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JP2019056231A - 岸壁構造 - Google Patents

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JP2019056231A
JP2019056231A JP2017180928A JP2017180928A JP2019056231A JP 2019056231 A JP2019056231 A JP 2019056231A JP 2017180928 A JP2017180928 A JP 2017180928A JP 2017180928 A JP2017180928 A JP 2017180928A JP 2019056231 A JP2019056231 A JP 2019056231A
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覚太 藤原
Kakuta Fujiwara
覚太 藤原
典佳 原田
Noriyoshi Harada
典佳 原田
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Abstract

【課題】既設岸壁を補強の対象として、耐震性能を向上させることが可能となり、大水深化に対応させることが可能となる岸壁構造を提供する。
【解決手段】本発明を適用した岸壁構造1は、岸壁を補強するために設けられるものであって、既設岸壁7の海側Aに設けられるとともに既設岸壁7よりも高い剛性を有する鋼構造物2と、既設岸壁7よりも陸側Bに設けられるとともに既設岸壁7に交差する交差方向Yに延びる鋼矢板壁である補強壁体3と、鋼構造物2の頭部2aと補強壁体3の頭部3aとを連結する連結部材4とを備え、鋼構造物2は、既設岸壁7の壁幅方向Xに延びる鋼矢板壁であることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、岸壁を補強するために設けられる岸壁構造に関する。
従来から、土圧に対する抵抗力を効率よく増大させるとともに、土留壁構造を構築する際の施工性を向上させるものとして、例えば、特許文献1に開示される土留壁構造が提案されている。また、地盤からの土圧による鋼矢板の回転を抑止して、ひいては土留壁本体の撓み量を低減するものとして、特許文献2に開示される土留壁が提案されている。また、経済的に耐震性能を向上させるものとして、特許文献3に開示される耐震岸壁構造が提案されている。
特許文献1に開示された土留壁構造は、下方に向って掘削領域側に傾斜するように構築された土留壁本体と、前記土留壁本体を挟んで掘削領域の反対側の地中に構築された控え壁と、前記土留壁本体と前記控え壁とを連結する連結部材とを備え、前記控え壁は、その面内横方向と前記土留壁本体の面内横方向とが直交するように鉛直に配されている。
特許文献2に開示された土留壁は、土留壁本体と、前記土留壁本体の背面側に突設される控え壁と、前記控え壁から前記土留壁本体と略平行に突設される支圧壁と、前記土留壁本体、控え壁又は支圧壁のうち少なくとも何れか一つを構成する鋼矢板の回転を拘束するように敷設してある土圧対抗材とを少なくとも具備する。
特許文献3に開示された耐震岸壁構造は、既設岸壁と交差する交差方向に延びる鋼矢板壁と、既設岸壁に連結されて交差方向に延びる連結部材とを備え、鋼矢板壁は、複数の鋼矢板の全部又は一部の頭部を一体化させて設けられて、交差方向に延びる延設長が、各々の鋼矢板の材軸方向の部材長の半分以上となる。
特開2014−105553号公報 特開2010−126991号公報 特開2017−082454号公報
近年、巨大地震や、船舶の大型化に伴う大水深化に備えるために、既設の岸壁を補強する必要性が生じている。
しかしながら、特許文献1に開示された土留壁構造は、土留壁本体を掘削領域の外周に沿って傾斜して打設するとともに、控え壁を土留壁本体の背面側の地盤に打設して、当該土留壁本体と控え壁とをタイロッド等の連結部材で連結するものである。このため、特許文献1に開示された土留壁構造は、新設時に土留壁本体と控え壁とが同時に打設されるものであり、既設の岸壁を補強して耐震性能を向上させるものでもなければ、大水深化に対応させるものでもない。
また、特許文献2に開示された土留壁も、土留壁本体、控え壁及び支圧壁が、溶接又は異形鋼矢板等で互いに連結されるものであり、土留壁本体、控え壁及び支圧壁を全て連結するためには、これらを同時に打設することが必要となる。このため、特許文献2に開示された土留壁は、土留壁本体の新設時に控え壁及び支圧壁を設けるものであり、既設の岸壁を補強して耐震性能を向上させるものでもなければ、大水深化に対応させるものでもない。
また、特許文献3に開示された耐震岸壁構造は、既設岸壁と交差する交差方向に延びる鋼矢板壁が設けられるものの、既設の岸壁の近傍に鋼構造物が設けられる点について何ら開示も示唆もされていない。特許文献3に開示された耐震岸壁構造は、既設岸壁と交差する交差方向に延びる鋼矢板壁が既設岸壁の頭部を拘束することで、地震により外力が増大した際に既設岸壁に生じる頭部変位を低減できるものの、既設岸壁に作用する外力を低減することができないことから既設岸壁に発生する応力を低減できず、耐震性能を向上させるために更なる改良の余地があった。また、特許文献3に開示された耐震岸壁構造は、大水深化に対応することにつき何ら開示も示唆もされておらず、仮に既設の岸壁の水深をより深い水深にすることにより既設岸壁に作用する外力が増大した場合には、既設岸壁に発生する応力を低減することができないことから、大水深化に対応させるために更なる改良の余地があった。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであって、その目的とするところは、特に、既設岸壁の補強を対象として、耐震性能を向上させることが可能となり、大水深化に対応させることが可能となる岸壁構造を提供することにある。
第1発明に係る岸壁構造は、岸壁を補強するために設けられる岸壁構造であって、既設岸壁の近傍に設けられるとともに既設岸壁よりも高い剛性を有する鋼構造物と、既設岸壁よりも陸側に設けられるとともに既設岸壁に交差する交差方向に延びる鋼矢板壁である補強壁体と、前記鋼構造物の頭部と前記補強壁体の頭部とを連結する連結部材とを備え、前記鋼構造物は、鋼管、又は、既設岸壁の壁幅方向に延びる鋼矢板壁であることを特徴とする。
