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JP2019041633A - 焼き餃子羽用組成物 - Google Patents

焼き餃子羽用組成物 Download PDF

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JP2019041633A JP2017166542A JP2017166542A JP2019041633A JP 2019041633 A JP2019041633 A JP 2019041633A JP 2017166542 A JP2017166542 A JP 2017166542A JP 2017166542 A JP2017166542 A JP 2017166542A JP 2019041633 A JP2019041633 A JP 2019041633A
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美咲 和田
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豪 鈴木
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Sanshiro Saito
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Abstract

【課題】焼き餃子の製造時や調理時において、外観や食感の良好な焼き餃子羽を形成するための焼き餃子羽用組成物及び当該組成物を使用した焼き餃子の製造方法を提供する。【解決手段】澱粉、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む油脂組成物、及び水を含む焼き餃子羽用組成物であって、前記澱粉の含有量が4質量%以上18質量%以下であり、前記油脂組成物の含有量が5質量%以上45質量%以下であり、前記油脂組成物の前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が0.5質量%以上25質量%以下である、前記焼き餃子羽用組成物である。また、生もしくは蒸した餃子を焼成するに際し、前記焼き餃子羽用組成物を添加することを特徴とする、前記製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、焼き餃子羽用組成物および当該組成物を使用した焼き餃子の製造方法に関する。
餃子は、中華惣菜の中で最も好まれる食品のひとつである。中でも、焼き餃子は底面のぱりっとした食感とジューシーな中身、それを包むソフトな皮のバランスが日本人の嗜好にマッチして需要が伸びており、さまざまな形で提供されている。一般に、焼き餃子の調理法は、生もしくは蒸した餃子を鉄板に並べ、蒸し焼きにするのが定法であり、その際には添加した水により麺帯もしくは打ち粉中の澱粉質が一部溶け出して、餃子底面の周りにぱりっとしたせんべい状の皮膜(「餃子羽」ともいう)を形成し、この皮膜がより一層食味を向上させる。最近の飲食店では、このパリパリ感を一層強調するため、焼き水に小麦粉や澱粉を配合する店舗もある。さらには、家庭で手軽に飲食店の食味を再現するため、澱粉質をあらかじめ含有する餃子焼き用小袋スープを別添することが提案され商品化されている(特許文献1:登録実用新案第3041622号)。
特許文献2(特開2002−306140)には、「餃子製造の際に、ハイアミロース澱粉を含有するコーティング材を餃子皮外部及びその周辺部に塗布することを特徴とする焼き餃子の製造法」が開示されており、段落0004には、「長時間経過しても焼き面・・・が、焼き立てのパリパリした食感を維持し得る」と記載されている。しかしながら、焼き餃子羽についての記載はない。
特許文献3(特開2005−137296)には、「水:油:乳化剤:でんぷん:タンパク質を所定割合で配合した、穀物粉を有しないバッターを乳化させ、トレー中に乳化状態のバッターと2個以上の餃子を、餃子の焼き面がバッター側であり、かつ、2 個以上の餃子がバッターにより連結され固定されるように配置されていることを特徴とする、バッター付き冷凍又は冷蔵の連結餃子」が開示されている。実施例において、「バリ形成度」の評価を実施しているが、特定の澱粉にのみ効果があることが示されているだけでなく(段落0049(表4))、段落0053には、「表5の結果より、タンパク含量が0%では好ましいバリの作成が困難であることが判明した。」と記載されており、タンパク質が必須であることが開示されている。
また一方で、食物アレルギーの点で、卵白等のタンパク質をできるだけ使用しないという要望があった。
登録実用新案第3041622号公報 特開2002−306140号公報 特開2005−137296号公報
このように、従来の技術では、焼き餃子羽の外観等において、まだ改善の余地があった。そこで、本発明の目的は、焼き餃子の製造時や調理時において、外観や食感の良好な焼き餃子羽を形成するための焼き餃子羽用組成物及び当該組成物を使用した焼き餃子の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、澱粉、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む油脂組成物、及び水を含む組成物が、良好な焼き餃子羽を形成することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、澱粉、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む油脂組成物、及び水を含む焼き餃子羽用組成物であって、
