JP2019067645A - 電池の検査方法 - Google Patents
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Abstract
Description
まず、本実施形態のリチウムイオン二次電池の構成について説明する。
図1に示すように、このリチウムイオン二次電池1(以下、単に「電池」ともいう)は、略矩形のシート状の外観形状を有する積層型電池である。電池1は、ラミネートフィルムによって形成された外装体30を備える。
外装体30の周縁部には、負極端子21及び正極端子22が設けられている。本実施形態の電池1では、略矩形の外装体30の周縁部の一辺に、負極端子21及び正極端子22が隣り合って設けられている。また、負極端子21及び正極端子22は、それぞれ外装体30の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。
次に、上記電池1の製造方法について説明する。
負極11の製造に際しては、負極活物質として調製したスラリーを、銅箔等の金属箔から所望寸法に切断されてなる負極集電体11Aに塗布し、乾燥させ、負極活物質層11Bを形成して負極11を作製する。
また、正極12の製造に際しては、正極活物質として調製したスラリーを、アルミニウム箔等の金属箔から所望寸法に切断されてなる正極集電体12Aに、ホットプレート上にてドクターブレード等を用いて塗布し、乾燥させ、正極活物質層12Bを形成して正極12を作製する。
ここで、上述した電池1の品質を管理する上で、種々・多数の管理項目があるところ、基本的には、電池1の性能検査に合格後、外観検査に合格した製品が出荷される。外観検査とは、ラミネートフィルム製の外装体30の状態から良否判定を行う検査であり、検査項目の一つとして、例えば外装体30の表面に凸部がみられなければ合格品と判断する。一方、例えば図1にイメージを示すように、外装体表面に凸部Tがあると判断された場合、当該製品を破棄することが望ましい。なぜなら、その凸部Tを生じさせている要因物が、電池性能に将来影響を与えるおそれがあるかもしれないからである。
まず、本実施形態の電池1の非破壊検査に用いる非破壊検査設備について詳しく説明する。
図3に示すように、この非破壊検査設備40は、いわゆる産業用CTスキャナであって、X線を利用して検査対象を走査して得た画像を、コンピュータを用いて処理することで、検査対象の内部および外部を3次元データで表現する、卓上設置型のコンピュータ断層撮影装置である。
図4に拡大図示するように、このマーカシート50は、平面視が矩形状をなす薄肉のシート部51と、シート部51上に予め付設された二つのマーカ52、53とを有する。シート部51は、平面視が矩形状をなす透明な樹脂(例えばポリプロピレン)製のシート部材であり、シート裏面が着脱可能な程度の粘着面とされている。シート部51として、ポリプロピレンシートに替えて、例えば、シート基材となる無色透明のセロファンの片面に粘着面を設けて帯状にしたセロファン粘着テープを用いることができる。
二つのマーカ52、53は、X線吸収度の高い金属薄膜からなり、例えば銅箔を用いて構成されている。各マーカ52、53は、平面視が略V字形に形成され、同図に示すように、略V字形の凹の中心がシート部51の幅方向中央に一致する位置であって、略V字形の凹の側が長さLの方向の両側から、凸部対応領域54を挟むように付設されている。二つのマーカ52、53相互の対向方向での離隔距離(同図符号L方向での長さ)は、凸部対応領域54よりも外側に位置している。これにより、電池1の周囲を線源41とX線検出器42が相対回転して走査する時に、凸部Tの部分のX線透過画像に二つのマーカ52、53が干渉しないようになっている。
次に、本実施形態の電池1の非破壊検査方法について詳しく説明する。
