JP2018172361A - 光安定性を改善した、デュロキセチンを含有する固形製剤 - Google Patents
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(1)デュロキセチン塩酸塩を含有する錠剤であって、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄及び黒酸化鉄から選択される遮光剤を含有することを特徴とする、錠剤。
(2)当該遮光剤が酸化チタンを含む、前記(1)に記載の錠剤。
(3)当該遮光剤が酸化チタン及び黄色三二酸化鉄又は三二酸化鉄を含む、前記(1)又は(2)に記載の錠剤。
(4)当該遮光剤を素錠の全重量に対して0.5重量%以上含有する、前記(2)又は(3)に記載の錠剤。
(5)デュロキセチン塩酸塩を含有する部分(例えば顆粒又は素錠)が、当該遮光剤を含むコーティング層で覆われている、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の錠剤。
(6)当該コーティング層100.0重量部に対して当該遮光剤が10.0重量部以上含有される、前記(5)に記載の錠剤。
(7)デュロキセチン塩酸塩を含有する顆粒(特に酸化チタンも含有するもの)であって、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄及び黒酸化鉄から選択される遮光剤を含むことを特徴とする顆粒。
(8)当該遮光剤が黄色三二酸化鉄を含む、前記(7)に記載の顆粒。
(9)当該遮光剤を顆粒の全重量に対して0.01重量%以上含む、前記(7)又は(8)に記載の顆粒。
(10)酸化チタンを顆粒の全重量に対して0.5重量%以上含む、前記(7)〜(9)のいずれかに記載の顆粒。
(11)デュロキセチン塩酸塩を含む部分(核顆粒)が、当該遮光剤を含むコーティング層で覆われている、前記(7)〜(10)のいずれかに記載の顆粒。
(12)当該コーティング層100.0重量部に対して当該遮光剤が0.1重量部以上含まれる、前記(11)に記載の顆粒。
(13)前記(7)〜(12)のいずれかに記載の顆粒を含有する口腔内崩壊錠。
本発明の錠剤等は原薬としてデュロキセチン又は其の塩を含み、特に好ましくはデュロキセチン塩酸塩を含む。デュロキセチン塩酸塩のメディアン径(d50)は1.0〜50.0μmが好ましく、より好ましくは1.0〜10.0μmである。尚、メディアン径はレーザー回析・散乱法によって測定(体積基準)することが可能である。デュロキセチン塩酸塩は、必要に応じて適宜乾式又は湿式粉砕を行い、任意の粒子径に調整することも可能である。デュロキセチン塩酸塩は素錠(コーティング層で覆われていない錠剤を指す。以下同じ。)中又は顆粒中に含有される。前者の場合、デュロキセチン塩酸塩は素錠の全重量に対して1.0〜50.0重量%、好ましくは10.0〜35.0重量%の範囲で素錠中に含有される。後者の場合、デュロキセチン塩酸塩は顆粒の全重量に対して5.0〜60.0重量%、好ましくは15.0〜40.0重量%の範囲で顆粒中に含有される。本発明の錠剤等は、デュロキセチン20mg(デュロキセチン塩酸塩として22.4mg)又は30mg(デュロキセチン塩酸塩として33.7mg)を含有するものであることが特に望ましい。
本発明の錠剤は、素錠のままであることも可能であるが、特定の遮光剤を含むコーティング層で素錠を被覆したコーティング錠であることが特に好ましい。素錠は打錠等により成形された圧縮成形錠剤である。本発明で得られる錠剤の形状は、円形錠、円形R錠、円形隅角錠、円形2段R錠や異形錠等のいずれの形状でもよい。本発明の錠剤の重量は、例えば、60.0〜300.0mgの範囲内にある。
本発明の顆粒は、特定の遮光剤を含む1又は2以上のコーティング層でデュロキセチン塩酸塩を含む顆粒を被覆したコーティング顆粒であることが特に好ましい。例えば本発明の顆粒は、デュロキセチン塩酸塩を含む顆粒が、酸化チタンを含むコーティング層で覆われ、更に腸溶性のコーティング剤(ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート等)を含むコーティング層で覆われ、また更に黄色三二酸化鉄を含むコーティング層で覆われたものである。
また、本発明の顆粒は口腔内崩壊錠中に含有されることが強く望ましい。本発明に係る口腔内崩壊錠については、素錠であることが望ましいが、適宜検討の上、コーティング層で素錠を被覆してコーティング錠とすることが可能である。素錠は打錠等により成形された圧縮成形錠剤である。本発明で得られる口腔内崩壊錠の形状は、円形錠、円形R錠、円形隅角錠、円形2段R錠や異形錠等のいずれの形状でもよい。本発明の顆粒の重量は、例えば、60.0〜200.0mgの範囲内にある。
