JP2019145452A - 冷陰極構造及びこれを有するx線発生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エミッタで電子を効率よく発生させ、かつ発生した電子をターゲットに的確に到達させることができる冷陰極構造を提供することにある。【解決手段】高真空状態に密封された容器内に設けた冷陰極27と、冷陰極27の冷陰極本体27aに挿着され、ターゲットに向けて電子を放出するエミッタ28とを有する電界放出型の冷陰極構造であって、エミッタ28は、ターゲットに向けて凸状に形成されている凸状面を有し、エミッタ28の先端と冷陰極本体27aの先端との差が±0.5mm望ましくは±0.2mmの範囲内である構成となる。【選択図】図8
Description
本発明は、密封された容器内に設けた冷陰極と、該冷陰極に挿着され、ターゲットに向けて電子を放出するエミッタとを有する電界放出型の冷陰極構造及びこれを有するX線発生装置に関する。
X線発生装置における電子発生方法として、フィラメントを加熱して熱電子を発生させる熱陰極式が知られているが、高出力の熱源が必要であることから装置の大型化と高コスト化を招き、さらに陰極が高温となることから周辺の耐熱措置も必要となる。そのため、加熱用の電源を必要としない、常温において電子放出が可能な電界放出型の冷陰極式の電子線放射装置が提案されている(特許文献1)。
特許文献1に記載の冷陰極式の装置によれば、給電体であるカソードに嵌めこんだガード電極で囲まれる内側でガード電極よりも引っ込んだ位置に炭素膜を形成した凹面形状の電子放出部が設けられているので、電子放出面での電界強度は弱められ、大電流が流れるのを防止することができる。また、凹面形状とした電子放出面の焦点位置にターゲットを設けることで、電子を効率よくターゲットに照射することができる。
しかしながら、上記冷陰極の電子線放射装置では、ガード電極よりも引っ込んだ位置に炭素膜を形成した凹面形状の電子放出部が設けられているので、総電子量(電流)は電界遮蔽により、低下し所定値になるが、電子放出部表面への電界分布が凹面形状の中心部で弱く周端近傍で強いため、極端に言えばリング形状の電子ビームになる可能性がある。従ってX線発生は大変効率が悪くなる。
本発明は、エミッタで電子を効率よく集中して発生させ、かつ発生した電子をターゲットに的確に到達させることができる冷陰極構造及びこの冷陰極構造を有するX線発生装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る冷陰極構造は、密封された容器内に設けた冷陰極と、該冷陰極に挿着され、ターゲットに向けて電子を放出するエミッタとを有する電界放出型の冷陰極構造であって、前記エミッタは、前記ターゲットに向けて凸状に形成されている凸状面を有する構成である。
このような構成によれば、電界放出型の冷陰極構造におけるエミッタのターゲットに向けた面が、凸形状に形成されているので、エミッタの中心付近に電界が集中するため、ターゲットへ向けた電子放出量が確保でき、ガード電極との幾何学的形状関係から放出電子の拡散が制限され、帯状に集中した電子ビームとなりうるので、ターゲットで発生するX線の線量も維持することができる。なお、エミッタのターゲットに向けた面が凸形状であればよく、例えば、エミッタの断面は円形状でも、半円形状であってもよい。
本発明に係る冷陰極構造において、前記エミッタの凸状面の先端と、前記冷陰極のターゲットに向けた先端との差は、所定範囲内である構成とすることができる。
このような構成によれば、エミッタの凸状面の先端と、冷陰極のターゲットに向けた先端との差が所定範囲内とすることで、エミッタから放出された電子をターゲットに効率よく向けることができる。エミッタの凸状面の先端が、冷陰極の先端より所定以上突出すると電子の拡散によりターゲットからそれた電子が増加し、冷陰極の先端より内部に入り込み過ぎると、電子の拡散は防止できるものの、電界強度が低下して放出電子が所定量より低下する。そのため、エミッタのターゲット側の先端と冷陰極のターゲット側の先端とが同一面であるか、又はエミッタの先端と冷陰極の先端との差が、ターゲットへの放出電子の量が所定量維持できる程度の所定範囲内とするものである。
本発明に係る冷陰極構造において、前記所定範囲は、±0.5mm望ましくは±0.2mmである構成とすることができる。
このような構成によれば、所定範囲を、±0.5mm望ましくは±0.2mmとすることで、無駄な拡散を防止し、且つターゲットへの放出電子の量を所定量に維持することができる。上記したように、±0.5mm望ましくは±0.2mmの所定範囲を超えると、ターゲットに到達する電子が減少し、十分なX線量を発生させることができないからである。
