JP2018171725A - 積層体及びこれを用いた癒着防止材 - Google Patents
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Abstract
【課題】水溶性高分子を含む繊維を有する繊維構造体の構造を損なうことなく、濡れた時の操作性に優れた積層体を提供すること。
【解決手段】本発明は、水溶性高分子を含む繊維及び上記繊維の表面を被覆している難水溶性高分子を含む膜を有する繊維構造体(A)と、水溶性高分子を含む厚さ1〜500μmの膜(B)と、生分解性高分子を含む厚さ10〜1000nmの膜(C)とを備え、上記繊維構造体(A)、上記膜(B)、上記膜(C)の順で積層され、上記繊維構造体(A)中の水溶性高分子の目付量は、1g/m2〜400g/m2であり、上記繊維構造体(A)中の難水溶性高分子の目付量は、5g/m2〜20g/m2である、積層体を提供する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、水溶性高分子を含む繊維及び上記繊維の表面を被覆している難水溶性高分子を含む膜を有する繊維構造体(A)と、水溶性高分子を含む厚さ1〜500μmの膜(B)と、生分解性高分子を含む厚さ10〜1000nmの膜(C)とを備え、上記繊維構造体(A)、上記膜(B)、上記膜(C)の順で積層され、上記繊維構造体(A)中の水溶性高分子の目付量は、1g/m2〜400g/m2であり、上記繊維構造体(A)中の難水溶性高分子の目付量は、5g/m2〜20g/m2である、積層体を提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、積層体及びこれを用いた癒着防止材に関する。
外科手術では、術後の生体組織の癒着を防ぐために癒着防止材と呼ばれる器具を術中に生体組織に貼り付けることが行われる。このような癒着防止材は、生体組織の癒着を防止した後は体内に残留しないような材料で形成されており、例えば、ヒアルロン酸及びカルボキシメチルセルロースからなる水溶性材料で形成された癒着防止材が報告されている(特許文献1及び2)。このように水溶性材料を用いることで、生体内の水分によって溶解することで長期残留を防いでいる。
また、癒着防止材は、体内への長期残留を防ぐ一方、術中で生体内の水分で濡れてしまうと、適切に貼付が行えなくなる可能性がある。こういった術中の取り扱いを改善するために複数の層構造を有する癒着防止材も存在しており、例えば、水溶性材料で形成された膜の表面を、濡れ防止疎水性の膜で被覆した層構造を持つ癒着防止材(特許文献3)、水溶性の不織布表面を難水溶性の膜で被覆した層構造を持つ癒着防止材(特許文献4)等が報告されている。
しかしながら、特許文献1及び2に記載された水溶性材料を用いた癒着防止材は、水溶性材料として多糖類を用いているため、少量の水の接触により容易に膨潤して、べたつきが発生する。そのため、患部に貼付しようとする際、目的としていない箇所に不用意に接触すると貼り直すことが出来ない。また、患部への貼付時に限らず、患部へ到達させるまでに使用する鉗子等に水分が付着していると、材料が濡れてしまい、操作性が著しく低下し、取り扱いに優れない。
特許文献3に記載された癒着防止材は、膜のみを積層したフィルム状の層構造であるため、柔軟性に優れず、織物や不織布を用いた場合と比較してごわつきが多く操作性に問題がある。
また、特許文献4に記載された癒着防止材は、不織布と膜を積層した層構造であるが、不織布を膜で覆う場合、膜によって繊維構造が露出しなくなり、元々の風合いや操作性を損なうおそれがある。
そこで本発明者らは、上述したような課題を解決するため鋭意検討した結果、上記課題を解決するための(1)〜(6)の発明を提供する。
(1) 水溶性高分子を含む繊維及び上記繊維の表面を被覆している難水溶性高分子を含む膜を有する繊維構造体(A)と、水溶性高分子を含む厚さ1〜500μmの膜(B)と、生分解性高分子を含む厚さ10〜1000nmの膜(C)とを備え、上記繊維構造体(A)、上記膜(B)、上記膜(C)の順で積層され、上記繊維構造体(A)中の水溶性高分子の目付量は、1g/m2〜400g/m2であり、上記繊維構造体(A)中の難水溶性高分子の目付量は、5g/m2〜20g/m2である、積層体。
(2) 上記難水溶性高分子は、アセチル化プルラン、プロピオニル化プルラン又はアシル化プルランである、(1)記載の積層体。
(3) 上記膜(B)が含む生分解性高分子は、プルランである、(1)又は(2)記載の積層体。
(4) 上記膜(C)が含む生分解性高分子は、ポリヒドロキシアルカン酸である、(1)〜(3)のいずれか記載の積層体。
(5) 上記膜(C)が含む生分解性高分子は、乳酸、グリコール酸及びカプロン酸からなる群から選択される1種以上のモノマーから形成される、(1)〜(4)のいずれか記載の積層体。
(6) (1)〜(5)のいずれか記載の積層体からなる、癒着防止材。
(1) 水溶性高分子を含む繊維及び上記繊維の表面を被覆している難水溶性高分子を含む膜を有する繊維構造体(A)と、水溶性高分子を含む厚さ1〜500μmの膜(B)と、生分解性高分子を含む厚さ10〜1000nmの膜(C)とを備え、上記繊維構造体(A)、上記膜(B)、上記膜(C)の順で積層され、上記繊維構造体(A)中の水溶性高分子の目付量は、1g/m2〜400g/m2であり、上記繊維構造体(A)中の難水溶性高分子の目付量は、5g/m2〜20g/m2である、積層体。
(2) 上記難水溶性高分子は、アセチル化プルラン、プロピオニル化プルラン又はアシル化プルランである、(1)記載の積層体。
(3) 上記膜(B)が含む生分解性高分子は、プルランである、(1)又は(2)記載の積層体。
(4) 上記膜(C)が含む生分解性高分子は、ポリヒドロキシアルカン酸である、(1)〜(3)のいずれか記載の積層体。
(5) 上記膜(C)が含む生分解性高分子は、乳酸、グリコール酸及びカプロン酸からなる群から選択される1種以上のモノマーから形成される、(1)〜(4)のいずれか記載の積層体。
(6) (1)〜(5)のいずれか記載の積層体からなる、癒着防止材。
本発明の積層体によれば、水溶性高分子からなる繊維構造体の構造を損なうことなく、濡れた時の操作性に優れた積層体を提供することができる。
本発明の積層体は、水溶性高分子を含む繊維及び上記繊維の表面を被覆している難水溶性高分子を含む膜を有する繊維構造体(A)と、水溶性高分子を含む厚さ1〜500μmの膜(B)と、生分解性高分子を含む厚さ10〜1000nmの膜(C)とを備え、上記繊維構造体(A)、上記膜(B)、上記膜(C)の順で積層され、上記繊維構造体(A)中の水溶性高分子の目付量は、1g/m2〜400g/m2であり、上記繊維構造体(A)中の難水溶性高分子の目付量は、5g/m2〜20g/m2であることを特徴とする。
以下、本発明について、実施の形態とともに詳細に説明する。なお、本明細書における「膜」とは、二次元的な広がりを有する構造物、例えば、シート、プレート及び空隙を含む不連続な膜等を含む意味に用いる。
「繊維構造体」とは、繊維の集合体であり、その繊維同士で固定されていても、されていなくても良い。
「積層体」とは、単層若しくは多層からなる膜又は単層若しくは多層からなる繊維構造体等を積層した複数の層からなる構成体を示す。
(水溶性高分子)
本発明において水溶性高分子とは、1気圧の環境下において、常温(例えば、25℃±5℃)の水に対して溶解可能な高分子物質である。
本発明において水溶性高分子とは、1気圧の環境下において、常温(例えば、25℃±5℃)の水に対して溶解可能な高分子物質である。
