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JP2018141459A - 水力発電装置 - Google Patents

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JP2018141459A JP2018017021A JP2018017021A JP2018141459A JP 2018141459 A JP2018141459 A JP 2018141459A JP 2018017021 A JP2018017021 A JP 2018017021A JP 2018017021 A JP2018017021 A JP 2018017021A JP 2018141459 A JP2018141459 A JP 2018141459A
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Abstract

【課題】人力により水力発電装置を水路から容易に引き上げ可能にすると共に、計画した場所に確実に設置することができる水力発電装置を提供する。【解決手段】この水力発電装置は、水力を回転力に変換する翼車2、およびこの翼車2の回転により発電する発電機5を有する水力発電モジュール3と、この水力発電モジュール3を支持する架台11と、水路に固定されて架台11を支持する固定フレーム10とを備える。固定フレーム10は、一対の梁17,17と、連結部材18と、複数の固定具19とを有する。架台11は、固定フレーム10に対し、翼車2の下端が水路の水面より下に位置する水没姿勢と、翼車2の全体が水路の水面より上に位置する待機姿勢と、に渡って上下に回転可能に支持されている。【選択図】図1

Description

この発明は、水路に設置される水力発電装置に関する。
水力発電装置は、流水が持つ運動エネルギーを、発電に利用するシステムである。この水力発電装置の中で小型ものは、農業用水等の水路に設置して利用されている(例えば、特許文献1)。このような水路に設置される水力発電装置は、先ず i)設置のために、水路に投入しなければならない。また、ii)メンテナンスのため、回転翼またはギヤ、オイルシール等の交換の際、水力発電装置を水路から引き上げる必要がある。さらに、iii)増水等の緊急時にも、溢水や水力発電装置の損傷を防止するために、水路から引き上げる必要がある。
従来は水力発電装置を水路から引き上げる際、クレーン車、または、大掛かりな引き上げ機構を使用していた。
特開2015−14219号公報
水路に適用される水力発電装置は、通常、水路に翼を水没させ発電しているが、上述の如く、ii)、iii)の非定常時には、水力発電装置を水路から引き上げる必要がある。特に、iii)の緊急時には、迅速に水力発電装置を水路から引き上げる必要がある。
しかしながら、従来は、クレーン車等を使用し、3人以上で作業し対応していた。
また、i)の水力発電装置の設置の際も、水路は比較的速い流速があり、クレーン車で水力発電装置を水路に投入すると、最初に水没する翼が流速により下流側に流され、水力発電装置全体が下流側に流される、流速により水力発電装置が振動する等、所定の場所に設置することが難しかった。もちろん、この作業も3人以上で対応していた。
この発明の目的は、人力により水力発電装置を水路から容易に引き上げ可能にすると共に、計画した場所に確実に設置することができる水力発電装置を提供することである。
この発明の水力発電装置は、水力を回転力に変換する翼車、およびこの翼車の回転により発電する発電機を有する水力発電モジュールと、この水力発電モジュールを支持する架台と、水路に固定されて前記架台を支持する固定フレームとを備えた水力発電装置において、
前記固定フレームは、この固定フレームを前記水路に固定する固定具を含み、
前記架台は、前記固定フレームに対し、
前記翼車の下端が前記水路の水面より下に位置する水没姿勢と、
前記翼車の全体が前記水路の水面より上に位置する待機姿勢と、に渡って上下に回転可能に支持されている。
前記「水路」の水面は、定められた高さにあるとする。
この構成によると、固定フレームに対し、翼車の下端が水路の水面より下に位置する水没姿勢と、翼車の全体が水路の水面より上に位置する待機姿勢とに渡って、架台が上下に回転可能に支持されているため、次のように使用することができる。
この水力発電装置の設置時には、翼車を待機姿勢のまま目的地である水路まで運搬する。この水力発電装置の架台には水力発電モジュールが支持されている。前記水路には、予め、固定具により固定フレームが設置されている。水力発電モジュールおよび架台を目的地に到着させた後、翼車の待機姿勢を維持した状態で、固定フレームに架台を支持する。その後、架台を人力により回転させて翼車の下端が前記水路の水面より下に位置する水没姿勢にする。この水没姿勢において、翼車の回転により発電機は発電する。このように水力発電装置を、計画した場所に確実に設置することができる。
この水力発電装置を水路から引き上げる場合、架台を人力により回転させて翼車の全体が水路の水面より上に位置する待機姿勢にする。このように水力発電装置を水路から容易に引き上げることができる。前記待機姿勢において、水力発電装置をメンテナンスすることができ、また増水等の緊急時に、水力発電装置に異常が発生することを未然に防止することができる。
前記固定フレームに対し前記架台を回転させる操作手段を備え、この操作手段は、前記架台および前記固定フレームに着脱自在であっても良い。この場合、固定フレームに架台が支持され、且つ、架台に操作手段が装着された状態で、固定フレームに対し架台を操作手段により回転させることができる。したがって、固定フレームに対し、架台を操作手段により容易に回転させることができる。
前記操作手段が前記架台および前記固定フレームに装着されたとき、前記操作手段は、前記架台を前記水没姿勢および前記待機姿勢のいずれか一方に保持するものであっても良い。この場合、架台を操作手段により回転させ水没姿勢および待機姿勢のいずれか一方の姿勢において、架台および固定フレームに操作手段を装着することで、前記一方の姿勢を簡単且つ確実に保持することができる。
前記架台の回転軸心に対して、前記架台の前記水力発電モジュールと反対側に設けられた重錘を備えたものであっても良い。この場合、この水力発電装置を運搬等する際、架台の回転軸心に対して、架台の水力発電モジュールと反対側に設けられた重錘により、翼車を待機姿勢のまま維持することができる。したがって、この水力発電装置の運搬等を容易に行うことができる。
前記架台に一体に設けられ前記固定フレームに対し前記架台を回転させる回転軸と、この回転軸を回転自在に支持し、前記固定フレームに着脱自在に設けられる回転軸受部とを備えたものであっても良い。この場合、回転軸受部が固定フレームから離脱した状態で、水力発電モジュールおよび架台を運搬し得る。回転軸受部が固定フレームに装着された状態で、回転軸を回転中心として架台を回転させることができる。