前記澱粉の含有量が4質量%以上18質量%以下であり、
前記油脂組成物の含有量が5質量%以上45質量%以下であり、
前記油脂組成物の前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が0.5質量%以上25質量%以下である、前記焼き餃子羽用組成物である。
前記澱粉の由来は、コーン、馬鈴薯、小麦およびキャッサバから選ばれる一種又は二種以上であることが好ましい。
前記澱粉は、未加工、もしくは、エステル化処理、ヒドロキシプロピル化処理およびα化処理から選ばれる一種又は二種以上の処理を経ていることが好ましい。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸は、不飽和脂肪酸であることが好ましい。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルのグリセリン重合度は2以上10以下であることが好ましい。
また、本発明は、焼き餃子の製造方法であって、
生もしくは蒸した餃子を焼成するに際し、前記焼き餃子羽用組成物を添加することを特徴とする、前記製造方法である。
生もしくは蒸した前記餃子100質量部に対し、前記焼き餃子羽用組成物を20質量部以上80質量部以下添加することが好ましい。
また、本発明は、前記焼き餃子羽用組成物に使用するための澱粉である。
前記澱粉の由来はコーン、馬鈴薯、小麦およびキャッサバから選ばれる一種又は二種以上であることが好ましい。
前記澱粉は、未加工、もしくは、エステル化処理、ヒドロキシプロピル化処理およびα化処理から選ばれる一種又は二種以上の処理を経ていることが好ましい。
また、本発明は、前記焼き餃子羽用組成物に使用するための油脂組成物であって、
ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が0.5質量%以上25質量%以下である、前記油脂組成物である。
なお、これらの各構成の任意の組み合わせや、本発明の表現を方法や製造方法などの間で変換したものもまた本発明の態様として有効である。
本発明の焼き餃子羽用組成物は、焼き餃子の製造時や調理時に使用し、外観や食感の良好な焼き餃子羽を形成することができる。ここで、外観とは、例えば、羽の形状のことであり、食感とは、例えば、硬さであり、より詳細にはパリパリ感を伴った硬さのことである。
本発明の焼き餃子羽用組成物に使用する澱粉は、通常、食用として用いられる澱粉を使用することができる。澱粉の由来は、例えば、コーン、米、小麦等の穀類、馬鈴薯、甘藷、キャッサバ等の芋類、エンドウ豆、緑豆などの豆類が挙げられ、コーン、小麦、馬鈴薯およびキャッサバから選ばれる一種又は二種以上が好ましく、コーン、馬鈴薯およびキャッサバから選ばれる一種又は二種以上がより好ましい。なお、キャッサバから得られた澱粉をタピオカ澱粉という。
また、前記澱粉のアミロース含有量(加工処理を経ている場合には加工前のアミロース含有量)は、特に問わないが、例えば、5%以上90%以下であり、20%以上80%以下が好ましく、25%以上80%以下がより好ましく、40%以上80%以下がさらに好ましい。
また、前記澱粉は、加工処理を施していなくても、施していてもよい。前記加工処理は、例えば、エステル化処理、ヒドロキシプロピル化処理、酸化処理、α化処理、酸処理、アルカリ処理、湿熱処理、乾熱処理、漂白処理、酵素処理およびこれらの組み合わせ等が挙げられる。本発明の前記澱粉は、未加工、もしくは、エステル化処理、ヒドロキシプロピル化処理、酸化処理、α化処理および酸処理から選ばれる一種又は二種以上の処理を経ていることが好ましく、未加工、もしくは、エステル化処理、ヒドロキシプロピル化処理およびα化処理から選ばれる一種又は二種以上の処理を経ていることがより好ましい。前記エステル化処理には、アセチル化、リン酸架橋およびアジピン酸架橋から選ばれる一種又は二種以上が好ましく、アセチル化リン酸架橋処理がより好ましい。
なお、上記加工処理は、当業者に公知の方法で処理することができる。
前記焼き餃子羽用組成物中の前記澱粉の含有量は、4質量%以上18質量%以下であり、好ましくは5質量%以上18質量%以下であり、より好ましくは7質量%以上18質量%以下であり、さらに好ましくは9質量%以上16質量%以下であり、さらにより好ましくは10質量%以上15質量%以下である。
本発明の焼き餃子羽用組成物に使用する油脂組成物は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する。前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、0.5質量%以上25質量%以下であり、好ましくは0.7質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上18質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以上12質量%以下であり、さらにより好ましくは3質量%以上10質量%以下である。
