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JP2018183097A - 細胞由来の解析用液滴の単離方法、および細胞の解析方法 - Google Patents

細胞由来の解析用液滴の単離方法、および細胞の解析方法 Download PDF

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JP2018183097A JP2017087236A JP2017087236A JP2018183097A JP 2018183097 A JP2018183097 A JP 2018183097A JP 2017087236 A JP2017087236 A JP 2017087236A JP 2017087236 A JP2017087236 A JP 2017087236A JP 2018183097 A JP2018183097 A JP 2018183097A
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Abstract

【課題】後の解析に影響を与えずに、解析に供せる液滴を単離する方法、及び解析方法の提供。【解決手段】エマルション形成工程と、核酸増幅工程と、検出工程と、第1分取工程と、増幅産物除去工程と、第2分取工程とを含む解析用液滴の単離方法。エマルション形成工程は、細胞を含む試料と、エマルション形成溶媒とを接触させる。核酸増幅工程は、液滴について、プライマーを用いて、細胞由来の核酸の核酸増幅を行う。検出工程は、液滴における核酸の増幅産物の有無を検出する。第1分取工程は、核酸の増幅産物が検出された液滴を分取する。増幅産物除去工程は、分取した液滴における増幅産物を、固相化担体により液滴から除去する。第2分取工程は、増幅産物が除去された液滴を、解析用液滴として分取する。固相化担体が、磁性化担体であり第1分取工程で、磁場により液滴から増幅産物が結合した固相化担体を分離する単離方法。【選択図】図1

Description

本発明は、細胞由来の解析用液滴の単離方法、および細胞の解析方法に関する。
様々な細胞を含む試料から、ターゲット細胞を単離して、ターゲットゲノムについての解析を行う場合、ターゲット細胞の単離方法として、近年、セルソーティングが一般的になっている。中でも、エマルション化により細胞を含む液滴(ドロップレット)を形成する方法では、核酸増幅を利用して、ターゲット細胞を含む液滴の分取(ソーティング)が行われている。
セルソーティングの具体的な方法としては、例えば、まず、細胞を含む試料についてエマルション化を行い、前記エマルション中に液滴を形成する。そして、前記エマルション中の液滴について、PCR等の核酸増幅法により、ターゲット細胞に由来する短鎖の配列を増幅させ、プローブ等を用いて、前記増幅の有無を検出する。そして、増幅が確認された液滴を、ターゲット細胞を含む液滴として分取し、これを、ゲノム解析等の試料とする(非特許文献1)。ゲノム解析においては、例えば、前記液滴について、さらに、前記ターゲット細胞のターゲットゲノムの核酸増幅を行い、得られたターゲットゲノムの増幅産物を次世代シーケンシング(NGS)に供し、アッセンブリングすることで、前記ターゲット細胞のターゲットゲノムを解析できる(非特許文献2)。
Dennis J. Eastburn, et al., 「Identification and genetic analysis of cancer cells with PCR-activated cell sorting」Nucleic Acids Research, 2014, Vol. 42, No. 16 e128 Yong Hou, et al., 「Comparison of variations detectionbetween whole-genome amplification methods used in single-cell resequencing」 GIGA Science, 2015, 4:37
