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JP2019079944A - コイル部品、回路基板、及び電源装置 - Google Patents

コイル部品、回路基板、及び電源装置 Download PDF

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JP2019079944A
JP2019079944A JP2017206160A JP2017206160A JP2019079944A JP 2019079944 A JP2019079944 A JP 2019079944A JP 2017206160 A JP2017206160 A JP 2017206160A JP 2017206160 A JP2017206160 A JP 2017206160A JP 2019079944 A JP2019079944 A JP 2019079944A
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暁光 鄭
Xiaoguang Zheng
暁光 鄭
和嗣 草別
Kazutsugu Kusabetsu
和嗣 草別
将義 廣田
Masayoshi Hirota
将義 廣田
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

【課題】3相以上の多相のトランス結合に利用され、簡単な構成で生産性に優れ、磁気飽和し難いコイル部品を提供する。【解決手段】多相のトランス結合に利用されるコイル部品10であって、3以上のn個の独立したコイル1〜3と、1つの磁性コア6と、を備える。磁性コア6は、各コイルが配置されるn個の磁脚61,62と、任意の二つの磁脚の間に配置される部分を有する中央脚部66と、n個の磁脚及び中央脚部を並列状態で連結する一対の連結部67,68と、中央脚部66に介在される主ギャップ66gと、各磁脚に介在される脚部ギャップと、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、コイル部品、回路基板、及び電源装置に関する。
昇圧動作を行うDC−DCコンバータに備えられる回路として、特許文献1の図5に示す多相方式のトランス結合型昇圧チョッパ回路がある。特許文献1は、この回路に用いられるコイル部品として、二つのE字状のコアを組み合わせた磁性コアを備えるものを開示する。
特開2013−198211号公報
大電流用途では、コイルの数を多くして、コイル部品の多相化を図ることが有利である。しかし、3相以上の多相方式のトランス結合型昇降圧回路に用いられるコイル部品として、簡単な構成で生産性良く製造することができるコイル部品は現在のところ検討されていない。また、多相のトランス結合に利用されるコイル部品には、磁気飽和し難いことが求められている。
そこで、本開示は、3相以上の多相のトランス結合に利用され、簡単な構成で生産性に優れ、磁気飽和し難いコイル部品を提供することを目的の一つとする。また、本開示は、多相方式のトランス結合型昇降圧回路に用いられ、所定の変圧動作を良好に行える回路基板及び電源装置を提供することを別の目的の一つとする。
本開示のコイル部品は、
多相のトランス結合に利用されるコイル部品であって、
3以上のn個の独立したコイルと1つの磁性コアとを備え、
前記磁性コアは、
各コイルが配置されるn個の磁脚と、
任意の二つの前記磁脚の間に配置される部分を有する中央脚部と、
n個の前記磁脚及び前記中央脚部を並列状態で連結する一対の連結部と、
前記中央脚部に介在される主ギャップと、
各磁脚に介在される脚部ギャップと、を備える。
本開示の回路基板は、
前記本開示のコイル部品を備える。
本開示の電源装置は、
前記本開示の回路基板を備える。
本開示のコイル部品は、生産性に優れ、磁気飽和し難い。
本開示の回路基板、及び本開示の電源装置は、所定の変圧動作を良好に行える。
実施形態1のコイル部品の概略斜視図である。 実施形態1のコイル部品の上側の分割コア片を除いたコイル部品の上面図である。 実施形態1のコイル部品の正面図である。 実施形態1の回路基板の一例を等価回路で示す概略構成図である。 実施形態2のコイル部品の概略斜視図である。 実施形態2のコイル部品の上側の分割コア片を除いたコイル部品の上面図である。 実施形態2のコイル部品の正面図である。 実施形態3のコイル部品の概略斜視図である。 実施形態3のコイル部品の上側の分割コア片を除いたコイル部品の上面図である。 実施形態3のコイル部品の正面図である。 試験例1に係るコイル部品の各コイルに流れる電流の波形を示すグラフである。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係るコイル部品は、