前記焼き餃子羽用組成物中の前記油脂組成物の含有量は、5質量%以上45質量%以下であり、好ましくは10質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは15質量%以上37質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以上35質量%以下である。また、スラリーの広がり具合の点から、好ましくは5質量%以上37質量%以下であり、より好ましくは7質量%以上35質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上35質量%以下である。またさらに、羽の硬さ・パリパリ感の点で、好ましくは15質量%以上45質量%以下であり、より好ましくは20質量%以上45質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以上40質量%以下である。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、特に限定されず、通常市販されているものを用いることができる。前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸は、好ましくは不飽和脂肪酸であり、より好ましくはオレイン酸である。また、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルのグリセリン重合度は、好ましくは2以上10以下であり、より好ましくは2以上8以下であり、さらに好ましくは2以上5以下であり、さらにより好ましくは2以上4以下であり、特に好ましくは2である。
また、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、蒸留工程を経ているものが好ましい。
また、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBは、5以上9以下が好ましく、6以上9以下がより好ましく、6.5以上8以下がさらに好ましく、7以上8以下がさらにより好ましく、7.2以上7.8以下が特に好ましい。
前記油脂組成物に含まれる油脂は、特に限定されず、食用油脂として使用できるものを用いることができる。例えば、パーム核油、パーム油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、カカオ脂、ごま油等の植物油脂、ラード等の動物油脂、中鎖脂肪酸トリグリセリド等が挙げられる。また、これらの分別油(パーム油の中融点部、パーム油の分別軟質油、パーム油の分別硬質油等)、エステル交換油、水素添加油等の加工した油脂を使用できる。また、これらの食用油脂は、一種又は二種以上を使用することができ、大豆油、菜種油、コーン油、及びパーム油の分別軟質油のいずれか一種または二種以上を含むことが好ましい。
また、前記油脂の上昇融点は、好ましくは5℃以下であり、より好ましくは0℃以下である。所定の上昇融点とすることで、作業性が良好となる。なお、上昇融点は、基準油脂分析試験法2.2.4.2−1996に準じ、測定することができる。
前記油脂組成物の前記油脂の含有量は、例えば、70質量%以上であり、好ましくは75質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは82質量%以上であり、さらにより好ましくは85質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上である。上限は特に限定されないが、前記油脂と前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの合計量が100質量%以下である。また、前記油脂組成物の水の含有量は、1質量%未満である。
本発明の焼き餃子羽用組成物には、本発明の効果を阻害しない限り、通常油脂に添加できるシリコーン等の助剤等を使用してもよい。
本発明の焼き餃子羽用組成物は、澱粉、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む油脂組成物、及び水を必須とする。また、タンパク質を配合してもよいが、配合することなく、良好な焼き餃子羽を作ることができる。
本発明の焼き餃子羽用組成物に含まれる前記澱粉に対する前記油脂組成物の含有量は、質量比で、好ましくは0.8以上12以下であり、より好ましくは1以上10以下であり、さらに好ましくは1.5以上5以下であり、さらにより好ましくは2以上4以下である。
本発明の焼き餃子羽用組成物に含まれる前記澱粉に対する前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、質量比で、好ましくは0.03以上0.6以下であり、より好ましくは0.06以上0.5以下であり、さらに好ましくは0.08以上0.4以下であり、さらにより好ましくは0.1以上0.3以下である。
本発明の焼き餃子羽用組成物に含まれる水の含有量は、例えば、40質量%以上であり、好ましくは45質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは55質量%以上である。上限は特に限定されないが、前記澱粉、前記油脂組成物および水の合計量が100質量%以下である。
また、前記焼き餃子羽用組成物は、生もしくは蒸した餃子に添加する前に加熱処理をしてもよく、好ましくは加熱処理後、冷却する。
本発明における焼き餃子とは、従来知られている焼き餃子のことであり、例えば、具を皮で包んだ生餃子や、この生餃子に蒸す等の加熱調理を施した餃子、それらを冷凍した冷凍餃子などを、フライパン等で焼成する調理を行なったものである。
また、その形状、保存、流通等には、特に制限はない。
