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JP2019076524A - 室内環境保全システム - Google Patents

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JP2019076524A JP2017206686A JP2017206686A JP2019076524A JP 2019076524 A JP2019076524 A JP 2019076524A JP 2017206686 A JP2017206686 A JP 2017206686A JP 2017206686 A JP2017206686 A JP 2017206686A JP 2019076524 A JP2019076524 A JP 2019076524A
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Abstract

【課題】室内空間に設置される内装材やインテリア用品に付着、含浸する汚染物質による室内空間への汚染を低減する。【解決手段】室内環境保全システムとしては、室内空間Rの内装材1又はインテリア用品2の表面若しくは内部に付着、含浸する汚染物質Wあるいは前記表面から拡散する汚染物質Wを認識する認識手段3と、認識手段3にて認識された汚染物質Wによる室内空間Rへの拡散を低減する低減手段4と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、建物、移動体の室内環境を保全する室内環境保全システムに係り、特に、室内空間に設置される内装材やインテリア用品に付着、含浸する汚染物質による室内空間への放散を防止することを企図した室内環境保全システムに関する。
従来この種の室内環境保全システムとしては特許文献1〜3に記載のものが挙げられる。
特許文献1には、清浄部材による清浄処理対象とは異なる捕捉対象として当該清浄処理前の空気に含まれて人体に影響するガス状又は浮遊粒子状の因子物質が許容範囲外に至る前段階から監視可能に捕捉される捕捉部材、を備え、捕捉部材は、清浄装置本体に取り外し自在に設けられ、清浄部材とは別に配置されてガス状又は浮遊粒子状の因子物質を累積的に捕集する捕集部材であり、清浄部材による清浄処理を施すことが可能な状態で、当該捕集部材に捕集されている因子物質を定性、定量するときに清浄装置本体から一時的に取り外される空気清浄装置と、捕捉部材にて捕捉した因子物質情報を管理し、管理した因子物質情報がどのような状態であるかを監視する情報監視装置と、を備えた空気清浄監視システムが開示されている。
特許文献2には、汚染物質を回収する回収器と、回収器外又は回収器内に生活空間に存在する汚染物質を処理するための処理剤が供給される処理剤供給手段と、処理剤供給手段にて処理剤が供給された状態で生活空間に対し回収器に向かう気流を形成し、供給された処理剤と汚染物質とが付着した状態で回収器に回収されるように気流に乗せて生活空間の汚染物質を回収器に搬送する気流形成手段と、気流形成手段により形成された気流に乗って回収器に回収された処理剤が付着した汚染物質を回収器外に廃棄する廃棄手段と、を備える汚染物質処理装置、並びに、これを用いた空気清浄維持システムが開示されている。
特許文献3には、生体情報収集椅子として、椅子本体と、椅子本体に着座した対象者を認識する認識手段と、椅子本体の一部に組み込まれ、認識手段で対象者が認識された条件で、椅子本体に着座した対象者の生体情報を収集する収集器具と、を備え、この生体情報収集椅子と、生体情報収集椅子の収集器具にて収集された生体情報及び認識手段にて認識された対象者と関連付けて記録する情報記録手段と、情報記録手段に記録された生体情報に基づいて対象者の生体状態を診断する診断手段と、を備えた生体情報診断システムが開示されている。
特許第5905850号公報(発明を実施するための形態,図1) 特開2014−110857号公報(発明を実施するための形態,図1) 特開2016−154759号公報(発明を実施するための形態,図1)
本発明が解決しようとする技術的課題は、室内空間に設置される内装材やインテリア用品に付着、含浸する汚染物質による室内空間への汚染を低減することにある。
本発明の第1の技術的特徴は、室内空間の内装材又はインテリア用品の表面若しくは内部に付着、含浸する汚染物質あるいは前記表面から拡散する汚染物質を認識する認識手段と、前記認識手段にて認識された汚染物質による室内空間への拡散を低減する低減手段と、を備えたことを特徴とする室内環境保全システムである。
本発明の第2の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた室内環境保全システムにおいて、前記認識手段は、前記汚染物質以外に、前記内装材又はインテリア用品の表面若しくは内部に付着、含浸する前記室内空間に滞在する人の生体ガスをも認識することを特徴とする室内環境保全システムである。
本発明の第3の技術的特徴は、第1又は第2の技術的特徴を備えた室内環境保全システムにおいて、前記認識手段は、前記内装材又はインテリア用品の表面若しくは内部の一部に着脱可能な試験チップを有し、当該試験チップを定期的又は不定期的に取り外すことで、当該試験チップに捕捉された物質を分析対象とすることを特徴とする室内環境保全システムである。
本発明の第4の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた室内環境保全システムにおいて、前記低減手段は、前記内装材又はインテリア用品の表面若しくは内部に前記汚染物質が留まり、あるいは、前記汚染物質が分解される特性を持つ薬剤を定期的又は不定期的に供給するものであることを特徴とする室内環境保全システムである。
本発明の第5の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた室内環境保全システムにおいて、前記低減手段は、前記内装材又はインテリア用品の表面に気流を定期的若しくは不定期的に供給して前記内装材又はインテリア用品の表面若しくは内部に付着、含浸した汚染物質を脱離し、脱離した汚染物質を回収するものであることを特徴とする室内環境保全システムである。
本発明の第6の技術的特徴は、第5の技術的特徴を備えた室内環境保全システムにおいて、前記低減手段は、前記内装材又はインテリア用品の表面若しくは内部に付着、含浸した汚染物質の脱離を促すように前記付着、含浸した汚染物質に対し気流を供給する気流供給部と、前記脱離した汚染物質を回収する回収部とを有することを特徴とする室内環境保全システムである。
本発明の第7の技術的特徴は、第4乃至第6の技術的特徴のいずれかを備えた室内環境保全システムにおいて、前記低減手段は、前記内装材又はインテリア用品の表面若しくは内部に供給される前記薬剤又は前記気流に対し、前記内装材又はインテリア用品の表面機能性が改善可能な有用物質を含ませることを特徴とする室内環境保全システムである。
本発明の第8の技術的特徴は、第4乃至第6の技術的特徴のいずれかを備えた室内環境保全システムにおいて、前記低減手段は、空気清浄装置又はこれ以外の環境機器の一部に予め組み込まれることを特徴とする室内環境保全システムである。
本発明の第9の技術的特徴は、第5又は第6の技術的特徴を備えた室内環境保全システムにおいて、前記低減手段は、室内空間内に設置される環境機器にて生成される気流を利用し、前記内装材又はインテリア用品に付着、含浸した汚染物質の脱離を促すと共に、脱離した汚染物質を前記気流と共に気流の経路に沿って予め決められた回収部にまで搬送することを特徴とする室内環境保全システムである。
本発明の第10の技術的特徴は、第1乃至第9の技術的特徴のいずれかを備えた室内環境保全システムにおいて、前記室内空間に設置される内装材、インテリア用品及び環境機器を予め決められた範囲内から選定したときに、選定したものの組み合わせによる室内環境が設計可能な室内環境設計ツールを備え、当該室内環境設計ツールは設計された室内環境に対して前記低減手段による低減効果の反映度合を予測する機能を備えていることを特徴とする室内環境保全システムである。