本発明に係る冷陰極構造において、前記冷陰極は長手方向に形成された溝部を有する棒状部材から成り、前記エミッタは断面が円形状の軸部材から成り、前記溝部に挿着される構成とすることができる。
このような構成によれば、冷陰極の溝部に挿着されたエミッタは、断面が円形状の軸部材であるから、楕円形状に電子が放出されるので、横長のターゲット全体に電子を放出することができる。
本発明に係る冷陰極構造において、前記エミッタは、電界電子放出に適したナノ構造をもつ炭素系材料から成る構成とすることができる。
このような構成によれば、エミッタを電界電子放出に適したナノ構造をもつ炭素系材料とすることで、加熱することなく、高電圧による電界を加えることで電子を放出することができるので、電界放出型の冷陰極構造に好適である。炭素系材料としては、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノ構造体、CCNS等が含まれる。
本発明に係るX線発生装置は、上記記載の冷陰極構造を有し、前記エミッタから放出された電子の衝突により前記ターゲットからX線を発生する構成である。
このような構成によれば、上記記載の冷陰極構造を有するX線発生装置であるから、発生した電子を効率よくターゲットに放出するので、十分な線量のX線を発生させることができる。
本発明に係るX線発生装置において、前記密封された容器内は、高真空の状態の真空度に設定されている構成とすることができる。
このような構成によれば、密封された容器内を高真空とすることで、効率よく電子を放出させ、十分な線量のX線を発生させることができる。
本発明の冷陰極構造によれば、エミッタのターゲットに向けた面が、凸形状に形成されているので、エミッタの中心付近での電界強度が強く、ターゲットへ向けた電子放出量が多くなり、ターゲットから所定量のX線を発生させうることができる。また、エミッタの凸状面の先端と、冷陰極のターゲットに向けた先端との差が所定範囲内であるので、エミッタから放出された電子をターゲットに効率よく向けることができる。さらに、本発明の上記冷陰極構造を用いたX線発生装置によれば。エミッタから発生した電子を効率よくターゲットに放出するので、ターゲットから所定量のX線を発生させることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
本発明の実施の一形態に係るX線発生装置は、図1乃至図6に示す構造となっている。図1は本発明の実施の形態に係るX線発生装置の斜視図、図2は図1に示すX線発生装置の平面図、図3は図1に示すX線発生装置の底面図、図4は図2のA−A断面図、図5は上記X線発生装置の分解斜視図、図6は図5の一部組み立て斜視図である。以下、図1乃至図6を参照して説明する。
本実施形態に係るX線発生装置11は、直方体形状の容器である真空容器12と、円筒形状の絶縁体13と、真空容器12から真空排気するための円筒部材である排気パイプ15と、絶縁体13と排気パイプ15とを接続する中間部材16を有する。排気パイプ15は、上記した容器12内を真空排気するための筒状部材としての他、後述するように、その先端に取り付ける本発明の実施形態に係る冷陰極構造の電子放出部を構成する冷陰極27及びエミッタ28へのマイナス高電圧の印加口としての役割をも有するものである。なお、後述するように、排気パイプ15は真空容器12の内部を真空排気後に先端を封止される。
真空容器12は、天部が開口となっている容器本体12aと、容器本体12aの天部を塞ぐ方形状の板部材である蓋部12bとを有する。真空容器12は、容器本体12a及び蓋部12bともステンレス鋼(例えば、SUS304)から成る金属容器である。ステンレス鋼以外では、例えば、融点が1000°C以上で脱ガスの少ない金属が好ましく、例えば銅、チタン、鉄、ニッケル及び耐熱合金等が該当する。真空容器12は、内部を真空状態として使用するものであり、高温度(1000℃程度)でも脱ガスの少ない金属が使用され、さらに電子の放出に高電圧を印加すること、溶接で組み立てることから融点が高いものが好ましい。容器本体12aと蓋部12bとは溶接等による組み立てで一体化されている。
