JP2019028306A - 光波長変換部材及び発光装置 - Google Patents
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Abstract
Description
具体的には、前記特許文献1に記載の技術では、焼成中のCe揮発に伴う色ムラ防止のために、CeAl11O18を組織中に分散させている。しかし、第三成分であるCeAl11O18は光を吸収するので、発光強度および照度を減じる要因となる。このため、蛍光体の厚みを極端に薄くするなどして対処する必要があるが、薄片化は構造体としての蛍光体の耐久性を損なうという別の問題がある。
本開示は、前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い照度および蛍光強度を有し、色ムラを抑制できる光波長変換部材及び発光装置を提供することにある。
B:Al、Ga
さらに、この光波長変換部材では、光波長変換部材の断面における透光相と蛍光相との面積比aが、0.3<a<34であり、且つ、蛍光相の界面長さyが300μm<y<1050μmである。
特に本第1局面では、光波長変換部材の断面における透光相と蛍光相との面積比aが、0.3<a<34であり、且つ、蛍光相の界面長さyが300μm<y<1050μmであるので、後述する実施例等から明らかなように、光波長変換部材に光を照射した場合には、高い照度および蛍光強度が得られるとともに、色ムラが少ないという効果がある。
(2)本開示の第2局面では、透光相の結晶粒子の平均粒径r1と蛍光相の結晶粒子の平均粒径r2との比xが、1.1<x<2.1であって、透光相の結晶粒子の平均粒径r1は0.2μm〜6μmの範囲であり、蛍光相の結晶粒子の平均粒径r2は0.1μm〜4μmの範囲であってもよい。
一方、 粒径比xが2.1超えると、透過率が向上し、照度および蛍光強度は向上するが、色ムラが発生する。
また、透光相の結晶粒子の平均粒径r1が0.2μm〜6μmの範囲であり、且つ、蛍光相の結晶粒子の平均粒径r2が0.1μm〜4μmの範囲の場合には、高い蛍光強度および照度を有しつつ、色ムラの少ないセラミックス蛍光体を得ることができる。
ここでは、透光相の結晶粒子の組成の好適な例を示している。
セラミックス焼結体中のA3B5O12:Ceの割合が、全体の3vol%〜70vol%の範囲であると、高い照度を有しつつ色ムラの少ないセラミックス焼結体を得ることができる。
(6)本開示の第6局面は、第1〜第5局面のいずれかの光波長変換部材を備えた発光装置である。
なお、発光装置の発光素子としては、例えばLEDやLDなどの公知の素子を用いることができる。
・「蛍光相」は、蛍光性を有する結晶粒子を主体とする相であり、「透光相」は、透光性を有する結晶粒子、詳しくは蛍光相の結晶粒子とは異なる組成の結晶粒子を主体とする相である。
[1.実施形態]
[1−1.発光装置]
まず、本実施形態の光波長変換部材及び発光装置について説明する。
[1−2.光波長変換部材]
次に、光波長変換部材9について説明する。
B:Al、Ga
なお、前記化学式A3B5O12:CeのA及びBは、化学式A3B5O12:Ceで示される物質を構成する各元素(但し異なる元素)を示しており、Oは酸素、Ceはセリウムである。
また、透光相粒子の平均粒径r1と蛍光相粒子の平均粒径r2との粒径比xが、1.1<x<2.1であって、透光相粒子の平均粒径r1は0.2μm〜6μmの範囲であり、蛍光相粒子の平均粒径r2は0.1μm〜4μmの範囲である。
また、化学式A3B5O12:Ceで表される化合物におけるCe濃度は、化合物のA元素に対して0.1mol%〜1.0mol%の範囲である。
[1−2.光波長変換部材の製造方法]
ここでは、光波長変換部材9を製造する際の概略の手順について、図2に基づいて、簡単に説明する。
次に、調製した粉末材料に、有機溶剤と分散剤とを加え、ボールミルにて粉砕混合を行い、スラリーを作製した。
次に、得られた造粒粉を、プレス成形した。
次に、プレス成形体を、所定温度で所定時間焼成し、セラミックス焼結体を得た。