前記セルソーティングにおける核酸増幅は、前記液滴中の細胞の有無の確認を目的とするため、前述のように、例えば、ゲノムにおける短い領域(例えば、80〜300bp程度)を設定して、増幅が行われる。しかしながら、増幅の検出により分取された液滴には、セルソーティングでの短鎖の増幅産物が大量に混入されており、その量は、液滴中に含まれる細胞由来のゲノムと比較して非常に多い。このため、ゲノム解析のために、前記分取した液滴について、さらに、ターゲットゲノムの核酸増幅を行っても、ゲノム解析に供する試料には、ターゲットゲノム由来の増幅産物の他に、解析対象ではない大量の短鎖の増幅産物が混入されたままで、これらの短鎖の増幅産物がシーケンシングされ、ターゲット細胞のターゲットゲノムの解析結果に影響与えるという問題がある。
そこで、本発明は、後の解析に影響を与えることなく、解析に供することができる液滴を単離する方法、および解析方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、解析用液滴の単離方法であり、
エマルション形成工程と、核酸増幅工程と、検出工程と、第1分取工程と、増幅産物除去工程と、第2分取工程とを含み、
前記エマルション形成工程は、
細胞を含む試料と、エマルション形成溶媒とを接触させて、前記エマルション形成溶媒中に、前記試料中の細胞を含む複数の液滴を形成する工程であり、
前記核酸増幅工程は、
前記液滴について、プライマーを用いて、前記細胞由来の核酸の核酸増幅を行う工程であり、
前記プライマーは、前記核酸に対する相補配列と第1付加配列とを有し、
前記検出工程は、
前記液滴における前記核酸の増幅産物の有無を検出する工程であり、
前記第1分取工程は、
前記核酸の増幅産物が検出された液滴を分取する工程であり、
前記増幅産物除去工程は、
前記分取した液滴における増幅産物を、担体に第2付加配列が固相化された固相化担体により、前記液滴から除去する工程であり、
前記固相化担体における第2付加配列は、前記プライマーにおける前記第1付加配列および前記第1付加配列に対する相補配列の少なくとも一方であり、
前記液滴中の前記増幅産物と前記固相化担体とを接触させて、前記固相化担体に前記増幅産物を結合させ、前記液滴から前記固相化担体を分離することで、前記液滴から前記増幅産物を除去し、
前記第2分取工程は、
前記増幅産物除去工程により前記増幅産物が除去された液滴を、解析用液滴として分取する工程であることを特徴とする。
本発明は、細胞の解析方法であり、
試料中の細胞由来の解析用液滴の単離工程と、解析工程とを含み、
前記単離工程は、
細胞を含む試料から、前記本発明の単離方法により、前記細胞由来の解析用液滴を単離する工程であり、
前記解析工程は、
前記単離された解析用液滴について、解析を行う工程であることを特徴とする。
本発明によれば、液滴分取のために、液滴中の細胞の有無を確認すべく、核酸増幅を行うが、得られた増幅産物は、前記液滴から除去できる。このように、前記液滴から、前記液滴分取のための増幅産物は除去されているため、例えば、前記解析用液滴を用いてゲノム解析を行う場合、前述のような、前記増幅産物の影響を回避することができ、より精度に優れたゲノム解析が可能となる。
図1は、本発明の単離方法における増幅産物除去工程の一例を示す概略図である。
本発明の解析用液滴の単離方法は、例えば、前記固相化担体における担体が、磁性担体であり、前記第1分取工程において、磁場により、前記液滴から前記増幅産物が結合した固相化担体を分離する。
本発明の解析用液滴の単離方法は、例えば、前記磁性担体が、磁性ビーズである。
本発明の解析用液滴の単離方法は、例えば、前記エマルション形成工程において、前記プライマーを含む増幅用試薬および前記固相化担体の存在下、液滴を形成し、
前記核酸増幅工程において、前記液滴に含まれる前記増幅用試薬を用いて、前記ターゲットゲノムの増幅を行い、
前記第2分取工程において、前記液滴に含まれる前記固相化担体を用いて、前記核酸増幅物の除去を行う。
本発明の解析用液滴の単離方法は、例えば、前記エマルション形成工程において、前記プライマーを含む増幅用試薬および前記固相化担体の非存在下、液滴を形成し、
前記エマルション形成工程後、前記液滴に、前記増幅用試薬および前記固相化担体を添加する。
本発明の解析用液滴の単離方法は、例えば、前記プライマーを含む増幅用試薬に、前記増幅の検出のための検出試薬を共存させ、前記検出試薬が、インターカレータまたはプローブを含む。
本発明の解析用液滴の単離方法は、例えば、さらに、解析工程を含み、
前記解析工程は、前記第2分取工程で分取した前記解析用液滴を用いて、前記液滴に含まれる細胞由来のゲノムを解析する工程である。
本発明の解析用液滴の単離方法は、例えば、前記エマルション工程において、前記エマルション形成溶媒が、非水溶性溶媒を含み、前記非水溶性溶媒中に、前記複数の液滴が形成され、前記複数の液滴は、前記試料を含む水溶性の液滴である。
