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JP2019026746A - 撥水剤組成物 - Google Patents

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JP2019026746A
JP2019026746A JP2017148248A JP2017148248A JP2019026746A JP 2019026746 A JP2019026746 A JP 2019026746A JP 2017148248 A JP2017148248 A JP 2017148248A JP 2017148248 A JP2017148248 A JP 2017148248A JP 2019026746 A JP2019026746 A JP 2019026746A
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JP2017148248A
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可奈子 高橋
Kanako Takahashi
可奈子 高橋
憲正 上杉
Norimasa Uesugi
憲正 上杉
山本 祐輝
Yuki Yamamoto
祐輝 山本
育男 山本
Ikuo Yamamoto
育男 山本
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Daikin Industries Ltd
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Daikin Industries Ltd
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Abstract

【課題】含フッ素単量体、特にフルオロアルキル基含有単量体を使用しない撥水剤組成物を提供する。
【解決手段】(1)(a)重合体に対して30〜100重量%の、式:
式:
CH2=C(−R)−C(=O)−Y−Z(−Y−R)
[式中、Rは、炭素数7〜40の炭化水素基であり、
は、水素原子またはメチル基であり、
は、−O−または−NH−であり、
は、−O−C(=O)−NH−または−NH−C(=O)−NH−であり、
Zは、2価または3価の炭素数1〜5の炭化水素基であり、
nは、1または2である。]
で示される含窒素単量体から誘導された繰り返し単位
を有している重合体、および
(2)液状媒体
を含む撥水剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、撥水剤組成物に関する。
従来、フッ素化合物を含んでなる含フッ素撥水撥油剤が知られている。この撥水撥油剤は、繊維製品などの基材に処理すると、良好な撥水撥油性を示す。
最近の研究結果[EPAレポート"PRELIMINARY RISK ASSESSMENT OF THE DEVELOPMENTAL TOXICITY ASSOCIATED WITH EXPOSURE TO PERFLUOROOCTANOIC ACID AND ITS SALTS" (http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoara.pdf) ]などから、長鎖フルオロアルキル化合物の一種であるPFOA(perfluorooctanoic acid)に対する環境への負荷の懸念が明らかとなってきており、2003年4月14日にEPA(米国環境保護庁)がPFOAに対する科学的調査を強化すると発表した。
一方、Federal Register(FR Vol.68, No.73/April 16, 2003[FRL-2303-8], http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoafr.pdf)やEPA Environmental News FOR RELEASE: MONDAY APRIL 14, 2003 EPA INTENSIFIES SCIENTIFIC INVESTIGATION OF A CHEMICAL PROCESSING AID(http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoaprs.pdf)やEPA OPPT FACT SHEET April 14, 2003(http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoafacts.pdf)は、テロマーが分解または代謝によりPFOAを生成する可能性があると公表している(テロマーとは長鎖フルオロアルキル基のことを意味する)。また、テロマーが、撥水撥油性、防汚性を付与された泡消火剤、ケア製品、洗浄製品、カーペット、テキスタイル、紙、皮革などの多くの製品に使用されていることをも公表している。含フッ素化合物が環境に蓄積することが懸念されている。
特開2006-328624号公報は、エステル部分の炭素数が12以上の(メタ)アクリル酸エステルを単量体単位として含む非フッ素系ポリマーからなる撥水剤であって、(メタ)アクリル酸エステルの構成割合が非フッ素系ポリマーを構成する単量体単位の全量に対して80〜100質量%である撥水剤を開示している。
しかし、この撥水剤は、撥水性に劣っている。
WO2015/076347が、長鎖(メタ)アクリレートエステル単量体からなる非フッ素ポリマーおよびアミドアミン界面活性剤からなる表面処理剤を開示しており、WO2015/080026が、長鎖(メタ)アクリレートエステル単量体および環状炭化水素基を有する(メタ)アクリレート単量体からなる表面処理剤を開示している。これらの表面処理剤において、フルオロアルキル基含有単量体は使用されていない。
特開2006-328624号公報 WO2015/076347 WO2015/080026
本発明の目的は、優れた撥水性を与え、フルオロアルキル基含有単量体、好ましくは含フッ素単量体を使用しない撥水剤組成物を提供することにある。
本発明は、
(1)(a)重合体に対して30〜100重量%の、式:
式:
CH2=C(−R)−C(=O)−Y−Z(−Y−R)
[式中、Rは、炭素数7〜40の炭化水素基であり、
は、水素原子またはメチル基であり、
は、−O−または−NH−であり、
は、−O−C(=O)−NH−または−NH−C(=O)−NH−であり、
Zは、2価または3価の炭素数1〜5の炭化水素基であり、
nは、1または2である。]
で示される含窒素単量体から誘導された繰り返し単位
を有している重合体に関する。
1つの要旨によれば、本発明は、
(1)(a)重合体に対して30〜100重量%の、式:
式:
CH2=C(−R)−C(=O)−Y−Z(−Y−R)
[式中、Rは、炭素数7〜40の炭化水素基であり、
は、水素原子またはメチル基であり、
は、−O−または−NH−であり、
は、−O−C(=O)−NH−または−NH−C(=O)−NH−であり、
Zは、2価または3価の炭素数1〜5の炭化水素基であり、
nは、1または2である。]
で示される含窒素単量体から誘導された繰り返し単位
を有している重合体、および
(2)液状媒体
を含む撥水剤組成物を提供する。
本発明の撥水剤組成物は、フルオロアルキル基含有単量体を使用しないので、含フッ素化合物の環境への蓄積の懸念がない。本発明の撥水剤組成物は、基材に優れた撥水性を与える。
本発明の撥水剤組成物の安定性(エマルションの安定性)は良好である。本発明の撥水剤組成物は、撥水撥油性(特に、撥水性)の耐久性(特に、洗濯耐久性)に優れている。さらに、撥水剤処理時の加工安定性に優れる。
撥水剤組成物は、(1)重合体および(2)液状媒体を含んでなる。撥水剤組成物は、さらに、(3)界面活性剤を含有してもよい。
(1)重合体
本発明の重合体は、フルオロアルキル基を有しない重合体である。本発明の重合体は、フッ素原子を有しない非フッ素重合体であることが好ましい。
本発明において、重合体は、
(a)含窒素単量体から誘導された繰り返し単位
を有する。
重合体は、さらに、(b)含窒素単量体(a)以外の重合性単量体、好ましくは単量体(a)以外の非フッ素重合性単量体から誘導された誘導された繰り返し単位を有していてもよい。
単量体(a)以外の重合性単量体は、非フッ素非架橋性単量体または非フッ素架橋性単量体であってよい。
非フッ素非架橋性単量体は、式:
CH=CA−T
[式中、Aは、水素原子、メチル基、または、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)であり、