多相のトランス結合に利用されるコイル部品であって、
3以上のn個の独立したコイルと1つの磁性コアとを備え、
前記磁性コアは、
各コイルが配置されるn個の磁脚と、
任意の二つの前記磁脚の間に配置される部分を有する中央脚部と、
n個の前記磁脚及び前記中央脚部を並列状態で連結する一対の連結部と、
前記中央脚部に介在される主ギャップと、
各磁脚に介在される脚部ギャップと、を備える。
上記nは3以上6以下とすることが好ましく、3以上5以下とすることができる。上記構成のコイル部品は、各コイルのそれぞれに対応する磁脚を備える磁性コアを用いることで、各磁脚にコイルを配置するだけで磁性コアを作製することができる。そのため、上記構成のコイル部品は生産性に優れる。
また、上記構成のコイル部品は、主ギャップに加えて、各コイルが配置される磁脚にもギャップ(脚部ギャップ)を備える。主ギャップ及び脚部ギャップを設けることで、磁気飽和し難いコイル部品とすることができる。
(2)上記コイル部品の一例として、
前記n個のコイルのうちの任意のコイルと残りのコイルとの結合係数の合計が0.7以上である形態が挙げられる。
上記のコイル部品は、任意のコイルと残りのコイルとの結合係数の合計が0.7以上を満たす範囲で各磁脚にギャップを備える。そのため、結合係数の低下に起因するリップル電流の増加量が小さく、リップル電流が回路全体に与える影響を小さくすることができる。このようなコイル部品を多相のトランス結合型昇降圧回路といった変圧回路に用いれば、磁気飽和し難い上に、リップル電流の増加が小さいため、所定の変圧動作を良好に行える。
(3)上記コイル部品の一例として、
前記中央脚部の中心軸を中心とする仮想円上に、n個の前記磁脚が等間隔に配置されている形態が挙げられる。
上記構成は、軸方向から見た各磁脚の中心軸を線分で繋げたときに正n角形となる構成である。例えばn=3であれば、正三角形の頂点の位置に磁脚の中心軸が配置される。中央脚部の中心軸を取り囲むように複数の磁脚を円状に配置することで、磁性コアをコンパクトにすることができる。また、各磁脚間の距離を揃え易いため、対称性が良く、相間の電流波形のずれを小さくすることができ、コイル部品を磁気飽和し難くできる。特に、n=3のとき、任意の2つの磁脚間の距離を等しくでき、コイル部品の磁気飽和を効果的に抑制できる。
(4)上記(3)のコイル部品の一例として、
前記中央脚部は、その軸方向から見たときに、周方向に隣接する二つの前記磁脚の間のそれぞれに延びるn個の突出部を備える形態が挙げられる。
突出部を備える中央脚部は、その軸方向から見たときに、n個の突出部が等角度で配置された概略星型形状となる。周方向に隣接する二つの磁脚の間に突出部が延びることで、各磁脚を中央脚部側に寄せてコイル部品をコンパクトにしつつ、中央脚部の磁路断面積を大きく確保することができる。
(5)上記(4)のコイル部品の一例として、
前記中央脚部をその軸方向から見たときの前記突出部の外周形状は、前記コイルの外周面に沿った形状である形態が挙げられる。
上記構成によれば、各磁脚から突出部までの距離が近くなり、しかも当該距離が等しくなる部分が多くなるため、中央脚部にコイルの磁束を引き込み易く、中央脚部外に磁束が漏れることを抑制できる。
(6)上記のコイル部品の一例として、
前記脚部ギャップのギャップ長は、前記主ギャップのギャップ長よりも短い形態が挙げられる。
上記形態は、各磁脚におけるギャップ長が主ギャップよりも短いため、結合係数を大きく確保し易く、リップル電流の増加量をより小さくし易い。また、ギャップを含めた磁性コアの大型化も低減し易い。従って、上記形態は、磁気飽和し難い上に、リップル電流による影響をより小さくし易い。
(7)上記(6)のコイル部品の一例として、
前記脚部ギャップのギャップ長は、前記主ギャップのギャップ長の10%以下である形態が挙げられる。
上記形態は、各磁脚におけるギャップ長が主ギャップに対して更に短い。従って、上記形態は、磁気飽和し難い上に、リップル電流による影響を更に小さくし易い。
(8)本発明の一態様に係る回路基板は、
上記(1)から(7)のいずれか一つに記載のコイル部品を備える。
上記の回路基板は、磁気飽和し難くリップル電流の増加量も小さい上記のコイル部品を備えるため、多相のトランス結合型昇降圧回路といった変圧回路に用いれば、所定の変圧動作を良好に行える。
(9)本発明の一態様に係る電源装置は、上記(8)に記載の回路基板を備える。
