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JP2018119109A - 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子 - Google Patents

発泡性ポリスチレン系樹脂粒子 Download PDF

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JP2018119109A JP2017013308A JP2017013308A JP2018119109A JP 2018119109 A JP2018119109 A JP 2018119109A JP 2017013308 A JP2017013308 A JP 2017013308A JP 2017013308 A JP2017013308 A JP 2017013308A JP 2018119109 A JP2018119109 A JP 2018119109A
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Abstract

【課題】ブロッキングを防止し、さらに良好な表面性を有した成形体を得つつ、かつ成形時の冷却時間を短縮することで生産性を向上することに適した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の提供。【解決手段】発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重合部に対し、メチルフェニルポリシロキサンを0.030〜0.300重量部、ジメチルポリシロキサンを0.001〜0.200重量部、かつ脂肪酸金属塩が樹脂表面に被覆された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、及び上記発泡粒子を型内成形した、ポリスチレン系樹脂発泡体。前記メチルフェニルポリシロキサンの25℃における粘性が100〜6000mm2/sである、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に関するものである。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、比較的安価で、特殊な方法を用いずに蒸気等で発泡成形ができ、高い緩衝・断熱の効果が得られる為、社会的に有用な材料である。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、例えば、ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤(すなわち該粒子を僅かに膨潤せしめるにとどまる易揮発性の脂肪族炭化水素、例えばブタン、ペンタン等)を水性懸濁液中で含浸せしめる方法により製造される。このようにして製造された発泡性スチレン系樹脂粒子は、発泡スチレン系樹脂成形体を製造するための原料として用いられる。
発泡ポリスチレン系樹脂成形体を工業的及び経済的に製造する方法としては、発泡性スチレン系樹脂粒子を水蒸気等により予備発泡粒子とし、該予備発泡粒子を所望の形状を有する壁面に多数の小孔が穿設された閉鎖型の金型内に充填し、金型小孔より水蒸気等の加熱媒体を噴出せしめて予備発泡粒子の軟化点以上の温度に加熱し、互いに融着せしめた後に、冷却工程を経て、金型内より取り出して所望の形状の発泡スチレン系樹脂成形体を製造する方法がある。
従って、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を成形体にする為には、多くの蒸気を必要とするが、近年の環境問題への関心の高まりから、より省エネルギーへの要望が高まっており、予備発泡および型内成形時の温度を低温にすることにより、少ない蒸気使用量で発泡可能な樹脂が求められている。また、同時に生産性を高めるために、成形時間の約5割を占める冷却時間を短縮することが求められている。
これまで、低温で成形するために可塑剤、共重合などの手法がとられてきたが、いずれも揮発性の溶剤(シクロヘキサンなど)を使用しているため、樹脂自体の改質では成形時の蒸気使用量の削減と同時に、冷却時間を短縮することができなかった。
従来、放冷時間を短縮させる方法として発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面にクラックを発生させる薬品を被覆させ、樹脂粒子中に含有されるガス分の散逸を促進させることで成形後の発泡力を低下させる方法がとられていた。しかしながら、粒子表面にクラックを発生させる薬品を添加することによって樹脂内部のガス成分の散逸を促進させる方法では、発泡剤の散逸をより効率的に促進させるためにクラックを発生させる薬品の添加量を多くすることで成形体表面にピンホールが生じやすく、粒子間の融着も低下するといった問題があった。
特許文献1では、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子表面にジメチルポリシロキサンを0.0025重量部、およびメチルフェニルポリシロキサン0.0025重量部を被覆させることで、成形時の金型充填率を向上させ、さらには良好な表面性の成形体を得るための発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、およびその製造方法が提案されている。
しかしながら、この手法では、ジメチルポリシロキサン、およびメチルフェニルポリシロキサンの塗布部数が少ないことから放冷時間の短縮には至っていなかった。
特許文献2では、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子表面にジメチルポリシロキサン、またはメチルフェニルポリシロキサンを押し出し機にて溶融混練させることで、曲げ強度、圧縮強度などの機械強度及び断熱性に優れた成形体を得るための発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、およびその製造方法が提案されている。
しかしながら、この手法では、押し出し機を使用し樹脂に対して均一に混練していること、およびジメチルポリシロキサン、またはメチルフェニルポリシロキサン単一物を混練していることから放冷時間の短縮には至っていなかった。