Tは、水素原子、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)、炭素数1〜40の鎖状または環状の炭化水素基、またはエステル結合を有する鎖状または環状の炭素数2〜41の有機基である。]
で示される化合物であってよい。
炭素数1〜40の鎖状または環状の炭化水素基の例は、炭素数1〜40の直鎖または分岐の飽和または不飽和(例えば、エチレン性不飽和)の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜40の飽和または不飽和(例えば、エチレン性不飽和)の環状脂肪族基、炭素数6〜40の芳香族炭化水素基、炭素数7〜40の芳香脂肪族炭化水素基である。
エステル結合を有する鎖状または環状の炭素数2〜41の有機基の例は、-C(=O)-O-Q および-O-C(=O)-Q(ここで、Qは、炭素数1〜40の直鎖または分岐の飽和または不飽和(例えば、エチレン性不飽和)の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜40の飽和または不飽和(例えば、エチレン性不飽和)の環状脂肪族基、炭素数6〜40の芳香族炭化水素基、炭素数7〜40の芳香脂肪族炭化水素基)である。
非フッ素架橋性単量体は、後に説明するとおりである。
単量体(a)以外の重合性単量体の例は次のとおりである。
(b)アクリレートエステル単量体、
(c)非フッ素架橋性単量体、
(d)ハロゲン化オレフィン、および
(e)重合性基を有するシリコーンマクロマー。
重合体は、フッ素原子を有してもよいが、フッ素原子を有しないことが好ましい。すなわち、重合体は非フッ素重合体であることが好ましく、全ての単量体は非フッ素単量体であることが好ましい。
(a)含窒素単量体
含窒素単量体は、式:
CH2=C(−R)−C(=O)−Y−Z(−Y−R)
[式中、Rは、炭素数7〜40の炭化水素基であり、
は、水素原子またはメチル基であり、
は、−O−または−NH−であり、
は、−O−C(=O)−NH−または−NH−C(=O)−NH−であり、
Zは、2価または3価の炭素数1〜5の炭化水素基であり、
nは、1または2である。]
で示される化合物である。
含窒素単量体は、フルオロアルキル基を有しない。
含窒素単量体は、ウレタン基またはウレア基を有する(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリルアミドである。
は、直鎖状または分岐状の炭化水素基であることが好ましい。Rは、アルキル基であることが好ましい。Rの炭素数は、12〜30、特に16〜24または18〜24であることが好ましい。
Zは、2価または3価のアルカン基、例えばアルキレン基(2価のアルキレン基)であってよい。Zの炭素数は、2〜4、特に2であることが好ましい。Zの具体例は、2価のアルカン基として、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2-、3価のアルカン基として、-CH2CH=、-CH2(CH-)CH2-、-CH2CH2(CH-)CH2-が挙げられる。
含窒素単量体は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートまたはヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドと長鎖アルキルイソシアネートを反応させることによって製造できる。長鎖アルキルイソシアネートとしては例えば、ラウリルイソシアネート、ミリスチルイソシアネート、セチルイソシアネート、ステアリルイソシアネート、オレイルイソシアネート、ベヘニルイソシアネートなどがある。
あるいは、含窒素単量体は、側鎖にイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルメタクリレートと長鎖アルキルアミンまたは長鎖アルキルアルコールを反応させることでも製造できる。長鎖アルキルアミンとしては例えば、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ベヘニルアミンなどがある。長鎖アルキルアルコールとしては例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコールなどがある。
含窒素単量体の具体例は、次のとおりである。
Figure 2019026746

Figure 2019026746
Figure 2019026746

Figure 2019026746
Figure 2019026746

Figure 2019026746
[上記式中、nは7〜40の数であり、mは1〜5の数である。]
(b)アクリレートエステル単量体
重合体は他のアクリレートエステル単量体から誘導された繰り返し単位を有してもよい。
他のアクリレートエステル単量体の例は、次のとおりである。
(b1)脂肪族炭化水素基を有するアクリレートエステル単量体、および
(b2)環状炭化水素基を有するアクリレートエステル単量体
重合体は、単量体(b1)および単量体(b2)からなる群から選択された少なくとも1種の単量体から誘導された繰り返し単位を有してもよい。
(b1)脂肪族炭化水素基を有するアクリレートエステル単量体
重合体は、脂肪族炭化水素基含有アクリレートエステル単量体から誘導された繰り返し単位を有してもよい。脂肪族炭化水素基含有アクリレートエステル単量体は、(メタ)アクリレートエステル(すなわち、アクリレートまたはメタクリレート)である。
脂肪族炭化水素基含有アクリレートエステル単量体の好ましい例は、式:
CH=CA11−C(=O)−O−A12
[式中、A11は、水素原子またはメチル基であり、
12は、炭素数1〜40の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基である。]
で示される化合物である。
脂肪族炭化水素基含有アクリレートエステル単量体は、フルオロアルキル基を有しない。脂肪族炭化水素基含有アクリレートエステル単量体は、フッ素原子を含有してもよいが、フッ素原子を含有しないことが好ましい。
12は、直鎖状または分岐状の炭化水素基である。直鎖状または分岐状の炭化水素基は、特に直鎖状の炭化水素基であってよい。直鎖状または分岐状の炭化水素基は、炭素数が1〜40、好ましくは18〜40である。直鎖状または分岐状の炭化水素基は、炭素数18〜28、特に18または22であることが好ましく、一般に飽和の脂肪族炭化水素基、特にアルキル基であることが好ましい。
脂肪族炭化水素基含有アクリレートエステル単量体の具体例としては、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
脂肪族炭化水素基含有アクリレートエステルが存在することにより、風合いがより柔軟になる。
(b2)環状炭化水素基を有するアクリレートエステル単量体
重合体は環状炭化水素基含有アクリレートエステル単量体から誘導された繰り返し単位を有してもよい。
環状炭化水素基含有アクリレートエステル単量体は、
式:
CH=CA21−C(=O)−O−A22
[式中、A21は、水素原子、メチル基、ハロゲン、炭素数2〜21の直鎖状または分岐状のアルキル基、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基であり、
22は、炭素数4〜40の環状炭化水素含有基である。]
で示される化合物であることが好ましい。
環状炭化水素基含有アクリレートエステル単量体は、そのホモポリマーのガラス転移点が高い(例えば、50℃以上、特に80℃以上)単量体であることが好ましい。
環状炭化水素基含有アクリレートエステル単量体は、フルオロアルキル基を有しない。環状炭化水素基含有アクリレートエステル単量体は、フッ素原子を含有してもよいが、フッ素原子を含有しないことが好ましい。
21の例は、水素原子、メチル基、Cl、Br、I、F、CN、CFである。A21は、塩素原子であることが好ましい。
22は、鎖状基(例えば、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基)を有していてよい環状炭化水素基である。環状炭化水素基としては、飽和または不飽和である、単環基、多環基、橋かけ環基などが挙げられる。環状炭化水素基は、飽和であることが好ましい。環状炭化水素基の炭素数は、4〜40であり、6〜20であることが好ましい。環状炭化水素基としては、炭素数4〜20、特に5〜12の環状脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基、炭素数7〜20の芳香脂肪族基が挙げられる。環状炭化水素基の炭素数は、15以下、例えば12以下であることが特に好ましい。環状炭化水素基は、飽和の環状脂肪族基であることが好ましい。 環状炭化水素基の具体例は、シクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基である。
