JP2019026805A - ウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子 - Google Patents
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Abstract
Description
ウレタン系熱可塑性エラストマーを発泡させた発泡成形体は、耐摩耗性、反発弾性等の優れた特性を保ちつつ、軽量化と柔軟化を図ることができるため、今後、スポーツ用品、自動車用部材等でのさらなる用途展開が期待される。
このような発泡成形体は、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、ウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子を成形型内に充填し、スチームなどの加熱媒体を用いて型内で発泡粒子を加熱し、発泡粒子を二次発泡させると共に相互に融着させる、所謂型内成形により製造することができる。
<2> 前記ウレタン系熱可塑性エラストマーが、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン由来の構造を有する<1>に記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子。
<3> 前記ウレタン系熱可塑性エラストマーのデュロメータ硬さが、A85以上である<1>又は<2>に記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子。
<4> 見掛け密度が10〜500kg/m3である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子。
<5> 見掛け密度が30kg/m3以上80kg/m3未満である<4>に記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子。
本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子(TPU発泡粒子)は、ウレタン系熱可塑性エラストマーを基材とし、融点Tmが175℃以上であり、融点Tmとガラス転移温度Tgとの差(Tm−Tg)が200℃以上である。
以下、ウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子(TPU発泡粒子)を、単に発泡粒子と称することもある。
形状が複雑である場合、厚みが厚い場合などには、部位によっては、成形不良が発生することがあった。例えば、発泡粒子の加熱が不足して型内成形時の発泡粒子の二次発泡による体積膨張が不十分となるため、表面が平滑にならないことがあった。また、発泡粒子が局所的に過度に加熱されて成形型から離型した直後に過度な収縮(所謂ヒケ)が生じた。
これに対し、本発明のTPU発泡粒子は上記構成であることで、表面の平滑性に優れ、かつヒケが抑制された発泡粒子成形体を製造することができる成形温度範囲を広くすることができる。かかる理由は定かではないが、次の理由によるものと推察される。
本発明のTPU発泡粒子は、具体的には、融点Tmが175℃以上であり、融点Tmとガラス転移温度Tgとの差(Tm−Tg)が200℃以上のTPUを基材とする。
融点Tmが175℃未満であるTPUを基材とするTPU発泡粒子は、TPU分子のウレタン結合同士の物理架橋が弱いため、良好な気泡膜が形成されておらず、成形温度の範囲を広くすることができない。TPU発泡粒子を構成しているTPUの融点Tmは180℃以上が好ましく、185℃以上がより好ましい。融点Tmの上限は特に制限されないが、概ね230℃以下が好ましい。
差(Tm−Tg)は、210℃以上が好ましく、220℃以上がより好ましい。差(Tm−Tg)の上限は特に制限されないが、概ね290℃程度である。
具体的には、10℃/分の加熱速度で常温から260℃まで昇温(1回目の昇温)するプログラムで、発泡粒子を加熱して、DSC(Differential scanning calorimetry)曲線を得る。かかるDSC曲線において、現われる融解ピーク温度を、発泡粒子の基材であるTPUの融点Tmとする。なお、複数の融解ピークが現れる場合は、最もピーク面積の大きなピークの頂点温度を融点Tmとする。
具体的には、発泡粒子から一辺0.5〜3mmの立方体状の試験片を切り出し、2℃/分の加熱速度で、−100℃から0℃まで試験片を加熱しつつ、初期荷重1000mN、振幅幅10μm、周波数1.0Hzの条件で圧縮にて変形させて温度−損失正接(tanδ)曲線を得る。曲線に現われるピークの頂点温度を、発泡粒子の基材であるTPUのガラス転移温度Tgとする。なお、複数のピークが現れる場合は、最もピークの最大値の大きなピークの頂点温度をガラス転移温度Tgとする。
(見掛け密度)
本発明のTPU発泡粒子の見掛け密度は10〜500kg/m3であることが好ましい。TPU発泡粒子の見掛け密度が10kg/m3以上であることで、目的の形状の発泡粒子成形体が得られ易い。見掛け密度が500kg/m3以下であることで、軽量で、反発弾性の高い発泡粒子成形体が得られ易い。
