以下に、本発明について、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の製造方法は、合成繊維を含む吸収体の製造方法である。本発明で製造する吸収体は、吸収性物品用の吸収体として好ましく用いられる。吸収性物品とは、主として尿、経血等の身体から排泄される体液を吸収保持するために用いられるものである。吸収性物品には、例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティライナー等が包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。吸収性物品は、典型的には、液透過性の表面シート、液不透過性又は撥水性の裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を具備している。該吸収体が、本発明の吸収体の製造方法で形成された吸収体である。
図1には、本実施形態の吸収体の製造方法で製造される一実施形態の吸収体100の断面図が示されている。吸収体100は、合成繊維10bを含んでおり、本実施形態では図1に示すように、合成繊維10bのみならず、親水性繊維10a及び吸収性粒子10cを含む集積体100aを備えている。ここで、「合成繊維10bを含む」とは、合成繊維10bを含むシート片10bhを有する意味である。吸収体100は、合成繊維10bを含む形態であれば単層でも2層以上の複数層でもよいが、本実施形態では、親水性繊維10a、合成繊維10b及び吸収性粒子10cが分散して配された単層の集積体100aを有している。集積体100aは、吸収体100の構成部材であり、本実施形態の吸収体100は、集積体100aをコアラップシート100bで被覆して形成されている。吸収体100は、吸収性物品の着用時に、着用者の前後方向に対応する縦方向に長い形状となっている。
集積体100aは、合成繊維10bを含むシート片10bh(以下、単にシート片10bhとも言う)を複数含み、各シート片10bhは、略矩形状の形状を有している。各シート片10bhの平均長さは、0.3mm以上30mm以下であることが好ましく、1mm以上15mm以下であることがより好ましく、2mm以上10mm以下であることが特に好ましい。ここで平均長さとは、各シート片10bhが長方形状の場合には、長手方向の辺の長さの平均値を示している。各シート片10bhが正方形状の場合には、四辺の内のいずれか1辺の長さの平均値を示している。シート片10bhの平均長さが、0.3mm以上である場合には吸収体100に疎な構造を形成し易く、30mm以下である場合には着用者に吸収体100による違和感を与え難く、吸収体100内の位置によって吸収性能にムラを生じ難い。また、各シート片10bhの平均幅は、0.1mm以上10mm以下であることが好ましく、0.3mm以上6mm以下であることがより好ましく、0.5mm以上5mm以下であることが特に好ましい。ここで平均幅とは、各シート片10bhが長方形状の場合には、短手方向の辺の長さの平均値を示している。各シート片10bhが正方形状の場合には、四辺の内のいずれか1辺の長さの平均値を示している。シート片10bhの平均幅が、0.1mm以上である場合には吸収体100に疎な構造を形成し易く、10mm以下である場合には着用者に吸収体100による違和感を与え難く、吸収体100内の位置によって吸収性能にムラを生じ難い。
吸収体100を形成する繊維材料としては、従来、吸収性物品用の吸収体に用いられている各種のものを特に制限なく用いることができる。親水性繊維10aとしては、パルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維等が挙げられる。合成繊維10bとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の短繊維等が挙げられる。シート片10bhとしては、シート形状であれば特に限定されるものではないが、不織布であることが好ましい。また、吸収性粒子10cとしては、例えば、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系、高吸収性ポリマー系のものが挙げられる。高吸収性ポリマーとしては、例えば、デンプン−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物、アクリル酸(塩)重合体からなるもの等を用いることができる。吸収体100を構成する構成部材としては、更に、消臭剤、抗菌剤等を必要に応じて用いることもできる。コアラップシート100bとしては、ティッシュペーパー又は透液性の不織布等が挙げられる。
次に、本発明の吸収体の製造方法を、前述した吸収体100の製造方法を例にとり図2〜図6を参照して説明する。図2及び図3には、本実施形態の製造方法の実施に用いる一実施形態の製造装置1の全体構成が示されている。吸収体100の製造方法を説明するに当たり、先に製造装置1を説明する。
本実施形態の製造装置1は、図2及び図3に示すように、搬送方向の上流側から下流側に向かって、親水性繊維10aを含む親水性シート10asを解繊機21を用いて解繊する解繊部2と、吸収体100の原料を空気流に乗せて搬送する搬送部としてのダクト3と、ダクト3の途中からダクト3の内部にシート片10bhを供給する供給部5と、ダクト3の下流側に隣接して配置され、吸収体100の原料を集積する集積部を有する回転ドラム4と、回転ドラム4におけるダクト3と反対側に位置する外周面4fに沿って配された押さえベルト7と、回転ドラム4の下方に配されたバキュームコンベア8とを備えている。集積部としては、その一例である集積用凹部41が、回転ドラム4の外周面に配されている。
