JP2018099820A - 液体噴射ヘッド、液体噴射装置及び圧電デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】圧電アクチュエーターの長さに対する変位効率を向上して小型化を図ることができる液体噴射ヘッド、液体噴射装置及び圧電デバイスを提供する。【解決手段】圧電体層70は、積層方向において第1電極60と第2電極80とで挟まれた領域310を有し、積層方向からの平面視において、領域は圧力発生室の圧電アクチュエーター300側の開口12aの各辺のそれぞれで少なくとも一部の縁に重なり、開口の少なくとも一部において第1電極と第2電極との少なくとも一方と圧電体層とを有さない除去部320を有し、圧力発生室の圧電アクチュエーター側の開口は、積層方向からの平面視において平行四辺形を有し、積層方向からの平面視において圧力発生室の開口の各頂点から、除去部までの最短の距離は、頂点のうち鈍角となる鈍角部14bからの距離d2の方が、当該頂点のうち鋭角となる鋭角部14aからの距離d1よりも大きい。【選択図】図4
Description
本発明は、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッド、液体噴射装置及び圧電デバイスに関し、特に液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド、インクジェット式記録装置及び圧電デバイスに関する。
液滴を吐出する液体噴射ヘッドの代表例としては、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドが挙げられる。このインクジェット式記録ヘッドとしては、例えばノズル開口に連通する圧力発生室が形成された流路形成基板と、この流路形成基板の一方面側に設けられた圧電アクチュエーターと、を具備し、圧電アクチュエーターによって圧力発生室内のインクに圧力変化を生じさせることで、ノズル開口からインク滴を噴射するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、圧電アクチュエーターは高い変位量を得るためには、圧電アクチュエーターを長く、すなわち、高いアスペクト比で形成する必要があり、圧電アクチュエーターを配置するスペースが必要となり大型化してしまうという問題がある。特に、平面視した際にアスペクト比の高い圧電アクチュエーターでは、長手方向の端部を駆動することができないため、圧電アクチュエーターの変位量を向上するためには、圧電アクチュエーターを長手方向にさらに長くする必要があるため大型化してしまう。
なお、このような問題はインクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドだけではなく、他の圧電デバイスにおいても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、圧電アクチュエーターの長さに対する変位効率を向上して小型化を図ることができる液体噴射ヘッド、液体噴射装置及び圧電デバイスを提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、液体を噴射するノズルに連通する圧力発生室が隔壁によって形成された流路形成基板と、第1電極と、圧電体層と、第2電極とが積層された圧電アクチュエーターと、を具備し、前記圧電体層は、積層方向において前記第1電極と前記第2電極とで挟まれた領域を有し、前記積層方向からの平面視において、前記領域は前記圧力発生室の前記圧電アクチュエーター側の開口の各辺のそれぞれで少なくとも一部の縁に重なり、前記開口の少なくとも一部において前記第1電極と前記第2電極との少なくとも一方と前記圧電体層とを有さない除去部を有し、前記圧力発生室の前記圧電アクチュエーター側の開口は、前記積層方向からの平面視において平行四辺形を有し、前記積層方向からの平面視において前記圧力発生室の前記開口の各頂点から、前記除去部までの最短の距離は、当該頂点のうち鈍角となる鈍角部からの距離の方が、当該頂点のうち鋭角となる鋭角部からの距離よりも大きいことを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、第1電極と第2電極とで挟まれた領域を圧力発生室の圧電アクチュエーター側の開口の各辺のそれぞれで少なくとも一部の縁に重なるように設けることで、圧力発生室の長さに対する圧電アクチュエーターの変位効率を向上することができる。したがって、圧力発生室の長さを短くして圧電アクチュエーターの長さを短くしても、変位特性の低下を抑制することができ、流路形成基板を小型化することができると共に圧力発生室を多く配置して、多ノズル化を実現できる。
また、第1電極と第2電極とで挟まれた領域を圧力発生室の隔壁上と、圧力発生室に対向する領域上(圧力発生室の開口内)とに跨がって形成されているため、圧力発生室と隔壁との界面の剛性を高くすることができ、圧力発生室の開口の幅のばらつきに対する圧電アクチュエーターの変位量のばらつきが生じ難い。
さらに、圧力発生室の鈍角部から除去部までの最短の距離を、鋭角部から除去部までの最短の距離よりも大きくすることで、圧電アクチュエーターが変形した際の局所的な応力集中を抑制することができ、破壊を抑制することができる。
ここで、前記圧電体層の前記第1電極と前記第2電極とで挟まれた前記領域は、各辺の任意の点からの前記圧力発生室の前記開口の中心までの幅が、前記鋭角部から前記鈍角部に向かって徐々に大きくなっていることが好ましい。これによれば、開口の対向する鈍角部を結ぶ線上における第1電極と第2電極とで挟まれた領域の幅を広くすることができ、圧電アクチュエーターの変位量を向上することができる。
また、前記積層方向からの平面視において、前記圧力発生室の前記開口の辺から前記除去部までの最短の距離は、前記鋭角部から前記鈍角部に向かって徐々に大きくなっていることが好ましい。これによれば、圧電アクチュエーターに局所的な応力集中が発生し難く、破壊を抑制することができる。
また、前記除去部は、前記積層方向から平面視した際に、略菱形であることが好ましい。これによれば、圧電アクチュエーターに局所的な応力集中が発生し難く、破壊を抑制することができる。
また、前記積層方向から平面視した際に、前記圧力発生室の前記開口の辺から前記除去部までの最短の距離は、前記頂点から離れるに従って徐々に大きくなっていることが好ましい。これによれば、圧電アクチュエーターに局所的な応力集中が発生し難く、破壊を抑制することができる。
また、前記積層方向から平面視した際に、前記頂点のうち前記鋭角部は、前記除去部に重なる位置に配置されていることが好ましい。これによれば、圧電アクチュエーターに局所的な応力集中が発生し難く、破壊を抑制することができる。
また、前記圧力発生室の前記開口の対向する前記鈍角部を結ぶ線上において、前記除去部の長さは、前記鈍角部間の長さの0.1倍以上、0.5倍以下であることが好ましい。これによれば、圧電アクチュエーターに十分な変位を行わせることができると共に、圧電アクチュエーターの変位による圧力発生室の排除体積を十分に確保することができる。
さらに、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、小型化した液体噴射装置を実現できる。
かかる態様では、小型化した液体噴射装置を実現できる。
また、本発明の他の態様は、凹部が隔壁によって形成された基板と、第1電極と、圧電体層と、第2電極とが積層された圧電アクチュエーターと、を具備し、前記圧電体層は、積層方向において前記第1電極と前記第2電極とで挟まれた領域を有し、前記積層方向からの平面視において、前記領域は前記凹部の前記圧電アクチュエーター側の開口の各辺のそれぞれで少なくとも一部の縁に重なり、前記開口の少なくとも一部において前記第1電極と前記第2電極との少なくとも一方と前記圧電体層とを有さない除去部を有し、前記凹部の前記圧電アクチュエーター側の開口は、前記積層方向からの平面視において平行四辺形を有し、前記積層方向からの平面視において前記凹部の前記開口の各頂点から、前記除去部までの最短の距離は、当該頂点のうち鈍角となる鈍角部からの距離の方が、当該頂点のうち鋭角となる鋭角部からの距離よりも大きいことを特徴とする圧電デバイスにある。
かかる態様では、第1電極と第2電極とで挟まれた領域を凹部の圧電アクチュエーター側の開口の各辺のそれぞれで少なくとも一部の縁に重なるように設けることで、凹部の長さに対する圧電アクチュエーターの変位効率を向上することができる。したがって、凹部の長さを短くして圧電アクチュエーターの長さを短くしても、変位特性の低下を抑制することができ、流路形成基板を小型化することができると共に凹部を多く配置することができる。
