以下、本発明を適用した鉄筋コンクリート部材の判別システムついて、図面を参照しながら詳細に説明をする。
図1は、本発明を適用した鉄筋コンクリート部材の判別システム1の全体構成を示すブロック図である。鉄筋コンクリート部材の判別システム1は、橋梁に用いられる鉄筋コンクリート部材7への対策を検査により判別する。鉄筋コンクリート部材の判別システム1は、検査部8と、検査部8に接続された評価装置9と、評価装置9に接続された判別装置2と、判別装置2に接続されたデータベース3とを備えている。
鉄筋コンクリート部材7は、コンクリート71内部に鉄筋72が配設されている。鉄筋コンクリート部材7は、例えば、プレテンション方式及びポストテンション方式の何れか一方又は両方により構築されるPC(プレストレストコンクリート)構造物であってもよい。鉄筋コンクリート部材7は、プレテンション方式及びポストテンション方式により構築される場合には、例えば、橋軸方向(コンクリート部材7の長手方向)においてプレテンションが付与され、橋軸直交方向(コンクリート部材7の短手方向)においてポストテンションが付与されるものであってもよい。鉄筋コンクリート部材7は、例えば、橋梁やPC橋梁に用いられ、桁等の上部構造物、橋台、橋脚等の下部構造物、基礎構造物、桁に載置される床版、壁高欄、地覆等である。鉄筋コンクリート部材7は、断面ロの字状等に形成されて、箱桁橋に用いられてもよい。鉄筋コンクリート部材7は、断面T字状、断面I字状等に形成されて、桁橋に用いられてもよい。鉄筋コンクリート部材7は、床版橋、吊構造橋に用いられてもよい。鉄筋コンクリート部材7は、鋼桁に連結されて、複合構造橋に用いられてもよい。コンクリート部材7は、鋼桁に連結される場合、鋼桁の上端に連結されてもよいし、鋼桁の上端と下端とに連結されてもよい。鉄筋コンクリート部材7は、箱桁橋、桁橋、床版橋、吊構造橋、複合構造橋、及びこれらが組み合わせられた橋、の何れかに用いられてもよい。
検査部8は、例えば、ひび割れに関する検査、自然電位法による検査、分極抵抗法による検査、振動計測による検査、塩化物イオン量に関する検査、中性化深さに関する検査、X線回折法による検査、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)による検査、走査型電子顕微鏡による検査、蛍光X線元素分析による検査、酢酸ウラニル蛍光法による検査、及び偏光顕微鏡検査等の検査手法により、鉄筋コンクリート部材7への対策を判別するための検査データを検出する。検査部8は、検出した検査データを評価装置9へ送信する。
評価装置9は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)やスマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等の電子機器で構成されている。この評価装置9は、検査部8により取得された検査データが波形からなるものであれば、それを解析することにより、シース71内におけるグラウトの充填度を評価する上で最適なものに適宜加工する。例えばこの評価装置9は、得られた周波数軸のデータについてFFT(Fast Fourier Transform)変換を施すことにより、時間軸の波形データを周波数軸のスペクトラムデータに変換するようにしてもよい。評価装置9は、このようにして適宜加工した検査データを判別装置2へと送信する。
また、評価装置9は、取得された時間と振れ幅との関係を示す波形を、フーリエ変換を施して、時間と周波数との関係を示す波形に変換した上で、特定周波数領域を除去し、さらに逆フーリエ変換を施すことにより、特定周波数領域を残した時間と振れ幅との関係を示す波形に変換してもよい。また、評価装置9は、この特定周波数領域を残した時間と振れ幅との関係を示す波形に対して、さらにフーリエ変換を施すことにより、特定周波数領域を残した周波数と振れ幅との関係を示す波形に変換してもよい。
評価装置9は、取得された検査データとしての波形に対して、ウェーブレット変換を施して、時間と周波数との関係を示す波形に変換してもよい。ウェーブレット変換を施すことにより、フーリエ変換の際には失われてしまう時間特性を残すことができる。このため、ウェーブレット変換を施すことにより、時間と周波数との関係を示す波形に変換されることとなる。
評価装置9は、取得された検査データとしての波形に対して、ケプストラム分析を施して、ケプストラム係数やフォルマントを抽出してもよい。また、評価装置9は、取得された検査データとしての波形に対して、AFTE(Auditory filterbank temporal Envelope)変換を施してもよい。
ちなみに、この評価装置9は、例えば図示しないディスプレイ等からなる表示部を介して各検査データを表示することができる。また評価装置9は、これら各データをストレージ内に記録し、ユーザによる命令に基づいてこれらデータを表示部へ表示し、又は携帯型メモリにこれらデータを書き込むことができる。ユーザは、この携帯型メモリを評価装置9から取り外して自由に持ち運びすることが可能となる。更に評価装置9は、これら各データを公衆通信網を介して他の電子機器へ転送することも可能となる。
なお、本発明においてこの評価装置9の構成は必須ではなく、省略するようにしてもよい。かかる場合には、検査部8から出力される検査データは、判別装置2へ直接送信されることとなる。
データベース3には、提供すべき鉄筋コンクリート部材7への対策の判別条件に関する第1連関データベース31が構築されている。データベース3には、公衆通信網を介して送られてきた情報、或いは本システムのユーザによって入力された情報が蓄積される。またデータベース3は、判別装置2からの要求に基づいて、この蓄積した情報を判別装置2へと送信する。
判別装置2は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。ユーザは、この判別装置2による探索解としての鉄筋コンクリート部材7に対する対策の判別結果を得ることにより、鉄筋コンクリート部材が劣化しているか否かを判別することが可能となる。
図2は、判別装置2の具体的な構成例を示している。この判別装置2は、判別装置2全体を制御するための制御部24と、操作ボタンやキーボード等を介して各種制御用の指令を入力するための操作部25と、有線通信又は無線通信を行うための通信部26と、最適な設計条件を探索する探索部27と、ハードディスク等に代表され、実行すべき検索を行うためのプログラムを格納するための記憶部28とが内部バス21にそれぞれ接続されている。更に、この内部バス21には、実際に情報を表示するモニタとしての表示部23が接続されている。
制御部24は、内部バス21を介して制御信号を送信することにより、判別装置2内に実装された各構成要素を制御するためのいわゆる中央制御ユニットである。また、この制御部24は、操作部25を介した操作に応じて各種制御用の指令を内部バス21を介して伝達する。
操作部25は、キーボードやタッチパネルにより具現化され、プログラムを実行するための実行命令がユーザから入力される。この操作部25は、上記実行命令がユーザから入力された場合には、これを制御部24に通知する。この通知を受けた制御部24は、探索部27を始め、各構成要素と協調させて所望の処理動作を実行していくこととなる。
探索部27は、鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果を探索する。探索部27は、これら探索動作を実行するに当たり、必要な情報として記憶部28に記憶されている各種情報や、データベース3に記憶されている各種情報を読み出す。探索部27は、人工知能により制御されるものであってもよい。この人工知能はいかなる周知の人工知能技術に基づくものであってもよい。
表示部23は、制御部24による制御に基づいて表示画像を作り出すグラフィックコントローラにより構成されている。この表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等によって実現される。
記憶部28は、ハードディスクで構成される場合において、制御部24による制御に基づき、各アドレスに対して所定の情報が書き込まれるとともに、必要に応じてこれが読み出される。また、この記憶部28には、本発明を実行するためのプログラムが格納されている。このプログラムは制御部24により読み出されて実行されることになる。
上述した構成からなる鉄筋コンクリート部材の判別システム1における動作について説明をする。
鉄筋コンクリート部材の判別システム1では、例えば図3に示すように、検査データA、B、・・・からなる入力パラメータに基づいて、鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果に関する出力解を探索する。この鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果は、例えば、断面修復工法、脱塩工法、電気防食工法、表面被覆工法、表面含浸工法、増厚工法、再アルカリ化工法、リチウム含浸工法、防水工法等の対策を判定する。
入力パラメータとしては、検査部8により検出され、必要に応じて評価装置9により加工され、解析された検査データである。検査データA、B、・・が入力パラメータとして入力される。
このようにして検査データが検査部8により検出された後に、実際に判別プログラムによる処理動作が実行されていくこととなる。この判別プログラムの処理動作フローを図4に示す。
評価装置9は、ステップS11において検査部8により検出された検査データについて各種解析を行い、また後段の探索装置2による探索を行い易くするために各種データに加工を施す(ステップS12)。
次にステップS13へ移行し、ステップS12において解析、加工した検査データと第1連関度の出力解を探索する。この探索を行う前において、第1連関データベース31は、参照用の入力パラメータ(以下、参照用入力パラメータという。)と、出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果との3段階以上の第1連関度を予め取得しておく。
鉄筋コンクリート部材7のひび割れに関する検査
図5は、このデータベース3(第1連関データベース31)において予め取得した第1連関度の例を示している。この図5の例では、検査部8における検査方法として、鉄筋コンクリート部材7のひび割れに関する検査方法を利用する。このひび割れに関する検査方法は、例えば、鉄筋コンクリート部材7のひび割れ幅、ひび割れ深さ、ひび割れ長さを測定し、鉄筋コンクリート部材7に対して施すべき対策を判断する手法である。このひび割れに関する検査方法に基づいて検査部8により検出した検査データは、例えば鉄筋コンクリート部材7のひび割れ幅と、その頻度を示したひび割れ頻度分布等で構成される。このひび割れ頻度分布は、例えば、ヒストグラムで表される他、鉄筋コンクリート部材7の所定の面積に対するひび割れの分布をマッピングした画像等で表されてもよい。このため、参照用入力パラメータにおいては、ひび割れ頻度分布のデータを予め学習させることとなる。もちろん、ひび割れ頻度分布は、ひび割れ深さとその頻度を示したものであってもよいし、ひび割れ長さとその頻度を示したものであってもよい。
データベース3(第1連関データベース31)には、参照用入力パラメータとしてのひび割れに関する検査に基づいて測定したひび割れ頻度分布と、出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果との間での3段階以上の第1連関度を予め記憶させておく。図5の例によれば、参照用入力パラメータがひび割れ頻度分布c1である場合に、「断面修復工法」が第1連関度80%、「脱塩工法」が第1連関度40%、「表面含浸工法」が第1連関度60%、「増厚工法」が第1連関度30%、「リチウム含浸工法」が第1連関度20%で設定されている。また参照用入力パラメータがひび割れ頻度分布c2である場合に、「脱塩工法」が第1連関度90%、「電気防食工法」が第1連関度70%、「表面被覆工法」が第1連関度20%、「表面含浸工法」が第1連関度50%、「リチウム含浸工法」が第1連関度10%で設定されている。
これらの第1連関度は、以前にひび割れに関する検査方法に基づいて検査を行った際のひび割れ頻度分布c1、c2、・・・と、その判別結果としての対策をデータベース3(第1連関データベース31)内に予め蓄積しておき、それらに基づいて設定するようにしてもよい。この第1連関度は、いわゆるニューラルネットワークにより構成されていてもよい。この第1連関度は、ひび割れに関する検査を行った際のひび割れ頻度分布に基づいて、実際の鉄筋コンクリート部材7に対して施すべき対策を判別する上での的確性を示すものである。例えばひび割れ頻度分布c1に対しては、第1連関度80%の「断面修復工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度60%の「表面含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度40%の「脱塩工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度30%の「増厚工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「リチウム含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになる。同様にひび割れ頻度分布c2に対しては、第1連関度90%の「脱塩工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度70%の「電気防食工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度50%の「表面含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「表面被覆工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度10%の「リチウム含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになる。
