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JP2018137049A - 卵殻膜からなる電解質膜を備えた燃料電池 - Google Patents

卵殻膜からなる電解質膜を備えた燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料として尿素や炭酸水を用いることができる燃料電池を提供する。【解決手段】卵殻膜からなる電解質膜を備えることにより、燃料として安全で取扱いが容易な尿素や炭酸水を用いることのできる燃料電池を提供できた。卵殻膜に白金または金の塩化物、塩化パラジウム、および塩化鉄等の金属塩化物を吸着させると、発電性能が向上する。卵殻膜は高温でも安定な素材であり、尿素も高温で安全な燃料であるから、卵殻膜を電解質膜とし、尿素を燃料とする燃料電池は、高温での直接尿素発電という効率的な発電性能の向上が期待される。【選択図】図4

Description

本発明は、卵殻膜からなる電解質膜を備えた固体高分子形燃料電池に関する。
化石燃料を使用しないクリーンなエネルギーとして知られている燃料電池は、燃料となる化合物を電気化学的に酸化することにより、燃料の化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換して取り出すものであり、エネルギー損失が少ない発電手段として注目されている。特に、固体高分子形燃料電池(polymer electrolyte fuel cell、PEFC)の一種である直接メタノール型燃料電池(direct methanol fuel cell、DMFC)は、メタノールと水の化学反応を起点として電気エネルギーを生産するものであり、水素を燃料とするタイプの燃料電池と異なり、貯蔵や運搬が容易な液体燃料を発電することができるため、小型で簡便な動力源として自動車や電化製品への応用が見込まれている。
固体高分子形燃料電池で用いる高分子系電解質膜は、膜におけるプロトン移動の効率が発電力の高さに直接影響し、発電性能向上にとって重要な部品である。最も使用されている高分子系電解質膜は、ナフィオン(Nafion:登録商標、デュポン社製)に代表されるパーフルオロスルホン酸膜であり、加水分解及び酸化に対する高い安定性と優れたプロトン伝導性を有するが、高価格であり、90℃以上の比較的高い温度及び低温度における伝導性の喪失、およびメタノール透過性が高いという欠点がある。
本発明者らは、固体高分子形燃料電池用の新たな電解質膜として、天然薄膜である卵殻膜を利用することに成功した(特許文献1)。卵殻膜は、鶏卵などの鳥類の卵の卵殻の内側にある膜で、微細かつ丈夫な繊維からなる網目構造をもつタンパク質であり、燃料電池用の電解質膜に適することを見出した。
特許第6016019号明細書
本発明は、パーフルオロスルホン酸高分子系電解質膜を用いる従来の燃料電池では使用できない燃料で発電することのできる、卵殻膜で作製した電解質膜を用いる燃料電池を提供することを課題とする。
直接メタノール型燃料電池では、負極(燃料極)で、燃料のメタノールが水と反応して、CHOH+HO→CO+6H+6eというアノード反応によりプロトンが発生し、高分子系電解質膜中を伝導したプロトンが正極(空気極)で酸素と反応して、6H+(3/2)O+6e→3HOというカソード反応により水が生成される。
一方、メタノールではなく尿素を固体高分子形燃料電池の燃料とすると、従来のパーフルオロスルホン酸膜系の電解質膜では、強酸性基のスルホ基が尿素と相互作用してプロトン伝導性を低下させて、発電することができなかった。
