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JP2019090606A - 放射空調システム - Google Patents

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JP2019090606A JP2019025724A JP2019025724A JP2019090606A JP 2019090606 A JP2019090606 A JP 2019090606A JP 2019025724 A JP2019025724 A JP 2019025724A JP 2019025724 A JP2019025724 A JP 2019025724A JP 2019090606 A JP2019090606 A JP 2019090606A
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幹治 小野
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Abstract

【課題】容易に施工可能であって、しかも冷暖房の立ち上がりや除湿能力に優れた放射空調システムを提供する。【解決手段】室内空間1の空気を取り込んで空調空気をふき出す空調機2と、室内空間1を区画する天井面11又は壁面12に取り付けられる断熱パネル3と、断熱パネル3との間に、端部が開放された空間であって、空調空気を通過させて端部から室内空間1に流出させる通風空間S1を形成する放射パネル4とを設け、空調機2の室内機21に設けられた空調空気噴出口21bからの空調空気を通風空間S1の端部から室内空間1に流出させる。その過程で放射パネル4は冷却又は加熱され、放射冷暖房を行う。【選択図】図2

Description

本発明は、熱の放射により室内空間の空調を行う放射空調システムに関する。
室内空間の冷暖房を行うヒートポンプ式空調機は、図11に示すように、室壁101に設置した空調機(室内熱交換器)103から空調空気を室内空間102へ噴き出して対流させるものが一般的である。なお、103aは空調機の室外熱交換器である。しかしながら、このような室内対流型の空調機によれば、室内空間102に気流Dが発生し、その気流Dが人体に直接当たることで不快を感じることがある。そこで近年は、不快な気流感や、室内空間102の上下温度分布が発生しにくい放射空調システムが注目されている。
図12は、この種の放射空調システムの典型的な従来技術を示すものである。すなわち図12に示す放射空調システムは、天井材104の裏側に上部及び側部が断熱材105によって適切に断熱され密閉された天井裏空間106を形成して、この天井裏空間106に空調機103からの冷却空気又は加熱空気Aを供給して、天井材104からの熱放射TRにより室内空間102の冷暖房を行うものである(下記の特許文献1参照)。
ここで、ヒトの体感温度は、おおよそ次式(1)で表すことができる。
Figure 2019090606
そして放射空調システムは、式(1)におけるtを調整することによって適正な体感温度を得ようとするものであり、空調空気を室内空間102へ噴き出す図11のような室内対流型の空調システムと比較して、空気を攪拌する必要がないので、不快な気流感や空調騒音が少なく、室内の空気温度自体は、冬は低めに、夏は高めに抑えられるので、窓を通した熱漏れや換気によるエネルギーロスが少なくなり、さらには空気温度の設定が抑えられるため、冬の相対湿度は高めに、夏の相対湿度は低めにシフトし、快適な湿度環境が形成されるといった利点があり、就寝中の人や低代謝の人に適した空調システムであるといえる。
特開平5−149586号公報
しかしながら、図12に示す従来の技術による放射空調システムは、空調機103や断熱材105や配管などを天井裏空間106に設置するものであることから、施工やメンテナンスなどが天井裏での作業となり、しかも天井裏空間106の高さがある程度高いものである必要がある。しかも、天井裏空間106がある程度加熱あるいは冷却されないと、天井材104から室内空間102への放射TRが有効に行われないため冷暖房の立ち上がりが悪く、このため室内空間102が快適な空間となるのに長時間を要し、さらには室内空間102で発生した水分を透湿性のある天井材104を用いて天井裏空間106へ透過させることによる除湿効果を期待しているが、その除湿能力は、室内空間102の空気を取り込んで除湿を行う図11のような室内対流型の空調システムと比較して劣る問題もあった。