環状炭化水素基含有アクリレートエステル単量体の具体例としては、
シクロヘキシルアクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート;および
シクロヘキシルメタクリレート、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレートが挙げられる。
環状炭化水素基含有アクリレートエステル単量体が存在することにより、加工安定性が改良されたり、撥水性が向上し得る。
(c)非フッ素架橋性単量体
重合体は非フッ素架橋性単量体から誘導された繰り返し単位を有してもよい。
非フッ素架橋性単量体は、フッ素原子を含まない単量体である。非フッ素架橋性単量体は、少なくとも2つの反応性基および/またはオレフィン性炭素−炭素二重結合(好ましくは、(メタ)アクリレート基)を有し、フッ素を含有しない化合物であってよい。非フッ素架橋性単量体は、少なくとも2つのオレフィン性炭素−炭素二重結合(好ましくは、(メタ)アクリレート基)を有する化合物、あるいは少なくとも1つのオレフィン性炭素−炭素二重結合および少なくとも1つの反応性基を有する化合物であってよい。反応性基の例は、ヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックイソシアネート基、アミノ基、カルボキシル基、などである。
非フッ素架橋性単量体は、反応性基を有するモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレートまたはモノ(メタ)アクリルアミドであってよい。あるいは、非フッ素架橋性単量体は、ジ(メタ)アクリレートであってよい。
非フッ素架橋性単量体の1つの例は、ヒドロキシル基を有するビニル単量体である。
非フッ素架橋性単量体としては、例えば、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、モノクロロ酢酸ビニル、メタクリル酸ビニル、グリシジル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどが例示されるが、これらに限定されるものでない。
非フッ素架橋性単量体が存在することにより、重合体が与える洗濯耐久性が高くなる。
(d)ハロゲン化オレフィン単量体
共重合体は、ハロゲン化オレフィン単量体から誘導された繰り返し単位を有してよい。
ハロゲン化オレフィン単量体は、フッ素原子を有しないことが好ましい。
ハロゲン化オレフィン単量体は、1〜10の塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換されている炭素数2〜20のオレフィンであることが好ましい。ハロゲン化オレフィン単量体は、炭素数2〜20の塩素化オレフィン、特に1〜5の塩素原子を有する炭素数2〜5のオレフィンであることが好ましい。ハロゲン化オレフィン単量体の好ましい具体例は、ハロゲン化ビニル、例えば塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、例えば塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、ヨウ化ビニリデンである。撥水性(特に撥水性の耐久性)が高くなるので、塩化ビニルが好ましい。
ハロゲン化オレフィンが存在することにより、重合体が与える洗濯耐久性が高くなる。
(e)重合性基を有するシリコーンマクロマー
共重合体は、重合性基を有するシリコーンマクロマーから誘導された繰り返し単位を有してよい。
重合性基は、一般に、ラジカル重合性基である。重合性基を有するシリコーンマクロマーは、式:
Figure 2019026746
[式中、Rは、同一または異なって、炭素数1〜12の炭化水素基であり、
Xは、重合性官能基を有する基であり、
mは、5〜200の数である。]
で示される化合物であることが好ましい。
R基の全体の50モル%以上がメチル基であることが好ましい。炭化水素基は、置換されていてもよい。
X基(重合性官能基を含有する基)は、重合性官能基およびアルキレン基(アルキレン基の炭素数は1〜10であることが好ましい)によって形成されていることが好ましい。重合性基の例は、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、アリル基、ビニルベンジル基、ビニルエーテル基、ビニルアルキルシリル基、ビニルケトン基およびイソプロペニル基である。(メタ)アクリロイル基、すなわち、アクリロイル基およびメタクリロイル基が好ましい。メタクリロイル基を有するシリコーンマクロマー(すなわち、メタクリル変性のシリコーンマクロマー)がより好ましい。片末端のみにメタクリロイル基を有するシリコーンマクロマー(片末端メタクリル変性のシリコーンマクロマー)が特に好ましい。
シリコーンマクロマーの具体例は次のとおりである。
Figure 2019026746
Figure 2019026746

Figure 2019026746
Figure 2019026746
Figure 2019026746

[上記式において、mは5〜200の数である。]
シリコーンマクロマーの数平均分子量は、一般に1,000〜100,000、例えば2,000〜50,000である。数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定される(ポリスチレン換算)。
シリコーンマクロマーは、公知の方法によって製造できる。製造方法としては、例えば、リチウムトリアルキルシラノレートを開始剤とし、環状シロキサンをアニオン重合することによりリビングポリマーを得、さらにγ−メタクリロキシプロピルジメチルモノクロロシランを反応させてシリコーンマクロマーを得る方法、または末端シラノール基含有シリコーンと有機ケイ素化合物との縮合物としてシリコーンマクロマーを得る方法が挙げられる。
シリコーンマクロマーを使用することにより、耐チョークマーク性、風合いおよび撥水性が高くなる。
(f)他の単量体
単量体(a)〜(d)以外の他の単量体(f)、例えば、非フッ素非架橋性単量体を使用しても良い。
他の単量体の例には、例えば、エチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、およびビニルアルキルエーテルが含まれる。他の単量体はこれらの例に限定されない。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミドまたはメタクリルアミドを意味する。
単量体(a)〜(f)のそれぞれは、1種単独であってよく、あるいは2種以上の混合物であってもよい。
単量体(a)の量は、重合体に対して30重量%以上、好ましくは40重量部以上、特に50重量部以上であってよい。単量体(a)の量は、重合体に対して、95重量部以下、例えば80重量部以下、あるいは75重量部以下、あるいは70重量部以下であってよい。
重合体において、単量体(a)100重量部に対して、
繰り返し単位(b)の量が0〜200重量部、好ましくは1〜100重量部、
繰り返し単位(c)の量が0〜50重量部、好ましくは1〜10重量部、
繰り返し単位(d)の量が0〜100重量部、好ましくは1〜60重量部、
繰り返し単位(e)の量が0〜70重量部、好ましくは1〜15重量部、
繰り返し単位(f)の量が0〜100重量部、好ましくは1〜30重量部
であってよい。
重合体において、単量体(b1)および単量体(b2)のそれぞれの量は、単量体(a)100重量部に対して、0〜150重量部、好ましくは1〜100重量部、例えば2〜50であってよい。
重合体の数平均分子量(Mn)は、一般に、1000〜1000000、例えば5000〜500000、特に3000〜200000であってよい。重合体の数平均分子量(Mn)は、一般に、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定する。
本発明において、単量体を重合させ、重合体が液状媒体に分散または溶解した撥水剤組成物を得る。
本発明において使用する単量体は次のとおりである。