ところが、電解質膜として卵殻膜を用いると、卵殻膜の主成分はタンパク質であるため強酸性基がなく、尿素との相互作用の影響が少なくプロトン移動が起こるため、尿素を燃料として発電することを発見した。
これまで、尿素を燃料とする際には燃料にアルカリ試薬を添加し、電解質膜もアニオン交換膜を使用してOHイオンの伝達で発電していたが、卵殻膜は、尿素、あるいは尿素原料として直接尿を中性条件で燃料として使用できるばかりか、今まで燃料電池の燃料として使用できなかった二酸化炭素(炭酸水)も、そのまま燃料として発電できる。
このように、本発明者らは、卵殻膜では膜の内部でプロトン移動が起こるという従来の電解質膜素材と発電のメカニズムが異なることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、以下の技術的事項から構成される。
(1)卵殻膜からなる電解質膜と金属触媒と電極とを備え、燃料として、尿素または炭酸水を用いることを特徴とする燃料電池。
(2)卵殻膜には金属塩化物が吸着されている、(1)に記載の燃料電池。
(3)金属塩化物が白金または金の塩化物、塩化パラジウム、または塩化鉄である、(2)に記載の燃料電池。
(4)金属触媒が白金、金、ニッケルまたは銀である、(1)ないし(3)のいずれかに記載の燃料電池。
(5)金属触媒が卵殻膜の両面に担持されている、(1)ないし(4)のいずれかに記載の燃料電池。
卵殻膜からなる電解質膜を用いた燃料電池は、本発明者らによって既に提案されていた(特許文献1)が、メタノールを燃料として卵殻膜でも発電したことにとどまっていた。本発明の卵殻膜を用いた燃料電池では、燃料として尿素を水溶液のままで使用することができる。尿素はメタノールや水素に比べて安全で取扱いが容易であるばかりか、人間、動物が生活する場所であれば尿としてどこでも取得できるという大きな利点がある。また、従来の燃料電池では今まで発電しなかった燃料である炭酸水を用いることができることを初めて見出し、卵殻膜の有する新たな機能性が示された。
さらに、燃料として尿素を用いて80℃までの発電効率を検討した結果、メタノール燃料では不可能な高温で作動させることが可能であり、しかも、高温での発電は常温でのものよりはるかに効率的な発電性能をもたらすことも明らかになった。燃料電池の発電力を高めるためには、動作温度は100〜200℃に高くする必要がある。従来のパーフルオロスルホン酸膜系の電解質膜は、約90℃で伝導性が喪失するので高温では使用できかったが、卵殻膜は200℃まで安定な素材であり、尿素も高温で安全な燃料であるから、本発明の燃料電池は、従来の電解質膜を用いた燃料電池に比べ、より効率的な発電力の向上という画期的な効果が期待できる。
燃料電池の構造と尿素を用いた燃料電池の反応式 本発明の燃料電池が尿素を燃料とする作用機構 金属塩化物を吸着させた卵殻膜の発電力 メタノールと尿素による燃料電池の性能比較 家畜の尿を用いた発電の試み 本発明の燃料電池が炭酸水を燃料とする作用機構
本発明は、卵殻膜を電解質膜として、尿素や炭酸水を燃料とする燃料電池に関する。
本発明で使用される卵殻膜は、陸生の卵生動物すべての卵、特に鳥類の卵の卵殻の内側にある膜であればいずれも使用できる。特に鶏卵の卵殻膜が、入手の容易性、コストの点から好ましい。
卵殻膜は、コラーゲン、グルコサミン、デスモシンおよびヒアルロン酸を含み、繊維性のタンパク質を主成分とする網目状の構造を有する。タンパク質は、構成アミノ酸としてシステインを多く含み、酸、アルカリ、プロテアーゼに対して比較的安定で、水に不溶性である。タンパク質内部にあるアミノ酸側鎖が、プロトンを移動させる機能を有するため、卵殻膜は燃料電池用の電解質膜として用いることができる。
