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JP2018196401A - マイクロニードルシート - Google Patents

マイクロニードルシート Download PDF

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JP2018196401A JP2017099586A JP2017099586A JP2018196401A JP 2018196401 A JP2018196401 A JP 2018196401A JP 2017099586 A JP2017099586 A JP 2017099586A JP 2017099586 A JP2017099586 A JP 2017099586A JP 2018196401 A JP2018196401 A JP 2018196401A
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Abstract

【課題】折れる又は欠けることなく鋭い先端又は尖った先を有するマイクロニードルを提供する。
【解決手段】基材シート及び基材シート上の複数のマイクロニードルを含み、マイクロニードルの少なくとも1つが、遠位端部分4及び近位端部分5を含む複数の部分を含み、前記遠位端部分4が第1の組成物を含み、前記近位端部分5が第2の組成物を含み、前記第1の組成物及び前記第2の組成物が異なっており、前記第1の組成物が少なくとも1つのアルカリ土類金属塩を含む、マイクロニードルシート8である。良好な形状を有するマイクロニードルを提供することができ、前記近位端部分5を均質にすること及び/又はマイクロニードルシート8をゆがめることも可能である。
【選択図】図3

Description

本発明は、皮膚の美容処置法に使用することができる、複数のマイクロニードルを含むマイクロニードルシートに関する。
角質層(SC)は、低分子量材料を含む外因性物質に対する主な障壁を構成する。皮膚に浸透する物質は、SCの高度に組織された細胞間脂質二重層を通って拡散しなければならない。親油性であるこの細胞間の微細経路は、送達ビヒクルとSCとの間の濃度勾配に沿った受動拡散により、外因性物質がSC障壁を通過する主要な経路である。効果的な受動拡散、そしてそのことによるSC障壁の貫通が可能な分子の理想的な特性は、分子量が600Da未満であることが知られている。
高分子量分子では、テープストリッピング及び吸引、レーザー又は熱アブレーション等の、SC障壁を除去することを目的とする技術は実用的でなく、一方で無針注射は、これまで従来の針に基づく送達に置き換わることができなかった。
角質層障壁を破るために複数の微細突起からなる微細構造装置を使用するという着想は、1970年代に初めて提案された。角質層を穿刺して微視的な穴を残し、それに続く内部への薬物送達又は外部への間質液の移行を可能にするシステムをもたらすために、固体微細突起を含む様々な装置が開発されてきた。例えばシリコン又はポリマーを使用する固体微細突起及びマイクロニードルアレイの製造は、当該技術において記載されており、例えば、国際公開第2009040548号及び米国特許出願公開第2015/0141910号を参照すること。
当該技術において現在知られているそのようなシステムの使用は、薬物送達が非常に少量であるという問題に関連している。
国際公開第2016/076442号は、マイクロニードルが少なくとも遠位端部分及び近位端部分を含み、遠位端部分及び近位端部分が異なっている又は別個である、マイクロニードルシートを開示する。
国際公開第2009040548号 米国特許出願公開第2015/0141910号 国際公開第2016/076442号 米国特許第6,219,574号 カナダ特許出願第2,226,718号 米国特許第6,652,478号
マイクロニードルシート、特に、国際公開第2016/076442号に開示されているもの等の、遠位端部分及び近位端部分を有するいわゆる二重積層マイクロニードルシートを調製する場合、典型的には、最初に遠位端部分が、型のキャビティにおいて第1の組成物を成形することによって、第1の組成物により形成され、ここでキャビティは、マイクロニードルのネガ形状を有し、次に近位端部分が、同じキャビティにおいて第2の組成物を成形することによって、第2組成物により形成され、遠位端部分と近位端部分が接続されて、マイクロニードルが形成される。
しかし、遠位端部分が既に形成され、存在しているキャビティにおいて第2の組成物を成形すると、遠位端部分は膨張する傾向がある。遠位端部分がキャビティの中で膨張すると、遠位端部分は変形し、キャビティ面から引き離される。遠位端部分が型のキャビティ面から引き離されると、遠位端部分は、もはやマイクロニードルの形状を形成しない場合がある。加えて、遠位端部分の成分は、遠位端部分から近位端部分に移動することもあり、したがって、近位端部分は、均質にならない場合もあり、マイクロニードルシートはゆがむ場合もある。
本発明の目的は、複数のマイクロニードルを含み、マイクロニードルの少なくとも1つが、少なくとも、良好な形状のマイクロニードルの遠位端部分及び近位端部分、好ましくは、同様に均質な近位端部分を含むマイクロニードルシートを提供すること、及び/又は平坦な形状のマイクロニードルシートを提供することである。
上記の目的は、基材シート及び基材シート上の複数のマイクロニードルを含み、
マイクロニードルの少なくとも1つが、遠位端部分及び近位端部分を含む複数の部分を含み、
遠位端部分が、第1のポリマーを含む第1の組成物を含み、
近位端部分が、第2のポリマーを含む第2の組成物を含み、
第1の組成物及び第2の組成物が、異なっており、
第1の組成物が、少なくとも1つのアルカリ土類金属塩を含む