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題とするところは、容易に施工可能であって、しかも冷暖房の立ち上がりや除湿能力に優れた放射空調システムを提供することにある。
本発明の放射空調システムは、室内空間の空気を取り込んで空調空気をふき出す空調機と、前記室内空間を区画する天井面又は壁面に取り付けられる断熱パネルと、前記断熱パネルとの間に、端部が開放された空間であって、前記空調空気を通過させて前記端部から前記室内空間に流出させる通風空間を形成する放射パネルとを備える。
本発明によれば、空調機の室内機の空調空気噴出口からふき出される空調空気(冷却空気又は加熱空気)は、放射パネルと断熱パネルとの間の通風空間へ案内される。放射パネルは、通風空間を通る空調空気が擦過する過程でこの空調空気と熱交換されて冷却又は加熱され、その表面温度に応じた放射強度で室内空間へ熱放射することによる放射冷暖房を行い、すなわち先に説明した式(1)におけるtを調整するものである。一方、放射パネルと熱交換されることによって適宜昇温した前記冷却空気又は適宜降温した前記加熱空気は、前記通風空間の開放端部から室内空間へ流出し、対流によって室内空間の空気を調温する室内対流冷暖房を行い、すなわち式(1)におけるtを調整して、上記放射冷暖房効果を補うものである。また断熱パネルは、空調空気が通風空間を通過する際の熱損失を抑制して、放射パネルからの熱放射効率、及び前記通風空間の開放端部から室内空間へ流出する空調空気による調温効率を高め、冷房運転時に室内空間を区画する面が冷却されることによる結露の発生を防止するものである。
本発明によれば、空調機等を天井裏空間に設置する必要がないため、天井裏空間の高さに関係なく施工可能である。そして、既存の室内対流型の空調機を用いて放射空調を行うことができ、また、放射パネルからの熱放射による放射冷暖房効果と、放射パネルの裏側の通風空間の開放端部から冷却空気又は加熱空気が室内空間へ流出することによる対流冷暖房効果が互いに補完し合うため、立ち上がり性に優れた冷暖房が可能となる。しかも、空調機は対流冷暖房用と同様に室内空気を取り込んで空調するものであるため、冷房時における除湿性を確保することができる。
放射空調システムの好ましい実施の形態を示す斜視図である。 放射空調システムの好ましい実施の形態を示す断面図である。 放射空調システムの好ましい実施の形態において、通風空間を通過する空調空気の流れの分布と共に示す放射パネルの下面図である。 放射空調システムの好ましい実施の形態において、断熱パネルのピースと放射パネルのピース及びスペーサからなるユニットの構成を示す斜視図である。 放射空調システムの好ましい実施の形態において、施工前の室内を示す斜視図である。 放射空調システムの好ましい実施の形態において、天井面にレールを取り付けた状態を示す斜視図である。 放射空調システムの好ましい実施の形態において、空調機を包蔵するようにキャビネットを取り付けた状態を示す斜視図である。 放射空調システムの好ましい実施の形態において、断熱パネルのピースと放射パネルのピース及びスペーサからなるユニットをレールに取り付けた状態を示す斜視図である。 放射空調システムの好ましい実施の形態において、キャビネットの接続及びユニットの取付工程を示す斜視図である。 放射空調システムの好ましい実施の形態において、施工完了状態を示す斜視図である。 室内対流型の空調機による従来の空調システムを示す説明図である。 従来の放射空調システムの一例を概略的に示す縦断面図である。
以下、放射空調システムの好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。まず図1及び図2において、参照符号1は室内空間であり、11は室内空間1を画成する天井面、12は壁面、13は床面である。
参照符号2はヒートポンプ式空調機で、図2に示すように、壁面12に設置された室内機21と、屋外に設置された室外機22を備え、室内機21と室外機22の間で、流体を、液相−気相の可逆変化を伴いながら循環させることによって熱を運搬するヒートポンプ機能を奏するものである。そして室内機21は、吸気口21aから室内空間1の空気を取り入れて、冷媒の吸熱又は放熱作用により冷却又は加熱された空気を、空調空気噴出口21bから噴き出すようになっている。
