JP2018030338A - 積層体 - Google Patents
積層体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018030338A JP2018030338A JP2016165625A JP2016165625A JP2018030338A JP 2018030338 A JP2018030338 A JP 2018030338A JP 2016165625 A JP2016165625 A JP 2016165625A JP 2016165625 A JP2016165625 A JP 2016165625A JP 2018030338 A JP2018030338 A JP 2018030338A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- resin
- laminate
- front plate
- polycarbonate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Liquid Crystal (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Abstract
【課題】ポリカーボネート系樹脂を主成分とする層を備えた前面板と、粘接着層を含む積層体に関し、温度85℃、湿度85%RH環境下において、1000時間の過酷な高温高湿環境下における分子量の低下を抑制し、機械強度を保持する新たな積層体を提供する。【解決手段】ポリカーボネート系樹脂層(A層)を有する前面板(X)と、粘接着層(Y)とを含む積層体であって、前記積層体を温度85℃、湿度85%RH環境下で1000時間静置した後の、前記前面板(X)の重量平均分子量の低下率が15%以下であることを特徴とする積層体。【選択図】なし
Description
本発明は、高温高湿環境下での耐久性に優れた積層体に関する。詳しくは、基板材料や保護材料として使用され、例えば画像表示装置の表面保護パネルや、携帯電話、スマートフォン、タブレット機器、ウェアラブル端末等のカバー材のほか、一般的に、これらの用途よりもさらに過酷な高温高湿環境下での耐久性を要求される、カーナビゲーションや、自動車計器などの車載用途ディスプレイの構成材料としての各種基板材料や保護材料としても好適に用いることができる積層体に関する。
従来から、画像表示装置の前面板としてはガラスが主に用いられてきた。前面板は、例えば粘接着層を介して液晶モジュール、偏光板、ガラス基板などのディスプレイ構成部材に貼合されるなどして、画像表示装置の表面保護パネルやカバー材として使用されている。
しかし、ガラスからなる前面板は、衝撃により割れやすく、重いことから、樹脂材料での代替が検討されている。
このようなガラス代替材料としての樹脂材料には、耐衝撃性、表面硬度、さらには高温高湿環境下での形状安定性が主に求められる。
ポリカーボネート樹脂板は、透明性を有し、耐衝撃性や耐熱性に優れているため、防音隔壁やカーポート、看板、グレージング材、照明器具などに利用されている。しかし、表面硬度が低いために傷がつきやすいという欠点を抱えている。
ポリカーボネート樹脂板は、透明性を有し、耐衝撃性や耐熱性に優れているため、防音隔壁やカーポート、看板、グレージング材、照明器具などに利用されている。しかし、表面硬度が低いために傷がつきやすいという欠点を抱えている。
この欠点を改良するため、例えば特許文献1には、ポリカーボネート樹脂とアクリル樹脂を共押出した積層体にハードコート処理を施した樹脂積層体が開示されている。
一方、前面板とディスプレイ構成部材を貼合する粘接着層には、接着力や凝集力が求められる。これらの基本物性を付与するために、カルボン酸基等の高極性成分を共重合成分および添加剤として粘接着層に導入することが一般的に行われている。しかし、このような高極性成分は酸化作用を有しているため、高温高湿等の環境下や長期保管によって粘接着層がITO膜やIGZO膜などのように酸化劣化し易い電極の酸化劣化等を引き起こすことがあった。
例えば、特許文献2には、ガラス前面板と液晶モジュールなどのディスプレイ構成部材を貼合する粘接着シートの構成についての開示がなされている。
特許文献1に開示されたポリカーボネート系樹脂を主成分とする層を備えた前面板を画像表示装置の表面保護パネルやカバー材として利用するにあたり、特許文献2に開示された粘接着層を介して液晶モジュールなどのディスプレイ構成部材と貼合させることが可能である。
しかしながら、かかる構成の積層体を例えば温度85℃、湿度85%RH環境下の過酷な高温高湿環境下に500〜1000時間以上もの長時間暴露した際、粘接着層由来の酸成分がポリカーボネート系樹脂を主成分とする層を備えた前面板に移行し、ポリカーボネート樹脂の加水分解による分子量低下を促進させ、前面板の機械強度を著しく低下させるという課題を本発明者らは見出した。
種々の画像表示装置の中で、例えば携帯電話端末、スマートフォン、携帯型電子遊具、携帯情報端末、タブレット機器、モバイルパソコン、ウェアラブル端末などの画像表示装置の保護材料としては、一般的に、加速試験として温度85℃、湿度85%RH環境下において120時間程度の高温高湿環境下での耐久性を要求されるのが通常であるが、カーナビゲーションや、自動車計器などの車載用途ディスプレイの保護材料として使用される場合には、安全性や実使用条件および耐久性などの観点から、温度85℃、湿度85%RH環境下において500〜1000時間程度のさらに過酷な高温高湿環境下での耐久性を要求される場合がある。
本発明者らの検討によると、温度85℃、湿度85%RH環境下において、120時間程度の高温高湿環境下ではポリカーボネート系樹脂を主成分とする層を備えた前面板の分子量低下による加水分解の課題はほとんど問題とならないほど小さいが、温度85℃、湿度85%RH環境下において、500時間以上のさらに過酷な高温高湿環境下においては実用上許容できない程度まで機械強度が低下することが確認された。
本発明は、ポリカーボネート系樹脂を主成分とする層を備えた前面板と、粘接着層を含む積層体に関し、温度85℃、湿度85%RH環境下において、1000時間の過酷な高温高湿環境下における分子量の低下を抑制し、機械強度を保持する新たな積層体を提供せんとするものである。
本発明では、ポリカーボネート系樹脂層(A層)を有する前面板(X)と、粘接着層(Y)とを含む積層体であって、前記積層体を温度85℃、湿度85%RH環境下に1000時間静置した後の、前記前面板(X)の重量平均分子量の低下率が15%以下であることを特徴とする積層体を提案する。
本発明が提案する積層体は、温度85℃、湿度85%RH環境下において、1000時間の過酷な高温高湿環境下においても分子量の低下を抑制し、機械強度を保持することが可能である。よって、本積層体は、種々の用途、例えば液晶モジュール、偏光板、ガラス基板などのディスプレイ構成部材に貼り合わせるなどして、例えば携帯電話端末、スマートフォン、携帯型電子遊具、タブレット機器、モバイルパソコン、ウェアラブル端末などの画像表示装置や、液晶テレビ、液晶モニター、デスクトップパソコンなどの構成材料としての各種基板材料や保護材料のほか、一般的に、上記用途よりもさらに過酷な高温高湿環境下での耐久性を要求される、カーナビゲーションや、自動車計器などの車載用途ディスプレイの構成材料としての各種基板材料や保護材料としても好適に用いることができる。
以下、本発明の実施形態の一例について詳しく説明する。
本明細書において、“各層についての「主成分」”とは、各層を形成する樹脂組成物の中で最も含有割合(質量%)が高い樹脂成分の意味である。その具体的な含有量を規定するものではないが、目安としては、各層を形成する樹脂組成物に含まれる樹脂の50質量%以上、中でも80質量%以上、その中でも90質量%以上(100質量%を含む)を占める樹脂である。なお、主成分が2種類以上の場合は、それらの合計量が前記含有量に該当する。
また、“重合体およびその誘導体についての「主成分」”とは、重合体およびその誘導体を構成する単量体単位の中で最も割合が高い単量体を意味する。
また、“重合体およびその誘導体についての「主成分」”とは、重合体およびその誘導体を構成する単量体単位の中で最も割合が高い単量体を意味する。
<本積層体>
本発明の実施形態の一例に係る積層体(以下「本積層体」とも称する)は、ポリカーボネート系樹脂層を有する前面板(X)と、粘接着層(Y)とを含む積層体であり、温度85℃、湿度85%RH環境下で1000時間の過酷な高温高湿環境下においても分子量の低下を抑制し、機械強度を保持することが可能であることを特徴とする積層体である。
本発明の実施形態の一例に係る積層体(以下「本積層体」とも称する)は、ポリカーボネート系樹脂層を有する前面板(X)と、粘接着層(Y)とを含む積層体であり、温度85℃、湿度85%RH環境下で1000時間の過酷な高温高湿環境下においても分子量の低下を抑制し、機械強度を保持することが可能であることを特徴とする積層体である。
本積層体において、温度85℃、湿度85%RH環境下で1000時間、前記積層体を暴露した時の、前記前面板(X)の分子量低下を15%以下に低減させるための手段としては、まず、高温高湿環境下において粘接着層(Y)から溶出する酸成分の量を少なくすることが重要である。このことにより、粘接着層の酸成分が前記前面板(X)に移行するのを防ぎ、結果として前面板(X)の分子量低下を15%以下に低減させることができる。酸成分の量は、粘接着層(Y)に含有する酸性イオンの量を測定することにより得られる。酸性イオンの測定方法については後述する。
また、前記前面板(X)の分子量低下を15%以下に低減させるための手段として、ポリカーボネート系樹脂層を有する前面板(X)中のリン系酸化防止剤の含量を一定の範囲内にすることが好ましい。
リン系酸化防止剤は、温度85℃、湿度85%RH環境下で加水分解し亜リン酸などの酸成分を生成し、前面板(X)の加水分解を促進する場合がある。これを抑制する観点から、A層のポリカーボネート系樹脂100質量部に対し、リン系酸化防止剤の含量を0.04質量部以下とすることが好ましく、0.03質量部以下とすることが好ましく、0.02質量部以下とすることがさらに好ましい。一方、ポリマー重合時の酸化劣化抑制のため、下限は0.01質量部以上とするのが好ましい。
本積層体を、温度85℃、湿度85%RH環境下で1000時間暴露した時の、前記前面板(X)の分子量低下率は、15%以下であることが好ましく、13%以下であることが好ましく、11%であることがさらに好ましい。該分子量低下率が15%以下であれば、高温高湿環境下での分子量低下による強度低下は、実用上問題とならない程度に十分小さく、過酷な環境下においても好適に使用できる。なお、該分子量低下率は以下のように算出することができる。
(分子量低下率:%)
={(温度85℃、湿度85%RH環境下で1000時間暴露前の重量平均分子量)−(温度85℃、湿度85%RH環境下で1000時間暴露後の重量平均分子量)}/(温度85℃、湿度85%RH環境下で1000時間暴露前の重量平均分子量)×100
(分子量低下率:%)
={(温度85℃、湿度85%RH環境下で1000時間暴露前の重量平均分子量)−(温度85℃、湿度85%RH環境下で1000時間暴露後の重量平均分子量)}/(温度85℃、湿度85%RH環境下で1000時間暴露前の重量平均分子量)×100
本積層体を、温度85℃、湿度85%RH環境下において1000時間暴露した時の、前記前面板(X)の機械強度は、例えばJIS−K7127に準拠して測定した引張強度を指標とすることができる。本積層体を、温度85℃、湿度85%RH環境下で1000時間暴露した時の、前記前面板(X)の引張強度が40N以上であれば、車載用途ディスプレイの保護材料として十分な耐久性を有すると言える。かかる観点から、本積層体を、温度85℃、湿度85%RH環境下で1000時間暴露した時の、前記前面板(X)の機械強度は、50N以上であることがより好ましく、60N以上であることがさらに好ましい。
<粘接着層(Y)>
本積層体に用いる粘接着層(Y)は、その組成を特に限定するものではない。但し、粘着性、透明性及び耐候性などの観点から、アクリル系樹脂を主成分樹脂とする粘着剤組成物を架橋してなる粘接着層(Y)を用いるのが好ましい。
本積層体に用いる粘接着層(Y)は、その組成を特に限定するものではない。但し、粘着性、透明性及び耐候性などの観点から、アクリル系樹脂を主成分樹脂とする粘着剤組成物を架橋してなる粘接着層(Y)を用いるのが好ましい。
(粘着剤組成物)
上記粘着剤組成物は、アクリル系樹脂と、架橋モノマーと、必要に応じて架橋開始剤、反応触媒などを含有するものが好ましい。
上記粘着剤組成物は、アクリル系樹脂と、架橋モノマーと、必要に応じて架橋開始剤、反応触媒などを含有するものが好ましい。
主成分樹脂としてのアクリル系樹脂としては、アクリル酸エステル重合体(共重合体を含む)が好ましい。
アクリル酸エステル重合体(共重合体を含む)は、これを重合するために用いられるアクリルモノマーやメタクリルモノマーの種類、組成比率、さらには重合条件等によって、ガラス転移温度(Tg)等の特性を適宜調整することが可能である。
アクリル酸エステル重合体(共重合体を含む)は、これを重合するために用いられるアクリルモノマーやメタクリルモノマーの種類、組成比率、さらには重合条件等によって、ガラス転移温度(Tg)等の特性を適宜調整することが可能である。
アクリル酸エステル重合体を重合するために用いられるアクリルモノマーやメタクリルモノマーとしては、例えば2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリート、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート等を挙げることができる。これらに親水基や有機官能基などを共重合させた酢酸ビニル、ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、グリシジルアクリレート、アクリルアミド、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、フッ素アクリレート、シリコーンアクリレートなども用いることができる。
