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JP2018182202A - コイル部品 - Google Patents

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JP2018182202A
JP2018182202A JP2017083123A JP2017083123A JP2018182202A JP 2018182202 A JP2018182202 A JP 2018182202A JP 2017083123 A JP2017083123 A JP 2017083123A JP 2017083123 A JP2017083123 A JP 2017083123A JP 2018182202 A JP2018182202 A JP 2018182202A
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拓也 石田
Takuya Ishida
拓也 石田
剛太 篠原
Gota SHINOHARA
剛太 篠原
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

【課題】高絶縁性および高透磁率の磁性体部を有するコイル部品を提供する。【解決手段】金属粒子および樹脂材料を含んで成る磁性体外装9と、磁性体外装9に埋設されたコイル導体3と、コイル導体3に電気的に接続された外部電極4、5とを有して成るコイル部品であって、前記金属粒子が、アモルファスの金属粒子および結晶質の金属粒子を含む混合物であり、前記アモルファスの金属粒子を覆う絶縁材料と、前記結晶質の金属粒子を覆う絶縁材料が異なる。【選択図】図2

Description

本発明は、コイル部品、具体的には磁性体部と、該磁性体部に埋設されたコイル導体と、該磁性体部の外部に設けられた外部電極を有して成るコイル部品に関する。
磁性体部にコイル導体が埋設されているコイル部品として、磁性体部に、金属粒子および樹脂材料を含むコンポジット材料を用いたコイル部品が知られている(特許文献1)。
特開2016−201466号公報
上記のような磁性体部に金属粒子および樹脂材料を含むコンポジット材料を用いたコイル部品は、金属粒子および樹脂材料を含むコンポジット材料のシートを準備し、その上にコイルを配置し、さらにコイルの上から別のコンポジット材料のシートを覆い被せて、圧縮成形することにより製造される。ここで、コイル部品の磁性体部には、高い絶縁性と高い透磁率の両立が求められる。高い絶縁性と高い透磁率の両立を図るために、金属材料としてアモルファスの金属粒子と結晶質の金属粒子の混合物を用い、さらに、金属粒子を絶縁性材料で被覆することが考えられる。しかしながら、上記のような金属粒子の混合物を用いて上記のようなコイル部品を製造する場合には、圧縮成形の際の圧力が高いと、強度が低い結晶質の金属粒子が砕けて絶縁材料の被膜の内部にあった金属粒子が外部に露出することにより、磁性体部の絶縁性が低下する虞がある。
本発明の目的は、アモルファスの金属粒子と結晶質の金属粒子の混合物および樹脂材料を含んで成る磁性体部にコイル導体が埋設されたコイル部品であって、高絶縁性および高透磁率の磁性体部を有するコイル部品を提供することにある。
本発明者は、上記の問題を解決すべく鋭意検討した結果、アモルファスの金属粒子を覆う絶縁材料と、結晶質の金属粒子を覆う絶縁材料とを、異なる絶縁材料とすることにより、高絶縁性および高透磁率の磁性体部を有するコイル部品を提供できることを見出した。
本発明の要旨によれば、
金属粒子および樹脂材料を含んで成る磁性体部と、
前記磁性体部に埋設されたコイル導体と、
前記コイル導体に電気的に接続された外部電極と、
を有して成るコイル部品であって、
前記金属粒子が、アモルファスの金属粒子および結晶質の金属粒子を含む混合物であり、
前記アモルファスの金属粒子を覆う絶縁材料と、前記結晶質の金属粒子を覆う絶縁材料が異なる、
コイル部品が提供される。
本発明によれば、アモルファスの金属粒子と結晶質の金属粒子との混合物および樹脂材料を含んで成る磁性体部と、前記磁性体部に埋設されたコイル導体と、前記コイル導体に電気的に接続された外部電極とを有して成るコイル部品において、アモルファスの金属粒子と、結晶質の金属粒子とを、異なる絶縁材料で被覆することにより、高絶縁性および高透磁率の磁性体部を得ることができる。
図1は、本発明のコイル部品の一実施形態を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1のコイル部品のx−xに沿った切断面を示す断面図である。 図3は、図1のコイル部品のコイル導体3が埋設された磁性体部2の斜視図である。 図4は、図1のコイル部品のコイル導体3が配置された磁性体ベース8の平面図である。 図5は、図1のコイル部品の磁性体ベース8の斜視図である。 図6は、図5の磁性体ベース8のy−yに沿った切断面を示す断面図である。 図7は、図5の磁性体ベース8の平面図である。 図8は、別の態様における磁性体ベースの断面図である。 図9は、別の態様における磁性体ベースの断面図である。 図10は、図1のコイル部品のコイル導体3が配置された磁性体ベース8の断面図である。 図11は、実施例における金属粒子の充填率を算出するための測定箇所を説明するための図である。 図12は、比較例1のコイル部品を模式的に示す斜視図である。 図13は、比較例1における金属粒子の充填率を算出するための測定箇所を説明するための図である。
以下、本発明のコイル部品について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本実施形態のコイル部品および各構成要素の形状および配置等は、図示する例に限定されない。
本実施形態のコイル部品1の斜視図を図1に、断面図を図2に模式的に示す。コイル部品1のコイル導体3が埋設された磁性体部2の斜視図を図3に模式的に示す。さらに、コイル部品1のコイル導体3が配置された磁性体ベース8の平面図を図4に模式的に示す。但し、下記実施形態のコンデンサおよび各構成要素の形状および配置等は、図示する例に限定されない。
図1および図2に示されるように、本実施形態のコイル部品1は、略直方体形状を有している。コイル部品1において、図2の図面左右側の面を「端面」と称し、図面上側の面を「上面」と称し、図面下側の面を「底面」と称し、図面手前側の面を「前面」と称し、図面奧側の面を「背面」と称する。コイル部品1は、概略的には、磁性体部2と、そこに埋設されたコイル導体3と、一対の外部電極4,5とを有してなる。図2および図3に示されるように、磁性体部2は、磁性体ベース8および磁性体外装9から構成される。磁性体部2、磁性体ベース8および磁性体外装9において、図2の図面左右側の面を「端面」と称し、図面上側の面を「上面」と称し、図面下側の面を「底面」と称し、図面手前側の面を「前面」と称し、図面奧側の面を「背面」と称する。図2〜図4に示されるように、磁性体ベース8はその上面に凸部11を有している。磁性体ベース8は、前面、底面および背面に、両端面に接するように溝14,15を有している。磁性体ベース8上に、コイル導体3が、磁性体ベース8の凸部11が巻芯部に位置するように配置されている。コイル導体3の引き出し部24,25は、磁性体ベース8の背面および底面の溝14,15に沿って、磁性体ベース8の上面から背面を通って底面に引き出されている。コイル導体3の末端12,13は、磁性体ベース8の前面、または前面付近まで引き出されている。磁性体ベース8上に、磁性体外装9が、コイル導体3を覆うように設けられている。コイル導体3の引き出し部24,25の一部である端末部26,27は、磁性体部2の底面において露出している。さらに、外部電極4,5が、磁性体部2の底面に設けられ、コイル導体3の上記端末部26,27に、それぞれ電気的に接続されている。また、コイル部品1は、外部電極4,5を除いて、保護層6により覆われている。
