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JP2018039130A - 複合材料の成形方法および複合材料の成形装置 - Google Patents

複合材料の成形方法および複合材料の成形装置 Download PDF

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JP2018039130A JP2016173060A JP2016173060A JP2018039130A JP 2018039130 A JP2018039130 A JP 2018039130A JP 2016173060 A JP2016173060 A JP 2016173060A JP 2016173060 A JP2016173060 A JP 2016173060A JP 2018039130 A JP2018039130 A JP 2018039130A
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Abstract

【課題】複合材料の表面の凹凸を解消して外観品質を向上することができる複合材料の成形方法および複合材料の成形装置を提供する。【解決手段】複合材料10の成形方法によれば、強化基材11に含浸した樹脂22を硬化させて成形体20を形成し、成形体の表面の少なくとも一部に樹脂シート30を積層し、樹脂シートの中央から外周に向かう張力を樹脂シートに付与した状態のまま、樹脂シートと成形体とを一体化する。【選択図】図1

Description

本発明は、複合材料の成形方法および複合材料の成形装置に関する。
近年、自動車の車体軽量化のために強化基材に樹脂を含浸させた複合材料が自動車部品として用いられている。自動車部品の中でも特に、ルーフやボンネット等の外板部品は高い外観品質が求められる。
複合材料は、成形する際に、樹脂が硬化して収縮し、樹脂と強化基材との収縮率の差によって表面に微小な凹凸が形成されることがある。表面の微小な凹凸は、塗装後の外観品質を悪化させる要因となる。
複合材料の表面の凹凸を解消する方法として、例えば、下記特許文献1には、強化基材と、未硬化の樹脂とを含む成形体の表面に樹脂シートを設けて、成形体と樹脂シートとを一度に硬化させて一体成形する方法が開示されている。これにより、樹脂シートの樹脂が成形体の表面に生じた凹凸を埋めることによって、表面の凹凸を解消することを試みている。
特開2002−326319号公報
しかしながら、上記特許文献1に係る方法では、成形体の樹脂が未硬化のため、一体成形する際に、成形体の樹脂が樹脂シートの樹脂とともに流動しながら、強化基材に含浸していく。表面の樹脂が強化基材に含浸することによって、複合材料の表面に凹凸が生じてしまう虞がある。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、複合材料の表面の凹凸を解消して外観品質を向上することができる複合材料の成形方法および複合材料の成形装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る複合材料の成形方法は、まず、強化基材に含浸した樹脂を硬化させて成形体を形成し、前記成形体の表面の少なくとも一部に樹脂シートを積層する。そして、前記樹脂シートの中央から外周に向かう張力を前記樹脂シートに付与した状態のまま、前記樹脂シートと前記成形体とを一体化する。
上記目的を達成する本発明に係る複合材料の成形装置は、強化基材と、硬化した樹脂と、を含む成形体を形成する成形体形成部と、前記成形体の表面の少なくとも一部に樹脂シートを積層する積層部と、前記成形体と前記樹脂シートとを一体化する複合材料形成部と、を有する。前記積層部は、前記樹脂シートに対して前記樹脂シートの中央から外周に向かう張力を付与する張力付与部を含む。
本発明に係る複合材料の成形方法および複合材料の成形装置によれば、樹脂が硬化した成形体の表面に生じる微小な凹凸を、樹脂シートによって埋めることによって、表面を平滑にすることができる。さらに、樹脂シートと成形体とを一体化する際に、樹脂シートに張力がかかることによって、樹脂シートにしわやよれが発生することなく樹脂シートと成形体とを一体化することができる。これにより、複合材料の表面の凹凸を解消して外観品質を向上することができる。
