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JP2019064451A - 作業車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】速度段切換時にエンジンの振動を抑制して乗り心地を改善する。【解決手段】エンジンの動力により車輪を駆動するエンジン駆動モードと発電電動機をモータとして機能させ、発電電動機の動力により車輪を駆動するモータ駆動モードとの間で駆動モードを切り換える制御装置を備えた作業車両であって、制御装置は、トランスミッションの変速時に、ロックアップクラッチを解放して駆動モードをモータ駆動モードに切り換えると共に、油圧回路上にて負荷を発生させることでエンジンの回転数を減速させ、トランスミッションの入力軸の回転数とエンジンの出力軸の回転数とが一致したときに、ロックアップクラッチを締結して駆動モードをモータ駆動モードからエンジン駆動モードに切り換える。【選択図】図6

Description

本発明は、作業車両に関する。
作業車両の一例であるホイールローダは、エンジンの動力をトルクコンバータ(トルコン)およびトランスミッション(T/M)によりタイヤに伝えて走行しながら、フロントの油圧作業部のバケット部分で土砂等を掘削・運搬する。
ホイールローダの走行部を電動化した場合、トルコン損失が大きな低回転数領域の動力伝達をモータ駆動にすることによって損失を低減できる。また、中・高速領域ではロックアップクラッチを締結して、エンジンと車軸を直結してエンジン駆動を行うことにより、駆動効率を高めることができる。
このようなホイールローダの一例として特許文献1には、「エンジンの出力軸とサンギヤとを結合又は切り離すエンジン切離クラッチを備え、蓄電器の蓄電量及び車速に基づいて、直結クラッチによりサンギヤとキャリア軸とを切り離すとともにエンジン切離クラッチによりエンジンの出力軸とサンギヤとを結合させてエンジン及び電動発電機によって発生したトルクによって走行させる第1の走行モード、又は直結クラッチによりサンギヤとキャリア軸とを結合させるとともにエンジン切離クラッチによりエンジンの出力軸と前記サンギヤとを切り離して電動発電機のみで走行させる第2の走行モードを設定する。」構成が開示されている(要約参照)。
特許文献1では、車速が低速と中速の場合には、モータ動力とエンジン動力を組み合わせて、蓄電器の蓄電量に基づいて、変速機の変速段の切り換えを制御する一方、車速が高速の場合には、直結クラッチを締結することにより、エンジン駆動のみで走行して、高効率に駆動することが可能となる。
特開2011−93345号公報
特許文献1では、直結クラッチを締結し、速度段の切り換えを行った場合には、速度段切換時に変速機のギヤ比変更に応じた速度変更が生じるため、エンジンの振動が発生して、乗り心地が悪化するという課題がある。
本発明は、上記した実状に鑑みてなされたもので、その目的は、作業車両において、速度段切換時にエンジンの振動を抑制して乗り心地を改善することにある。
上記課題を解決するために、代表的な本発明は、エンジンと、前記エンジンの動力で発電する発電機と、前記発電機から供給される電力で駆動する発電電動機と、前記エンジンまたは前記発電電動機の動力を車輪に伝達するトランスミッションと、前記エンジンと前記トランスミッションとの間に設けられるロックアップクラッチと、前記エンジンの動力で駆動する油圧回路と、前記エンジンの動力により前記車輪を駆動するエンジン駆動モードと前記発電電動機をモータとして機能させ、前記発電電動機の動力により前記車輪を駆動するモータ駆動モードとの間で駆動モードを切り換える制御装置と、を備えた作業車両であって、前記制御装置は、前記トランスミッションの変速時に、前記ロックアップクラッチを解放して前記駆動モードを前記モータ駆動モードに切り換えると共に、前記油圧回路上にて負荷を発生させることで前記エンジンの回転数を減速させ、前記トランスミッションの入力軸の回転数と前記エンジンの出力軸の回転数とが一致したときに、前記ロックアップクラッチを締結して前記駆動モードを前記モータ駆動モードから前記エンジン駆動モードに切り換えることを特徴とする。
