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JP2018121194A - 画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム - Google Patents

画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム Download PDF

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JP2018121194A
JP2018121194A JP2017011135A JP2017011135A JP2018121194A JP 2018121194 A JP2018121194 A JP 2018121194A JP 2017011135 A JP2017011135 A JP 2017011135A JP 2017011135 A JP2017011135 A JP 2017011135A JP 2018121194 A JP2018121194 A JP 2018121194A
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孝之 平野
Takayuki Hirano
孝之 平野
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Abstract

【課題】補間処理による色ズレの発生を抑制し、画質劣化を軽減可能にすることを課題とする。【解決手段】ゲイン処理部(303)は、画像信号にゲイン処理を行う。幾何学補正部(304)は、画像に対して画素補間を伴う所定の幾何学補正処理を行う。画素解析部(305)は、画像信号の画素情報を解析する。CPU(110)は、ゲイン処理部(303)でのゲイン処理に用いるゲイン値を決定する。そして、幾何学補正部(304)は、幾何学補正処理の対象画素の画素値を、入力された画像の対象画素の周辺画素の画素値を用いた画素補間により生成する。また、CPU(110)は、画素解析部8305)による解析情報を基にゲイン値を決定する。【選択図】図3

Description

本発明は、画像を処理する画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムに関する。
従来、プロジェクタ本体をスクリーンに対して傾斜して配置した場合、スクリーン上に映し出される投影映像は、台形に歪んだ映像となる。このような台形歪みを補正する手法としては、スクリーン上で投影映像が矩形に表示されるように、投影用のパネル面に形成される画像に変形補正を施すような手法が知られている。
ここで、入力画像に対して変形補正が施された場合、入力画像の画素位置と、パネル面に形成される変形補正後の画像の画素位置とが、一致しなくなることがある。この場合、パネル面における対象画素の画素値は、入力画像内で、その対象画素に相当する位置の周辺画素の画素値から補間処理により求められる。
この補間処理の方法としては、例えば、ニアレストネイバー補間処理、バイリニア補間処理、バイキュービック補間処理等が一般的に知られている。これら補間処理の中でも、特にバイキュービック補間処理は、解像感をあまり落とさずに補間できることから、プロジェクタ等の表示装置ではよく使われている。
また、台形歪み補正の場合だけでなく、例えば解像度変換や他の様々な変形等の処理が行われる場合にも、入力画像の画素位置と、パネル面の処理後の画素位置とが一致しなくなることがあり、これらの場合にも同様の補間処理が必要となる。
ただし、これら補間処理が行われる場合、パネル面の対象画素の画素値は、入力画像内でその対象画素に相当する位置の周辺画素の画素値を用いた補間演算により求められるため、解像感の低下や色ズレ等が生じ、画質が劣化してしまうことがある。
一方で、例えば特許文献1には、台形歪みの補正により輪郭のぼけた画像に対してエッジ強調処理をかけることによって、画質の改善を実現可能とした画像処理装置が開示されている。
特開2005−210418号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術の場合、エッジ強調処理により解像感の改善を実現してはいるが、補間処理による色ズレで生ずる画質劣化の問題については解決できていない。
そこで、本発明は、補間処理による色ズレの発生を抑制し、画質劣化を軽減可能にすることを目的とする。
本発明は、画像信号にゲイン処理を行う処理手段と、画像に対して画素補間を伴う所定の変形処理を行う変形手段と、画像信号の画素情報を解析する解析手段と、前記処理手段の前記ゲイン処理に用いるゲイン値を決定する決定手段と、を有し、前記変形手段は、前記変形処理の対象画素の画素値を、入力された画像の前記対象画素の周辺画素の画素値を用いた前記画素補間により生成し、前記決定手段は、前記解析手段による解析情報を基に前記ゲイン値を決定することを特徴とする。
本発明によれば、補間処理による色ズレの発生を抑制し、画質劣化を軽減可能となる。
液晶プロジェクタの全体の構成を示す図である。 液晶プロジェクタの基本動作のフローチャートである。 第1の実施形態の画像処理部の一構成例を示す図である。 第1の実施形態の画像処理部の動作のフローチャートである。 第2の実施形態の画像処理部の一構成例を示す図である。 第2の実施形態の画像処理部の動作のフローチャートである。 第3の実施形態の画像処理部の一構成例を示す図である。 第3の実施形態の画像処理部の動作のフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本実施形態では、画像処理装置の一適用例として液晶プロジェクタを例に挙げて説明する。液晶プロジェクタには、単板式、3板式などが一般に知られているが、本実施形態の液晶プロジェクタはどちらの方式であってもよい。本実施形態の液晶プロジェクタは、表示するべき画像に応じて、液晶パネルの光の透過率を制御し、その液晶パネルを透過した光源からの光をスクリーンに投影することで、映像をユーザに提示する。
以下、このような液晶プロジェクタについて説明する。
<全体構成>
図1は、本実施形態の液晶プロジェクタ100の全体構成例を示す図である。
本実施形態の液晶プロジェクタ100は、CPU110、ROM111、RAM112、操作部113、画像入力部130、画像処理部140を有する。さらに、液晶プロジェクタ100は、液晶制御部150、液晶パネル151R、151G、151B、光源制御部160、光源161、色分離部162、色合成部163、光学系制御部170、投影光学系171を有する。また、液晶プロジェクタ100は、記録再生部191、記録媒体192、通信部193、撮像部194、表示制御部195、表示部196を有していてもよい。
CPU110は、液晶プロジェクタ100の各ブロックを制御する。ROM111は、CPU110の処理手順を記述した制御プログラムを記憶する。RAM112は、ワークメモリとして一時的に制御プログラムやデータを格納する。また、CPU110は、記録再生部191を介して記録媒体192から静止画データや動画データを読み出し、それらのデータをRAM112に一時的に記憶させる。また、CPU110は、通信部193を介して受信した静止画や動画のデータを、RAM112に一時的に記憶させる。また、CPU110は、撮像部194により撮像された静止画データや動画データを、RAM112に一時的に記憶させる。さらに、CPU110は、ROM111に記憶されたプログラムを実行することにより、RAM112に一時記憶されている静止画データや動画データを記録用のデータに変換し、記録再生部191を介して記録媒体192に記録させることもできる。またCPU110は、ROM111に記憶されたプログラムを実行することで、RAM112に記憶された静止画データや動画データを、画像処理部140により表示用のデータに変換させ、表示制御部195を介して表示部196に表示させることもできる。
操作部113は、ユーザからの指示を受け付け、その指示信号をCPU110に送るものである。操作部113は、例えばスイッチやダイヤル、表示部196上に設けられたタッチパネルなどからなる。そして、CPU110は、それら操作部113から入力された指示信号に基づいて、液晶プロジェクタ100の各ブロックを制御する。また、操作部113は、例えばリモートコントローラ(以下、リモコンと表記する。)からの信号(赤外線による信号)を受信する信号受信部(赤外線受信部)であってもよい。この場合の操作部113は、リモコンから赤外線によるユーザの指示信号を受信して、その指示信号をCPU110に送る。そして、CPU110は、その指示信号に基づいて、液晶プロジェクタ100の各ブロックを制御する。