本実施形態に係る複合材料の構成を説明するための概略図である。 本実施形態に係る成形体の構成を説明するための概略図である。 本実施形態に係る複合材料の成形装置の概略図である。 本実施形態に係る複合材料の成形方法を示すフローチャートである。 本実施形態に係る複合材料の成形装置を用いて複合材料を成形する手順を説明するための図であり、樹脂シートの加熱工程および成形体の成形工程を示す概略図である。 本実施形態に係る複合材料の成形装置を用いて複合材料を成形する手順を説明するための図であり、成形体に樹脂シートを積層する工程を示す概略図である。 本実施形態に係る複合材料の成形装置を用いて複合材料を成形する手順を説明するための図であり、成形体と樹脂シートとを一体化する工程を示す概略図である。 本実施形態に係る成形体を示す図であって、織物材の概略図(左図)および織物材を最表層に備える成形体の表面を撮影した写真(右図)である。 対比例に係る成形体を成形する様子を示す図であって、一方向材を最表層に備える複合材料を成形する際の樹脂の硬化前(左図)および樹脂の硬化後(右図)を示す概略図である。 図9Aに示す左図のA1−A1線に沿う部分断面図(左図)および図9Aに示す右図のA2−A2線に沿う部分断面図(右図)である。 実施形態に係る成形方法によって成形される複合材料の適用例を示す図であり、複合材料を使用した各種の自動車部品を示す図である。 実施形態に係る成形方法によって成形される複合材料の適用例を示す図であり、複合材料を使用した各種の自動車部品を接合して形成した車体を示す図である。 変形例1に係る複合材料の成形装置を用いて複合材料を成形する手順を説明するための図である。 変形例1に係る複合材料の成形装置を用いて複合材料を成形する手順を説明するための図である。 変形例1に係る複合材料の成形装置を用いて複合材料を成形する手順を説明するための図である。 変形例2に係る複合材料の成形装置を用いて複合材料を成形する手順を説明するための図である。 変形例2に係る複合材料の成形装置を用いて複合材料を成形する手順を説明するための図である。 変形例2に係る複合材料の成形装置を用いて複合材料を成形する手順を説明するための図である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
複合材料10は、強化基材11と、樹脂22、31とを有している。樹脂22、31を強化基材11と組み合わせることによって樹脂22、31単体に比べて高い強度および剛性を備える複合材料10となる。複合材料10は、図10A、図10Bに示すように、例えば、自動車の車体400のルーフ401やボンネット402等の外板部品に適用される。複合材料10を適用することによって、鉄鋼材料を使用した場合に比べて車体400の大幅な軽量化が可能となる。
本実施形態に係る複合材料10は、図1に示すように、強化基材11と、硬化した樹脂22とを含む成形体20の表面の少なくとも一部を覆うように樹脂シート30を積層して一体化することによって形成される。以下、成形体20に含まれる樹脂22を「母材樹脂22」と称し、樹脂シート30を構成する樹脂31を「被覆樹脂31」と称する。
成形体20は、プリプレグシート21から形成される。プリプレグシート21は、シート状の強化基材11と、強化基材11に含浸されて、未硬化または半硬化の状態の樹脂22とを含む。成形体20は、図2に示すように、複数のプリプレグシート21を積層して、母材樹脂22を硬化させることによって形成される。
強化基材11は、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリアミド(PA)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維、アクリル繊維等によって形成することができる。本実施形態では、強化基材11として炭素繊維を使用した例を説明する。炭素繊維は、熱膨張係数が小さく、寸法安定性に優れ、高温下においても機械的特性の低下が少ないという特徴があるため、自動車の車体400(図10Bを参照)に使用される複合材料10の強化基材11として好適に使用することができる。
