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JP2018184375A - ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩を含む錠剤及びその製造方法 - Google Patents

ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩を含む錠剤及びその製造方法 Download PDF

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JP2018184375A JP2017088277A JP2017088277A JP2018184375A JP 2018184375 A JP2018184375 A JP 2018184375A JP 2017088277 A JP2017088277 A JP 2017088277A JP 2017088277 A JP2017088277 A JP 2017088277A JP 2018184375 A JP2018184375 A JP 2018184375A
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Manabu Nakatani
学 中谷
武司 澤田
Takeshi Sawada
武司 澤田
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Abstract

【課題】ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩について、嚥下困難な者であっても飲み易い製剤であって、安定性に優れた製剤を提供すること。【解決手段】ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩;医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩;及び賦形剤を含む錠剤の製造方法であって、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とを、実質的に近傍に存在させる工程を含む方法、並びに、その方法により得られる錠剤。【選択図】なし

Description

本発明は、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩を含む錠剤及びその製造方法に関する。
ダビガトランエテキシラート(化学名:3−({[2−({[4−(アミノ{[(ヘキシルオキシ)カルボニル]イミノ}メチル)フェニル]アミノ}メチル)−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル]カルボニル}(ピリジン−2−イル)アミノ)プロパン酸エチルエステル)は以下の構造を有する化合物である。
Figure 2018184375
ダビガトランエテキシラートは、特許文献1に、1−メチル−2−[N−[4−(N−n−ヘキシルオキシカルボニルアミジノ)フェニル]−アミノメチル]−ベンゾイミダゾール−5−イル−カルボン酸−N−フェニル−N−(2−エトキシカルボニルエチル)−アミドの名称でその合成方法とともに記載されている。ダビガトランエテキシラートは、ダビガトランのダブルプロドラッグであり、ダビガトランエテキシラート自体は抗トロンビン活性を持たないが、経口投与され消化管から吸収されると、中間代謝物を経て、以下の構造を有する活性代謝物ダビガトランに変換される。
Figure 2018184375
ダビガトランエテキシラートは、医薬的に許容されるその塩であるダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩のカプセル剤が、プラザキサ(登録商標)カプセルとして上市されている。
特許文献2には、ダビガトランエテキシラートの経口投与用医薬組成物が開示されている。具体的には、薬剤的に許容される有機酸を含む実質的に球状のコア材料、分離層、活性物質を含む層、更には必要に応じてペレットの耐摩耗性及び貯蔵寿命を高めるコーティングで覆われていてもよい医薬組成物が開示されており、当該組成物を、有機酸を含む実質的に球形のコア材料に、分離層、活性物質を含む層等をコーティングして製造することが開示されている。
特許文献3には、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、酒石酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸及びリンゴ酸等の有機酸とを、従来からの賦形剤及び充填剤と共に含む錠剤が開示されている。
特表2001−509815号公報 特表2005−519099号公報 特表2007−502788号公報
プラザキサ(登録商標)カプセルは、2号カプセル(長さ約18mm×直径約6mm)又は1号カプセル(長さ約19mm×直径約7mm)を使用した大きな硬カプセル剤であり、高齢者や嚥下障害を有する者などの嚥下困難な者が存在すること、日本等のアジアでは、体格が小さく食道がそれほど太くない人が多いことを考慮すると、これよりも飲み易い大きさの製剤が望ましい。そして、そのような剤形の一つとして、錠剤、特に小型の錠剤が考えられうる。
プラザキサ(登録商標)カプセルは、虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制に効果を奏する直接トロンビン阻害剤であるから、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩を錠剤に剤形変更するに当たっては、既存のカプセル剤と同等の効果を示すことが必須である。しかしながら、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩は難溶性であり、特に弱酸性から中性領域では、溶解度が極端に低下するため、異なるpHの環境下でも吸収のばらつきを極力抑える工夫、例えば酸を含有させる必要がある。しかしながら、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩は、それ自体、安定性が悪く、高湿度下及び酸性条件下では、加水分解物が著しく増加することが見出されており、これらも、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩を含む安定な錠剤を得ることを困難にしている。
特許文献2に開示されている経口投与用組成物は、上述したように、層構造を特徴とする組成物であるので、当該組成物を打錠すると、この構造が崩れてしまうことから、当該組成物は錠剤の製造には適していない。