ステップS13に移行後、判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する作業を行う。この鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する上で予め取得した図5に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータのひび割れ頻度分布が、参照用入力パラメータとしてのひび割れ頻度分布c1か、又はこれに近似するものである場合には、上述した第1連関度を参照した場合、第1連関度の最も高い「断面修復工法」を最適解として選択する。但し、最も第1連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、第1連関度は低いものの連関性そのものは認められる「表面含浸工法」、「脱塩工法」、「増厚工法」「リチウム含浸工法」を最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論である。即ち、この鉄筋コンクリート部材7への対策の選択は、第1連関度が高いものから順に選択される場合に限定されるものではなく、ケースに応じて第1連関度が低いものから順に選択されるものであってもよいし、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
このようにして、ステップS12において解析した入力パラメータを参照用入力パラメータに割り当てた後、当該参照用入力パラメータに設定された第1連関度に基づいて出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策を選択することになる。
なお、ステップS12において解析した入力パラメータに対する出力解の選択方法は、上述した方法に限定されるものではなく、第1連関度を参照するものであればいかなる方法に基づいて実行するようにしてもよい。また、このステップS13の探索動作では、人工知能を利用して行うようにしてもよい。
次にステップS14へ移行し、選択した最適解としての鉄筋コンクリート部材7への対策を表示部23を介して表示する。これによりユーザは、表示部23を視認することにより、鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果を即座に把握することが可能となる。
図6は、ひび割れに関する過去の検査の検査データとしてのひび割れ頻度分布c1、c2、・・・と、鉄筋コンクリート部材7に関する部材情報との組み合わせと当該組み合わせに対する鉄筋コンクリート部材7への対策との3段階以上の第1連関度が設定されている例を示している。
鉄筋コンクリート部材7の部材情報は、鉄筋コンクリート部材7の設置に関する設置情報と、鉄筋コンクリート部材7の部材断面に関する断面情報と、鉄筋コンクリート部材7の維持管理に関する管理情報と、鉄筋コンクリート部材7の外観写真に関する写真情報とが含まれる。
設置情報には、山岳部、港湾部、海上大気部、飛沫帯、干満帯、海水部、海底土中部等の鉄筋コンクリート部材7が設置される場所に関する場所情報と、鉄筋コンクリート部材7が設置される温度、湿度等の気候情報と、鉄筋コンクリート部材7が用いられた構造物を走行する車両や車両の走行頻度等に関する車両情報とが含まれる。断面情報には、鉄筋コンクリート部材7の断面寸法、コンクリートのかぶり厚、鉄筋の配設量、コンクリート表面の湿潤状況等に関する情報が含まれる。管理情報には、鉄筋コンクリート部材7の補修履歴、点検頻度、鉄筋コンクリート部材7が構築されてからの供用期間等が含まれる。写真情報には、デジタルカメラ等の撮像装置や、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等に内蔵される撮像装置により撮像された鉄筋コンクリート部材7の外観写真に関する情報が含まれる。ちなみに、この図6の例では、組み合わせを構成する部材情報が、設置情報と、断面情報の場合を挙げているが、管理情報や写真情報が含まれていてもよい。
かかる場合において、第1連関度は、図6に示すように、検査データとしてのひび割れ頻度分布c1、c2、・・と、部材情報との組み合わせの集合がいわゆる隠れ層のノード61a〜61eとして表現されることとなる。各ノード61a〜61eは、参照用入力パラメータに対する重み付けと、出力解に対する重み付けがそれぞれ設定されている。この重み付けが3段階以上の第1連関度である。例えば、ノード61aは、ひび割れ頻度分布c1が第1連関度80%で、また断面情報としてのかぶり厚「100mm〜150mm」が第1連関度80%で連関している。またノード61cは、ひび割れ頻度分布c2が第1連関度60%で、設置情報としての場所情報「飛沫帯」が第1連関度60%で、断面情報としてのかぶり厚「200mm〜250mm」が第1連関度40%で連関している。
このような第1連関度が設定されている場合も同様に、ステップS13へ移行した場合には、ステップS12において抽出した入力パラメータとしての検査の検査データとしてのひび割れ頻度分布c1、c2、・・と、設置情報や断面情報の第1連関度に応じた出力解を探索する。判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、出力解の中から最適解を1又は2以上に亘り選択する作業を行う。この最適解を選択する上で、予め取得した図6に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータにおいて、ひび割れ頻度分布c1であり、かつ設置情報として場所情報「干満帯」である場合、第1連関度を介してノード61bが関連付けられており、このノード61bは、「脱塩工法」が第1連関度60%、「表面被覆工法」が第1連関度40%、「増厚工法」が第1連関度20%で関連付けられている。
判別プログラムは、この探索結果に基づいて同様にステップS14において解を出力することになる。
自然電位法による検査
図7の例では、検査部8における検査方法として、自然電位法を利用する。この自然電位法は、鉄筋コンクリート部材7中に配設された鉄筋72と照合電極との電位差を測定することにより、鉄筋コンクリート部材7に対して施すべき対策を判断する手法である。この自然電位法に基づいて検査部8により検出した検査データは、例えば電位等を等高線で表した画像で構成される。このため、参照用入力パラメータにおいては、これら画像のデータを予め学習させることとなる。
データベース3(第1連関データベース31)には、参照用入力パラメータとしての画像と、出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果との間での3段階以上の第1連関度を予め記憶させておく。図7の例によれば、参照用入力パラメータの画像r1である場合に、「断面修復工法」が第1連関度80%、「脱塩工法」が第1連関度40%、「表面含浸工法」が第1連関度60%、「増厚工法」が第1連関度30%、「リチウム含浸工法」が第1連関度20%で設定されている。また参照用入力パラメータが画像r2である場合に、「脱塩工法」が第1連関度90%、「電気防食工法」が第1連関度70%、「表面被覆工法」が第1連関度20%、「表面含浸工法」が第1連関度50%、「リチウム含浸工法」が第1連関度10%で設定されている。
これらの第1連関度は、以前に自然電位法に基づいて検査を行った際の画像r1、r2、r3、・・・と、その判別結果としての対策をデータベース3(第1連関データベース31)内に予め蓄積しておき、それらに基づいて設定するようにしてもよい。この第1連関度は、いわゆるニューラルネットワークにより構成されていてもよい。この第1連関度は、自然電位法に基づいて検査を行った際のデータに基づいて、実際の鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する上での的確性を示すものである。例えば自然電位法に基づく画像r3に対しては、第1連関度70%の「表面含浸工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度60%の「電気防食工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度40%の「再アルカリ化工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度30%の「増厚工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「防水工法」がこれに続く的確な判断ということになる。同様に自然電位法に基づく画像r2に対しては、第1連関度90%の「脱塩工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度70%の「電気防食工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度50%の「表面含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「表面被覆工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度10%の「リチウム含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになる。
ステップS13に移行後、判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する作業を行う。この鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する上で予め取得した図7に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータが、参照用入力パラメータとしての画像r1か、又はこれに近似するものである場合には、上述した第1連関度を参照した場合、第1連関度の最も高い「断面修復工法」を最適解として選択する。但し、最も第1連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、第1連関度は低いものの連関性そのものは認められる「表面含浸工法」、「脱塩工法」、「増厚工法」「リチウム含浸工法」を最適解として選択するようにしてもよい。鉄筋コンクリート部材7への対策の選択は、ケースに応じて第1連関度が低いものから順に選択されるものであってもよいし、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
また、ステップS12において解析した入力パラメータが、参照用入力パラメータとしての画像r2にも一部類似しているが、画像r3にも一部類似し、何れに割り当ててよいか分からない場合については、例えば、ディープラーニングを通じて画像上の特徴量に基づき判断するようにしてもよい。
このようにして、ステップS12において解析した入力パラメータを参照用入力パラメータに割り当てた後、当該参照用入力パラメータに設定された第1連関度に基づいて出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策を選択することになる。
図8は、自然電位法による過去の検査の検査データとしての画像r1、r2、・・・と、部材情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する鉄筋コンクリート部材7への対策との3段階以上の第1連関度が設定されている例を示している。ちなみに、この図8の例では、部材情報に、設置情報と、管理情報とが含まれる場合を挙げているが、断面情報、写真情報が含まれていてもよい。
かかる場合において、第1連関度は、図8に示すように、検査の検査データとしての画像r1、r2、・・と、部材情報の組み合わせの集合がいわゆる隠れ層のノード61a〜61eとして表現されることとなる。各ノード61a〜61eは、参照用入力パラメータに対する重み付けと、出力解に対する重み付けがそれぞれ設定されている。この重み付けが3段階以上の第1連関度である。例えば、ノード61aは、画像r1が第1連関度80%で、また設置情報としての管理情報としての供用期間「5年」が第1連関度80%で連関している。またノード61cは、画像r2が第1連関度60%で、設置情報としての車両情報「10台/時間」が第1連関度60%、管理情報としての供用期間「10年」が第1連関度40%で連関している。
このような第1連関度が設定されている場合も同様に、ステップS13へ移行した場合には、ステップS12において抽出した入力パラメータとしての検査の検査データとしての画像r1、r2、・・と、設置情報や管理情報の第1連関度に応じた出力解を探索する。判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、出力解の中から最適解を1又は2以上に亘り選択する作業を行う。この最適解を選択する上で、予め取得した図8に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータにおいて、画像r1であり、かつ設置情報としての車両情報「100台/時間」である場合、第1連関度を介してノード61bが関連付けられており、このノード61bは、「脱塩工法」が第1連関度60%、「表面被覆工法」が第1連関度40%、「増厚工法」が第1連関度20%で関連付けられている。
分極抵抗法による検査
図9の例では、検査部8における検査方法として、分極抵抗法を利用する。この分極抵抗法は、鉄筋72に微小の交流電流を通電させることにより得られる分極抵抗を測定することにより、鉄筋コンクリート部材7に対して施すべき対策を判断する手法である。この分極抵抗法に基づいて検査部8により検出した検査データは、例えば分極抵抗等を等高線で表した画像で構成される。このため、参照用入力パラメータにおいては、これら画像のデータを予め学習させることとなる。
データベース3(第1連関データベース31)には、参照用入力パラメータとしての画像と、出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果との間での3段階以上の第1連関度を予め記憶させておく。図9の例によれば、参照用入力パラメータの画像r1である場合に、「断面修復工法」が第1連関度80%、「脱塩工法」が第1連関度40%、「表面含浸工法」が第1連関度60%、「増厚工法」が第1連関度30%、「リチウム含浸工法」が第1連関度20%で設定されている。また参照用入力パラメータが画像r2である場合に、「脱塩工法」が第1連関度90%、「電気防食工法」が第1連関度70%、「表面被覆工法」が第1連関度20%、「表面含浸工法」が第1連関度50%、「リチウム含浸工法」が第1連関度10%で設定されている。