プリプレグシート21に適用される強化基材11としては、繊維を縦横に織り込んで平織りまたは綾織りにした織物材12(図8を参照)や、繊維が一方向に引き揃えられた一方向材13(図9Aの左図を参照)を使用することができる。本実施形態に係る成形体20の最表層には、図1、図2に示すように、強化基材11として織物材12を含むプリプレグシート21を配置している。
母材樹脂22は、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂、フェノール樹脂等が用いられる。本実施形態においては、機械的特性、寸法安定性に優れたエポキシ樹脂を用いる。エポキシ樹脂は2液タイプが主流であり、主剤および硬化剤を混合して使用する。主剤はビスフェノールA型のエポキシ樹脂、硬化剤はアミン系のものが一般的に用いられるが、これに限定されるものではなく、所望の材料特性に合わせて適宜選択できる。
樹脂シート30を構成する被覆樹脂31は、シート状の熱可塑性樹脂によって形成されている。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂、ABS樹脂等を使用することができる。
一般的に、熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂に比べて耐衝撃性に優れている。自動車用の外板部品には、自動車の走行時に跳ね上げられた飛び石などによる衝撃によって損傷を受けるチッピングが生じる。本実施形態に係る複合材料10の最表層は、熱可塑性樹脂から形成された樹脂シート30によって覆われているため、熱硬化性樹脂が最表層に配置された複合材料と比べて耐衝撃性に優れるため、チッピングによって受ける損傷を低減することができる。また、熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂に比べてき裂進展を抑える効果もあるため、長期使用における外観の品質悪化を抑えることができる。
図3を参照して、本実施形態に係る成形装置100は、成形体20を形成する成形体形成部110と、樹脂シート30を加熱する加熱部120と、成形体20の表面に樹脂シート30を積層する積層部130と、成形体20と樹脂シート30とを一体化する複合材料形成部140と、成形装置100全体の作動を制御する制御部150と、を有する。
成形体形成部110および複合材料形成部140は、1つの成形型160を共有する。成形型160は、開閉可能な一対の上型161(移動型)と、下型162(固定型)と、上型161および下型162の少なくとも一方の温度を調整する温度調整部163と、を有する。
温度調整部163は、成形型160を母材樹脂22の硬化温度まで加熱し、プリプレグシート21の母材樹脂22を硬化する。温度調整部163は、例えば、上型161、下型162内を循環する油や水等の熱媒体と、熱媒体を加熱する電気ヒーターとによって構成されている。
加熱部120は、樹脂シート30の両面側に樹脂シート30を挟み込むよう配置され、両面側から加熱する電気ヒーターによって構成されている。なお、加熱部120は、樹脂シート30の片面側のみに配置されてもよい。
積層部130は、樹脂シート30に対して樹脂シート30の中央から外周に向かう張力を付与するグリッパ(張力付与部に相当)131を有する。
グリッパ131は、樹脂シート30の外周の少なくとも一部を把持して、樹脂シート30の中央から外周に向かう張力を付与する。樹脂シート30に張力を付与した状態のまま、成形体20の表面に樹脂シート30を押し付けるように積層する。なお、グリッパ131は、成形型160の上型161に固定して連動させてもよい。樹脂シート30に対して張力を付与する構成は、グリッパ131のように樹脂シート30を把持する構成に限定されず、例えば、締結や接合等の他の機械的構成を適用してもよい。
制御部150は、ROMやRAMから構成されるメモリ、CPU等から構成され、加熱部120、温度調整部163、グリッパ131等に電気的に接続されて、成形装置100全体の作動を制御する。
以下、複合材料10の成形方法について説明する。
図4に示すように、複合材料10の成形方法は、準備工程(ステップS10)と、成形体20の成形工程(ステップS20)と、樹脂シート30の加熱工程(ステップS30)と、一体化成形工程(ステップS40)と、脱型(ステップS50)と、を有する。以下、各工程について詳述する。