水溶性高分子の具体例としては、ポリビニルアルコール又はその共重合体、デキストラン、アガロース、プルラン、キトサン、マンナン、カラギーナン、アルギン酸、デンプン類(酸化でんぷん、エーテル化でんぷん、デキストリン等)、アミロース、アミロペクチン、ペクチン、レンチナン、ヒアルロン酸、ハイラン及びセルロース誘導体(メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)等の多糖類、ゼラチン、コラーゲン、エラスチン、アルブミン、ヘモグロビン、トランスフェリン、グロブリン、フィブリン、フィブリノーゲン及びケラチン硫酸等のポリペプチド、ポリビニルピロリドン及びスルホイソフタル酸等の極性基を含有する共重合ポリエステル、ポリヒドロキシエチルメタクリレート又はその共重合体等のビニル系重合体、アクリル系高分子、ウレタン系高分子並びにエーテル系高分子等が好ましく挙げられる。また、これらの各種重合体をカルボキシル基、アミノ基及びメチロール基等の官能基で変性した重合体も好ましく用いることができる。更に、これらの水溶性高分子は、単独又は2種類以上の高分子化合物を組み合わせて用いることも出来る。中でも製造コスト、入手し易さ及び衛生性の観点から、ポリビニルアルコール及びプルランが好ましく、プルランがより好ましい。
プルランは、通常、入手しやすさ及び価格の点で有利であることから、澱粉分解物を含有する培地中でオーレオバシディウム属等の酵母を培養することにより製造されたプルランが有利に用いられる。例えば、プルラン(株式会社林原製、日本薬局方プルラン)が好適に使用できる。ただし、これらに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲で、他のプルラン製品を用いることもできる。また、必要に応じて、任意の置換度のエステル化等の修飾を施す等して誘導体化したマルトトリオースを反復単位としてもよい。
本発明に用いるプルランの重量平均分子量の範囲としては、好ましくは5,000以上、より好ましくは、10,000以上1,000,000以下、さらに好ましくは50,000以上500,000以下が挙げられる。なお、プルランの重量平均分子量や分子量分布を選択することによって、所望の崩壊速度に調節することができる。配合する他の成分にもよるが、重量平均分子量が5,000以上1,000,000以下であれば、シート上の皮膜形成が可能となり、また、水性溶媒への溶解が容易となる。
本発明の効果を損ねない範囲であれば、各種の添加剤の添加量が水溶性高分子の全体100質量%に対して30質量%以下含まれていてもよい。下限値は特に制限なく、該各種の添加剤の添加量が全体100質量%に対して0質量%であってもよい。該各種の添加剤としては、酸化防止剤、耐候剤、熱安定剤、滑剤、結晶核剤、紫外線吸収剤及び着色剤等が使用できる。また、本発明の効果を損ねない範囲であれば、無機又は有機の粒子が、全体100質量%に対して20質量%以下含まれていてもよい。下限値は特に制限なく、該各種の添加剤の添加量が全体100質量%に対して0質量%であってもよい。例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化珪素、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、アルミナ、硫酸バリウム、ジルコニア、リン酸カルシウム、架橋ポリスチレン系粒子及び金属ナノ粒子等が使用できる。
(繊維構造体(A))
本発明の繊維構造体(A)は、水溶性高分子を含む繊維を有し、その繊維の表面の少なくとも一部が、後述する難水溶性高分子を含む膜で被覆された繊維による構造体である。繊維構造体(A)は、構造中の各繊維に対し被膜を施すことで、繊維構造を維持することができる。
本発明の繊維構造体(A)は、水溶性高分子を含む繊維を有し、その繊維の表面の少なくとも一部が、後述する難水溶性高分子を含む膜で被覆された繊維による構造体である。繊維構造体(A)は、構造中の各繊維に対し被膜を施すことで、繊維構造を維持することができる。
本発明における繊維構造体(A)が有する繊維は、布帛状態はもちろん、帯状物、紐状物、糸状物等から構成されるものであってもよい。布帛としては、織物、編物、不織布が好ましく、複合材料であってもよい。生産性の観点からは不織布が望ましい。また、繊維構造体(A)に用いられる繊維の形態は特に限定されるものではない。また、1種のポリマーから構成されていてもよく、2種類以上のポリマーから構成されていても差し支えない。
繊維構造体(A)が有する繊維が不織布の場合、その製造方法は特に限定されないが、乾式法、湿式法、メルトブロー法及びスパンボンド法等を用いてフリースを形成し、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法及び水流絡合法等を用いて繊維間結合し得ることができる。
上記の繊維構造体(A)の厚みは、10μm〜10mmであることが好ましい。繊維構造体(A)は、積層体に十分な柔軟性や形状記憶性を付与するため、厚みの下限は、より好ましくは50μm以上であり、さらに好ましくは100μm以上である。また、厚みの上限は、より好ましくは5mm以下であり、さらに好ましくは1mm以下である。
上記の繊維構造体(A)が有する繊維は、水溶性高分子を含む。これは、後述するように水溶性高分子を含むことにより、被着体に貼り付けた後に水等の水溶液で繊維構造体(A)が有する繊維を溶解させることができるためである。ここで、水溶性高分子については前述したとおりである。
上記の繊維構造体(A)が有する繊維の平均繊維直径は、水への溶解性、繊維強度の観点から、0.001μm以上100μm以下であることが好ましい。また、上記の繊維構造体(A)が有する繊維の平均繊維直径は、0.1μm以上がより好ましく、1μm以上がさらにより好ましい。上記の繊維構造体(A)が有する繊維の平均繊維直径が、0.001μm以上であれば、紡糸時において安定的に製糸することができる。また、上記の繊維構造体(A)が有する繊維の平均繊維直径は、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがさらにより好ましい。上記の繊維構造体(A)が有する繊維の平均繊維直径が、100μm以下であれば、十分な柔軟性や形状記憶性を付与することができる。
上記の繊維構造体(A)中の水溶性高分子の目付量は、1g/m2〜400g/m2であることが好ましい。また、上記の繊維構造体(A)中の水溶性高分子の目付量の下限は、10g/m2以上であることがより好ましく、15g/m2以上であることがさらにより好ましい。上記の繊維構造体(A)中の水溶性高分子の目付量が、1g/m2以上であれば、繊維構造体(A)の形態安定性・寸法安定性が向上し、生分解性高分子を含む膜(C)との貼合時の伸びによる加工ムラ、破れの発生を抑えることができる。また、上記の繊維構造体(A)中の水溶性高分子の目付量の上限は、400g/m2以下であることが好ましく、150g/m2以下であることがさらに好ましく、32g/m2以下、30g/m2以下、20g/m2以下であることがさらにより好ましい。
上記の繊維構造体(A)は、プレス等の処理を施してもよい。プレス処理は、繊維構造体(A)を得る工程後のいずれの工程間で処理してもよい。プレス時のセット性を高めるため、熱プレスをすることが好ましい。
(水溶性高分子を含む膜(B))
本発明における膜(B)は、水溶性高分子を含む。また、1種のポリマーから構成されていてもよく、2種類以上のポリマーから構成されていても差し支えない。
本発明における膜(B)は、水溶性高分子を含む。また、1種のポリマーから構成されていてもよく、2種類以上のポリマーから構成されていても差し支えない。
