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JP2018036198A - シンチレータパネル - Google Patents

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JP2018036198A JP2016170928A JP2016170928A JP2018036198A JP 2018036198 A JP2018036198 A JP 2018036198A JP 2016170928 A JP2016170928 A JP 2016170928A JP 2016170928 A JP2016170928 A JP 2016170928A JP 2018036198 A JP2018036198 A JP 2018036198A
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圭 礒田
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敬子 板屋
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Abstract

【課題】下引き層とシンチレータ層との密着性を促進させ、膜剥がれが抑制されたシンチレータパネルを提供する。【解決手段】少なくとも、放射線を可視光に変換するシンチレータ層と、シンチレータ層によって変換された可視光を反射させる反射層と、シンチレータ層と反射層の間に存在し、そのうち少なくとも1層が画像形成領域でシンチレータ層に接する下引き層と、を含むシンチレータパネルであって、前記下引き層が金属化合物を含有し、下引き層内で、金属化合物の量に分布があり、かつ画像形成領域でシンチレータ層と接する下引き層表面における金属元素の原子数%が、下引き層のその他の箇所における金属元素の原子数%よりも小さいことを特徴とするシンチレータパネル。【選択図】図1

Description

本発明は、密着性に優れたシンチレータ層を有するシンチレータパネルに関する。
近年、コンピューテッド・ラジオグラフィー(CR:computed radiography)やフラットパネルディテクター(FPD:flat panel detector)等に代表されるデジタル方式の放射線画像検出器は、デジタルの放射線画像が直接得られ、陰極管や液晶パネル等の画像表示装置に画像を直接表示することが可能であることから、病院及び診療所等での画像診断に広く用いられている。最近はヨウ化セシウム(CsI)を含むシンチレータ層を使用し、薄膜トランジスタ(TFT)を組み合わせたフラットパネルが、高感度のX線画像可視化システムとして着目されている。
このようなシンチレータ層には、シンチレータ層内の蛍光体で変換された光をセンサパネル側に反射させる下引き層(たとえば金属反射層など)を設けることで、発光光の損失を低減し、発光輝度に優れたシンチレータを得ることが試みられている。
このような下引き層は、通常、無機物質から構成されるが、無機物質は高剛性であるため、このような物質上に、蛍光体を蒸着させると、シンチレータの膜剥がれが必発することが懸念される。
このため、膜剥れ防止のための密着性を促進されることが望まれていたが、剛性の高い無機物質上へのシンチレータ層形成した場合に密着性を促進する有用な手法は全く知られていなかった。
特許文献1(特開2012-168010号公報)、特許文献2(特開2014−55977号公報)、と特許文献3(特開2008-51783号公報)は、賦活剤濃度の局所的に変化させるものが開示されており、また特許文献4(特開2010-165916号公報)にはセンサー側の半導体不純物濃度を限定するものであるが、下引き層とシンチレータ層との密着性への影響を、なんら示唆するものではない。
特開2012-168010号公報 特開2014-055977号公報 特開2008-051783号公報 特開2015-001397号公報
本発明は、下引き層とシンチレータ層との密着性を促進させ、膜剥がれが抑制されたシンチレータパネルを提供することを目的とする。
このような状況の下、本発明者らは鋭意検討した結果、密着性を促進するために、下引き層とシンチレータ層の成分の相互拡散および下引き層表面の有機不純物の影響を考えた。
そして、下引き層最表面(シンチレータと接する面)の原子数%を少なくすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の構成は以下の通りである。
[1]少なくとも、
放射線を可視光に変換するシンチレータ層と、
シンチレータ層によって変換された可視光を反射させる反射層と、
シンチレータ層と反射層の間に存在し、そのうち少なくとも1層が画像形成領域でシンチレータ層に接する下引き層と、
を含むシンチレータパネルであって、
前記下引き層が金属化合物を含有し、下引き層内で、金属化合物の量に分布があり、かつ画像形成領域でシンチレータ層と接する下引き層表面における金属元素の原子数%が、下引き層のその他の箇所における金属元素の原子数%よりも小さいことを特徴とするシンチレータパネル。
[2]前記シンチレータパネルにおいて、前記金属化合物が、金属酸化物である
ことを特徴とする、[1]に記載のシンチレータパネル。
[3]前記シンチレータパネルにおいて、画像形成領域でシンチレータ層と接する下引き層表面における、常温常圧で気体となる物質のうち少なくとも1つ以上の原子数%が0.1%以上であることを特徴とする、[1]または[2]に記載のシンチレータパネル。
[4]前記シンチレータパネルにおいて、前記画像形成領域でシンチレータ層と接する下引き層が、金属酸化物のみからなることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
[5]前記シンチレータパネルにおいて、画像形成領域でシンチレータ層と接する下引き層表面における炭素の原子数%が0.1%以下であることを特徴とする、[4]に記載のシンチレータパネル。
[6]前記シンチレータパネルにおいて、前記シンチレータ層が、バインダー樹脂を含まないことを特徴とする、[1]〜[5]のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
[7]前記シンチレータパネルにおいて、前記シンチレータ層が、物理蒸着物からなることを特徴とする、[6]に記載のシンチレータパネル。
[8]前記シンチレータパネルにおいて、前記シンチレータ層が、ヨウ化セシウムを主成分とすることを特徴とする、[7]に記載のシンチレータパネル。
本発明のシンチレータパネルは、画像形成領域でシンチレータ層と接する下引き層表面における金属元素の原子数%が、下引き層のその他の箇所における金属元素の原子数%よりも小さいという特徴を備える。これによって、下引き層とシンチ層の界面密着力が向上し、下引き層が無機物質のような高剛性物質から構成されても、膜剥がれを起こさず、画像の劣化を抑制できる。
本発明に係る放射線検出器を示す模式断面図である。 シンチレータ層形成時の蒸着装置の概略図である。
本発明のシンチレータパネルは、放射線を可視光に変換するシンチレータ層と、
シンチレータ層による発光をさせる反射層と、