前記回転軸受部は、前記回転軸と接触する面に樹脂製摺動材を備えていても良い。この場合、回転軸を回転軸受部に対しスムーズに回転させ得ると共に回転軸等の錆の発生を抑制することができる。発錆からの固着によって回転軸の回転が渋くなることもない。
前記架台は、前記固定フレームに対して蝶番により前記上下に回転可能に連結されたものであっても良い。この場合、架台を回転させる回転軸等を省けるため、水力発電装置全体の軽量化およびコンパクト化を図ることができる。これにより、この水力発電装置の搬送、設置、引き上げ等を容易に行うことが可能となる。また製造コストの低減を図ることができる。
前記架台に固定され、かつ前記固定フレームに対し回転自在な水路の幅方向に延びる回転軸と、この回転軸を前記固定フレームに対して回転させる回転機構と、この回転機構を前記水路の外から手動で操作可能な操作具とを備え、前記架台は、前記回転軸と共に回転することにより、前記水没姿勢と前記待機姿勢との範囲内で姿勢変更可能であっても良い。
この構成によると、操作具により回転機構を操作することで、回転軸と共に架台が回転して、架台が、正確には架台および水力発電モジュールが、翼車が水面より下に位置する水没姿勢と翼車が水面より上に位置する待機姿勢とに切り替わる。操作具は水路の外から手動で操作可能であるため、上記架台の姿勢切り替えを、機械を使用せずに、かつ作業者が水路内に入らずに行うことができる。このため、水路の側壁に落下防止柵が設置されている場合でも、作業者が落下防止柵を乗り越えることなく、架台の姿勢切り替え作業を行うことができる。また、架台の姿勢切り替え作業は、操作具を操作するだけの簡単な作業であるため、少人数、例えば一人でも行うことができる。このため、増水等の緊急時にも、翼車を水路から引き上げることが可能である。
前記回転機構は、ウォームギヤ、滑りねじ、およびボールねじのいずれかにより、前記操作具の動作を前記回転軸の軸心回りの回転動作に変換して前記回転軸に伝達するとよい。ウォームギヤ、滑りねじ、およびボールねじのいずれであっても、架台が水没姿勢と待機姿勢とに姿勢変更するように回転軸を回転させることができる。
前記回転機構は、前記架台が前記待機姿勢から前記水没姿勢へ姿勢変更する方向に前記回転軸が回転することを規制するラチェット機構を有するのが望ましい。ラチェット機構を有すると、翼車を水路から引き上げるために架台を待機姿勢に姿勢変更させる際に、途中で操作具の操作を中断しても、架台が水没姿勢の側へ動くことがない。そのため、翼車の引き上げ作業を、一人でも容易に行うことができる。また、引き上げ後も、引き上げ状態のままに保持することができる。
前記操作具は水路の長さ方向に往復操作されるものであり、この操作具の動作を前記回転機構に伝達するノッチ機構を有していてもよい。この構成であると、水路の側壁に落下防止柵が設置されている場合、操作具を落下防止柵と平行に操作することとなる。このため、水路の外からでも操作具を操作しやすく、水力発電モジュールの引き上げ作業がより一層容易である。
水力発電装置は水が掛かる環境で使用されるため、前記回転機構の構成部品に耐食性を有する材料が用いられているのが望ましい。
この発明の水力発電装置は、水力を回転力に変換する翼車、およびこの翼車の回転により発電する発電機を有する水力発電モジュールと、この水力発電モジュールを支持する架台と、水路に固定されて前記架台を支持する固定フレームとを備えた水力発電装置において、前記固定フレームは、この固定フレームを前記水路に固定する固定具を含み、前記架台は、前記固定フレームに対し、前記翼車の下端が前記水路の水面より下に位置する水没姿勢と、前記翼車の全体が前記水路の水面より上に位置する待機姿勢と、に渡って上下に回転可能に支持されている。このため、人力により水力発電装置を水路から容易に引き上げ可能にすると共に、計画した場所に確実に設置することができる。
この発明の第1の実施形態に係る水力発電装置の水没姿勢の斜視図である。 同水力発電装置の水没姿勢の正面図である。 同水力発電装置の水没姿勢の側面図である。 同水力発電装置の水没姿勢の平面図である。 同水力発電装置の待機姿勢の斜視図である。 同水力発電装置の待機姿勢の正面図である。 同水力発電装置の待機姿勢の側面図である。 同水力発電装置の待機姿勢の平面図である。 同水力発電装置を設置する過程を概略示す図である。 同水力発電装置を設置する過程を概略示す図である。 この発明の第2の実施形態に係る水力発電装置の水没姿勢の上流側からの斜視図である。 同水力発電装置の水没姿勢の下流側からの斜視図である。 同水力発電装置の待機姿勢の斜視図である。 同水力発電装置における準組立体の待機姿勢の斜視図である。 この発明の第3の実施形態に係る水力発電装置の架台が水没姿勢にある状態を示す正面図である。 同水力発電装置の右側面図である。 同水力発電装置の平面図である。 同水力発電装置の架台が待機姿勢にある状態を示す右側面図である。 この発明の第4の実施形態に係る水力発電装置の架台が水没姿勢にある状態を示す正面図である。 同水力発電装置の右側面図である。 同水力発電装置の左側面図である。 同水力発電装置の平面図である。 この発明の第5の実施形態に係る水力発電装置の架台が水没姿勢にある状態を示す正面図である。 同水力発電装置の右側面図である。 同水力発電装置の左側面図である。 同水力発電装置の平面図である。
[第1の実施形態]
この発明の第1の実施形態に係る水力発電装置を図1ないし図10と共に説明する。
<水力発電装置全体の概略構成について>
図2に示すように、この水力発電装置は、例えば、河川、用水路等の流水のある水路1に設置され、翼車2の回転を受けて発電を行う。水路1は、例えば、それぞれコンクリート等から成る底面部1aおよび両側の側壁面部1bで構成される。この水力発電装置は、水力発電モジュール3と、この水力発電モジュール3を支持する支持装置4とを備える。先ず、水力発電モジュール3について説明し、以下、支持装置4、水力発電装置の設置および引き上げ、作用効果について順次説明する。
<水力発電モジュール3について>
図1に示すように、水力発電モジュール3は、翼車2、およびこの翼車2の回転により発電する発電機5を有する。
図2に示すように、翼車2は、水路1の流水中に没する状態で設けられ水力を回転力に変換する。翼車2は、回転軸心L1が流水の流れる方向と平行なプロペラ型である。翼車2は、前記回転軸心L1に設けられるハブ2aと、このハブ2aの外周面から半径方向外方に放射状に延びる複数(例えば5枚)のブレード2bとを有する。図3に示すように、各ブレード2bの先端部は、上流側に向けて傾斜している。
