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JP2018109079A - 緑色蛍光体、発光素子及び発光装置 - Google Patents

緑色蛍光体、発光素子及び発光装置 Download PDF

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JP2018109079A JP2016256183A JP2016256183A JP2018109079A JP 2018109079 A JP2018109079 A JP 2018109079A JP 2016256183 A JP2016256183 A JP 2016256183A JP 2016256183 A JP2016256183 A JP 2016256183A JP 2018109079 A JP2018109079 A JP 2018109079A
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太陽 山浦
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Shintaro Watanabe
真太郎 渡邉
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Abstract

【課題】本発明は、より輝度の高いγ−AlON系緑色蛍光体、及び前記蛍光体を含む発光素子、前記発光素子を用いた発光装置を提供することを目的とする。【解決手段】立方晶スピネル型AlON結晶と同一の結晶構造を有する母体結晶に、元素M(但し元素Mは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Tm、Ybから選ばれる1種以上の元素)と、元素A(但し元素Aは、元素MおよびAl以外の1種以上の金属元素)とが固溶している緑色蛍光体で、波長455nmの光で励起した場合、波長515nm以上530nm以下の範囲に蛍光スペクトルのピークを有し、波長600〜800nmの範囲における平均拡散反射率が92%以上であり、蛍光ピーク波長における拡散反射率が90%以上である緑色蛍光体とする。【選択図】なし

Description

本発明は、緑色蛍光体、及び前記蛍光体を用いた発光素子及び発光装置に関する。より詳しくは、輝度に優れ、LED(発光ダイオードともいう)又はLD(レーザーダイオードともいう)向けに好ましく用いることができる緑色蛍光体、及び前記蛍光体を用いた発光素子及び発光装置に関する。
白色LEDは、半導体発光素子と蛍光体との組み合わせにより疑似白色光を発光するデバイスであり、その代表的な例として、青色LEDとYAG黄色蛍光体の組み合わせが知られている。しかし、この方式の白色LEDは、その色度座標値としては白色領域に入るものの、緑色発光成分、赤色発光成分が不足しているために、照明用途では演色性が低く、液晶バックライトのような画像表示装置では色再現性が悪いという問題がある。そこで、不足している発光成分を補うために、青色LEDと緑色蛍光体及び赤色蛍光体を組み合わせた発光装置が提案されている。緑色を発光する蛍光体の代表例として、窒化ケイ素のケイ素、窒素の一部をアルミニウム、酸素が置換固溶したβサイアロンに、さらに発光中心となる元素を固溶させたβサイアロン蛍光体が知られている。
その他の緑色を発光する蛍光体として、特許文献1、2には、立方晶スピネル型AlON結晶(γ−AlONとも呼称される)と同一の結晶構造を有する無機結晶を母体結晶とし、例えばMnとMg、またはMnとEuとMg、またはMnとSiといった元素の組み合わせを前記母体結晶にさらに固溶させた蛍光体(以降、γ−AlON系蛍光体とも記載する)が開示されている。γ−AlON系蛍光体は、一般に発光スペクトルの半値幅が狭く、また緑色蛍光体としての発光ピーク波長が、βサイアロン蛍光体の発光ピーク波長よりもさらに短波長側にあるため、原理的には高効率及び色再現性がより広い発光装置を得ることができる。特許文献3、4には、γ−AlON系蛍光体と赤色蛍光体及び光源を組み合わせた発光装置についても提案されている。
しかしγ−AlON系蛍光体は、発光波長の面ではβサイアロン蛍光体より有利であるものの、発光装置として使用するには発光輝度が幾分不足しており、この点において改良の余地が残されていた。そのため、業界では高い発光輝度の発光素子、発光装置を提供できるように、γ−AlON系蛍光体の高輝度化が期待されていた。
