末端が水素原子以外の置換基で置換されていないことをいう。「水溶性」とは、水に可溶なことをいう。
成分(D)は、成分(A)とは別個に配合してもよい。また、原料である単量体(I)を用いた成分(A)の調製時に、副生成物として、成分(D)が生成することがあるので、これを使用してもよい。別個に配合する場合、成分(D)の配合量の比率は、成分(A)に対して、通常、0.01〜5重量%である。副生成物として使用する場合、成分(D)の成分(A)に占める割合は、通常、0.02〜10重量%程度である。
成分(D)の重量平均分子量は、300〜5,000が好ましい。
成分(E)は、上記単量体(I)、上記単量体(III)、並びに単量体(I)及び単量体(III)と共重合可能なその他の単量体(VI)を共重合させることにより得られるポリカルボン酸系共重合体又はその塩である。成分(E)は、単量体(II)を共重合させない点で成分(A)及び成分(F)と異なる。
成分(E)において、単量体(I)、単量体(III)のそれぞれの具体例及び好ましい例は、成分(A)の単量体(I)、単量体(III)の具体例及び好ましい例と同じである。単量体(VI)は、単量体(I)及び単量体(III)と共重合可能であればよく、単量体(II)と共重合可能でも良いし、単量体(I)〜単量体(III)以外の単量体と共重合可能でもよい。単量体(VI)の具体例及び好ましい例は、成分(A)の単量体(IV)の具体例及び好ましい例と同様である。
成分(E)の調製方法についても、成分(A)に記載した通りである。
単量体(I)の配合率は、好ましくは40〜97重量%であり、より好ましくは50〜97重量%であり、さらに好ましくは60〜97重量%である。
単量体(III)の配合率は、好ましくは1〜60重量%であり、より好ましくは1〜50重量%であり、さらに好ましくは1〜40重量%である。
単量体(VI)の配合率は、好ましくは0〜50重量%であり、より好ましくは0〜40重量%であり、さらに好ましくは0〜30重量%である。
単量体(I)の配合量に対する単量体(VI)の配合量の比率は、好ましくは0〜50重量%であり、より好ましくは0〜40重量%であり、さらに好ましくは0〜30重量%である。
成分(F)は、上記単量体(II)、上記単量体(III)、並びに単量体(II)及び単量体(III)と共重合可能なその他の単量体(VII)を共重合させることにより得られるポリカルボン酸系共重合体又はその塩である。成分(F)は、単量体(I)を共重合させない点で成分(A)及び成分(E)と異なる。
成分(F)において、単量体(II)、単量体(III)のそれぞれの具体例及び好ましい例は、成分(A)の単量体(II)、単量体(III)の具体例及び好ましい例と同じである。単量体(VII)は、単量体(II)及び単量体(III)と共重合可能であればよく、単量体(I)と共重合可能でも良いし、単量体(I)〜単量体(III)以外の単量体と共重合可能でもよい。単量体(VII)の具体例及び好ましい例は、成分(A)の単量体(IV)の具体例及び好ましい例と同様である。
成分(F)の調製方法についても、成分(A)に記載した通りである。
単量体(II)の配合率は、好ましくは40〜97重量%であり、より好ましくは50〜97重量%であり、さらに好ましくは60〜97重量%である。
単量体(III)の配合率は、好ましくは1〜60重量%であり、より好ましくは1〜50重量%であり、さらに好ましくは1〜40重量%である。
単量体(VII)の配合率は、好ましくは0〜50重量%であり、より好ましくは0〜40重量%であり、さらに好ましくは0〜30重量%である。
単量体(II)の配合量に対する単量体(VII)の配合量の比率は、好ましくは0〜50重量%であり、より好ましくは0〜40重量%であり、さらに好ましくは0〜30重量%である。
本発明の水硬性組成物用分散剤において、成分(A)及び成分(B)の含有形態に制限はなく、成分(A)及び成分(B)をそのまま含んでもよいし、成分(A)及び成分(B)のそれぞれを又は両者を、溶媒に溶解させた溶液、分散させた分散液、懸濁させた懸濁液としてもよい。
また、他の成分を含む場合、他の成分は、成分(A)及び/又は成分(B)の溶液、分散液又は懸濁液に含まれてもよい。分散液は、市販の分散剤を併せて含んでいてもよい。
本発明の水硬性組成物用分散剤が他の成分を含む場合、成分(A)及び成分(B)の溶液、分散液又は懸濁液と、他の成分を、溶媒に溶解させた溶液、分散させた分散液、懸濁させた懸濁液とを別途に調製し、これらを配合して調製してもよい。
本発明の水硬性組成物用分散剤は、セメント組成物等の水硬性組成物に添加して、セメントペースト、モルタル、コンクリート、プラスター等のセメント組成物等の水硬性組成物として利用し得る。
以下、水硬性組成物がセメント組成物である形態を説明する。
セメントは、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体、石膏等が添加されてもよい。
公知のコンクリート用添加剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
下記の条件で、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)にてポリエチレングリコール換算した値である。
