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JP2018111177A - ドリルおよびドリルヘッド - Google Patents

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JP2018111177A JP2017004189A JP2017004189A JP2018111177A JP 2018111177 A JP2018111177 A JP 2018111177A JP 2017004189 A JP2017004189 A JP 2017004189A JP 2017004189 A JP2017004189 A JP 2017004189A JP 2018111177 A JP2018111177 A JP 2018111177A
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雅行 馬渕
匡 山本
Tadashi Yamamoto
匡 山本
貴大 日比
Takahiro Hibi
貴大 日比
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Abstract

【課題】繊維強化プラスチックに穴明け加工を行う場合でもバリ等の発生を抑制できるドリルを提供する。
【解決手段】先端刃が、径方向外側へ向かうに従い軸線方向の基端側へ向けて延びる第1先端刃と、第1先端刃の径方向外側に配置され、径方向外側へ向かうに従い軸線方向の先端側へ向けて延びる第2先端刃と、第2先端刃の径方向外側に配置され、径方向外側へ向かうに従い軸線方向の基端側へ向けて延び、外周刃に連なる第3先端刃と、第2先端刃と第3先端刃との境界に位置する境界頂点と、を有し、境界頂点は、第1先端刃の最内周部より軸線方向の基端側に位置し、第3先端刃は、径方向の最外周部における半径方向すくい角が正角である、ドリル。
【選択図】図1

Description

本発明は、ドリルおよびドリルヘッドに関する。
航空機部品等に用いられるCFRP(炭素繊維強化樹脂)等の複合材料は、穴あけ加工時に、加工穴の内周に繊維層の層間剥離(デラミネーション)、繊維の切り残し(アンカットファイバー)、伸展性の抜けバリ、ひげ等(以下、バリ等と省略)が生じやすい。そこでCFRP等からなる被削材に対しては、加工穴の内周にバリ等が発生することを抑制する目的で、専用のドリルが用いられている(例えば特許文献1)。
特開2009−502538号公報
CFRPなどの繊維強化プラスチックからなる被削材には繊維の方向性が有る。このため、繊維の方向に対して切刃のすくい角を適当に設定しなければ、繊維が引き剥がされやすくなり、バリ等が発生しやすくなる。従来のドリルは、繊維の方向に対する刃先のすくい角を適当に設定して、バリ等の発生を抑制する点において、改善の余地があった。
本発明は、このような背景の下になされたもので、特に炭素繊維強化プラスチックのような繊維強化プラスチックに穴明け加工を行う場合でもバリ等の発生を抑制できるドリルを提供することを目的としている。
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の一態様のドリルは、軸線回りに回転させられるドリル本体と、前記ドリル本体の外周に形成されて、前記軸線方向に沿うように先端から基端側へ向けて延びる切屑排出溝と、前記切屑排出溝のドリル回転方向を向く壁面と前記ドリル本体の先端面との交差稜線部に形成された先端刃と、を備え、前記先端刃は、径方向外側へ向かうに従い前記軸線方向の基端側へ向けて延びる第1先端刃と、前記第1先端刃の径方向外側に配置され、径方向外側へ向かうに従い前記軸線方向の先端側へ向けて延びる第2先端刃と、前記第2先端刃の径方向外側に配置され、径方向外側へ向かうに従い前記軸線方向の基端側へ向けて延びる第3先端刃と、前記第2先端刃と前記第3先端刃との境界に位置する境界頂点と、を有し、前記境界頂点は、前記第1先端刃の最内周部より前記軸線方向の基端側に位置する。
同様に、一態様のドリルヘッドは、工具本体の先端部に装着されるドリルヘッドであって、工具本体の先端部に装着されるドリルヘッドであって、前記工具本体とともに軸線回りに回転させられるヘッド本体と、前記ヘッド本体の外周に形成されて、前記軸線方向に沿うように先端から基端側へ向けて延びる切屑排出溝と、前記切屑排出溝のドリル回転方向を向く壁面と前記ヘッド本体の先端面との交差稜線部に形成された先端刃と、を備え、前記先端刃は、径方向外側へ向かうに従い前記軸線方向の基端側へ向けて延びる第1先端刃と、前記第1先端刃の径方向外側に配置され、径方向外側へ向かうに従い前記軸線方向の先端側へ向けて延びる第2先端刃と、前記第2先端刃の径方向外側に配置され、径方向外側へ向かうに従い前記軸線方向の基端側へ向けて延びる第3先端刃と、前記第2先端刃と前記第3先端刃との境界に位置する境界頂点と、を有し、前記境界頂点は、前記第1先端刃の最内周部より前記軸線方向の基端側に位置する。
一般に、ドリルによる穴あけ加工時に被削材に作用する軸線方向の切削力(スラスト荷重)は、ドリル先端における最内周部で大きくなりやすい。従来のドリルでは、被削材に対してドリル先端の中央部付近で作用する軸線方向の切削力が、加工穴の内周予定部に伝播し被削材の層間剥離を生じやすかった。
上述の構成によれば、先端刃が、ドリル先端において径方向内側に位置する第1先端刃と、径方向外側に位置する第2先端刃と、を別々に備えている。第1先端刃は、径方向外側へ向かうに従い軸線方向の基端側へ向けて傾き、第2先端刃は、第1先端刃とは逆側に傾いている。これにより、第1先端刃により被削材に生じる軸線方向の切削力は、第2先端刃によりその外側に伝播することが抑制される。上述の構成によれば、加工後の加工穴の内周に層間剥離が発生することを抑制できる。