国際公報第2007/099862号パンフレット 特開2009−096854号公報 特開2009−218422号公報 特開2010−093132号公報
本発明は、より輝度の高いγ−AlON系緑色蛍光体、及び前記蛍光体を含む発光素子、前記発光素子を用いた発光装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、立方晶スピネル型AlON結晶と同一の結晶構造を有する母体結晶に、さらに複数の元素を固溶させたγ−AlON系緑色蛍光体において、前記蛍光体が、可視光の特定波長域の平均拡散反射率と特定波長における拡散反射率の規定を満たしていると、あるいは特定波長における光吸収率の規定を満たしていると、蛍光体の外部量子効率が高く、即ち輝度がさらに高いγ−AlON系緑色蛍光体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1)立方晶スピネル型AlON結晶と同一の結晶構造を有する母体結晶に、元素M(但し元素Mは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Tm、Ybから選ばれる1種以上の元素)と、元素A(但し元素Aは、元素MおよびAl以外の1種以上の金属元素)とが固溶している蛍光体で、波長455nmの光で励起した場合、波長515nm以上530nm以下の範囲に蛍光スペクトルのピークを有し、波長600〜800nmの範囲における平均拡散反射率が92%以上であり、蛍光ピーク波長における拡散反射率が90%以上である緑色蛍光体である。
また本発明は、
(2)立方晶スピネル型AlON結晶と同一の結晶構造を有する母体結晶に、元素M(但し元素Mは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Tm、Ybから選ばれる1種以上の元素)と、元素A(但し元素Aは、元素MおよびAl以外の1種以上の金属元素)とが固溶している蛍光体で、波長455nmの光で励起した場合、波長515nm以上530nm以下の範囲に蛍光スペクトルのピークを有し、波長445nmにおける光吸収率が20%以上、波長520nmにおける光吸収率が8%以下、かつ波長600nmにおける光吸収率が7%以下である緑色蛍光体である。
(3)前記(1)または(2)記載の緑色蛍光体は、組成式がMaAbAlcOdNe(但し、Mは元素M、Aは元素A、Alはアルミニウム、Oは酸素、Nは窒素であり、a+b+c+d+e=1を満たす)で示され、0.00001≦a≦0.1の緑色蛍光体であることが好ましい。
(4)前記(1)〜(3)いずれか一項記載の緑色蛍光体は、組成式がMaAbAlcOdNe(但し、Mは元素M、Aは元素A、Alはアルミニウム、Oは酸素、Nは窒素であり、a+b+c+d+e=1を満たす)で示され、0.001≦b≦0.40の緑色蛍光体であることが好ましい。
(5)前記(1)〜(4)いずれか一項記載の緑色蛍光体は、元素MがMnであることが好ましい。
(6)前記(1)〜(5)いずれか一項記載の緑色蛍光体は、元素A元素が少なくともMgを含むことが好ましい。
(7)また本発明は、前記(1)〜(6)いずれか一項記載の緑色蛍光体を含む発光素子である。
(8)また本発明は、前記(7)記載の発光素子を用いた発光装置である。
本発明の実施により、従来より輝度の高い緑色蛍光体を得ることができ、本発明の蛍光体を励起できる例えば青色LED等に、本発明の緑色蛍光体と、必要に応じてさらに別の色を発光する蛍光体(例えば赤色蛍光体)とを組み合わせて含む、例えば白色LED等の発光素子や、さらにこれら発光素子を用いた発光装置と提供することができる。発光装置としては、例えば照明装置、バックライト装置、画像表示装置及び信号装置が挙げられる。
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。