また、第1電極と第2電極とで挟まれた領域を凹部の隔壁上と、凹部に対向する領域上(凹部の開口内)とに跨がって形成されているため、凹部と隔壁との界面の剛性を高くすることができ、凹部の開口の幅のばらつきに対する圧電アクチュエーターの変位量のばらつきが生じ難い。
さらに、凹部の鈍角部から除去部までの最短の距離を、鋭角部から除去部までの最短の距離よりも大きくすることで、圧電アクチュエーターが変形した際の局所的な応力集中を抑制することができ、破壊を抑制することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の概略構成を示す図である。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の概略構成を示す図である。
図示するように、インクジェット式記録装置Iは、液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド1(以下、記録ヘッド1とも言う)を具備する。記録ヘッド1は、キャリッジ3に搭載され、キャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に当該キャリッジ軸5の軸方向に移動可能に設けられている。また、キャリッジ3には、液体供給手段を構成するインクカートリッジ2が着脱可能に設けられている。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、インクが着弾される紙などの媒体である記録シートSが搬送ローラー8により搬送されるようになっている。なお、記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラーに限られずベルトやドラム等であってもよい。本実施形態では、記録シートSの搬送方向を第1の方向Xと称する。また、キャリッジ3のキャリッジ軸5に沿った移動方向を第2の方向Yと称する。さらに、第1の方向X及び第2の方向Yの双方に交差する方向を本実施形態では、第3の方向Zと称する。なお、本実施形態では、各方向(X、Y、Z)の関係を直交とするが、各構成の配置関係が必ずしも直交するものに限定されるものではない。
このようなインクジェット式記録装置Iでは、記録ヘッド1に対して記録シートSを第1の方向Xに搬送し、キャリッジ3を記録シートSに対して第2の方向Yに移動させながら、記録ヘッド1のノズルからインク滴を吐出させることで、記録シートSの略全面に亘ってインクを着弾させる、いわゆる印刷が実行される。
ここで、このようなインクジェット式記録装置Iに搭載される記録ヘッド1の一例について図2〜図7を参照して説明する。なお、図2は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図3は、インクジェット式記録ヘッドの流路形成基板の平面図であり、図4は、図3の要部を拡大した図であり、図5は、図3のA−A′線断面図であり、図6は、図5の要部を拡大した図であり、図7は、図3のB−B′線断面図である。また、本実施形態では、記録ヘッド1の各方向について、インクジェット式記録装置Iに搭載された際の方向、すなわち、第1の方向X、第2の方向Y及び第3の方向Zに基づいて説明する。もちろん、記録ヘッド1のインクジェット式記録装置I内の配置は以下に示すものに限定されるものではない。
図示するように、本実施形態の液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド1(以下、単に記録ヘッド1ともいう)を構成する流路形成基板10には、隔壁11によって形成された複数の圧力発生室12が形成されている。そして、複数の圧力発生室12は、同じ色のインクを吐出する複数のノズル21が並設される第1の方向Xに沿って並設されている。また、流路形成基板10には、圧力発生室12が第1の方向Xに並設された列が第2の方向Yに複数列、本実施形態では、4列設けられている。また、本実施形態では、第2の方向Yに並設された圧力発生室12の列は、第1の方向Xで同じ位置に配置されている。
また、本実施形態の流路形成基板10は、結晶面方位が(100)面のシリコン単結晶基板からなる。そして、圧力発生室12は、流路形成基板10を一方面側から異方性エッチングすることにより形成されている。本実施形態では、表面の結晶面方位が(100)面のシリコン単結晶基板からなる流路形成基板10を異方性エッチングすることによって、図5に示すように、圧力発生室12の第2の方向Yの側面は、圧電アクチュエーター300側ほど幅狭となるように、第3の方向Zに対して傾斜した傾斜面13となっている。ちなみに、図4及び図6に示すように、圧力発生室12の第2の方向Yの側面は、第3の方向Zに沿った面となっている。このように圧力発生室12の第2の方向Yの側面を第3の方向Zに沿った面とすることで、圧力発生室12を第1の方向Xに高密度に配置することができる。
また、図4に示すように、圧力発生室12の圧電アクチュエーター300側の開口12aは、第3の方向Zから平面視した際に、平行四辺形となっており、圧力発生室12の圧電アクチュエーター300とは反対側、本実施形態ではノズル21側の開口12bは、第3の方向Zから平面視した際に、平行四辺形となっている。本実施形態では、圧力発生室12の圧電アクチュエーター300側の開口12aの各頂点のうち、鋭角となる頂点を鋭角部14aと称し、鈍角となる頂点を鈍角部14bと称する。ただし、圧力発生室12の開口12aと開口12bとでは、鋭角となる頂点と鈍角となる頂点とが逆の配置となっている。また、本実施形態では、圧力発生室12は、第2の方向Yの長さが、第1の方向Xの幅よりも長く形成されている。つまり、圧力発生室12は、第1の方向Xが短手方向となり、第2の方向Yが長手方向となるように形成されている。ちなみに、第2の方向Yの長さとは、圧電アクチュエーター300側の開口12bの長さである。もちろん、これに限定されず、圧力発生室12は、第1の方向Xが長手方向となり、第2の方向Yが短手方向となっていてもよい。圧力発生室12は、第1の方向Xと第2の方向Yとが同じ長さで設けられていてもよい。
このように、圧力発生室12をノズル21に向かって拡幅させることで、圧力発生室12の開口12aを小さくして、後述する活性部310を形成するスペースを確保しつつ小型化及び高密度化を図ることができると共に、開口12bを大きくして、圧力発生室12に必要な容積を確保することができる。
このような流路形成基板10の第3の方向Zの一方面側には、図5に示すように、連通板15と、ノズルプレート20とが順次積層されている。
連通板15には、第1の方向Xに並設された圧力発生室12の列の2列毎に連通するマニホールド16が設けられている。すなわち、本実施形態では、流路形成基板10には4列の圧力発生室12が設けられているため、圧力発生室12の2列毎に連通するマニホールド16が合計2つ設けられている。
マニホールド16は、連通板15を第3の方向Zに貫通することなく、連通板15のノズルプレート20側に開口する凹形状を有する。また、マニホールド16は、図3及び図5に示すように、第3の方向Zから平面視した際に、第2の方向Yにおいて連通する2列の圧力発生室12に跨がって重なる位置に形成されている。ちなみに、マニホールド16の第2の方向Yの長さは、2列の圧力発生室12の第2の方向Yの長さよりも短い。これは、詳しくは後述するが、マニホールド16の第2の方向Yの外側には、圧力発生室12とノズル21とを連通するノズル連通路19が設けられているからである。さらに、マニホールド16は、第3の方向Zから平面視した際に、連通する2列の圧力発生室12に対して第1の方向Xに亘って連続して設けられている。また、マニホールド16は、第1の方向Xにおいて、圧力発生室12の列の両端部の外側まで延設されており、延設された両端部において、連通板15に設けられた導入孔17を介してインクが導入される。
また、連通板15には、図5に示すように、マニホールド16と圧力発生室12の第2の方向の一端部に連通する供給路18が、圧力発生室12の各々に対して独立して設けられている。この供給路18は、マニホールド16の圧力発生室12側の底面と、圧力発生室12のマニホールド16側の底面とを連通するように第3の方向Zに貫通して設けられている。また、本実施形態では、図4に示すように、供給路18は、1つの共通するマニホールド16に連通する2列の圧力発生室12において、一方の圧力発生室12の他方の圧力発生室12側の鋭角となる角部と、他方の圧力発生室12の一方の圧力発生室12の鋭角となる角部とに開口して設けられている。すなわち、供給路18は、2列の圧力発生室12の列の第2の方向Yにおける内側の鋭角となる角部に配置されている。
