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JP2019087323A - 蓄電装置の劣化指標値を推定する制御装置 - Google Patents

蓄電装置の劣化指標値を推定する制御装置 Download PDF

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JP2019087323A
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Abstract

【課題】車両の停止中に補機バッテリの接続が切断された場合であっても、主蓄電装置の休止期間の時間長をより正確に推定できる制御装置を提供する。【解決手段】制御装置30は、主蓄電装置16の休止時間tdを測定するタイマ36、電池休止前後の電池温度Tbと環境温度Taとの差分ΔT1,ΔT2と休止時間tdとを関連付けた休止時間マップを記憶する記憶部34、補機バッテリ28の接続状態を判断する補機バッテリ接続判断部38を備え、電池休止期間に補機バッテリ28の接続が切断された場合、差分ΔT1,ΔT2から休止時間マップにより得たマップ値taに基づいて累積ダメージΣDを補正し、補機バッテリ28の接続が切断されていない場合、タイマ36が測定したタイマ測定値tmに基づいて累積ダメージΣDを補正し、且つ、マップ値taをタイマ測定値tmに基づいて更新する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両に搭載される二次電池の制御装置、特に蓄電装置の劣化指標値を推定する制御装置に関する。
車両に搭載されるリチウムイオン二次電池等の二次電池では、ハイレート(大電流、長時間)充放電により電解液中で塩濃度に偏りが発生し、一時的に二次電池の内部抵抗が上昇する。ハイレート充放電が繰り返されると抵抗値の上昇分が累積される一方、二次電池の充放電が停止すると、時間と共に塩濃度の偏りが解消して、内部抵抗が次第に低下する。この現象は、二次電池のハイレート劣化と呼ばれる。ハイレート劣化が過大になると二次電池内でのリチウムの析出や発熱等につながるため、ハイレート劣化を抑制するよう二次電池の入出力が制御される。
特許文献1には、二次電池と、充電器と、二次電池の充放電を制御する制御装置とを備え、電動機が搭載された電動車両の電池システムが記載される。制御装置は、二次電池の使用期間においては、ハイレート劣化を評価するための劣化指標値を二次電池の電流の履歴に基づいて算出するとともに、当該劣化指標値が所定の制限閾値を超えると二次電池の放電電力または充電電力を制限し、二次電池の充放電が休止された休止期間では、休止期間の時間長に基づいて当該劣化指標値を補正している。
特開2017−123245号公報
車両に搭載される主蓄電装置である二次電池のハイレート劣化の程度を推定する制御装置に作動電力を供給する低電圧電池としての補機バッテリは、その修理や交換等のために、車両の停止中に一時的に取り外される場合がある。その場合、補機バッテリから作動電力が制御装置に供給されない期間があるため、車両の停止中における二次電池が休止する休止時間を正確に測定できず、ハイレート劣化の劣化指標値の精度が低下する。当該休止時間を、二次電池の休止前後で測定された電池温度の変化量等の情報から推定する方法が考えられるが、ユーザによる車両の使用環境および使用頻度等によって、休止前後の電池温度の変化量が同じであっても、推定した休止時間と実際の休止時間とが異なる場合がある。そのため、電池温度のみに基づく二次電池の休止時間の推定では、ハイレート劣化の劣化推定値にばらつきが生じるおそれがある。そこで、車両の停止中に補機バッテリの接続が切断された場合であっても、主蓄電装置の休止期間の時間長をより正確に推定できる制御装置を提供することが課題であった。