本発明の実施により立方晶スピネル型AlON結晶と同一の結晶構造を有する母体結晶に、元素M(但し元素Mは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Tm、Ybから選ばれる1種以上の元素)と、元素A(但し元素Aは、元素MおよびAl以外の1種以上の金属元素)とが固溶している緑色蛍光体が得られる。本発明でいう立方晶スピネル型AlON結晶と同一の結晶構造を有する母体結晶とは、さらに具体的には、立方晶スピネル型のAlON結晶、AlON固溶体結晶、及び前記AlON結晶、前記AlON固溶体結晶を除く、立方晶スピネル型AlON結晶と同一の結晶構造を有する結晶の総称である。立方晶スピネル型のAlON結晶はより一般的にγ−AlONとも呼ばれている。また前記AlON固溶体結晶とは、前記AlONと同じ結晶構造を有するが、酸素/窒素の比率がAlONとは異なっている、またはケイ素やMnなど他の元素が添加されている結晶である。さらに立方晶スピネル型AlON結晶と同一の結晶構造を有する結晶とは、前記AlONと同じ結晶構造を有するが、Al、O、Nの一部または全てが他の元素に置き換わった結晶である。これらの中ではγ−AlONが最も代表的な結晶である。
本明細書では便宜上、蛍光体の主結晶構造が例えばγ−AlONで示されると記載するが、そのような組成の蛍光体が得られるように原料を配合しても、原料中の不純物や焼成時の雰囲気等の影響により、蛍光体の組成が変動する可能性がある。本発明の緑色蛍光体の組成は、そのような変動分をも包摂した表現である。
本発明の緑色蛍光体の母体結晶が、γ−AlONと同一の結晶構造を有しているか否かは、粉末X線回折測定により確認することができる。本発明の蛍光体の母体結晶が、γ−AlONと同一の結晶構造を有してない場合には、発光色が緑色ではなくなったり、蛍光強度が大きく低下したりするので、好ましくない。本発明の緑色蛍光体において、γ−AlONと同一の結晶構造である母体結晶は、単相の結晶であることが好ましいが、蛍光体特性に大きな影響がない限り、異相の結晶を含んでいても構わない。異相の結晶の有無もまた、粉末X線回折測定により目的の結晶相によるもの以外のピークの有無により判別することができる。また、γ−AlONの構成元素が一部他の元素と置き換わることにより、格子定数が変化したものも本発明として含まれる。
本発明の緑色蛍光体は、立方晶スピネル型AlON(即ちγ−AlON)結晶と同一の結晶構造を有する母体結晶に、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Tm、Ybから選ばれる1種以上の元素Mが固溶している蛍光体である。元素Mは、蛍光体の発光中心となる元素であり、本発明の緑色蛍光体では特にMnが好ましい。
本発明の緑色蛍光体は、前記元素Mに加え、さらに元素Aが固溶している蛍光体である。元素Aは、元素M及びAl以外の1種以上の金属元素であり、Mgを含むことが好ましい。
また本発明の緑色蛍光体は、波長455nmの光で励起した場合、波長515nm以上530nm以下の範囲に蛍光スペクトルのピークを有し、波長600〜800nmの範囲における平均拡散反射率が92%以上であり、蛍光ピーク波長における拡散反射率が90%以上である。
本発明の緑色蛍光体において波長600〜800nmの平均拡散反射率を92%以上としたのは、母体材料の透明性を高めることによって内部量子効率を向上させるためである。Mn2+で付活したγ−AlON系蛍光体において、Mn2+の蛍光発光は、500〜600nmの範囲で起こる。つまり、波長600nmより大きい拡散反射率はγ−AlON中のMn2+以外の吸収、つまり母体材料の発光を伴わない吸収を示す値である。波長600〜800nmの範囲で平均化することによりこの拡散反射率は再現性良く評価することができる。γ−AlON系蛍光体をこの範囲に制御するにはγ−AlON蛍光体母結晶の結晶性を高めたり、可視光を吸収する不純物や異相を低減すればよい。
本発明の緑色蛍光体において、蛍光ピーク波長における拡散反射率を90%以上としたのは、γ−AlON系蛍光体の母結晶内におけるMn2+近傍の結晶欠陥を除去するためである。この結晶欠陥は、Mn2+の励起した電子をトラップし発光を抑制してしまう。この抑制挙動は発光波長域の反射率に反映する。特に、蛍光ピーク波長における拡散反射率が蛍光特性と密接な関係を示す。γ−AlON蛍光体をこの範囲に制御するにはMn2+の励起した電子をトラップする結晶欠陥を低減すればよい。
またさらに本発明の緑色蛍光体は、波長445nmにおける光吸収率が20%以上、波長520nmにおける光吸収率が8%以下、かつ波長600nmにおける光吸収率が7%以下である。
γ−AlON系蛍光体の母結晶内に固溶したMn2+の励起帯が440〜450nmにあり、励起源として波長445nmの青色光との組合せで最も輝度の高い発光装置が得られる。そこで、本発明の蛍光体は、波長445nmの光吸収率を20%以上とすることで、励起光を効率良く吸収し、高い輝度を得ることができる。また、Mn2+の励起とは無関係でAlONの結晶欠陥と相関がある、波長520nm及び600nmの光吸収率を、それぞれ8%より及び7%より低くすることで、輝度の高い緑色蛍光体となる。