第2発明に係る岸壁構造は、第1発明において、前記補強壁体は、複数の鋼矢板の全部の頭部を一体化させて設けられることを特徴とする。
第3発明に係る岸壁構造は、第1発明又は第2発明において、前記補強壁体は、複数の鋼矢板の全部の頭部を一体化させるコーピングが設けられ、前記コーピングは、既設岸壁の頭部、既設岸壁から離間して設けられた既設控え工の頭部及び前記鋼構造物の頭部を一体化させるものとなることを特徴とする。
第4発明に係る岸壁構造は、第1発明〜第3発明の何れかにおいて、前記鋼構造物は、既設岸壁の壁幅方向に延びる鋼矢板壁であり、既設岸壁から海側に離間して設けられ、前記鋼構造物と既設岸壁との間には、埋め戻された埋戻地盤が設けられることを特徴とする。
第5発明に係る岸壁構造は、第1発明〜第3発明の何れかにおいて、既設岸壁の壁幅方向に所定の間隔を空けて設けられる複数の前記補強壁体を備え、前記鋼構造物は、既設岸壁の壁幅方向に所定の間隔を空けて設けられる複数の鋼管であり、各々の前記鋼管が前記連結部材を介して各々の前記補強壁体に連結されることを特徴とする。
第6発明に係る岸壁構造は、岸壁を補強するために設けられる岸壁構造であって、既設岸壁の近傍に設けられる鋼構造物と、前記鋼構造物と既設岸壁とを連結する連結部材とを備え、前記鋼構造物は、鋼管、又は、既設岸壁の壁幅方向に延びる鋼矢板壁であることを特徴とする。
第7発明に係る岸壁構造は、第6発明において、前記鋼構造物は、既設岸壁よりも海側に設けられることを特徴とする。
第8発明に係る岸壁構造は、第1発明〜第7発明の何れかにおいて、前記鋼構造物の高さ方向の長さは、既設岸壁の高さ方向の長さよりも長いことを特徴とする。
第1発明〜第5発明、第8発明によれば、地震に伴って増大する外力を鋼構造物と補強壁体とに負担させることで、既設岸壁に発生する応力の増大を低減させることができ、既設岸壁の損傷を低減することができる。このため、第1発明〜第5発明、第8発明によれば、耐震性能を向上させることが可能となる。
また、第1発明〜第5発明、第8発明によれば、当初の水深より深い水深とすることにより増大する外力を、鋼構造物と補強壁体とに負担させることで、既設岸壁に発生する応力の増大を低減させることができ、既設岸壁の損傷を低減することができる。このため、第1発明〜第5発明、第8発明によれば、当初の水深より深い水深にする大水深化に対応させることが可能となる。
第2発明〜第5発明、第8発明によれば、補強壁体における複数の鋼矢板の全部の頭部を一体化させることで、補強壁体全体の剛性を向上させることでき、その結果、耐震性能をさらに向上させるものとしながら、より深い水深に対応させることが可能となる。
第3発明〜第5発明、第8発明によれば、補強壁体における複数の鋼矢板の全部の頭部を一体化させるコーピングが、鋼構造物の頭部、既設岸壁の頭部及び既設控え工の頭部を一体化させるものとなることで、補強壁体のみならず岸壁構造全体の剛性を向上させることができる。その結果、第3発明〜第5発明、第8発明によれば、耐震性能をさらに向上させるものとしながら、より深い水深に対応させることが可能となる。
第4発明、第8発明によれば、既設岸壁から海側に離間して設けられる鋼構造物と既設岸壁との間に埋戻地盤が設けられることにより、埋戻地盤を既設岸壁よりも海側に拡張させた新設の岸壁として機能させることができる。このため、第4発明、第8発明によれば、既設岸壁よりも海側に拡張させた埋戻地盤を、例えば、鋼構造物に着岸した船舶からの積み出し等のスペースとして利用したり、クレーン等を設置するスペースとして利用することができるため、新設の岸壁としての供用性を向上させることが可能となる。
第6発明〜第8発明によれば、地震に伴って増大する外力を、既設岸壁に連結部材を介して連結された鋼構造物に負担させることで、既設岸壁に作用する応力の増大を低減させることができ、既設岸壁の損傷を低減することができる。このため、第6発明〜第8発明によれば、耐震性能を向上させることが可能となる。
また、第6発明〜第8発明によれば、当初の水深より深い水深とすることにより増大する外力を、既設岸壁に連結部材を介して連結された鋼構造物に負担させることで、既設岸壁に発生する応力の増大を低減させることができ、既設岸壁の損傷を低減することができる。このため、第6発明〜第8発明によれば、当初の水深より深い水深にする大水深化に対応させることが可能となる。
第8発明によれば、鋼構造物の高さ方向の長さは、既設岸壁の高さ方向の長さよりも長いことにより、鋼構造物の海底地盤への根入れ長を十分確保できるため、耐震性能をさらに向上させるものとしながら、より深い水深に対応させることが可能となる。
本発明を適用した岸壁構造の第1実施形態を示す斜視図である。 本発明を適用した岸壁構造の第1実施形態を示す正面図である。 本発明を適用した岸壁構造の第1実施形態を示す平面図である。 本発明を適用した岸壁構造の第1実施形態を示す正面図であり、複数の鋼矢板の全部の頭部を溶接により一体化させた補強壁体を示す図である。 本発明を適用した岸壁構造の第1実施形態で既設控え工に近接させた補強壁体の鋼矢板を示す拡大平面図である。 本発明を適用した岸壁構造の第1実施形態を示す正面図であり、既設岸壁の上方側を通るように鋼構造物に連結された連結部材を示す図である。 本発明を適用した岸壁構造の第1実施形態で連結部材の一端を示す拡大平面図である。 本発明を適用した岸壁構造の第1実施形態で連結部材の他端を示す拡大平面図である。 (a)は、本発明を適用した岸壁構造の第1実施形態で既設控え工に接続された接続部材を示す拡大正面図であり、(b)は、そのコーピングに接続された接続部材を示す拡大正面図である。 本発明を適用した岸壁構造の第1実施形態を示す正面図であり、鋼構造物の頭部、補強壁体の頭部、既設岸壁の頭部及び既設控え工の頭部を一体化させるコ―ピングを示す図である。 本発明を適用した岸壁構造の第2実施形態を示す正面図である。 本発明を適用した岸壁構造の第2実施形態を示す平面図である。 本発明を適用した岸壁構造の第2実施形態で鋼管である鋼構造物を示す拡大平面図である。 本発明を適用した岸壁構造の第3実施形態を示す正面図である。 本発明を適用した岸壁構造の第3実施形態を示す平面図である。 本発明を適用した岸壁構造の第3実施形態で鋼矢板壁である鋼構造物と既設岸壁とを連結する連結部材を示す拡大平面図である。 本発明を適用した岸壁構造の第4実施形態を示す正面図である。 本発明を適用した岸壁構造の第4実施形態を示す平面図である。 本発明を適用した岸壁構造の第4実施形態で鋼管である鋼構造物と既設岸壁を連結する連結部材を示す拡大平面図である。