前記ハブ2aに同軸に翼軸6が取り付けられ、この翼軸6は、図示外の軸受により回転自在に支持される。翼軸6の回転は、互いに噛み合う一対の傘歯車等から成るギヤ部(図示せず)により増速される。翼軸6、前記軸受、および前記ギヤ部は、ギヤボックス7に収容されている。なおギヤボックス7内には、グリースが封入されている。
一方、発電機5の入力軸(図示せず)が支持筒8内に延びている。支持筒8内において、前記入力軸の下端と動力伝達軸9の上端とが、図示外の回転連結具を介して同軸に連結されている。動力伝達軸9の軸心と翼軸6の軸心とが互いに直交するように配置されている。また動力伝達軸9は、支持筒8内の軸受(図示せず)により、この支持筒8に回転自在に支持されている。したがって、翼軸6の回転が動力伝達軸9および前記入力軸に伝達されることで、発電機5が発電する。
<支持装置4について>
図1に示すように、支持装置4は、固定フレーム10、架台11、発電機台12、回転軸13、回転軸受部14、重錘15、および操作手段16を備える。なお、支持装置4のうち固定フレーム10を除く架台組立体Sa(図9(a))と、水力発電モジュール3とを備えた準組立体As(図9(a))を、固定フレーム10と独立して運搬可能であり、準組立体As(図9(a))が、水路に固定された固定フレーム10に支持される。
図2および図3に示すように、水路1に固定された固定フレーム10に、架台11が回転可能に支持されている。すなわち架台11は、固定フレーム10に対し、翼車2の下端が水路1の水面より下に位置する水没姿勢と、翼車2の全体が水路1の水面より上に位置する待機姿勢(図5〜図8)とに渡って回転可能に支持されている。この架台11に、発電機台12等を介して水力発電モジュール3が支持されている。
図1に示すように、固定フレーム10は、一対の梁17,17と、連結部材18と、複数(この例では四つ)の固定具19とを有する。水路1の両側の側壁面部1b(図2)における上端付近から上端部に渡り複数の固定具19が固定されている。
図2および図3に示すように、各固定具19は、側壁面部1bの側面に沿う立板固定部19aと、この立板固定部19aに繋がり側壁面部1bの上端面に沿う水平固定板部19bとで断面L形状(図2参照)に形成されている。水平固定板部19bには、梁17を固定するための複数(この例では二つ)の雌ねじが形成されている。水路1の一方側の側壁面部1bに二つの固定具19,19が流水の流れる方向A1と平行な方向に離間して配置され、水路1の他方側の側壁面部1bにも二つの固定具19,19が流水の流れる方向A1に平行な方向(以下、「流水方向」と言う)に離間して配置されている。各固定具19および後述する各梁17は、例えば、断面L形のアングル等から形成される。
図1に示すように、一対の梁17,17は、前記流水方向にそれぞれ平行に設けられ、連結部材18により互いに連結されている。連結部材18は、例えば、角筒形状で水路の幅方向に平行に延びる。この連結部材18には、ブラケット20を介して回転軸受部14が、所定間隔を空けて二つ設けられている。各梁17は、立板部17aと、この立板部17aに繋がる水平板部17bとで断面L形状(図2参照)に形成されている。各梁17の水平板部17bの上面における長手方向途中部に、連結部材18の長手方向両端部が支持され固定されている。図2に示すように、各側壁面部1bに並ぶ二つの固定具19に対して、各梁17の水平板部17bが複数のボルトにより固定される。図3に示すように、各梁17の水平板部17bには、後述する、棒収容部22と矩形板状のスペーサ23(図5)とが接合されている。
図4に示すように、架台11は、架台本体部24と、二つの架台支持部25,25とを有する。架台本体部24は、角筒形状で水路1の幅方向に平行に延びる。架台本体部24は、前記連結部材18に対し、所定間隔を隔てて平行に配置されている。
図1に示すように、前記水没姿勢において、架台本体部24の長手方向両端部が、各梁17の水平板部17bのスペーサ23(図5参照)上に載置されて支持される。
架台本体部24には、各架台支持部25の長手方向一端部がそれぞれ接合されている。これら架台支持部25,25は、架台本体部24の長手方向に直交する方向に延び、互いに一定間隔を隔てて平行に配置されている。架台支持部25,25の互いに対向する側面に、ブラケット26を介して発電機台12が連結されている。この発電機台12に発電機5が支持されている。架台支持部25,25の長手方向他端部には、架台11を回転させる回転軸13が、これら架台支持部25,25に一体に嵌合固定されている。この回転軸13は、各架台支持部25に直交する方向に延び、両架台支持部25,25よりも幅方向に突出する両端部分が回転軸受部14に支持されている。
回転軸受部14は、回転軸13を回転自在に支持し、固定フレーム10に着脱自在に設けられている。前記連結部材18に設けられたブラケット20の回転軸受部14と接合するブラケットプレート20aが複数のボルトにより着脱自在に構成されている。また、図4に示すように、回転軸受部14は、前記回転軸13と摺動する面に樹脂製摺動材27を備えている。この樹脂製摺動材27として、例えば、水中での摩擦、摩耗特性に優れるNTN株式会社製ベアリーFL3700を回転軸受部14に貼付しておけば、回転軸13がスムーズに回転できると共に錆の発生を抑制するため、発錆からの固着によって回転軸13の回転が渋くなることもない。
図1に示すように、架台支持部25,25の長手方向他端部には、重錘(バランスウェート)15が設けられている。この重錘15は、回転軸13の回転軸心に対して、架台11の水力発電モジュール3と反対側に設けられ、この水力発電装置の移動中の水平状態(図5、図9(a))を容易に維持する。この重錘15は、例えば、直方体形状に形成される。但し、この形状に限定されるものではない。
操作手段16は、固定フレーム10に対し架台11を人力で回転する棒状部材であり、この操作手段16の長手方向一端部に把持部16aが設けられている。把持部16aは、ねじ機構等により容易に着脱できるように設けられていてもよい。操作手段16は、架台11および固定フレーム10に着脱自在である。操作手段16により、架台11が図1に示す水没姿勢と、図5に示す待機姿勢とに渡って回転可能である。また、図1に示すように、操作手段16が架台11および固定フレーム10に装着されたとき、操作手段16は架台11を水没姿勢に保持する。図5に示すように、操作手段16が架台11および固定フレーム10に装着されたとき、操作手段16は架台11を待機姿勢に保持する。
図1および図5に示すように、架台本体部24の長手方向両端部には、第1の棒挿入部材28,28がそれぞれ固定されている。各第1の棒挿入部材28は中空の角筒形状で長手方向両端が開口する。各第1の棒挿入部材28は、架台本体部24の長手方向に直交し且つ架台支持部25の長手方向に平行に所定長さ延びる。各第1の棒挿入部材28内にそれぞれ操作手段16が挿入(装着)可能に構成される。