本発明によれば、速度段切換時にエンジンの振動を抑制して乗り心地を改善することができる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明に係る作業車両の一例であるホイールローダの外観側面図。 ホイールローダのシステム構成図。 ホイールローダの油圧回路図。 ホイールローダの駆動モードの切り換え方法の説明図。 制御装置の機能ブロック図である。 速度段を切り換える際の駆動モードの切り換えの制御手順を示すフローチャート。 ホイールローダが2速モータ駆動モードから3速に変速する場合のエネルギの流れを示す図。 ホイールローダが2速モータ駆動モードから3速に変速する場合のエネルギの流れを示す図。 ホイールローダが2速モータ駆動モードから3速に変速する場合のエネルギの流れを示す図。 ホイールローダが2速モータ駆動モードから3速に変速する場合のエネルギの流れを示す図。 図7〜図10に示す状態の変化を、横軸に時間、縦軸に各回転数を取って示した図である。 回生エネルギを油圧回路により消費する例を示す図。 回生エネルギを熱抵抗器により消費する例を示す図。 回生エネルギを車体慣性により消費する例を示す図。 回生エネルギを3相短絡ブレーキにより消費する例を示す図。 回生エネルギを排気装置により消費する例を示す図。
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図において同一要素については同一の符号を記し、重複する説明は省略する。
「第1実施形態」
図1は本発明に係る作業車両の一例であるホイールローダ200の外観側面図、図2は図1に示すホイールローダのシステム構成図である。図1に示すように、ホイールローダ200は、リフトアーム201、バケット20、前輪18a,18b等を有する前フレーム202と、運転室19、後輪18c,18d等を有する後フレーム203とを有する。リフトアーム201はリフトアームシリンダ13の駆動により上下方向に回動(俯仰動)し、バケット20はバケットシリンダ14の駆動により上下方向に回動(ダンプまたはクラウド)する。なお、前輪18a,18bと後輪18c,18dについて、総称する場合には車輪18として説明する。
前フレーム202と後フレーム203とは、不図示の連結軸により互いに回動自在に連結されている。このホイールローダ200は、連結軸にて前フレーム202と後フレーム203とが屈曲されるアーティキュレート式の作業車両である。前フレーム202と後フレーム203には、連結軸を中心とする一対のステアリングシリンダ(以下、ステアリングシリンダ)12の一端と他端とが、それぞれ回転可能に係止されている。後述する油圧回路(図3参照)により一対のステアリングシリンダ12のうち一方を伸長、他方を縮退させることにより、前フレーム202と後フレーム203とをそれぞれ連結軸を中心に回転させることができる。これにより、前フレーム202と後フレーム203との相対的な取付角度が変化し、車体が屈曲して換向する。
図2に示すように、ホイールローダ200は、圧油で駆動する油圧作業部Aと、エンジン動力により車体を走行させる走行部Bとに大別される。上述したバケットシリンダ14、リフトアームシリンダ13、ステアリングシリンダ12は、油圧作業部Aを構成するもので、油圧ポンプ9からコントロールバルブ11を介して供給される圧油により駆動する。圧油をバケットシリンダ14、リフトアームシリンダ13に供給することで掘削等の作業が行われ、圧油をステアリングシリンダ12に供給することで、車体の操舵が行われる。
一方、エンジン1、発電機5、油圧ポンプ9、コントロールバルブ11、インバータ6,8、チョッパ25、熱抵抗器26、発電電動機7、ギヤボックス31、トランスミッション33、排気装置27、絞り装置27a、車輪18、プロペラシャフト15f,15r、ディフェレンシャルギヤ16f、16r、ドライブシャフト17a,17b,17c,17d、回転数センサ41,42,43,44は、走行部Bを構成する。
