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JP2018184367A - ペプチド - Google Patents

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JP2018184367A JP2017086904A JP2017086904A JP2018184367A JP 2018184367 A JP2018184367 A JP 2018184367A JP 2017086904 A JP2017086904 A JP 2017086904A JP 2017086904 A JP2017086904 A JP 2017086904A JP 2018184367 A JP2018184367 A JP 2018184367A
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Kosaku Ohinata
耕作 大日向
雅樹 笹井
Masaki Sasai
雅樹 笹井
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Kyoto University NUC
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Abstract

【課題】本発明は、強力な血圧降下などの作用を有するペプチドを提供することを目的とする。【解決手段】下記のいずれからのアミノ酸配列を有するペプチド。(i)FWGK(配列番号1)、(ii)FW(配列番号2)【選択図】なし

Description

本発明は、ペプチドに関する。本発明はまた、当該ペプチドを含む医薬組成物、血圧降下剤、摂食抑制剤及び食品にも関する。
高血圧は脳卒中や心筋梗塞など死に直結する疾病を惹起することからサイレントキラーと呼ばれ、これを予防及び治療することが求められている。
食品タンパク質の酵素消化物から多彩な生理作用を示す生理活性ペプチドが多数見出されている。動脈硬化性疾患の発症は、血管、特に、血管内皮の機能低下が引き金となることが知られており、生理活性ペプチドの血管に対する機能が着目されている。
特許文献1及び非特許文献1には、摂食抑制、抗肥満、動脈弛緩、血圧降下、メタボリックシンドローム予防などの作用を有するペプチドが開示されている。
国際公開公報WO2012/070554号
Kagebayashi T et al. Mol Nutr Food Res. 2012 Sep;56(9):1456-63.
本発明は、公知のペプチドよりも強力な血圧降下などの作用を有するペプチドを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねたところ、(i)FWGK(配列番号1)及び(ii)FW(配列番号2)アミノ酸配列を有するペプチドが高い血圧降下作用を有することを見出した。本発明は、斯かる知見に基づいて、さらに検討を重ねて完成されたものである。
すなわち、本発明は以下の態様を包含する。
項1、下記のいずれからのアミノ酸配列を有するペプチド。
(i)FWGK(配列番号1)
(ii)FW(配列番号2)
項2、ウシ血清アルブミンタンパク質のサチライシン消化物に由来する、請求項1に記載のペプチド。
項3、項1または2に記載のペプチドを有効成分とする医薬組成物。
項4、項1または2に記載のペプチドを有効成分とする血圧降下剤。
項5、項1または2に記載のペプチドを有効成分とする摂食抑制剤。
項6、項1または2に記載のペプチドを含有する食品。
項7、項1または2に記載のペプチドを添加することを特徴とする食品。
項8、血圧降下のための、請求項6または7に記載の食品。
項9、摂食抑制のための、請求項6または7に記載の食品。
項10、項1または2に記載のペプチドを、必要とする患者または予備群に投与する工程を含む、血圧を降下及び/または摂食行動を抑制する方法。
項11、血圧を降下及び/または摂食行動を抑制するための、項1または2に記載のペプチド。
項12、血圧を降下及び/または摂食行動を抑制するための医薬または食品を製造するための、項1または2に記載のペプチドの使用。
本発明のペプチドを有効成分とする医薬組成物、食品は、高い血圧降下作用を有し、副作用が低く長期の服用に適したものである。さらに、摂食抑制作用をも有する。また、本発明の医薬組成物、食品は、特に経口投与で有効である。
さらに、天然の短鎖ペプチドは食品として摂取することも可能であり、高血圧の個体が食品として摂取することで、動脈硬化などの疾患を予防することが期待できる。また、メタボリックシンドロームの予防に有効である。