アクリル酸エステル重合体の中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体が特に好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体を形成するために用いる(メタ)アクリレート、即ち、アルキルアクリレート又はアルキルメタクリレート成分としては、アルキル基がn−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、n−ブチル、イソブチル、メチル、エチル、イソプロピルのうちのいずれか1つであるアルキルアクリレート又はアルキルメタクリレートの1種又はこれらから選ばれた2種以上の混合物であるのが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体を形成するために用いる(メタ)アクリレート、即ち、アルキルアクリレート又はアルキルメタクリレート成分としては、アルキル基がn−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、n−ブチル、イソブチル、メチル、エチル、イソプロピルのうちのいずれか1つであるアルキルアクリレート又はアルキルメタクリレートの1種又はこれらから選ばれた2種以上の混合物であるのが好ましい。
その他の成分として、カルボキシル基、水酸基、グリシジル基等の有機官能基を有するアクリレート又はメタクリレートを共重合させてもよい。これらの高極性官能基を含むことで接着力や凝集力を付与することができる。具体的には、前記アルキル(メタ)アクリレート成分と有機官能基を有する(メタ)アクリレート成分とを適宜に選択的に組み合わせたモノマー成分を出発原料として加熱重合して(メタ)アクリル酸エステル系共重合体ポリマーを得ることができる。
中でも好ましくは、イソ−オクチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートの1種又はこれらから選ばれた2種以上の混合物か、或いは、イソ−オクチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等から少なくとも1種類以上と、アクリル酸とを共重合させたものを挙げることができる。
中でも好ましくは、イソ−オクチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートの1種又はこれらから選ばれた2種以上の混合物か、或いは、イソ−オクチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等から少なくとも1種類以上と、アクリル酸とを共重合させたものを挙げることができる。
一方で、カルボキシル基をはじめとする酸性を有する有機官能基の含有率が高いと、粘接着層(Y)を温度85℃、湿度85%RH環境下において、500〜1000時間の過酷な高温高湿環境下に置いた時、粘接着層の分解により生成した酸や酸性官能基含有モノマー自体が遊離酸として含まれる場合、その溶出が起こり、前面板をはじめとする周辺部材の加水分解の原因となる。
粘接着層(Y)の上記課題に対する悪影響の大きさは、高温高湿環境下において粘接着層(Y)から溶出する酸成分の量の目安として、粘接着層(Y)を85℃の熱水中に45分間浸漬した時の、粘接着層(Y)から熱水中に溶出した酸成分の量を指標とすることができる。本発明において、上記酸性イオン合計量は、厚み150μm、幅5cm×長さ5cmの粘接着層試験片(粘着面の露出面積:25cm2)を、85℃の熱水中に45分間浸漬した際に溶出した酸性イオン合計量を、イオンクロマトグラフ法を用いて定量することにより得られる。
上記の粘接着層(Y)から熱水中に溶出した酸性イオン合計量の好ましい範囲としては、粘接着層の酸成分が前記前面板(X)に移行するのを防ぎ、結果として前面板(X)の分子量低下を15%以下に低減させることができるという観点から、9000(ng/cm2)以下であることが好ましく、5000(ng/cm2)以下であることがより好ましく、1000(ng/cm2)以下であることがさらに好ましく、500(ng/cm2)以下であることが特に好ましい。
上述の粘接着層(Y)から熱水中に溶出した酸性イオンは、粘接着層(Y)を構成するポリマーの末端基および側鎖に含まれるカルボキシル基をはじめとする酸性官能基の種類にもよるが、例えば、酢酸イオン、アクリル酸イオン、メタクリル酸イオン、マレイン酸イオンなどを挙げることができる。
また、湿熱条件下で溶出する酸性イオン合計量は、粘接着層に含まれる酸性官能基共重合成分の組成比率、酸性官能基含有モノマーなどの遊離酸量により影響を受け、主にカルボキシル基をはじめとする酸性官能基共重合成分の組成比率を変更することで調整することができる。酸性官能基としては、前記カルボキシル基の他にスルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。
本発明において、粘接着層(Y)に含まれる酸性官能基の含量は、粘接着層の酸成分が前記前面板(X)に移行するのを防ぐという観点から、20モル%以下であることが好ましく、15モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることがさらに好ましい。一方、粘接着層(Y)としての機能を果たすものであれば、粘接着層(Y)として酸性官能基が一切含まれないものを使用してもよく、酸性官能基の含量の下限は、0モル%である。
本発明において、粘接着層(Y)に含まれる酸性官能基の含量は、粘接着層の酸成分が前記前面板(X)に移行するのを防ぐという観点から、20モル%以下であることが好ましく、15モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることがさらに好ましい。一方、粘接着層(Y)としての機能を果たすものであれば、粘接着層(Y)として酸性官能基が一切含まれないものを使用してもよく、酸性官能基の含量の下限は、0モル%である。
架橋モノマー(「架橋剤」とも称する)としては、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレート、イソシアネート基、エポキシ基、メラミン基、グリコール基、シロキサン基、アミノ基などの有機官能基を2個以上有する多官能有機官能基樹脂、亜鉛、アルミ、ナトリウム、ジルコニウム、カルシウムなどの金属錯体を有する有機金属化合物を用いることができる。
上記の多官能(メタ)アクリレートの例を挙げると、例えば1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどを挙げることができる。
上記の多官能(メタ)アクリレートの例を挙げると、例えば1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどを挙げることができる。
架橋モノマーの含有量は、所望の保持力が得られるよう他の要因と併せて調整すればよいが、一般的には主成分樹脂100質量部に対し0.01〜40.0質量部、好ましくは0.1〜30.0質量部、中でも0.5〜30.0質量部の割合の範囲内で調整するのがよい。但し、他の要素とのバランスでこの範囲を超えてもよい。
アクリル系樹脂を架橋する際には、架橋開始剤(過酸化開始剤、光開始剤)や反応触媒(三級アミン系化合物、四級アンモニウム系化合物、ラウリル酸スズ化合物など)を適宜添加すると効果的である。
本発明の粘接着層(Y)を紫外線照射架橋(「UV架橋」とも称する)する場合には、光開始剤を配合するのが好ましい。
光開始剤としては、開裂型光開始剤及び水素引抜型光開始剤のいずれを使用してもよいが、両者を併用することもできる。
開裂型光開始剤としては、例えばベンゾインブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシアセトフェノンなどを挙げることができる。
他方、水素引抜型光開始剤としては、例えばベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ジベンゾスベロン、2−エチルアントラキノン、イソブチルチオキサンソンなどを挙げルことができる。
但し、前記に挙げた物質に限定するものではない。
光開始剤としては、開裂型光開始剤及び水素引抜型光開始剤のいずれを使用してもよいが、両者を併用することもできる。
開裂型光開始剤としては、例えばベンゾインブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシアセトフェノンなどを挙げることができる。
他方、水素引抜型光開始剤としては、例えばベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ジベンゾスベロン、2−エチルアントラキノン、イソブチルチオキサンソンなどを挙げルことができる。
但し、前記に挙げた物質に限定するものではない。
光開始剤の添加量は、適宜調整すればよいが、一般的には粘接着層(Y)の主成分樹脂100質量部に対し0.05〜5.0質量部の割合の範囲内で調整するのがよく、水素引抜型と開裂型の各光開始剤を1:1の割合で併用するのがよい。但し、他の要素とのバランスでこの範囲を超えてもよい。
(他の添加剤)
上記成分のほか、必要に応じて、近赤外線吸収特性を有する顔料や染料などの色素、粘着付与剤、酸化防止剤、老化防止剤、吸湿剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、天然物や合成物の樹脂類、ガラス繊維やガラスビーズなどの各種の添加剤を適宜配合することもできる。
上記成分のほか、必要に応じて、近赤外線吸収特性を有する顔料や染料などの色素、粘着付与剤、酸化防止剤、老化防止剤、吸湿剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、天然物や合成物の樹脂類、ガラス繊維やガラスビーズなどの各種の添加剤を適宜配合することもできる。
上記の粘接着層(Y)は、例えば、主成分樹脂としてのアクリル系樹脂と、必要に応じて架橋剤及び反応開始剤或いは反応触媒等を添加して攪拌混合し、離型フィルム上に目的の厚さになるように製膜し、加熱乾燥或いは紫外線照射して架橋させることで粘接着層(Y)とすることができる。
(厚み)
粘接着層(Y)の厚みは、本積層体の内部応力を低減して、高温高湿環境における形状安定性を高める観点から、10μm〜300μmであるのが好ましく、中でも30μm以上或いは250μm以下、その中でも50μm以上或いは200μm以下であるのが特に好ましい。
粘接着層(Y)の厚みは、本積層体の内部応力を低減して、高温高湿環境における形状安定性を高める観点から、10μm〜300μmであるのが好ましく、中でも30μm以上或いは250μm以下、その中でも50μm以上或いは200μm以下であるのが特に好ましい。
(引張弾性率)
粘接着層(Y)の引張弾性率は、高温高湿環境下における形状安定性を高めるなどの観点から、0.001MPa以上であれば好ましい。かかる観点から、0.005MPa以上であることがより好ましく、0.01MPa以上であることがさらに好ましい。
また、タック性を高めるなどの観点から、弾性率は、30MPa以下、好ましくは20MPa以下であることがより好ましく、10MPa以下であることがさらに好ましい。
なお、粘接着層(Y)の引張弾性率は、引張試験機を用いて切り出した粘接着層(Y)の長さ方向に試験速度300mm/min、温度23℃で引張試験を行うことによって測定できる。
粘接着層(Y)の引張弾性率は、高温高湿環境下における形状安定性を高めるなどの観点から、0.001MPa以上であれば好ましい。かかる観点から、0.005MPa以上であることがより好ましく、0.01MPa以上であることがさらに好ましい。
また、タック性を高めるなどの観点から、弾性率は、30MPa以下、好ましくは20MPa以下であることがより好ましく、10MPa以下であることがさらに好ましい。
なお、粘接着層(Y)の引張弾性率は、引張試験機を用いて切り出した粘接着層(Y)の長さ方向に試験速度300mm/min、温度23℃で引張試験を行うことによって測定できる。
(Tg)
粘接着層(Y)のTgは、室温状態での本粘着剤樹脂組成物の柔軟性や、被着体への本粘着剤樹脂組成物の濡れ性、すなわち接着性に影響するため、本粘着剤樹脂組成物が室温状態で適度な接着性(タック性)を有するためには、当該Tgは、−70℃〜10℃であるのが好ましく、中でも−65℃以上0℃以下、その中でも−60℃以上−10℃以下であるのが特に好ましい。
粘接着層(Y)のTgは、レオメータ(英弘精機株式会社製「MARS」)を用いて、粘着治具:Φ25mmパラレルプレート、歪み:0.5%、周波数:1Hz、温度:−50〜200℃、昇温速度:3℃/minで、せん断法による動的粘弾性測定の損失正接(tanδ)により測定できる。
粘接着層(Y)のTgは、室温状態での本粘着剤樹脂組成物の柔軟性や、被着体への本粘着剤樹脂組成物の濡れ性、すなわち接着性に影響するため、本粘着剤樹脂組成物が室温状態で適度な接着性(タック性)を有するためには、当該Tgは、−70℃〜10℃であるのが好ましく、中でも−65℃以上0℃以下、その中でも−60℃以上−10℃以下であるのが特に好ましい。
粘接着層(Y)のTgは、レオメータ(英弘精機株式会社製「MARS」)を用いて、粘着治具:Φ25mmパラレルプレート、歪み:0.5%、周波数:1Hz、温度:−50〜200℃、昇温速度:3℃/minで、せん断法による動的粘弾性測定の損失正接(tanδ)により測定できる。
<前面板(X)>
本積層体は、ポリカーボネート系樹脂層(A層)を有する前面板(X)を含む。前面板(X)に他の機能を付与するため、ポリカーボネート系樹脂層(A層)の片面側又は両面側に、A層とは異なる熱可塑性樹脂層(B層)を形成しても良い。
本積層体は、ポリカーボネート系樹脂層(A層)を有する前面板(X)を含む。前面板(X)に他の機能を付与するため、ポリカーボネート系樹脂層(A層)の片面側又は両面側に、A層とは異なる熱可塑性樹脂層(B層)を形成しても良い。
<ポリカーボネート系樹脂層(A層)>
ポリカーボネート系樹脂層(A層)の主成分となるポリカーボネート系樹脂(a1)としては、脂肪族ポリカーボネートや脂環族ポリカーボネート、ビスフェノールCを含有する芳香族ポリカーボネート等を挙げることができる。
ポリカーボネート系樹脂層(A層)の主成分となるポリカーボネート系樹脂(a1)としては、脂肪族ポリカーボネートや脂環族ポリカーボネート、ビスフェノールCを含有する芳香族ポリカーボネート等を挙げることができる。
ポリカーボネート系樹脂(a1)は、単独で用いても良いし、後述する種々の改質剤(a2)を混合して用いることもできる。
また、ポリカーボネート系樹脂(a1)は、重合時およびシート成形時の熱劣化、酸化劣化抑制のため、酸化防止剤(a3)を含むことが好ましい。
また、ポリカーボネート系樹脂(a1)は、重合時およびシート成形時の熱劣化、酸化劣化抑制のため、酸化防止剤(a3)を含むことが好ましい。
(ポリカーボネート系樹脂(a1))
ポリカーボネート系樹脂(a1)としては、芳香族ポリカーボネート系樹脂及び脂肪族ポリカーボネート系樹脂を挙げることができる。
ポリカーボネート系樹脂(a1)は、単独重合体でもよいし、また、他の共重合可能なモノマーとの共重合体であってもよい。
さらに、ポリカーボネート系樹脂(a1)の構造は、分岐構造であってもよいし、直鎖構造であってもよいし、分岐構造と直鎖構造の混合物であってもよい。