本発明に係る制御装置は、車両に搭載される主蓄電装置において、ハイレート充放電によって増加し充放電の停止によって低減する入出力性能の劣化指標値を推定する制御装置であって、前記車両の起動スイッチがオフにされて主蓄電装置が停止してから前記起動スイッチがオンにされて主蓄電装置が再び起動するまでの電池休止期間の時間長を測定する時間測定部と、前記電池休止期間の直前における主蓄電装置の電池温度と環境温度との差分ΔT1、及び、前記電池休止期間の直後における主蓄電装置の電池温度と環境温度との差分ΔT2と、前記電池休止期間の時間長とを関連付けたマップを記憶する記憶部と、前記電池休止期間中における補機バッテリの接続状態を判断する補機バッテリ接続判断部と、を備え、前記電池休止期間において前記補機バッテリの接続が切断された場合、前記マップにおいて差分ΔT1及び差分ΔT2に関連付けられた前記電池休止期間の推定時間長に基づいて前記劣化指標値を補正し、前記電池休止期間において補機バッテリの接続が切断されていない場合、前記時間測定部が測定した前記電池休止期間の時間長に基づいて前記劣化指標値を補正し、前記マップにおいて前記差分ΔT1及び前記差分ΔT2に関連付けられた前記電池休止期間の時間長を、前記時間測定部が測定した時間長に基づいて更新する、ことを特徴とする。
本発明に係る制御装置によれば、車両の停止中に制御装置への作動電力を供給する補機バッテリの接続が切断された場合であっても、主蓄電装置の休止期間の時間長をより正確に推定できる。その結果、当該休止期間における主蓄電装置のハイレート劣化の解消量の推定、及び、ハイレート劣化の劣化指標値の推定をより精度よく行うことができる。
本実施形態に係る制御装置を含むハイブリッド車両の駆動システムの構成図である。 車両の起動及び停止に伴う主蓄電装置の累積ダメージの変化を示すグラフである。 本実施形態に係る制御装置による累積ダメージの推定処理を示すフローチャートである。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。以下では、エンジンと1台の回転電機とを備えるハイブリッド車両について述べるが、これは説明のための例示に過ぎない。
図1は、ハイブリッド車両の駆動システム10の構成を示す図である。以下では、特に断らない限り、ハイブリッド車両を車両と呼ぶ。車両の駆動システム10は、動力装置を構成するエンジン12と回転電機14とを備え、さらに、回転電機14に接続される電源装置と、これらを全体として制御する制御装置30とを含む。電源装置は、主蓄電装置16、電流センサ18、電圧センサ20、電池温度センサ22、システムメインリレー24、インバータ26を含む。なお、電源装置については主たる構成要素について述べており、電源装置が他の構成要素を含むものであってもよい。例えば、主蓄電装置側の平滑コンデンサ、インバータ側の平滑コンデンサ、DC/DCコンバータ等を含むものとしてもよい。
動力装置を構成するエンジン12は、内燃機関である。また、回転電機14は、ハイブリッド車両に搭載されるモータ・ジェネレータ(MG)であって三相同期型回転電機である。回転電機14は、インバータ26を駆動回路として含む電源装置から電力が供給されるときはモータとして機能し、エンジン12による駆動時、あるいはハイブリッド車両の制動時には発電機として機能する。なお、図1では、回転電機14の個数を1台としているが、回転電機14を複数設けてもよい。例えば、主にモータとして機能する駆動用回転電機と、主にジェネレータとして機能する発電用回転電機と、を設けてもよい。
電源装置は、回転電機14を駆動するための装置である。電源装置を構成する主蓄電装置16は、充放電可能な高電圧用二次電池である。具体的には、約200Vから約300Vの端子間電圧を有するリチウムイオン組電池である。組電池は、単電池または電池セルと呼ばれる端子間電圧が1Vから数Vの電池を複数個組み合わせたもので、上記の所定の端子間電圧を出力する。電源装置を構成する主蓄電装置16としては、リチウムイオン組電池に限定されず、電解液中の塩濃度が放電により偏る性質を有する二次電池であれば適用できる。
電流センサ18は、主蓄電装置16の充放電電流を検出する電流検出手段である。電圧センサ20は、主蓄電装置16の端子間電圧を検出する電圧検出手段である。電池温度センサ22は、主蓄電装置16の電池温度Tbを検出する温度検出手段である。環境温度センサ23は、車両の環境温度Taを検出する温度検出手段であって、車室外に設けられる。これらの検出データは、適当な信号線を介して制御装置30に伝送され、記憶部34に一時記憶される。