マイクロニードルシートによって達成されうる。
マイクロニードルは、遠位端部分及び近位端部分のみからなりうる。
アルカリ土類金属塩は、大気圧下及び室温で固体でありうる。
アルカリ土類金属は、マグネシウム、カルシウム及びこれらの混合物から選択されうる。
アルカリ土類金属塩は、アルカリ土類金属ハロゲン化物、好ましくは、アルカリ土類金属塩化物、より好ましくは塩化マグネシウム、塩化カルシウム及びこれらの混合物から選択されうる。
遠位端部分の第1の組成物におけるアルカリ土類金属塩の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%〜20質量%、好ましくは0.05質量%〜15質量%、より好ましくは0.1質量%〜10質量%でありうる。
遠位端部分は、膨潤性、好ましくは水膨潤性、より好ましくは皮膚内において膨潤性でありうる。
第1のポリマーは、高分子量ヒアルロン酸、架橋ヒアルロン酸、架橋ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール架橋ポリ乳酸又はポリグルコール酸又はポリ-乳酸-co-グリコール酸又はポリジオキサノン、ポリ(スチレン)ブロックポリ(アクリル酸)、ポリエチレングリコール架橋PMVE/MA、架橋ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム、セルロース、天然及び合成ゴム、アルギネート、ポリアクリル酸ナトリウム、PEG架橋ポリ(メチル/ビニルエーテル/マレイン酸)(PMVE/MA)及びそのエステル、PEG架橋ポリ(メチル/ビニルエーテル/無水マレイン酸)(PMVE/MAH)及びそのエスエル、並びにこれらの混合物から選択されうる。
第1のポリマーは、500kDaを超える、好ましくは1000kDaを超える、より好ましくは2100kDaを超える分子量を有する高分子量ヒアルロン酸でありうる。
近位端部分は、可溶性又は分散性、好ましくは水溶性又は水分散性、より好ましくは皮膚内において可溶性又は分散性でありうる。
第2のポリマーは、低分子量ヒアルロン酸、単糖、二糖、オリゴ糖、デキストリン、デキストラン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリ(メチルビニルエーテル(methyvinylether)/無水マレイン酸)、ポリビニルピロリドン、ポリ(メチル/ビニルエーテル/マレイン酸)(PMVE/MA)及びそのエステル、ポリ(メチル/ビニルエーテル/無水マレイン酸)(PMVE/MAH)、並びにこれらの混合物から選択されうる。
第2のポリマーは、1kDaから300kDaの間、好ましくは5kDaから200kDaの間、より好ましくは7kDaから100kDaの間の分子量を有するポリビニルピロリドンでありうる。
低分子量ヒアルロン酸は、100kDa未満、好ましくは50kDa未満、より好ましくは10kDa未満の分子量を有しうる。
基材シートが第2の組成物を含んでもよい。
本発明の別の態様は、皮膚の美容方法であって、上記に説明されたマイクロニードルシートを皮膚に適用して、マイクロニードルシートのマイクロニードルを皮膚の中に挿入する工程を含む方法に関する。
本発明の別の態様は、皮膚の皺を低減するための、上記に説明されたマイクロニードルシートの美容上の使用にも関する。
本発明によるマイクロニードルシートのマイクロニードルの一例を示す図である。 本発明によるマイクロニードルシートのマイクロニードルの別の実施形態を示す図である。 本発明によるマイクロニードルシートの1つの実施形態を示す図である。 実施例1によるマイクロニードルシート上のマイクロニードルの2つの斜視図の拡大写真を示す図である。 実施例1によるマイクロニードルシートの写真を示す図である。 比較例1によるマイクロニードルシート上のマイクロニードルの2つの斜視図の拡大写真の図である。 比較例1によるマイクロニードルシートの写真を示す図である。 実施例1によるマイクロニードルシートのマイクロニードルの断面積の変化を示すグラフを示す図である。
鋭意検討の結果、本発明者たちは、複数のマイクロニードルを含み、マイクロニードルの少なくとも1つが、少なくとも、良好な形状のマイクロニードルの遠位端部分及び近位端部分を含むマイクロニードルシートを提供することが可能であることを発見した。
したがって、本発明によるマイクロニードルシートは、基材シート及び基材シート上の複数のマイクロニードルを含み、ここで
マイクロニードルの少なくとも1つは、遠位端部分及び近位端部分を含む複数の部分を含み、
遠位端部分は、第1のポリマーを含む第1の組成物を含み、
近位端部分は、第2のポリマーを含む第2の組成物を含み、
第1の組成物及び第2の組成物は、異なっており、
第1の組成物は、少なくとも1つのアルカリ土類金属塩を含む。
針として良好な形状(例えば、折れる又は欠けることなく鋭い先端又は尖った先)を有するマイクロニードルを提供することが、本発明には可能である。
したがって、換言すると、本発明の目的は、基材シート及び基材シート上の複数のマイクロニードルを含み、マイクロニードルの少なくとも1つが、遠位端部分及び近位端部分を含む複数の部分を含むマイクロニードルシート、特に、良好な形状のマイクロニードルを有し、且つ容易に調製されうる二重積層マイクロニードルシート、を提供すること、と言い換えることができる。
近位端部分を均質にすること、及び/又はマイクロニードルシートを平坦にすることも、本発明では可能である。
本発明によるマイクロニードルシートは、皮膚の美容目的又は美容処置法のため、好ましくは皮膚の皺を低減するため、より好ましくは顔面の皺を低減するために使用されうる。
本明細書以降、本発明によるマイクロニードルシートを詳細に説明する。
[マイクロニードルシート]