容器本体12aの底部12a1は長方形状で、その中心部には底部の12a1の長手方向を長辺とする、長方形状の開口部12a2が形成されている。開口部12a2には、ベリリウムから成るベリリウム窓と称されるX線透過窓21が、容器本体12aの内部側からろう接されている。これにより開口部12a2はX線透過窓21により封止されている。さらに、X線透過窓21の容器本体12a側には、電子の衝突によりX線を発生するタングステンから成るターゲット22がコーティングされている。ターゲット22は、X線透過窓21の長手方向を長辺とする長方形状である。後述するように、本発明の実施形態に係る冷陰極構造に含まれるエミッタ28から放出された電子がターゲット22に衝突してX線が生じることになる。発生したX線はX線透過窓21を透過して外部へ放出される。発生したX線は、例えば、除電気等による除電に使用される。このように、X線透過窓21は、X線の透過性が良好かつ高融点であることが求められ、ベリリウムが好適な材質として使用される。また、ターゲット22については、電子の衝突によりX線を発生し、かつ高融点であることが求められることから、タングステンを好適な材質とする。
真空容器12の蓋部12bには、円形状の開口部12b1が形成されている。この開口部12b1の容器12内側周囲に、周壁を有する円板状の部材で、中心部に開口(排気パイプ15貫通用の開口)を有する中間部材25が周壁の先端をろう接されている。そして、絶縁体13が一端を中間部材25の底部に載置するようにして開口部12b1に挿着され、絶縁体13と蓋部12b及び中間部材25とがろう接されている。中間部材25は、コバールを材質としている。
円筒形状の絶縁体13は、排気パイプ15が先端を容器12の内部に突出させて貫通した状態となるように、絶縁体13と排気パイプ15とが中間部材16を介してろう接されている。例えば、絶縁体13はアルミナ、排気パイプ15は無酸素銅、中間部材16はコバールをそれぞれ材質としている。排気パイプ15の容器12内部側の先端には、本実施形態に係る冷陰極構造を構成する冷陰極27及びエミッタ28が設けられている。
冷陰極27は、棒状のステンレス鋼(例えば、SUS304)で、その長手方向を水平状態にしてその中央部が、絶縁体13を貫通した排気パイプ15の先端とろう接されている。このとき、絶縁体13の容器12内側に挿入した部分は、中間部材25により覆われているので、容器12の内部への絶縁体の露出が抑えられている。冷陰極27にはその長手方向に沿って溝部が形成されており、当該溝部には、電界電子放出に適したナノ構造をもつ炭素系材料から成る棒状のエミッタ28がX線透過窓21と対向する位置となるように、溶接により挿着されている。また、冷陰極27の両端には、ステンレス製の蓋部(SUSキャップ)31a、31bがそれぞれ溶接により装着されている。蓋部31a、31bは、冷陰極27及びエミッタ28の両端面における電界集中緩和のためのキャップである。エミッタ28は、後述する電圧の印加により生じる電界の作用によって、電子を発生する電界放出型のもので、炭素系材料である、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノ構造体、CCNS等で形成されている。
冷陰極27とエミッタ28とを有する、本実施形態の冷陰極構造の詳細について、図7、図8を参照して説明する。図7は本発明の実施の形態に係る冷陰極構造の斜視図、図8は図7の冷陰極構造を上下逆にした斜視図である。
冷陰極27は、棒状の冷陰極本体27aと、冷陰極本体27aの中央部を嵌め込んで装着する冷陰極基部27bとを有する。冷陰極基部27bは、円筒状の部材であり、その一端に切欠きを設け、冷陰極本体27aの中央部を嵌め込んで装着している。冷陰極本体27aの長手方向には、一方の先端から他方の先端まで断面U字形状の溝部27a1が形成されている。冷陰極本体27aを冷陰極基部27bに嵌め込んだときに、冷陰極基部27bとは反対の側に溝部27a1が位置するようになる。溝部27a1には、断面が円形の軸部材であるエミッタ28が溶接等により挿着される。このとき、冷陰極本体27aの溝部27aに挿着されたエミッタ28のターゲット側の先端と、冷陰極本体27aのターゲット側の先端27a2とが略同一面となっている。このように冷陰極本体27aの先端とエミッタ28の先端とを略同一面とすることで、ターゲット22から外れる電子を抑えることができ、ターゲット22に電子を的確に衝突させ、ターゲットから効率よくX線を発生させることができる。
冷陰極本体27aの先端とエミッタ28の先端とを略同一面としたときの、エミッタ28から電子をターゲット22に放出するときの概略について図9を参照して説明する。図9は冷陰極構造とターゲットとを示す概略断面図である。図9に示すように、エミッタ28から発生した電子は、若干の拡散を生じるものの対向する位置にあるX線透過窓21にコーティングされたターゲット22の範囲内に放出されることになる。なお、エミッタ28とターゲット22との間は本実施例では2~4mmとなっている。