かかる理由から、TPU発泡粒子の見掛け密度は、20kg/m3以上であることがより好ましく、30kg/m3以上であることが更に好ましく、また、300kg/m3以下であることがより好ましく、150kg/m3以下であることが更に好ましく、80kg/m3未満であることが特に好ましい。
発泡粒子の見掛け密度は、発泡粒子の重量を、発泡粒子の体積で割算することにより求められる値である。発泡粒子の体積は、水没法により求めることができる。
本発明のTPU発泡粒子の平均粒子径は1〜10mmであることが好ましい。平均粒子径が1mm以上であることで発泡倍率を高めることができ、10mm以下であることで、成形時に発泡粒子を成形型に充填し易くなる。上記観点から、平均粒子径は1.5〜8mmがより好ましく、2〜8mmであることが更に好ましい。
なお、発泡粒子の平均粒子径は、発泡粒子1個あたりの平均体積と同じ体積を有する仮想真球の直径を意味するものとする。発泡粒子1個あたりの平均体積は、水没法などにより求めることができる。
本発明のTPU発泡粒子の190℃、荷重10kgにおけるメルトフローレイト(MFR)は、発泡粒子成形体の成形性の観点から、30g/10分以下であることが好ましく、20g/10分以下であることがより好ましい。
なお、本発明において、メルトフローレイト(MFR)は、JIS K7210−2:2014に基づき、190℃、荷重10kgにて測定される値である。なお、測定試料としては、含有水分量を500重量ppm以下としたものを用いる。
型内成形性の観点から、本発明のTPU発泡粒子の平均気泡径は100〜500μmであることが好ましい。TPU発泡粒子の平均気泡径は120μm以上であることがより好ましく、150μm以上であることがさらに好ましく、また、400μm以下であることがより好ましい。
発泡粒子をその中心部を通るように切断して2分割する。切断された各発泡粒子の一方の断面の拡大写真を撮影し、該拡大写真上において、発泡粒子の最表面から中心部を通って反対側の最表面まで、等角度で4本の線分を引く。各線分と交差する気泡数をそれぞれ計測し、4本の線分の合計長さを線分と交差する全気泡数で割算して気泡の平均弦長を求め、さらに0.616で割算することにより、発泡粒子の平均気泡径を求める。
本発明のTPU発泡粒子は、ウレタン系熱可塑性エラストマーを基材とする。
以下、TPU発泡粒子の基材であるTPUについて説明する。
上記融点Tmとガラス転移温度Tgとの関係を示すTPUを基材とする発泡粒子を得るためには、発泡粒子を構成しているTPUが、脂環式ジイソシアネートに由来する構造を有することが好ましい。
脂環式ジイソシアネートとしては、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−または1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、2,2’−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等が挙げられる。
また、以上の脂環式ジイソシアネートの中でも、シクロヘキサン環を有する化合物が好ましく、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンがより好ましい。
すなわち、ウレタン系熱可塑性エラストマーは、脂環式ジイソシアネート由来の構造を有することが好ましく、シクロヘキサン環を有する脂環式ジイソシアネート由来の構造を有することがより好ましく、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン由来の構造を有することが更に好ましい。
TPUは、上述したエーテル系TPU及びエステル系TPUのいずれであってもよいが、耐加水分解性が高く、低温領域での機械的物性の温度依存性が小さいことから、エーテル系TPUが好ましい。
また、TPUのデュロメータ硬さは、A100未満であることが好ましい。デュロメータ硬さは、A100未満であることで、型内成形時の成形温度を過度に高めなくとも、良好な成形体を得ることができる。
デュロメータ硬さとは、JIS K6253−3:2012に基づき、タイプAデュロメータを用いて測定されるデュロメータ硬さを意味する。発泡粒子を構成しているTPUのデュロメータ硬さを測定する際には、多数の発泡粒子をヒートプレスすることにより、完全に気泡を除いた状態で、厚み6mmのシートを作製し、該シートを試験片として用いる。
本発明のTPU発泡粒子は、その製造方法は特に限定されるものではない。
例えば、密閉容器内でTPU粒子を分散媒中に分散させるとともに、加熱下で前記TPU粒子に発泡剤を含浸させ、発泡に適した温度条件にて、前記発泡剤を含むTPU粒子を分散媒と共に前記密閉容器から低圧下に放出して発泡させることにより得ることができる。
このような発泡粒子の製造方法は、分散媒放出法と呼ばれる方法である。