本発明によるマイクロニードルシートは、基材シート及び基材シート上の複数のマイクロニードルを含み、ここで
マイクロニードルの少なくとも1つは、遠位端部分及び近位端部分を含む複数の部分を含み、
遠位端部分は、第1のポリマーを含む第1の組成物を含み、
近位端部分は、第2のポリマーを含む第2の組成物を含み、
第1の組成物及び第2の組成物は、異なっており、
第1の組成物は、少なくとも1つのアルカリ土類金属塩を含む。
本発明によると、遠位端部分の第1の組成物におけるアルカリ土類金属塩は、本発明によるマイクロニードルシートの製造の際に遠位端部分が膨張することを低減又は制御するように機能することができる。したがって、遠位端部分がキャビティ面から引き離されて変形できないように、マイクロニードルシートの製造の際に型のキャビティの中で膨張しない。したがってキャビティの形状が遠位端部分に十分に移り、マイクロニードルは、針として良好な形状を有することができる。そのため、本発明によるマイクロニードルシートを皮膚に容易に貫入することができる。
加えて、第1の組成物におけるアルカリ土類金属塩の存在に起因して、成分の遠位端部分から近位端部分への移行も低減又は制御され、したがって、近位端部分は均質になり、本発明によるマイクロニードルシートは、平坦又は平面に(ゆがみを有することなく)なることができる。
他方、第1組成物におけるアルカリ土類金属塩は、マイクロニードルが皮膚に貫入したときに、遠位端部分から除去されうる。アルカリ土類金属塩は、皮膚内で吸収されうる。したがって、遠位端部分はその膨潤性を回復することができ、マイクロニードル、特にマイクロニードルの遠位端部分の膨潤特性に起因する美容効果を提供することができる。
このように、本発明によるマイクロニードルシートは、皮膚の皺の低減等の美容効果を提供することができ、同時に、マイクロニードルシートのマイクロニードルは、針として良好な形状を有することができる。
(マイクロニードル)
本発明によるマイクロニードルシートは、複数のマイクロニードルを含む。
マイクロニードルは、基材シートの表面に存在する。マイクロニードルは、基材シートの50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上に存在しうる。
マイクロニードルは、基材シートの一方の表面に存在することが好ましい。
本発明によると、マイクロニードルの少なくとも1つは、遠位端部分及び近位端部分を含む複数の部分を含む。遠位端部分は、先端等の遠位端を含む部分である。近位端部分は、底部等の近位端を含む部分である。近位端はマイクロニードルの底部を形成することができ、遠位端はマイクロニードルの先端を形成することができる。
マイクロニードルの50%以上、より好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、更により好ましくは全てが、複数の部分(区分又は区画)を含むことが好ましい。
マイクロニードルの部分の数について制限はない。2つ以上、3つ以上、又は4つ以上の部分がマイクロニードルにあってもよい。この部分は、少なくとも遠位端部分及び近位端部分を含む。マイクロニードルは、遠位端部分及び近位端部分のみからなることが好ましい。
この部分は、互いに個別であり又は異なっていてもよい。部分の間の境界は明確でありうる。他方、部分の間の境界は、隣接部分の間の境界を囲む組成物の漸進的な変化のため、明確でない場合もある。
本発明によるマイクロニードルシートのマイクロニードルは、皮膚、特に顔面の角質層に貫入又は挿入するように設計される。
マイクロニードルは、角質層を穿刺するために適した任意のサイズ及び形状でありうる。マイクロニードルは、角質層を貫き、任意選択でそれを通過するように設計される。適切には、マイクロニードルの高さは、表皮上層への又は表皮深層までの貫入を可能にするように改変されうる。
マイクロニードルは、角質層を穿刺するためのシートにおける使用に適した任意のサイズ及び形状でありうる。シート上のマイクロニードルは、角質層を貫き、任意選択でそれを通過するように設計される。適切には、マイクロニードルの高さは、表皮上層への又は表皮深層までの貫入を可能にするように改変されうる。
基材シート上の個別のマイクロニードルのそれぞれの間の尖端分離距離は、マイクロニードルによる皮膚への貫入を確保し、同時に高い経皮輸送速度を提供するのに十分に短い分離距離を有するよう修正されうる。
1つの実施形態において、マイクロニードルの間の尖端分離距離の範囲は、100〜400μm又は200〜300μm等の、50〜1000μmの範囲でありうる。このことは、可能な限り多くのマイクロニードルによる角質層への効果的な貫入と、膨潤する場合に、マイクロニードルの可能な膨潤に必要な余地との間に達成されるべき妥協点を可能とする。
図1は、本発明によるマイクロニードルシートのマイクロニードルの1つの実施形態を示す。この実施形態において、マイクロニードル1は、円錐形であり、2つの部分、即ち、先端2を有する遠位端部分4及び底面3を有する近位端部分5からなる。この実施形態において、底面3は平坦である。
図2は、本発明によるマイクロニードルシートのマイクロニードルの別の実施形態を示す。この実施形態において、マイクロニードル1'は、円錐形であり、3つの部分、即ち、先端2を有する遠位端部分4、中間部分6及び底面3を有する近位端部分5からなる。この実施形態において、底面3は平坦である。
マイクロニードル1又は1'の高さ等のマイクロニードルの長さは、少なくとも約100μm、少なくとも約150μm、少なくとも約200μm、少なくとも約250μm又は少なくとも約300μmであり、約1mm以下、約900μm以下、約800μm以下、約700μm以下、約600μm以下又は約500μm以下であり、例えば約100〜約1000μm、好ましくは約150〜約900μm、より好ましくは約200〜約800μm、より好ましくは約250〜約700μm、より好ましくは約300〜約600μm、更により好ましくは約300〜約500μmでありうる。