これらの第1連関度は、以前に分極抵抗法に基づいて非破壊検査を行った際の画像r1、r2、r3、・・・と、その判別結果としての対策をデータベース3(第1連関データベース31)内に予め蓄積しておき、それらに基づいて設定するようにしてもよい。この第1連関度は、いわゆるニューラルネットワークにより構成されていてもよい。この第1連関度は、分極抵抗法に基づいて検査を行った際のデータに基づいて、実際の鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する上での的確性を示すものである。例えば分極抵抗法に基づく画像r3に対しては、第1連関度70%の「表面被覆工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度60%の「電気防食工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度40%の「再アルカリ化工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度30%の「増厚工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「防水工法」がこれに続く的確な判断ということになる。同様に自然電位法に基づく画像r2に対しては、第1連関度90%の「脱塩工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度70%の「電気防食工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度50%の「表面含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「表面被覆工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度10%の「リチウム含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになる。
ステップS13に移行後、判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する作業を行う。この鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する上で予め取得した図9に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータが、参照用入力パラメータとしての画像r1か、又はこれに近似するものである場合には、上述した第1連関度を参照した場合、第1連関度の最も高い「断面修復工法」を最適解として選択する。但し、最も第1連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、第1連関度は低いものの連関性そのものは認められる「表面含浸工法」、「脱塩工法」、「増厚工法」「リチウム含浸工法」を最適解として選択するようにしてもよい。鉄筋コンクリート部材7への対策の選択は、ケースに応じて第1連関度が低いものから順に選択されるものであってもよいし、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
また、ステップS12において解析した入力パラメータが、参照用入力パラメータとしての画像r2にも一部類似しているが、画像r3にも一部類似し、何れに割り当ててよいか分からない場合については、例えば、ディープラーニングを通じて画像上の特徴量に基づき判断するようにしてもよい。
このようにして、ステップS12において解析した入力パラメータを参照用入力パラメータに割り当てた後、当該参照用入力パラメータに設定された第1連関度に基づいて出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策を選択することになる。
図10は、分極抵抗法による過去の検査の検査データとしての画像r1、r2、・・・と、部材情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する鉄筋コンクリート部材7への対策との3段階以上の第1連関度が設定されている例を示している。ちなみに、この図10の例では、部材情報に、設置情報と、断面情報とが含まれる場合を挙げているが、管理情報、写真情報が含まれていてもよい。
かかる場合において、第1連関度は、図10に示すように、検査データとしての画像r1、r2、・・と、部材情報との組み合わせの集合がいわゆる隠れ層のノード61a〜61eとして表現されることとなる。各ノード61a〜61eは、参照用入力パラメータに対する重み付けと、出力解に対する重み付けがそれぞれ設定されている。この重み付けが3段階以上の第1連関度である。例えば、ノード61aは、画像r1が第1連関度80%で、また断面情報としての断面寸法「2000mm×500mm」が第1連関度80%で連関している。またノード61cは、画像r2が第1連関度60%で、設置情報としての温度「30℃」が第1連関度60%で、断面情報としての断面寸法「1000mm×1000mm」が第1連関度40%で連関している。
このような第1連関度が設定されている場合も同様に、ステップS13へ移行した場合には、ステップS12において抽出した入力パラメータとしての検査の検査データとしての画像r1、r2、・・と、設置情報や断面情報の第1連関度に応じた出力解を探索する。判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、出力解の中から最適解を1又は2以上に亘り選択する作業を行う。この最適解を選択する上で、予め取得した図10に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータにおいて、画像r1であり、かつ設置情報として温度「0℃」である場合、第1連関度を介してノード61bが関連付けられており、このノード61bは、「脱塩工法」が第1連関度60%で、「表面被覆工法」が第1連関度40%で、「増厚工法」が第1連関度20%で関連付けられている。
振動計測による検査
図11の例では、検査部8における検査方法として、振動計測を利用する。この振動計測は、加速度計により、鉄筋コンクリート部材7の振動を計測し、振動特性から鉄筋コンクリート部材7に対して施すべき対策を判断する手法である。この振動計測に基づいて検査部8により検出した検査データは、例えば時系列的に計測した加速度の対数減衰率等のデータで構成される。このため、参照用入力パラメータにおいては、これら対数減衰率の変化等のデータを予め学習させることとなる。
データベース3(第1連関データベース31)には、参照用入力パラメータとしての加速度の対数減衰率と、出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果との間での3段階以上の第1連関度を予め記憶させておく。図11の例によれば、参照用入力パラメータの対数減衰率が「0〜0.5%」である場合に、「断面修復工法」が第1連関度80%、「脱塩工法」が第1連関度40%、「表面含浸工法」が第1連関度60%、「増厚工法」が第1連関度30%で設定されている。また参照用入力パラメータが対数減衰率「0.5〜1%」である場合に、「脱塩工法」が第1連関度90%、「電気防食工法」が第1連関度70%、「表面被覆工法」が第1連関度20%、「表面含浸工法」が第1連関度50%で設定されている。
これらの第1連関度は、以前に振動計測に基づいて検査を行った際の対数減衰率と、その判別結果としての対策をデータベース3(第1連関データベース31)内に予め蓄積しておき、それらに基づいて設定するようにしてもよい。この第1連関度は、いわゆるニューラルネットワークにより構成されていてもよい。この第1連関度は、振動計測に基づいて検査を行った際のデータに基づいて、実際の鉄筋コンクリート部材7の対策を判別する上での的確性を示すものである。例えば振動計測に基づく対数減衰率「1〜2%」に対しては、第1連関度70%の「表面被覆工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度60%の「電気防食工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度40%の「再アルカリ化工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度30%の「増厚工法」がこれに続く的確な判断ということになる。同様に振動計測に基づく対数減衰率「0.5〜1%」に対しては、第1連関度90%の「脱塩工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度70%の「電気防食工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度50%の「表面含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「表面被覆工法」がこれに続く的確な判断ということになる。
ステップS13に移行後、判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する作業を行う。この鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する上で予め取得した図11に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータが、参照用入力パラメータとしての対数減衰率「0〜0.5%」か、又はこれに近似するものである場合には、上述した連関度を参照した場合、第1連関度の最も高い「断面修復工法」を最適解として選択する。但し、最も第1連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、第1連関度は低いものの連関性そのものは認められる「表面含浸工法」、「脱塩工法」、「増厚工法」「リチウム含浸工法」を最適解として選択するようにしてもよい。鉄筋コンクリート部材7への対策の選択は、ケースに応じて第1連関度が低いものから順に選択されるものであってもよいし、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
このようにして、ステップS12において解析した入力パラメータを参照用入力パラメータに割り当てた後、当該参照用入力パラメータに設定された第1連関度に基づいて出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策を選択することになる。
図12は、振動計測による過去の検査の検査データとしての対数減衰率と、鉄筋コンクリート部材7の部材情報や加速度情報との組み合わせに対するPC鋼材72の劣化状況との3段階以上の第1連関度が設定されている例を示している。この加速度情報は、振動計測の加速度の大きさや振動させる各種要因等に関する情報で構成される。ちなみに、この図12の例では、部材情報に、管理情報が含まれる場合を挙げているが、設置情報、断面情報、写真情報が含まれていてもよい。
かかる場合において、第1連関度は、図12に示すように、検査データとしての各対数減衰率と、鉄筋コンクリート部材7の場所情報や加速度情報の何れか1以上の組み合わせの集合がいわゆる隠れ層のノード61a〜61eとして表現されることとなる。各ノード61a〜61eは、参照用入力パラメータに対する重み付けと、出力解に対する重み付けがそれぞれ設定されている。この重み付けが3段階以上の第1連関度である。例えば、ノード61aは、対数減衰率「0〜0.5%」が第1連関度80%、また加速度情報としての「±0.04〜0.08」が第1連関度80%で連関している。またノード61cは、対数減衰率「0.5〜1%」が第1連関度60%、管理情報としての補修履歴「補修なし」が第1連関度60%、加速度情報としての「±0.01〜0.04」が第1連関度40%で連関している。
このような第1連関度が設定されている場合も同様に、ステップS13へ移行した場合には、ステップS12において抽出した入力パラメータとしての検査データとしての対数減衰率と、鉄筋コンクリート部材7の管理情報や加速度情報の第1連関度に応じた出力解を探索する。判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、出力解の中から最適解を1又は2以上に亘り選択する作業を行う。この最適解を選択する上で、予め取得した図12に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータにおいて、対数減衰率「0〜0.5%」であり、かつ管理情報として補修履歴「補修あり」である場合、第1連関度を介してノード61bが関連付けられており、このノード61bは、「脱塩工法」が第1連関度60%、「表面被覆工法」が第1連関度40%、「増厚工法」が第1連関度20%で関連付けられている。
塩化物イオン量に関する検査
図13は、このデータベース3(第1連関データベース31)において予め取得した第1連関度の例を示している。この図13の例では、検査部8における検査方法として、鉄筋コンクリート部材7中に含まれる塩化物イオン量に関する検査方法を利用する。この塩化物イオン量に関する検査方法は、例えば、蛍光X線法や、ドリル法がある。蛍光X線法は、鉄筋コンクリート部材7にX線を照射した際に放出される特性X線を利用して、試料に含まれている塩化物イオン量を測定し、鉄筋コンクリート部材7に対して施すべき対策を判断する手法である。蛍光X線法により塩化物イオン量を測定する際には、現場に設置された鉄筋コンクリート部材7に対してX線を照射してもよいし、現場に設置された鉄筋コンクリート部材7から採取した試料に対してX線を照射してもよい。また、ドリル法は、鉄筋コンクリート部材7をドリルビット等により削孔した粉を用いて塩化物イオン量を測定し、鉄筋コンクリート部材7に対して施すべき対策を判断する手法である。ドリル法により塩化物イオン量を測定する際には、例えば、日本工業規格に規定される「硬化コンクリート中に含まれる塩化物イオンの試験方法」(JIS A 1154)や、日本コンクリート工学会により規定される「硬化コンクリート中に含まれる全塩分の簡易分析方法」(JCI−SC5)により測定されてもよい。この塩化物イオン量に関する検査方法に基づいて検査部8により検出した検査データは、塩化物イオン量のデータで構成される。このため、参照用入力パラメータにおいては、塩化物イオン量のデータを予め学習させることとなる。
データベース3には、参照用入力パラメータとしての塩化物イオン量に関する検査方法に基づいて測定した塩化物イオン量のデータと、出力解としての鉄筋コンクリート部材7の対策の判別結果との間での3段階以上の第1連関度を予め記憶させておく。図13の例によれば、参照用入力パラメータが塩化物イオン量「0.1kg/m3」である場合に、「表面被覆工法」が第1連関度70%、「電気防食工法」が第1連関度60%、「再アルカリ化工法」が第1連関度40%、「増厚工法」が第1連関度30%、「防水工法」が第1連関度20%で設定されている。また参照用入力パラメータが塩化物イオン量「1.0kg/m3」である場合に、「脱塩工法」が第1連関度90%、「電気防食工法」が第1連関度70%、「表面被覆工法」が第1連関度20%、「表面含浸工法」が第1連関度50%、「リチウム含浸工法」が第1連関度10%で設定されている。