本発明の第11の技術的特徴は、第4乃至第6の技術的特徴のいずれかを備えた室内環境保全システムにおいて、前記低減手段は、前記内装材又はインテリア用品の表面若しくは内部に付着、含浸する汚染物質に供給される前記薬剤又は前記気流に対し、前記室内空間に滞在する人にとって好適な有用物質を含ませることを特徴とする室内環境保全システムである。
本発明の第1の技術的特徴によれば、室内空間に設置される内装材やインテリア用品に付着、含浸する汚染物質による室内空間への拡散を低減することができる。
本発明の第2の技術的特徴によれば、認識した生体ガスの情報から、室内空間に滞在する人の健康情報を付随情報として取得することができる。
本発明の第3の技術的特徴によれば、現場で直接汚染物質の検査を行う場合に比べて、室内空間の内装材又はインテリア用品に付着、含浸した汚染物質を簡単且つ正確に認識することができる。
本発明の第4の技術的特徴によれば、室内空間の内装材又はインテリア用品に付着、含浸した汚染物質を室内空間に拡散させずに低減することができる。
本発明の第5の技術的特徴によれば、内装材又はインテリア用品に付着、含浸した汚染物質を取り除き、室内空間へ拡散する汚染物質を低減することができる。
本発明の第6の技術的特徴によれば、内装材又はインテリア用品に付着、含浸した汚染物質を取り除き、回収する方式を容易に実現することができる。
本発明の第7の技術的特徴によれば、内装材又はインテリア用品に付着、含浸する汚染物質の処理に加えて、内装材等の表面機能性を改善することができる。
本発明の第8の技術的特徴によれば、室内空間に低減手段が含まれる環境機器を設置するだけで、室内空間を簡単に保全することができる。
本発明の第9の技術的特徴によれば、内装材又はインテリア用品に付着、含浸した汚染物質の脱離、回収動作を環境機器による気流を利用して効率的に実現することができる。
本発明の第10の技術的特徴によれば、ユーザ自身による室内空間の最適な環境作りに当たり、低減手段をどのように組み込むか設計に反映させることができる。
本発明の第11の技術的特徴によれば、室内空間に滞在する人にとってより好適な室内環境を実現することができる。
(a)は本発明が適用された室内環境保全システムの実施の形態の概要を示す説明図、(b)は低減手段の代表的態様1を示す説明図、(c)は低減手段の代表的態様2を示す説明図である。 実施の形態1に係る室内環境保全システムの全体構成を示す説明図である。 (a)は汚染処理剤供給装置としてイオン(活性種)発生器を用いた態様のイオン(活性種)の作用領域を示す説明図、(b)は(a)中B部分の拡大説明図、(c)はイオン(活性種)発生器で発生したイオン(活性種)の空気中での残留物及びイオン(活性種)にて汚染物質が分解された際に発生して空気中に放散される反応物質についての処理対策を示す説明図である。 (a)は汚染処理剤供給装置として有用物質供給装置を用いた態様の有用物質の作用領域を示す説明図、(b)は(a)中B部分の拡大説明図、(c)は有用物質供給装置で供給された有用物質の空気中での残留物及び有用物質にて汚染物質が分解された際に発生して空気中に放散される反応物質についての処理対策を示す説明図である。 (a)は図4に示す有用物質供給装置の構成例1を示す説明図、(b)は同有用物質供給装置の構成例2を示す説明図である。 (a)は図4に示す有用物質供給装置の他の構成例を示す説明図、(b)は同有用物質供給装置の更に別の構成例を示す説明図である。 (a)は実施の形態2に係る室内環境保全システムの全体構成を示す説明図、(b)は同室内環境保全システムによる動作原理を示す説明図である。 実施の形態2で用いられる空気清浄機の詳細を示す説明図である。 図8に示す空気清浄機に組み込まれる清浄フィルタの一例を示す説明図である。 (a)は実施の形態2に係る室内環境保全システムの変形の形態2−1を示す説明図、(b)は本変形の形態に係る室内環境保全システムの動作原理を示す説明図である。 実施の形態3に係る室内環境保全システムの要部を示す説明図である。 (a)は実施の形態4に係る室内環境保全システムの要部を示す説明図、(b)は室内空間の空気質を分析するための一例を示す説明図である。 実施の形態5に係る室内環境保全システムの要部を示す説明図である。 (a)は実施の形態6に係る室内環境保全システムの要部を示す説明図、(b)は同室内環境保全システムによる脱臭処理過程を示す説明図である。 実施の形態7に係る室内環境保全システムによる室内環境設計処理例を示す説明図である。 (a)は実施の形態6に係る室内環境保全システムを採用した実施例1において、測定対象室3部屋の概要を示す説明図、(b)は実施例1において、室内測定物質と、測定対象室から採取した畳、壁紙の化学物質発生量をチャンバー試験により求めた測定物質とを比較した説明図である。
◎実施の形態の概要
図1は本発明が適用された室内環境保全システムの実施の形態の概要を示す。
同図において、室内環境保全システムは、室内空間Rの内装材1又はインテリア用品2の表面若しくは内部に付着、含浸する汚染物質Wあるいは前記表面から拡散する汚染物質Wを認識する認識手段3と、認識手段3にて認識された汚染物質Wによる室内空間Rへの拡散を低減する低減手段4と、を備えたものである。
このような技術的手段において、室内空間Rでは、内装材1又はインテリア用品2の表面若しくは内部にガス状汚染物質又は粒子状汚染物質が付着、含浸する。これらの汚染物質Wが室内空間Rに拡散すると、汚染物質濃度が高くなり、室内環境の快適性が損なわれる懸念がある。本件では、その汚染物質Wを認識し、認識した汚染物質Wが室内空間Rに拡散するのを低減することを企図する。
ここで、内装材1は室内空間Rを区画する床、壁、天井などに使う仕上げ材や下地材を広く含む。また、インテリア用品2は室内空間Rに設置されて室内を装飾する品物を広く含み、本例では電化製品(エアコン(Air Conditioner/空気調和装置に相当)、扇風機、温風ヒータ、照明器具、ポット、テレビ、パソコン(Personal Computer)など)も含む。
また、認識手段3には、各種センサにて汚染物質Wを検出する手法でもよいし、あるいは、付着、含浸している汚染物質Wをサンプリングして抽出し、これを分析する手法など適宜選定して差し支えない。
更に、低減手段4は汚染物質Wによる室内空間Rへの拡散を低減するものであれば、(1)内装材1等の表面若しくは内部に汚染物質Wを留めて拡散しないようにする方式、(2)同汚染物質Wを分解して無害化する方式、(3)同汚染物質Wを内装材1等から脱離させ、これを回収する方式などの手法がある。
次に、本実施の形態に係る室内環境保全システムの代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、認識手段3の好ましい態様としては、汚染物質W以外に、内装材1又はインテリア用品2の表面若しくは内部に付着、含浸する室内空間Rに滞在する人の生体ガスをも認識する態様が挙げられる。本例は、室内空間Rに滞在する人の生体ガスも内装材1又はインテリア用品2の表面若しくは内部に付着、含浸することから、汚染物質Wに加えて、生体ガスをも認識する態様である。
また、認識手段3の代表的態様としては、内装材1又はインテリア用品2の表面若しくは内部の一部に着脱可能な試験チップを有し、当該試験チップを定期的又は不定期的に取り外すことで、当該試験チップに捕捉された物質を分析対象とする態様が挙げられる。本例は、内装材1やインテリア用品2の一部に着脱可能な試験チップを具備させ、これを取り外すことで試験チップに付着した汚染物質Wを分析可能としたものである。
更に、低減手段4の代表的態様としては、図1(b)に示すように、内装材1又はインテリア用品2の表面若しくは内部に汚染物質Wが留まり、あるいは、汚染物質Wが分解される特性を持つ薬剤5を定期的又は不定期的に供給するものが挙げられる。本例は、内装材1等に付着、含浸する汚染物質Wが室内空間Rに拡散しないように薬剤5を供給し、汚染物質Wを留める(固定化する)か、あるいは、分解するようにしたものである。