[1−3.効果]
次に、本実施形態の効果を説明する。
(3)本実施形態では、化学式A3B5O12:Ceで表される化合物は、セラミックス焼結体全体の3vol%〜70vol%の範囲である。
(4)本実施形態では、化学式A3B5O12:Ceで表される化合物におけるCe濃度は、化合物のA元素に対して0.1mol%〜1.0mol%の範囲である。
(5)本実施形態の発光装置1、詳しくは光波長変換部材9にて波長が変換された光(即ち蛍光)は、高い蛍光強度を有する。また、色バラツキが少なく高い色均質性を有する。
[2.実施例]
次に、前記実施形態の具体的な実施例について説明する。
なお、各試料のうち、No.3〜7、11〜30が本開示の範囲内の試料であり、No.1、2、8〜10が本開示の範囲外(比較例)の試料である。
[2−1.試料の評価方法]
まず、各試料に対して実施した各評価の方法について説明する。
各試料のセラミックス焼結体の相対密度は、アルキメデス法で密度を測定し、測定した密度を相対密度に換算する方法で算出した。
各試料のセラミックス焼結体の開気孔率は、JIS R1634に規定される方法によって測定した。
各試料のセラミックス焼結体を破断し、その破断面を鏡面研磨後、その研磨面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、5000倍のSEM画像を得た。そのSEM画像の1例の模式図を図3に示すが、白色に近い明部が蛍光相であり、黒色に近い暗部が透光相である。
各試料のセラミックス焼結体を破断し、その破断面を鏡面研磨後、1350℃で熱エッチングを行った。エッチング面をSEM観察し、セラミックス焼結体中の任意の5箇所の位置において、それぞれ2500倍の画像(即ちSEM画像)を得た。そのSEM画像の1例の模式図を図4に示すが、明部が蛍光相粒子であり、暗部が透光相粒子である。
さらに、得られた蛍光相粒子の平均粒径r2と透光相粒子の平均粒径r1から、以下の式(1)を用いて粒径比xを算出した。
<界面長さ>
前記面積比を求める際に使用した前記5000倍のSEM画像に対して、前記画像解析ソフト(例えばWinloof)を用いて、任意の5箇所の位置の各領域において、それぞれ蛍光相毎に界面長さを求めた。即ち、一塊の蛍光相単位での界面長さを求めた。また、蛍光相が複数ある領域においては、各蛍光相の界面長さを合計した。つまり、各領域において全ての蛍光相の界面長さを求め、各領域毎にそれらの合計値(即ち各領域毎の全界面長さ)を求めた。
照度は照度計によって測定した。具体的には、13mm角×厚み0.2mmに加工した各試料に対し、465nmの波長を有する青色LD光をレンズで集光させて0.5mm幅とし、これを照射して反対面から透過してくる光について、分光放射照度計(コニカミノルタ製CL−500A)によって照度を測定した。
<色ムラ>
色ムラ(即ち色バラツキ)は、照度計による色度バラツキ測定によって評価した。
13mm角×厚み0.2mmに加工した各試料に対し、465nmの波長を有する青色LD光をレンズで0.5mm幅まで集光させて照射し、透過した光をレンズによって集光させ、パワーセンサーによりその発光強度(即ち蛍光強度)を測定した。このとき照射される出力密度は40W/mm2となるようにした。
[2−2.試料の製造方法及び評価結果]
次に、各試料の製造方法と、各試料の評価結果について説明する。
下記表1に示す条件により、No.1〜9のセラミックス焼結体(即ち光波長変換部材)の試料を作製した。
これらの粉末を、エタノールと共にボールミル中に投入し、4〜48hr粉砕混合を行った。得られたスラリーを乾燥・造粒し、得られた造粒粉をプレス成形した。得られた成形体を大気雰囲気中で焼成を行った。この際、焼成温度を1500〜1800℃、保持時間を2〜10時間として焼成を行った。
試料No.3〜7では、粉砕時間を16時間とし、焼成温度を1500℃〜1750℃とし、保持時間を10時間とした。
なお、前記条件の範囲で、粉砕時間と焼成条件を変更することで、実施例1の各試料を得ることができる。例えば粉砕時間を長くすることで、結晶粒子の粒径を小さくできる。また、焼成温度を高くすることで、結晶粒子を成長させて、粒径を大きくできる。従って、これらが、界面長さに影響を与えると考えられる。