次に、冷陰極本体27aの先端とエミッタ28の先端とが同一面の場合、先端同士が所定範囲(±0.2mm)の範囲にある場合の、エミッタ28から放出され、ターゲット22に到達する電子の放出範囲について、図10A、図10B及び図10Cを参照して説明する。図10Aはエミッタが冷陰極内に約0.2mm陥入した状態の冷陰極構造の断面説明図、10Bはエミッタと冷陰極とが略同一面である状態の冷陰極構造の断面説明図、図10Cはエミッタが冷陰極より約0.2mm突き出た状態の冷陰極構造の断面説明図である。
図10Aに示すように、エミッタ28が冷陰極本体27a内に陥入(0.2mm)した場合には、エミッタ28から発生する電子は拡散することなく照射幅W1でターゲット22に到達する。しかし、エミッタ28が冷陰極本体27a内に0.2mmよりもさらに陥入すると電子の拡散はないものの、エミッタ28への電界強度が低下するため、発生する電子が減少し、所望のX線を発生させることができない。したがって、0.5mmが陥入の限界である。エミッタ28と冷陰極本体27aとが同一面のときは、図10Bに示すように好適な電子の拡散幅W2が得られ、かつ発生する電子が減少することがない。図10Cに示すように、エミッタ28が冷陰極本体27aから0.2mm突出したときは、電子の照射幅W3に拡大するが、ターゲット22から外れる電子の数は許容の範囲内である。エミッタ28が冷陰極本体27aから0.2mmよりも突出すると、発生する電子はさらに拡散してターゲット22から多数の電子が外れ、所定のX線量を得ることができない。したがって、冷陰極本体27aの先端とエミッタ28の先端との差は、所定の範囲内、すなわち±0.5mmの範囲が許容の限界となる。軸部材であるエミッタ28からターゲット22に放出される電子の範囲は、楕円形状となるため、エミッタ28が冷陰極本体27aから上記所定範囲を超えて突出すると、図11に示すように、ターゲット22を外れた電子が増加するため、効率よくX線を発生することができない。エミッタ28から放出された電子の範囲は、ターゲット22を含む大きな楕円形状33(鎖線で示す)となり、ターゲット22に到達する電子の数は減少する。したがって、エミッタ28の先端と冷陰極本体27aの先端との差が上記した±0.5mm望ましくは±0.2mmである所定範囲内とすることで、ターゲット22から外れる電子を抑え、効率よく電子を放出することができ、ターゲットから所定量のX線を発生させることができる。
次に、本実施形態に係るX線発生装置11の組み立てについて、分解斜視図である図5、一部組み立て図である図6、全体斜視図である図1を参照して説明する。
X線発生装置11の組み立ては、最初に、蓋部12b、中間部材25、絶縁体13、中間部材16、排気パイプ15及び冷陰極27をろう接する。具体的には、中間部材25は蓋部12bの開口部12b1の容器本体12側に位置し、中間部材25の上に絶縁体13が位置し、絶縁体13を挿通した排気パイプ15の先端が容器本体12の内部に位置するようにして、それぞれをろう接する。
次に、容器本体12aの底部12a1に形成された開口部12aに、X線透過窓21を容器本体12aの内側からろう接し、さらに容器本体12aの内側からX線透過窓21にターゲットをコーティングする。その後、エミッタ28を冷陰極27に挿着して溶接し、更に冷陰極27の両端に蓋部31a、31bをかぶせ、溶接する。次に、蓋部12bを容器本体12aに溶接により装着する。
容器本体12aと蓋部12bとの溶接により容器12が一体となった後、真空ポンプ(不図示)により排気パイプ15を通じて容器12の内部を真空排気する。そして、真空排気後に排気パイプ15の真空ポンプ側端部を封止することで、容器12の内部は超高真空状態とすることができる。本実施形態に係る冷陰極構造であるエミッタ28の先端と冷陰極本体27aの先端との差が上記した所定範囲内(±0.5mm望ましくは±0.2mm)となるので、エミッタ28から放出された電子を効率よくターゲット22に衝突させ、X線を発生させることができる。そして、X線発生装置11は上述したように、エミッタ28及び冷陰極27を先端に取り付けた排気パイプ15は、絶縁体13を貫通して挿着されているので、容器12とは絶縁されている。したがって、エミッタ28からターゲット22に向けて放出された電子が、ターゲット22で反射電子となった場合でも、容器本体12a及び蓋部12bから成る容器12は金属材質(ステンレス鋼)であり、更に容器12内に挿入された絶縁体13は中間部材(コバール合金)25で覆われているので、容器12を接地電位とすることで、反射電子による容器12内の帯電を防止することができる。