測定装置;東ソー製
使用カラム;Shodex Column OH−pak SB−806HQ、SB−804HQ、SB−802.5HQ
溶離液;0.05mM硝酸ナトリウム/アセトニトリル 8/2(v/v)
標準物質;ポリエチレングリコール(東ソー製、GLサイエンス製)
検出器;示差屈折計(東ソー製)
検量線;ポリエチレングリコール基準
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定値から算出した。
調製したモルタルについて、「JIS A 1171(ポリマーセメントモルタルの試験方法)」のフロー試験に準拠して、混練直後と混練30分後、60分後、90分後、120分後のそれぞれのモルタルフローを測定した。
温度計、攪拌装置、還流装置、窒素導入管及び滴下装置を備えたガラス反応容器に、水703部、及びポリエチレングリコールモノアリルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数10個)18部を投入し、攪拌しながら反応容器を窒素置換した。窒素雰囲気下で80℃に昇温した後、メタクリル酸10部、アクリル酸0.1部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数25個)64部、2−ヒドロキシエチルアクリレート75部、及び水82部を混合したモノマー水溶液と、過硫酸アンモニウム3部、及び水42部の混合液とを、各々2時間で、80℃に保持した反応容器に連続滴下した。滴下終了後、温度を100℃に保持した状態でさらに1時間反応させることにより共重合体の水溶液を得た。この液を30%NaOH水溶液でpH5に調整した。液中の共重合体は、共重合体(A−1)(重量平均分子量14,200、Mw/Mn1.56)であった。
温度計、攪拌装置、還流装置、窒素導入管及び滴下装置を備えたガラス反応容器に、水611部、及びポリエチレングリコールモノアリルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数35個)36部を投入し、攪拌しながら反応容器を窒素置換した。窒素雰囲気下で80℃に昇温した後、メタクリル酸14部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数20個)95部、2−ヒドロキシエチルアクリレート115部、3−メルカプトプロピオン酸2部、及び水76部を混合したモノマー水溶液と、過硫酸アンモニウム3部及び水42部の混合液とを、各々2時間で、80℃に保持した反応容器に連続滴下した。滴下終了後、温度を100℃に保持した状態でさらに1時間反応させることにより共重合体の水溶液を得た。この液を30%NaOH水溶液でpH4に調整した。液中の共重合体は、共重合体(A−2)(重量平均分子量32,000、Mw/Mn2.90)であった。
温度計、攪拌装置、還流装置、窒素導入管及び滴下装置を備えたガラス反応容器に、水654部、及びポリエチレングリコールモノアリルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数10個)17部を投入し、攪拌しながら反応容器を窒素置換した。窒素雰囲気下で80℃に昇温した後、メタクリル酸9部、アクリル酸0.1部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数25個)59部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート81部、及び水131部を混合したモノマー水溶液と、過硫酸アンモニウム3部、及び水43部の混合液とを、各々2時間で、80℃に保持した反応容器に連続滴下した。滴下終了後、温度を100℃に保持した状態でさらに1時間反応させることにより共重合体の水溶液を得た。この液を30%NaOH水溶液でpH4に調整した。液中の共重合体は、共重合体(A−3)(重量平均分子量22,000、Mw/Mn2.10)であった。
温度計、攪拌装置、還流装置、窒素導入管及び滴下装置を備えたガラス反応容器に、水304部、及びポリエチレングリコールモノアリルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数10個)22部を投入し、攪拌しながら反応容器を窒素置換した。窒素雰囲気下で80℃に昇温した後、メタクリル酸25部、アクリル酸0.4部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数18個)170部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート230部、3−メルカプトプロピオン酸4部、及び水176部を混合したモノマー水溶液と、過硫酸アンモニウム5部、及び水45部の混合液とを、各々2時間で、80℃に保持した反応容器に連続滴下した。滴下終了後、温度を100℃に保持した状態でさらに1時間反応させることにより共重合体の水溶液を得た。この液を30%NaOH水溶液でpH4に調整した。液中の共重合体は、共重合体(A−4)(重量平均分子量18,000、Mw/Mn1.73)であった。