また本発明の緑色蛍光体は、その組成式がMaAbAlcOdNe(但し、Mは元素M、Aは元素A、Alはアルミニウム、Oは酸素、Nは窒素であり、a+b+c+d+e=1を満たす)で示すことができ、0.00001≦a≦0.1であることが好ましい。aが0.00001より小さいと発光中心となる元素Mが少ないため輝度が低下する。またaが0.1より大きいと、濃度消光と呼ばれる元素M同士間の干渉現象により輝度が低下する。
また本発明の緑色蛍光体は、前記本発明の組成式において、0.001≦b≦0.40であることが好ましい。bがこの範囲を外れると蛍光体の母体結晶が化学的に不安定になり、γ−AlONで示される結晶相以外の結晶相(即ち異相)の割合が増えるため、輝度が低下する。
本発明の緑色蛍光体の製造方法は、従来のγ−AlON系蛍光体の製造方法と同様の製造方法を用いることができる。ここでは、本発明の一つの実施形態であるγ−AlON結晶中に元素Mと元素Aとが固溶した結晶を得る方法として、結晶を構成しうる原料を混合した粉末を、窒素雰囲気中において所定の温度範囲で焼成する方法を例示するが、特にこの方法に限定されるものではない。
前記の製造方法は、本発明の緑色蛍光体の原料として、元素M、元素A、アルミニウム、酸素、及び窒素を含む単体及び/または化合物を用意して、目的の蛍光体が得られるような配合で前記原料を混合する準備工程と、これを焼成して本発明の緑色蛍光体を得る焼成工程を含む製造方法である。なお、前記元素Mを含む単体または化合物とは、元素Mを含む金属、元素Mの酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物、酸窒化物、またはこれらを組み合わせたものである。また前記元素Aを含む単体または化合物とは、元素Aを含む金属、元素Aの酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物、酸窒化物、またはこれらを組み合わせたものである。さらに前記アルミニウムを含む単体または化合物とは、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化アルミニウムや窒化アルミニウム、またはこれらを組み合わせたものである。本発明の緑色蛍光体の原料となる酸素や窒素は、前記酸化物及び窒化物、また焼結する炉内中の雰囲気ガス(窒素ガス)から供給することができる。これら各原料は、固体であれば粉末状であることが好ましく、焼成する前に予め均一に混合することが好ましい。
前記予め均一に混合した原料(以降、原料混合粉末という)は、焼成容器内に充填して焼成する。焼成容器は、少なくとも焼成温度の窒素雰囲気下において十分化学的、物理的(機械的)に安定で、原料混合粉末及びその反応生成物と反応しにくい材質で構成されることが好ましく、例えば窒化ホウ素製、カーボン製などが挙げられる。
原料混合粉末を充填した焼成容器は焼成炉にセットし、好ましくは1500℃以上2200℃以下の窒素雰囲気中で焼成する。焼成温度が1500℃より低いと未反応残存量が多くなり、焼成温度が2200℃より高くなると目的とする蛍光体の母体結晶が分解するので好ましくない。
焼成時間は、未反応の原料が多く残存したり、蛍光体の粒子の成長が不足したり、或いは実用的な面での生産性の低下という不都合が生じない時間範囲が選択される。本発明の好ましい実施形態では、焼成時間は1時間以上24時間以下としてよい。
焼成雰囲気の圧力は、焼成温度に応じて選択される。雰囲気圧力が高いほど、本発明の緑色蛍光体の母体結晶の分解開始温度は高くすることが可能であるが、工業的生産性を考慮すると1MPa未満とすることが好ましい。
原料混合粉末を焼成して得られる焼成物の状態は、原料混合粉末の配合割合や焼成条件により、粉体状、塊状、焼結体と様々である。蛍光体として使用する場合には、解砕や粉砕及び/又は分級操作を組み合わせて焼成物を所定の粒子サイズとすることができる。
本発明の緑色蛍光体の製造にあっては、蛍光体中の不純物を除去するための酸処理工程を、また蛍光体の結晶性を向上させることを目的とするアニール処理工程を更に設け、実施しても良い。