本発明における水溶性高分子を含む膜(B)の厚みは、積層体としての取扱い性、柔軟性の観点から、1〜20μmであることが好ましく、2〜10μmがより好ましい。水溶性高分子を含む膜(B)の厚みを1μm以上とすることで、単膜として取扱いに優れる。また、水溶性高分子を含む膜(B)の厚みを20μm以下とすることで、しなやかさを保つことが出来る。
(難水溶性高分子)
本発明における難水溶性高分子とは、1気圧の環境下において、常温(例えば、25℃±5℃)の水に対する溶解度が10g/100g以下である水溶性高分子を指す。高温の水で溶解した後、徐冷して常温に戻しても析出しないことが好ましい。このような性質を有することで、後述する繊維構造体(A)が有する繊維の表面を難水溶性高分子を含む膜で被覆する際の溶液調整が容易になる。
本発明における難水溶性高分子とは、1気圧の環境下において、常温(例えば、25℃±5℃)の水に対する溶解度が10g/100g以下である水溶性高分子を指す。高温の水で溶解した後、徐冷して常温に戻しても析出しないことが好ましい。このような性質を有することで、後述する繊維構造体(A)が有する繊維の表面を難水溶性高分子を含む膜で被覆する際の溶液調整が容易になる。
難水溶性高分子としては、具体的には、高鹸化ポリビニルアルコール(以下、PVAと記載することがある。)、完全鹸化PVA、ポリ(N−プロパノイルエチレンイミン)グラフト−ジメチルシロキサン/γ−アミノプロピルメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーン、ツエイン(とうもろこし蛋白質の主要成分)等の合成高分子化合物や、アシル化プルラン、アルキル化プルラン等の多糖類の誘導体や、アミロース、アミロペクチン又はその混合物である澱粉等の多糖類、さらにはアラビノキシラン及びグルクロノキシラン等のキシラン類、ガラクタン類等のペクチン系多糖、キシログルカン類、グルコマンナン等のマンナン類、コンドロイチンやグルコサミン等のムコ多糖類、グリコーゲン等の動物性多糖類、ジェランガム等の天然高分子化合物並びに架橋化ゼラチン等の水溶性高分子を架橋した化合物等が挙げられる。
難水溶性高分子は、単独又は2種以上の高分子化合物を組み合わせて用いることもできる。上記の中でも、本発明の難水溶性高分子として用いる高分子化合物は、生体内での安全性の観点から、生体適合性を有することが好ましい。具体的には、アセチル化プルラン、プロピオニル化プルラン又はアシル化プルランが好ましく、アセチル化プルランである事がより好ましい。なお、本発明において「生体適合性」を有する材料とは、生体組織に対して刺激や悪影響を殆どあるいは全く与えないものをいう。より具体的には、その材料が生体組織に対して有害な物質を発生又は溶出させることがなく、その材料と接触した生体組織が、当該材料を異物と判断して炎症や血液凝固等の防御反応を示すことがないようなものを意味する。
難水溶性高分子に用いられるアセチル化プルランは、プルランの化学構造中の水酸基をアセチル化することによって得られる。難水溶性高分子に用いられるアセチル化プルランのアセチル化度は、プルランの化学構造中の水酸基に対して5質量%以上25質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上20質量%である。5質量%以上25質量%以下でプルラン中の水酸基をアセチル化することにより、上述の難水溶性を満たすアセチル化プルランを得る事が出来る。
上記の繊維構造体(A)中の難水溶性高分子の目付量は、5g/m2〜20g/m2であることが好ましい。また、上記の繊維構造体(A)中の難水溶性高分子の目付量が、5g/m2以上であれば、繊維構造体(A)中の水溶性高分子を含む繊維が水と接触することを防止することができる。また、上記の繊維構造体(A)中の水溶性高分子の目付量の上限は、20g/m2以下であることが好ましく、15g/m2以下であることがさらに好ましい。
(生分解性高分子)
本発明における生分解性高分子とは、生分解性を有する高分子を指す。生分解性高分子としては、ポリヒドロキシアルカン酸又はジオール化合物とジカルボン酸化合物の重縮合によって得られる共重合体である事が好ましい。この内、ポリヒドロキシアルカン酸は、一種のモノマーからなる単独重合体(ホモポリマー)であってもよく、あるいは二種以上のモノマーからなる共重合体(コポリマー)であってもよい。ポリヒドロキシアルカン酸が共重合体である場合、ランダム共重合体及びブロック共重合体のいずれであってもよい。ポリヒドロキシアルカン酸を構成するモノマーの具体例としては、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、グリコール酸及びカプロン酸が挙げられる。また、ポリヒドロキシアルカン酸を生成する原料モノマーの具体例としてε-カプロラクトンが挙げられる。好ましくは、ポリヒドロキシアルカン酸は、乳酸、グリコール酸及びカプロン酸からなる群から選択されるモノマーの単独重合体であるか、上記モノマーを2以上含む共重合体である。十分な生分解性を確保する観点から、ポリヒドロキシアルカン酸は、乳酸とグリコール酸の共重合体、特にランダム共重合体であることが好ましい。ポリヒドロキシアルカン酸を構成するモノマーは、L体又はD体のいずれであってもよく、場合によってはポリマー中にD体とL体が混在していてもよいが(DL体)、機械的強度等の物性に優れる点から、D体又はL体のみからなることが好ましい。また、ジオール化合物とジカルボン酸化合物の重縮合によって得られる共重合体について、ジオール化合物としては特に限定されないが、生体適合性が高いという点で、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール及びポリアルキレングリコールが好ましく用いられる。さらに、ジカルボン酸化合物としては、特に限定されないが、生体適合性が高いという点で、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スメリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸が好ましく用いられる。
本発明における生分解性高分子とは、生分解性を有する高分子を指す。生分解性高分子としては、ポリヒドロキシアルカン酸又はジオール化合物とジカルボン酸化合物の重縮合によって得られる共重合体である事が好ましい。この内、ポリヒドロキシアルカン酸は、一種のモノマーからなる単独重合体(ホモポリマー)であってもよく、あるいは二種以上のモノマーからなる共重合体(コポリマー)であってもよい。ポリヒドロキシアルカン酸が共重合体である場合、ランダム共重合体及びブロック共重合体のいずれであってもよい。ポリヒドロキシアルカン酸を構成するモノマーの具体例としては、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、グリコール酸及びカプロン酸が挙げられる。また、ポリヒドロキシアルカン酸を生成する原料モノマーの具体例としてε-カプロラクトンが挙げられる。好ましくは、ポリヒドロキシアルカン酸は、乳酸、グリコール酸及びカプロン酸からなる群から選択されるモノマーの単独重合体であるか、上記モノマーを2以上含む共重合体である。十分な生分解性を確保する観点から、ポリヒドロキシアルカン酸は、乳酸とグリコール酸の共重合体、特にランダム共重合体であることが好ましい。ポリヒドロキシアルカン酸を構成するモノマーは、L体又はD体のいずれであってもよく、場合によってはポリマー中にD体とL体が混在していてもよいが(DL体)、機械的強度等の物性に優れる点から、D体又はL体のみからなることが好ましい。また、ジオール化合物とジカルボン酸化合物の重縮合によって得られる共重合体について、ジオール化合物としては特に限定されないが、生体適合性が高いという点で、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール及びポリアルキレングリコールが好ましく用いられる。さらに、ジカルボン酸化合物としては、特に限定されないが、生体適合性が高いという点で、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スメリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸が好ましく用いられる。