上述の構成によれば、第2先端刃の径方向外側にチャンファー部として機能する第3先端刃が設けられている。第2先端刃は、径方向外側へ向かうに従い軸線方向の先端側へ向けて延びる。したがって、第2先端刃は、被削材を径方向内側に押し付ける様にして被削材の繊維を切断する。しかしながら、第2先端刃は、被削材を径方向内側に押し付けるために、被削材を抜け出る際に、被削材を弾性変形させて層間剥離および繊維の切れ残しを生じる場合がある。第2先端刃の外側にチャンファー部としての第3先端刃を設けることにより、先端刃が被削材を抜け出る際に、先端刃が被削材の貫通穴開口部周縁を軸線方向に押し付ける作用を小さくできる。すなわち、この開口部周縁の強化繊維を貫通方向に押し出すことなく切断することができ、貫通穴開口部周縁における層間剥離および繊維の切れ残しを抑制できる。
上述の構成によれば、第1先端刃の最内周部が境界頂点より先行して加工対象に接触する。第1先端刃の最内周部は、ドリルの回転中心となる軸線に沿って配置される。したがって、第1先端刃の最内周部が加工対象に対して先行して接触することで、ビビリを生じることなく穿孔の位置決めすることが可能となる。
上述のドリルにおいて、前記第3先端刃は、径方向の最外周部における半径方向すくい角が正角である、構成であってもよい。
上述の構成によれば、第3先端刃は、径方向の最外周部における半径方向すくい角が正角(ポジティブ角)となっている。第3先端刃の最外周部は、先端刃において最も速度が速くなる。また、第3先端刃の最外周部は、先端刃が外周刃と接続する部分であり、穴あけ加工における穴の内周面を形成する部分である。したがって、第3先端刃の最外周部のすくい角を正角とすることで、穴の内周面に対して高速で鋭角の刃先を切りこませて繊維を切り取り、穴の内周面におけるバリの発生を効果的に抑制できる。
上述のドリルにおいて、前記第1先端刃は、前記ドリル本体を前記軸線方向の先端から基端側へ向けて見たドリル正面視で、前記軸線に直交する径方向に沿うように延びており、前記第1先端刃のすくい面は、前記軸線と平行となる、構成であってもよい。
上述の構成によれば、第1先端刃のすくい面が、ドリル本体の軸線に平行となるように形成されている。したがって、第1先端刃の軸方向すくい角(アキシャルレーキ角)は、ネガティブ角(0°)とされる。そして、ドリル正面視において、第1先端刃が、ドリル本体の径方向に沿うように延びている。つまり、第1先端刃は、芯上がりでも芯下がりでもない、芯高ゼロとなるように設定されている。このようなドリルにより、一方向を繊維方向とするCFRP等の被削材を穴あけ加工すると、被削材の繊維方向に対向する方向に刃先が回転する領域においてもバリ等の発生を顕著に抑制できる。すなわち、上述の構成によれば、第1先端刃の刃先が被削材の繊維方向に対して逆目に切り込むことがなく、刃先が繊維方向に対し垂直に切り込み繊維の切り残しの発生を抑制できる。
上述のドリルにおいて、前記境界頂点の回転軌跡の直径が、前記ドリル本体の最大直径に対して50%以上である、構成であってもよい。
上述の構成によれば、第2先端刃の径方向外側の端部を、十分に外側に配置することができる。先端刃は、径方向外側に向かうほど速度が速くなる。したがって、上述の構成によれば、第2先端刃の径方向端部の速度を高めて、第2先端刃の切削性を高めることができ、第2先端刃による被削材の層間剥離および繊維の切り残しを抑制できる。
上述のドリルにおいて、前記第3先端刃は、基端側に向かうに従い前記軸線から離れる方向に傾いており、径方向内側から径方向外側に向かうに従い、前記軸線に対する傾きが小さくなっている、構成であってもよい。
上述の構成によれば、第3先端刃は、径方向外側に向かうに従い、軸線に対して傾きを小さくする。第3先端刃から被削材に作用する切削力は、径方向外側に向かうに従い、周方向へ向けた分力が大きくなり軸線方向の分力が小さくなる。これにより、加工される穴の内周面を形成する部分において層間剥離させる荷重を小さくすることができ、被削材の層間剥離を抑制できる。
上述のドリルにおいて、前記第1先端刃の回転後方側に連なる一次先端逃げ面と、前記一次先端逃げ面の回転後方側に連なる二次先端逃げ面と、を有する、構成であってもよい。
上述の構成によれば、第1先端刃の回転後方側に、一次先端逃げ面および二次先端逃げ面がこの順に形成されている。したがって、一次先端逃げ面が摩耗した場合であっても、二次先端逃げ面の作用に、十分な逃げを確保することができる。
上述のドリルは、軸線方向において、前記第2先端刃が前記第1先端刃の30%以上の領域と重なりあっている、構成としてもよい。
この構成によれば、第1先端刃により被削材に層間剥離を生じさせる軸線方向の切削力が、第2先端刃により外周側に伝播することをより確実に抑制できる。
本発明のドリルおよびドリルヘッドによれば、被削材に穴あけ加工した加工穴の内周の仕上げ精度を、安定して高めることができる。
第1実施形態のドリルの側面図である。 第1実施形態のドリルの正面図である。 図1の領域IIIの拡大図である。 図1のIV−IV線に沿うドリルの断面図である。 第2実施形態のドリルの側面図である。 第2実施形態のドリルの正面図である。 第3実施形態のドリルの側面図である。 第3実施形態のドリルの正面図である。
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴部分をわかりやすくするために、特徴とならない部分を便宜上省略して図示している場合がある。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態のドリル10の側面図である。また、図2は、先端面側から見たドリル10の正面図である。
〔ドリルの概略構成〕
