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JP2019042773A - アルミニウム鋳造材の製造方法および製造装置 - Google Patents

アルミニウム鋳造材の製造方法および製造装置 Download PDF

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JP2019042773A JP2017169237A JP2017169237A JP2019042773A JP 2019042773 A JP2019042773 A JP 2019042773A JP 2017169237 A JP2017169237 A JP 2017169237A JP 2017169237 A JP2017169237 A JP 2017169237A JP 2019042773 A JP2019042773 A JP 2019042773A
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Abstract

【課題】製造設備の小型簡素化、コストの削減および生産効率の向上を図ることができるアルミニウム鋳造材の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のアルミニウム鋳造材の製造方法は、アルミニウム溶湯W1を凝固して、その凝固したアルミニウム鋳塊W2を下方に向けて連続的に送り出す鋳造装置1と、鋳造装置1の下方に設けられ、かつシャーリング刃25を有する切断装置2と、鋳造装置1および切断装置2間に設けられ、かつアルミニウム鋳塊W2を支持しつつ下方に送給する鋳塊送給装置3とを備え、鋳塊送給装置3によって連続的に送給されるアルミニウム鋳塊W2を、切断装置2におけるシャーリング刃25によってシャー切断することにより、アルミニウム鋳造材W3を製造するものである。
【選択図】図1

Description

この発明は、例えばアルミニウムの押出材、圧延材、鍛造材用等の材料として好適に用いることができるアルミニウム鋳造材を製造するためのアルミニウム鋳造材の製造方法および製造装置に関する。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、アルミニウム(Al)という用語は、アルミニウム合金(Al合金)を含み意味で用いられている。
アルミニウムビレットやアルミニウムスラブ等のアルミニウム鋳造材は、押出加工品、圧延加工品、鍛造加工品用の材料として用いられるが、このような鋳造材は多くの場合、連続鋳造法によって得られる。従来においてアルミニウムの連続鋳造法としては主として竪型連続鋳造法と、水平連続鋳造法(横型連続鋳造法)とが存在している。
横型連続鋳造法は、鋳造方向が水平方向であり、連続的に鋳造することによって鋳塊を水平方向に送給しつつ、その鋳塊を鋸刃等によって適宜の位置で切断するようにしている。しかしながら、横型連続鋳造法では、鋳造方向が水平方向であるため、合金元素が偏析することによって、周方向に均一な組織が得られず、品質のバラツキが懸念されるところである。
一方、従来において竪型連続鋳造法としては、半連続鋳造法が主流である。特許文献1等に示すように竪型の半連続鋳造法は、鋳造方向が垂直下向きであり、数m程度(一般に5m〜7m程度)の鋳造を行う毎に鋳造を一旦停止し、鋳塊を切断した後、鋳造を再開するというものである。
特開昭58−125342号
しかしながら、上記特許文献1等に示す従来の竪型の半連続鋳造法においては、鋳塊の切断時に鋳造を長時間停止するものであるため、その分、実際の鋳造時間が短くなり、生産効率の低下を来すという課題があった。さらにこの半連続鋳造法においては一般的に、鋳造された鋳塊を切断するまでの間、水槽(ピット)内に没入するようにしているため、切断長さが長い鋳造材にも対応するには、水槽の深さを深く形成しておく必要がある。このため大規模な水槽が必要となり、製造設備の大型化を来すという課題もあった。