生分解性高分子は、塗膜塗工液作成時の溶媒への溶解性向上を目的として、結晶性生分解性高分子(例えば、ポリL乳酸)と非晶性生分解性高分子(例えば、ポリDL乳酸)を混合してもよい。この場合、それぞれの生分解性高分子の割合は本発明の効果を損ねない範囲で決定すればよい。
生分解性高分子の重量平均分子量は、成形性の観点から、3万以上40万以下が好ましく、5万以上40万以下がより好ましく、さらに好ましくは8万以上40万以下、さらにより好ましくは10万以上50万以下である。なお、本発明でいう重量平均分子量とは、ゲルパーミテーションクロマトグラフィー(GPC)でクロロホルム溶媒にて測定を行い、ポリメチルメタクリレート(PMMA)換算法により計算した分子量をいう。生分解性高分子の重量平均分子量を3万以上40万以下とすることで、機械特性をより優れたものとすることができる。
(生分解性高分子を含む膜(C))
本発明の膜(C)は、生分解性高分子を含む。生分解性高分子を含む膜(C)は、例えば、生分解性高分子を含む溶液を基材フィルムに塗布した後、溶媒を揮発させることで製造することができる。生分解性高分子を含む膜(C)を溶解する溶媒は、任意のものを使うことができ、例えば、酢酸エチル、アセトン及びジクロロメタン等の極性有機溶媒を、それぞれ好適に用いることができる。
本発明の膜(C)は、生分解性高分子を含む。生分解性高分子を含む膜(C)は、例えば、生分解性高分子を含む溶液を基材フィルムに塗布した後、溶媒を揮発させることで製造することができる。生分解性高分子を含む膜(C)を溶解する溶媒は、任意のものを使うことができ、例えば、酢酸エチル、アセトン及びジクロロメタン等の極性有機溶媒を、それぞれ好適に用いることができる。
生分解性高分子を含む溶液の塗布方法は特に限定されず、例えば、スピンコーティング、グラビアコーティング、ダイレクトリップコーティング、スロットコーティング、コンマコーティング、インクジェット及びシルクスクリーン印刷等の公知の技術を用いて行うことができる。
生分解性高分子を含む膜(C)の厚みは、柔軟性の観点から、10nm以上500nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、20nm以上200nm以下がさらにより好ましい。厚みを10nm以上とすることで製膜性が安定し、500nm以下とすることで高い柔軟性を発揮することができる。
生分解性高分子を含む膜(C)は、機械強度を向上させる目的で、生分解性高分子を含む膜(C)の全体100質量%に対して耐衝撃性改良剤を2質量%以上20質量%以下含有してもよい。好ましくは2.5質量%以上15質量%以下である。耐衝撃性改良剤の含有量が多くなるほど、耐衝撃性の改良効果は向上するが、20質量%以下である方が、生分解性高分子を含む膜(C)の重量を減少させる点で好ましい。
本発明の効果を損なわない範囲であれば、各種の添加剤を生分解性高分子を含む膜(C)の全体100質量%に対して30質量%以下含まれていてもよい。該各種の添加剤としては、酸化防止剤、耐候剤、熱安定剤、滑剤、結晶核剤、紫外線吸収剤及び着色剤等が使用できる。添加剤の含有量の下限は特に制限なく、生分解性高分子を含む膜(C)の全体100質量%に対して0質量%であっても問題ない。また、透明性を損なわない程度であれば、無機又は有機の粒子が、生分解性高分子を含む膜(C)の全体100質量%に対して20質量%以下含まれていてもよい。例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化珪素、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、アルミナ、硫酸バリウム、ジルコニア、リン酸カルシウム、架橋ポリスチレン系粒子及び金属ナノ粒子等である。無機又は有機の粒子の含有量の下限は特に制限なく、生分解性高分子を含む膜(C)の全体100質量%に対して0質量%であっても問題ない。
(積層体)
本発明の積層体は、水溶性高分子を含む繊維及び繊維の表面を被覆している難水溶性高分子を含む膜を有する繊維構造体(A)と、水溶性高分子を含む厚さ1〜500μmの膜(B)と、生分解性高分子を含む厚さ10〜1000nmの膜(C)とを備え、繊維構造体(A)、膜(B)、膜(C)の順で積層されて構成されている。
本発明の積層体は、水溶性高分子を含む繊維及び繊維の表面を被覆している難水溶性高分子を含む膜を有する繊維構造体(A)と、水溶性高分子を含む厚さ1〜500μmの膜(B)と、生分解性高分子を含む厚さ10〜1000nmの膜(C)とを備え、繊維構造体(A)、膜(B)、膜(C)の順で積層されて構成されている。
以下に本発明の積層体の代表的な製造方法を示す。
[基材]
積層体の製造方法における基材について説明する。本発明において用いられる基材は、水溶性高分子を含む膜(B)と、生分解性高分子を含む膜(C)を形成するために用いる基材として使用される。
積層体の製造方法における基材について説明する。本発明において用いられる基材は、水溶性高分子を含む膜(B)と、生分解性高分子を含む膜(C)を形成するために用いる基材として使用される。
本発明において、製造方法に用いられる基材は、高分子物質からなるフィルムであることが好ましい。基材に用いるフィルム(以下、基材フィルム)の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン12等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体又はその鹸化物、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、セルロース、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール及びこれらの共重合体等が挙げられる。積層時に膜として均一な厚みを確保する観点から、基材フィルムの材料としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル又はポリエチレン並びにポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましい。表面の濡れ張力が高いことから、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルが特に好ましい。
水溶性高分子を含む膜(B)を塗膜層として形成する前に、基材フィルムにコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理又は紫外線照射処理等の表面処理を施すことがより好ましい。
基材フィルムは、未延伸フィルム、一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムのいずれでもよいが、寸法安定性及び機械特性の観点から、二軸延伸フィルムが好ましい。