上記の電源装置は、磁気飽和し難くリップル電流の増加量も小さい上記のコイル部品が設けられた上記の回路基板を備えるため、多相のトランス結合型昇降圧コンバータといったコンバータに用いれば、所定の変圧動作を良好に行える。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、図面を適宜参照して、実施形態に係るコイル部品、回路基板、電源装置を具体的に説明する。図中、同一名称物は、同一物を意味する。
[実施形態1]
図1〜図4を参照して、実施形態1のコイル部品10、回路基板7、及び電源装置8を説明する。ここで、図2では、分割コア片6bを除くコイル部品10を示す。また、図4では、コイル部品10を除く主要な回路部品を回路記号で示すと共に、コイル部品10の磁性コア6を実際の形状とは異なる形状で仮想的に示す。
(全体構成)
実施形態1のコイル部品10は、3相のトランス結合に利用されるものであり、図1に示すように、第一コイル1と、第二コイル2と、第三コイル3と、これらのコイル1,2,3が配置される磁性コア6と、を備える。以下、コイル部品10の各構成部材を詳細に説明する。
(コイル)
第一コイル1、第二コイル2、及び第三コイル3はいずれも、巻線を螺旋状に巻回してなる筒状の巻回部を備える。巻回部から延びる巻線の各端部(図示せず)には、配線パターンなどを介して、電源71(図4)などが接続される。コイル1,2,3は、通電したときに、任意の二つのコイル1,2(1,3又は2,3)に流れる直流電流がつくる磁束が互いに打ち消されるように配置される。つまり、コイル1,2,3の磁束が同一方向(図1の紙面上方向又は紙面下方向)を向くように配置される。
各コイル1,2,3をなす巻線は、導体線の外周に絶縁被覆を備える被覆線を好適に利用できる。導体線の構成材料は、例えば銅やアルミニウム、その合金が挙げられる。絶縁被覆の構成材料は、例えばエナメルと呼ばれるポリアミドイミドなどの樹脂が挙げられる。この例では、各コイル1,2,3をなす巻線は、同じ仕様(構成材料、幅や厚さ、断面積など)の被覆平角線である。また、この例の各コイル1,2,3は、同じ仕様(巻径、巻き数、自然長など)の円筒状のエッジワイズコイルである。
巻線の仕様、巻回部の仕様は適宜選択できる。また、その他の巻線として、コイルに利用される公知の線材、例えば平角線、丸線、被覆丸線、リッツ線などを利用できる。本例のように、導体線が平角線であれば、占積率をリッツ線よりも大きくし易く、コイル部品10を大電流用途に好適に利用できる。また、導体線が平角線からなるコイルは、リッツ線よりも保形性に優れ、磁性コア6と独立して作製しても中空形状を保持できる。更に、本例のように円筒状のエッジワイズコイルであれば、巻径が比較的小さい場合でも製造し易く、製造性にも優れる。
(磁性コア)
磁性コア6は、軟磁性材料を含み、閉磁路を形成する磁性部材である。この磁性コア6は、図2に示すように、コイル1,2,3の数に一致する複数の磁脚61,62,63と、任意の二つのコイルの間に配置される部分を有する中央脚部66と、これらの部材61〜63,66をその軸方向から挟み込む一対の連結部67,68(図1参照)と、を備える。
第一磁脚61の外周には第一コイル1が配置され、第二磁脚62の外周には第二コイル2が配置され、第三磁脚63の外周には第三コイル3が配置される。各磁脚61,62,63はそれぞれ、正三角形の各頂点の位置に配置される。つまり、磁脚61,62,63の中心軸を結ぶ線分が正三角形となるように、磁脚61,62,63が配置されている。
各磁脚61,62,63は、円柱状や直方体状などといった適宜な柱状体であることが挙げられる。各磁脚61,62,63は、各コイル1,2,3の内周形状とは非相似な形状であってもよいが、相似な形状、即ち各磁脚61,62,63の外周面形状が、各コイル1,2,3の内周面形状に沿った形状であることが好ましい。本例では、各磁脚61,62,63は円柱状である。このような構成であれば、各コイル1,2,3と各磁脚61,62,63とを組み付け易く、コイル部品10の製造性に優れる。
中央脚部66は、三つの磁脚61,62,63が作る正三角形の中心に配置されている。言い換えれば、中央脚部66の中心軸を中心とする仮想円上に三つの磁脚61,62,63が等間隔で配置されている。