シンチレータ層と反射層の間、少なくとも1層が画像形成領域でシンチレータ層に接する下引き層を含む。
このような本発明にかかる放射線検出器の基本構成を図1に示す。
図1に示すように、本発明にかかるシンチレータパネルは、前記ンチレータ層と反射層の間に下引き層が存在し、下引き層内で、金属化合物の量に分布があり、かつ画像形成領域でシンチレータ層と接する下引き層表面における金属元素の原子数%が、下引き層表面の金属元素の原子数%が下引き層のほかの箇所に比べて少ない。
このようにシンチレータ層に接する下引き層表面の金属元素の原子数が少なくすることで、シンチレータ層と下引き層との間で成分の相互拡散して、下引き層とシンチ層の界面密着力が向上し、下引き層が無機物質のような高剛性物質から構成されても、膜剥がれを起こさず、画像の劣化を抑制できる。
以下、各構成部材について順に説明する。
シンチレータ層
シンチレータ層は、蛍光体から構成され、外部から入射された放射線であるX線のエネルギーを、可視光に変換する役割を有する。
本発明において蛍光体とはα線、γ線、X線等の電離放射線が照射されたときに原子が励起されることにより発光する蛍光体をいう。すなわち、放射線を可視光に変換して放出する蛍光体を指す。蛍光体は外部から入射されたX線などの放射線エネルギーを効率よく光に変換可能な材料である限り特に制限されない。また、放射線の光への変換は必ずしも瞬時に行われる必要は無く、シンチレータ層に一旦潜像として蓄積され、後から読み出す方式を用いても良い。
本発明に係るシンチレータとしては、X線などの放射線を可視光などの異なる波長に変換することが可能な物質を適宜使用することが出来る。具体的には、「蛍光体ハンドブック」(蛍光体同学会編・オーム社・1987年)の284頁から299頁に至る箇所に記載されたシンチレータ及び蛍光体や、米国Lawrence Berkeley National LaboratoryのWebホームページ「Scintillation Properties(http://scintillator.lbl.gov/)」に記載の物質などが考えられるが、ここに指摘されていない物質でも、「X線などの放射線を可視光などの異なる波長に変換することが可能な物質」であれば、シンチレータとして用いることが出来る。
具体的なシンチレータの組成としては、以下の例が挙げられる。まず、
基本組成式(I):MIX・aMIIX'2・bMIIIX''3:zA
で表わされる金属ハロゲン化物系蛍光体が挙げられる。
上記基本組成式(I)において、MIは1価の陽イオンになり得る元素、すなわち、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、タリウム(Tl)および銀(Ag)などからなる群より選択される少なくとも1種を表す。
IIは2価の陽イオンになり得る元素、すなわち、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)およびカドミウム(Cd)などからなる群より選択される少なくとも1種を表す。
IIIは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)およびランタノイドに属する元素からなる群より選択される少なくとも1種を表す。
X、X'およびX''は、それぞれハロゲン元素を表わすが、それぞれが異なる元素であっても、同じ元素であっても良い。
Aは、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag(銀)、TlおよびBi(ビスマス)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を表す。
a、bおよびzはそれぞれ独立に、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<z<1.0の範囲内の数値を表わす。
また、
基本組成式(II):MIIFX:zLnで表わされる希土類付活金属フッ化ハロゲン化物系蛍光体も挙げられる。
上記基本組成式(II)において、MIIは少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を、Lnはランタノイドに属する少なくとも1種の元素を、Xは、少なくとも1種のハロゲン元素を、それぞれ表す。またzは、0<z≦0.2である。
また、
基本組成式(III):Ln22S:zA
で表される希土類酸硫化物系蛍光体も挙げられる。
上記基本組成式(III)において、Lnはランタノイドに属する少なくとも1種の元素を、Aは、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag(銀)、TlおよびBi(ビスマス)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を、それぞれ表す。またzは、0<z<1である。
特にLnとしてガドリニウム(Gd)を用いたGd22Sは、Aの元素種にテルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)等を用いることによって、センサパネルが最も受光しやすい波長領域で、高い発光特性を示すことが知られているため、好ましい。
また、
基本組成式(IV):MIIS:zA
で表される金属硫化物系蛍光体も挙げられる。
上記基本組成式(IV)において、MIIは2価の陽イオンになり得る元素、すなわちアルカリ土類金属、Zn(亜鉛)、Sr(ストロンチウム)、Ga(ガリウム)等からなる群より選択される少なくとも1種の元素を、Aは、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag(銀)、TlおよびBi(ビスマス)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を、それぞれ表す。またzは、0<z<1である。
また、
基本組成式(V):MIIa(AG)b:zA
で表される金属オキソ酸塩系蛍光体も挙げられる。
上記基本組成式(V)において、MIIは陽イオンになり得る金属元素を、(AG)はリン酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、タングステン酸塩、アルミン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種のオキソ酸基を、Aは、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag(銀)、TlおよびBi(ビスマス)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を、それぞれ表す。
またaおよびbは、金属及びオキソ酸基の価数に応じて取り得る値全てを表す。zは、0<z<1である。
また、
基本組成式(VI):Mab:zA
で表わされる金属酸化物系蛍光体が挙げられる。
上記基本組成式(VI)において、Mは陽イオンになり得る金属元素より選択される少なくとも1種の元素を表す。
Aは、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag(銀)、TlおよびBi(ビスマス)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を、それぞれ表す。