単量体(a)、
単量体(a)+(b)、
単量体(a)+(b)+(c)、
単量体(a)+(b)+(d)、または
単量体(a)+(b)+(c)+(d)。
上記に加えて、単量体(e)および単量体(f)の一方または両方を使用してもよい。単量体(b)は、単量体(b1)および単量体(b2)の少なくとも1種であってよい。
(2)液状媒体
撥水剤組成物は、液状媒体を含有する。液状媒体は、有機溶媒であるか、あるいは水、有機溶媒または水と有機溶媒の混合物である。
撥水剤組成物は、一般に、溶液または分散液である。溶液は、重合体が有機溶媒に溶解している溶液である。分散液は、重合体が水性媒体(水、または水と有機溶媒の混合物)に分散している水性分散液である。
有機溶媒の例は、エステル(例えば、炭素数2〜30のエステル、具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、炭素数2〜30のケトン、具体的には、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン)、アルコール(例えば、炭素数1〜30のアルコール、具体的には、イソプロピルアルコール)、芳香族系溶剤(例えば、トルエンおよびキシレン)、石油系溶剤(例えば、炭素数5〜10のアルカン、具体的には、ナフサ、灯油)である。
液状媒体は、水の単独、あるいは水と(水混和性)有機溶媒との混合物であってよい。有機溶媒の量は、液状媒体に対して、30重量%以下、例えば10重量%以下(好ましくは0.1重量%以上)であってよい。液状媒体は、水の単独であることが好ましい。
(3)界面活性剤
撥水剤組成物は水性分散液である場合に、界面活性剤を含有することが好ましい。
本発明の撥水剤組成物において、界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤を含む。さらに、界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、および両性界面活性剤から選択された1種以上の界面活性剤を含むことが好ましい。ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤の組み合わせを用いることが好ましい。
(3−1)ノニオン性界面活性剤
ノニオン性界面活性剤の例としては、エーテル、エステル、エステルエーテル、アルカノールアミド、多価アルコールおよびアミンオキシドが挙げられる。
エーテルの例は、オキシアルキレン基(好ましくは、ポリオキシエチレン基)を有する化合物である。
エステルの例は、アルコールと脂肪酸のエステルである。アルコールの例は、1〜6価(特に2〜5価)の炭素数1〜50(特に炭素数10〜30)のアルコール(例えば、脂肪族アルコール)である。脂肪酸の例は、炭素数2〜50、特に炭素数5〜30の飽和または不飽和の脂肪酸である。
エステルエーテルの例は、アルコールと脂肪酸のエステルに、アルキレンオキシド(特にエチレンオキシド)を付加した化合物である。アルコールの例は、1〜6価(特に2〜5価)の炭素数1〜50(特に炭素数3〜30)のアルコール(例えば、脂肪族アルコール)である。脂肪酸の例は、炭素数2〜50、特に炭素数5〜30の飽和または不飽和の脂肪酸である。
アルカノールアミドの例は、脂肪酸とアルカノールアミンから形成されている。アルカノールアミドは、モノアルカノールアミドまたはジアルカノールアミノであってよい。脂肪酸の例は、炭素数2〜50、特に炭素数5〜30の飽和または不飽和の脂肪酸である。アルカノールアミンは、1〜3のアミノ基および1〜5ヒドロキシル基を有する炭素数2〜50、特に5〜30のアルカノールであってよい。
多価アルコールは、2〜5価の炭素数3〜30のアルコールであってよい。
アミンオキシドは、アミン(二級アミンまたは好ましくは三級アミン)の酸化物(例えば炭素数5〜50)であってよい。
ノニオン性界面活性剤は、オキシアルキレン基(好ましくはポリオキシエチレン基)を有するノニオン性界面活性剤であることが好ましい。オキシアルキレン基におけるアルキレン基の炭素数は、2〜10であることが好ましい。ノニオン性界面活性剤の分子におけるオキシアルキレン基の数は、一般に、2〜100であることが好ましい。
ノニオン性界面活性剤は、エーテル、エステル、エステルエーテル、アルカノールアミド、多価アルコールおよびアミンオキシドからなる群から選択されており、オキシアルキレン基を有するノニオン性界面活性剤であることが好ましい。
ノニオン性界面活性剤は、直鎖状および/または分岐状の脂肪族(飽和および/または不飽和)基のアルキレンオキシド付加物、直鎖状および/または分岐状脂肪酸(飽和および/または不飽和)のポリアルキレングリコールエステル、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレン(POP)共重合体(ランダム共重合体またはブロック共重合体)、アセチレングリコールのアルキレンオキシド付加物等であってよい。これらの中で、アルキレンオキシド付加部分およびポリアルキレングリコール部分の構造がポリオキシエチレン(POE)またはポリオキシプロピレン(POP)またはPOE/POP共重合体(ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってよい)であるものが好ましい。
また、ノニオン性界面活性剤は、環境上の問題(生分解性、環境ホルモンなど)から芳香族基を含まない構造が好ましい。
ノニオン性界面活性剤は、式:
1O−(CHCHO)p−(R2O)q−R3
[式中、R1は炭素数1〜22のアルキル基または炭素数2〜22のアルケニル基またはアシル基であり、
2のそれぞれは、独立的に同一または異なって、炭素数3以上(例えば、3〜10)のアルキレン基であり、
3は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基または炭素数2〜22のアルケニル基であり、
pは2以上の数であり、
qは0または1以上の数である。]
で示される化合物であってよい。
1は、炭素数8〜20、特に10〜18であることが好ましい。R1の好ましい具体例としては、ラウリル基、トリデシル基、オレイル基が挙げられる。
2の例は、プロピレン基、ブチレン基である。
ノニオン性界面活性剤において、pは3以上の数(例えば、5〜200)であってよい。qは、2以上の数(例えば5〜200)であってよい。すなわち、−(R2O)q−がポリオキシアルキレン鎖を形成してもよい。
ノニオン性界面活性剤は、中央に親水性のポリオキシエチレン鎖と疎水性のオキシアルキレン鎖(特に、ポリオキシアルキレン鎖)を含有したポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテルであってよい。疎水性のオキシアルキレン鎖としては、オキシプロピレン鎖、オキシブチレン鎖、スチレン鎖等が挙げられるが、中でも、オキシプロピレン鎖が好ましい。
ノニオン性界面活性剤の具体例には、エチレンオキシドとヘキシルフェノール、イソオクタチルフェノール、ヘキサデカノール、オレイン酸、アルカン(C12−C16)チオール、ソルビタンモノ脂肪酸(C−C19)またはアルキル(C12−C18)アミンなどとの縮合生成物が包含される。
ポリオキシエチレンブロックの割合がノニオン性界面活性剤(コポリマー)の分子量に対して5〜80重量%、例えば30〜75重量%、特に40〜70重量%であることができる。
ノニオン性界面活性剤の平均分子量は、一般に300〜5,000、例えば、500〜3,000である。
ノニオン性界面活性剤は、1種単独であってよく、あるいは2種以上の混合物であってもよい。
(3−2)カチオン性界面活性剤
カチオン性界面活性剤は、アミド基を有しない化合物であることが好ましい。
カチオン性界面活性剤は、アミン塩、4級アンモニウム塩、オキシエチレン付加型アンモニウム塩であってよい。カチオン性界面活性剤の具体例としては、特に限定されないが、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の4級アンモニウム塩型界面活性剤等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤の好ましい例は、
R21-N+(-R22)(-R23)(-R24) X-
[式中、R21、R22、R23およびR24は炭素数1〜30の炭化水素基、
Xはアニオン性基である。]
の化合物である。
R21、R22、R23および-R24の具体例は、アルキル基(例えば、メチル基、ブチル基、ステアリル基、パルミチル基)である。Xの具体例は、ハロゲン(例えば、塩素)、酸(例えば、塩酸、酢酸)である。