また、低減手段4の別の代表的態様としては、図1(c)に示すように、内装材1又はインテリア用品2の表面に気流6を定期的若しくは不定期的に供給して内装材1又はインテリア用品2の表面若しくは内部に付着、含浸した汚染物質Wを脱離し、脱離した汚染物質Wを回収するものである。本例は、室内空間Rに生成される気流6を利用し、内装材1等に付着、含浸する汚染物質Wを室内空間Rに脱離させ、これを回収することで、室内空間Rへの汚染物質Wの拡散を低減するものである。ここで、内装材1等の汚染面に気流6(好ましくは清浄空気)を供給することで境界面に濃度勾配を生じさせ、内装材1等に付着、含浸した汚染物質Wの脱離を促し、汚染物質Wの放散速度を増大させ、汚染物質Wを積極的に取り除くものである。
更に、図1(c)に示す方式の具体例としては、内装材1又はインテリア用品2の表面若しくは内部に付着、含浸した汚染物質Wの脱離を促すように付着、含浸した汚染物質Wに対し気流6を供給する気流供給部7と、脱離した汚染物質Wを回収する回収部8とを有する態様が挙げられる。本例の気流供給部7、例えば空気清浄装置、空気調和装置、空気循環装置などの環境機器を利用して所定の気流パターンを生成することで容易に実現でき、また、回収部8は、脱離した汚染物質Wを回収するものであればよく、空気清浄装置内の清浄フィルタや専用の回収器にて容易に実現できる。
また、低減手段4の好ましい態様としては、以下のものが挙げられる。
第1の態様は、内装材1又はインテリア用品2の表面若しくは内部に供給される薬剤5又は気流6に対し、内装材1又はインテリア用品2の表面機能性が改善可能な有用物質を含ませるものである。本例は、汚染物質Wに対して供給される薬剤5、気流6に対し、内装材1等の表面機能性が改善可能な有用物質を含ませることで、汚染物質Wの処理と共に、内装材1等の表面機能性を改善することが可能である。ここでいう有用物質には、気相(オゾン、ミスト)でもよいし、液相でもよいし、光触媒や電気的に発生させた活性種(プラズマイオン等)がある。尚、液相の場合には、ベイクアウト、ふりかけ、刷毛塗り、圧入などの方式を経て浸透させるようにすればよい。
第2の態様は、空気清浄装置又はこれ以外の環境機器の一部に予め組み込まれるものである。本例は、空気清浄装置の一部に低減手段4を組み付けた態様のほか、空気清浄装置以外の環境機器に組み付けた態様であり、環境機器に汚染物質Wの低減機能を付加するようにしたものである。
第3の態様は、室内空間R内に設置される環境機器(気流供給部7に相当)にて生成される気流6を利用し、内装材1又はインテリア用品2に付着、含浸した汚染物質Wの脱離を促すと共に、脱離した汚染物質Wを前記気流6と共に気流6の経路に沿って予め決められた回収部8にまで搬送するものである。本例は、環境機器の気流6を利用して、内装材1等に付着、含浸した汚染物質Wを脱離させ、かつ、前記気流6と共に脱離した汚染物質Wを回収部8へと搬送するものである。
第4の態様は、室内空間Rに設置される内装材1、インテリア用品2及び環境機器(図1では図示せず)を予め決められた範囲内から選定したときに、選定したものの組み合わせによる室内環境が設計可能な室内環境設計ツールを備え、当該室内環境設計ツールは設計された室内環境に対して低減手段4による低減効果の反映度合を予測する機能を備えているものである。本例は、ユーザが室内環境設計ツールを利用し、内装材1、インテリア用品2、環境機器を選定すると、選定したものの組み合わせによる室内環境(空気清浄度、気流など)を設計する手法において、低減手段4を採用したときの低減効果を予測可能とするものである。
第5の態様は、内装材1又はインテリア用品2の表面若しくは内部に付着、含浸する汚染物質Wに供給される薬剤5又は気流6に対し、室内空間Rに滞在する人にとって好適な有用物質を含ませるものである。本例は、内装材1等に付着、含浸する汚染物質Wに対して定期的若しくは不定期的に供給される薬剤5又は気流6に対し、室内空間Rに滞在する人にとって好適な有用物質を含ませるようにすれば、人にとって好適な有用物質が定期的若しくは不定期的に内装材1又はインテリア用品2の表面に放散されることになり、室内環境の保全性をより高める上で有効である。
ここで、人にとって好適な有用物質には、空気の清浄度を高める高酸素濃度の空気や、一定の室内環境を長時間保つと、人の快適性と免疫性を低下させる医学的知見があり、これを改善する上で室内環境に変化を与える要因(温度、湿度、気流、照度、空気清浄度)につながる物質をあえて供給することも挙げられる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
−室内環境保全システムの全体構成−
図2は実施の形態1に係る室内環境保全システムの全体構成を示す。
同図において、室内環境保全システムは、室内空間Rが内装材20にて区画されており、室内空間R内の例えば壁際に位置する床上に空気清浄機(空気清浄装置)30を設置すると共に、空気清浄機30から送出された清浄空気が室内空間Rの内装材20に沿う気流Afとして循環するように、天井及び壁の一部に補助ファン51,52を設置し、更に、室内空間Rのうち空気清浄機30からの清浄空気による気流Afの経路の一部、例えば空気清浄機30の設置位置に対向する壁際の床上に汚染処理剤供給装置60を設置するようにしたものである。
−内装材に付着、含浸する汚染物質−
一般に、建物や移動体(自動車、鉄道、船舶、飛行機)などの密閉空間では、ガス状物質(臭気物質、化学物質、内装材20からの放散物質)と粒子状物質(粉塵、タバコ煙粒子、微生物粒子、内装材20からの発塵)の対策が必要となっており、また、内装材20からの発塵や放散物質による空気汚染が懸念される。
例えば、住宅では珪藻土などの塗り壁に付着した物質(臭気物質、化学物質、微生物…)の再放散や珪藻土自身の発塵、ビニルクロスからは同様の再放散とSVOC(半揮発性有機化合物、可塑剤)が放散する。これらの再放散と建材自身の粉塵などの発塵や化学物質や臭気物質などの放散を抑えたいという要望がある。更に、珪藻土壁では、一旦捕捉したガスの再放散による臭気物質汚染や珪藻土や混合物の室内空間Rへの飛散問題があり、長期間使用した珪藻土仕上げ材の臭気汚染や建材自身からの発塵による粉塵濃度の上昇が起こり易く、これを抑えたいという要望がある。
本実施の形態では、室内空間Rを汚染する懸念のある物質を汚染物質Wと称し、これを処理するものを汚染処理剤と称する。
−汚染物質の特定処理−
本例では、内装材20の一部には、図2に示すように、着脱可能な試験チップ21が設けられている。一般に、室内空間Rを区画する内装材20の面積は大きく、前述したように、内装材20には多量の化学物質、臭気等のガス状物質や、粉塵、タバコ煙粒子、ダニ、カビ、花粉等の粒子状物質が付着しているため、内装材20の一部である試験チップ21を取外し、汚染物質分析装置70にて試験チップ21に付着した汚染物質(ガス状物質、粒子状物質)Wを分析することで、当該室内空間R特有の汚染物質Wを特定することが可能である。
本例では、汚染物質分析装置70としては、ガスクロマトグラフ、ガスクロマトグラフ質量分析器、高速液クロマトグラフ、イオンクロマトグラフなどの公知の分析手法が採用される。
尚、本実施の形態では、内装材20の一部に着脱可能な試験チップ21を設けるようにしたが、これに限られるものではなく、室内空間Rに設置される図示外のインテリア用品の一部に着脱可能な試験チップ(図示せず)を設け、当該試験チップを取り外して試験チップに付着した汚染物質を汚染物質分析装置70にて分析するようにしてもよい。
−汚染処理剤の選定処理−
前述したように、汚染物質分析装置70にて試験チップ21に付着した汚染物質Wの分析結果が得られると、汚染処理剤選定装置80から汚染物質Wを処理する上で適切な汚染処理剤Qが選定される。
本例では、汚染処理剤選定装置80は、各種汚染物質を処理する上で有効な汚染処理剤Qが予め登録されているデータベースを有し、ユーザ(ここでは汚染処理剤選定者)が処理対象となる汚染物質Wを入力することで、データベースから有効な汚染処理剤Qがリストアップされ、この中から適切な汚染処理剤Qが選定されるようになっている。