またaおよびbは、金属及びオキソ酸基の価数に応じて取り得る値全てを表す。zは、0<z<1である。
また他に、
基本組成式(VII):LnOX:zA
で表わされる金属酸ハロゲン化物系蛍光体が挙げられる。
上記基本組成式(VII)において、Lnはランタノイドに属する少なくとも1種の元素を、Xは、少なくとも1種のハロゲン元素を、Aは、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag(銀)、TlおよびBi(ビスマス)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を、それぞれ表す。またzは、0<z<1である。
シンチレータを構成する材料としては、外部から入射してきたX線のエネルギーを効率よく光に変換できるものであれば特に限定はない。したがって、上記条件を満たす限り、従来公知の種々の蛍光体をシンチレータとして用いることができ、その中でも、ヨウ化セシウム(CsI)、硫酸化ガドリニウム(GOS)、タングステン酸カドミウム(CWO)、ケイ酸ガドリニウム(GSO)、ゲルマニウム酸ビスマス(BGO)、ケイ酸ルテチウム(LGO)、タングステン酸鉛(PWO)などを好適に用いることができる。なお、本発明において用いるシンチレータは、CsIなどの瞬間発光の蛍光体に限られず、用途によっては、臭化セシウム(CsBr)などの輝尽性蛍光体であってもよい。
本発明においては、これらの材料の中でも、CsIが、X線などの放射線のエネルギーを可視光に変換する効率が比較的高く、賦活剤との組み合わせによって、上記のように特定波長での光反射率の低下の少ないシンチレータを構成できるために好ましい。本発明では、CsIを蛍光体母材として、これとともに賦活剤を含むことが好ましい。賦活剤の濃度は、モル%で示される。
賦活剤としては、タリウム(Tl)、ユーロピウム(Eu)、インジウム(In)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、ナトリウム(Na)などを含むものが好ましい。これらの賦活剤は、元素の状態でシンチレータ中に存在する。なお、賦活剤は、例えば、沃化タリウム(TlI)、臭化タリウム(TlBr)、塩化タリウム(TlCl)、フッ化タリウム(TlF、TlF3)等が使用される。
シンチレータに含有される賦活剤は、少なくともタリウムを含むことが好ましい。タリウムを含むと、X線を照射したときの蛍光の波長がずれることがなく、光電変換素子による蛍光の検出精度が高い上に、上記520nmでの放射線照射後の光反射率の低下を少なくすることができ、本発明で定義する所定の光反射率を満足するシンチレータを得ることができる。
本発明において、シンチレータ層は、1層からなっていてもよいし、2層以上からなっていてもよい。またシンチレータ層のみからなるものであってもよく、あるいは、下地層とシンチレータ層とからなり、支持体上に、下地層とシンチレータ層とがこの順で積層されている構造を有するものであってもよい。シンチレータ層が下地層とシンチレータ層との2層を含む場合、これらの層は、蛍光体母材化合物が同じである限り、同じ材質からなるものであってもよく、あるいは異なる材質からなるものであってもよい。すなわち、シンチレータ層は、全体が蛍光体母材のみからなる1層であってもよく、全体が蛍光体母材化合物と賦活剤とを含む1層であってもよく、蛍光体母材化合物のみからなる下地層と、蛍光体母材化合物と賦活剤とを含むシンチレータ層とからなるものであってもよく、蛍光体母材化合物と第1の賦活剤とを含む下地層と、蛍光体母材化合物と第2の賦活剤とを含むシンチレータ層とからなるものであってもよい。
本発明に係るシンチレータ層において、賦活剤の相対含有量は目的性能等に応じて、最適量にすることが望ましいが、シンチレータの含有量に対して、0.001モル%〜50モル%、更に0.1〜10.0モル%であることが好ましい。シンチレータに対して、賦活剤の濃度が0.001モル%以上であると、シンチレータを単独で使用した場合よりも発光輝度の向上がみられ、目的とする発光輝度を得る点で好ましい。また、50モル%以下であるとシンチレータ性質・機能を保持することができて好ましい。
下地層における賦活剤の相対含有量は0.01〜1モル%が好ましく、0.1〜0.7モル%が更に好ましい。特に、下地層の賦活剤の相対含有量が0.01モル%以上であることが、シンチレータパネル10の発光輝度向上及び保存性の点で非常に好ましい。また、下地層における賦活剤の相対含有量がシンチレータ層における相対含有量よりも低いことが非常に好ましく、シンチレータ層における賦活剤の相対含有量に対する下地層における賦活剤の相対含有量のモル比((下地層における賦活剤の相対含有量)/(シンチレータ層における相対含有量))は、0.1〜0.7であることが好ましい。
シンチレータ層を形成する方法としては、シンチレータ粉体をバインダー樹脂などと混合して出来る液体を塗布して塗布膜を形成する方法や、その液体や塗布膜を加工することで規則的な配列構造を有する膜を形成する方法、各種蒸着法を用いて結晶膜を形成する方法などを用いることが可能である。バインダー樹脂としては、例えば、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;および、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリ(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂などのような合成高分子物質が挙げられる。
蒸着法には、物理蒸着(PVD)法や化学蒸着(CVD)法が挙げられる。PVD法には、加熱蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの方法が含まれる。また、CVD法では、原料ガスを反応させて薄膜が形成される。CVD法のうちの1つであるプラズマCVDでは、電磁波エネルギーでガスをプラズマ化し、シンチレータ層が作成される。またシート状に形成された結晶を貼付してもシンチレータ層を形成すること可能である。このような蒸着法によれば柱状結晶のシンチレータ層を形成できる。
本発明で、シンチレータ層は、バインダー樹脂を含まないことが好ましい態様である。このため、シンチレータ粉体をバインダー樹脂などと混合したコーティングにより形成されたものよりも、蒸着法で形成されたものが好ましい。バインダーを含むと下引き層表面への炭素量に影響を及ぼすことがあり、下引き層の付着性に影響を及ぼすことがある。
さらに、本発明では、シンチレータ層は、物理蒸着物が好ましい態様である。物理蒸着物に対し、下引き層表面の金属原子数%を定義することで、シンチレータ層との界面での剥がれを抑制し、その付着性をより高めることができる。これにより画像の劣化を抑制できる。
このため、シンチレータ層がシート状結晶の添付やCVD成膜ではないことが好ましい。物理蒸着物の場合、シンチレータ層は、CsIを主成分とすることが好ましい。
なお、シンチレータ層の厚さは、100〜800μmであることが好ましく、120〜700μmであることが、輝度と鮮鋭性の特性をバランスよく得られる点からより好ましい。下地層の層厚は、高輝度・鮮鋭性維持の面から、0.1μm〜50μmであることが好ましく、5μm〜40μmであることがより好ましい。