これらの第1連関度は、以前に塩化物イオン量に関する検査方法に基づいて検査を行った際の塩化物イオン量と、その判別結果としての対策をデータベース3(第1連関データベース31)内に予め蓄積しておき、それらに基づいて設定するようにしてもよい。この第1連関度は、いわゆるニューラルネットワークにより構成されていてもよい。この第1連関度は、塩化物イオン量に関する検査を行った際の塩化物イオン量に基づいて、実際の鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する上での的確性を示すものである。例えば塩化物イオン量「2.0kg/m3」に対しては、第1連関度80%の「断面修復工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度60%の「表面含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度40%の「脱塩工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度30%の「増厚工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「リチウム含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになる。同様に塩化物イオン量「1.0kg/m3」に対しては、第1連関度90%の「脱塩工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度70%の「電気防食工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度50%の「表面含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「表面被覆工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度10%の「リチウム含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになる。
ステップS13に移行後、判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する作業を行う。この鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する上で予め取得した図13に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータの塩化物イオン量が、参照用入力パラメータとしての塩化物イオン量「2.0kg/m3」か、又はこれに近似するものである場合には、上述した第1連関度を参照した場合上述した第1連関度を参照した場合、第1連関度の最も高い「断面修復工法」を最適解として選択する。但し、最も第1連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、第1連関度は低いものの連関性そのものは認められる「表面含浸工法」、「脱塩工法」、「増厚工法」「リチウム含浸工法」を最適解として選択するようにしてもよい。鉄筋コンクリート部材7への対策の選択は、ケースに応じて第1連関度が低いものから順に選択されるものであってもよいし、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
このようにして、ステップS12において解析した入力パラメータを参照用入力パラメータに割り当てた後、当該参照用入力パラメータに設定された第1連関度に基づいて出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策を選択することになる。
図14は、鉄筋コンクリート部材7中に含まれる塩化物イオン量に関する検査方法による過去の検査の検査データとしての塩化物イオン量のデータと部材情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する鉄筋コンクリート部材7の対策との3段階以上の第1連関度が設定されている例を示している。ちなみに、この図14の例では、部材情報に、設置情報と、写真情報とが含まれる場合を挙げているが、断面情報、管理情報が含まれていてもよい。
かかる場合において、第1連関度は、図14に示すように、検査データとしての塩化物イオン量のデータと、部材情報との組み合わせの集合がいわゆる隠れ層のノード61a〜61eとして表現されることとなる。各ノード61a〜61eは、参照用入力パラメータに対する重み付けと、出力解に対する重み付けがそれぞれ設定されている。この重み付けが3段階以上の第1連関度である。例えば、ノード61aは、塩化物イオン量「2.0kg/m3」が第1連関度80%で、また写真情報としての外観写真P1が第1連関度80%で連関している。またノード61cは、塩化物イオン量「1.0kg/m3」が第1連関度60%で、設置情報としての場所情報「飛沫帯」が第1連関度60%、写真情報としての外観写真P2が第1連関度40%で連関している。
このような第1連関度が設定されている場合も同様に、ステップS13へ移行した場合には、ステップS12において抽出した入力パラメータとしての検査の検査データとしての塩化物イオン量のデータと、設置情報や管理情報の第1連関度に応じた出力解を探索する。判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、出力解の中から最適解を1又は2以上に亘り選択する作業を行う。この最適解を選択する上で、予め取得した図14に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータにおいて、塩化物イオン量「2.0kg/m3」であり、かつ設置情報としての場所情報「干満帯」である場合、第1連関度を介してノード61bが関連付けられており、このノード61bは、「脱塩工法」が第1連関度60%で、「表面被覆工法」が第1連関度40%で、「増厚工法」が第1連関度20%で関連付けられている。
中性化深さに関する検査
図15は、このデータベース3(第1連関データベース31)において予め取得した第1連関度の例を示している。この図15の例では、検査部8における検査方法として、鉄筋コンクリート部材7の中性化深さに関する検査方法を利用する。この中性化深さに関する検査方法は、例えば、日本工業規格に規定されるコンクリートの中性化深さの測定方法(JIS A 1152)により中性化深さを測定し、鉄筋コンクリート部材7に対して施すべき対策を判断する手法である。この中性化深さに関する検査方法に基づいて検査部8により検出した検査データは、中性化深さのデータで構成される。このため、参照用入力パラメータにおいては、中性化深さのデータを予め学習させることとなる。
データベース3(第1連関データベース31)には、参照用入力パラメータとしての中性化深さに関する検査方法に基づいて測定した中性化深さのデータと、出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果との間での3段階以上の第1連関度を予め記憶させておく。図15の例によれば、参照用入力パラメータが中性化深さ「5mm」である場合に、「断面修復工法」が第1連関度80%、「脱塩工法」が第1連関度40%、「表面含浸工法」が第1連関度60%、「増厚工法」が第1連関度30%、「リチウム含浸工法」が第1連関度20%で設定されている。また参照用入力パラメータが中性化深さ「10mm」である場合に、「脱塩工法」が第1連関度90%、「電気防食工法」が第1連関度70%、「表面被覆工法」が第1連関度20%、「表面含浸工法」が第1連関度50%、「リチウム含浸工法」が第1連関度10%で設定されている。
これらの第1連関度は、以前に中性化深さに関する検査方法に基づいて検査を行った際の中性化深さのデータと、その判別結果としての対策をデータベース3(第1連関データベース31)内に予め蓄積しておき、それらに基づいて設定するようにしてもよい。この第1連関度は、いわゆるニューラルネットワークにより構成されていてもよい。この第1連関度は、中性化深さに関する検査を行った際の中性化深さのデータに基づいて、実際の鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する上での的確性を示すものである。例えば中性化深さ「20mm」に対しては、第1連関度70%の「表面被覆工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度60%の「電気防食工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度40%の「再アルカリ化工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度30%の「増厚工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「防水工法」がこれに続く的確な判断ということになる。同様に中性化深さ「10mm」に対しては、第1連関度90%の「脱塩工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度70%の「電気防食工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度50%の「表面含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「表面被覆工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度10%の「リチウム含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになる。
ステップS13に移行後、判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する作業を行う。この鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する上で予め取得した図15に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータの塩化物イオン量が、参照用入力パラメータとしての中性化深さ「5mm」か、又はこれに近似するものである場合には、上述した第1連関度を参照した場合上述した第1連関度を参照した場合、第1連関度の最も高い「断面修復工法」を最適解として選択する。但し、最も第1連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、第1連関度は低いものの連関性そのものは認められる「表面含浸工法」、「脱塩工法」、「増厚工法」「リチウム含浸工法」を最適解として選択するようにしてもよい。鉄筋コンクリート部材7への対策の選択は、ケースに応じて第1連関度が低いものから順に選択されるものであってもよいし、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
このようにして、ステップS12において解析した入力パラメータを参照用入力パラメータに割り当てた後、当該参照用入力パラメータに設定された第1連関度に基づいて出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策を選択することになる。
図16は、鉄筋コンクリート部材7の中性化深さに関する検査方法による過去の検査の検査データとしての中性化深さのデータと、部材情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する鉄筋コンクリート部材7への対策との3段階以上の第1連関度が設定されている例を示している。ちなみに、この図16の例では、部材情報に、断面情報と、管理情報とが含まれる場合を挙げているが、設置情報、写真情報が含まれていてもよい。
かかる場合において、第1連関度は、図16に示すように、検査データとしての中性化深さのデータと、部材情報との組み合わせの集合がいわゆる隠れ層のノード61a〜61eとして表現されることとなる。各ノード61a〜61eは、参照用入力パラメータに対する重み付けと、出力解に対する重み付けがそれぞれ設定されている。この重み付けが3段階以上の第1連関度である。例えば、ノード61aは、中性化深さ「5mm」が第1連関度80%で、また管理情報としての供用期間「5年」が第1連関度80%で連関している。またノード61cは、中性化深さ「10mm」が第1連関度60%で、設置情報としてのかぶり厚「200mm〜250mm」が第1連関度60%、管理情報としての供用期間「10年」が第1連関度40%で連関している。
このような第1連関度が設定されている場合も同様に、ステップS13へ移行した場合には、ステップS12において抽出した入力パラメータとしての検査の検査データとしての中性化深さのデータと、設置情報や管理情報の第1連関度に応じた出力解を探索する。判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、出力解の中から最適解を1又は2以上に亘り選択する作業を行う。この最適解を選択する上で、予め取得した図16に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータにおいて、中性化深さ「5mm」であり、かつ設置情報としてのかぶり厚「100mm〜150mm」である場合、第1連関度を介してノード61bが関連付けられており、このノード61bは、「脱塩工法」が第1連関度60%、「表面被覆工法」が第1連関度40%、「増厚工法」が第1連関度20%で関連付けられている。
X線回折法による検査
図17は、このデータベース3(第1連関データベース31)において予め取得した第1連関度の例を示している。この図17の例では、検査部8における検査方法として、X線回折法による検査方法を利用する。このX線回折法による検査方法は、例えば、現場に設置された鉄筋コンクリート部材7から採取した試料に対してX線を照射して、鉄筋コンクリート部材7に対して施すべき対策を判断する手法である。このX線回折法による検査方法に基づいて検査部8により検出した検査データは、X線回折法により得られるX線強度スペクトルの画像や、X線回折法により分析した成分分析結果等で構成される。図17に示す例では、参照用入力パラメータにおいては、X線強度スペクトルの画像を予め学習させることとなる。もちろん、参照用入力パラメータにおいて、X線回折法により分析した成分分析結果を予め学習させてもよい。
データベース3(第1連関データベース31)には、参照用入力パラメータとしてのX線回折法による検査方法に基づいて測定したX線強度スペクトルの画像r1、r2、・・・と、出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果との間での3段階以上の第1連関度を予め記憶させておく。図17の例によれば、参照用入力パラメータが画像r1である場合に、「断面修復工法」が第1連関度80%、「脱塩工法」が第1連関度40%、「表面含浸工法」が第1連関度60%、「増厚工法」が第1連関度30%、「リチウム含浸工法」が第1連関度20%で設定されている。また参照用入力パラメータが画像r2である場合に、「脱塩工法」が第1連関度90%、「電気防食工法」が第1連関度70%、「表面被覆工法」が第1連関度20%、「表面含浸工法」が第1連関度50%、「リチウム含浸工法」が第1連関度10%で設定されている。