電池温度センサ22および環境温度センサ23のそれぞれは複数設けられていてもよい。温度センサが複数設けられ、複数の検出温度が同時に得られる場合は、これら複数の検出温度を統計処理して得られる一つの代表値、例えば、平均温度や最高温度、最低温度等を、電池温度Tbまたは環境温度Taとして取り扱えばよい。また、環境温度Taは、車外温度センサ以外の装置又は手段で検知するようにしてもよい。例えば、主蓄電装置16に送風するための吸気経路内に設けた温度センサで検出された温度を、環境温度Taとして利用してもよい。
システムメインリレー(以下「SMR」と称する)24は、主蓄電装置16とインバータ26を電気的に接続または接続解除する。SMR24がオンされると、主蓄電装置16の充放電が許容され、SMR24がオフされると、主蓄電装置16の充放電が停止する。このSMR24のオン/オフは、ユーザによる車両に搭載された起動スイッチのオン/オフの切り替えに連動して切り替わる。
インバータ26は、回転電機14に接続される駆動回路で、複数のスイッチング素子と逆接続ダイオード等を含んで構成され、交流電力と直流電力との間の電力変換を行う機能を有する。インバータ26は、回転電機14を発電機として機能させるときは、回転電機14からの交流三相回生電力を直流電力に変換し、主蓄電装置16側に充電電力として供給する。また、回転電機14をモータとして機能させるときは、主蓄電装置16側からの直流電力を交流三相駆動電力に変換し、回転電機14に交流駆動電力として供給する。
補機バッテリ28は、主蓄電装置16とは別の低電圧蓄電装置である。補機バッテリ28は、制御装置30のほか、図示しない車載電気機器に対して作動電力を供給する。車載電気機器は、例えば、空調装置、ワイパやドアガラスの駆動用小型モータ、ランプ、オーディオ機器等である。補機バッテリ28は、図示しないが、主蓄電装置16の端子間電圧を降圧して所定の低電圧に変換するDC/DCコンバータを介して主蓄電装置16から電力供給を受けて充電される。かかる補機バッテリ28としては、例えば、端子間電圧が約12Vから約14Vの鉛蓄電池が用いられる。補機バッテリ28は、交換や他の電子機器のメンテナンス等の目的で一時的に取り外されることがある。その場合、補機バッテリ28の接続が切断され、制御装置30をはじめ他の車載電気機器への作動電力が一時的に途絶することになる。
制御装置30は、上記の各構成要素を全体として制御する機能を有する制御回路であり、特に、主蓄電装置16の充放電によって増加し充放電の停止によって低減するハイレート劣化の劣化指標値である累積ダメージΣDの推定を行う。制御装置30は、車両搭載に適したコンピュータで構成することができる。制御装置30は、各種演算処理を行うCPU32と、CPU32と交信する記憶部34と、タイマ36と、補機バッテリ接続判断部38とを含んで構成される。記憶部34は、補機バッテリ28とは別のバックアップ電源によって記憶機能がバックアップされており、補機バッテリ28が取り外されても、その記憶内容は消失しない。
なお、図1では、制御装置30を単一のユニットとしているが、制御装置30は、CPU32および記憶部34を複数有する構成としてもよい。また、制御装置30の一部の機能は、車両の外部に設けられるとともに、車載の制御ユニットと通信可能な車外制御ユニットで実現されてもよい。加えて、図1では、説明のためにタイマ36及び補機バッテリ接続判断部38をCPU32と分けているが、CPU32がタイマ36及び補機バッテリ接続判断部38の機能を有していてもよい。
制御装置30は、車両の駆動システム10が起動状態にある間は、主蓄電装置16の内部抵抗Rが増大するにつれ累積ダメージΣDが増加する関係に基づいて、内部抵抗Rの変化に応じた累積ダメージΣDを推定する。内部抵抗Rは、電圧センサ20の検出する端子間電圧Vを、同じタイミングで電流センサ18が検出する電流Iで除し、R=(V/I)として求める。また、制御装置30は、車両の起動スイッチがオフからオンに切り替わり、車両の駆動システム10が再起動したとき、主蓄電装置16が休止する期間(以下「電池休止期間」とも称する)の時間長(以下「休止時間td」とも称する)を取得し、取得した休止時間tdを用いて、電池休止期間における累積ダメージΣDの解消量(以下「累積ダメージ解消量ΔD」とも称する)を推定し、累積ダメージΣDを補正する。制御装置30による累積ダメージΣDの推定及び補正については、後に詳述する。