固定フレーム10における連結部材18の長手方向両端部には、第2の棒挿入部材29,29がそれぞれ固定されている。各第2の棒挿入部材29は中空の角筒形状で長手方向両端が開口する。各第2の棒挿入部材29は、連結部材18の長手方向に直交し且つ梁17の長手方向に平行に所定長さ延びる。各第2の棒状部材29内にそれぞれ操作手段16が挿入(装着)可能に構成される。
各梁17の水平板部17bに接合された棒収容部22は、中空の角筒形状であり、連結部材18の長手方向両端部付近に設けられている。各棒収容部22は、梁17の長手方向および連結部材18の長手方向にそれぞれ直交する方向に所定長さ延びる。各棒収容部22にそれぞれ操作手段16の下端が収容可能に構成されている。
<水力発電装置の設置過程>
水路に設置される水力発電装置を、図5に示す待機姿勢の荷姿で目的地である水路まで運搬する。この運搬時に、水路に設置する固定フレーム10と同じものを荷台として利用できる。運搬時には、各操作手段16を、棒収容部22に収容すると共に第1の棒挿入部材28に挿入する。この操作手段16により翼車2の各ブレード2bは水平状態(待機姿勢)を維持する。
図9(a)に示すように、架台組立体Saと水力発電モジュール3とを備えた準組立体Asを目的地まで到着させた後、この準組立体As(この準組立体Asを「水力発電モジュール等」と称す場合がある)を、前記荷台から離脱する。この離脱させた水力発電モジュール等を、クレーン等によりスリンガ30で吊り上げ、各ブレード2bを略水平状態に維持しながら、予め水路に設置してある固定フレームに移動する。
図9(b)に示すように、水力発電モジュール等を水路の固定フレーム10の上方に移動した後、架台11の第1の棒挿入部材28に挿入された操作手段16の下端を、梁17に設けた棒収容部22に合わせる。これにより、固定フレーム10に対し架台11の回転軸心が合致する。操作手段16がセッティングの目印となり、作業者は目視で確認し易い。
図10(a)に示すように、その後、水力発電モジュール等を降下させて回転軸受部14とブラケットプレート20aとを複数のボルトにより固定する。次に、水力発電モジュール等から前記スリンガを取り外した後、操作手段16の下端を棒収容部22から抜き、架台11を操作手段16により回転させる。これにより、図10(b)に示すように、翼車2を水路に水没させる。翼車2の水没が完了した後、操作手段16を、架台11の第1の棒挿入部材28から引き抜く。
次に、この引き抜いた操作手段16を、逆方向から第2の棒挿入部材29、第1の棒挿入部材28の順に挿入し、翼車2の各ブレード2bと梁17の直角状態(水没姿勢)を保持する。最終姿は、図1〜図4となる。操作手段16により各ブレード2bと梁17の直角状態を保持することで、水路の流速による翼車2の浮き上がりを抑制でき、安定した姿勢を維持し得る。
<引き上げ(メンテナンス時)>
操作手段16を第1,第2の棒挿入部材28,29から引き抜く。この操作手段16を反対側から架台11の第1の棒挿入部材28のみに差し込み、操作手段16により架台11を前記と逆向きに回転させて翼車2を水路から引き上げる。各ブレード2bを水平状態にした後、操作手段16の下端を棒収容部22に差し込む。これにより、水路の流速に阻害されることなく、所望のメンテナンスを行うことができる。
<引き上げ(緊急時)>
緊急時は、前述のメンテナンス時と同様に翼車2を引き上げてもよいが、把持部16aが操作手段16に対し着脱可能である場合、次のように引き上げてもよい。すなわち、把持部16aを操作手段16から外した後、操作手段16を第1,第2の棒挿入部材28,29の側に押し込み、第2の棒挿入部材29を突き抜けさせて、第1の棒挿入部材28のみで係止させる。そして、この操作手段16により架台11を回転させて翼車2を水路から引き上げる。この場合、第1,第2の棒挿入部材28,29の各挿入穴に前述の樹脂製摺動材等をそれぞれ貼付してあると、操作手段16との摺動抵抗が低減し、操作手段16をスムーズに動かすことができる。この引き上げ方法は、緊急時では、迅速な対応が求められるため有効である。
<作用効果について>
以上説明した水力発電装置によれば、固定フレーム10に対し、水没姿勢と待機姿勢とに渡って、架台11が上下に回転可能に支持されているため、次のように使用することができる。
この水力発電装置の設置時には、翼車2を待機姿勢のまま目的地である水路1まで運搬する。この水力発電装置の架台11には水力発電モジュール3が支持されている。水路1には、予め、固定具19により固定フレーム10が設置されている。水力発電モジュール等を目的地に到着させた後、翼車2の待機姿勢を維持した状態で、固定フレーム10に架台11を支持する。その後、架台11を人力により回転させて翼車2の下端が水路1の水面より下に位置する水没姿勢にする。水没姿勢において、翼車2の回転により発電機5は発電する。このように水力発電装置を、計画した場所に確実に設置することができる。
この水力発電装置を水路1から引き上げる場合、架台11を人力により回転させて翼車2の全体が前記水路1の水面より上に位置する待機姿勢にする。このように水力発電装置を水路1から容易に引き上げることができる。前記待機姿勢において、水力発電装置をメンテナンスすることができ、また増水等の緊急時に、水力発電装置に異常が発生することを未然に防止することができる。
[第2の実施形態]
以下の説明においては、各実施の形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
第1の実施形態(図1等)では、固定フレーム10に対し、水力発電モジュール3が設置された架台11は回転軸受部14を介して回転させることにより引き上げるが、回転姿勢として水没姿勢と待機姿勢の二姿勢であり、90度回転できれば良い。このため、図11に示すように、回転軸受部14(図1)に替えて、蝶番31を用いることができる。すなわち架台11は、固定フレーム10に対し、蝶番31により、図11および図12に示す水没姿勢と、図13および図14に示す待機姿勢とに渡って、上下に回転可能に連結されている。
図11に示すように、固定フレーム10の連結部材18に、蝶番31の一方の蝶番片31aが連結され、架台11の各架台支持部25に、蝶番31の他方の蝶番片31bが連結されている。したがって、この蝶番31の軸を回転軸心として、固定フレーム10に対し、架台11が前記水没姿勢と前記待機姿勢とに渡って、上下に回転可能に構成される。この蝶番31を用いた構成によると、回転軸13(図1)等を省けるため、軽量化・コンパクト化が図られる。また、この図11〜図14の水力発電装置において、操作手段16は、各架台支持部25に着脱自在に設けられている。
第1の実施形態では、図1に示すように第1,第2の棒挿入部材28,29に操作手段16を挿入することで水没姿勢を保持し、メンテナンス時等において操作手段16を第1,第2の棒挿入部材28,29から引き抜き、架台11を回転させた後、操作手段16の下端を棒収容部22等に差し込んで待機姿勢を保持する必要があった。