本発明の解析用液滴の単離方法は、例えば、前記流路内で、さらに、前記第2分取工程を行う。
本発明の細胞の解析方法は、例えば、さらに、増幅工程を含み、前記増幅工程は、前記単離した解析用液滴について、前記細胞由来のゲノムを増幅させる工程であり、前記解析工程は、前記解析用液滴に含まれる前記ゲノムの増幅産物について、ゲノム解析を行う。
本発明の単離方法および解析方法は、前記解析用液滴の分取に先だって、前記液滴から増幅産物を除去することがポイントであり、その他の工程や条件は、特に制限されない。
以下、本発明の単離方法および解析方法の実施形態について、例をあげて説明する。本発明の単離方法および解析方法は、下記の実施形態によって何ら限定および制限されない。また、各実施形態の記載は、それぞれ互いに援用できる。
(解析用液滴の単離方法)
本発明の単離方法は、前述のように、解析用液滴の単離方法であり、
エマルション形成工程と、核酸増幅工程と、検出工程と、第1分取工程と、増幅産物除去工程と、第2分取工程とを含み、
前記エマルション形成工程は、
細胞を含む試料と、エマルション形成溶媒とを接触させて、前記エマルション形成溶媒中に、前記試料中の細胞を含む複数の液滴を形成する工程であり、
前記核酸増幅工程は、
前記液滴について、プライマーを用いて、前記細胞由来の核酸の核酸増幅を行う工程であり、
前記プライマーは、前記核酸に対する相補配列と第1付加配列とを有し、
前記検出工程は、
前記液滴における前記核酸の増幅産物の有無を検出する工程であり、
前記第1分取工程は、
前記核酸の増幅産物が検出された液滴を分取する工程であり、
前記増幅産物除去工程は、
前記分取した液滴における増幅産物を、担体に第2付加配列が固相化された固相化担体により、前記液滴から除去する工程であり、
前記固相化担体における第2付加配列は、前記プライマーにおける前記第1付加配列および前記第1付加配列に対する相補配列の少なくとも一方であり、
前記液滴中の前記増幅産物と前記固相化担体とを接触させて、前記固相化担体に前記増幅産物を結合させ、前記液滴から前記固相化担体を分離することで、前記液滴から前記増幅産物を除去し、
前記第2分取工程は、
前記増幅産物除去工程により前記増幅産物が除去された液滴を、解析用液滴として分取する工程であることを特徴とする。
前記エマルション形成工程は、前述のように、細胞を含む試料と、エマルション形成溶媒とを接触させて、前記エマルション形成溶媒中に、前記試料中の細胞を含む複数の液滴を形成する工程である。前記エマルション形成溶媒中における前記液滴の形成によって、前記試料を、複数の液滴に分割して区画することができる。そして、前記液滴のそれぞれに、前記試料中の様々な細胞が、分配されることになる。
前記試料の種類は、何ら制限されず、細胞が存在すると考えられる試料があげられる。前記試料は、例えば、生体試料があげられ、具体例としては、血液、リンパ液、脳脊髄液、精液、尿、鼻水、鼻腔ぬぐい液(スワブ)等である。前記生体は、特に制限されず、例えば、ヒト;ウシ、ブタ、ヒツジ、マウス、ラット、ウサギおよびウマ等の非ヒト哺乳類;鳥類;魚類等の動物の生体があげられる。
前記エマルション形成溶媒は、特に制限されず、その中に、前記試料を含む液滴を形成できるものであればよい。前記エマルション形成溶媒は、例えば、非水溶性溶媒であり、前記非水溶性溶媒中に、前記試料を含む水溶性の液滴が形成できる。
前記非水溶性溶媒は、例えば、油、ミネラルオイル、クロロホルム、芳香族化合物等があげられる。前記非水溶性溶媒は、例えば、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記液滴の形成においては、例えば、さらに、水溶性溶媒を共存させてもよい。前記水溶性溶媒は、例えば、水、緩衝液、水溶性高分子溶液等があげられる。前記水溶性溶媒は、例えば、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記液滴の形成においては、例えば、後述する増幅工程、検出工程、第分取工程において使用する各種試薬を共存させてもよい。これにより、前記各種試薬を含有する液滴が形成されるため、例えば、後述する各工程において、新たに前記各種試薬を添加することなく、各工程を実施できる。前記試薬に関しては、後述する。
前記形成する液滴の大きさは、特に制限されず、その平均体積は、下限が、例えば、4pL以上であり、上限が、例えば、10nL以下である。