底面3の直径等のマイクロニードル1又は1'の底部の幅は、約1〜約500μm、好ましくは約50〜約400μm、より好ましくは約100〜約300μmでありうる。別の実施形態において、マイクロニードルは、約1〜約50μmの範囲、例えば約20〜約50μmの範囲の底部の幅を有しうる。
マイクロニードルは、少なくとも約3:1、少なくとも約2:1又は少なくとも約1:1の縦横比(底部の長さ/幅)を有しうる。
図3は、本発明によるマイクロニードルシートの1つの実施形態を示す。この実施形態において、マイクロニードルシート8は、基材シート7の表面に複数のマイクロニードルを有する。この実施形態において、マイクロニードルは、それぞれ円錐形であり、遠位端部分4及び近位端部分5からなる。
マイクロニードルの形状は、形状が「針」である限り制限されない。本発明のマイクロニードルが、円錐状、棒状及び/又は柱状が含まれるが、これらに限定されない、任意の合理的な形状をとりうることは、当業者に明らかである。このように、マイクロニードルは、先端部が底部と同一の直径を有していてもよく、又は直径が底部から先端部の方向に先細りしていてもよい。
例えば、マイクロニードルの形状は、三角錐、四角錐又は五角錐の形態であってもよい。或いは、マイクロニードルは、好ましくは先端部を有する円柱形態であってもよく、円柱を対角線で切断して形成することができる。
このように、用いられる微細突起又は微細突出の種類として「マイクロニードル」が参照されている。多くの場合、同一の発明原理が、皮膚に貫入するための他の微細突起又は微細突出の使用に適用されることが当業者に理解される。他の微細突起又は微細突出には、例えば、米国特許第6,219,574号及びカナダ特許出願第2,226,718号に記載されているマイクロブレード、並びに米国特許第6,652,478号に記載されているエッジ付き(edged)マイクロニードルが含まれうる。
マイクロニードルが経皮送達に使用される場合、経皮送達に使用されるために、マイクロニードルは角質層に開口部を作り出すことが可能であるべきである。
好ましくは、マイクロニードルは、50.0N/cm2未満、例えば10N/cm2未満等の20.0N/cm2未満の挿入圧力がマイクロニードルの長さに沿ってかけられるとき、その力で破砕しない。
(遠位端部分)
本発明によると、遠位端部分は、第1のポリマーを含む第1の組成物を含む。
遠位端部分は、膨潤性、より好ましくは水膨潤性、更により好ましくは皮膚内において膨潤性であることが好ましい。したがって、第1のポリマーは、膨潤性、より好ましくは水膨潤性、更により好ましくは皮膚内において膨潤性であることが好ましい。ここで、用語「水膨潤性」は、水と接触したときに膨潤性であることを意味する。
第1のポリマーは、生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水中での1時間のインビトロインキュベーションにおいて少なくとも10倍超、好ましくは1時間のインキュベーションにおいて少なくとも20倍、より好ましくは1時間のインキュベーションにおいて少なくとも30倍、更により好ましくは1時間のインキュベーションにおいて少なくとも40倍、最も好ましくは1時間のインキュベーションにおいて約45〜55倍に膨潤することが可能なように、高い膨潤性を有しうる。
遠位端部分は、皮膚に挿入されると、より好ましくは1時間未満以内に、更により好ましくは皮膚への挿入後の24時間以内に少なくとも2倍に膨潤することが好ましい。
第1のポリマーは、生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水中でのインビトロインキュベーションの後にゲルを形成することが可能なように、高い粘弾性を有しうる。ゲルは、レオメーターを用いる動的周波数掃引試験において、低周波数(0.01Hz)であっても高弾性係数G'、高粘性係数G''、1未満のタンジェント(δ)(タンジェント(δ)=G''/G')及び高稠度G*(G*2=G'2+G''2)を示す。
1つの実施形態において、第1のポリマーは、ヒドロゲル形成ポリマーでありうる。
第1のポリマーは、高分子量ヒアルロン酸、架橋ヒアルロン酸、架橋ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール架橋ポリ乳酸又はポリグルコール酸又はポリ-乳酸-co-グリコール酸又はポリジオキサノン、ポリ(スチレン)ブロックポリ(アクリル酸)、ポリエチレングリコール架橋PMVE/MA、架橋ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム、セルロース、天然及び合成ゴム、アルギネート、ポリアクリル酸ナトリウム、PEG架橋ポリ(メチル/ビニルエーテル/マレイン酸)(PMVE/MA)及びそのエステル、PEG架橋ポリ(メチル/ビニルエーテル/無水マレイン酸)(PMVE/MAH)及びそのエスエル、並びにこれらの混合物から選択されうる。
高分子量ヒアルロン酸は、500kDaを超える、好ましくは1000kDaを超える、より好ましくは2100kDaを超える、好ましくは10000kDa未満の分子量を有しうる。
特に定義されない限り、本明細書において分子量は、数平均分子量を意味する。
ポリ(メチル/ビニルエーテル/マレイン酸)(PMVE/MA)及びそのエステル、並びにポリ(メチル/ビニルエーテル/無水マレイン酸)(PMVE/MAH)は、Gantrez型ポリマーとして知られている。