支持体
本発明に係るシンチレータパネルにおいて、支持体は必ずしも必要でない。支持体は、シンチレータ層を形成する蛍光体の土台として用いられるとともに、シンチレータ層の構造を保持する役割を有する。支持体の材料としては、各種のガラス、高分子材料、金属等が挙げられる。なお最終的なシンチレータパネルにおいて支持体は脱離されていてもよい。
具体的には、石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラス等の板ガラス;サファイア、窒化珪素、炭化珪素等のセラミック;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素等の半導体;セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、炭素繊維強化樹脂シート等の高分子フィルム(プラスチックフィルム);
アルミニウムシート、鉄シート、銅シート等の金属シート又はこれらの金属の酸化物の被覆層を有する金属シート;バイオナノファイバーフィルム等を用いることができる。これらは一種単独で用いても積層して用いてもよい。
上記支持体の材料の中でも、可撓性を有する高分子フィルムが好ましい。
このような高分子フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルロースアセテート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、エポキシ、ポリアミドイミド、ビスマレイミド、フッ素樹脂、アクリル、ポリウレタン、アラミド、ナイロン、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、バイオナノファイバー等からなるフィルムが挙げられる。
当該樹脂フィルム上に蛍光体を蒸着する際、耐熱性の観点から、ポリイミドを含有する樹脂フィルムが好適である。市販品として、例えば、UPILEX−125S(宇部興産(株)製)を用いてもよい。
高分子フィルムの厚さとしては、好ましくは20〜1000μm、更に好ましくは50〜750μmである。支持体の厚さを50μm以上にすることでシンチレータ層を形成した後のハンドリング性が良好となる。また、支持体の厚さを750μm以下にすることで、密着層、導電層、易接着層等の機能層を、ロール・ツー・ロール(roll to roll)で加工することが容易となり、生産性向上の観点より、非常に有用である。
支持体は、脱離させてもよくし、そのまま残しておいてもよい。そのまま残して使用する場合、透明な材料から構成されることが望ましい。
反射層
本発明では、反射層を有し、シンチレータ層による発光を反射させる。発光を反射することで、シンチレータでの発光が効率的にセンサーへ導かれ感度が向上する。
反射層は光の反射率の高い材料からなるものが好ましく、通常、金属反射層により構成される。かかる金属反射層を形成しうる金属材料として、具体的には、アルミニウム、銀、白金、パラジウム、金、銅、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、マグネシウム、チタン、ロジウム、ステンレス等の金属材料を含有していることが好ましい。中でも反射率の観点から銀もしくはアルミニウムを主成分としていることが特に好ましい。ここで、金属反射層を構成する金属材料は、本発明の典型的な態様において、金属単体あるいはその合金の形態を有している。
ただ、光の散乱が大きくならない限りにおいては、必ずしも金属単体やその合金の形態を有するものに限られず、対応する金属酸化物の形態であってもよい。この場合は、金属酸化物による薄膜を複数積層させて反射機能を持たせる、いわゆる誘電体多層膜などを想定することができる。このような誘電体多層膜に用いられる金属酸化物の好適な例として、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タンタル(Ta2O5)などが挙げられる。
誘電体層として、有機材料を用いることもできる。有機材料層は高分子結合材(バインダー)、分散剤等を含有することが好ましい。有機材料層の屈折率は材料の種類にもよるがおおよそ1.4〜1.6の範囲である。有機材料層の厚さは0.5〜4μmが好ましい。4μm以下とすることで有機材料層内での光散乱が小さくなり鮮鋭性が向上する。また、有機材料層の厚さを0.5μm以上とすることで、反射層としての効果が大きくなる。有機材料層に用いられる高分子結合材としては、具体的には、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。
金属反射層を支持体表面に設ける方法としては、蒸着、スパッタなど既知のプロセスを用いる方法や、アルミニウムなどの金属を薄膜化しておき、後で貼付することが可能である。また金属箔は接着剤を介して圧着させることも可能であるが、接着剤が介在すると、光吸収が生じて、光量が少なくなることがある。このような観点から、スパッタが好ましい。なお、支持体側に光検出器が存在する形態を取る場合は、シンチレータ層を挟んで支持体と反対側に金属反射層を設けることも可能であり、その場合は、薄膜化した金属を貼付する方が、蒸着、スパッタによる膜の様な、シンチレータ層の凹凸に追従してクラックが入りやすい膜にならずに済むため、特に好ましい。また有機材料層は、溶剤に溶解または分散した高分子結合材(以下「バインダー」ともいう。)を塗布、乾燥して形成することが好ましい。
さらに反射層として、バインダー樹脂と、光散乱粒子または空隙の少なくとも一方とから構成される反射層であってもよく、その一態様として、塗布型反射層を挙げることができる。
バインダー樹脂としては、易接着性のポリマー、例えば、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。
なかでもポリウレタン、ポリエステル、シリコーン樹脂、アクリル樹脂又はポリビニルブチラールを使用することが好ましい。また、これらのバインダーは2種以上を混合して使用することもできる。
光散乱粒子としては、白色顔料からなるものが、光の屈折という点で好ましい。
白色顔料としては、例えば、TiO2(アナターゼ型、ルチル型)、MgO、PbCO3・Pb(OH)2、BaSO4、Al23、M(II)FX(但し、M(II)はBa、Sr及びCaの各原子から選ばれる少なくとも一種の原子であり、XはCl原子又はBr原子である。)、CaCO3、ZnO、Sb23、SiO2、ZrO2、リトポン(BaSO4・ZnS)、珪酸マグネシウム、塩基性珪硫酸塩、塩基性燐酸鉛、珪酸アルミニウム等を使用することができる。これらの白色顔料は単独で用いてもよいし、あるいは組み合わせて用いてもよい。
これらの白色顔料のうちTiO2、Al23などは隠蔽力が強く、屈折率が大きい。このため、拡散光を反射し、屈折させることで、散乱光が横方向に伝播する前に、シンチレータ層へ戻すことができる。その結果、得られる輝度を上げることができるばかりか、画像ボケの原因であった、拡散光を有効にシンチレータ層に戻すことが可能となり、画質を顕著に向上させることができる。
酸化チタンの結晶構造としては、ルチル型、アナターゼ型どちらでも使用できるが、樹脂との屈折率差が大きく、高輝度を達成できる点からルチル型が好ましい。