カチオン性界面活性剤は、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩(アルキルの炭素数4〜30)であることが特に好ましい。
カチオン性界面活性剤は、アンモニウム塩であることが好ましい。カチオン性界面活性剤は、式:
R1 p - N+R2 qX
[式中、R1はC12以上(例えばC12〜C50)の直鎖状および/または分岐状の脂肪族(飽和および/または不飽和)基、
R2はHまたはC1〜4のアルキル基、ベンジル基、ポリオキシエチレン基(オキシエチレン基の数例えば1(特に2、特別には3)〜50)
(CH3、C2H5が特に好ましい)、
Xはハロゲン原子(例えば、)、C1〜C4の脂肪酸塩基、
pは1または2、qは2または3で、p+q=4である。]
で示されるアンモニウム塩であってよい。Rの炭素数は、12〜50、例えば12〜30であってよい。
カチオン性界面活性剤の具体例には、ドデシルトリメチルアンモニウムアセテート、トリメチルテトラデシルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロライド、(ドデシルメチルベンジル)トリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムクロライド、メチルドデシルジ(ヒドロポリオキシエチレン)アンモニウムクロライド、ベンジルドデシルジ(ヒドロポリオキシエチレン)アンモニウムクロライド、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]オレアミド塩酸塩が包含される。
両性界面活性剤としては、アラニン類、イミダゾリニウムベタイン類、アミドベタイン類、酢酸ベタイン等が挙げられ、具体的には、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両性界面活性剤のそれぞれが1種または2以上の組み合わせであってよい。
カチオン性界面活性剤の量は、界面活性剤の全量に対して、5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上であってよい。ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤の重量比は、好ましくは95:5〜20:80、より好ましくは85:15〜40:60である。
カチオン性界面活性剤の量は、重合体100重量部に対して、0.05〜10重量部、例えば、0.1〜8重量部であってよい。界面活性剤の合計量は、重合体100重量部に対して、0.1〜20重量部、例えば、0.2〜10重量部であってよい。
(4)添加剤
本発明の撥水剤組成物は、含フッ素重合体(1)および液状媒体(2)および必要により(3)界面活性剤に加えて、(4)添加剤を含有してもよい。
添加剤(4)の例は、他の撥水剤,撥油剤,乾燥速度調整剤,架橋剤,造膜助剤,相溶化剤,界面活性剤,凍結防止剤,粘度調整剤,紫外線吸収剤,酸化防止剤,pH調整剤,消泡剤,風合い調整剤,すべり性調整剤,帯電防止剤,親水化剤,抗菌剤,防腐剤,防虫剤,芳香剤,難燃剤等などである。
添加剤(4)は、含フッ素重合体であってよい。
本発明の撥水剤組成物は、重合体(活性成分)として上記の非フッ素重合体のみを含有してよいが、上記の非フッ素重合体に加えて、含フッ素重合体を含有してもよい。一般に、撥水剤組成物(特に、水性エマルション)において、非フッ素重合体によって形成される粒子と、含フッ素重合体によって形成される粒子が別個に存在する。すなわち、非フッ素重合体と含フッ素重合体を別個に製造した後、非フッ素重合体と含フッ素重合体を混合することが好ましい。一般に、非フッ素重合体のエマルション(特に、水性エマルション)と含フッ素重合体のエマルション(特に、水性エマルション)を別個に製造した後、非フッ素重合体のエマルションと含フッ素重合体のエマルションを混合することが好ましい。
含フッ素重合体は、含フッ素単量体から誘導された繰り返し単位を有する重合体である。含フッ素単量体は、一般式:
CH2=C(−X)−C(=O)−Y−Z−Rf
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基であり;
Yは、−O−または−NH−であり;
Zは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜18の芳香族基または環状脂肪族基、
-CH2CH2N(R1)SO2−基(但し、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)または
-CH2CH(OZ1) CH2−基(但し、Z1は水素原子またはアセチル基である。)または
-(CH2)m−SO2−(CH2)n−基または -(CH2)m−S−(CH2)n−基(但し、mは1〜10、nは0〜10、である)、
Rfは、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。]
で示されるアクリレートエステルまたはアクリルアミドであることが好ましい。
Rf基の炭素数は、1〜6、特に4〜6、特別に6であることが好ましい。
含フッ素重合体は、ハロゲン化オレフィン単量体、非フッ素非架橋性単量体および非フッ素架橋性単量体からなる群から選択された少なくとも1種の非フッ素単量体から誘導された繰り返し単位を有してもよい。
ハロゲン化オレフィン単量体は、1〜10の塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換されている炭素数2〜20のオレフィンであることが好ましい。ハロゲン化オレフィン単量体の具体例は、ハロゲン化ビニル、例えば塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、例えば塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、ヨウ化ビニリデンである。
好ましい非フッ素非架橋性単量体は、式:
CH=CA−T
[式中、Aは、水素原子、メチル基、または、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)であり、
Tは、水素原子、炭素数1〜20の鎖状または環状の炭化水素基、またはエステル結合を有する鎖状または環状の炭素数1〜20の有機基である。]
で示される化合物である。非フッ素非架橋性単量体の具体例には、アルキル(メタ)アクリレートエステル、エチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、およびビニルアルキルエーテルが含まれる。
非フッ素架橋性単量体は、少なくとも2つの炭素−炭素二重結合(例えば、(メタ)アクリル基)を有する化合物、あるいは少なくとも1つの炭素−炭素二重結合および少なくとも1つの反応性基を有する化合物であってよい。
撥水剤組成物における非フッ素重合体と含フッ素重合体の重量比は、100:0〜10:90、例えば90:10〜20:80、好ましくは80:20〜30:70であってよい。
非フッ素重合体と含フッ素重合体のそれぞれは、1種の重合体であってもよいが、2種以上の重合体の組み合わせであってもよい。
非フッ素重合体および含フッ素重合体の組み合わせを使用する場合には、含フッ素重合体のみを使用する場合と同等または同等以上の性能(特に、撥水性)が得られる。
本発明における重合体(フルオロアルキル基を有しない重合体、特に非フッ素重合体、および含フッ素重合体、特にフルオロアルキル基を有する共重合体)は通常の重合方法の何れでも製造でき、また重合反応の条件も任意に選択できる。このような重合方法として、溶液重合、懸濁重合、乳化重合が挙げられる。乳化重合が好ましい。
本発明の撥水剤組成物が水系エマルションであれば、重合体の製造方法は限定されない。例えば、溶液重合により重合体を製造した後に、溶剤の除去および界面活性剤および水の添加を行って、水系エマルションを得ることができる。
溶液重合では、重合開始剤の存在下で、単量体を有機溶媒に溶解させ、窒素置換後、30〜120℃の範囲で1〜10時間、加熱撹拌する方法が採用される。重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどが挙げられる。重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01〜20重量部、例えば0.01〜10重量部の範囲で用いられる。