以下、本発明を適用した岸壁構造1を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用した岸壁構造1は、図1に示すように、港湾等の沿岸に設けられた既設の岸壁を補強の対象として、既設岸壁7を補強するために設けられる。本発明を適用した岸壁構造1は、例えば、南海トラフ地震等の巨大地震の備えとして設けられるものである。本発明を適用した岸壁構造1は、例えば、既設の岸壁の水深をより深い水深にする大水深化に対応させるものとして設けられるものである。
既設岸壁7は、例えば、複数のハット形鋼矢板等の既設鋼矢板70が用いられるものであり、複数の既設鋼矢板70が壁幅方向Xで互いに連結された状態となる。
既設岸壁7は、各々の既設鋼矢板70が略鉛直方向に延びて直立させて設けられたものであるが、これに限らず、各々の既設鋼矢板70が鉛直方向から傾斜させて設けられてもよい。
既設岸壁7は、図2に示すように、複数の既設鋼矢板70のみで自立式の既設岸壁7として設けられるほか、控え直杭式、又は、控え矢板式等の既設岸壁7として設けられていてもよい。このとき、既設岸壁7は、複数の既設鋼矢板70から陸側Bに離間して背面地盤82に設けられた既設の直杭又は矢板等の既設控え工75に、タイロッド等の接続部材6で接続される。
既設岸壁7は、前面側となる海側Aに埋戻地盤83が設けられ、背面側となる陸側Bに背面地盤82が設けられている。既設岸壁7は、海側Aに向かうにつれて下方に傾斜された当初の海底地盤80に各々の既設鋼矢板70が根入して打設されており、この海底地盤80の上側には土砂等が埋め戻されて構築された埋戻地盤83が設けられている。なお、海底地盤80は、海側Aに向かうにつれて下方に傾斜されたものに限らず、略水平に延びるものであってもよい。既設岸壁7は、既設鋼矢板70の頭部70aに孔71が設けられる。
本発明を適用した岸壁構造1は、第1実施形態において、既設岸壁7の近傍に設けられる鋼構造物2と、既設岸壁7よりも陸側Bに設けられるとともに既設岸壁7に交差する交差方向Yに延びる補強壁体3と、鋼構造物2の頭部2aと補強壁体3の頭部3aとを連結する連結部材4とを備える。
鋼構造物2は、既設岸壁7の壁幅方向Xに延びて設けられ、既設岸壁7から海側Aに離間して設けられる。
鋼構造物2は、複数の鋼矢板20が壁幅方向Xで互いに連結されて設けられる鋼矢板壁である。鋼構造物2は、互いに連結される各々の鋼矢板20として、ハット形鋼矢板が用いられるものであるが、これに限らず、U形鋼矢板、Z形鋼矢板、直線形鋼矢板、鋼管矢板等が用いられてもよい。
鋼構造物2は、既設岸壁7よりも高い剛性を有するものとなる。鋼構造物2は、互いに連結される各々の鋼矢板20が、互いに連結される各々の既設鋼矢板70よりも剛性が高いものが用いられることで、既設岸壁7よりも高い剛性を有するものとなってもよい。
鋼構造物2は、各々の鋼矢板20の高さ方向Zの長さH2が、各々の既設鋼矢板70の高さ方向Zの長さH7よりも長いものが用いられる。このため、鋼構造物2の高さ方向Zの長さは、既設岸壁7の高さ方向Zの長さよりも長いものとなる。なお、鋼構造物2は、各々の鋼矢板20の高さ方向Zの長さH2が、各々の既設鋼矢板70の高さ方向Zの長さH7と略等しくてもよい。
鋼構造物2は、海側Aに向かうにつれて下方に傾斜された海底地盤81に各々の鋼矢板20が根入して打設されており、複数の鋼矢板20である鋼構造物2と既設岸壁7との間には埋戻地盤83が設けられる。なお、海底地盤81は、海側Aに向かうにつれて下方に傾斜されたものに限らず、略水平に延びるものであってもよい。海底地盤81は、海底地盤80よりも下方側に配置される。
鋼構造物2は、各々の鋼矢板20の下端20bが各々の既設鋼矢板70の下端70bよりも下方に配置されるものとなる。海水面から当初の海底地盤80までの水深を当初の水深D7とし、海水面から海底地盤81までの水深を水深D2としたとき、水深D2は、水深D7よりも深くなる。なお、海底地盤81を掘削して水深D2をさらに深くすることもできる。
鋼構造物2は、既設鋼矢板70の海側Aの鋼矢板20が、既設鋼矢板70から離間するものの、既設鋼矢板70から地盤を介在させて近傍の鋼矢板20に外力の伝達がなされるものとして、既設岸壁7から海側Aに離間して設けられる。
鋼構造物2は、図3に示すように、例えば、既設岸壁7の壁幅方向Xと略平行する方向に延びて設けられる。また、鋼構造物2は、これに限らず、既設岸壁7の壁幅方向Xと平行する方向から多少傾斜して延びるものであっても、既設岸壁7の壁幅方向Xに延びて設けられるものとなる。鋼構造物2は、複数の鋼矢板20の各々に形成された継手部を互いに嵌合させることで、複数の鋼矢板20が互いに連結される。
補強壁体3は、図2に示すように、既設岸壁7よりも陸側Bに設けられ、既設岸壁7に直交する交差方向Yに延びて設けられる。補強壁体3は、複数の鋼矢板30が交差方向Yで互いに連結されて設けられる鋼矢板壁である。補強壁体3は、互いに連結される各々の鋼矢板30として、ハット形鋼矢板が用いられるものであるが、これに限らず、U形鋼矢板、Z形鋼矢板、直線形鋼矢板、鋼管矢板等が用いられてもよい。
補強壁体3は、各々の鋼矢板30が高さ方向Zに所定の長さH3で延びることで、各々の鋼矢板30の高さ方向Zの長さH3の深さまで、背面地盤82に打設されるものとなる。また、補強壁体3は、複数の鋼矢板30が交差方向Yに連続して背面地盤82に打設されることで、既設岸壁7との交差方向Yに所定の延設長Lで延びるものとなる。
補強壁体3は、既設岸壁7から陸側Bに離間して既設控え工75が設けられている場合に、例えば、鋼矢板30の長さH3が既設控え工75より長くなる。なお、補強壁体3は、既設岸壁7から所定の離間距離で離間させるほか、既設岸壁7から離間させずに設けられてもよい。
補強壁体3は、既設岸壁7よりも陸側Bの背面地盤82に既設岸壁7との交差方向Yに複数の鋼矢板30が連続して打設されて、複数の鋼矢板30が交差方向Yで連結される。補強壁体3は、複数の鋼矢板30の各々の頭部30aが、上部コンクリート等の高剛性体で連結されることで、複数の鋼矢板30の頭部30aを一体化させて設けられる。
