JP2019158730A - 構造物の耐震性判定方法及び構造物の耐震性判定システム - Google Patents
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Abstract
Description
本適用例に係る構造物の耐震性判定方法は、
地震動における構造物の高さ方向における複数の位置の加速度データを取得し、
前記加速度データに基づいて前記地震動を受ける前記構造物の一次固有周期を算出し、
前記一次固有周期に対応する伝達関数を作成し、
前記伝達関数に予め設定した設定地震動条件を入力して、地震応答解析をすることで前記設定地震動条件に対する前記構造物の層間変形角を演算し、
前記層間変形角が予め設定した許容値を超えているか否かで前記構造物の耐震性を判定することを特徴とする。
上記適用例に係る構造物の耐震性判定方法において、
前記伝達関数は、
振幅データにおける前記一次固有周期に対応する前記振幅データの前記一番上の階に対する加速度センサの設置階のスペクトル比を用いて前記一番上の階から前記設置階への地震動の伝播時間を求め、さらにそれを線形補間して求まる、前記一番上の階から前記構造物の各階への地震動の伝播時間である各階伝播時間により定まることができる。
上記適用例に係る構造物の耐震性判定方法において、
前記加速度データは、前記構造物の複数階に設置された加速度センサから取得され、
前記加速度センサは、少なくとも前記構造物の一番上の階と一番下の階に設置され、
前記構造物の一番上の階から前記加速度センサが設置されている階への各階伝播時間は、下記式(1)で求められ、
前記構造物の一番上の階から前記加速度センサが設置されていない階への各階伝播時間は、下記式(1)で求める各階伝播時間を線形補間して求めることができる。
本適用例に係る構造物の耐震性判定システムは、
構造物の高さ方向における複数の位置の加速度を測定する加速度センサから取得された加速度データに基づいて演算を行う演算部を含み、
前記演算部は、
地震動における前記加速度センサの出力に基づいて、前記地震動を受ける前記構造物の一次固有周期を算出し、
前記一次固有周期に対応する伝達関数を作成し、
前記伝達関数に予め設定した設定地震動条件を入力して、地震応答解析をすることで前記設定地震動条件に対する前記構造物の層間変形角を演算し、
前記層間変形角が予め設定した許容値を超えているか否かで前記構造物の耐震性を判定することを特徴とする。
上記適用例に係る構造物の耐震性判定システムにおいて、
前記伝達関数は、
振幅データにおける前記一次固有周期に対応する前記振幅データの前記一番上の階に対する加速度センサの設置階のスペクトル比を用いて前記一番上の階から前記センサ設置階への地震動の伝播時間を求め、さらにそれを線形補間して求まる、前記一番上の階から前記構造物の各階への地震動の伝播時間である各階伝播時間により定まることができる。
上記適用例に係る構造物の耐震性判定システムにおいて、
前記加速度センサは、少なくとも前記構造物の一番上の階と一番下の階に設置され、
前記構造物の一番上の階から前記加速度センサが設置されている階への各階伝播時間は、下記式(1)で求められ、
前記構造物の一番上の階から前記加速度センサが設置されていない階への各階伝播時間は、下記式(1)で求められる各階伝播時間を線形補間して求めることができる。
図1,2を用いて、構造物10の耐震性判定システム20の概要について説明する。図1は本実施形態に係る構造物10の耐震性判定システム20の概要を示す図であり、図2は加速度センサから得られる加速度データの一例を示すグラフであり、図3は本実施形態に係る構造物10の耐震性判定システム20の構成を示すブロック図である。なお、以下、構造物10の耐震性判定システム20は、単に「システム20」という。
加速度センサ22は、構造物10の複数の階に設置される。各階の地震時の変位を求めるためには全ての階に加速度センサ22が設けられることが望ましいが、構造物10における設置スペースや設置コストとの関係で加速度センサ22が設置されない階が存在してもよい。例えば、図1では屋上階(RF)から3階下の階(RF−3F)には加速度センサ22が設置されていない状態を示す。
