JP2018099089A - リモネン含有炭酸飲料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リモネンの含有量が50〜200ppmであり、炭酸ガス圧が1.0〜2.7kgf/cm2であり、pHが2.7〜3.8であり、果汁含有量が5%未満である、炭酸飲料。リモネンがリモネン含有乳化香料として配合されたものであり、加熱殺菌処理された容器詰め炭酸飲料。
【選択図】なし
Description
(1)リモネンの含有量が50〜200ppmであり、
炭酸ガス圧が1.0〜2.7kgf/cm2であり、
pHが2.7〜3.8であり、
果汁含有量が5%未満である、炭酸飲料。
(2)リモネンがリモネン含有乳化香料として配合されたものである、請求項(1)に記載の炭酸飲料。
(3)加熱殺菌処理されたものである、(1)又は(2)に記載の炭酸飲料。
(4)容器詰め飲料である、(1)〜(3)のいずれかに記載の炭酸飲料。
(5)炭酸飲料の製造方法であって、
(a)リモネンを配合して、飲料中のリモネンの含有量を50〜200ppmに調整する工程、
(b)飲料中の炭酸ガス圧を1.0〜2.7kgf/cm2に調整する工程、
(c)飲料のpHを2.7〜3.8に調整する工程、及び、
(d)飲料が果汁を含む場合は、飲料中の果汁含有量を5%未満に調整する工程、
を含む、前記製造方法。
(6)炭酸飲料における炭酸ガス特有の苦味と刺激を緩和する方法であって、
(a)リモネンを配合して、飲料中のリモネンの含有量を50〜200ppmに調整する工程、
(b)飲料中のガス圧を1.0〜2.7kgf/cm2に調整する工程、
(c)飲料のpHを2.7〜3.8に調整する工程、及び、
(d)飲料が果汁を含む場合は、飲料中の果汁含有量を5%未満に調整する工程、
を含む、前記方法。
本発明の一態様は、リモネンの含有量が特定の範囲内であり、炭酸ガス圧が特定の範囲内であり、pHが特定の範囲内であり、果汁含有量が特定の範囲内である、炭酸飲料である。
本発明の飲料は、炭酸ガスを含有させた炭酸飲料である。炭酸飲料における炭酸ガス圧は、低すぎると炭酸ガスの刺激や苦味がほとんど感じられず、高すぎると炭酸ガス圧の刺激や苦味が強すぎて緩和できない。従って、本発明の炭酸飲料における炭酸ガス圧は、20℃において好ましくは1.0kgf/cm2以上、より好ましくは1.1kgf/cm2以上、さらに好ましくは1.2kgf/cm2以上であり、好ましくは2.7kgf/cm2以下、より好ましくは2.5kgf/cm2以下、さらに好ましくは2.3kgf/cm2以下である。典型的には、本発明の炭酸飲料における炭酸ガス圧は、20℃において1.0〜2.7kgf/cm2、好ましくは1.1〜2.5kgf/cm2、より好ましくは1.2〜2.3kgf/cm2である。
本発明の炭酸飲料は、リモネンを含有する。リモネン(d−limonene、C10H16)は、柑橘系果実の果皮などに含まれる単環式モノテルペンの一種であり、いわゆる柑橘様の香りを呈する成分である。本発明の炭酸飲料におけるリモネンの含有量は、好ましくは50ppm以上であるが、50〜200ppmの範囲であれば60ppm以上、70ppm以上、80ppm以上、90ppm以上とすることができる。また、リモネン含有量は好ましくは200ppm以下であるが、50〜200ppmの範囲であれば180ppm以下、150ppm以下、100ppm以下とすることができる。典型的には、本発明の炭酸飲料におけるリモネンの含有量は50〜200ppm、好ましくは50〜180ppm、より好ましくは50〜150ppmである。
本発明の炭酸飲料中のリモネン含有量の測定方法は特に限定されないが、例えば、以下のような方法が挙げられる。
GC装置:7890A/5975C inertXL(Agilent Technologies社製)