特許文献3には、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩の錠剤が記載されている。しかしながら、錠剤を具体的に製造した実施例は記載されておらず、一例として、全ての材料を直接混合して、圧縮することによって製造できることが記載されているのみである。また、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩を錠剤とした際の安定性についての具体的検討はなされていない。
したがって、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩について、嚥下困難な者であっても飲み易い製剤であって、安定性に優れた製剤が依然として求められている。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を重ねたところ、驚くべきことに、従来の知見とは異なり、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とを完全に分離する剤形、例えば、特許文献2のように多層化する剤形とせずとも、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩とが実質的に近傍に存在する状態にあっても、安定性に優れた錠剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を提供するものである。
〔1〕ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩;医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩;及び賦形剤を含む錠剤の製造方法であって、
ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とを、実質的に近傍に存在させる工程を含む、方法。
〔2〕前記工程が、
(1)ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩、及び賦形剤を含有する造粒物を乾式造粒して調製する工程、及び
(2)医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩を含有する造粒物を調製する工程
を含む、上記〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記工程が、
ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩と、賦形剤とを、混合して、乾式造粒する工程を含む、上記〔1〕に記載の方法。
〔4〕ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩が、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩である、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔5〕医薬的に許容される有機酸が、20℃における水への溶解度が0.98g/250mLより高い有機酸である、上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法。
〔6〕医薬的に許容される有機酸が、フマル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、コハク酸及び酒石酸からなる群から選択される少なくとも1つである、上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
〔7〕医薬的に許容される有機酸がフマル酸である、上記〔6〕に記載の方法。
〔8〕賦形剤が吸湿性の低い賦形剤である、上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の方法。
〔9〕吸湿性の低い賦形剤が、D−マンニトール及び/又はエリスリトールである、上記〔8〕に記載の方法。
〔10〕ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とが、実質的に近傍に存在している錠剤の表面を、水膨潤性ポリマーでコーティングする工程を更に含む、上記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の方法。
〔11〕水膨潤性ポリマーがポリビニルアルコールである、上記〔10〕に記載の方法。
〔12〕ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩を、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩換算で15〜65重量%含み、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩を1〜20重量%含む、上記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の方法。
〔13〕(1)ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩を、D−マンニトール、結合剤及び滑沢剤と混合して、乾式造粒して、造粒物を調製する工程;
(2)フマル酸を、D−マンニトール及び結合剤と混合して、造粒して、造粒物を調製する工程;並びに
(3)工程(1)の造粒物と、工程(2)の造粒物とを混合して、打錠して、錠剤を調製する工程
を含む、
ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とが、実質的に近傍に存在している錠剤の製造方法。
〔14〕ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、フマル酸、D−マンニトール及び結合剤を混合して、乾式造粒する工程を含む、
ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とが、実質的に近傍に存在している錠剤の製造方法。
〔15〕上記〔1〕〜〔14〕のいずれかに記載の方法によって得られる錠剤。
〔16〕(1)ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩、及び賦形剤を含有する乾式造粒物と
(2)医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩を含有する造粒物と
を別個の粒子として含み、
ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とが、実質的に近傍に存在している錠剤。
〔17〕ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と;医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩と;賦形剤との混合物の乾式造粒物を含み、
ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とが、実質的に近傍に存在している錠剤。