本明細書において、コイル部品1の長さを「L」、幅を「W」、厚み(高さ)を「T」と称する(図1を参照)。本明細書において、前面および背面に並行な面を「LT面」、端面に並行な面を「WT面」、上面および底面に並行な面を「LW面」と称する。
上記したように、上記磁性体部2は、磁性体ベース8および磁性体外装9から構成される。尚、本実施形態において、磁性体部は、磁性体ベースおよび磁性体外装の2つの部分により構成されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、磁性体シートの間にコイル導体を挟み込んで圧縮成形することにより得られる磁性体部であってもよい。
図5〜図7に示されるように、上記磁性体ベース8は、ベース部16と、ベース部16上に形成された凸部11を有して成る。ベース部16と凸部11は一体に形成されている。ベース部16は、両端部(図6における左右の領域)に、前面17、底面19および背面18にわたって溝14,15を有する。また、ベース部16の上面20は、縁部が中央部よりも高く、即ち、かかる上面において凸部11の縁が存在する箇所よりも両端の縁部分が上方(図6の上側)に位置する。
上記したように、磁性体ベース8において、ベース部16の上面20は、凸部11の縁が存在する箇所よりも少なくとも一部の縁部分が上方に位置する。即ち、図6におけるt1よりもt2の方が大きい。上記上方に位置する縁部分は、両端面の縁部分であってもよく、前面および背面の縁部分であってもよい。好ましくは、縁部分の全体が、凸部11の縁が存在する箇所よりも上方に位置する。このようにベース部16の中央部よりも縁部を高くすることにより、コイル導体3の位置決めが容易になる。また、縁部の位置を高くすることにより、そこにコイル導体を配置した場合に、底面に存在する導体とコイル導体との距離が大きくなるので、信頼性が向上する。ベース部16の上面20の位置は、凸部11の縁からベース部16の縁まで、直線的に上がってもよく、曲線的に上がっていてもよい。即ち、ベース部16の上面20は、平面であってもよく、湾曲していてもよい。好ましくは、ベース部16の上面20の位置は、凸部11の縁からベース部16の縁まで、直線的に上がっている。
尚、本発明において、ベース部16の上面20において、凸部11の縁が存在する箇所よりも縁部分が上方に位置することが好ましいが、これに限定されない。例えば、ベース部16の上面20において、凸部11の縁が存在する箇所と縁部分の高さが同じ(即ち上記t1とt2が同じ)であってもよく(図9)、凸部11の縁が存在する箇所よりも縁部分が下方に位置してもよい(即ち上記t2よりもt1が大きくてもよい)。
一の態様において、上記t2とt1の差(t2−t1)は、好ましくは0.10mm以上0.30mm以下、より好ましくは0.15mm以上0.25mm以下であり得る。
上記したように、磁性体ベース8において、ベース部16は、溝14,15を有する。溝14,15は、それぞれ、コイル導体3の引き出し部24,25をガイドする役割を有する。
上記溝の深さは、特に限定されないが、コイル導体3を構成する導体の厚み以下であることが好ましく、例えば、好ましくは0.05mm以上0.20mm以下、例えば0.10mm以上0.15mm以下であり得る。
上記溝の幅は、好ましくはコイル導体3を構成する導体の幅以上であり、より好ましくはコイル導体3を構成する導体の幅よりも大きい。
尚、本発明において、磁性体ベースは、必ずしも溝を有している必要はない。
上記したように、磁性体ベース8において、凸部11は円筒形である。かかる態様において凸部11の径は、好ましくは0.1mm以上2.0mm以下、より好ましくは0.5mm以上1.0mm以下であり得る。
尚、磁性体ベース8の上面側から見た凸部の形状は特に限定されず、円形、楕円形、三角形、四角形等の多角形であってもよい。好ましくは、コイル導体の巻芯部の断面形状と同様の形状であり得る。
上記凸部11の高さは、好ましくはコイル導体の巻芯部の長さ以上であり、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり得る。凸部11の高さは、好ましくは1.5mm以下、より好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.5mm以下であり得る。ここに、「凸部の高さ」とは、凸部が接するベース部の上面から凸部の頂部までの高さを意味し、「巻芯部の長さ」とは、巻芯部のコイルの中心軸に沿った長さを意味する。
尚、本発明において、磁性体ベースは、凸部を有する構造であれば特に限定されない。
好ましい態様において、図8に示されるように、磁性体ベースは、その底面の凸部に対向する箇所の少なくとも一部に、凹部21を有していてもよい。このように凹部21を凸部11に対向する磁性体ベースの底面の少なくとも一部に設けることにより、圧縮成形により凸部11の金属粒子の充填率をより大きくすることができる。
磁性体ベース8の底面側から見た凹部21の形状は、特に限定されず、円形、楕円形、三角形、四角形等の多角形、帯状であってもよい。
一の態様において、上記凹部21は、外部電極4,5間に、好ましくは外部電極4,5間全体に存在する。外部電極4,5間に凹部を設けることにより、外部電極4,5間の経路長(磁性体表面に沿った距離)が大きくなり、両外部電極間の電気的な絶縁性を高めることができ、信頼性が高くなる。さらに、凹部21を外部電極4,5間の全体に設けることにより、基板等に実装した際に、基板等と磁性体部の底面との最小距離を大きくすることができることから、信頼性が高くなる。また、保護層を凹部に収容することができるので、凹部を形成しない場合と比較して、コイル部品の厚みを小さくすることができる。
一の態様において、上記凹部21は、磁性体ベースの底面の凸部11に対向する部分全体に設けられる。このように凹部21を磁性体ベースの底面の凸部11に対向する部分全体に設けることにより、圧縮成形により凸部11の金属粒子の充填率をより大きくすることができる。
上記凹部21の深さは、特に限定されないが、好ましくは0.01mm以上0.08mm以下、より好ましくは0.02mm以上0.05mm以下であり得る。ここに、「凹部の深さ」とは、最も深い箇所の深さを意味する。
上記凹部21の幅(L方向の幅)は、特に限定されないが、好ましくは0.3mm以上0.8mm以下、より好ましくは0.4mm以上0.7mm以下であり得る。ここに、「凹部の幅」とは、最も広い箇所の幅を意味する。
上記凹部21の壁面22と底面23のなす角は、好ましくは90°以上、より好ましくは100°以上であり、さらに好ましくは110°以上であり得る。凹部21の壁面22と底面23のなす角は、好ましくは130°以下、より好ましくは120°以下であり得る。
上記磁性体外装9は、磁性体ベース8の上面および該上面に位置するコイル導体3、磁性体ベース8の背面および該背面上に位置するコイル導体3の引き出し部24,25、および磁性体ベース8の両端面を覆うように設けられる。即ち、本実施形態においては、磁性体ベース8の前面、磁性体ベース8の底面および該底面上に位置するコイル導体3の端末部26,27は、磁性体外装9から露出している。
一の態様において、磁性体外装9は、磁性体ベース8の少なくとも一の側面以外、即ち3つの側面を覆っている。尚、側面とは、前面、背面および両端面の4つの面を総称する。即ち、磁性体ベース8の少なくとも一の側面は、磁性体外装9から露出している。
一の態様において、磁性体外装9は、磁性体ベース8の側面上に存在するコイル導体の引き出し部を覆っている。
尚、本発明において、磁性体外装は、コイル導体3の巻線部を覆っている限り、その形状は特に限定されない。
上記磁性体部2は、金属粒子および樹脂材料を含むコンポジット材料から構成される。