遠位端部分の第1の組成物における第1のポリマーの量は、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上でありうる。遠位端部分の第1の組成物における第1のポリマーの量は、組成物の総質量に対して、90質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下でありうる。このように、遠位端部分の第1の組成物における第1のポリマーの量は、組成物の総質量に対して、10質量%〜90質量%、好ましくは20質量%〜70質量%、より好ましくは25質量%〜50質量%でありうる。
1つの実施形態において、第1の組成物は、少なくとも1つの第2のポリマーを含むこともでき、下記に記載される。第1のポリマー及び第2のポリマーは、異なっている。
第1の組成物が第2のポリマーを含む場合、遠位端部分の第1の組成物における第2のポリマーの量は、組成物の総質量に対して、30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上でありうる。遠位端部分の第1の組成物における第2のポリマーの量は、組成物の総質量に対して、90質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下でありうる。このように、遠位端部分の第1の組成物における第2のポリマーの量は、組成物の総質量に対して、30質量%〜90質量%、好ましくは40質量%〜80質量%、より好ましくは50質量%〜70質量%でありうる。
本発明の好ましい実施形態において、第1の組成物は、炭酸ナトリウム(Na2CO3)等の少なくとも1つの細孔形成剤を含むことができる。本発明によると、細孔形成剤は、第1のポリマーの遊離酸基をイオン化させることが可能な作用物質であり、そのことにより隣接基を退け、構造をなお更に開口させる。
本発明によると、第1の組成物は、少なくとも1つのアルカリ土類金属塩を含む。2つ以上のアルカリ土類金属塩を組み合わせて使用することができる。
アルカリ土類金属塩は、大気圧下(例えば、1atm)及び室温(例えば、25℃)で固体であることが好ましい。
アルカリ土類金属は、マグネシウム、カルシウム及びこれらの混合物から選択されうる。
アルカリ土類金属塩は、アルカリ土類金属ハロゲン化物、好ましくは、アルカリ土類金属塩化物、より好ましくは塩化マグネシウム、塩化カルシウム及びこれらの混合物から選択されうる。
遠位端部分の第1の組成物におけるアルカリ土類金属塩の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上でありうる。遠位端部分の第1の組成物におけるアルカリ土類金属塩の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下でありうる。このように、遠位端部分の第1の組成物におけるアルカリ土類金属塩の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%〜20質量%、好ましくは0.05質量%〜15質量%、より好ましくは0.1質量%〜10質量%でありうる。
(近位端部分)
本発明によると、近位端部分は、第2のポリマーを含む第2の組成物を含む。第1のポリマー及び第2のポリマーは、異なっている。
近位端部分は、可溶性又は分散性、好ましくは水溶性又は水分散性、より好ましくは皮膚内において可溶性又は分散性であることが好ましい。したがって第2のポリマーは、可溶性又は分散性、好ましくは水溶性又は水分散性、より好ましくは皮膚内において可溶性又は分散性であることが好ましい。ここで、用語「水溶性」及び「水分散性」は、水と接触したときに、それぞれ可溶性及び分散性であることを意味する。
1つの実施形態において、第2のポリマーは、皮膚に挿入された後に溶解する可能性がある。近位端部分の可溶性に起因して、遠位端部分は近位端部分から分離して、皮膚の中に留まる。遠位端部分が膨潤性である場合、近位端部分からの遠位端部分の分離は、遠位端部分の体積膨張によって促進されうる。任意選択の外部水を、本発明によるマイクロニードルシートの適用と組み合わせて使用して、近位端部分の溶解を加速させることができる。
少なくとも近位端部分は遠位端部分より迅速に分解することが、本発明において好ましい。
第2のポリマーは、低分子量ヒアルロン酸、単糖、二糖、オリゴ糖、デキストリン、デキストラン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリ(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)、ポリビニルピロリドン、ポリ(メチル/ビニルエーテル/マレイン酸)(PMVE/MA)及びそのエステル、ポリ(メチル/ビニルエーテル/無水マレイン酸)(PMVE/MAH)、並びにこれらの混合物から選択されうる。
ポリビニルピロリドンは、1kDaから300kDaの間、好ましくは5kDaから200kDaの間、より好ましくは7kDaから100kDaの間の分子量を有しうる。
低分子量ヒアルロン酸は、100kDa未満、好ましくは50kDa未満、より好ましくは10kDa未満の分子量を有しうる。
ポリ(メチル/ビニルエーテル/マレイン酸)(PMVE/MA)及びそのエステル、並びにポリ(メチル/ビニルエーテル/無水マレイン酸)(PMVE/MAH)は、Gantrez型ポリマーとして知られている。
近位端部分の第2の組成物における第2のポリマーの量は、組成物の総質量に対して、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上でありうる。近位端部分の第2の組成物における第2のポリマーの量は、組成物の総質量に対して、100質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下でありうる。このように、近位端部分の第2の組成物における第2のポリマーの量は、組成物の総質量に対して、50質量%〜100質量%、好ましくは60質量%〜90質量%、より好ましくは70質量%〜80質量%でありうる。