油圧ポンプ9は可変容量型油圧ポンプである。油圧ポンプ9の回転軸はエンジン1の駆動軸と同軸上に設けられている。油圧ポンプ9がエンジン1により駆動されると、オイルタンク10(図3参照)の作動油がコントロールバルブ11を介してステアリングシリンダ12、リフトアームシリンダ13およびバケットシリンダ14に供給される。
コントロールバルブ11は、ステアリングシリンダ12、リフトアームシリンダ13およびバケットシリンダ14のボトム室またはロッド室への作動油の流れを制御する制御弁である。コントロールバルブ11は、運転室19内に設置された操作装置(図示せず)から出力される信号(油圧信号または電気信号)によって制御される。油圧ポンプ9からコントロールバルブ11に導かれた作動油は、操作装置の操作に応じてステアリングシリンダ12、リフトアームシリンダ13およびバケットシリンダ14に分配される。
発電機5は、エンジン1の出力軸と同軸上にある回転軸にロータが取り付けられ、ロータの外周にステータが配置されている。発電機5は、エンジン1によってロータが回転することにより発電し、インバータ6およびインバータ8を介して発電電動機7に電力を供給する。ここで、発電機5の代わりに発電電動機を用いる構成とし、発電電動機を発電機として機能させて、発電した電力をキャパシタやバッテリ等の蓄電装置に蓄えておき、蓄電装置から供給される電力で発電電動機を電動機として機能させて、エンジン1をアシストするようにしても良い。
発電電動機7は、その出力軸がギヤボックス31の入力軸と連結されており、発電機5で発電した電力により駆動して、ギヤボックス31の入力軸にトルクを伝達する。また、後述するように、発電電動機7が回生する電力はチョッパ25及び熱抵抗器26を介して熱エネルギに変換されて消費される。
エンジン1の出力軸はギヤボックス31の入力軸とロックアップクラッチ32を介して連結されている。また、ギヤボックス31の出力軸はトランスミッション33の入力軸とトランスミッションクラッチ34を介して連結されている。
エンジン1の出力トルクまたは発電電動機7の出力トルクは、ギヤボックス31、トランスミッション33の順に伝達され、プロペラシャフト15f,15r、ディファレンシャルギヤ16f,16rおよびドライブシャフト17a,17b,17c,17dを介して前輪18a,18bおよび後輪18c,18dへと伝えられ、ホイールローダ200は走行する。
また、発電機5の回転軸の回転数を検出する回転数センサ41、エンジン1の出力軸の回転数を検出する回転数センサ42、発電電動機7の出力軸の回転数を検出する回転数センサ43、ギヤボックス31の出力軸の回転数を検出する回転数センサ44が設けられており、各回転数センサ41,42,43,44からの回転数信号は制御装置100に入力される。
制御装置100は、CPU、ROM、RAM、通信インターフェース(I/F)などを有し、制御プログラムに基づいてホイールローダ200の走行の制御、具体的にはホイールローダ200の駆動モードを切り換える制御などを行う。
次に、本実施形態に係るホイールローダ200が備える油圧回路について説明する。図3は図1に示すホイールローダ200の油圧回路図である。図3に示すように、ホイールローダ200の油圧回路には、油圧ポンプ9と、オイルタンク10と、コントロールバルブ11と、可変容量式の第2油圧ポンプ301と、第1比例弁302と、第2比例弁303と、油圧モータ304と、冷却ファン305と、冷却用コア306と、油温センサ307とが設けられている。
油圧ポンプ9は、上述したように、エンジン1で駆動される発電機5によって駆動され、オイルタンク10の作動油をコントロールバルブ11を介してステアリングシリンダ12、リフトアームシリンダ13およびバケットシリンダ14(図1参照)に供給する。第1比例弁302は、制御装置(M/C)100からの制御信号に従って油圧ポンプ9の傾転量(容量)を変更可能に制御する。