補強壁体3は、特に、複数の鋼矢板30の各々の頭部30aが、交差方向Yに連続して設けられる上部コンクリートに埋め込まれることで、複数の鋼矢板30の全部の頭部30aを交差方向Yに一体化させたコーピング31が設けられるものとなる。また、補強壁体3は、複数の鋼矢板30の一部の頭部30aを交差方向Yに一体化させたコーピング31が設けられてもよい。
補強壁体3は、図4に示すように、複数の鋼矢板30の各々の頭部30aが、溶接で連結されることで、複数の鋼矢板30の全部の頭部30aを一体化させてもよい。また、補強壁体3は、複数の鋼矢板30の各々の頭部30aが、溶接で連結されることで、複数の鋼矢板30の一部の頭部30aを一体化させてもよい。
補強壁体3は、図3に示すように、既設岸壁7との交差方向Yで、例えば、既設岸壁7の壁幅方向Xと略直交する方向に延びて設けられる。また、補強壁体3は、これに限らず、既設岸壁7の壁幅方向Xと直交する方向から多少傾斜して延びるものであっても、既設岸壁7と交差する交差方向Yに延びて設けられるものとなる。
補強壁体3は、図5に示すように、複数の鋼矢板30の各々に形成された継手部30bを互いに嵌合させることで、複数の鋼矢板30が互いに連結される。補強壁体3は、既設控え工75が設けられている場合に、既設控え工75に最も接近させた既設控え工75の近傍の鋼矢板30が、既設控え工75に近接させて設けられる。
補強壁体3は、図5(a)に示すように、既設控え工75の近傍の鋼矢板30が、既設控え工75から離間するものの、既設控え工75から地盤を介在させて近傍の鋼矢板30に外力の伝達がなされるものとして、既設控え工75に近接させて設けられる。
また、補強壁体3は、図5(b)に示すように、既設控え工75の近傍の鋼矢板30が、既設控え工75に当接されることで、既設控え工75に近接させて設けられてもよい。このとき、補強壁体3は、既設控え工75の近傍の鋼矢板30が、特に、長さH3の全部を既設控え工75に当接させてもよく、また、長さH3の一部となる鋼矢板30の頭部30aのみを既設控え工75に当接させてもよい。
また、補強壁体3は、図5(c)に示すように、既設控え工75の近傍の鋼矢板30に形成された継手部30bが、既設控え工75に取り付けられた繋ぎ部材76に嵌合されることで、既設控え工75に近接させて設けられてもよい。このとき、補強壁体3は、例えば、既設控え工75の頭部75aのみに繋ぎ部材76が取り付けられて、鋼矢板30の頭部30a側のみで継手部30bを繋ぎ部材76に嵌合させてもよい。
また、補強壁体3は、既設控え工75が設けられている場合に、既設控え工75に近接させて設けられるほか、既設控え工75から海側Aに離間させて設けられてもよい。
連結部材4は、図2に示すように、鉄筋、棒鋼等の引張材として機能するタイロッドが用いられるものであるが、これに限らず、H形鋼等の形鋼、鋼管、平鋼等が用いられてもよい。連結部材4は、鋼構造物2の頭部2aとなる鋼矢板20の頭部20aと、補強壁体3の頭部3aとなる鋼矢板30の頭部30aと、を連結するものとして、既設岸壁7から交差方向Yで略直線状に延びるものとなる。
連結部材4は、既設鋼矢板70の孔71に挿通されて、鋼構造物2の頭部2aに連結される。なお、連結部材4は、図6に示すように、既設鋼矢板70の上方側を通るように、鋼構造物2の頭部2aに連結されてもよい。
連結部材4は、図7に示すように、鋼構造物2の頭部2aとなる鋼矢板20の頭部20aに、交差方向Yの一端4aが連結される。連結部材4は、図7(a)に示すように、鋼構造物2の頭部2aとなる鋼矢板20の頭部20aに、交差方向Yの一端4aがナット等の固定部材40で連結される。
連結部材4は、これに限らず、図7(b)に示すように、鋼構造物2の頭部2aとなる鋼矢板20の頭部20aに取り付けられた繋ぎ部材22に嵌合されることで、交差方向Yの一端4aが連結されてもよい。連結部材4は、図7(c)に示すように、鋼構造物2の頭部2aとなる鋼矢板20の頭部20aに、交差方向Yの一端4aが溶接で連結されてもよい。
連結部材4は、図8に示すように、補強壁体3の頭部3aとなる鋼矢板30の頭部30aに、交差方向Yの他端4bが連結される。連結部材4は、図8(a)に示すように、交差方向Yの他端4bが直接補強壁体3に接触しないものの、補強壁体3の頭部3aとなる鋼矢板30の頭部30aを一体化させたコーピング31に交差方向Yの他端4bが埋め込まれることで、補強壁体3の頭部3aに連結される。
連結部材4は、これに限らず、図8(b)に示すように、補強壁体3のうち最も海側Aに配置される鋼矢板30の継手部30bに嵌合されることで、交差方向Yの他端4bが連結されてもよい。連結部材4は、図8(c)に示すように、補強壁体3のうち最も海側Aに配置される鋼矢板30の頭部30aに溶接されることで、交差方向Yの他端4bが連結されてもよい。このように、連結部材4は、交差方向Yの他端4bが鋼矢板30に嵌合又は溶接される場合においては、交差方向Yの他端3bがコーピング31に埋め込まれてもよいし、コーピング31に埋め込まれなくてもよい。
接続部材6は、図2に示すように、鉄筋、棒鋼等の引張材として機能するタイロッドが用いられるものであるが、これに限らず、H形鋼等の形鋼、鋼管、平鋼等が用いられてもよい。接続部材6は、既設岸壁7の頭部7aとなる既設鋼矢板70の頭部70aに連結されて、既設岸壁7から交差方向Yで略直線状に延びるものとなる。
接続部材6は、図9に示すように、既設岸壁7の頭部7aとなる既設鋼矢板70の頭部70aに、交差方向Yの一端6aがナット等の固定部材60で接続される。さらに、接続部材6は、図9(a)に示すように、既設控え工75が設けられている場合に、既設控え工75の頭部75aに、交差方向Yの他端6bが固定部材60で接続される。
接続部材6は、これに限らず、図9(b)に示すように、補強壁体3となる鋼矢板30の頭部30aを一体化させたコーピング31に、交差方向Yの他端6bが埋め込まれて接続されてもよい。このとき、接続部材6は、特に、既設控え工75が設けられていない場合であっても、交差方向Yの他端6bがコーピング31に接続されて引張材として機能する。
接続部材6は、既設控え工75に他端6bが接続される場合に、特に、既設岸壁7及び既設控え工75とともに背面地盤82に埋め込まれている既設のタイロッドが用いられる。また、接続部材6は、コーピング31に他端6bが接続される場合に、特に、新設のタイロッドが用いられる。なお、接続部材6は、既設控え工75に他端6bが接続される場合であっても、新設のタイロッドを用いることができる。