前記液滴に含まれる細胞の個数は、特に制限されない。前記液滴1個に含まれる細胞数は、例えば、5個以下、2個以下、好ましくは1個である。
前記エマルション形成溶媒中における液滴の形成方法は、特に制限されず、前記エマルション形成溶媒と、前記試料とを接触させることで、前記エマルション形成溶媒中に、複数の液滴を形成できる。前記接触は、例えば、前記エマルション形成溶媒に、前記試料を接触させてもよいし、前記試料に、前記エマルション形成溶媒を接触させてもよい。前記液滴の形成方法は、例えば、公知のドロップレット作製方法が適用できる。
前記液滴の形成には、例えば、マイクロ流路を有するエマルション化デバイスを使用できる。前記デバイスは、前記マイクロ流路として、例えば、サンプル用流路と、エマルション形成溶媒用流路と、これらの連結部と、前記連結部から導出される導出流路とを含む。このデバイスを用いた場合、例えば、以下のように液滴が形成される。まず、前記連結部には、前記エマルション形成溶媒用流路から、前記エマルション形成溶媒が導入され、つぎに、前記エマルション形成溶媒が導入された前記連結部に向かって、前記サンプル用流路から、前記試料(例えば、任意で前記水溶性溶媒を含む)が導入される。そして、前記連結部において、前記エマルション形成溶媒と前記試料とが接触し、エマルション化され、前記連結部から前記導出流路に、エマルション(前記エマルション形成溶媒中に液滴が分散された状態)として導出される。なお、前記試料と前記水溶性溶媒とは、例えば、前述のように、予め混合した混合液として、前記デバイスの流路に導入してもよいし、別々に流路に導入してもよい。後者の場合、前記連結部の上流において、前記サンプル用流路と試薬用流路とを有し、前記連結部に向かって、前記サンプル用流路から前記試料が導入され、前記試薬用流路から前記水溶性溶媒や任意で前記各種試薬等が導入されてもよい。
前記増幅工程は、前述のように、前記エマルション形成工程で形成された液滴について、プライマーを用いて、前記細胞由来の核酸の核酸増幅を行う工程である。
前記増幅工程において、増幅させる核酸の種類は、特に制限されず、例えば、解析対象の細胞の種類に応じて適宜決定できる。
前記増幅工程において、前記核酸増幅の方法は、特に制限されず、PCR法等の公知の手法が採用できる。前記核酸増幅に使用する増幅用試薬は、特に制限されず、プライマーの他に、例えば、ポリメラーゼ、dNTP等があげられる。
前記増幅工程に使用するプライマーは、前述のように、核酸に対する相補配列と第1付加配列とを有する。前記相補配列は、前述のように、増幅させる核酸の配列に応じて、適宜決定できる。前記相補配列は、例えば、増幅させる核酸に対して、プライマーとしてアニーリングできればよく、その前記核酸に対する相補性の程度(%)は、特に制限されず、例えば、完全相補(100%)でもよく、部分相補でもよく、後者の場合は、例えば、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
前記第1付加配列は、特に制限されず、例えば、第1付加配列が、前記増幅対象である核酸にアニーリングして伸長が開始されることを防止する点から、前記核酸に対して非相補配列であることが好ましい。第1付加配列は、例えば、前記相補配列の3’末端側からの伸長を妨げないため、前記相補配列の5’側に結合している。
前記プライマーの全長、前記相補配列と前記第1付加配列の各長さは、特に制限されない。前記プライマーの全長は、例えば、20〜25merであり、前記相補配列の長さは、例えば、80〜300bpであり、前記第1付加配列の長さは、例えば、10〜20bpである。
前記増幅工程で使用する前記増幅用試薬は、例えば、予め前記液滴に含有させてもよいし、前記増幅工程時に前記液滴に添加してもよく、操作が容易であることから、前者が好ましい。前者の場合、例えば、前記エマルション形成工程において、前記増幅用試薬の存在下、液滴を形成し、前記核酸増幅工程において、前記液滴に含まれる前記増幅用試薬を用いて、増幅を行えばよい。また、後者の場合、例えば、前記エマルション形成工程において、前記増幅用試薬の非存在下、液滴を形成し、前記核酸増幅工程において、前記増幅用試薬を添加し、増幅を行えばよい。
前述のように、前記エマルション形成工程は、マイクロ流路を有するデバイスを用いて行えることから、前記増幅工程も、同様に、前記デバイスのマイクロ流路内で行うことが好ましい。この場合、前記デバイスは、例えば、前記導出流路の下流に連結された増幅流路を有し、前記増幅流路内で前記増幅を行うことができる。