このような状況下にあって近年においては、竪型の完全連続鋳造法の開発が進められている。竪型の完全連続鋳造法は例えば、垂直方向に連続的に鋳塊を鋳造する一方、切断装置の切断刃を鋳塊の降下動作に同調させるように降下させながら鋳塊を切断するというものであり、切断時等に停止するようなこともなく連続して鋳造することが可能である。
しかしながら、上記の竪型完全連続鋳造法においては、切断刃として通常、電動式の鋸刃を用いるものであるため、水分による悪影響を受けやすく、鋳塊を冷却するための冷却水が鋳塊周辺に残存していると、鋸刃が異常停止して切断不良等が生じてしまう。このため切断前に、鋳塊に付着した冷却水を確実に除去できるようなシステムを構築する必要があるが、そうすると、水分除去用の多くの装置が必要となり、製造設備の複雑化およびコストの増大を来すおそれがある。さらに竪型完全連続鋳造法においては、送給される鋳塊に、鋸刃を同調させるために複雑な同調機構も必要であるため、より一層製造設備の複雑化およびコストの増大を来すという課題もあった。
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、製造設備の小型簡素化、コストの削減および生産効率の向上を図りつつ、高い品質のアルミニウム鋳造材を得ることができるアルミニウム鋳造材の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
[1]アルミニウム溶湯を凝固して、その凝固したアルミニウム鋳塊を下方に向けて連続的に送り出す鋳造装置と、
前記鋳造装置の下方に設けられ、かつシャーリング刃を有する切断装置と、
前記鋳造装置および前記切断装置間に設けられ、かつアルミニウム鋳塊を支持しつつ下方に送給する鋳塊送給装置とを備え、
前記鋳塊送給装置によって連続的に送給されるアルミニウム鋳塊を、前記切断装置におけるシャーリング刃によってシャー切断するようにしたことを特徴とするアルミニウム鋳造材の製造方法。
[2]前記鋳塊送給装置によって送給速度を調整することによって鋳造速度を制御するようにした前項1に記載のアルミニウム鋳造材の製造方法。
[3]シャー切断中に、アルミニウム鋳塊の送給動作を瞬時停止するようにした前項1または2に記載のアルミニウム鋳造材の製造方法。
[4]前記シャーリング刃は、上下方向に遊びが設けられ、上向きに付勢する付勢手段によって支持されている前項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム鋳造材の製造方法。
[5]アルミニウム鋳塊は、直径10mm以上60mm以下の丸棒状、または断面の対角寸法が15mm以上100mm以下の角棒状に形成されている前項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム鋳造材の製造方法。
[6]前記鋳塊送給装置は、アルミニウム鋳塊の外周面に転がり接触する送給ローラーを備え、その送給ローラーによってアルミニウム鋳塊を支持しつつ送給するようにした前項1〜5のいずれか1項に記載のアルミニウム鋳造材の製造方法。
[7]前記切断装置の下方に設けられた鋳塊排出装置によって、切断時にアルミニウム鋳塊を支持し、切断されたアルミニウム鋳塊を下方に排出するようにした前項1〜6のいずれか1項に記載のアルミニウム鋳造材の製造方法。
[8]前記鋳塊排出装置は、アルミニウム鋳塊の外周面に転がり接触する排出ローラーを備え、その排出ローラーによってアルミニウム鋳塊を支持して排出するようにした前項7に記載のアルミニウム鋳造材の製造方法。
[9]前記切断装置の下方に設けられた鋳造材回収装置に、切断されたアルミニウム鋳塊を投下するようにした前項1〜8のいずれか1項に記載のアルミニウム鋳造材の製造方法。
[10]アルミニウム溶湯を凝固して、その凝固したアルミニウム鋳塊を下方に向けて連続的に送り出す鋳造装置と、
前記鋳造装置の下方に設けられ、かつシャーリング刃を有する切断装置と、
前記鋳造装置および前記切断装置間に設けられ、かつアルミニウム鋳塊を支持しつつ下方に送給する鋳塊送給装置とを備え、
前記鋳塊送給装置によって連続的に送給されるアルミニウム鋳塊が、前記切断装置におけるシャーリング刃によってシャー切断されるように構成されていることを特徴とするアルミニウム鋳造材の製造装置。