本例における汚染処理剤Qは、図2に示すように、以下の選定基準(1)又は(2)から選定される。尚、図2中、符号22は内装材20の表面を被覆する機能層(例えば脱臭や化学物質除去性、調湿性、防塵性を企図した機能層)である。
(1)汚染処理剤Q(I)としては、内装材20の表面若しくは内部に付着、含浸した汚染物質Wを留めるように作用するものが選定される。この種の汚染処理剤Q(I)の代表例としては、原理的には内装材20に吹きかけられる溶液やガスに対し、化学反応や分解などにより、内装材20に対して付着、含浸した汚染物質Wが安定化する物質を含ませるようにすればよい。
(2)汚染処理剤Q(II)としては、内装材20の表面若しくは内部に付着、含浸した汚染物質Wを分解するように作用するものが選定される。この種の汚染処理剤Q(II)の代表例としては、原理的には内装材20に吹きかけられる溶液やガスに対し、化学反応や分解などにより、内装材20に対して付着、含浸した汚染物質Wが分解する物質を含ませるようにすればよい。
<汚染処理剤Qによる処理例1>
図3(a)〜(c)は汚染処理剤Qとしてイオンや活性種(OHラジカル、オゾンなど)の気相を利用した室内環境保全システムを示す。
今、図3(a)において、汚染処理剤供給装置60は汚染処理剤Qとしてイオン(活性種)101を供給するものであり、例えば上方に向けて汚染処理剤Qとしてのイオン(活性種)101を吹き出すようになっている。
このとき、図3(b)に示すように、汚染処理剤供給装置60から吹き出された汚染処理剤Qとしてのイオン(活性種)101が内装材20の壁面に供給されると、当該イオン(活性種)101は内装材20の表面に付着、含浸した汚染物質Wに対して無臭、吸着、分解、あるいは、固定化して無害化を図るように作用する。
特に、本態様では、空気清浄機30から吹き出された清浄空気は、床面に沿って汚染処理剤供給装置60側に向かって流れ、室内空間Rの天井、側壁に設置された補助ファン51,52によって室内空間Rの一方の側壁面から天井面に沿って他方の側壁面に向かって循環する気流Afに乗って流れ、再び空気清浄機30を経由して吹き出されるようになっている。このため、汚染処理剤供給装置60から吹き出された汚染処理剤Qとしてのイオン(活性種)は、室内空間Rの床面、一側壁面、天井面、他側壁面に沿って循環する気流Afに乗って室内空間Rに浮遊する汚染物質Wを捕捉しながら内装材20の各壁面に広く供給され、内装材20の壁面に付着、含浸した汚染物質Wを無害化する。
<汚染処理剤Qによる処理例2>
図4(a)〜(c)は汚染処理剤Qとして有用物質を利用した室内環境保全システムを示す。
今、図4(a)において、汚染処理剤供給装置60は汚染処理剤Qとして液相の有用物質102を供給するものであり、例えば上方に向けて汚染処理剤Qとしての有用物質102を噴霧状にして吹き出すようになっている。ここで、有用物質102は汚染物質Wに応じて適切なものが選定される。例えば汚染物質Wがホルムアルデヒドである場合には、有用物質102としてはホルムアルデヒドキャッチャー剤が選定される如くである。
そして、汚染処理剤供給装置60による有用物質102の供給原理は、例えば図5(a)に示すように、有用物質102を含む薬液が収容される薬液ボトル61から、薬液をポンプユニット63にて一定量吸い上げ、ノズル64から定期的に噴霧するものである。
ここで、汚染処理剤供給装置60による有用物質102の供給原理についてはこれに限られるものではなく、例えば図5(b)に示すように、エアポンプ65から供給されるエアを流量調整バルブ66及び流量計67にて所定流量に絞り、フィルタ68を介して薬液ボトル61内の薬液に導き、ノズル64から定期的に噴霧する方式などを採用しても差し支えないし、更には、図6(a)に示すように、ノズル64を揺動機構69を介して揺動可能に支持し、室内空間Rに循環する気流Afに向けて薬液をより拡散した状態で噴霧するようにしてもよい。
尚、本例では、汚染処理剤供給装置60は有用物質102を自動的に供給する方式が採用されているが、これに限られるものではなく、手動型の汚染処理剤供給装置90を用いるようにしてもよい。この種の手動型の汚染処理剤供給装置90としては、例えば薬液ボトル91内の薬液をチューブ92を介して手動操作可能な噴霧ノズル93に導き、噴霧ノズル93から吹き出される薬液の噴霧範囲を噴霧領域規制フード94にて規制するようにしたものが挙げられる。本例を使用する場合には、ユーザは噴霧領域規制フード94を内装材20の壁面に適宜移動させながら薬液を順次吹き付けるようにすればよい。
本態様においても、図4(b)に示すように、汚染処理剤供給装置60から吹き出された汚染処理剤Qとしての有用物質102が内装材20の壁面に供給されると、当該有用物質102は内装材20の表面に付着、含浸した汚染物質Wに対して無臭、吸着、分解、あるいは、固定化して無害化を図るように作用する。
特に、本態様では、有用物質102を含む薬液が噴霧状で内装材20の壁面に供給されることから、気相の有用物質を使用する場合に比べて、内装材20の内部に浸透する汚染物質Wの無害化に有効である。
つまり、内装材20の表面に気相の有用物質(例えばオゾン)を供給する態様では、内装材20の内部の深層に汚染物質が浸透している場合にその除去効果は小さくなってしまう。例えば内装材20に何らかの臭気発生物質が液相で浸透している状況では、有用物質を気相で供給しても、その浸透性には限界がある。この点、液相の有用物質102を使用するようにすれば、内装材20の内部深層まで有用物質102を浸透させることが可能である。特に、液相の有用物質102を効率的に浸透させるには、「物体加熱方式(有用物質102の吸収率向上を図るために、内装材20の内部水分量を低下させるように室内空間Rの温度を上げるベイクアウト方式に相当)」、「有用物質102の噴霧圧を高く設定する加圧方式」などと組み合わせることが好ましい。尚、手動型の汚染処理剤供給装置90を使用する場合には、液相の有用物質102が不足している箇所に対し有用物質102を積極的にふりかけ、あるいは、刷毛塗りすることが好ましい。
また、本例においては、特に液相の有用物質102を用いることから、内装材20の壁面に付着、含浸した汚染物質Wの分解に伴い別物質が放散する懸念があるが、このような放散物質は気流Afに乗って空気清浄機30に戻ることから、空気清浄機30の清浄フィルタ40に放散物質の回収機能を具備させるようにしておけば、これらの放散物質は空気清浄機30の清浄フィルタ40に回収可能である。尚、気相の有用物質を使用し、あるいは、処理例1のイオン(活性種)101を使用した場合において、仮に汚染物質Wの分解に伴う物質が放散したとしても、前述したのと同様に、空気清浄機30の清浄フィルタ40にて放散物質を回収するようにしておけばよい。
<内装材等の機能性回復>
また、本実施の形態では、図2に示すように、内装材20は室内空気の浄化機能(例えば汚染物質の吸着、分解機能)等の所定の機能層22を具備しているが、経時変化に伴って機能層22の性能が劣化する事態は避けられない。
このとき、汚染処理剤Qの中に内装材20の機能層22が回復する上で有効な成分を含ませるようにすれば、内装材20の表面に汚染処理剤Qを供給することにより、汚染物質Wの処理に加えて、内装材20の機能層22の性能をも定期的に回復することが可能である。
◎実施の形態2
−室内環境保全システムの全体構成−
図7(a)は実施の形態2に係る室内環境保全システムの全体構成を示す。
同図において、室内環境保全システムは、室内空間Rが内装材20にて区画されており、室内空間R内の例えば壁際に位置する床上に空気清浄機(空気清浄装置)30を設置すると共に、空気清浄機30から送出された清浄空気が室内空間Rの内装材20に沿う気流Afとして循環するように、例えば空気清浄機30の設置位置に対向する壁際の床上に送風機50と、天井及び壁の一部に補助ファン51,52とを設置し、更に、空気清浄機30内の清浄フィルタ40の一部に汚染処理剤Qとしての薬液が供給可能な薬液供給機構120(図8参照)を搭載するようにしたものである。