画像入力部130は、図示しない外部装置等から送信されてくる映像信号を受信するためのインターフェース部である。画像入力部130は、例えば、コンポジット端子、S映像端子、D端子、コンポーネント端子、アナログRGB端子、DVI−I端子、DVI−D端子、HDMI(登録商標)端子等をも含む。画像入力部130は、アナログ映像信号を受信した場合には、そのアナログ映像信号をデジタル映像信号に変換して画像処理部140に送り、また、デジタル映像信号を受信した場合には、そのデジタル映像信号を画像処理部140に送る。以下、デジタル映像信号を画像データと表記する。ここで、外部装置は、映像信号を出力できるものであれば、パーソナルコンピュータ、カメラ、携帯電話、スマートフォン、ハードディスクレコーダ、ゲーム機など、どのようなものであってもよい。
画像処理部140は、画像入力部130から受け取った画像データに対し、フレーム数の変更処理、画素数の変更処理、画像形状の変更処理などを施して、液晶制御部150に送るものである。また、画像処理部140は、フレーム間引き処理、フレーム補間処理、解像度変換処理、画素解析処理、幾何学補正処理(キーストン補正処理、曲面補正処理等)、ゲイン処理、オフセット処理、パネル処理といった各処理を行うことも可能である。また、画像処理部140は、記録媒体192から読み出された静止画や動画、通信部193を介して受信された静止画や動画、撮像部194により撮像された静止画や動画のデータに対して、前述の各処理を施すこともできる。画像処理部140は、例えば画像処理用のマイクロプロセッサからなる。なお、画像処理部140は専用のマイクロプロセッサとして設けられる必要はなく、例えば、ROM111に記憶されたプログラムに基づいて、CPU110が画像処理部140と同様の処理を実行してもよい。
光源制御部160は、光源161のオン/オフの制御や光量の制御をするものであり、制御用のマイクロプロセッサにて構成されている。なお、光源制御部160は専用のマイクロプロセッサとして設けられる必要はなく、例えば、ROM111に記憶されたプログラムに基づいて、CPU110が光源制御部160と同様の制御を実行してもよい。光源161は、不図示のスクリーンに映像を投影するための光を発生するものであり、例えば、ハロゲンランプ、キセノンランプ、高圧水銀ランプなどであってもよい。色分離部162は、光源161からの光を、赤、緑、青(以下、R,G,Bと表記する。)の三原色の光に分離するものであり、例えば、ダイクロイックミラーやプリズムなどからなる。なお、光源161として、R,G,Bの各色に対応するLED等を使用する場合には、色分離部162は不要である。光源161の光が色分離部162により分離されたR,G,Bの各色の光は、R,G,Bの各色に対応して設けられている液晶パネル151R、151G、151Bに入射する。
液晶パネル151R、151G、151Bは、液晶制御部150から供給される駆動信号に基づいて、パネル面に画像を形成する。パネル面への画像形成は、画素(ドット)毎に入射光の透過量を変化させることにより行われる。これら液晶パネル151R、151G、151Bは、それぞれ対応したR,G,Bの各色の入射光に対して画素毎に光変調を行う光変調パネルである。なお、本実施形態では、光変調パネルは透過型のパネルとなされているが、反射型のパネルであってもよい。液晶パネル151Rは、色分離部162によりR,G,Bの各色に分離された光のうち、R光に対応して設けられた液晶パネルである。液晶パネル151Rは、複数の画素が二次元配列されて構成され、画素毎にR光の透過量を調整する。液晶パネル151Gは、色分離部162によりR,G,Bの各色に分離された光のうち、G光に対応して設けられた液晶パネルである。液晶パネル151Gは、複数の画素が二次元配列されて構成され、画素毎にG光の透過量を調整する。液晶パネル151Bは、色分離部162によりR,G,Bの各色に分離された光のうち、B光に対応して設けられた液晶パネルである。液晶パネル151Bは、複数の画素が二次元配列されて構成され、画素毎にB光の透過量を調整する。
液晶制御部150は、画像処理部140による処理後の各フレームの画像データに基づいて、液晶パネル151R、151G、151Bの各画素における光透過率を調整するための駆動信号を生成する。具体的には、液晶制御部150により生成される駆動信号は、液晶パネル151R、151G、151Bの各画素の液晶に印加する電圧を制御する信号である。液晶制御部150は、画像処理部140から送られてきた各フレーム画像のR,G,Bの各色成分の画素毎の階調レベルに応じて、液晶パネル151R、151G、151Bの各画素に印加する電圧を制御することで、各画素の光透過率を調整する。液晶制御部150は、例えば制御用のマイクロプロセッサにより構成される。なお、液晶制御部150は専用のマイクロプロセッサとして設けられる必要はなく、例えば、ROM111に記憶されたプログラムに基づいて、CPU110が液晶制御部150と同様の制御を実行してもよい。
光学系制御部170は、投影光学系171を制御するものであり、例えば制御用のマイクロプロセッサからなる。なお、光学系制御部170は専用のマイクロプロセッサとして設けられる必要はなく、例えば、ROM111に記憶されたプログラムに基づいて、CPU110が光学系制御部170と同様の制御を実行してもよい。色合成部163は、液晶パネル151R、151G、151Bをそれぞれ透過したR,G,Bの各光を合成するものであり、例えば、ダイクロイックミラーやプリズムなどからなる。色合成部163によりR,G,Bの光が合成された光は、投影光学系171に入射する。投影光学系171は、色合成部163にて合成された光による投影像をスクリーン上に形成するための光学系である。投影光学系171は、複数のレンズ、レンズ駆動用のアクチュエータを含み、レンズをアクチュエータにより駆動することで、投影映像の拡大、縮小、焦点調整、レンズシフトなどを行うことができる。本実施形態では、液晶パネル151R、151G、151Bは、画像処理部140からの画像データに基づいて液晶制御部150により各画素の透過率が調整される。そして、色合成部163は、液晶パネル151R、151G、151Bを介したR,G,Bの各光を合成し、その合成された光が投影光学系171によりスクリーンに投影される。このため、スクリーン上には、画像処理部140からの画像データに対応した映像が投影されて表示されることになる。
記録再生部191は、記録媒体192から静止画データや動画データを再生する。また、記録再生部191は、撮像部194により得られた静止画データや動画データを記録媒体192に記録する。記録再生部191は、通信部193より受信された静止画データや動画データを、記録媒体192に記録することもできる。記録再生部191は、例えば、記録媒体192に対して画像データの記録や再生等を行うためのインターフェースやマイクロプロセッサからなる。なお、記録再生部191は専用のマイクロプロセッサを有していなくてもよく、例えば、ROM111に記憶されたプログラムに基づいて、CPU110が記録再生部191と同様の処理を実行してもよい。記録媒体192は、静止画データや動画データをはじめ、本実施形態の液晶プロジェクタにおいて必要な制御データなどをも記録することができる。記録媒体192は、磁気ディスク、光学式ディスク、半導体メモリなどのあらゆる方式の記録媒体であってよく、着脱可能な記録媒体であっても、内蔵型の記録媒体であってもよい。
通信部193は、外部機器からの制御信号、静止画データや動画データなどを受信する。通信部193は、例えば、無線LAN、有線LAN、USB、Bluetooth(登録商標)などに準拠したものであってよく、特定の通信方式に限定されるものではない。また、画像入力部130の端子が例えばHDMI(登録商標)端子である場合には、通信部193は、その端子を介してCEC通信を行うものであってもよい。なお、外部装置は、液晶プロジェクタ100と通信を行うことができるものであれば、パーソナルコンピュータ、カメラ、携帯電話、スマートフォン、ハードディスクレコーダ、ゲーム機、リモコンなど、どのようなものであってもよい。
撮像部194は、本実施形態の液晶プロジェクタ100の周辺を撮像して画像を取得するものであり、例えば、投影光学系171を介してスクリーンに投影された映像を撮影(スクリーン方向を撮影)することができる。撮像部194は、被写体の光学像を撮像素子の撮像面上に形成するレンズ、レンズを駆動するアクチュエータ、アクチュエータを制御するマイクロプロセッサ、撮像面上に形成された光学像を画像信号に変換する撮像素子を含む。撮像部194はまた、撮像素子により得られたアナログ画像信号をデジタル画像データに変換するAD変換部なども有する。撮像部194は、撮像した画像データをCPU110に送り、CPU110は、撮像部194からの画像データを一時的にRAM112に記憶させる。そして、CPU110は、ROM111に記憶されたプログラムを実行することにより、RAM112に一時記憶した画像データを、液晶プロジェクタ100で扱われるデータに変換する。なお、撮像部194は、スクリーン方向を撮影するものに限られず、例えば、スクリーンと逆方向の視聴者側を撮影してもよい。