中央脚部66は、磁脚61,62,63の配置に応じた適宜な形状の柱状体である。中央脚部66は、任意の二つの磁脚の間に配置される部分を備えている。例えば、磁脚61,62を例にすれば、図2の磁脚61,62の紙面上端同士を結ぶ接線と、紙面下端同士を結ぶ接線との間に、中央脚部66の一部が配置されている。本例の中央脚部66は、その磁路断面積の輪郭線に内接する円柱部660(図2の二点鎖線参照)と、その円柱部660の外周から磁脚61,62(62,63、又は63,61)間に延びる舌片形状の三つの突出部661,662,663とで構成される星型形状となっている。この中央脚部66では、円柱部660の一部と突出部661とが共に、磁脚61,62の間に配置されている。また、上記円柱部660の磁路断面積は、各磁脚61,62,63の磁路断面積よりも小さいが、突出部661〜663を含めた中央脚部66の磁路断面積は、各磁脚61,62,63の磁路断面積よりも大きくなっている。このような星形形状の中央脚部66とすることで、中央脚部66の磁路断面積を各磁脚61,62,63の磁路断面積以上としつつ、三つの磁脚61,62,63を中央脚部66側に寄せることができるので、コイル部品10をコンパクト化できる。
中央脚部66をその軸方向から見たときの突出部661,662,663の外周形状は、コイル1,2,3の外周面に沿った形状である。突出部661,662,663をこのような形状とすることで、各磁脚61,62,63へのコイル1,2,3の配置を邪魔しない範囲で突出部661,662,663の磁路断面積を大きくできる。また、磁脚61(62又は63)から突出部661(662又は663)までの距離が近くなり、当該距離が等しくなる部分が多くなるため、中央脚部66にコイル1(2又は3)の磁束を引き込み易く、中央脚部66外に磁束が漏れることを抑制できる。上記突出部661,662,663は、後述する連結部67,68の外周輪郭線からはみ出ないように形成することが好ましい。
連結部67,68は、板状体であることが挙げられる。本例では、磁脚61,62,63を軸方向から見たときに、連結部67,68は、磁脚61と磁脚62とを繋ぐ接線、磁脚62と磁脚63とを繋ぐ接線、磁脚63と磁脚61とを繋ぐ接線、及び磁脚61,62,63の外周面の一部で構成される概略正三角形状(正三角形の角部を丸めた形状)に形成されている。連結部67,68によって、磁性コア6に閉磁路を形成することができる。
《ギャップ》
第一コイル1、第二コイル2、及び第三コイル3にはそれぞれ、図4に示すように、配線パターンなどを介してスイッチ72,73,74などの回路部品が接続される。これら配線パターンや回路部品の製造誤差や接続状態のばらつきなどに起因して、各コイル1,2,3に流れる電流に差が生じることがある。その電流の差に起因して磁性コア6が磁気飽和する可能性があるので、その対策として、本例では後述する主ギャップ66gと脚部ギャップ61g,62g,63gを設けている。
ここで、磁性コア6に磁気飽和が生じるメカニズムについてコイル1,2を例にして説明する。各コイル1,2がつくる磁束は、各磁脚61,62と連結部67,68と中央脚部66(突出部661)とで構成される磁路を通る。一方、両コイル1,2に加わる変化する電圧に起因する磁束の鎖交磁束は、主として、一方の磁脚61から、連結部67,68を通って他方の磁脚62を経る磁路を通る。この磁路は、両コイル1,2のトランス結合の磁路である。各コイル1,2の巻き数をN、各コイル1,2流れる電流をI,Iとすると、上記トランス結合の磁路に、上述の鎖交磁束に加えてN×(I−I)の磁束も通過しようとする。上記の式から明らかなように、コイル1,2の電流差(I−I)が大きいほど、上記トランス結合の磁路を通過しようとする磁束量が多くなり、磁性コア6が磁気飽和する。上記電流差によって磁気飽和することで、所定の昇圧動作または降圧動作など変圧動作を行えなくなる。
磁気飽和のメカニズムに鑑み、本例のコイル部品10では、磁性コア6においてコイル1,2,3が配置されない中央脚部66に主ギャップ66gを備える。このような磁性コア6は、コイル部品10が多相のトランス結合に用いられた場合に、各コイル1,2,3に基づく漏れ磁束によって磁気飽和し難い。更に本例のコイル部品10は、磁性コア6において各コイル1,2,3が配置される各磁脚61,62,63にも脚部ギャップ61g,62g,63gを備える。なお、脚部ギャップ63gは、図1〜3では見えない位置にあるため図示していないが、説明の便宜上、符号を付して以下の説明を行なっている。