準備工程(ステップS10)では、図3に示すように、グリッパ131によって樹脂シート30の外周を把持した状態のまま、樹脂シート30を加熱部120に配置する。同時に、プリプレグシート21を積層して、成形型160の下型162に配置する。この際、図2に示すように、最表層に強化基材11として織物材12を含むプリプレグシート21が配置されるようにプリプレグシート21を積層する。また、成形型160は、温度調整部163によって予め所定の温度に加熱しておく。
成形体20の成形工程(ステップS20)では、図5に示すように、成形型160の上型161を閉じて、積層したプリプレグシート21を熱プレス成形する。温度調整部163によって上型161および下型162を母材樹脂22の硬化温度まで加熱し、プリプレグシート21の母材樹脂22を硬化する。準備工程において、予め成形型160を加熱しているため、加熱時間を短縮することができる。母材樹脂22を硬化して成形体20を成形した後、成形型160の上型161を開く。
成形体20の成形工程において、母材樹脂22が硬化するまでの間、母材樹脂22は熱によって軟化して強化基材11の繊維間を流動する。仮に、成形体20の最表層に、図9Aの左図に示すように複数の繊維が束ねられた繊維束11aが同じ方向に複数配列された一方向材13を配置した場合、一方向材13は繊維の配向方向に対して直交方向の拘束力が弱い。このため、図9Aの右図に示すように、僅かな母材樹脂22の流動でも容易に繊維の配向が乱されてしまう。また、繊維の配向が乱れることによって、図9Bの左図に示すように繊維束11a内において単繊維レベルでの引き剥がしが生じる。強化基材11の繊維配向の乱れは、しわやよれとなって表面に現れたり、局所的な強度低下の要因となったりする。また、繊維が引き剥がされた部位には、図9Bの右図に示すような局所的なヒケSを引き起こして外観品質を悪化させる場合がある。
本実施形態では、図2に示すように、成形体20の最表層に織物材12を配置しているため、成形体20の成形工程において生じる母材樹脂22の流動によって繊維が乱れることが少ない。このため、成形体20の表面に生じるしわやよれの発生を抑制し、局所的な強度低下を防ぐことができる。なお、織物材12は、繊維束11aが交差する部位(図8の破線で示す部分)に気泡が残存しやすい。このため、成形体20の表面に微小な凹凸が生じることがある。このように、成形体20の表面に生じた微小な凹凸は、後工程の一体化成形工程(ステップS40)において解消することができる。詳細は、後述する。
樹脂シート30の加熱工程(ステップS30)は、図5に示すように、成形体20の成形工程(ステップS20)と併行して行う。これにより、成形体20を成形している間に樹脂シート30を加熱しておくことができるため、樹脂シート30の加熱工程によるサイクルタイムの増加を最小限に抑えることができる。まず、グリッパ131によって樹脂シート30に、中央から外周に向かう張力を付与する。次に、樹脂シート30に張力を付与した状態のまま、加熱部120を作動させて樹脂シート30の両面を加熱して、樹脂シート30を軟化させる。なお、樹脂シート30の加熱工程では、樹脂シート30の片面のみを加熱してもよい。
一体化成形工程(ステップS40)では、まず、図6に示すように、樹脂シート30に張力を付与した状態のまま、下型162に配置された成形体20の表面に樹脂シート30を押し付けるように覆い被せて積層する。樹脂シート30に張力を付与した状態のまま成形体20に積層することによって、樹脂シート30にしわやよれの発生を抑制することができる。
仮に、母材樹脂22が未硬化または半硬化の状態の成形体20に樹脂シート30を積層すると、成形体20の表面が柔らかいため、樹脂シート30を押し付ける力によって変形しやすい。このため、樹脂シート30を成形体20に密着させることが困難となり、樹脂シート30と成形体20との間にボイドV(図8の右図を参照)を残した状態のまま成形してしまうことがある。これにより、複合材料10の表面に凹凸が形成されて、外観品質が低下する虞がある。