コントロールバルブ11は、第1方向制御弁308と、第2方向制御弁309とを含んで構成される。第1方向制御弁308は、運転室19内に設置された操作装置から出力される信号に応じて油圧ポンプ9から供給される作動油をステアリングシリンダ12へ供給する。第2方向制御弁309は、運転室19内に設置された操作装置から出力される信号に応じて油圧ポンプ9から供給される作動油を一対のリフトアームシリンダ13へ供給する。なお、図3において、バケットシリンダ14は図示を省略している。
第2油圧ポンプ301が発電機5により駆動されると、オイルタンク10の作動油を油圧モータ304へ供給して油圧モータ304を駆動させる。第2比例弁303は、制御装置100からの制御信号に従って第2油圧ポンプ301の傾転量(容量)を変更可能に制御する。第2油圧ポンプ301の傾転量は、油温センサ307により検出されたオイルタンク10内の作動油の温度に基づいて制御される。
冷却ファン305は油圧モータ304により駆動され、冷却ファン305の下流に設けられた冷却用コア306に流入した作動油を冷却する。このため、冷却ファン305の回転数は、第2油圧ポンプ301の傾転量に応じて制御される。換言すると、冷却ファン305の回転数は、油温センサ307により検出された作動油の温度に応じて制御される。
また、コントロールバルブ11の下流側の第1管路400上に、すなわち、オイルタンク10への戻り流路に固定容量式流量制御弁(以下、固定絞りと呼ぶ)310が設けられている。そのため、油圧ポンプ9からの圧油は固定絞り310を通過してオイルタンク10に戻る。
固定絞り310では、圧油の流量が制限されて通過することにより、制動力に相当するエネルギが熱量として消費される。すなわち、この制動力が油圧ポンプ9に油圧負荷を与える。その結果、余剰電力で駆動されて油圧ポンプ9を駆動している発電機5の負荷が大きくなり、回生時の電気エネルギを消費することができる。これにより、エンジン1を速やかに減速させることができる(詳細後述)。なお、固定絞り310で発生する制動力に相当する熱は、冷却ファン305によって冷却される。
次に、走行部Bの駆動モードについて説明する。走行部Bは、エンジン駆動モード(E)とモータ駆動モード(M)の2つの駆動モードによって駆動される。エンジン駆動モードは、エンジン1の動力をロックアップクラッチ32を介してトランスミッション33に直接伝達させることによって、車体を走行させる。モータ駆動モードは、エンジン1で発電機5を駆動し、発電機5で発電した電力で発電電動機7を力行動作させ(モータとして機能させ)、発電電動機7の回転駆動力をトランスミッション33に伝達させて、車体を走行させる。
エンジン駆動モードとモータ駆動モードは、ロックアップクラッチ32によって切り換える。ロックアップクラッチ32が締結されている場合はエンジン駆動モードで、ロックアップクラッチ32が解放されている場合はモータ駆動モードである。前述のように、本実施形態に係るホイールローダ200は、蓄電装置によらずに走行・作業が可能である。しかしながら、蓄電装置を備えていないため、回生されたエネルギは蓄電することができない。そこで、回生されたエネルギは、熱抵抗器26、排気装置27、油圧作業部A、発電電動機7の3相短絡ブレーキなどで消費する。
次に、ホイールローダ200の駆動モードの切り換え方法について説明する。図4は、ホイールローダ200の駆動モードの切り換え方法を説明するための図である。エンジン1は停止時にトルクを出力できず、またエンジン1は低速回転ができないため、速度段が1速(低速)では、ホイールローダ200はモータ駆動モード(M)で走行する。2速、3速、4速へと速度段を切り換えた場合には、図4に示すようにそれぞれの速度段のギヤ比に応じてエンジン回転数が変化する。この速度段切換時(変速時)には、大きな回転数変化が生じるため、エンジン駆動モード(E)で速度段を切り換えた場合には、回転数変化により振動ショックが発生する。
そこで、本実施形態では、変速時(2段から3段、3段から4段へのシフトアップ時)にエンジン駆動モードからモータ駆動モードに切り換え、エンジン回転数を調整した後にモータ駆動モードからエンジン駆動モードに再び切り換える制御により、速度段切換時の振動ショックを抑止して乗り心地を改善している。なお、エンジン回転数の調整方法については後述する。