主ギャップ66gのギャップ長L66は、上述の漏れ磁束による磁気飽和を低減できるように適宜設定するとよい。第一ギャップ61gのギャップ長L61、第二ギャップ62gのギャップ長L62、及び第三ギャップ63gのギャップ長L63は、上述の電流差に起因する磁気飽和を低減しつつ、結合係数を過度に低下させない範囲で設ける。結合係数の低下は、リップル電流の増大を招くからである。リップル電流の増大は、半導体素子の損失増大、コンデンサ78(図4)の発熱量の増大や熱損傷を招き得る。そこで、ギャップ長L61,L62,L63は、リップル電流の増加量が少ない範囲となる大きさ、具体的には結合係数が0.7以上を満たす大きさとする。例えば、ギャップ長L61,L62,L63は、主ギャップ66gのギャップ長L66よりも短くすることが挙げられる。ギャップ長L61,L62,L63はそれぞれ、主ギャップ66gのギャップ長L33の10%以下とすることができる。ギャップ長L61,L62,L63は短いほど、結合係数を大きくし易く、リップル電流の増加量も少なくし易い。結合係数を大きくする観点から、ギャップ長L61,L62,L63は、主ギャップ66gのギャップ長L66の9.5%以下、更に9%以下、8.5%以下、8%以下であることが好ましい。一方、ギャップ長L61,L62,L63は長いほど、磁気飽和を低減し易いため、主ギャップ66gのギャップ長L66の1%以上、更に2%以上、3%以上とすることが挙げられる。
ギャップ長L61,L62,L63は、異ならせることができるが、本例のように実質的に等しいと、各磁脚61,62,63に均一的に磁束を流し易い。その他、脚部ギャップ61g,62g,63gは、図2に示すように、各コイル1,2,3の内部に位置するように磁性コア6に設けることが挙げられる。
《結合係数》
実施形態1のコイル部品10は、上述のように磁性コア6が主ギャップ66gに加えて、脚部ギャップ61g,62g,63gを備えており、任意のコイルと他のコイルとの結合係数の合計が0.7以上である。本例の場合、第一コイル1と第二コイル2の結合係数と第一コイル1と第三コイル3の結合係数との合計が0.7以上で、第二コイル2と第三コイル3の結合係数と第二コイル2と第一コイル1の結合係数との合計が0.7以上で、かつ第三コイル3と第一コイル1の結合係数と第三コイル3と第二コイル2の結合係数との合計が0.7以上である。このような磁性コア6は、コイル部品10が多相のトランス結合に用いられた場合に、コイル1,2,3に流れる電流に差が生じた場合に、この電流差に基づく磁束によって磁気飽和し難い。そのため、コイル部品10を用いて多相のトランス結合型変圧回路などを構築した場合に、リップル電流の増加量が小さく、昇降圧などの変圧動作を長期に亘り安定して行える。結合係数の合計が大きいほど、リップル電流の増加量を小さくし易く、この観点からは、結合係数は0.75以上、更に0.78以上、0.8以上であることが好ましい。結合係数の合計が0.7以上を満たすように、ギャップ長L61,L62,L63を調整するとよい。
なお、二つのコイル間の結合係数は、以下の関係式から求められる。結合係数をk、一方のコイルの自己インダクタンスをL1、他方のコイルの自己インダクタンスをL2、両コイルの相互インダクタンスをMとすると、結合係数kは、k=M/(L1×L2)を満たす。
市販のシミュレーションソフトなどを用いて、結合係数とリップル電流との相関データや、結合係数ごとのギャップ長L61,L62,L63と通電電流値との相関データなどを予め求めておくことができる。上記相関データを利用すれば、所望の要求に応じて、より好ましい結合係数やギャップ長L61,L62,L63、使用電流値などを容易に選択できる。
《分割構成》
本例の磁性コア6は、図3に示すように、一対の分割コア片6a,6bの磁脚片同士を突き合わせるように組み付けることで形成されている。特に、実施形態1のコイル部品10では、磁脚61,62,63及び中央脚部66のそれぞれにギャップ61g,62g,63g,66gを含むため、分割コア片6a,6bは、ギャップ長に応じた隙間をあけて組み付けられる。磁性コア6を複数の分割コア片6a,6bの組物とすることで、上記隙間を容易に設けられて、ギャップ61g,62g,63g,66gを備えることができる。また、上述のように各コイル1,2,3をエッジワイズコイルといった磁性コア6とは独立して作製可能なものとする場合に、コイル1,2,3と分割コア片6a,6bとを容易に組み付けられる。本例のように分割コア片の個数を二つとすると、組み付け部品数を少なくできる。ひいては、コイル部品10の製造性に優れる。
この例では、各分割コア片6a,6bは同一形状、同一の大きさである。そのため、以下の説明では、一方の分割コア片6aを代表して説明する。両分割コア片6a,6bが同一形状、同一の大きさであれば、例えば分割コア片6a,6bを金型成形する場合に同一の金型で成形できて量産性に優れる、組み付け易く組立作業性に優れる、といった効果を奏する。