また、連通板15には、圧力発生室12とノズル21とを連通するノズル連通路19が設けられている。ノズル連通路19は、圧力発生室12の各々に対して独立して設けられている。このノズル連通路19は、連通板15を第3の方向Zに貫通して設けられている。また、本実施形態では、ノズル連通路19は、1つの共通するマニホールド16に連通する2列の圧力発生室12において、一方の圧力発生室12の他方の圧力発生室12とは反対側の鋭角となる角部と、他方の圧力発生室12の一方の圧力発生室12とは反対側の鋭角となる角部とに設けられている。すなわち、ノズル連通路19は、2列の圧力発生室12の列の第2の方向Yにおける外側の鋭角となる角部に配置されている。つまり、圧力発生室12の連通板15側の平行四辺形となる開口12bにおいて、2つの鋭角となる角部のうち、一方の角部に供給路18が開口して設けられ、他方の角部にノズル連通路19が開口して設けられている。そして、2列の圧力発生室12において、第2の方向Yの内側の鋭角となる角部のそれぞれに供給路18が開口し、外側の鋭角となる角部のそれぞれにノズル連通路19が開口して設けられている。このため、1つの共通するマニホールド16に連通する2列の圧力発生室12において、各列の圧力発生室12のそれぞれに連通するノズル連通路19は、第1の方向Xで異なる位置となるように配置されている。
このように、供給路18とノズル連通路19とを、圧力発生室12の平行四辺形となる開口12bの鋭角となる角部のそれぞれに設けることで、圧力発生室12内の鋭角となる角部においてインクが滞留するのを抑制して、鋭角となる角部にインクに含まれる気泡が留まることによるインク滴の吐出不良が発生するのを抑制することができる。すなわち、供給路18とノズル連通路19とを、圧力発生室12の平行四辺形となる開口12bの鋭角となる角部のそれぞれに設けることで、気泡排出性を向上することができる。ちなみに、供給路18及びノズル連通路19を圧力発生室12の平行四辺形となる開口12bの鋭角となる角部以外、例えば、鈍角となる角部等に連通するように設けた場合、鋭角となる角部でインクが滞留し、インクに含まれる気泡が、鋭角部分に溜まって成長し、圧電アクチュエーター300の駆動による圧力変動が気泡に吸収されてインク滴の吐出不良が発生する虞がある。
ノズルプレート20には、各圧力発生室12とノズル連通路19を介して連通するノズル21が形成されている。ノズル21は、同じ種類のインク(液体)を噴射するものが第1の方向Xに並設されてノズル列を構成している。この第1の方向Xに並設されたノズル21で構成されたノズル列が、第2の方向Yに4列形成されている。また、上述したように、1つの共通するマニホールド16に連通する2列の圧力発生室12において、一方の列の圧力発生室12に連通するノズル連通路19と、他方の列の圧力発生室12に連通するノズル連通路19とは、第1の方向Xで異なる位置に配置されているため、これらのノズル連通路19に連通するノズル21においても、第1の方向Xで異なる位置となるように配置されている。つまり、ノズルプレート20には、1つの共通するマニホールド16に連通するノズル21が第1の方向Xに並設された列が、第2の方向Yに2列並設され、第2の方向Yで異なる位置に設けられたノズル21の列は、互いに第1の方向Xにずらして配置されている。これにより、ノズル21は第1の方向Xに沿って所謂、千鳥状に配置されている。このように、2列の圧力発生室12の開口12bを平行四辺形にして、第1の方向Xの位置が異なる鋭角となる角部にノズル連通路19を連通させることで、2列の圧力発生室12の列を第1の方向Xにずらして配置することなく、ノズル21を第1の方向Xに高密度に配置することができる。したがって、流路形成基板10の小型化すると共にノズル21の高密度化を図ることができる。また、圧力発生室12を第3の方向Zにおいてノズル21に向かって拡幅するように形成し、ノズル連通路19を、2列の圧力発生室12の外側の鋭角となる角部のそれぞれに開口させることで、2列の圧力発生室12に連通するノズル連通路19の第2の方向Yの距離を離すことができる。したがって、この2つのノズル連通路19の間にマニホールド16を第2の方向Yに大きく配置することができる。
このようなノズルプレート20によって、マニホールド16の圧力発生室12とは反対側の開口は封止されている。また、ノズルプレート20には、マニホールド16の開口を封止する領域に、マニホールド16側に開口する凹部22が設けられている。このようにノズルプレート20に凹部22を設けることで、ノズルプレート20のマニホールド16を封止する領域は、他の領域よりも厚さの薄い可撓部であるコンプライアンス部23となっている。このようにマニホールド16を形成する壁にコンプライアンス部23を設けることによって、マニホールド16内の圧力変動をコンプライアンス部23の変形によって吸収することができる。
一方、流路形成基板10の連通板15とは反対面側には、振動板50が形成されている。本実施形態では、振動板50として、流路形成基板10側に設けられた酸化シリコンからなる弾性膜51と、弾性膜51上に設けられた酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜52と、を設けるようにした。なお、圧力発生室12等の液体流路は、流路形成基板10をノズルプレート20が接合された面側から異方性エッチングすることにより形成されており、圧力発生室12の他方面は、弾性膜51によって画成されている。もちろん、振動板50は、特にこれに限定されるものではなく、弾性膜51と絶縁体膜52との何れか一方を設けるようにしてもよく、その他の膜が設けられていてもよい。
流路形成基板10の振動板50上には、本実施形態の圧力発生室12内のインクに圧力変化を生じさせる駆動素子として圧電アクチュエーター300が設けられている。
圧電アクチュエーター300は、振動板50側から第3の方向Zに順次積層された第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を有する。つまり、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80の積層方向は、第3の方向Zである。
このような第1電極60、圧電体層70及び第2電極80で構成される圧電アクチュエーター300は、第1電極60と第2電極80との間に電圧を印加することで変位が生じる。すなわち両電極の間に電圧を印加することで、第1電極60と第2電極80とで挟まれている圧電体層70に圧電歪みが生じる。そして、両電極に電圧を印加した際に、圧電体層70に圧電歪みが生じる部分、すなわち、積層方向である第3の方向Zにおいて第1電極60と第2電極80とで挟まれた領域を活性部310と称する。これに対して、圧電体層70に圧電歪みが生じない部分、すなわち、積層方向である第3の方向Zにおいて第1電極60と第2電極80とで挟まれていない領域を非活性部と称する。また、本実施形態では、圧電アクチュエーター300において、第3の方向Zで第1電極60及び第2電極80の何れか一方が重ならない部分を非駆動部と称する。すなわち、非駆動部とは、第1電極60又は第2電極80の何れか一方が形成されていない部分や、第1電極60及び第2電極80の両方が形成されておらず、圧電体層70のみが形成されている部分のことをいう。つまり、非駆動部には、圧電体層70の非活性部や、圧電体層70が形成されておらず、第1電極60及び第2電極80の何れか一方のみが形成された部分も非駆動部に含まれる。
本実施形態では、詳しくは後述するが、第1電極60及び第2電極80で挟まれた圧電体層70の領域である活性部310は、圧力発生室12毎に独立して形成されている。つまり、流路形成基板10上(振動板50上)には、複数の活性部310が形成されていることになる。そして、一般的には、活性部310の何れか一方の電極を複数の活性部310に共通する共通電極とし、他方の電極を活性部310毎に独立する個別電極として構成する。本実施形態では、第1電極60を個別電極とし、第2電極80を共通電極としているが、これを逆にしてもよい。すなわち、本実施形態では、第1電極60を複数の活性部310毎に独立して設けることで個別電極とし、第2電極80を複数の活性部310に亘って連続して設けることで共通電極としたが、第1電極60を複数の活性部310に亘って連続して設けることで共通電極とし、第2電極80を活性部310毎に独立して設けることで個別電極としてもよい。なお、上述した例では、振動板50及び第1電極60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、振動板50を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電アクチュエーター300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