発明[1]のアルミニウム鋳造材の製造方法によれば、アルミニウム鋳塊の供給を実質的に停止することなく、ほぼ連続的に供給しつつ、シャーリング刃によってシャー切断するようにしているため、効率良く製造することができる。さらにアルミニウム鋳塊周辺に冷却水が残存していても不具合なく切断できるため、水分除去用の手段を採用する必要がなく、製造設備における構造の簡素化およびコストの削減を図ることができる。さらにシャーリング刃をアルミニウム鋳塊の送給動作に同調させて移動させるような複雑な同調機構も必要でないため、より一層、構造の簡素化およびコストの削減を図ることができる。その上さらに本製造方法は、実質的に連続鋳造を行えるため、従来の半連続鋳造ように、底深い大規模な水槽を設置する必要がなく、製造設備の小型化を図ることができる。また竪型連続鋳造であるため、周方向に均一な組織が得られ、高い品質のアルミニウム鋳造材を製造することができる。
発明[2]のアルミニウム鋳造材の製造方法によれば、アルミニウム鋳塊の送給速度を適切に調整できるため、高品質のアルミニウム鋳造材を終始安定した状態で製造することができる。
発明[3]〜[5]のアルミニウム鋳造材の製造方法によれば、切断不良の発生をより確実に防止でき、より一層高い品質のアルミニウム鋳造材を製造することができる。
発明[6]〜[8]のアルミニウム鋳造材の製造方法によれば、アルミニウム鋳塊の送給を、より一層安定した状態で行うことができ、アルミニウム鋳造材の品質をさらに向上させることができる。
発明[9]のアルミニウム鋳造材の製造方法によれば、切断されたアルミニウム鋳塊としてのアルミニウム鋳造材を効率良く回収することができる。
発明[10]のアルミニウム鋳造材の製造装置によれば、上記方法発明と同様に製造設備の小型簡素化、コストの削減および生産効率の向上を図りつつ、高い品質のアルミニウム鋳造材を確実に得ることができる。
図1はこの発明の実施形態であるアルミニウム鋳造材の製造装置を示す断面図である。 図2は実施形態のアルミニウム鋳造材の製造装置において鋳塊を切断した直後の状態を示す断面図である。 図3は実施形態のアルミニウム鋳造材の製造装置において鋳塊を開始する場合を説明するための断面図である。 図4はこの発明の変形例であるアルミニウム鋳造材の製造装置を示す断面図である。
図1はこの発明の実施形態であるアルミニウム鋳造材の製造装置を概略的に示す断面図である。同図に示すように本実施形態のアルミニウム鋳造材の製造装置は、鋳造装置1と、鋳造装置1の下方に配置される切断装置2と、鋳造装置1および切断装置2間に配置される鋳塊送給装置3と、切断装置2の下方に配置される鋳塊排出装置4とを基本的な構成要素として備えている。
鋳造装置1は、竪型連続鋳造装置によって構成されており、軸心を垂直方向に一致させるように配置された鋳型11を備えている。鋳型11の上端流入口にはその外周を囲うようにして断熱壁12が設けられるとともに、鋳型11の下端流出口にはその外周を囲うようにして冷却水供給器13が設けられている。そして断熱壁12の上方から連続的に注入されたアルミニウム溶湯W1が鋳型11を通って凝固するとともに、凝固したアルミニウム鋳塊W2が冷却水供給器13から供給される冷却水によって冷却されつつ下方に連続的に送り出されることにより、棒状のアルミニウム鋳塊W2が鋳造されるように構成されている。
鋳塊送給装置3は、鋳造装置1によって鋳造される棒状のアルミニウム鋳塊W2の周囲に、周方向に適宜間隔をおいて配置される複数の送給ローラー31を備えている。各送給ローラー31は回転自在に構成されており、アルミニウム鋳塊W2の外周面に転がり接触するように構成されている。さらに送給ローラー31は、図示しない駆動手段によって回転駆動するように構成されており、その回転によってアルミニウム鋳塊W2が下方に送り出されるように構成されている。
切断装置2は、鋳塊送給装置3から送給される棒状のアルミニウム鋳塊W2の周囲に配置される固定刃21と、アルミニウム鋳塊W2の側方に配置される可動刃としてのシャーリング刃25とを備えている。シャーリング刃25は、鋳造方向に対し直交する方向(水平方向)に移動自在に支持されており、図示しない駆動手段によって、アルミニウム鋳塊W2に対し進出駆動するように構成されている。従って図2に示すようにシャーリング刃25が進出駆動すると、シャーリング刃25によって、アルミニウム鋳塊W2がシャー切断(せん断加工)されるように構成されている。