特許文献3、4、5では、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子表面にジメチルポリシロキサンまたはメチルフェニルポリシロキサンとステアリン酸亜鉛を被覆させることで、成形時の放冷時間を短縮させる効果がある樹脂粒子、およびその製造方法が提案されている。
しかしながら、この手法では、表面性の悪化と放冷時間の短縮の両立には至っていなかった。
特開平02−003435号公報 特開2012−214750号公報 特開昭60−203647号公報 特開2007−246705号公報 特開昭49−003966号公報
以上のような状況に鑑み、本発明の目的は、ブロッキングを防止し、さらに良好な表面性を有した成形体を得つつ、かつ成形時の冷却時間を短縮することで生産性を向上することに適した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術の欠点を改善することを目的とし、ブロッキングを防止し、良好な表面性を有した成形体を得つつ、成形時の冷却時間が少なくなるような発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る為に鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対し、メチルフェニルポリシロキサンを0.030〜0.300重量部、ジメチルポリシロキサンを0.001〜0.200重量部、かつ脂肪酸金属塩が樹脂表面に被覆されたことを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
第2の発明は、前記メチルフェニルポリシロキサンの25℃における粘性が100〜6000m/sであることを特徴とする、第1の発明に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
第3の発明は、前記ジメチルポリシロキサンの25℃における粘性が100〜15000m/sであることを特徴とする、第1または第2の発明に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
第4の発明は、前記メチルフェニルポリシロキサンが0.040〜0.150重量部であることを特徴とする第1〜3の発明のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
第5の発明は、前記ジメチルポリシロキサンが0.005〜0.080重量部であることを特徴とする第1〜4の発明のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
第6の発明は前記脂肪酸金属塩がステアリン酸亜鉛であって、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、0.005〜0.500重量部であることを特徴とする第1〜5の発明のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
第7の発明は、含有される発泡剤量が3.0重量%以上9.0重量%未満であることを特徴とする、第1〜6の発明のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
第8の発明は、第1〜7の発明のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、発泡させたことを特徴とする、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子。
第9の発明は、含有する発泡剤量が2.0重量%以上7.0重量%以下であることを特徴とする、第8の発明に記載のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子。
第10の発明は、第8または9の発明に記載のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を型内成形したことを特徴とする、ポリスチレン系樹脂発泡体。
本発明により、ブロッキングを防止し、さらに、良好な表面性を有した成形体を得つつ、成形時の冷却時間が従来よりも短縮することに適した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることができる。
本発明は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を100重量部とした場合に、メチルフェニルポリシロキサンを0.030〜0.300重量部、ジメチルポリシロキサンを0.001〜0.200重量部、かつ脂肪酸金属塩が樹脂表面に被覆されたことを特徴とする。さらに、効率的に放冷時間を短縮しつつ良好な成形体を得られることから、メチルフェニルポリシロキサンが0.040〜0.150重量部であることが好ましい。メチルフェニルポリシロキサンの被覆量が0.030重量部未満の場合、予備発泡時のブロッキングが増加し、放冷時間短縮率が効率的に発揮されない。また、0.300重量部を超える場合、成形体の表面性が悪化する。さらに、良好な成形体を得られることから、ジメチルポリシロキサンが0.005〜0.080重量部であることが好ましい。ジメチルポリシロキサンの被覆量が0.001重量部未満の場合、良好な表面性が得られない。また、0.200重量部を超える場合、予備発泡時のブロッキングの増加および融着が悪化する。さらに、良好な成形体を得られることから、脂肪酸金属塩はステアリン酸亜鉛であることが好ましく、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を100重量部に対して、0.005〜0.500重量部であることが好ましい。ステアリン酸亜鉛の添加量が0.005重量部未満の場合、ブロッキング防止効果が十分に発揮されない。また、0.500重量部を超える場合、成形体の融着が悪化する。
本発明は、メチルフェニルポリシロキサンの25℃における粘性が100〜6000mm/sであることが好ましい。メチルフェニルポリシロキサンの25℃における粘性が100mm/s未満の場合、シロキサンとしての特性が発揮されない。また、6000mm/sを超える場合、分子量が大きいことに起因して粒子に十分浸透しない。