図1および図2に示されるように、本実施形態のドリル10は、軸線Oを中心とした概略円柱状をなし、超硬合金等の硬質材料により形成されたドリル本体1を有している。ドリル本体1は、その軸線O方向の基端側部分が円柱状のままのシャンク部(不図示)とされ、軸線O方向の先端側部分が切れ刃を有する刃部とされる。なお、切れ刃には、後述する先端刃20および外周刃4が含まれる。
ドリル10は、ドリル本体1のシャンク部が工作機械の主軸や、ボール盤および電動ドリルの三爪チャック等に着脱可能に装着された状態で使用される。ドリル10は、ドリル本体1が軸線O回りのうちドリル回転方向Tに回転させられつつ、軸線O方向に沿う先端側(図1における下側)へ送り出されて、刃部により被削材に切り込んで穴あけ加工する。
ドリル10の加工対象である被削材は、例えば、航空機部品等に用いられるCFRP(炭素繊維強化樹脂)や、CFRPにチタンやアルミニウム等の金属板が積層されてなる複合材料等が挙げられる。本明細書では、これらを総じてCFRP等ということがある。
〔本明細書で用いる向き(方向)の定義〕
本明細書では、ドリル本体1の軸線Oに沿う方向(軸線O方向)のうち、シャンク部から刃部へ向かう方向を先端側(図1における下側)といい、刃部からシャンク部へ向かう方向を基端側(図1における上側)という。
また、軸線Oに直交する方向を径方向といい、径方向のうち、軸線Oに接近する向きを径方向内側といい、軸線Oから離間する向きを径方向外側という。
また、軸線O回りに周回する方向を周方向といい、周方向のうち、切削時にドリル10が回転させられる向きをドリル回転方向Tといい、これとは反対の回転方向を、ドリル回転方向Tとは反対側(反ドリル回転方向)という。
〔ドリル本体の外周〕
ドリル本体1の外周には、軸線O方向に沿うように先端から基端側へ向けて延びる切屑排出溝2と、切屑排出溝2のドリル回転方向Tを向く壁面2aとドリル本体1の外周面との交差稜線部に形成された外周刃4と、が設けられている。
ドリル本体1の外周のうち、切屑排出溝2以外の外周面には、マージン部11と、二番取り面15と、が形成されている。
マージン部11は、外周刃4のドリル回転方向Tとは反対側に連なる。マージン部11は、外周刃4に沿って延びるとともに、この外周刃4と同径とされてドリル本体1の刃部における最外径部分をなす。
二番取り面15は、マージン部11のドリル回転方向Tとは反対側に連なる。二番取り面15は、外周刃4およびマージン部11よりも小径とされている。
〔切屑排出溝〕
本実施形態では、ドリル本体1の外周において切屑排出溝2が、周方向に互いに間隔をあけて複数形成されている。切屑排出溝2は、ドリル本体1の先端面6にそれぞれ開口している。また、切屑排出溝2は、軸線O方向の先端から基端側へ向かうに従い漸次ドリル回転方向Tとは反対側へ向けてねじれて、螺旋状に延びている。
切屑排出溝2においてドリル回転方向Tを向く壁面2aのうち、後述する先端刃20を介して先端面6に連なる先端部には、ギャッシュすくい面2cが形成されている。ギャッシュすくい面2cは、軸線Oに平行となるように形成されている。本実施形態では、ギャッシュすくい面2cが、三角形状をなしている。切屑排出溝2のうち、ギャッシュすくい面2cよりも軸線O方向の基端側に位置する部分(つまりギャッシュすくい面2c以外の部位)は、ギャッシュすくい面2cから軸線O方向の基端側へ向かうに従い漸次ドリル回転方向Tとは反対側へ向けてねじれて延びている。
図1および図2に示されるように、複数(本実施形態では2条)の切屑排出溝2は、軸線Oに関して回転対称位置となるように配置されている。また、複数の切屑排出溝2は、ドリル本体1の外周において、周方向に等間隔をあけて(等ピッチで)配置されている。具体的に、本実施形態のドリル10は、ドリル本体1に2条の切屑排出溝2が軸線Oに関して180°回転対称に配置された、ツイストドリルとなっている。
切屑排出溝2は、特に図示していないが、ドリル本体1の軸線O方向に沿う例えば中央部付近において、径方向外側へ向けて外周面に切れ上がっている。ドリル本体1において、軸線O方向に沿う切屑排出溝2が形成された範囲が刃部とされ、この範囲よりも基端側がシャンク部とされている。
切屑排出溝2は、溝の内周が凹曲面状をなしている。切屑排出溝2は、径方向内側およびドリル回転方向Tへ向けて凹状に窪むように形成されている。また切屑排出溝2は、その周方向に沿う中央部付近において、溝深さが最も深くなる(溝の内周が軸線Oに最も接近する)ように形成されている。
〔外周刃、マージン部〕
マージン部11は、切屑排出溝2のドリル回転方向Tを向く壁面2aに連なる。マージン部11は、後述する先端刃20の最外径(先端刃20の径方向の外端が軸線O回りに回転して形成される回転軌跡の円の直径φD)と略等しい外径の仮想円筒面上に位置するように形成されている。ドリル本体1において、切屑排出溝2のドリル回転方向Tを向く壁面2aとマージン部11との交差稜線部が、外周刃4とされている。
本実施形態では、外周刃4およびマージン部11は、螺旋状の切屑排出溝2に沿って軸線O方向の先端から基端側へ向かうに従い漸次ドリル回転方向Tとは反対側へ向けてねじれて、螺旋状に延びている。つまり、切屑排出溝2、外周刃4およびマージン部11は、互いにねじれ角(リード、軸方向傾斜角)が等しくされている。外周刃4のねじれ角は、例えば、40°以下である。
〔二番取り面〕
ドリル本体1の外周面のうち、マージン部11とマージン部11のドリル回転方向Tとは反対側に隣り合う切屑排出溝2との間に位置する部分が、二番取り面15とされている。特に図示していないが、外周刃4の軸線O回りの回転軌跡に対して、二番取り面15は、径方向内側に後退して配置されている。
二番取り面15は、ドリル本体1の外周面におけるマージン部11に対し、ドリル回転方向Tとは反対側に連なっている。二番取り面15は、マージン部11の外径よりも小さい外径とされている。二番取り面15が外周刃4の回転軌跡から径方向内側へ向けて後退する後退量(二番取り深さ)は、二番取り面15における周方向の全域にわたって、一定とされていてもよい。また、二番取り面15は、そのドリル回転方向Tの端部からドリル回転方向Tとは反対側へ向かうに従い漸次外周刃4の回転軌跡から径方向内側へ向けた後退量が大きくされていてもよい。