ここで本実施形態の切断装置2において、シャーリング刃25によってアルミニウム鋳塊W2をシャー切断するのに必要な時間(切断時間)は、0.2秒〜1秒であり、一瞬でシャー切断が完了する。参考までに、従来の鋸刃によってアルミニウム鋳塊を切断するのに必要な時間は、最短でも5秒程度となっている。
また本実施形態の切断装置2において、シャーリング刃25は、実質的に鋳造方向(上下方向)に対して固定されている。つまりシャーリング刃25を、送給されるアルミニウム鋳塊W2に同調して降下させるような同調機構は、本実施形態の切断装置2には含まれていない。なお後述するが、シャーリング刃25は、遊び(クリアランス)の範囲内で上下方向に移動できるように構成しても良い。
鋳塊排出装置4は、切断装置2の下方に配置され、かつアルミニウム鋳塊W2の周囲に、周方向に適宜間隔をおいて配置される複数の排出ローラー41を備えている。各排出ローラー41は、回転自在に構成されており、アルミニウム鋳塊W2が切断装置2によって切断される前の状態で、アルミニウム鋳塊W2の外周面に転がり接触できる位置に配置されている。従ってアルミニウム鋳塊W2が切断装置2によって切断された直後の状態では、その切断されたアルミニウム鋳塊W2(アルミニウム鋳造材W3)は、排出ローラー41によって保持されるように構成されている。さらに排出ローラー41は、図示しない駆動手段によって回転駆動するように構成されており、その回転によってアルミニウム鋳塊W2が下方に送り出されるように構成されている。
なお、鋳塊排出装置4の下方(下流側)には、仮集積部(図示省略)が設けられており、鋳塊排出装置4によって搬送排出されたアルミニウム鋳造材W3が仮集積部に順次集積されるように構成されている。
本実施形態の製造装置においては、動作を制御するための制御手段(図示省略)が設けられている。この制御手段は例えば、鋳塊送給装置3における駆動手段の駆動を制御することによって、送給ローラー31の回転速度を所定の回転速度に制御できるように構成されている。こうして送給ローラー31の回転速度を制御することによって、送給ローラー31によるアルミニウム鋳塊W2の送給速度(鋳造速度)を制御できるように構成されている。
また制御手段は、アルミニウム鋳塊W2の鋳造速度の情報や、アルミニウム鋳塊W2の位置情報等を取得できるように構成されており、それらの情報に基づいて、切断装置2におけるシャーリング刃25を進出駆動するタイミングを制御するように構成されている。これによりアルミニウム鋳塊W2を所定の長さで切断できるように構成されている。
さらに制御手段は、後に詳述するように、シャーリング刃25の駆動中、つまりシャー切断中に鋳塊送給装置3および鋳塊排出装置4における送給ローラー31および排出ローラー41の回転を一時的に停止してアルミニウム鋳塊W2の送給を瞬時停止するようにしている。
以上の構成のアルミニウム鋳造材の製造装置において、アルミニウムビレットやアルミニウムスラブ等のアルミニウム鋳造材W3を製造する場合には、鋳型11内にその上方からアルミニウム溶湯W1が連続的に注入されるとともに、そのアルミニウム溶湯W1が、鋳型11で熱が吸収されて溶湯W1の外殻が凝固しながら、その凝固したアルミニウム鋳塊W2が鋳型11の下方から連続的に送り出される。鋳型11から連続的に送り出されるアルミニウム鋳塊W2は、鋳型直下において冷却水供給器13から冷媒としての冷却水が供給されることによって鋳塊W2の内部まで凝固する。内部まで凝固したアルミニウム鋳塊W2は、鋳塊送給装置3の送給ローラー31の回転駆動によって下方に連続的に送給される。さらに送給される連続状のアルミニウム鋳塊W2が切断装置2の位置を通って、鋳塊排出装置4の排出ローラー41によって保持される。