本発明は、ジメチルポリシロキサンの25℃における粘性が100〜15000mm/sであることが好ましい。ジメチルポリシロキサンの25℃における粘性が100mm/s未満の場合、シロキサンとしての特性が発揮されない。また、15000mm/sを超える場合、分子量が大きいことに起因して粒子に十分浸透しない。
本発明のメチルフェニルポリシロキサンとは、一般式(1)で示される構造を有するポリシロキサンが好ましい。
Figure 2018119109
上記一般式で示されるメチルフェニルポリシロキサンの繰り返し単位のm、nは、任意の自然数(1,2,3等)である。本発明において用いる一般式(1)で示されるメチルフェニルポリシロキサンは、ジメチル部分とジフェニル部分がランダムに結合したものでも良く、規則的に配列したものでも良い。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、さらに外添剤として、ブロッキング防止剤、融着促進剤等を、本発明の効果を阻害しない範囲で含有してもよい。
外添剤の具体例としては、例えば、ラウリン酸トリグリセライド、ステアリン酸トリグリセライド、リノール酸トリグリセライドなどの脂肪酸トリグリセライド、ラウリン酸ジグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、リノール酸ジグリセライドなどの脂肪酸ジグリセライド、ラウリン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、リノール酸モノグリセライドなどの脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンパルミテート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレエート等の非イオン界面活性剤などが挙げられる。これら外添剤は単独で用いても良いし、2種以上を混合しても良い。また、これら外添剤及び添付剤は発泡剤含浸時に水系に添加してもよいし、脱水後に若しくは乾燥後に添加し被覆してもよく、被覆方法によらない。好ましい被覆方法は、乾燥後に添付し、混合撹拌することにより被覆する方法である。
本発明におけるメチルフェニルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンおよび脂肪酸金属塩を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に被覆するのにかかる時間及び、攪拌時間としては、被覆ムラなく表面に均一に被覆できる時間であれば何分でも良い。さらに、投入時間としては1〜120秒かけて投入するのが良く、効率的に被覆するためには10〜60秒かけて投入するのがより好ましい。攪拌時間としては、1〜150秒攪拌するのがよく、被覆ムラなく被覆するためには20〜120秒攪拌するのがより好ましい。
本発明で用いられる混合機器としては、例えば、スーパーミキサー、ナウターミキサー、ユニバーサルミキサー、ヘンシェルミキサー、レーディゲーミキサー、リボンブレンター、タンブラ−型ブレンター、ヘンシェル型ミキサー等、均一に被覆できるものであればよく、混合能力及びメチルフェニルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンおよび脂肪酸金属塩の被覆量、粘度を鑑み混合時間等を調整することにより、上記いずれのタイプの混合機であっても均一に被覆された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることができる。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を構成するスチレン系発泡性樹脂としては、単量体成分としてスチレンを60重量部以上含む重合体が良い、具体的にはスチレン単独重合体、スチレン−エチレン系共重合体、スチレン−ブタジエン系共重合体、スチレン−アクリロニトリル系共重合体、スチレン−アクリル酸エステル系共重合体等が挙げられる。
これらのうちでも、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を構成する基材樹脂は、スチレン系単量体およびアクリル酸エステル系単量体を共重合して得られるもがよい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に用いられるスチレン系原料としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系誘導体が挙げられる。これらスチレン系単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を構成するアクリル酸エステル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、などのアクリル酸アルキルエステルが挙げられる。これらアクリル酸エステル系単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、基材樹脂における単量体組成に関しては、重合法としてシード懸濁重合法を実施する場合には、シードとなる樹脂粒子中の単量体組成も単量体組成に反映させる。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中に含有される単量体成分は、0.3重量%未満である。含有される単量体成分は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡して得られる発泡成形体から揮発する傾向があり、特に含有される単量体成分が0.3重量%以上では、医療分野あるいは直接食品に接触する包装材料分野、もしくは自動車や建築の部材向けには、好ましくない。
含有単量体成分量は、ポリスチレン系樹脂粒子を重合する際の開始剤の使用量と重合温度の組み合わせにより、制御することができる。例えば、開始剤の使用量を多くする、重合温度を高くすることにより、含有単量体成分を下げることができる。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、沸点が50℃以上の溶剤及び可塑剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で含有してもよい。