表示制御部195は、表示部196に、液晶プロジェクタ100を操作するための操作画面やスイッチアイコン等の映像を表示させるための制御を行うものであり、表示制御を行うマイクロプロセッサなどからなる。なお、表示制御部195は専用のマイクロプロセッサとして設けられる必要はなく、例えば、ROM111に記憶されたプログラムに基づいて、CPU110が表示制御部195と同様の処理を実行してもよい。表示部196は、表示制御部195による制御の下、液晶プロジェクタ100を操作するための操作画面やスイッチアイコンを表示する。表示部196は、映像を表示できればどのようなものであってもよい。例えば、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイであってよい。また、表示部196は、例えば、特定のボタンをユーザに認識可能に掲示するために、各ボタンに対応するLED等を発光させるものであってもよい。
なお、本実施形態の画像処理部140、液晶制御部150、光源制御部160、光学系制御部170、記録再生部191、表示制御部195は、これらの各ブロックと同様の処理を行うことのできる単数または複数のマイクロプロセッサあってもよい。または、例えば、ROM111に記憶されたプログラムに基づいて、CPU110が各ブロックと同様の処理を実行してもよい。
<基本動作>
図2は、本実施形態の液晶プロジェクタ100の基本動作を説明するためのフローチャートである。図2に示すフローチャートの動作は、基本的には、CPU110が、ROM111に記憶されたプログラムに基づいて、各ブロックを制御することにより実行される。図2のフローチャートの処理は、操作部113や不図示のリモコンによりユーザが液晶プロジェクタ100の電源のオンを指示した時点で開始される。
操作部113や不図示のリモコンによりユーザが液晶プロジェクタ100の電源のオンを指示すると、CPU110は、不図示の電源部の電源回路から、液晶プロジェクタ100の各部に電源を供給させる。次に、CPU110は、ステップS210の処理として、ユーザによる操作部113やリモコンの操作により選択された表示モードを判定する。以下、ステップS210をS210と略記し、これ以降の各ステップにおいても同様に表記する。
ここで、本実施形態における液晶プロジェクタ100は、例えば3つの表示モードを有する。第1の表示モードは、画像入力部130より入力された画像を表示する「入力画像表示モード」である。第2の表示モードは、記録再生部191により記録媒体192から読み出された静止画や動画を表示する「ファイル再生表示モード」である。第3の表示モードは、通信部193により受信された静止画や動画を表示する「ファイル受信表示モード」である。なお、本実施形態では、ユーザにより表示モードが選択される場合について説明するが、電源を投入した時点での表示モードは、前回終了時の表示モードであってもよく、また、前述のいずれかの表示モードをデフォルトの表示モードとしてもよい。その場合には、S210の処理は省略可能である。ここでは、S210で「入力画像表示モード」が選択されたものとして説明する。
S210において「入力画像表示モード」が選択されると、CPU110は、S220の処理として、画像入力部130から画像が入力されているか否かを判定する。CPU110は、S220において入力されていないと判定(No)した場合には、入力が検出されるまで待機し、一方、入力されていると判定(Yes)した場合には、S230で投影処理を実行する。
CPU110は、S230の投影処理として、画像入力部130により入力された画像データを画像処理部140に送り、画像処理部140に対し、画像の画素数の変更、フレームレートの変更、形状の変形等の処理を行わせる。また、S230では、CPU110は、画像処理部140による処理後の画像データを、画像処理部140から液晶制御部150へ送らせる。そして、CPU110は、液晶制御部150に対し、液晶パネル151の制御を行わせる。このときの液晶制御部150は、画像処理部140による処理後の画像毎に、各画像のR,G,Bの各色成分の階調レベルに応じた透過率となるように、液晶パネル151R、151G、151Bの画素毎の透過率を制御する。また、S230において、CPU110は、光源制御部160に対し、光源161が光を発するように制御させる。光源161から発せられた光は、色分離部162によりR,G,Bの各色の光に分離されて、各色に対応した液晶パネル151R、151G、151Bに入射することになる。このときの各液晶パネル151R、151G、151Bは、液晶制御部150により画素毎に透過率が制御されている。このため、それら液晶パネル151R、151G、151Bに入射した光は、画素毎に透過光量が調整されることになる。
液晶パネル151R、151G、151Bを透過したR,G,Bの各光は、色合成部163で合成される。そして、色合成部163で合成された光は、投影光学系171を介して不図示のスクリーンに投影される。このS230の投影処理は、画像入力部130により入力された画像データのフレーム画像毎に順次、実行される。なお、S230の処理が行われている場合でも、例えばユーザにより操作部113を介して投影光学系171の操作指示が入力されると、CPU110は、その操作指示に応じた投影光学系171の制御を光学系制御部170に行わせる。投影光学系171の操作指示が、例えば投影映像の焦点を変更する指示である場合、CPU110は、光学系制御部170に対し、投影光学系171の焦点調節レンズ用のアクチュエータの制御を行わせる。投影光学系171の操作指示が、例えば光学系の拡大率を変更する指示である場合、CPU110は、光学系制御部170に対し、投影光学系171のズームレンズ用のアクチュエータの制御を行わせる。
入力画像表示モードの処理の実行中、CPU110は、S240の処理として、ユーザにより表示モードを切り替える指示が操作部113から入力されたか否かを判定する。そして、CPU110は、S240において、ユーザにより操作部113を介して表示モードを切り替える指示が入力されたと判定(Yes)した場合には、処理をS210に戻す。S210の処理に戻ると、CPU110は、画像処理部140に対し、表示モードを選択させるためのメニュー画面をOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像として送る。このときの、画像処理部140は、その時点で処理している画像にOSD画像を重畳させた画像を、液晶制御部150に送る。これにより、スクリーン上には、その時点で投影されている映像にOSD画像が重畳された映像が投影されることになる。したがって、ユーザは、この投影されているOSD映像を見ながら、表示モードを選択することができることになる。
一方、CPU110は、S240において、表示モードを切り替える指示が入力されていないと判定(No)した場合には、処理をS250に進める。S250において、CPU110は、ユーザにより操作部113を介して投影終了の指示が入力されたか否かを判定する。そして、CPU110は、S250において、投影終了の指示が入力されたと判定(Yes)した場合には、液晶プロジェクタ100の各ブロックに対する電源供給を停止させて、映像投影を終了させる。一方、CPU110は、S250において、投影終了の指示が入力されていないと判定(No)した場合には、処理をS220へ戻し、以降、ユーザにより投影終了の指示が入力されるまで、S220からS250までの処理を繰り返す。
なお、「ファイル再生表示モード」では、CPU110は、記録再生部191に対し、記録媒体192から静止画データや動画データのファイルリストや各ファイルのサムネイルデータを読み出させ、RAM112に一時的に記憶する。そして、CPU110は、ROM111に記憶されたプログラムの実行により、RAM112に一時記憶されているファイルリストに基づく文字画像や各ファイルのサムネイルデータの画像を生成し、画像処理部140に送る。ファイル再生表示モードの場合も、CPU110は、前述したS230で説明したのと同様に、画像処理部140、液晶制御部150、光源制御部160を制御する。
次に、例えばユーザが、投影映像上にOSD映像として表示されたメニュー画面を見て、記録媒体192に記録された静止画データや動画データにそれぞれ対応する文字や画像を選択する指示を、操作部113を通して入力したとする。この場合、CPU110は、選択された静止画データや動画データを記録媒体192から読み出すように記録再生部191を制御する。さらに、CPU110は、読み出された静止画データや動画データをRAM112に一時的に記憶させた後、ROM111記憶されたプログラムに基づいて、静止画や動画の再生を行うように各ブロックを制御する。例えば、動画の再生を行わせる場合、CPU110は、RAM112から読み出された動画データの各フレーム画像を、順次、画像処理部140に送り、S230と同様に、画像処理部140、液晶制御部150、光源制御部160を制御する。また、静止画の再生を行わせる場合、CPU110は、RAM112から読み出された静止画データを画像処理部140に送り、S230と同様に、画像処理部140、液晶制御部150、光源制御部160を制御する。