以下の説明では、合成繊維10bを含む帯状の合成繊維シート10bs及び吸収体100を搬送する方向をY方向、搬送する方向と直交する方向並びに搬送される合成繊維シート10bs及び吸収体100の幅方向をX方向、搬送される合成繊維シート10bs及び吸収体100の厚み方向をZ方向とする。
また、後述する第1方向とは、搬送方向Yに延びる方向であり、搬送方向Yとのなす角が45度未満の範囲で延びる方向を意味している。本実施形態では、第1方向は搬送方向Yと平行な方向に一致している。
また、後述する第2方向とは、第1方向に交差する方向である。本実施形態では、第2方向は、第1方向に直交する方向であり、搬送する合成繊維シート10bs及び吸収体100の幅方向Xと平行な方向に一致している。
製造装置1は、図2及び図3に示すように、ダクト3の内部にシート片10bhを供給する供給部5を備えている。供給部5は、第1方向(Y方向)及び第2方向(X方向)に切断する複数のカッター刃51,52を備えたカッターローラと該カッターローラに対向して配された受けローラ55とを有する切断部を備えている。好ましくは、供給部5は、切断部のカッター刃51,52よりも合成繊維シート10bsの搬送方向Yの上流側に合成繊維シート10bsに加熱処理を施す加熱部600を有している。また、供給部5は、切断部のカッター刃51,52よりも合成繊維シート10bsの搬送方向Yの下流側にカッター刃51,52を用いて形成されたシート片10bhを吸引する吸引ノズル58を有している。また、切断部は、第1方向に切断する複数のカッター刃51を備えた第1のカッターローラ53と、第2方向に切断する複数のカッター刃52を備えた第2のカッターローラ54とを有している。切断部は、第1のカッターローラ53及び第2のカッターローラ54に対向して配された1個の受けローラ55を有している。
図2、図3及び図4に示すように、第1のカッターローラ53の表面には、第1のカッターローラ53の円周方向に沿って第1のカッターローラ53の外周全周に亘って連続して延びる複数のカッター刃51,51,51,・・・が第1のカッターローラ53の軸方向(X方向)に並んで配されている。第1のカッターローラ53は、モータ等の原動機からの動力を受けて、矢印R3方向に回転するようになっている。第1のカッターローラ53の軸方向に隣り合うカッター刃51,51,51,・・・どうしの間隔は、切断により形成されるシート片10bhの幅(短手方向の長さ、X方向の長さ)に概ね対応している。より厳密に述べると、シート搬送時のテンションによっては、合成繊維シート10bsが幅方向Xに縮んだ状態で切断される為、出来上がったシート片10bhにおいては、そのテンションが解放されることで、カッター刃51,51,51,・・・どうしの間隔に比べて、シート片10bhの幅が広くなる場合もある。
図2、図3及び図4に示すように、第2のカッターローラ54の表面には、第2のカッターローラ54の軸方向に沿って且つ第2のカッターローラ54の全幅に亘って連続して延びる複数のカッター刃52,52,52,・・・が第2のカッターローラ54の円周方向に間隔を空けて配されている。第2のカッターローラ54は、モータ等の原動機からの動力を受けて、矢印R4方向に回転するようになっている。
受けローラ55は、図2、図3及び図4に示すように、その表面がフラットなフラットローラである。受けローラ55は、モータ等の原動機からの動力を受けて、矢印R5方向に回転するようになっている。
供給部5は、図2、図3及び図4に示すように、受けローラ55の対向面に、回転方向(矢印R5方向)の上流側から下流側に向かって、受けローラ55と第1のカッターローラ53との間に帯状の合成繊維シート10bsを導入するフリーローラ56、合成繊維シート10bsを第1方向(Y方向)に切断する第1のカッターローラ53、第1方向に切断された第1方向に延びる複数の帯状のシート片連続体10bh1を受けローラ55と第2のカッターローラ54との間に導入するニップローラ57、シート片連続体10bh1を第2方向(X方向)に切断する第2のカッターローラ54を、順に有している。また、供給部5は、合成繊維シート10bsを搬送するフィードローラ(不図示)を有しており、該フィードローラは、受けローラ55と第1のカッターローラ53との間に合成繊維シート10bsを導入する。フィードローラは、例えばサーボモータ等の駆動装置により回転される構成を有する。合成繊維シート10bsのスリップを防止する観点から、フィードローラは、その表面に軸方向に延びる溝を全周にわたって形成したり、摩擦力を向上させるコーティング処理を全周にわたって施すことにより、滑りにくくしてもよい。ニップローラとフィードローラとで挟むことで滑り難くしてもよい。
合成繊維シート10bsとして既に加熱処理が施されている場合には、製造装置1が加熱部600を供給部5に備えていてもよく、備えていなくてもよい。一方、合成繊維シート10bsに加熱処理が施されていない場合には、製造装置1として、図2及び図3に示すように、第1のカッターローラ53よりも合成繊維シート10bsの搬送方向Yの上流側に加熱部600を備えたものを用いる。
製造装置1では、図2及び図3に示すように、加熱部600で合成繊維10bを含む帯状の合成繊維シート10bsに加熱処理を施している。