有機溶媒は、単量体に不活性でこれらを溶解するものであり、例えば、エステル(例えば、炭素数2〜30のエステル、具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、炭素数2〜30のケトン、具体的には、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン)、アルコール(例えば、炭素数1〜30のアルコール、具体的には、イソプロピルアルコール)であってよい。有機溶媒の具体例としては、アセトン、クロロホルム、HCHC225、イソプロピルアルコール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、テトラクロロジフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンなどが挙げられる。有機溶媒は単量体の合計100重量部に対して、10〜2000重量部、例えば、50〜1000重量部の範囲で用いられる。
乳化重合では、重合開始剤および乳化剤の存在下で、単量体を水中に乳化させ、窒素置換後、50〜80℃の範囲で1〜10時間、撹拌して重合させる方法が採用される。重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチルパーベンゾエート、1−ヒドロキシシクロヘキシルヒドロ過酸化物、3−カルボキシプロピオニル過酸化物、過酸化アセチル、アゾビスイソブチルアミジン−二塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性のものやアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどの油溶性のものが用いられる。重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲で用いられる。
放置安定性の優れた重合体水分散液を得るためには、高圧ホモジナイザーや超音波ホモジナイザーのような強力な破砕エネルギーを付与できる乳化装置を用いて、単量体を水中に微粒子化して重合することが望ましい。また、乳化剤としてはアニオン性、カチオン性あるいはノニオン性の各種乳化剤を用いることができ、単量体100重量部に対して、0.5〜20重量部の範囲で用いられる。アニオン性および/またはノニオン性および/またはカチオン性の乳化剤を使用することが好ましい。単量体が完全に相溶しない場合は、これら単量体に充分に相溶させるような相溶化剤、例えば、水溶性有機溶媒や低分子量の単量体を添加することが好ましい。相溶化剤の添加により、乳化性および共重合性を向上させることが可能である。
水溶性有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エタノールなどが挙げられ、水100重量部に対して、1〜50重量部、例えば10〜40重量部の範囲で用いてよい。また、低分子量の単量体としては、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートなどが挙げられ、単量体の総量100重量部に対して、1〜50重量部、例えば10〜40重量部の範囲で用いてよい。
重合においては、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤の使用量に応じて、重合体の分子量を変化させることができる。連鎖移動剤の例は、ラウリルメルカプタン、チオグリコール、チオグリセロールなどのメルカプタン基含有化合物(特に、(例えば炭素数1〜30の)アルキルメルカプタン)、次亜リン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどの無機塩などである。連鎖移動剤の使用量は、単量体の総量100重量部に対して、0.01〜10重量部、例えば0.1〜5重量部の範囲で用いてよい。
本発明の撥水剤組成物は、溶液、エマルション(特に、水性分散液)またはエアゾールの形態であってよいが、溶液または水性分散液であることが好ましい。撥水剤組成物は、重合体(撥水剤組成物の活性成分)および媒体(特に、液状媒体、例えば、有機溶媒および/または水)を含んでなる。媒体の量は、例えば、撥水剤組成物に対して、5〜99.9重量%、特に10〜80重量%であってよい。
撥水剤組成物において、重合体の濃度は、0.01〜95重量%、例えば5〜50重量%であってよい。
本発明の撥水剤組成物は、外的処理剤(表面処理剤)または内的処理剤として使用できる。
本発明の撥水剤組成物は、外的処理剤である場合に、従来既知の方法により被処理物に適用することができる。通常、該撥水剤組成物を有機溶媒または水に分散して希釈して、浸漬塗布、スプレー塗布、泡塗布などのような既知の方法により、被処理物の表面に付着させ、乾燥する方法が採られる。また、必要ならば、適当な架橋剤(例えば、ブロックドイソシアネート)と共に適用し、キュアリングを行ってもよい。さらに、本発明の撥水剤組成物に、防虫剤、柔軟剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、塗料定着剤、防シワ剤などを添加して併用することも可能である。基材と接触させる処理液における重合体の濃度は0.01〜10重量%(特に、浸漬塗布の場合)、例えば0.05〜10重量%であってよい。
本発明の処理剤組成物(撥水剤組成物)で処理される被処理物としては、繊維製品、石材、フィルター(例えば、静電フィルター)、防塵マスク、燃料電池の部品(例えば、ガス拡散電極およびガス拡散支持体)、ガラス、紙、木、皮革、毛皮、石綿、レンガ、セメント、金属および酸化物、窯業製品、プラスチック、塗面、およびプラスターなどを挙げることができる。繊維製品としては種々の例を挙げることができる。例えば、綿、麻、羊毛、絹などの動植物性天然繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどの合成繊維、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維などの無機繊維、あるいはこれらの混合繊維が挙げられる。
繊維製品は、繊維、布等の形態のいずれであってもよい。
本発明の撥水剤組成物は、内部離型剤あるいは外部離型剤としても使用できる。
重合体は、繊維製品を液体で処理するために知られている方法のいずれかによって繊維状基材(例えば、繊維製品など)に適用することができる。繊維製品が布であるときには、布を溶液に浸してよく、あるいは、布に溶液を付着または噴霧してよい。処理された繊維製品は、撥水性を発現させるために、乾燥され、好ましくは、例えば、100℃〜200℃で加熱される。
あるいは、重合体はクリーニング法によって繊維製品に適用してよく、例えば、洗濯適用またはドライクリーニング法などにおいて繊維製品に適用してよい。
処理される繊維製品は、典型的には、布であり、これには、織物、編物および不織布、衣料品形態の布およびカーペットが含まれるが、繊維または糸または中間繊維製品(例えば、スライバーまたは粗糸など)であってもよい。繊維製品材料は、天然繊維(例えば、綿または羊毛など)、化学繊維(例えば、ビスコースレーヨンまたはレオセルなど)、または、合成繊維(例えば、ポリエステル、ポリアミドまたはアクリル繊維など)であってよく、あるいは、繊維の混合物(例えば、天然繊維および合成繊維の混合物など)であってよい。繊維製品はカーペットであることが好ましい。
あるいは、繊維状基材は皮革であってよい。製造重合体を、皮革を疎水性および疎油性にするために、皮革加工の様々な段階で、例えば、皮革の湿潤加工の期間中に、または、皮革の仕上げの期間中に、水溶液または水性乳化物から皮革に適用してよい。
あるいは、繊維状基材は紙であってもよい。製造重合体を、予め形成した紙に適用してよく、または、製紙の様々な段階で、例えば、紙の乾燥期間中に適用してもよい。
「処理」とは、処理剤を、浸漬、噴霧、塗布などにより被処理物に適用することを意味する。処理により、処理剤の有効成分である重合体が被処理物の内部に浸透するおよび/または被処理物の表面に付着する。
撥水剤組成物は、内的処理剤である場合に、樹脂、例えば熱可塑性樹脂に添加することによって、樹脂に撥水性を付与できる。樹脂の成形体を製造するときに、撥水剤組成物を使用できる。
重合体を含む液(溶液または分散液)から液状媒体を除去し、重合体を得る。例えば、重合体の分散液(水性分散液または有機溶媒分散液)を水または有機溶媒で再沈した後、乾燥することによって、重合体を得ることができる。