次に、本発明を適用した岸壁構造1の作用効果について説明する。
本発明を適用した岸壁構造1は、第1実施形態において、既設岸壁7の近傍に設けられるとともに既設岸壁7よりも高い剛性を有する鋼構造物2と、既設岸壁7よりも陸側Bに設けられるとともに既設岸壁7に交差する交差方向Yに延びる鋼矢板壁である補強壁体3と、鋼構造物2の頭部2aと補強壁体3の頭部3aとを連結する連結部材4とを備える。
既設岸壁7には、巨大地震等の発生により背面地盤82が液状化した場合に、既設岸壁7との交差方向Yで陸側Bから海側Aに向けて作用する背面地盤82の土圧等の外力が増大する。このため、既設岸壁7に発生する応力も増大して既設岸壁7が損傷してしまうことから、既設岸壁7だけでは耐震性能を向上させることができない。また、仮に鋼構造物2を設けることなく当初の水深D7よりも深い水深D2とする大水深化をしたならば、水深を深くした分だけ既設岸壁7の根入れ長が短くなり、陸側Bから海側Aに向けて既設岸壁7に作用する背面地盤82の土圧等の外力も増大する。このため、既設岸壁7に発生する応力も増大して既設岸壁7が損傷しまうことから、既設岸壁7だけでは大水深化に対応できない。
本発明を適用した岸壁構造1は、第1実施形態において、仮に巨大地震等の発生により既設岸壁7に作用する外力が増大した場合であっても、既設岸壁7よりも高い剛性を有する鋼構造物2が既設岸壁7の近傍に設けられることにより、増大した外力を地盤を介して複数の鋼矢板20である鋼構造物2に負担させるものとなる。そして、本発明を適用した岸壁構造1は、外力を負担する鋼矢板20の頭部20aが海側Aに向けて変形又は回転移動しようとするものの、鋼矢板20の頭部20aと補強壁体3の頭部3aとが連結部材4により連結されるため、鋼矢板20の頭部20aが海側Aに向けて変形又は回転移動を抑制するように補強壁体3に支持されて、増大した外力を補強壁体3にも負担させるものとなる。このため、本発明を適用した岸壁構造1は、地震に伴って増大する外力を鋼構造物2となる複数の鋼矢板20と補強壁体3とに負担させることで、既設岸壁7に発生する応力の増大を低減させることができ、既設岸壁7の損傷を低減することができる。このため、本発明を適用した岸壁構造1は、耐震性能を向上させることが可能となる。
さらに、本発明を適用した岸壁構造1は、当初の水深D7より深い水深D2とすることにより既設岸壁7に作用する外力が増大した場合であっても、既設岸壁7よりも高い剛性を有する鋼構造物2が既設岸壁7の近傍に設けられることにより、増大した外力を地盤を介して複数の鋼矢板20である鋼構造物2に負担させるものとなる。そして、本発明を適用した岸壁構造1は、外力を負担する鋼矢板20の頭部20aが海側Aに向けて変形又は回転移動しようとするものの、鋼矢板20の頭部20aと補強壁体3の頭部3aとが連結部材4により連結されるため、鋼矢板20の頭部20aが海側Aに向けて変形又は回転移動を抑制するように補強壁体3に支持されて、増大した外力を補強壁体3にも負担させるものとなる。このため、本発明を適用した岸壁構造1は、当初の水深D7より深い水深D2とすることにより増大する外力を、鋼構造物2となる複数の鋼矢板20と補強壁体3とに負担させることで、既設岸壁7に発生する応力の増大を低減させることができ、既設岸壁7の損傷を低減することができる。このため、本発明を適用した岸壁構造1は、当初の水深D7より深い水深D2にする大水深化に対応させることが可能となる。
また、本発明を適用した岸壁構造1は、地震により増大する外力及び大水深化により増大する外力が陸側Bから海側Aに向けて既設岸壁7に作用して既設岸壁7が損傷したとしても、既設岸壁7よりも高い剛性を有する鋼構造物2と、鋼構造物2に連結される補強壁体3と、にこれら外力を負担させることができるため、岸壁構造1全体としての健全性を保つことができる。その結果、本発明を適用した岸壁構造1は、耐震性能を向上させるものとしながら、より深い水深に対応させることが可能となる。
換言すれば、本発明を適用した岸壁構造1は、既設の岸壁よりも高い剛性を有する鋼構造物2を新設の岸壁として機能させ、補強壁体3をこの新設の岸壁を支持する新設の控え工として機能させることで、耐震性能を向上させながら、大水深化に対応させることが可能となる。
本発明を適用した岸壁構造1は、鋼構造物2の高さ方向Zの長さは、既設岸壁7の高さ方向Zの長さよりも長いことにより、鋼構造物2の海底地盤81への根入れ長を十分確保できるため、耐震性能をさらに向上させるものとしながら、より深い水深に対応させることが可能となる。
本発明を適用した岸壁構造1は、補強壁体3における複数の鋼矢板30の全部の頭部30aを一体化させることで、補強壁体3全体の剛性を向上させることでき、その結果、耐震性能をさらに向上させるものとしながら、より深い水深に対応させることが可能となる。
本発明を適用した岸壁構造1は、既設岸壁7から海側Aに離間して設けられる鋼構造物2と既設岸壁7の間に埋戻地盤83が設けられることにより、既設岸壁7が交差方向Yで背面地盤82と埋戻地盤83とに挟まれるものとなる。このため、本発明を適用した岸壁構造1は、交差方向Yで海側Aから陸側Bに向けて埋戻地盤83の土圧等の外力も既設岸壁7に作用するものとなり、陸側Bから海側Aに向けて既設岸壁7に作用する背面地盤82の土圧等の外力を相対的に減少させることができる。本発明を適用した岸壁構造1は、既設岸壁7が交差方向Yで背面地盤82と埋戻地盤83とに挟まれるものとなることで、陸側Bから海側Aに向けて既設岸壁7に作用する地震により増大する外力及び大水深化により増大する外力を相対的に減少させることができ、既設岸壁7に発生する応力を低減させることができる。その結果、本発明を適用した岸壁構造1は、耐震性能をさらに向上させるものとしながら、より深い水深に対応させることが可能となる。
さらに、本発明を適用した岸壁構造1は、既設岸壁7から海側Aに離間して設けられる鋼構造物2と既設岸壁7との間に埋戻地盤83が設けられることにより、埋戻地盤83を既設岸壁7よりも海側Aに拡張させた新設の岸壁として機能させることができる。このため、本発明を適用した岸壁構造1は、既設岸壁7よりも海側Aに拡張させた埋戻地盤83を、例えば、鋼構造物2に着岸した船舶からの積み出し等のスペースとして利用したり、クレーン等を設置するスペース等として利用することができるため、新設の岸壁としての供用性を向上させることが可能となる。