また、ポリカーボネート系樹脂(a1)は、ホスゲン法やエステル交換法、ピリジン法など、公知のいずれの製造方法で得られたものであってもよい。
ポリカーボネート系樹脂(a1)としては、芳香族ポリカーボネート系樹脂及び脂肪族ポリカーボネート系樹脂を挙げることができる。
ポリカーボネート系樹脂(a1)は、単独重合体でもよいし、また、他の共重合可能なモノマーとの共重合体であってもよい。
さらに、ポリカーボネート系樹脂(a1)の構造は、分岐構造であってもよいし、直鎖構造であってもよいし、分岐構造と直鎖構造の混合物であってもよい。
また、ポリカーボネート系樹脂(a1)は、ホスゲン法やエステル交換法、ピリジン法など、公知のいずれの製造方法で得られたものであってもよい。
ポリカーボネート系樹脂(a1)の重量平均分子量は、10,000〜100,000であればよく、中でも16,000以上或いは40,000以下、その中でも18,000以上或いは28,000以下であるのがさらに好ましい。
ポリカーボネート系樹脂(a1)は、1種のみを単独で用いることもできるし、また、重量平均分子量が異なる2種以上を組み合わせて用いることもできる。
ポリカーボネート系樹脂(a1)の重量平均分子量が上記範囲にあれば、耐衝撃性が確保され、押出成形性も良好であるため好ましい。
ポリカーボネート系樹脂(a1)は、1種のみを単独で用いることもできるし、また、重量平均分子量が異なる2種以上を組み合わせて用いることもできる。
ポリカーボネート系樹脂(a1)の重量平均分子量が上記範囲にあれば、耐衝撃性が確保され、押出成形性も良好であるため好ましい。
(改質剤(a2))
ポリカーボネート系樹脂層(A層)の溶融粘度の調整および硬度向上などのために、上記ポリカーボネート系樹脂(a1)と改質剤(a2)とを混合してA層の形成に用いるのが好ましい。
ポリカーボネート系樹脂層(A層)の溶融粘度の調整および硬度向上などのために、上記ポリカーボネート系樹脂(a1)と改質剤(a2)とを混合してA層の形成に用いるのが好ましい。
改質剤(a2)としては、特定のアクリル系樹脂(a2−1)を例示することができる。
(アクリル系樹脂(a2−1))
アクリル系樹脂(a2)は、芳香族(メタ)アクリレート単量体単位5〜80質量%およびメチルメタクリレート単量体単位95〜20質量%からなるアクリル系共重合体であるのが好ましい。
アクリル系樹脂(a2−1)において、芳香族(メタ)アクリレート単量体単位とメチルメタクリレート単量体単位との含有割合が上記範囲内にあれば、ポリカーボネート系樹脂(a1)との相溶性や表面硬度向上効果が発現できるため好ましい。
かかる観点から、芳香族(メタ)アクリレート単量体単位10〜70質量%およびメチルメタクリレート単量体単位90〜30質量%であることがより好ましく、芳香族(メタ)アクリレート単量体単位25〜60質量%およびメチルメタクリレート単量体単位75〜40質量%であることがさらに好ましい。
アクリル系樹脂(a2)は、芳香族(メタ)アクリレート単量体単位5〜80質量%およびメチルメタクリレート単量体単位95〜20質量%からなるアクリル系共重合体であるのが好ましい。
アクリル系樹脂(a2−1)において、芳香族(メタ)アクリレート単量体単位とメチルメタクリレート単量体単位との含有割合が上記範囲内にあれば、ポリカーボネート系樹脂(a1)との相溶性や表面硬度向上効果が発現できるため好ましい。
かかる観点から、芳香族(メタ)アクリレート単量体単位10〜70質量%およびメチルメタクリレート単量体単位90〜30質量%であることがより好ましく、芳香族(メタ)アクリレート単量体単位25〜60質量%およびメチルメタクリレート単量体単位75〜40質量%であることがさらに好ましい。
上記の芳香族(メタ)アクリレート単量体単位としては、例えばフェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどを例示することができる。これらは1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、ポリカーボネート系樹脂(a1)との相溶性などから、フェニルメタクリレートやベンジルメタクリレートが好ましく、フェニルメタクリレートがより好ましい。
中でも、ポリカーボネート系樹脂(a1)との相溶性などから、フェニルメタクリレートやベンジルメタクリレートが好ましく、フェニルメタクリレートがより好ましい。
アクリル系樹脂(a2−1)には、必要に応じて芳香族(メタ)アクリレート単量体単位およびメチルメタクリレート単量体単位以外の共重合可能な他の単量体単位を含有させることができる。
その他の単量体単位を含有させる場合には、アクリル系樹脂(a2−1)中に0.1〜10質量%であることが好ましい。
その他の単量体単位を含有させる場合には、アクリル系樹脂(a2−1)中に0.1〜10質量%であることが好ましい。
アクリル系樹脂(a2−1)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が5,000〜30,000であることが好ましい。
アクリル系樹脂(a2−1)の重量平均分子量(Mw)が上記範囲であると、ポリカーボネート系樹脂(a1)との相溶性が良好であり、得られるA層の成形性や表面硬度向上効果および外観などに優れるため好ましい。
かかる観点から、アクリル系樹脂(a2−1)の重量平均分子量(Mw)の範囲は10,000〜28,000であることがより好ましい。
アクリル系樹脂(a2−1)の重量平均分子量(Mw)が上記範囲であると、ポリカーボネート系樹脂(a1)との相溶性が良好であり、得られるA層の成形性や表面硬度向上効果および外観などに優れるため好ましい。
かかる観点から、アクリル系樹脂(a2−1)の重量平均分子量(Mw)の範囲は10,000〜28,000であることがより好ましい。
ポリカーボネート系樹脂(a1)と上記アクリル系樹脂(a2−1)の混合質量比は、特に制限されるものではなく、(a1)/(a2−1)=99〜65/1〜35であることが好ましい。両者の混合割合が該範囲内にあれば、得られるA層の成形性や表面硬度向上効果および外観などに優れるため好ましい。
かかる観点から、(a1)/(a2−1)=95〜70/5〜30であることがより好ましい。
かかる観点から、(a1)/(a2−1)=95〜70/5〜30であることがより好ましい。
(酸化防止剤(a3))
ポリカーボネート系樹脂(a1)の重合時およびポリカーボネート系樹脂層(A層)のシート成形時の酸化劣化抑制のため添加する酸化防止剤(a3)としては、リン系酸化防止剤およびフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。特にシート成形時の黄変防止の観点から、リン系酸化防止剤を添加するのが好ましい。
ポリカーボネート系樹脂(a1)の重合時およびポリカーボネート系樹脂層(A層)のシート成形時の酸化劣化抑制のため添加する酸化防止剤(a3)としては、リン系酸化防止剤およびフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。特にシート成形時の黄変防止の観点から、リン系酸化防止剤を添加するのが好ましい。
一方で、リン系酸化防止剤は、温度85℃、湿度85%RH環境下などの過酷な高温高湿環境下に長時間暴露した際、加水分解し亜リン酸などの酸を生成することが知られており、酸の生成量によっては成形加工機などの金属腐食が促進されるほか、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂に添加すると、熱可塑性樹脂の加水分解を促進するなどの問題がある。
したがって、リン系酸化防止剤の添加濃度を、重合時およびシート成形時の酸化劣化を抑制するために適切な範囲にすることが必要である。添加するリン系酸化防止剤の好ましい濃度範囲は、前述の通りである。
したがって、リン系酸化防止剤の添加濃度を、重合時およびシート成形時の酸化劣化を抑制するために適切な範囲にすることが必要である。添加するリン系酸化防止剤の好ましい濃度範囲は、前述の通りである。
上記リン系酸化防止剤としては、ポリカーボネート系樹脂の一般的な加工温度250〜300℃においても揮発減量分が少なく使用可能なことを考えると、ジステアリル−ペンタエリスリトール−ジフォスファイト(ADEKA社製、商品名「アデカスタブPEP−8」)、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイト(ADEKA社製、商品名「アデカスタブPEP−36」)およびビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイトビス(2,6−シ−t−ブチル−4−n−オクタデシルオキシカルボニルエチル−フェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイトなどを例示することができる。
酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤を用いる場合、該フェノール系酸化防止剤としては、例えば、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン(例えば、ADEKA社製、商品名「アデカスタブAO−80」や、住友化学社製、商品名「スミライザーGA−80」など)、エチレンビス(オキシエチエレン) ビス[3−(5−t−ブチル−ヒドロキシ−m−トリル) プロピオネート] (例えば、チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名「IRGANOX245」)、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート(例えば、ADEKA社製、商品名「アデカスタブAO−70」)などを挙げることができる。
(その他の成分)
A層は、本発明の効果を阻害しない範囲で、前記した改質剤(a2)、酸化防止剤(a3)の他にも種々の機能性添加剤を配合することができる。
該添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、難燃剤、着色剤、加水分解防止剤などを挙げることができる。
A層は、本発明の効果を阻害しない範囲で、前記した改質剤(a2)、酸化防止剤(a3)の他にも種々の機能性添加剤を配合することができる。
該添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、難燃剤、着色剤、加水分解防止剤などを挙げることができる。
<B層>
ここで、ポリカーボネート系樹脂層(A層)表面硬度や耐擦傷性などを補う点において、A層の片表面または両表面に、A層の主成分であるポリカーボネート系樹脂とは異なる熱可塑性樹脂層(B層)を積層させることが好ましい。
ここで、ポリカーボネート系樹脂層(A層)表面硬度や耐擦傷性などを補う点において、A層の片表面または両表面に、A層の主成分であるポリカーボネート系樹脂とは異なる熱可塑性樹脂層(B層)を積層させることが好ましい。
B層の主成分としての熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステル、およびポリ乳酸系重合体などの脂肪族ポリエステルに代表されるポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂およびこれらを主たる成分とする共重合体、またはこれら樹脂の混合物等を挙げることができる。これらは1種または2種以上の混合物であってもよい。
<B層の好ましい具体的構成例>
B層の主成分としての熱可塑性樹脂の一例として、アクリル系樹脂(b1)を主成分樹脂とする層を挙げることができる。好ましくは、B層は、アクリル系樹脂(b1)と、芳香族ビニル単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位及び不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位を有する共重合体(b2)と、を含有する層である。
また、B層の好ましい他の一例として、構造の一部にジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂(b3)を主成分樹脂とする層を挙げることもできる。
次に、これら各成分樹脂(b1)〜(b3)について説明する。
B層の主成分としての熱可塑性樹脂の一例として、アクリル系樹脂(b1)を主成分樹脂とする層を挙げることができる。好ましくは、B層は、アクリル系樹脂(b1)と、芳香族ビニル単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位及び不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位を有する共重合体(b2)と、を含有する層である。
また、B層の好ましい他の一例として、構造の一部にジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂(b3)を主成分樹脂とする層を挙げることもできる。
次に、これら各成分樹脂(b1)〜(b3)について説明する。
(アクリル系樹脂(b1))
アクリル系樹脂(b1)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を主成分として重合してなる(共)重合体およびその誘導体である。
アクリル系樹脂(b1)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を主成分として重合してなる(共)重合体およびその誘導体である。
ここで、「(メタ)アクリル酸エステル単量体単位」とは、アクリル酸エステル単量体単位又はメタクリル酸エステル単量体単位を包含する意である。
上記(メタ)アクリル酸エステル単量体単位としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸、アクリル酸、ベンジル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸2−(メタ)アクロイルオキシエチル、マレイン酸2−(メタ)アクロイルオキシエチル、フタル酸2−(メタ)アクロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−(メタ)アクリオイルオキシエチル、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらは、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのアクリル系単量体単位と重合され得る他の単量体単位としては、例えばオレフィン系単量体単位、ビニル系単量体単位等を挙げることができる。