また、基材フィルムには、各種の添加剤が含まれていてもよい。例えば、酸化防止剤、耐候剤、熱安定剤、滑剤、結晶核剤、紫外線吸収剤及び着色剤等である。また、著しく表面平滑性を損なわない程度であれば、無機又は有機の粒子を含んでいてもよい。例えば、タルク、カオリナイト、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化珪素、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、アルミナ、硫酸バリウム、ジルコニア、マイカ、リン酸カルシウム及び架橋ポリスチレン系粒子等である。
上記の基材フィルムに添加される無機又は有機の粒子の平均粒子径は、好ましくは0.001μm〜10μm、より好ましくは0.003μm〜5μmである。なお、ここで平均粒子径は、透過型電子顕微鏡等を用いて10,000倍〜100,000倍の写真を撮影し、数平均により求めた粒子径である。
さらに、これらの基材フィルムは、透明であることが好ましい。基材フィルムの全光線透過率は、40%以上が好ましく、60%以上がさらに好ましく、上限は限りなく100%に近くても問題ない。基材フィルムのヘイズは20%以下であることが好ましく、15%以下がより好ましい。ヘイズが20%以下であれば、基材フィルム上で作成する水溶性高分子を含む膜(B)と生分解性高分子を含む膜(C)の光学検査機による検査確認が容易になるため好ましい。ヘイズの下限に特に制限はなく、限りなく0%に近くても問題ない。
基材フィルムの厚さは、特に限定されないが、2μm〜1,000μmが好ましく、経済性の観点から10μm〜500μmがより好ましい。
[積層体を製造する方法]
本発明における積層体を製造する方法は、特に限定されないが、例えば次のような方法を用いることができる。
(1)基材フィルム上に、水溶性高分子を含む膜(B)と生分解性高分子を含む膜(C)とを有する積層膜を形成する
(2)形成した水溶性高分子を含む膜(B)及び生分解性高分子を含む膜(C)が積層した積層膜を基材フィルムから剥離する。
(3)形成・剥離した水溶性高分子を含む膜(B)及び生分解性高分子を含む膜(C)が積層した積層膜の膜(B)側に、水溶性高分子を含む繊維を有する繊維構造体を貼り合わせる。この積層に際し、形成・剥離した膜と繊維構造体との間に水又は水溶液を、例えば、噴霧により付与する。
(4)水溶性高分子を含む繊維の表面を難水溶性高分子を含む膜により被覆し、繊維構造体(A)を形成する。
本発明における積層体を製造する方法は、特に限定されないが、例えば次のような方法を用いることができる。
(1)基材フィルム上に、水溶性高分子を含む膜(B)と生分解性高分子を含む膜(C)とを有する積層膜を形成する
(2)形成した水溶性高分子を含む膜(B)及び生分解性高分子を含む膜(C)が積層した積層膜を基材フィルムから剥離する。
(3)形成・剥離した水溶性高分子を含む膜(B)及び生分解性高分子を含む膜(C)が積層した積層膜の膜(B)側に、水溶性高分子を含む繊維を有する繊維構造体を貼り合わせる。この積層に際し、形成・剥離した膜と繊維構造体との間に水又は水溶液を、例えば、噴霧により付与する。
(4)水溶性高分子を含む繊維の表面を難水溶性高分子を含む膜により被覆し、繊維構造体(A)を形成する。
[繊維構造体の作成方法]
製造方法は特に限定しないが、溶媒に溶解して得た紡糸原液を、ノズルを通して加熱空気中に押し出して溶媒を蒸発除去する乾式紡糸が、水溶性高分子の種類に対して広く適応可能のため望ましい。
製造方法は特に限定しないが、溶媒に溶解して得た紡糸原液を、ノズルを通して加熱空気中に押し出して溶媒を蒸発除去する乾式紡糸が、水溶性高分子の種類に対して広く適応可能のため望ましい。
[水溶性子分子を含む膜(B)及び生分解性高分子を含む膜(C)の作成方法]
1.製膜方法
塗工方法は特に限定しないが、グラビアコーティング、ダイレクトリップコーティング、スロットコーティング、コンマコーティング、インクジェット及びシルクスクリーン印刷等が挙げられる。製膜に用いる基材フィルムは特に限定しないが、硝子板、金属板及びプラスチックフィルム等が挙げられ、経済性の観点から、プラスチックフィルムを基材フィルムとして用いるのが望ましく、特に表面平滑性を有するプラスチックフィルムが望ましい。
1.製膜方法
塗工方法は特に限定しないが、グラビアコーティング、ダイレクトリップコーティング、スロットコーティング、コンマコーティング、インクジェット及びシルクスクリーン印刷等が挙げられる。製膜に用いる基材フィルムは特に限定しないが、硝子板、金属板及びプラスチックフィルム等が挙げられ、経済性の観点から、プラスチックフィルムを基材フィルムとして用いるのが望ましく、特に表面平滑性を有するプラスチックフィルムが望ましい。
基材フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル又はポリプロピレン等のポリオレフィンの二軸延伸フィルムを用いる場合には、二軸延伸フィルム製膜工程後にコートするオフラインコート、二軸延伸フィルム製膜工程内でコートするインラインコートのどちらの方法を用いてもよい。
インラインコートが用いられる場合には、フィルムが熱固定される前にコーティングを行うことが好ましい。熱固定とは、延伸されたフィルムを延伸温度より高く、またフィルムの融点より低い温度で保持したまま熱処理することによって、フィルムを結晶化させることである。したがって、未延伸フィルム、長手方向又は横手方向への一軸延伸直後のフィルム若しくは二軸延伸直後のフィルムへのコーティングが好ましい。より好ましくは一軸延伸直後のフィルムへのコーティングであり、その後フィルムをさらに一軸以上に延伸、熱固定することがさらに好ましい。塗膜の乾燥方法は、熱ロール接触法、熱媒(空気、オイル等)接触法、赤外線加熱法及びマイクロ波加熱法等が利用できる。
基材フィルムの上にオフラインコートで塗膜を形成する方法は、高速で薄膜コートすることが可能である点で、塗膜の構成成分を各種溶媒に分散させた溶液を、グラビアコート、リバースコート、スプレーコート、キッスコート、コンマコート、ダイコート、ナイフコート、エアーナイフコート又はメタリングバーコートするのが好適である。基材フィルムは、塗布前に接着促進処理、例えば空気中、窒素ガス中、窒素/炭酸ガスの混合ガス、その他の雰囲気下でのコロナ放電処理、減圧下でのプラズマ処理、火炎処理又は紫外線処理等を施すことがより好ましい。さらに、ウレタンポリマー、エポキシポリマー又はポリエチレンイミン等のアンカー処理剤を用いてアンカー処理を施してもよい。
水溶性高分子を含む膜(B)の塗膜の乾燥は、オフラインコートの場合には60℃〜180℃、インラインコートの場合には80℃〜250℃の範囲内で行われることが好ましい。乾燥時間は、好ましくは1秒〜60秒、より好ましくは3秒〜30秒である。
生分解性高分子を含む膜(C)の乾燥は、オフラインコートの場合には60℃〜110℃、インラインコートの場合には80℃〜180℃の範囲内で行われることが好ましい。乾燥時間は、好ましくは1秒〜60秒、より好ましくは3秒〜30秒である。
2.基材フィルムからの剥離
次に、基材フィルムから、水溶性高分子を含む膜(B)及び生分解性高分子を含む膜(C)が積層した積層膜を機械的に剥離する。
次に、基材フィルムから、水溶性高分子を含む膜(B)及び生分解性高分子を含む膜(C)が積層した積層膜を機械的に剥離する。
3.積層膜の支持体への固定
さらに、基材フィルムからの剥離にて得られた積層膜を、繊維構造体との接合面と支持体とが接触しないように設置する。支持体は特に限定しないが、硝子板、金属板及びプラスチックフィルム等が挙げられ、経済性の観点から、プラスチックフィルムを支持体として用いるのが好ましく、特に、表面離型性を有するプラスチックフィルムが好ましい。