本発明のペプチドは、ウシ血清アルブミンタンパク質の酵素消化物として製造することができるので、副作用は問題にならない。また、ウシ血清アルブミンタンパク質は、容易に取得することができるため、本発明のペプチドは低コストで製造できる。
血圧降下作用の評価結果(酵素消化物) 血圧降下作用の評価結果(ペプチド) 血圧降下作用の評価結果(ペプチド) STC−1細胞のカルシウム応答性試験の結果(ペプチド) 動脈弛緩実験の結果(ペプチド) 動脈弛緩作用に及ぼす阻害薬の影響
本発明のペプチドは、(i)FWGK(配列番号1)の4残基または(ii)FW(配列番号2)の2残基のアミノ酸配列を有するペプチド(ジペプチド)である。
本発明の別の態様においては、本発明のペプチドは(i)FWGK(配列番号1)の4残基または(ii)FW(配列番号2)の2残基のアミノ酸配列を含むペプチドである。当該態様において、上記アミノ酸配列を含む限り、N末端側及び/またはC末端側(好ましくは、C末端側)にアミノ酸残基を付加することができる。付加されるアミノ酸残基の個数は限定されず、20アミノ酸残基程度、好ましくは10アミノ酸残基程度、より好ましくは5アミノ酸残基程度、さらに好ましくは4、3、2、若しくは1アミノ酸とすることができる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、上記のアミノ酸配列中の1または複数(例えば、2または3)、好ましくは1のアミノ酸残基を置換することもできる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、上記のアミノ酸配列中の1または複数(例えば、2または3)、好ましくは1のアミノ酸残基を挿入することもできる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、上記のアミノ酸配列中の1または複数(例えば、2または3)、好ましくは1のアミノ酸残基を欠失することもできる。
付加されるアミノ酸残基は、天然アミノ酸であっても非天然のアミノ酸であってもよい。天然アミノ酸は、としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシンロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンのタンパク質を構成するアミノ酸残基、並びに、セレノシステイン、N-ホルミルメチオニン、ピロリシン、ピログルタミン等のその他のアミノ酸残基が含まれる。
ペプチドを構成するアミノ酸は、L体のアミノ酸、D体のアミノ酸或いはDL体のアミノ酸(D体とL体が混合されたアミノ酸であればラセミ体といずれか一方のエナンチオマーが過剰なアミノ酸のいずれも含まれる)のいずれを使用することができる。好ましくはL体のアミノ酸のみ、或いはD体のアミノ酸のみからなるペプチド、特にL体のアミノ酸のみからなるペプチドが好ましい。
また、本発明で使用するペプチドが2以上の不斉炭素を含む場合、各エナンチオマーないしジアステレオマー或いはこれらの任意の比率の混合物のいずれの形態でもあり得る。エナンチオマーまたはジアステレオマーの分離は、通常のカラムで行う方法、光学活性カラムを使用する方法、光学活性基を導入して誘導体の形態で光学分割した後、その光学活性基を除去する方法や、光学活性の酸または塩基との塩を形成して光学分割する方法などの公知のいずれの方法を用いることができる。
ペプチドは、修飾を有することができる。ペプチドのアミノ末端(N末端)は、遊離のアミノ基(NH−)であっても、アセチル基(CHCO−)などの修飾を有するものであってもよい。ペプチドのカルボキシ末端(C末端)は、遊離のカルボキシル基(−COOH)であっても、アミド基などの修飾を有するものであってもよい。ペプチドのアミノ酸残基は、無修飾ものであっても、リン酸基、糖鎖などの修飾を有するものであってもよい。
本発明のペプチドは、塩(酸付加塩または塩基塩)であってもよい。酸付加塩としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、過塩素酸などの無機塩、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸の塩が挙げられる。塩基塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩などが挙げられる。
本発明のペプチドは、溶媒和物であってもよい。溶媒和物としては、水(水和物の場合)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、アセトアミド、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメトキシエタンなどの溶媒和物が挙げられる。