上記樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。樹脂材料は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
上記金属粒子を構成する金属材料としては、特に限定されないが、例えば、鉄、コバルト、ニッケルもしくはガドリニウム、またはこれらの1種または2種以上を含む合金が挙げられる。好ましくは、上記金属材料は、鉄または鉄合金である。鉄は、鉄そのものであってもよく、鉄誘導体、例えば錯体であってもよい。かかる鉄誘導体としては、特に限定されないが、鉄とCOの錯体であるカルボニル鉄、好ましくはペンタカルボニル鉄が挙げられる。鉄合金としては、特に限定されないが、例えば、Fe−Si系合金、Fe−Si−Cr系合金、Fe−Si−Al系合金等が挙げられる。上記合金は、さらに、他の副成分としてB、C等を含んでいてもよい。副成分の含有量は、特に限定されないが、例えば0.1wt%以上5.0wt%以下、好ましくは0.5wt%以上3.0wt%以下であり得る。上記金属材料は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。また、磁性体ベース8における金属材料と、磁性体外装9における金属材料は、同じであっても、異なっていてもよい。
一の態様において、上記金属粒子は、磁性体ベース8および磁性体外装9のそれぞれにおいて独立して、好ましくは0.5μm以上10μm以下、より好ましくは1μm以上5μm以下、さらに好ましくは1μm以上3μm以下の平均粒径を有する。上記金属粒子の平均粒径を0.5μm以上とすることにより、金属粒子の取り扱いが容易になる。また、上記金属粒子の平均粒径を、10μm以下とすることにより、金属粒子の充填率をより大きくすることが可能になり、磁性体部の磁気的特性が向上する。好ましい態様において、上記金属粒子は、磁性体ベースおよび磁性体外装において同じ平均粒径を有し得る。換言すれば、磁性体部2に含まれる金属粒子は、全体として、好ましくは0.5μm以上10μm以下、より好ましくは1μm以上5μm以下、さらに好ましくは1μm以上3μm以下の平均粒径を有する。尚、金属粒子の粒度分布において、ピークは1つであってもよく、2つ以上であってもよく、あるいは2つ以上のピークが重なったものであってもよい。
ここに、上記平均粒径とは、磁性体部の断面のSEM(走査型電子顕微鏡)画像における金属粒子の円相当径の平均を意味する。例えば、上記平均粒径は、コイル部品1を切断して得られた断面について、複数箇所(例えば5箇所)の領域(例えば130μm×100μm)をSEMで撮影し、このSEM画像を画像解析ソフト(例えば、旭化成エンジニアリング株式会社製、A像くん(登録商標))用いて解析して、500個以上の金属粒子について円相当径を求め、その平均を算出することにより得ることができる。
好ましい態様において、上記金属粒子は、好ましくは50%以上90%以下、より好ましくは70%以上90%以下のCV値を有する。このようなCV値を有する金属粒子は、比較的ブロードな粒度分布を有し、相対的に小さい粒子が、相対的に大きい粒子の間に入ることができるので、磁性体部における金属粒子の充填率がより高くなる。その結果、磁性体部の透磁率をより高くすることができる。
ここに、上記CV値とは、下記式により算出される値である。
CV値(%)=(σ/Ave)×100
(式中:
Aveは、平均粒径であり
σは、粒径の標準偏差である。)
好ましい態様において、上記金属粒子は、磁性体ベース8および磁性体外装9のそれぞれにおいて独立して、好ましくは0.5μm以上10μm以下、より好ましくは1μm以上5μm以下、さらに好ましくは1μm以上3μm以下の平均粒径を有し、かつ、好ましくは50%以上90%以下、より好ましくは70%以上90%以下のCV値を有する。さらに好ましい態様において、上記金属粒子は、磁性体ベースおよび磁性体外装において同じ平均粒径を有し得る。
上記金属粒子は、結晶質の金属(あるいは合金)の粒子およびアモルファスの金属(あるいは合金)の粒子の混合物である。かかる混合物は、さらにナノ結晶構造の金属(あるいは合金)の粒子を含んでいてもよい。尚、ここに、ナノ結晶構造とは、アモルファスに微小な結晶を析出させた構造を意味する。
上記結晶質粒子およびアモルファス粒子の混合物において、結晶質粒子とアモルファス粒子の混合比(結晶質粒子:アモルファス粒子(質量比))は、特に限定されないが、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは10:90〜60:40、さらに好ましくは15:85〜60:40であり得る。
好ましい態様において、上記結晶質の金属粒子は鉄であり得る。上記アモルファスの金属粒子は、鉄合金、例えば、Fe−Si系合金、Fe−Si−Cr系合金またはFe−Si−Al系合金であり、好ましくはFe−Si−Cr系合金であり得る。より好ましい態様において、上記結晶質の金属粒子は鉄であり、かつ、上記アモルファスの金属粒子は、鉄合金、例えば、Fe−Si系合金、Fe−Si−Cr系合金またはFe−Si−Al系合金であり、好ましくはFe−Si−Cr系合金であり得る。
好ましい態様において、上記アモルファスの金属粒子は、好ましくは20μm以上50μm以下、より好ましくは20μm以上40μm以下の平均粒径を有する。好ましい態様において、上記結晶質の金属粒子は、好ましくは1μm以上5μm以下、より好ましくは1μm以上3μm以下の平均粒径を有する。より好ましい態様において、上記アモルファスの金属粒子は、20μm以上50μm以下、好ましくは20μm以上40μm以下の平均粒径を有し、上記結晶質の金属粒子は1μm以上5μm以下、好ましくは1μm以上3μm以下の平均粒径を有する。好ましい態様において、上記アモルファスの金属粒子は、上記結晶質の金属粒子よりも大きい平均粒径を有する。アモルファスの金属粒子の平均粒径を、結晶質の金属粒子の平均粒径よりも大きくすることにより、アモルファス粒子の透磁率への寄与を相対的に大きくすることができる。
好ましい態様において、Fe−Si−Cr系合金を用いる場合、Fe−Si−Cr系合金におけるSiの含有量は1.5wt%以上14.0wt%以下、例えば3.0wt%以上10.0wt%以下であり、Crの含有量は、0.5wt%以上6.0wt%以下、例えば1.0wt%以上3.0wt%以下であることが好ましい。特にCrの含有量を上記の量とすることにより、電気特性の低下を抑えつつ、金属粒子の表面に不動態層が形成され、金属粒子の過剰な酸化が抑制することができる。
上記金属粒子の表面は、絶縁材料の被膜(以下、単に「絶縁被膜」ともいう)により覆われていてもよい。金属粒子の表面を絶縁被膜により覆うことにより、磁性体部の内部の比抵抗を高くすることができる。
上記金属粒子の表面は、粒子間の絶縁性を高めることができる程度に絶縁被膜に覆われていればよく、金属粒子の表面の一部だけ絶縁被膜に覆われていてもよい。また、絶縁被膜の形状は、特に限定されず、網目状であっても、層状であってもよい。好ましい態様において、上記金属粒子は、その表面の30%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは100%の領域が絶縁被膜により覆われていてもよい。
本発明において、上記アモルファスの金属粒子の絶縁被膜と、結晶質の金属粒子の絶縁被膜は、異なる絶縁材料から形成される絶縁材料から形成される絶縁被膜である。ケイ素を含む絶縁材料による絶縁被膜は強度が高いので、金属粒子をケイ素を含む絶縁材料で被覆することにより、金属粒子の強度を高めることができる。
一の態様において、上記結晶質の金属粒子の表面は、Siを含んだ絶縁材料により覆われていてもよい。Siを含んだ絶縁材料としては、例えば、ケイ素系化合物、例えばSiO(xは1.5以上2.5以下、代表的にはSiO)が挙げられる。ケイ素を含む絶縁材料による絶縁被膜は強度が高いので、金属粒子をケイ素を含む絶縁材料で被覆することにより、金属粒子の強度を高めることができる。