さらに、基材フィルムからの剥離にて得られた積層膜を、繊維構造体との接合面と支持体とが接触しないように設置する。支持体は特に限定しないが、硝子板、金属板及びプラスチックフィルム等が挙げられ、経済性の観点から、プラスチックフィルムを支持体として用いるのが好ましく、特に、表面離型性を有するプラスチックフィルムが好ましい。
4.積層膜と繊維構造体の貼り合わせ
基材フィルムからの剥離にて得られた積層膜を、水溶性高分子を含む繊維を有する繊維構造体と貼合せる方法は、特に限定されないが、繊維構造体に水又は水溶液を吹きかけて繊維の表面を溶解させ、繊維構造体の片面に対し、積層膜における水溶性高分子を含む膜(B)の表面を接触させて溶着させる。
基材フィルムからの剥離にて得られた積層膜を、水溶性高分子を含む繊維を有する繊維構造体と貼合せる方法は、特に限定されないが、繊維構造体に水又は水溶液を吹きかけて繊維の表面を溶解させ、繊維構造体の片面に対し、積層膜における水溶性高分子を含む膜(B)の表面を接触させて溶着させる。
上記水溶液は特に限定しないが、純水、アルコール水溶液、ミネラル分散液及び薬剤分散水溶液等が挙げられるが、経済面から純水が望ましい。また、水又は水溶液の噴霧方法は特に限定されないが、スプレーやシャワー等の噴霧器を用いて液体を微細な形状で広範囲に均一分散できればよく、例えば、蓄圧式スプレー、ノズルスプレー法(二流体ノズル、三流体ノズル、四流体ノズル)及びインクジェット法等を用いることができる。
5.難水溶性高分子を含む膜による繊維の被覆
繊維構造体中の水溶性高分子を含む繊維に対し、難水溶性高分子を含む膜による被覆を行い、積層体を完成させる。繊維を難水溶性高分子を含む膜で被覆する方法としては、繊維構造体の繊維構造を維持するように被覆を行うため、噴霧器によるスプレーコート法が好ましい。スプレーコート法に用いる難水溶性高分子の溶媒としては、繊維構造体を構成する水溶性高分子を含む繊維を溶解させない溶媒を用いることが好ましく、例えば、エタノール、酢酸エチル及びアセトン等の有機溶媒や、アルコール類と水の混合溶媒が挙げられる。水溶性高分子を含む繊維で構成される繊維構造を維持したまま、難水溶性高分子を被覆することで、繊維構造体(A)が形成される。これにより、繊維構造体(A)は、元の柔軟性及び風合いを保ちつつ、耐水性を向上させることができる。繊維構造体(A)中の難水溶性高分子の目付量としては、水と接触した時のベタ付きを防止するため、5g/m2以上20g/m2であることが好ましい。
繊維構造体中の水溶性高分子を含む繊維に対し、難水溶性高分子を含む膜による被覆を行い、積層体を完成させる。繊維を難水溶性高分子を含む膜で被覆する方法としては、繊維構造体の繊維構造を維持するように被覆を行うため、噴霧器によるスプレーコート法が好ましい。スプレーコート法に用いる難水溶性高分子の溶媒としては、繊維構造体を構成する水溶性高分子を含む繊維を溶解させない溶媒を用いることが好ましく、例えば、エタノール、酢酸エチル及びアセトン等の有機溶媒や、アルコール類と水の混合溶媒が挙げられる。水溶性高分子を含む繊維で構成される繊維構造を維持したまま、難水溶性高分子を被覆することで、繊維構造体(A)が形成される。これにより、繊維構造体(A)は、元の柔軟性及び風合いを保ちつつ、耐水性を向上させることができる。繊維構造体(A)中の難水溶性高分子の目付量としては、水と接触した時のベタ付きを防止するため、5g/m2以上20g/m2であることが好ましい。
[積層体の耐水性評価]
JIS L1907(2010)に類似の方法に基づき評価した。試験片の表面からビュレットの先端までが10mmの高さになるように調整する。ビュレットから水を1滴滴下させて水滴が試験片の最外層(繊維構造体(A))の表面に達した時を開始時間としてその下層、さらにその最下層であるもう一方の最外層まで水が浸透した時間を終了時間とし、開始時間から終了時間までに要する時間を測定する。ここでいう浸透した状態とは、層の形状を維持できずに崩れることを指し、多方面からの線維の形状を目視確認して判断する。
JIS L1907(2010)に類似の方法に基づき評価した。試験片の表面からビュレットの先端までが10mmの高さになるように調整する。ビュレットから水を1滴滴下させて水滴が試験片の最外層(繊維構造体(A))の表面に達した時を開始時間としてその下層、さらにその最下層であるもう一方の最外層まで水が浸透した時間を終了時間とし、開始時間から終了時間までに要する時間を測定する。ここでいう浸透した状態とは、層の形状を維持できずに崩れることを指し、多方面からの線維の形状を目視確認して判断する。
耐水性の評価指標は以下の通りとした。
評価A:浸透終了までに要した時間が15秒以上3分未満
評価B:溶解終了までに要した時間が5秒以上15秒未満若しくは3分以上5分未満
評価C:5秒未満若しくは5分以上
評価A:浸透終了までに要した時間が15秒以上3分未満
評価B:溶解終了までに要した時間が5秒以上15秒未満若しくは3分以上5分未満
評価C:5秒未満若しくは5分以上
[積層体のべたつき評価]
2cm角からなる試験片及びビュレットを準備し、耐水性試験と同様にビュレットから水滴を1滴、試験片の最外層(繊維構造体(A))の表面に滴下した。滴下直後、ピンセットにて滴下した場所を含むように挟んで試験片を持ち上げ、離した。離した際に試験片が落ちた場合はベタ付きなしと判断し(○と表示)、試験片が落ちずにピンセットへ付着した場合はベタ付きありと判断し(×と表示)、それぞれ評価した。
2cm角からなる試験片及びビュレットを準備し、耐水性試験と同様にビュレットから水滴を1滴、試験片の最外層(繊維構造体(A))の表面に滴下した。滴下直後、ピンセットにて滴下した場所を含むように挟んで試験片を持ち上げ、離した。離した際に試験片が落ちた場合はベタ付きなしと判断し(○と表示)、試験片が落ちずにピンセットへ付着した場合はベタ付きありと判断し(×と表示)、それぞれ評価した。
[積層体の使用方法]
本発明の積層体の使用方法としては、例えば、以下に示す使用方法が挙げられる。
本発明の積層体の使用方法としては、例えば、以下に示す使用方法が挙げられる。
まず、本発明の積層体を目的の被着体上に配置する。その後、積層体に水又は水溶液を散布し、繊維構造体(A)中の水溶性高分子を含む繊維及び水溶性高分子を含む膜(B)を溶解させて除去し、生分解性高分子を含む膜(C)を目的の被着体に密着させる。この時、水溶性高分子を含む繊維は、難水溶性高分子を含む膜により被覆されているため、水への耐水性が向上している。
本発明の積層体は、生体内のように水分が多く存在する環境下で使用可能であり、臓器表面や創傷部位の保護材、被覆材、癒着防止材、人工硬膜及び止血剤等の医療機器に好ましく用いることが出来る。また、繊維構造体中の水溶性高分子を含む繊維を、難水溶性高分子を含む膜により被覆することにより、耐水性が向上し、濡れた時にべたつかない材料を提供することが出来る。
実施例1〜5、比較例1〜3に使用した材料装置のそれぞれについて以下に説明する。
[使用した基材フィルム]
(ポリエステルフィルム(以下、「PET」))
2軸延伸ポリエステルフィルム(東レ株式会社製、“ルミラー”(登録商標)、タイプ:T60、厚み100μm)。
(ポリエステルフィルム(以下、「PET」))
2軸延伸ポリエステルフィルム(東レ株式会社製、“ルミラー”(登録商標)、タイプ:T60、厚み100μm)。
[使用した水溶性高分子]
(プルラン)
重量平均分子量 約300,000、動粘度100〜180mm2/秒(粘度の測定条件:温度30℃、固形分濃度10質量%水溶液)のプルラン(日本薬局方 プルラン)。