ここで、本実施形態の圧電アクチュエーター300についてさらに詳しく説明する。圧電アクチュエーター300を構成する第1電極60は、圧力発生室12毎に切り分けられており、圧電アクチュエーター300の実質的な駆動部である活性部310毎に独立する個別電極を構成する。
具体的には、図4、図6及び図7に示すように、活性部を規定する第1電極60は、第3の方向Zの平面視において、圧力発生室12の圧電アクチュエーター300側の開口、すなわち、平行四辺形の開口の各辺のそれぞれで少なくとも一部が重なって設けられている。すなわち、第1電極60は、圧力発生室12の圧電アクチュエーター300側の平行四辺形を有する開口の各辺において、流路形成基板10の圧力発生室12を形成する隔壁11上と、圧力発生室12に対向する領域上(圧力発生室12の開口内)とに跨がって形成されている。本実施形態では、第1電極60は、第3の方向Zから平面視した際に、圧力発生室12の圧電アクチュエーター300側の開口の縁の全てに重なって設けられている。
また、本実施形態の第1電極60は、圧力発生室12の圧電アクチュエーター300側の開口の少なくとも一部に設けられていない。本実施形態では、圧力発生室12の圧電アクチュエーター300側の開口の中央部に第1電極60が設けられていない非駆動部311が形成されている。
圧電体層70は、第1電極60上に形成される分極構造を有する酸化物の圧電材料からなり、例えば、一般式ABO3で示されるペロブスカイト形酸化物からなることができる。圧電体層70に用いられるペロブスカイト形酸化物としては、例えば、鉛を含む鉛系圧電材料や鉛を含まない非鉛系圧電材料などを用いることができる。
圧電体層70は、本実施形態では、図6及び図7に示すように、圧力発生室12毎、すなわち、活性部310毎に独立して設けられている。また、圧電体層70は、第1電極60を引き出す部分を除いて端部を覆う大きさを有する。また、本実施形態では、圧電体層70の圧力発生室12の圧電アクチュエーター300側の開口の中央部の第1電極60が形成されていない部分(非駆動部311)には凹部71が形成されている。なお、圧電体層70の厚さは特に限定されないが、例えば、5μm以下、好ましくは、0.3μm以上、3.0μm以下である。
なお、本実施形態では、圧電体層70は、活性部310毎に切り分けられて独立して設けるようにしたが、特にこれに限定されず、複数の活性部310に亘って連続して設けられていてもよい。
第2電極80は、圧電体層70の第1電極60とは反対面側に設けられており、複数の活性部310に共通する共通電極を構成する。本実施形態では、第2電極80は、圧電体層70上及び振動板50上に複数の活性部310に亘って連続して設けられている。また、第2電極80は、圧電体層70の凹部71の内側、すなわち、凹部71の側面と凹部71内の振動板50上とに亘って連続して設けられている。このような第2電極80は、上述のように、圧電体層70上及び振動板50上に形成されることで、第1電極60の端部よりも外側に形成されていることになる。したがって、本実施形態の活性部310は、第1電極60によって規定される。ただし、図4に示すように、活性部310から第1電極60を引き出す部分には第2電極80が形成されておらず、この部分においては、活性部310は第2電極80によって規定される。
このような第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を有する圧電アクチュエーター300では、第1電極60が設けられた部分が活性部310となっている。本実施形態では、活性部310は、第3の方向Zの平面視において、圧力発生室12の圧電アクチュエーター300側の平行四辺形の開口の縁の全てに重なって設けられている。すなわち、活性部310は、圧力発生室12の圧電アクチュエーター300側の平行四辺形を有する開口の各辺において、流路形成基板10の圧力発生室12を形成する隔壁11上と、圧力発生室12に対向する領域上(圧力発生室12の開口内)とに跨がって形成されている。また、圧電アクチュエーター300の積層方向である第3の方向Zからの平面視において、圧力発生室12の圧電アクチュエーター300側の開口12aの少なくとも一部に重なる位置には、第1電極60及び第2電極80の少なくとも一方と、圧電体層70とが設けられていない除去部320が設けられている。本実施形態では、圧電体層70の凹部71が形成された部分が、第1電極60及び圧電体層70が形成されておらず、第2電極80のみが形成された除去部320となっている。すなわち、除去部320は、第3の方向Zからの平面視において、圧力発生室12の開口12aの中央部に設けられている。なお、圧電体層70の凹部71側においては、当該圧電体層70は、第1電極60の端部を覆う大きさで形成されている。ちなみに、圧電体層70が、凹部71側で第1電極60の端部を覆う幅は、ほぼ同じ幅で形成されている。このため、本実施形態では、第1電極60の凹部71側の開口形状と、除去部320を規定する凹部71の開口形状とは、略同じ形状となっている。そして、圧電アクチュエーター300において、第1電極60が形成されておらず圧電体層70及び第2電極80の何れか一方又は両方が設けられていない部分が実質的に駆動しない非駆動部311、312となっている。すなわち、非駆動部311は、活性部310の内側に設けられており、除去部320を含む領域のことをいう。また、非駆動部312は、圧力発生室12の活性部310の外側に設けられている。
また、図4に示すように、圧電体層70の凹部71によって規定される除去部320は、第3の方向Zから平面視した際に、圧力発生室12の圧電アクチュエーター300側の開口12aの各頂点から除去部320までの最短の距離は、開口12aの頂点のうち鈍角となる鈍角部14bからの距離d2の方が、開口12aの頂点のうち鋭角となる鋭角部14aからの距離d1よりも大きい。また、本実施形態では、圧力発生室12の開口12aから除去部320までの距離は、鋭角部14aから鈍角部14bに向かって徐々に大きくなるように漸大して設けられている。これにより、第3の方向Zから平面視した際の除去部320の形状は、略菱形となっている。すなわち、除去部320は、圧力発生室12の開口12aと同様の平行四辺形状を有するものの、除去部320の開口の各頂点のうち、鋭角部321aの角度は、開口12aの鋭角部14aの角度よりも小さい。同様に、除去部320の各頂点のうち鈍角部321bの角度は、開口12aの鈍角部14bの角度よりも大きい。
このように、本実施形態では、除去部320の開口が略菱形であるため、上述した開口12aの鋭角部14aから除去部320までの最短の距離d1とは、開口12aの鋭角部14aと除去部320の各頂点の鋭角部321aとの間の距離d1のことである。同様に、開口12aの鈍角部14bから除去部320までの最短の距離d2とは、開口12aの鈍角部14bと除去部320の鈍角部321bとの間の距離d2のことである。
このように、除去部320が、圧力発生室12の開口12aの中央部に形成され、開口12aの鈍角部14bからの最短の距離d2を開口12aの鋭角部14aからの最短の距離d1よりも大きくすることで、振動板50及び圧電アクチュエーター300が変形した際の振動板50及び圧電アクチュエーター300への局所的なひずみの集中を回避することができ、応力集中による振動板50のクラック及び圧電体層70の絶縁破壊を抑制することができる。すなわち、圧電アクチュエーター300は、圧力発生室12の開口12aの一対の鋭角部14aを結ぶ線を中心として折れ曲がるように変形する。このため、開口12aの鋭角部14aと除去部320の鋭角部321aとの距離d1が短いと、鋭角部14aと鋭角部321aとの間の圧電体層70に皺が寄るように応力が集中する。したがって、開口12aの鋭角部14aと除去部320の鋭角部321aとの距離d1を相対的に短くすることで、鋭角部14aと鋭角部321aとの間の圧電体層70が変形し易くして、この部分にかかる応力を開放することができ、応力集中を抑制して破壊を抑制することができる。
また、上述のように、活性部310を規定する第1電極60は、第3の方向Zから平面視した際に、除去部320の開口に沿って形成されている。すなわち、活性部310は、第3の方向Zから平面視した際に、圧力発生室12の圧電アクチュエーター300側の開口12aの辺の法線方向における幅が、鋭角部14aから鈍角部14bに向かって徐々に大きくなる形状を有する。言い換えると、活性部310は、開口12aの各辺の任意の点から圧力発生室12の開口12aの中心までの幅が、鋭角部14aから鈍角部14bに向かって徐々に広がっている。