加熱部600は、加熱ブロア(不図示)と熱風用サクションボックス(不図示)とを有する加熱ゾーン(不図示)及び冷却ゾーン(不図示)を備えている。加熱部600では、合成繊維シート10bsの搬送方向Yの上流側に加熱ゾーンが配され、搬送方向Yの下流側に冷却ゾーンが配されている。加熱ゾーンは、搬送される合成繊維シート10bsの上方に加熱ブロアが配され、下方に熱風用サクションボックスが配されている。そして、加熱ゾーンでは、加熱ブロアが、合成繊維シート10bsの幅方向Xの全域に向けて熱風又は水蒸気を噴き出して合成繊維シート10bsの全面を加熱するようになっている。冷却ゾーンでは、加熱処理が施された合成繊維シート10bsに向けて冷風を吹き出して、加熱処理が施された合成繊維シート10bsの厚みが維持できるようになっている。
製造装置1は、図2及び図3に示すように、親水性繊維10aを含む親水性シート10asを解繊する解繊部2を備えている。解繊部2は、親水性シート10asを解繊する解繊機21と、解繊機21の上側を覆うケーシング22とを備えている。解繊部2は、ダクト3の内部に、吸収体100の原料である解繊された親水性繊維10aを供給する部分である。また、解繊部2は、親水性シート10asを解繊機21に供給する一対のフィードローラ23,23を有している。
一対のフィードローラ23,23のうち、少なくとも一方のローラは、図示しない駆動装置により回転される構成を有する。一対のフィードローラ23,23はニップ式のローラである。駆動装置としては、例えばサーボモータが挙げられる。親水性シート10asのスリップを防止する観点から、一対のフィードローラ23,23の両方が駆動装置により回転されていることが好ましい。この場合、一対のフィードローラ23,23を直接駆動装置により駆動してもよいし、一方のローラを駆動装置で駆動し他方のローラにはギヤ等の伝道手段で駆動を伝達してもよい。また、一対のフィードローラ23,23は、親水性シート10asとのスリップを一層防止する観点から、その表面に軸方向に延びる溝を全周にわたって形成することにより、滑りにくくしてもよい。尚、一対のフィードローラ23,23の他、親水性シート10asの搬送を補助するローラを用いてもよい。
製造装置1は、図2及び図3に示すように、吸収体100の集積体100aの原料を搬送する搬送部としてのダクト3を有している。ダクト3は、解繊部2から回転ドラム4に亘って延びており、ダクト3の下流側の開口が、負圧に維持される回転ドラム4の空間Aに位置する外周面4fを覆っている。ダクト3は、天面を形成する天板31、底面を形成する底板32、及び両側面を形成する両側壁33,34を有している。回転ドラム4の吸気ファン(不図示)の作動により、ダクト3の天板31、底板32及び両側壁33,34で囲まれた内部には、回転ドラム4の外周面4fに向けて吸収体100の原料を流す空気流が生じるようになっている。つまり、ダクト3の内部は流路30となっている。
ダクト3の天板31には、図2及び図3に示すように、吸収性粒子10cをダクト3内に供給する吸収性粒子散布管36が配されている。吸収性粒子散布管36は、吸収性粒子10cがスクリューフィーダー等の装置(不図示)を介して、吸収性粒子散布管36の先端に設けられた散布口から排出され、ダクト3内に供給されるようになっている。そして、各スクリューフィーダー等の装置により、吸収性粒子散布管36への吸収性粒子10cの供給量を調整できるようになっている。
製造装置1は、図2及び図3に示すように、回転ドラム4を有している。回転ドラム4は、その外周面4fに吸収体の原料を集積して集積体を得る集積部としての集積用凹部41を有している。回転ドラム4は、円筒状をなし、モータ等の原動機(不図示)からの動力を受けて、その外周面4fを形成する部材40が水平軸回りを矢印R1方向に回転する。回転ドラム4は、外周面4fを形成する部材40と、部材40よりも内側に位置するドラム本体42とを有している。ドラム本体42は固定されていて回転しないものである。回転ドラム4の集積用凹部41は、外周面4fを形成する部材40に形成されており、回転ドラム4の周方向(2Y方向)の全周に亘って連続的に配置されている。図中、2Yが回転ドラム4の周方向、Xが回転ドラム4の幅方向(回転ドラム4の回転軸と平行な方向)である。このように製造装置1の集積用凹部41は、本実施形態では、回転ドラム4の周方向2Yの全周に亘って連続的に配置されている形態であるが、回転ドラム4の周方向2Yに所定の間隔で複数配置されている形態であってもよい。
回転ドラム4のドラム本体42は、図2及び図3に示すように、内部に相互に独立した複数の空間を有しており、例えば3つの空間A〜Cを有している。空間A〜Cどうしの間は、回転ドラム4の回転軸側から外周面4f側に向かって設けられたプレートにより仕切られている。回転ドラム4には吸気機構としての吸気ファン(不図示)が接続されており、該吸気ファンの駆動により、回転ドラム4内の仕切られた複数の空間の圧力が調整できるようになっている。製造装置1においては、外周面4fがダクト3で覆われた領域に位置する上流側領域である空間Aに対応する領域の吸引力を、下流側領域である空間B〜Cに対応する領域の吸引力よりも強くしたり弱くしたりすることができ、空間Aが負圧に維持されるようになっている。
集積用凹部41の底面は多孔性部材から構成されており、外周面4fの内の集積用凹部41が、回転ドラム4内における負圧に維持された空間上を通過している間、該多孔性部材が吸収体100の原料を吸引する吸引孔として機能する。