また、本発明を適用した岸壁構造1は、陸側Bから海側Aに向けて増大した外力が既設岸壁7に作用したとき、既設岸壁7に接続部材6を介して接続された既設控え工75が、海側Aに向かい曲げ変形又は回転移動しようとする。このとき、本発明を適用した岸壁構造1は、既設岸壁7との交差方向Yに延びる補強壁体3が設けられて、既設控え工75の近傍に配置された補強壁体3の鋼矢板30が、既設控え工75に離間又は当接等させた状態で近接させて設けられる。このため、本発明を適用した岸壁構造1は、既設控え工75から近傍の鋼矢板30に対しても外力を伝達させることができる。その結果、本発明を適用した岸壁構造1は、補強壁体3が既設控え工75の変形又は回転移動を防止することが可能となる。
なお、本発明を適用した岸壁構造1は、上述した形態において、コーピング31が補強壁体3における複数の鋼矢板30の全部の頭部30aを一体化させる形態について説明したが、図10に示すように、補強壁体3における複数の鋼矢板30の全部の頭部30aを一体化させるコーピング31が、鋼構造物2の頭部2a、既設岸壁7の頭部7a及び既設控え工75の頭部75aを一体化させるものであってもよい。
このとき、本発明を適用した岸壁構造1は、補強壁体3における複数の鋼矢板30の全部の頭部30aを一体化させるコーピング31が、鋼構造物2の頭部2a、既設岸壁7の頭部7a及び既設控え工75の頭部75aを一体化させるものとなることで、巨大地震等の発生により増大する外力及び大水深化により増大する外力を地盤とコーピング31とを介して鋼構造物2及び補強壁体3に負担させるものとなる。本発明を適用した岸壁構造1は、コーピング31を介して鋼構造物2及び補強壁体3に負担させることで、既設岸壁7に作用する増大する外力をよりスムーズに鋼構造物2及び補強壁体3に伝達させることができるため、既設岸壁7に発生する応力を低減させることができる。その結果、本発明を適用した岸壁構造1は、耐震性能をさらに向上させるものとしながら、より深い水深に対応させることが可能となる。
さらに、本発明を適用した岸壁構造1は、補強壁体3における複数の鋼矢板30の全部の頭部30aを一体化させるコーピング31が、鋼構造物2の頭部2a、既設岸壁7の頭部7a及び既設控え工75の頭部75aを一体化させるものとなることで、補強壁体3のみならず岸壁構造1全体の剛性を向上させることができる。その結果、本発明を適用した岸壁構造1は、耐震性能をさらに向上させるものとしながら、より深い水深に対応させることが可能となる。
なお、本発明を適用した岸壁構造1は、補強壁体3における複数の鋼矢板30の全部の頭部30aを一体化させるコーピング31が、鋼構造物2の頭部2a、既設岸壁7の頭部7a及び既設控え工75の頭部75aを一体化させ、さらに連結部材4及び接続部材6を一体化させるものであってもよい。
次に、本発明を適用した岸壁構造1の第2実施形態について説明する。上述した実施形態に係る岸壁構造1と同一構成、部材は同一の符号を付すことにより、以下での説明は省略する。
本発明を適用した岸壁構造1は、第2実施形態において、図11〜図13に示すように、鋼構造物2として複数の鋼管28が用いられ、既設岸壁7の壁幅方向Xに所定の間隔を空けて複数の補強壁体3が設けられる。鋼構造物2は、互いに離間される各々の鋼管28として、断面円形状の鋼管が用いられるものであるが、これに限らず、如何なる断面形状の鋼管が用いられてもよい。
鋼構造物2は、図12に示すように、複数の鋼管28が既設岸壁7の壁幅方向Xに所定の間隔を空けて設けられ、既設岸壁7から海側Aに離間して設けられる。鋼構造物2は、各々の鋼管28が連結部材4を介して既設岸壁7の壁幅方向Xに所定の間隔を空けて設けられる各々の補強壁体3に連結される。
鋼構造物2は、各々の鋼管28が、各々の既設鋼矢板70よりも剛性が高いものが用いられることで、既設岸壁7よりも高い剛性を有するものとなる。
鋼構造物2は、図11に示すように、各々の鋼管28の高さ方向Zの長さH2´が、各々の既設鋼矢板70の高さ方向Zの長さH7よりも長いものが用いられる。このため、鋼構造物2の高さ方向Zの長さは、既設岸壁7の高さ方向Zの長さよりも長いものとなる。なお、鋼構造物2は、各々の鋼管28の高さ方向Zの長さH2´が、各々の既設鋼矢板70の高さ方向Zの長さH7と略等しくてもよい。
鋼構造物2は、海底地盤81に各々の鋼管28が根入して打設されており、各々の鋼管28の下端28bが各々の既設鋼矢板70の下端70bよりも下方に配置されるものとなる。海底地盤81は、必要に応じて、海底地盤80を掘削することで、当初の水深D7より深い水深D2としてもよい。
鋼構造物2は、既設鋼矢板70の海側Aの鋼管28が、既設鋼矢板70から離間するものの、既設鋼矢板70から地盤を介在させて近傍の鋼管28に外力の伝達がなされるものとして、既設岸壁7から海側Aに離間して設けられる。
鋼構造物2は、図13に示すように、ハット形鋼矢板としての既設鋼矢板70の陸側Bに向けて窪ませた空間に鋼管28が設けられるように、既設岸壁7から海側Aに離間して設けられる。
連結部材4は、図13(a)に示すように、鋼構造物2の頭部2aとなる鋼管28の頭部28aに取り付けられた繋ぎ部材29に嵌合されることで、交差方向Yの一端4aが連結されてもよい。連結部材4は、図13(b)に示すように、鋼構造物2の頭部2aとなる鋼管28の頭部28aに、交差方向Yの一端4aが溶接で連結されてもよい。
本発明を適用した岸壁構造1は、第2実施形態において、仮に巨大地震等の発生により既設岸壁7に作用する外力が増大した場合であっても、既設岸壁7よりも高い剛性を有する鋼構造物2が既設岸壁7の近傍に設けられることにより、増大した外力を地盤を介して複数の鋼管28である鋼構造物2に負担させるものとなる。そして、本発明を適用した岸壁構造1は、外力を負担する各々の鋼管28の頭部28aが海側Aに向けて変形又は回転移動しようとするものの、各々の鋼管28の頭部28aと各々の補強壁体3の頭部3aとが連結部材4により連結されるため、各々の鋼管28の頭部28aが海側Aに向けて変形又は回転移動を抑制するように各々の補強壁体3に支持されて、増大した外力を複数の補強壁体3にも負担させるものとなる。このため、本発明を適用した岸壁構造1は、地震に伴って増大する外力を、鋼構造物2となる複数の鋼管28と複数の補強壁体3とに負担させることで、既設岸壁7に発生する応力の増大を低減させることができ、既設岸壁7の損傷を低減することができる。このため、本発明を適用した岸壁構造1は、耐震性能を向上させることが可能となる。