一の態様において、上記アモルファスの金属粒子の表面は、リン酸またはリン酸残基(具体的にはP=O基)を含んだ絶縁材料により覆われていてもよい。
上記リン酸としては、特に限定されないが、(RO)P(=O)(OH)または(RO)P(=O)OHで表される有機リン酸が挙げられる。式中、Rは、それぞれ独立して、炭化水素基である。Rは、鎖長が、好ましくは5原子以上、より好ましくは10原子以上、さらに好ましくは20原子以上の基であることが好ましい。Rの鎖長は、好ましくは200原子以下、より好ましくは100原子以下、さらに好ましくは50原子以下の基であることが好ましい。
上記炭化水素基は、好ましくは、置換されていてもよい、アルキルエーテル基またはフェニルエーテル基である。置換基としては、例えば、アルキル基、フェニル基、ポリオキシアルキレン基、ポリオキシアルキレンスチリル基、ポリオキシアルキレンアルキル基、不飽和ポリオキシエチレンアルキル基等が挙げられる。
上記有機リン酸は、リン酸塩の形態であってもよい。かかるリン酸塩におけるカチオンとしては、特に限定されないが、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs等のアルカリ金属のイオン、Be、Mg、Ca、Sr、Ba等のアルカリ土類金属のイオン、Cu、Zn、Al、Mn、Ag、Fe、Co、Ni等のその他の金属のイオン、NH 、アミンイオン等が挙げられる。好ましくは、カウンターカチオンは、Li、Na、K、NH またはアミンイオンである。
好ましい態様において、上記有機リン酸は、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテルリン酸、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルリン酸、アルキルエーテルリン酸、または不飽和ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸またはその塩であり得る。
上記絶縁被膜のコーティングの方法は、特に限定されず、当業者に公知のコーティング法、例えば、ゾル−ゲル法、メカノケミカル法、スプレードライ法、流動層造粒法、アトマイズ法、バレルスパッタ等を用いて行うことができる。
好ましい態様において、上記結晶質の金属粒子の表面は、Siを含んだ絶縁材料により覆われており、上記アモルファスの金属粒子の表面は、リン酸またはリン酸残基を含んだ絶縁材料により覆われていてもよい。より好ましい態様において、上記結晶質の金属粒子は鉄であり、かつ、上記アモルファスの金属粒子は、鉄合金、例えば、Fe−Si系合金、Fe−Si−Cr系合金またはFe−Si−Al系合金であり、好ましくはFe−Si−Cr系合金であり得る。
上記絶縁被膜の厚みは、特に限定されないが、好ましくは1nm以上100nm以下、より好ましくは3nm以上50nm以下、さらに好ましくは5nm以上30nm以下、例えば10nm以上30nm以下または5nm以上20nm以下であり得る。絶縁被膜の厚みをより大きくすることにより、磁性体部の比抵抗をより高くすることができる。また、絶縁被膜の厚みをより小さくすることにより、磁性体部中の金属材料の量をより多くすることができ、磁性体部の磁気的特性が向上し、磁性体部の小型化を図ることが容易になる。
一の態様において、アモルファスの金属粒子の絶縁被膜の厚みは、結晶質の金属粒子の絶縁被膜の厚みよりも厚い。
かかる態様において、アモルファスの金属粒子の絶縁被膜の厚みと、結晶質の金属粒子の絶縁被膜の厚みとの差は、好ましくは5nm以上25nm以下、より好ましくは5nm以上20nm以下、さらに好ましくは10nm以上20nm以下であり得る。
好ましい態様において、アモルファスの金属粒子の絶縁被膜の厚みは、10nm以上30nm以下であり、結晶質の金属粒子の絶縁被膜の厚みは、5nm以上20nm以下である。
好ましい態様において、アモルファスの金属粒子は相対的に平均粒径が大きく、結晶質の金属粒子は相対的に平均粒径が小さく、アモルファスの金属粒子を覆う絶縁材料はリン酸を含み、結晶質の金属粒子を覆う絶縁材料はSiを含む。比較的粒径が大きい粒子(アモルファス粒子)を、絶縁性が比較的低いリン酸を含む絶縁材料で被覆すると、圧縮成形時に他のアモルファス粒子と電気的に繋がって、電気的に接続された粒子の塊を形成し得る。これにより磁性体部の透磁率が向上する。また、比較的粒径が小さい粒子(結晶性粒子)を、絶縁性が比較的高いSiを含む絶縁材料で被覆することにより、磁性体部全体としての絶縁性を高めることができる。これにより、高い透磁率と高い絶縁性を両立することが容易になる。
上記磁性体部2において、磁性体ベース8における金属粒子の充填率は、磁性体外装9における金属粒子の充填率よりも高い。磁性体ベースにおける金属粒子の充填率、特に磁性体ベースの凸部における金属粒子の充填率を高くすることにより、磁性体部の透磁率が高くなり、より高いインダクタンスを得ることが可能になる。
磁性体ベース8における金属粒子の充填率は、好ましくは65%以上、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは85%以上であり得る。また、磁性体ベース8における金属粒子の充填率の上限は特に限定されないが、例えば、当該充填率は、98%以下、95%以下、90%以下または85%以下であり得る。一の態様において、磁性体ベース8における金属粒子の充填率は、65%以上98%以下、65%以上85%以下、75%以上98%以下、または85%以上98%以下であり得る。
磁性体外装9における金属粒子の充填率は、好ましくは50%以上、より好ましくは65%以上、さらに好ましくは75%以上であり得る。また、磁性体外装9における金属粒子の充填率の上限は特に限定されないが、例えば、当該充填率は、93%以下、90%以下、80%以下または75%以下であり得る。一の態様において、磁性体外装9における金属粒子の充填率は、50%以上93%以下、50%以上75%以下、65%以上93%以下、または75%以上93%以下であり得る。
一の態様において、磁性体ベース8における金属粒子の充填率は、65%以上98%以下、65%以上85%以下、75%以上98%以下、または85%以上98%以下であり、磁性体外装9における金属粒子の充填率は、50%以上93%以下、50%以上75%以下、65%以上93%以下、または75%以上93%以下であり得る。例えば、磁性体ベース8における金属粒子の充填率は、65%以上98%以下であり、磁性体外装9における金属粒子の充填率は50%以上93%以下であり、あるいは、磁性体ベース8における金属粒子の充填率は、85%以上98%以下であり、磁性体外装9における金属粒子の充填率は75%以上93%以下であり得る。
ここに、上記充填率とは、磁性体部の断面のSEM画像における金属粒子の占める面積の割合を意味する。例えば、上記平均粒径は、コイル部品1をワイヤーソー(メイワフォーシス株式会社製DWS3032−4)で製品中央部付近を切断し、LT面の略中央部が露出するようにする。て得られた断面に対して、イオンミリングを行い(株式会社日立ハイテク社製イオンミリング装置IM4000)、切断によるダレを除去し、観察用の断面を得た。断面の複数箇所(例えば5箇所)の所定の領域(例えば130μm×100μm)をSEMで撮影し、このSEM画像を画像解析ソフト(例えば、旭化成エンジニアリング株式会社製、A像くん(登録商標))用いて解析して、領域中金属粒子が占める面積の割合を求めることにより得ることができる。
磁性体部2(磁性体ベース8および磁性体外装9の両方またはいずれか一方)は、さらに他の物質の粒子、例えば酸化ケイ素(典型的には二酸化ケイ素(SiO)粒子を含んでいてもよい。好ましい態様において、磁性体ベース8は、他の物質の粒子を含み得る。他の物質の粒子を含ませることにより、磁性体部を製造する際の流動性を調整することができる。