本実施形態では、成形体20の母材樹脂22を硬化させた後に、樹脂シート30を成形体20の表面に押しつけるように配置するため、成形体20と樹脂シート30を密着させることができる。これにより、成形体20と樹脂シート30との間にボイドVが生じることを抑制し、複合材料10の外観品質を向上させることができる。
次に、図7に示すように、成形型160の上型161を閉じて樹脂シート30を成形体20の表面に接合させて一体化する。樹脂シート30は、軟化しているため、成形体20の表面の凹凸に溶融した被覆樹脂31が入り込む。これにより、成形体20の表面に生じた凹凸、特に、織物材12の繊維束11aが交差する部位(図8の破線で示す部分)に形成されたボイドVによって生じる表面の凹凸を被覆樹脂31が埋めて補填することによって表面が平滑になる。これにより、成形体20の表面の凹凸を解消し、複合材料10の塗装後の外観品質を向上することができる。
また、母材樹脂22は熱硬化性樹脂によって構成され、被覆樹脂31は熱可塑性樹脂によって構成されている。仮に、一体化成形工程において、母材樹脂22が被覆樹脂31とともに流動してしまうと、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との粘度や熱収縮率等の材料特性の違いによって、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との界面でしわよれが生じやすい。これにより、複合材料10の表面に凹凸が形成されたり、しわやよれが発生したりする虞がある。
本実施形態では、成形体20の母材樹脂22が硬化した状態で、一体化成形工程を行うため、成形体20の母材樹脂22が被覆樹脂31とともに流動しない。このため、被覆樹脂31と母材樹脂22の粘度や熱収縮率等の材料特性の違いによって表面に凹凸が形成されたり、しわやよれが発生したりすることを抑制することができる。よって、複合材料10の外観品質を向上することができる。
また、一体化成形工程において樹脂シート30のみを成形するため、低圧成形することができる。このため、成形型160の型締圧力を低く抑えることができ、設備投資にかかる費用を低減することができる。
最後に、成形型160から複合材料10を脱型して成形が完了する(ステップS50)。
以上説明したように、本実施形態に係る複合材料10の成形方法および複合材料10の成形装置100によれば、強化基材11に含浸した母材樹脂22を硬化させて成形体20を形成し、成形体20の表面の少なくとも一部に樹脂シート30を積層する。そして、樹脂シート30の中央から外周に向かう張力を樹脂シート30に付与した状態のまま、樹脂シート30と成形体20とを一体化する。
このように構成した複合材料10の成形方法によれば、成形体20の母材樹脂22を硬化させた後に、樹脂シート30を成形体20の表面に配置する。このため、樹脂シート30の被覆樹脂31が、成形体20の母材樹脂22とともに流動して、強化基材11に含浸することを抑制することができる。これにより、被覆樹脂31が母材樹脂22とともに流動することによって生じるしわやよれを抑制し、最表層の被覆樹脂31が強化基材11に含浸することによって形成される表面の凹凸を抑制することができる。このように、被覆樹脂31によって成形体20の表面の凹凸を埋めて表面を平滑にすることができる。さらに、樹脂シート30と成形体20とを一体化する際に、樹脂シート30に張力がかかることによって、樹脂シート30にしわやよれが発生することなく樹脂シート30と成形体20とを一体化することができる。これにより、複合材料10の表面の凹凸を解消して外観品質を向上させることができる。
また、樹脂シート30は、熱可塑性樹脂によって形成される。複合材料10の最表層に熱可塑性樹脂を配置することによって、熱硬化性樹脂を配置する場合に比べて耐衝撃性に優れた複合材料10を成形することができる。また、チッピング等による層間はく離やき裂進展を抑制することができるため、複合材料10を適用した外板部品の長期使用における外観の品質劣化を抑制することができる。
また、成形体20に樹脂シート30を積層する前に、樹脂シート30を加熱する。樹脂シート30を予め加熱して軟化させることによって、成形体20の表面の凹凸に被覆樹脂31が入り込みやすくなる。これにより、複合材料10の外観品質をさらに向上することができる。