前記検出工程は、前述のように、前記液滴における前記核酸の増幅産物の有無を検出する工程である。前記増幅の有無を検出する方法は、特に制限されず、例えば、前記増幅方法、使用した前記増幅用試薬の種類等に応じて、適宜設定できる。
前記増幅の有無を検出する方法は、特に制限されず、例えば、一般的な、インターカレータ法、プローブ法等があげられる。前記検出には、例えば、前記検出方法に応じて、インターカレータ、プローブ等の検出用試薬が使用できる。前記プローブの種類は、特に制限されず、例えば、TaqManプローブ等が使用できる。前記検出用試薬は、例えば、前記増幅用試薬と共存させてもよい。
前記検出工程で使用する前記検出用試薬は、例えば、予め前記液滴に含有させてもよいし、前記検出工程時に前記液滴に添加してもよく、操作が容易であることから、前者が好ましい。前者の場合、例えば、前記エマルション形成工程において、前記増幅用試薬および前記検出用試薬の存在下、液滴を形成し、前記核酸増幅工程において、前記液滴に含まれる前記増幅用試薬を用いて、増幅を行い、前記検出工程において、前記液滴に含まれる前記検出用試薬を用いて、前記増幅の有無を検出すればよい。また、後者の場合、例えば、前記エマルション形成工程において、前記増幅用試薬および前記検出用試薬の非存在下、液滴を形成し、前記液滴に、前記増幅用試薬および前記検出用試薬を添加し、前記核酸増幅工程において、増幅を行い、前記検出工程において、増幅の有無を検出すればよい。前記増幅用試薬と前記検出用試薬の添加の順序は、特に制限されず、例えば、前記増幅工程において、両者を添加してもよいし、前記増幅工程において前記増幅用試薬を添加し、前記検出工程において、前記検出用試薬を添加してもよい。
前述のように、前記エマルション形成工程および前記増幅工程は、マイクロ流路を有するデバイスを用いて行えることから、前記検出工程も、同様に、前記デバイスのマイクロ流路内で行うことが好ましい。この場合、前記デバイスは、例えば、前記増幅流路の下流に検出流路を有し、前記検出流路内で前記増幅を行うことができる。
本発明において、前記増幅工程と前記検出工程は、例えば、順番に行ってもよいが、同時に行うこともできる。後者の場合、例えば、前記増幅用試薬と前記検出用試薬の共存下で、前記増幅工程と前記検出工程とを行えばよい。また、前記マイクロ流路を有するデバイスを用いる場合、前記デバイスは、例えば、前記導出流路の下流に連結された増幅流路を有し、前記増幅流路内で前記増幅と前記検出とを行うことができる。
前記第1分取工程は、前述のように、前記核酸の増幅産物が検出された液滴を分取する工程である。
前述のように、前述の各工程は、マイクロ流路を有するデバイスを用いて行えることから、前記第1分取工程も、同様に、前記デバイスのマイクロ流路内で行うことが好ましい。この場合、前記デバイスは、例えば、前記検出流路の下流に、分岐する一対の流路を有し、一方の流路が、増幅が検出された液滴の流路(第1分取流路)であり、他方の流路が、増幅が検出されなかった液滴の流路である。前記デバイスによれば、例えば、前記検出流路において、各液滴の増幅の有無を検出し、前記増幅の有無に応じて、各液滴を前記流路の分配することで、増幅が検出された液滴を分取することができる。前記分取の方法は、特に制限されず、例えば、セルソーティングにおける従来公知の方法を採用できる。
前記増幅産物除去工程は、前述のように、前記分取した液滴における増幅産物を、担体に第2付加配列が固相化された固相化担体により、前記液滴から除去する工程である。ここで、前記固相化担体における第2付加配列は、前記プライマーにおける前記第1付加配列および前記第1付加配列に対する相補配列の少なくとも一方である。このため、前記液滴中の前記増幅産物と前記固相化担体とを接触させることで、前記固相化担体に前記増幅産物を結合させ、さらに、前記液滴から前記固相化担体を分離することで、前記液滴から前記増幅産物を除去することができる。
前記固相化担体における担体は、特に制限されず、例えば、磁性担体である。前記担体の形状は、特に制限されず、例えば、ビーズがあげられる。前記磁性担体の具体例としては、マグネットビーズ、永久磁石、電磁石等があげられる。前記固相化担体が固相化磁性担体の場合、例えば、磁場により、前記液滴から前記増幅産物が結合した固相化担体を分離することで、前記液滴から前記増幅産物を除去できる。