次に、制御装置100の詳細について説明する。図5は制御装置100の機能ブロック図である。車速センサからの車速、オペレータの操作により生成されるブレーキ、前後進、アクセルの各信号から、速度段演算部110は速度段を演算する。速度段演算部110による速度段の演算結果から、速度段切換信号生成部120は速度段切換信号を生成する。速度段切換信号生成部120にて生成された速度段切換信号に基づいて、駆動モード切換部130は、エンジン駆動モードとモータ駆動モードとの間で駆動モードを切り換える。速度段切換時は、図3で説明したようにエンジン1の回転数変化が生じるため、エンジン回転数制御部140は、エンジン1の回転数を調整する。さらに、回生エネルギ消費制御部150は、エンジン1の回転数調整の際に得られる回生エネルギの消費方法を決定する(詳しくは後述)。
次に、制御装置100による駆動モードの切り換えの制御手順について説明する。図6は、速度段を切り換える際の駆動モードの切り換えの制御手順を示すフローチャートである。ここで、図6に示す処理は制御装置100により行われ、より具体的には図5に示す各部によって実行される。
図6に示すように、まず、速度段演算部110は、エンジン駆動モードまたはモータ駆動モードにおいて、車速センサからの車速、オペレータの操作により生成されるブレーキ、前後進、アクセルの各信号から速度段を演算し、演算結果を速度段切換信号生成部120に出力する(ステップS1)。
速度段切換信号生成部120は、速度段の演算結果に基づいて、速度段切換信号を生成する。例えば、3速から4速に変速すべきと判断した場合には、速度段切換信号生成部120は、速度段を4速に変速するための速度段切換信号を生成する(ステップS2)。駆動モード切換部130に速度段切換信号が入力されると、駆動モード切換部130は、図4に示すように駆動モードをエンジン駆動モードからモータ駆動モードに切り換える(ステップS3)。
駆動モードがモータ駆動モードに切り換えられると、エンジン回転数制御部140は、トランスミッションクラッチ34を解放して(ステップS4)、エンジン回転数が所望の値になるように制御する(ステップS5)。次いで、エンジン回転数制御部140は、回転数センサ44(図1参照)から入力されるトランスミッション33の入力軸回転数と、回転数センサ42から入力されるエンジン回転数とが一致しているか否か判定する。一致していなければ(ステップS6/No)、ステップS5に戻って、トランスミッション33の入力軸回転数とエンジン回転数とが一致するまで判定を繰り返す。一致していれば(ステップS6/Yes)、ステップS7においてエンジン回転数制御部140はトランスミッションクラッチ34を締結するよう制御する。
次いで、駆動モード切換部130は、ロックアップクラッチ32を締結するよう制御して(ステップS8)、駆動モードをモータ駆動モードからエンジン駆動モードに切り換えて(ステップS9)、処理を終了する。このように、本実施形態では、速度段を切り換える場合には、まず駆動モードをモータ駆動モードに切り換えたのち、エンジン回転数が速度段変更に適した回転数と一致してから駆動モードをエンジン駆動モードに切り換えるよう制御している。
図7〜図10は、ホイールローダ200が2速モータ駆動モードから3速に変速(シフトアップ)する場合のエネルギの流れを示す図である。図中の矢印の向きはエネルギの流れを示している。なお、図2に示す構成の一部は、図7〜10において図示を省略している。
<Step(1)>:2速モータ駆動モード
図7に示すように、2速モータ駆動モードでは、エンジン1の動力で発電機5を駆動して発電し、インバータ6,8で周波数変換を行い、発電電動機7をモータとして機能させ、その発電電動機7の駆動力をトランスミッション33経由で車輪18に伝達させて、ホイールローダ200は走行している。なお、ロックアップクラッチ32は解放されている。このとき、エンジン回転数はNe、2速のモータ回転数(発電電動機7の回転数)はN2、2速のトランスミッション入力軸回転数はN2である。