沸点が50℃以上の溶剤及び可塑剤の具体例としては、例えば、例えば、へキサン、ヘプタン等のC6以上の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロオクタン等のC6以上の脂環族炭化水素、ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、グリセリントリステアレート、グリセリントリカプリレート、ヤシ油、パーム油、菜種油、などが挙げられる。
本発明における発泡性ポリスチレン系樹脂粒子における発泡剤の含有量は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量%に対して、3.0重量%以上9.0重量%未満が好ましい。3.5重量%以上8.5重量%未満がさらに好ましく、4.0重量%以上7.0重量%未満が特に好ましい。
発泡剤の含有量が3.0重量%未満では、予備発泡時間が長くなると共に、成形時の融着率が低下する傾向があり、製造コストが高くなり、経済的に不利である。発泡剤の含有量が9.0重量%以上では、成形体が収縮し、成形体の外観を損なう傾向がある。
本発明にて用いられる発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素、メチルクロライド、ジクロルジフルオロメタン、ジクロルテトラフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。これら発泡剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。これら発泡剤のうちでも、ブタンが、発泡力が良好である点から、好ましい。
本発明における発泡剤の使用量は、ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、3.0重量部以上9.0重量部未満が好ましく、6.0重量部以上8.0重量部以下がより好ましい。
本発明におけるポリスチレン系予備発泡樹脂粒子における発泡剤の含有量は、ポリスチレン系予備発泡樹脂粒子100重量%に対して、2.0重量%以上7.0重量%以下が好ましく、3.0重量%以上4.3重量%以下がより好ましい。
発泡剤の含有量が2.0重量%未満では、予備発泡時間が長くなると共に、成形時の融着率が低下する傾向があり、製造コストが高くなり、経済的に不利である。発泡剤の含有量が7.0重量%超では、成形体が収縮し、成形体の外観を損なう傾向がある。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、該発泡性ポリスチレン系樹脂粒子から得られる発泡成形体の切断面の気泡の平均弦長が50μm以上200μm未満である。好ましくは80μm以上120μm未満である。
平均弦長が50μm未満では、発泡体を構成するセルの膜厚みが薄くなり、内部融着及び表面性が低下する傾向がある。平均弦長が200μm以上では、破壊強度(例えば、JIS A9511の曲げ強度や箱状成形体底割強度など)の破断点変位が短くなり、脆い成形体となる傾向がある。
発泡体の切断面の気泡の平均弦長は、造核剤量によって制御することができる。例えば、造核剤を多くすると平均弦長は小さくなり、造核剤を少なくすると平均弦長は大きくなる。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、添加物として難燃剤、難燃助剤等を、本発明の効果を阻害しない範囲で含有してもよい。
本発明において含有されている難燃剤および難燃助剤としては、公知慣用のものが使用できる。難燃剤の具体例としては、例えば、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモブタン、ヘキサブロモシクロヘキサン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系化合物、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、2,4,6−トリブロモフェノール等の臭素化フェノール類、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、2,2−ビス[4'(2”,3”−ジブロモアルコキシ)−3',5'−ジブロモフェニル]−プロパン等の臭素化フェノール誘導体、臭素化スチレン・ブタジエンブロック共重合体、臭素化ランダムスチレン・ブタジエン共重合体、臭素化スチレン・ブタジエングラフと共重合体などの臭素化ブタジエン・ビニル芳香族炭化水素共重合体(例えば、Chemtura社製EMERALD3000、若しくは、特表2009−516019号公報に開示されている)等が挙げられる。これら難燃剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
難燃助剤の具体例としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等の開始剤を使用してもよい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、これを予備発泡させ、その後、それを加熱発泡させ、発泡成形体とする。
予備発泡方法としては、例えば、円筒形の予備発泡装置を用いて、蒸気等で加熱して発泡させる等の、通常の方法を採用することができる。
予備発泡粒子を発泡成形させる方法としては、例えば、金型内に予備発泡粒子を充填し、蒸気等を吹き込んで加熱する方法により発泡成形体を得る、いわゆる型内発泡成形法等の通常の方法を採用することができる。
以下に、実施例および比較例を挙げるが、本発明は、これらによって制限されるものではない。
なお、測定評価法は、以下の通りに実施した。
<発泡剤含有量の測定>
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中の発泡剤含有量および単量体成分は、 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子1.0gをジクロロメタン20mLに溶解し、内部標準液(シクロペンタノール)0.005gを加えた後、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて、以下の条件にて測定した。
GC:島津製作所社製 GC−14B
カラム:PEG−20M 25%
Chromosorb W 60/80(3.0m×3.0mmI.D.)