このように、開口12aの鈍角部14bから除去部320までの最短の距離d2を開口12aの鋭角部14aから除去部320までの最短の距離d1よりも大きくして、開口12aの鈍角部14bと除去部320の鈍角部321bとを結ぶ線上における活性部310の長さを、鋭角部14aと除去部320の鋭角部321aとを結ぶ線上における活性部310の長さよりも大きくすることで、圧電アクチュエーター300による変位量を大きくすることができる。特に、圧電アクチュエーター300は、上述のように圧力発生室12の開口12aの一対の鋭角部14aを結ぶ線を中心として折れ曲がるように変形するため、圧電アクチュエーター300の変位は、鈍角部14bと鈍角部321bとを結ぶ線上における活性部310の長さが影響する。したがって、開口12aの鈍角部14bと除去部320の鈍角部321bとを結ぶ線上における活性部310の長さを大きくすることで圧電アクチュエーター300の変位量を大きくすることができる。
また、図3に示すように、各活性部310の個別電極である第1電極60からは、引き出し配線である個別配線91が引き出されている。本実施形態では、個別配線91は、流路形成基板10の第2の方向Yの中央部に向かって引き出されている。
また、第2電極80は、個別配線91以外の部分に連続して設けられており、活性部310の第1の方向Xの両側において、第2電極80から流路形成基板10の第2の方向Yの中央部に向かって共通配線92が引き出されている。そして、これら個別配線91及び共通配線92には、フレキシブルケーブル120が接続されている。フレキシブルケーブル120は、可撓性を有する配線基板であって、本実施形態では、半導体素子である駆動回路121が実装されている。
このような流路形成基板10の圧電アクチュエーター300側の面には、図5に示すように、保護基板30が接合されている。保護基板30は、圧電アクチュエーター300を保護するための空間である保持部31を有する。保持部31は、第1の方向Xに並設された2列の活性部310毎に第2の方向Yに2つ並んで形成されている。すなわち、1つの保持部31内に、2列の活性部310が配置される。また、保護基板30には、第2の方向Yで並設された2つの保持部31の間に第3の方向Zに貫通する貫通孔32が設けられている。そして、圧電アクチュエーター300の第1電極60から引き出された個別配線91と第2電極80から引き出された共通配線92の端部は、この貫通孔32内に露出するように延設されており、貫通孔32内でフレキシブルケーブル120と電気的に接続されている。
このような記録ヘッド1では、インクを噴射する際に、インクを導入孔17から取り込み、マニホールド16からノズル21に至るまで流路内部をインクで満たす。その後、駆動回路121からの信号に従い、圧力発生室12に対応する各圧電アクチュエーター300に電圧を印加することにより、圧電アクチュエーター300と共に振動板50を撓み変形させる。これにより、圧力発生室12内の圧力が高まり所定のノズル21からインク滴が噴射される。
以上説明したように、第3の方向Zから平面視において、活性部310は、圧力発生室12の圧電アクチュエーター300側の開口12aの各辺のそれぞれで少なくとも一部の縁に重なり、開口12aの少なくとも一部に非駆動部311を有することで、圧力発生室12の長手方向である第2の方向Yの長さに対する圧電アクチュエーター300の変位効率を向上することができる。ちなみに、平面視した際に、圧電アクチュエーター300の活性部310を開口12aの縁部に重ならないように、すなわち、圧力発生室12の中央部に重なる位置に設けた場合、圧電アクチュエーター300の変位量を向上するためには、圧力発生室12を第2の方向Yに長くして、圧電アクチュエーター300を第2の方向Yに長く形成する必要があり、第2の方向Yの長さに対する圧電アクチュエーター300の変位効率が悪い。本実施形態では、活性部310を開口12aの各辺のそれぞれで少なくとも一部の縁に重なるように設けることで、圧力発生室12の第2の方向Yの長さを短くしても、変位特性の低下を抑制することができる。したがって、流路形成基板10を小型化して、記録ヘッド1の小型化を図ることができる。また、圧力発生室12の第2の方向Yの長さを短くすることができるため、第1の方向Xに並設された圧力発生室12の列を第2の方向Yに複数列配置することができ、小型化及び多ノズル化を図ることができる。また、活性部310が、圧力発生室12の隔壁11上と、圧力発生室12に対向する領域上(圧力発生室12の開口内)とに跨がって形成されているため、振動板50と隔壁11との界面は、活性部310となり、剛性が高くなる。したがって、流路形成基板10に連通板15やノズルプレート20を接合した際の接着剤が圧力発生室12内に流れ出して、圧力発生室12の開口12aの幅にばらつきが生じても、圧電アクチュエーター300の変位量のばらつきが生じ難い。
また、本実施形態では、圧力発生室12の圧電アクチュエーター300側の開口12aは、第3の方向Zからの平面視において平行四辺形を有する。特に、表面の結晶面方位が(100)面の単結晶シリコン基板を異方性エッチングして圧力発生室12を形成することで、圧力発生室12を高精度に且つ高密度に形成することができる。
そして、第3の方向Zからの平面視において、圧力発生室12の圧電アクチュエーター300側の開口12aの少なくとも一部において第1電極60と第2電極80との少なくとも一方と圧電体層70とを有さない除去部320を有し、第3の方向Zからの平面視において開口12aの各頂点から、除去部320までの最短の距離は、頂点のうち鈍角となる鈍角部14bからの距離d2の方が、頂点のうち鋭角となる鋭角部14aからの距離d1よりも大きい。このように除去部320を設けることで、振動板50及び圧電アクチュエーター300が変形した際の振動板50及び圧電アクチュエーター300への局所的なひずみの集中を回避することができ、応力集中による振動板50のクラック及び圧電体層70の絶縁破壊を抑制することができる。
特に、図4に示すように、第3の方向Zからの平面視において、開口12aの対向する鈍角部14bを結ぶ線上における除去部320の長さL1は、対向する鈍角部14bの間の長さL2の0.1倍以上、0.5倍以下とするのが好ましい。本実施形態では、除去部320の対向する鈍角部321bの間の長さL1は、開口12aの対向する鈍角部14bの間の長さL2の0.1倍以上、0.5倍以下とするのが好ましい。このように除去部320の鈍角部14bの間の長さL1を規定することで、圧電アクチュエーター300に十分な変位を行わせることができると共に、圧電アクチュエーター300の変位による圧力発生室12の排除体積を十分に確保することができる。
また、本実施形態では、第3の方向Zから平面視において、圧力発生室12の開口12aの辺から除去部320までの最短の距離を、鋭角部14aから鈍角部14bに向かって徐々に広げることで、除去部320の開口形状を略菱形とした。すなわち、除去部320の幅は、鋭角部14aから鈍角部14bに向かって徐々に漸小している。このため、除去部320の幅を階段状に狭めるのに比べて応力集中が生じ難く、破壊を抑制することができる。
また、活性部310は、開口12aの各辺の任意の点から圧力発生室12の開口12aの中心までの幅が、鋭角部14aから鈍角部14bに向かって徐々に広がるように設けることで、開口12aの鈍角部14bと除去部320の鈍角部321bとを結ぶ線上における活性部310の長さを、鋭角部14aと除去部320の鋭角部321aとを結ぶ線上における活性部310の長さよりも大きくすることができ、圧電アクチュエーター300による変位量を大きくすることができる。
また、活性部310及び非駆動部311は、第1電極60によって規定されているため、非駆動部311は、第1電極60を有さない。また、非駆動部311の圧電体層70には凹部71が設けられている。したがって、非駆動部311の少なくとも一部は、第1電極60と圧電体層70とを有さない。このように、非駆動部311の少なくとも一部は、第1電極60と圧電体層70とを有さないことで、非駆動部311の変形が圧電体層70によって阻害されるのを抑制して、非駆動部311を変形し易くすることができ、活性部310を変形し易くすることができる。