また、「ファイル受信表示モード」では、CPU110は、通信部193から受信した静止画データや動画データをRAM112に一時的に記憶させた後、ROM111に記憶されたプログラムに基づいて、静止画や動画の再生を行うように各ブロックを制御する。CPU110は、動画の再生を行わせる場合には、RAM112から、動画データの各フレーム画像を、順次読み出させて画像処理部140に送る。また、CPU110は、静止画の再生を行わせる場合には、RAM112から、静止画データを読み出させて画像処理部140に送る。その後、CPU110は、前述のS230と同様にして、画像処理部140、液晶制御部150、光源制御部160を制御する。
<第1の実施形態の画像処理部の構成の説明>
図3は、第1の実施形態に係る画像処理部140の構成例を示した機能ブロック図である。なお、図3にはCPU110も示されている。第1の実施形態の画像処理部140は、入力処理部301、画質調整部302、ゲイン処理部303、幾何学補正部304、画素解析部305、パネル補正部306の各機能ブロックにより構成されている。
入力処理部301は、画像入力部130を介して外部から入力された画像データに対し、ビット深度調整、レベル変換、R,G,Bへの色空間変換、周波数変換等の入力処理を行う。入力処理部301による入力処理後のR,G,Bの各色の画像データは、画質調整部302に送られる。
画質調整部302は、CPU110からの指示により、又は、RAM112に格納されているLUT(Look_Up_Table)等の情報に応じて、ガンマ変換、色調変換、シャープネス処理等の階調変換による画質調整を行う。画質調整部302による画質調整後のR,G,Bの各色の画像データは、ゲイン処理部303に送られる。
ゲイン処理部303は、CPU110からの指示、及びCPU110により設定されるゲイン値に基づいて、R,G,Bそれぞれ色の画像データに対してゲイン処理を行う。ゲイン処理部303によるゲイン処理後のR,G,Bの各色の画像データは、幾何学補正部304に送られる。
幾何学補正部304は、CPU110からの指示により、R,G,Bの各色の画像に対し、スクリーン上に矩形の映像が投影されるように画像の形状を変換する形状変形処理を行う。幾何学補正部304における形状変形処理の詳細は後述する。幾何学補正部304による形状変形処理後のR,G,Bの各色の画像データは、画素解析部305に送られる。
画素解析部305は、幾何学補正部304から入力されたR,G,Bの各色の画像データの画素情報(具体的には画素値)を統計的に処理し、輝度ヒストグラム、APL(Average_Picture_Level)、帯域ヒストグラム等を算出する。画素解析部305における画素解析処理の詳細は後述する。そして、画素解析部305は、統計処理にて得られた解析情報を、CPU110による制御の下でRAM112に一時的に格納する。また、画素解析部305は、入力されたR,G,Bの各色の画像データを、パネル補正部306に送る。
また、CPU110は、RAM112に格納された解析情報を読み出し、その解析情報を基に、R,G,Bの各色の画像毎にゲイン値を生成してゲイン処理部303に送る。これにより、ゲイン処理部303では、R,G,Bの各色の画像データに対し、R,G,Bの色毎に生成されたゲイン値を用いたゲイン処理が行われることになる。CPU110におけるゲイン値の生成処理の詳細は後述する。
パネル補正部306は、液晶パネル151R、151G、151Bが有する特性を吸収するため、予め計測により決められてRAM112に格納されているLUT等を基に、R,G,Bの各色の画像データに対し、ガンマ補正、面内輝度むら補正等の処理を行う。パネル補正部306によるパネル補正処理後のR,G,Bの各色の画像データは、図1の液晶制御部150に送られる。そして、液晶制御部150は、それらR,G,Bの各色の画像データを基に、それぞれ対応した液晶パネル151R、151G、151Bを駆動制御し、それら各液晶パネル151R、151G、151Bのパネル面に画像を形成させる。
<幾何学補正部の説明>
以下、幾何学補正部304にて行われる幾何学的な形状変形処理について説明する。
本実施形態の液晶プロジェクタ100は、前述したように、液晶パネル151R、151G、151Bを透過したR,G,Bの各光を合成してスクリーンに投影することで、映像をユーザに提示する。なお、以下の説明では、各液晶パネル151R、151G、151Bをそれぞれ区別せずに「液晶パネル151」と表記する。ここで、スクリーンに対して映像が例えば斜めに投影された場合、その投影映像は台形に変形した映像(台形に歪んだ映像)となる。このため、液晶プロジェクタ100は、スクリーン上に投影された映像が矩形の映像となるように、投影用の液晶パネル151のパネル面上に形成する画像を幾何学的に変形させる変形補正処理を行う。幾何学補正部304は、このような幾何学的な画像変形処理のために、以下に説明する幾何学補正処理を行う。
具体的には、幾何学補正部304は、入力された画像の画素の位置を移動させることにより、画像の形状を変形する。ここで、台形歪み補正が行われる場合、ユーザにより操作部113を介して画像をどの程度変形させるかを指示する変形情報が入力され、CPU110は、その変形情報を基に射影変換マトリクスを算出する。なお、変形情報は、スクリーンとその上に投影された投影映像を撮像部194が撮像した画像を基に、CPU110が、画像をどの程度変形させるかを計算することにより求められてもよい。CPU110により算出された射影変換マトリクスの情報は幾何学補正部304に送られ、幾何学補正部304は、その射影変換マトリクスを基に、画素位置の移動量を決定する。また、幾何学補正部304は、入力された画像の或る対象画素の移動量を基に決定した画素位置が、液晶パネル151の画素位置と一致しない場合、入力された画像の対象画素の周辺画素の画素値から、液晶パネル151上の対象画素位置の画素値を算出する。このような処理は画素補間処理と呼ばれ、一般的な画素補間処理としては、ニアレストネイバー補間処理、バイリニア補間処理、バイキュービック補間処理等が知られている。本実施形態では、滑らかな補間が可能な画素補間方法である、バイキュービック補間処理を使用している。
バイキュービック補間処理では、下記式(1)の演算が行われる。下記式(1)において、"a"には"−1"程度の数値が使用され、a値を小さくするとエンハンサ効果が高まることになる。また下記式(1)において、"t"は、対象画素と、補間演算に使用する周辺画素との間の距離を示す。また、式(1)の"h(t)"は、それぞれの周辺画素の画素に乗ずる乗算値であり、このh(t)で表される乗算値を各周辺画素の画素値に乗ずることにより、液晶パネル151上の対象画素位置の画素値(補間画素値)が求められる。幾何学補正部304は、液晶パネル151の全ての画素の画素値を、前述のような画素補間処理により求める。
Figure 2018121194
ところで、バイキュービック補間処理のような滑らかな補間を行うアルゴリズムの補間方法においては、画素値すなわち画像の階調を表す階調値がオーバーシュートしてしまうことがある。このように、算出された画素値がオーバーシュートし、最大画素値(一例として8ビットの場合の"255")以上になってしまう場合、液晶パネル151では画素表現ができなくなる。このため、補間処理の際には、そのオーバーシュートした画素値を、最大画素値(8ビットの場合は"255")にするような丸め処理が行われる。しかしながら、各画素のR,G,Bの色が同じようにオーバーシュートする場合は問題ないが、各色によってオーバーシュートの量が異なると、色ズレが発生することになる。
一例として、隣接して並んでいる各入力画素の各画素値が、それぞれ8ビットの(R,G,B)で表した場合、例えば(0,0,0)、(255,153,0)、(255,153,0)、(0,0,0)のような値であったとする。そして、バイキュービック補間処理により算出された、或る対象画素位置の画素値が(R,G,B)=(298,179,0)になったとする。ここで、液晶パネル151が例えば8ビットの階調値にしか対応していない場合、"298"の値は液晶パネル151では画素表現ができないため"255"に丸められることになる。つまり、対象画素位置の画素値が(R,G,B)=(255,179,0)となされて、液晶パネル151に表示されることになる。しかしながら、(R,G,B)が(255,153,0)の色と(255,179,0)の色とでは明らかに異なるため、画素補間処理を行ったことで色ズレが発生してしまったことになる。本実施形態では、後述するようにR,G,Bの各色の画素値が12ビットで表される例を挙げているが、上述したことは12ビットの場合でも同様である。なお、例えば、入力画素値に対して一様にマイナスゲインを掛けて、画素値を下げることで、色ズレを回避するような方法も考えられる。しかしながら、この方法の場合、定常的に輝度が低くなってしまい、ダイナミックレンジを狭くすることになってしまうので、液晶プロジェクタ等の表示装置においては望ましい方法ではない。