製造装置1は、図2、図3及び図4に示すように、第2のカッターローラ54により形成されたシート片10bhを吸引する吸引ノズル58を有している。吸引ノズル58は、その吸引口581が、第2のカッターローラ54の下方、すなわち、第2のカッターローラ54と受けローラ55との最近接点よりも第2のカッターローラ54の回転方向(矢印R4方向)下流側に配置されている。また、吸引ノズル58は、その吸引口581が第2のカッターローラ54の全幅に亘って延びている。シート片10bhの吸引性向上の観点から、吸引ノズル58の吸引口581が、受けローラ55と第2のカッターローラ54との間に対向するように、受けローラ55及び第2のカッターローラ54の下方に配置されていることが好ましい。そして、シート片10bhの更なる吸引性向上の観点から、吸引ノズル58の吸引口581が、図4に示すように、受けローラ55及び第2のカッターローラ54を側面から視て、受けローラ55に対向する吸引口581の弧の長さよりも第2のカッターローラ54に対向する吸引口581の弧の長さが長くなるように第2のカッターローラ54の外面を覆っていることが好ましい。
吸引ノズル58は、図2及び図3に示すように、吸引管59を介してダクト3の天板31側に繋がれている。そして、吸引ノズル58の吸引口581から吸引されたシート片10bhが、吸引管59を介してダクト3の途中からダクト3の内部に供給されるようになっている。吸引管59とダクト3との接続位置は、ダクト3における解繊部2側と回転ドラム4側との間に位置しており、ダクト3における吸収性粒子散布管36よりも下流側に位置している。尤も、吸引管59とダクト3との接続位置はこれに限るものではなく、例えば、ダクト3の天板31側ではなく、底板32側でも構わない。
製造装置1は、上述した解繊部2、ダクト3、回転ドラム4及び供給部5に加えて、押さえベルト7と、バキュームコンベア8とを有している。
押さえベルト7は、図2及び図3に示すように、ダクト3の位置よりも下流側に隣接して回転ドラム4の空間Bに位置する外周面4fに沿って配されている。空間Bは、回転ドラム4の空間Aよりも弱い負圧又は圧力ゼロ(大気圧)に設定されている。押さえベルト7は、無端状の通気性又は非通気性のベルトであり、ローラ71及びローラ72に架け渡されて、回転ドラム4の回転と共に連れ回るようになっている。尚、押さえベルト7が通気性のベルトである場合には、実質的に集積用凹部41内の原料を通過させないものであることが好ましい。押さえベルト7により、空間Bの圧力を大気圧に設定しても、集積用凹部41内の集積体100aをバキュームコンベア8上に転写するまで、集積用凹部41内に保持できる。
バキュームコンベア8は、図2及び図3に示すように、回転ドラム4の下方に配されており、回転ドラム4の弱い陽圧又は圧力ゼロ(大気圧)に設定されている空間Cに位置する外周面4fに配されている。例えば、ドラム本体42の内部から外周面4fの外側へ向かってエアブローすることで、弱い陽圧とすることができる。バキュームコンベア8は、駆動ローラ81及び従動ローラ82,82に架け渡された無端状の通気性ベルト83と、通気性ベルト83を挟んで回転ドラム4の空間Cに位置する外周面4fと対向する位置に配されたバキュームボックス84とを備えている。バキュームコンベア8上には、ティッシュペーパー又は透液性の不織布等からなるコアラップシート100bが導入されるようになっている。
尚、製造装置1は、バキュームコンベア8よりも下流側に、コアラップシート100bと、コアラップシート100b上に転写された集積体100aを覆うようにコアラップシート100bを幅方向(X方向)に折り返す折りガイド板(不図示)を有している。折りガイド板は、コアラップシート100bの搬送方向(Y方向)に沿う両側部を集積体100a上に折り返すものである。また、製造装置1は、折りガイド板よりも下流側に切断装置(不図示)を備えており、該切断装置によって、個々の吸収体100が製造される。切断装置としては、例えば、生理用ナプキン、軽失禁パッド、パンティライナー、おむつ等の吸収性物品の製造において、吸収体連続体の切断に従来使用されているもの等を特に制限なく使用することができる。切断装置としては、例えば、一対の周面に切断刃を備えたカッターローラ及び該切断刃を受ける周面平滑なアンビルローラ等が挙げられる。
次に、上述した製造装置1を用いて吸収体100を製造する方法、即ち、本発明の吸収体の製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態の吸収体100の製造方法は、図2及び図3に示すように、複数のカッター刃51,52を備えたカッターローラと、該カッターローラに対向して配された受けローラ55との間に、合成繊維10bを含む帯状の合成繊維シート10bsを供給し、第1方向と第2方向とに所定の長さで切断して複数のシート片10bhを形成する切断工程と、形成された複数のシート片10bhを集積部としての集積用凹部41まで搬送する搬送工程と、搬送工程で搬送された複数のシート片10bhを、集積部である集積用凹部41に集積して集積体100aを得る集積工程とを備えている。また、本実施形態の製造方法は、帯状の合成繊維シート10bsの全面に加熱処理を施す加熱工程をインラインで備えていてもよく、その場合、合成繊維シート10bsの加熱工程と切断工程とが連続して行われる。ここで「加熱工程と切断工程とが連続して行われる」とは、加熱工程にて搬送状態で加熱処理が施された合成繊維シート10bsに対して、搬送状態を維持しながら切断工程を行うことをいう。更に、本実施形態の製造方法は、切断工程で得られたシート片10bhを吸引する吸引工程と、帯状の親水性シート10asを解繊機21を用いて解繊して親水性繊維10aを得る解繊工程とを有している。以下、本実施形態の吸収体100の製造方法について詳述する。