また、本実施形態では、図6に示すように、第3の方向Zから平面視した際に、活性部310の端部、本実施形態では、第1電極60の端部は、傾斜面13に重なる位置に設けられている。このように、活性部310の端部を第3の方向Zにおいて傾斜面13上に設けることで、活性部310と非駆動部312との境界が傾斜面13上に位置する。流路形成基板10の第3の方向Zの厚さは、傾斜面13によって圧力発生室12から外側に向かって徐々に漸大するため、流路形成基板10の傾斜面13が設けられた部分の剛性は圧力発生室12から外側に向かって漸大する。このため、活性部310を駆動した際に、活性部310と非駆動部312との境界部分の応力は、傾斜面13が変形することで緩和される。特に、傾斜面13が設けられた領域は変形するものの、傾斜面13によって流路形成基板10の剛性は圧力発生室12側から外側に向かって漸大しているため、傾斜面13が設けられた流路形成基板10は、活性部310側ほど変形し易く、非駆動部312側ほど変形し難くなる。したがって、活性部310と非駆動部312との応力集中を傾斜面13が設けられた流路形成基板10が変形することで効率的に緩和することができ、活性部310と非駆動部312との境界に応力集中が発生して、破壊されるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、圧力発生室12は、第3の方向Zにおいて圧電アクチュエーター300とは反対側でノズル21と連通し、活性部310は、圧力発生室12のノズル21側の開口のうちの少なくとも一部が重ならない位置に配置されている。すなわち、圧力発生室12は、ノズル21側の開口12bに向かって拡幅して設けられている。本実施形態では、傾斜面13によって圧力発生室12は、ノズル21側の開口12bに向かって拡幅するようにした。このように、圧力発生室12をノズル21側に向かって拡幅させることで、圧力発生室12の開口12aを小さくして、活性部310を形成するスペースを確保しつつ小型化を図ることができると共に、開口12bを大きくして、圧力発生室12に必要な容積を確保することができる。
また、本実施形態では、圧力発生室12は、図4に示すように、第3の方向Zにおいて、圧電アクチュエーター300とは反対面側の開口12bが平行四辺形を有し、当該平行四辺形の鋭角となる角部のそれぞれにおいて、ノズル21に連通するノズル連通路19と、圧力発生室12にインクを供給する供給路18とが接続されるようにした。このように、圧力発生室12の鋭角となる角部のそれぞれにノズル連通路19と供給路18とを接続することで、鋭角となる角部においてインクが滞留するのを抑制して、鋭角となる角部にインクに含まれる気泡が留まることによるインク滴の吐出不良が発生するのを抑制することができる。
また、圧力発生室12をノズル21に向かって拡幅すると共に、ノズル連通路19を1つの共通するマニホールド16に連通する2列の圧力発生室12の外側の鋭角となる角部のそれぞれに開口させることで、2列の圧力発生室12に連通するノズル連通路19の第2の方向Yの距離を離すことができる。したがって、この2つのノズル連通路19の間に2列の圧力発生室12に共通して連通するマニホールド16を第2の方向Yに大きく配置することができる。
また、図1に示すように、インクジェット式記録装置Iは、制御装置200を具備する。ここで、本実施形態のインクジェット式記録装置Iの電気的構成について図8を参照して説明する。なお、図8は、本実施形態の実施形態1に係るインクジェット式記録装置の制御構成を示すブロック図である。
図8に示すように、インクジェット式記録装置Iは、本実施形態の制御部であるプリンターコントローラー210と、プリントエンジン220と、を備えている。
プリンターコントローラー210は、インクジェット式記録装置Iの全体の制御をする要素であり、本実施形態では、インクジェット式記録装置Iに設けられた制御装置200内に設けられている。
プリンターコントローラー210は、外部インターフェース211(以下、外部I/F211という)と、各種データを一時的に記憶するRAM212と、制御プログラム等を記憶したROM213と、CPU等を含んで構成した制御処理部214と、クロック信号を発生する発振回路215と、記録ヘッド1へ供給するための駆動信号を発生する駆動信号生成部216と、駆動信号や印刷データに基づいて展開されたドットパターンデータ(ビットマップデータ)等をプリントエンジン220に送信する内部インターフェース217(以下、内部I/F217という)とを備えている。
外部I/F211は、例えば、キャラクタコード、グラフィック関数、イメージデータ等によって構成される印刷データを、ホストコンピュータ等の外部装置230から受信する。また、この外部I/F211を通じてビジー信号(BUSY)やアクノレッジ信号(ACK)が、外部装置230に対して出力される。
RAM212は、受信バッファー212A、中間バッファー212B、出力バッファー212C、及び、図示しないワークメモリーとして機能する。そして、受信バッファー212Aは外部I/F211によって受信された印刷データを一時的に記憶し、中間バッファー212Bは制御処理部214が変換した中間コードデータを記憶し、出力バッファー212Cはドットパターンデータを記憶する。なお、このドットパターンデータは、階調データをデコード(翻訳)することにより得られる印字データによって構成してある。
また、ROM213には、各種データ処理を行わせるための制御プログラム(制御ルーチン)の他に、フォントデータ、グラフィック関数等を記憶させてある。
制御処理部214は、受信バッファー212A内の印刷データを読み出すと共に、この印刷データを変換して得た中間コードデータを中間バッファー212Bに記憶させる。また、中間バッファー212Bから読み出した中間コードデータを解析し、ROM213に記憶させているフォントデータ及びグラフィック関数等を参照して、中間コードデータをドットパターンデータに展開する。そして、制御処理部214は、必要な装飾処理を施した後に、この展開したドットパターンデータを出力バッファー212Cに記憶させる。
そして、記録ヘッド1に1行分のドットパターンデータが得られたならば、この1行分のドットパターンデータは、内部I/F217を通じて記録ヘッド1に出力される。また、出力バッファー212Cから1行分のドットパターンデータが出力されると、展開済みの中間コードデータは中間バッファー212Bから消去され、次の中間コードデータについての展開処理が行われる。
プリントエンジン220は、記録ヘッド1と、紙送り機構221と、キャリッジ機構222とを含んで構成してある。紙送り機構221は、搬送ローラー8とこの搬送ローラー8を駆動する図示しないモーター等から構成してあり、記録シートSを記録ヘッド1の記録動作に連動させて順次送り出す。即ち、この紙送り機構221は、記録シートSを第1の方向Xに相対移動させる。キャリッジ機構222は、キャリッジ3と、キャリッジ3をキャリッジ軸5に沿って第2の方向Yに移動させる駆動モーター6やタイミングベルト7とを具備する。
記録ヘッド1は、シフトレジスター122、ラッチ回路123、レベルシフター124、スイッチ125を有する駆動回路121と、圧電アクチュエーター300と、を備えている。これらのシフトレジスター122、ラッチ回路123、レベルシフター124及びスイッチ125は、駆動信号生成部216が発生した駆動信号から印加パルスを生成する。ここで、印加パルスとは実際に圧電アクチュエーター300に印加されるものである。
ここで、駆動信号生成部216が発生した駆動波形を含む駆動信号について説明する。
なお、図9は、駆動信号を示す駆動波形である。
なお、図9は、駆動信号を示す駆動波形である。
図9に示すように、本実施形態の駆動信号COMは、発振回路215から発信されるクロック信号により規定される単位周期T(吐出周期T)毎に駆動信号生成部216から繰り返し生成される。単位周期Tは、記録シートSに印刷する画像等の1画素分に対応する。そして、印刷中において記録シートSの記録領域に1行分(1ラスター分)のドットパターンを形成するとき、各ノズル21に対応する圧電アクチュエーター300には、駆動信号が選択的に印加される。本実施形態では、駆動信号は、圧電アクチュエーター300の共通電極である第2電極80を基準電位(Vbs)として、個別電極である第1電極60に供給される。すなわち、駆動波形によって第1電極60に印加される電圧は、基準電位(Vbs)を基準としての電位として表される。
具体的には、駆動信号COMは、基準電位Vmから第1電位V1まで充電して圧力発生室12の容積を基準容積から膨張させる膨張要素P1と、膨張要素P1によって膨張した圧力発生室12の容積を一定時間維持する膨張維持要素P2と、第1電位V1から第2電位V2まで放電して圧力発生室12の容積を収縮させる収縮要素P3と、収縮要素P3によって収縮した圧力発生室12の容積を一定時間維持する収縮維持要素P4と、第2電位V2の収縮状態から基準電位Vmの基準容積まで圧力発生室12を復帰させる膨張復帰要素P5と、を具備する。
本実施形態では、膨張要素P1の電位差、すなわち、基準電位Vmと第1電位V1との電位差は、収縮要素P3の電位差、すなわち、第1電位V1と第2電位V2との電位差よりも小さい。