また、皮と具材の製造方法は当業者に周知であり、特に限定されない。餃子用の皮としては、例えば、小麦粉を主成分とする生地を混捏し、圧延してシート状にし、所定形状に打ち抜き又は切断される。具材としては、例えば豚肉、牛肉、鶏肉、エビ等の肉類や魚介類、キャベツ、にら、生姜、にんにく、ネギ等の野菜類が使われる。また、これらの具材は適当な大きさに細断化されて使用される。また、具材には、塩、醤油等の調味料等を添加してもよい。
本発明の焼き餃子の製造方法は、上記焼き餃子羽用組成物を使用することを特徴としている。
焼き餃子の調理法は、一般に、加熱した鉄板等で、生もしくは蒸した餃子を並べ、焼き水を添加し、蒸して焼成する。本発明の焼き餃子の製造方法では、好ましくは、焼き水の代わりとして、焼き餃子羽用組成物を使用する。本発明の焼き餃子羽用組成物は、生もしくは蒸した餃子を焼成する際に同時に添加してもよく、また、ある程度前記餃子が焼成されたのち、本発明の焼き餃子羽用組成物を添加してもよい。通常、蓋をして蒸し焼きにし、その後、蓋をあけて、水分を飛ばし、パリパリとした羽を形成させる。加熱時間は特に限定されないが、前記焼き餃子羽用組成物を添加後、好ましくは2〜20分、より好ましくは2〜15分、さらに好ましくは3〜10分である。
なお、加熱した鉄板等の例として、フライパン、鉄板鍋、餃子焼き器、ホットプレート等が挙げられ、テフロン(登録商標)コーティング等の施されているものでも良い。
生もしくは蒸した前記餃子は、保存条件や焼成時の状態は特に限定されず、冷蔵保存や冷凍保存したものでもよく、また、焼成に際して、常温、冷蔵もしくは冷凍の状態でも構わない。冷凍保存の場合、予め、冷凍餃子用トレイ等に本発明の焼き餃子羽用組成物を添加していてもよい。
本発明の焼き餃子羽用組成物の添加量は、特に限定されないが、例えば、生もしくは蒸した餃子100質量部に対し、前記焼き餃子羽用組成物を20質量部以上80質量部以下とすることが好ましく、20質量部以上60質量部以下とすることがより好ましく、25質量部以上50質量部以下とすることがさらに好ましく、30質量部以上45質量部以下とすることがさらにより好ましい。
本発明の焼き餃子羽用組成物は、本発明の効果を阻害しない限り、調味料等を含んでいてもよい。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明の主旨はこれらに限定されるものではない。
実施に際して、以下のものを使用した。加工した澱粉のアミロース含有量は、原料澱粉のアミロース含有量を示す。
<澱粉>
HS−7:ハイアミロースコーンスターチ(製品名:J−オイルミルズHS−7、株式会社J−オイルミルズ社製)、アミロース含有量70%
AHF:α化ハイアミロースコーンスターチ(製品名:ジェルコールAH−F、株式会社J−オイルミルズ社製)、アミロース含有量70%
R−コンス:レギュラーコーンスターチ(製品名:J−オイルミルズコーンスターチY、株式会社J−オイルミルズ社製)、アミロース含有量27%
ワキシー:ワキシーコーンスターチ(製品名:J−オイルミルズワキシーコーンスターチY、株式会社J−オイルミルズ社製)、アミロース含有量20%未満
BP−200:馬鈴薯澱粉(製品名:ジェルコールBP−200、株式会社J−オイルミルズ社製)、アミロース含有量20%未満
KPS−200:リン酸架橋馬鈴薯澱粉(製品名:ジェルコールKPS−200、株式会社J−オイルミルズ社製)、アミロース含有量20%未満
WA−20:アセチル化小麦澱粉(製品名:ジェルコールWA−20、株式会社J−オイルミルズ社製)、アミロース含有量30%
ATP−27:アセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉(製品名:アクトボディATP−27(NR)、株式会社J−オイルミルズ社製)、アミロース含有量20%未満
POT−05:ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉(製品名:ジェルコールPOT−05、株式会社J−オイルミルズ社製)、アミロース含有量20%未満
A−10:ヒドロキシプロピル化リン酸架橋ワキシーコーンスターチ(製品名:ジェルコールA−10、株式会社J−オイルミルズ社製)、アミロース含有量20%未満
TP−1:リン酸架橋タピオカ澱粉(製品名:アクトボディTP−1(NR)、株式会社J−オイルミルズ社製)、アミロース含有量20%未満
CT−2:アセチル化アジピン酸架橋ワキシーコーンスターチ(製品名:ジェルコールCT−2、株式会社J−オイルミルズ社製)、アミロース含有量20%未満
生タピオカ:タピオカ澱粉(社内調製品)、アミロース含有量20%未満
生小麦:小麦澱粉、アミロース含有量30%
<ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび油脂>
DO−100V:ジグリセリンモノオレイン酸エステル、HLB 7.4、蒸留精製したもの(製品名:ポエムDO-100V、理研ビタミン株式会社製)
A−173E:ペンタグリセリントリオレイン酸エステル、HLB 7.0(製品名:サンソフトA−173E、太陽化学株式会社製)
O−50D:デカグリセリンペンタオレイン酸エステル、HLB 7.0(製品名:リョートーポリグリエステルO−50D、三菱ケミカルフーズ株式会社製)
菜種油(製品名:さらさらキャノーラ油、株式会社J−オイルミルズ社製)
<スラリーの調製と評価>
容器に、所定量の澱粉、油脂組成物(水の含有量は1質量%未満)、水を加え、焼き餃子羽用組成物(以下、「羽用組成物」ともいう。)を調製した。該羽用組成物をスプーンで撹拌し、スラリーを得た。この際、得られたスラリーの均一感を以下の基準で評価した。