本発明の錠剤等に含有される遮光剤は、酸化チタン及び酸化鉄(黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、黒酸化鉄等)から選択されるが、好ましくは酸化チタンを含むように選択され、より好ましくは酸化チタンと酸化鉄の両方である。本発明に係る酸化鉄は、好ましくは黄色三二酸化鉄又は三二酸化鉄であり、より好ましくは黄色三二酸化鉄である。遮光剤は、錠剤又は顆粒の全重量に対して0.01重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは0.5〜20.0重量%、更により好ましくは1.0〜10.0重量%の範囲で其々錠剤又は顆粒中に含有される。酸化チタンは、錠剤又は顆粒の全重量に対して好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1.0重量%以上で其々錠剤又は顆粒中に含有される。酸化鉄は、錠剤又は顆粒の全重量に対して好ましくは0.02重量%以上、より好ましくは0.04重量%以上、更により好ましくは0.08重量%以上で其々錠剤又は顆粒中に含有される。
遮光剤は素錠部分又はコーティング層に含まれるが、特に好ましくはコーティング層に含まれる。コーティング層(遮光剤を含む均質な一又は二以上の層を意味し、遮光剤を含まない均質な一又は二以上の層は意味しない。)100.0重量部に対して当該遮光剤は0.1重量部以上、好ましくは10.0重量部以上、より好ましくは20.0〜60.0重量部の範囲で当該コーティング層中に含有される。酸化チタンは、コーティング層(酸化チタンを含む均質な一又は二以上の層を意味し、酸化チタンを含まない均質な一又は二以上の層は意味しない。)100.0重量部に対して好ましくは10.0重量部以上、より好ましくは20.0〜60.0重量部の範囲で当該コーティング層中に含有される。酸化鉄は、コーティング層(酸化鉄を含む均質な一又は二以上の層だけを意味し、酸化鉄を含まない均質な一又は二以上の層は意味しない。)100.0重量部に対して好ましくは0.2重量部以上、より好ましくは0.2〜5.0重量部の範囲で当該コーティング層中に含有される。
まず、原薬、賦形剤、崩壊剤等を混合した粉末に水に溶解した結合剤を加えて流動層造粒を行って顆粒を製造する。そして、得られた顆粒を整粒(乾式解砕等)した後に、滑沢剤等と混合して打錠機によって圧縮成形して錠剤(素錠)とする。更に所望によって、得られた素錠にコーティング層(腸溶性のコーティング剤を含まないことが望ましい。)を施すことが可能である。デュロキセチン塩酸塩を含有する錠剤においては、素錠又はコーティング錠に腸溶性のコーティング剤を含むフィルムコーティング層が施されている等の工夫があることが実用上望まれる。本発明の素錠を打錠して製造する際の打圧は、300〜1200kgf、好ましくは600〜1000kgfの範囲内の任意の数値から選ばれる。
まず、流動層造粒機中で賦形剤等の粉末を流動化させ、これに原薬及び結合剤を懸濁・溶解させた水溶液を噴霧し、乾燥させて顆粒(A)を製造する。次に、得られた顆粒(A)を流動化させ、これにコーティング剤(腸溶性のコーティング剤を含まないことが望ましい。)及び遮光剤等を懸濁・溶解させた水溶液を噴霧し、乾燥させてコーティング顆粒(B)を製造する。更に、得られたコーティング顆粒(B)を流動化させ、これに腸溶性のコーティング剤等を懸濁・溶解させた水溶液を噴霧し、乾燥させてコーティング顆粒(C)を製造する。そして、得られたコーティング顆粒(C)を流動化させ、糖アルコール(マンニトール等)及び遮光剤を懸濁・溶解させた水溶液を噴霧し、乾燥させてコーティング顆粒(D)を製造すること(オーバーコーティング)で本発明の顆粒は得られる。
本発明の顆粒は賦形剤及び滑沢剤等と混合して打錠機によって圧縮成形して錠剤(素錠)とすることで口腔内崩壊錠が得られる。更に所望によって、得られた素錠にコーティング層を施すことが可能である。本発明の素錠を打錠して製造する際の打圧は、300〜1200kgfの範囲内の任意の数値から選ばれる。
次いで素錠をコーティング機(パウレック社製:DRC−200型)に投入し、これに、予めヒプロメロース65.0g、タルク5.0g及び酸化チタン30.0gを精製水810gに加えて均一分散させた液を噴霧・乾燥して1錠質量190.0mgのコーティング錠を得た。
次いで素錠をコーティング機(パウレック社製:DRC−200型)に投入し、これに、予めヒプロメロース65.0g、タルク5.0g及び酸化チタン30.0gを精製水810gに加えて均一分散させた液を噴霧・乾燥し、1錠質量125.0mgのコーティング錠を得た。引き続いてコーティング錠に、予めメタクリル酸コポリマーLD30%懸濁液100.0g(固形分:30.0g)、タルク14.0g、クエン酸トリエチル3.0g及び酸化チタン3.0gを精製水380gに加えて均一分散させた液を更に噴霧・乾燥し、1錠質量130.0mgの2層コーティング錠を得た。
実施例1で得られた1錠重量180.0mgの素錠をコーティング機(パウレック社製:DRC−200型)に投入し、これに、予めヒプロメロース90.0g、タルク10.0gを精製水810gに加え、均一分散させた液を噴霧し、1錠質量190.0mgになるまでコーティングし、乾燥してコーティング錠を得た。