〔ヒール部〕
また、ドリル本体1の外周のうち、二番取り面15と、切屑排出溝2のドリル回転方向Tとは反対側を向く壁面2bとの交差稜線部が、ヒール部13とされている。ヒール部13は、ドリル回転方向Tとは反対側に向けて尖っている。ヒール部13は、切屑排出溝2に沿って延びる稜線状をなしている。
〔ドリル本体の先端〕
ドリル本体1の先端部には、ドリル10の先端側(ドリル送り方向)を向く先端面6と、切屑排出溝2のドリル回転方向Tを向く壁面2aと先端面6との交差稜線部に形成された先端刃20と、先端面6と先端面6のドリル回転方向Tとは反対側に隣り合う切屑排出溝2との間に位置するシンニング面9と、が備えられる。
〔先端面〕
図2に示すように、先端面(先端逃げ面)6は、第1逃げ面61と第2逃げ面62と第3逃げ面63とを有する。第1逃げ面61は、先端刃20の第1先端刃21からドリル回転方向Tとは反対側に向かうに従い軸線O方向の基端側へ向けて傾斜する。第2逃げ面は、先端刃20の第2先端刃22からドリル回転方向Tとは反対側に向かうに従い軸線O方向の基端側へ向けて傾斜する。第3逃げ面63は、先端刃20の第3先端刃23からドリル回転方向Tとは反対側に向かうに従い軸線O方向の基端側へ向けて傾斜する。第1逃げ面61、第2逃げ面62および第3逃げ面63は、ドリル回転方向Tとは反対側に向かうに従い漸次軸線O方向の基端側へ向けてそれぞれ傾斜している。これにより、第1先端刃21、第2先端刃22、第3先端刃23に、それぞれ逃げ角が付与されている。
図2に示されるドリル正面視において、第1逃げ面61は、1辺を第1先端刃21とする三角形状をなす。図2に仮想線(二点鎖線)で境界が図示されているように、第1逃げ面61は、一次先端逃げ面61aと、二次先端逃げ面61bとを有していてもよい。この場合、一次先端逃げ面61は、第1先端刃21の回転後方側に連なる。また、二次先端逃げ面61bは、一次先端逃げ面61aの回転後方側に連なる。第1逃げ面61が、一次先端逃げ面61aおよび二次先端逃げ面61bを有することで、一次先端逃げ面が摩耗した場合であっても、二次先端逃げ面61bによって十分な逃げを確保できる。
先端面6には、クーラント孔が開口していてもよい。クーラント孔の開口形状は、円形状をなしているが、これに限定されるものではなく、例えばそれ以外の多角形状や楕円形状等であってもよい。クーラント孔内には、工作機械の主軸等から供給されるクーラントが流通し、このクーラントは、ドリル本体1の先端部および被削材の加工部位に流出させられる。
〔シンニング面〕
シンニング面9は、切屑排出溝2の先端部に位置している。シンニング面9は、切屑排出溝2のドリル回転方向Tとは反対側を向く壁面2bから溝底にかけての領域と、先端面6との間に位置する部分に形成されている。言い換えると、シンニング面9は、先端面6と、先端面6のドリル回転方向Tとは反対側に隣り合う切屑排出溝2と、の間に位置する。
シンニング面9は、先端面6からドリル回転方向Tとは反対側に向かうに従い軸線O方向の基端側へ向けて傾斜している。シンニング面9におけるドリル回転方向Tに沿う単位長さあたりの軸線O方向へ向けた変位量(つまり傾き)は、先端面6における変位量よりも大きくなっている。
〔先端刃〕
図1および図2に示されるように、先端刃20は、切屑排出溝2のドリル回転方向Tを向く壁面2aとドリル本体1の先端面6との交差稜線部に形成されている。なお、壁面2aの先端部の一部には、ギャッシュすくい面2cが形成されている。したがって、先端刃20の一部は、ギャッシュすくい面2cと先端面6との交差稜線に位置する。また、先端刃20は、ギャッシュすくい面2cおよび壁面2aをすくい面とし、先端面6を逃げ面としている。先端刃20は、ドリル本体1における軸線O上から径方向の外端(最外周)にわたって延びている。
先端刃20は、第1先端刃21、第2先端刃22および第3先端刃23を有する。第1先端刃21、第2先端刃22および第3先端刃23は、それぞれ径方向内側から径方向外側に向かって延びる。第1先端刃21、第2先端刃22および第3先端刃23は、径方向内側から径方向外側に向かって、この順で並んでいる。
図1に示すように、第1先端刃21は、内側部21aと、内側部21aより径方向外側に位置する外側部21bとを有している。内側部21aおよび外側部21bは、径方向外側へ向かうに従い軸線O方向の基端側へ向けて傾いた方向に延びる。外側部21bの傾きは、内側部21aの傾きより大きい。したがって、内側部21aと外側部21bの境界部は、凸部となる。第1先端刃21の最内周部21cは、内側部21aの径方向の最内側に位置する。
第1先端刃21の内側部21aは、ギャッシュすくい面2cと先端面6との交差稜線に位置する。ギャッシュすくい面2cは、内側部21aのすくい面として機能する。上述したように、ギャッシュすくい面2cは、軸線Oに平行となるように形成されている。
図2に示すように、第1先端刃21の内側部21aは、ドリル本体1を軸線O方向の先端から基端側へ向けて見たドリル正面視で、径方向に沿うように延びている。なお、本明細書において、「径方向に沿うように延びている」とは、ドリル正面視において、ドリル本体1の径方向と刃長方向と、の間に形成される角度が、ゼロに近い小さな値(略0°)とされていることを指す。具体的には角度が、例えば5°以下(0〜5°)であることを意味する。つまり、本実施形態の第1先端刃21の内側部21aは、芯上がりでも芯下がりでもない、芯高ゼロとなるように設定されている。