これに対して、この図11〜図14の水力発電装置では、架台11を水没姿勢・待機姿勢の両姿勢で保持する第1,第2のかんぬき部品32,33を含むかんぬき構造が設けられている。架台支持部25に第1のかんぬき部品32に固定され、連結部材18に第2のかんぬき部品33が設置されている。第1のかんぬき部品32の先端部に嵌合穴32a,32bが形成されている。第2のかんぬき部品33は、かんぬき部品本体33aと、このかんぬき部品本体33aにスライド可能に支持された棒33bとを有する。
この棒33bを第1のかんぬき部品32の一方の嵌合穴32bに嵌合することにより水没姿勢を維持する(図12)。また棒33bを第2のかんぬき部品32の他方の嵌合穴32aに嵌合することにより待機姿勢を維持する(図13)。このようなかんぬき構造を備えた構成によれば、架台11を水没姿勢・待機姿勢の両姿勢で保持できるため、前記棒収容部22(図1)、および第1,第2の棒挿入部材28,29(図1)が不要となり、前述の実施形態よりも構造を簡単化できる。
<水力発電装置の設置過程>
以下、図11〜図14を用いて説明する。
水路に設置される水力発電装置を、図14に示す待機姿勢の荷姿で目的地である水路まで運搬する。この運搬時に、図13に示す水路に設置する固定フレーム10と同じものを荷台として利用できる。運搬時には、操作手段16を用い翼車2の各ブレード2bを水平状態(待機姿勢)にし、第2のかんぬき部品33の棒33bをスライドさせ第1のかんぬき部品32の嵌合穴32aに嵌合することにより待機姿勢を維持する。なお水路に設置すべき固定フレーム10そのものを備えた水力発電装置を運搬しても良い。
図14に示すように、架台組立体Saと水力発電モジュール3とを備えた準組立体Asを、前記荷台から離脱する。この離脱させた水力発電モジュール等をクレーン等により図示外のスリンガで吊り上げ、各ブレード2bを略水平状態に維持しながら、予め水路に設置してある固定フレームに移動する。
図13に示すように、水力発電モジュール等を水路の固定フレーム10の上方に移動した後、固定具19の水平固定板部19bのボルト固定穴19baと、梁17の固定穴(図示せず)とを合わせ、複数のボルトにより固定する。次に、水力発電モジュール等から前記スリンガを取り外した後、操作手段16を支持し、第2のかんぬき部品33の棒33bをスライドさせ第1のかんぬき部品32の嵌合穴32aから抜き、架台支持部25を操作手段16により回転させる。
これにより、図11に示すように、翼車2を水路に水没させる。翼車2の水没が完了した後、操作手段16を翼車2が直角状態を保つように支持し、図12に示すように、第2のかんぬき部品33の棒33bをスライドさせ第1のかんぬき部品32の嵌合穴32bに嵌合することにより水没姿勢を維持する。第1,第2のかんぬき部品32,33により各ブレード2bと梁17の直角状態を保持することで、水路の流速による翼車2の浮き上がりを抑制でき、安定した姿勢を維持し得る。
<引き上げ>
操作手段16を支持し、第2のかんぬき部品33の棒33bをスライドさせ、第1のかんぬき部品32の嵌合穴32bから抜き、操作手段16により架台支持部25を前記と逆向きに回転させて翼車2を水路から引き上げる。各ブレード2bを水平状態にした後、操作手段16を支持しつつ、第2のかんぬき部品33の棒33bをスライドさせ、第1のかんぬき部品32の嵌合穴32aに嵌合する(図12参照)。これにより、水路の流速に阻害されることなく所望のメンテナンスを行うことができる。なお、この形態は例示であって制限的なものではない。
<作用効果>
第2の実施形態の水力発電装置によれば、蝶番31を用いた構成により回転軸13(図1)等を省けるため、軽量化・コンパクト化が図られる。また架台11を水没姿勢・待機姿勢の両姿勢で保持する第1,第2のかんぬき部品32,33を含むかんぬき構造が設けられたため、棒収容部22、および第1,第2の棒挿入部材28,29(図1)が不要となり、前述の実施形態よりも構造を簡単化できる。これによりコスト低減を図ることが可能となる。
操作手段16が各架台支持部25に着脱自在に設けられるため、前記水没姿勢での使用時に操作手段16を架台支持部25から離脱しておくことで、外観上の美観を損なうこともないうえ、水力発電装置の操作者以外の第三者が操作手段16を誤って操作してしまうことを未然に防止し得る。
なお、この実施形態においても、架台支持部25,25の長手方向他端部に重錘15(図1)を備えても良い。
[第1、第2の実施形態の課題]
第1の実施形態の水力発電装置は、水力発電モジュール3を引き上げた場合、水力発電モジュール3を水平姿勢である待機姿勢に保持するため、操作手段16の一端を筒状の棒収容部22に差し込んで固定する。これにより、待機姿勢にある水力発電モジュール3の重量が支えられる。
ところで、水路1の側壁面部1bの上には、安全確保のために落下防止柵が設置されていることがある。落下防止柵があると、この落下防止柵が邪魔をして、側壁面部1bの上にある棒収容部22に操作手段16の一端を差し込むことが難しい。このため、落下防止柵が設置されている水路については、第1の実施形態の水力発電装置を適用するのが困難である。
また、第2の実施形態の水力発電装置は、架台11を水没姿勢および待機姿勢にそれぞれ保持するために、第1,第2のかんぬき部品32,33を含むかんぬき構造を設けられている。このかんぬき構造は水路の両側の側壁面部の内側に設けられている。このため、かんぬき構造の操作は、落下防止柵を乗り越えて水路1の流水の上で行わなければならず、安全上の問題がある。
以下、翼車を水路から引き上げる作業を、機械を使用せずに、かつ作業者が水路内に入らずに行うことができる水力発電装置について説明する。
[第3の実施形態]
図15〜図17はこの発明の第3の実施形態に係る水力発電装置の正面図、右側面図、および平面図である。この水力発電装置は、例えば河川、用水路等の流水のある水路1に設置され、流水の力で発電を行う。水は、水路1内を図16、図17の矢印の方向に流れる。図15に示すように、水路1は、底面部1aと両側の側壁面部1bとからなる断面U字状である。底面部1aおよび側壁面部1bは、例えばコンクリートにより一体に形成されている。側壁面部1bの上に、安全確保のために落下防止柵1cが設置される場合がある。
水力発電装置は、水力発電モジュール103と、この水力発電モジュール103を支持する支持装置110とを備える。後述するように、水力発電モジュール103が、正確には水力発電モジュール103を支持する架台130が、水没姿勢と待機姿勢とに姿勢変更可能である。以下の説明では、水力発電モジュール103の姿勢を特定しない場合、水力発電モジュール103が使用時の状態である水没姿勢であるとする。
<水力発電モジュール103>