これらの第1連関度は、以前にX線回折法による検査方法に基づいて検査を行った際の画像r1、r2、・・・と、その判別結果としての対策をデータベース3(第1連関データベース31)内に予め蓄積しておき、それらに基づいて設定するようにしてもよい。この第1連関度は、いわゆるニューラルネットワークにより構成されていてもよい。この第1連関度は、X線回折法による検査を行った際の画像に基づいて、実際の鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する上での的確性を示すものである。例えば画像r1に対しては、第1連関度80%の「断面修復工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度60%の「表面含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度40%の「脱塩工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度30%の「増厚工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「リチウム含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになる。同様に画像r2に対しては、第1連関度90%の「脱塩工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度70%の「電気防食工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度50%の「表面含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「表面被覆工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度10%の「リチウム含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになる。
ステップS13に移行後、判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する作業を行う。この鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する上で予め取得した図17に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータの画像が、参照用入力パラメータとしての画像r1か、又はこれに近似するものである場合には、上述した第1連関度を参照した場合上述した第1連関度を参照した場合、第1連関度の最も高い「断面修復工法」を最適解として選択する。但し、最も第1連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、第1連関度は低いものの連関性そのものは認められる「表面含浸工法」、「脱塩工法」、「増厚工法」「リチウム含浸工法」を最適解として選択するようにしてもよい。鉄筋コンクリート部材7への対策の選択は、ケースに応じて第1連関度が低いものから順に選択されるものであってもよいし、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
また、ステップS12において解析した入力パラメータが、参照用入力パラメータとしての画像r2にも一部類似しているが、画像r3にも一部類似し、何れに割り当ててよいか分からない場合については、例えば、ディープラーニングを通じて画像上の特徴量に基づき判断するようにしてもよい。
このようにして、ステップS12において解析した入力パラメータを参照用入力パラメータに割り当てた後、当該参照用入力パラメータに設定された第1連関度に基づいて出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策を選択することになる。
図18は、X線回折法による過去の検査の検査データとしての画像r1、r2、・・と、部材情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する鉄筋コンクリート部材7への対策との3段階以上の第1連関度が設定されている例を示している。ちなみに、この図18の例では、部材情報に、断面情報と、管理情報とが含まれる場合を挙げているが、設置情報、写真情報が含まれていてもよい。
かかる場合において、第1連関度は、図18に示すように、検査データとしての画像r1、r2・・・と、部材情報との組み合わせの集合がいわゆる隠れ層のノード61a〜61eとして表現されることとなる。各ノード61a〜61eは、参照用入力パラメータに対する重み付けと、出力解に対する重み付けがそれぞれ設定されている。この重み付けが3段階以上の第1連関度である。例えば、ノード61aは、画像r1が第1連関度80%で、また管理情報としての補修履歴「補修あり」が第1連関度80%で連関している。またノード61cは、画像r2が第1連関度60%、設置情報としての断面寸法「1000mm×1000mm」が第1連関度60%、管理情報としての補修履歴「補修なし」が第1連関度40%で連関している。
このような第1連関度が設定されている場合も同様に、ステップS13へ移行した場合には、ステップS12において抽出した入力パラメータとしての検査の検査データとしてのX線強度スペクトルの画像と、断面情報や管理情報の第1連関度に応じた出力解を探索する。判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、出力解の中から最適解を1又は2以上に亘り選択する作業を行う。この最適解を選択する上で、予め取得した図18に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータにおいて、画像r1であり、かつ設置情報としての断面寸法「2000mm×500mm」である場合、第1連関度を介してノード61bが関連付けられており、このノード61bは、「脱塩工法」が第1連関度60%、「表面被覆工法」が第1連関度40%、「増厚工法」が第1連関度20%で関連付けられている。
EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)による検査
図19は、このデータベース3(第1連関データベース31)において予め取得した第1連関度の例を示している。この図19の例では、検査部8における検査方法として、EPMAによる検査方法を利用する。このEPMAによる検査方法は、鉄筋コンクリート部材7から採取したコンクリートの試料に電子ビームを照射し、試料を構成する原子から放出される特性X線を利用して、試料に含まれている元素を分析し、鉄筋コンクリート部材7に対して施すべき対策を判断する手法である。このEPMAによる検査方法に基づいて検査部8により検出した検査データは、EPMAにより分析された元素分布の画像や、元素分析結果等で構成される。図19に示す例では、参照用入力パラメータにおいては、元素分布の画像を予め学習させることとなる。もちろん、参照用入力パラメータにおいて、EPMAにより分析した元素分析結果を予め学習させてもよい。
データベース3(第1連関データベース31)には、参照用入力パラメータとしてのEPMAによる検査方法に基づいて分析した元素分布の画像r1、r2、・・・と、出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果との間での3段階以上の第1連関度を予め記憶させておく。図19の例によれば、参照用入力パラメータが画像r1である場合に、「断面修復工法」が第1連関度80%、「脱塩工法」が第1連関度40%、「表面含浸工法」が第1連関度60%、「増厚工法」が第1連関度30%、「リチウム含浸工法」が第1連関度20%で設定されている。また参照用入力パラメータが画像r2である場合に、「脱塩工法」が第1連関度90%、「電気防食工法」が第1連関度70%、「表面被覆工法」が第1連関度20%、「表面含浸工法」が第1連関度50%、「リチウム含浸工法」が第1連関度10%で設定されている。
これらの第1連関度は、以前にEPMAによる検査方法に基づいて検査を行った際の画像r1、r2、・・・と、その判別結果としての対策をデータベース3(第1連関データベース31)内に予め蓄積しておき、それらに基づいて設定するようにしてもよい。この第1連関度は、いわゆるニューラルネットワークにより構成されていてもよい。この第1連関度は、EPMAによる検査を行った際の画像に基づいて、実際の鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する上での的確性を示すものである。例えば画像r1に対しては、第1連関度80%の「断面修復工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度60%の「表面含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度40%の「脱塩工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度30%の「増厚工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「リチウム含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになる。同様に画像r2に対しては、第1連関度90%の「脱塩工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度70%の「電気防食工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度50%の「表面含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「表面被覆工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度10%の「リチウム含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになる。
ステップS13に移行後、判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する作業を行う。この鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する上で予め取得した図19に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータの画像r1が、参照用入力パラメータとしての画像r1か、又はこれに近似するものである場合には、上述した第1連関度を参照した場合、第1連関度の最も高い「断面修復工法」を最適解として選択する。但し、最も第1連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、第1連関度は低いものの連関性そのものは認められる「表面含浸工法」、「脱塩工法」、「増厚工法」「リチウム含浸工法」を最適解として選択するようにしてもよい。鉄筋コンクリート部材7への対策の選択は、ケースに応じて第1連関度が低いものから順に選択されるものであってもよいし、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
また、ステップS12において解析した入力パラメータが、参照用入力パラメータとしての画像r2にも一部類似しているが、画像r3にも一部類似し、何れに割り当ててよいか分からない場合については、例えば、ディープラーニングを通じて画像上の特徴量に基づき判断するようにしてもよい。
このようにして、ステップS12において解析した入力パラメータを参照用入力パラメータに割り当てた後、当該参照用入力パラメータに設定された第1連関度に基づいて出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策を選択することになる。
図20は、EPMAによる検査方法による過去の検査の検査データとしての画像r1、r2、・・と部材情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する鉄筋コンクリート部材7への対策との3段階以上の第1連関度が設定されている例を示している。ちなみに、この図20の例では、部材情報に、設置情報と、断面情報とが含まれる場合を挙げているが、管理情報、写真情報が含まれていてもよい。
かかる場合において、第1連関度は、図20に示すように、検査データとしての画像r1、r2、・・・と、部材情報との組み合わせの集合がいわゆる隠れ層のノード61a〜61eとして表現されることとなる。各ノード61a〜61eは、参照用入力パラメータに対する重み付けと、出力解に対する重み付けがそれぞれ設定されている。この重み付けが3段階以上の第1連関度である。例えば、ノード61aは、画像r1が第1連関度80%で、また断面情報としてのかぶり厚「100mm〜150mm」が第1連関度80%で連関している。またノード61cは、画像r2が第1連関度60%で、設置情報としての車両情報「10台/時間」が第1連関度60%で、断面情報としてのかぶり厚「200mm〜250mm」が第1連関度40%で連関している。
このような第1連関度が設定されている場合も同様に、ステップS13へ移行した場合には、ステップS12において抽出した入力パラメータとしての検査の検査データとしての元素分布の画像と、設置情報や断面情報の第1連関度に応じた出力解を探索する。判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、出力解の中から最適解を1又は2以上に亘り選択する作業を行う。この最適解を選択する上で、予め取得した図20に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータにおいて、画像r1であり、かつ設置情報としての車両情報「100台/時間」である場合、第1連関度を介してノード61bが関連付けられており、このノード61bは、「脱塩工法」が第1連関度60%で、「表面被覆工法」が第1連関度40%で、「増厚工法」が第1連関度20%で関連付けられている。
走査型電子顕微鏡による検査