例えば、樹脂と重合体を混合して樹脂組成物を得る工程、および樹脂組成物を成形する工程を有する製造方法によって成形体を製造できる。押出機等を用いて溶融混練することにより成形体を製造することが好ましい。
一般に、熱可塑性樹脂と重合体とは、溶融状態において相溶性である。混練は、例えば一軸押出機、二軸押出機、ロール等、従来公知の方法にて行うことができる。こうして得られた樹脂組成物を、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形、プレス等によって成形する。樹脂組成物は、種々の形状の成形体に成形される。得られた成形体は、成形加工後さらにオーブン、乾燥炉等で加熱処理を施してもよい。成形品は単層であってもよく、2層〜10層、例えば3層〜5層の複層であってよい。
成形体は、熱可塑性樹脂が使用される用途、特に、汚れに対して優れたふき取り容易性と優れた耐傷つき性を有することが好ましい用途に使用できる。成形体の用途は、自動車(外装部品および内装部品)(例えば、バンパー、インスツルメンタルパネル、ドアトリム)、家庭電気製品(例えば、洗濯機および冷蔵庫)(例えば、筐体、冷蔵庫内の扉、トレイ、野菜室容器)、各種ケース類、建築物(内装および部品)(例えば、手すり、壁紙、机、椅子、便座及び便座力バー、浴槽)、電子機器(例えば、スマートフォンの筐体)、排水溝、パイプ、食器、床材、ガソリンタンク、燃料ホース、OA機器などである。中でも、自動車の内装部品、家庭電化製品の内装部品、建築物が更に好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下において、部または%または比は、特記しない限り、重量部または重量%または重量比を表す。
試験の手順は次のとおりである。
撥水性試験
固形分濃度1.5%の処理液を調製し、布をこの試験溶液に浸してからマングルに通し、160℃で2分間、熱処理した試験布で撥水性を評価した。JIS−L−1092(AATCC−22)のスプレー法に準じて処理布の撥水性を評価した。下記に記載する表に示されるように撥水性No.によって表す。点数が大きいほど撥水性が良好なことを示す。
Figure 2019026746
ガムアップ率試験
重合体分散液を固形分濃度が5重量%になるように硬水B(硬度16:塩化カルシウム1.9425g、塩化マグネシウム0.3975g、硫酸ナトリウム4.63g/水10 L)での希釈液を1000g調製して、40℃に温調できるパッドに入れる。マングルに幅20cmおよび長さ80cmのポリエステル布を輪にして連続処理できるようにして、マングル圧0.4MPaで1時間の連続処理を行う。ガムアップ率を以下の式により求める。
(マングルへのガムアップ量)=(ポリエステル布の処理前重量+処理前の希釈液固形分重量)−(ポリエステル布の処理後重量+処理後の希釈液固形分重量)
(ガムアップ率)=100 X (マングルへのガムアップ量)/(処理前の希釈液固形分重量)
ガムアップ率が4%未満の場合、ガムアップが抑制されている(加工安定性が良い)。
合成例1
[C18UA(ステアリル基含有ウレタンアクリレート)の合成]
Figure 2019026746
1Lの四つ口フラスコへヒドロキシエチルアクリレート 80.2g、酢酸エチル100g、ターシャリーブチルカテコール 0.03g、ジブチルチンジラウレート 0.03gを仕込む。攪拌棒、温度計、還流管をセットしオクタデシルイソシアネート 201.4gを酢酸エチル 100gに溶解させて滴下ロートに仕込む。滴下ロートをフラスコにセットし、70℃に昇温する。滴下ロートからオクタデシルイソシアネートの酢酸エチル溶液を発熱に注意しながら30分ほどかけて徐々に滴下する。滴下終了後、さらに2時間ほど反応させる。赤外分光法(IR)によりイソシアネートのピークが消失したことを確認し、反応を終了した。反応物をメタノールに再沈殿させ、メタノールで洗浄後、減圧乾燥することで白色の粉末を得た。反応物はH−NMRよりC18UAと同定された。
示差走査熱量計(DSC)より化合物の融点は約73℃であった。
合成例2
[C18ureaMA(ステアリル基含有ウレアメタクリレート)の合成]
Figure 2019026746
(n=18)
1Lの四つ口フラスコへステアリルアミン 200g、酢酸エチル 100g、ターシャリーブチルカテコール 0.03gを仕込む。攪拌棒、温度計、還流管をセットし 2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(CAS.No: 30674−80−7) を酢酸エチル 100gに溶解させて滴下ロートに仕込む。滴下ロートをフラスコにセットし、室温で滴下ロートから2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの酢酸エチル溶液を発熱に注意しながら、30分ほどかけて徐々に滴下する。滴下終了後、さらに2時間ほど反応させる。赤外分光法(IR)によりイソシアネートのピークが消失したことを確認し、反応を終了した。反応物をメタノールに再沈殿させ、メタノールで洗浄後、減圧乾燥することで白色の粉末を得た。反応物はH−NMRよりC18ureaMAと同定された。示差走査熱量計(DSC)より化合物の融点は約91℃であった。
合成例3
[C18X2UMA(ステアリル基含有(2鎖型)ウレタンメタクリレート)の合成]
Figure 2019026746
1Lの四つ口フラスコへグリセロールメタクリレート 55.3g、酢酸エチル100g、ターシャリーブチルカテコール 0.03g、ジブチルチンジラウレート 0.03gを仕込む。攪拌棒、温度計、還流管をセットしオクタデシルイソシアネート 201.4gを酢酸エチル 100gに溶解させて滴下ロートに仕込む。滴下ロートをフラスコにセットし、70℃に昇温する。滴下ロートからオクタデシルイソシアネートの酢酸エチル溶液を発熱に注意しながら30分ほどかけて徐々に滴下する。滴下終了後、さらに2時間ほど反応させる。赤外分光法(IR)によりイソシアネートのピークが消失したことを確認し、反応を終了した。反応物をメタノールに再沈殿させ、メタノールで洗浄後、減圧乾燥することで白色の粉末を得た。反応物はH−NMRよりC18X2UMAと同定された。示差走査熱量計(DSC)より化合物の融点は約81℃であった。
製造例1
窒素導入管、温度計、攪拌棒、還流管を備えた200ccの四つ口フラスコにC18UAを40g、ラウリルメルカプタンを0.04g、トルエンを56g仕込み、窒素気流下、室温で30分攪拌した。その後、4gのトルエンに0.4gのAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)溶解した溶液を加えて、80℃まで昇温し、8時間、重合反応を行った。重合体を得た後、さらにトルエンを追加し、固形分濃度が20%のトルエン溶液1を調製した。
製造例2〜8
表1に示す組成で製造例1と同様の方法で重合を実施し、重合体を得た後、トルエンで希釈し、固形分濃度が20%のトルエン溶液2〜8を調製した。
比較製造例1
表1に示す組成で製造例1と同様の方法で重合を実施し、重合体を得た後、トルエンで希釈し、固形分濃度が20%のトルエン溶液を調製した。
製造例9
500mlのポリ容器にトリプロピレングリコール 17g、C18UA 59g、N-メチロールアクリルアミド 1g,純水 136g、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライド 0.6g、ソルビタンモノオレエート 1g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル 2g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル 2.4g を仕込み、80℃に加熱し、ホモミキサーで1分、2000rpmで攪拌した後、超音波で15分間、乳化分散させた。乳化分散物を窒素導入管、温度計、攪拌棒、還流管を備えた500ccの四つ口フラスコに移し、窒素置換後、ラウリルメルカプタン0.1gを仕込み攪拌後、更に2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩 0.6gを添加し、60℃で昇温し、4時間、反応させて重合体の水性分散液を得た。その後、純水を追加し、固形分濃度が20%の水分散体9を調製した。
製造例10〜12
表2に示す組成で製造例9と同様の方法で重合を実施し、重合体を得た後、更に純水で希釈し、固形分濃度が20%の水分散体10〜12を調製した。
製造例13