〔18〕ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩が、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩である、上記〔16〕又は〔17〕に記載の錠剤。
〔19〕医薬的に許容される有機酸が、20℃における水への溶解度が0.98g/250mLより高い有機酸である、上記〔16〕〜〔18〕のいずれかに記載の方法。
〔20〕医薬的に許容される有機酸が、フマル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、コハク酸、酒石酸及びリンゴ酸からなる群から選択される少なくとも1つである、上記〔16〕〜〔19〕のいずれかに記載の錠剤。
〔21〕医薬的に許容される有機酸がフマル酸である、上記〔20〕に記載の錠剤。
〔22〕賦形剤が吸湿性の低い賦形剤である、上記〔16〕〜〔21〕のいずれかに記載の錠剤。
〔23〕吸湿性の低い賦形剤が、D−マンニトール及び/又はエリスリトールである、上記〔22〕に記載の錠剤。
〔24〕錠剤の表面が水膨潤性ポリマーでコーティングされている、上記〔16〕〜〔23〕のいずれかに記載の錠剤。
〔25〕水膨潤性ポリマーがポリビニルアルコールである、上記〔24〕に記載の錠剤。
〔26〕ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩を、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩換算で15〜65重量%含み、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩を1〜20重量%含む、上記〔16〕〜〔25〕のいずれかに記載の錠剤。
本発明によれば、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩を含有する安定な錠剤を得ることができる。また、本発明の錠剤の製造方法によれば、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩の分解物及び加水分解物の生成を効果的に抑制することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の一実施態様では、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩;医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩;及び賦形剤を含む錠剤の製造方法であって、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とを、実質的に近傍に存在させる工程を含む、方法が提供される。
ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とを「実質的に近傍に存在させる」又はこれらが「実質的に近傍に存在している」とは、本発明所望の効果を達成することが可能な限りにおいて、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩の少なくとも一部を、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩の近傍に存在させること、或いは、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩の少なくとも一部が、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩の近傍に存在していること;或いは、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩の少なくとも一部を、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩の近傍に存在させること、或いは、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩の少なくとも一部が、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩の近傍に存在していることを意味する。例えば、本発明所望の効果を達成することが可能な限りにおいて、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩及び所望により賦形剤を含む造粒物と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩を含む造粒物とが混合されて存在している状態;或いは、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩と、所望により賦形剤とが混合されて(必要に応じ得られた混合物が造粒されて)存在している状態を意味する。
また、本発明の別の実施態様では、(1)ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩、及び賦形剤を含有する乾式造粒物と、(2)医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩を含有する造粒物と、を別個の粒子として含み、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とが、実質的に近傍に存在している錠剤が提供される。
本発明の更に別の実施態様では、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と;医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩と;賦形剤との混合物の乾式造粒物を含み、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とが、実質的に近傍に存在している錠剤が提供される。
本発明において使用される「ダビガトランエテキシラート」は、公知の化合物であり、その製造方法は特段限定されるものではないが、例えば特表2001−509815号公報に記載の製造方法によって合成することができる。
ダビガトランエテキシラートの「医薬的に許容される塩」とは、医薬として使用できるダビガトランエテキシラートの塩であれば特段限定されるものではいが、例えば、有機又は無機の酸若しくは塩基との塩並びに付加塩が挙げられる。好適な塩の例としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、メタンスルホン酸との酸付加塩が挙げられる。特に、ダビガトランエテキシラートのメタンスルホン酸塩が好ましい。