中でも、アクリル系樹脂(b1)は、耐熱性の向上や吸水性の低減の観点から、メタクリル酸メチル単量体と、メタクリル酸単量体、アクリル酸単量体、マレイン酸無水物単量体、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体のうちいずれか1種以上との共重合体を好適に用いることができる。
アクリル系樹脂(b1)の立体規則性については特に制限はない。ただし、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の立体構造は、シンジオタクチック構造の割合が高いほどガラス転移温度が高くなり、耐熱性が向上するため、好ましい。かかる観点から、トリアッド分率のmm、mr及びrrの中で、該rrのモル比率が最も高い立体構造を有するものを好適に用いることができる。このトリアッド分率は、核磁気共鳴測定装置(1H−NMR)を用い、公知の方法で測定することができる。
(共重合体(b2))
上述したように、B層は、耐熱性の向上や吸水性の低減の観点から、上記のアクリル系樹脂(b1)と共重合体(b2)を含有する層であるのが好ましい。
上述したように、B層は、耐熱性の向上や吸水性の低減の観点から、上記のアクリル系樹脂(b1)と共重合体(b2)を含有する層であるのが好ましい。
共重合体(b2)は、芳香族ビニル単量体単位と、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位と、不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位とを有する共重合体である。
上記「芳香族ビニル単量体単位」としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン等の各スチレン系単量体に由来する単位を挙げることができる。これら芳香族ビニル単量体単位は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、スチレン単位やα−メチルスチレン単位が好ましい。スチレン単量体単位は、工業的に入手し易く、また経済性に優れるため好ましく、α−メチルスチレン単量体単位はガラス転移温度を向上させることができるため、好ましい。
中でも、スチレン単位やα−メチルスチレン単位が好ましい。スチレン単量体単位は、工業的に入手し易く、また経済性に優れるため好ましく、α−メチルスチレン単量体単位はガラス転移温度を向上させることができるため、好ましい。
上記「(メタ)アクリル酸エステル単量体単位」としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート等の各メタクリル酸エステル単量体、及びアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート等のアクリル酸エステル単量体に由来する単位を挙げることができる。これら(メタ)アクリル酸エステル単量体単位は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、アクリル系樹脂(b1)との相溶性や外観などから、メタクリル酸メチル単量体単位が好ましい。
中でも、アクリル系樹脂(b1)との相溶性や外観などから、メタクリル酸メチル単量体単位が好ましい。
上記「不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位」としては、例えばマレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、アコニット酸無水物などの各無水物単量体に由来する単位を挙げることができる。これら不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、アクリル系樹脂(b1)との相溶性や透明性などから、マレイン酸無水物単量体単位が好ましい。
中でも、アクリル系樹脂(b1)との相溶性や透明性などから、マレイン酸無水物単量体単位が好ましい。
上記共重合体(b2)の構成単位は、好ましくは芳香族ビニル単量体単位45〜85質量%、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位4〜45質量%、不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位8〜20質量%であり、より好ましくは芳香族ビニル単量体単位55〜85質量%、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位5〜30質量%、不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位10〜18質量%の範囲である。
なお、共重合体(b2)の構成単位は、周知の方法、例えば、核磁気共鳴(NMR)測定装置、その他の機器分析装置で定性定量分析することができる。
なお、共重合体(b2)の構成単位は、周知の方法、例えば、核磁気共鳴(NMR)測定装置、その他の機器分析装置で定性定量分析することができる。
共重合体(b2)の全構成単位のうち、芳香族ビニル単量体単位が45質量%以上、中でも55質量%以上を占めれば、熱安定性が向上し、アクリル系樹脂(b1)と混合した際に良好な外観が得られ、さらには吸水性を低減できるので、好ましい。
また、共重合体(b2)の全構成単位のうち、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が4質量%以上、中でも5質量%以上を占めれば、アクリル系樹脂(b1)との相溶性が向上して透明性が良好になるため好ましい。
また、共重合体(b2)の全構成単位のうち、不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位が8質量%以上、中でも10質量%以上を占めれば、アクリル系樹脂(b1)との相溶性が向上して透明性や耐熱性が向上するため好ましい。
また、共重合体(b2)の全構成単位のうち、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が4質量%以上、中でも5質量%以上を占めれば、アクリル系樹脂(b1)との相溶性が向上して透明性が良好になるため好ましい。
また、共重合体(b2)の全構成単位のうち、不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位が8質量%以上、中でも10質量%以上を占めれば、アクリル系樹脂(b1)との相溶性が向上して透明性や耐熱性が向上するため好ましい。
他方、共重合体(b2)の全構成単位のうち、芳香族ビニル単量体単位の割合が85質量%以下であれば、アクリル系樹脂(b1)との混合性を保持しながら、耐熱性の向上や吸水性の低減などが出来るため好ましい。
また、共重合体(b2)の全構成単位のうち、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の割合が45質量%以下、中でも30質量%以下であれば、アクリル系樹脂(b1)との相溶性を確保しながら、吸水性を抑制できるため好ましい。
また、共重合体(b2)の全構成単位のうち、不飽和ジカルボン酸無水物単位の割合が20質量%以下、中でも18質量%以下であれば、アクリル系樹脂(b1)との相溶性を確保しながら、熱安定性の向上や吸水性を抑制できるため好ましい。
また、共重合体(b2)の全構成単位のうち、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の割合が45質量%以下、中でも30質量%以下であれば、アクリル系樹脂(b1)との相溶性を確保しながら、吸水性を抑制できるため好ましい。
また、共重合体(b2)の全構成単位のうち、不飽和ジカルボン酸無水物単位の割合が20質量%以下、中でも18質量%以下であれば、アクリル系樹脂(b1)との相溶性を確保しながら、熱安定性の向上や吸水性を抑制できるため好ましい。
共重合体(b2)は、上記3つの単量体単位、すなわち芳香族ビニル単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位及び不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位以外に、「他の共重合可能な単位」を含有してもよい。但し、その含有割合は5質量%以下であるのが好ましい。
当該「他の共重合可能な単位」としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体、アクリル酸、メタクリル酸などのビニルカルボン酸単量体、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−アルキルマレイミド単量体、N−フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−クロルフェニルマレイミドなどのN−アリールマレイミド単量体などの各単量体に由来する単位を挙げることができる。これら共重合可能な単位は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
当該「他の共重合可能な単位」としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体、アクリル酸、メタクリル酸などのビニルカルボン酸単量体、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−アルキルマレイミド単量体、N−フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−クロルフェニルマレイミドなどのN−アリールマレイミド単量体などの各単量体に由来する単位を挙げることができる。これら共重合可能な単位は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
共重合体(b2)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が100,000〜200,000であることが好ましい。ここで重量平均分子量(Mw)が該範囲であるとアクリル系樹脂(b1)と混合して得られるB層の成形性や外観などに優れるため好ましい。かかる観点から、より好ましい重量平均分子量(Mw)の範囲は110,000〜180,000である。
共重合体(b2)の製造方法は、公知の重合方法で製造可能であり特に限定されるものではない。例えば、溶液重合や塊状重合等が適用でき、重合プロセスも回分式や半回分式および連続式などを適宜採用することができる。本積層体においては、副生成物が少なく、また、分子量調整と透明性を制御し易いことなどから溶液重合で回分式重合プロセスを好適に用いることができる。
((b1)/(b2))
B層において、アクリル系樹脂(b1)と共重合体(b2)との混合質量比は、(b1)/(b2)=80/20〜20/80であるのが好ましい。
アクリル系樹脂(b1)と共重合体(b2)の混合割合が上記範囲内であれば、B層との層間密着性に優れ、アクリル系樹脂の特徴である表面硬度や透明性を維持しつつ、耐熱性の向上や吸水性が抑制されるため好ましい。
B層において、アクリル系樹脂(b1)と共重合体(b2)との混合質量比は、(b1)/(b2)=80/20〜20/80であるのが好ましい。
アクリル系樹脂(b1)と共重合体(b2)の混合割合が上記範囲内であれば、B層との層間密着性に優れ、アクリル系樹脂の特徴である表面硬度や透明性を維持しつつ、耐熱性の向上や吸水性が抑制されるため好ましい。
また、本積層体の高温高湿環境下で発生する内部応力低減のためには、(b1)/(b2)=70/30〜40/60であるのが好ましく、中でも70/30〜60/40であるのがさらに好ましい。
(ポリカーボネート樹脂(b3))
上述したように、B層は、特定の構造を有するポリカーボネート樹脂( b3)を主成分とすることもまた好ましい。このことにより、本積層体に高い表面硬度を付与することができる。
上述したように、B層は、特定の構造を有するポリカーボネート樹脂( b3)を主成分とすることもまた好ましい。このことにより、本積層体に高い表面硬度を付与することができる。
ここで、ポリカーボネート樹脂(b3)は、構造の一部に下記(化1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂である。
上記(化1)で表されるジヒドロキシ化合物としては、例えば、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニドおよびイソイデットを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(化1)で表されるジヒドロキシ化合物は、生物起源物質を原料として糖質から製造可能なエーテルジオールである。とりわけイソソルビドは、澱粉から得られるD−グルコースを水添してから脱水することにより安価に製造可能であって、資源として豊富に入手することが可能である。これらの事情により、イソソルビドが最も好ましい。
B層の主成分としてのポリカーボネート樹脂(b3)において、上記(化1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の含有割合は、50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、また、90モル%以下であることが好ましく、80モル%以下であることがより好ましい。
B層の主成分としてのポリカーボネート樹脂(b3)において、上記(化1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の含有割合が上記範囲であることで、ポリカーボネート樹脂(b3)の硬度は、芳香族ポリカーボネート樹脂とアクリル樹脂との中間の値を取るようになり、表層にアクリル系樹脂層が配置されたディスプレイ用前面板よりも打ち抜き加工性が飛躍的に向上する。
より具体的に言えば、当該構造単位の含有割合が90モル%以下であることによって、表面硬度や耐熱性が優れ、かつ耐衝撃性およびA層との層間密着性の低下を抑止できるため、打ち抜き加工時の歩留まりの低下およびディスプレイ用前面板としての製品を取扱う際の破損などの種々の不具合を防止できる。
一方、上記含有割合が50モル%以上であることによって、耐衝撃性や打ち抜き加工性が優れ、かつ表面硬度や耐熱性の低下を抑止できる。また、本積層体は、少なくとも一方の面にハードコート層を配置することでさらに十分な表面硬度を得ることが可能となり、ディスプレイ用前面板および透明建材のいずれの用途向けにも好適となる。
より具体的に言えば、当該構造単位の含有割合が90モル%以下であることによって、表面硬度や耐熱性が優れ、かつ耐衝撃性およびA層との層間密着性の低下を抑止できるため、打ち抜き加工時の歩留まりの低下およびディスプレイ用前面板としての製品を取扱う際の破損などの種々の不具合を防止できる。