水力発電モジュール103は、使用時に流水中に没する状態で設けられる翼車105と、流水の上方に設けられる発電機106とを有する。水流を受けて翼車105が水力を回転力に変換し、その翼車105の回転により発電機106が発電する。図の例の翼車105は、回転軸心L(図16)が水路長さ方向と平行なプロペラ型である。翼車105は、前記回転軸心Lに設けられるハブ105aと、このハブ105aの外周面から半径方向外側に放射状に延びる複数枚(例えば5枚)のブレード105bとを有する。
図16において、翼車105のハブ105aは、ギヤボックス107から水路長さ方向に沿って延びる翼軸(図示せず)に取り付けられている。翼軸は、ギヤボックス107内の軸受(図示せず)によって回転自在に支持されている。ギヤボックス107は、後記架台130の底面から下向きに延びる支持筒108の下端に支持されている。支持筒108内には動力伝達軸109が設けられている。動力伝達軸109は架台130を貫通して、その上端が発電機106の入力軸106aに連結されている。前記翼軸と動力伝達軸109とが、ギヤボックス107内のギヤ機構(図示せず)を介して動力伝達可能に連結されている。ギヤ機構は例えば傘歯車の組み合せからなり、翼軸から動力伝達軸109へ回転動力を増速して伝達する。これら翼軸、ギヤ機構、および動力伝達軸109を介して、翼車105の回転が発電機106に伝達される。
<支持装置110>
図15〜図17において、支持装置110は、水路1に固定の固定部110aと、この固定部110aに対して水力発電モジュール103と共に水路1の幅方向の軸心回りに回転可能な回転部110bとを有する。他に、固定部110aに対して回転部110bを回転させる回転機構111A、およびこの回転機構111Aを操作する操作具112Aを有する。
固定部110aは、図の例では水路1の両側の側壁面部1bに固定される固定フレーム114からなるが、固定フレーム114以外の部材を含んでいてもよい。固定フレーム114は、各側壁面部1bにそれぞれ配置された第1の固定具115、第2の固定具116、および回転軸支持部材117と、各側壁面部1b間に設けられた連結部材118(図15)とからなる。
第1の固定具115は断面L形のアングル等からなり、側壁面部1bの上端内側の角部に、コンクリート釘等の固定手段120(図17)により固定される。側壁面部1bの上面および内側面と第1の固定具115との間には、複数の弾性材121が設けられる。
第2の固定具116も、断面L形のアングル等からなり、第1の固定具115の水路幅方向の内側に、第1の固定具115の上面部の上に第2の固定具116の上面部が重なるように配置される。なお、第2の固定具116の水路長さ方向の長さは、第1の固定具115の水路長さ方向の長さよりも短い。
第2の固定具116の上面部には、水路幅方向に長いボルト締結用の長孔116aが複数設けられている。この長孔116aに挿通した固定ボルト122を、第1の固定具115の上面部に設けられたねじ孔(図示せず)にねじ込むことにより、第2の固定具116を第1の固定具115に固定する。長孔116aに挿通される固定ボルト122の位置を変えることで、水路両側の第2の固定具116の間隔を水路1の幅に合わせて調整することができる。また、第2の固定具116の側面部に位置決めボルト123が螺着され、その先端を第1の固定具115の側面部に当接させることで、第1の固定具115と第2の固定具116の水路幅方向の間隔を一定に保持する。
図15に示すように、回転軸支持部材117は、第2の固定具116の上面部に固定された水路幅方向に並ぶ2枚の板材117aと、これら板材117aに支持された筒状の軸受部117bとからなる。水路両側の回転軸支持部材117の各軸受部117bに後記回転軸135の両端が挿通されて、回転軸135が回転自在に支持される。
連結部材118は、水路両側の第2の固定具116間に架け渡され、両端が固定具ボルト124により各第2の固定具116にそれぞれ固定される。連結部材118は、水路両側の第2の固定具116と予め一体に形成されていてもよい。
図15〜図17において、回転部110bは、水力発電モジュール103を支持する架台130を有する。架台130は、上部に発電機台131が設けられ、さらに発電機台131の上面から発電機固定枠132が上方に立ち上がっている。そして、発電機固定枠132に、発電機106が固定されている。また、発電機台131に設けられた軸受部133により、前記動力伝達軸109の上端が回転自在に支持されている。
架台130の上流側端には、回転軸135が固定されている。回転軸135は、水路幅方向に延びる円柱状または円筒状の軸で、その両端が水路両側の回転軸支持部材117の各軸受部117bに回転自在に支持される。回転軸135の軸心が、回転部110bの回転軸心となる。
[回転機構および操作具]
回転機構111Aは、どちらか一方の側壁面部1bの側(例えば右岸、図15の右側)に設けられ、回転軸135を回転させることで、固定部110aに対して回転部110bを回転させる。この実施形態の回転機構111Aは、操作具112Aの回転動作を回転軸135の軸心回りの回転動作に変換して回転軸135に伝達する手段としてウォームギヤ140が用いられている。
具体的には、鉛直方向に延びる操作軸141の下端にウォーム142が取り付けられ、かつ回転軸135の右端にウォームホイール143が取り付けられ、これらウォーム142およびウォームホイール143が互いに噛み合っている。なお、操作軸141は、その下端が、回転軸支持部材117に固定の上下一対の操作軸支持部材144により回転自在に支持されている。この実施形態とは逆に、操作軸141にウォームホイール143を取り付け、回転軸135にウォーム142を取り付けた構成としてもよい。
水力発電装置は水が掛かる環境で使用されるため、回転機構111Aを構成するウォーム142およびウォームホイール143は耐食性を有する材料が用いられているのが望ましい。以下の他の実施形態に用いられる回転機構111B,111Cの構成部品も、同様に耐食性を有する材料が用いられているのが望ましい。
操作具112Aは、操作軸141の上端に着脱自在に取り付けられる。この実施形態の操作具112Aは、ハブ112aから複数本(4本)の取っ手112bが放射状に延びる形状であるが、他の形状であってもよい。上下に延びる操作軸141の上端に操作具112Aを取り付けることにより、図15のように水路1の側壁面部1bに落下防止柵1cが設置されている場合でも、操作具112Aを水路1の外から操作可能である。
操作具112Aを手動で回転操作することで、その回転が回転機構111Aを介して回転軸135に減速して伝達される。それにより、支持装置110の固定部110aである固定フレーム114に対して、支持装置110の回転部110bが回転軸135を中心に回転する。水力発電モジュール103は、回転部110bと一体に回転する。水力発電モジュール103を支持する架台130は、翼車105の下端が水路1の水面よりも下に位置する水没姿勢(図15参照)と、翼車105の全体が水路1の水面よりも上に位置する待機姿勢(図18参照)とに姿勢変更する。以下の説明では、水力発電モジュール103および支持装置110の回転部110bからなる姿勢変更可能部101の姿勢を「水没姿勢」、「待機姿勢」と呼ぶ場合がある。