TPU粒子の重量は、小孔の孔径、押出量、カット速度を調整することにより調整することができる。
これらの各種添加剤の添加量は、発泡粒子成形体の用途目的により異なるが、原料TPU100重量部に対して好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。
TPU粒子をオートクレーブ等の加圧可能な密閉容器中で、分散媒(通常は水)に分散させる。
分散媒中には、必要に応じて、TPU粒子が分散媒中に均一に分散するように、酸化アルミニウム、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、酸化亜鉛、カオリン、マイカ、タルク等の難水溶性無機物質等の分散剤、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤等の分散助剤を添加することが好ましい。TPU粒子と分散剤との重量比(樹脂粒子/分散剤)を20〜2000とすることが好ましく、より好ましくは30〜1000である。また、分散剤と分散助剤との重量比(分散剤/分散助剤)は、1〜500とすることが好ましく、より好ましくは1〜100である。
発泡剤としては、物理発泡剤を用いることができる。物理発泡剤としては、有機物理発泡剤として、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、クロロフロロメタン、トリフロロメタン、1,1−ジフロロエタン、1,1,1,2−テトラフロロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のジアルキルエーテル等が挙げられる。また、無機物理発泡剤として、二酸化炭素、窒素、アルゴン、空気、水等が挙げられる。
TPU粒子へ発泡剤を含浸させる際の密閉容器内の内容物の温度(含浸温度)は、原料TPUの融点Tm0に対して、(Tm0−45℃)以上とすることが好ましい。
原料TPUの融点Tm0は、JIS K7121−1987に準拠し、熱流束示差走査熱量測定により測定される値である。具体的には、10℃/分の加熱速度で常温から260℃まで昇温(1回目の昇温)してから、10℃/分の冷却速度で30℃まで降温し、10℃/分の加熱速度で再度260℃まで昇温(2回目の昇温)するプログラムで、原料TPUを加熱及び冷却して、DSC曲線を得る。かかるDSC曲線において、2回目の昇温時に現われる融解ピーク温度を、融点Tm0とする。
また、前記密閉容器内の圧力が、0.5MPa(G)以上となるように物理発泡剤を密閉容器内に添加すること、すなわち含浸圧力を0.5MPa(G)以上とすることが好ましく、1.0MPa(G)以上とすることがより好ましい。また、密閉容器の耐圧性の観点から、含浸圧力は10MPa(G)以下することが好ましく、8.0MPa(G)以下とすることがより好ましい。
なお、「0.5MPa(G)」は、ゲージ圧で0.5MPaであることを意味する。
また、発泡剤の含浸時間は、含浸温度、含浸圧力、TPUの種類、重量等に応じて適宜設定されるが、物理発泡剤をTPU粒子に十分に含浸させる観点から、0.05時間以上とすることが好ましく、0.1時間以上とすることがより好ましい。一方、生産性の観点から、発泡剤の含浸時間は、3時間以下とすることが好ましく、1時間以下とすることがより好ましい。
上記のようにして、TPU粒子に発泡剤が含浸され、発泡剤を含むTPU粒子(発泡性粒子)が形成される。
発泡性粒子を低圧下に放出する際には、密閉容器内の内容物の温度(発泡温度)は、原料TPUの融点Tm0に対して、(Tm0−45℃)以上とすることが好ましく、(Tm0−45℃)〜(Tm0−20℃)とすることがより好ましく、(Tm0−40℃)〜(Tm0−28℃)とすることが更に好ましい。
このような温度範囲で発泡性粒子を発泡させることにより、型内成形性に特に優れた発泡粒子を容易に得ることができる。
また、分散媒として水を用いる場合には、発泡粒子の気泡のバラツキを抑制するという観点から、気泡核剤としてはタルク、炭酸カルシウムなどの比較的吸水性の低い無機粉体を用いることが好ましく、タルクがより好ましい。気泡核剤としてタルクを用いる場合、50%体積平均粒子径(d50)0.5〜30μmのタルクを用いることが好ましく、より好ましくは1〜15μmである。
本発明のTPU発泡粒子を型内成形して、発泡粒子成形体が得られる。型内成形の方法は特に限定されず公知の方法によればよい。通常、型内成形時の加熱媒体としては、スチームが使用されるが、加熱エアなどを用いることもできる。また、マイクロ波、ラジオ波などによりTPU発泡粒子を加熱することもできる。この場合には、水の存在下で加熱することが好ましい。
本発明のTPU発泡粒子は、成形可能な温度範囲が広いため、厚みの厚い成形体であったり、複雑な形状の成形体であっても、表面の平滑性に優れ、かつヒケが抑制された発泡粒子成形体を製造し得る。
〔TPU粒子の製造〕
表1に示すTPU(原料TPU)と、気泡核剤とを内径26mmの二軸押出機に供給し、これらを200℃で加熱混練して、TPU溶融物を得た。TPU溶融物を押出機先端部に付設されたダイの小孔から水中に押出すと共に切断して、平均重量10mg、L/D=1.0のTPU粒子を得た。なお、パスタイムは180秒であった。