本発明で使用される「医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩」との用語における「医薬的に許容される有機酸」としては、医薬として使用できかつ本発明所望の目的を達成できる限り特段限定されるものではない。そのような有機酸としては、20℃における水への溶解度が、0.98g/250mLより高い医薬的に許容される有機酸が挙げられ、具体的には、例えば、フマル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、コハク酸、酒石酸及びリンゴ酸からなる群から選択される少なくとも1つを使用することができる。本発明で使用されるダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩との安定性の面からは、フマル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸及びコハク酸からなる群から少なくとも1つを選択することができる。また、本発明のダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩の溶解度の面からは、酒石酸、及びフマル酸を選択することができる。安定性及び溶解度を考慮するならば、フマル酸を選択することが好ましい。
医薬的に許容される有機酸の水和物としては、一水和物、二水和物、三水和物などが挙げられる。また、医薬的に許容される有機酸の酸性塩としては、フマル酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
本発明で使用する賦形剤は、本発明所望の目的を達成できる限り特段限定されるものではないが、例えば、D−マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ラクトース、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルファー化デンプンなどを挙げることができる。本発明所望の目的を達成できる限り、これらの賦形剤を組み合わせて用いることもできる。ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩の安定性を考慮すると、賦形剤は吸湿性の低いものが望ましい。ここで、「吸湿性の低い」賦形剤とは、例えば、20℃相対湿度80%の環境下においても吸湿しない、又はほとんど吸湿しない賦形剤を意味する。吸湿性の低い賦形剤としては、例えば、D−マンニトール及び/又はエリスリトールが好ましく、D−マンニトールが特に好ましい。
本発明の更なる実施態様では、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とを、実質的に近傍に存在させる工程が、(1)ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩、及び賦形剤を含有する造粒物を乾式造粒して調製する工程、及び(2)医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩を含有する造粒物を調製する工程を含む、錠剤の製造方法が提供される。
本発明のなお更なる実施態様では、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とを、実質的に近傍に存在させる工程が、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩と、賦形剤とを、混合して、乾式造粒する工程を含む、錠剤の製造方法が提供される。
ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩及び賦形剤を含有する造粒物を調製する方法は、本発明所望の目的を達成することができる限り特段限定されるものではなく、製剤分野において公知又は周知の方法や装置を使用して行うことができ、乾式造粒しても湿式造粒してもよいが、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩の安定性を考慮すると、上記造粒物は、乾式造粒により調製することが好ましい。
具体的には、例えば、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩を、賦形剤と、必要に応じ結合剤及び/又は滑沢剤等と、混合して、乾式造粒して、造粒物を調製することができる。
乾式造粒は、製剤分野において公知又は周知の方法や装置を使用して行うことができる。例えば、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩を、賦形剤、結合剤及び滑沢剤と混合して、ローラーコンパクターや径の大きい杵を用いて、薄い圧縮物を調製する。その後、粉砕機や製粒機等を用いて、圧縮物をフレーク状に粉砕し、整粒機等で整粒して造粒物とすることができる。
医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩を含有する造粒物を調製する方法は、製剤分野において公知又は周知の方法や装置を使用して行うことができ、乾式造粒しても湿式造粒してもよい。
具体的には、好ましい実施態様においては、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩を、必要に応じ賦形剤及び結合剤と混合して、造粒して、造粒物を調製する。
例えば、結合剤を含む水溶液を調製し、当該水溶液と有機酸及び賦形剤の混合物とを造粒装置中で混合し、造粒し、篩過して造粒物を調製することができる。造粒装置としては、例えば、流動層造粒機、撹拌造粒機等が挙げられる。
そして、上記で得られたそれぞれの造粒物を、賦形剤や滑沢剤等と混合して、打錠することにより、本発明の錠剤を製造することができる。
また、本発明の別の実施態様では、(1)ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩を、D−マンニトール、結合剤及び滑沢剤と混合して、乾式造粒して、造粒物を調製する工程;(2)フマル酸を、D−マンニトール及び結合剤と混合して、造粒して、造粒物を調製する工程;並びに(3)工程(1)の造粒物と、工程(2)の造粒物とを混合し、打錠して、錠剤を調製する工程を含む、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とが、実質的に近傍に存在している錠剤の製造方法が提供される。
本発明の更に別の実施態様では、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、フマル酸、D−マンニトール及び結合剤を混合して、乾式造粒する工程を含む、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とが、実質的に近傍に存在している錠剤の製造方法が提供される。