本発明のペプチドは、天然のタンパク質ないしポリペプチドの加水分解により得ることもでき、化学合成により得ることもできる。
例えば、本発明のペプチドは、ウシ血清アルブミンタンパク質のサチライシンの加水分解によりえることもできる。
従って、本発明は、ウシ血清アルブミンタンパク質をサチライシンで処理した組成物を包含する。
サチライシン(サブチリシンまたはズブチリシンともいう、subtilisin)は、枯草菌に由来する酵素であり、公知のタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)である(EC 3.4.21.62)。サチライシンは、セリンプロテアーゼの一種であり、エンドペプチターゼ活性を有する。サチライシンは、我が国において食品添加物として使用することができる。サチライシンは、試薬グレード、食品添加物グレードなどの市販されているものを使用することができる。
サチライシンにより加水分解をする基質は、ウシ血清アルブミンタンパク質を含むものであればとくに限定されない。例えば、牛乳、乳清(ホエイ)、血液(全血)、血漿、血清、精製したウシ血清アルブミンタンパク質などが挙げられる。
サチライシンによる加水分解は、本発明のペプチドが得られる条件で行う。反応温度は30〜70℃、30〜40℃、40〜70℃、50〜65℃などから適宜選択することができる。反応時間は、30分〜48時間程度、1〜10時間程度、2〜8時間程度などから適宜選択することができる。反応を行うpHは、pH6.5〜8.5程度、pH7〜8程度から適宜選択することができる。一つの好適な態様においては、30〜40℃程度の温度、pH6.5〜8.5(特に、pH7.5程度)の条件下で反応させることができる。反応時間は、例えば、2〜8時間程度とすることができる。
加水分解が過度に行われる条件下では、本発明のペプチドが得られない場合がある。
必要に応じて、サチライシンが失活する温度に加熱(例えば、80℃を超える温度で5〜60分程度での加熱)することで、サチライシンを失活させる。
加水分解の反応生成物は、そのまま使用してもよく、精製により有効成分のペプチドを分離して使用してもよい。
また本発明のペプチドは、ペプチド合成法で取得することもできる。即ち、ペプチド合成に通常用いられる方法である液相法または固相法で、反応性カルボキシル基を有する原料と、反応性アミノ基を有する原料とをHBTU等の活性エステルを用いた方法や、カルボジイミドなどのカップリング剤を用いた方法等のペプチド合成において通常の方法により縮合させることができる。生成する縮合物が保護基を有する場合、その保護基を除去することによっても製造し得る。
この反応工程において反応に関与すべきでない官能基は、保護基により保護される。アミノ基の保護基としては、例えばベンジルオキシカルボニル(CBZ)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc),9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)等が挙げられる。カルボキシル基の保護剤としては例えばアルキルエステル、ベンジルエステル等を形成し得る基が挙げられるが、固相法の場合は、C末端のカルボキシル基はクロロトリチル樹脂、クロルメチル樹脂、オキシメチル樹脂、p−アルコキシベンジルアルコール樹脂等の担体に結合している。縮合反応は、カルボジイミド等の縮合剤の存在下にあるいはN−保護アミノ酸活性エステルまたはペプチド活性エステルを用いて実施する。
縮合反応終了後、保護基は除去されるが、固相法の場合はさらにペプチドのC末端と樹脂との結合を切断する。更に、本発明のペプチドは通常の方法に従い精製される。例えばイオン交換クロマトグラフィー、逆相液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等が挙げられる。合成したペプチドの合成はエドマン分解法でC−末端からアミノ酸配列を読み取るプロテインシークエンサー、GC−MS等で分析される。
本発明のペプチドは、酵素法によっても合成することが可能である(国際公開公報WO2003/010307参照)。
本発明のペプチドは、強力な血圧降下作用及び動脈弛緩作用を有する。後述の実施例に示すように、これらの作用はCCK1受容体のアンタゴニストであるlorglumideにより抑制されることから、これらの作用はCCK1受容体の活性化を介すると考えられる。
また、本発明のペプチドは、内因性の摂食抑制ペプチドCCKの遊離を促進する作用を有するため、摂食抑制作用をも有する。本発明のペプチドは、食後の満足感を増進する内因性摂食抑制ペプチドCCKを介する作用であり自然な満腹感を示すことが期待できる。