卵から卵殻膜を分離して得る方法は特に限定されないが、電解質膜として用いるためには、ある程度の面積が必要のため、卵からできるだけ大きく平らな卵殻膜を切り出す必要がある。例えば、卵の鋭端部に直径1〜3cm程度の小さな穴をあけて、卵白、卵黄を取り出した後水洗いして、洗った卵殻膜付きの卵殻を高濃度の酢酸水溶液に漬ける。80〜90%の酢酸水溶液に2〜3日漬けることにより、卵殻の主成分である炭酸カルシウムを溶解させることができる。
通常卵の原型をほぼ保持している卵殻膜が得られ、ハサミ等を用いて鋭端部と鈍端部を切り除いて中央部が膨らんだ略筒状とし、縦方向に切って展開してから、燃料電池の電極より大きなサイズに切り出す。切り出した卵殻膜は天日乾燥、室温乾燥等で乾燥させる。このようにして得られた卵殻膜には金属塩化物を吸着させることが好ましい。金属塩化物水溶液に卵殻膜を浸漬して金属塩化物を吸着させると、導入された金属イオンにより燃料電池の発電性能を増すことができ、白金や金の塩化物、塩化パラジウムもしくはおよび塩化鉄が好ましい。
次いで、乾燥させた2〜3cm角の卵殻膜を燃料電池の電解質膜として用いるために、卵殻膜の両面に触媒層をコーティングする。触媒としては、燃料または酸素との酸化還元反応を活性化できる金属を用いることができ、白金、金、ニッケル、または銀が好ましい。金属の触媒層を卵殻膜の両面にコーティングする方法は、通常のコーティング方法を用いることができるが、卵殻膜にはスパッタコーティングを用いて、少量かつ均一な触媒層を作製することが好ましい。
このようにして得られた、コーティングにより触媒層を両面に担持させた卵殻膜を、電極間に挿入して燃料電池ユニットを作成する。電極間に挿入する前に、コーティングした卵殻膜に両面導電テープを格子状に貼り付けてもよく、または、電極としてバイポーラプレートと呼ばれる導電板で直接挟み込んでもよい。尿素または炭酸水を燃料としたタイプの固体高分子形燃料電池用として使用することができ、なかでも、直接燃料形燃料電池用の直接尿素型燃料電池用、直接炭酸水型燃料電池用として使用することが好ましい。
以下に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実験1:卵殻膜を電解質膜とする燃料電池の作成]
中身を取り出して水洗いの終わった卵殻膜付きの卵殻を、酢酸水溶液(90%)に2日間漬けて炭酸カルシウムを溶解させてから、これを水洗、乾燥した後、2.8cm角の大きさに切り整えた。スパッタ装置(真空デバイス社製 MSP−1S マグネトロンスパッタ装置)を用いて、両面の切片中央の約1cm角部分に1分間白金層をスパッタコーティングし、両面で約60μgの白金を担持させた。
切片中央の白金コートした部分を囲むように、膜に両面導電テープを格子状に貼り付けてから、2つの電極で挟んで燃料電池キットを作成した。
[実験2:卵殻膜に金属塩化物を吸着させた燃料電池の作成]
上記(1)と同様の水洗、乾燥後に約3cm角に切り整えた卵殻膜の切片を、それぞれHAuCl、HPtCl、PdCl、FeClの0.01M水溶液に24時間浸漬させて吸着させた。乾燥後、膜の両面にスパッタ装置を用いて、両面の切片中央の約1cm角部分に1分間白金層をスパッタコーティングし、両面で約60μgの白金を担持させてから、膜を電極間に挿入して燃料電池キットを作成した。
燃料電池の基本構造は、図1に示すとおりである。
[実験3:尿素を使用した燃料電池の起電力の測定]
尿素を用いた燃料電池の反応式は、図1に示すとおりである。
(1)測定方法
同じ条件の燃料電池を4個作製し、燃料電池セル内へ3%尿素水溶液を導入した後に、デジタルマルチメーター(A&D製AD−5529)で起電力の経時変化について2時間測定し、それをビデオカメラで記録した。さらに、0分と120分後については、朝日分光製IVP0605I−V測定装置(ニ端子法で測定)でI−V測定を行った。I−V測定から求めた最大出力の平均値を求めた。