分割コア片6aは、各磁脚61,62,63の一部を形成する3つの磁脚片と、中央脚部66の一部を形成する中央脚片と、3つの磁脚片及び中央脚片を支持する一方の連結部67とを備える。3つの磁脚片及び中央脚片は、連結部67の内面から突出する。この例では、両磁脚片の突出高さは実質的に等しく、かつ中央脚片の突出高さよりも若干大きい。そのため、磁脚片間に所定の隙間が設けられるように両分割コア片6a,6bを組み付けると、両分割コア片6a,6bの中央脚片間に上述の各磁脚片間の隙間よりも大きな隙間を設けることができる。この大きめの隙間を主ギャップ66gとする。第一磁脚61をなす二つの磁脚片間の隙間を第一ギャップ61gとする。第二磁脚62をなす二つの磁脚片間の隙間を第二ギャップ62gとする。第三磁脚63をなす二つの磁脚片間の隙間を第二ギャップ63gとする。
《材料》
磁性コア6(ここでは分割コア片6a,6b)には、公知の構成材料で形成された種々の形態のものが利用できる。例えば、フェライトコアなどの焼結体、軟磁性材料の粉末を用いた圧粉成形体、軟磁性材料の粉末と樹脂とを含む複合材料からなる成形体、電磁鋼板などの軟磁性材料の板材を積層した積層体などが挙げられる。
主ギャップ66g及び脚部ギャップ61g,62g,63gの少なくとも一つは、エアギャップであることが挙げられる。例えば、コイル部品10は、主ギャップ66gがエアギャップであり、脚部ギャップ61g,62g,63gの一部にエアギャップを含むように分割コア片6a,6bの組付け状態を維持可能な形状保持部材(図示せず)を備えることが挙げられる。又は、主ギャップ66g及び脚部ギャップ61g,62g,63gの少なくとも一つは、非磁性材料からなるギャップ材を備えることが挙げられる。非磁性材料は、アルミナなどの非金属無機材料、樹脂などの非金属有機材料などが挙げられる。ギャップ材は、平板や、所定の形状の樹脂成形体など種々のものが挙げられる。ギャップ材は接着剤などで分割コア片6a,6bに固定してもよい。例えば、主ギャップ66gをエアギャップとし、脚部ギャップ61g,62g,63gはギャップ材を備えることが挙げられる。この場合、ギャップ材が両面接着テープや接着剤といった接着力を有するものであると、ギャップ材が磁気ギャップとして機能すると共に、分割コア片6a,6bを一体化する接合部材としても機能する。分割コア片6a,6bの磁脚片間が、上述の接着部材を兼ねるギャップ材で接合されることで、磁性コア6の組物としての強度を高められる上に、保形性に優れる。両面接着テープや接着剤層はその厚さを薄くし易く、比較的小さい磁気ギャップでよいギャップ61g,62g,63gに好適に利用できる。
(用途)
実施形態1のコイル部品10は、多相のトランス結合を行う回路基板7の構成部品の一つに利用される。回路基板7は、多相のトランス結合を行う電源装置8の構成部品の一つに利用される。図4では、回路基板7の一部が電源装置8のケースに収納された状態を部分的に、かつ仮想的に示す。回路基板7の一例として、DC−DCコンバータであって、多相のトランス結合型昇降圧チョッパ回路を構成するものが挙げられる。このような回路基板7を備える電源装置8は、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池自動車といった車両に搭載されるコンバータなどに利用することが挙げられる。
(回路基板)
実施形態1の回路基板7は、図4に示すように実施形態1のコイル部品10を備える。代表的には、回路基板7は、コイル部品10を含む各種の回路部品と、これら回路部品を搭載する基板本体70と、基板本体70に設けられ、回路部品が接続される配線パターン(図示せず)とを備える。各回路部品は、回路基板7の用途に応じて備えられ、代表的には配線パターンを介して接続される。コイル部品10では各コイル1,2,3の巻線の端部が配線パターンに接続される。上記の接続には、半田付けやねじ結合など、公知の接続方法が利用できる。
図4は、回路基板7として、DC−DCコンバータであって、多相のトランス結合型昇降圧チョッパ回路を構成するものを例示する。この回路基板7は、回路部品として、コイル部品10の他、直流の電源71と、スイッチ72〜77、コンデンサ78、負荷79などを備える。スイッチ72〜77には、図4に例示するMOSFETなどの半導体素子が利用される。回路基板7は、これらのスイッチ72〜77の開閉を制御する制御回路(図示せず)などを備える。制御回路によってスイッチ72〜77の開閉を制御することで、この回路基板7は、電源71の電圧を下げて、負荷79に出力できる(降圧動作)。一方、入出力を逆転する場合、いわば図4に示す負荷79を電源に、電源71を負荷に入れ替える場合、スイッチ72〜77の制御内容を変更することで、電源電圧を昇圧して、負荷に出力できる(昇圧動作)。回路基板7の基本的な構成や材料などは、公知の技術を利用でき、詳細な説明を省略する。
(電源装置)
実施形態1の電源装置8は、実施形態1の回路基板7を備える。図4では、電源装置8は、上述のようにDC−DCコンバータであって、多相のトランス結合型昇降圧チョッパ回路を構成する回路基板7を備えるものを例示する。電源装置8におけるその他の構成については公知の構成を利用でき、詳細な説明を省略する。