ここで、上記「芯高」について説明する。芯高(芯高寸法)とは周知のように、ドリル正面視において、先端刃の刃長方向に平行で軸線を通る仮想直線VLに対して、先端刃が離間させられる距離である。先端刃の刃長方向に平行で軸線Oを通る仮想直線VLに対して、先端刃が離間させられる距離Lが、芯高である。そして、仮想直線に対して先端刃がドリル回転方向Tに位置する場合は「芯上がり」、ドリル回転方向Tとは反対側に位置する場合は「芯下がり」である。
本実施形態のドリル10は、第1先端刃21の内側部21aの芯高がゼロである。具体的には、このドリル正面視において、第1先端刃21の内側部21aが直線状をなしており、刃長全域にわたって、芯高がゼロに設定されている。
なお、本明細書において、「芯高がゼロである」とは、芯高が完全にゼロである場合のみならず、内側部21aの芯高がゼロに近い小さな値(略0)とされていることを指す。具体的には、芯高がドリル本体1の最大直径に対して3%以下である場合を含む。
第1先端刃21の内側部21aのすくい面(ギャッシュすくい面2c)は、ドリル本体1の軸線Oに平行となるように形成されている。したがって、第1先端刃21の内側部21aの軸方向すくい角(アキシャルレーキ角)は、内側部21aの刃長全域にわたって、ネガティブ角(0°)とされている。
第1先端刃21の内側部21aの軸方向すくい角がネガティブ角(0°)とされ、かつ、内側部21aが径方向に沿うように延びている(芯高ゼロとされている)。したがって、内側部21aの半径方向すくい角(ラジアルレーキ角)は、ネガティブ角(0°)とされている。
第2先端刃22は、第1先端刃21の径方向外側に配置されている。第2先端刃22は、径方向外側へ向かうに従い軸線O方向の先端側へ向けて傾いた方向に延びる。第2先端刃22は、第1先端刃21と反対側に傾いて延びている。このため、第1先端刃21と第2先端刃22の境界部は、凹部となる。第2先端刃22は、第1先端刃の軸線O方向に沿う30%以上の領域に、軸線O方向において重なっていることが好ましい。
第1先端刃21の最外周部23aおよび第2先端刃22は、切屑排出溝2のドリル回転方向Tを向く壁面2aとの交差稜線に位置する。したがって壁面2aは、第1先端刃21の最外周部23aおよび第2先端刃22のすくい面として機能する。
第3先端刃23は、第2先端刃22の径方向外側に配置されている。第3先端刃23は、径方向外側へ向かうに従い軸線O方向の基端側へ向けて傾いて延びている。第2先端刃22と第3先端刃23の境界部は、凸部となる。第3先端刃23は、第2先端刃22のチャンファー部として機能する。第2先端刃22と第3先端刃23との境界には、境界頂点24が位置する。境界頂点24は、第1先端刃21の最内周部21cより軸線O方向の基端側に位置する。
ドリル本体1を回転させることで、境界頂点24は、直径d24の回転軌跡を描く。ドリル本体1の回転軌跡の直径d24は、ドリル本体1の最大直径Dに対して50%以上であることが好ましい。
ドリル本体1の最大直径Dは、ドリル10により穿孔される穴の直径と一致する。本実施形態において、ドリル本体1の最大直径Dは、外周刃4の直径と一致する。なお、ドリル本体1にバックテーパが与えられている場合、ドリル本体1の最大直径は、外周刃4の軸線O方向の先端部であって、外周刃4と第3先端刃23の境界部(すなわち、第3先端刃23の最外周部23a)の回転軌跡の直径となる。
図2に示すように、第2先端刃22および第3先端刃23は、境界頂点24の近傍において、他の部分と異なるすくい角(軸方向すくい角および半径方向すくい角)の頂点近傍すくい面24aを有する。頂点近傍すくい面24aは、第1先端刃21の内側部21aのすくい面(ギャッシュすくい面2c)と同一面に形成されている。したがって、頂点近傍すくい面24aは、ドリル本体1の軸線Oに平行となるように形成されている。また、頂点近傍すくい面24aは、ドリル本体1を軸線O方向の先端から基端側へ向けて見たドリル正面視で、径方向に沿うように延びている。したがって、頂点近傍すくい面24aの軸方向すくい角(アキシャルレーキ角)および半径方向すくい角(ラジアルレーキ角)は、ネガティブ角(0°)とされている。
図3は、図1の領域IIIの拡大図である。図3に示すように、第3先端刃23は、径方向の最外周部23aにおいて、外周刃4に連なる。第3先端刃23は、第1直線部23eと、第1直線部23eより径方向外側に位置する第2直線部23fとを有する。第1直線部23eおよび第2直線部23fは、それぞれ直線的に延びる。また、第1直線部23eおよび第2直線部23fは、それぞれ基端側に向かうに従い軸線Oから離れる方向に傾いている。軸線Oに対する第1直線部23eの傾きは、軸線Oに対する第2直線部23fの傾きより大きい。すなわち、第3先端刃23は、径方向内側から径方向外側に向かうに従い、軸線Oに対する傾きが小さくなっている。
図4は、第3先端刃23の最外周部23aを通過する図1のIV−IV線に沿うドリル10の断面図である。図4に示すように、第3先端刃は、径方向の最外周部23aにおける半径方向すくい角(ラジアルレーキ角)θ23aが正角である。
〔本実施形態による作用効果〕
一般的に、ドリルによる穴あけ加工時に被削材に作用する軸線O方向の切削力(スラスト荷重)は、ドリル先端における径方向内側の部分(軸線を含む径方向の中央部付近)で大きくなりやすい。このため、従来のドリルでは、被削材に対してドリル先端の中央部付近から作用する軸線O方向の切削力が、加工穴の内周予定部に伝播し層間剥離を生じやすかった。
本実施形態によれば、径方向外側へ向かうに従い軸線O方向の基端側へ向けて延びる第1先端刃21の外側に、径方向外側へ向かうに従い軸線O方向の先端側へ向けて延びる第2先端刃22が設けられている。これにより、第1先端刃21により被削材に生じて層間剥離の原因となる軸線O方向の切削力は、第2先端刃22によりその外側に伝播することを抑制される。したがって、加工後の加工穴の内周に層間剥離が発生することを抑制できる。