タイマ36は、車両の起動スイッチがオフにされて主蓄電装置16が停止してから、車両の起動スイッチがオンにされて主蓄電装置16が再び起動するまでの時間である休止時間tdを測定する時間測定部として機能する。測定された休止時間tdは、制御装置30に送られ、記憶部34に一時記憶される。ここで、タイマ36は、補機バッテリ28により作動電力の供給を受けている。
補機バッテリ接続判断部38は、電池休止期間中における補機バッテリ28の接続状態を判断する。補機バッテリ接続判断部38は、補機バッテリ28の端子間電圧を検出すること等により、補機バッテリ28への通電経路の通電を監視し、補機バッテリ28が車両の駆動システム10から取り外されることで当該通電が遮断されてその後再開されたとき、補機バッテリ28の接続が切断されたと判断する。
記憶部34は、累積ダメージ推定の演算処理等のためのプログラムを格納するほかに、CPU32が算出した内部抵抗R、主蓄電装置16の電池温度Tb、端子間電圧V、電流I、環境温度Taを記憶する。また、記憶部34は、後述するように、電池休止期間の直前における主蓄電装置16の電池温度Tbと環境温度Taとの差分ΔT1、及び、電池休止期間の直後における主蓄電装置16の電池温度Tbと環境温度Taとの差分ΔT2と、電池休止期間の休止時間tdとを関連付けた休止時間マップ、並びに、休止時間tdと累積ダメージ解消量ΔDとを関連付けた解消量マップ等を格納する。
制御装置30の各機能は、制御装置30を構成するCPU32が記憶部34に格納されたソフトウェアを実行することで実現される。具体的には、CPU32がソフトウェアとしての累積ダメージ推定プログラムを実行することで実現できる。かかる機能の一部をハードウェアで実現するものとしてもよい。
上記構成の作用効果について、図2を用いてさらに詳細に説明する。図2は、車両の起動及び停止に伴う主蓄電装置16の累積ダメージΣDの変化の一例を示すグラフである。
図2の例では、時刻t0において、車両の起動スイッチがオンからオフに切り替えられ、車両の駆動システム10が停止する。その後、時刻t3において、車両の起動スイッチがオフからオンに切り替えられ、車両の駆動システム10が再び起動する。車両の駆動システム10が起動すると、累積ダメージ推定プログラムが立ち上がる。制御装置30は、予め定めた制御周期(例えば数十ミリ秒〜数百ミリ秒)で、電池温度センサ22が検出する電池温度Tb及び環境温度センサ23が検出する環境温度Taを取得すると共に、電圧センサ20の検出する端子間電圧Vと電流センサ18の検出する電流Iを取得し、主蓄電装置16の内部抵抗をR=(V/I)の関係式を用いて求める。制御装置30は、内部抵抗Rが増大するにつれ累積ダメージΣDが増加する関係に基づいて、内部抵抗Rの変化に応じた累積ダメージΣDを推定する。
車両の起動スイッチがオンとなり、主蓄電装置16が起動している時刻t0以前及び時刻t3以後の期間(以下「電池起動期間」とも称する)は、車両の走行中も停止中も累積ダメージΣDの推定が継続して行われる。図2に示すように、電池起動期間においては、累積ダメージΣDは主蓄電装置16が充放電を行っているときに増加し、充放電が停止すると低下する。
一方、車両の起動スイッチがオフとなる電池休止期間(図2では時刻t0以後時刻t3以前の期間)では、各センサ18,20,22,23は各種パラメータの検出を停止し、制御装置30は累積ダメージΣDの推定を停止する。また、電池休止期間中は主蓄電装置16が充放電しないため、時間の経過とともに累積ダメージΣDが徐々に低下する。
このように、累積ダメージΣDの推定は、電池起動期間中では繰り返し行われているが、電池休止期間中は、各センサ18,20,22,23による検出が行われず、累積ダメージΣDの推定値も更新されない。その結果、累積ダメージΣDは、電池起動期間における累積ダメージΣDの経時変化は反映するものの、電池休止期間における累積ダメージΣDの経時変化(累積ダメージ解消量ΔD)は反映されない。すると、算出される累積ダメージΣDが、累積ダメージ解消量ΔDの分だけ過大になり、その分、本来得られるべき主蓄電装置16の入出力が制限されてしまう。