気泡核剤は、タルク(林化成株式会社製、製品名KHP−125B、d50:7μm)を用いた。
TPU粒子の製造に用いた原料TPUの詳細を表1に示す。
なお、E101及びE1〜E3は、三井化学(株)製であり、E102は、ディーアイシー コベストロ ポリマー(株)製であり、E103は、DIC(株)製である。
原料TPUの融点Tm0は、JIS K7121−1987に基づき、熱流束示差走査熱量測定法により、窒素流入量30mL/分の条件下で、10℃/分の加熱速度で常温から260℃まで昇温(1回目の昇温)してから、10℃/分の冷却速度で30℃まで降温し、加熱速度10℃/分で再度260まで加熱して得られるDSC曲線の融解ピークのピーク頂点温度として求めた。
動的粘弾性測定装置DMA7100(日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、原料TPUのガラス転移温度(Tg0)の測定を行なった。原料TPUを200℃で熱プレスして厚み1mmのシートを作製し、該シートから40mm×5mm×1mm(シート厚)の直方体状の測定サンプルを切り出し、昇温速度2℃/分にて、サンプルを−100℃から0℃まで加熱しつつ、初期荷重1000mN、振幅幅10μm、周波数1.0Hzの条件で、引張にて変形させ、温度−損失正接(tanδ)曲線を得た。得られた曲線に現われるピークの頂点温度を、TPUのガラス転移温度Tg0とした
JIS K6253−3:2012に基づき、タイプAデュロメータを用いて原料TPUのデュロメータ硬さを測定した。原料TPUを200℃で熱プレスして厚み6mmのシートを作製し、これを試験片として用いた。測定時間は3秒とした。
上記で得られたTPU粒子50kgと、分散媒として水270リットルとを、撹拌機を備えた400リットルのオートクレーブ内に仕込んだ。さらに、TPU粒子100重量部に対して、分散剤としてカオリン0.2重量部と、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.008重量部とを分散媒に添加した。
オートクレーブ内の内容物を撹拌しながら表2又は3に示す温度(含浸温度)まで昇温し、オートクレーブ内に発泡剤として二酸化炭素を表2又は3に示す圧力(含浸圧力)となるまで圧入し、その圧力を維持しつつその温度(含浸温度)で15分間保持した。その後、二酸化炭素にて背圧を加えて容器内圧力が表2又は3に示す圧力(発泡圧力)で一定になるように調整しつつ、表2又は3に示す温度に分散媒の温度(発泡温度)にて、発泡剤が含浸されたTPU粒子を分散媒とともに大気圧下に放出して発泡させて、発泡粒子を得た。
得られた発泡粒子を密閉容器内に入れ、30℃で、0.3MPa(G)の圧縮空気により12時間加圧処理した後、放圧して40℃の大気圧下で48時間放置した。
得られた発泡粒子の見掛け密度、発泡粒子を構成しているTPUの融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)、Tm−Tg及びTPUのデュロメータ硬さを表2及び3に示す。
発泡粒子の見掛け密度、発泡粒子を構成しているTPUの融点、ガラス転移温度及びTPUのデュロメータ硬さの測定方法を以下に示す。なお、これらの測定は、得られた発泡粒子を相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて2日放置して状態調節した後に行なった。
まず、温度23℃の水の入ったメスシリンダーに重量W1の発泡粒子を、金網を使用して沈めた。そして、金網の体積を考慮して、水位上昇分より読みとられる発泡粒子の体積V1[L]を測定し、発泡粒子の重量W1[g]を体積V1で割り算し(W1/V1)、単位を[kg/m3]に換算することにより、発泡粒子の見掛け密度を求めた。
TPU発泡粒子を脱泡せずに、JIS K7121−1987に準拠し、熱流束示差走査熱量測定によりTPU発泡粒子を構成しているTPUの融点Tmを測定した。
具体的には、10℃/分の加熱速度で、窒素流入量30mL/分の条件下で、常温から260℃まで昇温するプログラムで、発泡粒子を加熱し、得られたDSC曲線において、昇温時に現われる融解ピーク温度を、TPU発泡粒子の基材であるTPUの融点Tmとした。
TPU発泡粒子のガラス転移温度(Tg)は、動的粘弾性測定装置DMA7100(日立ハイテクサイエンス社製)を用いて測定した。発泡粒子から一辺2mmの立方体状の測定サンプルを切り出し、昇温速度2℃/分にて、サンプルを−100℃から0℃まで加熱しつつ、初期荷重1000mN、振幅幅10μm、周波数1.0Hzの条件で、圧縮にて変形させ、温度−損失正接(tanδ)曲線を求めた。得られた曲線に現われるピークの頂点温度を、TPU発泡粒子の基材であるTPUのガラス転移温度Tgとした。
4.デュロメータ硬さ