本実施形態では、第2先端刃22は、第1先端刃の軸線O方向に沿う30%以上の領域に、軸線O方向において重なっている。これにより、第1先端刃21により被削材に層間剥離を生じさせる軸線O方向の切削力が、第2先端刃22により外周側に伝播することをより確実に抑制できる。
本実施形態によれば、第2先端刃22の径方向外側にチャンファー部として機能する第3先端刃23が設けられている。第2先端刃22は、径方向外側へ向かうに従い軸線O方向の基端側へ向けて延びため、第2先端刃22は、被削材を径方向内側に押し付ける様にして被削材の繊維を切断する。この際に、第2先端刃22は、被削材を弾性変形させて、被削材に層間剥離および繊維の切れ残しを生じる場合がある。第2先端刃22の外側にチャンファー部としての第3先端刃を設けることにより、先端刃20が被削材を抜け出る際に、先端刃20が被削材の貫通穴開口部周縁を軸線O方向に押し付ける作用を小さくできる。すなわち、この開口部周縁の強化繊維を貫通方向に押し出すことなく切断することができ、貫通穴開口部周縁における層間剥離および繊維の切れ残しを抑制できる。
本実施形態によれば、第2先端刃22と第3先端刃23との間に位置する境界頂点24が、第1先端刃21の最内周部21cより軸線O方向の基端側に位置する。このため、第1先端刃21の先端が境界頂点24より先行して加工対象に対して接触する。第1先端刃21の最内周部21cは、ドリルの回転中心となる軸線Oに沿って配置される。したがって、第1先端刃21の先端部が加工対象に対して先行して接触することで、ビビリを生じることなく穿孔の位置決めすることが可能となる。
本実施形態によれば、図4に示すように、第3先端刃23は、径方向の最外周部23aにおける半径方向すくい角θ23aが正角(ポジティブ角)となっている。第3先端刃23の最外周部23aは、先端刃20において最も速度が速くなる。また、第3先端刃23の最外周部23aは、先端刃20が外周刃4と接続する部分であり、穴あけ加工における穴の内周面を形成する部分である。したがって、第3先端刃23の最外周部23aの半径方向すくい角θ23aを正角とすることで、穴の内周面に対して高速で鋭角の刃先を切りこませて繊維を切り取り、バリ等の発生を抑制できる。
本実施形態によれば、第1先端刃21の内側部21aのすくい面となる切屑排出溝のギャッシュすくい面が、ドリル本体の軸線に平行となるように形成されている。したがって、第1先端刃21の内側部21aの軸方向すくい角は、ネガティブ角(0°)とされる。そして、ドリル正面視において、第1先端刃21が、ドリル本体1の径方向に沿うように延びている。つまり、第1先端刃21は、芯上がりでも芯下がりでもない、芯高ゼロとなるように設定されている。このようなドリル10により、一方向を繊維方向とするCFRP等の被削材を穴あけ加工すると、被削材の繊維方向に対向する方向に刃先が回転する領域においてもバリ等の発生を顕著に抑制できる。すんわち、本実施形態によれば、第1先端刃21の刃先が被削材の繊維方向に対して逆目に切り込むことがなく、刃先が繊維方向に対し垂直に切り込み繊維の切り残しの発生を抑制できる。
本実施形態の先端刃20は、境界頂点24の近傍における頂点近傍すくい面24aが、ギャッシュすくい面2cと同一平面内に形成されている。頂点近傍すくい面24aは、ドリル本体1の軸線Oに平行となるように形成されている。したがって、頂点近傍すくい面24aの軸方向すくい角(アキシャルレーキ角)および半径方向すくい角(ラジアルレーキ角)は、ネガティブ角(0°)とされており、ギャッシュすくい面2cと同様の効果を奏する。すなわち、本実施形態によれば、境界頂点24の近傍において刃先が被削材の繊維方向に対して逆目に切り込むことがなく、刃先が繊維方向に対し垂直に切り込み繊維の切り残しの発生を抑制できる。
本実施形態では、図1に示すように、境界頂点24の回転軌跡の直径d24が、ドリル本体1の最大直径Dに対して50%以上であるため、第2先端刃22の径方向外側の端部を、十分に外側に配置することができる。先端刃は、径方向外側に向かうほど速度が速くなる。したがって、本実施形態によれば、第2先端刃22の径方向端部の速度を高めて、第2先端刃22の切削性を高めることができ、第2先端刃22による被削材の層間剥離および繊維の切り残しを抑制できる。
本実施形態では、第3先端刃23は、径方向外側に向かうに従い、軸線Oに対する傾きを小さくする。先端刃から被削材に作用する切削力の軸線O方向の分力は、先端刃の傾きを軸線Oに近づけるに従い小さくなる。本実施形態によれば、第3先端刃23から被削材に作用する切削力は、径方向外側に向かうに従い、周方向へ向けた分力が大きくなり軸線O方向の分力が小さくなる。これにより、加工される穴の内周面を形成する部分において層間剥離させる荷重を小さくすることができ、被削材の層間剥離を抑制できる。
なお、本実施形態の第3先端刃23は、第1直線部23eと、第1直線部23eより径方向外側に位置し、第1直線部23eより軸線Oに対する傾きが小さい第2直線部23fとを有する。しかしながら、第3先端刃23は、径方向外側に向かうに従い徐々に軸線Oに対する傾きを小さくする曲線状に形成されていてもよい。
本実施形態のドリル10は、ドリル本体1の外周に、一対(2条)の切屑排出溝2が周方向に間隔をあけて配置されるとともに、先端刃20が一対(2つ)形成された2枚刃のドリル(ツイストドリル)であるが、これに限定されるものではない。すなわち、ドリル本体1の外周に、3条以上の切屑排出溝2が周方向に間隔をあけて配置されるとともに、先端刃20が3つ以上形成された3枚刃以上のドリル10〜30にも適用可能である。
本実施形態のドリル10は、ドリル本体1が、超硬合金等の硬質材料により形成されているとしたが、ドリル本体1の材質はこれに限定されるものではない。また、ドリル本体1の刃部に対して、ダイヤモンド被膜等のコーティング膜が被覆されていてもよい。