<均一感>
5:撹拌後、均一である
4:撹拌後、ほぼ均一である
3:撹拌後、しばらく均一である
2:撹拌後、少しの間均一である
1:撹拌後、油脂がすぐに分離する
<評価方法A>
電磁調理器(東芝IH調理器(MR20DE)、東芝ホームアプライアンス社製)のメモリを5として、ステンレスフライパン(22cm)を置いて、30秒後(フライパン表面温度:約85℃)に、スラリーを20g加えた。素早く蓋をして、メモリを3にして、2分間加熱した。蓋をあけて、水分が飛ぶまで加熱した(ただし、最大3分まで)。この際、蓋を開けてからの水分がなくなるまでの時間(水抜け時間)を10秒単位で記録した。
焼成時のスラリー状況を以下の基準で評価した。

<広がり具合>
5:フライパンに対し、一面に広がる
4:フライパンに対し、ほぼ一面に広がる
3:フライパンに対し、2/3程度広がる
2:フライパンに対し、1/2程度広がる
1:フライパンに対し、ほとんど広がらない

<水抜け>
5:水抜け時間が50秒以下
4:水抜け時間が1分以上1分30秒以下
3:水抜け時間が1分40秒以上2分以下
2:水抜け時間が2分10秒以上2分40秒以下
1:水抜け時間が2分50秒以上、あるいは、水が抜けない

<羽の形状>
5:良好で、均一な膜状になる
4:ほぼ均一な膜状になる
3:膜状になる
2:やや膜状になる
1:膜状にならない
また、焼成直後の羽を食したときの硬さ・パリパリ感を、専門パネラー5名で、合議の上、以下の基準で評価した。