前記固相化担体における第2付加配列は、前記プライマーによる増幅産物に結合できればよく、例えば、前記プライマーにおける前記第1付加配列と同じ配列でもよいし、前記第1付加配列に対する相補配列でもよい。前記固相化担体は、例えば、前者の配列(第1付加配列と同じ配列)を有する固相化担体でもよいし、後者の配列(第1付加配列に対する相補配列)を有する固相化担体でもよいし、前記両者を併用してもよい。
前記増幅産物除去工程で使用する前記固定化担体は、例えば、予め前記液滴に含有させてもよいし、前記液滴に添加してもよく、操作が容易であることから、前者が好ましい。前者の場合、例えば、前記エマルション形成工程において、前記増幅用試薬、前記固定化担体、および任意で前記検出用試薬の存在下、液滴を形成し、前記核酸増幅工程において、前記液滴に含まれる前記増幅用試薬を用いて、増幅を行い、前記検出工程において、前記液滴に含まれる前記検出用試薬を用いて、前記増幅の有無を検出し、前記増幅産物除去工程において、前記固定化担体を用いて、前記増幅産物を除去すればよい。また、後者の場合、例えば、前記エマルション形成工程において、前記増幅用試薬、前記固定化担体、および任意で前記検出用試薬の非存在下、液滴を形成し、前記液滴に、前記増幅用試薬、前記固定化担体、および任意で前記検出用試薬を添加し、前記核酸増幅工程において、増幅を行い、前記検出工程において、増幅の有無を検出し、前記増幅産物除去工程において、前記増幅産物を除去すればよい。前記増幅用試薬、前記固定化担体および前記検出用試薬の添加の順序は、特に制限されず、例えば、前記増幅工程において、全てを添加してもよいし、各工程において、それぞれを添加してもよい。
前述のように、前述の工程は、マイクロ流路を有するデバイスを用いて行えることから、前記増幅産物除去工程も、同様に、前記デバイスのマイクロ流路内で行うことが好ましい。この場合、前記デバイスは、例えば、前記分岐した一対の流路のうち、増幅が検出された液滴の流路(第1分取流路)の下流に増幅産物除去流路を有し、前記増幅産物除去流路内で前記増幅産物の除去を行うことができる。
前記固相化担体を用いて、前記増幅産物除去流路内で、前記液滴から前記増幅産物を除去する方法は、特に制限されない。具体例として、図1を用いて、前記固相化担体として前記固相化磁性ビーズを使用する例をあげて説明するが、本発明は、以下の説明には何ら制限されない。
図1は、前記マイクロ流路の一部である前記増幅産物除去流路内で、前記液滴から増幅産物を除去する工程を示す概略図であり、前記マイクロ流路を上から見た平面図である。図1において、矢印Xは、液滴の流れる方法を示す。図1に示すように、前記デバイスのマイクロ流路は、第1分取流路10の下流に、増幅産物除去流路11が連結されている。増幅産物除去流路11は、第1分取流路10の幅よりも広い幅の磁場発生領域11aと、第1分取流路10と同等の幅の液滴回収領域11bとを有する。磁場発生領域11aには、外部からの磁場が発生している。磁場は、例えば、液滴回収領域11bの外部に磁石を配置することで発生させることができる。
図1に示すように、増幅産物(図示せず)と固相化磁性ビーズ30とを含む液滴20は、エマルションとして、第1分取流路10から増幅産物除去流路11に導入される。増幅産物除去流路11の磁場発生領域11aには、磁場が発生しているため、液滴20に含まれる固相化磁性ビーズ30は、磁場に引っ張られ、磁場により捕捉され、液滴20から除かれる。そして、固相化磁性ビーズ30が除去された液滴20’は、増幅産物除去流路11の液滴回収領域11bに流れていく。
磁場によって固定化磁性ビーズ30を効果的に捕捉するには、増幅産物除去流路11に導入する際のエマルションの流速を相対的に遅くし、増幅産物除去流路11を通過する際のエマルションの流速を相対的にさらに遅くすることが好ましい。流速は、例えば、増幅産物除去流路11に導入する前の流速を、例えば、1μm/minとした場合、増幅産物除去流路11に導入する際のエマルションの流速は、例えば、1〜10μm/minであり、増幅産物除去流路11を通過する際のエマルションの流速は、例えば、0.1〜1μm/minである。
前記第2分取工程は、前述のように、前記増幅産物除去工程により前記増幅産物が除去された液滴を、解析用液滴として分取する工程である。前記分取した解析用液滴は、例えば、後述するに、ゲノム解析等の解析に適用することができる。