本発明の緑色蛍光体は、発光光源と本発明の蛍光体を含む発光素子に使用することができる。特に発光光源として、350nm以上500nm以下の波長を含有する紫外光や可視光を放射するLEDを用い、本発明の蛍光体に照射すると、波長510nmから550nmに蛍光ピークのある緑色光を発する。このため、例えば紫外LEDや青色LEDを発光光源として用い、本発明の緑色蛍光体と、さらに赤色の蛍光体とを組み合わせて含む発光素子となすことにより、容易に白色光の発光素子を得ることができる。
以下に本発明を実施例及び比較例によりさらに詳しく説明する。但し本発明は、これら実施例の記載のみに限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1の蛍光体の原料として、酸化アルミニウム粉末(Al、TM−DARグレード、大明化学株式会社製)、窒化アルミニウム粉末(AlN、Eグレード、株式会社トクヤマ社製)、酸化マグネシウム粉末(MgO、和光純薬工業社製)、酸化マンガン粉末(MnO、高純度化学研究所製)を用い、Mn:Mg:Al:O:N=0.0179:0.0625:0.3482:0.5089:0.0625のモル比率(表1に記載)となるように10分間乾式混合した。混合後の原料を目開き250μmのナイロン製篩で分級して大きさを揃え、原料混合粉末とした。分級した原料混合粉末の13gを、蓋付きの円筒型窒化ホウ素製容器(N−1グレード、デンカ社製)に充填した。
原料混合粉末を充填した前記窒化ホウ素製容器をカーボンヒーターの電気炉内に速やかにセットし、炉内は0.1Pa以下まで十分に真空排気した。真空排気したまま、毎時300℃の昇温速度で加熱を開始し、1000℃到達後からは炉内に窒素ガスを導入し、炉内雰囲気圧力を0.8MPaとした。炉の内容積を1とした場合に1分間に炉内に流す窒素ガスの体積は0.02の比でガス導入を行い、圧力が一定となる様に窒素ガスの排気も並行して行った。窒素ガス導入開始後も、そのまま毎時300℃の昇温速度で加熱し続けて1900℃まで昇温し、1900℃の温度を保ちながら4時間の原料混合物を焼成した。
所定時間経過して冷却後、炉から回収した窒化ホウ素製容器内からは緑色の塊状物が回収されたが、前記塊状物をさらに乳鉢で解砕して、フッ化水素酸及び硝酸の混合液(80℃)で洗浄する酸処理工程を実施し、実施例1の蛍光体サンプルを得た。
(実施例2、比較例1、2)
実施例1の蛍光体で使用した原料と同じ原料を用い、但し、Mn:Mg:Al:O:Nのモル比率は表1に記載した比率に変更して原料混合粉末を調製した以外は、実施例1と同じ操作を実施して、実施例2、比較例1、2の蛍光体サンプルを得た。
(結晶構造の確認)
実施例1、2、比較例1、2の蛍光体サンプルに対して、X線回折装置(UltimaIV、リガク社製)を用い、CuKα線を用いた粉末X線回折を行った。得られたX線回折パターンは、全てのサンプルでAlON結晶と同一の回折パターンが認められ、主結晶相がAlON結晶と同一の結晶構造を有することが確認された。
(蛍光ピーク波長の測定)
実施例1の蛍光体の蛍光ピーク波長を、以下に記載した方法で測定した。即ち、積分球装置と積分球装置付属の試料ホルダー、波長445nmの励起光、及び分光光度計(MCPD−7000、大塚電子社製)を準備した。粉末状の実施例1の蛍光体を表面が平滑になるように充填した前記試料ホルダーを、前記積分球の内面に向けて取り付け、積分球内部には光ファイバーを用いて波長445nmの励起光を導入し、実施例1の蛍光体サンプルに照射した。前記蛍光体が発した蛍光の一部を、積分球から外部の分光光度計に導いて、その蛍光スペクトルを測定した。なお、前記波長445nmの励起光は、発光光源(Xeランプ)の光を波長445nmの光のみに分光したものである。実施例1の蛍光体サンプルの蛍光スペクトルで最も強度が高くなる蛍光ピーク波長は520nmであった。同様にして、実施例2及び比較例1、2の蛍光体サンプルの蛍光体スペクトルも測定し、それぞれの蛍光ピーク波長を求めた。これらの結果は、表2に示した。
(拡散反射率の測定)
実施例1の蛍光体の拡散反射率を、積分球装置(ISV−469、日本分光社製)を取り付け、標準白板(スペクトラロン、Labsphere社製)でベースライン補正した紫外可視分光光度計(V−550、日本分光社製)を用いて測定した。粉末状の実施例1の蛍光体を充填した試料ホルダーを積分球装置にセットし、480〜850nmの波長範囲の光を照射しながら、蛍光体の拡散反射率を測定した。なお実施例1の蛍光体の、蛍光ピーク波長(即ち520nm)における拡散反射率は、92.8%であり、また波長600〜800nmの範囲における光に対する平均拡散反射率は、94.6%であった。実施例2及び比較例1、2の蛍光体サンプルの拡散反射率及び平均拡散反射率も同様に測定し、これらの結果を表2に併せて示した。