また、本発明のなお更に別の実施態様では、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩と、賦形剤とを、混合して、乾式造粒する工程を含む方法により、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とが、実質的に近傍に存在している錠剤を製造する方法が提供される。
本発明で使用する結合剤は、本発明所望の目的を達成できる限り特段限定されるものではないが、例えば、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、N−ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー(コポビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどを挙げることができる。中でも、ヒドロキシプロピルセルロースが特に好ましい。
本発明で使用する滑沢剤は、本発明所望の目的を達成できる限り特段限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステルなどを挙げることができる。中でも、ステアリン酸マグネシウムが特に好ましい。
本発明の錠剤中には、上記以外にも、錠剤の製造に使用することが知られている添加剤を必要に応じて含有させてもよく、そのような添加剤としては、例えば、崩壊剤、矯味剤界面活性剤、分散剤、緩衝剤、pH調整剤、保存剤、希釈剤などが挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、デンプングリコール酸ナトリウム又は架橋セルロースカルボキシメチルエーテルナトリウム塩(クロスカルメロースナトリウム)などを挙げることができる。中でも、架橋ポリビニルピロリドンが特に好ましい。
本発明の錠剤中に含まれるダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩の含有量としては、所望の薬理活性を示しかつ本発明所望の目的を達成することができる限り特段限定されるものではないが、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩換算で、15〜65重量%を含むことが好ましく、20〜60重量%を含むことがより好ましく、30〜50重量%を含むことが特に好ましい。
本発明の錠剤中に含まれる医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩の含有量としては、本発明所望の目的を達成することができる限り特段限定されるものではないが、1〜20重量%含むことが好ましく、4〜10重量%を含むことがより好ましく、5〜7重量%を含むことが特に好ましい。
ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩並びに医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩についてのそれぞれの好ましい上記配合量は、適宜、組み合わせて採用することができる。
上記各実施態様に記載した方法、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とを、実質的に近傍に存在させることができる錠剤の製造方法の一例であり、本発明所望の目的を達成することができる限り、当業者が適宜改変できることは明らかである。
そして、有機酸を配合することにより安定性が低下することが懸念されることが一般的であるにもかかわらず、上記各実施態様に記載した方法等の、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とを、実質的に近傍に存在させることができる錠剤の製造方法により、従来の知見からの予想とは異なり、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩を含有し、吸湿性や安定性の点で優れた錠剤を得ることができることは、驚くべき効果である。
本発明の特に好ましい実施態様においては、上記のようにして製造した錠剤の表面は、フィルムコーティングや糖衣等のコーティングがされている。特段限定されるものではないが、防湿性を高め、より安定な錠剤の提供が可能になることから、フィルムコーティングが好ましい。コーティングは、製剤分野において公知又は周知の方法や装置を使用して行うことができる。例えば、パンコーティング、ハイコーター等の機器を用いる方法、スプレーコーティングなどを使用することができる。
フィルムコーティング基剤としては、本発明所望の目的を達成することができる限り特段限定されるものではなく、製剤分野で公知又は周知のコーティング基剤を使用することができるが、水膨潤性ポリマーを用いることが好ましい、水膨潤性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アミノアルキルメタクリレート、エチルセルロース、メチルセルロースなどを挙げることができる。中でも、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はポリビニルアルコールが好ましく、ポリビニルアルコールが特に好ましい。
錠剤重量に対するコーティングの割合としては、例えば3〜10重量%、好ましくは5〜7重量%である。
本発明の錠剤は、特段限定されるものではないが、既存のカプセル剤よりも小さな剤形とすることができるので、高齢者や嚥下障害を有する者などの嚥下困難な者や、体格が小さく食道がそれほど太くない人が服用するのに特に適している。錠剤のサイズは、本発明所望の目的を達成することができる限り特段限定されるものではないが、例えば、直径が好ましくは5〜10mm程度、更に好ましくは6〜8mm程度(楕円形の場合、長径が10〜14mm程度で短径が4〜8mm程度)の小型の錠剤とすることができる。
以下に、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。しかしながら、本実施例は、本発明の実施態様の一つを示すものであり、本実施例により本発明が限定的に解釈されることを意図するものではない。
[実施例1,2]
実施例1,2の錠剤の処方を以下の表1に示す。表1に示した賦形剤等を用い、以下の手順に従い、錠剤を製造した。
1.原薬顆粒整粒品(造粒品)
活性物質(ダビガトランエテキシラートのメタンスルホン酸塩)、D−マンニトール(微粉)(日局、マンニットP、三菱商事フードテック)、ヒドロキシプロピルセルロース(日局、NISSO HPC−L fine、日本曹達)及びステアリン酸マグネシウム(日局、ステアリン酸マグネシウム−S、日油)を混合し(容器回転型混合機、又は撹拌混合機 バーチカルグラニュレーター FM−VG100、(株)パウレック)、乾式造粒機(WP−160X60、フロイント・ターボ(株))で造粒した後、製粒機(ニュースピードミルND−50SD、岡田精工(株)))で粗砕、製粒して造粒品を得た。
2.酸顆粒整粒品(造粒品)