尚、図7(a)中、符号21は内装材20の一部に設けられる試験チップ、符号70は汚染物質分析装置であり、いずれも実施の形態1と略同様に構成されるものである。
−汚染処理剤の選定処理−
前述したように、汚染物質分析装置70にて試験チップ21に付着した汚染物質Wの分析結果が得られると、汚染処理剤選定装置80から汚染物質Wを処理する上で適切な汚染処理剤Qが選定される。
本例では、汚染処理剤選定装置80は、各種汚染物質を処理する上で有効な汚染処理剤Qが予め登録されているデータベースを有し、ユーザ(ここでは汚染処理剤選定者)が処理対象となる汚染物質Wを入力することで、データベースから有効な汚染処理剤Qがリストアップされ、この中から適切な汚染処理剤Qが選定されるようになっている。
本例の汚染処理剤Qとしては、実施の形態1と異なり、内装材20の表面に付着、含浸した汚染物質W(ガス状物質、粒子状物質)を除去した後に、除去された汚染物質Wを捕捉可能なものが選定される。
−汚染処理剤Qによる処理例−
本実施の形態では、空気清浄機30から吹き出された清浄空気は、床面に沿って送風機50側に向かって流れ、当該送風機50によって上昇し、更に、室内空間Rの天井、側壁に設置された補助ファン51,52によって室内空間Rの一方の側壁面から天井面に沿って他方の側壁面に向かって循環する気流Afに乗って流れ、再び空気清浄機30を経由して吹き出されるようになっている。
すなわち、本例では、図7(b)−(I)に示すように、内装材20の表面には汚染物質Wが付着、含浸しており、図7(b)−(II)に示すように、内装材20の表面に沿って清浄空気が気流Afと共に流れると、内装材20の表面と気流Afとの間の境界面には空気の濃度勾配が生じ、内装材20の表面に付着、含浸した汚染物質Wの脱離が促される。この結果、内装材20の表面に付着、含浸した汚染物質Wの放散速度が増大し、当該汚染物質Wが内装材20から脱離して放散する。この状態において、図7(b)−(III)に示すように、放散された汚染物質Wは気流Afに乗って空気清浄機30に戻され、空気清浄機30内の汚染処理剤Qが供給されたフィルタ部材40にて捕捉されるようになっている。
−空気清浄機の構成例−
本実施の形態では、空気清浄機30は、図7(a)に示すように、略ボックス状の清浄筐体31を有し、その清浄筐体31の頂部から室内空間Rを循環する気流Afを取り込み、内部に搭載したフィルタ部材40にて取り込んだ空気を清浄化した後、清浄筐体31の側部から清浄空気を放出するようになっている。
ここで、空気清浄機30の基本的構成を模式的に表記したものを図8に示す。
同図において、空気清浄機30は、清浄筐体31の一部に循環する気流Afが取り込まれる取込口32を開設すると共に、清浄筐体31の取込口32から離れた部位に清浄空気が放出される放出口33を開設し、清浄筐体31内には取込口32から放出口33に連通する空気流通路34を形成したものである。
そして、清浄筐体31の空気流通路34内には複数のフィルタ基材(本例では室内空間Rに存在する各種汚染物質を除去処理するためのフィルタ基材を含む)からなる清浄フィルタ40が着脱可能に配設されており、空気流通路34のうち清浄フィルタ40よりも取込口33側にはファン35が配設され、空気流通路34内で取込口32から放出口33に向かう気流が形成されるようになっている。尚、空気流通路34の途中に冷房や暖房のための熱交換ユニット(図示せず)を搭載してもよいことは勿論である。
更に、本実施の形態では、清浄筐体31内には例えばマイクロコンピュータからなる制御装置110が配設されている。この制御装置110には室内空間R内に存在する汚染物質を判別する汚染物質判別センサ111が設けられ、また、通信可能な通信部112を介して送風機50が連動して駆動し、更に、補助ファン51,52が送風機50と連動して駆動するようになっている。
本例では、制御装置110は、図示外の操作スイッチと連動してファン35を通常の空気清浄処理として駆動制御すると共に、通信部112を介して送風機50、補助ファン51,52を連動して駆動するようになっている。更に、制御装置110は、汚染物質判別センサ111が汚染物質を検知すると、当該検知信号に基づいて、後述する薬液供給機構120を制御することで汚染物質に合わせた汚染処理剤Qとしての薬液を選択供給すると共に、ファン35を汚染物質処理として駆動開始し、更に、通信部112を介して送風機50、補助ファン51,52を連動して駆動するようになっている。
<清浄フィルタ>
本例において、清浄フィルタ40は、図8及び図9に示すように、空気流通路34の取込口32から順に、プレフィルタ41、微生物除去フィルタ42、中性能フィルタ43、ガス除去フィルタ44、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)45を配設したものである。
本例では、各フィルタ41〜45は空気流通路34に対していずれも着脱自在に装着されている。
(1)プレフィルタ41
これは、目の粗いメッシュ状のフィルタで、主として粗い粉塵などを捕獲するものであり、例えば金属メッシュや、金属繊維、炭素繊維などを用いて不織布状に成型したものである。
(2)微生物除去フィルタ42
これは、主として細菌、真菌、ウィルスなどの微生物粒子を捕獲するものであるが、微生物粒子と同様な花粉やダニ及びその糞などのアレルゲン粒子をも捕捉し得るものである。
(3)中性能フィルタ43
これは、プレフィルタ41よりも目の細かいメッシュ状のフィルタで、主として中程度の大きさの粉塵などを捕捉するものであり、例えば金属メッシュや、金属繊維、炭素繊維などを用いて不織布状に成型したものである。
(4)ガス除去フィルタ44
これは、臭気物質、化学物質のガス状汚染物質を除去するフィルタであり、臭気物質を吸着する活性炭、ゼオライト、セラミックスなどの吸着材を利用した構成が採用される。
(5)HEPAフィルタ45
これは、中性能フィルタ43よりも更に目の細かいメッシュ状のフィルタで、例えばガス除去フィルタ44で用いられる活性炭の微小粉体などを捕捉するものであり、例えば金属メッシュや、金属繊維、炭素繊維などを用いて不織布状に成型したものである。
<薬液供給機構>
本例では、清浄フィルタ40は、例えば微生物除去フィルタ42及びガス除去フィルタ44に対して除去対象となる微生物粒子や臭気物質、化学物質(例えばVOC:Volatile Organic Compoundsの略)などのガス状汚染物質に対応する汚染処理剤Qとしての薬液(消臭剤などを含む)が供給可能な薬液供給機構120を備えている。
この薬液供給機構120は、図8及び図9に示すように、臭気物質、化学物質の除去に対応する薬液としての消臭剤(例えばアンモニアに対応する薬液Sa、メチルメルカプタンに対応する薬液Sm、あるいは、これらを含む複数の臭気物質、化学物質に対応する混合薬液Sxなど)と、インフルエンザウィルスなどの微生物の除去に対応する薬液Sw(例えば微生物の殺菌に対応する殺菌剤、微生物の増殖防止に対応する抗菌剤など)とを有している。
そして、これらの薬液は例えば夫々の対応する薬液ボトル121,122に分注され、各薬液ボトル121,122から薬液を図示外のポンプにて一定量吸い上げ、定期的に噴霧されるようになっている。
本例において、薬液供給機構120は2つの要素120a,120bからなり、一方の薬液供給機構120aは例えば微生物の除去に対応する薬液Swを供給する要素であり、他方の薬液供給機構120bは例えば薬液Sxを供給する要素である。
そして、制御装置110は、一方の薬液供給機構120a内の薬液Swを開閉弁123による開閉に応じて微生物除去フィルタ42に定期的に定量供給し、また、他方の薬液供給機構120b内の薬液Sxを開閉弁124による開閉に応じてガス除去フィルタ44に定期的に定量供給するように夫々の開閉弁123,124を開閉制御するようになっている。尚、開閉弁123,124の開閉制御としては、単に開閉するだけでもよいし、あるいは、開度を調整するようにしてもよいことは勿論である。