そしてアルミニウム鋳塊W2の長さ(切断装置2の切断位置から下端位置までの長さ)が所定の長さに到達した時点で、切断装置2が駆動してシャーリング刃25によってアルミニウム鋳塊W2がシャー切断される。このシャー切断時には既述した通り、送給ローラー31および排出ローラー41の回転が一時的に停止し、アルミニウム鋳塊W2の送給が瞬時停止されている。ここで既述した通り、シャー切断に要する時間は0.2秒〜1秒であるため、このコンマ数秒間だけアルミニウム鋳塊W2の送給が停止されることになる。
シャー切断が完了した直後には、送給ローラー31および排出ローラー41による送給が再開されて、切断されたアルミニウム鋳塊W2は排出ローラー41によって下方に搬送されて、上記仮集積部等に排出される。一方、鋳造装置1によって連続鋳造されるアルミニウム鋳塊W2は送給ローラー31によって下方に連続的に供給される。
このような動作が繰り返し行われて、所定長さのアルミニウム鋳造材W3が順次製造される。
ところで本実施形態のアルミニウム鋳造材の製造装置において、新たに製造を開始する場合や、中断していた製造を再開する場合には、専用の下型5が用いられる。この下型5は図3に示すように、鋳造装置1の鋳型11の内部から切断装置2の下側まで至るように棒状の形状を有している。下型5の断面形状は、製造予定のアルミニウム鋳造材W3の断面形状に対応して形成されており、下型5の頂面には、凝固したアルミニウム鋳塊W2を保持できるように凸部51が形成されている。
この構成の下型5の頂面を鋳造装置1の鋳型11の内部に配置するとともに、下型5の中間部および下側部を鋳塊送給装置3および切断装置2にかけて配置する。その状態でアルミニウム溶湯W1を上方から鋳型11内における下型5の頂面上に連続して注入して、鋳型11で熱を奪って溶湯W1の外殻を凝固させるとともに、鋳塊送給装置3の送給ローラー31を回転駆動することにより、凝固したアルミニウム鋳塊W2を下型5と共に降下させつつ、冷却水供給器13から冷却水を供給することによって鋳塊W2の内部まで凝固させる。
こうしてアルミニウム鋳塊W2が連続的に送給されて、下型5の上端が切断装置2を通り抜けた時点で、換言すればアルミニウム鋳塊W2の下端部が切断装置2に到達した時点で、切断装置2を駆動させてシャーリング刃25によってアルミニウム鋳塊W2の下端部をシャー切断する。なおこの切断時には、下型5の下端部は、鋳塊排出装置4の排出ローラー41によって保持されている。
続いて、切断されたアルミニウム鋳塊W2が下型5と共に取り除かれた後、上記した通常の連続鋳造が実施されるものである。
以上のように本実施形態のアルミニウム鋳造材の製造装置によれば、アルミニウム鋳塊W2の供給を実質的に停止することなく、アルミニウム鋳塊W2をほぼ連続的に供給しつつ、シャーリング刃25によってシャー切断するようにしているため、切断する毎に長時間鋳造を停止するような従来の竪型半連続鋳造法に比べて、効率良く製造することができる。
さらに本実施形態のアルミニウム鋳造材の製造装置における鋳造装置1は、竪型鋳造装置であるため、周方向に均一な組織が得られ、横型鋳造装置のように、合金元素の偏析により品質の低下が生じるのを防止でき、高い品質のアルミニウム鋳造材W3を歩留まり良く製造することができる。
また本実施形態の製造装置は、アルミニウム鋳塊W2をシャーリング刃25によってシャー切断するものであるため、水分による悪影響を受けやすい従来の鋸刃による切断とは異なり、冷却水が鋳塊W2に付着していようとも、不具合なく鋳塊W2を切断することができ、切断不良の発生を確実に防止することができる。従ってアルミニウム鋳造材W3を終始安定した状態で製造することができ、生産効率をより一層向上させることができる。換言すると、切断前に、アルミニウム鋳塊W2周辺に残存した水分を確実に除去する必要がなく、そのような水分除去用の装置を設置する必要もない。従って製造設備における構造の簡素化およびコストの削減を図ることができる。
さらに本実施形態の製造装置においては、アルミニウム鋳塊W2の送給動作に同調させて切断刃を移動させるような複雑な同調機構も必要でないため、より一層、製造設備の簡素化およびコストの削減を図ることができる。
また本実施形態の製造装置では、従来の半連続鋳造装置のように、底深い大規模な水槽を設置する必要がなく、製造設備の小型化を図ることができる。