モニタリングサーバ24は、構造物10に設置された複数の加速度センサ22と接続されており、加速度センサ22からの電気信号を受信することができる。モニタリングサーバ24は、図示しないCPU(中央演算処理装置)、ROM、RAM等のメモリやハードディスク装置等の記憶装置、外部装置との通信を行う通信インターフェース等を備える。図3に示すように、モニタリングサーバ24は、少なくとも演算部26と記憶部28とを含む。演算部26はCPUやRAM等から構成することができ、記憶部28はハードディスク装置等の記憶装置から構成することができる。
本実施形態に係る構造物の耐震性判定方法は、地震動における構造物の高さ方向における複数の位置の加速度データを取得し、前記加速度データに基づいて前記地震動を受ける前記構造物の一次固有周期を算出し、前記一次固有周期に対応する伝達関数を作成し、前記伝達関数に予め設定した設定地震動条件を入力して、地震応答解析をすることで前記設定地震動条件に対する前記構造物の層間変形角を演算し、前記層間変形角が予め設定した許容値を超えているか否かで前記構造物の耐震性を判定することを特徴とする。
とができる。
の階に加速度センサ22が設置されていれば、全ての階の各階伝播時間が得られる。
角は、下記式(5)で求めることができる。
図4におけるS20の一次固有周期の推定方法について説明する。地震動を受けた構造物10は、いずれかの箇所に損傷を受けることで設計時または施工時の固有周期と異なる固有周期を有する可能性がある。本実施形態では、地震動を受けた後の構造物10の一次固有周期を加速度データから推定することで、地震動を受けた後の構造物10の累積損傷を考慮した現実に近い耐震性を判定することができる。
図6及び図7を用いて、第1推定方法について説明する。図7は、第1推定方法のフローチャートである。
もS210,S220及びS240の処理を行う。
図6及び図8を用いて、第2推定方法について説明する。図8は第2推定方法のフローチャートである。
、地震動における構造物10の加速度データu(t)をフーリエ変換することで得られる振幅のフーリエスペクトルである。加速度データu(t)は、図6を用いて上述したので説明を省略する。
固有周期T1を下記式(9)で求める。
図5のS30において、一次固有周期に対応する地震応答解析モデル80(図3)を作成する。
設置されていない階への各階伝播時間は、下記式(1)で求める各階伝播時間を線形補間して求めることができる。線形補間をすることで、加速度センサが設置されていない階があっても、各階伝播時間を求めることができる。
上記第1推定方法について、振動台上に設置した高さ3mの3階建て建物の模型(試験体)を用いて実験を行った。各階及び屋上階に戸田建設社製ユレかんち(加速度センサを含むビルメディカルシステム)を設置した。各階の水平方向の実際の変位は、レーザー変位計で測定した。加振条件は、平成7年(1995年)兵庫県南部地震のJMA神戸加振と、東北地方太平洋沖地震加振(最大振幅周辺の時間帯)と、を用いた。
振動台上に設置した高さ20mの18階の建物の模型(試験体)を用いて振動台の水平振動を繰り返す実験を行ったデータを用いて、上記第1推定方法の検証を行った。試験体は33回目の振動試験で倒壊した。図10は、試験体の固有周波数を縦軸に、振動試験の回数を横軸に、図7のS230で求めたwを右側のカラーバーに表した。ここではカラーバーに対応する各点の色は判別できないが、図10の符号90で示した点の色はwの値が0.16以下であり、異常値である。したがって、図7のS240で0.6未満のもの(符号92で示した点)を排除することで、図10に示す通り適正な固有周期(固有周波数の逆数)が得られた。