また、成形体20は、強化基材11と、未硬化または半硬化の状態の母材樹脂22と、を含むプリプレグシート21によって形成される。強化基材11に樹脂を含浸させて成形するRTM成形法に比べて、複合材料10の成形時間を短縮することができる。また、プリプレグシート21を使用することによって、一方向材13を使用することができるため、繊維配向の選択の幅を広げることができる。
また、成形体20の母材樹脂22は、熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂は、一般的に熱可塑性樹脂に比べて、耐熱性が高く、寸法安定性に優れている。また、本発明に係る成形方法によれば、成形体20の母材樹脂22を硬化させた後に樹脂シート30と成形体20とを一体化する。このため、樹脂シート30の被覆樹脂31に熱可塑性樹脂、成形体20の母材樹脂22に熱硬化性樹脂を用いた場合に、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との粘度や熱収縮率の違いによって複合材料10の表面の凹凸の形成やしわやよれの発生を抑制することができる。
また、強化基材11のうち、成形体20の最表層に配置される強化基材11の少なくとも一部は、繊維を織り込んだ織物材12である。これにより、成形体20を形成する際に、織物材12が配置された部分において、母材樹脂22の流動によって生じる繊維の乱れを抑制し、表面の凹凸の形成やしわやよれの発生を抑制して複合材料10の外観品質をより一層向上させることができる。
〈変形例1〉
図11A〜図11Cを参照して、前述した実施形態の変形例1を説明する。なお、前述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
変形例1に係る複合材料10の成形装置の複合材料形成部240は、成形体形成部110と上型161を共有せず、上型161の代わりに分割型(加圧部に相当)261を備える点で、前述した実施形態にと異なる。複合材料形成部240は、成形型160の下型162(固定型)のみを成形体形成部110と共有する。
分割型261は、図11Aに示すように、樹脂シート30の中央部に押圧力を付与する中央押圧部261aと、樹脂シート30の外周部に押圧力を付与する外周押圧部261bと、を有する。
一体化成形工程(ステップS40)において成形体20に樹脂シート30を積層する際に、まず、図11Bに示すように、分割型261の中央押圧部261aによって樹脂シート30の中央部を押圧して、樹脂シート30が成形体20に近接する方向に向かって樹脂シート30に対して圧力を付与する。
次に、図11Cに示すように、中央押圧部261aによって樹脂シート30の中央部を押圧した状態のまま、分割型261の外周押圧部261bによって樹脂シート30の外周部を押圧して、樹脂シート30が成形体20に近接する方向に向かって樹脂シート30に対して圧力を付与する。このように、分割型261によって樹脂シート30の中央から外周に向かって順に、樹脂シート30が成形体20に近接する方向に向かって樹脂シート30に対して圧力を付与する。また、樹脂シート30を分割型261によって押圧した状態で、樹脂シート30を成形体20の表面に接合させて一体化する。
以上説明したように、変形例1に係る複合材料10の製造方法および成形装置の複合材料形成部240によれば、成形体20に樹脂シート30を積層する際に、樹脂シート30の中央から外周に向かって順に、樹脂シート30が成形体20に近接する方向に向かって、樹脂シート30に対して圧力を付与する。これにより、樹脂シート30と成形体20との間に残存する空気を外へ排出しながら両者を密着させることができる。このため、樹脂シート30と成形体20との間に気泡が残存することを抑制し、気泡による複合材料10の表面の膨れや面粗さの増加を防ぐことができる。これにより、複合材料10の外観品質をさらに向上することができる。
また、分割型261は、樹脂シート30の中央部に押圧力を付与する中央押圧部261aと、樹脂シート30の外周部に押圧力を付与する外周押圧部261bと、を有する。中央押圧部261aと外周押圧部261bの作動させる順序を調整することによって、比較的容易に樹脂シート30の中央から外周に向かって順に、樹脂シート30が成形体20に近接する方向に向かって樹脂シート30に対して圧力を付与することができる。