(主な効果)
実施形態1のコイル部品10は、主ギャップ66gとは別に、各コイル1,2,3が配置される各磁脚61,62,63にも脚部ギャップ61g,62g,63gを備えるという簡単な構成でありながら、各コイル1,2,3に流れる電流に差が有っても、この電流差によって磁気飽和し難い。また、実施形態1のコイル部品10は、各コイル1,2,3の結合係数の合計が0.7以上を満たす範囲で脚部ギャップ61g,62g,63gを備えるため、リップル電流の増加量を小さくできる。
また、実施形態1のコイル部品10は、別個に用意したコイル1,2,3と、磁性コア6と、を組付けるだけで完成させることができる。そのため、このコイル部品10は生産性良く製造することができる。
実施形態1のコイル部品10を備える実施形態1の回路基板7、及びこの回路基板7を備える実施形態1の電源装置8は、多相のトランス結合型昇降圧回路やこの回路を備えるコンバータなどに用いた場合に、リップル電流の増加量を小さく抑えつつ、上述の電流差に基づく磁気飽和が生じ難いため、所定の変圧動作を長期に亘り良好に行える。
[実施形態2]
実施形態2では、4相のトランス結合型昇降圧回路に利用できるコイル部品10を、図5,6,7に基づいて説明する。図5,6,7の見方は、実施形態1の図1,2,3と同様である。
図5,6に示すように、本例のコイル部品10は、4つのコイル1,2,3,4と、各コイル1,2,3,4が配置される4つの磁脚61,62,63,64を有する磁性コア6と、を備える(第四コイル4と第四磁脚64については図6を参照)。
本例においても、図6に示すように、磁脚61,62,63,64は、中央脚部66の中心軸を中心とする仮想円上に等間隔に配置され、各磁脚61,62,63,64には図7に示す脚部ギャップ61g,62g,63g,64g(63g,64gは図示せず)が形成されている。図6に示すように、中央脚部66は、円柱部660と舌片状の4つの突出部661〜664とで構成される概略十字形状に形成されている。また、脚部ギャップ61g〜64gの各ギャップ長L61〜L64は、中央脚部66の主ギャップ66gのギャップ長L66よりも短くなっており、そのため、任意のコイルと、その他のコイルとの結合係数の合計が0.7以上となる。例えば、任意のコイルとして第一コイル1を選択した場合、コイル1,2の結合係数とコイル1,3の結合係数とコイル1,4の結合係数との合計が0.7以上である。任意のコイルとして、第二コイル2、第三コイル3、又は第四コイル4を選択した場合も同様に、合計結合係数が0.7以上である。
本例のコイル部品10も、別個に用意したコイル1〜4と磁性コア6とを組み合わせるだけで作製することができるので、生産性に優れる。また、本例のコイル部品10は、コイル1〜4が配置される磁脚61〜64に脚部ギャップ61g〜64gを形成することで磁気飽和し難くなっている。
[実施形態3]
実施形態3では、5相のトランス結合型昇降圧回路に利用できるコイル部品10を、図8,9,10に基づいて説明する。図8,9,10の見方は、実施形態1の図1,2,3と同様である。
図8,9に示すように、本例のコイル部品10は、5つのコイル1,2,3,4,5と、各コイル1,2,3,4,5が配置される5つの磁脚61,62,63,64,65を有する磁性コア6と、を備える(第四コイル4については図9を参照)。
本例においても、図9に示すように、磁脚61,62,63,64,65は、中央脚部66の中心軸を中心とする仮想円上に等間隔に配置され、各磁脚61,62,63,64,65には図10に示す脚部ギャップ61g,62g,63g,64g,65g(63g,64g,65gは図示せず)が形成されている。図9に示すように、中央脚部66は、円柱部660と舌片状の5つの突出部661〜665とで構成される概略星型形状に形成されている。また、脚部ギャップ61g〜65gの各ギャップ長L61〜L65は、中央脚部66の主ギャップ66gのギャップ長L66よりも短くなっており、そのため、任意のコイルと、その他のコイルとの結合係数の合計が0.7以上となる。
本例のコイル部品10も、別個に用意したコイル1〜5と磁性コア6とを組み合わせるだけで作製することができるので、生産性に優れる。また、本例のコイル部品10は、コイル1〜5が配置される磁脚61〜65に脚部ギャップ61g〜65gを形成することで磁気飽和し難くなっている。
[試験例1]
実施形態2の図5〜7に示す4相のトランス結合型昇降圧回路に用いられるコイル部品10を作製して、通電電流値を変化させたときの磁気飽和状態を調べた。