従って、本発明のペプチドは、血圧降下作用、動脈弛緩作用、摂食抑制作用及び摂食抑制作用を介した肥満の抑制作用を有し、さらには動脈硬化の防止に効果があり、メタボリックシンドロームの予防に有効である。メタボリックシンドローム患者では、CCK反応性が低下しているとの報告があり、このような観点からも、メタボリックシンドロームの予防薬としてより好適である。
本発明のペプチドは、医薬組成物または食品(食品組成物)として提供されうる。
本発明のペプチドまたはこれを含有する製品の投与経路は特に限定されるものではなく、経口投与、非経口投与(例えば、筋肉内または静脈内)、直腸内投与のなどを採用することができる。中でも、効果が高いとの観点から、経口投与または直腸内投与、特に経口投与が好ましい。
本ペプチドの投与量は、投与方法、投与される者の状態や年齢等により異なる。投与量は、必要とする患者または予備群の成人1日あたり通常は0.01mg/kg〜500mg/kg、好ましくは0.05mg/kg〜100mg/kg、より好ましくは0.1〜30mg/kgである。本発明のペプチド(有効成分)は、製剤用担体と混合して調製した医薬組成物の形で投与することができる。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ本発明のペプチドと反応しない物質が用いられる。
本発明のペプチドはそれ自体医薬または食品として利用することができる。本発明のペプチドを単独で、もしくは適当な無毒性の経口摂取用担体、希釈剤または賦形剤とともに、タブレット(素錠、糖衣錠、発泡錠、フィルムコート錠、チュアブル錠など)、カプセルハードカプセルとソフトカプセルとのいずれも含む。)、トローチ、粉末、細粒剤、顆粒剤、液剤、懸濁液、乳濁液、ペースト、クリーム、注射剤(アミノ酸輸液、電解質輸液等の輸液に配合する場合を含む)、或いは腸溶性の錠剤、カプセル剤、顆粒剤などの徐放性製剤などの食品用もしくは医薬用の製剤にすることが可能である。
本発明の1つの態様としては、本発明のペプチドおよび医薬品として認められる希釈剤、担体、又は賦形剤を含む医薬組成物が挙げられる。別の態様として、本発明のペプチドを含有する(例えば、添加することにより含有することができる。)食品が挙げられる。
医薬又は食品中のペプチドの含有量は適宜選択が可能であるが一般に、0.01〜100重量%の範囲である。
具体的には、医薬または食品に加えることができる製剤用担体ないし経口摂取用担体、希釈剤または賦形剤のような物質の例として乳糖、ブドウ糖、マンニット、デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、蔗糖、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガント、ベントナイト、ビーガム、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、流動パラフィン、白色ワセリン、フルオロカーボン、非イオン性界面活性剤、プロピレングルコール、水等が挙げられる。
剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、坐剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製される。尚、液体製剤にあっては、用時、水または他の適当な溶媒に溶解または懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。注射剤の場合には、本発明のペプチドを水に溶解させて調製されるが、必要に応じて生理食塩水あるいはブドウ糖溶液に溶解させてもよく、また緩衝剤や保存剤を添加してもよい。
これらの製剤は、本発明のペプチドを0.01%〜100重量%、好ましくは1〜90重量%の割合で含有することができる。これらの製剤はまた、治療上価値のある他の成分を含有していてもよい。
経口投与用の固形製剤を製造するには、有効成分と賦形剤成分例えば乳糖、澱粉、結晶セルロース、乳酸カルシウム、無水ケイ酸などと混合して散剤とするか、さらに必要に応じて白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどの崩壊剤などを加えて湿式または乾式造粒して顆粒剤とする。錠剤を製造するには、これらの散剤及び顆粒剤をそのまま或いはステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤を加えて打錠すればよい。これらの顆粒または錠剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸−メタクリル酸メチルポリマーなどの腸溶剤基剤で被覆して腸溶剤製剤、あるいはエチルセルロース、カルナウバロウ、硬化油などで被覆して持続性製剤とすることもできる。また、カプセル剤を製造するには、散剤または顆粒剤を硬カプセルに充填するか、有効成分をそのまま或いはグリセリン、ポリエチレングリコール、ゴマ油、オリーブ油などに溶解した後ゼラチン膜で被覆し軟カプセルとすることができる。