前述のように、前記デバイスを用いて前記増幅産物除去工程までを行った場合には、例えば、前記デバイスから、前記液滴を導出させ、別の容器(マイクロチューブ等)に回収することで単離できる。
本発明は、例えば、前記エマルション形成工程の後、前記核酸増幅工程の前、または前記核酸増幅工程と同時に、前記エマルション内の前記液滴に含まれる細胞について、核酸等の細胞内成分を放出する処理を行う。前記細胞内成分の放出は、特に制限されず、例えば、一般的な細胞溶解試薬を用いることができる。前記細胞溶解試薬は、例えば、前記エマルション工程の後、前記エマルション内の前記液滴に添加してもよいし、前記エマルション形成工程において、前記試料と前記エマルション形成溶媒とに接触させることで、前記エマルション形成溶媒中の液滴に含有させてもよい。前記試薬としては、例えば、界面活性剤と、塩と、溶媒とを含む溶液があげられる。前記界面活性剤としては、例えば、デオキシコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤等があげられ、前記塩としては、例えば、塩化ナトリウム等があげられ、前記溶媒としては、各種緩衝液があげられる。前記試薬の組成の具体例としては、例えば、50mmol/l Tris−HCl、150mmol/l NaCl、0.5w/v%デオキシコール酸ナトリウム、0.1w/v%ラウリル硫酸ナトリウム、および1.0w/v% NIP−40が例示できる。前記細胞溶解試薬を前記液滴に含有させることによって、例えば、前記液滴中で、前記細胞から、核酸等の細胞内成分を放出させることができる。前記液滴中で前記細胞から前記細胞内成分を放出させる際、その処理条件は、特に制限されない。
本発明は、さらに、解析工程を含んでもよい。前記解析工程は、例えば、前記解析用液滴について解析を行う工程である。前記解析については、後述する。
(細胞由来の解析用液滴の解析方法)
本発明の解析方法は、前述のように、細胞の解析方法であり、
試料中の細胞由来の解析用液滴の単離工程と、解析工程とを含み、
前記単離工程は、
細胞を含む試料から、前記本発明の単離方法により、前記細胞由来の解析用液滴を単離する工程であり、
前記解析工程は、
前記単離された解析用液滴について、解析を行う工程であることを特徴とする。
本発明の解析方法は、本発明の単離方法によって解析用液滴を単離することがポイントであり、その他の工程や条件は、特に制限されない。本発明の解析方法において、前記単離工程の単離方法は、前記本発明の解析用液滴の単離方法の記載を援用できる。
本発明の解析方法における前記解析用液滴は、前述のように、前記液滴中の細胞の有無を確認するための核酸増幅により得られた増幅産物が除去されている。このため、前記解析用液滴を用いて、例えば、ゲノム解析を行う場合、従来のような増幅産物による影響を回避することができ、より信頼性に優れる解析結果を得ることができる。
本発明の解析方法は、例えば、さらに、増幅工程を含んでもよい。前記増幅工程は、例えば、前記単離した解析用液滴について、前記細胞由来のゲノムを増幅させる工程であり、前記解析工程では、前記解析用液滴に含まれる前記ゲノムの増幅産物について、ゲノム解析を行うことができる。
前記解析工程において、解析の種類は、特に制限されず、目的に応じて適宜決定できる。前記解析がゲノム解析の場合、例えば、公知の方法があげられ、具体例としては、FISH、G−Band、NGS等である。
以上、実施形態および実施例を参照して、本発明を説明したが、本発明は、上記発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、本明細書で引用する特許文献および学術文献等の文献に記載の内容は、全て引用により本明細書に取り込むものとする。
本発明によれば、液滴分取のために、液滴中の細胞の有無を確認すべく、核酸増幅を行うが、得られた増幅産物は、前記液滴から除去できる。このように、前記液滴から、前記液滴分取のための増幅産物は除去されているため、例えば、前記解析用液滴を用いてゲノム解析を行う場合、前述のような、前記増幅産物の影響を回避することができ、より精度に優れたゲノム解析が可能となる。
10 第1分取流路
11 増幅産物除去流路
20 液滴
30 固相化磁性ビーズ

Claims (12)

  1. エマルション形成工程と、核酸増幅工程と、検出工程と、第1分取工程と、増幅産物除去工程と、第2分取工程とを含み、
    前記エマルション形成工程は、