次に、本実施形態に係るX線発生装置11の動作について説明する。排気パイプ15に対して負の高電圧を印加すると、排気パイプ16の先端に取り付けた冷陰極27に設けたエミッタ28から、対向する位置にある接地電位のターゲット22に向けて電子が放出される。なお、排気パイプ15とは、絶縁体15を間に介しており、容器12(容器本体12a、蓋部12b)、X線透過窓21、及び中間部材25は接地電位となる。
エミッタ28の先端と冷陰極本体27aの先端との差が上記した所定範囲内(±0.5mm望ましくは±0.2mm)となっているので、エミッタ28から放出された電子は、必要以上に拡散することなく、高真空状態にある真空容器12内をターゲット22まで支障なく到達することができる。そのため、ターゲット28に衝突した電子により、ターゲット28からX線を効率よく発生させることができ、X線透過窓21から外部にX線を供給することができる。
上述したように、本実施形態に係る冷陰極構造及びこの冷陰極構造を有するX線発生装置11は、エミッタ28のターゲットに向けた面が、凸形状に形成されているので、エミッタの中心付近での電界強度が維持され、ターゲットへ向けた電子放出量が所定数確保されることになる。また、エミッタ28の凸状面の先端と、冷陰極本体27aのターゲットに向けた先端27a2との差が所定範囲内の±0.5mm望ましくは±0.2mm以内であるので、エミッタから放出された電子をターゲットに効率よく向けることができ、ターゲットから所定量のX線を発生させることができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態及び各部の変形例を説明したが、この実施形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
以上、説明したように、本発明に係る冷陰極構造を有するX線発生装置は、エミッタから発生した電子を効率よくターゲットに放出するので、ターゲットから所定量のX線を発生させることができるという効果を奏し、密封された容器内に設けた冷陰極と、該冷陰極に挿着され、ターゲットに向けて電子を放出するエミッタとを有する電界放出型の冷陰極構造のX線発生装置として有用である。
10
11 X線発生装置
12 真空容器
12a 容器本体
12a1 底部
12a2 開口部
12b 蓋部
12b1 開口部
13 絶縁体
15 排気パイプ
16 中間部材
21 X線透過窓
22 ターゲット
25 中間部材
27 冷陰極
27a 冷陰極本体
27a1 溝部
27a2 先端
27b 冷陰極基部
28 エミッタ
31a、31b 蓋部(SUSキャップ)
11 X線発生装置
12 真空容器
12a 容器本体
12a1 底部
12a2 開口部
12b 蓋部
12b1 開口部
13 絶縁体
15 排気パイプ
16 中間部材
21 X線透過窓
22 ターゲット
25 中間部材
27 冷陰極
27a 冷陰極本体
27a1 溝部
27a2 先端
27b 冷陰極基部
28 エミッタ
31a、31b 蓋部(SUSキャップ)
Claims (7)
- 密封された容器内に設けた冷陰極と、該冷陰極に挿着され、ターゲットに向けて電子を放出するエミッタとを有する電界放出型の冷陰極構造であって、
前記エミッタは、前記ターゲットに向けて凸状に形成されている凸状面を有する冷陰極構造。 - 前記エミッタの凸状面の先端と、前記冷陰極のターゲットに向けた先端との差は、所定範囲内である請求項1に記載の冷陰極構造。
- 前記所定範囲は、±0.5mm望ましくは±0.2mmである請求項2に記載の冷陰極構造。
- 前記冷陰極は長手方向に形成された溝部を有する棒状部材から成り、前記エミッタは断面が円形状の軸部材から成り、前記溝部に挿着される請求項1乃至3のいずれかに記載の冷陰極構造。
- 前記エミッタは、電界電子放出に適したナノ構造をもつ炭素系材料から成る請求項1乃至4のいずれかに記載の冷陰極構造。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の冷陰極構造を有し、前記エミッタから放出された電子の衝突により前記ターゲットからX線を発生するX線発生装置。
- 前記密封された容器内は、高真空の状態の真空度に設定されている請求項6に記載のX線発生装置。
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