500mlのポリ容器にトリプロピレングリコール 30g、C18UA 40g、ステアリルアクリレート 39g、N-メチロールアクリルアミド 1g、純水 180g、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロライド 2g、ソルビタンモノオレエート 2g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル 2.5g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル 3.5g を仕込み、80℃に加熱し、ホモミキサーで1分、2000rpmで攪拌した後、超音波で15分間、乳化分散させた。乳化分散物を500mlのオートクレーブに移し、窒素置換後、ラウリルメルカプタン 0.2g、塩化ビニルを20g仕込んだ。更に2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩 1gを添加し、60℃で昇温し、4時間、反応させて重合体の水性分散液を得た。この分散液を更に純水で希釈して固形分濃度 20%の水分散体13を調製した。
製造例14〜15
表2に示す組成で製造例13と同様の方法で重合を実施し、重合体を得た後、更に純水で希釈し、固形分濃度が20%の水分散体14〜15を調製した。
比較製造例2〜3
表2に示す組成で製造例13と同様の方法で重合を実施し、重合体を得た後、更に純水で希釈し、固形分濃度が20%の水分散体を調製した。
略号の意味は次のとおりである。
Figure 2019026746
Figure 2019026746
Figure 2019026746
試験例1
製造例1で調製した固形分濃度20%のトルエン溶液1をさらにトルエンで希釈して、固形分濃度1.5%の処理液を調製した。この処理液にポリエステル布(グレー)、ナイロン布(ブラック)を浸せきした後、10秒程度、軽く遠心脱水機にかけた。ウエットピックアップは約65%(ポリエステル布)、約40%(ナイロン布)だった。この処理布を170℃で1分間、ピンテンターに通し、乾燥、キュアリングした。この処理布を室温で一晩、乾燥後、さらに170℃で1分間、ピンテンターに通し、熱処理した。このようにして処理された試験布をJIS L−1092のスプレー法による撥水性試験で撥水性を評価した。撥水性の結果を表3に示す。
試験例2〜8
製造例2〜8で調製した固形分濃度20%の各トルエン溶液2〜8を試験例1と同様にトルエンで希釈し(固形分濃度1.5%)、試験例1と同様に布を処理して撥水試験を行った。結果を表3に示す。
比較試験例1
比較製造例1で調製した固形分濃度20%のトルエン溶液を試験例1と同様にトルエンで固形分濃度が1.5%になるように希釈し、試験例1と同様に布を処理して撥水試験を行った。結果を表3に示す。
比較試験例4
融点が約75℃である固形パラフィンワックスをトルエンで固形分濃度が1.5%になるように希釈し、試験例1と同様に布を処理して撥水試験を行った。結果を表3に示す。
試験例9
製造例9で調製した固形分濃度20%の水分散体9をさらに水道水で希釈して、固形分濃度1.5%の処理液を調製した。この処理液にポリエステル布(グレー)、ナイロン布(ブラック)を浸せきした後、マングルで絞った。ウエットピックアップは約55%(ポリエステル布)、約35%(ナイロン布)だった。この処理布を170℃で1分間、ピンテンターに通し、乾燥、キュアリングした。このようにして処理された試験布をJIS L−1092のスプレー法による撥水性試験で撥水性を評価した。撥水性の結果を表4に示す。
また、JIS L−0217 103に従い、10回洗濯した後、タンブラー(60℃で30分)で乾燥された試験布の撥水性の評価結果を同様に表4に示す。
試験例10〜12
製造例10〜12で調製した固形分濃度20%の水分散体10〜12を試験例9と同様に固形分濃度が1.5%になるように水道水で希釈し、処理液を調製した。この処理液を用いて試験例9と同様に布を処理して撥水試験を行った。結果を表4に示す。
比較試験例2〜3
比較製造例2〜3で調製した固形分濃度20%の水分散体を試験例9と同様に固形分濃度が1.5%になるように水道水で希釈し、処理液を調製した。この処理液を用いて試験例9と同様に布を処理して撥水試験を行った。結果を表4に示す。
ガムアップ率の測定
製造例9〜11および13〜14、ならびに比較製造例2及び3についてガムアップ率を測定した結果を表4に示す。
Figure 2019026746
Figure 2019026746
本発明の撥水剤組成物は、外的処理剤(表面処理剤)または内的処理剤として使用できる。本発明の処理剤は、繊維製品およびメーソンリーなどの基材に対して好適に使用でき、基材に優れた撥水性を付与する。

Claims (12)

  1. (1)(a)重合体に対して30〜100重量%の、式:
    式:
    CH2=C(−R)−C(=O)−Y−Z(−Y−R)
    [式中、Rは、炭素数7〜40の炭化水素基であり、
    は、水素原子またはメチル基であり、
    は、−O−または−NH−であり、
    は、−O−C(=O)−NH−または−NH−C(=O)−NH−であり、
    Zは、2価または3価の炭素数1〜5の炭化水素基であり、
    nは、1または2である。]
    で示される含窒素単量体から誘導された繰り返し単位
    を有している重合体、および
    (2)液状媒体
    を含む撥水剤組成物。
  2. 単量体(a)において、Rがアルキル基であり、Zが2価または3価の直鎖または分岐のアルカン基である請求項1に記載の撥水剤組成物。
  3. 重合体(1)が、さらに、単量体(a)以外の重合性単量体から誘導された繰り返し単位を有し、
    単量体(a)以外の重合性単量体が、式:
    CH=CA−T
    [式中、Aは、水素原子、メチル基、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、
    Tは、水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜40の鎖状または環状の炭化水素基、またはエステル結合を有する鎖状または環状の炭素数2〜41の有機基である。]
    で示される化合物である請求項1または2に記載の撥水剤組成物。
  4. 単量体(a)以外の重合性単量体が、
    (b)アクリレートエステル単量体、
    (c)非フッ素架橋性単量体、および
    (d)ハロゲン化オレフィン
    からなる群から選択された少なくとも1種である請求項3に記載の撥水剤組成物。
  5. 他のアクリレートエステル単量体(b)が、
    (b1)脂肪族炭化水素基を有するアクリレートエステル単量体、および
    (b2)環状炭化水素基を有するアクリレートエステル単量体
    からなる群から選択された少なくとも1種である請求項4に記載の撥水剤組成物。
  6. 非フッ素架橋性単量体(c)が、少なくとも2つのエチレン性不飽和二重結合を有する化合物、あるいは少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合および少なくとも1つの反応性基を有する化合物である請求項4に記載の撥水剤組成物。
  7. ハロゲン化オレフィン単量体(d)が塩化ビニルおよび塩化ビニリデンからなる群から選択された少なくとも1種である請求項4に記載の撥水剤組成物。
  8. 重合体において、単量体(a)100重量部に対して、繰り返し単位(b)の量が0〜200重量部であり、繰り返し単位(c)の量が0〜50重量部であり、繰り返し単位(d)の量が0〜100重量部である請求項4〜7のいずれかに記載の撥水剤組成物。
  9. 撥水剤組成物が溶液であり、液状媒体(2)が有機溶媒であるか、あるいは
    撥水剤組成物が水性分散液であり、液状媒体(2)が、水、有機溶媒または水と有機溶媒の混合物である請求項1〜8のいずれかに記載の撥水剤組成物。
  10. 外的処理剤または内的処理剤である請求項1〜9のいずれかに記載の撥水剤組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の撥水剤組成物で基材を処理することからなる、基材を処理する方法。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載の撥水剤組成物によって繊維製品を処理することを特徴とする、重合体が被処理物の内部に浸透しているかまたは被処理物の表面に付着している繊維製品の製造方法。
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