カラム温度:110℃
検出器(FID)温度:170℃。
<予備発泡>
攪拌機付き予備発泡気に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を投入し、水蒸気で加熱することにより発泡させ、見掛け倍率5〜80倍の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。ブロッキングは予備発泡粒子払出し時破砕機を停止させ、ブロッキングしていない予備発泡粒子を送粒後、回収・重量測定し投入樹脂に対し回収した予備発泡粒子の割合を重量%で、以下の基準にて、評価した。
◎:ブロッキングの割合が0.05%以下。
○:ブロッキングの割合が0.05%超、0.10%以下。
△:ブロッキングの割合が0.10%超、0.20%以下。
×:ブロッキングの割合が0.20%超。 <成形性評価>
成形機[ダイセン製、KR−57]を用いて、底面厚み30mm、側面厚み25mmで長さ550mm×幅350mm×高さ120mmサイズの箱形形状の金型内に充填し、吹き込み蒸気圧0.3〜0.8kgf/cmの範囲内で変化させた成型条件にて型内成形を行い、箱型の発泡成形品を得た。
得られた熱可塑性樹脂発泡体は、室温で24時間乾燥させた後、下記の評価を実施した。尚、表1には吹き込み蒸気圧0.45kgf/cmでの放冷時間、融着性および表面性の評価結果を示す。
(1)融着性評価
得られた熱可塑性樹脂発泡体を破断し、破断面を観察して、粒子界面ではなく、粒子が破断している割合を求めて、以下の基準にて、融着性を判定した。
◎:粒子破断の割合が90%以上。
○:粒子破断の割合が80%以上、90%未満。
△:粒子破断の割合が70%以上、80%未満。
×:粒子破断の割合が70%未満。
(2)表面性評価
得られた熱可塑性樹脂発泡体の表面状態を目視観察し、以下の基準にて表面性を評価した。
◎:表面の溶融、粒間が無く、非常に美麗。
○:表面の溶融、粒間が少なく、美麗。
△:表面の溶融、粒間があり、外観やや不良。
×:表面の溶融、粒間が多く、外観不良。
(実施例1) <発泡性ポリスチレン系樹脂粒子への外添剤の添加>
メチルフェニルポリシロキサン、およびジメチルポリシロキサンを塗布する基材樹脂として、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子(製品名カネパールSG:株式会社カネカ)を用いた。
スーパーミキサー[カワタ製、SMV−20]に予め投入しておいた前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に、メチルフェニルポリシロキサン(製品名KF−54:信越化学) 0.100重量部を60秒間かけて投入し、60秒間ブレンドし、次いでジメチルポリシロキサン(製品名KF−96−500:信越化学)0.050重量部を60秒間かけて投入し、60秒間ブレンド、次いでステアリン酸亜鉛0.100重量部を投入して60秒間ブレンドすることにより発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
<予備発泡粒子の製造>
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を篩分けして、粒子径0.6mm〜1.12mmの発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を分取した。
分取した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、加圧式予備発泡機[大開工業製、BHP]を用いて、吹き込み蒸気圧0.8kgf/cmの条件にて嵩倍率65倍に予備発泡を実施した。この際、吹き込み蒸気にはエアーを切り込ませて、吹き込み蒸気温度を調節した。その後、常温下で1日放置して、養生乾燥を行った。
<型内発泡成形体の製造>
得られたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を、成形機[ダイセン製、KR−57]を用いて、厚み25mmで長さ530mm×幅330mm×高さ120mmサイズの箱形形状の金型内に充填し、吹き込み蒸気圧0.3〜0.8kgf/cmの成型条件にて型内成形を行い、箱型の発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子および発泡成形体を用いて評価を行い、その結果を表1に示す。
(実施例2)
<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子への外添剤の添加>において、ステアリン酸亜鉛を0.600重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
(実施例3)
<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子への外添剤の添加>において、シリコーン系外添剤の塗布量をメチルフェニルポリシロキサン(製品名KF−54:信越化学) 0.035重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
(実施例4)
<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子への外添剤の添加>において、シリコーン系外添剤の塗布量をメチルフェニルポリシロキサン(製品名KF−54:信越化学) 0.200重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
(実施例5)
<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子への外添剤の添加>において、シリコーン系外添剤の塗布量をジメチルポリシロキサン(製品名KF−96−500:信越化学)0.003重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
(実施例6)
<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子への外添剤の添加>において、シリコーン系外添剤の塗布量をジメチルポリシロキサン(製品名KF−96−500:信越化学)0.150重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