    細胞を含む試料と、エマルション形成溶媒とを接触させて、前記エマルション形成溶媒中に、前記試料中の細胞を含む複数の液滴を形成する工程であり、
    前記核酸増幅工程は、
    前記液滴について、プライマーを用いて、前記細胞由来の核酸の核酸増幅を行う工程であり、
    前記プライマーは、前記核酸に対する相補配列と第1付加配列とを有し、
    前記検出工程は、
    前記液滴における前記核酸の増幅産物の有無を検出する工程であり、
    前記第1分取工程は、
    前記核酸の増幅産物が検出された液滴を分取する工程であり、
    前記増幅産物除去工程は、
    前記分取した液滴における増幅産物を、担体に第2付加配列が固相化された固相化担体により、前記液滴から除去する工程であり、
    前記固相化担体における第2付加配列は、前記プライマーにおける前記第1付加配列および前記第1付加配列に対する相補配列の少なくとも一方であり、
    前記液滴中の前記増幅産物と前記固相化担体とを接触させて、前記固相化担体に前記増幅産物を結合させ、前記液滴から前記固相化担体を分離することで、前記液滴から前記増幅産物を除去し、
    前記第2分取工程は、
    前記増幅産物除去工程により前記増幅産物が除去された液滴を、解析用液滴として分取する工程であることを特徴とする解析用液滴の単離方法。
  2. 前記固相化担体における担体が、磁性担体であり、
    前記第1分取工程において、磁場により、前記液滴から前記増幅産物が結合した固相化担体を分離する、請求項1記載の解析用液滴の単離方法。
  3. 前記磁性担体が、磁性ビーズである、請求項2記載の解析用液滴の単離方法。
  4. 前記エマルション形成工程において、前記プライマーを含む増幅用試薬および前記固相化担体の存在下、液滴を形成し、
    前記核酸増幅工程において、前記液滴に含まれる前記増幅用試薬を用いて、前記ターゲットゲノムの増幅を行い、
    前記第2分取工程において、前記液滴に含まれる前記固相化担体を用いて、前記核酸増幅物の除去を行う、請求項1から3のいずれか一項に記載の解析用液滴の単離方法。
  5. 前記エマルション形成工程において、前記プライマーを含む増幅用試薬および前記固相化担体の非存在下、液滴を形成し、
    前記エマルション形成工程後、前記液滴に、前記増幅用試薬および前記固相化担体を添加する、請求項1から3のいずれか一項に記載の解析用液滴の単離方法。
  6. 前記プライマーを含む増幅用試薬に、前記増幅の検出のための検出試薬を共存させ、
    前記検出試薬が、インターカレータまたはプローブを含む、請求項4または5記載の解析用液滴の単離方法。
  7. さらに、解析工程を含み、
    前記解析工程は、前記第2分取工程で分取した前記解析用液滴を用いて、前記液滴に含まれる細胞由来のゲノムを解析する工程である、請求項1から6のいずれか一項に記載の解析用液滴の単離方法。
  8. 前記エマルション工程において、
    前記エマルション形成溶媒は、非水溶性溶媒を含み、
    前記非水溶性溶媒中に、前記複数の液滴が形成され、
    前記複数の液滴は、前記試料を含む水溶性の液滴である、請求項1から7のいずれか一項に記載の解析用液滴の単離方法。
  9. 流路を有するデバイスを使用し、
    前記流路内で、前記エマルション形成工程、前記増幅工程、前記検出工程、前記第1分取工程、および前記増幅産物除去工程を行う、請求項1から8のいずれか一項に記載の解析用液滴の単離方法。
  10. 前記流路内で、さらに、前記第2分取工程を行う、請求項9記載の解析用液滴の単離方法。
  11. 試料中の細胞由来の解析用液滴の単離工程と、解析工程とを含み、
    前記単離工程は、
    細胞を含む試料から、請求項1から10のいずれか一項に記載の単離方法により、前記細胞由来の解析用液滴を単離する工程であり、
    前記解析工程は、
    前記単離された解析用液滴について、解析を行う工程であることを特徴とする細胞の解析方法。
  12. さらに、増幅工程を含み、
    前記増幅工程は、前記単離した解析用液滴について、前記細胞由来のゲノムを増幅させる工程であり、
    前記解析工程は、前記解析用液滴に含まれる前記ゲノムの増幅産物について、ゲノム解析を行う、請求項11記載の細胞の解析方法。


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