他の物質の粒子は、好ましくは30nm以上50nm以下、より好ましくは35nm以上45nm以下の平均粒径を有し得る。他の物質の粒子の平均粒径を上記のような範囲にすることにより、磁性体部を製造する際の流動性を高めることができる。
磁性体部2(磁性体ベース8および磁性体外装9の両方またはいずれか一方)における他の物質の粒子の充填率は、好ましくは0.01%以上、例えば0.05%以上であり、好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.5%以下、さらにより好ましくは0.1%以下であり得る。他の物質の粒子の充填率を上記のような範囲にすることにより、磁性体部を製造する際の流動性をより高めることができる。
ここに、他の物質の粒子の平均粒径および充填率は、金属粒子の平均粒径および充填率と同様にして求めることができる。
本実施形態において、図2および図3に示されるように、上記コイル導体3は、コイル導体の中心軸がコイル部品の高さ方向に沿うように配置され、その両末端が外側に位置するように渦巻き状に2段に巻き回されて形成されている。即ち、コイル導体3は、導電性材料を含む導線をα巻に巻き回して形成されている。コイル導体3は、コイル導体が巻回されている巻線部、巻線部から引き出された引き出し部から構成される。さらに、引き出し部は、磁性体部の底面上に存在する端末部を有する。コイル導体3は、巻芯部(コイル導体の内部にある空洞部)に、上記凸部11が存在し、コイル導体の中心軸がコイル部品の高さ方向に沿うように配置される。コイル導体3の引き出し部24,25は、磁性体ベース8の背面から底面に引き出されている。
上記コイル導体3は、巻線部の最内層を構成する導線よりも、最外層を構成する導線が、上方に位置する。換言すれば、コイル部品の底面から巻線部の最内層を構成する導線までの距離よりも、コイル部品の底面から最外層を構成する導線までの距離の方が大きい。即ち、図10におけるT1よりもT2の方が大きい。このようにコイル導体の外側の層の位置をより高くすることにより、コイル導体と外部電極との距離をより大きくすることができ、信頼性が向上する。さらに、コイル導体の外側の層の下により大きなスペースを確保できることから、その部分に外部電極を形成することが可能になり、コイル部品の低背化が容易になる。コイル導体の巻線部の位置は、外側に向かうにつれて、直線的に上がってもよく、曲線的に上がっていてもよい。即ち、巻線部の側面は、平面であってもよく、湾曲していてもよい。好ましくは、コイル導体の巻線部の側面は、磁性体ベースのベース部の上面に沿った形状であり得る。
一の態様において、上記T2とT1の差(T2−T1:即ち、最外層を構成する巻線の高さと巻線部の最内層を構成する巻線の高さの差)は、好ましくは0.02mm以上0.10mm以下、より好ましくは0.04mm以上0.10mm以下であり得る。
上記導電性材料としては、特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル等が挙げられる。好ましくは、導電性材料は銅である。導電性材料は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
上記コイル導体3を形成する導線は、丸線であっても、平角線であってもよいが、好ましくは平角線である。平角線を用いることにより、導線を隙間無く巻回すことが容易になる。
上記平角線の厚みは、好ましくは0.14mm以下、より好ましくは0.9mm以下、さらに好ましくは0.8mm以下であり得る。平角線の厚みを小さくすることにより、同じ巻数であってもコイル導体が小さくなり、コイル部品全体の小型化に有利である。また、同じ大きさのコイル導体において、巻数を多くすることができる。上記平角線の厚みは、好ましくは0.02mm以上、より好ましくは0.03mm以上、さらに好ましくは0.04mm以上であり得る。平角線の厚みを0.02mm以上とすることにより、導線の抵抗を小さくすることができる。
上記平角線の幅は、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.5mm以下、さらに好ましくは1.0mm以下であり得る。平角線の幅を小さくすることにより、コイル導体を小さくすることができ、部品全体の小型化に有利である。また、上記平角線の幅は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上であり得る。平角線の幅を0.1mm以上とすることにより、導線の抵抗を小さくすることができる。
上記平角線の幅に対する厚みの比(厚み/幅)は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.65以下、さらに好ましくは0.4以下であり得る。
一の態様において、上記コイル導体3を形成する導線は、絶縁性物質により被覆されていてもよい。コイル導体3を形成する導線を絶縁性物質により被覆することにより、コイル導体3と磁性体部2の絶縁をより確実にすることができる。尚、上記導線の外部電極4,5に接続される部分、例えば本実施形態においては磁性体ベース8の底面に引き出されたコイル導体の端末部には絶縁性物質は存在せず、導線が露出している。
上記導線を被覆する絶縁性物質の被膜の厚みは、好ましくは1μm以上10μm以下、より好ましくは2μm以上8μm以下、さらに好ましくは4μm以上6μm以下であり得る。
上記絶縁性物質としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂が挙げられ、好ましくはポリアミドイミド樹脂である。
一の態様において、上記コイル導体の端末部と磁性体部の端面間の領域28,29には、磁性体部が存在する。かかるコイル導体の端末部と磁性体部の端面間の幅は、コイル導体を形成する導線の幅の、好ましくは0.2倍以上0.8倍以下、より好ましくは0.4倍以上0.6倍以下である。
上記外部電極4,5は、それぞれ、コイル部品1の底面の端部に設けられている。外部電極4,5は、それぞれ、磁性体ベース8の底面に引き出されたコイル導体3の端末部26,27上に設けられている。即ち、外部電極4,5は、コイル導体3の端末部26,27に、それぞれ電気的に接続されている。
一の態様において、外部電極4,5は、磁性体ベース8の底面に引き出されたコイル導体3の端末部26,27上だけではなく、コイル導体の端末部を越えて、コイル部品の底面の他の部分にまで延在していてもよい。
一の態様において、外部電極4,5は、保護層6が存在しない領域、即ち磁性体部2およびコイル導体3が露出している領域全体に設けられている。
一の態様において、外部電極4,5は、コイル部品の端面にまで延在していてもよい。
一の態様において、外部電極4,5は、コイル導体の端末部を越えて、コイル部品の底面の他の部分にまで延在し、さらにコイル部品の端面にまで延在していてもよい。
コイル導体の端末部上以外に形成された外部電極4,5は、磁性体部2上に形成されていてもよく、下記する保護層6の上に形成されていてもよい。
一の態様において、外部電極4,5は、保護層と磁性体部およびコイル導体の露出領域との境界を越えて、保護層6上に乗り上げている。好ましい態様において、外部電極の保護層への乗り上げ距離は、好ましくは10μm以上80μm以下、より好ましくは10μm以上50μm以下であり得る。外部電極を保護層上に乗り上げさせることにより、保護層の剥離を防止することができる。
一の態様において、外部電極4,5は、コイル部品1の表面から突出しており、好ましくは10μm以上50μm以下、より好ましくは20μm以上40μm以下突出している。
上記外部電極の厚みは、特に限定されないが、例えば1μm以上100μm以下、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは5μm以上20μm以下であり得る。