天井面11には、複数のレール6と、このレール6にその長手方向移動可能に係止された係止具(吊金具)7を介して、天井面11からたとえば50mm程度離間した状態で断熱パネル3が水平に取り付けられ、この断熱パネル3には所要数のスペーサ5を介して放射パネル4が水平に取り付けられている。
断熱パネル3は、たとえば熱伝達率が0.02W/mK程度で厚さが24mm程度の発泡樹脂保温材等からなるものであって、その厚さ方向両面には薄膜状の金属、たとえばアルミニウムからなる反射材31,32が一体に被着されている。放射パネル4は、たとえば熱伝達率が0.17W/mK程度で、透湿性を有する厚さ2.5mm程度の硬質繊維板(ハードボード)からなるものであって、その下面(室内空間1を向いた面)には、意匠性を考慮してクロス材41が貼着されており、このクロス材41には、放射パネル4の透湿性を損なうことのないように、透湿クロス材が用いられている。また、スペーサ5は、熱伝達率が小さい木材又は合成樹脂材からなるものであって、断熱パネル3と放射パネル4の間に適当な間隔で配置されると共に接着等により固定され、このスペーサ5によって、断熱パネル3と放射パネル4の間にたとえば高さ24mm程度の中空層からなる通風空間S1が形成されている。
断熱パネル3は、図3及び図4に示すように基本的に400mm×400mm程度の大きさの正方形(一部は400mm×800mm程度の大きさの長方形)をなす複数のピース30に分割され、面方向へ互いに密接させて敷き詰めた状態に設置することで所要の面積の断熱パネル3を構築するようになっており、放射パネル4もこれに対応するピース40に分割され、面方向へ互いに密接させて敷き詰めた状態に設置することで所要の面積の放射パネル4を構築するようになっている。そして放射パネル4のピース(以下、放射パネル用ピースという)40と、断熱パネル3のピース(以下、断熱パネル用ピースという)30は、それぞれ複数のスペーサ5を介して互いに結合されることで、予め組立体ASとしてユニット化されたものである。
放射パネル用ピース40のうち、長方形のピース40Aは空調機2の室内機21のほぼ真上の位置に取り付けられるものであって、開口部42を有する。また、この長方形の放射パネル用ピース40Aと、前記室内機21寄りの外周に位置して取り付けられる複数の放射パネル用ピース40Bは、その上面(室内空間1と反対側を向いた面)に、断熱パネル3の外周部の下面とほぼ密接される堰板43が取り付けられている。そしてこの堰板43は、放射パネル用ピース40,40,・・・(組立体AS,AS,・・・)を面方向へ互いに密接させて敷き詰めた状態に設置することによって放射パネル4を組み立てた状態では、この放射パネル4のうち開口部42を有する側の外周を、平面コ字形をなして取り囲むように延びるものである。
レール6は、たとえば図3における左右方向(放射パネル4の長辺方向)へ互いに平行に延びており、この方向へ並んだ断熱パネル用ピース30(放射パネル用ピース40)の各列の真上に位置して2本ずつ配置され、天井面11に取り付けられている。そしてこのレール6は、図4に示すように長手方向へ連続した中空部6aを有し、この中空部6aが、長手方向へ連続した溝部6bを介して下方へ開口した構造となっている。
また、係止具7は、図4に示すように下端が各断熱パネル用ピース30に結合されると共に上部がレール6の溝部6bに長手方向移動自在に挿入される軸部71と、この軸部71の上端に形成されて、レール6の中空部6a内に長手方向移動自在に挿入可能であると共にレール6の溝部6bを通過できない大きさの頭部72からなる。
空調機2の室内機21にはキャビネット8が取り付けられている。このキャビネット8は、熱伝達率の小さい(断熱性の高い)材料からなるものであって、室内機21の吸気口21aを室内空間1へ開放する開口部8aが開設されると共に、導風部材81を備えている。導風部材81は上端が放射パネル4(放射パネル用ピース40A)における開口部42に接続され、空調空気噴出口21bからの空調空気を通風空間S1へ案内するものである。また、このキャビネット8は、不図示のリモコンによる操作や室温の検出を阻害しないように、リモコン操作信号の受信部や温度検出部等を覆わないものとする。