実施例1、2、3、4及び比較例1で得た錠剤について、白熱光15000lxを80時間、合計120万lx・hrの光照射の前後に、各錠剤の明度(L*)、色相と彩度を示す色度(a*およびb*)について分光色差計(日本電色工業社製:SE6000型)を用いて測定した。この結果から、各錠剤の光照射前後の色差(ΔE)を算出して表2に示した。色差は色度値としてCIELab1976に規定されるL*a*b*を用い、ΔEについて下記の式にて算出した。ΔE={(ΔL*)^2+(Δa*)^2(Δb*)^2}^1/2(日本電色工業株式会社、Spectrophotometer SE6000型、取扱説明書より)。
上記で得られた整粒品Aの内565.0gに黄色三二酸化鉄3.0g、ステアリン酸マグネシウム10.0gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所製:VELA5型)を用いて800kgfの打圧で打錠して1錠重量115.6mgの素錠(円形錠、直径6.5mm、厚さ3.5mm)を得た。
実施例5得られた整粒品Aの内565.0gにステアリン酸マグネシウム10.0gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所製:VELA5型)を用いて800kgfの打圧で打錠して1錠重量115.0mgの素錠(円形錠、直径6.5mm、厚さ3.5mm)を得た。
(B:バリア層)上記で得られた顆粒A748.0gを噴流流動層造粒機に投入して流動化させ、これにヒドロキシプロピルメチルセルロース75.0gを溶解し、タルク150.0g及び酸化チタン150.0gを分散・懸濁させた精製水1875gを噴霧・乾燥し、顆粒Bを得た。
(C:溶出制御層)上記で得られた顆粒B561.5gを噴流流動層造粒機に投入して流動化させ、これにヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート511.2g及び10%アンモニア水126.8gを溶解し、タルク163.2gを分散・懸濁させた精製水8750gを噴霧・乾燥し、顆粒Cを得た。
(D:フィニッシング層)上記で得られた顆粒C674.1gを噴流流動層造粒機に投入して流動化させ、これにマンニトール33.6gを溶解し、黄色三二酸化鉄0.672gを分散・懸濁させた精製水200gを噴霧・乾燥し、着色顆粒を得た。
(D:フィニッシング層)実施例7で得られた顆粒C674.1gを噴流流動層造粒機に投入して流動化させ、これにマンニトール33.6gを溶解した精製水200gを噴霧・乾燥し、顆粒を得た。
実施例5〜8及び比較例2、3で得た錠剤について、白熱光3000lxを200時間又は400時間、其々、合計60万lx・hr又は120万lx・hrの光照射の前後に、各錠剤の明度(L*)、色相と彩度を示す色度(a*およびb*)について分光色差計(日本電色工業社製:SE6000型)を用いて測定した。この結果から、各錠剤の光照射前後の色差(ΔE)を算出して表6(実施例5,6、比較例2)、表7(実施例7、8、比較例3)に示した。色差は色度値としてCIELab1976に規定されるL*a*b*を用い、ΔEについて下記の式にて算出した。ΔE={(ΔL*)^2+(Δa*)^2(Δb*)^2}^1/2(日本電色工業株式会社、Spectrophotometer SE6000型、取扱説明書より)。
Claims (13)
- デュロキセチン塩酸塩を含有する錠剤であって、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄及び黒酸化鉄から選択される遮光剤を含有することを特徴とする、錠剤。
- 遮光剤が酸化チタンを含む、請求項1に記載の錠剤。
- 遮光剤が酸化チタン及び黄色三二酸化鉄又は三二酸化鉄を含む、請求項1又は2に記載の錠剤。
- 遮光剤を素錠の全重量に対して0.5重量%以上含有する、請求項2又は3に記載の錠剤。
- デュロキセチン塩酸塩を含有する部分が、遮光剤を含むコーティング層で覆われている、請求項1〜4のいずれかに記載の錠剤。
- コーティング層100.0重量部に対して遮光剤が10.0重量部以上含有される、請求項5に記載の錠剤。
- デュロキセチン塩酸塩及び酸化チタンを含有する顆粒であって、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄及び黒酸化鉄から選択される遮光剤を含むことを特徴とする顆粒。
- 遮光剤が黄色三二酸化鉄を含む、請求項7に記載の顆粒。
- 遮光剤を顆粒の全重量に対して0.01重量%以上含む、請求項7又は8に記載の顆粒。
- 酸化チタンを顆粒の全重量に対して0.5重量%以上含む、請求項7〜9のいずれかに記載の顆粒。
- デュロキセチン塩酸塩を含む部分が、遮光剤を含むコーティング層で覆われている、請求項7〜10のいずれかに記載の顆粒。
- コーティング層100.0重量部に対して遮光剤が0.1重量部以上含まれる、請求項11に記載の顆粒。
- 請求項7〜12のいずれかに記載の顆粒を含有する口腔内崩壊錠。
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