フマル酸(食添、川崎化成工業)及びD−マンニトール(微粉)(日局、マンニットP、三菱商事フードテック)を流動層造粒機(FD−GMCG−30、(株)パウレック)を用い、5%ヒドロキシプロピルセルロース(日局、NISSO HPC−L fine、日本曹達)水溶液で造粒し、その後篩過して造粒品を得た。
3.錠剤
上記1及び2で製造した造粒品にクロスポビドンType A(日局、コリドンCL、BASF)及びステアリン酸マグネシウム(日局、ステアリン酸マグネシウム−S 、日油)を混合し(ボーレコンテナーミキサー、(株)マツボー)、打錠して(HT−CVX−MS−II、畑鐵工所)錠剤を得た。
4.フィルムコート
ポリビニルアルコール(部分けん化物)(薬添規、ゴーセノールEG−05P、日本合成化学)水溶液を調製し、ショ糖脂肪酸エステル(薬添規、サーフホープSE J−1803F、三菱化学フーズ)、酸化チタン(日局、タイペークA−100、石原産業)及びポリソルベート80(日局、ポリソルベート80(GS)、日油)の水分散液と混和し、篩過して、コーティング液を調製した。このコーティング液を用い、上記3で製造した錠剤にコーティングを施して(HCFS−130N、フロイント産業(株))、実施例1,2の錠剤を得た。
Figure 2018184375
[実施例3]
以下の手順に従い、錠剤を製造した。
1.原薬顆粒整粒品(造粒品)
活性物質(ダビガトランエテキシラートのメタンスルホン酸塩)126.83mg(1錠当たりの重量、以下同じ)、フマル酸(食添、川崎化成工業)18.26mg、D−マンニトール(微粉)(日局、マンニットP、三菱商事フードテック)75.13mg、ヒドロキシプロピルセルロース(日局、NISSO HPC−L fine、日本曹達)5.72mg及びステアリン酸マグネシウム(日局、ステアリン酸マグネシウム−S、日油)2.86mgを混合し(容器回転型混合機、又は撹拌混合機 バーチカルグラニュレーター FM−VG100、(株)パウレック)、乾式造粒機(WP−160X60、フロイント・ターボ(株))で造粒した後、製粒機(ニュースピードミルND−50SD、岡田精工(株)))で粗砕、製粒して造粒品を得た。
2.錠剤
上記1で製造した造粒品228.8mgにD−マンニトール(微粉)(日局、マンニットP、三菱商事フードテック)38.61mg、クロスポビドンType A(日局、コリドンCL、BASF)14.30mg及びステアリン酸マグネシウム(日局、ステアリン酸マグネシウム−S、日油)4.29mgを混合し(ボーレコンテナーミキサー、(株)マツボー)、打錠して(HT−CVX−MS−II、畑鐵工所)錠剤を得た。
3.フィルムコート
ポリビニルアルコール(部分けん化物)(薬添規、ゴーセノールEG−05P、日本合成化学)水溶液を調製し、ショ糖脂肪酸エステル(薬添規、サーフホープSE J−1803F、三菱化学フーズ)、酸化チタン(日局、タイペークA−100、石原産業)及びポリソルベート80(日局、ポリソルベート80(GS)、日油)の水分散液と混和し、篩過して、コーティング液を調製した。このコーティング液を用い、上記3で製造した錠剤にコーティングを施して(HCFS−130N、フロイント産業(株))、実施例3の錠剤を得た。
[比較例]
実施例3の原薬顆粒整粒品及び実施例3に記載の錠剤の製造方法に従い、表2の処方を用いて、有機酸を含まない錠剤である比較例の錠剤を製造した。
[実施例4〜6]
実施例1〜3に記載の製造方法に従い、表2に示した処方を用いて、実施例4〜6の錠剤を製造した。
実施例4の錠剤は、実施例3の原薬顆粒整粒品及び実施例3に記載の錠剤の製造方法に従い製造した。
実施例5の錠剤は、実施例4の錠剤に対し、表2に示した処方のコートを施したフィルムコート錠剤である。
実施例6の錠剤は、実施例1,2の製造方法に従い製造し、表2に示した処方のコートを施したフィルムコート錠剤である。具体的には、原薬顆粒整粒品及び酸顆粒整粒品をそれぞれ調整し、打錠した後、錠剤にフィルムコートを施した。コート液の処方は、ヒプロメロース(日局、TC−5R、信越化学)6.72mg、マクロゴール6000(日局、マクロゴール6000P、日油株式会社)1.96mg、酸化チタン(日局、タイペークA−100、石原産業)2.52mg及びタルク(日局、Talkum、Guangxi Longguang Talc Dev.Co.LTd)2.80mgである。
Figure 2018184375
[実験例1]
活性物質(ダビガトランエテキシラートのメタンスルホン酸塩)と各種有機酸を1:1の割合で取り、配合変化試験を行った。40℃相対湿度75%の条件で、6週間保存した後、当初の活性物質の量を100とした際の活性物質の分解された割合を表3に示した。
この結果から、活性物質は有機酸と混合し、高湿度条件下に曝されることで、著しい分解を受けることが分かる。なお、当該分解により加水分割物が生成されることが従来から知られている。
Figure 2018184375
[実験例2]
比較例及び実施例4〜6の錠剤について、40℃相対湿度75%保存条件下で加水分解物及び分解物A(メシレートであり加水分解物とは異なる)を測定した結果を表4に示した。
Figure 2018184375
実験例2の結果から、本発明で得られる錠剤は、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と有機酸が近傍に存在するにもかかわらず、ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩の分解物の生成を効果的に抑制し、かつ高湿度条件下においても、その加水分解物の生成を、有機酸が含まれない錠剤(比較例)と同程度に抑制できることが分かる。
すなわち、本発明は以下を提供するものである。
〔1〕ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩;医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩;及び賦形剤を含む錠剤の製造方法であって、
ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とを、実質的に近傍に存在させる工程を含む、方法。
〔2〕前記工程が、
(1)ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩、及び賦形剤を含有する造粒物を乾式造粒して調製する工程、及び
(2)医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩を含有する造粒物を調製する工程
を含む、上記〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記工程が、
ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩と、賦形剤とを、混合して、乾式造粒する工程を含む、上記〔1〕に記載の方法。