温度計、攪拌装置、還流装置、窒素導入管及び滴下装置を備えたガラス反応容器に、水620部、及びポリエチレングリコールモノアリルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数10個)16部を投入し、攪拌下で反応容器を窒素置換した。窒素雰囲気下で80℃に昇温した後、メタクリル酸8部、アクリル酸0.1部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数25個)57部、4−ヒドロキシブチルアクリレート85部、及び水166部を混合したモノマー水溶液と、過硫酸アンモニウム2.6部、及び水42部の混合液とを、各々2時間で、80℃に保持した反応容器に連続滴下した。滴下終了後、温度を100℃に保持した状態でさらに1時間反応させることにより共重合体の水溶液を得た。この液を30%NaOH水溶液でpH4に調整した。液中の共重合体は共重合体(A−5)(重量平均分子量17,300、Mw/Mn1.64)であった。
温度計、攪拌装置、還流装置、窒素導入管及び滴下装置を備えたガラス反応容器に、水364部、及びポリエチレングリコールモノアリルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数10個)22部を投入し、攪拌しながら反応容器を窒素置換した。窒素雰囲気下で80℃に昇温した後、メタクリル酸25部、アクリル酸0.4部、メトキシポリエチレングリコールメタアクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数13個)165部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート230部、3−メルカプトプロピオン酸4部、及び水130部を混合したモノマー水溶液と、過硫酸アンモニウム5部、及び水40部の混合液とを、各々2時間で、80℃に保持した反応容器に連続滴下した。滴下終了後、温度を100℃に保持した状態でさらに1時間反応させることにより共重合体の水溶液を得た。この液を30%NaOH水溶液でpH4に調整した。液中の共重合体は、共重合体(A−6)(重量平均分子量20,000、Mw/Mn2.03)であった。
温度計、攪拌装置、還流装置、窒素導入管及び滴下装置を備えたガラス反応容器に、水383部、メタリルアルコールのエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数53個)384部、及び過酸化水素1部を投入し、攪拌しながら反応容器を窒素置換した。窒素雰囲気下で40℃に昇温した後、アクリル酸40.3部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5部、及び水161部を混合したモノマー水溶液と、L−アスコルビン酸3部、3−メルカプトプロピオン酸2部、及び水47部の混合液とを、各々2時間で、40℃に保持した反応容器に連続滴下した。滴下終了後、温度を保持した状態でさらに1時間反応させることにより共重合体の水溶液を得た。この液を30%NaOH水溶液でpH4に調整した。液中の共重合体は、共重合体(A−7)(重量平均分子量36,000、Mw/Mn2.42)であった。
温度計、攪拌装置、還流装置、窒素導入管及び滴下装置を備えたガラス反応容器に、水375部、メタリルアルコールのエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数53個)362部、メトキシポリエチレングリコールメタアクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数14)11部、及び過酸化水素1部を投入し、攪拌しながら反応容器を窒素置換した。窒素雰囲気下で40℃に昇温した後、メタクリル酸4部、アクリル酸38部、及び水164部を混合したモノマー水溶液と、L−アスコルビン酸3部、3−メルカプトプロピオン酸2部、及び水47部の混合液とを、各々2時間で、40℃に保持した反応容器に連続滴下した。滴下終了後、温度を保持した状態でさらに1時間反応させることにより共重合体の水溶液を得た。この液を30%NaOH水溶液でpH4に調整した。液中の共重合体は、共重合体(A−8)(重量平均分子量37,500、Mw/Mn2.53)であった。
温度計、攪拌装置、還流装置、窒素導入管及び滴下装置を備えたガラス反応容器に水100部、及び3−メチル−3−ブテン−1−オールのエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数67)143部を仕込み、攪拌下で反応容器を窒素置換した。窒素雰囲気下で60℃に昇温した後、メタクリル酸15部、アクリル酸(モノマー/ダイマー=99重量%/1重量%)15部、メトキシポリエチレングリコールメタアクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数25)34部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート42部、3−メルカプトプロピオン酸6部、アスコルビン酸5部、及び水138部を混合したモノマー水溶液と、過酸化水素4部及び水46部の混合液とを、各々2時間で、80℃に保持した反応容器に連続滴下した。さらに、温度を60℃に保持した状態で1時間反応させることにより共重合体の水溶液を得た。液中の共重合体は、共重合体(A−9)(重量平均分子量20,200、Mw/Mn1.63)であった。