<硬さ・パリパリ感>
5:硬くて、非常にパリパリしている
4:硬くて、パリパリしている
3:やや硬くて、パリパリしている
2:ややパリパリしている
1:パリパリしていない
<試験例1> 種々の乳化剤とその配合量の評価
表1に記載の油脂組成物を調製した。表2に記載の羽用組成物の配合でスラリーを調製し、評価をおこない、また、評価方法Aに従って、羽用組成物の評価をおこなった。その結果を表2に示す。
表2に示したように、3種類のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する油脂組成物で評価したところ、いずれのポリグリセリン脂肪酸エステルであっても、スラリーの均一感が得られ、また、焼成時のスラリーの広がり具合、水抜け、羽の形状が良好であった。またさらに、得られた羽を食したときの硬さ・パリパリ感も良好であった。
特に、焼成時のスラリーの広がり具合の点で、DO−100VとO−50Dがより良好であり、羽の形状の点で、DO−100VとA−173Eがより良好であった。
油脂組成物中のDO−100Vの含有量を0.7質量%以上20質量%以下で評価したところ、いずれも良好な羽を得ることができた。油脂組成物中のDO−100Vの含有量は、羽の形状の点で、1質量%以上13質量%以下が好ましく、3質量%以上6質量%以下がより好ましいことがわかった。
一方、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含まない比較例2−1では、スラリーの均一感が得られなかった。
<試験例2> 羽用組成物の配合の評価
表3に記載の羽用組成物の配合でスラリーを調製し、評価をおこない、また、評価方法Aに従って、羽用組成物の評価をおこなった。その結果を表3に示す。
表3に示したように、羽用組成物中の澱粉の含有量を5質量%以上15質量%以下とすることで良好な羽を得ることができた。羽用組成物中の澱粉の含有量は、スラリーの広がり具合の点で、10質量%以上15質量%以下がより好ましいことがわかった。一方、羽用組成物中の澱粉の含有量を2質量%とした場合には、羽の形状が充分ではなく、20質量%とした場合には、スラリーの広がりが充分ではなかった。
また、羽用組成物中の油脂組成物の含有量を10質量%以上40質量%以下とすることで良好な羽を得ることができた。羽用組成物中の油脂組成物の含有量は、スラリーの広がり具合の点で、10質量%以上35質量%以下が好ましいことがわかり、また、得られた羽を食したときの硬さ・パリパリ感の点で、20質量%以上40質量%以下が好ましいことがわかり、上記の点で、20質量%以上35質量%以下がより好ましいことがわかった。一方で、羽用組成物中の油脂組成物の含有量を0質量%とした場合には、得られた羽を食したときの硬さ・パリパリ感が充分ではなかった。
<試験例3> 焼き餃子での評価1
表4に記載の羽用組成物の配合でスラリーを調製した。以下のようにして、餃子を焼き、焼成時のスラリー状況と焼成直後の羽の評価をおこなった。
実施例4−1:
フライパンに冷蔵状態の蒸した餃子6個(14g/個)を置き、スラリーを30g添加し、焼き餃子を得た。
実施例4−2:
スラリーを30g添加したトレイに蒸した餃子6個(14g/個)を入れ、冷凍後、冷凍のままフライパンに置き、焼き餃子を得た。
なお、焼き餃子を調製するに際し、電磁調理器(東芝IH調理器(MR20DE)、東芝ホームアプライアンス社製)のメモリを5として、テフロン(登録商標)コーティングフライパン(28cm)を置いて30秒後(フライパン表面温度:約85℃)に、焼く前の蒸した餃子(6個)を置き、スラリーを加えた(冷凍したものはスラリーと一体化した焼く前の蒸した餃子を置いた)。素早く蓋をして、メモリを3にして、3分間加熱した。蓋をあけて、水分が飛ぶまで加熱した(ただし、最大4分まで)。この際、蓋を開けてからの水分がなくなるまでの時間(水抜け時間)を10秒単位で記録した。
焼成時のスラリー状況を以下の基準で評価した。

<広がり具合>
5:非常によく広がる
4:よく広がる
3:広がる
2:やや広がる
1:ほとんど広がらない

<水抜け>
5:水抜け時間が2分以下
4:水抜け時間が2分10秒以上2分30秒以下
3:水抜け時間が2分40秒以上3分以下
2:水抜け時間が3分10秒以上3分30秒以下
1:水抜け時間が3分40秒以上、あるいは、水が抜けない

<羽の形状>
5:良好で、均一な膜状になる
4:ほぼ均一な膜状になる
3:膜状になる
2:やや膜状になる
1:膜状にならない
また、焼成直後の羽を食したときの硬さ・パリパリ感を、専門パネラー5名で、合議の上、以下の基準で評価した。