また本実施形態のアルミニウム鋳造材の製造装置によれば、シャー切断する際に瞬間的にアルミニウム鋳塊W2の送給を停止するようにしているため、切断中の鋳塊移動によりシャーリング刃25等に過荷重が加わるのを確実に防止することができ、切断不良の発生をより確実に防止することができる。従ってアルミニウム鋳塊W2を精度良くスムーズに切断することができ、より一層高品質のアルミニウム鋳造材W3を製造することができる。
もっとも本発明において、シャーリング刃25によるシャー切断は短時間で瞬時に行うことができるため、シャー切断時にアルミニウム鋳塊W2の送給を必ずしも停止する必要はなく、アルミニウム鋳塊W2を一切停止させずに連続的に供給しつつ、シャーリング刃25によってシャー切断してもアルミニウム鋳塊W2を不具合なく切断することは可能である。特にアルミニウム鋳塊W2として、直径φ10mm以上φ60mm以下、好ましくはφ50mm以下の丸棒状のアルミニウム鋳塊W2(アルミニウムビレット)や、断面の対角寸法が15mm以上100mm以下の角棒状(四角棒状)のアルミニウム鋳塊W2(アルミニウムスラブ)を製造するような場合には、シャー切断を極めて短時間で行うことができるため、アルミニウム鋳塊W2を停止しなくとも、高い精度でアルミニウム鋳塊W2を確実に切断することができる。換言すると、本実施形態においては、直径φ10mm以上φ60mm以下のアルミニウムビレットや、断面の対角寸法が15mm以上100mm以下のアルミニウムスラブを製造する場合には特に有効である。
なお本実施形態においては、シャー切断時に瞬間的にアルミニウム鋳塊W2の送給を停止して、切断中の鋳塊移動による悪影響を確実に回避するようにしているが、本発明においてその回避手段は、それだけに限れるものではない。例えばそのような回避手段として、シャーリング刃25を遊び(クリアランス)の範囲内において上下に移動できるように構成しておき、そのシャーリング刃25を上向きに付勢するスプリング(ばね)等の付勢手段によって支持するような構成(手段)を採用することも可能である。この回避手段においては、切断時に鋳塊移動に追従してシャーリング刃25が下方に少量移動することにより、切断中の鋳塊移動による悪影響を確実に回避することができる。また言うまでもなく、切断後にはスプリング等の付勢手段による付勢力によってシャーリング刃25は初期の高さ位置に復帰するものである。
また上記実施形態においては、鋳塊送給装置3および鋳塊排出装置4を送給ローラー31および排出ローラー41によって構成する場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、鋳塊送給装置3および鋳塊排出装置4をローラー以外のものによって構成するようにしても良い。例えばアルミニウム鋳塊W2を両側からベルトコンベアによって挟み込みその状態でベルトコンベアを回転させてアルミニウム鋳塊W2を送給するようにしても良いし、アルミニウム鋳塊W2の一方側を支持手段によって支持するとともに、他方側に配置したローラーやベルトコンベアを回転させることによってアルミニウム鋳塊W2を搬送するようにしても良い。要はアルミニウム鋳塊W2(アルミニウム鋳造材W3)を所定の速度で供給できる装置であれば、どのような装置でも鋳塊送給装置および鋳塊排出装置として用いることができる。
図4はこの発明の変形例であるアルミニウム鋳造材の製造装置を概略的に示す断面図である。同図に示すようにこの変形例の製造装置においては、鋳塊排出装置4が設けられていない点と、切断装置2の下方に鋳塊回収装置としての鋳塊回収ボックス6が設けられている点とが、上記図1に示す実施形態の製造装置に対し相違する点である。
この変形例のアルミニウム鋳造材の製造装置においては、上記実施形態と同様に鋳造装置1によって鋳造されるアルミニウム鋳塊W2を、その鋳塊に対し非同調の切断装置2によって上記実施形態と同様にシャー切断するものであるが、アルミニウム鋳塊W2の切断長さが上記実施形態と比べて短く設定されている。
そしてこの変形例の製造装置においては、切断装置2によって切断された短寸のアルミニウム鋳塊W2(アルミニウム鋳造材W3)が直接、鋳塊回収ボックス6に投下されて回収されるものである。