そこで、制御装置30は、車両の起動スイッチがオンに切り替えられ、主蓄電装置16が起動する時刻t3の直後において、累積ダメージ解消量ΔDを推測し、当該累積ダメージ解消量ΔDにより累積ダメージΣDを補正している。具体的には、図2に示すように、電池休止期間の時間経過に伴い累積ダメージ解消量ΔDが増加することから、休止時間tdと累積ダメージ解消量ΔDとの対応関係を解消量マップとして記憶しておき、解消量マップに基づいて累積ダメージ解消量ΔDを算出する。また、解消量マップに代えて、累積ダメージ解消量ΔDを休止時間tdを変数とする関数として記憶しておき、この関数に基づいて累積ダメージ解消量ΔDを算出してもよい。
ここで、図2に示す時刻t1において、補機バッテリ28が駆動システム10から取り外されて、補機バッテリ28の接続が切断され、その後、時刻t2において、補機バッテリ28が駆動システム10に再度取り付けられ、補機バッテリ28が再び接続されるものとする。累積ダメージ解消量ΔDの算出に使用する電池休止期間の休止時間tdは、タイマ36により測定されるが、タイマ36は補機バッテリ28により作動電力の供給を受ける。そのため、補機バッテリ28の接続が切断される時刻t1から再度接続される時刻t2までの期間は、タイマ36への作動電力の供給が途絶え、タイマ36による時間の測定が中断される。すると、時刻t3において電池休止期間の終了後において、タイマ36により測定されたタイマ測定値tは、補機バッテリ28の接続が切断されていた時刻t1からt2までの時間分、実際の休止時間tdに不足する。その結果、タイマ36によるタイマ測定値tを用いて算出される累積ダメージ解消量ΔDにおいて実際の値との乖離が生じ、累積ダメージΣDの推定値にも少なくない誤差が生じることになる。
そこで、本実施形態では、車両が停止している電池休止期間において、補機バッテリ28の接続が切断の有無を制御装置30の補機バッテリ接続判断部38で判断し、補機バッテリ28の接続が切断された場合には、タイマ36を使用せずに電池休止期間の休止時間tdを推定している。具体的には、電池休止期間の直前及び直後における電池温度Tbと環境温度Taとの差分ΔT1及びΔT2と、休止時間tdとの対応関係を示す休止時間マップを記憶部34に記憶させ、電池温度センサ22及び環境温度センサ23の検出値から算出された差分ΔT1及びΔT2を休止時間マップに照らし合わせて得られるマップ値tにより、休止時間tdを推定する。これにより、電池休止期間において、補機バッテリ28の接続が切断され、タイマ36への作動電力の供給が途絶えた場合であっても、電池休止期間の休止時間tdを正確に推定することができる。
本実施形態では、休止時間マップを用いてマップ値tを求めるためのパラメータを、電池休止期間前後の電池温度Tbと環境温度Taとの差分ΔT1及びΔT2としている。電池休止期間前後の電池温度Tbの変化量が同じであっても、環境温度Taが異なれば実際の休止時間tdが異なる。そのため、本実施形態は、電池休止期間の直前及び直後における電池温度Tbの変化量のみに基づいて休止時間tdを推定する場合と比較して、累積ダメージ解消量ΔDの算出及び累積ダメージΣDの補正をより正確に行うことができる。
さらに、本実施形態では、電池休止期間において補機バッテリ28の接続が切断されていない場合に、タイマ36で測定されたタイマ測定値tに基づいて、累積ダメージ解消量ΔDの算出及び累積ダメージΣDの補正を行うと共に、休止時間マップにおけるマップ値tをタイマ36で測定されたタイマ測定値tに基づいて更新することにより、休止時間マップの学習を行っている。上述の通り、休止時間tdは電池休止期間前後の電池温度Tb及び環境温度Taに基づいて推定可能であるが、実際は、個別の車両の使用環境や使用頻度等によっては、マップ値tと実際の休止時間tdとが一致しないことがあると考えられる。例えば、差分ΔT1及びΔT2が同じであっても、ユーザの使用頻度が低く、駐車時間が長い車両では、休止時間マップによるマップ値tに対して実際の休止時間tdが長くなる傾向にある。また、車両の置かれる環境温度によっても、マップ値tと実際の休止時間tdとの乖離が生じ得る。そこで、車両が停止して主蓄電装置16が休止する毎に、休止時間マップにおいてマップ値tの更新を行うことにより、ユーザの使用環境及び使用頻度に個別に対応させた休止時間マップを作成する。これにより、補機バッテリ28の接続が切断されたときに行う休止時間マップを用いた電池休止期間の休止時間tdの推定がより正確なものとなり、累積ダメージ解消量ΔDの算出、及び、主蓄電装置16の累積ダメージΣDの推定を、より一層精度よく行うことができる。