上記第2推定方法について、従来のスペクトル比102と図8のS320で求めた修正スペクトル比104との違いを図12のグラフに示した。図12の縦軸は一番下の階1Fと一番上の階(屋上階)RFとのスペクトル比であり、横軸は周波数である。従来のスペクトル比102は同じ程度の高さのピークが複数あるが、修正スペクトル比104は0.7Hz付近のピークを一次モードの周波数として確実に選択することができた。修正スペクトル比104を用いることで、従来の単純なスペクトル比102に比べると振幅データのノイズによる誤差を排除することができることがわかった。
実際のビルに設置した加速度センサの加速度データを用いて、上記第2推定方法によりビルの一次固有周期を推定した結果を図13に示した。図13において、縦軸は第2推定方法により推定した一次固有周期であり、横軸は実際に地震が観測された日付である。このビルの初期の一次固有周期T0が約4秒であったので、図13で1秒付近に表れている推定された一次固有周期T1は、T1/T0が0.25となり、図8のS360で設定し
たしきい値ε2が0.7であったので、一次固有周期を異常値として排除できた。
Claims (6)
- 地震動における構造物の高さ方向における複数の位置の加速度データを取得し、
前記加速度データに基づいて前記地震動を受ける前記構造物の一次固有周期を算出し、
前記一次固有周期に対応する伝達関数を作成し、
前記伝達関数に予め設定した設定地震動条件を入力して、地震応答解析をすることで前記設定地震動条件に対する前記構造物の層間変形角を演算し、
前記層間変形角が予め設定した許容値を超えているか否かで前記構造物の耐震性を判定することを特徴とする、構造物の耐震性判定方法。 - 請求項1において、
前記伝達関数は、
振幅データにおける前記一次固有周期に対応する前記振幅データの前記一番上の階に対する加速度センサの設置階のスペクトル比を用いて前記一番上の階からの前記設置階への地震動の伝播時間を求め、さらにそれを線形補間して求まる、前記一番上の階から前記構造物の各階への地震動の伝播時間である各階伝播時間により定まることを特徴とする、構造物の耐震性判定方法。 - 請求項2において、
前記加速度データは、前記構造物の複数階に設置された加速度センサから取得され、
前記加速度センサは、少なくとも前記構造物の一番上の階と一番下の階に設置され、
前記構造物の一番上の階から前記加速度センサが設置されている階への各階伝播時間は、下記式(1)で求められ、
前記構造物の一番上の階から前記加速度センサが設置されていない階への各階伝播時間は、下記式(1)で求める各階伝播時間を線形補間して求めることを特徴とする、構造物の耐震性判定方法。
- 構造物の高さ方向における複数の位置の加速度を取得する加速度センサから取得された加速度データに基づいて演算を行う演算部を含み、
前記演算部は、
地震動における前記加速度センサの出力に基づいて、前記地震動を受ける前記構造物の一次固有周期を算出し、
前記一次固有周期に対応する伝達関数を作成し、
前記伝達関数に予め設定した設定地震動条件を入力して、地震応答解析をすることで前記設定地震動条件に対する前記構造物の層間変形角を演算し、
前記層間変形角が予め設定した許容値を超えているか否かで前記構造物の耐震性を判定することを特徴とする、構造物の耐震性判定システム。 - 請求項4において、
前記伝達関数は、
振幅データにおける前記一次固有周期に対応する前記振幅データの前記一番上の階に対する加速度センサの設置階のスペクトル比を用いて前記一番上の階からの前記設置階への地震動の伝播時間を求め、さらにそれを線形補間して求まる、前記一番上の階から前記構造物の各階への地震動の伝播時間である各階伝播時間により定まることを特徴とする、構造物の耐震性判定システム。 - 請求項5において、
前記加速度センサは、少なくとも前記構造物の一番上の階と一番下の階に設置され、
前記構造物の一番上の階から前記加速度センサが設置されている階への各階伝播時間は、下記式(1)で求められ、
前記構造物の一番上の階から前記加速度センサが設置されていない階への各階伝播時間は、下記式(1)で求められる各階伝播時間を線形補間して求めることを特徴とする、構造物の耐震性判定システム。
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