また、本発明を適用した岸壁構造1は、当初の水深D7より深い水深D2とすることにより既設岸壁7に作用する外力が増大した場合であっても、既設岸壁7よりも高い剛性を有する鋼構造物2が既設岸壁7の近傍に設けられることにより、増大した外力を地盤を介して複数の鋼管28である鋼構造物2に負担させるものとなる。そして、本発明を適用した岸壁構造1は、外力を負担する各々の鋼管28の頭部28aが海側Aに向けて変形又は回転移動しようとするものの、各々の鋼管28の頭部28aと各々の補強壁体3の頭部3aとが連結部材4により連結されるため、各々の鋼管28の頭部28aが海側Aに向けて変形又は回転移動を抑制するように各々の補強壁体3に支持されて、増大した外力を複数の補強壁体3にも負担させるものとなる。このため、本発明を適用した岸壁構造1は、水深D7より深い水深D2とすることにより増大する外力を、鋼構造物2となる複数の鋼管28と複数の補強壁体3とに負担させることで、既設岸壁7に発生する応力の増大を低減させることができ、既設岸壁7の損傷を低減することができる。このため、本発明を適用した岸壁構造1は、当初の水深D7より深い水深D2にする大水深化に対応させることが可能となる。
なお、図示は省略するが、本発明を適用した岸壁構造1は、第2実施形態においても、補強壁体3における複数の鋼矢板30の全部の頭部30aを一体化させるコーピング31が、鋼構造物2の頭部2a、既設岸壁7の頭部7a及び既設控え工75の頭部75aを一体化させるものであってもよい。
次に、本発明を適用した岸壁構造1の第3実施形態について説明する。上述した形態に係る岸壁構造1と同一構成、部材は同一の符号を付すことにより、以下での説明は省略する。
本発明を適用した岸壁構造1は、第3実施形態において、図14〜図16に示すように、既設岸壁7の近傍に設けられる鋼構造物2と、鋼構造物2と既設岸壁7とを連結する連結部材4とを備える。
本発明を適用した岸壁構造1は、第3実施形態において、鋼構造物2として複数の鋼矢板20が用いられる。
鋼構造物2は、図15に示すように、既設岸壁7の壁幅方向Xに延びて設けられ、既設岸壁7から海側Aに離間して設けられる。鋼構造物2は、既設鋼矢板70の海側Aの鋼矢板20が、既設鋼矢板70から離間するものの、既設鋼矢板70から地盤を介在させて近傍の鋼矢板20に外力の伝達がなされるものとして、既設岸壁7から海側Aに離間して設けられる。
連結部材4は、鋼構造物2となる複数の鋼矢板20と既設岸壁7とを連結するものとして、交差方向Yで略直線状に延びるものとなる。図14に示す形態において、連結部材4は、鋼構造物2の頭部2aと、鋼構造物2の中間部2cとの2箇所に設けられるが、鋼構造物2と既設岸壁7とを連結するものであれば、これに限らず、鋼構造物2の如何なる場所に設けられてもよく、また、鋼構造物2に対して如何なる数量で設けられてもよい。また、連結部材4は、水平方向に対して傾斜して延びるものであってもよい。
連結部材4は、図16(a)に示すように、鋼構造物2となる鋼矢板20に、交差方向Yの一端4aがナット等の固定部材40で連結される。
連結部材4は、これに限らず、図16(b)に示すように、鋼構造物2となる鋼矢板20に取り付けられた繋ぎ部材22に嵌合されることで、交差方向Yの一端4aが連結されてもよい。連結部材4は、図16(c)に示すように、鋼構造物2となる鋼矢板20に、交差方向Yの一端4aが溶接で連結されてもよい。
連結部材4は、図16(a)に示すように、既設岸壁7となる既設鋼矢板70に、交差方向Yの他端4bがナット等の固定部材40で連結される。
連結部材4は、これに限らず、図16(b)に示すように、既設岸壁7となる既設鋼矢板70に取り付けられた繋ぎ部材72に嵌合されることで、交差方向Yの他端4bが連結されてもよい。連結部材4は、図16(c)に示すように、既設岸壁7となる既設鋼矢板70に、交差方向Yの他端4bが溶接で連結されてもよい。
本発明を適用した岸壁構造1は、第3実施形態において、仮に巨大地震等の発生により既設岸壁7に作用する外力が増大した場合であっても、既設岸壁7に連結部材4を介して連結される鋼構造物2が既設岸壁7の近傍に設けられることにより、増大した外力を地盤と連結部材4とを介して複数の鋼矢板20である鋼構造物2に負担させるものとなる。このため、本発明を適用した岸壁構造1は、地震に伴って増大する外力を、複数の鋼矢板20に負担させることで、既設岸壁7に発生する応力の増大を低減させることができ、既設岸壁7の損傷を低減することができる。このため、本発明を適用した岸壁構造1は、耐震性能を向上させることが可能となる。
また、本発明を適用した岸壁構造1は、当初の水深D7より深い水深D2とすることにより既設岸壁7に作用する外力が増大した場合であっても、既設岸壁7に連結部材4を介して連結される鋼構造物2が既設岸壁7の近傍に設けられることにより、増大した外力を地盤と連結部材4とを介して複数の鋼矢板20である鋼構造物2に負担させるものとなる。このため、本発明を適用した岸壁構造1は、水深D7より深い水深D2とすることにより増大する外力を、複数の鋼矢板20に負担させることで、既設岸壁7に発生する応力の増大を低減させることができ、既設岸壁7の損傷を低減することができる。このため、本発明を適用した岸壁構造1は、当初の水深D7より深い水深D2にする大水深化に対応させることが可能となる。
次に、本発明を適用した岸壁構造1の第4実施形態について説明する。上述した実施形態に係る岸壁構造1と同一構成、部材は同一の符号を付すことにより、以下での説明は省略する。
本発明を適用した岸壁構造1は、第4実施形態において、図17〜図19に示すように、既設岸壁7の近傍に設けられる鋼構造物2と、鋼構造物2と既設岸壁7とを連結する連結部材4とを備える。
本発明を適用した岸壁構造1は、鋼構造物2として複数の鋼管28が用いられる。
鋼構造物2は、図18に示すように、複数の鋼管28が既設岸壁7の壁幅方向Xに所定の間隔を空けて設けられ、既設岸壁7から海側Aに離間して設けられる。鋼構造物2は、既設鋼矢板70の海側Aの鋼管28が、既設鋼矢板70から離間するものの、既設鋼矢板70から地盤を介在させて近傍の鋼管28に外力の伝達がなされるものとして、既設岸壁7から海側Aに離間して設けられる。