本実施形態のドリル10は、ソリッドタイプの一体成形されたドリルである。しかしながら、同様の構成は、刃先交換式ドリルの工具本体の先端部に着脱可能に装着されるドリルヘッドや、工具本体の先端部にろう付け等により固定状態で装着されるドリルヘッドに対しても適用可能である。
すなわち、特に図示していないが、本参考例は、工具本体とともに軸線O回りに回転させられるヘッド本体(前述の参考例で説明したドリル本体1に相当)と、ヘッド本体の外周に形成されて、軸線O方向に沿うように先端から基端側へ向けて延びる切屑排出溝2と、切屑排出溝2のドリル回転方向Tを向く壁面2aとヘッド本体の先端面6との交差稜線部に形成された先端刃20と、を備えたドリルヘッドに対しても、採用することができる。
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態のドリル110の側面図である。また、図6は、先端面側から見たドリル110の正面図である。
本実施形態のドリル110は、前述の実施形態で説明したドリル10と比較して、先端刃120の構成が主に異なる。なお、前述の第1実施形態と同じ構成要素については詳細な説明を省略する。
本実施形態のドリル110は、軸線Oを中心とした概略円柱状をなすドリル本体101を有している。ドリル本体101の外周には、切屑排出溝102と、切屑排出溝102に沿って形成された外周刃104と、が設けられている。また、ドリル本体101の先端面106には、先端刃120が設けられている。
先端刃120は、切屑排出溝102のドリル回転方向Tを向く壁面102aとドリル本体101の先端面106との交差稜線部に形成されている。なお、壁面102aの先端部の一部には、ギャッシュすくい面102cが形成されている。第1実施形態と同様に、ギャッシュすくい面102cは、軸線Oに平行となるように形成されている。
ドリル110の先端刃120は、第1先端刃121、第2先端刃122および第3先端刃123を有する。第1先端刃121、第2先端刃122および第3先端刃123は、それぞれ径方向内側から径方向外側に向かって延びる。第1先端刃121、第2先端刃122および第3先端刃123は、径方向内側から径方向外側に向かって、この順で並んでいる。
第1先端刃121は、径方向外側へ向かうに従い軸線O方向の基端側へ向けて傾いた方向に延びる。本実施形態の第1先端刃121は、第1実施形態と比較して、軸線Oに対する角度が小さい。第1先端刃121は、軸線Oに沿ってドリル110を被削材に近づけた際に、最初に被削材に接触する部分である。第1先端刃121の軸線Oに対する角度を小さくすることで、ドリル110が被削材に喰い付く際のドリルの安定性を高めることができる。したがって、本実施形態のドリル110は、ハンドドリルとしての使用に適している。
第2先端刃122は、第1先端刃121の径方向外側に配置されている。第2先端刃122は、径方向外側へ向かうに従い軸線O方向の先端側へ向けて傾いた方向に延びる。第2先端刃122は、第1先端刃121と反対側に傾いて延びている。
第3先端刃123は、第1直線部123eと、第1直線部123eより径方向と側に位置する第2直線部123fとを有する。第1直線部123eおよび第2直線部123fは、径方向外側へ向かうに従い軸線O方向の基端側へ向けて傾いた方向に直線的に延びる。第2直線部123fの傾きは、第1直線部123eの傾きより大きい。また、第3先端刃123は、径方向内側から径方向外側に向かうに従い、軸線Oに対する傾きが小さくなっている。
第1先端刃121、第2先端刃122および第3先端刃123の第1直線部123eは、ドリル本体101を軸線O方向の先端から基端側へ向けて見たドリル正面視で、径方向に沿うように延びている。したがって、本実施形態の第1先端刃121、第2先端刃122および第3先端刃123の第1直線部123eは、芯上がりでも芯下がりでもない、芯高ゼロとなるように設定されている。
第1先端刃121、第2先端刃122および第3先端刃123の第1直線部123eは、ギャッシュすくい面102cと先端面106との交差稜線に位置する。ギャッシュすくい面102cは、第1先端刃121、第2先端刃122および第3先端刃123の第1直線部123eのすくい面として機能する。
第1先端刃121、第2先端刃122および第3先端刃123の第1直線部123eのすくい面(ギャッシュすくい面102c)は、ドリル本体101の軸線Oに平行となるように形成されている。したがって、第1先端刃121、第2先端刃122および第3先端刃123の第1直線部123eの軸方向すくい角(アキシャルレーキ角)は、刃長全域にわたって、ネガティブ角(0°)とされている。
第1先端刃121、第2先端刃122および第3先端刃123の第1直線部123eの軸方向すくい角がネガティブ角(0°)とされ、かつ芯高ゼロとされている。したがって、第1先端刃121、第2先端刃122および第3先端刃123の第1直線部123eの半径方向すくい角は、ネガティブ角(0°)とされている。
本実施形態によれば、一方向を繊維方向とするCFRP等の被削材を穴あけ加工すると、被削材の繊維方向に対向する方向に刃先が回転する領域においてもバリ等の発生を顕著に抑制できる。すんわち、本実施形態によれば、第1先端刃121、第2先端刃122および第3先端刃123の第1直線部123eの刃先が被削材の繊維方向に対して逆目に切り込むことがなく、刃先が繊維方向に対し垂直に切り込み繊維の切り残しの発生を抑制できる。
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態のドリル210の側面図である。また、図8は、先端面側から見たドリル210の正面図である。
本実施形態のドリル210は、前述の実施形態で説明したドリル10と比較して、先端刃220のすくい角の構成が主に異なる。なお、前述の第1実施形態と同じ構成要素については詳細な説明を省略する。