<Step(2)>:3速モータ駆動モード(発電電動機7の回転数調整)
図8に示すように、3速の速度段切換信号が入った場合には、トランスミッションクラッチ34を解放し、発電電動機7の負荷を0にする。この状態で、発電電動機7を発電機として機能させ、2速の回転数N2を3速の回転数N3に速度変更(減速)させる。このとき、発電電動機7にて回生した電気エネルギは、熱抵抗器26にて熱エネルギに変換されて消費される。すなわち、熱抵抗器26にて制動力に相当する熱エネルギが消費されることで、発電電動機7をN2からN3に減速させている。
<Step(3)>:3速モータ駆動モード(エンジン1の回転数調整)
図9に示すように、ロックアップクラッチ32を締結し、発電電動機7とエンジン1とを接続する。これにより、エンジン回転数は、発電電動機7の回転数N3に支配されるため、N2からN3に減速される。この時、エンジン回転数を減速させるための制動力に相当する回生エネルギが発電機5を介して熱抵抗器26にて消費される。
<Step(4)>:3速エンジン駆動モード
図10に示すように、エンジン1の回転数が発電電動機7の回転数と一致したところで、トランスミッションクラッチ34を締結し、エンジン1の駆動力を車輪18に伝達させる。これにより、3速でのエンジン駆動モードでのエンジン回転数はN3から加速するので、2速から3速へのスムーズな変速を実現できる。
図11は、図7〜図10で説明した状態の変化を、横軸に時間、縦軸に各回転数を取って示した図である。図中、(1)は図7の状態、(2)は図8の状態、(3)は図9の状態、(4)は図10の状態にそれぞれ相当する。
(1)では、ホイールローダ200は2速で発進し、その際、モータ駆動モードで走行しているので、エンジン1の出力軸の回転数Neは一定、発電電動機7の出力軸の回転数Nmは時間の経過に伴って増加し、トランスミッション33の入力軸の回転数Ntmも同様に時間の経過に伴って増加し、車軸の回転数Ntは時間の経過に伴って徐々に増加する。
(2)では、エンジン1の出力軸の回転数Neは一定だが、トランスミッションクラッチ34が解放され、発電電動機7が発電機として機能するため、発電電動機7の出力軸の回転数Nmとトランスミッション33の入力軸の回転数Ntmは時間と共に減少する。
(3)では、エンジン1とロックアップクラッチ32が締結され、エンジン1の出力軸の回転数Neが時間と共に徐々に減少し、発電電動機7の出力軸の回転数Nmと一致する。
(4)では、トランスミッションクラッチ34が締結され、エンジン1の出力軸の回転数Neが時間の経過と共に増加すると、それに伴って、発電電動機7の出力軸の回転数Nm,トランスミッション33の入力軸の回転数Ntm、車軸の回転数Ntが増加する。すなわち、3速に切り換わって、ホイールローダ200は加速する。
次に、速度段切換時にエンジン1を減速させるために回生エネルギをどのように消費するかについて、いくつか具体例を挙げて説明する。なお、回生エネルギの消費の制御は制御装置100の回生エネルギ消費制御部150により行われる。
<油圧機器による回生エネルギの消費>
図12は、トランスミッション33の変速時に生成される回生エネルギを油圧回路により消費する例を示している。図12に示すように、エンジン1の動力は油圧ポンプ9及び各シリンダ12,13,14に伝達され、油圧作業部Aを駆動することで回生エネルギは消費される。すなわち、油圧回路上での油圧駆動により動力が消費されることにより負荷を発生させてエンジン1が減速し、エンジン1の回転数をトランスミッション33の入力軸の回転数と一致させることができる。なお、油圧回路を駆動させて回生エネルギを消費する例として、リフトアーム201やバケット20を作動させることのほかに、固定絞り310を用いて負荷掛けを行ったり、リリーフ弁315を作動させたりして回生エネルギを消費することができる。
<熱抵抗器による回生エネルギの消費>