上記外部電極は、導電性材料、好ましくはAu、Ag、Pd、Ni、SnおよびCuから選択される1種またはそれ以上の金属材料から構成される。
上記外部電極は、単層であっても、多層であってもよい。一の態様において、外部電極が多層である場合、外部電極は、AgまたはPdを含む層、Niを含む層、またはSnを含む層を含み得る。好ましい態様において、上記外部電極は、AgまたはPdを含む層、Niを含む層、およびSnを含む層からなる。好ましくは、上記の各層は、コイル導体側から、AgまたはPdを含む層、Niを含む層、Snを含む層の順で設けられる。好ましくは、上記AgまたはPdを含む層はAgペーストまたはPdペーストを焼き付けた層(即ち、熱硬化した層)であり、上記Niを含む層およびSnを含む層は、めっき層であり得る。
コイル部品1は、外部電極4,5を除いて、保護層6により覆われている。
上記保護層6の厚みは、特に限定されないが、好ましくは3μm以上20μm以下、より好ましくは3μm以上10μm以下、さらに好ましくは3μm以上8μm以下であり得る。保護層の厚みを上記の範囲とすることにより、コイル部品1のサイズの増加を抑制しつつ、コイル部品1の表面の絶縁性を確保することができる。
上記保護層6を構成する絶縁性材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド等の電気絶縁性が高い樹脂材料が挙げられる。
好ましい態様において、上記保護層6は、上記絶縁性材料に加え、さらにTiを含み得る。保護層にTiを含ませることにより、磁性体部と保護層の熱膨張係数の差を小さくできる。磁性体部と保護層の熱膨張係数の差を小さくすることにより、コイル部品の加熱および冷却によりコイル部品の膨張および収縮が生じた場合であっても、保護層が磁性体部から剥離することを抑制することができる。また、保護層にTiを含ませることにより、外部電極を形成する際のめっき処理において、保護層にめっきが伸びにくくなり、外部電極の保護層への乗り上げを調整することができる。
上記Tiの含有量は、特に限定されないが、保護層全体に対して、好ましくは5質量%以上50質量%以下、より好ましくは10質量%以上30質量%以下であり得る。
さらに好ましい態様において、上記保護層6は、上記絶縁性材料およびTiに加え、AlおよびSiの一方または両方を含み得る。保護層にAlまたはSiを含ませることにより、保護層へのめっき伸びを抑制することができる。
上記AlおよびSiの含有量は、特に限定されないが、保護層全体に対して、それぞれ、好ましくは5質量%以上50質量%以下、より好ましくは10質量%以上30質量%以下であり得る。
上記Ti、AlおよびSiの合計は、保護層全体に対して、好ましくは5質量%以上50質量%以下、より好ましくは10質量%以上30質量%以下であり得る。
尚、本発明において、保護層6は必須ではなく、存在しなくてもよい。
本発明のコイル部品は、優れた電気的特性を保持したまま小型化することができる。一の態様において、本発明のコイル部品の長さ(L)は、好ましくは0.9mm以上2.2mm以下、より好ましくは0.9mm以上1.8mm以下である。一の態様において、本発明のコイル部品の幅(W)は、好ましくは0.6mm以上1.8mm以下、より好ましくは0.6mm以上1.0mm以下である。好ましい態様において、本発明のコイル部品は、長さ(L)が0.9mm以上2.2mm以下であり、幅(W)が0.6mm以上1.8mm以下、好ましくは長さ(L)が0.9mm以上1.8mm以下であり、幅(W)が0.6mm以上1.0mm以下である。また、一の態様において、本発明のコイル部品の高さ(または厚み(T))は、好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.7mm以下である。
次に、コイル部品1の製造方法について説明する。
・磁性体ベースの作製
最初に、磁性体ベース8を製造する。
金属粒子および樹脂材料、ならびに必要に応じて他の物質を混合し、得られた混合物を、金型で加圧成形する。次いで、加圧成形された成形体を、熱処理して樹脂材料を硬化させることにより、磁性体ベースを得る。
用いるアモルファスの金属粒子は、好ましくは20μm以上50μm以下、より好ましくは20μm以上40μm以下のメジアン径(体積基準の累積百分率50%相当径)有する。好ましい態様において、上記結晶質の金属粒子は、好ましくは1μm以上5μm以下、より好ましくは1μm以上3μm以下のメジアン径を有する。より好ましい態様において、上記アモルファスの金属粒子は、20μm以上50μm以下、好ましくは20μm以上40μm以下のメジアン径を有し、上記結晶質の金属粒子は1μm以上5μm以下、好ましくは1μm以上3μm以下のメジアン径を有する。
加圧成形の圧力は、好ましくは100MPa以上5000MPa以下、より好ましくは500MPa以上3000MPa以下、さらに好ましくは800MPa以上1500MPa以下であり得る。磁性体ベースの作成時には、コイル導体が配置されておらずコイル導体の変形等の問題が存在しないことから、高い圧力で加圧成形を行うことができる。高い圧力で加圧成形することにより、磁性体ベース中の金属粒子の充填率を高めることができる。
加圧成形の温度は、用いる樹脂に応じて適宜選択することができ、例えば50℃以上2
00℃以下、好ましくは80℃以上150℃以下であり得る。
熱処理の温度は、用いる樹脂に応じて適宜選択することができ、例えば150℃以上400℃以下、好ましくは200℃以上300℃以下であり得る。
・コイル導体の配置
次に、上記で得られた磁性体ベースの凸部がコイル導体の巻芯部に位置するように、コイル導体を磁性体ベース上に配置し、コイル導体が配置された磁性体ベースを得る。この際、コイル導体の両端末部は、磁性体ベースの底面に引き出される。
コイル導体の配置方法としては、別途導線を巻回して得られたコイル導体を磁性体ベース上に配置してもよく、あるいは、磁性体ベースの凸部に導線を巻き付けて、直接磁性体ベース上でコイル導体を作製することにより配置してもよい。別途コイル導体を作製して磁性体ベース上に配置する場合は、製造工程が容易になる点で有利である。また、磁性体ベースの凸部に導線を巻き付けてコイル導体を作製する場合には、コイル導体を磁性体ベースにより密着させることができるので、コイル導体の径を小さくすることができる点で有利である。
・磁性体外装の作製
金属粒子および樹脂材料、ならびに必要に応じて他の物質を混合する。得られた混合物に、溶剤を加えて適切な粘度に調整して、磁性体外装形成用の材料を得る。
上記で得られたコイル導体が配置された磁性体ベースを、金型に配置する。次いで、上記で得られた材料を金型に注入し、加圧成形する。次いで、加圧成形された成形体を、熱処理して樹脂材料を硬化させることにより磁性体外装を形成し、これにより、内部にコイル導体が埋設された磁性体部(素体)を得る。
一の態様において、磁性体ベースを金型に配置する際、好ましくは磁性体ベースの少なくとも一つの側面を金型の壁面に密着させてもよい。好ましくは、磁性体ベースのコイル導体が存在する側面(本実施形態では磁性体ベースの背面)と対向する側面(本実施形態では磁性体ベースの前面)を金型の壁面に密着させる。これにより、側面に存在するコイル導体をより確実に磁性体外装で覆うことができる。
上記の溶剤としては、特に限定されないが、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)、メチルエチルケトン(MEK)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(DPMA)、γ−ブチロラクトン等が挙げられ、好ましくはPGMが用いられる。