経口投与用の液状製剤を製造するには、有効成分と白糖、ソルビトール、グリセリンなどの甘味剤とを水に溶解して透明なシロップ剤、更に精油、エタノールなどを加えてエリキシル剤とするか、アラビアゴム、トラガント、ポリソルベート80、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどを加えて乳剤または懸濁剤としてもよい。これらの液状製剤には所望により矯味剤、着色剤、保存剤などを加えてもよい。
本発明に係るペプチドを添加、配合して調製しうる食品の具体的形態としては、例えば、飲料類(コーヒー、ココア、ジュース、清涼飲料、ミネラル飲料、茶飲料、緑茶、紅茶、烏龍茶、乳飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト飲料、炭酸飲料、その他ノンアルコール飲料、アルコール飲料など)、菓子類(ハードキャンディー、ガム、グミ、ゼリー、プディング、ムース、ケーキ、キャンデー、クッキー、クラッカー、ビスケット、チョコレート、氷菓(アイスクリーム、アイスキャンディ、シャーベット、かき氷など)など)、ふりかけ、ドレッシング、調味料、大豆加工食品(豆腐、味噌、醤油、湯葉、きな粉、納豆など)、食肉加工食品(ハンバーグ、ミートローフ、ミートボール、つくねなど)、魚肉加工食品(かまぼこ、ちくわなど)、レトルト食品、ゼリー状食品(ゼリー、寒天、ゼリー状飲料等)、等を挙げることができる。本発明のペプチドを添加・配合して調製しうる食品としては、いわゆる健康食品、機能性食品、機能性表示食品、栄養補助食品、サプリメント、特定保健用食品、病者用食品・病者用組合せ食品(厚生労働省、特別用途食品の一種)または高齢者用食品(厚生労働省、特別用途食品の一種)としてもよく、素錠、フィルムコート錠、糖衣錠、顆粒、粉末、タブレット、カプセル(ハードカプセルとソフトカプセルとのいずれも含む。)、チュアブルタイプ、シロップタイプ、ドリンクタイプ等とすることもできる。本発明に係るペプチドを添加・配合した食品の調製は、それ自体公知の方法で行うことができる。
本発明のペプチドを含む食品は、例えば公知の食品に本発明のペプチドを添加して製造することができる。発明に係るペプチドを添加して製造しうる食品の具体的形態としては、例えば、飲料類(コーヒー、ココア、ジュース、清涼飲料、ミネラル飲料、茶飲料、緑茶、紅茶、烏龍茶、乳飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト飲料、炭酸飲料、その他ノンアルコール飲料、アルコール飲料など)、菓子類(ハードキャンディー、ガム、グミ、ゼリー、プディング、ムース、ケーキ、キャンデー、クッキー、クラッカー、ビスケット、チョコレート、氷菓(アイスクリーム、アイスキャンディ、シャーベット、かき氷など)など)、ふりかけ、ドレッシング、調味料、乳製品(牛乳、加工乳、クリーム、バター、チーズ、乳清(ホエイ)、アイスクリーム類、れん乳、粉乳、はつ酵乳(ヨーグルトなど)、乳酸菌飲料、乳飲料など)、大豆加工食品(豆腐、味噌、醤油、湯葉、きな粉、納豆など)、食肉加工食品(ハンバーグ、ミートローフ、ミートボール、つくねなど)、魚肉加工食品(かまぼこ、ちくわなど)、レトルト食品、ゼリー状食品(ゼリー、寒天、ゼリー状飲料等)等を挙げることができる。本発明に係るペプチドを添加した食品の調製は、それ自体公知の方法で行うことができる。
また、本発明のペプチドを含む食品が、牛乳、乳清(ホエイ)などウシ血清アルブミンを含む製品を原材料とする場合、当該食品の製造方法において、サチライシンによる加水分解の工程を含めることで、本発明のペプチドを含む食品を製造することができる。別の態様において、当該食品の製造方法において、凍結乾燥、酸及び/またはアルカリ処理などの本発明のペプチドを生成させる工程を含めることでも、本発明のペプチドを含む食品を製造することができる。
本発明のペプチドを含む食品は、いわゆる健康食品、機能性表示食品、特定保健用食品、栄養補助食品、サプリメント、病者用食品、病者用組合せ食品(厚生労働省、特別用途食品の一種)または高齢者用食品(厚生労働省、特別用途食品の一種)とすることができる。
次に実施例により本発明を更に具体的に説明する。しかし下記の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
<方法>
血圧降下作用の評価、腸内分泌細胞のカルシウム応答性試験、及び動脈弛緩実験は、特許文献1及び非特許文献1に記載の方法に準じた。