〈変形例2〉
図12A〜図12Cを参照して、前述した実施形態の変形例2を説明する。なお、前述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
変形例2に係る複合材料10の成形装置の複合材料形成部340は、成形体形成部110と上型161を共有せず、上型161の代わりに気流発生部362を含む上型(加圧部に相当)361を備える点で、前述した実施形態にと異なる。複合材料形成部340は、前述した変形例1と同様に、成形型160の下型162(固定型)のみを成形体形成部110と共有する。
気流発生部362は、気流を発生して樹脂シート30が成形体20に近接する方向に向かって樹脂シート30に対して圧力を付与する。気流を発生する気体は、特に限定されないが、窒素やアルゴン等の不活性ガスを使用することが好ましい。
一体化成形工程(ステップS40)において成形体20に樹脂シート30を積層する際に、まず、図12Aに示すように、気流発生部362によって樹脂シート30の中央部に気流を発生させて樹脂シート30が成形体20に近接する方向に向かって樹脂シート30に対して圧力を付与する。
次に、図12Bに示すように、気流発生部362によって樹脂シート30の外周部に気流を発生させて樹脂シート30が成形体20に近接する方向に向かって樹脂シート30に対して圧力を付与する。このように、気流発生部362が発生する気流によって、樹脂シート30の中央から外周に向かって順に、樹脂シート30が成形体20に近接する方向に向かって樹脂シート30に対して圧力を付与する。
その後、図12Cに示すように、上型361を閉じて樹脂シート30を成形体20の表面に接合させて一体化する。
以上説明したように、変形例2に係る複合材料10の製造方法および成形装置の複合材料形成部340によれば、成形体20に樹脂シート30を積層する際に、樹脂シート30の中央から外周に向かって順に、樹脂シート30が成形体20に近接する方向に向かって樹脂シート30に対して圧力を付与する。これにより、樹脂シート30と成形体20との間に残存する空気を外へ排出しながら両者を密着させることができる。このため、樹脂シート30と成形体20との間に気泡が残存することを抑制し、気泡による複合材料10の表面の膨れや面粗さの増加を防ぐことができる。これにより、複合材料10の外観品質をさらに向上することができる。
また、上型361は、樹脂シート30に対して気流によって圧力を付与する気流発生部362を有する。これにより、気流を発生する位置を調整することによって、樹脂シート30に対して圧力を付与する位置を細かく調整することができる。
以上、実施形態および変形例を通じて複合材料の成形方法および成形装置を説明したが、本発明は実施形態において説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
例えば、成形体は、プリプレグシートを積層して形成する構成に限定されず、成形型内に強化基材を配置して樹脂を含浸させるRTM(Resin Transfer Molding)成形法や他の成形法を用いて成形してもよい。
また、成形体を構成する母材樹脂は、熱硬化性樹脂に限定されず、熱可塑性樹脂を使用することができる。この場合、熱可塑性樹脂である母材樹脂を加熱して軟化した状態で成形型を閉じて、冷却して硬化させることによって成形体を形成することができる。
また、樹脂シートを構成する被覆樹脂は、熱可塑性樹脂に限定されず、熱硬化性樹脂を使用することができる。
成形体形成部の成形型と複合材料形成部の成形型は、前述した実施形態のように同一の成形型を共有する構成に限定されず、例えば、それぞれ専用の成形型を備えていてもよいし、下型のみまたは上型のみを共有してもよい。
また、変形例1および変形例2は、樹脂シートの中央から外周に向かって順に、樹脂シートが成形体に対して近接する方向に圧力を付与する構成の一例であるが、複合材料の成形方法および複合材料の成形装置は、前記機能を発揮する方法または構成であればよく、前述した変形例1および変形例2において説明した方法または構成に限定されるものではない。
また、プリプレグシート21の積層構成は前述した実施形態に限定されない。
10 複合材料、
11 強化基材、
12 織物材、