連結部材4は、鋼構造物2となる鋼管28と既設岸壁7とを連結するものとなる。図17に示す形態において、連結部材4は、鋼構造物2の頭部2aと、鋼構造物2の中間部2cとの2箇所に設けられるが、鋼構造物2と既設岸壁7とを連結するものあれば、これに限らず、鋼構造物2の如何なる場所に設けられてもよく、また、鋼構造物2に対して如何なる数量で設けられてもよい。海底地盤81は、必要に応じて、海底地盤80を掘削することで、当初の水深D7より深い水深D2としてもよい。
連結部材4は、図19(a)に示すように、既設岸壁7となる既設鋼矢板70に溶接等で取り付けられ、鋼構造物2となる鋼管28に取り付けられた繋ぎ部材29に嵌合されて連結される。
連結部材4は、これに限らず、図19(b)に示すように、交差方向Yで略直線状に延びるものが用いられ、鋼構造物2となる鋼管28に交差方向Yの一端4aが溶接で連結され、既設岸壁7となる既設鋼矢板70に交差方向Yの他端4bが溶接で連結されてもよい。なお、連結部材4は、水平方向に対して傾斜して延びるものであってもよい。
本発明を適用した岸壁構造1は、第4実施形態において、仮に巨大地震等の発生により既設岸壁7に作用する外力が増大した場合であっても、既設岸壁7に連結部材4を介して連結される鋼構造物2が既設岸壁7の近傍に設けられることにより、増大した外力を地盤と連結部材4とを介して複数の鋼管28である鋼構造物2に負担させるものとなる。このため、本発明を適用した岸壁構造1は、地震に伴って増大する外力を、複数の鋼管28に負担させることで、既設岸壁7に発生する応力の増大を低減させることができ、既設岸壁7の損傷を低減することができる。このため、本発明を適用した岸壁構造1は、耐震性能を向上させることが可能となる。
また、本発明を適用した岸壁構造1は、当初の水深D7より深い水深D2とすることにより既設岸壁7に作用する外力が増大した場合であっても、既設岸壁7に連結部材4を介して連結される鋼構造物2が既設岸壁7の近傍に設けられることにより、増大した外力を地盤と連結部材4とを介して複数の鋼管28である鋼構造物2に負担させるものとなる。このため、本発明を適用した岸壁構造1は、水深D7より深い水深D2とすることにより増大する外力を、複数の鋼管28に負担させることで、既設岸壁7に発生する応力の増大を低減させることができ、既設岸壁7の損傷を低減することができる。このため、本発明を適用した岸壁構造1は、当初の水深D7より深い水深D2にする大水深化に対応させることが可能となる。
なお、本発明を適用した岸壁構造1は、第1実施形態〜第4実施形態において、鋼構造物2が既設岸壁7よりも海側Aに離間して設けられる形態について説明したが、本発明に係る岸壁構造は、鋼構造物2が既設岸壁7よりも陸側Bに離間して設けられてもよい。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。
1 :岸壁構造
2 :鋼構造物
2a :頭部
2c :中間部
20 :鋼矢板
20a :頭部
20b :下端
22 :繋ぎ部材
28 :鋼管
28a :頭部
28b :下端
29 :繋ぎ部材
3 :補強壁体
3a :頭部
30 :鋼矢板
30a :頭部
30b :継手部
31 :コーピング
4 :連結部材
4a :一端
4b :他端
40 :固定部材
6 :接続部材
6a :一端
6b :他端
60 :固定部材
7 :既設岸壁
7a :頭部
70 :既設鋼矢板
70a :頭部
70b :下端
71 :孔
72 :繋ぎ部材
75 :既設控え工
75a :頭部
76 :繋ぎ部材
80 :海底地盤
81 :海底地盤
82 :背面地盤
83 :埋戻地盤
A :海側
B :陸側
D2 :水深
D7 :水深
X :壁幅方向
Y :交差方向
Z :高さ方向

Claims (8)

  1. 岸壁を補強するために設けられる岸壁構造であって、
    既設岸壁の近傍に設けられるとともに既設岸壁よりも高い剛性を有する鋼構造物と、
    既設岸壁よりも陸側に設けられるとともに既設岸壁に交差する交差方向に延びる鋼矢板壁である補強壁体と、
    前記鋼構造物の頭部と前記補強壁体の頭部とを連結する連結部材とを備え、
    前記鋼構造物は、鋼管、又は、既設岸壁の壁幅方向に延びる鋼矢板壁であること
    を特徴とする岸壁構造。
  2. 前記補強壁体は、複数の鋼矢板の全部の頭部を一体化させて設けられること
    を特徴とする請求項1記載の岸壁構造。
  3. 前記補強壁体は、複数の鋼矢板の全部の頭部を一体化させるコーピングが設けられ、
    前記コーピングは、既設岸壁の頭部、既設岸壁から離間して設けられた既設控え工の頭部及び前記鋼構造物の頭部を一体化させるものとなること
    を特徴とする請求項1又は2記載の岸壁構造。
  4. 前記鋼構造物は、既設岸壁の壁幅方向に延びる鋼矢板壁であり、既設岸壁から海側に離間して設けられ、
    前記鋼構造物と既設岸壁との間には、埋め戻された埋戻地盤が設けられること
    を特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の岸壁構造。
  5. 既設岸壁の壁幅方向に所定の間隔を空けて設けられる複数の前記補強壁体を備え、
    前記鋼構造物は、既設岸壁の壁幅方向に所定の間隔を空けて設けられる複数の鋼管であり、各々の前記鋼管が前記連結部材を介して各々の前記補強壁体に連結されること
    を特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の岸壁構造。
  6. 岸壁を補強するために設けられる岸壁構造であって、
    既設岸壁の近傍に設けられる鋼構造物と、
    前記鋼構造物と既設岸壁とを連結する連結部材とを備え、
    前記鋼構造物は、鋼管、又は、既設岸壁の壁幅方向に延びる鋼矢板壁であること
    を特徴とする岸壁構造。
  7. 前記鋼構造物は、既設岸壁よりも海側に設けられること
    を特徴とする請求項6記載の岸壁構造。
  8. 前記鋼構造物の高さ方向の長さは、既設岸壁の高さ方向の長さよりも長いこと
    を特徴とする請求項1〜7の何れか1項記載の岸壁構造。
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