このようなことから、第1の実施形態の液晶プロジェクタ100では、画像処理部140を、図3に示したような機能ブロック構成としている。すなわち、画像処理部140は、幾何学補正部304での幾何学補正後に、画素解析部305で画素解析を行い、その幾何学補正後の解析情報を基に、CPU110が、幾何学補正前のゲイン処理部303で用いるゲイン値を設定するようになされている。この構成により、第1の実施形態の液晶プロジェクタ100は、画像の幾何学補正処理としてバイキュービック補間等の画素補間処理を行った際に色ズレが発生してしまうのを抑制して、画質の劣化を抑え、高品質の表示画像を得ることを可能にしている。
<画素解析部の説明>
以下、画素解析部305にて行われる画素解析処理について説明する。
画素解析部305は、入力された画像データの画素値を統計処理する。具体的には、画素解析部305は、統計処理による輝度ヒストグラムとして、R,G,B各色の画素値のヒストグラムを作成し、そのヒストグラムを基に各階調値又は各階調範囲の度数を計算し、その度数の情報を解析情報としてRAM112に格納する。また例えば、画素解析部305は、APLとして、全ての画素値の平均値を算出し、その平均値の情報を解析情報としてRAM112に格納する。また例えば、画素解析部305は、帯域ヒストグラムとして、隣接する画素の画素値を比較し、画素値の差が閾値を超えるものの度数を計算し、その度数の情報を解析情報としてRAM112に格納する。帯域ヒストグラムの計算によれば、画像の高周波成分が抽出可能となる。その後、RAM112に一時的に格納された解析情報はCPU110により読み出され、CPU110は、その解析情報を基にゲイン値を生成し、そのゲイン値がゲイン処理部303に対して設定されることになる。
<第1の実施形態の画像処理部の動作フロー>
図4は、第1の実施形態の画像処理部140における動作の流れを示すフローチャートである。図4に示すフローチャートの動作は、基本的には、CPU110が、ROM111に記憶されたプログラムに基づいて、画像処理部140の各機能ブロックを制御することにより実行される。図4のフローチャートの処理は、操作部113や不図示のリモコンによりユーザが液晶プロジェクタ100の電源のオンを指示した時点で開始される。
操作部113を介してユーザから歪み補正を指示する変形情報が入力されると、CPU110は、S401の処理として、幾何学補正部304の幾何学補正機能を起動(幾何学補正ON)させる。また、S401において、CPU110は、変形情報を基に変形パラメータ(射影変換マトリクス)を生成して、その変形パラメータを幾何学補正部304に対して設定する。さらに、CPU110は、次のS402において、ゲイン処理部303に対するパラメータとしてゲイン値を設定する。本実施形態において、このときゲイン処理部303に設定されるパラメータは、初期値(例えばゲイン値="1")となされる。
次にCPU110は、S403において、画像入力部130から入力された画像データを入力処理部301に送り、以下前述したように、入力処理部301、画質調整部302、ゲイン処理部303、幾何学補正部304の各機能ブロックの処理を行わせる。また、S403において、CPU110は、画素解析部305に対し、幾何学補正後の画像データのR,G,Bの各色の画素値を取得させ、さらに、R,G,Bの各色の全ての画素の画素値の度数を計算させる。また、このときの画素解析部305は、それら全ての画素の画素値の度数の中から、R,G,Bの各色でそれぞれ採り得る最大の画素値(以下MAX画素値とし、画素値が12ビットで表される場合は"4095"の値となる。)の度数を取得する。さらに、画素解析部305は、CPU110による制御の下、それら全ての画素値の度数とMAX画素値の度数の情報を、RAM112に格納する。なお、画素解析部305ではR,G,Bの各色の全ての画素の画素値の度数のみを計算してRAM112に格納させ、そのRAM112に格納されている全ての画素の画素値の度数の中から、CPU110が、MAX画素値の度数を取得してもよい。そして、S403において、CPU110は、RAM112に格納されている度数の情報を基に、R,G,Bの色毎に、全ての画素の画素値に対するMAX画素値の度数の割合を計算する。
次に、CPU110は、S404において、S403で求めたR,G,Bの色毎の割合のうち、一番大きい値が所定の閾値(例えば5%)より大きいか否かを判定する。CPU110は、S404において、一番大きい値が所定の閾値より大きいと判定(Yes)した場合にはS405に処理を進める。そして、CPU110は、S405において、R,G,Bの各色の現在のゲイン値(初期値は"1")にそれぞれ所定の同一値(例えば"0.98")を乗算することで値を下げる。その後、CPU110は、S406において、その乗算後の値をゲイン処理部303のゲイン値として設定する。すなわち、R,G,Bの色毎の割合のうち一番大きい値が5%より大きい場合には、幾何学補正でのバイキュービック補間により、その5%を超えている色の画素値が飽和している可能性が高いと考えられる。このため、CPU110は、S404での判定の結果、R,G,Bの何れかの色の画素値が飽和していると考えられる場合には、R,G,Bの各色の現在のゲイン値に対して一律に"0.98"を乗算した値をゲイン処理部303に設定する。これにより、画素値が下がり、画素値の飽和が抑えられるようになる。
一方、S404において、一番大きい値が閾値以下と判定(No)した場合、CPU110は、S407に処理を進める。S407に進むと、CPU110は、R,G,Bの各色の現在のゲイン値にそれぞれ所定の同一値(例えば"1.02")を乗算することで値を上げる。さらに、次のS408において、CPU110は、S407での乗算後のゲイン値が"1"を超える場合には、ゲイン値を初期値の"1"とし、S406において、その値をゲイン処理部303にゲイン値として設定する。すなわち、R,G,Bの色毎の割合のうち一番大きい値が5%以下になっている場合には、ゲインを下げ過ぎていると考えられる。このため、CPU110は、R,G,Bの各色において現在のゲイン値に対して一律に"1.02"を乗算した値をゲイン処理部303に設定する。これにより、ゲインの下げ過ぎを抑えている。ただし、現在のゲイン値に"1.02"を乗算したことでゲイン値が"1"を超える場合には、ゲインを上げ過ぎることになるため、R,G,Bの各色のゲイン値を初期値"1"にしている。
S406の後、CPU110は、S409において、幾何学補正機能を停止(幾何学補正OFF)するかどうかを判定する。例えば、CPU110は、操作部113を介してユーザから歪み補正の終了の指示が入力された場合には幾何学補正機能を停止すると判定(Yes)し、S411に処理を進める。一方、S409において、CPU110は、ユーザから歪み補正の終了指示が入力されていないため、幾何学補正機能を停止させないと判定(No)した場合には、S410に処理を進める。
S410に進むと、CPU110は、画像入力部130を介して次のフレームの画像データを入力処理部301に送り、その後、S403の処理に戻す。以下、CPU110は、前述したS403以降の処理を行う。
一方、S411に進むと、CPU110は、ゲイン処理部303のゲイン値を初期値の"1"に設定した後、この図4のフローチャートの処理を終了する。
なお、S403〜S409の処理は、毎フレーム実施してもよいし、数〜数十フレームに1回実施してもよい。S403〜S409の処理を毎フレーム実施する場合は、数〜数十フレームに1回実施する場合に比べて、S405とS407で乗算する値を、より"1"に近い値にして、ゲイン値の変動量を少なくするとよい。
また、S404の閾値については、輝度を重視する場合にはその値を小さくすればよいし、一方、色を重視する場合にはその値を大きくすればよい。
以上説明したように、第1の実施形態の液晶プロジェクタ100によれば、画像処理部140は、幾何学補正後の解析情報により、幾何学補正前のゲイン処理部303に設定するゲイン値を調整するように動作する。このような動作により、バイキュービック補間等の補間処理をかけたときに色ズレが生ずるのを抑制し、画質劣化を緩和するための補助機能を提供できる。すなわち、第1の実施形態の液晶プロジェクタ100は、画像を幾何学補正処理した場合の色ズレを抑制し、画質劣化を軽減可能となる。
また、上述の実施形態では、液晶プロジェクタ100を例に挙げて説明したが、本発明の画像処理装置の適用例は液晶プロジェクタに限られるものではない。本実施形態のように、画像を変形させる際に必要となる画素補間処理において、周辺画素から対象画素の画素値を計算する方式のバイキュービック補間等を用いる画像処理装置であれば、どのような装置であってもよい。例えば、DLP(登録商標)方式のプロジェクタであってもよい。また、上述の実施形態では、投写映像の変形を補正する処理を例に挙げたが、本発明の画像処理装置は、入力解像度を解像度変換するアフィン変形や、拡大縮小処理を行う場合に有効である。つまり、投写画像変形、アフィン変形等を行う画像処理装置であれば、どのような装置であってもよい。また例えば、直視型表示装置であってもよいし、印刷装置、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアによる画像処理装置であってもよい。これらのことは後述する第2、第3の実施形態においても同様に適用可能である。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態の液晶プロジェクタ100について説明する。なお、第2の実施形態の液晶プロジェクタ100の全体構成と基本動作は、第1の実施形態と同様であるためその説明は省略する。