このような駆動信号COMが圧電アクチュエーター300に供給されると、基準電位Vmで圧電アクチュエーター300を充電することによって、図10に示すように、元の容積から基準容積となるまで圧力発生室12を膨張する。次に、膨張要素P1によって圧電アクチュエーター300を充電することによって、図11に示すように、圧電アクチュエーター300を圧力発生室12とは反対側に変形させて圧力発生室12を基準容積からさらに膨張する。そして、収縮要素P3によって圧電アクチュエーター300を放電することで、図12に示すように、圧力発生室12の容積を元の容積(充電されていない容積)に収縮して、ノズル21からインク滴が吐出される。
このように、本実施形態の圧電アクチュエーター300及び駆動信号COMによれば、膨張要素P1によって、圧電アクチュエーター300が圧力発生室12とは反対側に変形するため、圧電体層70の第2電極80側の面に発生する応力を圧縮応力とすることができる。そして、収縮要素P3によって圧電アクチュエーター300を元の形状に戻すだけなので、圧電体層70の第2電極80側の面に発生する応力が引っ張り応力になるのを抑制することができる。ちなみに、圧電アクチュエーター300を圧力発生室12内に撓み変形させると、圧電体層70の第2電極80側の面には引っ張り応力がかかる。圧電体層70は結晶構造を有するため、圧縮応力に比べて引っ張り応力に対して脆弱である。したがって、圧電アクチュエーター300を圧力発生室12とは反対側に変形させて内部応力を圧縮応力とすることで、圧電体層70の第2電極80側の面に発生する応力による破壊を抑制することができる。また、膨張要素P1で印加される電位差は、収縮要素P3で印加される電位差よりも小さく、収縮要素P3は、圧電アクチュエーター300を電圧が印加されていない元の形状に戻すだけなので、膨張要素P1から収縮要素P3に至るまでの内部応力を小さくすることができる。したがって、圧電体層70の第2電極80側の面に発生する応力による破壊を抑制することができる。
(実施形態2)
図13は、本発明の実施形態2に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの流路形成基板の要部を拡大した平面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図13は、本発明の実施形態2に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの流路形成基板の要部を拡大した平面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図13に示すように、本実施形態では、除去部320は、第3の方向Zから平面視した際に、圧力発生室12の圧電アクチュエーター300側の開口12aの辺から除去部320までの最短の距離は、頂点から離れるに従って徐々に大きくなる、所謂、星形に形成されている。すなわち、開口12aから除去部320までの距離は、鋭角部14a及び鈍角部14bからの距離に比べて、辺の略中心の方が広い。
また、活性部310は、除去部320の形状に合わせて同等の形状で形成されている。
このような除去部320の形状であっても、振動板50及び圧電アクチュエーター300の応力集中を抑制して破壊を抑制することができると共に、変位量を向上することができる。
(実施形態3)
図14は、本発明の実施形態3に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの流路形成基板の要部を拡大した平面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図14は、本発明の実施形態3に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの流路形成基板の要部を拡大した平面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図14に示すように、本実施形態では、第3の方向Zから平面視した際に、鋭角部14aは、除去部320に重なる位置に設けられている。すなわち、鋭角部14aに重なる位置には活性部310が形成されていない。
上述のように、圧電アクチュエーター300は、圧力発生室12の開口12aの一対の鋭角部14aを結ぶ線を中心として折れ曲がるように変形するため、本実施形態のように、鋭角部14a上に活性部310を形成しなくても、圧電アクチュエーター300の変位特性が低下することがなく、圧電アクチュエーター300の変形による応力集中を抑制することができる。
また、本実施形態では、活性部310は、鋭角部14aの外側、すなわち、隔壁11上には設けられており、隔壁11上で連続して設けられている。このため、1つの圧力発生室12に対応する活性部310毎に1つの個別配線91を設ければよく、個別配線91が増大するのを抑制して取り回しを容易に行うことができる。もちろん、鋭角部14aの外側で活性部310が不連続となるようにしてもよい。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した各実施形態では、振動板50の厚さを略同じ厚さとしたが、特にこれに限定されない。例えば、図15に示すように、除去部320を規定する凹部71の底面となる振動板50の厚さが、他の領域よりも薄くなっていてもよい。このような振動板50は、例えば、圧電体層70をドライエッチングでパターニングする際にオーバーエッチングすることによって形成することができる。
このように、除去部320の振動板50を他の領域よりも薄くすることで、圧電アクチュエーター300を駆動した際に、除去部320の振動板50が活性部310の変形を阻害するのを抑制して、変位し易くすることができる。
また、上述した各実施形態では、ノズルプレート20にコンプライアンス部23を形成するようにしたが、特にこれに限定されない。ここで、その他の例を図16及び図17に示す。
図16に示すように、連通板15とノズルプレート20との間に、コンプライアンス基板40が設けられている。コンプライアンス基板40は、剛性が低く可撓性を有する材料であり、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム等を用いることができる。もちろん、コンプライアンス基板40は、金属や樹脂等であってもよく、材料は特に限定されない。
また、ノズルプレート20には、第3の方向Zから平面視において、マニホールド16に重なる位置に、コンプライアンス基板40側に開口する凹部22が設けられている。コンプライアンス基板40は、凹部22が形成された部分が、撓み変形可能なコンプライアンス部23となっている。なお、本実施形態では、ノズルプレート20に凹部22を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、ノズルプレート20のマニホールド16に重なる位置に厚さ方向に貫通した貫通孔を設けるようにしてもよい。ただし、ノズル21が開口する液体噴射面にコンプライアンス基板40が露出してしまうため、ノズルプレート20の貫通孔は他部材でカバーするのが好ましい。
このように、コンプライアンス基板40を設けることでコンプライアンス部23を形成しても、マニホールド16内の圧力変動をコンプライアンス部23によって吸収することができる。
また、例えば、圧力発生室12の容積に対してマニホールド16の容積が十分に確保できており、マニホールド16内のインクによってマニホールド16内の圧力変動を吸収できる場合には、図17に示すように、コンプライアンス部23を設けなくてもよい。なお、図17は、本発明の他の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの断面図である。
また、例えば、上述した各実施形態では、圧力発生室12の平行四辺形の開口12aの辺に亘って連続する活性部310を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、活性部310は、少なくとも平行四辺形の開口12aの各辺に設けられていればよく、辺に沿って不連続であってもよい。例えば、第3の方向Zから平面視した際に、平行四辺形の開口12aの角部に重なる部分を非駆動部とし、活性部310を角部以外の辺に重なるように設けてもよい。
また、上述した各実施形態では、第1電極60を複数の活性部310毎に独立して設けることで個別電極とし、第2電極80を複数の活性部310に亘って連続して設けることで共通電極としたが、特にこれに限定されず、第1電極60を複数の活性部310に亘って連続して設けることで共通電極とし、第2電極80を活性部310毎に独立して設けることで個別電極としてもよい。また、第1電極60及び第2電極80の何れか一方が個別電極で、他方が共通電極であっても、活性部310は、第1電極60及び第2電極80の何れで規定されていてもよい。つまり、上述した実施形態のように第1電極60が個別電極であっても、第2電極80によって活性部310を規定してもよく、第1電極60及び第2電極80の両方で活性部310を規定してもよい。また、第2電極80が個別電極であっても、第1電極60によって活性部310を規定してもよく、第1電極60及び第2電極80の両方で活性部310を規定してもよい。