加圧成形の圧力は、好ましくは1MPa以上100MPa以下、より好ましくは5MPa以上50MPa以下、さらに好ましくは5MPa以上15MPa以下であり得る。このような圧力で成形することにより、内部のコイル導体への影響を抑制することができる。
加圧成形の温度は、用いる樹脂に応じて適宜選択することができ、例えば50℃以上2
00℃以下、好ましくは80℃以上150℃以下であり得る。
熱処理の温度は、用いる樹脂に応じて適宜選択することができ、例えば150℃以上400℃以下、好ましくは150℃以上200℃以下であり得る。
・保護層の作製
絶縁性材料に、必要に応じてTi、Al、Si等、有機溶剤を加えて混合して、コーティング材料を得る。得られたコーティング材料を、上記素体上に塗布し、硬化させて保護層を得る。
塗布方法としては、特に限定されないが、例えばスプレー、ディッピング等により形成することができる。
・外部電極の作製
外部電極を形成する箇所の保護層を除去する。この除去により、磁性体ベースの底面に引き出されたコイル導体の端末部の少なくとも一部を露出させる。次いで、コイル導体の露出箇所に、外部電極を形成する。また、コイル導体が絶縁性物質により被覆されている場合、保護層の除去と同時に当該絶縁性被膜の物質を除去してもよい。
上記保護層の除去方法としては、特に限定されないが、例えばレーザー照射、サンドブラストなどの物理的処理、化学的処理等が挙げられる。好ましくは、保護層は、レーザー照射により除去される。
上記外部電極の形成方法としては、特に限定されないが、例えばCVD、電解めっき、無電解めっき、蒸着、スパッタ、導電性ペーストの焼き付け等、またはこれらの組み合わせを用いることが挙げられる。好ましい態様において、外部電極は、導電性ペーストの焼き付けを行った後、めっき処理(好ましくは電解めっき処理)することにより形成される。
以上のようにして、本発明のコイル部品1が製造される。
従って、本発明は、金属粒子および樹脂材料を含んで成る磁性体部と
前記磁性体部に埋設されたコイル導体と
前記コイル導体に電気的に接続された外部電極と
を有して成り、
前記磁性体部は、凸部を有する磁性体ベースと、磁性体外装からなり、
前記コイル導体は、前記磁性体ベース上に、凸部がコイル導体の巻芯部に位置するように配置され、
前記磁性体外装は、コイル導体を覆うように設けられている、
コイル部品の製造方法であって、
(i)磁性体ベースを作製する工程;
(ii)コイル導体を磁性体ベース上に配置する工程;
(iii)コイル導体が配置された磁性体ベースを金型に配置し、磁性体外装形成用の材料を注入して成形して、磁性体外装を形成し、コイル導体が埋設された磁性体部を得る工程;
(iv)コイル導体が埋設された磁性体部に保護層を形成する工程;および
(v)所定の位置の保護層を除去し、そこに外部電極を形成する工程
を含む製造方法を提供する。
以上、本発明のコイル部品およびその製造方法について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
(実施例1〜3)
・金属粒子の作製
金属粒子としてFe−Si−Cr系合金のアモルファス粒子(Si含有量7wt%、Cr含有量3wt%、B含有量3wt%、C含有量0.8wt%;メジアン径(D50)50μm)およびFeの結晶質粒子(メジアン径(D50)2μm)を準備した。尚、アモルファスおよび結晶質については、X線回折を用いて、アモルファスを示すハローを確認することによりアモルファスであることを同定し、結晶相に起因する回折ピークを確認することにより結晶質であることを同定した。
次いで、Fe−Si−Cr系合金のアモルファス粒子を、機械的被覆法(メカノフュージョン(登録商標))により、リン酸でコートした(厚み20nm)。また、Feの結晶質粒子を、金属アルコキシドとしてオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を用いるゾル−ゲル法により、二酸化ケイ素(SiO)によりコートした(厚み10nm)。
・磁性体ベースの作製
上記Fe−Si−Cr系合金粒子80質量%およびFe粒子20質量%の混合粉末100質量部に対して、エポキシ系の熱硬化性樹脂を3質量部、メジアン径(D50)が40nmのSiOビーズを0.08質量部加え、プラネタリーミキサーで30分混合して、磁性体ベース用の材料を調製した。得られた材料を、金型で加圧成形(1000MPa、100℃)し、金型から取り出した後、250℃で30分熱硬化して、トラック状の凸部を有する磁性体ベースを得た。尚、凹部の壁面と底面のなす角は、120°とした。得られた磁性体ベース5個の平均寸法を下記表1に示す。
Figure 2018182202
・コイル導体の作製
表2に示す厚みと幅寸法の異なる3種類の平角線を準備し、α巻にしてコイル導体を作製した。用いた平角線は、銅製であり、厚み4μmのポリアミドイミドで被覆されている。また、巻き数は全て5ターンとした。
Figure 2018182202
・磁性体外装用の材料の調製
上記Fe−Si−Cr系合金粒子80質量%およびFe粒子20質量%の混合粉末100質量部に対して、エポキシ系の熱硬化性樹脂を3質量部加え、さらに溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)を適切な粘度になるように添加し、プラネタリーミキサーで30分混合して、磁性体外装用の材料を調製した。
・磁性体外装の作製
上記で得られた磁性体ベースの凸部に、コイル導体の巻芯部を嵌め込み、コイル導体の両端を、溝に沿って磁性体ベースの背面を通して底面に引き出した。コイル導体を設けた磁性体ベースを、金型にセットした。この際、磁性体ベースの前面が金型の壁面に接するように片寄せした。次いで、磁性体ベースをセットした金型に、上記で得られた磁性体外装用の材料を注入した。次いで、100℃、10MPaで加圧して、磁性体外装を成形し、金型から取り出した。その後、得られた成形体を180℃で30分熱硬化した。硬化後、メディアとしてZrO質のセラミックパウダーを用いて、乾式でバレル研磨を行い、コイル部品の素体を作製した。
・樹脂コート(保護層)の形成
絶縁性のエポキシ樹脂に所定量(20wt%)のTiを加え、有機溶剤を添加し、コーティング材料を調製した。得られたコーティング材料に、上記で得られた素体を浸漬し、素体表面に保護層を形成した。
・外部電極の形成
上記で得られた保護層の一部をレーザーにより除去し、磁性体ベースの底面に引き出したコイル導体の端末部および端末部に隣接する磁性体ベースの底面の一部を露出させた。露出部にAg粉末と熱硬化性エポキシ樹脂を含む導電性ペーストを塗布し、熱硬化することで下地電極を形成し、その後、電解めっきでNi、Sn膜を形成し、外部電極を形成した。
以上により、実施例1〜3の試料(コイル部品)を作製した。
評価
(1)透磁率μ
作製した試料を各実施例につき5個について、インピーダンスアナライザ(アジレント・テクノロジー社製、E4991A;条件:1MHz、1Vrms、周囲温度20±3℃)でインダクタンスを測定し、透磁率(μ)を計算した。5個の平均を求めて、各実施例の透磁率とした。結果を下記表4に示す。
(2)磁性体ベースの金属粒子の充填率
各実施例の試料をワイヤーソー(メイワフォーシス株式会社製DWS3032−4)で製品中央部付近を切断し、LT面の略中央部が露出するようにした。得られた断面に対して、イオンミリングを行い(株式会社日立ハイテク社製イオンミリング装置IM4000)、切断によるダレを除去し、観察用の断面を得た。磁性体ベースにおける充填率は、ベース部をL方向に六等分した場所(図11に示す△5ヶ所)を、磁性体外装の充填率は、巻芯部の上部をL方向に六等分した場所(図11に示す○5ヶ所)をSEMで撮影し(130μm×100μmの領域)、このSEM写真を画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング株式会社製;A像くん(登録商標))用いて、金属粒子が占める面積を求め、測定した全体の面積に対する金属粒子の占める割合を求め、5ヶ所の平均値を充填率とした。結果を下記表3に示す。