上述した電池1を非破壊で検査する際は、図5に検査フローを示すように、検査員は、まず、例えば目視により、外装体30の表面の凸状態の程度から疑義部を認定する(同図のステップS1(疑義部認定工程))。検査員は、疑義部認定工程にて、外装体の表面の凸の程度が所定以上か否かを判断し、疑義部と認定される程度の凸部Tが無いと判断した場合は(ステップS1のNo)、電池1を破棄せずに、次の生産工程に当該電池1を送る(ステップS6)。
マーカ付設工程は、X線吸収度の高いマーカを疑義部に設定された箇所またはその近傍に付する。本実施形態では、図1に示すように、両極端子21,22の延出方向に対して、二つのマーカ52、53が凸部Tを上下から挟むように、上記マーカシート50を外装体30の表面に貼り付けている。マーカ付設工程を経た電池1に対し、上記非破壊検査設備40を用いてCTスキャン検査が行われる(ステップS3(X線透過画像取得工程))。
ここで、CTスキャン検査に際し、本実施形態のように、銅箔やアルミ箔が多層となっている電池1の場合、CT画像の画素値のダイナミックレンジを単純均等に白黒画像に割り付けてしまうと、外装体30表面に凸部Tを生じさせ得る要因物の大きさが、数十ミクロンから一ミリ程度と微小であるため、人間が観察する場合は、コントラスト不良となってしまい、ほとんど観察できなくなってしまうおそれがある。
次に、本実施形態の電池1の非破壊検査方法の作用効果について詳しく説明する。
本実施形態に係る電池の非破壊検査方法では、上述したように、疑義部認定工程(ステップS1)により、外観検査でラミネートフィルム製の外装体30表面に凸部Tとして確認された疑義部の部分を検査部とし、マーカ付設工程(ステップS2)により、疑義部をチェックするためのマーカ52、53を外装体30の表面に予め付設する。そして、X線透過画像取得工程(ステップS3)により、二つのマーカ52、53が付設された疑義部の箇所での電池1のX線透過画像を取得し、続く判定工程(ステップS4)により、取得したX線透過画像からマーカ52、53の付設部分での要因物を効率良く抽出してその材質を精度良く判定できる。
例えば、上記実施形態では、電池の一例として、リチウムイオン二次電池を例に説明したが、これに限らず、本発明は、金属箔を有する正極及び負極がセパレータを介して積層された発電要素と、電解質とを、外装体内に備える電池であれば、種々の電池に適用することができる。
また、例えば上記実施形態では、非破壊検査設備の一例として、非破壊検査設備40に、二次元CTスキャナを用いた例を示したが、これに限定されず、例えば、非破壊検査設備として、3次元CTスキャナを用いたり、ヘリカルCTスキャナを用いたりしてもよい。
10 発電要素
11 負極
12 正極
13 セパレータ
14 単電池層
21 負極端子
22 正極端子
30 外装体
40 非破壊検査設備
50 マーカシート
60 電解液(電解質)
T (外装体表面の)凸部
Claims (4)
- 金属箔を有する正極及び負極がセパレータを介して積層された発電要素と、電解質とを、外装体内に備える電池を検査する方法であって、
前記外装体の表面の凸状態の程度から疑義部を認定する疑義部認定工程と、
前記疑義部に認定された前記外装体の表面の箇所を示すマーカを前記外装体の表面に付すマーカ付設工程と、
前記マーカが付設された前記疑義部の箇所での前記電池セルのX線透過画像を取得するX線透過画像取得工程と、
取得された前記疑義部でのX線透過画像から前記電池の良否を判定する判定工程と、
を含むことを特徴とする電池の検査方法。 - 前記疑義部認定工程は、前記外装体の表面の凸の程度が所定以上の部分を前記疑義部に認定する請求項1に記載の電池の検査方法。
- 前記マーカ付設工程は、前記マーカとして、X線吸収度の高いマーカを前記疑義部に設定された箇所またはその近傍に付する請求項1または2に記載の電池の検査方法。
- 前記マーカ付設工程は、前記マーカを少なくとも2つ用い、一方向からのX線の照射方向に対し直角方向であって、2つのマーカ間に疑義部を位置させるように各マーカを付設する請求項1〜3のいずれか一項に記載の電池の検査方法。
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