図21は、このデータベース3(第1連関データベース31)において予め取得した第1連関度の例を示している。この図21の例では、検査部8における検査方法として、走査型電子顕微鏡による検査方法を利用する。この走査型電子顕微鏡による検査方法は、鉄筋コンクリート部材7から採取した試料を走査型電子顕微鏡により撮像することにより、鉄筋コンクリート部材7に対して施すべき対策を判断する手法である。この走査型電子顕微鏡による検査方法に基づいて検査部8により検出した検査データは、走査型電子顕微鏡により撮像された画像等で構成される。このため、参照用入力パラメータにおいては、これら画像のデータを予め学習させることとなる。
データベース3(第1連関データベース31)には、参照用入力パラメータとしての走査型電子顕微鏡による検査方法に基づいて撮像した画像r1、r2、・・・と、出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果との間での3段階以上の第1連関度を予め記憶させておく。図21の例によれば、参照用入力パラメータが画像r1である場合に、「断面修復工法」が第1連関度80%、「脱塩工法」が第1連関度40%、「表面含浸工法」が第1連関度60%、「増厚工法」が第1連関度30%、「リチウム含浸工法」が第1連関度20%で設定されている。また参照用入力パラメータが画像r2である場合に、「脱塩工法」が第1連関度90%、「電気防食工法」が第1連関度70%、「表面被覆工法」が第1連関度20%、「表面含浸工法」が第1連関度50%、「リチウム含浸工法」が第1連関度10%で設定されている。
これらの第1連関度は、以前に走査型電子顕微鏡による検査方法に基づいて検査を行った際の画像r1、r2、・・・と、その判別結果としての対策をデータベース3(第1連関データベース31)内に予め蓄積しておき、それらに基づいて設定するようにしてもよい。この第1連関度は、いわゆるニューラルネットワークにより構成されていてもよい。この第1連関度は、走査型電子顕微鏡による検査を行った際の画像に基づいて、実際の鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する上での的確性を示すものである。例えば画像r1に対しては、第1連関度80%の「断面修復工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度60%の「表面含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度40%の「脱塩工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度30%の「増厚工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「リチウム含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになる。同様に画像r2に対しては、第1連関度90%の「脱塩工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度70%の「電気防食工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度50%の「表面含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「表面被覆工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度10%の「リチウム含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになる。
ステップS13に移行後、判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する作業を行う。この鉄筋コンクリート部材7へ」の対策を判別する上で予め取得した図21に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータの画像r1が、参照用入力パラメータとしての画像r1か、又はこれに近似するものである場合には、上述した第1連関度を参照した場合、第1連関度の最も高い「断面修復工法」を最適解として選択する。但し、最も第1連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、第1連関度は低いものの連関性そのものは認められる「表面含浸工法」、「脱塩工法」、「増厚工法」「リチウム含浸工法」を最適解として選択するようにしてもよい。鉄筋コンクリート部材7への対策の選択は、ケースに応じて第1連関度が低いものから順に選択されるものであってもよいし、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
また、ステップS12において解析した入力パラメータが、参照用入力パラメータとしての画像r2にも一部類似しているが、画像r3にも一部類似し、何れに割り当ててよいか分からない場合については、例えば、ディープラーニングを通じて画像上の特徴量に基づき判断するようにしてもよい。
このようにして、ステップS12において解析した入力パラメータを参照用入力パラメータに割り当てた後、当該参照用入力パラメータに設定された第1連関度に基づいて出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策を選択することになる。
図22は、走査型電子顕微鏡による検査方法による過去の検査の検査データとしての画像r1、r2、・・と部材情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する鉄筋コンクリート部材7への対策との3段階以上の第1連関度が設定されている例を示している。ちなみに、この図22の例では、部材情報に、設置情報が含まれる場合を挙げているが、断面情報、管理情報、写真情報が含まれていてもよい。
かかる場合において、第1連関度は、図22に示すように、検査データとしての画像r1、r2、・・・と、部材情報との組み合わせの集合がいわゆる隠れ層のノード61a〜61eとして表現されることとなる。各ノード61a〜61eは、参照用入力パラメータに対する重み付けと、出力解に対する重み付けがそれぞれ設定されている。この重み付けが3段階以上の第1連関度である。例えば、ノード61aは、画像r1が第1連関度80%、また設置情報としての車両情報「100台/時間」が第1連関度80%で連関している。またノード61cは、画像r2が第1連関度60%、設置情報としての温度「30℃」が第1連関度60%、設置情報としての車両情報「10台/時間」が第1連関度40%で連関している。
このような第1連関度が設定されている場合も同様に、ステップS13へ移行した場合には、ステップS12において抽出した入力パラメータとしての検査の検査データとしての画像と、設置情報の第1連関度に応じた出力解を探索する。判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、出力解の中から最適解を1又は2以上に亘り選択する作業を行う。この最適解を選択する上で、予め取得した図22に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータにおいて、画像r1であり、かつ設置情報としての温度「0℃」である場合、第1連関度を介してノード61bが関連付けられており、このノード61bは、「脱塩工法」が第1連関度60%、「表面被覆工法」が第1連関度40%、「増厚工法」が第1連関度20%で関連付けられている。
蛍光X線元素分析による検査
図23は、このデータベース3(第1連関データベース31)において予め取得した第1連関度の例を示している。この図23の例では、検査部8における検査方法として、蛍光X線元素分析による検査方法を利用する。この蛍光X線元素分析による検査方法は、鉄筋コンクリート部材7から切り出したコンクリートの試料に蛍光X線分析装置によりX線を照射された際に放出される特性X線を利用して、試料に含まれている元素を定性定量分析し、鉄筋コンクリート部材7に対して施すべき対策を判断する手法である。この蛍光X線元素分析による検査方法に基づいて検査部8により検出した検査データは、蛍光X線分析装置により分析された元素分析結果や特性X線強度スペクトルの画像等で構成される。図23に示す例では、参照用入力パラメータにおいては、定量分析結果のデータを予め学習させることとなる。もちろん、参照用入力パラメータにおいては、特性X線強度スペクトルの画像のデータを予め学習させてもよい。
データベース3(第1連関データベース31)には、参照用入力パラメータとしての蛍光X線元素分析による検査方法に基づいて分析した分析結果g1、g2、・・・と、出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果との間での3段階以上の第1連関度を予め記憶させておく。図23の例によれば、参照用入力パラメータが分析結果g1である場合に、「断面修復工法」が第1連関度80%、「脱塩工法」が第1連関度40%、「表面含浸工法」が第1連関度60%、「増厚工法」が第1連関度30%、「リチウム含浸工法」が第1連関度20%で設定されている。また参照用入力パラメータが分析結果g2である場合に、「脱塩工法」が第1連関度90%、「電気防食工法」が第1連関度70%、「表面被覆工法」が第1連関度20%、「表面含浸工法」が第1連関度50%、「リチウム含浸工法」が第1連関度10%で設定されている。
これらの第1連関度は、以前に蛍光X線元素分析による検査方法に基づいて検査を行った際の分析結果g1、g2、・・・と、その判別結果としての対策をデータベース3(第1連関データベース31)内に予め蓄積しておき、それらに基づいて設定するようにしてもよい。この第1連関度は、いわゆるニューラルネットワークにより構成されていてもよい。この第1連関度は、蛍光X線元素分析による検査を行った際の分析結果のデータに基づいて、実際の鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する上での的確性を示すものである。例えば分析結果g1に対しては、第1連関度80%の「断面修復工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度60%の「表面含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度40%の「脱塩工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度30%の「増厚工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「リチウム含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになる。同様に分析結果g2に対しては、第1連関度90%の「脱塩工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度70%の「電気防食工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度50%の「表面含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「表面被覆工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度10%の「リチウム含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになる。
ステップS13に移行後、判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する作業を行う。この鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する上で予め取得した図23に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータの分析結果g1が、参照用入力パラメータとしての分析結果g1か、又はこれに近似するものである場合には、上述した第1連関度を参照した場合、第1連関度の最も高い「断面修復工法」を最適解として選択する。但し、最も第1連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、第1連関度は低いものの連関性そのものは認められる「表面含浸工法」、「脱塩工法」、「増厚工法」「リチウム含浸工法」を最適解として選択するようにしてもよい。鉄筋コンクリート部材7への対策の選択は、ケースに応じて第1連関度が低いものから順に選択されるものであってもよいし、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
このようにして、ステップS12において解析した入力パラメータを参照用入力パラメータに割り当てた後、当該参照用入力パラメータに設定された第1連関度に基づいて出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策を選択することになる。
図24は、蛍光X線元素分析による検査方法による過去の検査の検査データとしての分析結果g1、g2、・・と部材情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する鉄筋コンクリート部材7への対策との3段階以上の第1連関度が設定されている例を示している。ちなみに、この図24の例では、部材情報に、断面情報が含まれる場合を挙げているが、設置情報、管理情報、写真情報が含まれていてもよい。
かかる場合において、第1連関度は、図24に示すように、検査データとしての分析結果g1、g2、・・・と、部材情報との組み合わせの集合がいわゆる隠れ層のノード61a〜61eとして表現されることとなる。各ノード61a〜61eは、参照用入力パラメータに対する重み付けと、出力解に対する重み付けがそれぞれ設定されている。この重み付けが3段階以上の第1連関度である。例えば、ノード61aは、分析結果g1が第1連関度80%、また断面情報としてのかぶり厚「100mm〜150mm」が第1連関度80%で連関している。またノード61cは、分析結果g2が第1連関度60%、断面情報としての断面寸法「1000mm×1000mm」が第1連関度60%、設置情報としてのかぶり厚「200mm〜250mm」が第1連関度40%で連関している。
このような第1連関度が設定されている場合も同様に、ステップS13へ移行した場合には、ステップS12において抽出した入力パラメータとしての検査の検査データとしての分析結果のデータと、設置情報の第1連関度に応じた出力解を探索する。判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、出力解の中から最適解を1又は2以上に亘り選択する作業を行う。この最適解を選択する上で、予め取得した図24に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータにおいて、分析結果g1であり、かつ断面情報としての断面寸法「2000mm×500mm」である場合、第1連関度を介してノード61bが関連付けられており、このノード61bは、「脱塩工法」が第1連関度60%、「表面被覆工法」が第1連関度40%、「増厚工法」が第1連関度20%で関連付けられている。