図3は、主蓄電装置16の累積ダメージΣDの補正処理の流れを示すフローチャートである。以下、図3により、主蓄電装置16の累積ダメージΣDの補正処理の具体的な処理手順、特に、車両の起動スイッチがオフとなる電池休止期間の休止時間tdの取得について、詳しく説明する。
図3において、まず、車両が起動直後の状態か否かが判定される(S10)。判定は、車両の起動スイッチの状態を示す信号を取得したか否かに基づいて行われる。起動スイッチとしてIGスイッチが用いられるときは、IGスイッチがオフからオンとなったときに車両が起動直後の状態と判定される。S10で否定(NO)と判定されるときは、ここまでで処理手順が終了する。
S10で肯定(YES)と判定されると、電池休止期間の直前における、主蓄電装置16の電池温度Tbと環境温度Taとの差分ΔT1の算出が行われる(S12)。記憶部34から、主蓄電装置16が停止する直前に記憶された主蓄電装置16の電池温度Tbと環境温度Taとを読み出し、読み出した電池温度Tbと環境温度Taとの差分ΔT1(=電池温度Tb−環境温度Ta)を算出する。
次に、電池休止期間の直後における、主蓄電装置16の電池温度Tbと環境温度Taとの差分ΔT2の算出が行われる(S14)。記憶部34から、起動後の最初の制御周期における主蓄電装置16の電池温度Tbと環境温度Taとを読み出し、読み出した電池温度Tbと環境温度Taとの差分ΔT2(=電池温度Tb−環境温度Ta)を算出する。
次に、制御装置30は、電池休止期間において補機バッテリ28の接続が切断されたか否かを判定する(S16)。具体的には、制御装置30の補機バッテリ接続判断部38により、補機バッテリ28の通電が、電池休止期間中に遮断されてその後に再開されたか否かを判断する。S16で肯定(YES)と判断した場合、車両の停止中に補機バッテリ28が一時的に取り外され、再び補機バッテリ28が戻されて制御装置30に作動電力の供給が再開した後の、最初の起動状態であることを意味する。この場合、タイマ36に作動電力が供給されない期間があるため、タイマ36が測定したタイマ測定値tを用いて累積ダメージ解消量ΔDを推定すると、実際の累積ダメージ解消量ΔDとの誤差が大きくなる。
そこで、制御装置30は、S16において補機バッテリ28の接続が切断されたと判断した場合、タイマ36によらずに休止時間tdを特定する(S18)。S18において、制御装置30は、差分ΔT1及び差分ΔT2と休止時間tdとの対応関係を示す休止時間マップを記憶部34から読み出し、S12及びS14において算出された差分ΔT1及びΔT2を休止時間マップに照らし合わせてマップ値tを取得し、これを休止時間tdとして特定する。主蓄電装置16が停止すると、電池温度Tbは放熱により環境温度Taに近づくことから、電池休止期間の直前における電池温度Tbと環境温度Taとの差分ΔT1、及び、電池休止期間の直後における電池温度Tbと環境温度Taとの差分ΔT2に基づいて、休止時間tdを推定することができる。その後、後述する通り、特定された休止時間tdを用いて累積ダメージ解消量ΔDを算出するS26に進む。
一方、制御装置30が、S16で否定(NO)と判断した場合、即ち、電池休止期間において補機バッテリ28の接続が切断していないとの補機バッテリ接続判断部38が判断した場合は、タイマ36で測定されたタイマ測定値tを、電池休止期間の休止時間tdとして特定する(S20)。電池休止期間中、補機バッテリ28による作動電力の供給が中断しておらず、タイマ36による時間のカウントが継続していたことを確認した上で、タイマ測定値tを用いて累積ダメージ解消量ΔDを推定することになるため、当該推定の精度を向上させることができる。
次いで、制御装置30は、記憶部34に記憶された休止時間マップの学習を行う(S22)。S22において、制御装置30は、記憶部34に記憶された休止時間マップを読み出し、算出された差分ΔT1及び差分ΔT2を休止時間マップに照らし合わせて取得した更新前のマップ値ta(i−1)と、タイマ36が測定したタイマ測定値tとを対比して、両者の差(Δt)を算出する。次いで、制御装置30は、得られたΔtに基づき、更新前のマップ値ta(i−1)およびタイマ測定値tから下記の式(1)を用いて、更新後のマップ値taiを算出する。
ai=ta(i−1)×(1−α)+t×α (1)