本発明によると、第1の組成物及び第2の組成物は異なっている。第1の組成物は、少なくとも1つのアルカリ土類金属塩を含むが、第2の組成物は、アルカリ土類金属塩を何も含まないことが好ましい。
(美容活性成分)
1つの実施形態によると、第1及び第2の組成物、好ましくは第1の組成物は、少なくとも1つの美容活性成分を更に含むことができる。2つ以上の美容活性成分を組み合わせて使用することができる。第2の組成物は美容有効成分を何も含まないことが可能である。
美容活性成分の種類は制限されない。例えば、抗老化剤を美容有効成分として使用することができる。
抗老化剤の例として、保湿剤、フリーラジカル捕捉剤、角質溶解剤、ビタミン、抗エラスターゼ剤及び抗コラゲナーゼ剤、プロチド、脂肪酸誘導体、ステロイド、微量元素、漂白剤、藻及びプランクトンの抽出物、酵素及び補酵素、フラボノイド及びセラミド、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
組成物における美容活性成分の量は限定されず、組成物の総質量に対して、0.01質量%〜20質量%、好ましくは0.05質量%〜15質量%、より好ましくは0.1質量%〜10質量%でありうる。
(基材シート)
本発明によるマイクロニードルシートは、基材シートを含み、その上にマイクロニードルが存在する又は配置されている。
基材シートは、第2の組成物を含んでいてもよい。この場合、基材シート及びマイクロニードルの近位端部分は、一体でありうる。換言すると、基材シート及びマイクロニードルの近位端部分は、第2の組成物を含む単一要素でありうる。好ましくは、単一要素は、第2の組成物から調製されうる。
他方、基材シートは、マイクロニードルの近位端部分と異なっていても又は別個であってもよい。この場合、基材シートは、例えばマスク、ワイプ、パッチ及び一般に全ての種類の多孔質基材シートから選択されうる。好ましくは、これらの基材シートは長円構造を有し、すなわち、それらが画定される平面の寸法より小さい厚さを有する。
基材シートは、ディスク、マスク、タオル、グローブ、プレカットロール(precut roll)の形態又は美容上の使用に適した任意の他の形態にするため、切断されていてもよい。
[調製]
本発明によるマイクロニードルシートをどのように調製するかについて、制限はない。本発明によるマイクロニードルシートを、いわゆる、二重積層マイクロニードルシートを調製する従来の技術に基づいて調製することが可能である。
本発明によるマイクロニードルシートは、例えば、上記に説明された第1の組成物を遠位端部分に成形する工程及び上記に説明された第2組成物を近位端部分に成形する工程を含む方法によって、調製することができる。
1つの実施形態において、本発明によるマイクロニードルシートは、
(a)マイクロニードルのネガに対応するキャビティを有する型を用意する工程と、
(b)第1の組成物をキャビティに充填する工程と、
(c)第1の組成物を、例えば、室温で(任意選択で加熱して)、数時間等の所定の時間にわたって乾燥して凝固させることによって、マイクロニードルシートの遠位端部分を形成する工程と、
(d)第2の組成物をキャビティに充填し、キャビティで注型する工程と、
(e)第2の組成物を、例えば、室温で(任意選択で加熱して)、数時間等の所定の時間にわたって乾燥して凝固させることによって、マイクロニードルシートの近位端部分及び基材シートを形成する工程と、
(f)マイクロニードルシートを型から外す工程と
を含む方法によって、調製することができる。
上記の実施形態において、基材シート及びマイクロニードルの近位端部分は、マイクロニードルシートの単一要素に一体化されている。換言すると、基材シート及び近位端部分は、同じ材料、すなわち第2の組成物から作製されている。
別の実施形態において、本発明によるマイクロニードルシートは、
(a)マイクロニードルのネガに対応するキャビティを有する型を用意する工程と、
(b)第1の組成物をキャビティに充填する工程と、
(c)第1の組成物を、例えば、室温で(任意選択で加熱して)、数時間等の所定の時間にわたって乾燥して凝固させることによって、遠位端部分を形成する工程と、
(d')第2の組成物をキャビティに充填する工程と、
(e')第2の組成物を、例えば、室温で(任意選択で加熱して)、数時間等の所定の時間にわたって乾燥して凝固させることによって、近位端部分を形成する工程と、
(f')マイクロニードルを型から外す工程と、
(g)基材シートを準備する工程と、
(h)マイクロニードルを基材シート上に取り付ける工程と
を含む方法によって、調製することができる。
必要であれば、少なくとも1つの追加のポリマーを含む追加の組成物をキャビティに充填し、追加の組成物を凝固して、例えば中間部分を形成する少なくとも1つの工程を、上記の工程(c)と上記の工程(d)又は(d')の間に加えることが可能である。
上記の実施形態において、基材シート及びマイクロニードルの近位端部分は、独立している又は別個である。換言すると、基材シート及び近位端部分は、異なる材料から作製されている。マイクロニードルを基材シートに取り付ける工程(h)は、接着剤等の従来の方法によって実施することができる。
少なくとも1つの蒸発性液体成分を、必要であれば第1及び/又は第2の組成物に加えて、第1及び/又は第2の組成物の流動性を強めることができる。蒸発性液体成分の例は限定されないが、好ましくは水及びエタノール等のアルコールである。