酢酸ウラニル蛍光法による検査
図25は、このデータベース3(第1連関データベース31)において予め取得した第1連関度の例を示している。この図25の例では、検査部8における検査方法として、酢酸ウラニル蛍光法による検査方法を利用する。この酢酸ウラニル蛍光法による検査方法は、鉄筋コンクリート部材7に酢酸ウラニル溶液を塗布し、紫外線を照射することにより、鉄筋コンクリート部材7に対して施すべき対策を判断する手法である。この酢酸ウラニル蛍光法による検査方法に基づいて検査部8により検出した検査データは、紫外線を照射した際の画像等で構成される。このため、参照用入力パラメータにおいては、これら画像のデータを予め学習させることとなる。
データベース3(第1連関データベース31)には、参照用入力パラメータとしての酢酸ウラニル蛍光法による検査方法に基づいて撮像された画像r1、r2、・・・と、出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果との間での3段階以上の第1連関度を予め記憶させておく。図25の例によれば、参照用入力パラメータが画像r1である場合に、「断面修復工法」が第1連関度80%、「脱塩工法」が第1連関度40%、「表面含浸工法」が第1連関度60%、「増厚工法」が第1連関度30%、「リチウム含浸工法」が第1連関度20%で設定されている。また参照用入力パラメータが画像r2である場合に、「脱塩工法」が第1連関度90%、「電気防食工法」が第1連関度70%、「表面被覆工法」が第1連関度20%、「表面含浸工法」が第1連関度50%、「リチウム含浸工法」が第1連関度10%で設定されている。
これらの第1連関度は、以前に酢酸ウラニル蛍光法による検査方法に基づいて検査を行った際の画像r1、r2、・・・と、その判別結果としての対策をデータベース3(第1連関データベース31)内に予め蓄積しておき、それらに基づいて設定するようにしてもよい。この第1連関度は、いわゆるニューラルネットワークにより構成されていてもよい。この第1連関度は、酢酸ウラニル蛍光法による検査を行った際の画像に基づいて、実際の鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する上での的確性を示すものである。例えば画像r1に対しては、第1連関度80%の「断面修復工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度60%の「表面含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度40%の「脱塩工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度30%の「増厚工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「リチウム含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになる。同様に画像r2に対しては、第1連関度90%の「脱塩工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度70%の「電気防食工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度50%の「表面含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「表面被覆工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度10%の「リチウム含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになる。
ステップS13に移行後、判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する作業を行う。この鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する上で予め取得した図25に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータの画像r1が、参照用入力パラメータとしての画像r1か、又はこれに近似するものである場合には、上述した第1連関度を参照した場合、第1連関度の最も高い「断面修復工法」を最適解として選択する。但し、最も第1連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、第1連関度は低いものの連関性そのものは認められる「表面含浸工法」、「脱塩工法」、「増厚工法」「リチウム含浸工法」を最適解として選択するようにしてもよい。鉄筋コンクリート部材7への対策の選択は、ケースに応じて第1連関度が低いものから順に選択されるものであってもよいし、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
また、ステップS12において解析した入力パラメータが、参照用入力パラメータとしての画像r2にも一部類似しているが、画像r3にも一部類似し、何れに割り当ててよいか分からない場合については、例えば、ディープラーニングを通じて画像上の特徴量に基づき判断するようにしてもよい。
このようにして、ステップS12において解析した入力パラメータを参照用入力パラメータに割り当てた後、当該参照用入力パラメータに設定された第1連関度に基づいて出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策を選択することになる。
図26は、酢酸ウラニル蛍光法による過去の検査の検査データとしての画像r1、r2、・・と、部材情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する鉄筋コンクリート部材7への対策との3段階以上の第1連関度が設定されている例を示している。ちなみに、この図26の例では、部材情報に、管理情報が含まれる場合を挙げているが、設置情報、断面情報、写真情報が含まれていてもよい。
かかる場合において、第1連関度は、図26に示すように、検査データとしての画像r1、r2、・・・と、鉄筋コンクリート部材7の部材情報との組み合わせの集合がいわゆる隠れ層のノード61a〜61eとして表現されることとなる。各ノード61a〜61eは、参照用入力パラメータに対する重み付けと、出力解に対する重み付けがそれぞれ設定されている。この重み付けが3段階以上の第1連関度である。例えば、ノード61aは、画像r1が第1連関度80%で、また管理情報としての点検頻度「1回/5年」が第1連関度80%で連関している。またノード61cは、画像r2が第1連関度60%で、管理情報としての供用期間「10年」が第1連関度60%で、管理情報としての点検頻度「1回/1年」が第1連関度40%で連関している。
このような第1連関度が設定されている場合も同様に、ステップS13へ移行した場合には、ステップS12において抽出した入力パラメータとしての検査の検査データとしての画像と、管理情報の第1連関度に応じた出力解を探索する。判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、出力解の中から最適解を1又は2以上に亘り選択する作業を行う。この最適解を選択する上で、予め取得した図26に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータにおいて、画像r1であり、かつ管理情報としての供用期間「5年」である場合、第1連関度を介してノード61bが関連付けられており、このノード61bは、「脱塩工法」が第1連関度60%で、「表面被覆工法」が第1連関度40%で、「増厚工法」が第1連関度20%で関連付けられている。
偏光顕微鏡による検査
図27は、このデータベース3(第1連関データベース31)において予め取得した第1連関度の例を示している。この図27の例では、検査部8における検査方法として、偏光顕微鏡による検査方法を利用する。この偏光顕微鏡による検査方法は、鉄筋コンクリート部材7から切り出した試料を偏光顕微鏡により撮像することにより、鉄筋コンクリート部材7に対して施すべき対策を判断する手法である。この偏光顕微鏡による検査方法に基づいて検査部8により検出した検査データは、偏光顕微鏡により撮像された画像や偏光顕微鏡により分析された成分分析結果のデータ等で構成される。図27に示す例では、参照用入力パラメータにおいては、これら画像のデータを予め学習させることとなる。もちろん、参照用入力パラメータにおいては、成分分析結果のデータを予め学習させてもよい。
データベース3(第1連関データベース31)には、参照用入力パラメータとしての偏光顕微鏡による検査方法に基づいて撮像した画像r1、r2、・・・と、出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果との間での3段階以上の第1連関度を予め記憶させておく。図27の例によれば、参照用入力パラメータが画像r1である場合に、「断面修復工法」が第1連関度80%、「脱塩工法」が第1連関度40%、「表面含浸工法」が第1連関度60%、「増厚工法」が第1連関度30%、「リチウム含浸工法」が第1連関度20%で設定されている。また参照用入力パラメータが画像r2である場合に、「脱塩工法」が第1連関度90%、「電気防食工法」が第1連関度70%、「表面被覆工法」が第1連関度20%、「表面含浸工法」が第1連関度50%、「リチウム含浸工法」が第1連関度10%で設定されている。
これらの第1連関度は、以前に偏光顕微鏡による検査方法に基づいて検査を行った際の画像r1、r2、・・・と、その判別結果としての対策をデータベース3(第1連関データベース31)内に予め蓄積しておき、それらに基づいて設定するようにしてもよい。この第1連関度は、いわゆるニューラルネットワークにより構成されていてもよい。この第1連関度は、偏光顕微鏡による検査を行った際の画像に基づいて、実際の鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する上での的確性を示すものである。例えば画像r1に対しては、第1連関度80%の「断面修復工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度60%の「表面含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度40%の「脱塩工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度30%の「増厚工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「リチウム含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになる。同様に画像r2に対しては、第1連関度90%の「脱塩工法」が最も的確な判断に近く、第1連関度70%の「電気防食工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度50%の「表面含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度20%の「表面被覆工法」がこれに続く的確な判断ということになり、第1連関度10%の「リチウム含浸工法」がこれに続く的確な判断ということになる。
ステップS13に移行後、判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する作業を行う。この鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する上で予め取得した図27に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータの画像r1が、参照用入力パラメータとしての画像r1か、又はこれに近似するものである場合には、上述した第1連関度を参照した場合、第1連関度の最も高い「断面修復工法」を最適解として選択する。但し、最も第1連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、第1連関度は低いものの連関性そのものは認められる「表面含浸工法」、「脱塩工法」、「増厚工法」「リチウム含浸工法」を最適解として選択するようにしてもよい。鉄筋コンクリート部材7への対策の選択は、ケースに応じて第1連関度が低いものから順に選択されるものであってもよいし、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
また、ステップS12において解析した入力パラメータが、参照用入力パラメータとしての画像r2にも一部類似しているが、画像r3にも一部類似し、何れに割り当ててよいか分からない場合については、例えば、ディープラーニングを通じて画像上の特徴量に基づき判断するようにしてもよい。
このようにして、ステップS12において解析した入力パラメータを参照用入力パラメータに割り当てた後、当該参照用入力パラメータに設定された第1連関度に基づいて出力解としての鉄筋コンクリート部材7への対策を選択することになる。
図28は、偏光顕微鏡による検査方法による過去の検査の検査データとしての画像r1、r2、・・と、部材情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する鉄筋コンクリート部材7への対策との3段階以上の第1連関度が設定されている例を示している。ちなみに、この図28の例では、部材情報に、設置情報と、管理情報とが含まれる場合を挙げているが、断面情報、写真情報が含まれていてもよい。
かかる場合において、第1連関度は、図28に示すように、検査データとしての画像r1、r2、・・・と、部材情報との組み合わせの集合がいわゆる隠れ層のノード61a〜61eとして表現されることとなる。各ノード61a〜61eは、参照用入力パラメータに対する重み付けと、出力解に対する重み付けがそれぞれ設定されている。この重み付けが3段階以上の第1連関度である。例えば、ノード61aは、画像r1が第1連関度80%で、また管理情報としての補修履歴「補修あり」が第1連関度80%で連関している。またノード61cは、画像r2が第1連関度60%で、設置情報としての場所情報「飛沫帯」が第1連関度60%で、管理情報としての補修履歴「補修なし」が第1連関度40%で連関している。