(3)金属粒子の粒度分布
(2)と同様に、試料の断面における図11に示す△5ヶ所のSEM写真を画像解析し、任意の500個の金属粒子について円相当径を求め、5ヶ所の平均値を平均粒径(Ave)とした。また、粒径の標準偏差(σ)を求めた。また、これらの結果から、CV値((σ/Ave)×100)を求めた。結果を下記表3に示す。
(4)樹脂コート(保護層)の厚み
(2)と同様に、試料の断面における保護層について、任意の場所5ヶ所のSEM写真を画像解析し、保護層の厚みを測定して、5ヶ所の平均値を保護層の厚みとした。結果を下記表4に示す。
(5)外部電極の保護層への乗り上げ距離
(2)と同様に、試料の断面における、磁性体ベースの底面側の保護層と外部電極の境界の任意の2ヶ所のSEM写真を画像解析し、外部電極(めっき電極)の保護層への乗り上げ距離を測定し、2ヶ所の平均値を乗り上げ距離とした。結果を下記表4に示す。
(6)金属粒子の絶縁被膜厚み
(2)と同様に試料を加工し、断面を露出させた。断面を、走査透過型電子顕微鏡(Scanning Transmission electron microscope;型式JEM−2200FS;日本電子株式会社製)を用い、コイル部品の巻芯部の略中央部(図11の□の場所)の金属粒子の組成を分析し、アモルファス粒子か、結晶質粒子かを同定した。同定した粒子を各3個ずつ300k倍で写真を撮影し、絶縁被覆厚みを測定した。3個の平均値を求め、これを絶縁被膜の厚みとした。結果を下記表4に示す。
Figure 2018182202
Figure 2018182202
(実施例4および5)
磁性体ベースの寸法を、下記表5に示す寸法とし、磁性体ベースおよび磁性体外装の作製に用いるエポキシ樹脂の添加量を2質量部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例4および5の試料(コイル部品)を作製した。
Figure 2018182202
評価
実施例1〜3と同様に評価を行い、コイル部品の外形寸法、充填率および金属粒子の粒度分布の結果を表6に、透磁率、保護層の厚み、乗り上げ距離および被覆厚みの結果を表7に示す。
Figure 2018182202
Figure 2018182202
比較例1
金属粒子として実施例1と同じFe−Si−Cr系合金のアモルファス粒子およびFeの結晶質粒子を準備した。アモルファス粒子および結晶質粒子の両方を、実施例1〜3と同様にして、リン酸で表面を被覆した。
上記Fe−Si−Cr系合金粒子80質量%およびFe粒子20質量%の混合粉末100質量部に対して、エポキシ系樹脂を3質量部加え、さらに溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)を適切な粘度になるように添加して、湿式で混合して、スラリーを得た。得られたスラリーを用いて、ドクターブレード法で磁性体シートを作製した。
実施例1と同じ平角線を用い、巻き数5のα巻のコイル導体を作製した。ただし、本比較例1におけるコイル導体は、T2−T1が0である。
2枚の磁性体シートの間にコイル導体を挟み込み、100℃、10MPaで加圧した。得られた積層体をダイサーで切断し、個片化した後、180℃で30分保持し熱硬化させた。尚、コイル導体は素体の端面から引き出した(図12参照)。
実施例1〜3と同様に、バレル研磨および保護層の形成を行い、次いで、外部電極を形成する箇所の保護層をレーザーにより除去して、磁性体部の端面と周囲4面を露出させた。露出部にAg粉末と熱硬化性エポキシ樹脂を含む導電性ペーストを塗布し、熱硬化することで下地電極を形成し、その後、電解めっきでNi、Sn膜を形成し、外部電極を形成した。
以上により、比較例1の試料(コイル部品)を作製した。
評価
・透磁率
実施例1〜3における(1)と同様に比較例1の透磁率を測定した。
・充填率
実施例1〜3における(2)と同様に試料を加工し、試料の断面を露出させた。この断面をコイル導体の軸に沿って六等分した場所(図13に示す△5ヶ所)を、上記実施例1〜3における(2)と同様にして充填率を算出した。結果を下記表8に示す。
Figure 2018182202
・耐電圧試験
実施例1および比較例1の試料100個について、DC200Vを負荷し、絶縁破壊が生じた試料を計数した。結果を下記表9に示す。
Figure 2018182202
本発明のコイル部品は、インダクタなどとして幅広く様々な用途に使用され得る。
1…コイル部品
2…磁性体部
3…コイル導体
4,5…外部電極
6…保護層
8…磁性体ベース
9…磁性体外装
11…凸部
12,13…コイル導体の末端
14,15…溝
16…ベース部
17…ベース部の前面
18…ベース部の背面
19…ベース部の底面
20…ベース部の上面
21…凹部
22…凹部の壁面
23…凹部の底面
24,25…コイル導体の引き出し部
26,27…コイル導体の端末部
28,29…コイル導体の端末部と磁性体部の端面間の領域
101…比較例1のコイル部品
102…磁性体部
103…コイル導体
104,105…外部電極
106…保護層

Claims (8)

  1. 金属粒子および樹脂材料を含んで成る磁性体部と、
    前記磁性体部に埋設されたコイル導体と、
    前記コイル導体に電気的に接続された外部電極と、
    を有して成るコイル部品であって、
    前記金属粒子が、アモルファスの金属粒子および結晶質の金属粒子を含む混合物であり、
    前記アモルファスの金属粒子を覆う絶縁材料と、前記結晶質の金属粒子を覆う絶縁材料が異なる、
    コイル部品。
  2. 前記アモルファスの金属粒子は、相対的に平均粒径が大きく、前記結晶質の金属粒子は、相対的に平均粒径が小さい、請求項1に記載のコイル部品。
  3. 前記アモルファスの金属粒子の平均粒径は20μm以上50μm以下であり、前記結晶質の金属粒子の平均粒径は1μm以上5μm以下である、請求項1または2に記載のコイル部品。
  4. 前記結晶質の金属粒子を覆う絶縁材料が、Siを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコイル部品。
  5. 前記アモルファスの金属粒子を覆う絶縁材料が、リン酸を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコイル部品。
  6. 前記アモルファスの金属粒子が、Fe−Si−Cr系合金の粒子であり、結晶質の金属粒子が、Feの粒子である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコイル部品。
  7. 前記磁性体部は、凸部を有する磁性体ベースと、磁性体外装とを有してなり、
    前記コイル導体は、前記磁性体ベース上に、凸部がコイル導体の巻芯部に位置するように配置され、
    前記磁性体外装は、コイル導体を覆うように設けられている、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載のコイル部品。
  8. 前記コイル導体の端末部が、前記磁性体ベースの側面を経由して底面に引き出され、側面に位置するコイル導体の引き出し部は、磁性体外装により覆われている、請求項7に記載のコイル部品。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111755219A (zh) * 2019-03-29 2020-10-09 太阳诱电株式会社 线圈部件和线圈部件的制造方法
CN114284029A (zh) * 2020-09-28 2022-04-05 Tdk株式会社 层叠线圈部件

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