酸化チタンとしては、具体的には、例えば塩酸法で製造されたCR−50,CR−50−2,CR−57,CR−80,CR−90,CR−93,CR−95,CR−97,CR−60−2,CR−63,CR−67,CR−58,CR−58−2,CR−85,硫酸法で製造されたR−820,R−830,R−930,R−550,R−630,R−680,R−670,R−580,R−780,R−780−2,R−850,R−855,A−100,A−220,W−10(以上商品名:石原産業(株)製)などが挙げられる。
光散乱粒子の一次粒径は0.1〜0.5μmの範囲内が好ましく、さらに0.2〜0.3μmの範囲内がさらに好ましい。また、光散乱粒子は、ポリマーとの親和性、分散性を向上させるためやポリマーの劣化を抑えるためのAl、Si、Zr、Znなどの酸化物で表面処理されたものが特に好ましい。
また上記光散乱粒子の代わりに、反射層は空隙を含むものでもよい。空隙でも同様に光が屈折するため、光散乱粒子と同様にシンチレータ層への拡散反射光の戻りを多くすることができる。
内部に空隙を形成する手段としては、例えば発泡剤による方法や、ガスを注入しておいて低圧化させる方法、延伸による方法など様々な方法、があるが、発泡剤により空隙を形成すると、内部空隙は球状もしく楕円球状となり、微細な空隙を均一に多数形成することが可能であるため、発泡剤で空隙を形成する方法がより望ましい。
下引き層
本発明においては、反射層とシンチレータ層の間に下引き層を設ける。下引き層は金属化合物を含有する。この下引き層は単層でも複数層であってもよい。本発明では、下引き層内に含まれる金属化合物に分布があり、画像形成領域でシンチレータ層と接する下引き層表面における金属元素の原子数%が、下引き層のその他の箇所における金属元素の原子数%よりも小さいことを特徴とする。このように原子数%を定義しておくと、下引き層は、シンチレータ層との相互拡散により、密着性を高めることが可能となる。
原子数%は、金属元素の原子数(M1)と全原子数(M0)との比(M1/M0)から求め、下引き層表面における金属原子数%は、下引き層内のその他の箇所における原子数%よりも小さい。
原子数%は、二次イオン質量分析(SIMS)、時間飛行型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)、X線光電子分光分析装置(XPS)、エネルギー分散型X分析(EDS)、オージェ電子分光測定(AES)などの分析手段で測定できる。
シンチレータ層と接する下引き層表面は、下引き層表面にシンチレータ層を形成したシンチレータパネルからシンチレータ層を剥離や研削など等の手段によって下引き層を露出させた表面であっても、あるいは、シンチレータ層を脱離させずに、シンチレータパネルの切削断面から、そのシンチレータ層との界面を表面として評価したもののいずれであってもよい。また、XPSでは下引き層を露出させた表面で評価され、EDSやAESでは切断面で評価される。またTOF−SIMSでは、試料にイオンビーム(一次イオン)を照射し、表面から放出されるイオン(二次イオン)をその飛行時間差(飛行時間は重さの平方根に比例)を使用し質量分離する方法であり、非破壊分析が可能である。
下引き層に含まれる金属化合物は、金属であっても、金属酸化物、金属窒化物や複合酸化物、金属塩などであってもよい。
下引き層としては、たとえばアルミニウム、銀、白金、パラジウム、金、銅、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、ロジウム、マグネシウム、チタン、ステンレスなどの金属材料、
酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化亜鉛(ZnO)、三酸化アンチモン(Sb23)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、前記金属材料で使用される銀、銅、クロム、コバルト、ロジウム、ステンレスなどの元素の金属酸化物、フッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)などの金属フッ化物の他に、PbCO3・Pb(OH)2、BaSO4、Al23、M(II)FX(但し、M(II)はBa、Sr及びCaの各原子から選ばれる少なくとも一種の原子であり、XはCl原子又はBr原子である。)、CaCO3、リトポン(BaSO4・ZnS)、珪酸マグネシウム、塩基性珪硫酸塩、塩基性燐酸鉛、珪酸アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、マイカ、タルクなどの無機材料などが挙げられる。
これらの中でも金属化合物として金属酸化物が好ましい。金属酸化物からなる下引き層は、ここで、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)、熱蒸着(thermal evaporation)法、原子層蒸着(Atomic layer deposition)法、化学蒸着(Chemical vapor deposition)法、および電子ビーム蒸着(e−beame vaporation)法など当技術分野において周知の方法を用いて前記を形成することができる。
本発明では、画像形成領域でシンチレータ層と接する下引き層表面には、常温常圧で気体となる物質のうち少なくとも1つ以上が含まれ、その原子数%が0.1%以上であることが好ましい。常温常圧で気体となる物質として、酸素、窒素、アルゴンやヘリウム、ネオンなどの希ガスなどが挙げられる。なお常温常圧とは、300Kで1気圧のことをいう。
シンチレータ層と接する下引き層表面は表面処理されていることが好ましい。この表面処理によって、下引き層表面における金属原子数%を少なくでき、また、常温常圧で気体となる物質を含ませることができる。
表面処理としては、グロー放電、コロナ放電、リモートプラズマ処理、スパッタエッチング処理、高エネルギー線(紫外光、電子線、放射線、レーザー)照射処理、オゾン処理などが挙げられる。
グロー放電処理は、真空プラズマ処理又は低圧プラズマ処理とも呼ばれる方法で、低圧雰囲気の気体(プラズマガス)中での放電によりプラズマを発生させ、表面を処理する方法である。プラズマ雰囲気内に被処理体(下引き層形成後の支持体)を置くことにより行われる。
グロー放電処理において、プラズマを発生させる方法としては、直流グロー放電、高周波放電、マイクロ波放電等の方法を利用することができる。放電に用いる電源は直流でも交流でもよい。交流を用いる場合は30Hz〜20MHz程度の範囲が好ましい。グロー放電処理で用いるプラズマガスとして、酸素ガス、窒素ガス、水蒸気ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガスおよびキセノンガス等が挙げられる。
コロナ処理とは高周波高電圧装置により発生させた電子を下引き層表面に衝突させるものである。そして、コロナ放電処理は、酸素ガスを含む雰囲気で処理すればよく、窒素ガスを含んでいてもよい。
リモートプラズマ処理とは、直接プラズマに曝して処理するのではなく、被処理基板の場所とは異なる離れた場所でプラズマを発生させて、それを被処理基板表面に導きプラズマ処理を行うことである。ガスの種類としては、O2、CO2、N2、NH3等や水蒸気などが用いられる。