以上のように構成された放射空調システムにおいて、夏季に冷房を行う場合は、ユーザーが不図示のリモコン等の操作によって空調機2を冷房運転させると、空調機2の室内機21の空調空気噴出口21bから噴き出された冷却・除湿空気(以下、単に冷却空気という)が、キャビネット8の導風部材81から通風空間S1へ送られる。そしてこの冷却空気が通風空間S1を通過する過程で、熱抵抗の小さい放射パネル4の裏面(上面)を擦過することによってこの放射パネル4との熱交換が行われ、すなわち放射パネル4が冷却されるので、先に説明した式(1)におけるtが低下し、この放射パネル4の表面(下面)から室内空間1への冷熱の放射TRが行われる。なお、この場合、実際には、冷却された放射パネル4からの熱(赤外線)の放射強度は著しく低いものとなるので、ヒトの体表面などから放射された熱が、冷却された放射パネル4の表面で反射せずに吸収されることによって冷感を感じるものであるが、ここでは便宜的に、放射パネル4からの放射TRによる冷感を感じるものとする。
また、通風空間S1を通る過程で放射パネル4と熱交換されることによって適宜昇温した冷却空気は、通風空間S1の開放端部から室内空間1へ流出し、対流によって室内空間1を下降する。そしてこの冷却空気の流れは、通風空間S1での拡散や摩擦によって減速されていることに加え、上述のように、放射パネル4との熱交換によって適宜昇温しているため、室内対流による下降速度が緩やかであり、しかもこの下降気流は放射パネル4の周囲から壁面12に沿って発生する。このため不快な気流感が抑えられて、たとえば横臥位にあるユーザーは、主として放射パネル4からの放射TRによる冷感を感じることとなる。なお、前記下降気流が壁面12に沿って生じている場合、これによって壁面12が適宜冷却されるので、この壁面12からも、わずかに放射TRが発生する。
また、空調機2の室内機21は、キャビネット8の開口部8aを介して吸気口21aから室内空間1の空気を取り込んで冷却・除湿するため、室内空間1の水蒸気量が減少する。詳しくは、室内空間1内の空気が室内機21に取り込まれて冷却される際には、空気に含まれる水蒸気が飽和して凝縮され、液化して屋外へ排出されるので、通風空間S1へ供給される冷却空気は湿度が低いものとなっている。このため透湿性を有する放射パネル4に吸収された水蒸気が浸透圧によって通風空間S1へ効率良く放湿され、その後、室内空間1を経由して室内機21に取り込まれて凝縮され、ドレン水として除去されることになる。またこのとき、室内機21内で水蒸気が液化する際の潜熱もヒートポンプ機構によって室外機22から屋外へ放出されるため、室内空間1の水蒸気量が減少する。
また、従来の放射空調システムのように天井裏の空間全体を冷却する必要がないことに加え、通風空間S1を通過した冷却空気が室内空間1の上部へ流出するようにしたため、放射冷房の立ち上がりの悪さが改善され、短時間で快適な環境とすることができる。さらに、式(1)におけるtが低下するため、一般的な対流型(空気噴流型)の空調システムに比較して室温(式(1)における空気の温度t)を高く設定することができ、このためたとえば窓を開けて換気を行う場合の外気との温度差が小さくなって熱損失も小さく抑えられ、その結果、省エネルギーに寄与することができる。
しかも、放射パネル4を構成する硬質繊維板は透湿性を有するため、通風空間S1を通過する冷却空気で冷却されることによって放射パネル4の放射面(室内空間1を向いた面)に結露を生じるのを防止することができ、このため、結露に伴う潜熱放出による放射冷房効率の悪化も防止することができる。
次に、冬季に暖房を行う場合は、ユーザーが不図示のリモコン等の操作によって空調機2を暖房運転させると、この空調機2の室内機21の空調空気噴出口21bから噴き出された加熱空気がキャビネット8の導風部材81から通風空間S1へ送られる。そしてこの加熱空気が通風空間S1を通過する過程で放射パネル4との熱交換が行われ、すなわち放射パネル4が加熱されるので、先に説明した式(1)におけるtが高くなり、この放射パネル4によって室内空間1への熱の放射TRが行われる。
一方、通風空間S1を通る過程で放射パネル4と熱交換されることによって適宜降温した加熱空気は、通風空間S1の開放端部から室内空間1へ流出し、室内空間1の上部(ヒトの身長より高い領域)に滞留する。このためヒトの生活空間内での上下温度分布差や気流による不快感が抑えられて、たとえば横臥位にあるユーザーは、主として放射パネル4からの放射TRによる温感を感じるものとなる。
また、従来の放射空調システムのように天井裏の空間全体を温める必要がないので、放射暖房の立ち上がりの悪さが改善され、短時間で快適な環境とすることができる。さらに、式(1)におけるtを上昇させるため、一般的な対流型(空気噴流型)の空調システムに比較して室温(式(1)における空気の温度t)を低く設定することができる。しかも通風空間S1から流出した加熱空気は室内空間1の上部に滞留しており、室内空間1の下部の空気は比較的低温であるため、たとえば窓を開けて換気を行う場合の外気との温度差が小さくなって熱損失も小さく抑えられ、その結果、省エネルギーに寄与することができる。