(プルラン)
重量平均分子量 約300,000、動粘度100〜180mm2/秒(粘度の測定条件:温度30℃、固形分濃度10質量%水溶液)のプルラン(日本薬局方 プルラン)。
[使用した難水溶性高分子]
(アセチル化プルラン)
重量平均分子量 約300,000、動粘度100〜180mm2/秒(粘度の測定条件:温度30℃、固形分濃度10質量%水溶液)のプルラン(日本薬局方 プルラン)のヒドロキシル基の18.2%にアセチル基が導入されたアセチル化プルラン。
(アセチル化プルラン)
重量平均分子量 約300,000、動粘度100〜180mm2/秒(粘度の測定条件:温度30℃、固形分濃度10質量%水溶液)のプルラン(日本薬局方 プルラン)のヒドロキシル基の18.2%にアセチル基が導入されたアセチル化プルラン。
[使用した生分解性高分子]
(ポリ乳酸(以下、「PLA」)):
全体に対するポリD−乳酸量が50mol%、融点なし(非晶質)、PMMA換算の重量平均分子量40万のポリL−乳酸−D−乳酸共重合系ポリマー(Corbion社製 PURASORB(登録商標)PDL20)。
(ポリ乳酸(以下、「PLA」)):
全体に対するポリD−乳酸量が50mol%、融点なし(非晶質)、PMMA換算の重量平均分子量40万のポリL−乳酸−D−乳酸共重合系ポリマー(Corbion社製 PURASORB(登録商標)PDL20)。
(実施例1)
実施例1では、水溶性高分子としてプルランを用いた。水溶性高分子の繊維からなる、厚み300μm、目付量32g/m2からなる繊維構造体、水溶性高分子からなる厚み6μmの膜(B)を作成した。また、生分解性高分子としてPLAを用い、生分解性高分子からなる厚み150nmの膜(C)を作成した。これらを積層し、繊維構造体、膜(B)、膜(C)の順に積層した積層体を作成した。
実施例1では、水溶性高分子としてプルランを用いた。水溶性高分子の繊維からなる、厚み300μm、目付量32g/m2からなる繊維構造体、水溶性高分子からなる厚み6μmの膜(B)を作成した。また、生分解性高分子としてPLAを用い、生分解性高分子からなる厚み150nmの膜(C)を作成した。これらを積層し、繊維構造体、膜(B)、膜(C)の順に積層した積層体を作成した。
アセチル化プルランを難水溶性高分子として用い、繊維構造体を上面にしてスプレーコートを行い、繊維構造体が有する水溶性高分子からなる繊維の表面に難水溶性高分子からなる膜を形成した。スプレーコートの際、繊維構造体(A)中の難水溶性高分子の目付量が5g/m2となるようにして被膜を行い、繊維構造体(A)を形成した。アセチル化プルランの溶媒にはエタノール/水70%からなる溶媒を使用した。
(実施例2)
実施例2では、水溶性高分子としてプルランを用いた。水溶性高分子の繊維からなる、厚み300μm、目付量32g/m2の繊維構造体、水溶性高分子からなる厚み6μmの膜(B)を作成した。また、生分解性高分子としてPLAを用い、生分解性高分子からなる厚み150nmの膜(C)を作成した。これらを積層し、繊維構造体、膜(B)、膜(C)の順に積層した積層体を作成した。
実施例2では、水溶性高分子としてプルランを用いた。水溶性高分子の繊維からなる、厚み300μm、目付量32g/m2の繊維構造体、水溶性高分子からなる厚み6μmの膜(B)を作成した。また、生分解性高分子としてPLAを用い、生分解性高分子からなる厚み150nmの膜(C)を作成した。これらを積層し、繊維構造体、膜(B)、膜(C)の順に積層した積層体を作成した。
アセチル化プルランを難水溶性高分子として用い、繊維構造体(A)を上面にして、スプレーコートを行い、繊維構造体が有する水溶性高分子からなる繊維の表面に難水溶性高分子からなる膜を形成した。スプレーコートの際、繊維構造体(A)中の難水溶性高分子の目付量が15g/m2となるようにして被膜を行い、繊維構造体(A)を形成した。アセチル化プルランの溶媒にはエタノール/水70%からなる溶媒を使用した。
(実施例3)
実施例3では、水溶性高分子としてプルランを用いた。水溶性高分子の繊維からなる、厚み300μm、目付量20g/m2の繊維構造体、水溶性高分子膜からなる厚み6μmの膜(B)を作成した。また、生分解性高分子としてPLAを用い、生分解性高分子からなる厚み150nmの膜(C)を作成した。これらを積層し、繊維構造体、膜(B)、膜(C)の順に積層した積層体を作成した。
実施例3では、水溶性高分子としてプルランを用いた。水溶性高分子の繊維からなる、厚み300μm、目付量20g/m2の繊維構造体、水溶性高分子膜からなる厚み6μmの膜(B)を作成した。また、生分解性高分子としてPLAを用い、生分解性高分子からなる厚み150nmの膜(C)を作成した。これらを積層し、繊維構造体、膜(B)、膜(C)の順に積層した積層体を作成した。
アセチル化プルランを難水溶性高分子として用い、繊維構造体(A)を上面にして、スプレーコートを行い、繊維構造体が有する水溶性高分子からなる繊維の表面に難水溶性高分子からなる膜を形成した。スプレーコートの際、繊維構造体(A)中の難水溶性高分子の目付量が15g/m2となるようにして被膜を行い、繊維構造体(A)を形成した。アセチル化プルランの溶媒にはエタノール/水70%からなる溶媒を使用した。
(実施例4)
実施例4では、水溶性高分子としてプルランを用いた。水溶性高分子の繊維からなる、厚み300μm、目付量100g/m2の繊維構造体、水溶性高分子からなる厚み6μmの膜(B)を作成した。また、生分解性高分子としてPLAを用い、分解性高分子からなる厚み150nmの膜(C)を作成した。これらを積層し、繊維構造体、膜(B)、膜(C)の順に積層した積層体を作成した。
実施例4では、水溶性高分子としてプルランを用いた。水溶性高分子の繊維からなる、厚み300μm、目付量100g/m2の繊維構造体、水溶性高分子からなる厚み6μmの膜(B)を作成した。また、生分解性高分子としてPLAを用い、分解性高分子からなる厚み150nmの膜(C)を作成した。これらを積層し、繊維構造体、膜(B)、膜(C)の順に積層した積層体を作成した。
アセチル化プルランを難水溶性高分子として用い、繊維構造体(A)を上面にして、スプレーコートを行い、繊維構造体が有する水溶性高分子からなる繊維の表面に難水溶性高分子からなる膜を形成した。スプレーコートの際、繊維構造体(A)中の難水溶性高分子の目付量が15g/m2となるようにして被膜を行い、繊維構造体(A)を形成した。アセチル化プルランの溶媒にはエタノール/水70%からなる溶媒を使用した。
(実施例5)
実施例5では、水溶性高分子としてプルランを用いた。水溶性高分子の繊維からなる、厚み300μm、目付量32g/m2の繊維構造体、水溶性高分子からなる厚み6μmの膜(B)を作成した。また、生分解性高分子としてPLAを用い、生分解性高分子からなる厚み150nmの膜(C)を作成した。これらを積層し、繊維構造体、膜(B)、膜(C)の順に積層した積層体を作成した。
実施例5では、水溶性高分子としてプルランを用いた。水溶性高分子の繊維からなる、厚み300μm、目付量32g/m2の繊維構造体、水溶性高分子からなる厚み6μmの膜(B)を作成した。また、生分解性高分子としてPLAを用い、生分解性高分子からなる厚み150nmの膜(C)を作成した。これらを積層し、繊維構造体、膜(B)、膜(C)の順に積層した積層体を作成した。
アセチル化プルランを難水溶性高分子として用い、繊維構造体(A)を上面にして、スプレーコートを行い、繊維構造体が有する水溶性高分子からなる繊維の表面に難水溶性高分子からなる膜を形成した。スプレーコートの際、繊維構造体(A)中の難水溶性高分子の目付量が20g/m2となるようにして被膜を行い、繊維構造体(A)を形成した。アセチル化プルランの溶媒にはエタノール/水70%からなる溶媒を使用した。