20 成形体、
21 プリプレグシート、
22 母材樹脂(樹脂)、
30 樹脂シート、
31 被覆樹脂(樹脂)、
100 成形装置、
110 成形体形成部、
120 加熱部、
130 積層部、
131 グリッパ(張力付与部)、
140、240、340 複合材料形成部、
150 制御部、
160 成形型、
161 上型、
162 下型、
163 温度調整部、
261 分割型(加圧部)、
261a 中央押圧部、
261b 外周押圧部、
361 上型(加圧部)、
362 気流発生部、
400 車体、
401 ルーフ、
402 ボンネット。

Claims (16)

  1. 強化基材に含浸した樹脂を硬化させて成形体を形成し、
    前記成形体の表面の少なくとも一部に樹脂シートを積層し、
    前記樹脂シートの中央から外周に向かう張力を前記樹脂シートに付与した状態のまま、前記樹脂シートと前記成形体とを一体化する、複合材料の成形方法。
  2. 前記成形体に前記樹脂シートを積層する際に、前記樹脂シートの中央から外周に向かって順に、前記樹脂シートが前記成形体に近接する方向に向かって前記樹脂シートに対して圧力を付与する、請求項1に記載の複合材料の成形方法。
  3. 前記樹脂シートは、熱可塑性樹脂によって形成される、請求項1または請求項2に記載の複合材料の成形方法。
  4. 前記成形体に前記樹脂シートを積層する前に、前記樹脂シートを加熱する、請求項3に記載の複合材料の成形方法。
  5. 前記成形体は、前記強化基材と、未硬化または半硬化の状態の前記樹脂と、を含むプリプレグシートによって形成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合材料の成形方法。
  6. 前記成形体の前記樹脂は、熱硬化性樹脂である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合材料の成形方法。
  7. 前記強化基材のうち、前記成形体の最表層に配置される前記強化基材の少なくとも一部は、繊維を織り込んだ織物材である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合材料の成形方法。
  8. 強化基材と、硬化した樹脂と、を含む成形体を形成する成形体形成部と、
    前記成形体の表面の少なくとも一部に樹脂シートを積層する積層部と、
    前記成形体と前記樹脂シートとを一体化する複合材料形成部と、を有し、
    前記積層部は、前記樹脂シートに対して前記樹脂シートの中央から外周に向かう張力を付与する張力付与部を含む、複合材料の成形装置。
  9. 前記複合材料形成部は、前記樹脂シートの中央から外周に向かって順に、前記樹脂シートが前記成形体に近接する方向に向かって前記樹脂シートに対して圧力を付与する加圧部を含む、請求項8に記載の複合材料の成形装置。
  10. 前記加圧部は、前記樹脂シートの中央部に押圧力を付与する中央押圧部と、前記樹脂シートの外周部に押圧力を付与する外周押圧部と、を含む分割型を有する、請求項9に記載の複合材料の成形装置。
  11. 前記加圧部は、前記樹脂シートに気流によって圧力を付与する気流発生部を有する、請求項9または請求項10に記載の複合材料の成形装置。
  12. 前記樹脂シートは、熱可塑性樹脂によって形成される、請求項8〜11のいずれか1項に記載の複合材料の成形装置。
  13. 前記樹脂シートを加熱する加熱部をさらに有する、請求項12に記載の複合材料の成形装置。
  14. 前記成形体は、強化基材と、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂と、を含むプリプレグシートによって形成される、請求項8〜13のいずれか1項に記載の複合材料の成形装置。
  15. 前記成形体の前記樹脂は、熱硬化性樹脂である、請求項8〜14のいずれか1項に記載の複合材料の成形装置。
  16. 前記強化基材のうち、前記成形体の最表層に配置される前記強化基材の少なくとも一部は、繊維を織り込んだ織物材である、請求項8〜15のいずれか1項に記載の複合材料の成形装置。
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