図5は、第2の実施形態の液晶プロジェクタ100の画像処理部140の構成例を示した機能ブロック図である。第2の実施形態の画像処理部140は、入力処理部301、画質調整部302、幾何学補正部304、画素解析部305、ゲイン処理部303、パネル補正部306の各機能ブロックにより構成されている。なお、図5の各機能ブロックにおいて、前述した図3の各機能ブロックに対応した機能ブロックには図3と同じ参照番号を付し、前述同様の機能についての説明は省略する。以下、図3の各機能ブロックとは異なる機能について説明する。
第2の実施形態の画像処理部140の場合、画質調整部302は、R,G,Bの各色の各画素値が例えば12ビットで表される画像データを、幾何学補正部304に出力する。
幾何学補正部304は、画質調整部302から出力されたR,G,B各色の12ビットの画像データを13ビットに拡張してから、前述同様の形状変形(補間演算)を行う。このように、第2の実施形態の場合、幾何学補正部304から出力される画像データのビット深度(ビット数)は、幾何学補正部304に入力される画像データのビット深度より大きく(ビット数が多く)なされている。つまり、第2の実施形態の場合、幾何学補正部304においてビット拡張を行うことで、バイキュービック補間等の補間処理の際に、階調値のオーバーシュートに対する丸め処理が発生することを抑制している。そして、幾何学補正部304は、その幾何学補正後の13ビットで表されるR,G,Bの各色の画像データを、画素解析部305に出力する。
画素解析部305は、幾何学補正部304から出力されたR,G,B各色の13ビットの画像データの画素値を前述したように統計処理し、その統計処理より得られた解析情報をRAM112に一時的に格納する。また、画素解析部305は、幾何学補正部304から送られてきたR,G,B各色の13ビットの画像データを、ゲイン処理部303に出力する。
また、第2の実施形態の場合、CPU110は、RAM112に格納された解析情報を基にゲイン値を生成し、ゲイン処理部303に対してそのゲイン値を設定する。ゲイン処理部303は、R,G,B各色13ビットの画像データに対し、CPU110により設定されたゲイン値によるゲイン処理を行う。さらに、ゲイン処理部303は、ゲイン処理後のR,G,B各色の13ビットの画像データをそれぞれ12ビットに圧縮して、パネル補正部306に出力する。
パネル補正部306は、前述同様のパネル補正を行い、そのパネル補正後の画像データを図1の液晶制御部150に出力する。
<第2の実施形態の画像処理部の動作フロー>
図6は、第2の実施形態の画像処理部140における動作の流れを示すフローチャートである。図6に示すフローチャートの動作は、前述の図4のフローチャートと同様、CPU110がプログラムに基づいて画像処理部140の各機能ブロックを制御することにより実行され、液晶プロジェクタ100の電源のオンにより開始する。
図6のフローチャートにおいて、S601及びS602の処理は、図4のS401及びS402と同じであるためその説明は省略する。
次に、CPU110は、S603において、画像入力部130から入力された画像データを入力処理部301に送り、以下、前述したように、入力処理部301、画質調整部302、幾何学補正部304の各機能ブロックにおける処理を行わせる。
また、S603において、CPU110は、幾何学補正後の画像データのR,G,Bの各色13ビットの画素値を、画素解析部305に取得させる。このときの画素解析部305は、R,G,Bの各色の全ての画素の画素値を取得し、さらにR,G,Bの色毎に、画素値の最大値の情報をRAM112に格納する。
次に、CPU110は、S604において、RAM112に格納されているR,G,Bの色毎の最大値と所定値との比、つまり最大値/所定値を計算する。本実施形態において、所定値は、例えば12ビットで表現される場合の最大の階調値(以下、フル階調値と表記し、12ビットでは"4095"となる。)とする。そして、CPU110は、RAM112に格納されているR,G,Bの色毎の最大値を、フル階調値で除算(つまり最大値/フル階調値)して得られた値Aを、RAM112に格納する。
次に、CPU110は、S605において、RAM112に格納した値Aが閾値(この場合は"1")より小さいか否かを判定する。CPU110は、S605において値Aが"1"より小さいと判定(Yes)した場合にはS606に処理を進める。そして、S606において、CPU110は、R,G,Bの各色について現在のゲイン値に所定の同一値(例えば"1.02")を乗算して値を上げる。さらに、CPU110は、S607において、S606での乗算後のゲイン値が"1"を超える場合にはゲイン値を初期値の"1"にし、その後、S612において、ゲイン処理部303にそのゲイン値を設定する。すなわち、S605で値Aが"1"より小さいとの判定結果が得られた場合、バイキュービック補間で画素値がフル階調値を超えることはない(飽和しない)と考えられる。このため、CPU110は、S606において、各色の現在のゲイン値に一律に"1.02"を乗算して値を上げる。ただし、現在のゲインに"1.02"を乗算した後のゲイン値が"1"を超える場合には、ゲインを上げ過ぎることになるため、CPU110は、S607においてゲイン値を初期値の"1"にする。
一方、S605において値Aが閾値以上("1"以上)であると判定(No)した場合、CPU110は、S608に処理を進める。S608に進むと、CPU110は、R,G,Bの各色における現在のゲイン値が値Aの逆数である1/Aより大きいか否かを判定する。CPU110は、S608において、現在のゲイン値が1/Aより大きいと判定(Yes)した場合にはS609に処理を進め、現在のゲイン値が1/A以下であると判定(No)した場合にはS610に処理を進める。
S609に進むと、CPU110は、R,G,Bの各色について現在のゲイン値に所定の同一値(例えば"0.98")を乗算して値を下げ、その後、S612において、ゲイン処理部303にそのゲイン値を設定する。すなわち、S605で値Aが"1"以上であると判定された場合、バイキュービック補間の際に画素値がフル階調値を超える色の可能性(飽和する可能性)があると考えられる。このため、CPU110は、S608において現在のゲイン値が1/Aより大きいとの判定結果が得られた場合、S609においてR,G,Bの各色の現在のゲイン値に一律に"0.98"を乗算し、その値をゲイン処理部303に対して設定する。
一方、S610に進んだ場合、CPU110は、R,G,Bの各色の現在のゲイン値に所定の同一値(例えば"1.02")を乗算して値を上げる。さらに、CPU110は、S611において、S610での乗算後のゲイン値が"1"を超える場合にはゲイン値を初期値の"1"にし、その後、S612において、ゲイン処理部303にそのゲイン値を設定する。すなわち、R,G,Bの現在のゲイン値が値Aの逆数以下(1/A以下)の場合、CPU110は、S610で現在のゲイン値に一律に"1.02"を乗算し、さらにその乗算後のゲインが"1"を超えたら"1"にし、その値をゲイン処理部303に設定する。
これらS605〜S611の処理によれば、ゲイン値算出のための一連の処理において、急激なゲイン値の変化を抑制し、緩やかなゲイン値の調整が可能となる。
S612の後、CPU110は、S613において、図4のS409と同様に幾何学補正機能を停止(幾何学補正OFF)するかどうかを判定し、幾何学補正OFFと判定(Yes)した場合にはS614に処理を進める。一方、S613において、CPU110は、幾何学補正OFFにしないと判定(No)した場合にはS615に処理を進める。
S614に進むと、CPU110は、画像入力部130を介して次のフレームの画像データを入力処理部301に送り、その後、S603の処理に戻す。以下、CPU110は、前述したS603以降の処理を行う。
一方、S615に進むと、CPU110は、ゲイン処理部303のゲイン値を初期値の"1"に設定した後、この図6のフローチャートの処理を終了する。
なお、S603〜S613の処理は、毎フレーム実施してもよいし、数〜数十フレームに1回実施してもよい。S603〜S613の処理を毎フレーム実施する場合は、数〜数十フレームに1回実施する場合に比べて、S606とS609とS610で乗算する値を、より"1"に近い値とするとよい。