カラム:DB−WAX(Agilent Technologies社製)
カラム長さ:30m、カラム内径:250μm、カラム膜厚:0.25μm
導入系:スプリット 10:1
注入量:1μL
温度:試料注入口 220℃
GCオーブン温度条件:40℃(5分)−15℃/min−220℃(5分)
ガス流量:ヘリウム(キャリヤーガス) 1mL/min
イオン源温度:230℃
イオン化法:EI
設定質量数:m/z 136、107
1−3.pH
本発明の炭酸飲料のpHは特に限定されないが、pHが低すぎると味わいがシャープになりすぎてリモネンの効果が期待できず、pHが高すぎるとミネラル(ナトリウムなど)の後味が強くなり、リモネンの効果が低下する。従って、本発明の炭酸飲料におけるpHは、好ましくは2.7以上、より好ましくは2.8以上、さらに好ましくは2.9以上であり、好ましくは3.8以下、より好ましくは3.7以下、さらに好ましくは3.6以下である。典型的には、本発明の炭酸飲料におけるpHは2.7〜3.8、好ましくは2.8〜3.7、より好ましくは2.9〜3.6である。
pHの測定方法としては公知の方法を用いることができ、例えば、JIS Z 8802 pH測定方法に従って、pHメーター(JIS Z 8805 pH測定用ガラス電極)を用いて20℃にて測定することができる。
本発明の炭酸飲料は無果汁であっても、1種類又は2種類以上の果汁を含んでいてもよい。本発明においては、果汁の種類は特に限定されないが、リモネンを豊富に含む柑橘系果汁を含有させることもできるし、非柑橘系の果汁を含有させることもできる。本発明の炭酸飲料中の果汁の含有量は特に限定されないが、果汁含有量が5.0w/w%以上になると、果汁の厚みや味わいが目立ち、リモネンの効果が低下する。そのため、本発明の炭酸飲料における果汁の含有量は、果汁中のリモネンの含有量にもよるが、果汁率に換算して5.0w/w%未満が好ましい。また、本発明の炭酸飲料における果汁の含有量は、果汁率に換算して、好ましくは0w/w%以上、より好ましくは0.5w/w%以上、さらにより好ましくは1.0w/w%以上であり、好ましくは5.0w/w%未満、より好ましくは4.0%w/w以下、さらにより好ましくは3.0w/w%以下である。典型的には、本発明の炭酸飲料における果汁の含有量は0w/w%以上5.0w/w%未満、好ましくは0.5w/w%以上4.0w/w%以下、より好ましくは1.0w/w%以上3.0w/w%以下である。
本発明では、上記の通り、リモネンを含む果汁を用いて飲料中のリモネンの含有量を調整することができる。その場合、果汁にリモネンが含まれていれば果汁の種類は特に限定されないが、リモネンは柑橘系果実の果皮に多く含まれル成分であるため、柑橘系果実由来の果汁を使用することが好ましく、例えば、レモン果汁、グレープフルーツ果汁、オレンジ果汁、カボス果汁、キンカン果汁、ウンシュウミカン果汁、ナツミカン果汁、スウィーティー果汁、ユズ果汁、シークワァーサー果汁、ライム果汁等が挙げられ、レモン果汁を使用することが特に好ましい。
乳化香料は、乳化剤を使用して香気成分をミセル化することにより分散性を高めた香料であり、コールドプレス(CP)オイルやテルペンレスオイルから難水溶性成分を分離処理していないため力強い香味を実現することができる。本明細書において乳化香料というときは、特に記載した場合を除き、CPオイル及び/又はテルペンレスオイルを含む油相と、乳化剤を含む水相を攪拌混合することによって、油相に含まれる難水溶性成分を乳化したものをいう。確実に乳化し、かつ安定化させるため、乳化香料は通常、臨界ミセル濃度(CMC)以上の過剰の乳化剤を含有している。本発明に用いられる乳化香料は、このような過剰の乳化剤を含有したものである。