そして、通風空間S1のうち、導風部材81が接続された放射パネル4の開口部42が存在する側の外周は、堰板43によって平面コ字形に取り囲まれているので、上述の冷房運転又は暖房運転において、導風部材81からの空調空気(冷却・除湿空気又は加熱空気)は、通風空間S1内を、図3に多数の矢印で示すように、堰板43によって堰き止められていない図中右側の開放端部へ向けて案内され、この開放端部から室内空間1へ流出することになる。したがって、放射パネル4の表面(放射面)の温度ムラができにくくなって、室内空間1への放射の均一化を図ることができる。
さらに、夏季の冷房時には、空調機2によって室内空間1の空気が除湿されることに加え、上述のように、室温を高く設定できることから、夏の室内の相対湿度が低めにシフトし、一方、冬季の暖房時には室温を低く設定できることから、冬の室内の相対湿度が高めにシフトすることになる。したがって快適な湿度環境を創出することができる。また先に説明したように、横臥位にあるユーザーは、主として放射パネル4からの放射による穏やかな冷感や温感を与えられるので、住宅の寝室、老人福祉施設の個室など、人が仰臥位もしくは低代謝でいる時間が長い室内の空調手段として効果的である。
しかも、通風空間S1が放射パネル4と断熱パネル3の間に形成されているため、断熱パネル3自体への伝熱による熱損失が低減するばかりでなく、通風空間S1を通過する空調空気から、断熱パネル3側へ放射される熱が、断熱パネル3における通風空間S1側の面を覆う反射材31によって放射パネル4側へ反射されるので、放射パネル4への放射熱の入射量も増加する。また、天井面11からの放射熱は、断熱パネル3における天井面11側の面を覆う反射材32によって天井面11側へ反射される。したがって、放射パネル4からの室内空間1への放射効率を高めると共に、通風空間S1の開放端部から室内空間1へ流出する空調空気による調温効率を高めることができ、特に冷房運転時に、通風空間S1を通る冷却空気によって天井面11が冷却されないので、天井面11での結露の発生を防止することができる。
さらに、断熱パネル3が天井面11から離間して取り付けられていることによって、天井面11と断熱パネル3の間に介在する空気層が、断熱パネル3から天井面11への伝熱を絶縁する作用を奏するため、このことも、放射パネル4からの熱放射効率、及び通風空間S1の開放端部から室内空間1へ流出する空調空気による調温効率の向上に貢献する。
図5〜図10は、上記構成を備える放射空調システムの施工工程を、順を追って示すものである。このうち図5は、施工前の室内を示しており、壁面12の上部には、空調機2における壁掛け式の室内機21が設置されている。空調機2は、新規に取り付けたものでも良いし、既設のものを利用することもできる。
放射空調システムの施工に際しては、まず図6に示すように、天井面11にレール6を不図示のビス等の取付手段を用いて取り付ける。この場合、レール6は、空調機2の室内機21が設置された壁面12に対して直角に、かつ図3に示すように取り付けられる予定の断熱パネル用ピース30(放射パネル用ピース40)の各列の上に位置するように、2本ずつ位置決めして互いに平行に取り付ける。
そして図7に示すように、空調機2の室内機21が取り付けられた壁面12に、室内機21を包囲するように壁掛け式のキャビネット8を取り付ける。またその際には、室内機21の吸気口21aのカバー及び空調空気噴出口21bのブレード等は取り外す。
次に図8に示すように、空調機2の室内機21のほぼ真上の位置に取り付けられる放射パネル用ピース40A及びこれに断熱パネル用ピース30をスペーサ5と共に予め一体的に組み付けてユニット化された組立体ASや、これに隣接するいくつかの組立体ASをそれぞれ所定の位置に取り付ける。
詳しくは図4に示すように、組立体AS(又はAS)における断熱パネル用ピース30に係止具7の軸部71を結合した状態で、この係止具7の頭部72を、天井面11に取り付けられたレール6の中空部6aに挿入し、このレール6の溝部6bに沿って移動させることで、前記組立体AS(AS)を所定個所へ敷き詰めて、隣接する放射パネル用ピース40同士及び断熱パネル用ピース30同士を面方向へ密接させた状態とすることができる。