表1から明らかなように、面積比aが0.3<a<34の範囲であり、且つ、蛍光相の界面長さyが300μm<y<1050μmの範囲にあるNo.3〜7の試料は、蛍光強度および照度が大きく、しかも、色ムラが少なく、好結果が得られた。
<実施例2>
下記表1に示す条件により、No.10〜19のセラミックス焼結体の試料を作製した。
但し、粉砕時間は16時間、焼成温度は1600℃、保持時間は10時間に、それぞれ固定した。また、A3B5O12:Ce量が全体の1vol%〜80vol%となるようにした。
表1から明らかなように、A3B5O12:Ce量が3vol%〜70vol%にあるNo.11〜18の試料は、発光強度が大きく、しかも色ムラが小さく、好結果が得られた。
下記表1に示す条件により、No.20〜26のセラミックス焼結体の試料を作製した。
この実施例3の試料の作製方法は、基本的には、実施例1と同様である。
この製造方法によって得られた各試料のセラミックス焼結体について、上述した評価方法による評価を行った。その結果を、下記表1に記す。
一方、Ce量が0.1mol%より少ないNo.20の試料は、発光中心イオンが少ないため、蛍光不足により蛍光強度が低くなった。また、Ce量が1mol%より多いNo.26の試料は、Ce量が過剰にあることで濃度消光が起こり、蛍光強度が低下した。
下記表1に示す条件により、No.27〜30のセラミックス焼結体の試料を作製した。
この実施例3の試料の作製方法は、基本的には、実施例1と同様である。
表1から明らかなように、No.27〜30のすべてのセラミックス焼結体において、照度、蛍光強度、色ムラのいずれも、良好な結果になった。
本開示は前記実施形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
(3)発光装置に用いる発光素子としては特に限定はなく、周知のLEDやLDなど、各種のものを採用できる。
5…発光素子
9…光波長変換部材
Claims (6)
- 蛍光性を有する結晶粒子を主体とする蛍光相と、
透光性を有する結晶粒子を主体とする透光相と、
を有するセラミックス焼結体から構成された光波長変換部材において、
前記蛍光相の結晶粒子は、化学式A3B5O12:Ceで表される組成を有するとともに、前記A元素及び前記B元素は、それぞれ下記元素群から選択される少なくとも1種の元素から構成されており、
A:Sc、Y、Ceを除くランタノイド
B:Al、Ga
前記光波長変換部材の断面における前記透光相と前記蛍光相との面積比aが、0.3<a<34であり、且つ、前記蛍光相の界面長さyが300μm<y<1050μmである、
光波長変換部材。 - 前記透光相の結晶粒子の平均粒径r1と前記蛍光相の結晶粒子の平均粒径r2との比xが、1.1<x<2.1であって、前記透光相の結晶粒子の平均粒径r1は0.2μm〜6μmの範囲であり、前記蛍光相の結晶粒子の平均粒径r2は0.1μm〜4μmの範囲である、
請求項1に記載の光波長変換部材。 - 前記透光相の結晶粒子は、Al2O3の組成を有する、
請求項1又は2に記載の光波長変換部材。 - 前記化学式A3B5O12:Ceで表される化合物は、前記セラミックス焼結体全体の3vol%〜70vol%の範囲である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光波長変換部材。 - 前記化学式A3B5O12:Ceで表される化合物におけるCe濃度は、前記化合物のA元素に対して0.1mol%〜1.0mol%の範囲である、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光波長変換部材。 - 前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の光波長変換部材を備えた、
発光装置。
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