この回転機構111Aの場合、ウォームギヤ140のギヤ比を大きくすることにより、その摩擦力で架台130の姿勢を保持することが可能である。また、姿勢変更可能部101の引き上げ速度を速めるためにギヤ比を大きくしてもよい。その場合、姿勢変更可能部101を引き上げる場合の回転方向と逆回りの回転を規制するラチェット機構145(図15)を操作軸141に配置すれば、架台130の姿勢保持が確実となり、逆回転を防止することができる。
<水力発電装置の設置>
水力発電装置は、図18に示す待機姿勢の荷姿で水路1の設置場所まで運搬される。この運搬時、固定フレーム114の第1の固定具115が運搬車両の荷台に接触するように、そのまま水力発電装置を載せればよい。このため、水力発電装置を載せる台が不要である。運搬時、回転機構111Aの摩擦力により、姿勢変更可能部101が待機姿勢に維持される。
設置場所に到着後、固定ボルト122および位置決めボルト123を抜くか緩めて、固定フレーム114の第1の固定具115と第2の固定具116とを切り離す。そして、水力発電装置における第1の固定具115以外の部分を、クレーン等によりスリンガ(図示せず)で吊り上げる。分離された第1の固定具115を、固定手段120により水路1の側壁面部1bの所定箇所に固定する。
その後、水力発電装置の吊り上げ部分を、水路1の側壁面部1bに固定された第1の固定具115の上方まで移動させ、徐々に下降させながら、第1の固定具115のねじ孔と第2の固定具116のボルト締結用の長孔116aとの水平位置を合わせる。そして、第1の固定具115に第2の固定具116が当たるまで水力発電装置の吊り上げ部分を下降させ、第2の固定具116の長孔116aに挿入した固定ボルト122を第1の固定具115のねじ孔に螺着することで、第1の固定具115に第2の固定具116を固定する。また、第2の固定具116の側面部に位置決めボルト123を螺着し、その先端が第1の固定具115の側面部を押し付けるまで締め込むことで、第1の固定具115および第2の固定具116を水路幅方向に位置決めする。スリンガを外すと、図18の状態となる。
次に、操作具112Aを操作して回転軸135を所定の方向に回転させて、図15に示すように、姿勢変更可能部101を水没姿勢にする。これにより、水力発電装置1の設置が完了する。設置完了後は、誤操作を防止するために、操作軸141から操作具112Aを外しておく。
落下防止柵1cが設置されている水路1に水力発電装置を設置する場合、落下防止柵1cを一時的に取り外して上記設置作業を行ってもよいが、落下防止柵1cはそのままで上記設置作業を行うこともできる。落下防止柵1cが有っても、操作具112Aの操作を水路1の外から容易に行うことができる。
このように設置された水力発電装置は、回転機構111Aの摩擦力により、姿勢変更可能部101が水没姿勢に保持される。操作軸141に引上げ方向の回転を規制するラチェット機構(図示せず)が配置されていると、水没姿勢の保持が確実となり、水路1の流水による翼車105の浮き上がりを抑制でき、安定した姿勢を保持できる。
<水力発電モジュールの引き上げ>
メンテナンス時や緊急時には、操作軸141に操作具112Aを取り付け、その操作具112Aを設置時とは逆向きに操作する。操作軸141に引上げ方向の回転を規制するラチェット機構が配置されている場合は、そのラチェット機構の機能を解除してから操作具112Aを操作する。それにより、姿勢変更可能部101が水路1から引き上げられて、図18に示す待機姿勢となる。操作具112Aの操作は、落下防止柵1c越しに水路1の外から行うことができる。回転軸135に、過回転防止のストッパ(図示せず)を設けておけば、姿勢変更可能部101を待機姿勢に確実に保持できる。
<作用効果>
以上説明した水力発電装置によると、操作具112Aにより回転機構111Aを操作することで、回転軸135と共に架台130が回転して、架台130(姿勢変更可能部101)が水没姿勢と待機姿勢とに切り替わる。操作具112Aは水路1の外から手動で操作可能であるため、上記姿勢変更可能部101の姿勢切り替えを、機械を使用せずに、かつ作業者が水路1内に入らずに行うことができる。このため、水路1の側壁面部1bに落下防止柵1cが設置されている場合でも、作業者が落下防止柵1cを乗り越えることなく、姿勢変更可能部101の姿勢切り替え作業を行うことができる。また、姿勢変更可能部101の姿勢切り替え作業は、操作具112Aを操作するだけの簡単な作業であるため、少人数、例えば一人でも行うことができる。このため、増水等の緊急時にも、姿勢変更可能部101を水路1から引き上げることが可能である。
[第4の実施形態]
図19〜図22はこの発明の第4の実施形態に係る水力発電装置の正面図、右側面図、左側面図、および平面図である。この第4の実施形態は、第2の実施形態と比べて回転機構111Bおよび操作具112Bの構成が異なる。つまり、この実施形態の回転機構111Bは、操作具112Bの回転動作を回転軸135の回転動作に変換して回転軸135に伝達する手段として滑りねじ150が用いられている。また、操作具112Bは、操作具112Aと同様に、ハブ112aから複数本(4本)の取っ手112bが放射状に延びる形状であるが、操作具112Aと異なり、水路長さ方向の軸心回りに回転操作するようになっている。これら回転機構111Bおよび操作具112Bは、第3の実施形態と異なり、水路1の左岸(図19の左側)に設けられている。
他は、第1の実施形態と同じである。
具体的には、回転機構111Bは、操作具112Bが取り付けられる水路長さ方向に延びるねじ軸151と、このねじ軸151に螺合するナット152とを有する。第2の固定具116に下端が固定されたねじ軸支持部材153が上方に延びており、このねじ軸支持部材153の上端に前記ねじ軸151が回転自在に支持されている。また、回転軸135と一体に回転するように操作アーム154が設けられ、この操作アーム154の長孔154a(図21)に前記ナット152に固定の摺動部品155に嵌まり込んでいる。操作具112Bによりねじ軸151を回転させると、操作アーム154によってねじ軸151回りの回転が拘束されたナット152がねじ軸151に沿って移動する。それに伴い、摺動部品155が長孔154aに沿って摺動しながら移動することで、操作アーム154が回転させられ、回転軸135が回転する。