一方、上記含有割合が50モル%以上であることによって、耐衝撃性や打ち抜き加工性が優れ、かつ表面硬度や耐熱性の低下を抑止できる。また、本積層体は、少なくとも一方の面にハードコート層を配置することでさらに十分な表面硬度を得ることが可能となり、ディスプレイ用前面板および透明建材のいずれの用途向けにも好適となる。
上記ポリカーボネート樹脂(b3)は、上記構造単位以外の構造単位を有していてもよく、例えば、国際公開第2004/111106号パンフレットに記載の脂肪族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位や、国際公開第2007/148604号パンフレットに記載の脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を挙げることができる。
上記脂肪族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の中でも、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオールからなる群より選ばれた少なくとも1種のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有することが好ましい。
上記脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の中でも、5員環構造または6員環構造を含むものであることが好ましい。6員環構造は共有結合によって椅子形または舟形に固定されていてもよい。5員環構造または6員環構造である脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことにより、得られるポリカーボネートの耐熱性を高くすることができる。脂環式ジヒドロキシ化合物に含まれる炭素原子数は通常70以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましく、30以下であることがさらに好ましい。
上記5員環構造または6員環構造を含む脂環式ジヒドロキシ化合物としては、上述の国際公開第2007/148604号に記載のものを挙げることができる。中でも、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオールおよびペンタシクロペンタデカンジメタノールを好適に例示することができる。
なお、工業的に入手が容易である観点から、シクロヘキサンジメタノールを選択することが好ましく、なかでも、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。一方、耐熱性やA層との層間接着性を重視する場合には、トリシクロドデカンジメタノールを選択することが好ましい。
なお、工業的に入手が容易である観点から、シクロヘキサンジメタノールを選択することが好ましく、なかでも、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。一方、耐熱性やA層との層間接着性を重視する場合には、トリシクロドデカンジメタノールを選択することが好ましい。
上記B層に用いるポリカーボネート樹脂(b3)は、一般に用いられる重合方法で製造することができ、ホスゲン法または炭酸ジエステルと反応させるエステル交換法のいずれでもよい。なかでも、重合触媒の存在下に、構造の一部に上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物と、脂肪族及び/又は脂環式ヒドロキシ化合物と、必要に応じて用いられるその他のジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルとを反応させるエステル交換法が好ましい。
エステル交換法は、構造の一部に上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物と、脂肪族及び/又は脂環式ヒドロキシ化合物と、必要に応じて用いられるその他のジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルとを塩基性触媒、さらにはこの塩基性触媒を中和する酸性物質を添加し、エステル交換反応を行う製造方法である。
炭酸ジエステルの代表例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーネート、ビス(ビフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネートおよびジシクロヘキシルカーボネートなどが挙げられる。これらのうち、特にジフェニルカーボネートが好ましく用いられる。
ポリカーボネート樹脂(b3)の分子量は、還元粘度で表すことができ、当該還元粘度の下限については、0.20dL/g以上が好ましく、0.30dL/g以上がより好ましく、0.35dL/g以上が更に好ましく、還元粘度の上限については、1.20dL/g以下が好ましく、1.00dL/g以下がより好ましく、0.80dL/g以下が更に好ましい。
ポリカーボネート樹脂の還元粘度が低すぎると成形品の機械的強度が小さい可能性があり、大きすぎると、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。
ポリカーボネート樹脂の還元粘度が低すぎると成形品の機械的強度が小さい可能性があり、大きすぎると、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。
(その他の成分)
B層は、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜、種々の添加剤や改質剤などを含有することができる。ここで添加剤としては、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、難燃剤、着色剤などを挙げることができる。また、改質剤としては、例えば耐衝撃性改良剤、相容化剤、帯電防止剤などを挙げることができる。
B層は、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜、種々の添加剤や改質剤などを含有することができる。ここで添加剤としては、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、難燃剤、着色剤などを挙げることができる。また、改質剤としては、例えば耐衝撃性改良剤、相容化剤、帯電防止剤などを挙げることができる。
<ハードコート層(C層)>
前面板(X)は、さらに片面側又は両面側の最表面層としてハードコート層(C層)を備えていてもよい。但し、ハードコート層(C層)を備えていなくてもよい。
該ハードコート層(C層)は、前面板(X)に優れた表面硬度や耐擦傷性を付与する層である。
前面板(X)は、さらに片面側又は両面側の最表面層としてハードコート層(C層)を備えていてもよい。但し、ハードコート層(C層)を備えていなくてもよい。
該ハードコート層(C層)は、前面板(X)に優れた表面硬度や耐擦傷性を付与する層である。
ハードコート層(C層)は、硬化性樹脂で形成することが好ましく、例えば、電子線、放射線、紫外線などのエネルギー線を照射することにより、C層形成用硬化性樹脂組成物を硬化させるか、或いは、加熱によりC層形成用硬化性樹脂組成物を硬化させて形成することができる。
中でも、成形時間および生産性の観点から、紫外線を照射することにより、C層形成用硬化性樹脂組成物を硬化させてハードコート層(C層)を形成するのが好ましい。
中でも、成形時間および生産性の観点から、紫外線を照射することにより、C層形成用硬化性樹脂組成物を硬化させてハードコート層(C層)を形成するのが好ましい。
ハードコート層(C層)を形成するためのC層形成用硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂C1を含有する樹脂組成物であればよい。上述のように、紫外線を照射することにより、C層形成用硬化性樹脂組成物を硬化させる場合には、該C層形成用硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂C1のほかに光重合開始剤を含有する樹脂組成物であるのが好ましい。
上記の硬化性樹脂C1の具体例としては、例えばアクリレート化合物、ウレタンアクリレート化合物、エポキシアクリレート化合物、カルボキシル基変性エポキシアクリレート化合物、ポリエステルアクリレート化合物、共重合系アクリレート、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ樹脂、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などを例示することができる。これらの硬化性樹脂は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
より優れた表面硬度を付与する硬化性樹脂C1としては、多官能アクリレート化合物、多官能ウレタンアクリレート化合物、多官能エポキシアクリレート化合物など、ラジカル重合系の硬化性化合物や、アルコキシシラン、アルキルアルコキシシランなど、熱重合系の硬化性化合物を挙げることができ、さらに、前記硬化性樹脂に無機成分を含有させてなる有機・無機複合系硬化性樹脂組成物であってもよい。
より優れた表面硬度を付与する硬化性樹脂C1としては、多官能アクリレート化合物、多官能ウレタンアクリレート化合物、多官能エポキシアクリレート化合物など、ラジカル重合系の硬化性化合物や、アルコキシシラン、アルキルアルコキシシランなど、熱重合系の硬化性化合物を挙げることができ、さらに、前記硬化性樹脂に無機成分を含有させてなる有機・無機複合系硬化性樹脂組成物であってもよい。
特に優れた表面硬度を付与するC層形成用硬化性樹脂組成物として、有機・無機ハイブリッド系硬化性樹脂組成物を挙げることができる。有機・無機ハイブリッド系硬化性樹脂組成物としては、前記硬化性樹脂に反応性官能基を有する無機成分を含有させた硬化性樹脂組成物から構成されるものを挙げることができる。
このような反応性官能基を有する無機成分を利用して、例えば、この無機成分がラジカル重合性モノマーと共重合および架橋することで、単に有機バインダーに無機成分を含有させてなる有機・無機複合系硬化性樹脂組成物に比べて、硬化収縮が生じにくく、かつ高い表面硬度を発現することができるので好ましい。さらに、硬化収縮の低減の観点からは、反応性官能基を有する無機成分として紫外線反応性のコロイダルシリカを含む有機・無機ハイブリッド系硬化性樹脂組成物をより好ましい例として挙げることができる。
このような反応性官能基を有する無機成分を利用して、例えば、この無機成分がラジカル重合性モノマーと共重合および架橋することで、単に有機バインダーに無機成分を含有させてなる有機・無機複合系硬化性樹脂組成物に比べて、硬化収縮が生じにくく、かつ高い表面硬度を発現することができるので好ましい。さらに、硬化収縮の低減の観点からは、反応性官能基を有する無機成分として紫外線反応性のコロイダルシリカを含む有機・無機ハイブリッド系硬化性樹脂組成物をより好ましい例として挙げることができる。
ハードコート層(C層)に特に優れた表面硬度を付与するため、ハードコート層(C層)に含有される無機成分、特に反応性官能基を有する無機成分の濃度を調整することが好ましい。
かかる観点から、ハードコート層(C層)に含有される無機成分、特に反応性官能基を有する無機成分の濃度を10〜65質量%とするのが好ましい。当該濃度が10質量%以上であれば、ハードコート層(C層)に優れた表面硬度を付与する効果が得られるので好ましい。他方、当該濃度が65質量%以下であれば、ハードコート層(C層)において、無機成分、特に反応性官能基を有する無機成分を最密に充填することが可能になり、優れた表面硬度を効果的に付与することができるので好ましい。
かかる観点から、当該濃度は10〜65質量%であるのが好ましく、中でも20質量%以上或いは60質量%以下、その中でも40質量%以上或いは55質量%以下であるのがさらに好ましい。
かかる観点から、ハードコート層(C層)に含有される無機成分、特に反応性官能基を有する無機成分の濃度を10〜65質量%とするのが好ましい。当該濃度が10質量%以上であれば、ハードコート層(C層)に優れた表面硬度を付与する効果が得られるので好ましい。他方、当該濃度が65質量%以下であれば、ハードコート層(C層)において、無機成分、特に反応性官能基を有する無機成分を最密に充填することが可能になり、優れた表面硬度を効果的に付与することができるので好ましい。
かかる観点から、当該濃度は10〜65質量%であるのが好ましく、中でも20質量%以上或いは60質量%以下、その中でも40質量%以上或いは55質量%以下であるのがさらに好ましい。
なお、後述する粘接着層(Y)との接着性を高めると共に、本積層体の高温高湿環境下で発生する内部応力を低減する観点から、ハードコート層(C層)の主成分樹脂は、粘接着層(Y)の主成分樹脂と同一樹脂であるのが好ましい。例えば、粘接着層(Y)の主成分樹脂がアクリル系樹脂の場合、ハードコート層(C層)の主成分樹脂もアクリル系樹脂であるのが好ましい。
C層形成用硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤を含有し、該光重合開始剤が紫外線を吸収して、励起、活性化されることで重合反応を起こし、紫外線硬化性樹脂の硬化反応が起こるものが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンジル、ベンゾフェノンやその誘導体、チオキサントン類、ベンジルジメチルケタール類、α−ヒドロキシアルキルフェノン類、α−ヒドロキシアセトフェノン類、ヒドロキシケトン類、アミノアルキルフェノン類、アシルホスフィンオキサイド類などを挙げることができる。中でも、α−ヒドロキシアルキルフェノン類は硬化時に黄変を起こしにくく、透明な硬化物が得られるので好ましい。また、アミノアルキルフェノン類は、非常に高い反応性を備え、優れた硬度の硬化物が得られるので好ましい。上記光重合開始剤は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤の添加量は、硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部添加することが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンジル、ベンゾフェノンやその誘導体、チオキサントン類、ベンジルジメチルケタール類、α−ヒドロキシアルキルフェノン類、α−ヒドロキシアセトフェノン類、ヒドロキシケトン類、アミノアルキルフェノン類、アシルホスフィンオキサイド類などを挙げることができる。中でも、α−ヒドロキシアルキルフェノン類は硬化時に黄変を起こしにくく、透明な硬化物が得られるので好ましい。また、アミノアルキルフェノン類は、非常に高い反応性を備え、優れた硬度の硬化物が得られるので好ましい。上記光重合開始剤は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤の添加量は、硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部添加することが好ましい。