(光吸収率の測定)
実施例1の蛍光体サンプルの、波長445nm、520nm、600nmの光に対する光吸収率を、蛍光ピーク波長の測定で使用した同じ測定機を用い、以下に記載の方法で測定した。
即ち、Xeランプから所定の波長範囲に分光した光を照射し、反射スペクトルを測定した。その際、波長445nmの光に対する光吸収率を求める場合は440〜455nm、520nmの場合は515〜530nm、600nmの場合は595〜610nmの波長範囲で、はじめに試料部に標準白板(スペクトラロン)をセットし、標準白板の反射光フォトン数(Qw)を算出した。次いで、試料部に実施例1の蛍光体サンプルをセットし、標準白板の場合と同じ測定を行い蛍光体の反射光フォトン数(Qp)を算出し、各波長での光吸収率(Qp/Qw×100)を求めた。実施例1の蛍光体の、波長445nm、520nm、600nmの光に対する光吸収率はそれぞれ29.0%、6.0%、5.0%であった。実施例2及び比較例1、2の蛍光体サンプルの、波長445nm、520nm、600nmの光に対する光吸収率も同様に測定し、これらの結果を、表2に併せて示した。
(外部量子効率の測定、輝度の評価)
実施例1の蛍光体サンプルの、波長445nmで蛍光体試料のスペクトル測定を行う際は、波長455〜800nmの範囲で蛍光フォトン数(Qem)を算出し、励起波長445nmでの外部量子効率(Qem/(Qw−Qp))を求めた。実施例1の蛍光体サンプルの外部量子効率は22.8%であった。実施例2及び比較例1、2の蛍光体サンプルの、外部量子効率も同様に測定し、これらの結果を、表2に併せて示した。外部量子効率が20%以上であれば、優れた輝度を有する緑色蛍光体であると判断した。
表2に示した結果から、本発明の実施により、より輝度の高いγ−AlON系緑色蛍光体、前記蛍光体を含む発光素子、及び前記発光素子を用いた発光装置を提供することが可能であることが示された。
Figure 2018109079
Figure 2018109079

Claims (8)

  1. 立方晶スピネル型AlON結晶と同一の結晶構造を有する母体結晶に、元素M(但し元素Mは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Tm、Ybから選ばれる1種以上の元素)と、元素A(但し元素Aは、元素MおよびAl以外の1種以上の金属元素)とが固溶している緑色蛍光体で、波長455nmの光で励起した場合、波長515nm以上530nm以下の範囲に蛍光スペクトルのピークを有し、波長600〜800nmの範囲における平均拡散反射率が92%以上であり、蛍光ピーク波長における拡散反射率が90%以上である緑色蛍光体。
  2. 立方晶スピネル型AlON結晶と同一の結晶構造を有する母体結晶に、元素M(但し元素Mは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Tm、Ybから選ばれる1種以上の元素)と、元素A(但し元素Aは、元素MおよびAl以外の1種以上の金属元素)とが固溶している緑色蛍光体で、波長455nmの光で励起した場合、波長515nm以上530nm以下の範囲に蛍光スペクトルのピークを有し、波長445nmにおける光吸収率が20%以上、波長520nmにおける光吸収率が8%以下、かつ波長600nmにおける光吸収率が7%以下である緑色蛍光体。
  3. 組成式がMaAbAlcOdNe(但し、Mは元素M、Aは元素A、Alはアルミニウム、Oは酸素、Nは窒素であり、a+b+c+d+e=1を満たす)で示され、0.00001≦a≦0.1である、請求項1または2記載の緑色蛍光体。
  4. 組成式がMaAbAlcOdNe(但し、Mは元素M、Aは元素A、Alはアルミニウム、Oは酸素、Nは窒素であり、a+b+c+d+e=1を満たす)で示され、0.001≦b≦0.40である、請求項1〜3いずれか一項記載の緑色蛍光体。
  5. 元素MがMnである、請求項1〜4いずれか一項記載の緑色蛍光体。
  6. 元素Aが少なくともMgを含む、請求項1〜5いずれか一項記載の緑色蛍光体。
  7. 請求項1〜6いずれか一項記載の緑色蛍光体を含む発光素子。
  8. 請求項7記載の発光素子を用いた発光装置。

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