(血圧降下作用の評価)
(i)使用動物
高血圧自然発症の雄ラット(SHRs/Izm)(日本SLC社製)を使用した。SHRラットは、23℃、12時間/12時間の明暗サイクルに制御された部屋で飼育した。餌は固形SP飼料(船橋農場社製)及びCE−2(日本クレア社製)を与え、水と共に自由摂取させた。
(ii)非観血的血圧測定実験(Tail-cuff法)
無麻酔下のSHRラットについて、Tail-cuff法での収縮期血圧(Systolic blood pressure)を測定して。血圧測定には、MK-2000(室町機械社製)を用いて測定した。約3週間Tail-cuff装置でトレーニングをした動物を本実験に用いた。各試料を生理食塩水に溶解し、メタルゾンデを用いて強制的に経口投与した。血圧測定は、投与直前及び各表に示す投与からの経過時間後(Time after administeration (h);2時間後、4時間後、6時間後、24時間後、48時間後)に行った。
評価は、投与直前に対する収縮期血圧の変化(ΔSystolic blood pressure)の算出により行った。
(腸内分泌細胞(STC−1)のカルシウム応答性試験)
マウス腸内分泌細胞STC−1を用いて、各試料を添加し、細胞応答性を評価した。CCK分泌能を有する腸内分泌細胞として知られるSTC−1細胞において、CCK分泌の際に細胞内カルシウム濃度が上昇することが知られている。CCKは、内因性摂食抑制ホルモンであり、その分泌が刺激されると満腹感を惹起することが知られている。
STC−1細胞を96ウェルプレートに1ウェルにつき細胞を約50,000個ずつ播種し、37℃で48時間インキュベートした。その後、蛍光試薬Fluo4を1ウェル100μlずつ添加し、さらに37℃で1時間インキュベートした。その後、サンプルを投与して、蛍光強度を測定し、細胞内カルシウム濃度の変化(Δ[Ca2+])を算出した。
(動脈弛緩実験)
SHRラット(15〜34週齢)の腸間膜動脈を摘出し、螺旋状に切開して標本を作成した。Krebs-Henseleit栄養液((120mMのNaCl,4.7mMのKCl,1.2mMのMgSO,1.2mMのKH2PO4,2.5mMのCaCl,25mMのNaHCO,10mMのグルコース)、37℃、5%CO、95%O混合ガス飽和)を満たしたマグヌス管中にこの標本を懸垂し、その張力(緊張)変化を歪みトランスデューサー(三栄社製)を介してポリグラフ上に記録した。
フェニレフリン(phenilephrine)であらかじめ動脈を収縮させた状態にしておき、安定したところでサンプルを加え、弛緩する程度を測定した。パパベリン(papaverine)で動脈を完全に弛緩させたときの収縮の程度を100%に対する収縮の程度の割合として、弛緩率(Relaxation)を算出した。
<製造例>
(酵素消化物)
精製したウシ血清アルブミン(BSA)タンパク質(SIGMA社製)と消化酵素とを、酵素:BSA=1:100(重量比、BSAの終濃度:20 mg/ml)で混合し、添付のバッファー中で反応を行った。
使用した酵素と反応条件は以下の通りとした:
(i)サチライシン(SIGMA社製);反応温度:37℃、反応時間:5時間、反応pH:7.5。
上記の反応時間の経過後、試料をボイル(100℃、10分間)し、酵素反応を停止した。
さらに、3500rpm×10分(4℃)で遠心し、得られた上清を凍結乾燥した。
(ペプチド)
定法により、ペプチドFWGK(配列番号1)、ペプチドFW(配列番号2)及びペプチドRF(配列番号3)を合成した。
(統計解析)
試験により得られたデータを、試行数nの平均(Mean)と標準誤差(Standard error of the mean、SEM)との和で表した。2群間の比較にはt検定を用いた。3群間以上の比較には、データを1方向ANOVAにより解析し、引き続いて多重比較のためのTukey-Kramer試験を行った。対照(Control)に対してp<0.05の場合(図中、”*”)及びp<0.01の場合(図中、”**”)に、有意差ありと判定した。対照(Control)に対してp<0.10(図中、”#”)の場合、有意傾向ありと判定した。
<実験及び結果>
(実施例1:血圧降下作用(酵素消化物))
ウシ血清アルブミンタンパク質のサチライシン消化物を試験物質として、15mg/kg又は50mg/kgを経口投与したSHRラットを用いて、血圧降下作用を評価した(n=10)。溶媒の生理食塩水のみの投与を、対照(Control)とした(以下、同様)。
結果を図1に示す。BSAのサチライシン消化物を15mg/kg及び50mg/kg経口投与した場合に、血圧降下作用を示す。
(実施例2:血圧降下作用(ペプチド))