<清浄フィルタの作用>
本実施の形態の清浄フィルタ40では、空気中の汚染物質として、粉塵A、花粉B、真菌C、細菌D、ウィルスE、化学物質F、臭気物質Gが存在する場合を想定すると、粉塵Aは主としてプレフィルタ41、中性能フィルタ43、HEPAフィルタ45にて捕捉され、真菌C、細菌D、ウィルスEは主として微生物除去フィルタ42にて捕捉され、更に、化学物質F、臭気物質Gは主としてガス除去フィルタ44にて捕捉される。尚、花粉Bは微生物除去フィルタ42や中性能フィルタ43にて捕捉される。
このとき、本実施の形態では、微生物除去フィルタ42及びガス除去フィルタ44には対応する薬液Sw,Sxが定期的に噴霧されることから、臭気物質、化学物質、微生物の除去性能が定期的に回復する。
尚、本実施の形態では、微生物除去フィルタ42及びガス除去フィルタ44に薬液Sw,Sxを噴霧するようにしているが、これに限られるものではなく、必要に応じて中性能フィルタ43等の粉塵除去フィルタにも薬液を噴霧するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、空気清浄機30の設置空間の汚染状態に応じたフィルタ構成とすることができる。つまり、本実施の形態では、空気清浄機30の設置空間の汚染物質の種類や物理、化学的特性により、薬液を選定することが可能である。
例えば、真菌(カビ)や細菌が主たる汚染物質の空間では、その菌種に有効な殺菌剤、抗菌剤、制菌剤を微生物除去フィルタ42や中性能フィルタ43等の粉塵除去フィルタ等に噴霧するようにすればよい。また、アンモニアが主たる汚染物質の空間では、アンモニアに対応した薬液を噴霧するようにすればよい。更に、多くの空間では除去すべき汚染物質が、ホルムアルデヒド、メチルメルカプタン、硫化水素など複数になるような場合には、それぞれの汚染物質に対応する薬液をそれぞれの薬液ボトルから、あるいは、混合して噴霧するようにすればよい。
尚、花粉などのアレルゲン粒子が多い空間では、アレルゲン粒子を不活化する薬液を例えば微生物除去フィルタ42に供給するようにすればよい。また、たばこ臭、焼き肉臭、ペット臭などの臭気物質の多い空間では、これらの臭気物質に対応した薬液を供給するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、微生物除去フィルタ42には殺菌剤、抗菌剤、制菌剤などの薬液が噴霧、含浸されるため、これらによって変質しないことが好ましく、また、これらの薬液がファン35の気流によって揮発し難いことが好ましい。仮に、薬液が揮発、運搬されたとしても、空気流通路34の下流側にガス除去フィルタ44が設置されているため、薬液が室内空間Rに不必要に拡散するという事態は有効に回避される。
◎変形の形態2−1
本実施の形態では、内装材20の表面に清浄空気を含む気流Afを吹き付けることで、内装材20の表面に付着、含浸した汚染物質Wを室内空間Rに積極的に放出させ、放出された汚染物質Wを気流Afに乗せて空気清浄機30の清浄フィルタ40まで運んで捕捉するものであるが、汚染物質Wの放散性をより高めるという観点から、図10(a)(b)に示す変形の形態2−1のように、内装材20の表面に例えば光触媒塗料を塗布することで光触媒層23を予め形成し、室内空間Rの照明器具25からの光(紫外線や可視光)Bmを光触媒層23に与えることで光触媒作用によりOHラジカルを生成し、このOHラジカルの酸化作用によって汚染物質Wを除去して室内空間Rに直接、あるいは、二酸化炭素や水に変化して放散するようにしたものである。
尚、図10(a)において、実施の形態2と同様な構成要素については同様な符号を付し、ここではその詳細な説明を省略する。また、本変形の形態2−1では、室内空間Rの照明器具25からの光Bmによって光触媒層23が反応するようになっているが、内装材20の表面に発光する機能を具備させるようにしてもよいことは勿論である。
◎実施の形態3
図11は実施の形態3に係る室内環境保全システムの要部を示す。
同図において、室内環境保全システムは、例えば就寝空間として利用する室内空間Rを快適にするものであって、当該室内空間Rには埋め込み型の空気清浄機130を設置し、更に、室内空間Rのうち空気清浄機130から離れた部位にはインテリア用品としてのベッド151を設置すると共に、当該ベッド151と空気清浄機130との間には環境機器の一例として加湿器137をインテリア用品としてのテーブル152上に設置したものである。
特に、本例では、空気清浄機130の取込口161はベッド151、テーブル152の下方領域に対応して設けられ、また、空気清浄機130の放出口162はダクト163を介して室内空間Rの一側面の上方寄りに設けられている。尚、空気清浄機130内には実施の形態1の空気清浄機30に搭載された清浄フィルタ40と同様な清浄フィルタが搭載されている。
本実施の形態においては、室内空間Rには粒子状物質W1、ウィルスW2、花粉W3、カビ・菌W4、化学物質W5、布団からの塵埃W6、布団にひそむノミ・ダニW7、人体の臭気物質W8などが存在する可能性があり、実施の形態2と同様に、室内空間Rの空気質を分析するために例えば室内空間Rの内装材20の試験チップ(図示せず)に付着した汚染物質を分析し、この分析結果に基づいて空気清浄機130の清浄フィルタの仕様を選定するようにすればよい。
そして、本例では、室内空間Rの空気が滞留せずに循環する気流パターンが選定されている。つまり、空気清浄機130から清浄空気は、室内空間Rの一側壁の上方に開口する放出口162から天井面に沿う気流Afとして放出された後、室内空間Rの反対側の側壁に沿って下降し、更に、ベッド151及びテーブル152の下方空間を気流Afの通過領域として室内空間Rの床面に沿って循環した後、空気清浄機130の取込口161から空気清浄機130内に戻るという気流パターンが選定されている。尚、加湿器137の運転条件としては、就寝空間としての湿度条件を考慮し、加湿器137の動作時間や強度の仕様を選定することが好ましい。
このような状況において、室内空間R内の汚染物質Wは、空気清浄機130からの清浄空気による気流Afに乗って空気清浄機130の清浄フィルタ40に捕捉されることから、就寝空間として快適な室内環境が保全される。
更に、本例において、例えばダクト163の一部に人の健康に良いとされる有効成分(水分、高濃度酸素、アロマ、酵素など)を含む有効成分カートリッジ165を組み込み、室内空間Rに有効成分を放散させるようにすることも可能である。このようにすれば、使用者の体質や要望に合わせた有用成分を任意に選択でき、市販の小型酸素ボンベ、植物エッセンシャルオイル(ユーカリプタス、フィトンチッド…)等が適応でき、有効成分が呼吸器、皮膚等に働きかけ、人体の健常性に有効な成分が効率よく気流Afに乗って局所的に供給することが可能である。例えば、冬期の乾燥、肌荒れ、のどの痛み、風邪、インフルエンザ、コロナウイルスへの感染を予防する上で有効である。
◎実施の形態4
図12は実施の形態4に係る室内環境保全システムの要部を示す。
同図において、室内環境保全システムは、例えば個人の仕事部屋のように、特定の人Mが滞在する室内空間Rにおいて、滞在する人Mが所定の疾病を患っているか否かの健康診断を実施することを可能とした例である。
本例において、空気清浄機130は、実施の形態3と略同様に、室内空間Rに対して予め埋め込んで設置される埋め込み型の空気清浄機であり、室内空間Rと空気清浄機130との間を仕切る仕切り壁160に面して空気清浄機130の空気の取込口161を開設する一方、空気清浄機130からダクト163を介して仕切り壁160の上方から室内空間Rに清浄空気を放出する放出口162を設け、空気清浄機130内の空気流通路164には実施の形態2と同様な清浄フィルタ40、ファン35、更には熱交換ユニット36を搭載するようにしたものである。
そして、特に、本例では、清浄フィルタ40のうち、微生物除去フィルタ42又は中性能フィルタ43のろ材の一部に粒子状物質Wrが捕捉される分析用カートリッジ171を着脱可能に設置すると共に、脱臭フィルタとして機能するガス除去フィルタ44の一部には疾病特有なガス状物質Wsを含むガス状物質が捕捉される分析用カートリッジ172を着脱可能に設置したものである。