試験例のコイル部品の仕様は以下の通りである。
主ギャップ66gのギャップ長L66は2mmである。
各脚部ギャップ61g〜64gのギャップ長L61〜L64はそれぞれ、0.13mmであり、主ギャップのギャップ長よりも短い。
コイル部品10の合計結合係数は0.80である。
この試験では、第一コイル、第二コイル、第三コイル、及び第四コイルにそれぞれ35Aの直流電流を供給し、そのときの電流波形を市販の電流プローブで測定した。直流電流が35Aのときの各コイルの電流波形を図11に示す。図11は、上述の電流波形を示すグラフであり、横軸は時間(マイクロ秒)、縦軸は直流電流値(A)を示す。
図11に示すように、各コイル1,2,3,4の電流波形は若干分離しているものの、各コイル1,2,3,4の電流波形は規則的な形状であり、局所的なピークなどが存在していない。電流波形の分離は、結合係数がある程度低いことで生じる。つまり、結合係数が高いと、各コイル1,2,3,4の電流波形が重複する箇所が多く、分離箇所が少なくなる。電流波形が大きく分離した箇所の発生は、コイル部品10が磁気飽和していることを意味する。つまり、本試験例のコイル部品10では、磁気飽和は生じていないといえる。
この試験から、多相のトランス結合型昇降圧回路に用いられるコイル部品10として、主ギャップ66gに加えて、各コイル1,2,3,4が配置される各磁脚61,62,63,64に脚部ギャップ61g,62g,63g,64gを備えることで、磁気飽和を低減できることが示された。
本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、以下の少なくとも一つの変更が可能である。
(1)分割コア片の形状や分割数を変更する。例えば、連結部を中央脚部と磁脚とは別のコア片とすることが挙げられる。
(2)各脚片の脚部ギャップ長を異ならせる。
(3)各コイルと磁性コアとの間に絶縁材料からなる介在部材を備える、又は各コイルを覆う絶縁被覆材を備える、又は磁性コアを覆う絶縁被覆材を備える。これらの場合、各コイルと磁性コアとの間の絶縁性を高められる。
(4)回路基板や電源装置を、昇圧動作のみを行うものとする、又は降圧動作のみを行うものとする。
10 コイル部品
1 第一コイル
2 第二コイル
3 第三コイル
4 第四コイル
5 第五コイル
6 磁性コア
61 第一磁脚 62 第二磁脚 63 第三磁脚 64 第四磁脚 65 第五磁脚
66 中央脚部
660 円柱部 661,662,663,664,665 突出部
67,68 連結部
61g,62g,63g,64g,65g 脚部ギャップ
66g 主ギャップ
6a,6b 分割コア片
7 回路基板
70 基板本体
71 電源
72,73,74,75,76,77 スイッチ
78 コンデンサ
79 負荷
8 電源装置

Claims (9)

  1. 多相のトランス結合に利用されるコイル部品であって、
    3以上のn個の独立したコイルと1つの磁性コアとを備え、
    前記磁性コアは、
    各コイルが配置されるn個の磁脚と、
    任意の二つの前記磁脚の間に配置される部分を有する中央脚部と、
    n個の前記磁脚及び前記中央脚部を並列状態で連結する一対の連結部と、
    前記中央脚部に介在される主ギャップと、
    各磁脚に介在される脚部ギャップと、を備えるコイル部品。
  2. 前記n個のコイルのうちの任意のコイルと残りのコイルとの結合係数の合計が0.7以上である請求項1に記載のコイル部品。
  3. 前記中央脚部の中心軸を中心とする仮想円上に、n個の前記磁脚が等間隔に配置されている請求項1又は請求項2に記載のコイル部品。
  4. 前記中央脚部は、その軸方向から見たときに、周方向に隣接する二つの前記磁脚の間のそれぞれに延びるn個の突出部を備える請求項3に記載のコイル部品。
  5. 前記中央脚部をその軸方向から見たときの前記突出部の外周形状は、前記コイルの外周面に沿った形状である請求項4に記載のコイル部品。
  6. 前記脚部ギャップのギャップ長は、前記主ギャップのギャップ長よりも短い請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコイル部品。
  7. 前記脚部ギャップのギャップ長は、前記主ギャップのギャップ長の10%以下である請求項6に記載のコイル部品。
  8. 前記請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のコイル部品を備える回路基板。
  9. 請求項8に記載の回路基板を備える電源装置。
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