そして図9に示すように、キャビネット8に導風部材81を取り付けて、その下部開口を空調機2の室内機21の空調空気噴出口21bに接合すると共に、上部開口を、空調機2の室内機21のほぼ真上の位置に取り付けられた組立体ASにおける放射パネル用ピース40Aに開設された開口部42に接続する。
その作業の後は、さらに所要数の組立体ASを、所定個所へ取り付けて敷き詰めていく。そしてこのとき、天井面11に既設の照明具などが存在していても、組立体AS(断熱パネル用ピース30)は係止具7によって天井面11から適宜離間して取り付けられるので、このような既設の照明具などとの干渉を回避することができる。
そしてこのような手順で作業を進めることによって、図10に示すように、所要の面積の放射パネル4及び断熱パネル3が構築され、放射空調システムの施工が完了する。なお、組立体ASの取り付けが終わった後は、この組立体ASがレール6に沿って不用意に移動して脱落してしまうようなことがないように、レール6の端部は適当な金具などからなる不図示のストッパで閉塞すればよい。
また、放射空調システムの施工領域の天井面11に、既設の照明具などが存在する場合は、組立体ASを取り付けていく過程で、照明具用の電源から天井面11と断熱パネル3(断熱パネル用ピース30)との間の空間を利用して電気配線を行い、断熱パネル3の上面などに間接照明用の不図示の照明器具を取り付けても良い。このようにすれば、照明器具からの照明光が、断熱パネル3と天井面11との間で乱反射して漏洩した光となるので、柔らかな光を得ることができる。
なお、上述した実施の形態では、放射パネル4及び断熱パネル3を天井面11に取り付けるものとして説明したが、壁面12に取り付ければ、壁面12側から室内空間1へ向けての放射空調を行うことができる。
1 室内空間
11 天井面
12 壁面
2 空調機
21 室内機
21a 吸気口
21b 空調空気噴出口
3 断熱パネル
30 断熱パネル用ピース
4 放射パネル
40,40A,40B 放射パネル用ピース
41 クロス材
5 スペーサ
6 レール
7 係止具
8 キャビネット
81 導風部材
AS 組立体
S1 通風空間

Claims (8)

  1. 室内空間の空気を取り込んで空調空気をふき出す空調機と、
    前記室内空間を区画する天井面又は壁面に取り付けられる断熱パネルと、
    前記断熱パネルとの間に、端部が開放された空間であって、前記空調空気を通過させて前記端部から前記室内空間に流出させる通風空間を形成する放射パネルと、
    を備えることを特徴とする放射空調システム。
  2. 前記断熱パネルは、天井面又は壁面と離間した状態で取り付けられる
    ことを特徴とする請求項1に記載の放射空調システム。
  3. 前記放射パネルと前記断熱パネルとの間に、前記空調空気を前記開放された端部に向けて案内する堰板を備える
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の放射空調システム。
  4. 前記放射パネルは、前記断熱パネルに取り付けられている
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一に記載の放射空調システム。
  5. 前記断熱パネルは、複数のピースが面方向に設置されて構築されている
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の放射空調システム。
  6. 前記放射パネルは、複数のピースが面方向に設置されて構築されている
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一に記載の放射空調システム。
  7. 前記断熱パネルは、複数のピースが面方向に設置されて構築され、
    前記放射パネルは、複数のピースが面方向に設置されて構築され、
    前記断熱パネルのピースと前記放射パネルのピースとは、前記通風空間を形成する間隔を開けて結合されている
    ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一に記載の放射空調システム。
  8. 前記空調機は、壁面に設けられている
    ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一に記載の放射空調システム。
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