蒸発性液体成分の量は、蒸発性液体成分と第1又は第2の組成物の混合物との総質量に対して、10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上でありうる。蒸発性液体成分の量は、蒸発性液体成分と第1又は第2の組成物との混合物の総質量に対して、90質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下でありうる。このように、蒸発性液体成分の量は、蒸発性液体成分と第1又は第2の組成物との混合物の総質量に対して、10質量%〜90質量%、好ましくは20質量%〜80質量%、より好ましくは30質量%〜70質量%でありうる。
[美容方法及び使用]
本発明によるマイクロニードルシートは、美容装置、好ましくは皮膚の美容装置、より好ましくは皮膚、特に顔面の皺を低減する美容装置でありうる。
本発明によるマイクロニードルシートは、美容処置法、好ましくは皮膚の美容処置法、より好ましくは皮膚、特に顔面の皺を低減する美容処置法に使用されうる。
本発明によるマイクロニードルシートは、皺の外観を低減することによって、皮膚、特の顔面の美的外観を改善するために、好ましくは膨潤性であるマイクロニードルを皮膚内に送達することに使用されうる。
皮膚における表皮等のマトリックスの量の低減は、皮膚の厚さの減少及び皮膚弾性の劣化をもたらして、皺の形成を引き起こす傾向がある。マイクロニードルは、皮膚内のマトリックスの量を増加させて、皮膚弾性を増加させ、皮膚の皺の低減をもたらす。
マイクロニードル、特に遠位端部分が膨潤性である場合、皮膚内で膨潤して、例えば皮膚内の水分の吸収と共に、マイクロニードルの体積を更に増加させることができる。皺部位の皮膚表面下におけるそのような体積膨張は、皺を皮膚内部から効果的に押して、皺をより浅く、幅広くする。このようにして、皺は、低減されうる又は目立たなくなる。
このように、本発明による美容方法は、本発明によるマイクロニードルシートを皮膚に適用して、マイクロニードルシートのマイクロニードルを皮膚に挿入する工程を含むことができる。
本発明は、皮膚の皺、特に顔面の皺を低減するための、本発明によるマイクロニードルシートの美容上の使用にも関する。
特定の実施形態において、本発明のマイクロニードルは、半永久的又は永久的な美容処置法を皮膚に適用するために使用されうる。
本発明を、実施例によって、より詳細に説明する。しかし、これら実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。下記の実施例は、本発明の分野における非限定的な例示として提示される。
(実施例1及び比較例1)
[調製]
表1に示されている実施例1及び比較例1のそれぞれの成分を、SpeedMixer(商標)(SpeedMixer(商標)DAC 150.1 FVZ-K、Synergy Devices Limited、High Wycombe, Bucks, UK)を使用して混合した。混合した直後に、混合物を以下のようにしてマイクロニードルシートの調製に使用した。
a. 遠位端部分(第1の層)用におよそ0.05gの第1の混合物を、マイクロニードルに対応するシリコーン型のキャビティに流し込んだ。
b. シリコーン型を5,000rpmで5分間遠心分離して、第1の混合物をキャビティに押し付けた。
c. 第1の混合物を室温で数時間乾燥した。
d. 近位端部分(第2の層)用に0.1gの第2の混合物を、型のキャビティ内の第1の層の後ろに流し込んで、第2の層を調製した。
e. シリコーン型を5,000rpmで1分間遠心分離して、第2の混合物がキャビティ及び型の表面を完全に覆うことを確実にした。
f. 第2の混合物を室温で48時間放置して乾燥させた。
g. 乾燥すると、マイクロニードルシートを離型し、光学顕微鏡(VHX-700F Digital microscope、Keyence, Milton Keynes, UK)を使用して観察し、マイクロニードルが形成されたかを決定した。
[結果]
(実施例1)
全てのシリコーン型のマイクロニードルキャビティに対応するマイクロニードルが、得られたマイクロニードルシート上に形成されたことが、観察された。マイクロニードルは、鋭い先端又は尖った先等の良好な形状を折れる又は欠けることなく有し、且つ寸法の揃ったマイクロニードルを伴った再現性があった(図4)。更に、マイクロニードルシートは、平坦シートの形態であり、且つ均質であり、二重積層マイクロニードルシートの調製が成功したことを示している(図5)。
(比較例1)
いくつかのマイクロニードルは、得られたマイクロニードルシート上に形成されなかったことが観察された。マイクロニードルは、鋭い先端又は尖った先等の良好な形状を有し、且つ寸法の揃ったマイクロニードルを伴った再現性はなかった。マイクロニードルには多くの折れ又は欠けがあった(図6)。更に、マイクロニードルシートは、平坦シートの形態ではなく、且つ不均質であり、二重積層マイクロニードルシートの調製が成功しなかったことを示している(図7)。
[実施例1の皮膚内膨潤特性]
全層の切除ブタ皮膚をゲル創傷包帯上に置き、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で24時間にわたって前平衡化(pre-equilibrated)して、間質液の底流を模倣した。ブタの皮膚をカミソリの使用によって剃り、次に、ぴんと伸ばしてSuprasorb(登録商標)に金属ピンで固定して強化し、インビボの状況を模倣した。
実施例1によるマイクロニードルシートを、親指の圧力(およそ20N/cm2)で30秒間適用した。透明接着テープを使用して、適所に保持した。
光干渉断層(OCT)画像を所定の時点で撮って、マイクロニードルの横断面積を決定し、体積の変化を計算した。図8は、マイクロニードルの底部の面積の変化を示す。