さらに、上述した各実施形態では、圧力発生室12が第1の方向Xに並設された列を第2の方向Yに4列設けるようにしたが、1つの共通するマニホールドに連通する2列の圧力発生室12の組を、第1の方向Xで異なる位置に配置するようにしてもよい。これにより、第1の方向Xにノズル21を2倍の密度で配置することができる。したがって、高密度な印刷が可能となる。なお、圧力発生室12の列の数についても上述したものに限定されるものではなく、圧力発生室12が1列であっても、2列以上の複数列であってもよい。
また、上述した各実施形態では、流路形成基板10として、表面の結晶面方位が(100)面のシリコン単結晶基板を用いるようにしたが、特にこれに限定されず、(110)面のシリコン単結晶基板を用いるようにしてもよく、また、SOI基板、ガラス等の材料を用いるようにしてもよい。また、圧力発生室12の形状も上述したものに限定されず、傾斜面13が設けられていない形状であってもよい。また、圧力発生室12の開口12a、12bの形状も平行四辺形に限定されるものではなく、多角形、円形、楕円形等であってもよい。
さらに、上述したインクジェット式記録装置Iでは、記録ヘッド1がキャリッジ3に搭載されて第2の方向Yに移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、記録ヘッド1が装置本体4に固定されて、紙等の記録シートSを第1の方向Xに移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
なお、上記実施の形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを、また液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド及び液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドや液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられ、かかる液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置にも適用できる。
また、本発明は、液体噴射ヘッドに限定されず、凹部が設けられた基板と圧電アクチュエーターとを有する他の圧電デバイスにも用いることができる。他の圧電デバイスとしては、例えば、超音波発信器等の超音波デバイス、超音波モーター、温度−電気変換器、圧力−電気変換器、強誘電体トランジスター、圧電トランス、赤外線等の有害光線の遮断フィルター、量子ドット形成によるフォトニック結晶効果を使用した光学フィルター、薄膜の光干渉を利用した光学フィルター等のフィルター、赤外線センサー、超音波センサー、感熱センサー、圧力センサー、焦電センサー、及びジャイロセンサー(角速度センサー)等の各種センサー、強誘電体メモリーなどが挙げられる。
I…インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、1…インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、2…インクカートリッジ、3…キャリッジ、4…装置本体、5…キャリッジ軸、6…駆動モーター、7…タイミングベルト、8…搬送ローラー、10…流路形成基板、11…隔壁、12…圧力発生室、12a…開口、12b…開口、13…傾斜面、14a…鋭角部、14b…鈍角部、15…連通板、16…マニホールド、17…導入孔、18…供給路、19…ノズル連通路、20…ノズルプレート、21…ノズル、22…凹部、23…コンプライアンス部、30…保護基板、31…保持部、32…貫通孔、40…コンプライアンス基板、50…振動板、51…弾性膜、52…絶縁体膜、60…第1電極、70…圧電体層、71…凹部、80…第2電極、91…個別配線、92…共通配線、120…フレキシブルケーブル、121…駆動回路、122…シフトレジスター、123…ラッチ回路、124…レベルシフター、125…スイッチ、200…制御装置、210…プリンターコントローラー、211…外部インターフェース、212A…受信バッファー、212B…中間バッファー、212C…出力バッファー、214…制御処理部、215…発振回路、216…駆動信号生成部、217…内部インターフェース、220…プリントエンジン、221…紙送り機構、222…キャリッジ機構、230…外部装置、300…圧電アクチュエーター、310…活性部(第1電極と第2電極とで挟まれた領域)、311…非駆動部、312…非駆動部、320…除去部、321a…鋭角部、321b…鈍角部、X…第1の方向、Y…第2の方向、Z…第3の方向
Claims (9)
- 液体を噴射するノズルに連通する圧力発生室が隔壁によって形成された流路形成基板と、
第1電極と、圧電体層と、第2電極とが積層された圧電アクチュエーターと、を具備し、
前記圧電体層は、積層方向において前記第1電極と前記第2電極とで挟まれた領域を有し、
前記積層方向からの平面視において、前記領域は前記圧力発生室の前記圧電アクチュエーター側の開口の各辺のそれぞれで少なくとも一部の縁に重なり、前記開口の少なくとも一部において前記第1電極と前記第2電極との少なくとも一方と前記圧電体層とを有さない除去部を有し、
前記圧力発生室の前記圧電アクチュエーター側の開口は、前記積層方向からの平面視において平行四辺形を有し、
前記積層方向からの平面視において前記圧力発生室の前記開口の各頂点から、前記除去部までの最短の距離は、当該頂点のうち鈍角となる鈍角部からの距離の方が、当該頂点のうち鋭角となる鋭角部からの距離よりも大きいことを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 前記圧電体層の前記第1電極と前記第2電極とで挟まれた前記領域は、各辺の任意の点からの前記圧力発生室の前記開口の中心までの幅が、前記鋭角部から前記鈍角部に向かって徐々に大きくなっていることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッド。
- 前記積層方向からの平面視において、前記圧力発生室の前記開口の辺から前記除去部までの最短の距離は、前記鋭角部から前記鈍角部に向かって徐々に大きくなっていることを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッド。
- 前記除去部は、前記積層方向から平面視した際に、略菱形であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記積層方向から平面視した際に、前記圧力発生室の前記開口の辺から前記除去部までの最短の距離は、前記頂点から離れるに従って徐々に大きくなっていることを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッド。
- 前記積層方向から平面視した際に、前記頂点のうち前記鋭角部は、前記除去部に重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記圧力発生室の前記開口の対向する前記鈍角部を結ぶ線上において、前記除去部の長さは、前記鈍角部間の長さの0.1倍以上、0.5倍以下であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
- 請求項1〜7の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
- 凹部が隔壁によって形成された基板と、
第1電極と、圧電体層と、第2電極とが積層された圧電アクチュエーターと、を具備し、
前記圧電体層は、積層方向において前記第1電極と前記第2電極とで挟まれた領域を有し、
前記積層方向からの平面視において、前記領域は前記凹部の前記圧電アクチュエーター側の開口の各辺のそれぞれで少なくとも一部の縁に重なり、前記開口の少なくとも一部において前記第1電極と前記第2電極との少なくとも一方と前記圧電体層とを有さない除去部を有し、
前記凹部の前記圧電アクチュエーター側の開口は、前記積層方向からの平面視において平行四辺形を有し、
前記積層方向からの平面視において前記凹部の前記開口の各頂点から、前記除去部までの最短の距離は、当該頂点のうち鈍角となる鈍角部からの距離の方が、当該頂点のうち鋭角となる鋭角部からの距離よりも大きいことを特徴とする圧電デバイス。
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