このような第1連関度が設定されている場合も同様に、ステップS13へ移行した場合には、ステップS12において抽出した入力パラメータとしての検査の検査データとしての画像と、設置情報や管理情報の第1連関度に応じた出力解を探索する。判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、出力解の中から最適解を1又は2以上に亘り選択する作業を行う。この最適解を選択する上で、予め取得した図28に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータにおいて、画像r1であり、かつ設置情報としての場所情報「干満帯」である場合、第1連関度を介してノード61bが関連付けられており、このノード61bは、「脱塩工法」が第1連関度60%で、「表面被覆工法」が第1連関度40%で、「増厚工法」が第1連関度20%で関連付けられている。
また上述した実施の形態においては、検査方法として、各種例にとり説明をしたが、これに限定されるものではなく、他のいかなる検査方法に代替されるものであってもよいことは勿論である。
何れの検査方法においても、ユーザは、出力された判別結果に基づいて、鉄筋コンクリート部材7への対策を把握することができる。
特に本発明によれば、鉄筋コンクリート部材7への対策の把握を、特段の熟練を要することなく容易に行うことが可能となる。また本発明によれば、鉄筋コンクリート部材7への対策の把握をより高精度に行うことが可能となる。更に、上述した第1連関度を人工知能で構成することにより、これを学習させることでその判別精度を更に向上させることが可能となる。
また、本発明によれば、第1連関データベース31には検査データに対して対策が第1連関度で関連付けられている。即ち、本発明によれば、鉄筋コンクリート部材7の劣化の要因を特段特定することなく、検査を行うことにより得られた検査データを第1連関データベース31に記憶されている第1連関度に関連付けられる検査データに割り当て、その割り当てられた検査データに設定された第1連関度に基づいて、鉄筋コンクリート部材への対策を判別する。これにより、第1連関データベース31に、鉄筋コンクリート部材7の劣化の要因を学習させる必要がないため、第1連関データベース31に必要な容量を低減することが可能となる。
また、本発明によれば、3段階以上に設定されている第1連関度を介して最適な鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果の探索を行う点に特徴がある。第1連関度は、例えば0〜100%までの数値で記述することができるが、これに限定されるものではなく3段階以上の数値で記述できるものであればいかなる段階で構成されていてもよい。
このような3段階以上の数値で表される第1連関度に基づいて探索することで、複数の鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果が選ばれる状況下において、当該第1連関度の高い順に探索して表示することも可能となる。このように第1連関度の高い順にユーザに表示できれば、より可能性の高い鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果を優先的に選択することを促すこともできる。一方、第1連関度の低い鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果であってもセカンドオピニオンという意味で表示することができ、ファーストオピニオンで上手く分析ができない場合において有用性を発揮することができる。
これに加えて、本発明によれば、第1連関度が1%のような極めて低い鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果も見逃すことなく判断することができる。第1連関度が極めて低い鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果であっても僅かな兆候として繋がっているものであり、何十回、何百回に一度は、鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果として役に立つ場合もあることをユーザに対して注意喚起することができる。
更に本発明によれば、このような3段階以上の第1連関度に基づいて探索を行うことにより、閾値の設定の仕方で、探索方針を決めることができるメリットがある。閾値を低くすれば、上述した第1連関度が1%のものであっても漏れなく拾うことができる反面、鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果を好適に検出できる可能性が低く、ノイズを沢山拾ってしまう場合もある。一方、閾値を高くすれば、最適な鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果を高確率で検出できる可能性が高い反面、通常は第1連関度は低くてスルーされるものの何十回、何百回に一度は出てくる好適な解を見落としてしまう場合もある。いずれに重きを置くかは、ユーザ側、システム側の考え方に基づいて決めることが可能となるが、このような重点を置くポイントを選ぶ自由度を高くすることが可能となる。
更に本発明では、上述した第1連関度を更新させるようにしてもよい。この更新は、例えばインターネットを始めとした公衆通信網を介して提供された情報を反映させるようにしてもよい。公衆通信網から取得可能なサイト情報や書き込み等を通じて、入力パラメータ(検査データ)と、出力解(鉄筋コンクリート部材7への対策の判別結果)との関係性について新たな知見が発見された場合には、当該知見に応じて第1連関度を上昇させ、或いは下降させる。
この第1連関度の更新は、公衆通信網から取得可能な情報に基づく場合以外に、専門家による研究データや論文、学会発表や、新聞記事、書籍等の内容に基づいてシステム側又はユーザ側が人為的に、又は自動的に更新するようにしてもよい。これらの更新処理においては人工知能を活用するようにしてもよい。
なお、本発明では2種以上の検査方法を組み合わせて鉄筋コンクリート部材7への対策を判別するようにしてもよい。
図29は、塩化物イオン量に関する検査方法とEPMAによる検査方法という互いに異なる2つの検査方法を組み合わせて鉄筋コンクリート部材7への対策を判別する例を示している。
即ち、塩化物イオン量に関する検査方法による過去の検査の検査データとしての塩化物イオン量のデータとEPMAによる検査方法に基づいて検査を行った際の画像r1、r2、・・・との組み合わせと、当該組み合わせに対する鉄筋コンクリート部材7への対策との3段階以上の第1連関度が設定されている例を示している。
かかる場合において、第1連関度は、図29に示すように、検査データとしての塩化物イオン量のデータとEPMAによる検査方法による検査データとしての画像r1、r2、・・・の組み合わせの集合がいわゆる隠れ層のノード61a〜61eとして表現されることとなる。各ノード61a〜61eは、参照用入力パラメータに対する重み付けと、出力解に対する重み付けがそれぞれ設定されている。この重み付けが3段階以上の第1連関度である。例えば、ノード61aは、塩化物イオン量「2.0kg/m3」が第1連関度80%、また画像r3が第1連関度80%で連関している。またノード61dは、塩化物イオン量「0.1kg/m3」が第1連関度30%で、画像r4が第1連関度90%で連関している。
このような第1連関度が設定されている場合も同様に、ステップS13へ移行した場合には、ステップS12において抽出した入力パラメータとしての検査の検査データとしての塩化物イオン量のデータと画像r1、r2、・・・が入力される。判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、出力解の中から最適解を1又は2以上に亘り選択する作業を行う。この最適解を選択する上で、予め取得した図29に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータにおいて、塩化物イオン量「2.0kg/m3」であり、かつ画像r1である場合、第1連関度を介してノード61bが関連付けられており、このノード61bは、「脱塩工法」が第1連関度60%、「表面被覆工法」が第1連関度40%、「増厚工法」が第1連関度20%で関連付けられている。これらを出力解として出すことが可能となる。
なお、参照用入力パラメータの種類としては、これらの塩化物イオン量に関する検査方法とEPMAによる検査方法との組み合わせに限定されるものではない。ひび割れに関する検査、自然電位法による検査、分極抵抗法による検査、振動計測による検査、中性化深さに関する検査、X線回折法による検査、走査型電子顕微鏡による検査、蛍光X線元素分析による検査、酢酸ウラニル蛍光法による検査、偏光顕微鏡による検査等のうち何れか2種以上の検査方法の検査データの組み合わせで第1連関度を構成するようにしてもよい。換言すれば図29の第1連関度は、塩化物イオン量に関する検査方法とEPMAによる検査方法との組み合わせの代替として、ひび割れに関する検査、自然電位法による検査、分極抵抗法による検査、振動計測による検査、中性化深さに関する検査、X線回折法による検査、走査型電子顕微鏡による検査、蛍光X線元素分析による検査、酢酸ウラニル蛍光法による検査、偏光顕微鏡による検査等のうち何れか2種以上の検査データの組み合わせで設定されるものとなる。
2種以上の検査方法の組み合わせに基づいて最適解を探索することにより、その探索精度の向上を図ることが可能となる。
図30は、塩化物イオン量に関する検査方法による過去の検査の検査データとしての塩化物イオン量のデータとEPMAによる検査方法に基づいて検査を行った際の画像r1、r2、・・・と部材情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する鉄筋コンクリート部材7への対策との3段階以上の第1連関度が設定されている例を示している。ちなみに、この図30の例では、部材情報に、設置情報が含まれる場合を挙げているが、断面情報、管理情報、写真情報が含まれていてもよい。
かかる場合において、第1連関度は、図30に示すように、検査データとしての塩化物イオン量のデータと、画像r1、r2、・・・と、部材情報との組み合わせの集合がいわゆる隠れ層のノード61a〜61eとして表現されることとなる。各ノード61a〜61eは、参照用入力パラメータに対する重み付けと、出力解に対する重み付けがそれぞれ設定されている。この重み付けが3段階以上の第1連関度である。例えば、ノード61bは、塩化物イオン量「2.0kg/m3」が第1連関度40%、画像r1が第1連関度50%、また設置情報としての場所情報「干満帯」が第1連関度40%で連関している。またノード61cは、塩化物イオン量「1.0kg/m3」が第1連関度60%、画像r2が第1連関度60%で、設置情報としての場所情報「飛沫帯」が第1連関度40%で連関している。
このような第1連関度が設定されている場合も同様に、ステップS13へ移行した場合には、ステップS12において抽出した入力パラメータとしての検査の検査データとしての塩化物イオン量のデータと、画像と、設置情報の第1連関度に応じた出力解を探索する。判別プログラムは、ステップS12において解析した入力パラメータに基づいて、出力解の中から最適解を1又は2以上に亘り選択する作業を行う。この最適解を選択する上で、予め取得した図30に示す第1連関度を参照する。例えば、ステップS12において解析した入力パラメータにおいて、塩化物イオン量「2.0kg/m3」であり、画像r1であり、かつ設置情報としての場所情報「干満帯」である場合、第1連関度を介してノード61bが関連付けられており、このノード61bは、「脱塩工法」が第1連関度60%で、「表面被覆工法」が第1連関度40%で、「増厚工法」が第1連関度20%で関連付けられている。
2種以上の検査方法と部材情報との組み合わせに基づいて最適解を探索することにより、一層その探索精度の向上を図ることが可能となる。
本発明に係る鉄筋コンクリート部材の判別システムは、鉄筋コンクリート部材に対する過去の検査データと、当該検査データに対する鉄筋コンクリート部材への対策の判別結果との3段階以上の第1連関度が予め記憶されている第1連関データベースと、新たに対策を判別する鉄筋コンクリート部材に対して検査を行うことにより得られた検査データが入力される入力手段と、上記第1連関データベースに記憶されている第1連関度を参照し、上記入力手段を介して入力された検査データに基づいて、鉄筋コンクリート部材への対策を判別する判別手段とを備え、上記第1連関データベースは、ひび割れに関する検査、自然電位法による検査、分極抵抗法による検査、振動計測による検査、塩化物イオン量に関する検査、中性化深さに関する検査、X線回折法による検査、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)による検査、走査型電子顕微鏡による検査、蛍光X線元素分析による検査、酢酸ウラニル蛍光法による検査、及び偏光顕微鏡検査による検査の何れか2種以上の過去の検査データの組み合わせと、当該組み合わせに対する鉄筋コンクリート部材への対策の判別結果との3段階以上の第1連関度が予め記憶され、上記入力手段は、新たに対策を判別する鉄筋コンクリート部材に対して上記組み合わせを構成する何れか2種以上の上記検査を行うことにより得られた検査データが入力されることを特徴とする。
本発明に係る鉄筋コンクリート部材の判別プログラムは鉄筋コンクリート部材に対する過去の検査データと、当該検査データに対する鉄筋コンクリート部材への対策の判別結果との3段階以上の第1連関度を予め取得する第1連関度取得ステップと、新たに対策を判別する鉄筋コンクリート部材に対して検査を行うことにより得られた検査データを入力する第1入力ステップと、上記第1連関度取得ステップにおいて取得した第1連関度を参照し、上記第1入力ステップにおいて入力した検査データに基づいて、鉄筋コンクリート部材への対策を判別する第1判別ステップとをコンピューターに実行させ、上記第1連関度取得ステップでは、ひび割れに関する検査、自然電位法による検査、分極抵抗法による検査、振動計測による検査、塩化物イオン量に関する検査、中性化深さに関する検査、X線回折法による検査、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)による検査、走査型電子顕微鏡による検査、蛍光X線元素分析による検査、酢酸ウラニル蛍光法による検査、及び偏光顕微鏡検査による検査の何れか2種以上の過去の検査データの組み合わせと、当該組み合わせに対する鉄筋コンクリート部材への対策の判別結果との3段階以上の第1連関度を予め取得し、上記第1入力ステップでは、新たに対策を判別する鉄筋コンクリート部材に対して上記組み合わせを構成する何れか2種以上の上記検査を行うことにより得られた検査データを入力することを特徴とする。