以上説明したように、第2の実施形態によれば、画像処理部140は、幾何学補正部304から出力された画像データを画素解析部305に入力し、さらに、画素解析部305から出力された画像データをゲイン処理部303に入力する構成となされている。また、画像処理部140は、幾何学補正部304から出力される画像データのビット深度(ビット数)が、幾何学補正部304に入力される画像データのビット深度より大きく(ビット数が多く)なされている。このように、第2の実施形態においては、幾何学補正部304においてビット拡張が行われていることにより、バイキュービック補間等の補間処理の際に、階調値のオーバーシュートに応じた丸め処理が発生するのを抑制することができる。さらに、第2の実施形態では、バイキュービック補間で画素値がフル階調値を超えることはないと考えられる場合にはゲイン値を上げる調整を可能としている。一方、第2の実施形態では、バイキュービック補間の際に画素値がフル階調値を超える可能性があると考えられる場合には、ゲイン値算出のための一連の処理において、急激なゲイン値の変化を抑制し、緩やかなゲイン値の調整を可能としている。したがって、第2の実施形態によれば、バイキュービック補間等の補間処理をかけたときに色ズレが生ずるのを抑制し、画質劣化を緩和するための補助機能を提供できる。すなわち、第2の実施形態の液晶プロジェクタ100は、画像を幾何学補正処理した場合の色ズレを抑制し、画質劣化を軽減可能となる。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態の液晶プロジェクタ100について説明する。なお、第3の実施形態の液晶プロジェクタ100の全体構成と基本動作は、第1の実施形態と同様であるためその説明は省略する。
図7は、第3の実施形態の液晶プロジェクタ100の画像処理部140の構成例を示した機能ブロック図である。第3の実施形態の画像処理部140は、入力処理部301、画素解析部305、画質調整部302、ゲイン処理部303、幾何学補正部304、パネル補正部306の各機能ブロックにより構成されている。なお、図7の各機能ブロックにおいて、前述した図3の各機能ブロックに対応した機能ブロックには図3と同じ参照番号を付し、前述同様の機能についての説明は省略する。以下、図3の各機能ブロックとは異なる機能について説明する。
第3の実施形態の画像処理部140の場合、入力処理部301による入力処理後のR,G,Bの各色の画像データは、画素解析部305に送られる。
第3の実施形態の場合、画素解析部305は、入力処理部301から出力された画像データの各画素値を統計処理する。詳細は後述するが、画素解析部305は、R,G,Bの各色の画像を複数に分割した分割領域毎に画素値の度数及び高画素値の度数と低画素値の度数とを求めて、それらの情報を解析情報としてRAM112に格納する。以下、高画素値の度数を高階調度数と表記し、低画素値の度数を低階調度数と表記する。また、第3の実施形態の場合、画素解析部305は、R,G,Bの各色の画像データを画質調整部302に出力する。
また、第3の実施形態の場合、CPU110は、RAM112に格納された解析情報を読み出し、その解析情報を基にゲイン値を生成してゲイン処理部303に送る。詳細は後述するが、CPU110は、RAM112に格納されている、R,G,Bの各色の分割領域毎の画素値の度数及び高階調度数と低階調度数の各情報を読み出し、R,G,Bの各色の分割領域毎の高階調度数の割合と低階調度数の割合を求める。そして、CPU110は、R,G,Bの各色と各分割領域の何れか一つについて、高階調度数の割合と低階調度数の割合がそれぞれ予め決めた所定の閾値より大きい場合には、ゲイン処理部303のゲイン値を所定値だけ下げるように調整する。一方、CPU110は、R,G,Bの各色と各分割領域の何れにおいても、高階調度数の割合と低階調度数の割合がそれぞれ予め決めた所定の閾値以下である場合には、ゲイン処理部303のゲイン値を所定値(例えば初期値のゲイン値)に設定する。なお、第3の実施形態における所定の閾値や所定値の具体例は後述する。
画質調整部302は、画素解析部305から出力されたR,G,Bの各色の画像データに対し、前述のように画質調整処理を行い、その画質調整処理後のR,G,Bの各色の画像データをゲイン処理部303に出力する。
ゲイン処理部303は、画質調整部302から出力されたR,G,Bの各色の画像データに対し、CPU110により設定されたゲイン値に基づくゲイン処理を行う。ゲイン処理部303によるゲイン処理後のR,G,Bの画像データは、幾何学補正部304に送られる。
幾何学補正部304は、ゲイン処理部303から出力されたR,G,Bの各色の画像データに対し、前述のように幾何学補正処理による形状変形処理を行う。そして、幾何学補正部304は、幾何学補正後のR,G,Bの画像データをパネル補正部306に出力する。
パネル補正部306は、前述同様のパネル補正を行い、そのパネル補正後の画像データを図1の液晶制御部150に出力する。
<第3の実施形態の画像処理部の動作フロー>
図8は、第3の実施形態の画像処理部140における動作の流れを示すフローチャートである。図8に示すフローチャートの動作は、前述の図4のフローチャートと同様、CPU110がプログラムに基づいて画像処理部140の各機能ブロックを制御することにより実行され、液晶プロジェクタ100の電源のオンにより開始する。
図8のフローチャートにおいて、S801及びS802の処理は、図4のS401及びS402と同じであるためその説明は省略する。
次に、S803において、CPU110は、画像入力部130から入力された画像データを入力処理部301に送り、以下、前述したように、入力処理部301における処理を行わせる。また、S803において、CPU110は、画素解析部305を制御して、画像を複数の領域に分割させる。このときの画素解析部305は、R,G,Bの各色の画像を、それぞれ水平方向に10分割、垂直方向に6分割することにより60個の格子状に区切られた領域に分割する。また画素解析部305は、R,G,Bの各色の分割領域毎に画素値を取得して度数を計算する。さらに、画素解析部305は、分割領域毎に、画素値が例えば12ビット表記で所定値(例えば"3800"〜"4095")となっている高階調度数と、所定値(例えば"0"〜"500")となっている低階調度数とを計算する。そして、画素解析部305は、CPU110による制御の下、それら各度数の情報を、解析情報としてRAM112に格納する。
次に、CPU110は、S804において、R,G,Bの各色の分割領域毎に、その分割領域内の画素値の度数に対する、高階調度数の割合と低階調度数の割合とをそれぞれ計算する。また、S804において、CPU110は、それぞれ算出された高階調度数の割合が所定の閾値(例えば20%)より大きいか否か、また、低階調度数の割合が所定の閾値(例えば10%)より大きいか否かを判定する。なお、高階調度数の割合と低階調度数の割合に対する閾値はそれぞれ同じ閾値(例えば10%)であってもよい。さらに、S804において、CPU110は、それらR,G,Bの各色と各分割領域の何れか一つでも判定条件に当てはまったものがあるかどうかを判定する。そして、CPU110は、何れか一つでも判定条件に当てはまっていると判定(Yes)した場合にはS805に処理を進め、何れも判定条件に当てはまっていないと判定(No)した場合にはS806に処理を進める。
S805に進むと、CPU110は、R,G,Bの各色の全ての分割領域毎に対応したゲイン処理部303のゲイン値を所定の値(例えば"0.9")に設定し、その後、S807に処理を進める。すなわち、R,G,Bの各色と各分割領域の何れか一つでも、高階調度数の割合と低階調度数の割合がそれぞれ所定の値より大きい場合にはゲイン値を一律に下げる。これにより、画素値の飽和が抑えられる。
一方、S806に進むと、CPU110は、R,G,Bの各色の全ての分割領域毎に対応したゲイン処理部303のゲイン値を所定の値(例えば初期値の"1"のまま変えない)に設定し、その後、S807に処理を進める。すなわち、R,G,Bの各色と各分割領域の何れも、高階調度数の割合と低階調度数の割合が所定の閾値以下である場合には、ゲイン値を初期値のまま変えないことで、ゲイン値が下げられて表示の明るさが低下してしまう状態になることを防止可能となる。
S807に進むと、CPU110は、図4のS409と同様に幾何学補正機能を停止(幾何学補正OFF)するかどうかを判定し、幾何学補正OFFと判定(Yes)した場合にはS808に処理を進める。一方、S807において、CPU110は、幾何学補正OFFにしないと判定(No)した場合にはS809に処理を進める。
S808に進むと、CPU110は、画像入力部130を介して次のフレームの画像データを入力処理部301に送り、その後、S803の処理に戻す。以下、CPU110は、前述したS803以降の処理を行う。
一方、S809に進むと、CPU110は、ゲイン処理部303のゲイン値を初期値の"1"に設定した後、この図8のフローチャートの処理を終了する。
なお、S803〜S807の処理は、毎フレーム実施してもよいし、数〜数十フレームに1回実施してもよい。