本実施の形態においては、各分析用カートリッジ171,172を設置してから所定の時間が経過した後、図12(b)に示すように、微生物除去フィルタ42又は中性能フィルタ43から分析用カートリッジ171を、また、ガス除去フィルタ44から分析カートリッジ172を夫々取り外し、各分析用カートリッジ171,172に捕捉された粒子状物質Wr、ガス状物質Wsを公知の分析法にて分析し、室内空間Rの空気質として含まれる汚染物質を診断するようにすればよい。
このとき、空気質診断結果は、室内空間Rの室内環境保全を行うために、室内空間R内の汚染物質を特定し、これを捕捉する清浄フィルタ40の仕様を決定する上で利用されるが、例えば疾病特有なガス状物質Wsの捕捉量が多い場合には、当該室内空間Rに滞在する人Mが所定の疾病に患わされていることが判明し、これにより、生体情報を利用した健康診断を併せて行うことが可能になる。
更に、本例においては、例えばダクト163の一部に人の健康に良いとされる有効成分(水、高濃度酸素、アロマなど)を含む有効成分カートリッジ165を組み込み、室内空間Rに有効成分を放散させるようにすることも可能である。
◎実施の形態5
図13は実施の形態5に係る室内環境保全システムの要部を示す。
同図において、室内環境保全システムは、同一の室内空間Rに複数の環境機器として、例えば空気清浄機131、エアコン(エアコンディショナ/空気調和装置)132、清掃ロボット133、汚染処理剤供給装置134などが混在して設置されている態様である。
ここでいう汚染処理剤供給装置134としては、例えば内装材やインテリア用品の表面若しくは内部に付着、含浸した汚染物質が拡散するのを防止するために、汚染物質が留まり、あるいは、汚染物質を分解する特性を持つ液状若しくはガス状の汚染処理剤を供給するもの等が挙げられる。
一般に、複数の環境機器が同一の室内空間Rに混在する場合には、各環境機器(空気清浄機131〜汚染処理剤供給装置134)の運転方法をどのようにすべきかの判断は極めて難しい。
そこで、本例では、室内空間Rの環境を保全する上で、室内空間Rの環境を監視することで各環境機器の運転条件を制御するようにしたものである。
具体的には、室内空間Rに循環する気流Afを生成するように、気流Af生成に大きく影響する環境機器である空気清浄機131、エアコン132の設置位置、運転条件を選定し、更に、移動型の清掃ロボット133については生成される気流Afのパターンを考慮して清掃経路や清掃時期を予測するようにし、汚染処理剤供給装置134については汚染処理剤の種別、供給量、供給タイミング等を予測し、更にまた、各環境機器(空気清浄機131〜汚染処理剤供給装置134)間についてはBluetooth(登録商標)等の通信手段を用いて相互に通信可能とし、例えば空気清浄機131に搭載した汚れセンサ141の検知情報に基づいて空気清浄機131の動作を自動的にオンオフするようにし、空気清浄機131の動作開始に連携して各環境機器を稼働させるようにし、あるいは、エアコン132に搭載した環境センサ142の検知情報に基づいてエアコン132の動作を自動的にオンオフするようにし、エアコン132の動作開始に連携して各環境機器を稼働させるようにし、省エネルギによる室内環境保全を実現するようにしたものである。尚、清掃ロボット133にはホコリセンサ143や微生物センサ144を搭載し、これらの検知情報に基づいて清掃ロボット133の動作を自動的にオンオフするようにし、清掃ロボット133の動作開始に連携して各環境機器を稼働させるようにしてもよい。
◎実施の形態6
図14(a)は実施の形態6に係る室内環境保全システムの要部を示す。
一般に、例えば寝たきりの病人を長期に亘り看病する場合、あるいは、孤独死などの事情で遺体が長期に亘り放置されたような場合には、室内空間Rにし尿臭や死体臭といった悪臭が漂う状況に至ることは少なくない。本実施の形態に係る室内環境保全システムは、このような室内空間Rでの悪臭の室内濃度を低減する上で有効な態様を示す。
図14(a)に示す室内空間Rにおいて、符号131は室内空間Rの一側壁近傍の床面に設置される空気清浄機であり、この空気清浄機131に搭載される清浄フィルタ40には脱臭用のガス除去フィルタが具備されている。また、符号132は室内空間Rのうち空気清浄機131の設置箇所とは反対側に位置する側壁の天井面に面した箇所に設置されるエアコンであり、空気清浄機131及びエアコン132によって室内空間Rを循環する気流Afが生成されるようになっている。そして、気流Afの循環経路の一部には前述したし尿臭や死体臭等の悪臭を消臭するための有用物質供給装置135が設置され、当該有用物質供給装置135から噴霧状に吹き出された有用物質が気流Afに乗って室内空間Rの内装材20の表面に供給されるようになっている。ここで、し尿臭、死体臭に対して有用な有用物質としては、クエン酸水、二酸化塩素水、オゾン水、過酸化水素水などが挙げられる。
本実施の形態において、室内環境を保全する場合には、図14(b)に示すように、空気清浄機131を運転開始すると共に、エアコン132を高温設定して稼働することで例えばし尿臭や死体臭の悪臭成分が浸透した内装材20の表面部分をベイクアウトし、臭気物質の放散を図ると共に、内装材20の含水率を低下させることで有用物質の吸収率を向上させ、しかる後、有用物質供給装置135から噴霧された有用物質を内装材20の表面に供給する。このとき、特に、悪臭成分が浸透した内装材20の表面には有用物質を刷毛塗り等にて十分に供給することが好ましい。
この状態において、エアコン132によるベイクアウト処理を再度実施するようにすれば、内装材20の表面に付着、含浸した臭気物質の一部は供給される有用物質と反応して消臭され、また、2回のベイクアウト処理にて室内空間Rに放散された臭気成分は気流Afに乗って空気清浄機131の清浄フィルタ40に捕捉される。
この状態において、図示外の脱臭確認センサにて室内空間Rの脱臭レベルをチェックし、脱臭レベルが予め決められた閾値以下であれば許容(OK)レベルと判断し、逆に、脱臭レベルが許容レベルに至っていなければ、脱臭レベルが許容レベルに至るまで有用物質の供給、刷毛塗り作業、更にはベイクアウト処理を繰り返す。
そして、室内空間Rの脱臭レベルが許容レベルに至った条件で、空気清浄機131の運転を停止し、室内環境の保全処理を終了する。
◎実施の形態7
図15は実施の形態7に係る室内環境保全システムによる室内環境設計処理例を示す説明図である。
本実施の形態に係る室内環境保全システムは、室内環境を予め設計するに際して室内環境の保全を考慮した態様である。
図15において、符号200は室内環境を予め設計するための室内環境設計装置であり、制御部201及び記憶部202を有するマイクロコンピュータにて構成され、記憶部202には室内環境設計アプリケーション203が予めインストールされると共に、選択可能な室内環境の設計要素が予めデータベース204として用意されている。本例では、データベース(DB:Database)204としては、室内空間に設置される各種環境機器(空気清浄機、エアコン、清掃ロボット、有用物質供給装置、送風機、加湿器、除湿器など)がリストアップされている環境機器DB−Cと、室内空間を構成する各種内装材(建材、床材、表面仕上げ材など)がリストアップされている内装材DB−Aと、室内空間に設置される各種インテリア用品(テーブル、ベッドなど)がリストアップされているインテリア用品DB−Bとが設けられている。尚、環境機器DB−Cには環境機器の機器性能や清浄フィルタの各フィルタ部材の組み合わせ例が検索可能であり、また、内装材DB−Aには内装材の材料、外観のほか、付着、含浸する汚染物質のデータも検索可能であり、更に、インテリア用品DB−Bには材料、外観のほか、付着、含浸する汚染物質のデータも検索可能である。