(2)白金触媒を使用した燃料電池
実験1の(1)で作成した2.8cm角の卵殻膜を使用した燃料電池では、3%尿素溶液を燃料とした場合の発電の最大出力は、3.0μWであった。卵殻膜を電解質膜として用いると、卵殻膜の主成分はタンパク質であるため強酸性基がなく、尿素との相互作用の影響が少なくプロトン移動が起こるため、発電することがわかった。図2にその作用機構を示す。卵殻膜は尿素を中性条件で燃料として使用できることから、プロトン移動が膜内部で起こると推定される。
次に、起電力が卵殻膜の大きさにより影響を受けるかどうかを検討した。実験2と同様な方法で、事前に0.01Mの塩化鉄水溶液に24時間浸漬させた、それぞれ2.4cm角、2.6cm角、3.0cm角の卵殻膜に対して白金コートを行ってから、燃料電池を作成した。3%尿素水溶液を燃料とすると、それぞれ、21.7μW、26.4μW、40.3μWの最大出力が測定された。膜が大きくなるに従って発電性能が向上することが確認されたが、鶏卵の卵殻膜を使用する場合、3cm角以上の大きさのものを作成するのは困難であった。
(3)異なる金属塩化物を吸着させた卵殻膜を使用した燃料電池
実験2で作製した、それぞれ塩化金酸(HAuCl)、塩化白金酸(HPtCl)、塩化パラジウム(PdCl)、塩化鉄(FeCl)を吸着させた2.8cm角の卵殻膜を使用した燃料電池のセルに、3%尿素水溶液を導入して起電力を測定した。金属塩化物を吸着させていない卵殻膜を用いたものを対照として実験した。
その結果を図3に示す。塩化金酸を吸着させた卵殻膜の発電性能が最も向上し、対照の約35倍もの起電力を示した。それ以外の塩化物でもそれぞれ、対照に比べ、21倍、15倍、11倍の起電力が測定され、金属塩化物として金属イオンを導入すると、発電性能が最大値を示すことがわかった。
[実験4:メタノールと尿素による燃料電池の性能比較]
市販されているナフィオン(登録商標)膜と本発明の卵殻膜をそれぞれ使用した燃料電池の性能比較実験を行った。本発明の卵殻膜としては、上記実験3で最も発電性能が高い塩化金酸を吸着させたものを用いた。対照として、金属塩化物を吸着させていない卵殻膜を用いた。
燃料として3%メタノール溶液を用いた場合、本発明の卵殻膜を用いたもの(150μW)は、ナフィオン膜を用いたもの(910μW)の1/9の発電性能であったが、燃料として3%尿素溶液を用いると、本発明の卵殻膜を用いたもの(130μW)は、ナフィオン膜を用いたもの(2.0μW)の65倍、発電性能が向上した(図4)。
本発明の卵殻膜を用いた燃料電池では、燃料として尿素をそのまま水溶液で使用できることが確認された。下記表1に示すように、尿素はメタノールや水素に比べて安全で取扱いが容易であり、燃料電池の燃料とできることのメリットは大きい。
また、本発明の卵殻膜が尿素を燃料とできるのは、卵殻膜の主成分がタンパク質であるため強酸性基がなく、尿素と卵殻膜との相互作用は尿素とナフィオン(登録商標)膜との相互作用よりも小さくなり、卵殻膜の機能は触媒で分解されたプロトンを移動させるために用いられることがわかった。
[実験5:家畜の尿を用いた発電の試み]
塩化鉄(1.0×10−2M)で吸着処理した卵殻膜に、触媒の白金を両面に1cm角にスパッタコートして燃料電池を作成し、黒毛和牛のメスの尿を燃料として起電力を測定した。比較として2%尿素水溶液を用いた。
結果は図5に示すように、尿を燃料とした方が2%尿素水溶液より多く発電し、尿中のホルモン等の有機物が発電に寄与した可能性があり、卵殻膜を用いる燃料電池が人間の生活圏全てで発電可能な装置となることが分かった。
[実験6:温度条件の変化による発電性能の比較]