また、S805、S806でゲイン値を変える場合、時間的なフィルタ処理を行うことで、緩やかに値を変えるようにしてフリッカ等の発生を抑制するようにしてもよい。また、前フレームで設定した前ゲイン値と現フレームで設定した現ゲイン値とを比較して、現ゲイン値の方が大きい場合は、その現ゲイン値に所定の値(例えば"0.02")を加算してもよい。一方、現ゲイン値の方が小さい場合は現ゲイン値から所定の値(例えば"0.02")を減算してもよい。
また、S803では、解析情報として、高階調度数と低階調度数を用いているが、これに加えて、画素値の空間的な周波数の帯域情報を使用すれば精度が向上することがあるので、この方法を用いてもよい。
前述したように、第3の実施形態の液晶プロジェクタ100は、R,G,Bの色毎の各分割領域の高階調度数の割合と低階調度数の割合に基づいて、ゲイン処理部303に設定するゲイン値を調整している。このような動作により、第3の実施形態によれば、バイキュービック補間等の補間処理をかけたときに色ズレが生ずるのを抑制し、画質劣化を緩和するための補助機能を提供することができる。すなわち、第3の実施形態によれば、画像を幾何学補正処理した場合の色ズレを抑制し、画質劣化を軽減可能となる。
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記録媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、本発明は、上述の実施形態の各機能は回路(例えばASIC)とプログラムとの協働により実現することも可能である。
上述の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明は、その技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
100 液晶プロジェクタ、110 CPU、140 画像処理部

Claims (19)

  1. 画像信号にゲイン処理を行う処理手段と、
    画像に対して画素補間を伴う所定の変形処理を行う変形手段と、
    画像信号の画素情報を解析する解析手段と、
    前記処理手段の前記ゲイン処理に用いるゲイン値を決定する決定手段と、を有し、
    前記変形手段は、前記変形処理の対象画素の画素値を、入力された画像の前記対象画素の周辺画素の画素値を用いた前記画素補間により生成し、
    前記決定手段は、前記解析手段による解析情報を基に前記ゲイン値を決定する
    ことを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記変形手段は、前記処理手段による前記ゲイン処理が行われた後の前記画像信号の画像に対して前記所定の変形処理を行い、
    前記解析手段は、前記変形手段による前記変形処理が行われた後の前記画像信号の画素情報を解析することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記解析手段は、前記変形処理が行われた後の画像の色毎の画素値の度数を求め、
    前記決定手段は、前記画素値の色毎の度数を基に前記画素補間による画素値の色毎に飽和を判定して、前記判定の結果に応じた前記ゲイン値を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
  4. 前記解析手段は、画素値が採り得る最大の値となっている前記画素値の度数の割合を色毎に求め、
    前記決定手段は、前記色毎に求めた度数の割合のうち一番大きい値が所定の閾値より大きい場合には、各色の前記ゲイン値に所定値を乗算して値を下げるように調整することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
  5. 前記決定手段は、前記色毎に求めた度数の割合のうち一番大きい値が所定の閾値以下である場合には、各色の前記ゲイン値に所定値を乗算して値を上げるように調整することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
  6. 前記調整したゲイン値が初期値を超える場合には、各色のゲイン値を初期値に調整することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
  7. 前記解析手段は、前記変形手段による前記変形処理が行われた後の前記画像信号を解析し、
    前記処理手段は、前記解析手段による前記解析が行われた後の前記画像信号に前記ゲイン処理を行い、
    前記変形手段から出力される画像信号のビット深度は、前記変形手段に入力される画像信号のビット深度より大きいことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  8. 前記解析手段は、前記変形処理が行われた後の前記画像信号の色毎に画素値の最大値と所定値との比の値を求め、
    前記決定手段は、前記比の値を基に前記画素補間による画素値の色毎に飽和を判定して、前記判定の結果に応じた前記ゲイン値を決定することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
  9. 前記解析手段は、前記画素値の最大値を、前記変形手段に入力される画像信号のビット深度が採り得る値により除算した値を、前記比の値として求め、
    前記決定手段は、前記比の値が前記所定の閾値以上である場合には、各色の前記ゲイン値に所定値を乗算して値を下げるように調整することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
  10. 前記決定手段は、現在のゲイン値が前記比の値の逆数より大きい場合には各色の前記ゲイン値を下げるように調整し、現在のゲイン値が前記比の値の逆数以下の場合には、各色のゲイン値に所定値を乗算して値を上げるように調整することを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
  11. 前記決定手段は、前記比の値が前記所定の閾値より小さい場合には、各色の前記ゲイン値に所定値を乗算して値を上げるように調整することを特徴とする請求項9又は10に記載の画像処理装置。
  12. 前記調整したゲイン値が初期値を超える場合には、各色のゲイン値を初期値に調整することを特徴とする請求項9から11の何れか1項に記載の画像処理装置。
  13. 前記解析手段は、入力された画像信号の画像を複数に分割した分割領域毎に前記画像信号を解析し、
    前記決定手段は、前記解析手段による前記分割領域毎の解析情報に基づいて、前記画像信号に対する前記ゲイン値を決定し、
    前記処理手段は、前記決定手段により決定された前記ゲイン値を用いて前記画像信号に前記ゲイン処理を行い、
    前記変形手段は、前記処理手段による前記ゲイン処理が行われた後の前記画像信号の画像に前記所定の変形処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  14. 前記解析手段は、前記分割領域毎に各色の画素値の度数を求め、
    前記決定手段は、前記分割領域毎の各色の画素値の度数を基に、前記画素補間による画素値の色毎に飽和を判定して、前記判定の結果に応じた前記ゲイン値を決定することを特徴とする請求項13に記載の画像処理装置。
  15. 前記解析手段は、前記分割領域毎に各色の高画素値の度数と低画素値の度数とを求め、
    前記決定手段は、前記分割領域毎の各色の前記高画素値の度数の割合と低画素値の度数の割合の何れかが所定の閾値より大きい場合には、各色の前記ゲイン値を所定値にして値を下げるように調整することを特徴とする請求項14に記載の画像処理装置。
  16. 前記決定手段は、前記分割領域毎に各色の前記高画素値の度数の割合と低画素値の度数の割合が何れも所定の閾値以下である場合には、各色の前記ゲイン値を初期値に調整することを特徴とする請求項15に記載の画像処理装置。
  17. 前記所定の変形処理は、画像を幾何学的に変形させる処理、画像をアフィン変形する処理、画像を拡大又は縮小する変形処理の、何れかの処理であることを特徴とする請求項1から16の何れか1項に記載の画像処理装置。
  18. 画像信号にゲイン処理を行う処理工程と、
    画像に対して画素補間を伴う所定の変形処理を行う変形工程と、
    画像信号の画素情報を解析する解析工程と、
    前記処理工程での前記ゲイン処理に用いるゲイン値を決定する決定工程と、を有し、
    前記変形工程では、前記変形工程での対象画素の画素値を、入力された画像の前記対象画素の周辺画素の画素値を用いた前記画素補間により生成し、
    前記決定工程では、前記解析工程による解析情報を基に前記ゲイン値を決定する
    ことを特徴とする画像処理装置の画像処理方法。
  19. コンピュータを、請求項1から17の何れか1項に記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020154609A (ja) * 2019-03-19 2020-09-24 キヤノン株式会社 情報処理装置および情報処理方法

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