スパッタエッチング処理は、逆スパッタリングによる表面処理であり、減圧雰囲気中で発生させたプラズマに下引き層表面を曝すことにより行われる。スパッタリングの条件は、特に制限されないが、例えば真空度0.075〜0.1Torrのアルゴンなどの希ガス雰囲気下で行えばよい。スパッタエッチングの雰囲気ガスには、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスを用いることができる。
高エネルギー線照射処理としては、紫外線、電子線、放射線、レーザーなどを照射する処理が挙げられる。このとき、下引き層の表面を酸素雰囲気下、または二酸化硫黄(SO2)と酸素との混合ガス雰囲気下にする。さらに必要に応じて高エネルギー線照射処理を行いながら熱処理してもよい。
オゾン処理とはオゾンを含むガスまたは水溶液中で処理する方法である。オゾンガス処理はオゾンガスと酸素ガスとの混合ガスを使用して処理される。
以上の処理によって、表面の金属原子がはじき出され、常温常圧で気体となる物質がイオン化してイオン注入される。これによって、表面の原子数%が変化し、他の部位と比べて少なくなると考えられる。
これらの処理のうち、スパッタエッチング処理が好ましい。
下引き層には、上記金属化合物以外に、ポリパラキシリレン、高分子結合材(バインダー)として例示したポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等の有機材料を含んでいてもよい。
「画像形成領域でシンチレータ層と接する」とは、シンチレータ層と直接的に接することであり、本発明のでは、このような画像形成領域でシンチレータ層と接する下引き層は金属酸化物のみからなることが好ましい。画像形成領域でシンチレータ層と接する下引き層は金属酸化物のみから構成されることにより、シンチレータ層と下引き層との付着性を高くできる。なおシンチレータ層と直接接しない下引き層は、金属酸化物以外のものを含むものであってよい。
また、画像形成領域でシンチレータ層と接する下引き層表面における炭素の原子数%が0.1%以下であることが好ましい。炭素の原子数%も金属の原子数%と同様の手法で測定が可能である。このように炭素原子数%が所定の範囲以下に調整されていると、シンチレータ層と下引き層の付着力をより向上できる。炭素分は、支持体やシンチレータ層、シンチレータ層と接しない下引き層や反射層に含まれているバインダーなどが下引き層に由来する。このような下引き層表面の有機不純物は、前記した表面処理、例えば、スパッタエッチング処理や、高エネルギー線照射処理などによって、分解除去することができる。
また下引き層の厚さは、20〜400nmが好ましい。400nm以下になると下引き層内での光散乱が小さくなり鮮鋭性が向上する。また下引き層の厚さを所定範囲とすることで、蛍光体の結晶成長に乱れが発生するのを防止できる。
シンチレータパネルの製造方法
本発明におけるシンチレータパネルは、例えば、上記支持体にあらかじめ、反射層および下引き層を形成したのち、放電加工やスパッタリング、紫外線照射処理を行い、蛍光体材料を蒸着してシンチレータ層を形成することで製造できる。このような処理方法についてはすでに記載した通りである。
上記シンチレータパネルを、光電変換素子アレイと組み合わせることで、放射線検出器が構成される。このような放射線検出器には、光電変換素子アレイとシンチレータ層の間に存在する、少なくとも1層以上からなる中間層とを含むものであってもよい。
中間層は光電変換素子アレイとシンチレータ層の間に存在する、少なくとも1層以上からなる。したがって、中間層は、単層であっても2層以上の複数の積層体であってもよい。さらに、中間層は、光電変換素子アレイとシンチレータ層の間に存在するものであれば、機能が異なる複数の層であってもよい。たとえば、接着層、保護層、光学結合層などが挙げられる。これらの積層の順序は特に制限されない。
接着剤層は、シンチレータパネルと光電変換素子とを接合するものであり、放射線の照射によりシンチレータ層で発光した光が接着剤層を介して、光電変換素子に効率よく到達できるように、シンチレータ層の発光波長に対して透明であるものが望ましい。具体的には、接着剤層の透過率はシンチレータ層の発光波長に対して通常70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
上記接着剤層を構成する材料としては、例えば、ホットメルトシート及び感圧性接着シート等を用いることが好ましい。
ここで、ホットメルトシートとは、水又は溶剤を含まず、室温では固形であり、不揮発性の熱可塑性材料からなる接着性樹脂(ホットメルト樹脂)をシート状に成形したものをいう。ホットメルトシートは、被着体の間に挿入した後、融点以上の温度で溶融させて、再び融点以下の温度にして固化させることにより、被着体同士を接合できるものである。
・保護層
保護層は、シンチレータ層全体を保護し、蛍光体の劣化を抑制する役割を有する。保護層は、有機材料からなるもので、無機材料からなるもののいずれであってもよく、両方を組み合わせてもよく、さらに2層以上の積層物から構成されていてもよい。なお、シンチレータ層の劣化を抑制する役割を有する防湿保護層も保護層に含まれる。
たとえば、耐湿保護層は、ポリパラキシリレンからなるが、ポリモノクロロパラキシリレン、ポリジクロロパラキシリレン、ポリテトラクロロパラキシリレン、ポリフルオロパラキシリレン、ポリジメチルパラキシリレン、ポリジエチルパラキシリレン等のキシリレン系の材料からなってもよい。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリメタクリレート、ニトロセルロース、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリエチレンナフタレート、ポリ尿素、ポリイミド等からなる保護層であってもよい。
また保護層は、グラファイト、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ベリリウム、チタン、シリコン、アルミニウムと炭素の複合材料、銅と炭素の複合材料などの金属ないし炭素系無機材料、LiF、MgF2、SiO2、Al23、TiO2、MgO、ITO、ガラス(珪酸ナトリウム)又はSiN等の非金属系無機材料を含む保護層であってもよい。無機材料を含む保護層の場合、無機材料単独から構成されても、また無機材料と有機材料とを含む保護層であってもよい。保護層としては、非金属系無機材料およびポリパラキシリレンなどキシリレン系高分子が好ましい。
保護層の厚さは、シンチレータ層によって変換された可視光を拡散させないためには薄くする必要があり、好ましくは50μm以下が好適であるがこの限りではない。
保護層は、上記有機材料、無機材料を含むフィルムを貼り付けたり、塗料を塗布することで作製可能であり、ポリパラキシリレンなど耐湿膜が形成する場合、シンチレータ層が形成された支持体をCVD装置の蒸着室に入れ、ポリパラキシリレンが昇華した蒸気中に露出させておくことにより、シンチレータ層と支持体の全表面がポリパラキシリレン膜で被覆された放射線検出器を得ることができる。
・光学結合層
光学結合層は、シンチレータ層と光電変換素子とを密接に貼り合わせる機能を具備する。