温度計、攪拌装置、還流装置、窒素導入管及び滴下装置を備えたガラス反応容器に、水180部、メタリルアルコールのエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数53個)179部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート1部、及び過酸化水素0.6部を投入し、攪拌しながら反応容器を窒素置換した。窒素雰囲気下で40℃に昇温した後、アクリル酸19部、及び水76部を混合したモノマー水溶液と、L−アスコルビン酸1部、3−メルカプトプロピオン酸1部、及び水22部の混合液とを、各々2時間で、40℃に保持した反応容器に連続滴下した。滴下終了後、温度を保持した状態でさらに1時間反応させることにより共重合体の水溶液を得た。液中の共重合体は、共重合体(A−10)(重量平均分子量24,000、Mw/Mn1.55)であった。
温度計、攪拌装置、還流装置、窒素導入管及び滴下装置を備えたガラス反応容器に、水198部、メタリルアルコールのエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数53個)197部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート1部、及び過酸化水素0.6部を投入し、攪拌しながら反応容器を窒素置換した。窒素雰囲気下で40℃に昇温した後、アクリル酸7部、及び水38部を混合したモノマー水溶液と、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム1部、3−メルカプトプロピオン酸0.2部、及び水49部の混合液とを、各々2時間で、40℃に保持した反応容器に連続滴下した。滴下終了後、温度を保持した状態でさらに1時間反応させることにより共重合体の水溶液を得た。液中の共重合体は、共重合体(A−11)(重量平均分子量53,000、Mw/Mn2.09)であった。
表1に記す配合処方の細骨材、セメント、水からなるセメント組成物、並びに表2〜5に示す調製直後又は光照射下、室温で6ヶ月保存後の水硬性組成物用分散剤及びチオール基を有する化合物を、消泡剤(「プロナール753」、フローリック社製)0.7部とともに投入して強制二軸ミキサによる機械練りにより練混ぜて、水硬性組成物を調製した。
調製した水硬性組成物を用いて、モルタルフロー値の測定を行った。調製直後及び保存後の共重合体の重量平均分子量の値とともに、測定結果を併せて表2〜5に記す。
C:普通ポルトランドセメント(宇部三菱セメント株式会社製、比重3.16)と普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製、比重3.16)の等量混合物
W:水道水
S:静岡県掛川産陸砂(細骨材、比重2.66)
成分(B):
(B−1):3−メルカプトプロピオン酸(BMPA)(SC有機化学社製)
(B−2):2−アミノエタンチオール
(B−3):ステアリル−3−メルカプトプロピオネート
保存:光照射下、室温で6ヶ月水硬性組成物用分散剤を保存した。
添加率:細骨材、セメント、水からなるセメント組成物に対する水硬性組成物用分散剤の割合である。
Claims (6)
- 下記成分(A)及び下記成分(B)を、少なくとも含む水硬性組成物用分散剤。
成分(A):下記一般式(1)で表される単量体(I)1〜97重量%、下記一般式(2)で表される単量体(II)1〜97重量%、不飽和モノカルボン酸系単量体(III)0.1〜50重量%、及び単量体(I)〜(III)と共重合可能なその他の単量体(IV)0〜50重量%の共重合体であるポリカルボン酸系共重合体又はその塩。
成分(B):チオール基を有する化合物。
- 前記成分(B)の含有量が、500〜10,000ppmである請求項1に記載の水硬性組成物用分散剤。
- 前記成分(A)の重量平均分子量が、5,000〜40,000である請求項1又は2に記載の水硬性組成物用分散剤。
- 前記成分(B)が、アルカンチオール化合物、アミノアルカンチオール化合物、チオグリコール化合物、及びチオカルボン酸化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の水硬性組成物用分散剤。
- 前記成分(B)が、チオカルボン酸化合物及びアミノアルカンチオール化合物の少なくともいずれかを含む請求項4に記載の水硬性組成物用分散剤。
- 前記成分(B)が、3−メルカプトプロピオン酸、2−アミノエタンチオール、及びステアリル−3−メルカプトプロピオネートからなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項5に記載の水硬性組成物用分散剤。
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