C層形成用硬化性樹脂組成物は、表面調整成分としてレベリング剤を含むことができる。
レベリング剤としては、シリコーン系レベリング剤、アクリル系レベリング剤などを挙げることができ、特に、末端に反応性の官能基を有するものが好ましく、2官能以上の反応性の官能基を有するものがより好ましい。
具体的には、両末端に2重結合を有するアクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンや、2重結合を末端に2個ずつ計4個有するアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンなどを挙げることができる。
これらの中でも、ヘイズの値が安定し、かつ耐擦傷性の向上に寄与するアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンが特に好ましい。
レベリング剤としては、シリコーン系レベリング剤、アクリル系レベリング剤などを挙げることができ、特に、末端に反応性の官能基を有するものが好ましく、2官能以上の反応性の官能基を有するものがより好ましい。
具体的には、両末端に2重結合を有するアクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンや、2重結合を末端に2個ずつ計4個有するアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンなどを挙げることができる。
これらの中でも、ヘイズの値が安定し、かつ耐擦傷性の向上に寄与するアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンが特に好ましい。
C層形成用硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂成分のほかに、例えば、ケイ素系化合物、フッ素系化合物、またはこれらの混合化合物などの滑剤や、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、シリコーン系化合物などの難燃剤、フィラー、ガラス繊維、耐衝撃性改質剤等の各種添加剤を本発明の効果を阻害しない範囲で含有することができる。
前記したハードコート層(C層)の厚みは、特に制限されるものではない。例えば1μm〜30μmであるのが好ましく、中でも3μm以上或いは25μm以下、その中でも5μm以上或いは20μm以下、その中でも7μm以上或いは15μm以下であるのが特に好ましい。
ここで、ハードコート層(C層)の厚みが上記範囲にあれば、耐擦傷性が付与でき、また、応力によるクラックが発生し難いため好ましい。
ここで、ハードコート層(C層)の厚みが上記範囲にあれば、耐擦傷性が付与でき、また、応力によるクラックが発生し難いため好ましい。
また、両面にハードコート層(C層)を有する場合、各ハードコート層の厚みは、同一でもよいし異なっていてもよい。中でも、各ハードコート層の厚みは、共に7μm〜15μmの範囲であることが好ましい。
<前面板(X)の積層構成>
前面板(X)は、ポリカーボネート系樹脂層(A層)を含んでいればよく、一例として、A層の片面側又は両面側に、A層とは異なる熱可塑性樹脂樹脂層(B層)を形成してなる構成の前面板(X)を挙げることができる。
また、例えば上述のように、片面側最表面又は両面側最表面にハードコート層(C層)を備えていてもよい。
前面板(X)は、ポリカーボネート系樹脂層(A層)を含んでいればよく、一例として、A層の片面側又は両面側に、A層とは異なる熱可塑性樹脂樹脂層(B層)を形成してなる構成の前面板(X)を挙げることができる。
また、例えば上述のように、片面側最表面又は両面側最表面にハードコート層(C層)を備えていてもよい。
前面板(X)の層構成としては、(B)/(A)、(B)/(A)/(B)、(C)/(B)/(A)、(C)/(B)/(A)/(B)、(C)/(B)/(A)/(C)、および(C)/(B)/(A)/(B)/(C)などを例示することができる。
ここで、層構成の中に同一分類層を2層以上有する場合には、該層は同一組成でもよいし、異なった組成でもよい。
以上の中でも、(B)/(A)、(B)/(A)/(B)、(C)/(B)/(A)、(C)/(B)/(A)/(C)、(C)/(B)/(A)/(B)/(C)の構成が好ましい。
ここで、層構成の中に同一分類層を2層以上有する場合には、該層は同一組成でもよいし、異なった組成でもよい。
以上の中でも、(B)/(A)、(B)/(A)/(B)、(C)/(B)/(A)、(C)/(B)/(A)/(C)、(C)/(B)/(A)/(B)/(C)の構成が好ましい。
<前面板(X)の厚み>
前面板(X)の厚みは、特に制限されるものではなく、例えば0.1mm〜3.0mmであるのが好ましく、中でも1.5mm以下、その中でも0.15mm以上或いは1.2mm以下であるのがさらに好ましい。
前面板(X)の厚みは、特に制限されるものではなく、例えば0.1mm〜3.0mmであるのが好ましく、中でも1.5mm以下、その中でも0.15mm以上或いは1.2mm以下であるのがさらに好ましい。
また、前面板(X)の厚みは、本積層体の適用用途によっても好ましい範囲がある。例えば、各種画像表示装置のフロントカバー材に適用する場合には、0.1〜2.0mmであることが好ましく、0.15mm以上或いは1.5mm以下、0.2mm以上或いは0.8mm以下、0.2mm以上或いは0.7mm以下であることがさらに好ましい。該範囲内であれば、軽量性と剛性および高温や高湿な環境における形状安定性に優れるため好ましい。
<前面板(X)のガラス転移温度>
前面板(X)のガラス転移温度は、耐熱性を担保する観点から、100℃以上であることが好ましく、中でも110℃以上、その中でも115℃以上、さらにその中でも120℃以上であるのが特に好ましい。前面板(X)が複数の層を有する場合、いずれの層も上記範囲のガラス転移温度を有することが好ましい。
前面板(X)のガラス転移温度は、耐熱性を担保する観点から、100℃以上であることが好ましく、中でも110℃以上、その中でも115℃以上、さらにその中でも120℃以上であるのが特に好ましい。前面板(X)が複数の層を有する場合、いずれの層も上記範囲のガラス転移温度を有することが好ましい。
ポリカーボネート系樹脂層(A層)を有する前面板(X)において、A層の片面側又は両面側に、A層の主成分であるポリカーボネート系樹脂とは異なる熱可塑性樹脂樹脂層(B層)を有する場合、A層のガラス転移温度とB層のガラス転移温度との差の絶対値は30℃以下であることが、高温高湿環境下での前面板(X)の反りを抑制する観点から好ましい。かかる観点から、該差の絶対値は、30℃以下であるのが好ましく、中でも20℃以下であるのがより好ましく、その中でも10℃以下であることがさらに好ましく、中でも特に5℃以下であることがさらに好ましい。
これは、高温高湿環境下でB層は吸水により軟化温度が低下することで種々の歪の緩和現象が生じ易いが、該差の絶対値が上記範囲内であれば、高温高湿環境下で両層の寸法変化挙動が近くなり、結果として反りが抑制されるものと考えられるからである。
なお、上記ガラス転移温度は、示差走査熱量計を用いて、JIS K7121に準じて加熱速度10℃/分で測定して得られる値である。但し、その他の公知の機器分析装置、例えば動的粘弾性装置などでも上記ガラス転移温度を測定することができる。
これは、高温高湿環境下でB層は吸水により軟化温度が低下することで種々の歪の緩和現象が生じ易いが、該差の絶対値が上記範囲内であれば、高温高湿環境下で両層の寸法変化挙動が近くなり、結果として反りが抑制されるものと考えられるからである。
なお、上記ガラス転移温度は、示差走査熱量計を用いて、JIS K7121に準じて加熱速度10℃/分で測定して得られる値である。但し、その他の公知の機器分析装置、例えば動的粘弾性装置などでも上記ガラス転移温度を測定することができる。
<前面板(X)の弾性率>
前面板(X)の弾性率は、機械的強度、および応力に対する形状安定性を高める観点から、1500〜4500(MPa)であるのが好ましく、中でも1800以上或いは4000(MPa)以下、その中でも2000以上或いは3500(MPa)以下であるのがさらに好ましい。
前面板(X)の弾性率は、機械的強度、および応力に対する形状安定性を高める観点から、1500〜4500(MPa)であるのが好ましく、中でも1800以上或いは4000(MPa)以下、その中でも2000以上或いは3500(MPa)以下であるのがさらに好ましい。
<前面板(X)の反り量>
ポリカーボネート系樹脂層(A層)を有する前面板(X)において、A層の片面側又は両面側に、A層の主成分であるポリカーボネート系樹脂とは異なる熱可塑性樹脂樹脂層(B層)を有する場合、高温高湿環境下に曝露した時、(A層)と(B層)の熱膨張係数、湿度膨張係数の差、および成形加工時の歪みによる影響により前面板(X)に反りが発生する場合がある。前面板(X)に反りが発生した場合、前面板(X)と粘接着層(Y)の界面に内部応力が生じ、前面板(X)と粘接着層(Y)の剥がれの原因となる。これを抑制する観点から、前面板(X)を高温高湿環境下に曝露した時の許容できる反り量の範囲の目安としては、前面板(X)を、温度85℃、湿度85%RH環境下に120時間静置し、次いで温度23℃、湿度50%RH環境下に4時間放置した後の、4隅の反り量の平均値が1.5mm以下であるのが好ましく、中でも1.0mm以下、その中でも0.3mm以下であるのが特に好ましい。
ポリカーボネート系樹脂層(A層)を有する前面板(X)において、A層の片面側又は両面側に、A層の主成分であるポリカーボネート系樹脂とは異なる熱可塑性樹脂樹脂層(B層)を有する場合、高温高湿環境下に曝露した時、(A層)と(B層)の熱膨張係数、湿度膨張係数の差、および成形加工時の歪みによる影響により前面板(X)に反りが発生する場合がある。前面板(X)に反りが発生した場合、前面板(X)と粘接着層(Y)の界面に内部応力が生じ、前面板(X)と粘接着層(Y)の剥がれの原因となる。これを抑制する観点から、前面板(X)を高温高湿環境下に曝露した時の許容できる反り量の範囲の目安としては、前面板(X)を、温度85℃、湿度85%RH環境下に120時間静置し、次いで温度23℃、湿度50%RH環境下に4時間放置した後の、4隅の反り量の平均値が1.5mm以下であるのが好ましく、中でも1.0mm以下、その中でも0.3mm以下であるのが特に好ましい。
<前面板(X)の製造方法>
前面板(X)の製膜方法としては、公知の方法を採用することができる。例えば単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなどの溶融混合設備を有し、Tダイを用いる押出キャスト法がハンドリング性や生産性等の観点から好適に用いることができる。
前面板(X)の製膜方法としては、公知の方法を採用することができる。例えば単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなどの溶融混合設備を有し、Tダイを用いる押出キャスト法がハンドリング性や生産性等の観点から好適に用いることができる。
A層とB層を積層する場合の積層方法としては、溶融混練された樹脂をフィードブロック或いはマルチマニホールドを有するTダイにより共押出成形する方法を好適に用いることができる。
本積層体の外観を良好にするために、表面を鏡面処理された成形ロール(金属弾性ロールやポリシングロールなど)を用いることが好ましい。
Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、用いる樹脂組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね300℃以下、好ましくは、230〜260℃である。成形ロール温度は、概ね90〜160℃、好ましくは、95〜150℃である。
本積層体の外観を良好にするために、表面を鏡面処理された成形ロール(金属弾性ロールやポリシングロールなど)を用いることが好ましい。
Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、用いる樹脂組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね300℃以下、好ましくは、230〜260℃である。成形ロール温度は、概ね90〜160℃、好ましくは、95〜150℃である。
また、各層を押出する際は、単軸押出機や多軸押出機が好適に用いることができ、各層の押出機にはベント機能とフィルター機能を有することが好ましい。ベント機能は、各層に用いる樹脂組成物の乾燥や微量の揮発成分の除去などに活用でき、気泡などの欠陥が少ない積層体を得ることができるため好ましい。また、フィルター機能は、種々の方式があり、具体的には、リーフディスクフィルター、バックディスクフィルター、コーン型フィルター、キャンドルフィルター、円筒型フィルターなどを例示することができる。中でも有効ろ過面積を確保し易いリーフディスクフィルターが好ましい。フィルター機能により異物や微小ゲルブツなどを除去することができ、外観不良の少ない積層体を得ることができるため好ましい。
なお、各層を形成するための樹脂組成物は、予め各成分をタンブラー、V型ブレンダー、バンバリーミキサー、押出機などの混合機により混合して使用してもよく、また押出機の供給口に計量した各成分を直接供給したり、更には2ヶ所以上の供給口を有する押出機の各供給口に別々に計量した成分を供給したりしてもよい。
さらに各種添加剤の混合方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、(a)各種添加剤を適当なベース樹脂に高濃度(代表的な含有量としては3〜60質量%程度)に混合したマスターバッチを別途作製しておき、これを使用する樹脂に濃度を調整して混合する方法、(b)使用する樹脂に直接各種添加剤を混合する方法などを挙げることができる。
さらに各種添加剤の混合方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、(a)各種添加剤を適当なベース樹脂に高濃度(代表的な含有量としては3〜60質量%程度)に混合したマスターバッチを別途作製しておき、これを使用する樹脂に濃度を調整して混合する方法、(b)使用する樹脂に直接各種添加剤を混合する方法などを挙げることができる。