この回転機構111Bの場合、滑りねじ150のリードを小さくすることにより、その摩擦力で姿勢変更可能部101の姿勢を保持することが可能である。また、姿勢変更可能部101の引き上げ速度を速めるためにリードを大きくしてもよい。その場合、操作具112Bのハブ112aの部分に、姿勢変更可能部101を引き上げる場合の回転方向と逆回りの回転を規制するラチェット機構(図示せず)を配置すれば、姿勢変更可能部101の姿勢保持が確実となり、逆回転を防止することができる。
この実施形態の水力発電装置を落下防止柵1cが設置してある水路1に設置する場合、操作具112Bの取っ手112bが落下防止柵1cと干渉しないように、落下防止柵1cの一部に取っ手112bが通過可能な切欠き部または開閉部を設ける必要がある。この切欠き部または開閉部は、操作軸141から操作具112Bを取り外しているときには、閉じられるようにしておくとよい。
図19〜図22の例では、操作アーム154の長孔154aに沿って摺動部品155が摺動する構成であるが、摺動部品155の代わりに、内輪がナット152に固定された軸受を用いてもよい。その場合、その外輪が回転しながら軸受が長孔154aに沿って移動することとなり、回転機構111Bの動作がより円滑になる。
操作具112Bの動作を回転軸135に伝達する手段は、滑りねじ150の代わりにボールねじとしてもよい。滑りねじ150もボールねじも外観は同じであるので、ボールねじを用いた水力発電装置の図示は省略する。
[第5の実施形態]
図23〜図26はこの発明の第5の実施形態に係る水力発電装置の正面図、右側面図、左側面図、および平面図である。この第5の実施形態は、第4の実施形態と比べて操作具112Cが異なる。つまり、第4の実施形態の操作具112Bが回転操作するのに対し、第5の実施形態の操作具112Cは、水路長さ方向に往復操作するようになっている。操作具112Cとねじ軸151の連結部には、操作具112Cの往復運動を回転運動に変換してねじ軸151に伝達するノッチ機構160が設けられている。
操作具112Cが水路長さ方向に往復操作する構成であると、図23に示すように、水路1の側壁面部1bに落下防止柵1cが設置されている場合、操作具112Cを落下防止柵1cと平行に操作することとなる。このため、水路1の外からでも操作具112Cを操作しやすく、姿勢変更可能部101の引き上げ作業がより一層容易である。
他は、回転機構111Cを含め、第4の実施形態と同じである。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1…水路
2…翼車
3…水力発電モジュール
5…発電機
10…固定フレーム
11…架台
13…回転軸
14…回転軸受部
15…重錘
16…操作手段
19…固定具
27…樹脂製摺動材
31…蝶番
103…水力発電モジュール
105…翼車
106…発電機
111A,111B,111C…回転機構
112A,112B,112C…操作具
114…固定フレーム
130…架台
135…回転軸
140…ウォームギヤ
145…ラチェット機構
150…滑りねじ(ボールねじ)
160…ノッチ機構

Claims (14)

  1. 水力を回転力に変換する翼車、およびこの翼車の回転により発電する発電機を有する水力発電モジュールと、この水力発電モジュールを支持する架台と、水路に固定されて前記架台を支持する固定フレームとを備えた水力発電装置において、
    前記固定フレームは、この固定フレームを前記水路に固定する固定具を含み、
    前記架台は、前記固定フレームに対し、
    前記翼車の下端が前記水路の水面より下に位置する水没姿勢と、
    前記翼車の全体が前記水路の水面より上に位置する待機姿勢と、に渡って上下に回転可能に支持されている水力発電装置。
  2. 請求項1に記載の水力発電装置において、前記固定フレームに対し前記架台を回転させる操作手段を備え、この操作手段は、前記架台および前記固定フレームに着脱自在である水力発電装置。
  3. 請求項2に記載の水力発電装置において、前記操作手段が前記架台および前記固定フレームに装着されたとき、前記操作手段は、前記架台を前記水没姿勢および前記待機姿勢のいずれか一方に保持する水力発電装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の水力発電装置において、前記架台の回転軸心に対して、前記架台の前記水力発電モジュールと反対側に設けられた重錘を備えた水力発電装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の水力発電装置において、前記架台に一体に設けられ前記固定フレームに対し前記架台を回転させる回転軸と、この回転軸を回転自在に支持し、前記固定フレームに着脱自在に設けられる回転軸受部とを備えた水力発電装置。
  6. 請求項5に記載の水力発電装置において、前記回転軸受部は、前記回転軸と接触する面に樹脂製摺動材を備えている水力発電装置。
  7. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の水力発電装置において、前記架台は、前記固定フレームに対して蝶番により前記上下に回転可能に連結された水力発電装置。
  8. 請求項1に記載の水力発電装置において、前記架台に固定され、かつ前記固定フレームに対し回転自在な水路の幅方向に延びる回転軸と、この回転軸を前記固定フレームに対して回転させる回転機構と、この回転機構を前記水路の外から手動で操作可能な操作具とを備え、
    前記架台は、前記回転軸と共に回転することにより、前記水没姿勢と前記待機姿勢との範囲内で姿勢変更可能である水力発電装置。
  9. 請求項8に記載の水力発電装置において、前記回転機構は、ウォームギヤにより、前記操作具の動作を前記回転軸の軸心回りの回転動作に変換して前記回転軸に伝達する水力発電装置。
  10. 請求項8に記載の水力発電装置において、前記回転機構は、滑りねじにより、前記操作具の動作を前記回転軸の軸心回りの回転動作に変換して前記回転軸に伝達する水力発電装置。
  11. 請求項8に記載の水力発電装置において、前記回転機構は、ボールねじにより、前記操作具の動作を前記回転軸の軸心回りの回転動作に変換して前記回転軸に伝達する水力発電装置。
  12. 請求項8ないし請求項11のいずれか1項に記載の水力発電装置において、前記回転機構は、前記架台が前記待機姿勢から前記水没姿勢へ姿勢変更する方向に前記回転軸が回転することを規制するラチェット機構を有する水力発電装置。
  13. 請求項8ないし請求項12のいずれか1項に記載の水力発電装置において、前記操作具は前記水路の長さ方向に往復操作されるものであり、この操作具の動作を前記回転機構に伝達するノッチ機構を有する水力発電装置。
  14. 請求項8ないし請求項13のいずれか1項に記載の水力発電装置において、前記回転機構の構成部品に耐食性を有する材料が用いられている水力発電装置。
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