光学結合層は、放射線の照射によりシンチレータ層によって変換された可視光が光学結合層や光電変換素子パネルの最表層を介して光電変換素子に到達するようにするために透明であり、光の透過率が90%以上の高透過率であることが好ましい。
また、光学結合層の厚さは、シンチレータ層によって変換された可視光を拡散させないためには薄くする必要があり、好ましくは50μm以下が好適であるが、より好ましくは30μm以下である。
光学結合層を構成する成分としては、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、熱硬化樹脂、ホットメルトシート、感圧性接着シートが好ましい。
熱硬化樹脂としては、例えば、アクリル系やエポキシ系、シリコーン系等を主成分とする樹脂が挙げられる。なかでもアクリル系及びシリコン系等を主成分とする樹脂が低温熱硬化の観点より好ましい。市販品では、例えば、東レダウコーニング(株)製 メチルシリコーン系 JCR6122等が挙げられる。
光学結合層はホットメルトシートであってもよい。本発明におけるホットメルトシートとは、水や溶剤を含まず、室温では固形であり、不揮発性の熱可塑性材料からなる接着性樹脂(以下、ホットメルト樹脂)をシート状に成形したものである。被着体の間にホットメルトシートを挿入し、融点以上の温度でホットメルトシートを溶融後、融点以下の温度で固化させることにより、ホットメルトシートを介して被着体同士を接合する事が出来る。ホットメルト樹脂は極性溶媒、溶剤、および水を含んでいないため、潮解性を有する蛍光体(例えば、ハロゲン化アルカリからなる柱状結晶構造を有する蛍光体)に接触しても蛍光体を潮解させないため、光電変換素子とシンチレータ層の接合に適している。 また、ホットメルトシートは残留揮発物を含んでいないことで、乾燥による収縮が小さく、間隙充填性や寸法安定性にも優れている。
ホットメルトシートとしては、具体的には主成分により、例えばポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリウレタン系、アクリル系、EVA系等の樹脂をベースにしたものが挙げられる。なかでも光透過性、接着性の観点から、ポリオレフィン系、EVA系、アクリル系樹脂をベースにしたものが好ましい。
光学結合層が、感圧性接着シートであってもよい。感圧性接着シートとしては、具体的には、アクリル系、ウレタン系、ゴム系及びシリコン系等を主成分としたものが挙げられる。なかでも光透過性、接着性の観点から、アクリル系及びシリコン系等を主成分としたものが好ましい。
光学結合層は、熱硬化樹脂の場合、シンチレータ層又は光電変換素子の上にスピンコート、スクリーン印刷、及びディスペンサー等の手法により、塗布される。
ホットメルトシートの場合、シンチレータ層と光電変換素子の間にホットメルトシートを挿入し、減圧下で、加熱することによって、光学結合層が形成される。感圧性接着シートは、ラミネーション装置等により貼り合せる。
光学結合層に無機物質を使用することも可能であり、前記したような、MgF2、SiO2、Al23、ガラス(珪酸ナトリウム)などの透明性を有する無機物質を使用してもよい。このような無機物質からなる光学結合層と有機物質からなる光学結合層を積層してもよい。
光電変換素子アレイ
光電変換素子アレイは、シンチレータ層で発生した発光光を吸収して、電荷の形に変換することで電気信号に変換して、放射線画像検出器の外部に出力する役割を有しており、従来公知のものを用いることができる。
ここで、本発明で用いられる光電変換素子アレイの構成は特に制限はないものの、通常、基板と、画像信号出力層と、光電変換素子とがこの順で積層された形態を有している。
このうち、光電変換素子は、シンチレータ層で発生した光を吸収して、電荷の形に変換する機能を有している。ここで、光電変換素子は、そのような機能を有する限り、どのような具体的な構造を有していてもよい。例えば、本発明で用いられる光電変換素子は、透明電極と、入光した光により励起されて電荷を発生する電荷発生層と、対電極とからなるものとすることができる。これら透明電極、電荷発生層および対電極は、いずれも、従来公知のものを用いることができる。また、本発明で用いられる光電変換素子は、適当なフォトセンサーから構成されていても良く、例えば、複数のフォトダイオードを2次元的に配置してなるものであってもよく、あるいは、CCD(Charge Coupled Devices)、CMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)センサーなどの2次元的なフォトセンサーからなるものであっても良い。
また、画像信号出力層は、上記光電変換素子で得られた電荷を蓄積するとともに、蓄積された電荷に基づく信号の出力を行う機能を有する。ここで、画像信号出力層は、どのような具体的な構造を有していてもよく、例えば、光電変換素子で生成された電荷を画素毎に蓄積する電荷蓄積素子であるコンデンサと、蓄積された電荷を信号として出力する画像信号出力素子であるトランジスタとを用いて構成することができる。ここで、好ましいトランジスタの例として、TFT(薄膜トランジスタ)が挙げられる。
また、基板は、放射線検出器の支持体として機能するものであり、上述した本発明の放射線検出器で用いられる支持体と同様のものとすることができる。
さらに、光電変換素子は、電気信号に変換されたX線の強度情報および位置情報に基づく画像信号を記憶するためのメモリ部、光電変換素子パネルを駆動させるために必要な電力を供給する電源部、外部に画像情報を取りだすための通信用出力部など、公知の放射線検出器を構成する光電変換素子パネルが有しうる各種部品をさらに備えることができる。
以上の放射線画像検出器は、種々の態様のX線画像撮影システムに応用することができる。
[実施例]
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
[実施例1]
支持体として、厚さ125μmのポリイミドフィルム(宇部興産(株)製UPILEX−125S)を用いた。
支持体として厚さ125μmのポリイミドフィルム(宇部興産製UPILEX−125S)にアルミニウムをスパッタして反射層(0.01μm)を形成した。
SiO2ターゲットを準備し、RFマグネトロンスパッタ法によって反射層上に、厚さ1μmのSiO2薄膜を成膜した。スパッタに際して、スパッタリングガスとしてArを使用し、ガス圧を3mTorrとして、室温で1W/cm2 の電力を印加して成膜して下引き層を作製した。
下引き層形成後、処理室に導入して5×10-2torr以下まで真空排気したのち、酸素ガスを導入しながら排気を行い、UVランプを照射した。
次に、特開2014-167405号公報にあるように、図2に示す蒸着装置の基板ホルダにセットし、下記の通り蛍光体を下引き層のシンチレータ形成予定面に蒸着することで、シンチレータ層が形成されたシンチレータパネルを作製した。