上記のように積層したA層又はB層の表面(「樹脂層表面」とも称する)にハードコート層(C層)を積層する場合は、前記したC層形成用硬化性樹脂組成物を有機溶剤に溶解或いは分散させた塗料として塗工した後、硬化膜とすることにより、樹脂層表面に形成して積層する方法を挙げることができる。但し、この方法に限定されるものではない。
C層を樹脂層表面に積層する方法としては、公知の方法が使用可能である。例えば、カバーフィルムを使用するラミネート方式、ディップコート法、ナチュラルコート法、リバースコート法、カンマコーター法、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤーバー法、エクストルージョン法、カーテンコート法、スプレコート法、グラビアコート法等が挙げられる。その他、例えば、離型層にハードコート層(C層)が形成されてなる転写シートを用いて、該ハードコート層(C層)を樹脂層表面に積層する方法を採用してもよい。
また、該ハードコート層(C層)と樹脂層表面との密着性を向上させる目的で、樹脂層表面にコロナ処理やプラズマ処理及びプライマー処理などの各種表面処理を行うことができる。
また、該ハードコート層(C層)と樹脂層表面との密着性を向上させる目的で、樹脂層表面にコロナ処理やプラズマ処理及びプライマー処理などの各種表面処理を行うことができる。
そして、樹脂層表面にC層形成用硬化性樹脂組成物を積層した後、例えば、電子線、放射線、紫外線などのエネルギー線を照射することにより、該硬化性樹脂組成物を硬化させるか、或いは、加熱により該硬化性樹脂組成物を硬化させるのが好ましい。中でも、成形時間および生産性の観点から、紫外線照射によって硬化させるのが好ましい。
ここで、紫外線を発する光源としては、例えば無電極高圧水銀灯、有電極高圧水銀灯、無電極メタルハライドランプ、有電極メタルハライドランプ、キセノンランプ、超高圧水銀灯または水銀キセノンランプ等を用いることができる。中でも、無電極高圧水銀灯は、高照度の紫外線を得られやすく、紫外線硬化性樹脂の硬化に有利となるため好ましい。
ここで、紫外線を発する光源としては、例えば無電極高圧水銀灯、有電極高圧水銀灯、無電極メタルハライドランプ、有電極メタルハライドランプ、キセノンランプ、超高圧水銀灯または水銀キセノンランプ等を用いることができる。中でも、無電極高圧水銀灯は、高照度の紫外線を得られやすく、紫外線硬化性樹脂の硬化に有利となるため好ましい。
C層形成用硬化性樹脂組成物が紫外線硬化性樹脂からなり紫外線を照射することにより硬化させる場合、紫外線に対して透明度が高いため、硬化性樹脂組成物の内部の硬化は速やかに進行する反面、酸素による硬化阻害作用(酸素障害と称する)のため、硬化性樹脂組成物の表面では硬化が滞る場合がある。この酸素障害に対しては、窒素ガスの供給により樹脂組成物周囲を窒素ガス雰囲気下とした上で紫外線を照射すると、樹脂組成物の内部とともに表面の硬化を速やかに進行させることができるので好ましい。
ポリカーボネート系樹脂層(A層)の片面側又は両面側に熱可塑性樹脂層(B層)を積層させて樹脂積層体とした後、前記樹脂積層体を熱処理するようにしてもよい。
熱処理条件としては、B層のガラス転移温度よりも5℃〜30℃低い温度領域、中でも5℃〜25℃低い温度領域、その中でも5℃〜20℃低い温度領域で、樹脂積層体を熱処理するのが好ましい。
熱処理条件としては、B層のガラス転移温度よりも5℃〜30℃低い温度領域、中でも5℃〜25℃低い温度領域、その中でも5℃〜20℃低い温度領域で、樹脂積層体を熱処理するのが好ましい。
また、前面板(X)の片面側又は両面側の最表面は、反射防止処理、防汚処理、帯電防止処理、耐候性処理および防眩処理のうちに何れか一つ以上の処理を施すことができる。
各々の処理の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば反射低減塗料を塗布する方法、誘電体薄膜を蒸着する方法、帯電防止塗料を塗布する方法などが例示できる。
各々の処理の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば反射低減塗料を塗布する方法、誘電体薄膜を蒸着する方法、帯電防止塗料を塗布する方法などが例示できる。
<本積層体の特長>
以上説明したように、本積層体は、温度85℃、湿度85%RH環境下で1000時間の過酷な高温高湿環境下においても分子量の低下を抑制し、機械強度を保持し、透明性、耐衝撃性、表面硬度などを高めることも可能である。よって、本積層体は、種々の用途、例えば基材に貼り合わせるなどして、各種基板材料や保護材料などとして好適に用いることができる。例えば携帯電話端末、スマートフォン、携帯型電子遊具、携帯情報端末、タブレット機器、モバイルパソコン、ウェアラブル端末などの画像表示装置や、液晶テレビ、液晶モニター、デスクトップパソコンなどの構成材料としての各種基板材料や保護材料のほか、一般的に、上記用途よりもさらに過酷な高温高湿環境下での耐久性を要求される、カーナビゲーションや、自動車計器などの車載用途ディスプレイの構成材料としての各種基板材料や保護材料としても好適に用いることができる。
以上説明したように、本積層体は、温度85℃、湿度85%RH環境下で1000時間の過酷な高温高湿環境下においても分子量の低下を抑制し、機械強度を保持し、透明性、耐衝撃性、表面硬度などを高めることも可能である。よって、本積層体は、種々の用途、例えば基材に貼り合わせるなどして、各種基板材料や保護材料などとして好適に用いることができる。例えば携帯電話端末、スマートフォン、携帯型電子遊具、携帯情報端末、タブレット機器、モバイルパソコン、ウェアラブル端末などの画像表示装置や、液晶テレビ、液晶モニター、デスクトップパソコンなどの構成材料としての各種基板材料や保護材料のほか、一般的に、上記用途よりもさらに過酷な高温高湿環境下での耐久性を要求される、カーナビゲーションや、自動車計器などの車載用途ディスプレイの構成材料としての各種基板材料や保護材料としても好適に用いることができる。
本積層体はまた、種々の加工方法で形状を付与することもできる。例えば、金型を用いて加熱・加圧する方法のほか、圧空成型法、真空成型法、ロールホーミング法などを成形方法として例示することができる。本積層体に形状を付与することで、曲面を有する画像表示装置や各種フレキシブル機器へ利用することが可能となる。
<語句の説明など>
一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、画像表示パネル、保護パネル等のように「パネル」と表現する場合、板体、シートおよびフィルム、又はこれらの積層体を包含するものである。
一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、画像表示パネル、保護パネル等のように「パネル」と表現する場合、板体、シートおよびフィルム、又はこれらの積層体を包含するものである。
本明細書において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
以下に実施例でさらに詳しく説明する。但し、本発明が、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
なお、本明細書中に表示される種々の測定値および評価は次のようにして行った。
なお、本明細書中に表示される種々の測定値および評価は次のようにして行った。
(1)厚み
市販の厚み測定器(MITUTOYO製)を用いて測定した。
市販の厚み測定器(MITUTOYO製)を用いて測定した。
(2)粘接着層(Y)を熱水に浸漬した時に溶出する酸性イオン量(イオンクロマトグラフ法)
実施例、比較例で用いた粘接着層を、試験片サイズ:厚み150μm、幅5cm×長さ5cmに切り出した後(試験片における粘着面の露出面積:25cm2)、予め両面に貼合した2枚のポリエチレンテレフタレートフィルムの内、片面のフィルムを剥離し、剥離により粘接着層が露出した面を85℃熱水(50ml)に45分間浸漬させた。浸漬後、溶液中に溶出した酸性イオンについて、イオンクロマトグラフ法により合計溶出量を定量分析し、粘接着層単位面積当たりから溶出した合計酸性イオン量(ng/cm2)を算出した。酸性イオン種として検出されたのは、酢酸イオン、アクリル酸イオン、メタクリル酸イオンであったため、これらのイオン量の合計を酸性イオン量とした。
表1に、実施例・比較例で得られた粘接着層について、検出された酸性イオンの合計量(ng/cm2)を示した。
[イオンクロマトグラフ法の測定条件]
分析装置 : DIONEX社製、ICS−2000
分離カラム : Ion Pac AS11−HC(4mm×250mm)
ガードカラム : Ion Pac AG11−HC(4mm×50mm)
除去システム(サブレストモード):エクスターナルモード、120mA
検出器 : 電気伝導度検出器
溶離液 : 1.5mM KOH(0〜7分)
20.0mM KOH(7〜15分)
40.0mM KOH(15〜20分) 溶離液ジェネレーター使用
溶離液流量 : 1.5ml/分
試料注入量 : 50μl
実施例、比較例で用いた粘接着層を、試験片サイズ:厚み150μm、幅5cm×長さ5cmに切り出した後(試験片における粘着面の露出面積:25cm2)、予め両面に貼合した2枚のポリエチレンテレフタレートフィルムの内、片面のフィルムを剥離し、剥離により粘接着層が露出した面を85℃熱水(50ml)に45分間浸漬させた。浸漬後、溶液中に溶出した酸性イオンについて、イオンクロマトグラフ法により合計溶出量を定量分析し、粘接着層単位面積当たりから溶出した合計酸性イオン量(ng/cm2)を算出した。酸性イオン種として検出されたのは、酢酸イオン、アクリル酸イオン、メタクリル酸イオンであったため、これらのイオン量の合計を酸性イオン量とした。
表1に、実施例・比較例で得られた粘接着層について、検出された酸性イオンの合計量(ng/cm2)を示した。
[イオンクロマトグラフ法の測定条件]
分析装置 : DIONEX社製、ICS−2000
分離カラム : Ion Pac AS11−HC(4mm×250mm)
ガードカラム : Ion Pac AG11−HC(4mm×50mm)
除去システム(サブレストモード):エクスターナルモード、120mA
検出器 : 電気伝導度検出器
溶離液 : 1.5mM KOH(0〜7分)
20.0mM KOH(7〜15分)
40.0mM KOH(15〜20分) 溶離液ジェネレーター使用
溶離液流量 : 1.5ml/分
試料注入量 : 50μl
(3)長期湿熱暴露試験
実施例・比較例で得られた前面板(X)/粘接着層(Y)積層体をガラス板上に貼着し、温度85℃、湿度85%RHに設定した恒温恒湿槽中に120時間、500時間、1000時間、それぞれ静置した。
実施例・比較例で得られた前面板(X)/粘接着層(Y)積層体をガラス板上に貼着し、温度85℃、湿度85%RHに設定した恒温恒湿槽中に120時間、500時間、1000時間、それぞれ静置した。
(4)重量平均分子量
長期湿熱暴露試験後の前面板(X)/粘接着層(Y)積層体から、前面板(X)のみを粘接着層(Y)からカッターで剥離し、粘接着層(Y)成分をエタノールで拭き取った後、前面板(X)の重量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定した。
[ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法の測定条件]
測定機器:東ソー( 株)社製 HLC−8120GPC
カラム:昭和電工( 株)社製 KD−80M 、KD−803、2本を直列連結
試料:20mg
溶媒:クロロホルム 4ml
溶液注入量:10μl
溶媒流速:1.0 ml/分
標準ポリマー:ポリスチレン
長期湿熱暴露試験後の前面板(X)/粘接着層(Y)積層体から、前面板(X)のみを粘接着層(Y)からカッターで剥離し、粘接着層(Y)成分をエタノールで拭き取った後、前面板(X)の重量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定した。
[ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法の測定条件]
測定機器:東ソー( 株)社製 HLC−8120GPC
カラム:昭和電工( 株)社製 KD−80M 、KD−803、2本を直列連結
試料:20mg
溶媒:クロロホルム 4ml
溶液注入量:10μl
溶媒流速:1.0 ml/分
標準ポリマー:ポリスチレン
(5)分子量低下率
分子量低下率(%)を、以下の式に基づき算出した。
={(温度85℃、湿度85%RH環境下で暴露前の重量平均分子量)−(温度85℃、湿度85%RH環境下で各時間暴露後の重量平均分子量)}/(温度85℃、湿度85%RH環境下で暴露前の重量平均分子量)
×100
分子量低下率(%)を、以下の式に基づき算出した。
={(温度85℃、湿度85%RH環境下で暴露前の重量平均分子量)−(温度85℃、湿度85%RH環境下で各時間暴露後の重量平均分子量)}/(温度85℃、湿度85%RH環境下で暴露前の重量平均分子量)
×100
(6)リン系酸化防止剤濃度
実施例および比較例に記載の方法で得た前面板(X)のポリカーボネート系樹脂層から分析試料を削り出し、溶解再沈殿法によりリン系酸化防止剤成分を抽出した後、ガスクロマトグラフィー(水素炎イオン化検出器)、絶対検量線法により定量分析を行った。
実施例および比較例に記載の方法で得た前面板(X)のポリカーボネート系樹脂層から分析試料を削り出し、溶解再沈殿法によりリン系酸化防止剤成分を抽出した後、ガスクロマトグラフィー(水素炎イオン化検出器)、絶対検量線法により定量分析を行った。
(7)引張強度
引張り強度は後述する前面板(X)/粘接着層(Y)積層体から前面板(X)のみを粘接着層(Y)からカッターで剥離し、粘接着層(Y)成分をエタノールで拭き取った後、前面板(X)のみを分離し試験に供した。試験機は東洋精機テンシロンII型を用い、JIS-K7127に準拠して測定した。前面板(X)の機械強度低下が著しく進み、試験片のハンドリングが難しく試験を実施することができなかった場合は、測定不可と記した。
引張り強度は後述する前面板(X)/粘接着層(Y)積層体から前面板(X)のみを粘接着層(Y)からカッターで剥離し、粘接着層(Y)成分をエタノールで拭き取った後、前面板(X)のみを分離し試験に供した。試験機は東洋精機テンシロンII型を用い、JIS-K7127に準拠して測定した。前面板(X)の機械強度低下が著しく進み、試験片のハンドリングが難しく試験を実施することができなかった場合は、測定不可と記した。
<実施例・比較例>
実施例、比較例に用いた主な原料、材料について説明する。
実施例、比較例に用いた主な原料、材料について説明する。
(前面板(X))
前面板(X)は、以下の原料を用いて作成した。
前面板(X)は、以下の原料を用いて作成した。
(ポリカーボネート系樹脂(a1))