本発明の炭酸飲料には、上記の果汁や香気成分に加えて、通常の飲料に配合するような、糖類、甘味料、酸味料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、乳化剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、品質安定剤等を配合することができる。
本発明の炭酸飲料の種類は特に限定されない。例えば、清涼飲料、果汁含有飲料、乳性飲料、茶飲料、コーヒー飲料、健康飲料、スポーツ飲料などの非アルコール飲料であっても、アルコール飲料であってもよいが、本発明の炭酸飲料は非アルコール飲料であることが好ましい。
本発明の炭酸飲料は、容器詰め飲料とすることもできる。容器詰め飲料とすることにより長期間に渡って安定に保存することが可能になるため好適である。容器詰め飲料の容器は特に限定されず、金属製容器、樹脂製容器、紙容器、ガラス製容器など、通常用いられる容器のいずれも用いることができる。具体的には、アルミ缶やスチール缶などの金属製容器、PETボトルなどの樹脂製容器、紙パックなどの紙容器、ガラス瓶などのガラス製容器などを挙げることができる。
本発明の一態様は、炭酸飲料の製造方法であって、(a)リモネンを配合して、炭酸飲料中のリモネンの含有量を50〜200ppmに調整する工程、(b)炭酸飲料中の炭酸ガス圧を1.0〜2.7kgf/cm2に調整する工程、(c)飲料のpHを2.7〜3.8に調整する工程、及び(d)飲料が果汁を含む場合は、飲料中の果汁含有量を5%未満に調整する工程、を含む、前記製造方法である。また、別の態様では、炭酸飲料における炭酸ガス特有の苦味と刺激を緩和する方法であって、(a)リモネンを配合して、炭酸飲料中のリモネンの含有量を50〜200ppmに調整する工程、(b)炭酸飲料中の炭酸ガス圧を1.0〜2.7kgf/cm2に調整する工程、(c)飲料のpHを2.7〜3.8に調整する工程、及び(d)飲料が果汁を含む場合は、飲料中の果汁含有量を5%未満に調整する工程、を含む、前記方法である。
表1に示す配合でD−リモネン(株式会社井上香料製造所製:リモネン含有量95w/w%)を乳化して香料製剤にしたリモネン含有乳化香料を調製した。具体的には、クエン酸(オーウイル株式会社製)とL−アスコルビン酸(オーウイル株式会社製)を適量の純水で溶解し、さらにアラビアガム(Nexira社製)を投入してホモミキサーで撹拌して溶解させた。その後、前記原料が完全に溶解したのを確認し、一晩冷暗室で保管して水層とした。
飲料中のリモネン含有量、ガス圧、及びpHを様々に変えてサンプル炭酸飲料1〜24を調製し、それぞれについて官能評価試験を行った。サンプル炭酸飲料1〜24の調製方法及び官能評価試験の方法を以下に示す。
表2に示す処方で容器詰め炭酸飲料を製造した。具体的には、表2に示す通り、砂糖、クエン酸、クエン酸三ナトリウムを水に溶解した後、GC−MSでリモネン含量を測定したリモネン含有乳化香料を、所定のリモネン含有量になるように添加した。その後、250mLにメスアップして4倍濃度のシロップを調製し、これに炭酸水を混合して所定のガス圧の炭酸飲料を調製した。なお、コントロールとしては、リモネン含有量が0ppm、ガス圧が1.0kgf/cm2、及びpHが3.0の飲料を用いた。
サンプル6〜8gに水150mL及びヘプタン8mLを加えて、精油定量用蒸留装置で90分間蒸留する。その後、ヘプタン層を回収し、当該ヘプタン層に含まれるリモネン含有量をガスクロマトグラフィー分析で測定する。ガスクロマトグラフィー分析条件は以下の通りである。
GC装置:7890A/5975C inertXL(Agilent Technologies社製)
カラム:DB−WAX(Agilent Technologies社製)
カラム長さ:30m、カラム内径:250μm、カラム膜厚:0.25μm
導入系:スプリット 10:1
注入量:1μL
温度:試料注入口 220℃
GCオーブン温度条件:40℃(5分)−15℃/min−220℃(5分)