先ず、回転ドラム4内の空間A、及びバキュームコンベア8用のバキュームボックス84内を、それぞれに接続された吸気ファン(不図示)を作動させて負圧にする。空間A内を負圧にすることで、ダクト3内に、吸収体100の原料を、回転ドラム4の外周面4fに搬送する空気流が生じる。また解繊機21及び回転ドラム4を回転させ、且つ第1のカッターローラ53、第2のカッターローラ54及び受けローラ55を回転させ、押さえベルト7及びバキュームコンベア8を作動させる。
次いで、帯状の親水性シート10asを一対のフィードローラ23,23を用いて解繊機21に供給して解繊して親水性繊維10aを得る解繊工程を行う。解繊された繊維材料である親水性繊維10aは、解繊機21からダクト3に供給される。一対のフィードローラ23,23は、親水性シート10asの解繊機21への供給速度を制御するようになっている。解繊工程においては、親水性シート10asの解繊機21への供給が制御して行われる。
本実施形態の製造方法においては、帯状の合成繊維シート10bsの全面に加熱処理を施す加熱工程を行う。具体的には、図2及び図3に示すように、合成繊維シート10bsを加熱部600内を通過させ、加熱ゾーンにおいて、合成繊維シート10bsの幅方向Xの全域に向けて加熱ブロアから所定温度に加熱された熱風が吹きつけられる。吹き付けられた熱風が、搬送される合成繊維シート10bsの厚さ方向に貫通して流れることによって、合成繊維シート10bsが加熱される。このように合成繊維シート10bsが加熱されると、繊維間の空気が温められたり、繊維が変形(伸長、捲縮)したりすることで、加熱前に比べて厚さが厚くなる。本実施形態の製造方法のように、冷却ゾーンにおいて加熱処理が施された合成繊維シート10bsを冷却してもよい。冷却することで、加熱処理が施された合成繊維シート10bsの厚さが維持されやすくなる。本実施形態の製造方法においては、熱風を直接合成繊維シート10bsに吹き付けることで加熱していたが、加熱部600の加熱ゾーンを加熱ブロアによって予め加熱しておき、該加熱ゾーンに帯状の合成繊維シート10bsを通過させることで、合成繊維シート10bsを加熱してもよい。
また、本実施形態の製造方法においては、加熱ゾーンにおいて加熱ブロアから熱風を吹出しているが、水蒸気を吹き付けて合成繊維シート10bsを加熱してもよい。
加熱工程では、合成繊維シート10bsの厚さが加熱前の帯状の合成繊維シート10bsの厚さよりも厚くなっていることが好ましい。尚、合成繊維シート10bsの厚さは下記方法により測定される。
たとえば、合成繊維シート10bsから所定の面積のサンプルを切り出し、0.05kPaの荷重を加えた状態で、厚み測定器を用いて測定する。厚み測定器としては、たとえばオムロン社製のレーザー変位計を用いることができる。厚み測定は、10点測定し、それらの平均値を算出して合成繊維シート10bsの厚さとする。その他に、切り出したサンプルの断面をデジタルマイクロスコープ等により拡大することで、合成繊維シート10bsの厚さを測定することもできる。但し、上記方法に限らず、他の測定方法であっても、加熱処理の施された合成繊維シート10bsの厚さが加熱前の合成繊維シート10bsの厚さよりも厚くなっていることが好ましい。
帯状の合成繊維シート10bsを効率的に加熱する観点から、加熱部600の有する加熱ブロアによって吹き付ける熱風又は水蒸気は、その温度がガラス転移点Tg以上であることが好ましく、Tg+3℃以上であることが更に好ましい。尚、吹き付ける熱風又は水蒸気の上限の温度としては、合成繊維シート10bsを形成する合成繊維10bの融点Tm未満とすることが好ましく、Tm−3℃以下であることがより好ましい。
切断工程においては、図4に示すように、その全面に加熱処理が施された帯状の合成繊維シート10bsを、複数のカッター刃51、52を備えたカッターローラ53、54と、カッターローラ53、54に対向して配された受けローラ55との間に供給して、第1方向(Y方向)と第2方向(X方向)とに所定の長さで切断して複数のシート片10bhを形成する切断工程を行う。より好ましくは、切断工程は、第1方向に切断するカッター刃51を備えた第1のカッターローラ53を用いて第1方向に切断して複数のシート片連続体10bh1を形成する第1切断工程と、第2方向に切断するカッター刃52を備えた第2のカッターローラ54を用いて第2方向に切断して複数のシート片10bhを形成する第2切断工程を有する。以下、具体的に、切断工程について説明する。
切断工程においては、加熱処理が施された帯状の合成繊維シート10bsを上述したフィードローラを用いて搬送する。フィードローラは、合成繊維シート10bsの搬送速度を制御するようになっている。切断工程においては、合成繊維シート10bsの搬送速度が制御して行われる。
第1切断工程においては、図4及び図6(a)に示すように、フィードローラで搬送された帯状の合成繊維シート10bsを、フリーローラ56を介して、矢印R5方向に回転する受けローラ55と、矢印R3方向に回転する第1のカッターローラ53との間に導入し、複数のカッター刃51,51,51,・・・によって、合成繊維シート10bsを、第2方向(X方向)に所定の間隔を空けた位置にて第1方向(Y方向)に切断する。このように切断することによって、第2方向に所定の長さ(幅)を有する、第1方向に延びるシート片連続体10bh1が複数形成される。本実施形態の吸収体100の製造方法においては、複数のカッター刃51,51,51,・・・は、それぞれ第2方向に等間隔で第1のカッターローラ53の表面に配されている。したがって、合成繊維シート10bsは等間隔で切断されるので、幅(第2方向の長さ)の等しいシート片連続体10bh1が複数形成される。