住化スタイロンポリカーボネート(株)製、商品名:カリバー 301−15、密度:1.20g/cm3、Tg:149℃、MFR(温度:300℃、荷重:11.8N):15.0g/10min)
住化スタイロンポリカーボネート(株)製、商品名:カリバー 301−15、密度:1.20g/cm3、Tg:149℃、MFR(温度:300℃、荷重:11.8N):15.0g/10min)
(熱可塑性樹脂(b3))
特開2008−024919号公報に準じた方法により得られた、ジヒドロキシ化合物であるイソソルビドに由来する単量体単位とトリシクロデカンジメタノールに由来する単量体単位のモル比率がイソソルビド/トリシクロデカンジメタノール=70/30モル%であるポリカーボネート共重合体(密度:1.36g/cm3、Tg:128℃、MFR(温度:230℃、荷重:37.3N):9.6g/10min)
特開2008−024919号公報に準じた方法により得られた、ジヒドロキシ化合物であるイソソルビドに由来する単量体単位とトリシクロデカンジメタノールに由来する単量体単位のモル比率がイソソルビド/トリシクロデカンジメタノール=70/30モル%であるポリカーボネート共重合体(密度:1.36g/cm3、Tg:128℃、MFR(温度:230℃、荷重:37.3N):9.6g/10min)
(硬化性樹脂組成物(c))
(c−1)(MOMENTIVE社製、商品名「UVHC7800G」)
(c−2)(MOMENTIVE社製、商品名「XR39−C6210」)
(c−1)(MOMENTIVE社製、商品名「UVHC7800G」)
(c−2)(MOMENTIVE社製、商品名「XR39−C6210」)
(粘接着層(Y))
粘接着層(Y)としては、アクリル酸エステル共重合体、架橋剤及び光重合開始剤からなる粘着剤樹脂組成物を、厚さ150μmとなるようシート状に賦形した後、両面にポリエチレンテレフタレートフィルム製剥離フィルムを貼合したものを用いた。
(粘接着層Y1)
熱水に溶出した酸性イオン量:216(ng/cm2)
引張弾性率:0.01(MPa)
Tg:−10(℃)
(粘接着層Y2)
熱水に溶出した酸性イオン量:433(ng/cm2)
引張弾性率:0.08(MPa)
Tg:8(℃)
(粘接着層Y3)
熱水に溶出した酸性イオン量:9200(ng/cm2)
引張弾性率:0.27(MPa)
Tg:−12(℃)
粘接着層(Y)としては、アクリル酸エステル共重合体、架橋剤及び光重合開始剤からなる粘着剤樹脂組成物を、厚さ150μmとなるようシート状に賦形した後、両面にポリエチレンテレフタレートフィルム製剥離フィルムを貼合したものを用いた。
(粘接着層Y1)
熱水に溶出した酸性イオン量:216(ng/cm2)
引張弾性率:0.01(MPa)
Tg:−10(℃)
(粘接着層Y2)
熱水に溶出した酸性イオン量:433(ng/cm2)
引張弾性率:0.08(MPa)
Tg:8(℃)
(粘接着層Y3)
熱水に溶出した酸性イオン量:9200(ng/cm2)
引張弾性率:0.27(MPa)
Tg:−12(℃)
<実施例1>
あらかじめポリカーボネート系樹脂(a1)100質量部に対し、リン系酸化防止剤(ADEKA社製、商品名「アデカスタブPEP−36」)を、表1に示す含量となるように、260℃で混練しポリカーボネート系樹脂層材料を得た。
熱可塑性樹脂(b3)100質量部と、ポリカーボネート系樹脂(a1)100質量部とをそれぞれ、ベント機能及びフィルター機能を有する別々の押出機に供給し、樹脂温度240〜265℃で溶融混練し、マルチマニホールドを有するTダイで(Bf層)/(A層)/(Bb層)の2種3層の積層構成となるように、240℃のTダイにて共押出成形した後、100℃に設定した第1冷却ロール、110℃に設定した第2冷却ロール及び120℃に設定した第3冷却ロールに順次通して冷却し、総厚みが0.275mm、各層厚みが(Bf層)/(A層)/(Bb層)=0.075mm/0.125mm/0.075mmである前面板(X1)を得た。このとき、湿熱暴露前の前面板(X1)の重量平均分子量は53,000であった。
あらかじめポリカーボネート系樹脂(a1)100質量部に対し、リン系酸化防止剤(ADEKA社製、商品名「アデカスタブPEP−36」)を、表1に示す含量となるように、260℃で混練しポリカーボネート系樹脂層材料を得た。
熱可塑性樹脂(b3)100質量部と、ポリカーボネート系樹脂(a1)100質量部とをそれぞれ、ベント機能及びフィルター機能を有する別々の押出機に供給し、樹脂温度240〜265℃で溶融混練し、マルチマニホールドを有するTダイで(Bf層)/(A層)/(Bb層)の2種3層の積層構成となるように、240℃のTダイにて共押出成形した後、100℃に設定した第1冷却ロール、110℃に設定した第2冷却ロール及び120℃に設定した第3冷却ロールに順次通して冷却し、総厚みが0.275mm、各層厚みが(Bf層)/(A層)/(Bb層)=0.075mm/0.125mm/0.075mmである前面板(X1)を得た。このとき、湿熱暴露前の前面板(X1)の重量平均分子量は53,000であった。
次に、硬化性樹脂組成物(c−1)60質量部及び硬化性樹脂組成物(c−2)40質量部からなる硬化性樹脂組成物(cf)を、バーコーターを用いて、前記前面板(X1)の熱可塑性樹脂層(Bf層)の面に塗布し、この状態のまま90℃で1分間乾燥した後、700mJ/cm2の露光量で紫外線を露光して硬化性樹脂組成物(c)を硬化させて、ハードコート層(Cf)を形成した。
次に、硬化性樹脂組成物(c−2)60質量部及び硬化性樹脂組成物(c−3)40質量部からなる硬化性樹脂組成物(cb)を、バーコーターを用いて、前記樹脂積層体の熱可塑性樹脂層(Bb層)の面に塗布し、この状態のまま90℃で1分間乾燥した後、700mJ/cm2の露光量で紫外線を露光して硬化性樹脂組成物(c)を硬化させて、硬化後の厚み12μのハードコート層(Cb)を形成して、前面板(X)を作製した。
次に、硬化性樹脂組成物(c−2)60質量部及び硬化性樹脂組成物(c−3)40質量部からなる硬化性樹脂組成物(cb)を、バーコーターを用いて、前記樹脂積層体の熱可塑性樹脂層(Bb層)の面に塗布し、この状態のまま90℃で1分間乾燥した後、700mJ/cm2の露光量で紫外線を露光して硬化性樹脂組成物(c)を硬化させて、硬化後の厚み12μのハードコート層(Cb)を形成して、前面板(X)を作製した。
次に、粘接着層(Y1)の一方の剥離フィルムを剥がして露出した粘着面を、前記前面板(X)のハードコート層(Cb)の表面に重ねてハンドローラにて貼着した。次いで、オートクレーブ処理(50℃、0.2MPa、20分)を施して積層体を作製した。さらに、この積層体に対し、高圧水銀ランプにて、365nmの紫外線が2000mJ/cm2到達するように紫外線照射して粘接着層(Y1)を硬化させて、前記前面板(X)/粘接着層(Y1)の積層体を作製した。その評価結果を表1に示した。
<実施例2>
粘接着層を粘接着層(Y2)に変更した以外は、実施例1と同様にして前面板(X)、及び、前面板(X)/粘接着層(Y2)の積層体を作製した。その評価結果を表1に示した。
粘接着層を粘接着層(Y2)に変更した以外は、実施例1と同様にして前面板(X)、及び、前面板(X)/粘接着層(Y2)の積層体を作製した。その評価結果を表1に示した。
<比較例1、2、3>
表1に示すように、ポリカーボネート系樹脂層のリン系酸化防止剤含量を変更した以外は、実施例1と同様にして前面板(X)、及び、前面板(X)/粘接着層(Y1)の積層体を作製した。その評価結果を表1に示した。
表1に示すように、ポリカーボネート系樹脂層のリン系酸化防止剤含量を変更した以外は、実施例1と同様にして前面板(X)、及び、前面板(X)/粘接着層(Y1)の積層体を作製した。その評価結果を表1に示した。
<比較例4>
粘接着層(Y1)を、粘接着層(Y3)に変更した以外は、実施例1と同様にして前面板(X)、及び、前面板(X)/粘接着層(Y3)の積層体を作製した。その評価結果を表1に示した。
粘接着層(Y1)を、粘接着層(Y3)に変更した以外は、実施例1と同様にして前面板(X)、及び、前面板(X)/粘接着層(Y3)の積層体を作製した。その評価結果を表1に示した。
表1に示したように、前面板(X)のポリカーボネート系樹脂層のリン系酸化防止剤濃度が多いほど、温度85℃、湿度85%RH環境下において、500時間以上の過酷な湿熱暴露試験に供した時、ポリカーボネート樹脂の加水分解が促進されることが確認された。(比較例1〜3)
また、粘接着層(Y)単位面積あたりから溶出される酸性イオン量が多いと、温度85℃、湿度85%RH環境下において、500時間以上の過酷な湿熱暴露試験に供した時、前面板(X)の加水分解が促進されることが確認された。(比較例4)
これに対し、実施例1および実施例2の積層体は、温度85℃、湿度85%RH環境下で1000時間の過酷な湿熱暴露試験に供した場合でも、分子量低下を15%以下に抑制でき、実用上問題なく使用できることが確認された。
Claims (12)
- ポリカーボネート系樹脂層(A層)を有する前面板(X)と、粘接着層(Y)とを含む積層体であって、前記積層体を温度85℃、湿度85%RH環境下で1000時間静置した後の、前記前面板(X)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により求められたポリスチレン換算の重量平均分子量の低下率が15%以下であることを特徴とする積層体。
- 前記ポリカーボネート樹脂層(A層)がリン系の酸化防止剤を含み、前記酸化防止剤の含有量が、前記ポリカーボネート樹脂層(A層)を構成するポリカーボネート系樹脂100質量部に対し、0.04質量部以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 前記粘接着層(Y)を85℃の熱水中に45分間浸漬した際に溶出する、イオンクロマトグラフ法で測定される酸性イオンの合計量が9000(ng/cm2)以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
- 前記前面板(X)が、ポリカーボネート系樹脂層(A層)の片面側又は両面側に、A層とは異なる熱可塑性樹脂層(B層)を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記B層が、アクリル系樹脂(b1)を主成分樹脂とする層であることを特徴とする請求項4に記載の積層体。
- 前記アクリル系樹脂(b1)が、メタクリル酸メチル単量体と、メタクリル酸単量体、アクリル酸単量体、マレイン酸無水物単量体、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体のうちいずれか1種以上との共重合体からなることを特徴とする請求項5に記載の積層体。
- 前記B層が、前記アクリル系樹脂(b1)と、芳香族ビニル単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位及び不飽和ジカルボン酸無水物単量体を有する共重合体(b2)とを含有する層であることを特徴とする請求項5または6に記載の積層体。
- 粘接着層(Y)の引張弾性率が0.001〜30MPaであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記前面板(X)が、片面側又は両面側の最表面層としてハードコート層(C層)を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記ハードコート層(C層)の主成分樹脂は、前記粘接着層(Y)の主成分樹脂と同一樹脂であることを特徴とする請求項10に記載の積層体。
- 請求項1〜11のいずれか1項記載された積層体を備えた画像表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016165625A JP2018030338A (ja) | 2016-08-26 | 2016-08-26 | 積層体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016165625A JP2018030338A (ja) | 2016-08-26 | 2016-08-26 | 積層体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018030338A true JP2018030338A (ja) | 2018-03-01 |
Family
ID=61304278
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016165625A Pending JP2018030338A (ja) | 2016-08-26 | 2016-08-26 | 積層体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018030338A (ja) |
-
2016
- 2016-08-26 JP JP2016165625A patent/JP2018030338A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6508330B2 (ja) | 積層体 | |
EP2572879B1 (en) | Synthetic resin laminate | |
EP3075533B1 (en) | Transparent resin laminate | |
JP6693041B2 (ja) | 積層体 | |
JP6680036B2 (ja) | 積層体 | |
US9802395B2 (en) | Synthetic resin laminate | |
TWI661934B (zh) | Synthetic resin laminate | |
WO2024057985A1 (ja) | 防眩性積層体及びその製造方法 | |
CN114174041B (zh) | 成型用树脂片和使用其的成型品 | |
JP2018030338A (ja) | 積層体 | |
JP6908083B2 (ja) | 積層体 | |
JP6565573B2 (ja) | 積層体とその製造方法 | |
TW201730312A (zh) | 黏著劑及用此之物品 | |
JP2016107468A (ja) | 積層体 | |
JP7318408B2 (ja) | 貼り合わせ用粘着シート、多層体および多層体の製造方法 | |
JP7318409B2 (ja) | 貼り合わせ用粘着シート、多層体および多層体の製造方法 | |
JP2014004747A (ja) | 熱可塑性樹脂積層体 | |
WO2021033483A1 (ja) | 防眩性積層体 | |
JP2020011517A (ja) | 積層体 | |
JP2017035855A (ja) | 粘着剤層付積層体の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20170428 |