図13は、トランスミッション33の変速時に生成される回生エネルギを熱抵抗器26で消費する例を示している。図13に示すように、エンジン1の減速時に発生する回生エネルギは、発電機5を経由して熱抵抗器26で消費される。すなわち、熱抵抗器26においてエンジン1の動力が熱に変換されることにより負荷を発生させて、エンジン1が減速する。これにより、エンジン1の回転数をトランスミッション33の入力軸の回転数と一致させることができる。
<回生エネルギの消費>
図14は、トランスミッション33の変速時に生成される発電機5の回生エネルギを消費する例を示している。図14に示すように、エンジン1の動力は、発電電動機7を加速させることで車体の運動エネルギとして消費される。すなわち、発電電動機7による加速がエンジン1の負荷となって、エンジン1は減速する。これにより、エンジン1の回転数をトランスミッション33の入力軸の回転数と一致させることができる。
<3相短絡ブレーキによる回生エネルギの消費>
図15は、トランスミッション33の変速時に生成される回生エネルギを発電機5の3相短絡ブレーキにより消費する例を示している。図15に示すように、エンジン1の動力は発電機5に伝達され、発電機5の3相短絡ブレーキによる銅損で消費している。すなわち、エンジン1は3相短絡ブレーキが負荷となって、減速する。これにより、エンジン1の回転数をトランスミッション33の入力軸の回転数と一致させることができる。
<排気ブレーキによる回生エネルギの消費>
図16は、トランスミッション33の変速時に生成される回生エネルギを排気装置27により消費する例を示している。図16に示すように、エンジン1の排気管路には排気装置27が設けられており、この排気装置27は、排気ガスの流量を絞るための絞り装置27aを有している。この絞り装置27aで排気ガスの流量を絞って排気ブレーキを作動させることにより、エンジン1は、排気装置27の排気抵抗が負荷となって、減速する。これにより、エンジン1の回転数をトランスミッション33の入力軸の回転数と一致させることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、速度段切換時にモータ駆動モードに切り換えてエンジン1の回転数とトランスミッション33の入力軸とが一致するように調整した後に、エンジン駆動モードに切り換える構成としたことにより、エンジン1の速度段切換時の振動を抑制でき、乗り心地が改善する。また、スムーズな速度段切換が可能となるため、エンストの防止を図ることができる。
また、速度段切換時に生じる回生エネルギは、油圧回路、熱抵抗器26、車体慣性、発電機5の3相短絡ブレーキ、排気装置27等により消費できるため、バッテリを搭載していないホイールローダ200であっても、速度段切換時の振動を抑制できる。
特に、油圧回路により回生エネルギを消費する場合(図12)、例えばリフトアーム201を回生エネルギにより昇降動作させるなど、掘削作業の一部として回生エネルギを用いることで、エネルギの有効利用を図ることができる。特にホイールローダでは、加速しながらリフトアーム201を上昇させ、ダンプトラックへ土砂を積載する積込み作業を頻繁に行う。よって、ホイールローダ200では、変速時の回生エネルギを油圧回路で消費する方法を採用するのが好ましいと言える。
なお、図12〜図16に示す各消費方法は、単独で用いるだけでなく、互いに組み合わせて用いることもできる。例えば、回生エネルギを油圧回路の駆動で消費しながら(図12)、その他の消費方法を組み合わせてエンジン1を減速するようにしても良い。この場合、回生エネルギ消費制御部150(図5参照)により、各回転数センサ41,42,43,44から入力される値、油圧作業部Aの作業状態、ホイールローダ200の走行速度などから、いずれかの消費方法を単独であるいは組み合わせることを決定すれば良い。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定するものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施形態は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定するものではない。