<硬さ・パリパリ感>
5:硬くて、非常にパリパリしている
4:硬くて、パリパリしている
3:やや硬くて、パリパリしている
2:ややパリパリしている
1:パリパリしていない
表4に示したように、餃子の存在下においても、良好な羽を得ることができた。また、冷凍した餃子とスラリーが一体化した状態で、冷凍のまま焼成しても良好な焼き餃子と羽が得られた。
<試験例4> 焼き餃子での評価2
表5に記載の羽用組成物の配合でスラリーを調製した。以下のようにして、餃子を焼き、焼成時のスラリー状況と焼成直後の羽の評価を試験例3と同じ方法でおこなった。
(α化スラリーの調製)
直径14cmの鍋に、スラリー100g、水30gを加え、電磁調理器(東芝IH調理器(MR20DE)、東芝ホームアプライアンス社製)を用いてメモリ2で加熱し、水30g減少したところで、冷却し、澱粉がα化したスラリー(α化スラリー)を得た。
実施例5−1:
フライパンに冷蔵状態の蒸した餃子6個(14g/個)を置き、α化スラリーを30g添加し、焼き餃子を得た。
実施例5−2:
α化スラリーを30g添加したトレイに蒸した餃子6個(14g/個)を入れ、冷凍後、冷凍のままフライパンに置き、焼き餃子を得た。
なお、焼き餃子を調製するに際し、電磁調理器(東芝IH調理器(MR20DE)、東芝ホームアプライアンス社製)のメモリを5として、テフロン(登録商標)コーティングフライパン(28cm)を置いて30秒後(フライパン表面温度:約85℃)に、焼く前の蒸した餃子(6個)を置き、スラリーを加えた(冷凍したものはスラリーと一体化した蒸した餃子を置いた)。素早く蓋をして、メモリを3にして、3分間加熱した。蓋をあけて、水分が飛ぶまで加熱した(ただし、最大4分まで)。この際、蓋を開けてからの水分がなくなるまでの時間(水抜け時間)を10秒単位で記録した。
表5に示したように、予めスラリーを加熱し、澱粉をα化した、羽用組成物においても、餃子の存在下で良好な羽を得ることができた。
<試験例5> 種々の澱粉の評価
表6および表7に記載の羽用組成物の配合でスラリーを調製し、評価をおこない、また、評価方法Aに従って、羽用組成物の評価をおこなった。その結果を表6および表7に示す。
表6および表7に示したように、試験で使用したいずれの澱粉も焼成後の硬さ・パリパリ感が良好であった。羽の形状の点でハイアミロースコーンスターチ、レギュラーコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、α化ハイアミロースコーンスターチ、リン酸架橋馬鈴薯澱粉、アセチル化小麦澱粉、アセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋ワキシーコーンスターチ、リン酸架橋タピオカ澱粉およびアセチル化アジピン酸架橋ワキシーコーンスターチから選ばれる一種又は二種以上が好ましく、ハイアミロースコーンスターチ、レギュラーコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、α化ハイアミロースコーンスターチ、アセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉およびヒドロキシプロピル化リン酸架橋ワキシーコーンスターチから選ばれる一種又は二種以上がより好ましく、ハイアミロースコーンスターチおよびレギュラーコーンスターチから選ばれる一種又は二種がさらに好ましい。
また、水抜けの点で、ハイアミロースコーンスターチ、レギュラーコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、α化ハイアミロースコーンスターチ、アセチル化小麦澱粉およびアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉から選ばれる一種又は二種以上が好ましい。

Claims (11)

  1. 澱粉、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む油脂組成物、及び水を含む焼き餃子羽用組成物であって、
    前記澱粉の含有量が4質量%以上18質量%以下であり、
    前記油脂組成物の含有量が5質量%以上45質量%以下であり、
    前記油脂組成物の前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が0.5質量%以上25質量%以下である、前記焼き餃子羽用組成物。
  2. 前記澱粉の由来がコーン、馬鈴薯、小麦およびキャッサバから選ばれる一種又は二種以上である、請求項1に記載の焼き餃子羽用組成物。
  3. 前記澱粉が、未加工、もしくは、エステル化処理、ヒドロキシプロピル化処理およびα化処理から選ばれる一種又は二種以上の処理を経ている、請求項1又は2に記載の焼き餃子羽用組成物。
  4. 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸が不飽和脂肪酸である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の焼き餃子羽用組成物。
  5. 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルのグリセリン重合度が2以上10以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の焼き餃子羽用組成物。
  6. 焼き餃子の製造方法であって、
    生もしくは蒸した餃子を焼成するに際し、請求項1乃至5に記載の焼き餃子羽用組成物を添加することを特徴とする、前記製造方法。
  7. 生もしくは蒸した前記餃子100質量部に対し、前記焼き餃子羽用組成物を20質量部以上80質量部以下添加する、請求項6に記載の製造方法。
  8. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の焼き餃子羽用組成物に使用するための澱粉。
  9. 前記澱粉の由来がコーン、馬鈴薯、小麦およびキャッサバから選ばれる一種又は二種以上である、請求項8に記載の澱粉。
  10. 前記澱粉が、未加工、もしくは、エステル化処理、ヒドロキシプロピル化処理およびα化処理から選ばれる一種又は二種以上の処理を経ている、請求項8又は9に記載の澱粉。
  11. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の焼き餃子羽用組成物に使用するための油脂組成物であって、
    ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が0.5質量%以上25質量%以下である、前記油脂組成物。
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