本実施形態のドリル210は、切屑排出溝202と、切屑排出溝202に沿って形成された外周刃204と、が設けられているドリル本体201を有している。ドリル本体201の先端面206には、先端刃220が設けられている。先端刃220は、切屑排出溝202のドリル回転方向Tを向く壁面202aとドリル本体201の先端面206との交差稜線部に形成されている。なお、壁面202aの先端部の一部には、ギャッシュすくい面202cが形成されている。ギャッシュすくい面202cは、軸線Oに平行となるように形成されている。
ドリル210の先端刃220は、第1先端刃221、第2先端刃222および第3先端刃223を有する。第1先端刃221、第2先端刃222および第3先端刃223は、それぞれ径方向内側から径方向外側に向かって延びる。第1先端刃221、第2先端刃222および第3先端刃223は、径方向内側から径方向外側に向かって、この順で並んでいる。
図8に示すように、第1先端刃221、第2先端刃222および第3先端刃223は、ドリル本体201を軸線O方向の先端から基端側へ向けて見たドリル正面視で、径方向に沿うように延びている。したがって、本実施形態の第1先端刃221、第2先端刃222および第3先端刃223は、芯上がりでも芯下がりでもない、芯高ゼロとなるように設定されている。
本実施形態において、第3先端刃223の径方向の最外周部223aにおける半径方向すくい角は(ラジアルレーキ角)は、ネガティブ角(0°)である。これにより、被削材あの刃先に刃先が鈍角に切り込まれるため繊維同士の間に負荷が加わり難く繊維間の剥離を抑制できる。
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例およびなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
1,101,201…ドリル本体
2,102,202…切屑排出溝
2a,2b,102a,202a…壁面
2c,102c,202c…ギャッシュすくい面(第1先端切れ刃のすくい面)
4,104,204…外周刃
6,106,206…先端面
10,110,210…ドリル
20,120,220…先端刃
21,121,221…第1先端刃
21a…内側部
21b…外側部
21c…最内周部
22,122…第2先端刃
23,123…第3先端刃
23a,223a…最外周部
24…境界頂点
61…第1逃げ面
61a…一次先端逃げ面
61b…二次先端逃げ面
62…第2逃げ面
63…第3逃げ面
D…最大直径
d24…直径
O…軸線
T…ドリル回転方向
θ23a…半径方向すくい角

Claims (8)

  1. 軸線回りに回転させられるドリル本体と、
    前記ドリル本体の外周に形成されて、前記軸線方向に沿うように先端から基端側へ向けて延びる切屑排出溝と、
    前記切屑排出溝のドリル回転方向を向く壁面と前記ドリル本体の先端面との交差稜線部に形成された先端刃と、
    を備え、
    前記先端刃は、
    径方向外側へ向かうに従い前記軸線方向の基端側へ向けて延びる第1先端刃と、
    前記第1先端刃の径方向外側に配置され、径方向外側へ向かうに従い前記軸線方向の先端側へ向けて延びる第2先端刃と、
    前記第2先端刃の径方向外側に配置され、径方向外側へ向かうに従い前記軸線方向の基端側へ向けて延びる第3先端刃と、
    前記第2先端刃と前記第3先端刃との境界に位置する境界頂点と、を有し、
    前記境界頂点は、前記第1先端刃の最内周部より前記軸線方向の基端側に位置する、
    ドリル。
  2. 前記第3先端刃は、径方向の最外周部における半径方向すくい角が正角である、
    請求項1に記載のドリル。
  3. 前記第1先端刃は、前記ドリル本体を前記軸線方向の先端から基端側へ向けて見たドリル正面視で、前記軸線に直交する径方向に沿うように延びており、
    前記第1先端刃のすくい面は、前記軸線と平行となる、
    請求項1又は2に記載のドリル。
  4. 前記境界頂点の回転軌跡の直径が、前記ドリル本体の最大直径に対して50%以上である、
    請求項1〜3の何れか一項に記載のドリル。
  5. 前記第3先端刃は、基端側に向かうに従い前記軸線から離れる方向に傾いており、径方向内側から径方向外側に向かうに従い、前記軸線に対する傾きが小さくなっている、
    請求項1〜4の何れか一項に記載のドリル。
  6. 前記第1先端刃の回転後方側に連なる一次先端逃げ面と、
    前記一次先端逃げ面の回転後方側に連なる二次先端逃げ面と、を有する、
    請求項1〜5の何れか一項に記載のドリル。
  7. 軸線方向において、前記第2先端刃が前記第1先端刃の30%以上の領域と重なりあっている、
    請求項1〜6の何れか一項に記載のドリル。
  8. 工具本体の先端部に装着されるドリルヘッドであって、
    前記工具本体とともに軸線回りに回転させられるヘッド本体と、
    前記ヘッド本体の外周に形成されて、前記軸線方向に沿うように先端から基端側へ向けて延びる切屑排出溝と、
    前記切屑排出溝のドリル回転方向を向く壁面と前記ヘッド本体の先端面との交差稜線部に形成された先端刃と、
    を備え、
    前記先端刃は、
    径方向外側へ向かうに従い前記軸線方向の基端側へ向けて延びる第1先端刃と、
    前記第1先端刃の径方向外側に配置され、径方向外側へ向かうに従い前記軸線方向の先端側へ向けて延びる第2先端刃と、
    前記第2先端刃の径方向外側に配置され、径方向外側へ向かうに従い前記軸線方向の基端側へ向けて延びる第3先端刃と、
    前記第2先端刃と前記第3先端刃との境界に位置する境界頂点と、を有し、
    前記境界頂点は、前記第1先端刃の最内周部より前記軸線方向の基端側に位置する、
    ドリルヘッド。
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