第1切断工程で形成されたシート片連続体10bh1の平均幅は、シート片10bhが所定の効果を発現する上で必要な寸法を確保する観点などから、0.1mm以上10mm以下であることが好ましく、0.3mm以上6mm以下であることがより好ましく、0.5mm以上5mm以下であることが特に好ましい。本実施形態においては、第1のカッターローラ53にて切断されるシート片連続体10bh1の幅は、最終的に形成されるシート片10bhの短手方向の辺の長さに相当する。しかしながら、第1のカッターローラ53にて切断されるシート片連続体10bh1の幅が、最終的に形成されるシート片10bhの長手方向の辺の長さに相当するように切断してもよく、その場合の第1のカッターローラ53にて切断されるシート片連続体10bh1の平均幅は、0.3mm以上30mm以下であることが好ましく、1mm以上15mm以下であることがよりに好ましく、2mm以上10mm以下であることが特に好ましい。形成された複数のシート片連続体10bh1は、矢印R5方向に回転する受けローラ55の周面上で搬送され、受けローラ55とニップローラ57との間に搬送され、ニップローラ57を介して、受けローラ55と第2のカッターローラ54との間に導入される。
次いで、第2切断工程においては、図4に示すように、矢印R5方向に回転する受けローラ55と、矢印R4方向に回転する第2のカッターローラ54との間に、第2方向に並置された第1方向に延びる複数のシート片連続体10bh1を導入し、複数のカッター刃52,52,52,・・・によって、複数のシート片連続体10bh1を、第1方向に所定の長さで間欠的に第2方向に亘って切断する。このように切断することによって、第2方向の長さよりも第1方向の長さの方が長い、矩形状のシート片10bhが複数形成される。本実施形態の吸収体100の製造方法においては、複数のカッター刃52,52,52,・・・は、それぞれ第2のカッターローラ54の円周方向に等間隔で表面に配されている。したがって、複数のシート片連続体10bh1は等間隔で切断されるので、搬送方向Yの長さの等しい矩形状のシート片10bhが複数形成される。第2切断工程で形成されたシート片10bhの平均長さは、シート片10bhが所定の効果を発現する上で必要な寸法を確保する観点などから、0.3mm以上30mm以下であることが好ましく、1mm以上15mm以下であることがより好ましく、2mm以上10mm以下であることが特に好ましい。切断工程で形成されるシート片10bhの平均長さは、シート片10bhが所定の効果を発現する上で必要な寸法を確保する観点などから、0.3mm以上30mm以下であることが好ましく、1mm以上15mm以下であることがより好ましく、2mm以上10mm以下であることが特に好ましい。本実施形態においては、第2のカッターローラ54にて切断されるシート片10bhの長さは、シート片10bhの長手方向の辺の長さに相当する。しかしながら、第2のカッターローラ54にて切断されるシート片10bhの長さが、シート片10bhの短手方向の辺の長さに相当するように切断してもよく、その場合の第2のカッターローラ54にて切断されるシート片10bhの長さ(幅)は、0.1mm以上10mm以下であることが好ましく、0.3mm以上6mm以下であることがよりに好ましく、0.5mm以上5mm以下であることが特に好ましい。
第1切断工程及び第2切断工程においては、加熱処理が施された合成繊維シート10bsを、第1方向と第2方向とに所定の長さで切断して、シート片10bhを得ているので、得られるシート片10bhのサイズを意図したサイズに調整し易く、同じサイズのシート片10bhを精度良く多量に製造し易い。このように、意図したサイズのシート片10bhを精度良く形成することができるので、狙いの吸収性能を備えた吸収体を効率的に連続して製造することができる。
ところで、加熱処理を施していない合成繊維シート10bsでは、合成繊維の繊維間距離が比較的狭く、繊維密度が高い状態となっている。このような合成繊維シート10bsを、カッターローラ53と受けローラ55との間に供給して切断工程を行った場合、図5(a)及び図5(b)に示すように、カッター刃51によって切断されて形成されたシート片連続体10bh1の搬送方向に沿う両側部それぞれに位置する切断縁部10btがカッター刃51の加圧力により圧密化されて、シート片連続体10bh1の柔らかさが低下してしまう虞がある。また、シート片連続体10bh1を、カッターローラ54と受けローラ55との間に供給して切断工程を行った場合も同様に、カッター刃52によって切断されて形成されたシート片10bhの搬送方向の両端部それぞれに位置する切断端部がカッター刃52の加圧力により圧密化されて、シート片10bhの柔らかさが低下してしまう虞がある。
これに対し、本実施形態の吸収体100の製造方法においては、加熱工程により合成繊維シート10bsの全面に加熱処理を施し、加熱前の厚さよりも厚くなっている加熱処理が施された合成繊維シート10bsに対して連続して切断工程を行っている。その為、図6(a)に示すように、カッター刃51を用いて切断してシート片連続体10bh1を形成しても、図6(b)に示すように、シート片連続体10bh1の搬送方向に沿う両側部それぞれに位置する切断縁部10btを除く部分の厚みにより、切断縁部10btの厚みが回復し易く、圧密化を抑制することができる。また、カッター刃52を用いて切断して矩形状のシート片10bhを形成しても同様に、シート片10bhの搬送方向の両端部それぞれに位置する切断端部を除く部分の厚みにより、切断端部の厚みが回復し易く、圧密化を抑制することができる。このように形成される矩形状のシート片10bhは、周縁が硬くなり難く、シート片10bh全体の柔らかさを維持することができる。