燃料として尿素を用いて80℃までの発電性能を測定した。
塩化鉄(1.0×10−2M)で吸着処理した卵殻膜に、触媒の白金を両面に1cm角にスパッタコートして燃料電池を作成し、3%尿素水溶液を導入した。燃料電池を恒温器内に設置して、器内の温度を20℃〜80℃に徐々に上昇させながら、テスターで発電の経時変化を追跡した。
その結果は、以下の表2のとおりであり、80℃では、20℃での7倍以上発電性能が高まることが確認された。このように、尿素を用いると、メタノール燃料では不可能な高温で作動させることが可能であり、しかも、高温での発電は常温でのものよりはるかに効率的な発電性能をもたらすことも明らかになった。
燃料電池の発電力を高めるためには、動作温度は100〜200℃に高くする必要がある。従来のパーフルオロスルホン酸膜系の電解質膜は、約90℃で伝導性が喪失するので高温では使用できなかったが、卵殻膜は200℃まで安定な素材であり、尿素も高温で安全な燃料であるから、本発明の燃料電池は、従来の電解質膜を用いた燃料電池に比べ、尿素と卵殻膜の相乗効果により、より効率的な発電力の向上という画期的な効果が期待される。
[実験7:炭酸水を使用した燃料電池の起電力の測定]
従来の燃料電池では今まで発電することのできなかった燃料である炭酸水を用いることができるかどうか検討した。
ナフィオン(登録商標)膜と本発明の卵殻膜を用いた燃料電池に炭酸水を導入して発電力を測定した。結果は表3に示すとおりである。
ナフィオン(登録商標)膜ではほとんど発電しないが、本発明の卵殻膜、特に塩化鉄処理した卵殻膜を用いると、メタノールや尿素を燃料とした場合と同等の発電性能が確認され、二酸化炭素を溶かした水が、燃料として作用することを初めて示すものである。炭酸水を用いた燃料電池の反応式と発電の仕組みを図6に示した。
本発明の燃料電池が炭酸水でも発電できたことにより、従来の電解質膜素材と発電のメカニズムが異なり、卵殻膜では膜の内部でプロトン移動が起こるということが解明され、これにより、卵殻膜だけではなく、卵殻膜様タンパク質の天然薄膜が、今後燃料電池の電解質膜として探究される礎となる結果である。
そして、卵殻膜と尿素の両方が高温で安定であることにより、高温での直接尿素発電のような効率的な発電が可能となり、実用面においても革新的な燃料電池を提供することができる。
本発明によれば、卵殻膜からなる電解質膜を備えることにより、燃料として尿素や炭酸水を用いることができる燃料電池を提供できる。卵殻膜に金属塩化物を吸着させると発電性能が向上する。高温でも安定な尿素を燃料として用いることで、高温での直接尿素発電のような効率的な発電性能の向上が期待される。
燃料電池の従来の燃料であるメタノールや水素に比べ、尿素や炭酸水は安価であるばかりか、安全で取扱いが容易であるという、燃料電池の燃料として最良の利点を有するものである。しかも、尿素原料として尿をそのまま燃料として用いることができるので、人間や家畜の生活するところであれば、どこでも燃料を入手できる燃料電池の提供を可能とする。

Claims (5)

  1. 卵殻膜からなる電解質膜と金属触媒と電極とを備え、燃料として、尿素または炭酸水を用いることを特徴とする燃料電池。
  2. 卵殻膜には金属塩化物が吸着されている、請求項1に記載の燃料電池。
  3. 金属塩化物が白金または金の塩化物、塩化パラジウム、または塩化鉄である、請求項2に記載の燃料電池。
  4. 金属触媒が白金、金、ニッケルまたは銀である、請求項1ないし3のいずれかに記載の燃料電池。
  5. 金属触媒が卵殻膜の両面に担持されている、請求項1ないし4のいずれかに記載の燃料電池。


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