本実施の形態において、室内環境設計装置200を利用するユーザは、先ず室内環境設計モデル作成処理を行う。この室内環境設計モデル作成処理は、室内環境設計装置200の図示外の操作部(キーボード等)を操作することで室内環境設計モデルを作成し、表示画面205に室内環境設計モデルを表示させるものであり、データベース204の環境機器DB−C、内装材DB−A、インテリア用品DB−Bから環境機器、内装材、インテリア用品を適宜選択し、設計対象とする室内空間内に選択した環境機器、内装材及びインテリア用品を適宜配置することを可能としたものである。
このとき、室内環境設計モデルを作成すると、図15に示すように、室内空間には汚染物質(例えばVOC等の化学物質)発生源と除去製品とが混在した状態になる。このため、本例では、室内環境設計アプリケーションに、汚染物質発生源と除去製品とについての分析処理機能を具備させ、汚染物質発生源からの汚染物質発生量、除去製品による汚染物質除去性能、室内空間に必要な換気量、内装材による機能層特性を抽出した後、選定品目のうち汚染物質発生源に対する汚染対策の選定処理を評価するために、汚染対策後の汚染物質濃度の変化を予測して対策効果を予測する。ここでいう対策効果の予測とは、例えば内装材として対策建材と空気清浄機との使用により、例えば内装材として一般建材と空気清浄機とを使用した場合に比べて、汚染物質としてのホルムアルデヒド濃度を約1/3に低減するという如きものである。
この後、ユーザは、対策効果の予測結果が目標室内環境であるか否かを判定し、もし、目標室内環境であると判定した場合には、作成した室内環境設計モデルを決定し、仮に、目標室内環境ではないと判定した場合には、再度室内環境設計モデルを作成した後、汚染物質発生源と除去製品についての分析処理、汚染対策後の汚染物質濃度の変化の予測、対策効果の予測を行い、目標室内環境に至った段階で室内環境設計モデルを決定するようにすればよい。
◎実施例1
本実施例は、実施の形態6を具現化したもので、人体由来の臭気物質による室内空気の汚染現象を取り上げ、特に住宅における臭気物質汚染の実態を明らかにし、その汚染対策について検討したものである。
本実施例では、図16(a)に示すように、孤独死などの事情で遺体が放置され、室内で悪臭が知覚される集合住宅(3室)を測定対象とし、臭気物質の同定と濃度レベルを求めた。
ここで、同室内での使用建材を適宜採取し、JIS規格小型チャンバー試験法により、建材毎の発生量を求めた。測定対象物質はVOC(48物質)、アルデヒド類(15物質)、アンモニア、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、イソ吉草酸、トリメチルアミン、硫黄化合物(メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、二硫化メチル)の74物質とした。
結果を図16(b)に示す。
同図によれば、以下のような結果が得られた。
(1)検出された臭気汚染物質には、アルデヒド類や脂肪酸に属するものがあった。
(2)測定対象室から採取した畳、壁紙の化学物質発生量をチャンバー試験により求めたところ、畳からは室内空気汚染物質と同一の臭気物質が検出され、遺体から放散される臭気物質を同定する際の化学的資料が得られた。
(3)臭気物質発生源に加熱操作(ベイクアウト)を加えることにより、効果的に原因物質を特定することができた。また、ベイクアウトによる臭気物質発生源からの臭気物質の発生量の増大が確認され、これを除去する対策(例えば空気清浄機による空気清浄処理)を採用すれば、臭気物質発生源からの臭気物質の発生量を削減する上で有効であることが判明した。
(4)臭気物質の発生源(畳)から壁紙(ビニールクロス)への吸着量は小さかった。
このように、本実施例では、住宅における事故物件(例えば孤独死などの事情で遺体が放置され、室内で悪臭が知覚される物件など)の臭気汚染問題を短期間で解消することを目的とし、ベイクアウトや空気清浄機の使用により、短期間で臭気発生を解消する上で有効であることが確認された。
1…内装材,2…インテリア用品,3…認識手段,4…低減手段,5…薬剤,6…気流,7…気流供給部,8…回収部,R…室内空間,W…汚染物質

Claims (11)

  1. 室内空間の内装材又はインテリア用品の表面若しくは内部に付着、含浸する汚染物質あるいは前記表面から拡散する汚染物質を認識する認識手段と、
    前記認識手段にて認識された汚染物質による室内空間への拡散を低減する低減手段と、
    を備えたことを特徴とする室内環境保全システム。
  2. 請求項1に記載の室内環境保全システムにおいて、
    前記認識手段は、前記汚染物質以外に、前記内装材又はインテリア用品の表面若しくは内部に付着、含浸する前記室内空間に滞在する人の生体ガスをも認識することを特徴とする室内環境保全システム。
  3. 請求項1又は2に記載の室内環境保全システムにおいて、
    前記認識手段は、前記内装材又はインテリア用品の表面若しくは内部の一部に着脱可能な試験チップを有し、当該試験チップを定期的又は不定期的に取り外すことで、当該試験チップに捕捉された物質を分析対象とすることを特徴とする室内環境保全システム。
  4. 請求項1に記載の室内環境保全システムにおいて、
    前記低減手段は、前記内装材又はインテリア用品の表面若しくは内部に前記汚染物質が留まり、あるいは、前記汚染物質が分解される特性を持つ薬剤を定期的又は不定期的に供給するものであることを特徴とする室内環境保全システム。
  5. 請求項1に記載の室内環境保全システムにおいて、
    前記低減手段は、前記内装材又はインテリア用品の表面に気流を定期的若しくは不定期的に供給して前記内装材又はインテリア用品の表面若しくは内部に付着、含浸した汚染物質を脱離し、脱離した汚染物質を回収するものであることを特徴とする室内環境保全システム。
  6. 請求項5に記載の室内環境保全システムにおいて、
    前記低減手段は、前記内装材又はインテリア用品の表面若しくは内部に付着、含浸した汚染物質の脱離を促すように前記付着、含浸した汚染物質に対し気流を供給する気流供給部と、前記脱離した汚染物質を回収する回収部とを有することを特徴とする室内環境保全システム。
  7. 請求項4乃至6のいずれかに記載の室内環境保全システムにおいて、
    前記低減手段は、前記内装材又はインテリア用品の表面若しくは内部に供給される前記薬剤又は前記気流に対し、前記内装材又はインテリア用品の表面機能性が改善可能な有用物質を含ませることを特徴とする室内環境保全システム。
  8. 請求項4乃至6のいずれかに記載の室内環境保全システムにおいて、
    前記低減手段は、空気清浄装置又はこれ以外の環境機器の一部に予め組み込まれることを特徴とする室内環境保全システム。
  9. 請求項5又は6に記載の室内環境保全システムにおいて、
    前記低減手段は、室内空間内に設置される環境機器にて生成される気流を利用し、前記内装材又はインテリア用品に付着、含浸した汚染物質の脱離を促すと共に、脱離した汚染物質を前記気流と共に気流の経路に沿って予め決められた回収部にまで搬送することを特徴とする室内環境保全システム。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の室内環境保全システムにおいて、
    前記室内空間に設置される内装材、インテリア用品及び環境機器を予め決められた範囲内から選定したときに、選定したものの組み合わせによる室内環境が設計可能な室内環境設計ツールを備え、
    当該室内環境設計ツールは設計された室内環境に対して前記低減手段による低減効果の反映度合を予測する機能を備えていることを特徴とする室内環境保全システム。
  11. 請求項4乃至6のいずれかに記載の室内環境保全システムにおいて、
    前記低減手段は、前記内装材又はインテリア用品の表面若しくは内部に付着、含浸する汚染物質に供給される前記薬剤又は前記気流に対し、前記室内空間に滞在する人にとって好適な有用物質を含ませることを特徴とする室内環境保全システム。
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