本実施形態の吸収体100の製造方法においては、加熱処理が施された合成繊維シート10bsを、第1のカッターローラ53を用いて第1方向に所定の長さで切断する第1切断工程と、第2のカッターローラ54を用いて第2方向に所定の長さで切断する第2切断工程を有している。このように、シート片10bhを形成するに際し、第1方向の切断と、第2方向の切断とを同時に行うのではなく、段階に行うことで、シート片10bhの切断縁部の圧密化を、より効果的に抑制することができる。
次いで、第2のカッターローラ54の下方に吸引口581が配された吸引ノズル58を用い、切断工程にて得られたシート片10bhを吸引してダクト3の内部に供給する(吸引工程)。このように第2のカッターローラ54の下方、すなわち、第2のカッターローラ54と受けローラ55との最近接点よりも第2のカッターローラ54の回転方向(矢印R4方向)下流側に、吸引ノズル58の吸引口581が配されていると、第2のカッターローラ54と受けローラ55とで切断して形成された複数のシート片10bhを効率的に吸引することができる。
次いで、吸引工程にてダクト3の内部に供給されたシート片10bhをダクト3を用いて集積部としての集積用凹部41まで搬送する搬送工程を行う。
本実施形態の搬送工程においては、先に解繊工程にて得られた親水性繊維10aがダクト3内部に供給され、吸引工程で吸引された複数のシート片10bhがダクト3の途中の位置にてダクト3の内部に供給されている。その為、親水性繊維10aを空気流に乗せて、集積用凹部41に飛散状態にて搬送している途中から、シート片10bhを空気流に乗せて搬送するようになり、シート片10bh及び親水性繊維10aを空気流に乗せて飛散状態にて搬送している間に、シート片10bhが親水性繊維10aに混合される。
また、搬送工程においては、吸収性粒子散布管36を用いて、吸収性粒子10cを供給し、切断工程で得られたシート片10bh及び吸収性粒子10cを空気流に乗せて、集積用凹部41に搬送している間に、シート片10bh及び吸収性粒子10cを混合する。搬送工程では、吸収性粒子散布管36の位置が、吸引管59とダクト3との接続位置よりも上流側に位置しているので、吸収性粒子10cを空気流に乗せて、集積用凹部41に飛散状態にて搬送している間に、シート片10bh、親水性繊維10a及び吸収性粒子10cが混合される。
次いで、搬送工程で搬送されたシート片10bhのみならず親水性繊維10a及び吸収性粒子10cも、回転ドラム4の外周面4fに配された集積用凹部41に集積して集積体100aを得る集積工程を行う。
以上のようにして、回転ドラム4の集積用凹部41内には、シート片10bh、親水性繊維10a及び吸収性粒子10cが厚み方向に分散した状態で集積された、吸収体の構成部材である集積体100aが形成される。本実施形態の製造方法においては、集積用凹部41内に形成された集積体100aを、回転ドラム4の周方向(2Y方向)の全周に亘って連続的に製造するが、複数の集積用凹部41を回転ドラム4の外周面に一定の間隔を空けて設けることで、集積体100aを間欠的に製造してもよい。集積用凹部41内に親水性繊維10a、合成繊維10b及び吸収性粒子10cが集積した集積体100aを得た後、図2に示すように、更に回転ドラム4を回転させ、回転ドラム4の空間Bに位置する外周面4fに配された押さえベルト7で集積用凹部41内の集積体100aを押さえつけながら、バキュームコンベア8上まで搬送する。
そして、集積用凹部41内の集積体100aは、図2及び図3に示すように、回転ドラム4の空間Cに位置するバキュームボックス84の対向位置にくると、バキュームボックス84からの吸引によって、集積用凹部41から離型し、バキュームコンベア8上に導入された帯状のコアラップシート100bの幅方向Xの中央部分上に受け渡される。
次いで、図2に示すように、コアラップシート100bの搬送方向Yに沿う両側部の内の一方の側部を、折りガイド板(不図示)により幅方向X内側に集積体100a上に折り返す。そして、他方の側部を、折りガイド板により幅方向X内側に集積体100a上に折り返し、集積体100aをコアラップシート100bで被覆してなる帯状の吸収体100を製造する。
その後、切断装置(不図示)によって、帯状の吸収体100を、搬送方向Yに所定の間隔にて切断して、個々の吸収体100を製造する。このように製造された吸収体100は、図1に示すように、コアラップシート100bで被覆された集積体100aを有している。集積体100aは、親水性繊維10a、シート片10bh、及び吸収性粒子10cが混合して形成された集積層となっている。本製造方法で製造される吸収体100を備えた吸収性物品を使用すれば、吸収体100の集積体100aの中に意図したサイズで柔らかさの低減が抑えられたシート片10bhが分散しているので、柔らかく、使用中に異物感が生じ難く、吸収体100が体液を吸収した際に、安定的に体液を吸収することができる。
本発明は、前記実施形態に制限されず適宜変更可能である。
例えば、本発明の実施形態の製造方法では、帯状の合成繊維シート10bsに加熱処理を施す加熱工程を、切断工程と連続して行っているが、これに代えて切断工程よりも前のいずれかの段階において加熱処理が施された合成繊維シート10bsを使用してもよい。
また、本実施形態の切断工程では、その全面に加熱処理が施された帯状の合成繊維シート10bsを切断して複数のシート片10bhを形成していたが、本発明の効果を奏する範囲内であれば、帯状の合成繊維シート10bsの一部に加熱処理が施されていなくても構わない。例えば、帯状の合成繊維シート10bsの幅における90%以上の範囲で加熱処理が施されている場合には、実質的に「全面に加熱処理が施された帯状の合成繊維シート10bs」といえる。