図2に示す通り、蒸着装置81は箱状の真空容器82を有しており、真空容器82の内部の底面付近には、蒸着用基板84に垂直な中心線を中心とした円の円周上の互いに向かい合う位置に真空蒸着用の蒸着源88a、88bが配されている。蒸着源88a、88bの上方には蒸着用基板84を保持するホルダ85が配されている。ホルダ85にはヒータ(図示略)が配されている。ホルダ85は、蒸着用基板84の前記シンチレータ層を形成する面が真空容器82の底面に対向し、かつ、真空容器82の底面と平行になるように支持体84を保持する構成となっている。ホルダ85には、当該ホルダ85と共に蒸着用基板84を水平方向に回転させる回転機構86が設けられている。回転機構86は、ホルダ85を支持すると共に蒸着用基板84を回転させる回転軸87及び真空容器82の外部に配置されて回転軸87の駆動源となるモ−タ(図示せず)から構成されている。蒸着装置81には、上記構成の他に、真空容器82に真空ポンプ83が配されている。蒸発源88a、88bと蒸着用基板84との間には、蒸発源88a、88bから蒸着用基板84に至る空間を遮断するシャッタ89が水平方向に開閉自在に設けられている。このシャッタ89を蒸着の初期段階に閉じることによって、蒸発源88a、88bに収められた前記蛍光体の表面に付着した目的物以外の物質が蒸着の初期段階に蒸発しても、それらが蒸着用基板84に付着するのを防ぐことができる。
まず、蛍光体原料(CsI)を蒸着材料として抵抗加熱ルツボに充填し、蒸着源とした。また、回転可能なホルダに反射層試料(蒸着用基板)を、ホルダに該反射層試料の支持体面が接触するように設置した。反射層試料(蒸着用基板)と蒸発源との間隔を400mmに調節した。次いで、蒸着装置内を一旦排気し、Arガスを導入して蒸着装置内の真空度を0.5Paに調整した後、10rpmの速度でホルダと共に反射層試料(蒸着用基板)を回転させながら、ホルダを加熱して、反射層試料(蒸着用基板)の温度を200℃に保持した。
次いで、抵抗加熱ルツボ(蒸着源)を加熱して蛍光体を反射層試料(蒸着用基板)のシンチレータ形成予定面に蒸着してシンチレータ層を形成し、シンチレータ層の膜厚が500μmとなったところで蒸着を終了させ、反射層試料(蒸着用基板)のシンチレータ形成予定面上に所定膜厚のシンチレータ層が形成されたシンチレータパネルを得た。
下引き層のシンチレータ層界面での表面組成の変化は、TOF−SIMSで分析した。その結果、定量分析にて、下引き層のシンチレータ層と接する界面で(Si強度(Mass=28付近に出現)/(O強度(Mass=18付近に出現)+Si強度)が、他の下引き層の部位に対して、明確に減少していることを確認した。
シンチレータ層の形成後、基板温度をいったん室温以下に冷却し、シンチレータ層の断面形状を走査型電子顕微鏡SEMで観察した。その結果、膜剥がれや亀裂などは観察されなかった。
[実施例2]
下引き層への紫外線照射処理の代わりに、ドライエッチングを行った。エッチング条件は、圧力50mTorr、パワー 1200W、CHF3の流量70sccm、O2の流量50sccmとした
下引き層のシンチレータ層界面での表面組成の変化は、TOF−SIMSで分析した。その結果、実施例1と同様に、下引き層のシンチレータ層と接する界面で(Si強度(Mass=28付近に出現)/(O強度(Mass=18付近に出現)+Si強度)が、他の下引き層の部位に対して、明確に減少していることを確認した。
実施例1と同様にしてシンチレータ層の形成後、基板温度をいったん室温以下に冷却し、シンチレータ層の断面形状を走査型電子顕微鏡SEMで観察した。その結果、膜剥がれや亀裂などは観察されなかった。
[実施例3]
下引き層への紫外線照射処理の代わりに、アルゴンスパッタ処理を行った。スパッタ条件は、励起光:MgKα、パワー:400W、パスエネルギー:17.90eV、データポイント:0.05eV/step、取り込み方向:試料法線方向から40°で行った。
下引き層のシンチレータ層界面での表面組成の変化は、実施例1と同様にして、TOF−SIMSで分析した。その結果、実施例1と同様に、下引き層のシンチレータ層と接する界面で(Si強度(Mass=28付近に出現)/(O強度(Mass=18付近に出現)+Si強度)が、他の下引き層の部位に対して、明確に減少していることを確認した。
実施例1と同様にしてシンチレータ層の形成後、基板温度をいったん室温以下に冷却し、シンチレータ層の断面形状を走査型電子顕微鏡SEMで観察した。その結果、膜剥がれや亀裂などは観察されなかった。
[比較例1]
実施例1〜3に示すような下引き層への処理を行わずに、実施例1と同様にシンチレータ層を形成した。シンチレータ層界面での表面組成の変化は、実施例1と同様にして、TOF-SIMSで分析した。その結果、実施例1と同様に、下引き層のシンチレータ層と接する界面で(Si強度(Mass=28付近に出現)/(O強度(Mass=18付近に出現)+Si強度)が、他の下引き層の部位に対して、同レベルにあった。実施例1と同様にしてシンチレータ層の形成後、基板温度をいったん室温以下に冷却し、シンチレータ層の断面形状を走査型電子顕微鏡SEMで観察した。その結果、熱収縮により、膜剥がれが観察された。
81:蒸着装置
82:真空容器
83:真空ポンプ
84:蒸着用基板
85:ホルダ
86:回転機構
87:回転軸
88(88a、88b):蒸着源
89:シャッタ

Claims (8)

  1. 少なくとも、
    放射線を可視光に変換するシンチレータ層と、
    シンチレータ層によって変換された可視光を反射させる反射層と、
    シンチレータ層と反射層の間に存在し、そのうち少なくとも1層が画像形成領域でシンチレータ層に接する下引き層と、
    を含むシンチレータパネルであって、
    前記下引き層が金属化合物を含有し、下引き層内で、金属化合物の量に分布があり、かつ画像形成領域でシンチレータ層と接する下引き層表面における金属元素の原子数%が、下引き層のその他の箇所における金属元素の原子数%よりも小さいことを特徴とするシンチレータパネル。
  2. 前記シンチレータパネルにおいて、前記金属化合物が、金属酸化物であることを特徴とする、請求項1に記載のシンチレータパネル。
  3. 前記シンチレータパネルにおいて、画像形成領域でシンチレータ層と接する下引き層表面における、常温常圧で気体となる物質のうち少なくとも1つ以上の原子数%が0.1%以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のシンチレータパネル。
  4. 前記シンチレータパネルにおいて、前記画像形成領域でシンチレータ層と接する下引き層が、金属酸化物のみからなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
  5. 前記シンチレータパネルにおいて、画像形成領域でシンチレータ層と接する下引き層表面における炭素の原子数%が0.1%以下であることを特徴とする、請求項4に記載のシンチレータパネル。
  6. 前記シンチレータパネルにおいて、前記シンチレータ層が、バインダー樹脂を含まないことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
  7. 前記シンチレータパネルにおいて、前記シンチレータ層が、物理蒸着物でからなることを特徴とする、請求項6に記載のシンチレータパネル。
  8. 前記シンチレータパネルにおいて、前記シンチレータ層が、ヨウ化セシウムを主成分とすることを特徴とする、請求項7に記載のシンチレータパネル。
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