式(1)におけるαは、上記の差Δtにより決定され、0を超え1未満である重み係数である。重み係数αは、差Δtが大きいほど小さくなる。これにより、更新前のマップ値ta(i−1)とタイマ測定値tとの差Δtが大きい場合に、更新後のマップ値taiの学習効果が過大になることを防ぐことができる。更新された休止時間マップは再度記憶部34に記憶される。
S24において、制御装置30は、S18又はS20において特定された休止時間td(マップ値t又はタイマ測定値t)を用いて、累積ダメージ解消量ΔDを算出する。より具体的には、上述の通り、記憶部34に休止時間tdと累積ダメージ解消量ΔDとの対応関係を解消量マップとして記憶しておき、この解消量マップに基づいて累積ダメージ解消量ΔDを算出する。
続いて、制御装置30は、算出された累積ダメージ解消量ΔDにより、累積ダメージΣDを減算する補正を行う(S26)。これにより、本実施形態では、車両の起動スイッチがオフにされ、主蓄電装置16が休止した場合でも、累積ダメージΣDを過大に推定することなく、より適正な推定に近づけることができる。また、本実施形態に係る制御装置30は、車両の停止中に補機バッテリ28の接続が切断され、休止時間tdを測定するタイマ36への作動電力の供給が途絶えた場合であっても、タイマ36によらず、より正確に休止時間tdを推定して、累積ダメージ解消量ΔDの推定、及び、累積ダメージΣDの補正をより精度よく行うことができる。
なお、上記の説明では、休止時間tdと累積ダメージ解消量ΔDとの対応関係を有する解消量マップに基づいて累積ダメージ解消量ΔDを算出しているが、解消量マップに代えて、累積ダメージ解消量ΔDを休止時間tdを変数とする関数として記憶部34に記憶しておき、この関数に基づいて累積ダメージ解消量ΔDを算出してもよい。
また、累積ダメージ解消量ΔDは、主蓄電装置16の停止直前における電流Iが大きいほど、また、電池休止期間における電池温度Tbが低いほど、大きくなる関係を有する。そのため、S26の累積ダメージ解消量ΔDの算出においては、休止時間tdに加えて、電流I及び電池温度Tbを変数とすることにより、更に精度よく累積ダメージ解消量ΔDを算出することができる。但し、電池休止期間中は電流I及び電池温度Tbが検出されないため、電流Iについては電池休止期間の直前の検出値が用いられ、電池温度Tbについては、電池休止期間の直前直後の検出値の平均値が用いられる。
10 (ハイブリッド)車両の駆動システム、12 エンジン、14 回転電機、16 主蓄電装置、18 電流センサ、20 電圧センサ、22 電池温度センサ、23 環境温度センサ、24 システムメインリレー(SMR)、26 インバータ、28 補機バッテリ、30 制御装置、32 CPU、34 記憶部、36 タイマ、38 補機バッテリ接続判断部。

Claims (1)

  1. 車両に搭載される主蓄電装置において、ハイレート充放電によって増加し充放電の停止によって低減する入出力性能の劣化指標値を推定する制御装置であって、
    前記車両の起動スイッチがオフにされて主蓄電装置が停止してから前記起動スイッチがオンにされて主蓄電装置が再び起動するまでの電池休止期間の時間長を測定する時間測定部と、
    前記電池休止期間の直前における主蓄電装置の電池温度と環境温度との差分ΔT1、及び、前記電池休止期間の直後における主蓄電装置の電池温度と環境温度との差分ΔT2と、前記電池休止期間の時間長とを関連付けたマップを記憶する記憶部と、
    前記電池休止期間中における補機バッテリの接続状態を判断する補機バッテリ接続判断部と、
    を備え、
    前記電池休止期間において前記補機バッテリの接続が切断された場合、前記マップにおいて差分ΔT1及び差分ΔT2に関連付けられた前記電池休止期間の推定時間長に基づいて前記劣化指標値を補正し、
    前記電池休止期間において補機バッテリの接続が切断されていない場合、前記時間測定部が測定した前記電池休止期間の時間長に基づいて前記劣化指標値を補正し、且つ、前記マップにおいて前記差分ΔT1及び前記差分ΔT2に関連付けられた前記電池休止期間の時間長を、前記時間測定部が測定した時間長に基づいて更新する、
    制御装置。
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