シフトアップを例に挙げたが、シフトダウンに適用しても良い。但し、シフトダウン時においては、エンジン回転数を減少させる制御ではなく、増加させる制御が必要となる。この場合、エンジン制御しているコントローラに対し回転数を増加させる指令信号を出力することにより実現できる。さらに、シフトダウン時であれば、オペレータは減速したい意思をもっている場合が大半であるため、モータは回生していることが期待できる。この場合、発電機5は力行運転することが可能なため、より短時間でエンジン回転数を増加することが可能となる。
また、本発明は、上述した実施形態では、熱抵抗器26を例に挙げて説明したが、この熱抵抗器26を蓄電装置に変えることも可能であり、技術思想として排除されるものではない。
1 エンジン
5 発電機
6 インバータ
7 発電電動機
8 インバータ
9 油圧ポンプ
11 コントロールバルブ
12 ステアリングシリンダ
13 リフトアームシリンダ
14 バケットシリンダ
18(18a,18b,18c,18d) 車輪
20 バケット
25 チョッパ
26 熱抵抗器
27 排気装置
27a 絞り装置
31 ギヤボックス
32 ロックアップクラッチ
33 トランスミッション
34 トランスミッションクラッチ
41,42,43,44 回転数センサ
100 制御装置
200 ホイールローダ
201 リフトアーム

Claims (5)

  1. エンジンと、前記エンジンの動力で発電する発電機と、前記発電機から供給される電力で駆動する発電電動機と、前記エンジンまたは前記発電電動機の動力を車輪に伝達するトランスミッションと、前記エンジンと前記トランスミッションとの間に設けられるロックアップクラッチと、前記エンジンの動力で駆動する油圧回路と、前記エンジンの動力により前記車輪を駆動するエンジン駆動モードと前記発電電動機をモータとして機能させ、前記発電電動機の動力により前記車輪を駆動するモータ駆動モードとの間で駆動モードを切り換える制御装置と、を備えた作業車両であって、
    前記制御装置は、
    前記トランスミッションの変速時に、前記ロックアップクラッチを解放して前記駆動モードを前記モータ駆動モードに切り換えると共に、前記油圧回路上にて負荷を発生させることで前記エンジンの回転数を減速させ、
    前記トランスミッションの入力軸の回転数と前記エンジンの出力軸の回転数とが一致したときに、前記ロックアップクラッチを締結して前記駆動モードを前記モータ駆動モードから前記エンジン駆動モードに切り換えることを特徴とする作業車両。
  2. 請求項1に記載の作業車両であって、
    前記発電機と電気的に接続される熱抵抗器をさらに備え、
    前記制御装置は、
    前記発電機を介して前記熱抵抗器において前記エンジンの動力が熱に変換されることにより負荷を発生させることで、前記エンジンの回転数を減速させることを特徴とする作業車両。
  3. 請求項1に記載の作業車両であって、
    前記トランスミッションはトランスミッションクラッチを有し、
    前記制御装置は、
    前記トランスミッションクラッチを締結して前記発電電動機を加速させることにより負荷を発生させることで、前記エンジンの回転数を減速させることを特徴とする作業車両。
  4. 請求項1に記載の作業車両であって、
    前記エンジンの排気管路には排気ブレーキを作動させるための絞り装置を備え、
    前記制御装置は、
    前記排気ブレーキを作動させることにより負荷を発生させることで、前記エンジンの回転数を減速させることを特徴とする作業車両。
  5. 請求項1に記載の作業車両であって、
    前記発電機は、3相短絡させることで内部抵抗に電力を消費させる機構を有し、
    前記制御装置は、
    前記機構により電力を消費させて負荷を発生させることで、前記エンジンの回転数を減速させることを特徴とする作業車両。
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