〔4〕ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩が、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩である、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔5〕医薬的に許容される有機酸が、20℃における水への溶解度が0.98g/250mLより高い有機酸である、上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法。
〔6〕医薬的に許容される有機酸が、フマル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、コハク酸及び酒石酸からなる群から選択される少なくとも1つである、上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
〔7〕医薬的に許容される有機酸がフマル酸である、上記〔6〕に記載の方法。
〔8〕賦形剤が吸湿性の低い賦形剤である、上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の方法。
〔9〕吸湿性の低い賦形剤が、D−マンニトール及び/又はエリスリトールである、上記〔8〕に記載の方法。
〔10〕ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とが、実質的に近傍に存在している錠剤の表面を、水膨潤性ポリマーでコーティングする工程を更に含む、上記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の方法。
〔11〕水膨潤性ポリマーがポリビニルアルコールである、上記〔10〕に記載の方法。
〔12〕ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩を、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩換算で15〜65重量%含み、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩を1〜20重量%含む、上記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の方法。
〔13〕(1)ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩を、D−マンニトール、結合剤及び滑沢剤と混合して、乾式造粒して、造粒物を調製する工程;
(2)フマル酸を、D−マンニトール及び結合剤と混合して、造粒して、造粒物を調製する工程;並びに
(3)工程(1)の造粒物と、工程(2)の造粒物とを混合して、打錠して、錠剤を調製する工程
を含む、
ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とが、実質的に近傍に存在している錠剤の製造方法。
〔14〕ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、フマル酸、D−マンニトール及び結合剤を混合して、乾式造粒する工程を含む、
ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とが、実質的に近傍に存在している錠剤の製造方法。
〔15〕上記〔1〕〜〔14〕のいずれかに記載の方法によって得られる錠剤。
〔16〕(1)ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩、及び賦形剤を含有する乾式造粒物と
(2)医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩を含有する造粒物と
を別個の粒子として含み、
ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とが、実質的に近傍に存在している錠剤。
〔17〕ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と;医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩と;賦形剤との混合物の乾式造粒物を含み、
ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とが、実質的に近傍に存在している錠剤。
〔18〕ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩が、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩である、上記〔16〕又は〔17〕に記載の錠剤。
〔19〕医薬的に許容される有機酸が、20℃における水への溶解度が0.98g/250mLより高い有機酸である、上記〔16〕〜〔18〕のいずれかに記載の錠剤
〔20〕医薬的に許容される有機酸が、フマル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、コハク酸及び酒石酸からなる群から選択される少なくとも1つである、上記〔16〕〜〔19〕のいずれかに記載の錠剤。
〔21〕医薬的に許容される有機酸がフマル酸である、上記〔20〕に記載の錠剤。
〔22〕賦形剤が吸湿性の低い賦形剤である、上記〔16〕〜〔21〕のいずれかに記載の錠剤。
〔23〕吸湿性の低い賦形剤が、D−マンニトール及び/又はエリスリトールである、上記〔22〕に記載の錠剤。
〔24〕錠剤の表面が水膨潤性ポリマーでコーティングされている、上記〔16〕〜〔23〕のいずれかに記載の錠剤。
〔25〕水膨潤性ポリマーがポリビニルアルコールである、上記〔24〕に記載の錠剤。
〔26〕ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩を、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩換算で15〜65重量%含み、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩を1〜20重量%含む、上記〔16〕〜〔25〕のいずれかに記載の錠剤。

Claims (26)

  1. ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩;医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩;及び賦形剤を含む錠剤の製造方法であって、
    ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とを、実質的に近傍に存在させる工程を含む、方法。
  2. 前記工程が、
    (1)ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩、及び賦形剤を含有する造粒物を乾式造粒して調製する工程、及び
    (2)医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩を含有する造粒物を調製する工程