ガス流量:ヘリウム(キャリヤーガス) 1mL/min
イオン源温度:230℃
イオン化法:EI
設定質量数:m/z 136、107
(炭酸ガス圧の測定方法)
サンプル炭酸飲料における炭酸ガス圧の測定は、試料温度を20℃とし、ガスボリューム測定装置において容器内空気中のガス抜き(スニフト)、振とう後の炭酸ガス圧を測定することにより行った。
pHメーターを用いて測定した。
(官能評価試験)
サンプル炭酸飲料について、専門パネラー3名による官能評価を実施した。具体的には、各専門パネラーごとに下記基準に基づいて「後味の刺激」、「後味の苦味」及び「総合評価」の観点から点数付けを行い、その平均点を表3に示した。平均点3点を超えるものが好ましい飲料であると判定した。
5点:非常に良好(後味の刺激又は後味の苦味が抑えられている)
4点:良好(後味の刺激又は後味の苦味がやや抑えられている)
3点:基準
2点:やや悪い(後味の刺激又は後味の苦味がやや強い)
1点:悪い(後味の刺激又は後味の苦味が強い)
結果を表3〜5に示す。
表6に示す処方で容器詰め飲料を製造し、それぞれについて官能評価試験を行った。具体的には、砂糖、クエン酸、クエン酸三ナトリウムを水に溶解した後、6.9倍冷凍濃縮レモン混濁果汁を混合し、これにあらかじめリモネン含有量をGC−MSで測定したリモネン含有乳化香料を所定量添加した。その後、250mLにメスアップして4倍濃度のシロップを調製し、これに炭酸水を混合して所定のガス圧の炭酸飲料を調製した。なお、サンプル飲料25〜34におけるリモネン含有量は0〜200ppm、ガス圧は2.0kgf/cm2、pHは3.0とした。
結果を表7に示す。
実施例4:飲料の加熱殺菌処理の影響
表8に示す処方で、飲料中のリモネン含有量、及びガス圧を様々に変え、かつ加熱殺菌処理を行ったサンプル炭酸飲料35〜42を調製し、それぞれについて官能評価試験を行った。具体的には、砂糖、クエン酸、クエン酸三ナトリウムを水に溶解し、これにあらかじめリモネン含有量をGC−MSで測定したリモネン含有乳化香料を添加した。その後、250mLにメスアップして4倍濃度のシロップを調製し、これを93℃、30秒の加熱殺菌をした後、所定量を容器に充填し、その後炭酸水を混合し所定のガス圧の炭酸飲料を調製した。
結果を表9〜10に示す。
Claims (6)
- リモネンの含有量が50〜200ppmであり、
炭酸ガス圧が1.0〜2.7kgf/cm2であり、
pHが2.7〜3.8であり、
果汁含有量が5%未満である、炭酸飲料。 - リモネンがリモネン含有乳化香料として配合されたものである、請求項1に記載の炭酸飲料。
- 加熱殺菌処理されたものである、請求項1又は2に記載の炭酸飲料。
- 容器詰め飲料である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭酸飲料。
- 炭酸飲料の製造方法であって、
(a)リモネンを配合して、飲料中のリモネンの含有量を50〜200ppmに調整する工程、
(b)飲料中の炭酸ガス圧を1.0〜2.7kgf/cm2に調整する工程、
(c)飲料のpHを2.7〜3.8に調整する工程、及び、
(d)飲料が果汁を含む場合は、飲料中の果汁含有量を5%未満に調整する工程、
を含む、前記製造方法。 - 炭酸飲料における炭酸ガス特有の苦味と刺激を緩和する方法であって、
(a)リモネンを配合して、飲料中のリモネンの含有量を50〜200ppmに調整する工程、
(b)飲料中のガス圧を1.0〜2.7kgf/cm2に調整する工程、
(c)飲料のpHを2.7〜3.8に調整する工程、及び、
(d)飲料が果汁を含む場合は、飲料中の果汁含有量を5%未満に調整する工程、
を含む、前記方法。
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