(比較例1)
<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子への外添剤の添加>において、シリコーン系外添剤の塗布量をメチルフェニルポリシロキサン(製品名KF−54:信越化学) 0.050重量部のみに変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
(比較例2)
<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子への外添剤の添加>において、シリコーン系外添剤の塗布量をジメチルポリシロキサン(製品名KF−96−500:信越化学)0.005重量部のみに変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
(比較例3)
<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子への外添剤の添加>において、シリコーン系外添剤の塗布量をメチルフェニルポリシロキサン(製品名KF−54:信越化学) 0.020重量部、及びジメチルポリシロキサン(製品名KF−96−500:信越化学)0.050重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
(比較例4)
<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子への外添剤の添加>において、シリコーン系外添剤の塗布量をメチルフェニルポリシロキサン(製品名KF−54:信越化学) 0.100重量部、及びジメチルポリシロキサン(製品名KF−96−500:信越化学)0.300重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
(比較例5)
<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子への外添剤の添加>において、シリコーン系外添剤の塗布量をジメチルポリシロキサン(製品名KF−96−500:信越化学)0.0005重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
(比較例6)
<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子への外添剤の添加>において、シリコーン系外添剤の塗布量をメチルフェニルポリシロキサン(製品名KF−54:信越化学) 0.350重量部、及びジメチルポリシロキサン(製品名KF−96−500:信越化学)0.090重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
(比較例7)
<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子への外添剤の添加>において、シリコーン系外添剤を塗布せず、ステアリン酸亜鉛0.200重量部、及びカスターワックス(ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド)0.050重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。(比較例13)では、ブロッキングを抑制し、かつ良好な成形体物性を得ることができる。一方、この方法においては成形時の放冷時間を短縮することは困難である。
Figure 2018119109

Claims (10)

  1. 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対し、メチルフェニルポリシロキサンを0.030〜0.300重量部、ジメチルポリシロキサンを0.001〜0.200重量部、かつ脂肪酸金属塩が樹脂表面に被覆されたことを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  2. 前記メチルフェニルポリシロキサンの25℃における粘性が100〜6000mm/sであることを特徴とする、請求項1記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  3. 前記ジメチルポリシロキサンの25℃における粘性が100〜15000mm/sであることを特徴とする、請求項1または2記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  4. 前記メチルフェニルポリシロキサンが、0.040〜0.150重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  5. 前記ジメチルポリシロキサンが0.005〜0.080重量部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  6. 前記脂肪酸金属塩がステアリン酸亜鉛であって、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、0.005〜0.500重量部であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  7. 含有される発泡剤量が3.0重量%以上9.0重量%未満であることを特徴とする、請求項1〜6いずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、発泡させたことを特徴とする、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子。
  9. 含有する発泡剤量が2.0重量%以上7.0重量%以下であることを特徴とする、請求項8記載のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子。
  10. 請求項8または9に記載のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を型内成形したことを特徴とする、ポリスチレン系樹脂発泡体。
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