(比較例1)
比較例1では、水溶性高分子としてプルランを用いた。水溶性高分子の繊維からなる、厚み300μm、目付量100g/m2の繊維構造体、水溶性高分子からなる厚み6μmの膜(B)を作成した。また、生分解性高分子としてPLAを用い、生分解性高分子からなる厚み150nmの膜(C)を作成した。繊維構造体、膜(B)、膜(C)の順に積層した積層体を作成した。
比較例1では、水溶性高分子としてプルランを用いた。水溶性高分子の繊維からなる、厚み300μm、目付量100g/m2の繊維構造体、水溶性高分子からなる厚み6μmの膜(B)を作成した。また、生分解性高分子としてPLAを用い、生分解性高分子からなる厚み150nmの膜(C)を作成した。繊維構造体、膜(B)、膜(C)の順に積層した積層体を作成した。
比較例1では繊維構造体中の繊維の表面に対し、難水溶性高分子を含む膜による被覆を実施しなかった。
(比較例2)
比較例2では、水溶性高分子としてプルランを用いた。水溶性高分子の繊維からなる、厚み300μm、目付量1000g/m2の繊維構造体、水溶性高分子からなる厚み6μmの膜(B)を作成した。また、生分解性高分子としてPLAを用い、生分解性高分子からなる厚み150nmの膜(C)を作成した。これらを積層し、繊維構造体、膜(B)、膜(C)の順に積層した積層体を作成した。
比較例2では、水溶性高分子としてプルランを用いた。水溶性高分子の繊維からなる、厚み300μm、目付量1000g/m2の繊維構造体、水溶性高分子からなる厚み6μmの膜(B)を作成した。また、生分解性高分子としてPLAを用い、生分解性高分子からなる厚み150nmの膜(C)を作成した。これらを積層し、繊維構造体、膜(B)、膜(C)の順に積層した積層体を作成した。
アセチル化プルランを難水溶性高分子として用い、繊維構造体(A)を上面にして、スプレーコートを行い、繊維構造体が有する水溶性高分子からなる繊維の表面に難水溶性高分子からなる膜を形成した。スプレーコートの際、繊維構造体(A)中の難水溶性高分子の目付量が15g/m2となるようにして被膜を行い、繊維構造体(A)を形成した。アセチル化プルランの溶媒にはエタノール/水70%からなる溶媒を使用した。
(比較例3)
比較例2では、水溶性高分子としてプルランを用いた。水溶性高分子の繊維からなる、厚み300μm、目付量32g/m2の繊維構造体(A)、水溶性高分子からなる厚み6μmの膜(B)を作成した。また、生分解性高分子としてPLAを用い、生分解性高分子からなる厚み150nmの膜(C)を作成した。これらを積層し、繊維構造体、膜(B)、膜(C)の順に積層した積層体を作成した。
比較例2では、水溶性高分子としてプルランを用いた。水溶性高分子の繊維からなる、厚み300μm、目付量32g/m2の繊維構造体(A)、水溶性高分子からなる厚み6μmの膜(B)を作成した。また、生分解性高分子としてPLAを用い、生分解性高分子からなる厚み150nmの膜(C)を作成した。これらを積層し、繊維構造体、膜(B)、膜(C)の順に積層した積層体を作成した。
アセチル化プルランを難水溶性高分子として用い、繊維構造体(A)を上面にして、スプレーコートを行い、繊維構造体が有する水溶性高分子からなる繊維の表面に難水溶性高分子からなる膜を形成した。スプレーコートの際、繊維構造体(A)中の難水溶性高分子の目付量が1g/m2となるようにして被膜を行い、繊維構造体(A)を形成した。アセチル化プルランの溶媒にはエタノール/水70%からなる溶媒を使用した。
(耐水性評価)
上記記載の積層体の耐水性評価を行った結果、実施例2〜5について、耐水性に優れており、評価Aであった。実施例1、比較例3については難水溶性高分子の量が少ないもののある程度の耐水性を有しており、評価Bであった。一方、比較例1に関しては、難水溶性高分子の膜で被膜されていないため、即座に溶解し、評価Cであった。また、比較例2に関しては、繊維構造体(A)中の水溶性高分子の目付量が多すぎるため溶解が遅く、評価Cであった。
上記記載の積層体の耐水性評価を行った結果、実施例2〜5について、耐水性に優れており、評価Aであった。実施例1、比較例3については難水溶性高分子の量が少ないもののある程度の耐水性を有しており、評価Bであった。一方、比較例1に関しては、難水溶性高分子の膜で被膜されていないため、即座に溶解し、評価Cであった。また、比較例2に関しては、繊維構造体(A)中の水溶性高分子の目付量が多すぎるため溶解が遅く、評価Cであった。
本発明における積層体は、水に濡れた時の取扱性に優れるため、血液等が付着する可能性のある外科手術現場での利用が見込まれる。
Claims (6)
- 水溶性高分子を含む繊維及び前記繊維の表面を被覆している難水溶性高分子を含む膜を有する繊維構造体(A)と、水溶性高分子を含む厚さ1〜500μmの膜(B)と、生分解性高分子を含む厚さ10〜1000nmの膜(C)とを備え、
前記繊維構造体(A)、前記膜(B)、前記膜(C)の順で積層され、
前記繊維構造体(A)中の水溶性高分子の目付量は、1g/m2〜400g/m2であり、前記繊維構造体(A)中の難水溶性高分子の目付量は、5g/m2〜20g/m2である、積層体。 - 前記難水溶性高分子は、アセチル化プルラン、プロピオニル化プルラン又はアシル化プルランである、請求項1記載の積層体。
- 前記膜(B)が含む生分解性高分子は、プルランである、請求項1又は2記載の積層体。
- 前記膜(C)が含む生分解性高分子は、ポリヒドロキシアルカン酸である、請求項1〜3のいずれか一項記載の積層体。
- 前記膜(C)が含む生分解性高分子は、乳酸、グリコール酸及びカプロン酸からなる群から選択される1種以上のモノマーから形成される、請求項1〜4のいずれか一項記載の積層体。
- 請求項1〜5のいずれか一項記載の積層体からなる、癒着防止材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017070164A JP2018171725A (ja) | 2017-03-31 | 2017-03-31 | 積層体及びこれを用いた癒着防止材 |
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ID=64106469
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111686293A (zh) * | 2020-06-18 | 2020-09-22 | 安信纳米生物科技(珠海)有限公司 | 一种复合敷料及其制备的负压引流装置 |
CN114957810A (zh) * | 2022-05-05 | 2022-08-30 | 中国科学院天津工业生物技术研究所 | 一种普鲁兰多糖形状记忆材料的制备方法及其4d打印方法及制品 |
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2017
- 2017-03-31 JP JP2017070164A patent/JP2018171725A/ja active Pending
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CN114957810B (zh) * | 2022-05-05 | 2023-04-18 | 中国科学院天津工业生物技术研究所 | 一种普鲁兰多糖形状记忆材料的制备方法及其4d打印方法及制品 |
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