また、本実施形態の切断工程では、図2に示すように、第1方向(Y方向)に切断するカッター刃51を備えた第1のカッターローラ53と、第2方向(X方向)に切断するカッター刃52を備えた第2のカッターローラ54と、第1のカッターローラ53及び第2のカッターローラ54に対向して配された1個の受けローラ55を用いて、加熱処理が施された帯状の合成繊維シート10bsを、第1方向と第2方向とに所定の長さで切断し、シート片10bhを製造している。それに対し、第1のカッターローラ53と第2のカッターローラ54とに対向して配された別々の受けローラを用いて、加熱処理が施された合成繊維シート10bsを切断してシート片10bhを製造してもよい。
また、本実施形態の切断工程では、図2に示すように、それぞれ等間隔に配置された複数のカッター刃51を備えた第1のカッターローラ53と、それぞれ等間隔に配置された複数のカッター刃52を備えた第2のカッターローラ54とを用いて、加熱処理が施された合成繊維シート10bsを切断して同じサイズのシート片10bhを製造しているが、2種類以上の間隔を有するように複数のカッター刃51を備えた第1のカッターローラ53又は2種類以上の間隔を有するように複数のカッター刃52を備えた第2のカッターローラ54とを用いて、加熱処理が施された合成繊維シート10bsを切断してシート片10bhを製造してもよい。このように製造した場合は、2種類以上のサイズのシート片10bhを形成することができるが、カッターミル方式を用いた製造とは違い、意図したサイズのシート片10bhを精度良く形成することができ、狙いの吸収性能を備えた吸収体を効率的に連続して製造することができる。
また、本実施形態の切断工程では、図2に示すように、第1方向(Y方向)に切断するカッター刃51を備えた第1のカッターローラ53を用いて、加熱処理が施された合成繊維シート10bsを切断してシート片連続体10bh1を形成し、次いで、第2方向(X方向)に切断するカッター刃52を備えた第2のカッターローラ54を用いて、シート片連続体10bh1を切断して矩形状のシート片10bhを製造しているが、逆でも良い。すなわち、第2方向に切断するカッター刃52を備えた第2のカッターローラ54を用いて、加熱処理が施された合成繊維シート10bsを切断して第2方向に延びるシート片連続体10bh1を形成し、次いで、第1方向に切断するカッター刃51を備えた第1のカッターローラ53を用いて、シート片連続体10bh1を切断して矩形状のシート片10bhを製造しても良い。
また、図2に示す製造装置1では、供給部5が、第1のカッターローラ53と第2のカッターローラ54とを有しているが、2個のカッターローラに代えて、第1方向に切断するカッター刃51と第2方向に切断するカッター刃52とを同一周面上に備えた1個のカッターローラを有していてもよい。供給部5は、前記1個のカッターローラを有する場合、該1個のカッターローラに対向して配された1個の受けローラを有していることが好ましい。前記1個のカッターローラと前記1個の受けローラとを有する製造装置では、吸引ノズル58の吸引口581が該1個のカッターローラの下方に配置されていることが好ましい。具体的には、吸引ノズル58の吸引口581が、該1個のカッターローラと受けローラとの最近接点よりも該1個のカッターローラの回転方向下流側に配置されていることが好ましい。そして、吸引ノズル58の吸引口581が、該1個のカッターローラを側面から視て外周全周における1/4以上の弧の長さを覆っていることが好ましい。
前記1個のカッターローラと前記1個の受けローラとを有する製造装置を用いる場合、切断工程では、第1方向(Y方向)に切断するカッター刃51と第2方向(X方向)に切断するカッター刃52とを同一周面上に備えた1個のカッターローラを用いて、加熱処理が施された合成繊維シート10bsを切断してシート片10bhを形成する。具体的には、1個の該カッターローラと、該カッターローラに対向して配された1個の受けローラとを用い、該カッターローラ及び該受けローラの間に加熱処理が施された合成繊維シート10bsを導入して第1方向及び第2方向に切断してシート片10bhを形成する。このように、第1方向に切断するカッター刃51と第2方向に切断するカッター刃52との2種類のカッター刃を周面に有する1個のカッターローラを用いれば、設備の規模をコンパクト化でき、製造装置のコストも抑えることができる。
前記1個のカッターローラと前記1個の受けローラとを有する製造装置を用いてシート片10bhを形成する場合、吸引工程においては、吸引ノズル58の吸引口581を該1個のカッターローラの下方に配置して、得られたシート片10bhを吸引することで、該1個のカッターローラの周面上に残存する複数のシート片10bhを効率的に吸引できる。吸引ノズル58の吸引口581が、該1個のカッターローラと受けローラとの最近接点よりも該1個のカッターローラの回転方向下流側に配置されていると、該1個のカッターローラの周面上に残存する複数のシート片10bhを更に効率的に吸引できる。そして、同様の観点から、吸引ノズル58の吸引口581が、該1個のカッターローラを側面から視て外周全周における1/4以上の弧の長さを覆っていることが好ましい。
また、本実施形態においては、帯状の親水性シート10asを解繊機21を用いて解繊して親水性繊維10aを得る解繊工程を備えているが、該解繊工程を備えていなくてもよい。また、本実施形態の搬送工程においては、吸収性粒子散布管36を用いて、吸収性粒子10cを供給しているが、吸収性粒子10cを供給しなくてもよい。