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程が、
    ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩と、賦形剤とを、混合して、乾式造粒する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  4. ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩が、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 医薬的に許容される有機酸が、20℃における水への溶解度が0.98g/250mLより高い有機酸である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 医薬的に許容される有機酸が、フマル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、コハク酸及び酒石酸からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 医薬的に許容される有機酸がフマル酸である、請求項6に記載の方法。
  8. 賦形剤が吸湿性の低い賦形剤である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 吸湿性の低い賦形剤が、D−マンニトール及び/又はエリスリトールである、請求項8に記載の方法。
  10. ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とが、実質的に近傍に存在している錠剤の表面を、水膨潤性ポリマーでコーティングする工程を更に含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 水膨潤性ポリマーがポリビニルアルコールである、請求項10に記載の方法。
  12. ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩を、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩換算で15〜65重量%含み、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩を1〜20重量%含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. (1)ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩を、D−マンニトール、結合剤及び滑沢剤と混合して、乾式造粒して、造粒物を調製する工程;
    (2)フマル酸を、D−マンニトール及び結合剤と混合して、造粒して、造粒物を調製する工程;並びに
    (3)工程(1)の造粒物と、工程(2)の造粒物とを混合して、打錠して、錠剤を調製する工程
    を含む、
    ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とが、実質的に近傍に存在している錠剤の製造方法。
  14. ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、フマル酸、D−マンニトール及び結合剤を混合して、乾式造粒する工程を含む、
    ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とが、実質的に近傍に存在している錠剤の製造方法。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法によって得られる錠剤。
  16. (1)ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩、及び賦形剤を含有する乾式造粒物と
    (2)医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩を含有する造粒物と
    を別個の粒子として含み、
    ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とが、実質的に近傍に存在している錠剤。
  17. ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と;医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩と;賦形剤との混合物の乾式造粒物を含み、
    ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩と、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩とが、実質的に近傍に存在している錠剤。
  18. ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩が、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩である、請求項16又は17に記載の錠剤。
  19. 医薬的に許容される有機酸が、20℃における水への溶解度が0.98g/250mLより高い有機酸である、請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 医薬的に許容される有機酸が、フマル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、コハク酸、酒石酸及びリンゴ酸からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項16〜19のいずれか一項に記載の錠剤。
  21. 医薬的に許容される有機酸がフマル酸である、請求項20に記載の錠剤。
  22. 賦形剤が吸湿性の低い賦形剤である、請求項16〜21のいずれか一項に記載の錠剤。
  23. 吸湿性の低い賦形剤が、D−マンニトール及び/又はエリスリトールである、請求項22に記載の錠剤。
  24. 錠剤の表面が水膨潤性ポリマーでコーティングされている、請求項16〜23のいずれか一項に記載の錠剤。
  25. 水膨潤性ポリマーがポリビニルアルコールである、請求項24に記載の錠剤。
  26. ダビガトランエテキシラート又は医薬的に許容されるその塩を、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩換算で15〜65重量%含み、医薬的に許容される有機酸又はその水和物若しくは酸性塩を1〜20重量%含む、請求項16〜25のいずれか一項に記載の錠剤。
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