ペプチドFWGK及びペプチドFWを試験物質として、ペプチドFWGKは5.0μg/kgまたは50μg/kg、ペプチドFWは0.05mg/kg。0.5mg/kg、または1.5mg/kgを経口投与したSHRラットを用いて、血圧降下作用を評価した(ペプチドFWGKはn=5-10、ペプチドFWはn=10-20)。
結果を図2及び図3に示す。ペプチドFWGKは、50μg/kgという低容量の投与で有意に血圧降下作用を示す。さらに、血圧降下作用は投与後6時間後まで持続する。
ペプチドFWは、1.5mg/kgを経口投与した場合に、血圧降下作用を示す。血圧降下作用は投与後6時間後まで持続する。
(実施例3:腸内分泌細胞(STC−1)のカルシウム応答性試験(ペプチド))
ペプチドFWGK、ペプチドFW及びペプチドRFを試験物質として、STC−1細胞のカルシウム応答性を試験した。各ペプチドは、1mM用いた。
結果を図4に示す。ペプチドFWGK、ペプチドFW及びペプチドRFは対照(Control)と比較して、有意にカルシウム応答性が見られ、CCK遊離が促進しているものと考えられる。特に、ペプチドFWGK、ペプチドFWは、従来CCK遊離を促進することが知られているペプチドRFと比べて、細胞内カルシウムの変化量が有意に大きく、CCK遊離がより強く促進しているものと考えられる
なお、反応性は用量に依存していた(データは示さない)。
(実施例4:動脈弛緩実験(ペプチド))
ペプチドFWGK、ペプチドFW及びペプチドRFを試験物質として、動脈弛緩実験により動脈弛緩作用を評価した(n=2)。
結果を図5に示す。ペプチドFWGK、ペプチドFW及びペプチドRFのいずれもについて、動脈弛緩作用が用量依存的に観察された。特にペプチドFWGKは低濃度の10-7Mでも高い動脈弛緩作用が見られた(図5A)。
(実施例5:動脈弛緩実験(ペプチド))
ペプチドFWGKを試験物質として、各種阻害剤の存在下または非存在下で動脈弛緩実験により動脈弛緩作用を評価した(n=3-4)。
阻害剤としては、CCK1受容体アンタゴニスト(CCK1R Antagonist)であるロルグミド(lorgumide)(30μM)、シクロオキシゲナーゼ(Cyclooxygenase)阻害薬(COX Inhibitor)であるインドメタシン(indometachin)(3μM)、及び一酸化窒素合成酵素阻害薬(NOS Inhibitor)であるL-NAME(100μM)を用いた。
阻害剤による前処理(pretreatment)後に、ペプチドFWGKを投与した。
結果を図6に示す。CCK1受容体のアンタゴニストであるlorglumideを添加した場合に、動脈弛緩作用が有意に阻害された。他の阻害剤を添加しても弛緩率は低下しなかった。従って、ペプチドFWGKの動脈弛緩作用は、CCK1受容体の活性化を介していると考えられる。
以上の実施例1〜5の結果のまとめを表1に示す。
Figure 2018184367
(参考例1)
LC-MSにより、ウシ血清アルブミンタンパク質のサチライシン消化物
に含まれる、ペプチドFWGK及びペプチドFWの割合を定量した。
LC-MSは以下の条件で行った(Waters社製)。
LC: Acquity UPLC system
Column: Acquity BEH-C18
MS: Xevo Q-TOF。
結果を表2に示す。数値は、mol%による生成率(Yield mol%)により示す。
Figure 2018184367

Claims (12)

  1. 下記のいずれからのアミノ酸配列を有するペプチド。
    (i)FWGK(配列番号1)
    (ii)FW(配列番号2)
  2. ウシ血清アルブミンタンパク質のサチライシン消化物に由来する、請求項1に記載のペプチド。
  3. 請求項1または2に記載のペプチドを有効成分とする医薬組成物。
  4. 請求項1または2に記載のペプチドを有効成分とする血圧降下剤。
  5. 請求項1または2に記載のペプチドを有効成分とする摂食抑制剤。
  6. 請求項1または2に記載のペプチドを含有する食品。
  7. 請求項1または2に記載のペプチドを添加することを特徴とする食品。
  8. 血圧降下のための、請求項6または7に記載の食品。
  9. 摂食抑制のための、請求項6または7に記載の食品。
  10. 請求項1または2に記載のペプチドを、必要とする患者または予備群に投与する工程を含む、血圧を降下及び/または摂食行動を抑制する方法。
  11. 血圧を降下及び/または摂食行動を抑制するための、請求項1または2に記載のペプチド。
  12. 血圧を降下及び/または摂食行動を抑制するための医薬または食品を製造するための、請求項1または2に記載のペプチドの使用。
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