マイクロニードルの底部の面積の分析から、マイクロニードルは、皮膚に貫入した48時間後に最大で+173%に達するまで有意に膨潤して、皮膚内のマイクロニードルの寸法を増加させたことが見出された(図8)。
実施例1によるマイクロニードルシートの製造の際に、CaCl2の組み込みが第1の層用の混合物の即時膨潤を防止することに寄与しているが、依然としてマイクロニードルは、皮膚内で良好な膨潤特性を示している。このことは、皮膚の間質液により希釈されたCaCl2の小さな固体が拡散し、それによって第1の層、特にその中のヒアルロン酸が皮膚内において再び膨潤性になることに起因すると考えられる。
1 マイクロニードル
2 先端
3 底面
4 遠位端部分
5 近位端部分
6 中間部分
7 基材シート
8 マイクロニードルシート

Claims (15)

  1. 基材シート及び基材シート上の複数のマイクロニードルを含み、
    前記マイクロニードルの少なくとも1つが、遠位端部分及び近位端部分を含む複数の部分を含み、
    前記遠位端部分が、第1のポリマーを含む第1の組成物を含み、
    前記近位端部分が、第2のポリマーを含む第2の組成物を含み、
    前記第1の組成物及び前記第2の組成物が、異なっており、
    前記第1の組成物が、少なくとも1つのアルカリ土類金属塩を含む、
    マイクロニードルシート。
  2. 前記遠位端部分及び前記近位端部分のみからなる、請求項1に記載のマイクロニードルシート。
  3. 前記アルカリ土類金属塩が、大気圧下及び室温で固体である、請求項1又は2に記載のマイクロニードルシート。
  4. 前記アルカリ土類金属が、マグネシウム、カルシウム及びこれらの混合物から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載のマイクロニードルシート。
  5. 前記アルカリ土類金属塩が、アルカリ土類金属ハロゲン化物、好ましくは、アルカリ土類金属塩化物、より好ましくは塩化マグネシウム、塩化カルシウム及びこれらの混合物から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のマイクロニードルシート。
  6. 前記遠位端部分の前記第1の組成物における前記アルカリ土類金属塩の量が、該組成物の総質量に対して、0.01質量%〜20質量%、好ましくは0.05質量%〜15質量%、より好ましくは0.1質量%〜10質量%である、請求項1から5のいずれか一項に記載のマイクロニードルシート。
  7. 前記遠位端部分が、膨潤性、好ましくは水膨潤性、より好ましくは皮膚内において膨潤性である、請求項1から6のいずれか一項に記載のマイクロニードル。
  8. 前記第1のポリマーが、高分子量ヒアルロン酸、架橋ヒアルロン酸、架橋ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール架橋ポリ乳酸又はポリグルコール酸又はポリ-乳酸-co-グリコール酸又はポリジオキサノン、ポリ(スチレン)ブロックポリ(アクリル酸)、ポリエチレングリコール架橋PMVE/MA、架橋ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム、セルロース、天然及び合成ゴム、アルギネート、ポリアクリル酸ナトリウム、PEG架橋ポリ(メチル/ビニルエーテル/マレイン酸)(PMVE/MA)及びそのエステル、PEG架橋ポリ(メチル/ビニルエーテル/無水マレイン酸)(PMVE/MAH)及びそのエステル、並びにこれらの混合物から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載のマイクロニードル。
  9. 前記第1のポリマーが、500kDaを超える、好ましくは1000kDaを超える、より好ましくは2100kDaを超える分子量を有する高分子量ヒアルロン酸である、請求項1から8のいずれか一項に記載のマイクロニードル。
  10. 前記近位端部分が、可溶性又は分散性、好ましくは水溶性又は水分散性、より好ましくは皮膚内において可溶性又は分散性である、請求項1から9のいずれか一項に記載のマイクロニードル。
  11. 前記第2のポリマーが、低分子量ヒアルロン酸、単糖、二糖、オリゴ糖、デキストリン、デキストラン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリ(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)、ポリビニルピロリドン、ポリ(メチル/ビニルエーテル/マレイン酸)(PMVE/MA)及びそのエステル、ポリ(メチル/ビニルエーテル/無水マレイン酸)(PMVE/MAH)、並びにこれらの混合物から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載のマイクロニードル。
  12. 前記第2のポリマーが、1kDaから300kDaの間、好ましくは5kDaから200kDaの間、より好ましくは7kDaから100kDaの間の分子量を有するポリビニルピロリドンである、請求項1から11のいずれか一項に記載のマイクロニードル。
  13. 前記基材シートが第2の組成物を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のマイクロニードル。
  14. 皮膚の美容方法であって、
    請求項1から13のいずれか一項に記載のマイクロニードルシートを皮膚に適用して、マイクロニードルシートのマイクロニードルを皮膚に挿入する工程を含む、方法。
  15. 皮膚の皺を低減させるための、請求項1から13のいずれか一項に記載のマイクロニードルシートの美容上の使用。
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