この変形例の製造装置において、他の構成は上記実施形態の製造装置と実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付して重複説明は省略する。
この変形例の製造装置においても、上記実施形態の製造装置と同様の効果を得ることができる。
またこの変形例の製造装置によれば、短寸のアルミニウム鋳造材W3を製造することができるため、長尺なアルミニウム鋳造材を取り扱う場合と比較して、製造設備の小型化を図ることができる。さらに鋳塊回収ボックス6も容量の小さいものを難なく採用することができ、より一層製造設備の小型コンパクト化を図ることができる。
この発明のアルミニウム鋳造材の製造方法は、例えばアルミニウムの押出材、圧延材、鍛造材用等の材料として用いられるアルミニウム鋳造材を製造する際に好適に用いることができる。
1:鋳造装置
2:切断装置
25:シャーリング刃
3:鋳塊送給装置
31:送給ローラー
4:鋳塊排出装置
41:排出ローラー
W1:アルミニウム溶湯
W2:アルミニウム鋳塊
W3:アルミニウム鋳造材

Claims (10)

  1. アルミニウム溶湯を凝固して、その凝固したアルミニウム鋳塊を下方に向けて連続的に送り出す鋳造装置と、
    前記鋳造装置の下方に設けられ、かつシャーリング刃を有する切断装置と、
    前記鋳造装置および前記切断装置間に設けられ、かつアルミニウム鋳塊を支持しつつ下方に送給する鋳塊送給装置とを備え、
    前記鋳塊送給装置によって連続的に送給されるアルミニウム鋳塊を、前記切断装置におけるシャーリング刃によってシャー切断するようにしたことを特徴とするアルミニウム鋳造材の製造方法。
  2. 前記鋳塊送給装置によって送給速度を調整することによって鋳造速度を制御するようにした請求項1に記載のアルミニウム鋳造材の製造方法。
  3. シャー切断中に、アルミニウム鋳塊の送給動作を瞬時停止するようにした請求項1または2に記載のアルミニウム鋳造材の製造方法。
  4. 前記シャーリング刃は、上下方向に遊びが設けられ、上向きに付勢する付勢手段によって支持されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム鋳造材の製造方法。
  5. アルミニウム鋳塊は、直径10mm以上60mm以下の丸棒状、または断面の対角寸法が15mm以上100mm以下の角棒状に形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム鋳造材の製造方法。
  6. 前記鋳塊送給装置は、アルミニウム鋳塊の外周面に転がり接触する送給ローラーを備え、その送給ローラーによってアルミニウム鋳塊を支持しつつ送給するようにした請求項1〜5のいずれか1項に記載のアルミニウム鋳造材の製造方法。
  7. 前記切断装置の下方に設けられた鋳塊排出装置によって、切断時にアルミニウム鋳塊を支持し、切断されたアルミニウム鋳塊を下方に排出するようにした請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルミニウム鋳造材の製造方法。
  8. 前記鋳塊排出装置は、アルミニウム鋳塊の外周面に転がり接触する排出ローラーを備え、その排出ローラーによってアルミニウム鋳塊を支持して排出するようにした請求項7に記載のアルミニウム鋳造材の製造方法。
  9. 前記切断装置の下方に設けられた鋳造材回収装置に、切断されたアルミニウム鋳塊を投下するようにした請求項1〜8のいずれか1項に記載のアルミニウム鋳造材の製造方法。
  10. アルミニウム溶湯を凝固して、その凝固したアルミニウム鋳塊を下方に向けて連続的に送り出す鋳造装置と、
    前記鋳造装置の下方に設けられ、かつシャーリング刃を有する切断装置と、
    前記鋳造装置および前記切断装置間に設けられ、かつアルミニウム鋳塊を支持しつつ下方に送給する鋳塊送給装置とを備え、
    前記鋳塊送給装置によって連続的に送給されるアルミニウム鋳塊が、前記切断装置におけるシャーリング刃によってシャー切断されるように構成されていることを特徴とするアルミニウム鋳造材の製造装置。
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