JIS K6253−3:2012に基づき、タイプAデュロメータを用いて発泡粒子を構成しているTPUのデュロメータ硬さを測定した。多数のTPU発泡粒子を200℃でヒートプレスして気泡を脱泡した厚み6mmのシートを作製し、これを試験片として用いた。測定時間は3秒とした。
上記で作製した発泡粒子を、縦200mm、横250mm、厚さ20mmの成形金型のキャビティに充填し、表2又は3に示す成形圧に到達するまでスチームをキャビティ内に供給して発泡粒子を加熱した。そして、冷却後、成形金型から成形体を取り出し、板状の発泡粒子成形体を得た。
なお、反発弾性率評価に用いたサンプル用の発泡粒子成形体は、成形圧を、表2又は3に示す「反発弾性率サンプル成形圧」欄の成形圧に変更したほかは、上記と同様にして作製した。
得られた発泡粒子成形体を相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて2日放置して、発泡粒子成形体の状態調節を行なった後に以下の評価を行なった。結果を表2及び3に示す。
1.表面状態
得られた発泡粒子成形体の表面の発泡粒子間の空隙が埋まっていれば「○」と評価し、埋まっていなければ「×」と評価した。
得られた発泡粒子成形体の融着性を評価するため融着率を測定し、融着率が90%以上である場合を「○」、融着率が90%未満である場合を「×」と評価した。
発泡粒子成形体の融着率は、以下の方法により測定した。発泡粒子成形体から、縦170mm、横30mm、厚さをそのままとして試験片を切り出した。この試験片の表面の一方に、カッターナイフで該試験片の縦の長さを2等分する位置に厚み方向に約10mmの深さの切り込みを入れ、切り込み部から成形体を折り曲げて破断させた。破断面に存在する材料破壊した発泡粒子の個数mと、破断面に存在する全部の発泡粒子の個数nの比(m/n×100[%])を算出した。なお、成形体を折り曲げても破断できない場合は、融着率100%とした。異なる試験片を用いて前記測定を5回行い、それぞれの材料破壊率を求め、それらを算術平均して融着率とした。
得られた発泡粒子成形体の中央部分と四隅部分の厚みをそれぞれ測定し、四隅部分のうち最も厚みが厚い部分に対する中央部分の厚みの比が90%以上である場合を「○」、90%未満である場合を「×」と評価した。
発泡粒子成形体から成形時のスキンを除いて170mm×50mm×25mmの寸法の直方体サンプルを切り出し、該サンプルの外形寸法よりサンプルの体積:Hを求めた。該サンプルの重量:Wを測定し、重量:Wをサンプルの体積:Hで割算した値を発泡粒子成形体の密度[kg/m3]とした。
また、収縮率を以下の様にして測定した。
発泡粒子成形体の横方向の最大寸法L[mm]を測定し、成形キャビティの横方向の長さ250mmから寸法Lを引き算し、さらに250mmで割算することにより((250−L)×100/250)、発泡粒子成形体の収縮率[%]を求めた。
JIS K 6255に準拠してショブ式反発弾性試験機RT−90(高分子計器株式会社製)を用い、相対湿度50%、23℃の条件下で発泡粒子成形体の反発弾性率を測定した。発泡粒子成形体の中心部から、縦30mm、幅30mm、厚さ12.5mmのサンプル(片面側に成形表皮あり)を切り出した。このサンプルの表皮面が振子の先端に接触する面となるように両面テープで固定し、ハンマー直径φ15mm、アーム重さ0.25kgの振子を、持ち上げ角度90±1°の位置から振り下ろした。そして、厚さ方向からサンプルの表皮面に振子を接触させ、振子の跳ね返り高さh(mm)を測定した。跳ね返り高さh(mm)を振子の落下高さH(mm)で除して、N=5の算術平均値を反発弾性率とした。
なお、比較例4においては、発泡粒子成形体の表面状態及び融着の評価に優れなかったため、反発弾性率の測定を行なわなかった。
Claims (5)
- 融点Tmが175℃以上であり、かつ融点Tmとガラス転移温度Tgとの差(Tm−Tg)が200℃以上であるウレタン系熱可塑性エラストマーを基材とするウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子。
- 前記ウレタン系熱可塑性エラストマーが、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン由来の構造を有する請求項1に記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子。
- 前記ウレタン系熱可塑性エラストマーのデュロメータ硬さが、A85以上である請求項1又は2に記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子。
- 見掛け密度が10〜500kg/m3である請求項1〜3のいずれか1項に記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子。
- 見掛け密度が30kg/m3以上80kg/m3未満である請求項4に記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子。
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